Patents

Search tools Text Classification Chemistry Measure Numbers Full documents Title Abstract Claims All Any Exact Not Add AND condition These CPCs and their children These exact CPCs Add AND condition
Exact Exact Batch Similar Substructure Substructure (SMARTS) Full documents Claims only Add AND condition
Add AND condition
Application Numbers Publication Numbers Either Add AND condition

導電性金ペーストを用いた無電解金メッキ代替導電性金皮膜の形成方法

Landscapes

Show more

JP4106447B2

Japan

Other languages
English
Inventor
憲明 畑
直人 塩井
雅行 上田
頼重 松葉
正明 小田
Current Assignee
Harima Chemical Inc
Ulvac Inc

Worldwide applications
2003 JP

Application JP2003010144A events
2008-06-25
Application granted
Anticipated expiration
Expired - Lifetime

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、無電解金メッキ代替用の導電性金皮膜の形成方法に関し、より具体的には、金超微粒子を導電性媒体とする導電性金ペーストを利用して、形成された導電性金ペーストの塗布膜を加熱処理して、含有される金属超微粒子相互を焼結して、無電解金メッキ代替用の導電性金皮膜を形成する方法に関する。さらには、本発明は、従来の無電解金メッキ法により形成される種々の金メッキ皮膜に代えて、前記の方法により形成される、無電解金メッキ代替用の導電性金皮膜を用いて、下地上にハンダ付け接合用の薄膜導電性金皮膜を設けてなるプリント配線基板あるいは電子部品の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子工業分野においては、種々な用途でメッキ膜が利用されており、その用途に応じて、電気メッキ法、あるいは、無電解メッキ法の使い分けがなされている。例えば、電子部品において利用される貴金属メッキ、特には、金メッキは、そのメッキ膜厚が比較的に薄くてすむ用途がその主要なものとなっている。膜厚が比較的に厚い用途では、電気メッキ法が適しているが、薄膜の金メッキ膜を形成する際には、無電解金メッキ法を利用する場合が多い。
【0003】
無電解金メッキ法による薄膜の金メッキ膜形成には、無電解フラッシュ金メッキと称される手法が応用されている。例えば、下地の金属材料表面の一部に選択的に無電解金メッキを施す際には、目的以外の領域は、無電解メッキ液と接しない状態に保つため、対メッキ液性のマスキングを予め施すことが必要となる。また、形成される無電解金メッキ薄膜の膜厚は、メッキ時間は勿論のこと、用いるメッキ液組成、メッキ浴中の液温に依存し、高い再現性で所望の薄い膜厚を有する無電解金メッキ膜を作製するには、高い工程・条件の管理・制御性が必要である。より具体的には、無電解金メッキ工程を進めるとともに、その間に消費される成分の減少に伴い、用いたメッキ液組成が変化するので、高い膜厚再現性を達成する上では、高いメッキ液組成の制御が必要となる。
【0004】
例えば、無電解金メッキ薄膜は、電子部品のハンダ付け実装を行う際、そのハンダ付けを施す金属材料表面の被覆皮膜に利用されている。すなわち、金自体の表面自体は、酸化が進行しないため、優れたハンダ材料との接合特性を示す。また、下地の金属材料と無電解金メッキ薄膜との高い密着性を達成するため、下地の金属材料表面に予め、下地メッキ層として、ニッケル・メッキ薄膜を形成した上で、無電解金メッキ薄膜を設ける形態が一般に採用されている。
【0005】
この下地ニッケル・メッキ薄膜の形成には、リン成分を含むメッキ液が用いられ、リンを含有するニッケル・メッキ薄膜となっている。このニッケル/金メッキ膜は、ハンダ付けに際して、高いハンダ濡れ性を示し、溶融したハンダ合金中に、金ならびにニッケルの一部が拡散し、緻密なハンダ接合が達成される。一方、ニッケル・メッキ薄膜に含有されていたリン成分は、逆に、下地の金属材料表面近傍(界面)に集積を受け、リン濃度が部分的に高くなる部分(界面層領域)が生じる。リン濃度の上昇に従って、かかる部分(界面層領域)の脆性強度は劣ったものとなることに伴い、局所的なクラック発生の要因となることもある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
以上に述べたように、金メッキ薄膜の形成など、従来の無電解金メッキ法は有効な手段ではあるものの、必要な部分にのみ、必要な薄膜金メッキを施す場合には、マスキングが必要となるなど、作業効率上の課題を有している。例えば、複数の箇所で、それぞれ異なる膜厚の薄膜金メッキを形成する場合には、かかる作業効率上の課題はより顕著なものとなる。加えて、無電解金メッキ膜をハンダ付け接合領域の被覆皮膜層に利用する場合、下地メッキ膜層に利用されるニッケル・メッキ薄膜に含まれるリンに由来し、ハンダ付け後、かかるニッケル・メッキ薄膜と下地の金属材料との界面部において、クラック発生を引き起こす場合もある。一方、この下地メッキ膜層を省くと、下地の金属材料表面に対する、無電解金メッキ薄膜の密着性の低下が生じる場合も少なくない。
【0007】
プリント配線基板上に形成されている銅配線の銅電極部表面、あるいは、各種電子部品のハンダ付け実装用の金属ワイヤーまたは金属ピン部表面に設けるハンダ付け接合領域の被覆皮膜層の用途には、金の薄膜層は、それ自体、酸化皮膜を有することがなく、ハンダ濡れ性に優れた清浄な金属表面を保つ保護膜層であり、好適である。さらには、金ワイヤによるワイヤボンディングを行う、ボンディング・パッド部の金の薄膜層としても、好適に利用可能である。かかるハンダ付け接合領域の被覆皮膜層のように、必要な部分のみに、金の薄膜層を選択的に形成する際、下地の金属材料表面に、ニッケル・メッキ膜層を介在させなくとも、良好な密着性を示す金薄膜層を高い膜厚再現性で作製できる、無電解金メッキ法の代替手段の開発が望まれている。特に、必要な部分のみに、金の薄膜層を選択的に形成する際、部分的無電解金メッキで利用されるマスキング処理を省くことを可能とする、無電解金メッキ法の代替手段の開発が望まれている。
【0008】
本発明は前記の課題を解決するもので、本発明の目的は、例えば、電子工業分野において、各種電子部品のハンダ付け実装用の金属ワイヤーまたは金属ピン部表面や、プリント配線基板上のハンダ接合用の銅電極部表面などに設ける、ハンダ付け接合領域の保護被覆膜層、さらには、金ワイヤによるワイヤボンディングを行う、ボンディング・パッド部の金の薄膜層等、各種用途に利用される無電解金メッキ膜に代えて、これら無電解金メッキによる金皮膜層と代替可能な、無電解金メッキ膜に匹敵する導電特性と信頼性を有し、また、目的とする領域に選択的に、簡便な工程、高い再現性で導電性金皮膜を形成する方法を提供することにある。より具体的には、本発明の目的は、金超微粒子を導電性媒体とする導電性金ペーストを利用して、形成された導電性金ペーストの塗布膜を加熱処理して、含有される金属超微粒子相互を焼結して、無電解金メッキ代替用の導電性金皮膜を形成する方法、かかる方法を利用して、各種電子部品のハンダ付け実装用の金属ワイヤーまたは金属ピン部表面や、プリント配線基板上のハンダ接合用の銅電極部表面などに設ける、ハンダ付け接合領域の保護被覆膜層を簡便に作製する方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく、鋭意研究・検討を進めたところ、金超微粒子の塗布膜を作製し、その後、この金超微粒子の塗布膜に含有される超微粒子相互を焼結させると、無電解金メッキ膜と同程度の均一性と導電性を有する金属皮膜を形成することが可能であることに想到した。また、無電解フラッシュ金メッキ法と同程度の薄膜金メッキ層の形成を達成する上では、利用する金超微粒子の平均粒子径を、無電解フラッシュ金メッキにより作製される金属皮膜を構成する微細な金粒子サイズと遜色のない極めて細かなものとすることが必要となり、加えて、そのように極めて微細な金超微粒子が緻密な充填状態とする塗布膜を作製し、更に、その状態で比較的に低温で焼結を達成することが必要となることを見出した。この三つの要件の内、最初の要件は、目的とする薄膜の厚さ精度に応じて、利用する金超微粒子として、平均粒子径が1〜100nmの範囲に選択される金属超微粒子を用いることで満たされ、また、最後の要件についても、この金超微粒子を、その表面に酸化被膜がなく、金原子が露呈した状態で互いに接触させると、例えば、250℃以下の温度で加熱処理を施すことで、容易に焼結させることが可能であることを見出した。しかしながら、第二の要件に関しては、前記金超微粒子は、その表面に金原子が露呈した状態で互いに接触させると、室温付近の温度でも、相互に接着(融着)が生じ、比較的に疎な凝集体形成を起こす結果、全体として、無電解フラッシュ金メッキ膜と遜色のない緻密な充填状態を高い再現性で達成することが困難であることをも見出した。この課題の解決手段を見出すべく、さらに、検討を進めたところ、金超微粒子の表面に、かかる金元素と配位的な結合が可能な基として、窒素、酸素、イオウ原子のいずれかを含む基を有する化合物1種以上により被覆された状態とすると凝集体形成を回避でき、有機溶剤中に均一に分散させることが可能であり、また、この分散液の塗布膜を形成し、含まれる有機溶剤を蒸散させると、金超微粒子が緻密に充填された状態とすることが可能であることを見出した。さらに、有機溶剤中に、加熱処理を施す温度において、金元素と配位的な結合が可能な基として、窒素、酸素、イオウ原子のいずれかを含む基を有する前記化合物に対して、その窒素、酸素、イオウ原子のいずれかを含む基と反応性を有する化合物を溶解させておくと、加熱の際、熱的にも徐々に解離する窒素、酸素、イオウ原子のいずれかを含む基を有する前記化合物とそれに対する反応性を有する化合物との反応が進行し、結果的に、金超微粒子の表面には金原子自体が表出し、かかる金属表面相互が直接接触することが可能となり、比較的な低温での処理によっても焼結が起こり、高い膜厚制御性で、緻密な焼結成形体の金皮膜が形成可能であることを見出した。加えて、かかる手法で作製される緻密な焼結成形体の金皮膜は、下地の金属材料表面に予め下地メッキ層として、ニッケル・メッキ膜層を介在させなくとも、予めエッチング処理を下地金属表面に施しておくことで、下地の金属材料表面間に高い密着性を有する被覆膜に作製が可能であることをも確認した。本発明者らは、これら一連の知見に基づき、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明の無電解金メッキ代替導電性金皮膜の形成方法は、
金超微粒子を導電性媒体とする導電性金ペーストを用いて、無電解金メッキ代替導電性金皮膜を形成する方法であって、
該無電解金メッキ代替導電性金皮膜を形成する下地上に、前記導電性金ペーストの塗布層を形成する工程と、
形成された前記導電性金ペーストの塗布層を、300℃を超えない温度にて加熱処理し、含有される金超微粒子相互を焼結する工程とを有し、
利用する前記導電性金ペーストは、分散媒体となる有機溶剤中に平均粒子径が1〜100nmの範囲に選択される金超微粒子が分散されており、
金超微粒子表面は、金元素と配位的な結合が可能な基として、窒素、酸素、イオウ原子のいずれかを含む基を有する化合物1種以上により被覆されており、
前記加熱処理を施す際、金元素と配位的な結合が可能な基として、窒素、酸素、イオウ原子のいずれかを含む基を有する前記化合物の金超微粒子表面からの解離がなされることを特徴とする無電解金メッキ代替導電性金皮膜の形成方法である。
【0011】
その際、前記導電性金ペースト中には、
金超微粒子表面を被覆している、金元素と配位的な結合が可能な基として、窒素、酸素、イオウ原子のいずれかを含む基を有する前記化合物に対して、前記加熱処理を施す温度において、その窒素、酸素、イオウ原子のいずれかを含む基と反応性を有する化合物が溶解されており、
金超微粒子表面からの窒素、酸素、イオウ原子のいずれかを含む基を有する前記化合物の解離は、かかる窒素、酸素、イオウ原子のいずれかを含む基を有する前記化合物に対する、その窒素、酸素、イオウ原子のいずれかを含む基と反応性を有する前記化合物との反応により促進されることが好ましい。加えて、前記導電性金ペースト中において、前記窒素、酸素、イオウ原子のいずれかを含む基と反応性を有する化合物として、有機の酸無水物またはその誘導体を用いることがより好ましい。また、前記導電性金ペースト中において、金超微粒子表面を被覆する、前記窒素、酸素、イオウ原子のいずれかを含む基を有する化合物として、アルキルアミンを用いることが望ましい。
【0012】
なお、本発明にかかる導電性金皮膜の形成方法は、
前記無電解金メッキ代替導電性金皮膜を形成する下地は、プリント配線基板上に形成されている銅配線の銅電極部表面であり、
形成される無電解金メッキ代替導電性金皮膜と該銅電極部表面との間に、ニッケル・メッキ層を設けていない場合に有用である。また、前記無電解金メッキ代替導電性金皮膜を形成する下地は、電子部品上に設けられる銅導電層の表面であり、
該銅導電層に対して、金ワイヤによるボンディングを行う金ワイヤボンディング用電極パッド部表面に設ける薄膜金パッド層として、前記導電性金皮膜の形成がなされ、
形成される無電解金メッキ代替導電性金皮膜と該銅導電層パッド部表面との間に、ニッケル・メッキ層を設けていない場合に有用である。あるいは、
前記無電解金メッキ代替導電性金皮膜を形成する下地は、電子部品のハンダ付け実装用の金属ワイヤーまたは金属ピン部表面であり、
形成される無電解金メッキ代替導電性金皮膜と該金属ワイヤーまたは金属ピン部表面との間に、ニッケル・メッキ層を設けていない場合にも有用である。
【0013】
加えて、本発明は、上述の導電性金皮膜の形成方法を利用する各種製造方法の発明をも提供し、
本発明にかかるプリント配線基板の製造方法は、
プリント配線基板上に形成されている銅配線の銅電極部表面にハンダ付け接合用の薄膜導電性金皮膜を有するプリント配線基板の製造方法であって、
該銅電極部表面に設けるハンダ付け接合用の薄膜導電性金皮膜は、上述する何れかの形態を有する本発明にかかる無電解金メッキ代替導電性金皮膜の形成方法によって作製することを特徴とするプリント配線基板の製造方法である。また、本発明にかかる電子部品の製造方法の一つは、
電子部品を構成する基板上に形成される銅導電層に対して、金ワイヤによるボンディングを行う金ワイヤボンディング用電極パッド部を有し、該パッド部表面に薄膜導電性金皮膜を設けてなる電子部品の製造方法であって、
該薄膜導電性金皮膜は、上述する何れかの形態を有する本発明にかかる無電解金メッキ代替導電性金皮膜の形成方法によって作製することを特徴とする電子部品の製造方法である。さらに、本発明にかかる電子部品の製造方法の他の一つは、
ハンダ付け実装用の金属ワイヤーまたは金属ピンを有し、該金属ワイヤーまたは金属ピンの、少なくともハンダ付け接合を施す表面部に薄膜導電性金皮膜を設けてなる電子部品の製造方法であって、
該薄膜導電性金皮膜は、上述する何れかの形態を有する本発明にかかる無電解金メッキ代替導電性金皮膜の形成方法によって作製することを特徴とする電子部品の製造方法である。
【0014】
但し、対象となる電子部品自体は、上述する金超微粒子相互を焼結する工程における、熱処理に十分に耐える耐熱特性を有するものである。また、対象となるプリント配線基板自体は、利用している基板材料自体、上述する金超微粒子相互を焼結する工程における、熱処理に十分に耐える耐熱特性を有するものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の無電解金メッキ代替導電性金皮膜の形成方法と、その際に利用する金超微粒子を導電性媒体とする導電性金ペーストをより詳細に説明する。
【0016】
本発明の無電解金メッキ代替導電性金皮膜の形成方法は、その主な用途は、電子工業分野において、従来の無電解金メッキ法で形成される薄膜の金メッキ膜が利用されている部材において、その金皮膜層として、比較的低温で焼結して作製される金超微粒子の焼結体皮膜による代替である。従って、利用される金超微粒子の焼結体皮膜自体は、その代替すべき無電解金メッキ膜中の析出金粒子サイズと同程度の平均粒子径を有する金超微粒子の焼結体皮膜であることが望ましい。従って、利用する金超微粒子を導電性媒体とする導電性金ペースト中に含有する金超微粒子は、代替すべき無電解金メッキ膜における目標膜厚に応じて、その平均粒子径は1〜100nmの範囲に選択する。好ましくは、平均粒子径を2〜10nmの範囲に選択する。より具体的には、代替すべき無電解金メッキ膜が、各種電子部品のハンダ付け実装用の金属ワイヤーまたは金属ピン部表面や、プリント配線基板上のハンダ接合用の銅電極部表面などに設ける、ハンダ付け接合領域の保護被覆膜層としての機能を有する無電解金メッキ膜、あるいは、金ワイヤによるワイヤボンディングを行う際のボンディング・パッド部表面の無電解金メッキ膜である場合、作製すべき薄膜導電性金皮膜の膜厚は、0.05μmを下回ることはなく、厚くとも、1μm程度であり、多くの場合、0.5μm以下、例えば、0.1μm〜0.3μmの範囲に選択される。従って、かかる用途などに利用される無電解フラッシュ金メッキ法で作製される無電解金メッキ膜の代替を目標とする、本発明の方法で形成される金超微粒子の焼結体皮膜も、その平均膜厚は、0.05μm〜1μmの範囲、好ましくは、0.05μm〜0.5μmの範囲、より好ましくは、0.1μm〜0.3μmの範囲に選択される。しかも、前記の平均膜厚において、その膜厚の高い制御性、再現性を達成する上では、利用する金超微粒子を導電性媒体とする導電性金ペーストにおいて、含有される金超微粒子の平均粒子径は、大きくとも目標平均膜厚の1/5以下、通常、1/10以下、例えば、2〜10nmの範囲に選択することがより好ましい。
【0017】
一般に平均粒子径数nm〜数10nm程度の金属超微粒子はその融点よりも格段に低い温度(例えば、銀であれば200℃)で焼結することが知られている。この低温焼結は、金属の超微粒子においては、十分にその粒子径を小さくすると、粒子表面に存在するエネルギー状態の高い原子の全体に占める割り合いが大きくなり、金属原子の表面拡散が無視し得ないほど大きくなる結果、この表面拡散に起因して、粒子相互の界面の延伸がなされ焼結が行われるためである。一方、この性質は、室温近傍においても、金属超微粒子の表面相互が直接接触すると、凝集体を形成するという現象を生じさせる。前記の凝集体形成は、極めて微細な金属微粒子が密な充填状態を形成する結果達成される、厚さの均一性向上効果を損なう要因となる。さらに、密な充填状態を形成することで、全体として、所望の導電性を達成している効果を、予め部分的に凝集体を形成した構造が混入すると、密な充填状態を高い再現性で達成できなくなる一因となる。特に、本発明にかかる無電解金メッキ代替導電性金皮膜の形成方法で利用する金超微粒子では、その表面に表面酸化物が形成されることもなく、金原子の表面拡散がより顕著となり、室温近傍においても、金超微粒子の表面相互が直接接触すると、凝集体を形成するという現象がより生じ易いものである。
【0018】
それ故、本発明の無電解金メッキ代替導電性金皮膜の形成方法に利用する導電性金ペーストは、プリント配線基板などの対象物の表面上に塗布膜を形成する際には、導電性金ペーストに含まれる金超微粒子の凝集体形成を防止し、均一な分散状態を維持するため、金超微粒子の表面は、金元素と配位的な結合が可能な基として、窒素、酸素、イオウ原子のいずれかを含む基を有する化合物1種以上により被覆された状態とする。すなわち、かかる金超微粒子表面の金原子と配位的な結合が可能な基として、窒素、酸素、イオウ原子のいずれかを含む基を有する化合物1種以上により、金超微粒子表面に露呈する金原子面を密に被覆した状態とすることで、塗布膜を形成した後、加熱処理を施すまでは、金超微粒子が互いにその金属表面が直接接触しない状態とする。一方、金超微粒子は、その表面の金原子は、バルク状態よりも反応性が向上しており、場合によっては、表面酸化被膜の生成が生じることも懸念されるもの、この被覆層を設けることにより、仮に塗布を行う際など酸素と接しても、金超微粒子の表面には、例えば、酸化膜が実質的に形成されないなど、その表面状態に実質的な影響を及ぼさない状態ともなっている。
【0019】
この金超微粒子表面の被覆に利用される化合物は、金元素と配位的な結合を形成する際、窒素、酸素、イオウ原子上に孤立電子対を有する基を利用するもので、例えば、窒素原子を含む基として、アミノ基が挙げられる。また、イオウ原子を含む基としては、スルファニル基(−SH)、スルフィド型のスルファンジイル基(−S−)が挙げられる。また、酸素原子を含む基としては、ヒドロキシ基、エーテル型のオキシ基(−O−)が挙げられる。
【0020】
利用可能なアミノ基を有する化合物の代表として、アルキルアミンを挙げることができる。なお、かかるアルキルアミンは、金元素と配位的な結合を形成した状態で、通常の保管環境、具体的には、40℃に達しない範囲では、脱離しないものが好適であり、沸点が60℃以上の範囲、好ましくは100℃以上となるものが好ましい。ただし、焼結化を行う際には、速やかに、表面から離脱することが可能であることが必要であり、少なくとも、沸点が300℃を超えない範囲、通常、250℃以下の範囲となるものが好ましい。例えば、アルキルアミンとして、そのアルキル基は、C4〜C20が用いられ、さらに好ましくはC8〜C18の範囲に選択され、アルキル鎖の末端にアミノ基を有するものが用いられる。例えば、前記C8〜C18の範囲のアルキルアミンは、熱的な安定性もあり、また、その蒸気圧もさほど高くなく、室温等で保管する際、含有率を所望の範囲に維持・制御することが容易であるなど、ハンドリング性の面から好適に用いられる。一般に、かかる配位的な結合を形成する上では、第一級アミン型のものがより高い結合能を示し好ましいが、第二級アミン型、ならびに、第三級アミン型の化合物も利用可能である。また、1,2−ジアミン型、1,3−ジアミン型など、近接する二以上のアミノ基が結合に関与する化合物も利用可能である。
【0021】
また、利用可能なスルファニル基(−SH)を有する化合物の代表として、アルカンチオールを挙げることができる。なお、かかるアルカンチオールも、金元素と配位的な結合を形成した状態で、通常の保管環境、具体的には、40℃に達しない範囲では、脱離しないものが好適であり、沸点が60℃以上の範囲、好ましくは100℃以上となるものが好ましい。ただし、焼結化を行う際には、速やかに、表面から離脱することが可能であることが必要であり、少なくとも、沸点が300℃を超えない範囲、通常、250℃以下の範囲となるものが好ましい。例えば、アルカンチオールとして、そのアルキル基は、C4〜C20が用いられ、さらに好ましくはC8〜C18の範囲に選択され、アルキル鎖の末端にスルファニル基(−SH)を有するものが用いられる。例えば、前記C8〜C18の範囲のアルカンチオールは、熱的な安定性もあり、また、その蒸気圧もさほど高くなく、室温等で保管する際、含有率を所望の範囲に維持・制御することが容易であるなど、ハンドリング性の面から好適に用いられる。一般に、第一級チオール型のものがより高い結合能を示し好ましいが、第二級チオール型、ならびに、第三級チオール型の化合物も利用可能である。また、1,2−ジチオール型などの、二以上のスルファニル基(−SH)が結合に関与するものも、利用可能である。
【0022】
また、利用可能なヒドロキシ基を有する化合物の代表として、アルカンジオールを挙げることができる。なお、かかるアルカンジオールも、金元素と配位的な結合を形成した状態で、通常の保管環境、具体的には、40℃に達しない範囲では、脱離しないものが好適であり、沸点が60℃以上の範囲、通常、100℃以下の範囲となるものが好ましい。ただし、焼結化を行う際には、速やかに、表面から離脱することが可能であることが必要であり、少なくとも、沸点が300℃を超えない範囲、通常、250℃以下の範囲となるものが好ましい。例えば、1,2−ジオール型などの、二以上のヒドロキシ基が結合に関与するものなどが、より好適に利用可能である。
【0023】
加えて、上述する金属超微粒子の表面を被覆している金属元素と配位的な結合が可能な基として、窒素、酸素、イオウ原子のいずれかを含む基を有する化合物に対して、加熱した際、その窒素、酸素、イオウ原子のいずれかを含む基との反応性を有する化合物成分、例えば、有機の酸無水物または酸無水物誘導体あるいは有機酸を、金超微粒子分散液中に添加することができる。この窒素、酸素、イオウ原子のいずれかを含む基との反応性を有する化合物は、加熱した際、上述する金超微粒子の表面を被覆する、金元素と配位的な結合が可能な基として、窒素、酸素、イオウ原子のいずれかを含む基を有する化合物による付着層を除去するために利用される。すなわち、加熱に伴い、室温付近では付着層を形成している被覆化合物中の、窒素、酸素、イオウ原子のいずれかを含む基と反応する結果、その反応後、前記窒素、酸素、イオウ原子のいずれかを含む基は、金超微粒子表面において、表面の金原子と配位的な結合を形成することが困難となり、結果的に除去がなされる。この除去機能は、導電性金ペーストの塗布膜形成がなされる、室温近傍では発揮されず、その後、塗布膜に対する加熱処理の過程において、初めて発揮されるものとなる。
【0024】
具体的には、添加されている酸無水物または酸無水物誘導体は、加熱に伴い、前記窒素、酸素、イオウ原子のいずれかを含む基を有する化合物、例えば、アミン化合物、チオール化合物、ジオール化合物などと反応し、アミド、チオエステル、エステルを形成するために利用される。このアミド、チオエステル、エステルを形成すると、金原子と配位的な結合を形成することが困難となり、結果的に、金超微粒子の表面被覆層の除去がなされる。従って、極めて微細な金超微粒子は、元々均一に分散しており、塗布膜中に含まれる有機溶剤が蒸散するに伴い、緻密な充填状態を採りつつ、その金属表面を直接接触させて加熱処理が進み、比較的に低温でも互いに焼結する。最終的に、塗布膜中の金超微粒子全体は、緻密な焼結体皮膜となり、無電解フラッシュ金メッキ膜と比較しても、その緻密度は遜色のないものとなる。従って、この酸無水物または酸無水物誘導体の含有量は、上記アミン化合物、チオール化合物、ジオール化合物などに含まれる末端アミノ基、スルファニル基(−SH)、ヒドロキシ基の総和に応じて、少なくとも、それと等量となる量を超えて添加すると好ましい。なお、酸無水物または酸無水物誘導体は、加熱した際、場合によっては、塩基性を有する金属酸化物の皮膜とも反応して、カルボン酸の金属塩を生成する機能も有するため、その反応性をも考慮に入れ、若干過剰な量が適宜選択される。
【0025】
前記の反応性を示す限り、利用される有機の酸無水物またはその誘導体あるいは有機酸は特に限定されるものではない。例えば、利用可能な有機酸としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ヘキサン酸、オクチル酸などのC1〜C10の直鎖または分岐した飽和カルボン酸、ならびにアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸、安息香酸、ソルビン酸などの不飽和カルボン酸、ならびに、シュウ酸、マロン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などの二塩基酸など、種々のカルボン酸に加えて、カルボキシル基に代えて、リン酸基(−O−P(O)(OH)2)あるいは、スルホ基(−SO3H)を有する、リン酸エステル、スルホン酸などのその他の有機酸を挙げることができる。
【0026】
また、好適に利用できる有機の酸無水物もしくは酸無水物の誘導体として、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、グリセロールトリス(アンヒドロトリメリテート)などの芳香族酸無水物、無水マレイン酸、無水コハク酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、アルケニル無水コハク酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルシクロヘキセンテトラカルボン酸無水物などの環状脂肪族酸無水物、ポリアジピン酸無水物、ポリアゼライン酸無水物、ポリセバシン酸無水物などの脂肪族酸無水物を挙げることができる。この中でも、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、およびこれらの誘導体は、本発明が目的とする比較的に低い加熱処理(焼結)温度においても、例えば、アミン化合物の末端アミノ基などに対して適度な反応性を有することから好適に用いられる。
【0027】
本発明の無電解金メッキ代替導電性金皮膜の形成方法において、利用する導電性金ペーストは、塗布後に加熱処理を行うものの、その塗布する際には、前記表面に分子の被覆層を設けた金超微粒子を分散する分散溶媒として、有機溶剤一種以上を含有したものとする。この有機溶剤中には、上記の窒素、酸素、イオウ原子のいずれかを含む基との反応性を有する化合物成分、例えば、有機の酸無水物または酸無水物誘導体が均一に溶解した状態とすることが好ましい。一方、導電性金ペーストを長期にわたり保管する間も、表面に分子の被覆層を設けた金超微粒子が均一な分散状態を維持する上では、用いる金超微粒子の表面を被覆している、アミン化合物などの化合物の付着層を溶出することのない有機溶剤が好適に利用される。
【0028】
この二種の用途・目的に用いられる有機溶剤は、異なる種類のものを用いることもできるが、同じ有機溶剤を用いることが好ましい。なお、前記の二種の用途に利用できる限り、その種類は限定されるものではないが、金超微粒子の表面に付着層を形成している化合物、例えば、アルキルアミンなどの溶解性が高すぎ、金超微粒子表面の付着層が消失するような高い極性を有する溶剤ではなく、非極性溶剤あるいは低極性溶剤を選択することが好ましい。
【0029】
加えて、本発明の無電解金メッキ代替導電性金皮膜の形成方法では、塗布後、焼結のため、加熱処理を行う温度において、かかる有機溶剤は、比較的速やかに蒸散でき、その間に熱分解などを起こすことがない程度には熱的な安定性を有することが好ましい。また、特定の部分に選択的に導電性金皮膜層を形成する際、その塗布の工程において、金超微粒子の分散液として、所望とする膜厚の塗布膜として、ディスペンサー塗布、インクジェット法などで、薄い塗布膜厚さで均一に塗布するため、塗布方法に応じた、好適な液粘度範囲に維持することも必要となる。そのハンドリング性の面を考慮すると、室温付近では容易に蒸散することのない、比較的に高沸点な非極性溶剤あるいは低極性溶剤、例えば、テルピネオール、ミネラルスピリット、キシレン、トルエン、エチルベンゼン、メシチレンなどが好適に利用でき、さらには、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、シクロヘキサン、シクロオクタンなども用いることができる。
【0030】
かかる有機溶剤の含有量は、それが溶解すべき、窒素、酸素、イオウ原子のいずれかを含む基との反応性を有する化合物、例えば、有機の酸無水物またはその誘導体などの量に拠って選択される。また、分散される金超微粒子の量、その分散密度に応じて、含有比率を選択する。例えば、利用する導電性金ペーストは、一旦、保存に適する液粘度に調製した上で、塗布直前、塗布手段に応じて、溶剤を添加し、希釈し、適する液粘度を有するペースト希釈液として利用することができる。その際、通常、予め高い液粘度に調製される導電性金ペースト中、分散媒質の金超微粒子100質量部当たり、前記有機溶剤の含有量を5〜100質量部の範囲に選択することが好ましい。なお、適正な塗布性能、例えば、液拡がり性、塗布膜厚の制御性に応じて、実際の塗布に用いるペースト希釈液の液粘度を調整する必要があり、例えば、焼結体の膜厚を0.1μm〜0.3μmの範囲に選択する際、希釈用の有機溶剤の添加量を調整して、各塗布手法に応じて、用いるペースト希釈液の最終液粘度を、ディッピング塗布に対しては、5〜100mPa・sの範囲、ディスペンサー塗布に対しては、1〜10Pa・sの範囲、インクジェット法による塗布印刷に対しては、5〜100mPa・sの範囲、あるいは、スピンコート法による塗布に対しては、5〜100mPa・sの範囲にそれぞれ調整することが望ましい。
【0031】
また、本発明では、上述する無電解金メッキ代替導電性金皮膜の形成方法を採用して作製される導電性金皮膜を、従来は、薄膜の金メッキ膜を利用している電子材料部材に新たに利用することで、かかる電子材料部材の製造工程をより簡便なものとすることを可能とする。電子材料部材においては、種々の部分に無電解金メッキ膜が利用されているが、その内、通常の無電解金メッキ工程に代えて、本発明の無電解金メッキ代替導電性金皮膜の形成方法における特徴的で必須な工程である、金超微粒子の低温焼結工程の加熱処理が何らかの不具合を生じさせることのない範囲で、かかる無電解金メッキ膜の代替が可能である。特に、本発明の無電解金メッキ代替導電性金皮膜の形成方法においては、無電解金メッキ工程と異なり、水性試薬を用いる湿式工程を必要としないことの利点が発揮される形態がより好適である。
【0032】
例えば、特定の領域にのみ、選択的な薄膜の導電性金皮膜を形成することを要する場合により適するものとなる。従って、代替すべき無電解金メッキ膜が、各種電子部品のハンダ付け実装用の金属ワイヤーまたは金属ピン部表面や、プリント配線基板上のハンダ接合用の銅電極部表面などに設ける、ハンダ付け接合領域の保護被覆膜層としての機能を有する無電解金メッキ膜など、さらには、金ワイヤによるワイヤボンディングを行う際のボンディング・パッド部表面の金メッキ膜など、下地の金属材料部材に対して、所定の表面部位にのみ、選択的に、また、それぞれも用途に応じて、異なる膜厚に選択される金皮膜である場合に、より適合するものとなる。加えて、無電解フラッシュ金メッキが適用される、サブミクロン領域の薄膜を採用する際に、より適合するものとなる。特には、無電解フラッシュ金メッキを利用して、上述するハンダ付け接合領域の保護被覆膜層としての機能を有する無電解金メッキ膜を作製する場合、下地の金属材料部材に対して、予め下地メッキ層として、ニッケル・メッキ膜層を介在させ、無電解金メッキ膜の高い密着性を達成することが多いものの、本発明にかかる無電解金メッキ代替導電性金皮膜の形成方法を採用して、薄膜の導電性金皮膜を形成する際、導電性金ペーストを塗布すべき領域の下地の金属材料部材表面に予めエッチング処理を施し、表面酸化被膜を除去することで、下地メッキ層のニッケル・メッキ膜層を介在させなくとも、遜色のない密着性を達成することができる。その結果、従来、かかる下地メッキ層のニッケル・メッキ膜層を介在させることに付随して、用いているリンを含有しているニッケル・メッキ膜層に由来する、ハンダ付け接合後、下地の金属材料部材とニッケル・メッキ膜層との界面部でのクラック発生を本質的に回避することが可能となる。具体的には、下地の金属材料部材表面に予めエッチング処理を施し、表面酸化被膜を除去することで、塗布される導電性金ペーストの溶剤でかかる下地の金属材料部材表面を保護した状態で、焼成処理用の加熱処理に供される。その結果、清浄な金属材料部材表面に金超微粒子が接触して、加熱処理される結果、その間で高い密着性が達成され、作製される焼結体型の導電性金属皮膜は、下地の金属材料部材表面と緻密に密着された状態となる。
【0033】
この焼成処理の間、金超微粒子の表面を被覆する化合物の除去、ならびに、分散溶剤の蒸散とともに、金超微粒子相互の融着させるため、少なくとも、200℃以上、好ましくは、250℃程度の温度下における加熱処理が必要される。例えば、適用するプリント配線基板の基板材料、あるいは、各種電子部品自体、かかる加熱処理に際して、品質の劣化などを起こさない耐熱性を有することが必要である。好ましくは、かかる加熱処理を300℃で行った際にも、十分な耐熱性を有することが望ましい。
【0034】
以上に説明する通り、本発明にかかる無電解金メッキ代替導電性金皮膜の形成方法では、導電性金皮膜の形成に導電性金ペーストを利用するものの、本発明にかかる導電性金ペーストでは、金属微粒子相互の電気的な導通と、成形・固化には、有機バインダーを利用しておらず、従来の有機バインダーを利用している導電性金ペーストで形成される導電膜とは異なり、得られる焼結体型の導電性金皮膜に対して、ハンダ剤を更に利用して、電子部品をハンダ付け接合によって実装する形態に利用することを可能としている。すなわち、本発明にかかる無電解金メッキ代替導電性金皮膜は、ハンダ付け接合領域の保護被覆膜層としての機能を有する薄膜金層としての利用に適合し、その際、下地メッキ層のニッケル・メッキ膜層を介在させなない形態とすることが可能で、また、より好ましい形態でもある。
【0035】
なお、ハンダ付け接合領域の保護被覆膜層として利用する無電解金メッキ代替導電性金皮膜は、その膜厚は、厚くとも1μmを超えることはなく、ある程度の導通性能を有すれば、実用上問題はない。一方、膜厚の再現性と制御性は、塗布するペースト液量の制御によって達成でき、高い生産性を示す方法とすることができる。特に、同一面内に、異なる膜厚を有する導電性金皮膜を、それぞれ選択的な部位に形成する際、かかる高い生産性がより顕著に発揮される。具体的には、本発明にかかる無電解金メッキ代替導電性金皮膜の形成方法では、目標とする膜厚に応じて、導電性金皮膜形成を施したい部分にのみ、必要量の導電性ペーストを直接供給することが可能であるため、従来の部分的な無電解金メッキに必要であったマスキング処理工程を設ける必要がなくなり、作業工程の簡略化、引いては、生産コストダウンにも貢献する。
【0036】
さらには、ハンダ付け接合に利用されるハンダ材として、所謂、鉛フリー型ハンダの利用が進み、そのハンダ付け時のリフロー温度は、多くの場合250℃程度の比較的に高い温度の利用がなされ、例えば、プリント配線基板の基板材料、あるいは、各種電子部品自体、かかる高いリフロー温度に適合する、耐熱性を有するものとなっている。従って、本発明にかかる無電解金メッキ代替導電性金皮膜の形成方法では、低温焼結処理工程における加熱条件を、250℃程度とすることで、鉛フリー型ハンダの利用可能なプリント配線基板、各種電子部品の製造にも、よく整合したものとなる。
【0037】
【実施例】
以下に、実施例を示し、本発明をより具体的に説明する。これら具体例は、本発明にかかる最良の実施形態の一例ではあるものの、本発明は、この具体例により限定を受けるものではない。
【0038】
(参考例1)
市販されている金の超微粒子分散液(商品名:独立分散超微粒子パーフェクトゴールド Au1T、真空冶金(株))、具体的には、金超微粒子100質量部、アルキルアミンとして、ドデシルアミン(分子量185.36、沸点248℃)30質量部、有機溶剤として、トルエン170質量部を含む平均粒径5nmの金超微粒子の分散液を利用して、金超微粒子を導電性媒体とする導電性金ペーストを調製した。
【0039】
前記金超微粒子分散液に、その分散液中の超微粒子100質量部当たり、加熱時にドデシルアミンと反応する成分となる、酸無水物として、NSA(ノネニル無水コハク酸:分子量224)20質量部と、高沸点溶剤として、AF7号ソルベント(沸点266℃、日本石油)45質量部を添加した。十分に、攪拌、混合して、均一化を図った後、減圧濃縮によって、トルエンを選択的に蒸散・除去した。なお、前記の手順で調製される導電性金ペースト(品名:ナノペーストNPG−J)は、ドデシルアミンを被覆層とする金超微粒子が、NSAとAF7号ソルベントとを含む分散媒体中に均一に分散した液粘度は、10Pa・sのペースト状高密度分散液である。
【0040】
(実施例1)
導電性金ペースト(品名:ナノペーストNPG−J:粘度 10Pa・s)1質量部当たりに、希釈溶剤として、AF7号ソルベント0.6質量部を添加して、液粘度10mPa・sのペースト希釈液を調製した。焦電素子のハンダ付け実装用の電極ワイヤー部に、前記導電性金ペースト希釈液をディッピング塗布した。ディッピング塗布条件は、ペースト希釈液中への浸漬時間3秒間、その後、引き上げ速度0.5mm/sで定速度で引き上げた。引き上げ後、電極ワイヤー部の末端に残る希釈液液滴を、拭き取り除去した。前記ディッピング塗布条件では、塗布直後における、ペースト液塗布膜の層厚は、約1μmであった。
【0041】
次いで、該ペースト液塗布膜に対して、大気雰囲気下、220℃、10分間の加熱・焼結処理を施した。焼結処理後に得られる金超微粒子の焼結体皮膜は、金鏡面を示す、平均膜厚 0.1μmの薄膜導電性金皮膜であった。
【0042】
塗布直後における、ペースト液塗布膜の層厚、加熱・焼結処理を同一とする条件で、別途作製した導電性評価用試料において、得られる平均膜厚 0.1μmの薄膜導電性金皮膜自体の抵抗率(面抵抗率)を評価したところ、得られた抵抗値(体積抵抗率)は6μΩ・cmであった。かかる体積抵抗率は、金バルクの体積抵抗率2.2μΩ・cmを考慮すると、緻密な焼結体皮膜が形成されていること反映している。
【0043】
(実施例2)
導電性金ペースト(品名:ナノペーストNPG−J:粘度 10Pa・s)1質量部当たりに、希釈溶剤として、AF7号ソルベント0.2質量部を添加して、液粘度5Pa・sのペースト希釈液を調製した。このペースト希釈液を、武蔵エンジニアリング(株)製シリンジ(内容積 5mL)中に、脱泡しつつ、充填した。その後、該充填済みシリンジに、武蔵エンジニアリング(株)製ニードル(HN−0.3N)を装着し、武蔵エンジニアリング(株)製ディスペンサーに搭載した。
【0044】
表面に銅配線描画したポリイミド基板の、ハンダ付け接合用の銅電極部に、前記ペースト希釈液を、該ディスペンサーを用いて、ディスペンス塗布した。なお、ポリイミド基板の銅配線、銅電極部の表面は、塗布前に、予めエッチング処理を施し、銅表面の酸化皮膜を除去してある。該銅電極部の表面への塗布条件は、ディスペンサー吐出圧 0.1kPa、吐出時間 0.5秒間とし、塗布直後における、ペースト液塗布膜の層厚は、約1.5μmであった。
【0045】
次いで、該ペースト液塗布膜に対して、大気雰囲気下、220℃、10分間の加熱・焼結処理を施した。焼結処理後に得られる金超微粒子の焼結体皮膜は、金鏡面を示す、平均膜厚 0.2μmの薄膜導電性金皮膜であった。
【0046】
塗布直後における、ペースト液塗布膜の層厚、加熱・焼結処理を同一とする条件で、別途作製した導電性評価用試料において、得られる平均膜厚 0.2μmの薄膜導電性金皮膜自体の抵抗率(面抵抗率)を評価したところ、得られた抵抗値(体積抵抗率)は7μΩ・cmであった。かかる体積抵抗率は、金バルクの体積抵抗率2.2μΩ・cmを考慮すると、緻密な焼結体皮膜が形成されていること反映している。
【0047】
(実施例3)
導電性金ペースト(品名:ナノペーストNPG−J:粘度 10Pa・s)1質量部当たりに、希釈溶剤として、AF7号ソルベント0.6質量部を添加して、液粘度10mPa・sのペースト希釈液を調製した。表面に銅配線描画したポリイミド基板の、ハンダ付け接合用の銅電極部に、前記ペースト希釈液を、インクジェット方式を用いて、印刷塗布した。
【0048】
なお、ポリイミド基板の銅配線、銅電極部の表面は、印刷塗布前に、予めエッチング処理を施し、銅表面の酸化皮膜を除去してある。該銅電極部の表面への塗布条件は、所定の吐出圧において、インクジェット塗布印刷直後における、ペースト液塗布膜の層厚は、約1μmであった。
【0049】
次いで、該ペースト液塗布膜に対して、大気雰囲気下、220℃、10分間の加熱・焼結処理を施した。焼結処理後に得られる金超微粒子の焼結体皮膜は、金鏡面を示す、平均膜厚 0.1μmの薄膜導電性金皮膜であった。
【0050】
塗布直後における、ペースト液塗布膜の層厚、加熱・焼結処理を同一とする条件で、別途作製した導電性評価用試料において、得られる平均膜厚 0.1μmの薄膜導電性金皮膜自体の抵抗率(面抵抗率)を評価したところ、得られた抵抗値(体積抵抗率)は5μΩ・cmであった。かかる体積抵抗率は、金バルクの体積抵抗率2.2μΩ・cmを考慮すると、緻密な焼結体皮膜が形成されていること反映している。
【0051】
(実施例4)
導電性金ペースト(品名:ナノペーストNPG−J:粘度 10Pa・s)1質量部当たりに、希釈溶剤として、AF7号ソルベント0.6質量部を添加して、液粘度10mPa・sのペースト希釈液を調製した。表面に銅配線描画したポリイミド基板の、ハンダ付け接合用の銅電極部に、前記ペースト希釈液を、スピンコート方式で、塗布コートした。
【0052】
なお、ポリイミド基板の銅配線描画部は、マイヤー封止を施し、塗布コートすべき銅電極部の表面のみが露出する形態とした。また、露出されている銅電極部の表面は、塗布コート前に、予めエッチング処理を施し、銅表面の酸化皮膜を除去してある。該ペースト希釈液のスピンコートは、ミカサ(株)スピンコーター1H−306を利用し、スピン条件:1500rpm×30秒間で、上記マイヤー封止を施したポリイミド基板表面(100mm×100mm)に、ペースト希釈液約100μLを滴下して実施した。スピンコート塗布直後における、ペースト液塗布膜の層厚は、約2μmであった。
【0053】
次いで、該ペースト液塗布膜に対して、大気雰囲気下、220℃、10分間の加熱・焼結処理を施した。焼結処理後に得られる金超微粒子の焼結体皮膜は、金鏡面を示す、平均膜厚 0.2μmの薄膜導電性金皮膜であった。
【0054】
塗布直後における、ペースト液塗布膜の層厚、加熱・焼結処理を同一とする条件で、別途作製した導電性評価用試料において、得られる平均膜厚 0.2μmの薄膜導電性金皮膜自体の抵抗率(面抵抗率)を評価したところ、得られた抵抗値(体積抵抗率)は5μΩ・cmであった。かかる体積抵抗率は、金バルクの体積抵抗率2.2μΩ・cmを考慮すると、緻密な焼結体皮膜が形成されていること反映している。
【0055】
(実施例5)
導電性金ペースト(品名:ナノペーストNPG−J:粘度 10Pa・s)1質量部当たりに、希釈溶剤として、AF7号ソルベント0.5質量部を添加して、液粘度20mPa・sのペースト希釈液を調製した。表面に銅配線描画した基板上、金ワイヤボンディング用銅電極パッド部に、前記ペースト希釈液を、スクリーン印刷で塗布した。
【0056】
なお、基板の銅電極パッド部は、その表面に対しては、塗布前に予めエッチング処理を施し、銅表面の酸化皮膜を除去してある。スクリーン印刷塗布直後における、ペースト液塗布膜の層厚は、約2μmであった。
【0057】
次いで、該ペースト液塗布膜に対して、大気雰囲気下、220℃、10分間の加熱・焼結処理を施した。焼結処理後に得られる金超微粒子の焼結体皮膜は、金鏡面を示す、平均膜厚 0.2μmの薄膜導電性金皮膜であった。
【0058】
塗布直後における、ペースト液塗布膜の層厚、加熱・焼結処理を同一とする条件で、別途作製した導電性評価用試料において、得られる平均膜厚 0.2μmの薄膜導電性金皮膜自体の抵抗率(面抵抗率)を評価したところ、得られた抵抗値(体積抵抗率)は5μΩ・cmであった。かかる体積抵抗率は、金バルクの体積抵抗率2.2μΩ・cmを考慮すると、緻密な焼結体皮膜が形成されていること反映している。
【0059】
(実施例6)
導電性金ペースト(品名:ナノペーストNPG−J:粘度 10Pa・s)1質量部当たりに、希釈溶剤として、AF7号ソルベント0.6質量部を添加して、液粘度10mPa・sのペースト希釈液を調製した。表面に銅配線描画した基板上、金ワイヤボンディング用銅電極パッド部に、前記ペースト希釈液を、スクリーン印刷で塗布した。
【0060】
なお、基板の銅電極パッド部は、その表面に対しては、塗布前に予めエッチング処理を施し、銅表面の酸化皮膜を除去してある。スクリーン印刷塗布直後における、ペースト液塗布膜の層厚は、約1.5μmであった。
【0061】
次いで、該ペースト液塗布膜に対して、大気雰囲気下、220℃、10分間の加熱・焼結処理を施した。焼結処理後に得られる金超微粒子の焼結体皮膜は、金鏡面を示す、平均膜厚 0.1μmの薄膜導電性金皮膜であった。
【0062】
塗布直後における、ペースト液塗布膜の層厚、加熱・焼結処理を同一とする条件で、別途作製した導電性評価用試料において、得られる平均膜厚 0.1μmの薄膜導電性金皮膜自体の抵抗率(面抵抗率)を評価したところ、得られた抵抗値(体積抵抗率)は5μΩ・cmであった。かかる体積抵抗率は、金バルクの体積抵抗率2.2μΩ・cmを考慮すると、緻密な焼結体皮膜が形成されていること反映している。
【0063】
(実施例7)
実施例5および実施例6の記載する条件で、基板上の金ワイヤボンディング用銅電極パッド部表面に薄膜導電性金皮膜を被覆形成したもの、ならびに、従来の無電解金メッキ法によって、同じく、基板上の金ワイヤボンディング用銅電極パッド部表面に平均膜厚 0.2μmの金メッキ膜を被覆形成したものについて、それぞれ、金ワイヤボンディング特性の評価を行った。電極パッド部表面の金被覆層に対して、一端は、ボンド荷重 60gfをかけつつ、超音波パワー 100mW、時間25msの超音波処理でボンディング後、他の一端は、ボンド荷重100gfをかけつつ、超音波パワー 300mW、時間25msの超音波処理でボンディングを行った。用いた金ワイヤのワイヤ径は、25μmであり、ウエッジ・ボンディングのループ長は、2mmとした。
【0064】
この条件でボンディングされた金ワイヤについて、ループトップ・プル試験により、ボンディング接合部での剥離、クラック発生の有無など、金ワイヤボンディング特性の評価を行った。実施例5の条件で作製した膜厚 0.2μmの導電性金皮膜を被覆形成ものでは、引っ張り荷重強度 10.2gfで、金ワイヤ中央部で破損が起き、また、実施例6の条件で作製した膜厚 0.1μmの導電性金皮膜を被覆形成ものでは、引っ張り荷重強度 9.7gfで、金ワイヤ中央部で破損が起き、一方、無電解金メッキ法で形成した膜厚 0.2μmの金メッキ膜を被覆形成したものでは、引っ張り荷重強度 10.0gfで、金ワイヤ中央部で破損が起きた。従って、これらの金超微粒子の焼結体皮膜は、無電解金メッキ膜と同等の密着性を示しており、また、遜色の無い金ワイヤボンディング特性が達成されていると判断される。
【0065】
【発明の効果】
本発明にかかる金超微粒子を導電性媒体とする導電性金ペーストを利用する、無電解金メッキ代替導電性金皮膜の形成方法では、利用する導電性金ペースト中に分散させる金超微粒子として、平均粒子径1〜100nmの金超微粒子を採用し、その金超微粒子の表面には、金元素と配位的な結合が可能な基として、窒素、酸素、イオウ原子のいずれかを含む基を有する化合物1種以上による緻密な分子被覆層を設けることで、塗布・印刷までの間は、この金超微粒子の凝集、融着を抑制するものである。加えて、緻密な分子被覆層は、金超微粒子表面の自然酸化をも抑制して、この金超微粒子を分散している導電性金ペースト液の長期にわたる保管と、品質維持、分散特性の維持を可能ともする。一方、金超微粒子を分散している有機溶媒中には、加熱処理を施す温度において、窒素、酸素、イオウ原子のいずれかを含む基と反応性を有する化合物を添加しておくことで、金超微粒子表面を覆う、窒素、酸素、イオウ原子のいずれかを含む基を有する化合物の被覆層の除去を可能としている。優れた圧縮性、成形性を保持して、有機溶媒中に均一に分散している金超微粒子は、塗布膜中において、最終的には、緻密な充填状態をとり、その清浄な金超微粒子表面を互いに接し、加熱処理される間に低温焼結され、無電解フラッシュ金メッキと比較しても遜色のない緻密な、薄膜の金皮膜が高い再現性で形成できる。加えて、一般の導電性金属ペーストとは異なり、本発明にかかる導電性金ペーストは、本質的に、金属粒子間相互の接触、下地金属表面への固着用の有機バインダー成分を含まず、金超微粒子相互の焼結により、その形状形成、導電性を達成し、また、下地金属表面との密着を果すものであるので、得られる焼結体型薄膜の金皮膜に対して、さらにハンダ付け接合を行うことが可能である。例えば、各種電子部品のハンダ付け実装用の金属ワイヤーまたは金属ピン部表面や、プリント配線基板上のハンダ接合用の銅電極部表面などに設ける、ハンダ付け接合領域の保護被覆膜層としての機能を有する無電解金メッキ膜など、さらには、金ワイヤによるワイヤボンディングを行う際のボンディング・パッド部表面の無電解金メッキ膜に対して、その代替導電性金皮膜の形成に好適である。

Claims (5)
Hide Dependent

  1. 金超微粒子を導電性媒体とする導電性金ペーストを用いて、無電解金メッキ代替導電性金皮膜を形成する方法であって、
    該無電解金メッキ代替導電性金皮膜を形成する下地上に、前記導電性金ペーストの塗布層を形成する工程と、
    形成された前記導電性金ペーストの塗布層を、200℃〜250℃の範囲に選択される加熱温度にて加熱処理し、含有される金超微粒子相互を焼結する工程とを有し、
    前記導電性金ペーストの塗布層に対して、大気雰囲気下で、前記加熱処理は施され、
    利用する前記導電性金ペーストは、分散媒体となる有機溶剤中に平均粒子径が2〜10nmの範囲に選択される金超微粒子が分散されており、
    金超微粒子表面は、金元素と配位的な結合が可能な基として、窒素、酸素、イオウ原子のいずれかを含む基を有する化合物1種以上により被覆されており、
    前記加熱処理を施す際、金元素と配位的な結合が可能な基として、窒素、酸素、イオウ原子を含む基を有する前記化合物の金超微粒子表面からの解離がなされ、
    金超微粒子表面を被覆している、金元素と配位的な結合が可能な基として、窒素、酸素、イオウ原子のいずれかを含む基を有する前記化合物に対して、前記加熱処理を施す温度において、その窒素、酸素、イオウ原子のいずれかを含む基と反応性を有する化合物が前記有機溶剤中に溶解されており、
    前記導電性金ペーストの塗布層の形成工程では、前記導電性金ペーストを、前記金超微粒子100質量部当たり、前記有機溶剤の含有量を5〜100質量部の範囲に選択し、予め高い液粘度に調製した後、前記有機溶剤を添加し、希釈してなるペースト希釈液として、塗布することで、前記導電性金ペーストの塗布層を形成し、
    金超微粒子表面からの窒素、酸素、イオウ原子のいずれかを含む基を有する前記化合物の解離は、かかる窒素、酸素、イオウ原子のいずれかを含む基を有する前記化合物に対する、その窒素、酸素、イオウ原子のいずれかを含む基と反応性を有する前記化合物との反応により促進され、
    前記導電性金皮膜を形成する下地は、酸化皮膜が除去されている銅表面であり、
    前記金元素と配位的な結合が可能な基として、窒素、酸素、イオウ原子のいずれかを含む基を有する化合物1種以上は、炭素数8〜18の範囲のアルキル鎖の末端にアミノ基を有する第一級アルキルアミンのうち、沸点が250℃以下である第一級アルキルアミンであり、
    前記窒素、酸素、イオウ原子のいずれかを含む基と反応性を有する化合物として、アルケニル無水コハク酸を用い、
    前記アルケニル無水コハク酸の含有量は、前記沸点が250℃以下である第一級アルキルアミンの含有量と少なくとも等量となる量に選択され、
    前記分散媒体となる有機溶剤として、前記200℃〜250℃の範囲に選択される加熱温度よりも高い沸点を有する、非極性高沸点溶剤を用い、
    前記アルケニル無水コハク酸は、前記非極性高沸点溶剤中に均一に溶解しており、
    前記酸化皮膜が除去されている銅表面は、導電性金ペーストの塗布層中に含まれる前記非極性高沸点溶剤によって覆われ、保護された状態で加熱処理がなされる
    ことを特徴とする無電解金メッキ代替導電性金皮膜の形成方法。
  2. 前記無電解金メッキ代替導電性金皮膜を形成する下地は、プリント配線基板上に形成されている銅配線の銅電極部表面であり、
    形成される無電解金メッキ代替導電性金皮膜と該銅電極部表面との間に、ニッケル・メッキ層を設けていない
    ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 前記無電解金メッキ代替導電性金皮膜を形成する下地は、電子部品上に設けられる銅導電層の表面であり、
    該銅導電層に対して、金ワイヤによるボンディングを行う金ワイヤボンディング用電極パッド部表面に設ける薄膜金パッド層として、前記導電性金皮膜の形成がなされ、
    形成される無電解金メッキ代替導電性金皮膜と該銅導電層パッド部表面との間に、ニッケル・メッキ層を設けていない
    ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  4. プリント配線基板上に形成されている銅配線の銅電極部表面にハンダ付け接合用の薄膜導電性金皮膜を有するプリント配線基板の製造方法であって、
    該銅電極部表面に設けるハンダ付け接合用の薄膜導電性金皮膜は、請求項1または2に記載の無電解金メッキ代替導電性金皮膜の形成方法によって作製する
    ことを特徴とするプリント配線基板の製造方法。
  5. 電子部品を構成する基板上に形成される銅導電層に対して、金ワイヤによるボンディングを行う金ワイヤボンディング用電極パッド部を有し、該パッド部表面に薄膜導電性金皮膜を設けてなる電子部品の製造方法であって、
    該薄膜導電性金皮膜は、請求項1または3に記載の無電解金メッキ代替導電性金皮膜の形成方法によって作製する
    ことを特徴とする電子部品の製造方法。