JP2015193043A - 孔を有する金属板の製造方法、孔付き金属板、周設孔付外歯歯車、外歯歯車及びカム用金属板、並びに金属板の製造方法及び金属板 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本孔を有する金属板の製造方法の製造方法は、ダイ5上に載置された金属板素材に対してパンチ1による打ち抜きを行って貫通孔8を形成する打抜加工工程を備え、前記打抜加工工程において、前記貫通孔の前記打ち抜き中に破断が起きて、前記貫通孔の前記ダイ側の周縁部であって、前記貫通孔8の内面となる位置よりも内側に突出している一時残留部が生じ、その後、前記一時残留部が、前記打ち抜きに伴い前記パンチの先端周縁に具備する押圧面3によって、前記パンチの側面方向に押圧されて表面71が平滑にされることを特徴とする。また、凹部形成工程を更に備えることができる。
【選択図】図6
Description
1.ダイ上に載置された金属板素材に対してパンチによる打ち抜きを行って貫通孔を形成する打抜加工工程を備え、前記打抜加工工程において、前記貫通孔の前記打ち抜き中に破断が起きて、前記貫通孔の前記ダイ側の周縁部であって、前記貫通孔の内面となる位置よりも内側に突出している一時残留部が生じ、その後、前記一時残留部が、前記打ち抜きに伴い前記パンチの先端周縁に具備する押圧面によって、前記パンチの側面方向に押圧されて表面が平滑にされることを特徴とする孔を有する金属板の製造方法。
2.前記打抜加工工程の前に凹部形成工程を更に行い、前記凹部形成工程は、前記貫通孔を形成する位置に、底面と傾斜状側面とで囲まれた凹部を、前記金属板素材の表面に熱間鍛造又は冷間鍛造によって形成する工程であり、前記打抜加工工程において、前記ダイのダイ孔の周縁に凸部が前記金属板素材側に向かって立設しており、前記凸部は、前記一時残留部が押圧される方向をガイドするガイド面を具備しており、前記凹部の前記傾斜状側面が前記ガイド面に当接するように前記金属板素材をダイ上に載置した状態で前記打ち抜きを行う前記1.に記載の孔を有する金属板の製造方法。
3.前記平滑にされた表面の算術平均粗さが0.04〜0.4μmである前記1.又は前記2.に記載の孔を有する金属板の製造方法。
4.金属板と、前記金属板に形成されている貫通孔と、を備え、前記貫通孔は、前記1.乃至前記3.のいずれかに記載の孔を有する金属板の製造方法によって製造されており、且つ前記貫通孔における前記金属板の一面側の内面が、打ち抜き中に生じた一時残留部を押圧することで形成される平滑な表面によって構成されていることを特徴とする孔付き金属板。
5.金属板と、前記金属板の中心に形成されており且つ回転軸が取り付けられる軸孔と、前記軸孔の周囲の前記金属板に形成されており且つ遊星歯車の回転軸が取り付けられる複数個の周設孔と、前記金属板の周縁に形成されている外歯部と、を備える周設孔付外歯歯車の製造方法であって、前記外歯部を形成する外歯形成工程と、前記軸孔及び各前記周設孔を形成する打抜加工工程と、を具備し、前記打抜加工工程は、前記各孔をダイ上に載置された金属板素材に対してパンチによって一度に、又は複数回に分けて打ち抜きを行って形成し、前記打抜加工工程において、前記各孔の前記打ち抜き中に破断が起きて、前記各孔の前記ダイ側の周縁部であって、前記各孔の内面となる位置よりも内側に突出している一時残留部が生じ、その後、前記一時残留部が、前記打ち抜きに伴い前記パンチの先端周縁に具備する押圧面によって、前記パンチの側面方向に押圧されて表面が平滑にされることを特徴とする周設孔付外歯歯車の製造方法。
6.前記外歯形成工程は、前記外歯部と、前記軸孔及び前記周設孔を形成する位置の前記金属板素材の表面に位置し、底面と傾斜状側面とで囲まれた凹部とを、熱間鍛造又は冷間鍛造によって形成する工程であり、前記打抜加工工程において、前記ダイのダイ孔の周縁に凸部が前記金属板素材側に向かって立設しており、前記凸部は、前記一時残留部が押圧される方向をガイドするガイド面を具備しており、前記凹部の前記傾斜状側面が前記ガイド面に当接するように前記金属板素材をダイ上に載置した状態で前記打ち抜きを行う前記5.に記載の周設孔付外歯歯車の製造方法。
7.前記平滑にされた表面の算術平均粗さが0.04〜0.4μmである前記5.又は前記6.に記載の孔を有する周設孔付外歯歯車の製造方法。
8.前記外歯形成工程の後に、前記金属板素材が前記外歯部の位置を基準にして位置決めされた状態で前記打抜加工工程を行う前記5.乃至前記7.のいずれかに記載の周設孔付外歯歯車の製造方法。
9.前記打抜加工工程において、前記各周設孔は複数回に分けて形成され、前記各周設孔の形成は、既に形成された周設孔内にこの周設孔と同径のガイドピンを挿通した状態で行うことで既に形成した前記各周設孔の変形を防止する前記5.乃至前記8.のいずれかに記載の周設孔付外歯歯車の製造方法。
10.金属板と、前記金属板の中心に形成されており且つ回転軸が取り付けられる軸孔と、前記軸孔の周囲の前記金属板に形成されており且つ遊星歯車の回転軸が取り付けられる複数個の周設孔と、前記金属板の周縁に形成されている外歯部と、を備え、
前記軸孔及び前記各周設孔は、前記5.乃至前記9.のいずれかに記載の孔を有する金属板の製造方法によって製造されており、且つ前記各孔における前記金属板の一面側の内面が、前記打ち抜き中に生じた一時残留部を押圧することで形成される平滑な表面によって構成されていることを特徴とする周設孔付外歯歯車。
11.金属板と、前記金属板の中心に形成されており且つ回転軸が取り付けられる軸孔と、前記金属板の周縁に形成されている外歯部と、を備え、前記軸孔は、前記1.乃至前記3.のいずれかに記載の孔を有する金属板の製造方法によって製造されており、且つ前記軸孔における前記金属板の一面側の内面が、打ち抜き中に生じた一時残留部を押圧することで形成される平滑な表面によって構成されていることを特徴とする外歯歯車。
12.金属板と、前記金属板に形成されており且つ回転軸が取り付けられる軸孔と、前記金属板の周縁に形成されている摺動面と、を備え、前記軸孔は、前記1.乃至前記3.のいずれかに記載の孔を有する金属板の製造方法によって製造されており、且つ前記軸孔における前記金属板の一面側の内面が、打ち抜き中に生じた一時残留部を押圧することで形成される平滑な表面によって構成されていることを特徴とするカム用金属板。
13.ダイ上に載置された金属板素材に対してパンチ又は押し型による打ち抜きを行って外側部を形成する打抜加工工程を備え、前記打抜加工工程において、前記外側部の前記打ち抜き中に前記金属板素材に破断が起きて、前記金属板素材の破断部分には、前記外側部の外面となる位置よりも外側に突出するように一時残留部が生じ、その後、前記一時残留部が、前記打ち抜きに伴い前記ダイのダイ孔の先端周縁に具備する押圧面によって、前記ダイ孔の中心軸側に向かう方向に押圧されて表面が平滑にされることを特徴とする金属板の製造方法。
14.前記打抜加工工程は、前記外側部を形成するとともに、前記金属板素材に対して前記パンチによる打ち抜きを行って貫通孔を形成する工程であり、前記打抜加工工程において、前記貫通孔の前記打ち抜き中に前記金属板素材に破断が起きて、前記金属板素材の破断部分には、前記貫通孔の内面となる位置よりも内側に突出するように一時残留部が生じ、その後、前記一時残留部が、前記打ち抜きに伴い前記パンチの先端周縁に具備する押圧面によって、前記パンチの中心軸側から離れる方向に押圧されて表面が平滑にされる上記13.記載の金属板の製造方法。
15.前記平滑にされた表面の算術平均粗さが0.04〜0.4μmである上記13.又は14.に記載の金属板の製造方法。
16.上記13.乃至15.のいずれか一項に記載の金属板の製造方法によって製造された金属板であって、前記外側部における前記金属板の一面側の外面が、前記打ち抜き中に生じた前記一時残留部を押圧することで形成される平滑な表面によって構成されていることを特徴とする金属板。
本金属板の製造方法によれば、ダイ上に載置された金属板素材に対してパンチによる打ち抜きを行って貫通孔を形成する打抜加工工程を備え、打抜加工工程において、前記貫通孔の前記打ち抜き中に破断が起きて、前記貫通孔の前記ダイ側の周縁部であって、前記貫通孔の内面となる位置よりも内側に突出している一時残留部が生じ、その後、前記一時残留部が、前記打ち抜きに伴い前記パンチの先端周縁に具備する押圧面によって、前記パンチの側面方向に押圧されて表面が平滑にされる。即ち、パンチの押圧面が、一時残留部を金属板素材の貫通孔周縁の肉の一部とさせ、且つ一時残留部の破断面を含む表面を押圧によって平滑な表面に形成させる。その結果、貫通孔の内面全体が、通常に剪断された剪断面を含めて平滑な表面となり、一時残留部が打抜加工工程後も略残留することがないため、シェービング加工や機械加工等の後加工を行う必要がない。
尚、凹部の形状は特に問わず、円錐面、角錐面のような様々な形状の傾斜状側面を備える形状とすることができる。
平滑にされた表面の算術平均粗さが0.04〜0.4μmである場合は、内面のシェービング加工や機械加工等の加工を実施する工程が不要となり、製造に要する時間を短縮することができる。
外歯形成工程は、外歯部と、軸孔及び周設孔を形成する位置の金属板素材の表面に位置し、底面と傾斜状側面とで囲まれた凹部とを、熱間鍛造又は冷間鍛造によって形成する工程である場合は、外歯部と凹部を鍛造による1工程で形成することができるため、周設孔付外歯歯車の製造に必要な時間を短いものとすることができる。また、一時残留部が効率よく貫通孔周縁の一部となることから、貫通孔の内面を更に平滑な表面とすることができ、しかも、一時残留部がそのまま残ってバリとなることを更に抑制することができる。
外歯形成工程の後に、金属板素材が位置決めされた状態で打抜加工工程を行う場合は、軸孔及び各周設孔の位置を精度良く決定することができ、高精度な周設孔付外歯歯車を製造することができる。
打抜加工工程において、各周設孔は複数回に分けて形成され、各周設孔の形成は、既に形成された周設孔内にこの周設孔と同径のガイドピンを挿通した状態で行うことで既に形成した各周設孔の変形を防止する場合は、複数の周設孔を順次形成しても既に形成した各周設孔をガイドピンで保護して変形を防止するため、各周設孔の精度を保つことができ、高精度な歯車を製造することができる。
このようにして製造される本周設孔付外歯歯車によれば、軸孔及び各周設孔の内面を更に平滑な表面とすることができ、しかも、バリの発生も抑制されるため、軸孔及び各周設孔を打ち抜いた後に各孔のバリ取りを行う工程を簡略又は省略することができ、周設孔付外歯歯車の製造必要な時間を大幅に短縮することができる。
本金属板の製造方法によれば、ダイ上に載置された金属板素材に対してパンチ又は押し型による打ち抜きを行って外側部を形成する打抜加工工程を備え、打抜加工工程において、前記外側部の前記打ち抜き中に前記金属板素材に破断が起きて、前記金属板素材の破断部分には、前記外側部の外面となる位置よりも外側に突出するように一時残留部が生じ、その後、前記一時残留部が、前記打ち抜きに伴い前記ダイのダイ孔の先端周縁に具備する押圧面によって、前記ダイ孔の中心軸側に向かう方向に押圧されて表面が平滑にされる。即ち、ダイ孔の押圧面が、一時残留部を金属板素材の外側部周縁の肉の一部とさせ、且つ一時残留部の破断面を含む表面を押圧によって平滑な表面に形成させる。その結果、外側部の外面全体が、通常に剪断された剪断面を含めて平滑な表面となり、一時残留部が打抜加工工程後も略残留することがないため、シェービング加工や機械加工等の後加工を行う必要がない。
ここで示される事項は例示的なもの及び本発明の実施形態を例示的に説明するためのものであり、本発明の原理と概念的な特徴とを最も有効に且つ難なく理解できる説明であると思われるものを提供する目的で述べたものである。この点で、本発明の根本的な理解のために必要である程度以上に本発明の構造的な詳細を示すことを意図してはおらず、図面と合わせた説明によって本発明の幾つかの形態が実際にどのように具現化されるかを当業者に明らかにするものである。
本製造方法によって製造される孔を有する金属板の材質、大きさ、厚みは特に問わない。また、本製造方法によって製造される貫通孔の用途も特に問わず、例えば、各種軸を固定・挿通する孔、ねじ等の締結部材を固定する孔等を挙げることができる。
更に、孔を有する金属板の具体例な用途として、(1)金属板と、金属板の中心に形成されており且つ回転軸が取り付けられる軸孔と、金属板の周縁に形成されている外歯部とを備える外歯歯車、(2)金属板と、金属板の中心に形成されており且つ回転軸が取り付けられる軸孔と、軸孔の周囲に形成されており且つ遊星歯車の回転軸が取り付けられる複数個の周設孔と、金属板の周縁に形成されている外歯部と、を備える遊星歯車用の周設孔付外歯歯車、(3)金属板と、金属板に形成されており且つ回転軸が取り付けられる軸孔と、金属板の周縁に形成されている摺動面と、を備えるカム用金属板等を挙げることができる。尚、前記カム用金属板は、回転軸に差し込まれ、摺動面に従節を接触させた状態で回転軸を回動させると、摺動面上を従節が摺動し、周縁の輪郭に追従して従節が動作する板カムと同様に機能させることができる。また、摺動面は通常金属板の側面に設けられる。
また、前記各用途に限らず任意の用途に用いることができる。例えば、(4)円板状の金属板と、金属板の中心に形成されており且つ回転軸が取り付けられる軸孔と、金属板の周に沿って形成されており且つピンが取り付けられる複数個の周設孔と、を備えるピン歯車を挙げることができる。
本打抜加工工程に用いるパンチは、図1のパンチ1に例示するように、その先端周縁2に押圧面3を備える。この押圧面3は、パンチ1の先端の周縁を面取り等して傾斜面とした形状であり、打ち抜き時に一時残留部を側面方向に押圧する。押圧面3の面取りの角度Kは、打ち抜きする金属板の材質や打ち抜き速度等によって適宜設定されている。また、面取りの距離Dも適宜設定される。
破断面は、図3に例示するように、本工程によりパンチ1によって金属板素材4に貫通孔を形成する途中において、打ち抜きカス6の破断に伴って前記孔のダイ側の周縁部81の金属板素材4に生じる面7である。この破断面7は、形成される貫通孔の内面となる位置82より、孔の中心側に突出している。また、破断面7が生じたときに、位置82よりも孔の中心側に突出する金属板素材4の部位を一時残留部9とする。尚、打ち抜き完了時には金属板40に一時残留部9といえる部分は略なくなる。
前記側面方向とは、パンチの中心軸からパンチの側面の方向に向かう方向である。より具体的には、図1に例示するように、パンチ1の打ち抜き方向Aに対して直角となる方向C及び前記方向Cよりも打ち抜き方向Aとなる斜め方向(例えば斜め外方向Bを挙げることができる。)である。この角度は、金属板の材質や打ち抜き速度等によって適宜設定される。
一時残留部の破断面を含む表面をパンチが押圧することによって形成される表面の前記平滑は、貫通孔内面において破断面が生じることなく打ち抜かれた剪断面と、同程度(例えば、同じ粗さ区分)の表面粗度を備えていればよい。この表面粗度は、打ち抜き条件によって適宜変化するが、例えばJIS B0601:2013(ISO 4287:1997)に準じる算術平均粗さが0.04〜0.4μm(より好ましくは0.05〜0.1μm)の範囲であることを挙げることができる。
前記底面は、パンチによって全て打ち抜かれ、その形状はパンチの打ち抜き形状に合わせて適宜選択される。前記傾斜状側面は、パンチの打ち抜き方向に対して傾斜している面である。傾斜状側面の傾斜角度E(図7(3)に例示する傾斜状側面26の傾斜角度Eを参照。)は適宜設定され、金属板の表面に対して1〜60°とするのが好ましい。
前記凹部は、貫通孔が内側に収まる大きさであって、後工程の打抜加工工程によって、その底部の全てが打ち抜かれる。また、傾斜状側面の底部側が打ち抜かれてもよい。更に、底面と傾斜状側面との間に屈曲部位等の境界がなく、凹部全体が椀等のように半球形状等であっても良い。尚、凹部の形成は、熱間鍛造又は冷間鍛造によって行われるが、熱間鍛造がより好ましい。容易に凹部を形成することができるからである。また、熱間鍛造を要する金属板の外周形状を形成する工程と同時に行うことができる。
そして、凹部の傾斜状側面がガイド面に当接するように金属板をダイ上に載置した状態で打ち抜きを行う。尚、凹部形成工程は、凹部を形成する際に、他の加工を同時に行ってもよい。例えば、金属板の周縁の打ち抜きを行って歯車の外歯等を形成することができる。
尚、外歯部は、打抜加工工程の前に形成しても良いし、打抜加工工程の後に形成してもよい。また、前記製造方法は、前記打抜加工工程の前に前記凹部形成工程を更に行うことができる。更に、前記凹部形成工程において凹部と同時に外歯部を形成しても良い。
また、前記外歯形成工程は、前記外歯部と、前記軸孔及び前記周設孔を形成する位置の前記金属板素材の表面に位置し、底面と傾斜状側面とで囲まれた凹部とを、熱間鍛造又は冷間鍛造によって形成する工程であり、前記打抜加工工程において、前記ダイのダイ孔の周縁に凸部が前記金属板素材側に向かって立設しており、前記凸部は、前記一時残留部が押圧される方向をガイドするガイド面を具備しており、前記凹部の前記傾斜状側面が前記ガイド面に当接するように前記金属板素材をダイ上に載置した状態で前記打ち抜きを行う。また、外歯形成工程は凹部の形成と別工程としてもよい。
前記外歯形成工程の後に、前記金属板素材が前記外歯部の位置を基準にして位置決めされた状態で前記打抜加工工程を行うことができる。金属板素材の位置決め方法は、任意に選択できるが、例えば、金属板素材の周縁を把持して固定する方法を挙げることができる。
尚、摺動面は、打抜加工工程の前に形成しても良いし、打抜加工工程の後に形成してもよい。また、前記製造方法は、前記打抜加工工程の前に前記凹部形成工程を更に行うことができる。更に、前記凹部形成工程において凹部と同時に摺動面を形成しても良い。
本製造方法によって製造される金属板の材質、大きさ、厚みは特に問わない。また、本製造方法によって製造される外側部の用途も特に問わず、例えば、歯車の歯部、カムが摺動する摺動部、円周部等を挙げることができる。
破断面は、図21(1)に例示するように、本工程によりダイ12によって金属板素材W’に外側部17を形成する途中において、打ち抜きカスS1の破断に伴って前記外側部17の周縁部となる金属板素材W’の部分に生じる面である。この破断面の少なくとも一部は、外側部17の外面となる位置P1より外側に突出している。また、破断面が生じたときに、外側部17の位置P1より外側に突出する金属板素材W’の部位を一時残留部R1とする。尚、打ち抜き完了時には金属板Wに一時残留部R1といえる部分は略なくなる。
前記ダイ孔13の中心軸側に向かう方向としては、例えば、図19(1)に例示するように、パンチ15の打ち抜き方向Aに対して直角となる方向C、前記方向Cと鋭角で交差する斜め方向(例えば斜め外方向Bを挙げることができる。)等を挙げることができる。この角度は、金属板の材質や打ち抜き速度等によって適宜設定される。
前記打抜加工工程において、前記貫通孔の前記打ち抜き中に前記金属板素材に破断が起きて、前記金属板素材の破断部分には、前記貫通孔の内面となる位置よりも内側に突出するように一時残留部が生じ、その後、前記一時残留部が、前記打ち抜きに伴い前記パンチの先端周縁に具備する押圧面によって、前記パンチの中心軸側から離れる方向に押圧されて表面が平滑にされる。
なお、前記貫通孔の打抜加工工程は、例えば、上述の孔を有する金属板の製造方法で説明した打抜加工工程の構成を適用できる。
また、例えば、図24に示すように、ダイ72と、ダイ72に対してセットされた金属板素材W’の上側に配される押し型74と、セットされた金属板素材W’の下側に配されるパンチ75と、を備えるプレス装置を用い、パンチ75上に載置された金属板素材W’を押し型74により押圧することで、パンチ75の押圧面75で一時残留部を押圧して表面が平滑化された貫通孔78を形成し、その後、ダイ72上に載置された金属板素材W’を押し型74により更に押圧することで、ダイ孔73の押圧面73aで一時残留部を押圧して表面が平滑化された外側部77を形成することができる。
前記外側部及び貫通孔を形成する場合、例えば、外側部における金属板の一面側の外面とともに貫通孔における金属板の一面側の内面が、打ち抜き中に生じた破断面を含む一時残留部を押圧することで形成される平滑な表面によって構成されている。
前記金属板の一面側の外面は、例えば図21(3)において、パンチ15で押圧された面側に位置する面F1であったり、例えば図23(2)において、押し型64で押圧された面側に位置する面F1、F2であったり、例えば図25(2)において、押し型74で押圧された面側に位置する面F1、F2であったりする。この面F1、F2は、打ち抜き中に生じた一時残留部を押圧することで平滑な表面に形成される。
以下、金属板に円形の貫通孔を打ち抜き形成する実施形態に基づき、本孔を有する金属板の製造方法を説明する。尚、本製造方法は、円孔に限らず、角孔等、様々な形状の孔を打ち抜き形成することができる。
本製造方法で用いるプレス装置のパンチ1は、図1に例示するように、先端側が円柱状に形成され、且つ先端周縁2は、パンチ1の打ち抜き方向Aに対して側面方向となる斜め外方向Bを向く押圧面3になるように面取りされている。押圧面3の面取りの角度Kは打ち抜きする金属板の材質や打ち抜き速度等によって適宜設定されるが、SUJ2等の軸受鋼からなる金属板である場合、例えば1〜65°を挙げることができる。この範囲を越えると、加工後の破断が大きくなりすぎ、平滑な表面が形成されにくいためである。また、面取りの距離Dも適宜設定される。
更に、残存する一時残留部9の肉(金属板素材4の肉の一部になりきれなかった部位)は、パンチ1の押圧面3の分力F3によって下方へ押圧されて、図4に示すように下方への膨らみ部10となる。膨らみ部10は、図5に示すようにパンチ1の下降に伴って金属板素材4より下方に移動し、結果として図6に示すように、小さなバリ11となる。
そして、パンチ1が金属板素材4を打ち抜いて貫通孔8が形成された金属板40となる頃には、一時残留部9が押圧によって平滑な表面71となる。
以上のように、打抜加工工程において、パンチ1の押圧面3が、金属板素材4の貫通孔8内面となる位置に残っている一時残留部9を貫通孔8の内面となる位置まで押圧しつつ下方へ移動させる。そして、打抜加工工程後において、図6に示すように形成された貫通孔8はわずかなバリ11の発生が認められるが、貫通孔8の金属板素材4の一面側の内面、即ち本実施形態においては、ダイと対向する側の内面には、従来技術のように破断面ではなく平滑な表面71が形成されている。この表面71の算術平均粗さは0.04〜0.4μm程度である。このため、打抜加工工程後は、従来技術のようにシェービング加工や機械加工等の加工を実施する工程は不要となり、製造に要する時間を短縮することができる。
尚、平滑に形成された表面71付近の金属板40は、押圧により一時残留部9に位置していた肉が含まれているため、他の金属板40の部位と比べて圧縮されて、加工硬化した組織となっている。このため、対象となる製品によっては熱処理を省略することができる。
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態は、金属板素材21に図7に例示する凹部形成工程と、図8及び図9に例示する打抜加工工程とを順に実施して金属板20を得る。凹部形成工程は、図7(3)に例示するように、金属板素材21の表面に凹部22を形成する工程である。
凹部形成工程は、始めに図7(1)に例示するように、加熱した金属板素材21を載置台(図示せず)上にセットし、金属板素材21の上方には加工用型23を配置する。この状態から加工用型23を下降させ、図7(2)に例示するように、加工用型23で金属板素材21の表面24を押圧する熱間鍛造をすることで、図7(3)に例示するように、金属板素材21の表面に凹部22を形成する。尚、凹部22は冷間鍛造によって形成してもよい。
形成された凹部22は、加工用型23の先端部と同形であり、凹部22は底面25と傾斜状側面26を備える。凹部22の底面25と、底面25側の傾斜状側面261とを含む部位は、打ち抜きによって取り除かれる。また、打ち抜き後に残る傾斜状側面262は、貫通孔の面取りとして効果を奏することができる。傾斜状側面26は本例においては円錐面になっているがこれに限られない。
次に、図8及び図9は、前述のように金属板素材21に形成された凹部22の内側をパンチ27で打ち抜き、金属板を得る工程を段階的に示している。図8(1)に例示するように、パンチ27の外形は第1実施形態で示したパンチ1と同形であり、パンチ27の先端周縁2には押圧面28が形成されている。また、ダイ29は、ダイ孔30の縁に凸部31が形成された形状をしている。凸部31は、ダイ29の表面291から金属板素材21側に突出するように立設しており、ダイ孔30の縁に沿って立設して中心部が貫通する円錐台の形状となっている。内側面311はダイ孔30の内面に面一となっており、凸部31の外側面は、円錐台の錐面となっており、打ち抜き方向Aに対して傾斜するガイド面32になっている。ガイド面32は、打ち抜き中に生じる一時残留部37が押圧される方向が方向Bとなるようにガイドする。ガイド面32の傾斜角度Eは、1〜60°が好ましい。更に、パンチ27の押圧面28に対して垂直となる方向Bと略平行となるように形成されているとより好ましい。
この状態からパンチ27が更に下降すると、図9(3)に示すように、パンチ27の押圧面28で押圧された破断面35の端が、ダイ29の傾斜するガイド面32によって、図に示すG方向へ流れるようにガイドされる。そして、破断面35付近の一時残留部37は、金属板素材21の貫通孔38の周縁部381となる位置まで押圧されて金属板素材21の肉の一部になる。そして、図9(4)に例示するように残存する一時残留部37(金属板素材21の肉の一部にならなかった部位)は、バリ39となる。また、傾斜状側面のうち、凹部22の縁側となる傾斜状側面262が残存する。
第2実施形態において、パンチ27の押圧面28により押圧された破断面35を含む一時残留部37は、図9(3)に示すように、ダイ29のガイド面32によってダイ29側の周縁部381に流れるようにガイドされて、その表面は平滑となる。また、周縁部381に流れることなく残った一部の一時残留部37は、図9(4)に示すようにバリ39となるが、その量は第1実施形態の場合よりも少ない。つまり、第2実施形態においては、貫通孔38の内面が平滑な表面になる上にバリ39の発生も少なくなるように抑制される。貫通孔38の周縁には傾斜状側面262が残っており、この傾斜状側面262が面取りと同様の効果を奏することができる。このために、別途、面取りを実施する工程は不要となり、作業が簡略化する。
更に、機械加工を用いることなく、熱間鍛造等による凹部22を形成し、打抜加工によって金属板素材21に容易に貫通孔38を形成することができるため、機械加工と比べて極めて短時間で孔付き金属板を製造することができ、人手も掛からない。また、凹部形成工程及び打抜加工工程は、各工程により生じる残留応力が機械加工と同等であるため、後の工程で熱処理を行っても反り等のリスクが生じにくい。
第3の実施形態として、前述した凹部形成工程及び打抜加工工程を用いて、遊星歯車用の周設孔付外歯歯車を作製する方法について説明する。先ず、図10に示すように、周設孔付外歯歯車41には、円形の金属板42の外周に沿って歯が設けられた外歯部43と、金属板42の中心に設けられた軸孔44と、軸孔44を中心にして軸孔44を囲むように設けられた複数個の周設孔45とが形成されている。
軸孔44は回転軸を挿通するための孔であり、軸孔44の形状は回転軸の形状に合わせて決められ、また、軸孔44の径は回転軸の径に応じて設定される。周設孔付外歯歯車41の外径、外歯部43の歯の形状や個数、軸孔の径、周設孔の径、個数等は用途に応じて適宜変更することができる。例えば、本実施例の直径が250mmの周設孔付外歯歯車においては、周設孔45の個数は2〜8個とすることができる。また、本実施例の厚みは1〜50mmであるがこれに限られず、直径に応じて適宜選択される。
周設孔45は、遊星歯車の回転軸を金属板42に挿通して固定するための孔である。周設孔45は用いる遊星歯車の個数だけ設けられ、周設孔45の径は遊星歯車の回転軸の径に相応した径とする。また、周設孔45の孔形状は円形の他、任意の角形にすることができる。
(外歯形成工程)
外歯形成工程は、円形の金属板素材から図11に例示する第1中間加工物51を得る工程である。ここで、第1中間加工物51とは、金属板素材48に外歯部43と軸孔用凹部46、周設孔用凹部47が設けられた状態の加工物である。
尚、軸孔用凹部46と周設孔用凹部47を形成する本凹部形成工程と、外歯部43を形成する打ち抜き加工の工程とは、本外歯形成工程により一度に実行することが好ましいが、各工程を別々に実行しても良い。また、本実施形態の図面においては、金属板素材48の表裏両面に凹部形成工程を実施して金属板素材48の表裏両面に軸孔用凹部46と周設孔用凹部47を形成した例を示しているが、金属板素材48の一面にのみ凹部形成工程を実施するようにしても良い。
熱処理工程は、前述の外歯形成工程で形成された第1中間加工物51に焼入れする工程である。この工程における熱処理の条件は特に問わず、通常の焼入れ条件であればよい。また、熱処理の後、ショットブラスト加工を行って第1中間加工物51の表面を加工してもよい。ショットブラスト加工の条件も特に問わない。更に、熱処理後に、第1中間加工物51に対して、外歯部43等の形状を整える仕上げ打ちを行ってもよい。この仕上げ打ちは、例えば、所定形状のダイスに対して、熱処理した第1中間加工物51をその厚み方向に通すことによって行われる。
次に、図12に基づき軸孔形成工程について説明する。軸孔形成工程は、図11に例示した第1中間加工物51の軸孔用凹部46に対して第2実施形態で例示した打抜加工工程を実行して軸孔44を形成することで第2中間加工物52を形成する工程である。軸孔形成工程においては、外歯部43を挟持した状態で図11に例示する軸孔用凹部46に対して軸孔44を形成すれば、外歯部43を基準にして第1中間加工物51が位置決めされた状態で図12に例示する軸孔44が形成されることになり、軸孔44の加工精度を高めることができる。軸孔44の縁には、図9(4)に示す傾斜状側面262と同様な傾斜状側面44aが形成されている。
次に、図13及び図14に基づき周設孔形成工程について説明する。周設孔形成工程は、図12に例示した第2中間加工物52の周設孔用凹部47に対して第2実施形態で例示した打抜加工工程を実行して周設孔45を形成する工程である。本工程においては、一度の打ち抜き加工によって全ての周設孔45を形成してもよいし、一度に1又は2以上の周設孔45を打ち抜き加工することを繰り返してもよい。しかし、周設孔45の打ち抜きを複数回に分けて実行したほうが、一度に全ての周設孔45を打ち抜き加工するよりも、打ち抜き加工の際の圧力を低くすることができるために好ましい。
本実施形態においては、機械加工による切削等を行わず、本製造方法の凹部形成工程及び打抜加工工程によって外歯部、軸孔、各周設孔の形成等を行うため、機械加工と比べて極めて短時間で周設孔付外歯歯車を製造することができ、人手も掛からない。更に、製造した周設孔付外歯歯車に熱処理を行っても機械加工と同程度の残留応力であるため、反り等の歪みが生じにくい。
図18は第4実施形態を示す。図8(1)においては凹部22の底面25から傾斜状側面26のうち、底面側の傾斜状側面261に掛けてパンチ27で打ち抜くようにしたが、図18に示すように、パンチ27aで金属板素材21の凹部22の底面25だけ(線34aで囲まれる部位)を打ち抜くようにしてもよい。このように打ち抜いても、形成される貫通孔の周縁に傾斜状側面26があり、この傾斜状側面26が面取りと同様の効果を奏することができる。このために、別途、面取りを実施する工程は不要となり、作業が簡略化する。
本第5の実施形態に係る金属板の製造方法では、図19に示すように、ダイ12と、ダイ12に対してセットされた金属板素材W’の上側に配されるパンチ15と、を備えるプレス装置が用いられる。このダイ12のダイ孔13の先端周縁には、パンチ15の打ち抜き方向Aに対して傾斜した側面方向を向く押圧面13aが面取りされている。
本第5の実施形態の金属板の製造方法によると、打抜加工工程において、ダイ孔13の押圧面13aが、金属板素材W’の外側部17の外面となる位置P1より外側に残っている一時残留部R1を外側部17の外面となる位置P1まで押圧しつつ上方へ移動させる。そして、打抜加工工程後において、形成された外側部17にはわずかなバリB1の発生が認められるが、外側部17において金属板Wの一面側の外面、即ちパンチ15により押圧された一面側の外面には、従来技術のように破断面ではなく平滑な表面F1(図21(3)参照)が形成される。この表面F1の算術平均粗さは0.04〜0.4μm程度である。このため、打抜加工工程後は、従来技術のようにシェービング加工や機械加工等の加工を実施する工程は不要となり、製造に要する時間を短縮することができる。
尚、平滑に形成された表面F1付近の金属板Wは、押圧により一時残留部R1に位置していた肉が含まれているため、他の金属板Wの部位と比べて圧縮されて、加工硬化した組織となっている。このため、対象となる製品によっては熱処理を省略することができる。
本第6の実施形態に係る金属板の製造方法では、図22に示すように、ダイ62と、ダイ62に対してセットされた金属板素材W’の上側に配される押し型64と、セットされた金属板素材W’の下側に配されるパンチ65と、を備えるプレス装置が用いられる。このダイ62のダイ孔63の先端周縁には、押し型64の打ち抜き方向Aに対して傾斜した側面方向を向く押圧面63aが面取りされている。また、押し型64は、ダイ62との間で外側部67を形成し且つパンチ65との間で貫通孔68を形成する筒状部64aを備えている。さらに、パンチ65の先端周縁には、パンチ65の打ち抜き方向Aに対して傾斜した側面方向を向く押圧面65aが面取りされている。
本第6の実施形態の金属板の製造方法によると、打抜加工工程において、ダイ孔63の押圧面63aが、金属板素材W’の外側部67の外面となる位置P1より外側に残っている一時残留部R1を外側部67の外面となる位置P1まで押圧しつつ上方へ移動させてから、パンチ65の押圧面65aが、金属板素材W’の貫通孔68の外面となる位置P2より内側に残っている一時残留部を貫通孔68の内面となる位置P2まで押圧しつつ上方へ移動させる。そして、打抜加工工程後において、形成された外側部67及び貫通孔68にはわずかなバリB1、B2の発生が認められるが、外側部67において金属板Wの一面側の外面、即ち押し型64により押圧された一面側の外面には、従来技術のように破断面ではなく平滑な表面F1(図23(2)参照)が形成される。また、貫通孔68において金属板Wの一面側の内面、即ち押し型64により押圧された一面側の内面には、従来技術のように破断面ではなく平滑な表面F2(図23(2)参照)が形成される。これらの表面F1、F2の算術平均粗さは0.04〜0.4μm程度である。このため、打抜加工工程後は、従来技術のようにシェービング加工や機械加工等の加工を実施する工程は不要となり、製造に要する時間を短縮することができる。
尚、平滑に形成された表面F1、F2付近の金属板Wは、押圧により一時残留部R1を構成していた肉が含まれているため、他の金属板Wの部位と比べて圧縮されて、加工硬化した組織となっている。このため、対象となる製品によっては熱処理を省略することができる。
本第7の実施形態に係る金属板の製造方法では、図24に示すように、ダイ72と、ダイ72に対してセットされた金属板素材W’の上側に配される押し型74と、セットされた金属板素材W’の下側に配されるパンチ75と、を備えるプレス装置が用いられる。このダイ72のダイ孔73の先端周縁には、押し型74の打ち抜き方向Aに対して傾斜した側面方向を向く押圧面73aが面取されている。また、押し型74は、ダイ72との間で外側部77を形成し且つパンチ75との間で貫通孔78を形成する筒状部74aを備えている。さらに、パンチ75の先端周縁には、押し型74の打ち抜き方向Aに対して傾斜した側面方向を向く押圧面75aが面取りされている。
本第7の実施形態の金属板の製造方法によると、打抜加工工程において、パンチ75の押圧面75aが、金属板素材W’の貫通孔78の内面となる位置P2より内側に残っている一時残留部を貫通孔78の内面となる位置P2まで押圧しつつ上方へ移動させてから、ダイ孔73の押圧面73aが、金属板素材W’の外側部77の外面となる位置P1より外側に残っている一時残留部を外側部77の外面となる位置P1まで押圧しつつ上方へ移動させる。そして、打抜加工工程後において、形成された外側部77及び貫通孔78にはわずかなバリB1、B2の発生が認められるが、外側部77において金属板Wの一面側の外面、即ち押し型74により押圧された一面側の外面には、従来技術のように破断面ではなく平滑な表面F1(図25(2)参照)が形成される。また、貫通孔78において金属板Wの一面側の内面、即ち押し型74により押圧された一面側の内面には、従来技術のように破断面ではなく平滑な表面F2(図25(2)参照)が形成される。これらの表面F1、F2の算術平均粗さは0.04〜0.4μm程度である。このため、打抜加工工程後は、従来技術のようにシェービング加工や機械加工等の加工を実施する工程は不要となり、製造に要する時間を短縮することができる。
尚、平滑に形成された表面F1、F2付近の金属板Wは、押圧により一時残留部を構成していた肉が含まれているため、他の金属板Wの部位と比べて圧縮されて、加工硬化した組織となっている。このため、対象となる製品によっては熱処理を省略することができる。
また、上記第6及び第7の実施形態では、プレス装置により外側部67、77及び貫通孔68、78を所定順序で形成するようにしたが、これに限定されず、例えば、プレス装置により外側部及び貫通孔を略同時に形成するようにしてもよい。さらに、例えば、異なるプレス装置を用いて外側部及び貫通孔を別々に形成するようにしてもよい。
Claims (16)
- ダイ上に載置された金属板素材に対してパンチによる打ち抜きを行って貫通孔を形成する打抜加工工程を備え、
前記打抜加工工程において、前記貫通孔の前記打ち抜き中に破断が起きて、前記貫通孔の前記ダイ側の周縁部であって、前記貫通孔の内面となる位置よりも内側に突出している一時残留部が生じ、
その後、前記一時残留部が、前記打ち抜きに伴い前記パンチの先端周縁に具備する押圧面によって、前記パンチの側面方向に押圧されて表面が平滑にされることを特徴とする孔を有する金属板の製造方法。 - 前記打抜加工工程の前に凹部形成工程を更に行い、
前記凹部形成工程は、前記貫通孔を形成する位置に、底面と傾斜状側面とで囲まれた凹部を、前記金属板素材の表面に熱間鍛造又は冷間鍛造によって形成する工程であり、
前記打抜加工工程において、前記ダイのダイ孔の周縁に凸部が前記金属板素材側に向かって立設しており、
前記凸部は、前記一時残留部が押圧される方向をガイドするガイド面を具備しており、
前記凹部の前記傾斜状側面が前記ガイド面に当接するように前記金属板素材をダイ上に載置した状態で前記打ち抜きを行う請求項1に記載の孔を有する金属板の製造方法。 - 前記平滑にされた表面の算術平均粗さが0.04〜0.4μmである請求項1又は2に記載の孔を有する金属板の製造方法。
- 金属板と、前記金属板に形成されている貫通孔と、を備え、
前記貫通孔は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の孔を有する金属板の製造方法によって製造されており、且つ前記貫通孔における前記金属板の一面側の内面が、打ち抜き中に生じた一時残留部を押圧することで形成される平滑な表面によって構成されていることを特徴とする孔付き金属板。 - 金属板と、前記金属板の中心に形成されており且つ回転軸が取り付けられる軸孔と、前記軸孔の周囲の前記金属板に形成されており且つ遊星歯車の回転軸が取り付けられる複数個の周設孔と、前記金属板の周縁に形成されている外歯部と、を備える周設孔付外歯歯車の製造方法であって、
前記外歯部を形成する外歯形成工程と、前記軸孔及び各前記周設孔を形成する打抜加工工程と、を具備し、
前記打抜加工工程は、前記各孔をダイ上に載置された金属板素材に対してパンチによって一度に、又は複数回に分けて打ち抜きを行って形成し、
前記打抜加工工程において、前記各孔の前記打ち抜き中に破断が起きて、前記各孔の前記ダイ側の周縁部であって、前記各孔の内面となる位置よりも内側に突出している一時残留部が生じ、
その後、前記一時残留部が、前記打ち抜きに伴い前記パンチの先端周縁に具備する押圧面によって、前記パンチの側面方向に押圧されて表面が平滑にされることを特徴とする周設孔付外歯歯車の製造方法。 - 前記外歯形成工程は、前記外歯部と、前記軸孔及び前記周設孔を形成する位置の前記金属板素材の表面に位置し、底面と傾斜状側面とで囲まれた凹部とを、熱間鍛造又は冷間鍛造によって形成する工程であり、
前記打抜加工工程において、前記ダイのダイ孔の周縁に凸部が前記金属板素材側に向かって立設しており、
前記凸部は、前記一時残留部が押圧される方向をガイドするガイド面を具備しており、
前記凹部の前記傾斜状側面が前記ガイド面に当接するように前記金属板素材をダイ上に載置した状態で前記打ち抜きを行う請求項5に記載の周設孔付外歯歯車の製造方法。 - 前記平滑にされた表面の算術平均粗さが0.04〜0.4μmである請求項5又は6に記載の孔を有する周設孔付外歯歯車の製造方法。
- 前記外歯形成工程の後に、前記金属板素材が前記外歯部の位置を基準にして位置決めされた状態で前記打抜加工工程を行う請求項5乃至7のいずれか1項に記載の周設孔付外歯歯車の製造方法。
- 前記打抜加工工程において、前記各周設孔は複数回に分けて形成され、前記各周設孔の形成は、既に形成された周設孔内にこの周設孔と同径のガイドピンを挿通した状態で行うことで既に形成した前記各周設孔の変形を防止する請求項5乃至8のいずれか1項に記載の周設孔付外歯歯車の製造方法。
- 金属板と、前記金属板の中心に形成されており且つ回転軸が取り付けられる軸孔と、前記軸孔の周囲の前記金属板に形成されており且つ遊星歯車の回転軸が取り付けられる複数個の周設孔と、前記金属板の周縁に形成されている外歯部と、を備え、
前記軸孔及び前記各周設孔は、請求項5乃至9のいずれか1項に記載の孔を有する金属板の製造方法によって製造されており、且つ前記各孔における前記金属板の一面側の内面が、前記打ち抜き中に生じた一時残留部を押圧することで形成される平滑な表面によって構成されていることを特徴とする周設孔付外歯歯車。 - 金属板と、前記金属板の中心に形成されており且つ回転軸が取り付けられる軸孔と、前記金属板の周縁に形成されている外歯部と、を備え、
前記軸孔は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の孔を有する金属板の製造方法によって製造されており、且つ前記軸孔における前記金属板の一面側の内面が、打ち抜き中に生じた一時残留部を押圧することで形成される平滑な表面によって構成されていることを特徴とする外歯歯車。 - 金属板と、前記金属板に形成されており且つ回転軸が取り付けられる軸孔と、前記金属板の周縁に形成されている摺動面と、を備え、
前記軸孔は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の孔を有する金属板の製造方法によって製造されており、且つ前記軸孔における前記金属板の一面側の内面が、打ち抜き中に生じた一時残留部を押圧することで形成される平滑な表面によって構成されていることを特徴とするカム用金属板。 - ダイ上に載置された金属板素材に対してパンチ又は押し型による打ち抜きを行って外側部を形成する打抜加工工程を備え、
前記打抜加工工程において、前記外側部の前記打ち抜き中に前記金属板素材に破断が起きて、前記金属板素材の破断部分には、前記外側部の外面となる位置よりも外側に突出するように一時残留部が生じ、
その後、前記一時残留部が、前記打ち抜きに伴い前記ダイのダイ孔の先端周縁に具備する押圧面によって、前記ダイ孔の中心軸側に向かう方向に押圧されて表面が平滑にされることを特徴とする金属板の製造方法。 - 前記打抜加工工程は、前記外側部を形成するとともに、前記金属板素材に対して前記パンチによる打ち抜きを行って貫通孔を形成する工程であり、
前記打抜加工工程において、前記貫通孔の前記打ち抜き中に前記金属板素材に破断が起きて、前記金属板素材の破断部分には、前記貫通孔の内面となる位置よりも内側に突出するように一時残留部が生じ、
その後、前記一時残留部が、前記打ち抜きに伴い前記パンチの先端周縁に具備する押圧面によって、前記パンチの中心軸側から離れる方向に押圧されて表面が平滑にされる請求項13記載の金属板の製造方法。 - 前記平滑にされた表面の算術平均粗さが0.04〜0.4μmである請求項13又は14に記載の金属板の製造方法。
- 請求項13乃至15のいずれか一項に記載の金属板の製造方法によって製造された金属板であって、
前記外側部における前記金属板の一面側の外面が、前記打ち抜き中に生じた前記一時残留部を押圧することで形成される平滑な表面によって構成されていることを特徴とする金属板。
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