JP4217691B2 - 円筒状部品の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は円筒状部品の製造方法に係り、特に、鍛造加工を主体として製造する技術に関するものである。
ヘリカル歯車を鍛造加工を主体とする加工で製造することが、例えば特許文献1に記載されているが、ヘリカル歯車の歯筋に沿ってパンチを強制的に回転させる必要があることから、可動部分が多くて構造が複雑になる。また、ヘリカル歯車の歯部を鍛造加工で強制的に成形するため、材料流動が十分に行われず、ダレや欠損等を生じる可能性があった。他にも、密閉鍛造による歯車成形が行われているが、歯の形状によっては十分な材料の充填を行うために高圧力を加えなければならず、型の耐久性や寿命に問題を抱えていた。
これに対し、鍛造加工のメリットである材料歩留りの良さと、切削加工のメリットである加工精度の良さとから、鍛造加工により予備成形した円筒状の材料に切削加工を施して歯を形成することが考えられる。その場合に、円筒状の材料を鍛造加工によって製造する方法としては、例えば図11に示すように、先ず(a) において円柱形状の丸棒材から所定長さの粗材200を切り出し、(b) で目的とする円筒状部品202((d) 参照)の外径と略等しい外径寸法となるように軸方向からすえ込み鍛造を行う。また、(c) で、形成すべき貫通穴204と略等しい径寸法の有底穴206を押出し鍛造によって形成し、(d) で有底穴206の底部208を抜きパンチによって打ち抜くことにより、目的とする円筒状部品202が得られる。図11の各図の一点鎖線は中心線で、左側半分は断面図である。
特開平8−206772号公報
しかしながら、このような円筒状部品202の製造方法においては、貫通穴204の内周面のうち底部208が存在した部分にせん断によるバリが残存し、十分な面精度(面粗さなど)が得られないという問題があった。また、軸方向の端面210の面精度(中心線に対する直角度や平面度など)が十分に得られず、その後に端面210を基準面として歯切り加工などを行う場合に加工精度が損なわれるという別の問題もあった。すなわち、(c) の押出し鍛造では、有底穴206内にポンチが押し込まれることにより、その部分の材料が軸方向へ流れるが、中心線まわりにおいて必ずしも均等ではないなど、十分な面精度が得られないのである。(d) の打抜き加工の後に、外周面および内周面を拘束しつつ軸方向に圧縮することにより端面210の精度出しを行うことも考えられるが、型破損等を防止する上で型と材料との間に隙間を設ける必要があるため、高い面精度を得ることは困難である。
本発明は以上の事情を背景として為されたもので、その第1の目的は、貫通穴の内周面の面粗さが優れた円筒状部品を、鍛造加工を主体として製造できるようにすることで、第2の目的は、貫通穴の内周面の面粗さに加えて軸方向の端面の面精度を向上させることにある。
かかる目的を達成するために、本発明は、中心部に断面円形の貫通穴を有する金属製の円筒状部品を製造する方法であって、(a) 所定の粗材に鍛造加工を施すことにより、外径寸法が前記円筒状部品の外径と略等しく且つ軸方向長さがその円筒状部品の軸方向長さより短い円柱形状を成しているとともに、軸方向の少なくとも一方の端面であって前記貫通穴より外側になる部分の一部に、軸方向へ突き出す円環形状の凸部がその円柱形状の中心線と略同心に設けられている第1中間品を製造する第1中間品製造工程と、(b) その第1中間品の外周面を拘束しつつその第1中間品の中心部に前記貫通穴と略等しい径寸法の有底穴を鍛造加工によって形成することにより、軸方向長さが前記円筒状部品の軸方向長さと略等しい第2中間品を製造する第2中間品製造工程と、(c) その第2中間品の前記有底穴内に抜きパンチを挿入することにより、その有底穴の底部を打ち抜いて前記貫通穴を形成し、円筒状の第3中間品を製造する第3中間品製造工程と、(d) その第3中間品の外周面および内周面の変形を防止しつつその第3中間品を軸方向から圧縮することにより、前記円環形状の凸部の先端面を所定形状に精度出しするとともに、前記抜きパンチの挿入側と反対側からバニシ工具を前記貫通穴内に押し込んで、その貫通穴の内周面をバニシ仕上げする面仕上げ工程とを有することを特徴とする。
発明では、第2中間品製造工程で鍛造加工により有底穴を形成した後、第3中間品製造工程でその有底穴の底部を抜きパンチで打ち抜いて貫通穴を形成する場合に、抜きパンチの挿入側と反対側からバニシ工具を押し込んで貫通穴内周面をバニシ仕上げする面仕上げ工程を有するため、抜きパンチで打ち抜く際に形成されたバリがバニシ仕上げによって押し潰され、高い面精度(面粗さなど)が得られる。特に、抜きパンチの挿入側と反対側からバニシ工具を押し込むため、バリが押し戻されるように内周面の破断部位、すなわち抜きパンチで破断された有底穴の底部部分に押圧され、一層高い面精度が得られる。すなわち、抜きパンチと同じ方向からバニシ工具を押し込むと、バリが更に引き延ばされ、有底穴加工で形成された有底穴の内周面に押し着けられるだけで、その部分が肉盛りされた状態になり、必ずしも高い面精度が得られないのである。バリは、金属組織が抜きパンチによって引き千切られたものであるため、その引張方向すなわち抜きパンチの挿入方向と同じ方向へバニシ工具を移動させても、バリが完全に取り除かれることはなく、内周面に圧着されてしまうのである。
た、第1中間品製造工程で軸方向の少なくとも一方の端面であって貫通穴より外側になる部分の一部に円環形状の凸部が設けられ、第2中間品製造工程および第3中間品製造工程で貫通穴が設けられた後、面仕上げ工程で外周面および内周面の変形を防止しつつ軸方向から圧縮することにより、その凸部の先端面を所定形状に精度出しするため、その凸部の先端面が高い面精度(軸心に対する直角度や平面度など)で形成される。すなわち、端面のうち凸部の先端面以外の部分は必ずしも精度が要求されないため、圧縮に伴う金属流動の受け皿として成形型との間に隙間を設けることが可能で、外周面および内周面の拘束等に拘らず凸部の先端面を圧縮により確実に塑性変形させて、高い面精度を得ることができるようになるのである。これにより、例えばその凸部の先端面を基準面として後工程の歯切り加工などを高い精度で行うことができるようになる。
一方、上記凸部は円柱形状の段階で形成されるため、貫通穴を空けた後で凸部を形成する場合に比較して、型構造が簡単に構成される。また、第2中間品製造工程では、有底穴部分の金属が軸方向へ流動させられるため、凸部が設けられた端面側から有底穴が形成される場合には凸部を含む端面形状が変形するが、第1中間品の外径寸法が維持されるため、有底穴より外周側の端面は単に軸方向へ押し動かされるだけであり、凸部が分からなくなる程大きく変形させられることはなく、面仕上げ工程で凸部の先端面が全周に亘って確実に塑性変形させられて精度出しされる。
本発明は、例えばヘリカル歯車等の歯車粗材として用いられる円筒状部品の製造に好適に適用されるが、歯車粗材以外の円筒状部品の製造にも適用され得る。
端面に設けられる凸部の先端面は、一般的には中心線に対して直角な平坦面である場合が多いが、中心線に対して直角な平面から所定角度だけ傾斜していても良いなど、円筒状部品の使用形態などに応じて適宜設定される。
凸部は何れか一方の端面だけでも良いが、その後の取扱いの容易性から両端面に設けることが望ましい。また、凸部は製品状態(円筒状部品)において端面の一部、すなわち円環形状の端面の内周側、外周側、或いはその中間位置に設けられるが、例えば外歯の歯車粗材として用いる場合には、歯と関係のない内周側部分に設けることが望ましく、内歯の歯車粗材として用いる場合には、歯と関係のない外周側部分に設けることが望ましいなど、その後の使用形態などに応じて適宜定められる。
第1中間品製造工程は、例えば(a) 外径寸法が前記円筒状部品の外径より小さい円柱状粗材を丸棒材から切り出す切出し工程と、(b) 外径寸法が円筒状部品の外径と略等しく且つ軸方向長さが円筒状部品の軸方向長さより短くなるように、前記円柱状粗材を軸方向にすえ込み鍛造するすえ込み鍛造工程と、(c) その後に圧印加工などで端面に凸部を形成する圧印鍛造工程とを有することが望ましい。すなわち、外径寸法が前記円筒状部品の外径と略等しく且つ軸方向長さがその円筒状部品の軸方向長さより短い円柱形状を成している円柱状粗材を丸棒材などから切り出して用意し、その円柱状粗材の端面に鍛造加工(圧印加工など)によって凸部を形成することも可能であるが、切断面に歪が存在するとともに、金属組織(メタルフロー)が切断された切断面に凸部が設けられるため好ましくないのである。丸棒材は一般にメタルフローが軸方向に揃っているため、鍛造加工を行う上で好適に用いられる。
第2中間品製造工程で第1中間品に設けられる有底穴は、第1中間品の両端面から設けることが望ましいが、何れか一方の端面(凸部が設けられた端面とは限らない)のみから有底穴を形成するようにしても良い。
凸部の先端を圧縮鍛造などで圧縮して精度出しする際には、円筒状部品の外周面や内周面の変形を防止するために拘束ダイスなどで拘束しておくことが望ましいが、凸部の圧縮変形量が少ない場合や、凸部の形成位置が端面の内外周の中間位置である場合など、凸部の圧縮による塑性変形で外周面や内周面が変形する恐れがない場合は、必ずしもそれ等の面を拘束する必要はない。発明の「変形を防止しつつ」とは、圧縮鍛造に伴って変形する場合は拘束ダイスなどで拘束して変形を防止するが、圧縮鍛造時に変形する恐れがない場合は、必ずしも特別な拘束手段を設ける必要はなく、変形しないように必要に応じて拘束手段が設けられれば良いという趣旨である。
仕上げ工程では、例えばバニシ工具を貫通穴内に押し込んでバニシ仕上げするとともに、そのバニシ工具で内周面を拘束しつつ軸方向から圧縮することにより、凸部の先端面の精度出しを1回のプレス工程で行うことが望ましいが、バニシ工具による貫通穴のバニシ仕上げと凸部先端面の精度出しとを異なるプレス工程で行うようにしても良い。バニシ工具による内周面の拘束は、特に端面の内周側部分に凸部を形成した場合に有効である。
以下、本発明の一実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は、本発明方法に従って円筒状部品10を製造する際の手順を説明する図である。円筒状部品10は、中心部に断面円形の貫通穴12を有する金属製の円筒状の部品で、円環形状を成す両端面14、16には、それぞれ内周側に軸方向へ突き出す円環形状の凸部14a、16aが設けられているとともに、その凸部14a、16aの先端面が中心線に対して直角な平坦面とされている。この円筒状部品10は、ヘリカル歯車等の外歯歯車の粗材で、後工程において凸部14a、16aよりも外周側の部分に切削加工により歯が形成されるが、この切削加工は凸部14aまたは16aの先端面を基準面として行われる。図1の各図(a) 〜(f) の一点鎖線は、何れも中心線を表しており、中心線よりも左側半分は断面図である。
図1の(a) は切出し工程で、目的とする円筒状部品10の外径寸法より小さい外径寸法の丸棒材を所定の長さ寸法で切断して円柱状粗材20を用意する。丸棒材は引抜き加工などによって得られたもので、メタルフローが軸方向に揃っており、円柱状粗材20も同様であるが、両端面22、24には切断時の歪が残っている。本実施例では、プレスのせん断加工によって切断するようになっており、せん断による歪が存在する。
図1の(b) はすえ込み鍛造工程で、前記円柱状粗材20を軸方向にすえ込み鍛造することにより、外径寸法が円筒状部品10の外径と略等しく且つ軸方向長さが円筒状部品10の軸方向長さより短い略円柱形状の中間品30を製造する。図2および図3の鍛造装置32は、図1(b) のすえ込み鍛造を行う鍛造装置の一例で、図2は、円柱状粗材20が図示しない搬送装置により下部ダイス34上に略垂直に載置され、押えパンチ36で位置決めされた状態である。押えパンチ36は、スプリング38によって下方へ付勢されており、このスプリング38の付勢力に従って円柱状粗材20を下部ダイス34上に位置決め保持する一方、上型40が下降させられるのに伴って収容穴42内に相対的に押し込まれ、摺動部材44が上側移動端に達することにより、押えパンチ36の下端面は成形パンチ46の成形面(下端面)と略一致させられる。そして、その状態で更に上型40が下降させられると、図3に示すように円柱状粗材20は上記押えパンチ36、成形パンチ46、下部ダイス34、および下部ダイス34上に配設されたリングダイス48によって囲まれた略密閉した空間内において軸方向に圧縮され、中間品30とされる。リングダイス48の内径寸法は円筒状部品10の外径寸法と略等しい。なお、下死点において成形パンチ46とリングダイス48との間には僅かな隙間が存在するとともに、下部ダイス34の中心部にはノックアウトピン50が配設されている。
このようにすえ込み鍛造が行われることにより、切断時に生じた歪が是正され、軸心まわりの重量バランスが改善される。また、リングダイス48の内壁面の下部は、径寸法が漸減するように傾斜面(テーパ面)が設けられており、中間品30の一方の端部52側の外周面54は、その傾斜面に対応して端部52に近づくに従って僅かに小径となるテーパ面とされている。
図1の(c) は圧印鍛造工程で、中間品30の両端面に圧印加工が施されることにより、前記貫通穴12よりも外側になる部分の一部、具体的には前記凸部14a、16aに対応するように貫通穴12に連続する内周側の部分に、軸方向へ突き出す円環形状の凸部56、58が中心線と略同心に設けられた中間品60が製造される。凸部56、58は、幅寸法および突出寸法がそれぞれ等しい略同一形状で、突出寸法は約0.55mmである。図4および図5の鍛造装置62は、図1(c) の圧印鍛造を行う鍛造装置の一例で、図4は、中間品30が図示しない搬送装置によりダイス64内に配置されるとともに、押えパンチ66で位置決めされた状態であり、図5はダイス64およびパンチ68により圧印鍛造が行われ、凸部56、58を有する中間品60に成形された状態である。中間品30は、前記端部52側、すなわちテーパ形状の外周面54が形成された側が上になるように上下反転した姿勢で配置され、図5に示すようにパンチ68によって押圧される際に、ダイス64の開口部とパンチ68との間から粗材が溢れ出すことが防止される。
押えパンチ66は、スプリング70によって下方へ付勢されており、このスプリング70の付勢力に従って中間品30を位置決め固定する一方、上型72が下降させられるのに伴って収容穴74内に相対的に押し込まれ、摺動部材76が上側移動端に達することにより、押えパンチ66の下端面は第1リングパンチ78の下端面と略一致させられる。押えパンチ66は、前記貫通穴12の内径すなわち凸部56の内径と略等しい外径寸法で、第1リングパンチ78の内径寸法は凸部56の外径寸法と略等しく、それ等の間には、下端面が凸部56の突出寸法だけ凹むように第2リングパンチ80が配設されている。これ等の押えパンチ66、第1リングパンチ78、第2リングパンチ80によってパンチ68が構成されている。
前記ダイス64は、ノックアウトピン82、第1リングダイス84、第2リングダイス86、および外周面拘束ダイス88から構成されている。ノックアウトピン82は、前記貫通穴12の内径すなわち凸部58の内径と略等しい外径寸法で、第1リングダイス84の内径寸法は凸部58の外径寸法と略等しく、それ等の間の第2リングダイス86は、上端面が凸部58の突出寸法だけ凹むように配設されている。また、外周面拘束ダイス88は、第1リングダイス84上に配設されているとともに、その内径寸法は円筒状部品10の外径寸法、すなわち中間品30の外径寸法と略等しく、中間品30を同心に位置決めするとともに外周面を拘束した状態で圧印鍛造が行われる。
本実施例では、上記図1(a) の切出し工程、図1(b) のすえ込み鍛造工程、および図1(c) の圧印鍛造工程が第1中間品製造工程に相当し、中間品60は第1中間品に相当する。
図1の(d) は押出し鍛造工程で、中間品60の外周面60fを拘束しつつ両端面の中心部、すなわち前記凸部56、58の内側部分に貫通穴12と等しい径寸法の有底穴90、92を形成することにより、軸方向長さが前記円筒状部品10の軸方向長さと略等しい中間品94が製造される。図6の鍛造装置96は、図1(d) の押出し鍛造を行う鍛造装置の一例で、パンチ98およびダイス100により中間品60に押出し鍛造が行われ、有底穴90、92を有する中間品94に成形された状態である。図1(d) の押出し鍛造工程は第2中間品製造工程で、中間品94は第2中間品に相当する。
上記パンチ98は、貫通穴12と略等しい外径の中心パンチ102と、その外周側に配設されたリングパンチ104とから成り、リングパンチ104の内周側には凸部56に対応する凹みが設けられて、中間品60の凸部56が略そのままの形状で維持されるようになっている。中心パンチ102は、中間品60における凸部56の突出寸法より大きく突き出しており、これにより有底穴90が形成される。ダイス100は、貫通穴12と等しい外径のノックアウトピン106、その外周側に配設された幅寸法が凸部58の幅寸法と等しいリングダイス108、および内径寸法が円筒状部品10の外径寸法すなわち中間品60の外径寸法と等しい外周面拘束ダイス110から構成されている。ノックアウトピン106は、リングダイス108の上端面から凸部58の突出寸法よもり十分に大きく上方へ突き出しており、パンチ98が下降させられて中間品60がノックアウトピン106に押圧されることにより、ノックアウトピン106が中間品60に食い込み、その部分の粗材がノックアウトピン106と外周面拘束ダイス110との間の環状空間へ流動させられることにより、有底穴90より深い有底穴92が形成されるとともに、軸方向長さが円筒状部品10の軸方向長さと略等しい中間品94が得られる。有底穴90部分の粗材が軸方向の下方へ流動させられるが、外周面拘束ダイス110によって中間品60の外径寸法が維持されるため、凸部58およびそれより外側の端面は単に軸方向の下方へ押し動かされるだけで、凸部58は中間品60の時の形状が略そのまま維持される。また、中間品60は外周面拘束ダイス110内に挿入されることにより同心に位置決め保持される。成形された中間品94の下端部、厳密には凸部58と、リングダイス108の上端面との間には僅かな隙間が残るようになっている。
図1の(e) は打抜き工程で、中間品94の一方の有底穴92内に抜きパンチを挿入することにより、有底穴90、92の間に存在する底部112を打ち抜いて前記貫通穴12を形成し、円筒状の中間品114を製造する。図7のプレス機械116は、図1(e) の打抜き加工(ピアス加工)を行うプレス機械の一例で、円筒状の押えパンチ118および円柱状の抜きパンチ120により中間品94の底部112を打ち抜いて貫通穴12を有する中間品114とする。この図1(e) の打抜き工程は第3中間品製造工程で、中間品114は第3中間品に相当する。
上記押えパンチ118の下端面は、外径寸法が中間品94の外径と同じか僅かに小さいとともに、内径寸法が凸部56の内径寸法と同じか僅かに大きく、且つ凸部56に対応する凹部が設けられており、凸部56の形状を維持するようになっている。抜きパンチ120の上端面は、外径寸法が有底穴92の内径より僅かに小さいとともに、その外周縁部にせん断刃が設けられており、押えパンチ118によって中間品94が下方へ押圧されることにより、抜きパンチ120が相対的に有底穴92内に挿入され、せん断刃によって底部112を上方へ打ち抜く。抜きパンチ120の周囲には、中間品94の外径と略等しい内径寸法の位置決めダイス122が同心に配設されており、中間品94を同心に位置決めするようになっている。また、打ち抜かれた底部112は、打抜き加工が繰り返されるのに伴って新たな底部112が上方へ打ち抜かれることにより、押えパンチ118の円筒内を順次上方へ押し上げられ、排出穴124から外部へ排出される。
ここで、中間品114の貫通穴12の内周面には、底部112が存在した部分に微小な段差126が残っている。図9の(a) は、中間品114の断面のメタルフローFを簡略して示す図で、メタルフローFは底部112部分で圧縮され、上記打抜き加工で底部112が打ち抜かれることにより破断されるとともに、そのメタルフローFの破断部がバリとして貫通穴12内に残って段差126になる。図9の(b) は、その段差(バリ)126付近を拡大した図で、底部112が抜きパンチ120によって上方へ打ち抜かれる際にメタルフローFが引き千切られ、上方へ傾斜した状態で残存する。
図1の(f) は面仕上げ工程で、前記抜きパンチ120の挿入側と反対側からバニシ工具を前記貫通穴12内に押し込んで、その貫通穴12の内周面をバニシ仕上げするとともに、中間品114の外周面および内周面を拘束しつつその中間品114を軸方向から圧縮して前記凸部56、58の先端面を所定形状に精度出しする。図8の鍛造装置130は、図1(f) の面仕上げを行う鍛造装置の一例で、ダイス132内に凸部56側が下向きになるように上下反転して配設された中間品114が、円筒状の押えパンチ134によって下方へ押圧されることにより、円柱状のバニシ工具136が凸部56側から貫通穴12内に押し込まれ、その貫通穴12の内周面がバニシ仕上げされるとともに、そのバニシ工具136で内周面を拘束しつつ外周面拘束ダイス138で外周面を拘束した状態で軸方向から圧縮することにより、両端面の凸部56、58の先端面の精度出しが1回のプレス工程で行われ、目的とする円筒状部品10が得られる。
上記押えパンチ134の下端面は、外径寸法が中間品114の外径と略同じで、内径寸法が有底穴12の内径と略同じで、且つ凸部58の突出寸法より僅かに小さい深さの凹部が凸部58に対応して内周側に設けられており、中間品114を下方へ押圧して圧縮することにより凸部58の先端が塑性変形させられ、押えパンチ134の下端面に対応する形状の凸部14aが鍛造成形される。凸部14aの突出寸法は約0.50mmで、凸部58に比較して0.05mm程度圧縮される。バニシ工具136は、外径寸法が貫通穴12の内径と略等しく、貫通穴12内に押し込まれることにより内周面をバニシ仕上げするとともに、その貫通穴12内に押し込まれた状態で軸方向から圧縮鍛造が行われる際には、中間品114の内周面を拘束する。バニシ工具136の周囲には、内径寸法が凸部56の外径寸法と略等しい第1リングダイス140が配設されているとともに、それ等の間には、上端面が凸部56の突出寸法より小さい所定寸法だけ第1リングダイス140より低くなるように第2リングダイス142が配設されており、押えパンチ134によって中間品114が下方へ押圧されると、凸部56の先端が第2リングダイス142に当接させられて塑性変形させられ、第2リングダイス142の先端面形状に対応する先端面を有する凸部16aが鍛造成形される。また、外周面拘束ダイス138は、第1リングダイス140上に配設されているとともに、その内径寸法は円筒状部品10の外径寸法、すなわち中間品114の外径寸法と等しく、中間品114を同心に位置決めするとともに外周面を拘束した状態で圧縮鍛造が行われる。
ここで、バニシ工具136は前記抜きパンチ120の挿入側と反対側、すなわち凸部56を有する端部側で、前記図9の(b) では上方側から下方へ向かって貫通穴12内に押し込まれるため、バリが押し戻されるように内周面の破断部位、すなわち抜きパンチ120で破断された底部112の切断部位に押圧され、段差126が良好に解消して高い面精度(面粗さ)が得られる。すなわち、抜きパンチ120と同じ方向(図9(b) の下側)からバニシ工具136を押し込むと、バリが更に上方へ引き延ばされ、貫通穴12(厳密には有底穴90部分)の内周面に押し着けられるだけで、その部分が肉盛りされた状態になり、必ずしも高い面精度が得られないのである。バリは、メタルフローFが抜きパンチ120によって引き千切られたものであるため、その引張方向すなわち抜きパンチ120の挿入方向と同じ方向へバニシ工具136を移動させても、バリが完全に取り除かれることはなく、内周面に圧着されてしまうのである。
一方、押えパンチ134と第2リングダイス142との間で中間品114が圧縮鍛造された状態、すなわち円筒状部品10に成形された状態において、その円筒状粗材10と第1リングダイス140の上端面との間には図10に示すように僅かな隙間が残るようになっており、外周面および内周面の拘束に拘らず凸部56の先端部が全周に亘って確実に塑性変形させられ、第2リングダイス142の上端面に対応する面形状に高い精度で成形される。従って、円筒状部品10の両端面14、16の凸部14a、16aの先端面は、何れも図1(f) の面仕上げ工程の圧縮鍛造で高い面精度に精度出しされ、本実施例では中心線に対して直角な平坦面に高い精度で成形される。第2リングダイス142の上端面および押えパンチ134の下端面の凹部は、何れも中心線に対して直角な平坦面にて構成されている。また、このように隙間が存在することから、鍛造加圧力が低くて済むとともに優れた型寿命が得られる。なお、凸部16aの突出寸法も約0.50mmで、凸部56に比較して0.05mm程度圧縮されるが、この圧縮寸法は凸部56、58の全周における突出寸法のばらつきなどを考慮して、全周に亘って圧縮鍛造が行われるように適宜定められる。また、押えパンチ134の下端面の外周側部分(凹部以外の部分)と円筒状部品10との間に隙間が形成されても良い。
このように本実施例の円筒状部品10は鍛造加工(図1の(b) 、(c) 、(d) 、(f) )を主体とする加工で製造されるため、材料歩留りが優れているとともに、両端部から外周部にかけてメタルフローFが繋がっているため、特に外周部側において優れた機械的特性が得られる。
また、中間品60の段階で圧印鍛造(図1(c) )により両端面に軸方向へ突き出す凸部56、58を形成し、貫通穴12を形成した後に面仕上げ工程(図1(f) )で軸方向から圧縮して、その凸部56、58の先端部を塑性変形させて精度出しするようになっているため、凸部14a、16aの先端面の面精度(軸心に対する直角度や平面度)が高く、その凸部14a、16aの先端面を基準面として後工程の歯切り加工などを高い精度で行うことができる。特に、上記凸部56、58は円柱形状の段階で形成されるため、貫通穴12を空けた後で凸部56、58を形成する場合に比較して、型構造が簡単に構成される。
また、押出し鍛造工程(図1(d) )で有底穴90、92を形成した後、その有底穴90、92の底部112を抜きパンチ120で打ち抜いて貫通穴12を形成し(図1(e) )、その後、抜きパンチ120の挿入側と反対側からバニシ工具136を押し込んで貫通穴12の内周面をバニシ仕上げする(図1(f) )ようになっているため、抜きパンチ120で打ち抜く際に形成されたバリがバニシ仕上げによって押し潰され、高い面精度(面粗さ)が得られる。このため、特に切削加工などの仕上げ加工を必要とすることなく、円筒状部品10を歯車粗材としてそのまま用いることが可能である。
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、これはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更,改良を加えた態様で実施することができる。
本発明方法に従って円筒状部品を製造する際の製造工程の一例を説明する図である。 図1の(b) のすえ込み鍛造工程で使用される鍛造装置の一例を示す断面図で、ワークが位置決めされた状態である。 図2の鍛造装置によってワークにすえ込み鍛造が行われた状態である。 図1の(c) の圧印鍛造工程で使用される鍛造装置の一例を示す断面図で、ワークが位置決めされた状態である。 図4の鍛造装置によってワークに圧印鍛造が行われた状態である。 図1の(d) の押出し鍛造工程で使用される鍛造装置の一例を示す断面図で、ワークに押出し鍛造が行われた状態である。 図1の(e) の打抜き工程で使用されるプレス機械の一例を示す断面図で、ワークに打抜き加工が行われた状態である。 図1の(f) の面仕上げ工程で使用される鍛造装置の一例を示す断面図で、ワークにバニシ仕上げおよび圧縮鍛造が行われた状態である。 図1の(e) の打抜き工程で得られた中間品のメタルフローFおよび打抜きに伴って生じるバリを説明する図である。 図8の鍛造装置の成形時(下死点)に生じる隙間を説明する断面図である。 鍛造加工を主体とする加工で円筒状部品を製造する際の製造工程の比較例を説明する図である。
符号の説明
10:円筒状部品 12:貫通穴 14a、16a:凸部 56、58:凸部 60:中間品(第1中間品) 90、92:有底穴 94:中間品(第2中間品) 112:底部 114:中間品(第3中間品) 120:抜きパンチ 136:バニシ工具

Claims (1)

  1. 中心部に断面円形の貫通穴を有する金属製の円筒状部品を製造する方法であって、
    所定の粗材に鍛造加工を施すことにより、外径寸法が前記円筒状部品の外径と略等しく且つ軸方向長さが該円筒状部品の軸方向長さより短い円柱形状を成しているとともに、軸方向の少なくとも一方の端面であって前記貫通穴より外側になる部分の一部に、軸方向へ突き出す円環形状の凸部が該円柱形状の中心線と略同心に設けられている第1中間品を製造する第1中間品製造工程と、
    該第1中間品の外周面を拘束しつつ該第1中間品の中心部に前記貫通穴と略等しい径寸法の有底穴を鍛造加工によって形成することにより、軸方向長さが前記円筒状部品の軸方向長さと略等しい第2中間品を製造する第2中間品製造工程と、
    該第2中間品の前記有底穴内に抜きパンチを挿入することにより、該有底穴の底部を打ち抜いて前記貫通穴を形成し、円筒状の第3中間品を製造する第3中間品製造工程と、
    該第3中間品の外周面および内周面の変形を防止しつつ該第3中間品を軸方向から圧縮することにより、前記円環形状の凸部の先端面を所定形状に精度出しするとともに、前記抜きパンチの挿入側と反対側からバニシ工具を前記貫通穴内に押し込んで、該貫通穴の内周面をバニシ仕上げする面仕上げ工程と
    を有することを特徴とする円筒状部品の製造方法。
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