JP2015149354A - 半導体装置及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】強誘電体キャパシタを微細化しても十分な分極電荷量を得ることができる半導体装置及びその製造方法を提供する。【解決手段】複数の強誘電体キャパシタ101から選択された複数の強誘電体キャパシタ101に接続され、選択された複数の強誘電体キャパシタ101及びこれら選択された強誘電体キャパシタ101の間の領域を強誘電体キャパシタ101の上部電極の上方から覆うプレート線105が設けられている。【選択図】図2

Description

本発明は、半導体装置及びその製造方法に関する。
不揮発性メモリには、フラッシュメモリ、EEPROM(electrically erasable programmable read-only memory)、強誘電体メモリ等がある。フラッシュメモリ及びEEPROMでは、フローティングゲートへの電荷の蓄積によりデータが記憶される。強誘電体メモリでは、強誘電体膜の分極反転を利用してデータが記憶される。これらを比較すると、強誘電体メモリは、ガンマ線、電子線及び中性子線等の放射線に対する耐性がフラッシュメモリ及びEEPROMより高いという利点を有する。
しかしながら、従来の強誘電体メモリには、強誘電体キャパシタを微細化すると、所望の分極電荷量を確保しにくいという問題点がある。
特開平3−256358号公報
本発明の目的は、強誘電体キャパシタを微細化しても十分な分極電荷量を得ることができる半導体装置及びその製造方法を提供することにある。
半導体装置の一態様には、下部電極、容量絶縁膜、及び上部電極を有する複数の強誘電体キャパシタと、それぞれが前記複数の強誘電体キャパシタに接続された複数のスイッチング素子と、それぞれが前記複数のスイッチング素子のうちのいずれか2以上のオン/オフを切り替える複数のワード線と、それぞれが前記複数のスイッチング素子のうちのいずれか2以上に接続された複数のビット線と、前記複数の強誘電体キャパシタから選択された複数の強誘電体キャパシタに接続され、前記選択された複数の強誘電体キャパシタ及びこれら選択された強誘電体キャパシタの間の領域を前記上部電極の上方から覆うプレート線と、が設けられている。
半導体装置の製造方法の一態様では、下部電極、容量絶縁膜、及び上部電極を有する複数の強誘電体キャパシタを形成し、それぞれが前記複数の強誘電体キャパシタに接続される複数のスイッチング素子を形成する。それぞれが前記複数のスイッチング素子のうちのいずれか2以上のオン/オフを切り替える複数のワード線を形成し、それぞれが前記複数のスイッチング素子のうちのいずれか2以上に接続される複数のビット線を形成し、前記複数の強誘電体キャパシタから選択された複数の強誘電体キャパシタに接続され、前記選択された複数の強誘電体キャパシタ及びこれら選択された強誘電体キャパシタの間の領域を前記上部電極の上方から覆うプレート線を形成する。
上記の半導体装置等によれば、適切なプレート線が設けられているため、強誘電体キャパシタを微細化しても十分な分極電荷量を得ることができる。
参考例の分極電荷量の測定結果を示す図である。 第1の実施形態に係る半導体装置の構成を示す図である。 第2の実施形態に係る半導体装置の構成を示す回路図である。 第2の実施形態に係る半導体装置の構成を示す断面図である。 電界効果トランジスタ及び強誘電体キャパシタの構成を示す断面図である。 第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。 図5Aに引き続き、半導体装置の製造方法を示す断面図である。 図5Bに引き続き、半導体装置の製造方法を示す断面図である。 図5Cに引き続き、半導体装置の製造方法を示す断面図である。 図5Dに引き続き、半導体装置の製造方法を示す断面図である。 図5Eに引き続き、半導体装置の製造方法を示す断面図である。 図5Fに引き続き、半導体装置の製造方法を示す断面図である。 導電積層体の構成を示す断面図である。 第2の実施形態の一例を示す断面図である。 図7に示す例の分極電荷量の測定結果を示す図である。 上部電極とプレート線との関係を示す図である。 第1の実験の結果を示す図である。 第2の実験の結果を示す図である。 第3の実験の結果を示す図である。 第2の実施形態の変形例の構成を示す断面図である。
本願発明者は、従来の強誘電体メモリにおいて強誘電体キャパシタを微細化すると、所望の分極電荷量を確保しにくい原因について調査を行った。
先ず、強誘電体キャパシタのサイズと分極電荷量との関係についての調査を行った。この調査では、強誘電体キャパシタの平面形状を、一辺の長さが0.7μmの正方形とした場合(第1の参考例)、一辺の長さが0.87μmの正方形とした場合(第2の参考例)のそれぞれについて分極電荷量を測定した。第1の参考例及び第2の参考例は、いずれも従来の構造を模擬した例である。この結果を図1に示す。図1中の縦軸は、当該強誘電体キャパシタを備えた強誘電体メモリを動作させるために要する分極電荷量を1として換算した値を示している。
図1に示すように、第2の参考例では十分な分極電荷量が得られたにもかかわらず、小さい第1の参考例では十分な分極電荷量が得られなかった。このように、強誘電体キャパシタを微細化に伴って分極電荷量が不足することが確認できた。
更に、本願発明者が、製造プロセスと強誘電体キャパシタの分極電荷量との関係について調査したところ、プレート線を含む多層配線の形成後には多層配線の形成前と比較して分極電荷量が低下していることが明らかになった。つまり、工程劣化が生じていることが判明した。更に、このような工程劣化は強誘電体キャパシタが小さくなるほど顕著になることも判明した。これまでも工程劣化の抑制のために、強誘電体キャパシタを覆う酸化アルミニウム膜等の保護膜を形成する等の対応がとられているが、強誘電体キャパシタの微細化に伴って工程劣化を十分に抑制することが困難となっている。そこで、本願発明者は、工程劣化を抑制すべく更に鋭意検討を行い、その結果、以下のような形態に想到した。
以下、実施形態について添付の図面を参照しながら具体的に説明する。
(第1の実施形態)
先ず、第1の実施形態について説明する。図2は、第1の実施形態に係る半導体装置の構成を示す図である。
第1の実施形態に係る半導体装置には、図2に示すように、複数の強誘電体キャパシタ101、複数のスイッチング素子102、複数のワード線103、複数のビット線104、及びプレート線105が設けられている。強誘電体キャパシタ101には、それぞれ下部電極、容量絶縁膜、及び上部電極が設けられている。スイッチング素子102は、それぞれ強誘電体キャパシタ101に接続されている。ワード線103は、それぞれ複数のスイッチング素子102のうちのいずれか2以上のオン/オフを切り替える。ビット線104は、それぞれ複数のスイッチング素子102のうちのいずれか2以上に接続されている。プレート線105は、複数の強誘電体キャパシタ101から選択された一部又は全部の複数の強誘電体キャパシタ101に接続され、選択された複数の強誘電体キャパシタ101及びこれら選択された強誘電体キャパシタ101の間の領域を強誘電体キャパシタ101の上部電極の上方から覆っている。ここで、選択された複数の強誘電体キャパシタ101には、互いに異なるワード線103によりオン/オフが切り替えられる2以上のスイッチング素子102に接続された強誘電体キャパシタ101が含まれ、互いに異なるビット線104に接続された2以上のスイッチング素子102に接続された強誘電体キャパシタ101が含まれる。従って、平面視で、プレート線105の輪郭内に、このプレート線105に接続された複数の強誘電体キャパシタ101及びこれら複数の強誘電体キャパシタ101の間の領域がある。第1の実施形態では、4個の強誘電体キャパシタ101が、選択された複数の強誘電体キャパシタ101に該当する。なお、図2(a)には、プレート線105及びその下方の構成を示し、図2(b)には、プレート線105より下方の構成を示してある。
第1の実施形態では、このような構成が採用されているため、強誘電体キャパシタ101の上部電極より上方の配線層等の形成の際に強誘電体キャパシタ101が受ける工程劣化を著しく抑制することができる。従って、強誘電体キャパシタ101を微細化しても十分な分極電荷量を得ることができる。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。第2の実施形態は強誘電体メモリの一例である。図3Aは、第2の実施形態に係る半導体装置の構成を示す回路図であり、図3Bは、第2の実施形態に係る半導体装置の構成を示す断面図である。
第2の実施形態には、図3Bに示すように、メモリセル領域301及び周辺回路領域302が設けられている。メモリセル領域301には、図3Aに示すように、複数の強誘電体キャパシタ201、複数のスイッチング素子202、複数のワード線203、複数のビット線204、及びプレート線205が設けられている。強誘電体キャパシタ201には、図3Bに示すように、それぞれ下部電極246、容量絶縁膜247、及び上部電極248が設けられている。スイッチング素子202は、それぞれ強誘電体キャパシタ201に接続されている。ワード線203は、それぞれ複数のスイッチング素子202のうちのいずれか2以上のオン/オフを切り替える。ビット線204は、それぞれ複数のスイッチング素子202のうちのいずれか2以上に接続されている。プレート線205は、複数の強誘電体キャパシタ201から選択された複数の強誘電体キャパシタ201に接続され、選択された複数の強誘電体キャパシタ201及びこれら選択された強誘電体キャパシタ201の間の領域を上部電極248の上方から覆っている。選択された複数の強誘電体キャパシタ201には、互いに異なるワード線203によりオン/オフが切り替えられる2以上のスイッチング素子202に接続された強誘電体キャパシタ201が含まれ、互いに異なるビット線204に接続された2以上のスイッチング素子202に接続された強誘電体キャパシタ201が含まれる。
図3Bに示すように、この半導体装置には、メモリセル領域301及び周辺回路領域302にわたるn型又はp型のシリコン基板等の半導体基板211が含まれている。半導体基板211の表面にトランジスタの活性領域を画定する素子分離領域212が形成されている。活性領域にPウェル213が形成されており、Pウェル213を用いたスイッチング素子202が形成されている。スイッチング素子202は、例えば電界効果トランジスタである。この電界効果トランジスタには、例えば、図4(a)に示すように、ゲート絶縁膜401、ゲート電極402、不純物注入領域403、絶縁性のサイドウォール404、不純物注入領域405、シリサイド層406が含まれている。ゲート電極402はワード線203として機能する。
スイッチング素子202を覆うカバー膜221が半導体基板211上に形成され、カバー膜221上に層間絶縁膜222が形成されている。層間絶縁膜222及びカバー膜221にシリサイド層406を露出するコンタクトホール223が形成されており、コンタクトホール223内に導電プラグ224が形成されている。層間絶縁膜222及び導電プラグ224上にエッチングストッパ膜225が形成され、エッチングストッパ膜225上に層間絶縁膜226が形成されている。層間絶縁膜226及びエッチングストッパ膜225に開口部227が形成され、メモリセル領域301では、開口部227内に配線228が形成されている。配線228は一部の導電プラグ224に接続されており、ビット線204として機能する。周辺回路領域302では、開口部227内に導電プラグ233が形成されており、導電プラグ233は一部の導電プラグ224に接続されている。層間絶縁膜226、配線228及び導電プラグ233上に酸化防止膜229が形成され、酸化防止膜229上に緩衝膜230が形成されている。メモリセル領域301では、緩衝膜230、酸化防止膜229、層間絶縁膜226、及びエッチングストッパ膜225に導電プラグ224を露出するコンタクトホール231が形成され、コンタクトホール231内に導電プラグ232が形成されている。
緩衝膜230及び導電プラグ232上に窒化チタン膜241及び窒化アルミニウムチタン膜242が形成されている。そして、メモリセル領域301では、窒化アルミニウムチタン膜242上に強誘電体キャパシタ201が形成されている。強誘電体キャパシタ201に、下部電極246、容量絶縁膜247、及び上部電極248が含まれている。窒化チタン膜241及び窒化アルミニウムチタン膜242は、下部電極246、容量絶縁膜247、及び上部電極248と同様にパターニングされており、1個の導電プラグ232に1個の強誘電体キャパシタ201の下部電極246が電気的に接続されている。
強誘電体キャパシタ201の下部電極246には、図4(b)に示すように、イリジウム膜431、酸化イリジウム膜432、及び白金膜433が含まれている。容量絶縁膜247には、強誘電体膜434及び強誘電体膜435が含まれている。強誘電体膜434と強誘電体膜435との間では、例えば組成が相違している。上部電極248には、酸化イリジウム膜436、酸化イリジウム膜437、及びイリジウム膜438が含まれている。例えば、酸化イリジウム膜437の酸化度は酸化イリジウム膜436の酸化度より高い。
強誘電体キャパシタ201を覆う保護膜251が緩衝膜230上に形成され、保護膜251上に保護膜252が形成され、層間絶縁膜253が保護膜252上に形成されている。層間絶縁膜253、保護膜252、及び保護膜251に上部電極248を露出するコンタクトホール254が形成され、コンタクトホール254内に導電プラグ256が形成されている。周辺回路領域302において、層間絶縁膜253、保護膜252、保護膜251、緩衝膜230、及び酸化防止膜229に導電プラグ233を露出するコンタクトホール255が形成されており、コンタクトホール255内に導電プラグ257が形成されている。
層間絶縁膜253、導電プラグ256、及び導電プラグ257上に、積層構造導電膜が形成されている。積層構造導電膜には、チタン膜261、窒化チタン膜262、AlCu合金膜263、チタン膜264、及び窒化チタン膜265が含まれている。積層構造導電膜はパターニングされており、メモリセル領域301内ではプレート線205として機能する。プレート線205は、複数の強誘電体キャパシタ201から選択された一部又は全部の複数の強誘電体キャパシタ201に接続され、選択された複数の強誘電体キャパシタ201及びこれら選択された強誘電体キャパシタ201の間の領域を上部電極248の上方から覆っている。ここで、選択された複数の強誘電体キャパシタ201には、互いに異なるワード線203によりオン/オフが切り替えられる2以上のスイッチング素子202に接続された強誘電体キャパシタ201が含まれ、互いに異なるビット線204に接続された2以上のスイッチング素子202に接続された強誘電体キャパシタ201が含まれる。従って、平面視で、プレート線205の輪郭内に、このプレート線205に接続された複数の強誘電体キャパシタ201及びこれら複数の強誘電体キャパシタ201の間の領域がある。周辺回路領域302では、パターニングされた積層構造導電膜が周辺回路の配線として機能する。パターニングされた積層構造導電膜を覆う層間絶縁膜266が層間絶縁膜253上に形成されている。
このように、第2の実施形態では、プレート線205(積層構造導電膜)が、所定の複数の強誘電体キャパシタ201及びこれら複数の強誘電体キャパシタ201の間の領域を上部電極248の上方から覆っている。このため、層間絶縁膜266の形成及び上方の配線層等の形成の際に強誘電体キャパシタ201が受ける工程劣化を著しく抑制することができる。従って、強誘電体キャパシタ201を微細化しても十分な分極電荷量を得ることができる。
また、本実施形態では、強誘電体キャパシタ201が、ビット線204として機能する配線228より上方にある。つまり、COB(capacitor over bit line)構造が採用されている。そして、COB構造が採用されているため、プレート線205(積層構造導電膜)が所定の複数の強誘電体キャパシタ201及びこれら複数の強誘電体キャパシタ201の間の領域を上方から覆った構造が極めて有効である。
なお、プレート線205が上方から覆う強誘電体キャパシタ201の数は限定されないが、より多数の強誘電体キャパシタ及びこれら複数の強誘電体キャパシタ201の間の領域が一つのプレート線205により覆われていることが好ましい。つまり、一つの半導体装置に含まれるプレート線205の数が少なく、プレート線205間の隙間がより小さいことが好ましい。
例えば、縦横に100個ずつ、総計で10000個の強誘電体キャパシタが設けられている場合に、これらが、縦横に50個ずつ、総計で2500個の強誘電体キャパシタからなる4つのブロックに区画され、ブロックごとに1個のプレート線が設けられていてもよい。この場合、各ブロックに含まれる2500個の強誘電体キャパシタは、選択された複数の強誘電体キャパシタの一例であり、各ブロックに含まれる50のワード線及び50のビット線は、それぞれ、互いに異なるワード線、互いに異なるビット線の一例である。
次に、第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法について説明する。図5A乃至図5Gは、第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図である。
先ず、図5Aに示すように、半導体基板211の表面に、トランジスタの活性領域を画定する素子分離領域212を形成する。素子分離領域212としては、例えば、シャロートレンチアイソレーション(STI:shallow trench isolation)を形成する。STIは、半導体基板211の表面に溝を形成し、その中に酸化シリコン等の絶縁膜を埋め込むことにより形成することができる。なお、素子分離領域212として、ロコス(LOCOS:local oxidation of silicon)法で絶縁膜を形成してもよい。次いで、活性領域に不純物を導入することにより、例えばPウェル213を形成する。その後、メモリセル領域301において、この活性領域にスイッチング素子202を形成する。スイッチング素子202としては、例えば図4(a)に示す電界効果トランジスタを形成する。
この電界効果トランジスタの形成では、先ず、活性領域の表面にゲート絶縁膜401を形成する。ゲート絶縁膜401は、例えば、熱酸化により形成することができる。次いで、ゲート絶縁膜401上にゲート電極402を形成する。ゲート電極402は、例えば、半導体基板211の上側全面に非晶質又は多結晶のシリコン膜を形成し、このシリコン膜をフォトリソグラフィ法によりパターニングすることにより形成することができる。その後、ゲート電極402をマスクにして、ゲート電極402の両側のPウェル3にn型不純物をイオン注入することによりn型の不純物注入領域403をエクステンション領域として形成する。続いて、ゲート電極402の側面上に絶縁性のサイドウォール404を形成する。サイドウォール404は、例えば、半導体基板211及びゲート電極402上に絶縁膜を形成し、この絶縁膜をエッチバックすることにより形成することができる。絶縁膜としては、例えば化学気相成長(CVD:chemical vapor deposition)法により酸化シリコン膜を形成する。次いで、サイドウォール404及びゲート電極402をマスクにして、Pウェル3内にn型不純物を不純物注入領域403の形成時よりも高濃度でイオン注入することによりn型の不純物注入領域405を形成する。この結果、不純物注入領域403及び不純物注入領域405を備えたソース/ドレイン領域が得られる。不純物注入領域405の形成後には、ゲート電極402上及び不純物注入領域405上にシリサイド層406を形成する。シリサイド層406の形成時には、スパッタ法によりコバルト膜等の金属膜を形成し、この金属膜を加熱してシリコンと反応させる。そして、金属膜の未反応の部分をウエットエッチングにより除去する。周辺回路領域302においても、同様の電界効果トランジスタ214を形成する。
次いで、スイッチング素子202を覆うカバー膜221を形成する。カバー膜221としては、例えば厚さが約70nmの窒化シリコン膜をプラズマCVD法により形成する。その後、カバー膜221上に層間絶縁膜222を形成する。層間絶縁膜222としては、例えば厚さが約1.1μmの酸化シリコン膜をテトラエトキシシラン(TEOS:tetraethoxysilane)含有ガスを使用したプラズマCVD法により形成する。続いて、層間絶縁膜222の上面を化学機械研磨(CMP:chemical-mechanical polishing)法により研磨して平坦化する。研磨後の層間絶縁膜222の厚さは、例えば半導体基板211の平坦面上で約600nmとする。次いで、層間絶縁膜222及びカバー膜221にシリサイド層406を露出するコンタクトホール223を形成する。コンタクトホール223の形成では、例えば、フォトリソグラフィ法により層間絶縁膜222及びカバー膜221をパターニングする。コンタクトホール223の直径は、例えば0.20μmとする。その後、コンタクトホール223内に導電プラグ224を形成する。導電プラグ224としては、例えば図6(b)に示す導電積層体410と同様の積層構造を有するものを形成する。より具体的には、例えば、コンタクトホール223内にCVD法により密着膜(グルー膜)として厚さが30nmのチタン膜411及び厚さが20nmの窒化チタン膜412を順に形成し、窒化チタン膜412上にCVD法によりタングステン膜413を形成する。そして、層間絶縁膜222の上面が露出するまでタングステン膜413、窒化チタン膜412、及びチタン膜411をCMP法により研磨する。
次いで、図5Bに示すように、層間絶縁膜222及び導電プラグ224上にエッチングストッパ膜225を形成する。エッチングストッパ膜225としては、例えば厚さが約30nmの窒化シリコン膜を形成する。その後、エッチングストッパ膜225上に層間絶縁膜226を形成する。層間絶縁膜226としては、例えば厚さが約350nmの酸化シリコン膜をTEOS含有ガスを使用したプラズマCVD法により形成する。続いて、層間絶縁膜226及びエッチングストッパ膜225のビット線204を形成する予定の領域に、一部の導電プラグ224を露出する開口部227を形成する。開口部227の形成では、例えば、層間絶縁膜226上に犠牲膜として窒化シリコン膜を形成し、フォトレジストのマスクを用いて、この犠牲膜及び層間絶縁膜226にエッチングストッパ膜225まで達する開口部を形成し、マスクを除去し、犠牲膜及びエッチングストッパ膜225をエッチングする。周辺回路領域302においても、導電プラグ224を露出する開口部227を形成する。
開口部227の形成後には、メモリセル領域301において、開口部227内にビット線204として配線228を形成する。配線228としては、例えば図6(b)に示す導電積層体410と同様の積層構造を有するものを形成する。より具体的には、例えば、開口部227内にCVD法により密着膜(グルー膜)として厚さが10nmのチタン膜411及び厚さが20nmの窒化チタン膜412を順に形成し、窒化チタン膜412上にCVD法によりタングステン膜413を形成する。そして、層間絶縁膜226の上面が露出するまでタングステン膜413、窒化チタン膜412、及びチタン膜411をCMP法により研磨する。配線228の形成と並行して、周辺回路領域302では、開口部227内に導電プラグ233が形成される。
配線228及び導電プラグ233の形成後には、層間絶縁膜226及び配線228上に酸化防止膜229を形成する。酸化防止膜229としては、例えば厚さが30nmの窒化シリコン膜を形成する。酸化防止膜229により、後のコンタクトホール231の形成時等における配線228の酸化が防止される。次いで、酸化防止膜229上に緩衝膜230を形成する。緩衝膜230としては、例えば厚さが約200nmの酸化シリコン膜をTEOS含有ガスを使用したプラズマCVD法により形成する。緩衝膜230は、後述のように、強誘電体キャパシタ201を形成するためのエッチングの際に、下方へのダメージを抑制する。緩衝膜230は強誘電体キャパシタ201との密着性を向上することができる。その後、緩衝膜230、酸化防止膜229、層間絶縁膜226、及びエッチングストッパ膜225に導電プラグ224を露出するコンタクトホール231を形成する。コンタクトホール231の形成では、例えば、フォトリソグラフィ法により緩衝膜230、酸化防止膜229、及び層間絶縁膜226をパターニングする。コンタクトホール231の直径は、例えば0.2μmとする。続いて、コンタクトホール231内に導電プラグ232を形成する。導電プラグ232としては、例えば図6(b)に示す導電積層体410と同様の積層構造を有するものを形成する。より具体的には、例えば、コンタクトホール231内にCVD法により密着膜(グルー膜)として厚さが10nmのチタン膜411及び厚さが20nmの窒化チタン膜412を順に形成し、窒化チタン膜412上にCVD法によりタングステン膜413を形成する。そして、緩衝膜230の上面が露出するまでタングステン膜413、窒化チタン膜412、及びチタン膜411をCMP法により研磨する。このとき、緩衝膜230は、CMP法による研磨における膜べりをその内部で止め、その下の酸化防止膜229が研磨されることを防止することができる。
次いで、図5Cに示すように、緩衝膜230及び導電プラグ232上に、例えば厚さが5nmのチタン膜を形成し、RTA(rapid thermal annealing)法による窒化処理を行うことにより、窒化チタン膜241を形成する。CMPの影響によって導電プラグ232の上面が緩衝膜230の上面より低く、凹部が存在することがあるが、この凹部は窒化チタン膜241により消失する。その後、窒化チタン膜241上に窒化アルミニウムチタン膜242を形成する。窒化アルミニウムチタン膜242の形成では、例えば、厚さが40nmの窒化アルミニウムチタン膜を形成し、この窒化アルミニウムチタン膜を厚さが20nm程度となるまでCMP法により研磨し、新たに厚さが25nmの窒化アルミニウムチタン膜を形成する。窒化アルミニウムチタン膜242は酸化耐性を有する。続いて、窒化アルミニウムチタン膜242上に導電膜243、強誘電体膜244、及び導電膜245を形成する。
導電膜243の形成では、例えば、図4(b)に示すように、厚さが30nmのイリジウム膜431、厚さが30nmの酸化イリジウム膜432、及び厚さが50nmの白金膜433を形成する。酸化イリジウム膜432は、密着性の向上、及び配向性のキャンセルに寄与する。白金膜433は配向性の向上に寄与する。
強誘電体膜244の形成では、例えば、図4(b)に示すように、厚さが75nmの強誘電体膜434、例えばPZT(Pb(Zrx,Ti1-x)O3)膜(0<x<1)、を形成し、アルゴン及び酸素の混合ガス雰囲気中でRTA法により熱処理を行う。この熱処理により、強誘電体膜434の結晶が白金膜433の結晶の配向に揃うように配向する。次いで、強誘電体膜434上に厚さが10nmのアモルファス状の強誘電体膜435を形成する。強誘電体膜435の形成を省略してもよい。
導電膜245の形成では、例えば、図4(b)に示すように、厚さが25nmの酸化イリジウム膜436を形成する。酸化イリジウム膜436としては、例えば成膜の時点で結晶化する膜をスパッタ法により形成する。酸化イリジウム膜436の形成では、例えば、圧力を2Pa、基板温度を300℃に設定し、イリジウムターゲットを使用し、反応ガスとしてアルゴン及び酸素の混合ガスを用い、スパッタパワーを例えば1kW〜2kW程度とする。この際に、アルゴンガスと酸素ガスとの流量比は、例えば100対56とする。強誘電体膜435の形成を省略している場合、導電膜245は強誘電体膜434上に形成する。次いで、酸素含有雰囲気中でRTA法により熱処理する。この熱処理では、例えば、アルゴン及び酸素の混合ガスを用い、アルゴンガスと酸素ガスとの流量比を100対1とし、基板温度を725℃、熱処理時間を60秒間に設定する。この熱処理により、酸化イリジウム膜436に含まれるイリジウム原子が強誘電体膜244中に拡散し、強誘電体膜435が結晶化する。
この熱処理後に、酸化イリジウム膜436上に、酸化イリジウム膜436よりも酸化度が高い酸化イリジウム膜437を形成する。酸化イリジウム膜437としては、例えばIrO2膜を形成する。酸化イリジウム膜437の形成温度は100℃以下とすることが好ましい。異常成長を抑制するためである。酸化イリジウムは水素原子を水素ラジカルに活性化する触媒作用を有しており、酸化度が高いほどこの触媒作用は低い。水素ラジカルは強誘電体を還元するため、酸化イリジウムの酸化度が高いほど強誘電体が還元されにくい。従って、酸化イリジウム膜436より酸化度が高い酸化イリジウム膜437を形成することにより、水素ラジカルによる強誘電体膜244の還元を抑制することができる。次いで、酸化イリジウム膜437上に、例えば厚さが80nmのイリジウム膜438を形成する。イリジウム膜438はコンタクト抵抗の低減に寄与する。その後、半導体基板211の裏面を洗浄する。
続いて、図5Dに示すように、導電膜245、強誘電体膜244、導電膜243、窒化アルミニウムチタン膜242、及び窒化チタン膜241のパターニングを行うことにより、上部電極248、容量絶縁膜247、及び下部電極246を備えた強誘電体キャパシタ201を形成する。このとき、下部電極246が導電プラグ232に電気的に接続されるようにする。例えば、下部電極246にイリジウム膜431、酸化イリジウム膜432、白金膜433が含まれ、容量絶縁膜247に強誘電体膜434及び強誘電体膜435が含まれ、上部電極248に酸化イリジウム膜436、酸化イリジウム膜437、及びイリジウム膜438が含まれる。導電膜245、強誘電体膜244、導電膜243、窒化アルミニウムチタン膜242、及び窒化チタン膜241のパターニングでは、導電膜245上にマスク用導電膜及びマスク用絶縁膜を形成し、これらをフォトリソグラフィ法によりパターニングしてハードマスクを形成し、このハードマスクを用いて導電膜245等をエッチングする。このエッチングは緩衝膜230の内部で終了させる。エッチングを緩衝膜230の内部で終了させることにより、下方へのダメージを抑制することできる。マスク用導電膜としては、例えば厚さが約200nmの窒化アルミニウムチタン膜をスパッタ法により形成し、マスク用絶縁膜としては、例えば厚さが約280nmの酸化シリコン膜をTEOS含有ガスを使用したプラズマCVD法により形成する。強誘電体キャパシタ201の形成後に、酸素雰囲気中で350℃の温度で40分間のアニールを行う。
次いで、図5Eに示すように、強誘電体キャパシタ201を覆う保護膜251を緩衝膜230上に形成する。保護膜251としては、例えば厚さが5nm〜20nmの酸化アルミニウム膜をスパッタ法により形成する。その後、保護膜251の形成時に生じたダメージを回復させるために、酸素雰囲気中で500℃〜650℃の温度でアニールを行う。続いて、保護膜252を保護膜251上に形成する。保護膜252としては、例えば厚さが30nm〜100nmの酸化アルミニウム膜を有機金属気相成長(MOCVD:metal organic chemical vapor deposition)法又は原子層堆積(ALD:atomic layer deposition)法により形成する。次いで、層間絶縁膜253を保護膜252上に形成する。層間絶縁膜253としては、例えば厚さが約1400nmの酸化シリコン膜を、TEOS、酸素、及びヘリウムの混合ガスを用いたプラズマCVD法により形成する。層間絶縁膜253として、例えば、絶縁性を有する無機膜等を形成してもよい。
その後、層間絶縁膜253の表面を、例えばCMP法により平坦化する。続いて、N2Oガス又はN2ガス等を用いて発生させたプラズマ雰囲気中で熱処理を行う。熱処理の結果、層間絶縁膜253等の内部の水分が除去されるとともに、層間絶縁膜253等の質が変化し、層間絶縁膜253に水分が入りにくくなる。層間絶縁膜253のCMPによる平坦化後に、例えば厚さが約250nmの酸化シリコン膜をTEOS含有ガスを使用したプラズマCVD法により形成してもよい。この酸化シリコン膜を形成することにより、CMPの影響で、複数の強誘電体キャパシタ201の間にて層間絶縁膜253の表面に凹部が生じていたとしても、この凹部が埋め込まれて平坦な表面が得られる。この酸化シリコン膜を形成した場合も、その後にN2Oガス又はN2ガス等を用いて発生させたプラズマ雰囲気中で熱処理を行うことが好ましい。
次いで、図5Fに示すように、層間絶縁膜253、保護膜252、及び保護膜251に上部電極248を露出するコンタクトホール254を形成する。コンタクトホール254の形成では、例えば、フォトリソグラフィ法により層間絶縁膜253、保護膜252、及び保護膜251をパターニングする。上部電極248上にハードマスクが残存している場合、コンタクトホール254は、例えばハードマスクも貫通するように形成する。また、周辺回路領域302にて、層間絶縁膜253、保護膜252、保護膜251、緩衝膜230、及び酸化防止膜229に導電プラグ233を露出するコンタクトホール255を形成する。コンタクトホール255の形成では、例えば、フォトリソグラフィ法により層間絶縁膜253、保護膜252、保護膜251、緩衝膜230、及び酸化防止膜229をパターニングする。その後、コンタクトホール254内に導電プラグ256を形成し、コンタクトホール255内に導電プラグ257を形成する。導電プラグ256及び導電プラグ257としては、例えば図6(c)に示す導電積層体420と同様の積層構造を有するものを形成する。より具体的には、例えば、コンタクトホール254及びコンタクトホール255内にCVD法により密着膜(グルー膜)として窒化チタン膜421を形成し、窒化チタン膜421上にCVD法によりタングステン膜422を形成する。そして、層間絶縁膜253の上面が露出するまでタングステン膜422及び窒化チタン膜421をCMP法により研磨する。窒化チタン膜421に代えて、チタン膜及び窒化チタン膜の積層体を形成してもよい。
その後、図5Gに示すように、層間絶縁膜253、導電プラグ256、及び導電プラグ257上に、積層構造導電膜を形成する。積層構造導電膜の形成では、例えば、厚さが60nmのチタン膜261、厚さが30nmの窒化チタン膜262、厚さが360nmのAlCu合金膜263、厚さが5nmのチタン膜264、及び厚さが70nmの窒化チタン膜265を順にスパッタ法により形成する。続いて、フォトリソグラフィ法により積層構造導電膜をパターニングすることにより、積層構造導電膜を含む配線をメモリセル領域301内及び周辺回路領域302内に形成する。このとき、メモリセル領域301内では、積層構造導電膜をプレート線205の形状に形成する。次いで、これら配線を覆う層間絶縁膜266を層間絶縁膜253上に形成する。そして、さらに上層の配線及び層間絶縁膜等を形成して半導体装置を完成させる。
なお、半導体装置に含まれる配線層の数は特に限定されない。例えば、図7に示すように、上部電極248より上方に3つの配線層が設けられていてもよい。すなわち、この例では、チタン膜261、窒化チタン膜262、AlCu合金膜263、チタン膜264、及び窒化チタン膜265のプレート線205が一つの配線層に含まれている。層間絶縁膜266上に、チタン膜271、窒化チタン膜272、AlCu合金膜273、チタン膜274、及び窒化チタン膜275を含む第2の配線が形成され、この第2の配線を覆う層間絶縁膜276が層間絶縁膜266上に形成されている。第2の配線が他の一つの配線層に含まれている。層間絶縁膜276上に、チタン膜281、窒化チタン膜282、AlCu合金膜283、チタン膜284、及び窒化チタン膜285を含む第3の配線が形成され、この第3の配線を覆う層間絶縁膜286が層間絶縁膜276上に形成されている。第3の配線がもう一つの配線層に含まれている。例えば、第2の配線はワード線103、すなわちスイッチング素子202のゲート電極402に並列に接続され、第3の配線はプレート線205、すなわちAlCu合金膜273等と並列に接続される。このように、上部電極248より上方に複数の配線層がある場合、プレート線205は、そのうちで最も下方に位置することが好ましい。第2の配線及び第3の配線は裏打ちとよばれることがある。
また、図7に示す例における強誘電体キャパシタ201の平面形状を、一辺の長さが0.7μmの正方形として分極電荷量を測定した結果、図8に示すように、強誘電体メモリを動作させるために十分な分極電荷量を得ることができた。図7に示す例では、プレート線205が、ワード線203を共有する強誘電体キャパシタ201及びビット線204を共有する強誘電体キャパシタ201及びこれら強誘電体キャパシタ201の間の領域を上方から覆っているのに対し、第1の比較例では、プレート線はワード線を共有する強誘電体キャパシタの直上方に位置し、ワード線が並ぶ方向では、ワード線間の領域の上方にプレート線は存在しない。つまり、図7に示す例では、複数のワード線203に対応するように一つのプレート線205が形成されているのに対し、第1の参考例では、このプレート線205がワード線203毎に分割されたような形態となっている。
次に、プレート線の形状と分極電荷量との関係に関して本願発明者が行った実験の結果について説明する。
第1の実験では、図9に示す4種類のプレート線について実験を行った。図9に示す例11、例12、例13、例14では、上部電極701の平面形状を一辺の長さが1.5μmの正方形とした。そして、図9(a)に示す例11では、平面形状が一辺の長さが1μmの正方形のプレート線702を、平面視で各上部電極701の内側に位置するように配置した。図9(b)に示す例12では、平面形状が上部電極701のそれと一致するプレート線702を上部電極701と輪郭が一致するように配置した。図9(c)に示す例13では、プレート線702の輪郭が各上部電極701の輪郭からはみ出るようにプレート線702を配置した。図9(d)に示す例14では、一つのプレート線702が複数の上部電極701及びそれらの間の領域を覆うように配置した。これら4つの例における分極電荷量の測定結果を図10に示す。
図10に示すように、例14において極めて優れた分極電荷量が得られた。また、プレート線の面積が大きくなるほど、分極電荷量が高くなる傾向が確認された。
第2の実験では、図9(c)に示す例13のプレート線702を用い、更に、その上方の配線層に、複数の上部電極701及びそれらの間の領域を覆うように金属膜を形成した。例22では、プレート線702より4つ上の配線層に金属膜を形成した。例23では、プレート線702より3つ上の配線層に金属膜を形成した。例24では、プレート線702より2つ上の配線層に金属膜を形成した。例25では、プレート線702より1つ上の配線層に金属膜を形成した。例21では、プレート線702のみを形成し、それより上方には金属膜を形成しなかった。これら5つの例における分極電荷量の測定結果を図11に示す。
図11に示すように、プレート線702以外に金属膜を形成しなかった例21の分極電荷量が最も低く、他の4つの例では、プレート線702に近い位置に金属膜が形成されているものほど、分極電荷量が高くなる傾向が確認された。
第3の実験では、図9(d)に示す例14のプレート線702を用い、更に、その上方の配線層に、複数の上部電極701及びそれらの間の領域を覆うように金属膜を形成した。例32では、プレート線702より4つ上の配線層に金属膜を形成した。例33では、プレート線702より3つ上の配線層に金属膜を形成した。例34では、プレート線702より2つ上の配線層に金属膜を形成した。例35では、プレート線702より1つ上の配線層に金属膜を形成した。例36では、プレート線702より1つ上の配線層から4つ上の配線層まで4つの配線層に金属膜を形成した。例31では、プレート線702のみを形成し、それより上方には金属膜を形成しなかった。これら6つの例における分極電荷量の測定結果を図12に示す。
図12に示すように、例31〜例36の間に顕著な相違はないことが確認された。このことは、最も下方の配線層に例14のプレート線702が形成されていれば、それよりも上方の配線の形状にかかわらず、極めて優れた分極電荷量が得られることを意味している。
また、図13に示すように、強誘電体キャパシタ201とプレート線205を構成する配線との間に存在する酸化シリコン膜等の層間絶縁膜253中に酸化アルミニウム膜等の保護膜258が形成されていてもよい。保護膜258により、より一層強誘電体キャパシタ201の工程劣化を抑制することができる。
また、メモリセル領域301にダミーセルが含まれていてもよく、この場合、ダミーセルもプレート線205により覆われていることが好ましい。
なお、上部電極の材料は上記のものに限定されず、例えば酸化ストロンチウムルテニウム(SRO)、イリジウム、酸化イリジウム、白金を使用することができる。プレート線の材料も上記のものに限定されず、例えばアルミニウム、銅、タングステン、チタン、窒化チタン等を使用することができる。プレート線の材料としては、上部電極の材料よりも、容量絶縁膜を還元する物質を活性化する触媒作用が低いものを用いることが好ましい。導電プラグの材料も上記のものに限定されず、例えばタングステン、チタン等を使用することができる。導電プラグの材料としては高融点金属が好ましい。強誘電体膜(容量絶縁膜)の材料も上記のものに限定されず、例えばPZT、並びにPZTにカルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、ランタン(La)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、イリジウム(Ir)、及びタングステン(W)からなる群から選択された一種以上が添加されたものを使用することができる。また、SrBi2Ta29、SrBi4Ti415、(Bi,La)4Ti312、BiFeO3等のビスマス(Bi)層状構造化合物を強誘電体膜(容量絶縁膜)の材料に使用することもできる。
このような強誘電体メモリを備えた半導体装置は、例えば、計測機器、産業機械、及び補聴器に用いられる。補聴器等の医療機器においては、EEPROMを使用したデバイスを、強誘電体メモリを使用したデバイスに置き換えるとこで、高速な書き込みが可能になり、瞬時電圧低下及び停電によるデータ損失のリスクを抑えることも可能になる。更に、書き込み時の消費電力量は、EEPROMと比較して92%程度削減することが可能なため、電池を使用したデバイスに組み込んだ場合、電池を長期間にわたって使用することが可能となる。
また、ガンマ線の照射による滅菌処理が行われる検体容器等に付するICタグ(integrated circuit:集積回路)に使用することもできる。例えば、ガンマ線の照射による滅菌処理が行われる検体容器等の容器の管理にバーコードが使用されることがある。その一方で、これら容器は低温環境又は冷凍環境で保管されることがあり、その際に水滴又は霜等が付着することも多い。水滴又は霜等が付着すると、バーコードの正確な読み取りが難しくなることがある。そこで、水滴又は霜等の影響を排除できるように、バーコードに代えて非接触での読み取りが可能なIC(integrated circuit:集積回路)タグを用いた管理について検討がされている。しかし、EEPROMを搭載したICチップを実装したICタグでは、ガンマ線の照射でICチップのデータが消失されてしまう。これに対し、強誘電体メモリを備えた半導体装置は、ガンマ線の照射に対する耐性を有している。
以下、本発明の諸態様を付記としてまとめて記載する。
(付記1)
下部電極、容量絶縁膜、及び上部電極を有する複数の強誘電体キャパシタと、
それぞれが前記複数の強誘電体キャパシタに接続された複数のスイッチング素子と、
それぞれが前記複数のスイッチング素子のうちのいずれか2以上のオン/オフを切り替える複数のワード線と、
それぞれが前記複数のスイッチング素子のうちのいずれか2以上に接続された複数のビット線と、
前記複数の強誘電体キャパシタから選択された複数の強誘電体キャパシタに接続され、前記選択された複数の強誘電体キャパシタ及びこれら選択された強誘電体キャパシタの間の領域を前記上部電極の上方から覆うプレート線と、
を有することを特徴とする半導体装置。
(付記2)
前記選択された複数の強誘電体キャパシタには、互いに異なるワード線によりオン/オフが切り替えられる2以上のスイッチング素子に接続された強誘電体キャパシタが含まれ、互いに異なるビット線に接続された2以上のスイッチング素子に接続された強誘電体キャパシタが含まれることを特徴とする付記1に記載の半導体装置。
(付記3)
前記プレート線の材料の前記容量絶縁膜を還元する物質を活性化する触媒作用は、前記上部電極の材料の前記容量絶縁膜を還元する物質を活性化する触媒作用よりも低いことを特徴とする付記1又は2に記載の半導体装置。
(付記4)
前記プレート線の材料は、アルミニウム、銅、タングステン、チタン、及び窒化チタンからなる群から選択された一種以上を含むことを特徴とする付記3に記載の半導体装置。
(付記5)
前記上部電極の材料は、イリジウム、白金、及びストロンチウムからなる群から選択された一種以上を含むことを特徴とする付記3又は4に記載の半導体装置。
(付記6)
前記上部電極よりも上方に位置する複数の配線層を有し、
前記プレート線は、前記複数の配線層のうちで最も下方のものに含まれることを特徴とする付記1乃至5のいずれか1項に記載の半導体装置。
(付記7)
前記上部電極と前記プレート線との間の層間絶縁膜を有し、
前記上部電極と前記プレート線とは、前記層間絶縁膜に形成された開口部を通じて電気的に接続されていることを特徴とする付記1乃至6のいずれか1項に記載の半導体装置。
(付記8)
前記ビット線は、前記強誘電体キャパシタよりも下方にあることを特徴とする付記1乃至7のいずれか1項に記載の半導体装置。
(付記9)
前記強誘電体キャパシタを直接覆う保護膜を有することを特徴とする付記1乃至8のいずれか1項に記載の半導体装置。
(付記10)
下部電極、容量絶縁膜、及び上部電極を有する複数の強誘電体キャパシタを形成する工程と、
それぞれが前記複数の強誘電体キャパシタに接続される複数のスイッチング素子を形成する工程と、
それぞれが前記複数のスイッチング素子のうちのいずれか2以上のオン/オフを切り替える複数のワード線を形成する工程と、
それぞれが前記複数のスイッチング素子のうちのいずれか2以上に接続される複数のビット線を形成する工程と、
前記複数の強誘電体キャパシタから選択された複数の強誘電体キャパシタに接続され、前記選択された複数の強誘電体キャパシタ及びこれら選択された強誘電体キャパシタの間の領域を前記上部電極の上方から覆うプレート線を形成する工程と、
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
(付記11)
前記選択された複数の強誘電体キャパシタには、互いに異なるワード線によりオン/オフが切り替えられる2以上のスイッチング素子に接続された強誘電体キャパシタが含まれ、互いに異なるビット線に接続された2以上のスイッチング素子に接続された強誘電体キャパシタが含まれることを特徴とする付記10に記載の半導体装置の製造方法。
(付記12)
前記プレート線の材料の前記容量絶縁膜を還元する物質を活性化する触媒作用は、前記上部電極の材料の前記容量絶縁膜を還元する物質を活性化する触媒作用よりも低いことを特徴とする付記10又は11に記載の半導体装置の製造方法。
(付記13)
前記プレート線の材料は、アルミニウム、銅、タングステン、チタン、及び窒化チタンからなる群から選択された一種以上を含むことを特徴とする付記12に記載の半導体装置の製造方法。
(付記14)
前記上部電極の材料は、イリジウム、白金、及びストロンチウムからなる群から選択された一種以上を含むことを特徴とする付記12又は13に記載の半導体装置の製造方法。
(付記15)
前記上部電極よりも上方に複数の配線層を形成し、
前記プレート線は、前記複数の配線層のうちで最も下方のものに含ませることを特徴とする付記10乃至14のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
(付記16)
前記上部電極と前記プレート線との間に層間絶縁膜を形成する工程を有し、
前記上部電極と前記プレート線とを、前記層間絶縁膜に形成された開口部を通じて電気的に接続することを特徴とする付記10乃至15のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
(付記17)
前記ビット線を、前記強誘電体キャパシタよりも下方に形成することを特徴とする付記10乃至16のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
(付記18)
前記強誘電体キャパシタを直接覆う保護膜を形成する工程を有することを特徴とする付記10乃至17のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
101、201:強誘電体キャパシタ
102、202:スイッチング素子
103、203:ワード線
104、204:ビット線
105、205:プレート線

Claims (14)

  1. 下部電極、容量絶縁膜、及び上部電極を有する複数の強誘電体キャパシタと、
    それぞれが前記複数の強誘電体キャパシタに接続された複数のスイッチング素子と、
    それぞれが前記複数のスイッチング素子のうちのいずれか2以上のオン/オフを切り替える複数のワード線と、
    それぞれが前記複数のスイッチング素子のうちのいずれか2以上に接続された複数のビット線と、
    前記複数の強誘電体キャパシタから選択された複数の強誘電体キャパシタに接続され、前記選択された複数の強誘電体キャパシタ及びこれら選択された強誘電体キャパシタの間の領域を前記上部電極の上方から覆うプレート線と、
    を有することを特徴とする半導体装置。
  2. 前記選択された複数の強誘電体キャパシタには、互いに異なるワード線によりオン/オフが切り替えられる2以上のスイッチング素子に接続された強誘電体キャパシタが含まれ、互いに異なるビット線に接続された2以上のスイッチング素子に接続された強誘電体キャパシタが含まれることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
  3. 前記プレート線の材料の前記容量絶縁膜を還元する物質を活性化する触媒作用は、前記上部電極の材料の前記容量絶縁膜を還元する物質を活性化する触媒作用よりも低いことを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置。
  4. 前記プレート線の材料は、アルミニウム、銅、タングステン、チタン、及び窒化チタンからなる群から選択された一種以上を含むことを特徴とする請求項3に記載の半導体装置。
  5. 前記上部電極の材料は、イリジウム、白金、及びストロンチウムからなる群から選択された一種以上を含むことを特徴とする請求項3又は4に記載の半導体装置。
  6. 前記上部電極よりも上方に位置する複数の配線層を有し、
    前記プレート線は、前記複数の配線層のうちで最も下方のものに含まれることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の半導体装置。
  7. 前記上部電極と前記プレート線との間の層間絶縁膜を有し、
    前記上部電極と前記プレート線とは、前記層間絶縁膜に形成された開口部を通じて電気的に接続されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の半導体装置。
  8. 下部電極、容量絶縁膜、及び上部電極を有する複数の強誘電体キャパシタを形成する工程と、
    それぞれが前記複数の強誘電体キャパシタに接続される複数のスイッチング素子を形成する工程と、
    それぞれが前記複数のスイッチング素子のうちのいずれか2以上のオン/オフを切り替える複数のワード線を形成する工程と、
    それぞれが前記複数のスイッチング素子のうちのいずれか2以上に接続される複数のビット線を形成する工程と、
    前記複数の強誘電体キャパシタから選択された複数の強誘電体キャパシタに接続され、前記選択された複数の強誘電体キャパシタ及びこれら選択された強誘電体キャパシタの間の領域を前記上部電極の上方から覆うプレート線を形成する工程と、
    を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
  9. 前記選択された複数の強誘電体キャパシタには、互いに異なるワード線によりオン/オフが切り替えられる2以上のスイッチング素子に接続された強誘電体キャパシタが含まれ、互いに異なるビット線に接続された2以上のスイッチング素子に接続された強誘電体キャパシタが含まれることを特徴とする請求項8に記載の半導体装置の製造方法。
  10. 前記プレート線の材料の前記容量絶縁膜を還元する物質を活性化する触媒作用は、前記上部電極の材料の前記容量絶縁膜を還元する物質を活性化する触媒作用よりも低いことを特徴とする請求項8又は9に記載の半導体装置の製造方法。
  11. 前記プレート線の材料は、アルミニウム、銅、タングステン、チタン、及び窒化チタンからなる群から選択された一種以上を含むことを特徴とする請求項10に記載の半導体装置の製造方法。
  12. 前記上部電極の材料は、イリジウム、白金、及びストロンチウムからなる群から選択された一種以上を含むことを特徴とする請求項10又は11に記載の半導体装置の製造方法。
  13. 前記上部電極よりも上方に複数の配線層を形成し、
    前記プレート線は、前記複数の配線層のうちで最も下方のものに含ませることを特徴とする請求項8乃至12のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
  14. 前記上部電極と前記プレート線との間に層間絶縁膜を形成する工程を有し、
    前記上部電極と前記プレート線とを、前記層間絶縁膜に形成された開口部を通じて電気的に接続することを特徴とする請求項8乃至13のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
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