JP2015147924A - 改質含フッ素共重合体及びフッ素樹脂成形品 - Google Patents

改質含フッ素共重合体及びフッ素樹脂成形品 Download PDF

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Abstract

【課題】耐クラック性及び耐熱性に優れた改質含フッ素共重合体及びフッ素樹脂成形品を提供する。
【解決手段】共重合体に放射線を、上記共重合体の融点以下の温度で照射することにより得られる改質含フッ素共重合体であって、上記共重合体は、テトラフルオロエチレン単位とパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)単位とからなる共重合体、及び、テトラフルオロエチレン単位とヘキサフルオロプロピレン単位とからなる共重合体からなる群より選択される少なくとも1種の共重合体であり、かつ、官能基を合計で炭素原子10個あたり10〜10000個有することを特徴とする改質含フッ素共重合体。
【選択図】なし

Description

本発明は、改質含フッ素共重合体及びフッ素樹脂成形品に関する。
含フッ素共重合体は、耐熱性、耐薬品性、耐候性、耐汚染性などに優れ、半導体、自動車、建築、電気・電子、化学プラント、医薬関連等の様々な分野で用いられている。
このような含フッ素共重合体の、耐熱性や機械的特性、耐放射線性等といった諸特性を更に改善する方法が種々検討されている。
含フッ素共重合体の改質方法の一つとして、放射線を照射することが知られている。このような改質方法としては、一般に、含フッ素共重合体を融点以上に加熱して、放射線を照射する方法が知られている(特許文献1〜2)。
しかしながら、含フッ素共重合体を成形した後、得られた成形品に該含フッ素共重合体の融点温度以上に加熱して放射線を照射すると、成形品の形状が変化してしまうといった問題があった。また、放射線の照射によるフッ素樹脂の劣化が大きくなり、所望の機械的特性が充分得られないといった問題があった。
特許文献3には、予め加熱することなく、粒子加速器から100kGy/sec以上の高線量率の電離性放射線を照射線量200kGy〜100MGyの範囲で照射所定の照射線量の電離性放射線を照射することによって該樹脂を架橋し、簡便かつ短時間に、耐熱、耐薬品性を改善させた改質フッ素樹脂の製造方法が開示されている。
特許文献4には、0〜150℃、または、0℃から結晶分散温度まで加熱されたフッ素樹脂に、照射量が5Gy〜500kGyで電離性放射線を照射し、照射されたフッ素樹脂を所定の温度で所定時間保持することにより、耐熱劣化特性及び耐圧縮歪み特性を改善したことが開示されている。
特許文献5〜7には、特定範囲の結晶融解熱量を有するテトラフルオロエチレン−パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体又は該共重合体を含む組成物を、100℃以下の照射条件下で、10kGy以上の電離性放射線を照射したことが開示されている。
特許文献8には、フッ素樹脂と接着し難い金属基材上に、フッ素樹脂を塗布等して、200℃〜400℃で電離放射線を照射して架橋させ、該基材から該フッ素樹脂を剥離または分離等をすることにより、改質フッ素樹脂成形体を得る方法が開示されている。
特許文献9には、基材上にフッ素樹脂層を形成した後、該フッ素樹脂層を、フッ素樹脂の融点より150℃高い温度までの範囲内の温度に加熱して焼成し、焼成した未架橋フッ素樹脂層の温度を、フッ素樹脂の融点(Tm)より60℃低い温度から該融点より1℃低い温度までの範囲内の温度にして、放射線を照射して架橋することにより、耐摩耗性や基材との密着性に優れた架橋フッ素樹脂層を有する複合材料の製造方法が開示されている。
特許文献10には、フッ素樹脂の融点以上の温度において熱的安定性を有する基材が、架橋したフッ素樹脂膜により被覆された改質フッ素樹脂被覆材であって、フッ素樹脂の架橋が250〜400℃の範囲の温度で電離性放射線により行われることが開示されている。
特開平11−49867号公報 特開2000−186162号公報 特開平11−349711号公報 特開2002−327068号公報 特開2007−137982号公報 特開2008−231330号公報 特開2008−231331号公報 特開2002−30166号公報 特開2010−155443号公報 特開2011−105012号公報
しかしながら、これらの従来の改質方法で得られる含フッ素共重合体は、耐クラック性及び耐熱性が未だ不充分であった。
本発明は、上記現状に鑑みて、耐クラック性及び耐熱性に優れた改質含フッ素共重合体及びフッ素樹脂成形品を提供することを目的とする。
本発明者らは、放射線を照射する含フッ素共重合体に官能基を導入することによって、低温かつ低照射線量で放射線を照射して、含フッ素重合体の耐クラック性及び耐熱性を向上させることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、共重合体に放射線を、上記共重合体の融点以下の温度で照射することにより得られる改質含フッ素共重合体であって、上記共重合体は、テトラフルオロエチレン単位とパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)単位とからなる共重合体、及び、テトラフルオロエチレン単位とヘキサフルオロプロピレン単位とからなる共重合体からなる群より選択される少なくとも1種の共重合体であり、かつ、官能基を合計で炭素原子10個あたり10〜10000個有することを特徴とする改質含フッ素共重合体である。
上記官能基は、−CF=CF、−CFH、−COF、−COOH、−COOCH、−CONH及び−CHOHからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
上記官能基は、−CHCFH、−CHCOF、−CHCOOH、−CHCOOCH、−CHCONH及び−CHOHからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
本発明は、上述の改質含フッ素共重合体からなることを特徴とするフッ素樹脂成形品でもある。
上記成形品は、ポリテトラフルオロエチレンを更に含むことが好ましい。
本発明はまた、共重合体を成形する工程、及び、成形された上記共重合体に放射線を照射する工程を有する成形品の製造方法により得られるフッ素樹脂成形品であって、上記共重合体は、テトラフルオロエチレン単位とパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)単位とからなる共重合体、及び、テトラフルオロエチレン単位とヘキサフルオロプロピレン単位とからなる共重合体からなる群より選択される少なくとも1種の共重合体であり、官能基を合計で炭素原子10個あたり10〜10000個有することを特徴とするフッ素樹脂成形品でもある。
上記官能基は、−CF=CF、−CFH、−COF、−COOH、−COOCH、−CONH及び−CHOHからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
上記官能基は、−CHCFH、−CHCOF、−CHCOOH、−CHCOOCH、−CHCONH及び−CHOHからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
上記官能基は、−CH−、−CH、−CHCH、−CN、−OCH及び−SOHからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
上記成形品は、ポリテトラフルオロエチレンを更に含むことが好ましい。
本発明によれば、耐クラック性及び耐熱性に優れた改質含フッ素共重合体及びフッ素樹脂成形品を得ることができる。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明の改質含フッ素共重合体は、共重合体に放射線を、上記共重合体の融点以下の温度で照射することにより得られる。また、本発明のフッ素樹脂成形品は、共重合体を成形する工程、及び、成形された前記共重合体に放射線を照射する工程を有する成形品の製造方法により得られる。
上記共重合体は、官能基を合計で炭素原子10個あたり10〜10000個有する。官能基の個数は、炭素原子10個あたり50個以上であることが好ましく、100個以上であることがより好ましく、9000個以下であることが好ましい。
官能基の個数が少なすぎると、改質含フッ素共重合体及び成形品の耐クラック性及び耐熱性を十分に向上させることができない。官能基の個数が多すぎると、熱安定性が低下して官能基の分解によるガス発泡により成形品に気泡が残り、成形が困難になる。
上記官能基は、共重合体の主鎖末端又は側鎖末端に存在する官能基、及び、主鎖中又は側鎖中に存在する官能基である。
上記主鎖中に存在する官能基は、主鎖炭素に直接結合している官能基である。
上記側鎖中に存在する官能基は、側鎖末端でない側鎖中に存在する官能基である。
上記官能基は、共重合体の主鎖末端又は側鎖末端に存在する官能基であることが好ましい。
主鎖末端に存在する官能基は、共重合体の分子量によりその個数が決まる。その個数の上限は、耐クラック性と熱安定性に優れる点から、炭素原子10個あたり1000個が好ましく、500個がより好ましい。
側鎖末端に存在する官能基は、共重合体組成によりその個数が決まる。その個数の上限は、耐クラック性と熱安定性に優れる点から、炭素原子10個あたり10000個が好ましい。
上記官能基は、−CF=CF、−CFH、−COF、−COOH、−COOCH、−CONH及び−CHOHからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
上記官能基は、−CHCFH、−CHCOF、−CHCOOH、−CHCOOCH、−CHCONH及び−CHOHからなる群より選択される少なくとも1種であることがより好ましい。
上記官能基は、−CFH、−COF、−COOH及び−CHOHからなる群より選択される少なくとも1種であることが更に好ましく、−CHOHであることが特に好ましい。
上記官能基は、−CH−、−CH、−CHCH3、−CN、−OCH及び−SOHからなる群より選択される少なくとも1種であっても良い。
上記官能基を共重合体に導入する方法は公知である。例えば、単量体を重合する際に連鎖移動剤を使用する方法や、重合を開始させるために重合開始剤を使用する方法が挙げられる。連鎖移動剤としてメタンやエタンを使用すれば共重合体の主鎖末端に−CH3、−CHCHを導入することができ、アルコールを使用すれば、共重合体の主鎖末端に−CHOHを導入することができる。また、重合開始剤として−CHOHの構造を有する過酸化物を使用することによっても、共重合体の主鎖末端に−CHOHを導入することができる。また、重合開始剤として過硫酸塩を使用すると、主鎖末端に−COOHが導入された共重合体を得ることができ、この共重合体をアンモニアと接触させることで、−COOHを−CONHに変換することができる。
また、官能基を有する単量体を重合することによっても、上記官能基を共重合体の側鎖末端に導入することができる。官能基を有する単量体としては、−CF=CF、−CFH、−COF、−COOH、−COOCH、−CONH及び−CHOHからなる群より選択される少なくとも1種を有する単量体が好ましく、−CHCFH、−CHCOF、−CHCOOH、−CHCOOCH、−CHCONH及び−CHOHからなる群より選択される少なくとも1種を有する単量体がより好ましく、−CFH、−COF、−COOH及び−CHOHからなる群より選択される少なくとも1種を有する単量体が更に好ましく、−CHOHであることが特に好ましい。
また、官能基を有する単量体としては、−CH−、−CH、−CHCH、−CN、−OCH及び−SOHからなる群より選択される少なくとも1種を有する単量体であっても良い。
上記官能基を有する単量体としては、下記式:
CX =CX−R−T
(X及びXは同じか又は異なり、水素原子又はフッ素原子であり、Rは炭素数1〜40の2価のアルキレン基、炭素数1〜40の含フッ素オキシアルキレン基、炭素数2〜40のエーテル結合を含む含フッ素アルキレン基又は炭素数2〜40のエーテル結合を含む含フッ素オキシアルキレン基を表わし、Tは上記の官能基を表す。)で示される単量体(x)が好ましい。
Tとしては、−CF=CF、−CFH、−COF、−COOH、−COOCH、−CONH及び−CHOHからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、−CHCFH、−CHCOF、−CHCOOH、−CHCOOCH、−CHCONH及び−CHOHからなる群より選択される少なくとも1種であることがより好ましく、−CHOHであることが更に好ましい。
また、Tとしては、−CH、−CHCH、−CN、−OCH及び−SOHからなる群より選択される少なくとも1種であっても良い。
上記共重合体としては、主鎖末端、側鎖末端、主鎖中及び側鎖中のいずれにも官能基を有するものが特に好ましい。このような共重合体は、例えば、重合開始剤として過酸化物を使用し、単量体(x)を含む単量体組成物を重合することによって、製造することができる。
従来のPFAの一部もこれらの官能基を有していることがある。耐熱性の高い成形品を得る場合、耐熱性の高い共重合体を選択することが一般的であり、従って、成形温度が高くなる。官能基を有する共重合体を高温で成形すると、官能基が分解することによって、成形品に発泡が生じたり、成形品が着色したりする不具合が発生する。この不具合を抑制するため、耐熱性の高い成形品を得る場合は、共重合体が有する官能基を安定な官能基に変換してから、成形することが一般的である。本発明者らは、このような技術常識に反し、含フッ素共重合体に官能基を積極的に導入することによって、耐クラック性及び耐熱性を向上させることができることを見出した。
含フッ素共重合体に官能基を積極的に導入することによって、従来の放射線の照射条件に比べて低温かつ低照射量であっても十分な改質効果が得られるため、放射線の照射後にも発泡や着色が生じにくく、比較的耐熱性の低い共重合体を選択して低温で成形しても耐熱性の高い成形品を得ることができる点で有利である。
上記官能基の同定及び個数は、赤外分光分析法により測定することができる。
官能基数については、具体的には、以下の方法で測定する。
まず、上記含フッ素共重合体を330〜340℃にて30分間溶融し、圧縮成形して、厚さ0.25〜0.3mmのフィルムを作製する。このフィルムをフーリエ変換赤外分光分析により分析して、上記含フッ素共重合体の赤外吸収スペクトルを得、完全にフッ素化されて官能基が存在しないベーススペクトルとの差スペクトルを得る。この差スペクトルに現れる特定の官能基の吸収ピークから、下記式(A)に従って、上記含フッ素共重合体における炭素原子1×10個あたりの官能基数Nを算出する。
N=I×K/t (A)
I:吸光度
K:補正係数
t:フィルムの厚さ(mm)
参考までに、本明細書における官能基について、吸収周波数、モル吸光係数及び補正係数を表1に示す。また、モル吸光係数は低分子モデル化合物のFT−IR測定データから決定したものである。
Figure 2015147924
なお、−CHCFH、−CHCOF、−CHCOOH、−CHCOOCH、−CHCONHの吸収周波数は、それぞれ表中に示す、−CFH、−COF、−COOHfreeと−COOHbonded、−COOCH、−CONHの吸収周波数から数十カイザー(cm−1)低くなる。
従って、例えば、−COFの官能基数とは、−CFCOFに起因する吸収周波数1883cm−1の吸収ピークから求めた官能基数と、−CHCOFに起因する吸収周波数1840cm−1の吸収ピークから求めた官能基数との合計である。
上記共重合体は、テトラフルオロエチレン単位(TFE単位)とパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)単位(PAVE単位)とからなる共重合体(以下、TFE/PAVE共重合体という)、及び、TFE単位とヘキサフルオロプロピレン単位(HFP単位)とからなる共重合体(以下、TFE/HFP共重合体という)からなる群より選択される少なくとも1種の共重合体である。
上記TFE/PAVE共重合体を構成するPAVEとしては、一般式(1):
CF=CFO(CFCFYO)−(CFCFCFO)−R (1)
(式中、YはF又はCFを表し、Rは炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基を表す。pは0〜5の整数を表し、qは0〜5の整数を表す。)、及び、一般式(2):
CFX=CXOCFOR (2)
(式中、Xは、同一又は異なり、H、F又はCFを表し、Rは、直鎖又は分岐した、H、Cl、Br及びIからなる群より選択される少なくとも1種の原子を1〜2個含んでいてもよい炭素数が1〜6のフルオロアルキル基、若しくは、H、Cl、Br及びIからなる群より選択される少なくとも1種の原子を1〜2個含んでいてもよい炭素数が5又は6の環状フルオロアルキル基を表す。)
からなる群より選択される少なくとも1種を挙げることができる。
共重合体がPAVE単位を含むと、更に耐クラック性及び耐熱性を改善することができる。これは、アルコキシ基という多数の大きな側鎖が低温であっても大きく分子運動することから、放射線を照射することによる効果が低温であっても充分に得られるためであると推測される。
なかでも、上記PAVEとしては、バルキーな側鎖を有するものが好ましく、具体的には、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PPVE)が好ましい。
上記TFE/PAVE共重合体は、PAVEに基づく重合単位を全重合単位に対して1.0〜10質量%含むことが好ましい。
上記PAVEに基づく重合単位の量は、全重合単位に対して、2.0質量%以上がより好ましく、3.5質量%以上が更に好ましく、4.0質量%以上が特に好ましく、5.0質量%以上が最も好ましく、8.0質量%以下がより好ましく、7.0質量%以下が更に好ましく、6.5質量%以下が特に好ましく、6.0質量%以下が最も好ましい。
なお、上記PAVEに基づく重合単位の量は、19F−NMR法により測定する。
上記TFE/PAVE共重合体は、融点が280〜322℃であることが好ましい。
上記融点は、290℃以上であることがより好ましく、315℃以下であることがより好ましい。
上記融点は、示差走査熱量計〔DSC〕を用いて10℃/分の速度で昇温したときの融解熱曲線における極大値に対応する温度である。
上記TFE/PAVE共重合体は、ガラス転移温度(Tg)が70〜110℃であることが好ましい。
上記ガラス転移温度は、80℃以上がより好ましく、100℃以下がより好ましい。
上記ガラス転移温度は、動的粘弾性測定により測定して得られる値である。
上記TFE/PAVE共重合体は、例えば、その構成単位となるモノマーや、重合開始剤等の添加剤を適宜混合して、乳化重合、懸濁重合を行う等の従来公知の方法により製造することができる。
上記TFE/HFP共重合体は、テトラフルオロエチレン(TFE)単位及びヘキサフルオロプロピレン(HFP)単位を含む。
上記TFE/HFP共重合体は、TFE単位とHFP単位との質量比(TFE/HFP)が70〜99/1〜30(質量%)であることが好ましい。
上述の範囲内であると、耐クラック性に優れた改質フッ素樹脂混合物を得ることができる。
上記質量比(TFE/HFP)は、85〜95/5〜15(質量%)がより好ましい。
上記TFE/HFP共重合体は、更に、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(PAVE)単位を含むことが好ましい。PAVE単位を更に含むことにより、より耐クラック性を改善することができる。
上記TFE/HFP共重合体に含まれるPAVE単位としては、上述したTFE/PAVE共重合体を構成するPAVE単位と同様のものを挙げることができる。
なかでも、耐クラック性の改善に優れている点で、PPVEがより好ましい。
上述したTFE/PAVE共重合体は、HFP単位を含まないので、その点で、TFE/HFP/PAVE共重合体とは異なる。
上記TFE/HFP共重合体が、TFE単位、HFP単位、及び、PAVE単位を含む共重合体である場合(以下、「TFE/HFP/PAVE共重合体」ともいう)、質量比(TFE/HFP/PAVE)が70〜99.8/0.1〜25/0.1〜25(質量%)であることが好ましい。上記範囲内であると、耐熱性、耐薬品性に優れている。
上記質量比(TFE/HFP/PAVE)は、75〜98/1.0〜15/1.0〜10(質量%)であることがより好ましい。
上記TFE/HFP/PAVE共重合体は、HFP単位及びPAVE単位を合計で1質量%以上含む。
上記TFE/HFP/PAVE共重合体は、HFP単位が全単量体単位の25質量%以下であることが好ましい。
HFP単位の含有量が上述の範囲内であると、耐熱性に優れたフッ素樹脂成形品を得ることができる。
HFP単位の含有量は、20質量%以下がより好ましく、18質量%以下が更に好ましい。特に好ましくは15質量%以下である。また、HFP単位の含有量は、0.1質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましい。特に好ましくは、2質量%以上である。
なお、HFP単位の含有量は、19F−NMR法により測定することができる。
PAVE単位の含有量は、20質量%以下がより好ましく、10質量%以下が更に好ましい。特に好ましくは3質量%以下である。また、PAVE単位の含有量は、0.1質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましい。なお、PAVE単位の含有量は、19F−NMR法により測定することができる。
上記TFE/HFP共重合体は、更に、他のエチレン性単量体(α)単位を含んでいてもよい。
他のエチレン性単量体(α)としては、TFE単位、HFP単位及びPAVE単位と共重合可能な単量体単位であれば特に限定されず、例えば、フッ化ビニル(VF)、フッ化ビニリデン(VdF)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、エチレン(ETFE)等の含フッ素エチレン性単量体や、エチレン、プロピレン、アルキルビニルエーテル等の非フッ素化エチレン性単量体等が挙げられる。
上記共重合体がTFE/HFP/PAVE/他のエチレン性単量体(α)共重合体である場合、質量比(TFE/HFP/PAVE/他のエチレン性単量体(α))は、70〜98/0.1〜25/0.1〜25/0.1〜25(質量%)であることが好ましい。
上記TFE/HFP共重合体は、TFE単位以外の重合単位を合計で1質量%以上含む。
上記TFE/HFP共重合体は、融点が200〜322℃であることが好ましい。融点が200℃未満であると、放射線を照射することによる効果が十分に現れないおそれがある。322℃を超えると、主鎖切断による低分子化が起こり、機械強度が大きく低下するおそれがある。上記融点は、220℃以上であることがより好ましく、300℃以下であることがより好ましく、280℃以下であることが更に好ましい。
上記融点は、示差走査熱量計〔DSC〕を用いて10℃/分の速度で昇温したときの融解熱曲線における極大値に対応する温度である。
上記共重合体は、上述した単量体(x)に基づく重合単位を、単量体(x)以外の単量体に基づく重合単位の合計に対して、0.01〜4質量%有するものであってもよい。
上記TFE/HFP共重合体は、ガラス転移温度(Tg)が60〜110℃であることが好ましい。
上記ガラス転移温度は、65℃以上であることがより好ましく、100℃以下であることがより好ましい。
上記ガラス転移温度は、動的粘弾性測定により測定して得られる値である。
上記TFE/HFP共重合体は、例えば、その構成単位となるモノマーや、重合開始剤等の添加剤を適宜混合して、乳化重合、溶液重合や懸濁重合を行う等の従来公知の方法により製造することができる。
上記共重合体は、上記TFE/PAVE共重合体及び上記TFE/HFP共重合体であることも好ましい。すなわち、上記TFE/PAVE共重合体と上記TFE/HFP共重合体とを混合して使用することも可能である。上記TFE/PAVE共重合体と上記TFE/HFP共重合体との質量比((A)/(B))は、1/9〜7/3であることが好ましい。上記混合比が上述の範囲内であると、耐クラック性に優れた改質フッ素樹脂混合物が得られる。
上記質量比は、5/5〜2/8がより好ましい。上記TFE/PAVE共重合体に比べ、一般的に耐クラック性に劣る上記TFE/HFP共重合体の比率が高いことで、従来より改善が望まれた上記TFE/HFP共重合体の耐クラック性を大きく改善しつつ、高い絶縁性などの上記TFE/HFP共重合体の特性を併せ持つ素材を得ることができる。
上記フッ素樹脂の混合物は、融点の異なる上記フッ素樹脂を2種以上混合して溶融混合(溶融混練)したり、乳化重合後の樹脂分散液を混合し、硝酸などの酸で凝析して樹脂を回収する等の公知の方法により調製するとよい。溶融混合は、融点が相違する2種以上のフッ素樹脂のうち、融点が最も高いフッ素樹脂の融点以上の温度で行うことができる。
上記共重合体は、いずれも372℃におけるメルトフローレート(MFR)が0.1〜100g/10分であることが好ましい。MFRが上述の範囲であると、放射線を照射することによる効果が顕著である。
上記MFRは、0.5g/10分以上がより好ましく、80g/10分以下がより好ましく、40g/10分以下が更に好ましい。上記MFRは、ASTM D1238に従って、メルトインデクサー((株)安田精機製作所製)を用いて、372℃、5kg荷重下で内径2mm、長さ8mmのノズルから10分間あたりに流出するポリマーの質量(g/10分)として得られる値である。
上記共重合体への放射線の照射は、上記共重合体の融点以下の温度で行う。照射温度は、共重合体の融点よりも20℃超低い温度以下であることが好ましい。また、0℃以上が好ましく、室温以上であることがより好ましく、80℃以上であることが更に好ましく、100℃以上であることが最も好ましく、280℃以下であることがより好ましく、200℃以下であることが更に好ましく、150℃以下であることが最も好ましい。
本発明では、共重合体が官能基を有することから、架橋反応が起こり易くなる為に、従来の放射線の照射条件よりも低温で照射しても、十分に耐クラック性及び耐熱性を改善することができる。従って、共重合体を所望の形状に成形した後でも、成形品の形状を損なうことなく放射線を照射することができる。
上記照射温度の調整は、特に限定されず、公知の方法で行うことができる。具体的には、例えば、上記共重合体を所定の温度に維持した加熱炉内で保持する方法や、ホットプレート上に載せて、ホットプレートに内蔵した加熱ヒータに通電するか、外部の加熱手段によってホットプレートを加熱する等の方法が挙げられる。
放射線としては、電子線、紫外線、ガンマ線、X線、中性子線、あるいは高エネルギーイオン等が挙げられる。なかでも、透過力が優れており、線量率が高く、工業的生産に好適である点で電子線が好ましい。
放射線を照射する方法としては、特に限定されず、従来公知の放射線照射装置を用いて行う方法等が挙げられる。
放射線の照射線量は、5kGy〜250kGyが好ましい。5kGy未満であると、放射線を照射することによる効果が十分に発現しないおそれがある。250kGyを超えると、主鎖切断による低分子化が起こり、機械強度が大きく低下するおそれがある。
放射線の照射線量は、10kGy以上がより好ましく、100kGy以下がより好ましく、60kGy以下が更に好ましく、50kGy以下が特に好ましい。
放射線の照射環境としては、特に制限されないが、酸素濃度が1000ppm以下であることが好ましく、酸素不存在下であることがより好ましく、真空中、又は、窒素、ヘリウム若しくはアルゴン等の不活性ガス雰囲気中であることが更に好ましい。
本発明の改質含フッ素共重合体からなるフッ素樹脂成形品もまた、本発明の一つである。本発明のフッ素樹脂成形品は、本発明の改質含フッ素共重合体を成形することによって得ることができる。また、上記共重合体を成形してから、得られた成形物に放射線を照射することによっても得ることができる。
上述の共重合体を成形する工程、及び、成形された上記共重合体に放射線を照射する工程を有する成形品の製造方法により得られるフッ素樹脂成形品もまた、本発明の一つである。
上記改質含フッ素共重合体及び上記共重合体を成形する方法としては、特に限定されず、押出成形、射出成形、トランスファー成形、インフレーション法、圧縮成形等の公知の方法が挙げられる。これらの成形方法は、得られる成形品の形状に応じて適宜選択すればよい。
なかでも、圧縮成形、射出成形又は押出成形が好ましく、微小又は複雑な形状の成形が容易となる点で、射出成形又は押出成形がより好ましい。
押出成形としては電線被覆押出成形、チューブ押出成形、異形押出成形、フィルム押出成形、繊維押出成形等が特に最適である。
上記共重合体を原料製品として販売する為にはペレット状など取扱い性の良い形態にする必要がある。ペレットは押出成形されたストランドをカットする事により得られる。
上記共重合体が有する官能基は高温で熱分解する可能性がある。また、押出成形条件における回転数が高かったり、スクリュー圧縮率が高いと、高せん断力が原因で官能基の劣化を促進することがある。官能基を残す為には官能基が分解しない押出条件を選ぶ事が必要である。
このため、上記共重合体を成形する際の樹脂温度は430℃以下であることが好ましく、400℃以下であることがより好ましく、380℃以下であることが更に好ましく、360℃以下であることが特に好ましい。
この条件は、特殊な条件ではなく融点が330℃以下のフッ素樹脂であれば十分可能な条件である。
本発明のフッ素樹脂成形品は、ポリテトラフルオロエチレンを更に含んでもよい。
上記TFE/PAVE共重合体、上記TFE/HFP共重合体又はそれらの混合物に、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を添加することにより、調整できる。
混合する方法は、特に限定されないが、樹脂を乳化分散した液での混合、樹脂を溶液分散した液での混合、樹脂の溶融状態での混合、パウダーでの混合等がある。
この場合のPTFEの含有量は、フッ素樹脂混合物中好ましくは0.01〜60質量%であり、より好ましくは0.05〜55質量%であり、更に好ましくは0.1〜50質量%である。
PTFEの含有量は、フッ素樹脂混合物中20質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、1質量%以下が更に好ましい。
添加されるPTFEは、TFEのホモポリマーであるか、又は、99質量%超のTFEと1質量%未満の変性モノマーとを含む変性PTFEである。上記変性モノマーとしては、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(PAVE)、フルオロアルキルエチレン、及び、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)が挙げられる。上記変性モノマーは、1種であっても2種以上であってもよい。
上記PTFEは、315〜350℃の融点を有することが好ましい。
上記共重合体にPTFEを混合する場合は、上述したフッ素樹脂の混合物の調製方法と同様の方法で混合するとよい。
本発明のフッ素樹脂成形品はまた、必要に応じて他の成分を含んでいてもよい。他の成分としては、上述したPTFE、架橋剤、帯電防止剤、耐熱安定剤、発泡剤、発泡核剤、酸化防止剤、界面活性剤、光重合開始剤、摩耗防止剤、表面改質剤等の添加剤等を挙げることができる。
本発明のフッ素樹脂成形品が、PTFE等の他の成分を含む場合は、上述した共重合体と他の成分との混合物を公知の方法により混合して調製するとよい。そして、得られた混合物を成形した後、成形された混合物に放射線を照射するとよい。
成形方法としては、上述した方法と同様の方法が挙げられ、上記混合物に放射線を照射する方法としては、上述した方法と同様の方法が挙げられる。
本発明のフッ素樹脂成形品の形状は、特に限定されず、例えば、ペレット、フィルム、シート、板、ロッド、ブロック、円筒、容器、電線、チューブ等が挙げられる。なかでも、耐クラック性の要求が厳しい点で、シートや電線が好ましく、シートがより好ましい。
上記シートの厚みは、0.01〜10mmが好ましい。
また、フッ素樹脂塗料を非粘着性、耐熱性などの特性を利用するため被覆された製品である炊飯器の内釜、ホットプレート、フライパンなどの調理具の被覆層や電子写真方式または静電記録方式の複写機、レーザープリンタなどの画像形成装置用の定着ローラのトップコート層などフッ素樹脂製塗膜であってもかまわない。
本発明のフッ素樹脂成形品は、特に限定されないが、例えば、以下の用途に適用することができる:
ダイヤフラムポンプの隔膜部、ベローズ成形品、電線被覆品、半導体用部品、パッキン・シール、コピーロール用薄肉チューブ、モノフィラメント、ベルト、ガスケット、光学レンズ部品、石油発掘用チューブ、石油発掘用電線、サテライト用電線、原子力発電用電線、太陽電池パネルフィルム。
なかでも、ダイヤフラムポンプの隔膜部やベローズ成形品、電線被覆材、OAロール等、耐熱性や繰り返し運動による耐クラック性が求められる箇所の部材に用いられることが好ましい。
本発明のフッ素樹脂成形品は、特に高温でも形状が保持されることから、充電や放電で発熱のある二次電池や電気二重層コンデンサーなどのガスケットの用途にも好適である。
本発明はまた、上記共重合体を成形する工程、並びに、成形された前記共重合体に放射線を照射する工程を有する成形品の製造方法でもある。
上記共重合体を成形する工程は、上述した共重合体を成形する方法と同様に行うとよい。上記放射線を照射する工程は、上述した共重合体に放射線を照射する方法と同様にして行うとよい。
以上のように、本発明によれば、耐クラック性及び耐熱性が向上した改質含フッ素共重合体、及び、フッ素樹脂成形品を得ることができる。
次に実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
各種物性は下記方法にて測定した。
(単量体単位の含有量)
各単量体単位の含有量は、19F−NMR法により測定した。
(MFR)
ASTM D1238に従って、メルトインデクサー((株)安田精機製作所製)を用いて、372℃、5kg荷重下で内径2mm、長さ8mmのノズルから10分間あたりに流出するポリマーの質量(g/10分)を求めた。
(ガラス転移温度)
DVA−220(アイティー計測制御株式会社製)を用いた動的粘弾性測定を行い求めた。
サンプル試験片として、長さ25mm、幅5mm、厚み0.2mmの圧縮成形シートを用いて、昇温速度2℃/分、周波数10Hzで測定し、tanδ値のピークにおける温度をガラス転移温度とした。
(融点)
上記融点は、示差走査熱量計〔DSC〕を用いて10℃/分の速度で昇温したときの融解熱曲線における極大値に対応する温度である。
(官能基数)
試料を330〜340℃にて30分間溶融し、圧縮成形して、厚さ0.25〜0.3mmのフィルムを作製する。このフィルムをフーリエ変換赤外分光分析装置〔FT−IR(商品名:1760X型、パーキンエルマー社製)により40回スキャンし、分析して赤外吸収スペクトルを得、完全にフッ素化されて官能基が存在しないベーススペクトルとの差スペクトルを得る。この差スペクトルに現れる特定の官能基の吸収ピークから、下記式(A)に従って試料における炭素原子1×10個あたりの官能基数Nを算出する。
N=I×K/t (A)
I:吸光度
K:補正係数
t:フィルムの厚さ(mm)
参考までに、本明細書における官能基について、吸収周波数、モル吸光係数及び補正係数を表2に示す。また、モル吸光係数は低分子モデル化合物のFT−IR測定データから決定したものである。
Figure 2015147924
(耐クラック性:MIT繰り返し折り曲げ試験(屈曲性寿命))
ASTM D2176に準じて行った。具体的には、幅12.5mm、長さ130mmの電子線未照射又は照射後の試験片を、MIT測定器(型番12176、(株)安田精機製作所製)に装着し、荷重1.25kg、左右の折り曲げ角度各135度、折り曲げ回数175回/分の条件下で試験片を屈曲させ、試験片が切断するまでの回数(MIT繰り返し回数)を測定した。
(耐熱性:貯蔵弾性率(Er)の測定)
アイティー計測制御株式会社製DVA−220にて固体粘弾性の測定を行い、貯蔵弾性率(Er)を得た。測定条件は下記で行った。サンプル:長さ25mm 幅5mm 厚み0.2mm、昇温温度:5℃/min、データ取り込み間隔:1℃/毎、周波数:10Hz、歪:0.1%、静/動力比:2、上限伸び率:100%、最小荷重:0.1cN。
以上の条件で測定した温度と貯蔵弾性率(Er)の測定結果から貯蔵弾性率(Er)が0.1MPa以下になる温度を得た。ここで、TFE共重合体であるオレフィン系樹脂が融点以上で貯蔵弾性率(Er)が0.1MPa以上あれば架橋構造を形成していると考えられることから、耐熱性向上の指標とした。
(実施例1)
テトラフルオロエチレン(TFE)/パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PPVE)共重合体[TFE/PPVE=94.1/5.9(質量%)、MFR21g/10min、融点303℃、ガラス転移温度93℃]をヒートプレス成型器で0.22mm厚のシート状に加工した後、幅12.5mm、長さ130mmの短冊状に切り取り、試験片を得た。
得られた試験片を、電子線照射装置(NHVコーポレーション社製)の電子線照射容器に収容し、その後窒素ガスを加えて容器内を窒素雰囲気下にした。容器内の温度を25℃にし温度が安定した後に、電子線加速電圧が3000kV、照射線量の強度が20kGy/5minの条件で、試験片に40kGyの電子線を照射した。
照射後の試験片について、貯蔵弾性率測定を行った。結果を表3に示す。
また、実施例1で用いた共重合体(未照射)の官能基数は、191(個/炭素原子10個)(内訳はCHOHが150個、COFが17個、COOHが24個、他官能基が0個)であった。
(比較例1)
電子線照射を行わなかった点以外は、実施例1と同様にして、試験片を得て、MIT繰り返し折り曲げ試験と貯蔵弾性率測定を行った。結果を表3に示す。
(実施例2〜4)
表3に記載の照射温度と照射線量で電子線照射を行った点以外は、実施例1と同様にして、試験片を得て、照射後の試験片について、MIT繰り返し折り曲げ試験と貯蔵弾性率測定を行った。結果を表3に示す。
(実施例5〜8)
共重合体材料として、テトラフルオロエチレン(TFE)/パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PPVE)共重合体[TFE/PPVE=93.9/6.1(質量%)、MFR23g/10min、融点301℃、ガラス転移温度93℃]を用い、表4に記載の照射温度と照射線量で電子線照射を行った点以外は実施例1と同様にして、電子線照射後の試験片について、MIT繰り返し折り曲げ試験と貯蔵弾性率測定を行った。結果を表4に示す。
また、実施例5〜8で用いた共重合体(未照射)の官能基数は、425(個/炭素原子数10個)(内訳はCHOHが218個、COFが35個、COOHが172個、他官能基が0個)であった。
(比較例2)
電子線照射を行わなかった点以外は、実施例5と同様にして、試験片を得て、MIT繰り返し折り曲げ試験と貯蔵弾性率測定を行った。結果を表4に示す。
(実施例9〜12)
共重合体材料として、テトラフルオロエチレン(TFE)/パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PPVE)共重合体[TFE/PPVE=93.4/6.6(質量%)、MFR64g/10min、融点284℃、ガラス転移温度90℃]を用い、表5に記載の照射温度と照射線量で電子線照射を行った点以外は実施例1と同様にして、電子線照射後の試験片について、MIT繰り返し折り曲げ試験と貯蔵弾性率測定を行った。結果を表5に示す。
また、実施例9〜12で用いた共重合体(未照射)の官能基数は497(個/炭素原子数10個)(内訳はCHOHが304個、COFが17個、COOHが152個、CFHが24個、他官能基が0個)であった。
(比較例3)
電子線照射を行わなかった点以外は、実施例9と同様にして、試験片を得て、MIT繰り返し折り曲げ試験と貯蔵弾性率測定を行った。結果を表5に示す。
(比較例4)
共重合体材料として、テトラフルオロエチレン(TFE)/パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PPVE)共重合体[TFE/PPVE=93.9/6.1(質量%)、MFR25g/10min、融点304℃、ガラス転移温度93℃]を、30体積%に窒素で希釈したフッ素ガスにて官能基をCF末端に処理したものを用い、表6に記載の照射温度と照射線量で電子線照射を行った点以外は実施例1と同様にして、電子線照射後の試験片について、貯蔵弾性率測定を行った。結果を表6に示す。
また、比較例4で用いた共重合体(未照射)の官能基数は5(個/炭素原子数10個)(内訳はCHOHが0個、COFが5個、COOHが0個、他官能基が0個)であった。
(比較例5)
電子線照射を行わなかった点以外は、比較例4と同様にして、試験片を得て、MIT繰り返し折り曲げ試験と貯蔵弾性率測定を行った。結果を表6に示す。
(実施例13〜14)
共重合体材料として、テトラフルオロエチレン(TFE)/パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PPVE)/パーフルオロ(1,1,9,9−テトラハイドロ−2,5−ビストリフルオロメチル−3,6−ジオキサノネノール)(OH基含有含フッ素アリルエーテル)共重合体[TFE/PPVE/OH基含有含フッ素アリルエーテル=92.0/4.5/3.5(質量%)、MFR30g/10min(測定温度330℃)、融点290℃、ガラス転移温度75℃]を用い、表7に記載の照射温度と照射線量で電子線照射を行った点以外は実施例1と同様にして、電子線照射後の試験片について、貯蔵弾性率測定を行った。結果を表7に示す。
また、実施例13〜14で用いた共重合体(未照射)の官能基数は8502(個/炭素原子数10個)(内訳は側鎖末端CHOHが4251個、主鎖中−CH−が4251個、他官能基が0個)であった。
(比較例6)
電子線照射を行わなかった点以外は、実施例13と同様にして、試験片を得て、貯蔵弾性率測定を行った。結果を表7に示す。
(実施例15〜16)
共重合体材料として、テトラフルオロエチレン(TFE)/パーフルオロ(プロピルビニルエーテル(PPVE)/ヘキサフルオロプロピレン(HFP)共重合体[TFE/PPVE/HFP=87.9/1.0/11.1(質量%)、MFR24g/10min、融点257℃、ガラス転移温度85℃]を用い、表8に記載の照射温度と照射線量で電子線照射を行った点以外は実施例1と同様にして、電子線照射後の試験片について、貯蔵弾性率測定を行った。結果を表8に示す。
また、実施例15〜16で用いた共重合体(未照射)の官能基数は116(個/炭素原子数10個)(内訳はCHOHが0個、COFが6個、COOHが10個、CFHが100個、他官能基が0個)であった。
(比較例7)
電子線照射を行わなかった点以外は、実施例15と同様にして、試験片を得て、貯蔵弾性率測定を行った。結果を表8に示す。
Figure 2015147924
Figure 2015147924
Figure 2015147924
Figure 2015147924
Figure 2015147924
Figure 2015147924
実施例及び比較例の結果から、共重合体が官能基を有する場合、放射線を照射して得られる成形品のMIT値が大きく、また、貯蔵弾性率が0.1MPa以下になる温度が高いことが分かる。
本発明の改質含フッ素共重合体及びフッ素樹脂成形品は、二次電池などのガスケット等の耐クラック性及び耐熱性が求められる各種の用途に適用することができる。

Claims (10)

  1. 共重合体に放射線を、前記共重合体の融点以下の温度で照射することにより得られる改質含フッ素共重合体であって、
    前記共重合体は、テトラフルオロエチレン単位とパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)単位とからなる共重合体、及び、テトラフルオロエチレン単位とヘキサフルオロプロピレン単位とからなる共重合体からなる群より選択される少なくとも1種の共重合体であり、かつ、官能基を合計で炭素原子10個あたり10〜10000個有する
    ことを特徴とする改質含フッ素共重合体。
  2. 官能基は、−CF=CF、−CFH、−COF、−COOH、−COOCH、−CONH及び−CHOHからなる群より選択される少なくとも1種である請求項1記載の改質含フッ素共重合体。
  3. 官能基は、−CHCFH、−CHCOF、−CHCOOH、−CHCOOCH、−CHCONH及び−CHOHからなる群より選択される少なくとも1種である請求項1又は2記載の改質含フッ素共重合体。
  4. 請求項1、2又は3記載の改質含フッ素共重合体からなることを特徴とするフッ素樹脂成形品。
  5. 成形品は、ポリテトラフルオロエチレンを更に含む請求項4記載のフッ素樹脂成形品。
  6. 共重合体を成形する工程、及び、成形された前記共重合体に放射線を照射する工程を有する成形品の製造方法により得られるフッ素樹脂成形品であって、
    前記共重合体は、テトラフルオロエチレン単位とパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)単位とからなる共重合体、及び、テトラフルオロエチレン単位とヘキサフルオロプロピレン単位とからなる共重合体からなる群より選択される少なくとも1種の共重合体であり、官能基を合計で炭素原子10個あたり10〜10000個有することを特徴とするフッ素樹脂成形品。
  7. 官能基は、−CF=CF、−CFH、−COF、−COOH、−COOCH、−CONH及び−CHOHからなる群より選択される少なくとも1種である請求項6記載のフッ素樹脂成形品。
  8. 官能基は、−CHCFH、−CHCOF、−CHCOOH、−CHCOOCH、−CHCONH及び−CHOHからなる群より選択される少なくとも1種である請求項6又は7記載のフッ素樹脂成形品。
  9. 官能基は、−CH−、−CH、−CHCH、−CN、−OCH及び−SOHからなる群より選択される少なくとも1種である請求項6記載のフッ素樹脂成形品。
  10. 成形品は、ポリテトラフルオロエチレンを更に含む請求項6、7、8又は9記載のフッ素樹脂成形品。
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