JP2011105012A - 改質フッ素樹脂被覆材およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】フッ素樹脂と基材の接着性が高く、変形を生じないフッ素樹脂被覆材を製造するための実用的な方法を提供する。
【解決手段】フッ素樹脂の融点以上の温度において熱的安定性を有する基材の表面を前記フッ素樹脂で被覆し、次いでフッ素樹脂の膜の表面に電離性放射線を照射することによって、フッ素樹脂の架橋反応およびフッ素樹脂と基材表面との化学反応を同時に生じさせ、それによって両者の強固な接着を達成することを特徴とする、改質フッ素樹脂被覆材を製造する方法である。
【選択図】図1

Description

本発明は改質フッ素樹脂被覆材およびその製造方法に関する。さらに詳しくは、架橋によって改質されたフッ素樹脂の膜で基材の表面が被覆されている複合材料に関する。
フッ素樹脂は耐熱性、耐薬品性、非接着性、撥水性、防汚性、潤滑性、耐摩擦性などの特性を有する優れたプラスチックであり、これらの特徴を利用してパッキン、ガスケット、チューブ、絶縁テープ、軸受け、エアドームの屋根膜など産業用、および民生用としての利用が拡大されつつある樹脂材料である。また、耐原子状酸素性に優れることから人工衛星の熱制御材料として有望な材料でもある。しかし、フッ素樹脂は放射線に対する感受性が高く、特にポリテトラフルオロエチレン(以下PTFEという)に至っては照射線量が1kGyを超えると力学特性が低下するために、宇宙空間や原子力施設など放射線環境下での利用はできない。
フッ素樹脂の被覆材料としての用途においては、アイロンやフライパンなどの金属表面にPTFEのコーティングなどを施して被覆する技術は既にある。しかし、化学的に極めて安定なPTFEと基材との接着は共有結合のような化学的な結合によって行われておらず、物理的結合によるものであるため、接着力は十分ではなく、応力を加えると樹脂は基材から容易に剥離してしまう。そのため、トタン屋根や瓦屋根などの建築材料にフッ素樹脂を被覆して撥水性、防汚性、潤滑性などの特徴を生かしたユニークな材料は、未だ開発されていない。また放射線に対して弱い、摩耗し易い、透明性が不十分といったPTFE自身の短所は、被覆材料であっても何ら変わらない。
PTFEの耐放射線性を改善するべく本願発明者らは、既に特許出願した発明(特開平6−116423号)において、PTFEの結晶融点以上の温度で酸素不存在下で電離性放射線を照射することを特徴とする改質PTFEの製造方法を提供した。しかし、粉体や成形体からなるこの改質PTFEにおいても化学的性質は極めて安定であり、ほぼすべての溶媒に不溶性である。これらを金属などの基材にコーティングなどの手法によって被覆処理しても、PTFEと基材との間の接着は化学的な結合ではなく物理的結合であるため、剥離しやすい欠点は何ら改善されていない。また、PTFE以外のテトラフルオロエチレン系共重合体も化学的に極めて安定な材料であり、コーティングによる被覆処理を行った場合において基材との接着は化学的な結合によって行われていないため、基材から樹脂が容易に剥離してしまい、被覆材料としての接着特性は不十分であった。
このように、フッ素樹脂は他の種類の基材との接着性に乏しく、シート状やチューブ状のフッ素樹脂成形フィルム、特に膜厚が300μm以下である薄いフィルムの放射線架橋処理は、しわ、ゆがみなどの著しい変形を伴う。従って、フッ素樹脂と基材の接着性が高く、変形を生じないフッ素樹脂被覆材を製造するための実用的な方法が求められている。
上記課題を解決するため、本発明によれば、フッ素樹脂の融点以上の温度において熱的安定性を有する基材の表面を前記フッ素樹脂で被覆し、次いでフッ素樹脂の膜の表面に電離性放射線を照射することによって、フッ素樹脂の架橋反応およびフッ素樹脂と基材表面との化学反応を同時に生じさせ、それによって両者の強固な接着を達成することを特徴とする、改質フッ素樹脂被覆材の製造方法が提供される。
従って、このようにして得られた改質フッ素樹脂被覆材においては、フッ素樹脂の融点以上の温度において熱的安定性を有する基材の表面が架橋した前記フッ素樹脂の膜によって被覆されていて、基材とフッ素樹脂の膜が化学的な結合により強固に接着している。またこの改質フッ素樹脂被覆材においては、フッ素樹脂の膜厚を300μm以下とし、かつ厚さの均一性が膜厚の平均値に対して±10%以内とすることができる。
被覆工程は、フッ素樹脂のペーストまたはフッ素樹脂を混入している溶液を基材の表面に塗布するか、あるいはフッ素樹脂フィルムを基材の表面に張り付けることによって実施することができる。この被覆工程に続く電離性放射線の照射は、無酸素雰囲気下で100〜400℃の範囲の温度で行われ、かつ照射線量が1kGy〜10MGyの範囲であるのが好ましい。
基材は、ポリイミド樹脂、金属材料、セラミックス、およびガラスから選択されたものが好ましく、かつ耐熱性に優れた材料であるのが好ましい。また基材としてはいかなる形態のものであっても良いが、特に板状、箔状、管状、あるいは繊維状の形態のものが好ましい。
本発明は、従来のフッ素樹脂被覆材料がもつ欠点であった基材とフッ素樹脂間の接着性の低さを改善するという要求に応えたものである。すなわち、宇宙空間や原子力施設等の放射線環境下で使用する際の耐放射線性を備えるだけでなく、機械特性などにおける全ての問題点を解決したものであり、平滑な表面と均一な膜厚および耐放射線性を有するフッ素樹脂膜で基材を被覆しているとともに、基材とフッ素樹脂膜が化学的な結合によって強固に接着している複合材料を提供する。
本発明の方法によれば、ポリイミドなどの基材に被覆されたフッ素樹脂はこの基材に支持された状態で放射線照射され、基材との間で化学反応ならびにフッ素樹脂自体の架橋反応が進行する。従って、基材とフッ素樹脂膜が化学的結合によって強固に接着していて平滑な表面かつ均一な膜厚を有するフッ素樹脂被覆材を容易に製造することができる。
ESCAによるカプトンの測定シグナルを示すグラフである。 ESCAによるカプトン/PTFE被覆材の測定シグナルを示すグラフである。
本発明の製造方法においてはまず、金属、セラミックス、ガラス、あるいは高分子材料などからなっていて板状、箔状、管状、あるいは繊維状などの形態の基材の表面にフッ素樹脂のペーストまたはフッ素樹脂を混入している液体を塗布するか、あるいはフッ素樹脂フィルムを基材の表面に張り付けることによって、所望の膜厚のフッ素樹脂で被覆された材料を調製する。ここでいう「基材の表面に塗布する」とは、基材の外面のみならず、管状部材などが有する内面に塗布することを含み、一般に前者の場合をコーティングと称し、後者の場合をライニングと称する場合がある。塗布あるいは張り付けを行うための手法は、当業者が常套的に行い得るいかなる方法であってもよい。例えばフッ素樹脂を混入している溶液を塗布する場合、フッ素樹脂の粉体が均一に分散した液体(いわゆるディスパージョン)を基材に塗布する。粉体を効率よく分散するための液体すなわち分散媒としては、水と乳化剤、水とアルコール、水とアセトン、または水とアルコールとアセトンの混合溶媒などを用いることができ、これらは分散媒について熟知している当業者によって容易に選択し調製することができる。このときのフッ素樹脂の粉体の粒径は50μm以下であることが好ましく、なおかつ最終的に得られる被覆材において所望される膜厚以下の大きさであることが望ましい。粒径が50μmを超えると所望する膜厚の均一性を達成するのが困難であるため好ましくない。
ディスパージョンを基材に塗布した後、風乾あるいは熱風乾燥することにより分散媒を除去する。次いで、直ちに100〜400℃、好ましくはフッ素樹脂の結晶融点以上の260〜380℃の温度範囲で焼成する。
次いで、この材料を無酸素雰囲気下に置き、250〜400℃、好ましくは250〜350℃の温度範囲に保ちながら、フッ素樹脂膜の表面に電離性放射線を1kGy〜10MGyの線量範囲で照射する。このとき上記の焼成と放射線照射を同時に実施してもよい。雰囲気の温度が250℃未満であるとフッ素樹脂の放射線架橋反応は起こらず、雰囲気温度が400℃を超えるとフッ素樹脂の熱分解が促進されて材料特性が低下するため好ましくない。また、照射線量が1kGy未満であると放射線による反応が不十分で特性の向上が期待できず、10MGyを超えて放射線照射を行っても架橋によるフッ素樹脂自体の特性は大きく向上しないことが過去の研究により判明しているため、それ以上の照射は好ましくない。
放射線の照射によってフッ素樹脂が架橋するとともに、基材とフッ素樹脂が化学反応することにより両者が強固に接着する。またこの方法によれば、フッ素樹脂膜の表面を平滑にし、かつ厚さの均一性が膜厚の平均値に対して±10%以内となるようにすることができる。厚さの均一性が±10%以内よりも大きくなると、材料としての寸法精度や外観上の問題が生じるだけでなく、特に耐摩耗性が要求される用途で利用される場合、摩擦面が部分的な点接触となり局所的に摩耗を起こし易くなり好ましくない。フッ素樹脂膜をこのように均一に調製できる理由は、樹脂をその結晶融点以上の温度範囲に保ちながら電離性放射線を照射するので、樹脂が動き易い状況下にあり、なおかつ架橋する際に樹脂がわずかに収縮することによって表面張力が発生するためであると考えられる。
放射線の照射によって得られる改質フッ素樹脂被覆材の膜厚は300μm以下であるのが好ましい。膜厚が300μmを超えると架橋処理時に発生するガスにより変形が生じ易く、また架橋した樹脂内部で発泡も起こり易くなるため好ましくない。この膜厚は、被覆工程においてディスパージョンの粉体濃度を制御するか、もしくは塗布回数を選択することによって任意に調整できる。フッ素樹脂フィルムを基材の表面に張り付ける場合は、フィルムの厚さを調整することによって最終的なフッ素樹脂膜の厚さを調整できる。
フッ素樹脂と基材の化学的な結合状態は、材料表面の元素を定性的および定量的に分析することができて、かつ得られるシグナルの化学シフトから各原子の結合状態を解明できるX線光電子分光装置(ESCA)によって確認することができる。
本発明におけるフッ素樹脂としては、テトラフルオロエチレン系重合体、その共重合体であるポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、エチレン・テトラフルオロエチレン系共重合体(ETFEおよびPVdF)などがあり、2種類以上の樹脂からなるそれらの混合樹脂材料、およびこれらにフッ素樹脂以外の異種成分を添加した樹脂組成からなるものも含む。そのような異種成分としては例えばガラス、カーボン、金属、金属酸化物、セラミックス、耐熱性有機材料、鉱物等のそれぞれ繊維状あるいは粉体状のものが挙げられる。
本発明における電離性放射線とは、電子線、X線、中性子線、高エネルギーイオン、あるいはこれらの混合放射線をいう。電離性放射線を照射する際の雰囲気の温度制御は、通常の気体循環式の恒温槽、赤外線ヒーターあるいはパネルヒーターなど間接あるいは直接的な熱源を利用して雰囲気を加熱することによって行うか、あるいは電子加速器から得られる電子線のエネルギーを制御することによって発生する熱をそのまま熱源として利用することができる。さらに、本発明の無酸素雰囲気下における照射とは、真空下の他、大気をヘリウムや窒素などの不活性ガスで置き換えた雰囲気をいう。無酸素雰囲気を用いることによって、照射中にフッ素樹脂と基材との化学反応ならびにフッ素樹脂の架橋反応が促進され、逆に酸化分解が起こることを防ぐことができる。
本発明で基材として用いる材料の形状は任意にその形を選ぶことができるが、板状、箔状、管状、あるいは繊維状などが好ましい。その材質としては銅、アルミニウム、およびそれらの合金などの金属材料のほか、セラミックス、ガラス、あるいは高分子材料(例えばポリイミド樹脂)などが挙げられ、100℃以上の耐熱性を有していて、フッ素樹脂と放射線化学反応を起こす全ての材料が適用される。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例によって限定されるものではなく、当業者が容易になし得る変形や構成要素の置換を含む特許請求の範囲の記載によって本発明の範囲が規定される。
水とアセトンからなる分散媒100部に対して平均粒径0.25μmのPTFEファインパウダー60部を分散させた液体を調製した。この液体を厚さが75μmで5cm×5cmの大きさのポリイミド樹脂フィルム(KAPTON、デュポン社製、以下これを「カプトン」という)に塗布しては乾燥する操作を繰り返し行い、次いで、この複合膜材を340℃で焼成することによって厚さ110μmの予備成形体を作製した。この予備成形体を340℃、アルゴンガス雰囲気の照射容器に移し、電子加速器で300kVに加速された電子を100kGy照射した。架橋反応によってパウダー粒子は完全に消失し、塗布したPTFE層は透明になった。得られた被覆材において、曲げや擦りによってもカプトンとPTFE層の剥離は起こらず、強固な接着状態になった。
この被覆材の表面状態をESCAにより分析した。ポリイミドにおける285.6eVの炭素原子と芳香環との結合を示すシグナルおよび289.2eVの炭素原子と酸素原子の結合を示すシグナルが大幅に減少し、PTFEと炭素原子の結合を示すシグナルが検出され、カプトンにPTFEが化学的に結合していることが確認された。ESCAによるカプトンの測定シグナルを図1に示す。炭素原子の結合するサイトがベンゼン環および酸素原子であることを示している。また、カプトン/PTFE被覆材の測定シグナルを図2に示す。炭素原子の結合するサイトが主としてフッ素原子であることを示している。またカプトン、およびカプトン/PTFE被覆材における元素比を下の表1に示す。PTFEの複合化によりその膜の表面にフッ素原子が結合している様子を示している。
Figure 2011105012
次いで、この被覆材についてその厚さを試料の任意の5点でマイクロメーターにより測定したところ、105μm±2μmであり、平滑な表面を有する均一な厚さの被覆材が得られた。またこの被覆材を切り抜いてASTM-1822L型のダンベル試験片にして、インストロンによって引張試験を行ったところ、未処理のカプトン(厚さ75μm)と同等の良好な値を示した。引張特性として破断伸びと引張強度の値を下の表2に示す。
Figure 2011105012
水とアセトンからなる分散媒100部に対して平均粒径0.3μmのPTFEファインパウダー50部を分散させた液体を調製した。この液体を厚さが50μmで5cm×5cmの大きさのチタン箔に塗布して乾燥し、次いで、この複合膜材を340℃で焼成することによって厚さ66μmの予備成形体を作製した。この予備成形体を340℃、アルゴンガス雰囲気の照射容器に移し、電子加速器で800kVに加速された電子を500kGy照射した。実施例1と同様に、架橋反応によってパウダー粒子は完全に消失し、塗布したPTFE層は透明になった。得られた被覆材において、曲げや擦りによってもチタン箔とPTFE層の剥離は起こらず、強固な接着状態になった。
この被覆材の断面を電子顕微鏡により観察したところ、チタン箔とPTFEの接着性が良好であることが確認された。また、PTFEの表面をサンドペーパーできれいに研磨し、その表面状態についてESCAにより分析したところ、460.8eVのチタン原子のシグナルとともに466.4eVに改質PTFEとチタン原子の結合によるシグナルが検出され、化学的に結合していることが確認された。
水とアセトンからなる分散媒100部に対して平均粒径0.45μmのPTFEファインパウダー40部を分散させた液体を調製した。この液体を厚さが75μmで5cm×5cmの大きさのアルミニウム板に塗布して乾燥する操作を繰り返し行い、次いで、この複合板材を340℃で焼成することによって厚さ1.2mmの予備成形体を作製した。この予備成形体を340℃、アルゴンガス雰囲気の照射容器に移し、電子加速器で2MVに加速された電子を150kGy照射した。実施例1と同様に、架橋反応によってパウダー粒子は完全に消失し、塗布したPTFE層は透明になった。得られた被覆材において、曲げや擦りによってもアルミニウム板とPTFE層の剥離は起こらず、強固な接着状態になった。
この被覆材の断面を電子顕微鏡により観察したところ、アルミニウム板とPTFEの接着性が良好であることが確認された。また、この被覆材の表面状態について実施例2と同様にしてESCAにより分析したところ、117.5eVのアルミニウム原子のシグナルとともに122.9eVに改質PTFEとアルミニウム原子の結合によるシグナルが検出され、化学的に結合していることが確認された。
またこの被覆材および比較対照としてのPTFE100%のフィルム(厚さ1mm)について、スラスト式摩擦摩耗試験機により動摩擦係数と比摩耗量を測定したところ、被覆材において良好な値を示した。試験結果を下の表3に示す。PTFEフィルムは異常摩耗を起こしフィルムが削られるのに対して、改質された被覆材においては摩耗が著しく抑制されていることを示している。
Figure 2011105012
FEPディスパージョン溶液(銘柄120−J:三井・デュポンフロロケミカル株式会社製)(平均粒径0.2μm、分散媒100部に対してFEP54部を分散)を厚さが500μmで5cm×5cmの大きさの銅板に塗布して乾燥し、次いで、この銅板を270℃で焼成することによって厚さ550μmの予備成形体を作製した。この予備成形体を280℃、窒素ガス雰囲気の照射容器に移し、電子加速器で2MVに加速された電子を300kGy照射した。実施例1と同様に、架橋反応によってパウダー粒子は完全に消失し、塗布したFEP層は透明になった。得られた被覆材において、曲げや擦りによっても銅板とFEP層の剥離は起こらず、強固な接着状態になった。
この被覆材の断面を電子顕微鏡により観察したところ、銅板とPTFEの接着性が良好であることが確認された。この被覆材の表面状態について実施例2と同様にしてESCAにより分析したところ、122.5eVの銅原子のシグナルとともに127.7eVに改質FEPと銅原子の結合によるシグナルが検出され、化学的に結合していることが確認された。

Claims (11)

  1. フッ素樹脂の融点以上の温度において熱的安定性を有する基材の表面が架橋した前記フッ素樹脂の膜によって被覆されていて、基材とフッ素樹脂の膜が化学的な結合により強固に接着している、改質フッ素樹脂被覆材。
  2. フッ素樹脂の膜厚が300μm以下であり、かつ厚さの均一性が膜厚の平均値に対して±10%以内である、請求項1に記載の改質フッ素樹脂被覆材。
  3. フッ素樹脂が、テトラフルオロエチレン系重合体およびテトラフルオロエチレン系共重合体から選択された一種類または二種類以上のものである、請求項1に記載の改質フッ素樹脂被覆材。
  4. 基材が、ポリイミド樹脂、金属材料、セラミックス、およびガラスから選択されたものであり、かつ耐熱性に優れた材料である、請求項1に記載の改質フッ素樹脂被覆材。
  5. 基材が、板状、箔状、管状、および繊維状から選択されたいずれかの形態の材料である、請求項1に記載の改質フッ素樹脂被覆材。
  6. フッ素樹脂の融点以上の温度において熱的安定性を有する基材の表面を前記フッ素樹脂で被覆し、次いでフッ素樹脂の膜の表面に電離性放射線を照射することによって、フッ素樹脂の架橋反応およびフッ素樹脂と基材表面との化学反応を同時に生じさせ、それによって両者の強固な接着を達成することを特徴とする、改質フッ素樹脂被覆材を製造する方法。
  7. 前記被覆工程が、フッ素樹脂のペーストまたはフッ素樹脂を混入している液体を基材の表面に塗布するか、あるいはフッ素樹脂フィルムを基材の表面に張り付けることによって行われ、電離性放射線を照射した後のフッ素樹脂被覆膜の膜厚が300μm以下であり、かつ厚さの均一性が膜厚の平均値に対して±10%以内である、請求項6に記載の製造方法。
  8. 電離性放射線の照射が無酸素雰囲気下で250〜400℃の範囲の温度で行われ、かつ照射線量が1kGy〜10MGyの範囲である、請求項6に記載の製造方法。
  9. フッ素樹脂が、テトラフルオロエチレン系重合体およびテトラフルオロエチレン系共重合体から選択された一種類または二種類以上のものである、請求項6に記載の製造方法。
  10. 基材が、ポリイミド樹脂、金属材料、セラミックス、およびガラスから選択されたものであり、かつ耐熱性に優れた材料である、請求項6に記載の製造方法。
  11. 基材が、板状、箔状、管状、および繊維状から選択されたいずれかの形態の材料である、請求項6に記載の製造方法。
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