JP2015124426A - 表面処理銅箔及び積層板 - Google Patents
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Abstract
【課題】積層板を形成した際の表面処理銅箔と樹脂基材との密着性を維持できるとともに、積層板から表面処理銅箔が除去された後の樹脂基材の透明性を確保できる技術を提供する。【解決手段】銅箔基材と、銅箔基材のいずれかの主面上に設けられる表面処理層と、を備え、表面処理層の銅箔基材と接する側とは反対側の面上に、樹脂基材を貼り合わせた場合の表面処理層と樹脂基材との間のピール強度が0.7N/mm以上であり、樹脂基材を貼り合わせ、銅箔基材及び表面処理層を除去した後の樹脂基材のHAZE値が80%以下である。【選択図】図1
Description
本発明は、表面処理銅箔及びこの表面処理銅箔を用いて形成した積層板に関する。
従来より、例えば携帯電話等の電子機器の配線板として、フレキシブルプリント配線板(FPC)が用いられる。FPCは、例えば、銅箔と、銅箔の少なくともいずれかの主面上に設けられる例えばポリイミドフィルム等の樹脂基材(樹脂フィルム)と、を備える積層板により形成されている。具体的には、FPCは、銅箔と樹脂基材とを貼り合わせて積層板を形成した後、例えばフォトリソグラフィー法を用いて銅箔をエッチング等により除去することで回路パターン(銅配線)を形成して構成されている。
FPCに用いられる積層板には、例えば銅箔と樹脂基材との密着性が高いことが要求されている。このため、銅箔として、例えば、銅箔基材の表面に粗化処理等が施されることで、粗化銅めっき層等の表面処理層が形成された表面処理銅箔が用いられている(例えば特許文献1〜3参照)。これにより、表面処理銅箔の表面に凹凸形状が形成されるため、アンカー効果により表面処理銅箔と樹脂基材との密着性を高めることができる。
粗化銅めっき層は、銅(銅合金)で形成される粗化粒により構成されている。表面処理銅箔の表面粗さ(表面粗度)は、粗化銅めっき層の粗化粒の粒子径を制御することで調整できる。例えば、粗化銅めっき層を形成する粗化粒の粒子径が大きくなると、表面処理銅箔の表面粗さが大きくなる。表面処理銅箔の表面粗さが大きくなると、粗化銅めっき層(表面処理層)の表面積が大きくなる。このため、アンカー効果が大きくなり、その結果、表面処理銅箔と樹脂基材との密着性を高めることができる。
表面処理銅箔の表面粗さが大きいほど、積層板を形成した際、表面処理銅箔と樹脂基材との密着性が高くなる。しかしながら、表面処理銅箔の表面粗さが大きすぎると、樹脂基材の透明性が低下してしまう。つまり、表面処理銅箔上に樹脂基材が貼り合わされた際、樹脂基材には、表面処理銅箔の表面に形成された凹凸形状が転写されてしまう。樹脂基材に転写される凹凸形状が大きくなると、凹凸形状が転写された樹脂基材の表面の表面粗さが大きくなる。樹脂基材の表面粗さが大きくなると、光が乱反射されてしまうため、樹脂基材の透明性が低下してしまう(樹脂基材がくすんでしまう)。FPCを実装する際、表面処理銅箔が除去された箇所の樹脂基材越しにFPCの実装位置の位置決めが行われる。このとき、樹脂基材の透明性が低いと、FPCの実装位置の位置決めができない、若しくは実装位置の位置決めに時間がかかり、実装作業効率が低下してしまうことがあった。
本発明は、上記課題を解決し、積層板を形成した際の表面処理銅箔と樹脂基材との密着性が維持されるとともに、積層板から表面処理銅箔が除去された後の樹脂基材の透明性が確保される技術を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は次のように構成されている。
本発明の第1の態様によれば、銅箔基材と、前記銅箔基材のいずれかの主面上に設けられる表面処理層と、を備え、前記表面処理層上に樹脂基材を積層して貼り合わせた場合の前記表面処理層と前記樹脂基材との間のピール強度が0.7N/mm以上であり、前記表面処理層上に前記樹脂基材を積層して貼り合わせ、前記銅箔基材及び前記表面処理層を除去した後の前記樹脂基材のHAZE値が80%以下である表面処理銅箔が提供される。
本発明の第1の態様によれば、銅箔基材と、前記銅箔基材のいずれかの主面上に設けられる表面処理層と、を備え、前記表面処理層上に樹脂基材を積層して貼り合わせた場合の前記表面処理層と前記樹脂基材との間のピール強度が0.7N/mm以上であり、前記表面処理層上に前記樹脂基材を積層して貼り合わせ、前記銅箔基材及び前記表面処理層を除去した後の前記樹脂基材のHAZE値が80%以下である表面処理銅箔が提供される。
本発明の第2の態様によれば、前記表面処理層は、少なくとも粗化銅めっき層を有し、前記樹脂基材の貼り合わせ予定面の二乗平均粗さ(Rq)が0.0475μm以上0.36μm以下であり、十点平均粗さ(Rz)が0.3325μm以上1.25μm以下であるように形成されている第1の態様の表面処理銅箔が提供される。
本発明の第3の態様によれば、前記銅箔基材は、前記表面処理層が設けられる面の二乗平均粗さ(Rq)が0.05μm以上0.3μm以下であり、十点平均粗さ(Rz)が0.35μm以上1.0μm以下であるように形成されている第1又は第2の態様の表面処理銅箔が提供される。
本発明の第4の態様によれば、前記表面処理層は、前記銅箔基材と前記粗化銅めっき層との間に設けられる下地めっき層を備える第1ないし第3の態様のいずれかの表面処理銅箔が提供される。
本発明の第5の態様によれば、前記粗化銅めっき層は、厚さが0.05μm以上0.2μm以下となるように形成されている第1ないし第4の態様のいずれかの表面処理銅箔が提供される。
本発明の第6の態様によれば、第1ないし第5の態様のいずれかの表面処理銅箔と、前記表面処理銅箔が有する前記表面処理層上に設けられる樹脂基材と、を備える積層板が提供される。
本発明によれば、積層板を形成した際の表面処理銅箔と樹脂基材との密着性を維持できるとともに、積層板から表面処理銅箔が除去された後の樹脂基材の透明性を確保できる。
(発明者等が得た知見)
まず、本発明の実施形態の説明に先立ち、発明者等が得た知見について説明する。例えばフレキシブルプリント配線板(FPC)等の配線板には、表面処理銅箔と樹脂基材とを備える積層板が用いられている。表面処理銅箔は、銅箔基材と、銅箔基材のいずれかの主
面上に設けられる表面処理層と、を備えている。この表面処理銅箔の表面処理層上に、樹脂基材が貼り合わされて積層板が形成されている。上述したように、表面処理銅箔(表面処理層)の表面、つまり積層板を形成する際に樹脂基材が積層される表面処理層の面の表面粗さが大きい場合、積層板を形成した際に表面処理銅箔と樹脂基材との密着性(以下では単に「密着性」とも言う。)は向上するものの、樹脂基材の透明性(以下では、単に「透明性」とも言う。)が低下してしまう。そこで、表面処理銅箔の表面の表面粗さを所定の粗さに調整することで、密着性を維持しつつ、透明性の低下を抑制することが考えられる。表面処理銅箔の表面粗さを示す指標として、主に、算術平均粗さ(Ra)、十点平均粗さ(Rz)、二乗平均粗さ(Rq)等がある。これらの表面粗さの指標の中でも、表面処理銅箔の表面のRzを制御することで、密着性を維持しながらも、透明性の低下をある程度抑制できる。しかしながら、表面処理銅箔のRzのみを制御するだけでは、所望とする透明性が得られない場合があった。つまり、表面処理銅箔のRzのみを指標として制御するだけでは、透明性の低下を抑制できない場合があった。本発明は、発明者が見出した上記知見に基づくものである。
まず、本発明の実施形態の説明に先立ち、発明者等が得た知見について説明する。例えばフレキシブルプリント配線板(FPC)等の配線板には、表面処理銅箔と樹脂基材とを備える積層板が用いられている。表面処理銅箔は、銅箔基材と、銅箔基材のいずれかの主
面上に設けられる表面処理層と、を備えている。この表面処理銅箔の表面処理層上に、樹脂基材が貼り合わされて積層板が形成されている。上述したように、表面処理銅箔(表面処理層)の表面、つまり積層板を形成する際に樹脂基材が積層される表面処理層の面の表面粗さが大きい場合、積層板を形成した際に表面処理銅箔と樹脂基材との密着性(以下では単に「密着性」とも言う。)は向上するものの、樹脂基材の透明性(以下では、単に「透明性」とも言う。)が低下してしまう。そこで、表面処理銅箔の表面の表面粗さを所定の粗さに調整することで、密着性を維持しつつ、透明性の低下を抑制することが考えられる。表面処理銅箔の表面粗さを示す指標として、主に、算術平均粗さ(Ra)、十点平均粗さ(Rz)、二乗平均粗さ(Rq)等がある。これらの表面粗さの指標の中でも、表面処理銅箔の表面のRzを制御することで、密着性を維持しながらも、透明性の低下をある程度抑制できる。しかしながら、表面処理銅箔のRzのみを制御するだけでは、所望とする透明性が得られない場合があった。つまり、表面処理銅箔のRzのみを指標として制御するだけでは、透明性の低下を抑制できない場合があった。本発明は、発明者が見出した上記知見に基づくものである。
(1)表面処理銅箔の構成
まず、本発明の一実施形態にかかる表面処理銅箔の構成について、図1を用いて説明する。図1は、本実施形態にかかる表面処理銅箔1を備える積層板10の概略断面図である。
まず、本発明の一実施形態にかかる表面処理銅箔の構成について、図1を用いて説明する。図1は、本実施形態にかかる表面処理銅箔1を備える積層板10の概略断面図である。
(銅箔基材)
図1に示すように、本実施形態にかかる表面処理銅箔1は、銅箔基材2を備えている。銅箔基材2としては、例えば圧延銅箔や電解銅箔を用いることができる。圧延銅箔は、例えば無酸素銅(OFC)材、タフピッチ銅(TPC)材、その他の銅合金材等により形成されている。銅箔基材2は、主表面、例えば後述する表面処理層3が設けられる面(以下ではA面ともいう。)の二乗平均粗さ(Rq)が0.05μm以上0.3μm以下、好ましくは0.05μm以上0.27μm以下であり、十点平均粗さ(Rz)が0.35μm以上1.0μm以下、好ましくは0.35μm以上0.7μm以下であるように形成されているとよい。銅箔基材2は、厚さが例えば5μm以上18μm以下となるように形成されている。銅箔基材2の厚さとは、銅箔基材2の平均厚さである。また、通常、銅箔基材2の各主表面(表裏面)の表面粗さは同程度である。従って、本実施形態では、銅箔基材2のA面と反対側の面(以下ではB面ともいう。)のRq及びRzをそれぞれ測定し、この値を銅箔基材2のA面のRq及びRzとした。
図1に示すように、本実施形態にかかる表面処理銅箔1は、銅箔基材2を備えている。銅箔基材2としては、例えば圧延銅箔や電解銅箔を用いることができる。圧延銅箔は、例えば無酸素銅(OFC)材、タフピッチ銅(TPC)材、その他の銅合金材等により形成されている。銅箔基材2は、主表面、例えば後述する表面処理層3が設けられる面(以下ではA面ともいう。)の二乗平均粗さ(Rq)が0.05μm以上0.3μm以下、好ましくは0.05μm以上0.27μm以下であり、十点平均粗さ(Rz)が0.35μm以上1.0μm以下、好ましくは0.35μm以上0.7μm以下であるように形成されているとよい。銅箔基材2は、厚さが例えば5μm以上18μm以下となるように形成されている。銅箔基材2の厚さとは、銅箔基材2の平均厚さである。また、通常、銅箔基材2の各主表面(表裏面)の表面粗さは同程度である。従って、本実施形態では、銅箔基材2のA面と反対側の面(以下ではB面ともいう。)のRq及びRzをそれぞれ測定し、この値を銅箔基材2のA面のRq及びRzとした。
(表面処理層)
銅箔基材2のいずれかの主面(A面)上には、表面処理層3が設けられている。表面処理層3は、後述の積層板10を形成する際の樹脂基材11の貼り合わせ予定面(つまり銅箔基材2と接する側とは反対側の面)のRqが0.0475μm以上0.36μm以下であり、Rzが0.3325μm以上1.25μm以下であるように形成されているとよい。以下では、表面処理層3の樹脂基材11の貼り合わせ予定面を、表面処理層3のM面又は表面処理銅箔1のM面ともいう。表面処理層3は、例えば下地めっき層4と、粗化銅めっき層5と、防錆処理層6と、を備えて構成されている。
銅箔基材2のいずれかの主面(A面)上には、表面処理層3が設けられている。表面処理層3は、後述の積層板10を形成する際の樹脂基材11の貼り合わせ予定面(つまり銅箔基材2と接する側とは反対側の面)のRqが0.0475μm以上0.36μm以下であり、Rzが0.3325μm以上1.25μm以下であるように形成されているとよい。以下では、表面処理層3の樹脂基材11の貼り合わせ予定面を、表面処理層3のM面又は表面処理銅箔1のM面ともいう。表面処理層3は、例えば下地めっき層4と、粗化銅めっき層5と、防錆処理層6と、を備えて構成されている。
<下地めっき層>
銅箔基材2のA面上には、表面処理層3としての下地めっき層4が設けられている。下地めっき層4は、例えば表面が平滑な平滑銅めっき層により形成されている。下地めっき層4は、厚さが0.1μm以上0.4μm以下となるように形成されているとよい。下地めっき層4の厚さが薄くなるほど、表面処理層3のM面のRqが高くなる。下地めっき層4の厚さとは、下地めっき層4の平均厚さである。
銅箔基材2のA面上には、表面処理層3としての下地めっき層4が設けられている。下地めっき層4は、例えば表面が平滑な平滑銅めっき層により形成されている。下地めっき層4は、厚さが0.1μm以上0.4μm以下となるように形成されているとよい。下地めっき層4の厚さが薄くなるほど、表面処理層3のM面のRqが高くなる。下地めっき層4の厚さとは、下地めっき層4の平均厚さである。
<粗化銅めっき層>
下地めっき層4上(つまり下地めっき層4の銅箔基材2側とは反対側の面上)には、表面処理層3としての粗化銅めっき層5が設けられている。粗化銅めっき層5は、銅(銅合金)により形成される粗化銅めっき粒子(粗化粒)で構成されている。粗化銅めっき層5は、厚さが0.05μm以上0.4μm以下となるように形成されているとよい。粗化銅めっき層5の厚さとは、粗化銅めっき層5の平均厚さである。
下地めっき層4上(つまり下地めっき層4の銅箔基材2側とは反対側の面上)には、表面処理層3としての粗化銅めっき層5が設けられている。粗化銅めっき層5は、銅(銅合金)により形成される粗化銅めっき粒子(粗化粒)で構成されている。粗化銅めっき層5は、厚さが0.05μm以上0.4μm以下となるように形成されているとよい。粗化銅めっき層5の厚さとは、粗化銅めっき層5の平均厚さである。
<防錆処理層>
粗化銅めっき層5上(つまり粗化銅めっき層5の銅箔基材2側とは反対側の面上)には、表面処理層3としての防錆処理層6が設けられている。防錆処理層6は、厚さが6nm以上35nm以下となるように形成されているとよい。防錆処理層6の厚さとは、防錆処理層6の平均厚さである。防錆処理層6は、例えば、銅箔基材2の側から順に、厚さが4nm以上20nm以下であるニッケル(Ni)めっき層(又はNi及びコバルト(Co)の合金めっき層)と、厚さが1nm以上10nm以下である亜鉛(Zn)めっき層(又はZn合金めっき層)と、厚さが1nm以上5nm以下であるクロメート処理層(3価クロム化成処理層)と、を備えているとよい。防錆処理層6上には、化成処理皮膜として、シランカップリング層が設けられていてもよい。
粗化銅めっき層5上(つまり粗化銅めっき層5の銅箔基材2側とは反対側の面上)には、表面処理層3としての防錆処理層6が設けられている。防錆処理層6は、厚さが6nm以上35nm以下となるように形成されているとよい。防錆処理層6の厚さとは、防錆処理層6の平均厚さである。防錆処理層6は、例えば、銅箔基材2の側から順に、厚さが4nm以上20nm以下であるニッケル(Ni)めっき層(又はNi及びコバルト(Co)の合金めっき層)と、厚さが1nm以上10nm以下である亜鉛(Zn)めっき層(又はZn合金めっき層)と、厚さが1nm以上5nm以下であるクロメート処理層(3価クロム化成処理層)と、を備えているとよい。防錆処理層6上には、化成処理皮膜として、シランカップリング層が設けられていてもよい。
(裏面処理層)
銅箔基材2の他の主面、つまり銅箔基材2のB面上には、裏面処理層としての防錆処理層7が設けられている。防錆処理層7は、例えば、銅箔基材2の側から順に、Niめっき層(又はNi及びCoの合金めっき層)と、Znめっき層(又はZn合金めっき層)と、クロメート処理層と、を備えているとよい。防錆処理層7の厚さ(防錆処理層7を構成する各層の厚さ)は限定されるものではない。防錆処理層7の厚さは、表面処理銅箔1を用いて例えばフレキシブルプリント配線板(FPC)が製造される際、FPCの製造過程における熱量に耐え得る厚さであればよい。例えば、防錆処理層7の厚さは、表面処理層3としての防錆処理層6の厚さよりも薄くなるように形成されているとよい。
銅箔基材2の他の主面、つまり銅箔基材2のB面上には、裏面処理層としての防錆処理層7が設けられている。防錆処理層7は、例えば、銅箔基材2の側から順に、Niめっき層(又はNi及びCoの合金めっき層)と、Znめっき層(又はZn合金めっき層)と、クロメート処理層と、を備えているとよい。防錆処理層7の厚さ(防錆処理層7を構成する各層の厚さ)は限定されるものではない。防錆処理層7の厚さは、表面処理銅箔1を用いて例えばフレキシブルプリント配線板(FPC)が製造される際、FPCの製造過程における熱量に耐え得る厚さであればよい。例えば、防錆処理層7の厚さは、表面処理層3としての防錆処理層6の厚さよりも薄くなるように形成されているとよい。
(2)表面処理銅箔の製造方法
次に、本実施形態にかかる表面処理銅箔1の製造方法の一実施形態について、図2を用いて説明する。図2は、本実施形態にかかる表面処理銅箔1の製造工程を示すフロー図である。
次に、本実施形態にかかる表面処理銅箔1の製造方法の一実施形態について、図2を用いて説明する。図2は、本実施形態にかかる表面処理銅箔1の製造工程を示すフロー図である。
(銅箔基材形成工程(S10))
まず、銅箔基材2としての例えば圧延銅箔や電解銅箔を形成する。銅箔基材2のA面のRqが0.05μm以上0.3μm以下、Rzが0.35μm以上1.0μm以下となるように、銅箔基材2を形成するとよい。具体的には、銅箔基材2として圧延銅箔を用いる場合、圧延時に使用する圧延油の量、圧延油の粘度、圧延温度を調整することで、銅箔基材2の主面(A面)のRqを制御できる。例えば、圧延油の量を多くするほど、また圧延油の粘度を高くするほど、また圧延温度を低くするほど、銅箔基材2の主面(A面)のRqを高くできる。また、圧延速度を調整することで、銅箔基材2の主面(A面)のRzを制御できる。例えば、圧延速度を高くすることで、銅箔基材2の主面(A面)のRzを高くできる。
まず、銅箔基材2としての例えば圧延銅箔や電解銅箔を形成する。銅箔基材2のA面のRqが0.05μm以上0.3μm以下、Rzが0.35μm以上1.0μm以下となるように、銅箔基材2を形成するとよい。具体的には、銅箔基材2として圧延銅箔を用いる場合、圧延時に使用する圧延油の量、圧延油の粘度、圧延温度を調整することで、銅箔基材2の主面(A面)のRqを制御できる。例えば、圧延油の量を多くするほど、また圧延油の粘度を高くするほど、また圧延温度を低くするほど、銅箔基材2の主面(A面)のRqを高くできる。また、圧延速度を調整することで、銅箔基材2の主面(A面)のRzを制御できる。例えば、圧延速度を高くすることで、銅箔基材2の主面(A面)のRzを高くできる。
(銅箔基材清浄工程(S20))
銅箔基材形成工程(S10)が終了した後、銅箔基材2の表面を清浄する処理を行う。例えば、銅箔基材2の表面に電解脱脂処理と酸洗処理とを行う。まず、銅箔基材形成工程(S10)が終了した後、電解脱脂処理を行い、銅箔基材2の表面を清浄化する。電解脱脂処理として、例えば、水酸化ナトリウム等のアルカリ溶液を用いた陰極電解脱脂処理を行う。電解脱脂処理が終了した後、銅箔基材2の表面に酸洗処理を行い、銅箔基材2の表
面に残存するアルカリを中和したり、銅酸化膜を除去する。酸洗処理は、例えば硫酸やクエン酸等の酸性水溶液に銅箔基材2を浸漬して行う。酸洗処理は、例えば銅エッチング液に銅箔基材2を浸漬して行ってもよい。
銅箔基材形成工程(S10)が終了した後、銅箔基材2の表面を清浄する処理を行う。例えば、銅箔基材2の表面に電解脱脂処理と酸洗処理とを行う。まず、銅箔基材形成工程(S10)が終了した後、電解脱脂処理を行い、銅箔基材2の表面を清浄化する。電解脱脂処理として、例えば、水酸化ナトリウム等のアルカリ溶液を用いた陰極電解脱脂処理を行う。電解脱脂処理が終了した後、銅箔基材2の表面に酸洗処理を行い、銅箔基材2の表
面に残存するアルカリを中和したり、銅酸化膜を除去する。酸洗処理は、例えば硫酸やクエン酸等の酸性水溶液に銅箔基材2を浸漬して行う。酸洗処理は、例えば銅エッチング液に銅箔基材2を浸漬して行ってもよい。
(表面処理層形成工程(S30))
銅箔基材清浄工程(S20)が終了した後、銅箔基材2のいずれかの主面上に、表面処理層3を形成する。例えば、銅箔基材2上に、表面処理層3として、下地めっき層4と、粗化銅めっき層5と、防錆処理層6とを形成する。
銅箔基材清浄工程(S20)が終了した後、銅箔基材2のいずれかの主面上に、表面処理層3を形成する。例えば、銅箔基材2上に、表面処理層3として、下地めっき層4と、粗化銅めっき層5と、防錆処理層6とを形成する。
<下地めっき層形成工程(S31)>
銅箔基材形成工程(S20)が終了したら、銅箔基材2のいずれかの主面上(つまり銅箔基材2のA面となる面上)に、下地めっき層4を形成する。下地めっき層4として、例えば平滑銅めっき層を形成する。具体的には、下地めっき層4を形成するめっき液(以下では下地めっき液ともいう)中で電解めっき処理を行うことで、下地めっき層4を形成する。例えば、硫酸銅および硫酸を主成分とする酸性銅めっき液中で、限界電流密度より小さい電流密度で電解めっき処理を行うことで、下地めっき層4を形成する。このとき、めっき電流密度は、めっき条件における限界電流密度よりも小さいとよい。その一方、めっき電流密度を高くするほど、生産性を向上させることができる。従って、めっき電流密度は、限界電流密度よりも小さい範囲内で、できるだけ高くするとよい。なお、めっき電流密度を限界電流密度以上とすると、下地めっき層4の表面(銅箔基材2と接する側とは反対側の面)の凹凸が大きくなってしまう可能性が高くなってしまう。
銅箔基材形成工程(S20)が終了したら、銅箔基材2のいずれかの主面上(つまり銅箔基材2のA面となる面上)に、下地めっき層4を形成する。下地めっき層4として、例えば平滑銅めっき層を形成する。具体的には、下地めっき層4を形成するめっき液(以下では下地めっき液ともいう)中で電解めっき処理を行うことで、下地めっき層4を形成する。例えば、硫酸銅および硫酸を主成分とする酸性銅めっき液中で、限界電流密度より小さい電流密度で電解めっき処理を行うことで、下地めっき層4を形成する。このとき、めっき電流密度は、めっき条件における限界電流密度よりも小さいとよい。その一方、めっき電流密度を高くするほど、生産性を向上させることができる。従って、めっき電流密度は、限界電流密度よりも小さい範囲内で、できるだけ高くするとよい。なお、めっき電流密度を限界電流密度以上とすると、下地めっき層4の表面(銅箔基材2と接する側とは反対側の面)の凹凸が大きくなってしまう可能性が高くなってしまう。
下地めっき層形成工程(S31)では、下地めっき液の液組成、液温、めっき電流密度、めっき時間等の下地めっき層4を形成するめっき処理条件は、特に限定されるものではない。めっき処理条件は、例えば下記の表1に示す範囲に設定できる。このとき、陽極としてCu板を用い、めっき処理を施す対象である銅箔基材2自体を陰極とするとよい。
下地めっき液には、有機系の添加剤を必要に応じて添加してもよい。添加剤としては、例えば、SPS(粉末試薬)を3〜30mg/Lと、ポリプロピレングリコール(液体試薬)を1〜10ml/Lと、ジアリルジアルキルアンモニウムアルキルサルフェイトを0.1〜2g/Lと、を混合したものを用いることができる。この他、添加剤として、例えば、奥野製薬工業株式会社製のトップルチナLS(登録商標)、メルテックス株式会社製のカパーグリームCLX(登録商標)、株式会社JCU製のCU−BRITETH−RIII(登録商標)、上村工業株式会社のスルカップEUC(登録商標)等の、プリント配線
板の製造工程で用いられている各種の銅めっき用添加剤等を用いてもよい。なお、ジアリルジアルキルアンモニウムアルキルサルフェイトの添加量を調整することで、表面処理層3のM面のRqを制御できる。具体的には、下地めっき液中のジアリルジアルキルアンモニウムアルキルサルフェイトの濃度を低くするほど、表面処理層3のM面のRqを高くできる。
板の製造工程で用いられている各種の銅めっき用添加剤等を用いてもよい。なお、ジアリルジアルキルアンモニウムアルキルサルフェイトの添加量を調整することで、表面処理層3のM面のRqを制御できる。具体的には、下地めっき液中のジアリルジアルキルアンモニウムアルキルサルフェイトの濃度を低くするほど、表面処理層3のM面のRqを高くできる。
<粗化銅めっき層形成工程(S32)>
下地めっき層形成工程(S31)が終了したら、下地めっき層4上に粗化銅めっき層5を形成する。具体的には、粗化銅めっき層5を形成するめっき液(以下では粗化銅めっき液ともいう)中で電解めっき処理を行うことで、粗化銅めっき層5を形成する。例えば、硫酸銅や硫酸を主成分とする酸性銅めっき液中で、限界電流密度以上の電流密度で電解めっき処理を行うことで、粗化銅めっき層5を形成する。つまり、下地めっき層4上に、樹脂状の銅めっき層を形成した後、樹脂状の銅めっき層をコブ状の銅めっき層に変化させて(つまり粗化銅めっき粒子(粗化粒)を形成して)、粗化銅めっき層5を形成する。このようなめっき処理では、電流密度を調整したり、めっき処理の回数を調整することで、粗化粒の粒子径を調整できる。これにより、表面処理銅箔1の表面粗さ、特に表面処理層3のM面のRzを調整できる。つまり、電流密度を高くしたり、めっき処理を行う回数を増やすと、粗化粒の粒子径を大きくできる。粗化粒の粒子径が大きくなると、表面処理銅箔1の表面粗さが大きくなる。
下地めっき層形成工程(S31)が終了したら、下地めっき層4上に粗化銅めっき層5を形成する。具体的には、粗化銅めっき層5を形成するめっき液(以下では粗化銅めっき液ともいう)中で電解めっき処理を行うことで、粗化銅めっき層5を形成する。例えば、硫酸銅や硫酸を主成分とする酸性銅めっき液中で、限界電流密度以上の電流密度で電解めっき処理を行うことで、粗化銅めっき層5を形成する。つまり、下地めっき層4上に、樹脂状の銅めっき層を形成した後、樹脂状の銅めっき層をコブ状の銅めっき層に変化させて(つまり粗化銅めっき粒子(粗化粒)を形成して)、粗化銅めっき層5を形成する。このようなめっき処理では、電流密度を調整したり、めっき処理の回数を調整することで、粗化粒の粒子径を調整できる。これにより、表面処理銅箔1の表面粗さ、特に表面処理層3のM面のRzを調整できる。つまり、電流密度を高くしたり、めっき処理を行う回数を増やすと、粗化粒の粒子径を大きくできる。粗化粒の粒子径が大きくなると、表面処理銅箔1の表面粗さが大きくなる。
粗化銅めっき層形成工程(S32)では、粗化銅めっき液の液組成、液温、めっき電流密度、めっき時間等の粗化銅めっき層5を形成するめっき処理条件は、特に限定されるものではない。めっき処理条件は、例えば下記の表2に設定できる。このとき、陽極としてCu板を用い、めっき処理を施す対象である銅箔基材2自体を陰極とするとよい。
粗化粒の過剰な成長を抑制(デンドライドを防止)するため、粗化銅めっき液には、銅以外に、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、コバルト(Co)、亜鉛(Zn)、クロム(Cr)の金属イオンを少なくとも一種類添加するとよい。
<防錆処理層形成工程(S33)>
粗化銅めっき層形成工程(S32)が終了したら、粗化銅めっき層5上に所定厚さ(例えば6nm以上35nm以下)の防錆処理層6を形成する。例えば、防錆処理層6として、粗化銅めっき層5の側から順に、所定厚さ(例えば4nm以上20nm以下)のNiめっき層(又はNi合金めっき層)と、所定厚さ(例えば1nm以上10nm以下)のZnめっき層(又はZn合金めっき層)と、所定厚さ(例えば1nm以上5nm以下)の3価クロム化成処理層と、を形成する。3価クロム化成処理層は、例えば3価クロムタイプの反応型クロメート液を用いて形成する。また、防錆処理層6を形成した後、防錆処理層6上に所定厚さの化成処理皮膜としてのシランカップリング処理層を形成してもよい。
粗化銅めっき層形成工程(S32)が終了したら、粗化銅めっき層5上に所定厚さ(例えば6nm以上35nm以下)の防錆処理層6を形成する。例えば、防錆処理層6として、粗化銅めっき層5の側から順に、所定厚さ(例えば4nm以上20nm以下)のNiめっき層(又はNi合金めっき層)と、所定厚さ(例えば1nm以上10nm以下)のZnめっき層(又はZn合金めっき層)と、所定厚さ(例えば1nm以上5nm以下)の3価クロム化成処理層と、を形成する。3価クロム化成処理層は、例えば3価クロムタイプの反応型クロメート液を用いて形成する。また、防錆処理層6を形成した後、防錆処理層6上に所定厚さの化成処理皮膜としてのシランカップリング処理層を形成してもよい。
(裏面処理層形成工程(S40))
表面処理層形成工程(S30)が終了したら、銅箔基材2の他の主面、つまり銅箔基材2のB面上に、裏面処理層としての防錆処理層7を形成する。例えば、防錆処理層7として、銅箔基材2の側から順に、Niめっき層(又はNi及びCoの合金めっき層)と、Znめっき層(又はZn合金めっき層)と、クロメート処理層と、を形成する。これにより、本実施形態に係る表面処理銅箔1が製造されて、その製造工程を終了する。
表面処理層形成工程(S30)が終了したら、銅箔基材2の他の主面、つまり銅箔基材2のB面上に、裏面処理層としての防錆処理層7を形成する。例えば、防錆処理層7として、銅箔基材2の側から順に、Niめっき層(又はNi及びCoの合金めっき層)と、Znめっき層(又はZn合金めっき層)と、クロメート処理層と、を形成する。これにより、本実施形態に係る表面処理銅箔1が製造されて、その製造工程を終了する。
(3)積層板の構成
続いて、上述した表面処理銅箔1を用いて形成される積層板10について説明する。図1に示すように、積層板10は、表面処理銅箔1と、樹脂基材(樹脂フィルム)11と、を備えている。つまり、積層板10は、表面処理銅箔1が備える表面処理層3の銅箔基材2と接する側とは反対側の面(表面処理銅箔1のM面)上に、樹脂基材11が積層されて貼り合わされて形成されている。樹脂基材11として、例えばポリイミド(PI)フィルムや、ポリエチレンテレフタラート(PET)等のポリエステルフィルム、液晶ポリマ(LCP)等が用いられる。また、表面処理銅箔1と樹脂基材11とを貼り合わせる方法としては、例えば、接着剤を介して貼り合わせを行う方法がある。また、接着剤を使用せずに、高温高圧下で表面処理銅箔1のM面上に樹脂基材11を積層して接着することで、貼り合わせを行ってもよい。あるいは、表面処理銅箔1のM面上に、ポリイミド前駆体を塗布した後、ポリイミド前駆体を乾燥させて硬化させて樹脂基材11を形成することで、表面処理銅箔1と樹脂基材11との貼り合わせを行ってもよい。
続いて、上述した表面処理銅箔1を用いて形成される積層板10について説明する。図1に示すように、積層板10は、表面処理銅箔1と、樹脂基材(樹脂フィルム)11と、を備えている。つまり、積層板10は、表面処理銅箔1が備える表面処理層3の銅箔基材2と接する側とは反対側の面(表面処理銅箔1のM面)上に、樹脂基材11が積層されて貼り合わされて形成されている。樹脂基材11として、例えばポリイミド(PI)フィルムや、ポリエチレンテレフタラート(PET)等のポリエステルフィルム、液晶ポリマ(LCP)等が用いられる。また、表面処理銅箔1と樹脂基材11とを貼り合わせる方法としては、例えば、接着剤を介して貼り合わせを行う方法がある。また、接着剤を使用せずに、高温高圧下で表面処理銅箔1のM面上に樹脂基材11を積層して接着することで、貼り合わせを行ってもよい。あるいは、表面処理銅箔1のM面上に、ポリイミド前駆体を塗布した後、ポリイミド前駆体を乾燥させて硬化させて樹脂基材11を形成することで、表面処理銅箔1と樹脂基材11との貼り合わせを行ってもよい。
(4)本実施形態にかかる効果
本実施形態によれば、以下に示す1つまたは複数の効果を奏する。
本実施形態によれば、以下に示す1つまたは複数の効果を奏する。
(a)本実施形態によれば、積層板10を形成した際の表面処理銅箔1と樹脂基材11との密着性(以下では、単に密着性ともいう。)を維持できるとともに、積層板10から表面処理銅箔1が除去された後の樹脂基材11の透明性の低下を抑制できる。具体的には、表面処理銅箔1と樹脂基材11とを貼り合わせて形成した積層板10において、表面処理銅箔1と樹脂基材11との間のピール強度が0.7N/mm以上となるように形成されている。また、積層板10からエッチング等により表面処理銅箔1を除去した後の樹脂基材11のHAZE値が80%以下となるように形成されている。表面処理銅箔1と樹脂基材11との間のピール強度は0.7N/mm以上1.41N/mm以下であるとよりよく、これにより、HAZE値を80%以下により容易にできる。なお、HAZE値とは、樹脂基材11の透明性の指標となる数値である。具体的には、樹脂基材11に可視光を照射したときの全透過光量に対する拡散透過光量の割合(濁度、曇度)のことである。HAZE値の値が低くなるほど、樹脂基材11の透明性が高くなることを示している。
樹脂基材11の透明性の低下が抑制されることで、例えば、積層板10を用いて形成したフレキシブルプリント配線板(FPC)を実装する際、FPCの実装位置の位置決めを容易に行うことができる。つまり、FPCを実装する際、表面処理銅箔1が除去された箇所の樹脂基材11越しにマーキング等を見て位置決めを行う。このとき、樹脂基材11の透明性が良好であると、つまり樹脂基材11の透明性の低下が抑制されていると、樹脂基材11越しであってもマーキング等が見えやすくなる。従って、FPCの実装位置の位置決めを容易に行うことができ、実装作業効率の低下を抑制できる。
(b)本実施形態によれば、表面処理層3は、少なくとも粗化銅めっき層5を有し、M面の二乗平均粗さ(Rq)が0.0475μm以上0.36μm以下であり、十点平均粗さ(Rz)が0.3325μm以上1.25μm以下であるように形成されている。これにより、上記(a)の効果がより得られやすくなる。つまり、表面処理層3のM面のRq及びRzをそれぞれ所定範囲内とすることで、密着性を維持しつつ、樹脂基材11の透明性の低下をより抑制できる。表面処理層3のM面のRqが0.0475μm未満、あるいはRzが0.3325μm未満である場合、アンカー効果が低下するため、積層板10が形成された際の密着性が低下してしまう。また、表面処理層3のM面のRqが0.36μmを超える、あるいはRzが1.25μmを超える場合、樹脂基材11の透明性が低下してしまう。
(c)本実施形態によれば、銅箔基材2は、A面のRqが0.05μm以上0.3μm以
下であり、Rzが0.35μm以上1.0μm以下であるように形成されている。これにより、表面処理層3のM面のRq及びRzを上記(b)の範囲内に、より容易に制御できる。従って、上記(a)の効果がより得られやすくなる。つまり、銅箔基材2のA面のRq及びRzをそれぞれ所定範囲内とすることで、密着性をより維持しつつ、樹脂基材11の透明性の低下をより抑制できる。また、銅箔基材2の搬送性(通搬性)を向上させることができる。つまり、表面処理銅箔1や積層板10を製造する製造工程において銅箔基材2を搬送する際、銅箔基材2の搬送中に、銅箔基材にシワが入ったり、銅箔基材2が破断することを抑制できる。従って、表面処理銅箔1や積層板10の製造工程が中断されることを抑制できる。その結果、表面処理銅箔1や積層板10の生産性を向上させることができる。
下であり、Rzが0.35μm以上1.0μm以下であるように形成されている。これにより、表面処理層3のM面のRq及びRzを上記(b)の範囲内に、より容易に制御できる。従って、上記(a)の効果がより得られやすくなる。つまり、銅箔基材2のA面のRq及びRzをそれぞれ所定範囲内とすることで、密着性をより維持しつつ、樹脂基材11の透明性の低下をより抑制できる。また、銅箔基材2の搬送性(通搬性)を向上させることができる。つまり、表面処理銅箔1や積層板10を製造する製造工程において銅箔基材2を搬送する際、銅箔基材2の搬送中に、銅箔基材にシワが入ったり、銅箔基材2が破断することを抑制できる。従って、表面処理銅箔1や積層板10の製造工程が中断されることを抑制できる。その結果、表面処理銅箔1や積層板10の生産性を向上させることができる。
銅箔基材2のA面のRqが0.05μm未満であると、所定の密着性及び樹脂基材11の透明性は得られるが、搬送性が著しく低下してしまう。つまり、銅箔基材2のA面のRqが0.05μm未満であると、銅箔基材2のA面のRzを所定の範囲内としても、搬送性が著しく低下してしまう。銅箔基材2のA面のRqが0.3μmを超えると、Rzが所定の範囲内であっても、樹脂基材11の透明性が極端に低下する、つまりHAZE値が80%を超えてしまう。
(d)本実施形態によれば、表面処理層3は、下地めっき層4を備えている。つまり、銅箔基材2と粗化銅めっき層5との間には、下地めっき層4が設けられている。これにより、粗化銅めっき層5を形成する粗化粒の粒子径(大きさ)を均一にできる。つまり、粗化粒の均一性は、銅箔基材2のA面の表面状態に左右される。下地めっき層4が設けられると、銅箔基材2のA面上に存在する深さが0.1〜1μm程度の微細な凹部(オイルピット)を埋めることができる。従って、より平坦な面上に粗化銅めっき層5を形成できるため、粗化粒の均一性を向上させることができる。その結果、表面処理層3のM面のRq及びRzをほぼ決定づけることとなる粗化銅めっき層5の粗化粒の粒子径をより精度よく制御できる。つまり、表面処理層3のM面のRq及びRzを上記(b)の範囲内に、より容易に制御できる。その結果、上記(a)の効果がより容易に得られやすくなる。
(e)本実施形態では、下地めっき層4は、厚さが0.1μm以上0.4μm以下となるように形成されている。これにより、表面処理層3のM面のRq及びRzを上記(b)の範囲内に、より容易に制御できる。その結果、上記(a)の効果がより得られやすくなる。下地めっき層4の厚さが0.1μm未満であると、粗化銅めっき層5を形成する粗化粒の均一性が低下してしまう。つまり、粗化粒の粒子径が不均一になる。従って、表面処理層3のM面のRq及びRzを所定の範囲にできず、樹脂基材11の透明性が低下してしまうことがある。つまり、樹脂基材11のHAZE値を80%以下にできない場合がある。また、下地めっき層4の厚さが0.4μmを超えると、めっき時間が長くなってしまい、生産性が低下してしまう。また、下地めっき層4の厚さが厚くなると、表面処理層3の厚さが厚くなるため、表面処理銅箔1の屈曲性が低下してしまう。
(f)本実施形態では、下地めっき層4を形成する際、必要に応じて下地めっき液中に有機系の添加剤を添加している。これにより、粗化粒の成長速度を均一にできる。従って、粗化銅めっき層5を形成する粗化粒の粒子径(大きさ)をより均一にできる。また、銅箔基材2のA面の表面に存在するオイルピットをより効率的に埋めることができる。これにより、粗化粒が局所的に成長することを抑制できる。
(g)本実施形態では、粗化銅めっき層5は、厚さが0.05μm以上0.4μm以下となるように形成されている。これにより、表面処理層3のM面のRq及びRzを上記(b)の範囲内に、より容易に制御できる。その結果、上記(a)の効果がより得られやすくなる。粗化銅めっき層5の厚さが0.05μm未満であると、表面処理層3のM面のRq
及びRz等の表面粗さが小さくなるため、アンカー効果が低下してしまう。その結果、積層板10を形成した際の表面処理銅箔1と樹脂基材11との密着性が低下してしまう。粗化銅めっき層5の厚さが0.4μmを超えると、Rq及びRz等の表面粗さが大きくなりすぎるため、樹脂基材11の透過性が低下してしまう。また、粗化銅めっき層5の厚さが厚くなると、表面処理層3の厚さが厚くなるため、表面処理銅箔1の屈曲性が低下してしまう。
及びRz等の表面粗さが小さくなるため、アンカー効果が低下してしまう。その結果、積層板10を形成した際の表面処理銅箔1と樹脂基材11との密着性が低下してしまう。粗化銅めっき層5の厚さが0.4μmを超えると、Rq及びRz等の表面粗さが大きくなりすぎるため、樹脂基材11の透過性が低下してしまう。また、粗化銅めっき層5の厚さが厚くなると、表面処理層3の厚さが厚くなるため、表面処理銅箔1の屈曲性が低下してしまう。
(h)本実施形態では、防錆処理層6は、厚さが6nm以上35nm以下となるように形成されている。防錆処理層6の厚さが6nm未満であると、防錆処理層6が設けられることによる耐薬品性効果や耐熱性効果が得られにくくなる。防錆処理層6の厚さが35nmを超えると、表面処理銅箔1と樹脂基材11とを貼り合わせて形成した積層板10に、例えばフォトリソグラフィー法を用いてエッチング等により表面処理銅箔1を除去して回路パターン(銅配線)を形成する際のエッチング等を行いにくくなる。その結果、エッチング等により除去しなければならない表面処理銅箔1を除去しきれず、樹脂基材11に表面処理銅箔1が残る可能性が高くなってしまう。つまり、いわゆる「根残り」が発生する可能性が高くなってしまう。
(i)本実施形態では、防錆処理層6は、Niめっき層(又はNi及びCoの合金めっき層)と、Znめっき層(又はZn合金めっき層)と、クロメート処理層と、を備えて形成されている。これにより、表面処理銅箔1の種々の性能をより向上させることができる。具体的には、例えばNiめっき層(又はNi及びCoの合金めっき層)が設けられることで、粗化銅めっき層5から表面処理銅箔1のM面へ銅が拡散することを抑制できる。また、Znめっき層(又はZn合金めっき層)が設けられることで、表面処理銅箔1の耐熱性を向上させることができる。また、クロメート処理層が設けられることで、表面処理銅箔1の耐薬品性を向上させることができる。
(j)本実施形態では、化成処理皮膜としてのシランカップリング処理層が防錆処理層6上に設けられている。これにより、積層板10を形成した際、表面処理銅箔1と樹脂基材11との密着性をより向上させることができる。
(k)本実施形態では、裏面処理層としての防錆処理層7の厚さを、表面処理層3としての防錆処理層6の厚さよりも薄くなるように形成している。これにより、表面処理銅箔1と樹脂基材11とを貼り合わせて形成した積層板10にエッチング等により表面処理銅箔1を除去して回路パターンを形成する際、エッチング等の量(除去量)を低減でき、生産性を向上させることができる。つまり、回路パターンを形成する際、表面処理銅箔1の表面処理層3とは反対側の面、つまり裏面処理層側からエッチングが行われるが、裏面処理層としての防錆処理層7の厚さが薄いと、表面処理銅箔1をエッチングする量を低減できる。
(本発明の他の実施形態)
以上、本発明の一実施形態を具体的に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
以上、本発明の一実施形態を具体的に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
上述の実施形態では、銅箔基材2を、A面の二乗平均粗さ(Rq)が0.05μm以上0.3μm以下であり、十点平均粗さ(Rz)が0.35μm以上1.0μm以下であるように形成したが、これに限定されない。つまり、銅箔基材2のA面上に設けられる表面処理層3のM面の二乗平均粗さ(Rq)及び十点平均粗さ(Rz)が所定範囲内であれば、銅箔基材2のA面の二乗平均粗さ(Rq)及び十点平均粗さ(Rz)は、上記の範囲内でなくてもよい。
上述の実施形態では、表面処理層3が下地めっき層4と、粗化銅めっき層5と、防錆処理層6と、を備える場合について説明したがこれに限定されない。つまり、表面処理層3は、少なくとも粗化銅めっき層5を備えていればよい。
上述の実施形態では、防錆処理層6が、例えば、銅箔基材2の側から順に、Niめっき層(又はNi及びCoの合金めっき層)と、Znめっき層(又はZn合金めっき層)と、クロメート処理層(3価クロム化成処理層)と、を備える場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、Niめっき層又はNi及びCoの合金めっき層を設けなくてもよい。この場合は、Znめっき層(又はZn合金めっき層)の厚さを3nm以上20nm以下とし、クロメート処理層の厚さを3nm以上15nm以下とするとよい。同様に、裏面処理層としての防錆処理層7についても、Niめっき層又はNi及びCoの合金めっき層を設けなくてもよい。
上述の実施形態では、防錆処理層形成工程(S33)が終了した後に、裏面処理層形成工程(S40)を行う場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、防錆処理層形成工程(S33)と裏面処理層形成工程(S40)とを同時に行ってもよい。つまり、Niめっき浴槽内に2つの電極を取付け、一方の電極で防錆処理層6としてのNiめっき層、他方の電極で裏面処理層である防錆処理層7としてのNiめっき層を同時に設けてもよい。同様に、防錆処理層6としてのZnめっき層、クロメート処理層と、裏面処理層である防錆処理層7としてのZnめっき層、クロメート処理層と、を同時に形成してもよい。防錆処理層形成工程(S33)と裏面処理層形成工程(S40)とを同時に行う場合であって、防錆処理層6上にシランカップリング層を設ける場合、シランカップリング層は以下のような方法で設けるとよい。つまり、例えば、表面処理銅箔1のM面(防錆処理層6)がシランカップリング溶液と対向するように、表面処理銅箔1を配置する。そして、表面張力によって表面が盛り上がったシランカップリング溶液の液面に表面処理銅箔1のM面のみが接するように、表面処理銅箔1を走行させて、シランカップリング層を形成するとよい。
上述の実施形態では、電解脱脂処理と酸洗処理とを行う銅箔基材清浄工程(S20)を行ったがこれに限定されるものではない。例えば、銅箔基材清浄工程(S20)では、電解脱脂処理又は酸洗処理のいずれかを行ってもよい。また、銅箔基材清浄工程(S20)を行わなくてもよい。
次に、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(樹脂基材の視認性評価)
樹脂基材のHAZE値と視認性との関係を評価する試験を行った。
樹脂基材のHAZE値と視認性との関係を評価する試験を行った。
<試料の作製>
まず、種々のHAZE値を有する樹脂基材を作製した。具体的には、図1に示す構成を有し、表面処理層のM面の二乗平均粗さ(Rq)及び十点平均粗さ(Rz)を種々に変更した各種の表面処理銅箔を作製した。続いて、表面処理銅箔のM面上に樹脂基材を積層し、表面処理銅箔と樹脂基材とを貼り合わせて積層板を作製した。樹脂基材として、厚さが25μmである2層ラミ用ポリイミドフィルム(株式会社カネカ製)を用いた。また、表面処理銅箔と樹脂基材との貼り合わせは、真空プレス機により、4MPa、300℃、30分の条件下で行った。積層板を作製した後、塩化第二鉄を用いてスプレーエッチングして表面処理銅箔を除去した。これにより、それぞれ異なるHAZE値を有する各種の樹脂基材を作製した。これらを各種試料とした。
まず、種々のHAZE値を有する樹脂基材を作製した。具体的には、図1に示す構成を有し、表面処理層のM面の二乗平均粗さ(Rq)及び十点平均粗さ(Rz)を種々に変更した各種の表面処理銅箔を作製した。続いて、表面処理銅箔のM面上に樹脂基材を積層し、表面処理銅箔と樹脂基材とを貼り合わせて積層板を作製した。樹脂基材として、厚さが25μmである2層ラミ用ポリイミドフィルム(株式会社カネカ製)を用いた。また、表面処理銅箔と樹脂基材との貼り合わせは、真空プレス機により、4MPa、300℃、30分の条件下で行った。積層板を作製した後、塩化第二鉄を用いてスプレーエッチングして表面処理銅箔を除去した。これにより、それぞれ異なるHAZE値を有する各種の樹脂基材を作製した。これらを各種試料とした。
<視認性の評価方法>
得られた各種試料について、HAZE値の測定を行った。各種試料のHAZE値の測定は、株式会社東洋精機製作所のhaze-gard plusを用いて行った。また、得られた各種試料について、認識最大距離Lの測定を行った。具体的には、図3(a)に示すように、黒色で「+」マーク20を描いた白い紙21を用意する。図3(b)に示すように、「+」マーク20は、縦線及び横線の長さxはそれぞれ10mmとし、縦線及び横線の線幅wはそれぞれ0.3mmとした。そして、図3(a)に示すように、白い紙21の上方から、各種試料(各樹脂基材)22を介して、つまり各種試料22越しに「+」マーク20の交点部を目視で確認できる最大距離Lを測定した。この最大距離を認識最大距離Lとする。そして、認識最大距離Lが8mm以上である試料を「◎」、認識最大距離Lが6mm以上である試料を「○」、認識最大距離Lが4mm以上である試料を「△」として評価した。認識最大距離Lの測定結果及び評価結果を表3及び図4に示す。図4は、表3に示す測定結果のグラフ図である。
得られた各種試料について、HAZE値の測定を行った。各種試料のHAZE値の測定は、株式会社東洋精機製作所のhaze-gard plusを用いて行った。また、得られた各種試料について、認識最大距離Lの測定を行った。具体的には、図3(a)に示すように、黒色で「+」マーク20を描いた白い紙21を用意する。図3(b)に示すように、「+」マーク20は、縦線及び横線の長さxはそれぞれ10mmとし、縦線及び横線の線幅wはそれぞれ0.3mmとした。そして、図3(a)に示すように、白い紙21の上方から、各種試料(各樹脂基材)22を介して、つまり各種試料22越しに「+」マーク20の交点部を目視で確認できる最大距離Lを測定した。この最大距離を認識最大距離Lとする。そして、認識最大距離Lが8mm以上である試料を「◎」、認識最大距離Lが6mm以上である試料を「○」、認識最大距離Lが4mm以上である試料を「△」として評価した。認識最大距離Lの測定結果及び評価結果を表3及び図4に示す。図4は、表3に示す測定結果のグラフ図である。
<視認性の評価結果>
表3及び図4から、各試料22である樹脂基材のHAZE値が高くなるほど、認識最大距離Lが短くなることを確認した。また、表面処理銅箔と樹脂基材とを貼り合わせて形成した積層板を用いて形成したFPCを実装する際、実装作業効率を考慮すると、認識最大距離Lが4mm以上であることが好ましい。HAZE値が80%以下である試料は、認識最大距離Lが4mm以上となることを確認した。つまり、HAZE値が80%以下である試料は、透明性が良好であることを確認した。
表3及び図4から、各試料22である樹脂基材のHAZE値が高くなるほど、認識最大距離Lが短くなることを確認した。また、表面処理銅箔と樹脂基材とを貼り合わせて形成した積層板を用いて形成したFPCを実装する際、実装作業効率を考慮すると、認識最大距離Lが4mm以上であることが好ましい。HAZE値が80%以下である試料は、認識最大距離Lが4mm以上となることを確認した。つまり、HAZE値が80%以下である試料は、透明性が良好であることを確認した。
(透明性及び密着性の評価)
試料1〜181を作製し、樹脂基材の透明性、及び表面処理銅箔と樹脂基材との密着性についての評価を行った。
試料1〜181を作製し、樹脂基材の透明性、及び表面処理銅箔と樹脂基材との密着性についての評価を行った。
<試料の作製>
[試料1]
試料1では、まず、銅箔基材として、タフピッチ銅(TPC)材により形成し、圧延油の量、圧延油の粘度、圧延温度、圧延速度を調整して、A面の二乗平均粗さ(Rq)が0.05μmであり、A面の十点平均粗さ(Rz)が0.35μmであり、厚さが17μmである圧延銅箔を形成した。
[試料1]
試料1では、まず、銅箔基材として、タフピッチ銅(TPC)材により形成し、圧延油の量、圧延油の粘度、圧延温度、圧延速度を調整して、A面の二乗平均粗さ(Rq)が0.05μmであり、A面の十点平均粗さ(Rz)が0.35μmであり、厚さが17μmである圧延銅箔を形成した。
続いて、銅箔基材の表面を清浄化するために、銅箔基材に電解脱脂処理と酸洗処理とを行った。まず、水酸化ナトリウムを30g/Lと、炭酸ナトリウムを40g/Lとを含む水溶液を用いて電解脱脂処理を行った。このとき、液温を40℃とし、電流密度を15A/dm2とし、処理時間を15秒間とした。電解脱脂処理が終了した後、銅箔基材を水洗した。その後、硫酸を150g/L含み、液温が25℃である水溶液中に、銅箔基材を10秒間浸漬して酸洗処理を行った。
次に、銅箔基材のいずれかの主面(つまりA面)上に、表面処理層として、下地めっき層と、粗化銅めっき層と、防錆処理層と、を形成した。
まず、銅箔基材の清浄が終了した後、銅箔基材を水洗した。その後、硫酸銅五水和物を100g/Lと、硫酸を60g/Lとを含み、液温を35℃に調整した水溶液(下地めっき液)をめっき浴として用い、下地めっき層として、厚さが0.1μmである銅(Cu)めっき層を銅箔基材のA面上に形成した。このとき、めっき電流密度を8A/dm2とし、めっき時間を4秒間とした。また、下地めっき液には、有機系の添加剤を添加した。具体的には、有機硫黄化合物としてSPS(粉末試薬)を40mg/Lと、ポリプロピレングリコール(液体試薬)を4ml/Lと、ジアリルジアルキルアンモニウムアルキルサルフェイトを0.3g/Lと、塩酸を0.15ml/Lと、を下地めっき液に添加した。
下地めっき層を形成した後、下地めっき層を形成した銅箔基材を水洗した。その後、硫酸銅五水和物を50g/Lと、硫酸を80g/Lと、硫酸鉄七水和物を50g/Lとを含み、液温を30℃に調整した水溶液(粗化銅めっき液)をめっき浴として用い、厚さが0.05μmである粗化銅めっき層を下地めっき層上に形成した。このとき、めっき電流密度を60A/dm2とし、めっき時間を0.5秒間とした。
粗化銅めっき層を形成した後、粗化銅めっき層を形成した銅箔基材を水洗した。その後、厚さが28nmである防錆処理層を粗化銅めっき層上に形成した。具体的には、粗化銅めっき層の側から順に、厚さが20nmであるNiめっき層と、厚さが4nmであるZnめっき層と、厚さが4nmである3価クロム化成処理層と、を形成した。具体的には、硫酸ニッケル六水和物を300g/Lと、塩化ニッケルを45g/Lと、硼酸を40g/Lとを含み、液温を50℃に調整した水溶液をめっき浴として用い、厚さが25nmであるNiめっき層を粗化銅めっき層上に形成した。このとき、電流密度を2.5A/dm2とし、めっき時間を5秒間とした。Niめっき層を形成した後、Niめっき層を形成した銅箔基材を水洗した。その後、硫酸亜鉛七水和物を90g/Lと、硫酸ナトリウムを70g/Lとを含み、液温を30℃に調整した水溶液をめっき浴として用い、厚さが7nmであるZnめっき層をNiめっき層上に形成した。このとき、電流密度を1.8A/dm2とし、めっき時間を4秒間とした。Znめっき層を形成した後、Znめっき層を形成した銅箔基材を水洗した。その後、3価クロム化成処理を行って、厚さが4nmである3価クロム化成処理層としてのクロメート皮膜(クロメート処理層)をZnめっき層上に形成した。
3価クロム化成処理層を形成した後、3価クロム化成処理層を形成した銅箔基材を水洗した。その後、所定厚さのシランカップリング処理層を3価クロム化成処理層上に形成した。具体的には、3−アミノプロピルトリメトキシシランの濃度が5%であり、液温が25℃であるシランカップリング液中に、3価クロム化成処理層を形成した銅箔基材を5秒間浸漬した後、直ちに200℃の温度で乾燥し、シランカップリング処理層を形成した。
表面処理層を形成した後、銅箔基材の他の主面、つまり銅箔基材のB面上に裏面処理層を形成した。具体的には、銅箔基材のB面上に、裏面処理層として、Niめっき層とZnめっき層と3価クロム化成処理層とを形成した。なお、Niめっき層、Znめっき層、3
価クロム化成処理層の形成方法は、上述の表面処理層が備える防錆処理層としてのNiめっき層、Znめっき層、3価クロム化成処理層と同様である。以上のようにして作製した表面処理銅箔は、表面処理層(表面処理銅箔)のM面のRqが0.0475μmであり、Rzが0.3325μmであった。これを試料1とした。
価クロム化成処理層の形成方法は、上述の表面処理層が備える防錆処理層としてのNiめっき層、Znめっき層、3価クロム化成処理層と同様である。以上のようにして作製した表面処理銅箔は、表面処理層(表面処理銅箔)のM面のRqが0.0475μmであり、Rzが0.3325μmであった。これを試料1とした。
[試料2〜181]
試料2〜181では、銅箔基材のA面のRq及びRzと、表面処理銅箔(表面処理層)のM面のRq及びRzとをそれぞれ、下記の表4〜表7に示す通りとした。銅箔基材のA面のRqの制御は、圧延時に使用する圧延油の量、圧延油の粘度、圧延温度を調整することで行った。圧延油の量を多くするほど、また圧延油の粘度が高いほど、また圧延温度が低いほど、銅箔基材のA面のRqは高くなる。銅箔基材のA面のRzの制御は、圧延速度を調整することで行った。圧延速度を高くするほど、銅箔基材のA面のRzは高くなる。表面処理銅箔のM面のRqの制御は、下地めっき層の厚さと、下地めっき層を形成する際に下地めっき液中に添加する有機系の添加剤の添加量と、を調整することで行った。下地めっき層の厚さを薄くするほど、表面処理銅箔のM面のRqは高くなる。また、下地めっき液中のジアリルジアルキルアンモニウムアルキルサルフェイトの濃度が低くなるほど、表面処理銅箔のM面のRqは高くなる。表面処理銅箔のM面のRzの制御は、粗化銅めっき層を形成する際のめっき電流密度とめっき時間とを調整することで行った。粗化銅めっき層を形成する際のめっき電流密度が高くなるほど、また、めっき時間が長くなるほど、表面処理銅箔のM面のRzは高くなる。その他は、試料1と同様にして表面処理銅箔を作製した。これらをそれぞれ、試料2〜181とした。
試料2〜181では、銅箔基材のA面のRq及びRzと、表面処理銅箔(表面処理層)のM面のRq及びRzとをそれぞれ、下記の表4〜表7に示す通りとした。銅箔基材のA面のRqの制御は、圧延時に使用する圧延油の量、圧延油の粘度、圧延温度を調整することで行った。圧延油の量を多くするほど、また圧延油の粘度が高いほど、また圧延温度が低いほど、銅箔基材のA面のRqは高くなる。銅箔基材のA面のRzの制御は、圧延速度を調整することで行った。圧延速度を高くするほど、銅箔基材のA面のRzは高くなる。表面処理銅箔のM面のRqの制御は、下地めっき層の厚さと、下地めっき層を形成する際に下地めっき液中に添加する有機系の添加剤の添加量と、を調整することで行った。下地めっき層の厚さを薄くするほど、表面処理銅箔のM面のRqは高くなる。また、下地めっき液中のジアリルジアルキルアンモニウムアルキルサルフェイトの濃度が低くなるほど、表面処理銅箔のM面のRqは高くなる。表面処理銅箔のM面のRzの制御は、粗化銅めっき層を形成する際のめっき電流密度とめっき時間とを調整することで行った。粗化銅めっき層を形成する際のめっき電流密度が高くなるほど、また、めっき時間が長くなるほど、表面処理銅箔のM面のRzは高くなる。その他は、試料1と同様にして表面処理銅箔を作製した。これらをそれぞれ、試料2〜181とした。
<透明性及び密着性の評価方法>
試料1〜181のそれぞれについて、樹脂基材の透明性と、表面処理銅箔と樹脂基材との密着性と、搬送性との評価を行った。
試料1〜181のそれぞれについて、樹脂基材の透明性と、表面処理銅箔と樹脂基材との密着性と、搬送性との評価を行った。
樹脂基材の透明性は、試料1〜181の各試料の樹脂基材のHAZE値を測定することで評価した。具体的には、まず、各試料を用いて、両面版FCCL(Flexible Copper Clad Laminate)をそれぞれ作製した。つまり、樹脂基材として厚さが25μmであるラミ
用ポリイミドフィルム(株式会社カネカ製)を用い、樹脂基材の両面(両方の主面)上にそれぞれ、各試料である表面処理銅箔を積層した。このとき、各試料である表面処理銅箔のM面が樹脂基材と接するように各試料を積層した。その後、真空プレス機を用いて、4MPa、300℃、30分の条件下で各試料である表面処理銅箔と樹脂基材とを貼り合わせて、両面版FCCLを作製した。そして、塩化第二鉄を用いてスプレーエッチングし、各試料を用いて作製した両面版FCCLから全ての表面処理銅箔を除去した。各試料である表面処理銅箔が除去された樹脂基材について、株式会社東洋精機製作所のhaze-gard plusを用いてHAZE値の測定を行った。
用ポリイミドフィルム(株式会社カネカ製)を用い、樹脂基材の両面(両方の主面)上にそれぞれ、各試料である表面処理銅箔を積層した。このとき、各試料である表面処理銅箔のM面が樹脂基材と接するように各試料を積層した。その後、真空プレス機を用いて、4MPa、300℃、30分の条件下で各試料である表面処理銅箔と樹脂基材とを貼り合わせて、両面版FCCLを作製した。そして、塩化第二鉄を用いてスプレーエッチングし、各試料を用いて作製した両面版FCCLから全ての表面処理銅箔を除去した。各試料である表面処理銅箔が除去された樹脂基材について、株式会社東洋精機製作所のhaze-gard plusを用いてHAZE値の測定を行った。
表面処理銅箔と樹脂基材との密着性は、表面処理銅箔を樹脂基材から剥離する際のピール強度を測定することで評価した。ピール強度の測定は、図5に示すように行った。まず、試料1〜181の各試料である表面処理銅箔のM面上に、樹脂基材として、厚さが25μmであるラミ用ポリイミドフィルム(株式会社カネカ製)を積層した。その後、真空プレス機を用いて、4MPa、300℃、30分の条件下で表面処理銅箔と樹脂基材とを貼り合わせて、積層板(フレキシブル銅張積層板)をそれぞれ作製した。続いて、積層板Sの表面処理銅箔(各試料)31の裏面処理層(表面処理銅箔31の樹脂基材32と接する側とは反対側の面)上に、リード幅が1mmであるマスキングテープを貼った。そして、塩化第二鉄を用いてスプレーエッチングし、表面処理銅箔31の所定箇所を除去した。つまり、図5に示すような所定の銅箔パターンを樹脂基材32上に形成した。続いて、表面処理銅箔31を樹脂基材32から引き剥がした際の強度を測定した。具体的には、図5に示すように、まず、樹脂基材32が下側となるように各積層板Sをセットした。そして、
引張速度を50mm/minとし、引き剥がされた表面処理銅箔31uと樹脂基材32との為す角が90°となるように、表面処理銅箔31を上方に向かって樹脂基材32から引き剥がした。表面処理銅箔31を樹脂基材32から30mm引き剥がした際の平均強度を算出し、これをピール強度とした。
引張速度を50mm/minとし、引き剥がされた表面処理銅箔31uと樹脂基材32との為す角が90°となるように、表面処理銅箔31を上方に向かって樹脂基材32から引き剥がした。表面処理銅箔31を樹脂基材32から30mm引き剥がした際の平均強度を算出し、これをピール強度とした。
また、試料1〜181の表面処理銅箔の搬送性についての評価を行った。つまり、各表面処理銅箔を作製する際に、銅箔基材に例えばシワが入ったり、破断することがないかを評価した。銅箔基材を搬送中、つまり表面処理銅箔を作製中に、銅箔基材にシワが入らず、破断しなかったものを「○」とし、銅箔基材を搬送中に銅箔基材にシワが入ったり、破断したものを「×」とし、搬送性の評価を行った。
<透明性及び密着性の評価結果>
試料1〜181のそれぞれについて、樹脂基材の透明性、表面処理銅箔と樹脂基材との密着性、及び搬送性の評価結果を表4〜表7にそれぞれ示す。
試料1〜181のそれぞれについて、樹脂基材の透明性、表面処理銅箔と樹脂基材との密着性、及び搬送性の評価結果を表4〜表7にそれぞれ示す。
表4〜表7から、試料1〜81はいずれも、樹脂基材の透明性、表面処理銅箔と樹脂基材との密着性、搬送性の評価が良好であることを確認した。つまり、試料1〜81はいずれも、樹脂基材のHAZE値が80%以下であり、目標値を達成できていることを確認した。また、試料1〜81はいずれも、ピール強度が0.7N/mm以上1.41N/mm
以下であり、目標値を達成できていることを確認した。また、試料1〜81はいずれも、銅箔基材を搬送中に、銅箔基材にシワが入ったり、銅箔基材が破断して、積層板(表面処理銅箔)の製造が中断されることがないことを確認した。
以下であり、目標値を達成できていることを確認した。また、試料1〜81はいずれも、銅箔基材を搬送中に、銅箔基材にシワが入ったり、銅箔基材が破断して、積層板(表面処理銅箔)の製造が中断されることがないことを確認した。
試料82〜181から、表面処理銅箔のM面のRq又はRzの少なくともいずれかの値が所定の範囲より低い値である場合、密着性が低下する傾向にあることが確認できる。また、表面処理銅箔のM面のRq又はRzの少なくともいずれかの値が所定の範囲を超える値である場合、樹脂基材の透明性が低下する傾向にあることが確認できる。
また、試料82〜131はいずれも、樹脂基材のHAZE値が80%以下と低く、透明性が良好であることを確認した。しかしながら、銅箔基材のA面のRqが低すぎる(0.05μm未満である)と、銅箔基材のA面のRzを所定の範囲内に調整しても、銅箔基材の搬送性が低下することを確認した。その結果、生産性が低下することを確認した。具体的には、銅箔基材のA面のRqと、銅箔基材のA面と反対側の面のRqとは、ほぼ同程度である。つまり、銅箔基材のA面のRqが低いということは、銅箔基材のA面と反対側の面のRqも低いことになる。従って、銅箔基材のA面のRqが低すぎると、銅箔基材のA面と反対側の面のRqも低くなり平滑となる。このため、銅箔基材を搬送する搬送ライン上で銅箔基材が滑りやすくなり、銅箔基材にシワ等が入ってしまい、搬送性が低下してしまうことを確認した。
また、試料132〜181はいずれも、ピール強度が1.50N/mmであり、密着性を維持することはできるが、樹脂基材のHAZE値が80%を超えることを確認した。つまり、銅箔基材のA面のRqが0.3μmを超える(例えば0.35μmである)と、銅箔基材のA面のRzを所定の範囲内に調整しても、樹脂基材の透明性が低下することを確認した。これは、銅箔基材のA面のRqの値は、銅箔基材のA面に存在する凹部の深さが深くなるほど大きくなる。このため、銅箔基材のA面のRqの値が大きすぎると、表面処理銅箔のM面の表面粗さが大きくなる。その結果、表面処理銅箔と接する樹脂基材の表面に転写される凹凸形状が大きくなり、光を乱反射させるため、透明性が低下してしまう。
なお、A面のRqが0.05μm未満であって、Rzが極端に大きな銅箔基材は、製造することができない。例えば、A面のRqが0.03μmである場合、Rzが0.7μmを超える銅箔基材を製造することはできない。つまり、Rqが0.05μm未満であって、Rzが極端に大きな銅箔基材とは、銅箔基材の表面(A面)の広域の平均では凹部の深さが浅い(凹凸が小さい)にもかかわらず、A面中の任意の10点の平均では凹部の深さが極端に深い(凹凸が極端に大きな)銅箔基材を意味する。一般的に、このような銅箔基材を製造することは難しい。仮に、このような銅箔基材を製造できた場合であっても、品質が非常に悪いものとなる。また、このような銅箔基材に、粗化銅めっき処理等のめっき処理を行って表面処理層を形成した場合、粗化めっき処理によって形成される粗化粒の粒子径が局所的に大きくなったり、小さくなってしまう場合がある。つまり、表面処理銅箔のM面のRq及びRzを一定の範囲内にできなくなる。
また、A面のRqが0.3μmを超え、かつ、Rzが極端に小さな銅箔基材は、製造することができない。例えば、A面のRqが0.35μmである場合、Rzが0.7μm未満となる銅箔基材を製造することはできない。つまり、Rqが0.3μmを超え、かつ、Rzが極端に小さな銅箔基材とは、銅箔基材の表面(A面)の広域の平均では凹凸が大きい(凹部の深さが深い)にもかかわらず、A面中の任意の10点の平均では凹部の深さが極端に浅い(凹凸のが小さく平滑である)銅箔基材を意味する。一般的に、このような銅箔基材を製造することは難しい。仮に、このような銅箔基材を製造できた場合であっても、品質が非常に悪いものとなり、表面処理層のM面のRq及びRzを一定の範囲内にできなくなる。
1 表面処理銅箔
2 銅箔基材
3 表面処理層
11 樹脂基材
2 銅箔基材
3 表面処理層
11 樹脂基材
上記課題を解決するために、本発明は次のように構成されている。
本発明の第1の態様によれば、
銅箔基材と、
前記銅箔基材のいずれかの主面上に設けられ、粗化銅めっき層を有する表面処理層と、を備え、
前記表面処理層は、樹脂基材の貼り合わせ予定面の二乗平均粗さ(Rq)が0.0475μm以上0.36μm以下であり、十点平均粗さ(Rz)が0.3325μm以上1.25μm以下であるように形成されており、
前記銅箔基材は、前記表面処理層が設けられる面の二乗平均粗さ(Rq)が十点平均粗さ(Rz)よりも小さく、前記Rqが0.05μm以上0.3μm以下であり、前記Rzが0.35μm以上1.0μm以下であるように形成されており、
前記表面処理層上に、厚さが25μmである2層ラミ用ポリイミドフィルムからなる樹脂基材を積層して、4MPa、300℃、30分の貼り合わせ条件で貼り合わせた場合の前記表面処理層と前記樹脂基材との間のピール強度が0.7N/mm以上であり、
前記表面処理層上に前記樹脂基材を積層して、前記貼り合わせ条件で貼り合わせ、塩化第二鉄を用いたスプレーエッチングにより前記銅箔基材及び前記表面処理層を除去した後の前記樹脂基材のHAZE値が80%以下である表面処理銅箔が提供される。
本発明の第1の態様によれば、
銅箔基材と、
前記銅箔基材のいずれかの主面上に設けられ、粗化銅めっき層を有する表面処理層と、を備え、
前記表面処理層は、樹脂基材の貼り合わせ予定面の二乗平均粗さ(Rq)が0.0475μm以上0.36μm以下であり、十点平均粗さ(Rz)が0.3325μm以上1.25μm以下であるように形成されており、
前記銅箔基材は、前記表面処理層が設けられる面の二乗平均粗さ(Rq)が十点平均粗さ(Rz)よりも小さく、前記Rqが0.05μm以上0.3μm以下であり、前記Rzが0.35μm以上1.0μm以下であるように形成されており、
前記表面処理層上に、厚さが25μmである2層ラミ用ポリイミドフィルムからなる樹脂基材を積層して、4MPa、300℃、30分の貼り合わせ条件で貼り合わせた場合の前記表面処理層と前記樹脂基材との間のピール強度が0.7N/mm以上であり、
前記表面処理層上に前記樹脂基材を積層して、前記貼り合わせ条件で貼り合わせ、塩化第二鉄を用いたスプレーエッチングにより前記銅箔基材及び前記表面処理層を除去した後の前記樹脂基材のHAZE値が80%以下である表面処理銅箔が提供される。
本発明の第2の態様によれば、前記表面処理層は、前記銅箔基材と前記粗化銅めっき層との間に下地めっき層を備え、前記下地めっき層の厚さが0.1μm以上0.4μm以下である第1の態様の表面処理銅箔が提供される。
本発明の第3の態様によれば、前記粗化銅めっき層は、厚さが0.05μm以上0.2μm以下となるように形成されている第1又は第2の態様の表面処理銅箔が提供される。
本発明の第4の態様によれば、第1ないし第3の態様のいずれかの表面処理銅箔と、前記表面処理銅箔が有する前記表面処理層上に設けられる樹脂基材と、を備える積層板が提供される。
Claims (6)
- 銅箔基材と、
前記銅箔基材のいずれかの主面上に設けられる表面処理層と、を備え、
前記表面処理層上に樹脂基材を積層して貼り合わせた場合の前記表面処理層と前記樹脂基材との間のピール強度が0.7N/mm以上であり、
前記表面処理層上に前記樹脂基材を積層して貼り合わせ、前記銅箔基材及び前記表面処理層を除去した後の前記樹脂基材のHAZE値が80%以下である
表面処理銅箔。 - 前記表面処理層は、少なくとも粗化銅めっき層を有し、前記樹脂基材の貼り合わせ予定面の二乗平均粗さ(Rq)が0.0475μm以上0.36μm以下であり、十点平均粗さ(Rz)が0.3325μm以上1.25μm以下であるように形成されている
請求項1に記載の表面処理銅箔。 - 前記銅箔基材は、前記表面処理層が設けられる面の二乗平均粗さ(Rq)が0.05μm以上0.3μm以下であり、十点平均粗さ(Rz)が0.35μm以上1.0μm以下であるように形成されている
請求項1又は2に記載の表面処理銅箔。 - 前記表面処理層は、前記銅箔基材と前記粗化銅めっき層との間に下地めっき層を備える請求項1ないし3のいずれかに記載の表面処理銅箔。
- 前記粗化銅めっき層は、厚さが0.05μm以上0.2μm以下となるように形成されている
請求項1ないし4のいずれかに記載の表面処理銅箔。 - 請求項1ないし5のいずれかに記載の表面処理銅箔と、
前記表面処理銅箔が備える前記表面処理層上に設けられる樹脂基材と、を備える積層板。
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