JP2016008343A - 表面処理銅箔、該表面処理銅箔を用いた銅張積層板、および該銅張積層板の製造方法 - Google Patents

表面処理銅箔、該表面処理銅箔を用いた銅張積層板、および該銅張積層板の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】銅箔と樹脂フィルムとの接合面を従来よりも低粗度化しても、従来と同等以上の接合性(銅箔と樹脂フィルムとの接合性)や耐薬品性や変色防止性を有するFPCを可能にする銅張積層板、および該銅張積層板を得るための表面処理銅箔を提供する。【解決手段】表面処理銅箔10は、銅原箔1に対して、該銅原箔の前記樹脂フィルムと貼り合わせる側の表面に複数の被覆層が形成されたものであり、前記複数の被覆層は、前記銅原箔1の上に形成された粗化銅めっき層3と、前記粗化銅めっき層3の上に形成されたニッケルめっき層4と、前記ニッケルめっき層4の上に形成された緩衝銅めっき層5と、前記緩衝銅めっき層5の上に形成された亜鉛めっき層6と、前記亜鉛めっき層6の上に形成されたクロメート処理層7と、前記クロメート層7の上に形成されたシランカップリング処理層8とからなる。【選択図】図1

Description

本発明は、フレキシブルプリント配線板の技術に関し、特に、フレキシブルプリント配線板に適した銅張積層板、該銅張積層板の製造方法、および該銅張積層板を得るための表面処理銅箔に関するものである。
フレキシブルプリント配線板(FPC)は、樹脂フィルム等の可撓性基材と導体箔とが積層された構造を有し、厚みが薄く可撓性に優れる特長から、配線の実装形態における自由度が高いという利点を有する。そのため、現在では、電子機器の可動部での配線や狭いスペース内での折り曲げ配線、液晶部材への配線材、ICチップの搭載材などとしてFPCが広く用いられている。
FPCの可撓性基材としては、熱的・機械的・化学的性質が良好な樹脂フィルム(例えば、ポリイミドフィルム)が一般的に用いられ、FPCの導体箔としては、種々の表面処理が施された純銅箔または銅合金箔(以下、単に「銅箔」または「表面処理銅箔」という)が一般的に用いられている。表面処理銅箔の基となる銅原箔は、その製造方法の違いにより、電解銅箔と圧延銅箔とに大別される。
FPCの製造工程は、概略的に、「FPC用銅箔と樹脂フィルムとを貼り合わせて銅張積層板(CCL)を形成する工程」と、「該銅張積層板に回路配線を形成する工程(回路配線部分以外の銅箔をエッチング除去する工程)」とを有する。なお、銅張積層板は、接着剤を介して樹脂フィルムと銅箔とが積層された三層銅張積層板と、接着剤を介さずに樹脂フィルムと銅箔とが直接積層された二層銅張積層板とに大別される。
FPCに求められる重要な特性の一つに、樹脂フィルムと銅箔との優れた接合性(例えば、0.8 N/mm以上のピール強度)がある。そこで、CCLの段階で十分な接合性を確保するため、樹脂フィルムと銅箔との接合面(通常、銅箔側の接合面)に、しばしば粗化処理が施される(例えば、粗化銅めっき層が形成される)。一般的に、銅箔側の接合面の表面粗さが増大するほど(深い凹凸が形成されるほど)、アンカー効果(物理的効果の一種)により樹脂フィルムとの接合性が向上する。加えて、樹脂フィルムと銅箔との化学的な接合性を得るために、銅箔の最表面(粗化粒の最表面)にシランカップリング処理を施すこともしばしば行われている。
また、CCLにおける銅箔の変色(例えば、CCL製造の加熱工程による変色や、保管中の変色)を防止する観点や耐薬品性(例えば、耐酸性)の観点から、銅箔表面には、通常、防錆処理が施される。防錆効果と上述の接合性とを両立させるため、種々の構造の表面処理銅箔が提案されている。
例えば、特許文献1(特開2001−214297)には、銅箔の表面に粗化処理と防錆処理とを行った表面処理銅箔であって、当該粗化処理は、析離箔の表面に微細銅粒を析出させ、微細銅粒の脱落を防止するための被せメッキを行い、更に、極微細銅粒を析出付着させるものであり、当該防錆処理は、銅箔表面に亜鉛−銅の真鍮メッキ層を形成し、当該真鍮メッキ層の表面に電解クロメート層を形成し、当該電解クロメート層の上にシランカップリング剤吸着層を形成し、電解銅箔自体の温度が105℃〜200℃の範囲とし2〜6秒間乾燥させることにより得られるプリント配線板用の表面処理銅箔が、開示されている。
また、特許文献2(特開2006−319286)や特許文献3(特開2010−141227)には、銅または銅合金からなるプリント配線板用銅箔であって、銅原箔の一方の表面上に(プリント配線板用基材との接着面上に)、平滑めっき層が形成され、前記平滑めっき層上に粗化銅めっき層が形成され、前記粗化銅めっき層上にニッケルとコバルトが主成分である合金めっき層が形成され、前記合金めっき層上に亜鉛めっき層が形成され、前記亜鉛めっき層上にクロメート層が形成され、前記クロメート層上にシランカップリング層が形成されているプリント配線板用銅箔が、開示されている。
特開2001−214297号公報 特開2006−319286号公報 特開2010−141227号公報
前述したように、近年ではFPCの用途範囲が拡大しており、FPC(およびFPCの前段階である銅張積層板)に求められる特性がますます厳しくなっている。例えば、FPCにおいて、回路配線のファインピッチ化の観点から導体箔の良好なエッチング制御性が求められ、電気的な高周波特性の観点から導体箔の表面平坦性が求められている。また、外観安定性の観点から銅箔の変色防止が求められている。一方、回路配線の長期信頼性の観点から、従来と同等以上の接合性(表面処理銅箔と樹脂フィルムとの接合性)や耐薬品性が求められている。
導体箔のエッチング制御性や表面平坦性の要求は、銅張積層板における接合面の粗さを低減させる方向の要求(接合面の低粗度化)であり、接合面の低粗度化は、通常、接合性や耐薬品性を低下させる要因になる。すなわち、これらの要求は従来の技術概念では相反する要求であり、該相反する要求を満たすためには、銅張積層板における更なる改良・改善が必要となる。
したがって、本発明は、銅箔と樹脂フィルムとの接合面を従来よりも低粗度化しても、従来と同等以上の接合性(銅箔と樹脂フィルムとの接合性)や耐薬品性や変色防止性を有するFPCを可能にする銅張積層板、および該銅張積層板を得るための表面処理銅箔を提供することを目的とする。
(I)本発明の1つの態様は、樹脂フィルムと貼り合わせて銅張積層板を形成するための表面処理銅箔であって、
前記表面処理銅箔は、銅原箔に対して、該銅原箔の前記樹脂フィルムと貼り合わせる側の表面に複数の被覆層が形成されたものであり、
前記複数の被覆層は、前記銅原箔の上に形成された粗化銅めっき層と、前記粗化銅めっき層の上に形成されたニッケルめっき層と、前記ニッケルめっき層の上に形成された緩衝銅めっき層と、前記緩衝銅めっき層の上に形成された亜鉛めっき層と、前記亜鉛めっき層の上に形成されたクロメート処理層と、前記クロメート層の上に形成されたシランカップリング処理層とからなる表面処理銅箔を提供する。
本発明は、上記の本発明に係る表面処理銅箔(I)において、以下のような改良や変更を加えることができる。
(i)前記緩衝銅めっき層の被膜量と前記亜鉛めっき層の被膜量との質量比率が、41:59〜22:78の範囲内である。
(ii)前記亜鉛めっき層の被膜量が、0.5μg/cm2以上3μg/cm2以下である。
(iii)前記銅原箔が圧延銅箔であり、前記銅原箔と前記粗化銅めっき層との間に、下地銅めっき層が更に形成されている。
(II)本発明の他の1つの態様は、上記の本発明に係る表面処理銅箔と樹脂フィルムとが貼り合わされた銅張積層板であって、前記複数の被覆層の内の前記緩衝銅めっき層と前記亜鉛めっき層とが合金化して、少なくとも銅−亜鉛化合物を含有する銅−亜鉛化合物含有層を形成している銅張積層板を提供する。
本発明は、上記の本発明に係る銅張積層板(II)において、以下のような改良や変更を加えることができる。
(iv)前記銅−亜鉛化合物がγ相(Cu5Zn8相)を含む。
(v)前記銅−亜鉛化合物含有層は、銅−亜鉛合金のα相を更に含む。
(III)本発明の更に他の1つの態様は、上記の本発明に係る銅張積層板の製造方法であって、前記表面処理銅箔を用意する工程と、該表面処理銅箔と前記樹脂フィルムとを貼り合わせる工程とを有し、
前記表面処理銅箔を用意する工程は、前記銅原箔の上に粗化銅めっき層を形成する工程と、前記粗化銅めっき層の上にニッケルめっき層を形成する工程と、前記ニッケルめっき層の上に緩衝銅めっき層を形成する工程と、前記緩衝銅めっき層の上に亜鉛めっき層を形成する工程と、前記亜鉛めっき層の上にクロメート処理層を形成する工程と、前記クロメート層の上にシランカップリング処理層を形成する工程とを含み、
前記表面処理銅箔と樹脂フィルムとを貼り合わせる工程は、150℃以上350℃以下に加熱する熱処理工程を含み、前記熱処理工程を通して前記銅−亜鉛化合物含有層が形成される銅張積層板の製造方法を提供する。
本発明は、上記の本発明に係る銅張積層板の製造方法(III)において、以下のような改良や変更を加えることができる。
(vi)前記緩衝銅めっき層を形成する工程による該緩衝銅めっき層の被膜量と前記亜鉛めっき層を形成する工程による該亜鉛めっき層の被膜量との質量比率が、41:59〜22:78の範囲内である。
本発明によれば、銅箔と樹脂フィルムとの接合面を従来よりも低粗度化しても、従来と同等以上の接合性(銅箔と樹脂フィルムとの接合性)や耐薬品性や変色防止性を有するFPCを可能にする銅張積層板、および該銅張積層板を得るための表面処理銅箔を提供することができる。
本発明に係る表面処理銅箔の構造の一例を示す断面模式図である。 Cu-Zn二元系平衡状態図である。 本発明に係る銅張積層板の製造工程の一例を示すフロー図である。 熱処理を施した実施例1および比較例2〜3のX線回折測定用の表面処理銅箔試料のX線回折測定結果例を示すチャートである。
(従来技術における問題点、およびその要因調査と考察)
前述したように、本発明者等は、FPCに対する最近の要求(例えば、銅張積層板(CCL)における樹脂フィルムと銅箔との接合面を低粗度化しながら、従来と同等以上の接合性や耐薬品性や変色防止性の確保)を満たすべく、従来よりも接合面の低粗度化を行った上で、所定の酸水溶液への浸漬の前後において樹脂フィルムと銅箔とのピール強度の変化を実験し詳細に調査した。
なお、特許文献2,3によると、粗化銅めっき層の上に形成するニッケル(Ni)めっき層やニッケル−コバルト(Ni-Co)合金めっき層は、粗化銅めっき層の銅(Cu)原子が樹脂フィルムに拡散することを抑制する拡散バリアとして作用し、銅箔の変色を抑制する効果があるとされている。そのため、本発明においても、銅箔の変色防止性の観点から、粗化銅めっき層の上にNiめっき層やNi-Co合金めっき層を形成した。ただし、Niめっき層やNi-Co合金めっき層に対しては直接のクロメート処理やシランカップリング処理が困難なことから、それらの処理層を形成するため、該Niめっき層やNi-Co合金めっき層の上には、通常、亜鉛(Zn)めっき層が形成される。
本発明者等の実験・調査の結果、従来のFPC(例えば、特許文献2,3に記載のCCLを用いて作製したFPC)を模擬した試料は、所定の酸水溶液に浸漬した後に樹脂フィルムと銅箔との接合性(ピール強度)が大きく劣化する場合があった。そこで、ピール強度劣化の要因を把握するために、ピール強度測定後の試料の微細組織を更に詳細に調査したところ、酸水溶液浸漬の前後いずれの場合も、Niめっき層とZnめっき層との界面領域で主に剥離していることが判った。
CCLを構成する層の中で、Znめっき層は、水素よりもイオン化傾向が大きい(標準電極電位が負であり、かつ該負数の絶対値が大きい)ことから、酸水溶液に対して溶解し易い層である。この点に関しては特許文献2,3にも記載されており、Znめっき層の被膜量を制御することによって、酸水溶液への溶出を抑制している。詳細に調査したところ、本発明者等の実験における結果(酸水溶液に浸漬後のピール強度劣化)は、表面処理銅箔の製造時におけるZnめっき層の厚さのゆらぎに起因するものと考えられた。
一方、上記試料においては、従来よりも接合面を低粗度化した結果、酸水溶液に浸漬前であってもピール強度が従来よりも低下する傾向が見られた。これは、接合におけるアンカー効果が減少したためと解釈できる。しかしながら、Niめっき層とZnめっき層との界面領域で主に剥離したことを、アンカー効果の減少で説明することは困難である。
そこで、当該界面領域で主に剥離した要因について考察した。
本発明者等は、CCLを構成する各層の界面整合性(界面における格子整合性)に着目した。銅原箔と粗化銅めっき層とは、共にCuを主成分とすることから、当該2層間で良好な界面整合性を有すると考えられる。粗化Cuめっき層とNiめっき層とは、それぞれを構成する主成分が異なるが、結晶格子が共に面心立方構造からなり、それぞれの格子定数も非常に近い(Cuの格子定数a≒0.361 nm、Niの格子定数a≒0.352 nm)。このことから、粗化Cuめっき層とNiめっき層との間も、良好な界面整合性を有すると考えられる。
これらに対し、Niめっき層とZnめっき層とは、それぞれを構成する主成分が異なる上に、結晶格子と格子定数が大きく異なっている(Znの結晶格子は六方最密充填構造であり、格子定数a≒0.267 nm)。このことから、Niめっき層とZnめっき層との間は、界面整合性が良好とは言えない(界面不整合性を有する)と考えられる。言い換えると、Niめっき層/Znめっき層の界面は、金属結合ではあるが、前述の界面に比して高い界面エネルギーを有すると考えられるため、接合性(接合強度)が相対的に低いと考えられる。
なお、Znめっき層とクロメート処理層との界面、クロメート処理層とシランカップリング処理層との界面、およびシランカップリング処理層と樹脂フィルムとの界面は、それぞれ化成処理による界面であり、何かしらの化学結合が関与している(界面エネルギーが低くなる)と考えられることから、十分に高い接合性を有すると言える。
FPC(またはCCL)のような積層構造体におけるピール強度においては、全ての界面における接合強度のバランス(全ての界面が良好な接合強度を有すること)が重要と考えられる。言い換えると、界面の接合強度にアンバランスが存在すると、最も弱い界面に応力集中が生じることになり、当該最弱界面から破壊が生じると考えられる。
上述したように、Niめっき層/Znめっき層の界面は、格子整合性が低く、他の界面に比して高い界面エネルギーを有すると考えられる。すなわち、従来のFPCを模擬した試料がNiめっき層/Znめっき層の界面領域で主に剥離した要因は、当該界面での接合性(接合強度)が他の界面のそれに比して相対的に低かったためと考えられた。
(本発明の基本思想)
本発明者等は、上述の考察をベースにして、Niめっき層/Znめっき層の界面接合性を強化する指針を検討したところ、次のような境界条件が考えられた。
(a)Cuめっき層/Niめっき層の界面は、界面整合性が高いと言える。
(b)一般的にCuとZnとは拡散によって合金化しやすい金属組み合わせである。
(c)CCLの製造工程では、銅箔と樹脂フィルムとの積層に際して、熱処理が施されることが多い。
(d)ただし、銅箔の変色防止の観点から、Cu原子の樹脂フィルムへの拡散は好ましくない。
(e)また、Cu原子の樹脂フィルムへの拡散は、樹脂フィルムと銅箔との接合性を劣化させる可能性がある。
上記の境界条件を総合的に勘案した結果、CCL製造工程の熱処理条件から逆算して、該熱処理を経験してもCu原子が樹脂フィルムへ拡散しないように制御された被膜量のCuめっき層をNiめっき層上に形成し、該Cuめっき層上にZnめっき層を形成するという技術思想に解の可能性を見出した。
本技術思想によれば、表面処理銅箔の製造段階(少なくともCCL製造工程における熱処理前の段階)では、必要量のZnめっき層が存在することから、クロメート処理やその後のシランカップリング処理に特段の問題は生じない(従来技術と同様にクロメート処理やシランカップリング処理を行うことができる)。一方、CCL製造工程の熱処理を経験することにより、Niめっき層上に形成したCuめっき層とZnめっき層とが合金化し、Niめっき層/Cuめっき層/Znめっき層の界面接合性を強化することができる。さらに、Cuめっき層とZnめっき層とが合金化することにより、Znめっき層単独よりも耐薬品性(耐食性)が向上する。本発明は、これらの知見に基づいて完成されたものである。
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、本発明はここで取り上げた実施形態に限定されることはなく、発明の技術的思想を逸脱しない範囲で組合せや改良が適宜可能である。
[表面処理銅箔の構造]
図1は、本発明に係る表面処理銅箔の構造の一例を示す断面模式図である。なお、図1には、銅張積層板の構成が理解し易くなるように、貼り合わせる樹脂フィルムも示した。図1に示したように、本発明に係る表面処理銅箔10は、樹脂フィルム11と貼り合わせて銅張積層板を形成するための表面処理銅箔であって、銅原箔1の少なくとも一方の表面(樹脂フィルム11と貼り合わせる側の表面)上に複数の被覆層が形成されたものである。
当該複数の被覆層としては、銅原箔1の上に形成された下地銅めっき層2と、下地銅めっき層2の上に形成された粗化銅めっき層3と、粗化銅めっき層3の上に形成されたニッケルめっき層4と、ニッケルめっき層4の上に形成された緩衝銅めっき層5と、緩衝銅めっき層5の上に形成された亜鉛めっき層6と、亜鉛めっき層6の上に形成されたクロメート処理層7と、クロメート処理層7の上に形成されたシランカップリング処理層8とから構成される。下地銅めっき層2は、必須の層ではないが、粗化銅めっき層3における粗化粒の形状制御の観点から、形成されることが好ましい。
また、銅原箔1の他方の表面(樹脂フィルム11と貼り合わせる側と反対側の表面)は、FPC回路配線の表側となる面であり、防錆(耐湿性)の観点から、銅原箔1の上にニッケルめっき層4’が形成され、ニッケルめっき層4’の上に緩衝銅めっき層5’が形成され、緩衝銅めっき層5’の上に亜鉛めっき層6’が形成され、亜鉛めっき層6’の上にクロメート処理層7’が形成されることが好ましい。なお、他の手段によって耐湿性が確保できる場合は、これらの被覆層を形成しなくてもよい。
以下、各構成について具体的に説明する。
(銅原箔)
銅原箔1に特段の限定はなく、従前の銅箔(圧延銅箔、電解銅箔)を用いることができる。FPCにおいて極めて優れた屈曲特性(例えば、100万回以上の屈曲特性)が要求される場合、圧延銅箔を用いることが好ましい。また、素材としては、純銅(例えば、タフピッチ銅(JIS H 3100 C1100)や無酸素銅(JIS H 3100 C1020))、および純銅にスズ(Sn)や銀(Ag)が微量添加された希薄銅合金がよく用いられる。機械的強度特性が優先される場合は、銅原箔1として銅合金材(希薄合金よりも添加元素濃度が高い合金)が用いられることもある。
(下地銅めっき層)
下地銅めっき層2は、銅原箔1の直上に形成され、粗化銅めっき層3の下地となる層である。所定の下地銅めっき層2を設けることにより、その上に形成する粗化銅めっき層3の粗化粒形状(厚さ(凹凸)方向や面内方向の形状)を均等化・安定化することができる利点がある。下地銅めっき層2の平均厚さは0.1μm以上0.6μm以下が好ましい。平均厚さが0.1μm未満になると、下地銅めっき層の作用効果が不十分になる。平均厚さが0.6μm超では、作用効果が飽和しプロセスコストが無駄になる。素材としては、純銅または銅原箔1と同じ組成が好ましい。
(粗化銅めっき層)
粗化銅めっき層3は、下地銅めっき層2の直上に形成される。粗化銅めっき層3の粗化粒形状は、「樹脂フィルムと銅箔との接合性(アンカー効果)」、「銅箔のエッチング制御性」および「FPC回路配線の電気的な高周波特性」に対して影響する。粗化銅めっき層3の平均厚さは0.05μm以上0.3μm以下が好ましい。平均厚さが0.05μm未満になると、アンカー効果がほとんど得られず接合性が不十分になり易くなる。平均厚さが0.3μm超では、「銅箔のエッチング制御性」や「FPC回路配線の電気的な高周波特性」が低下し易くなる。
(ニッケルめっき層)
ニッケルめっき層4は粗化銅めっき層3の直上に形成され、ニッケルめっき層4’は銅原箔1の反対側の面の直上に形成される。ニッケルめっき層4,4’は、Cu原子の拡散バリアとして作用し、銅箔の変色を抑制する効果がある。また、樹脂フィルムへのCu原子の拡散は接合性を劣化させると言われており、それを抑制する効果もある。ニッケルめっき層4の被膜量は、2μg/cm2以上20μg/cm2以下が好ましい。該被膜量が2μg/cm2未満では、拡散バリアとして作用が低下する。該被膜量が20μg/cm2超になると、エッチング制御性が低下する。
なお、本発明におけるニッケルめっき層4は、ニッケル−コバルト合金めっき層である場合を含むものとする。ニッケルめっき層4をニッケル−コバルト合金めっき層とする場合、コバルト含有率は、ニッケルとコバルトとの合計被膜量に対して40質量%以上75質量%以下が好ましい。
(緩衝銅めっき層)
緩衝銅めっき層5,5’は、それぞれニッケルめっき層4,4’の直上に形成される。緩衝銅めっき層5,5’は、ニッケルめっき層4,4’と亜鉛めっき層6,6’との間の界面不整合性を緩衝するための層であり、かつ後のCCL製造工程での熱処理を通して亜鉛めっき層6,6’と合金化することによって、亜鉛めっき層6,6’の耐薬品性(耐食性)を向上させるための層である。すなわち、緩衝銅めっき層5,5’は、本発明の表面処理銅箔10における最も特徴的な層である。
ただし前述したように、CCLを製造したときにCu原子が樹脂フィルムへ拡散すると、銅箔の変色を発生させたり接合性を劣化させたりすることから好ましくない。そこで、本発明においては、CCL製造工程の熱処理条件から逆算して、該熱処理を経験してもCu原子が樹脂フィルムへ拡散しないように制御された被膜量の緩衝銅めっき層5,5’をニッケルめっき層4,4’上に形成する。
図2は、Cu-Zn二元系平衡状態図である。図2から判るように、Cu-Zn二元系においては、亜鉛の比率が50質量%まではα相やβ相と呼ばれるCu-Zn合金相が安定であるが、亜鉛の比率が59質量%以上になるとγ相(Cu5Zn8相)やε相(CuZn5相)と呼ばれるCu-Zn化合物相が安定となる。より具体的には、Cu:Znの質量比率が41:59〜22:78の範囲において、γ相を含む構成(γ相単相、γ相+ε相の混相)が安定であることが判る。
また、一般的に、化合物を一旦形成すると該化合物内の原子の拡散は、化合物でない合金内の原子の拡散よりも強く抑制されると言われている。すなわち、γ相やε相内では、Cu原子の拡散が抑制される(Cu原子が移動しにくくなる)と考えられる。これらのことから、緩衝銅めっき層5,5’の被膜量は、緩衝銅めっき層5,5’とその上に形成された亜鉛めっき層6,6’とが全て合金化した場合に、γ相を含む層が生成される比率となるように、制御されることが好ましい。
(亜鉛めっき層)
亜鉛めっき層6,6’は、それぞれ緩衝銅めっき層5,5’の直上に形成される。亜鉛めっき層6,6’は、クロメート処理層7,7’の形成やシランカップリング処理層8の形成の下地となる層である。亜鉛めっき層6,6’の被膜量は、0.5μg/cm2以上3μg/cm2以下が好ましい。該被膜量が0.5μg/cm2未満では、クロメート処理層7,7’を形成した後の亜鉛めっき層の残量が少な過ぎて、緩衝銅めっき層5,5’との反応制御(銅−亜鉛化合物相の生成制御)が困難になる。該被膜量が3μg/cm2超になると、未反応の亜鉛めっき層が残存し易くなり、耐薬品性の向上効果が不十分になる。
(クロメート処理層)
クロメート処理層7,7’は、それぞれ亜鉛めっき層6,6’の直上に形成される。クロメート処理層7,7’は、表面処理銅箔10において主に防錆・耐食性の確保を担う層である。クロメート処理層7,7’として特段の限定はなく、従前の技術を利用できるが、環境保護の観点から3価クロメート処理層であることが好ましい。クロメート処理層7,7’の被膜量は、クロム量として0.1μg/cm2以上1μg/cm2以下が好ましい。該被膜量が0.1μg/cm2未満では、防錆・耐食効果が不十分になる。該被膜量が1μg/cm2超になると、クロメート処理層自体が厚く脆弱になり、ピール強度が低下する。
(シランカップリング処理層)
シランカップリング処理層8は、クロメート処理層7の直上に形成される。シランカップリング処理層8は、CCLにおいて樹脂フィルム11との化学的な接合作用を担う層である。シランカップリング処理層8として特段の限定はなく、従前の技術を利用できる。
[銅張積層板の製造方法]
本発明に係る銅張積層板の製造方法について、図3を用いて説明する。図3は、本発明に係る銅張積層板の製造工程の一例を示すフロー図である。なお、以下では、洗浄工程や乾燥工程の説明を省略する場合があるが、それらの工程は必要に応じて適宜行われることが好ましい。
(S10)銅原箔準備工程
本工程では、銅原箔1を準備する。前述したように、銅原箔1自体に特段の限定はなく、従前の圧延銅箔や電解銅箔を用いることができるので、銅箔準備方法にも特段の限定はなく、従前の方法を用いることができる。
(S20)下地銅めっき層形成工程
本工程では、銅原箔1の直上に下地銅めっき層2を形成する。下地銅めっき層2を形成する前に、電解脱脂処理および酸洗処理を行って銅原箔1の表面を清浄化することは好ましい。電解脱脂処理は、銅原箔1をアルカリ水溶液に浸漬し陰極電解脱脂を行う処理である。アルカリ水溶液としては、例えば、水酸化ナトリウム(NaOH)を20 g/L以上60 g/L以下、炭酸ナトリウム(Na2CO3)を10 g/L以上30 g/L以下で含む水溶液を用いることができる。
酸洗処理は、電解脱脂処理を行った銅原箔1を酸性水溶液に浸漬し、銅原箔1の表面に残存するアルカリ成分の中和および銅酸化膜の除去を行う処理である。酸性水溶液としては、例えば、硫酸(H2SO4)を120 g/L以上180 g/L以下含む水溶液や、クエン酸(C6H8O7)水溶液、銅エッチング液等を用いることができる。
下地銅めっき層2の形成は、硫酸銅および硫酸を主成分とする酸性銅めっき浴にて銅原箔1を陰極とする電解処理により行う。酸性銅めっき浴の液組成、液温、電解条件、下地銅めっき層の平均厚さは、例えば下記の範囲から選択されることが好ましい。
硫酸銅五水和物:20 g/L以上300 g/L以下(50 g/L以上300 g/L以下がより好ましい)
硫酸:10 g/L以上200 g/L以下(30 g/L以上200 g/L以下がより好ましい)
添加剤:所定の有機系添加剤を添加
液温:15℃以上50℃以下
電流密度:2 A/dm2以上15 A/dm2以下(限界電流密度末満とする)
処理時間:1秒間以上30秒間以下
平均厚さ:0.1μm以上0.6μm以下。
所定の有機系添加剤としては、例えば、メルカプト基を持つ化合物(例えば、3-メルカプト-1-スルホン酸(MPS)、ビス(3-スルホプロピル)ジスルフィド(SPS))、界面活性剤(例えば、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリオキシアルキレンエーテル)、レベリング剤(例えば、ジアリルジアルキルアンモニウムアルキルサルフェイト)、および塩化物イオンを含む水溶液(例えば、塩酸水溶液)を、組み合わせた添加剤が用いられる。
このような添加剤は、構成成分の試薬(市販品)を所定量配合して作製することが可能である。また、構成成分が予め配合されて市販されているめっき用薬液(例えば、メルカプト基を持つ化合物が配合されためっき用薬液、界面活性剤が配合されためっき用薬液、レベリング剤が配合されためっき用薬液)を混合して用いることも可能である。さらに、構成成分が予め配合されて市販されているめっき用薬液と、構成成分の試薬(市販品)とを混合して用いることも可能である。
より具体的には、下地銅めっき浴中のメルカプト基を持つ化合物の濃度としては、例えばSPSの場合、10 mg/L以上60 mg/L以下が好ましく、10 mg/L以上45 mg/L以下がより好ましく、10 mg/L以上30 mg/L以下が更に好ましい。SPSの濃度が10 mg/L未満であると、本発明の効果が十分に得られないことがある。一方、SPSの濃度が60 mg/L超になると、本発明の作用効果が飽和して、無駄な材料コストが発生する。
界面活性剤としては、例えば、荏原ユージライト株式会社製のCU-BRITE TH-R III(登録商標)シリーズの界面活性剤薬液を用いることができる。この場合、下地銅めっき浴中への添加濃度は、1 mL/L以上5 mL/L以下が好ましい。
レベリング剤としては、例えば、荏原ユージライト株式会社製のCU-BRITE TH-R III(登録商標)シリーズの高分子炭化水素を主成分とするレベリング剤薬液を用いることができる。この場合、下地銅めっき浴中への添加濃度は、3 mL/L以上10 mL/L以下が好ましい。
塩化物イオンを含む水溶液としては、例えば、市販の塩酸(塩化水素濃度35%〜37%)を用いることができる。この場合、下地銅めっき浴中への添加濃度は、0.05 mL/L以上0.3 mL/L以下が好ましい。
(S30)粗化銅めっき層形成工程
本工程では、下地銅めっき層2の直上に粗化銅めっき層3を形成する。粗化銅めっき層3の形成は、硫酸銅および硫酸を主成分とする酸性銅めっき浴にて銅原箔1を陰極とする電解処理により行い、粗化粒を下地銅めっき層2の表面に析出・成長させるものである。酸性銅めっき浴の液組成、液温、電解条件、粗化銅めっき層の平均厚さは、例えば下記の範囲から選択されることが好ましい。
硫酸銅五水和物:20 g/L以上300 g/L以下
硫酸:10 g/L以上200 g/L以下
その他成分:Fe,Mo,Ni,Co,Cr,Zn,Wから選ばれる一種以上の添加が好ましい
液温:15℃以上50℃以下
電流密度:20 A/dm2以上100 A/dm2以下(限界電流密度超とする)
処理時間:0.3秒間以上2.0秒間未満
平均厚さ:0.05μm以上0.3μm以下。
粗化銅めっき層3の形成は、限界電流密度を超えた電流密度のめっき(いわゆる、ヤケめっき)によって行うので、析出・成長する粗化粒が過剰に巨大化しないように、めっき浴にFe,Mo,Ni,Co,Cr,Zn,Wから選ばれる一種以上の硫酸塩を添加することが好ましい。例えば、硫酸鉄七水和物を10 g/L以上30 g/L以下の範囲でめっき浴に添加する。これにより、粗化形状の制御が容易になる。なお、粗化形状は、各粗化粒が凹凸方向や面内方向に均等に析出・成長している限り特段の限定はなく、粒形状でもよいし、こぶ形状でもよいし、樹枝形状でもよいし、針形状でもよい。
(S40)ニッケルめっき層形成工程
本工程では、粗化銅めっき層3の直上にニッケルめっき層4を形成する。ニッケルめっき層4の形成は、例えば、下記のめっき条件から選択されることが好ましい。
硫酸ニッケル六水和物:280 g/L以上320 g/L以下
塩化ニッケル:40 g/L以上50 g/L以下
硼酸:40 g/L以上60 g/L以下
その他成分:他の金属元素(例えばCo)を添加してNi合金めっき層としてもよい
液温:30℃以上60℃以下
電流密度:0.5 A/dm2以上10 A/dm2以下(限界電流密度末満とする)
処理時間:1秒間以上10秒間以下
被膜量:2μg/cm2以上20μg/cm2以下。
(S50)緩衝銅めっき層形成工程
本工程では、ニッケルめっき層4の直上に緩衝銅めっき層5を形成する。緩衝銅めっき層5の形成は、基本的に先の下地銅めっき層形成工程(S20)と同様の条件で行われる。なお、緩衝銅めっき層5の形成は、非常に少ない被膜量を制御する必要があることから、めっき浴の溶質濃度や電流密度や処理時間を適宜調整することが好ましい。また、本工程においては、前述した所定の有機系添加剤を添加してもよいし、添加しなくてもよい。
(S60)亜鉛めっき層形成工程
本工程では、緩衝銅めっき層5の直上に亜鉛めっき層6を形成する。亜鉛めっき層6の形成は、例えば、下記のめっき条件から選択されることが好ましい。
硫酸亜鉛:80 g/L以上120 g/L以下
硫酸ナトリウム:60 g/L以上80 g/L以下
液温:15℃以上35℃以下
電流密度:0.1 A/dm2以上10 A/dm2以下(限界電流密度末満とする)
処理時間:1秒間以上10秒間以下
被膜量:0.5μg/cm2以上3μg/cm2以下。
(S70)クロメート処理層形成工程
本工程では、亜鉛めっき層6の直上にクロメート処理層7を形成する。クロメート処理層7の形成は、例えば、下記の処理条件から選択されることが好ましい。
処理液:3価クロムの反応型クロメート液(3価クロムイオン濃度:金属クロム換算で70 mg/L以上500 mg/L未満。3価クロムイオンの供給源に特段の限定はなく、例えば、硝酸クロム、硫酸クロム、塩化クロムが挙げられる)
液温:15℃以上40℃以下
処理時間:3秒間以上30秒間以下
被膜量:クロム量として0.1μg/cm2以上1μg/cm2以下。
(S80)シランカップリング処理層形成工程
本工程では、クロメート処理層7の直上にシランカップリング処理層8を形成する。シランカップリング処理層8の形成は、例えば、下記の処理条件から選択されることが好ましい。
処理液:シランカップリング液(積層する可撓性基材に適したものを選択する。例えば、可撓性基材がポリイミドからなる場合、アミノシランやアミノプロピルトリメトキシシランを主成分とするものを選択することが望ましい)
液温:15℃以上35℃以下
処理時間:3秒間以上40秒間以下
乾燥温度:100℃以上200℃以下
乾燥時間:5秒間以上35秒間以下
厚さ:分子層レベル。
以上S10〜S80の工程により、本発明に係る表面処理銅箔10(銅張積層板用の表面処理銅箔)が完成する。
なお、銅原箔1の他方の表面上にニッケルめっき層4’・緩衝銅めっき層5’・亜鉛めっき層6’・クロメート処理層7’を形成する際には、それぞれ上述のニッケルめっき層4・緩衝銅めっき層5・亜鉛めっき層6・クロメート処理層7と同じ方法で形成することができる。また、ニッケルめっき層4’・緩衝銅めっき層5’・亜鉛めっき層6’・クロメート処理層7’の形成は、ニッケルめっき層4・緩衝銅めっき層5・亜鉛めっき層6・クロメート処理層7の形成と同時に行ってもよいし、別個に行ってもよい。
(S90)可撓性基材積層工程
本工程では、表面処理銅箔10と樹脂フィルム11とを積層する。二層銅張積層板の場合、表面処理銅箔10と樹脂フィルム11とが、樹脂接着層を介さずに加熱・押圧されて直接積層される。加熱・押圧の条件は、樹脂フィルム11の性状により適宜設定されるが、例えば下記の範囲から選択されることが好ましい。
温度:150℃以上350℃以下
圧力:0.5 MPa以上30 MPa以下
保持時間:5分間以上60分間以下。
本工程における加熱により、緩衝銅めっき層5,5’と亜鉛めっき層6,6’とが合金化および/または化合して、少なくともCu-Zn化合物(γ相および/またはε相)を含有する銅−亜鉛化合物含有層が形成される。本工程により、本発明に係る銅張積層板が完成する。
なお、銅原箔1として圧延銅箔を用いた場合、本工程の加熱により、圧延銅箔は再結晶焼鈍されて立方体集合組織に調質され、圧延銅箔の屈曲特性(すなわち、最終的なFPCの屈曲特性)が飛躍的に向上する。また、本工程のハンドリング中に、表面処理銅箔10の望まない変形(伸び、しわ、折れ等)を防ぐため、本工程に供される表面処理銅箔10(少なくとも銅原箔1)は、再結晶組織に調質されていない状態(少なくとも焼鈍されていない状態)であることが好ましい。
上記では、予め成形された樹脂フィルム11を可撓性基材として用いた場合について説明したが、本発明はそれに限定されるものではない。例えば、ポリイミドになるワニスを表面処理銅箔10の接合面に塗布し、熱処理によって該ワニスを硬化させて可撓性基材とする積層方法(キャスト法による二層銅張積層板の製造)であってもよい。また、本発明の銅張積層板は、樹脂フィルム11の片面に表面処理銅箔10が積層された二層片面銅張積層板であってもよいし、樹脂フィルム11の両面に表面処理銅箔10が積層された二層両面銅張積層板であってもよい。
[FPCの製造方法]
上記で得られた銅張積層板に対し、回路配線の形成工程を行うことによりFPCが製造される。回路配線の形成工程は、通常、銅張積層板の表面処理銅箔10の一部を化学エッチング除去することによりなされる。
以下、本発明を実施例に基づいて更に詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[実施例1の表面処理銅箔の作製]
以下の手順により、実施例1の表面処理銅箔10を作製した。はじめに、銅原箔1として、タフピッチ銅からなる圧延銅箔(厚さ11μm)を準備した。次に、銅原箔1に対して電解脱脂処理および酸洗処理をそれぞれ下記の条件で施して、銅原箔1の表面を清浄化した。酸洗処理の後、銅原箔1を水洗した。
(電解脱脂処理)
溶液:水酸化ナトリウム40 g/Lと炭酸ナトリウム20 g/Lとを含む水溶液
液温:40℃
電流密度:5 A/dm2
処理時間:15秒。
(酸洗処理)
溶液:硫酸150 g/Lを含む水溶液
液温:室温(25℃)
処理時間:10秒。
次に、銅原箔1の一方の面に、下記のめっき条件により下地銅めっき層2を形成し、その後、水洗を行った。
(下地銅めっき処理)
硫酸銅五水和物:250 g/L
硫酸:100 g/L
添加剤1:有機硫黄化合物としてSPS 30 mg/L
添加剤2:界面活性剤として荏原ユージライト株式会社製のCU-BRITE TH-R III
シリーズの界面活性剤薬液 3 mL/L
添加剤3:荏原ユージライト株式会社製のCU-BRITE TH-R III
シリーズの高分子炭化水素を主成分とするレベリング剤薬液 5 mL/L
添加剤4:塩化物イオンを含む水溶液として塩酸試薬原液 0.15 mL/L
液温:40℃
電流密度:15 A/dm2
処理時間:10秒
平均厚さ:0.3μm。
次に、下地銅めっき層2上に、下記のめっき条件により粗化銅めっき層3を形成し、その後、水洗を行った。
(粗化銅めっき処理)
硫酸銅五水和物:100 g/L
硫酸:70 g/L
その他成分:硫酸鉄七水和物 20 g/L
液温:30℃
電流密度:60 A/dm2
処理時間:1秒
平均厚さ:0.1μm。
次に、粗化銅めっき層3を形成した銅原箔1の両面(粗化銅めっき層3上、銅原箔1の他方の面)に対し、下記のめっき条件によりニッケルめっき層4,4’を形成し、その後、水洗を行った。
(ニッケルめっき処理)
硫酸ニッケル六水和物:300 g/L
塩化ニッケル:45 g/L
硼酸:50 g/L
液温:50℃
電流密度:2 A/dm2
処理時間:5秒間
被膜量:15μg/cm2
次に、ニッケルめっき層4,4’上に、下記のめっき条件により緩衝銅めっき層5,5’を形成し、その後、水洗を行った。
(緩衝銅めっき処理)
硫酸銅五水和物:150 g/L
硫酸:50 g/L
液温:室温(25℃)
電流密度:1.5 A/dm2
処理時間:0.9秒
被膜量:1.4μg/cm2
次に、緩衝銅めっき層5,5’上に、下記のめっき条件により亜鉛めっき層6,6’を形成し、その後、水洗を行った。緩衝銅めっき層と亜鉛めっき層との被膜量比率(Cu:Znの質量比率)は33:67となる。
(亜鉛めっき処理)
硫酸亜鉛:100 g/L
硫酸ナトリウム:70 g/L
液温:30℃
電流密度:1.5 A/dm2
処理時間:2秒間
被膜量:2.8μg/cm2
次に、亜鉛めっき層6,6’上に、下記の処理条件によりクロメート処理層7,7’を形成した。
(クロメート処理)
処理液:硝酸クロムを3価クロムイオンの供給源とした3価クロムの反応型クロメート液
(3価クロムイオン濃度:金属クロム換算で300 mg/L)
液温:30℃
処理時間:5秒間
被膜量:0.7μg/cm2
次に、クロメート処理層7上に、下記の処理条件によりシランカップリング処理層8を形成した。
(シランカップリング処理)
処理液:5%の3-アミノプロピルトリメトキシシランを含有するシランカップリング液
液温:室温(25℃)
処理時間:5秒間
加熱乾燥:200℃,15秒間。
[実施例2の表面処理銅箔の作製]
実施例2の表面処理銅箔10は、緩衝銅めっき層5,5’の被膜量を1.8μg/cm2としたこと以外は、上述の実施例1の表面処理銅箔10と同様の条件で作製した。緩衝銅めっき層と亜鉛めっき層との被膜量比率(Cu:Znの質量比率)は39:61となる。
[実施例3の表面処理銅箔の作製]
実施例3の表面処理銅箔10は、緩衝銅めっき層5,5’の被膜量を1μg/cm2としたこと以外は、上述の実施例1の表面処理銅箔10と同様の条件で作製した。緩衝銅めっき層と亜鉛めっき層との被膜量比率(Cu:Znの質量比率)は26:74となる。
[実施例4の表面処理銅箔の作製]
実施例4の表面処理銅箔10は、ニッケルめっき層4,4’を50質量%Ni-50質量%Co合金めっき層としたこと以外は、上述の実施例1の表面処理銅箔10と同様の条件で作製した。
[比較例1の表面処理銅箔の作製]
比較例1の表面処理銅箔は、緩衝銅めっき層5,5’を形成しなかったこと以外は、上述の実施例1の表面処理銅箔10と同様の条件で作製した。すなわち、比較例1は、従来の表面処理銅箔であり、基準となる試料である。
[比較例2の表面処理銅箔の作製]
比較例2の表面処理銅箔は、緩衝銅めっき層5,5’と亜鉛めっき層6,6’との代わりに、65質量%Cu-35質量%Zn合金めっき層(黄銅めっき層)を形成した。それ以外は、上述の実施例1の表面処理銅箔10と同様の条件で作製した。
[比較例3の表面処理銅箔の作製]
比較例3の表面処理銅箔は、緩衝銅めっき層5,5’の被膜量を0.2μg/cm2としたこと以外は、上述の実施例1の表面処理銅箔10と同様の条件で作製した。緩衝銅めっき層と亜鉛めっき層との被膜量比率(Cu:Znの質量比率)は7:93となる。
実施例1〜4および比較例1〜3の表面処理銅箔における緩衝銅めっき層と亜鉛めっき層との被膜量比率の一覧を後述の表1に示す。
[銅張積層板の作製]
上記の実施例1〜4および比較例1〜3の表面処理銅箔を用いて、以下の条件により、実施例1〜4および比較例1〜3の銅張積層板を作製した。なお、銅張積層板としては、表面処理銅箔の粗化面(粗化銅めっき層3を形成した側の面)を樹脂フィルムに対向させて、樹脂フィルムの片面に表面処理銅箔を積層した二層片面銅張積層板を作製した。
樹脂フィルム:ポリイミドフィルム(厚さ25μm、株式会社カネカ製、ピクシオ)
温度:300℃
圧力:5 MPa
保持時間:15分間。
[FPC模擬試料の作製]
実施例1〜4および比較例1〜3の銅張積層板に対して、表面処理銅箔の一部を化学エッチング除去して回路配線(線幅1 mm)を形成したFPC模擬試料(実施例1〜4および比較例1〜3)を作製した。化学エッチング除去は、塩化第二鉄のスプレーエッチングにより行った。
[X線回折測定用試料の作製]
上記で作製した実施例および比較例の表面処理銅箔は、緩衝銅めっき層5および亜鉛めっき層6の被膜量が非常に少ないことから、そのままの試料に対してX線回折測定を行っても、それら緩衝銅めっき層5と亜鉛めっき層6との合金化反応を検知・検出することが困難である。そこで、CCL製造工程の熱処理によって、緩衝銅めっき層5と亜鉛めっき層6との間でどのような合金化反応が生じるのかを確認するために、X線回折測定用の表面処理銅箔試料(実施例1〜4および比較例2〜3に相当する試料)を別途作製した。なお、比較例1は、緩衝銅めっき層5を形成していないので、省略した。
銅原箔1からニッケルめっき層4までは、先の実施例1または実施例4の表面処理銅箔10と同様の条件で作製した。緩衝銅めっき層5および亜鉛めっき層6に関しては、各実施例・比較例での被膜量比率を保たせ、かつ薄い方のめっき層の厚さが約0.5μmになるように緩衝銅めっき層5および亜鉛めっき層6を形成した。クロメート処理層7およびシランカップリング処理層8は、形成しなかった。
その後、CCL製造工程の熱処理を模擬するために、上記のX線回折測定用試料を300℃に加熱し所定時間保持した。なお、当該所定時間は、X線回折測定用試料における合金化反応が先の実施例・比較例と等価になるように、拡散距離(形成しためっき層の厚さ)から逆算して設定した。
[表面処理銅箔およびFPC模擬試料の性状調査]
(1)表面処理銅箔のX線回折測定
上記で作製したX線回折測定用の表面処理銅箔試料(実施例1〜4および比較例2〜3に相当する試料)の元亜鉛めっき層6の表面に対して、X線回折装置(株式会社リガク、型式:Ultima IV)を用いてXRD測定を行った。XRD測定条件は、ターゲット:Cu、管電圧:40 kV、管電流:40 mA、測定モード:2θ/θ、スキャン速度:1 deg/min、スキャンステップ:0.01°とした。結果は後述の表1に併記する。
(2)FPC模擬試料におけるピール強度測定
実施例1〜4および比較例1〜3のFPC模擬試料における回路配線(表面処理銅箔が残存している部分)に対して、JIS C6481に準拠してピール強度の測定を行い、10試料の平均値を求めた。最近では、樹脂フィルムと銅箔との接合性の指標として、0.8 N/mm以上のピール強度が求められていることから、ここでの合否の判定基準も0.8 N/mmとした。結果を後述の表1に併記する。
(3)FPC模擬試料における耐薬品性評価試験
実施例1〜4および比較例1〜3のFPC模擬試料を所定条件の酸水溶液中に浸漬し、水洗・乾燥後、上記と同様にJIS C6481に準拠してピール強度の測定を行い、10試料の平均値を求めた。酸水溶液浸漬の条件としては、硫酸水溶液(濃度3%、液温50℃)を用い、1時間の浸漬時間とした。また、酸水溶液浸漬によるピール強度の劣化率「(酸浸漬前ピール強度−酸浸漬後ピール強度) / 酸浸漬前ピール強度×100(%)」を算出した。結果を後述の表1に併記する。
Figure 2016008343
図4は、熱処理を施した実施例1および比較例2〜3のX線回折測定用の表面処理銅箔試料のX線回折測定結果例を示すチャートである。図4に示したように、実施例1はγ相ピークが確認され、比較例2はα相ピークが確認され、比較例3はη相ピークと小さなε相ピークとが確認される。全ての試料においてCuピークが確認されることから、該Cuピークは、主に銅原箔1に起因すると思われる。一方、ニッケルめっき層4に起因するピークは、その被膜量が少ないことから、本XRD測定では検出されなかった。
図4と表1のXRD測定結果とを併せてみると、実施例1および実施例4は、緩衝銅めっき層5と亜鉛めっき層6とが合金化反応し、Cu-Zn化合物のγ相を生成したと判断される。実施例2においては、Cu-Zn合金のα相とCu-Zn化合物のγ相とが検出された。実施例2では、緩衝銅めっき層5の被膜量比率が比較的大きいために、施した熱処理の時間内にγ相生成反応が完了せず、検出できる程度のα相が残存したためと考えられた。実施例3では、緩衝銅めっき層5の被膜量比率が比較的小さいことから、Cu-Zn化合物のγ相とε相とが検出された。
一方、比較例2は、端からα相の合金めっきを施したことから、そのままα相が検出されている。比較例3では、緩衝銅めっき層5の被膜量比率が小さいことから、亜鉛相であるη相とCu-Zn化合物のε相とが検出されている。
表1のピール強度測定結果をみると、従来技術の比較例1は、酸浸漬前であってもピール強度が合格値(0.8 N/mm)を下回った。これは、下地銅めっき層2の表面粗度(表面凹凸の程度)を以前よりも小さくしてアンカー効果が低減したことが主要因と考えられるが、アンカー効果が低減したことによって、ニッケルめっき層4と亜鉛めっき層6との界面不整合性の影響が表面化したためと考えられる。また、比較例1は、亜鉛めっき層6の耐薬品性(耐酸性)が低いことから、酸浸漬後のピール強度が低く酸浸漬による劣化率が大きかった。
亜鉛めっき層6の代わりに黄銅めっき層(Cu-Zn合金のα相)を形成した比較例2は、耐薬品性(耐酸性)の向上から、酸浸漬による劣化率が大きく改善した。しかしながら、酸浸漬前のピール強度が、比較例1のそれよりも低下した。
ピール試験後の微細組織観察を行ったところ、比較例2では、他の比較例や実施例と異なり、表面処理銅箔10と樹脂フィルム11との界面領域で剥離する傾向が見られた。これは、黄銅めっき層中のCu原子がCCL製造工程の熱処理によって樹脂フィルム11まで拡散し、クロメート処理層7やシランカップリング処理層8による化学的接合効果を抑制したためと考えられる。
比較例3は、酸浸漬前のピール強度が比較例1のそれよりも向上した。これは、ニッケルめっき層4と亜鉛めっき層6との間に緩衝銅めっき層5を設けたことにより、ニッケルめっき層4との界面整合性が向上したためと考えられる。しかしながら、緩衝銅めっき層5の被膜量(亜鉛めっき層6との被膜量比率)が少な過ぎるため、η相(亜鉛相)が多く残存しており、酸浸漬による劣化率が大きかった。
これら比較例に対し、本発明に係る実施例1〜4では、酸浸漬の前後いずれもピール強度が合格値(0.8 N/mm)を上回り、酸浸漬による劣化率も5%以下と小さかった。これらの結果から、ニッケルめっき層4と亜鉛めっき層6との間に緩衝銅めっき層5を設け、CCL製造工程の熱処理によって緩衝銅めっき層5と亜鉛めっき層6とを適切に合金化反応させることにより、ニッケルめっき層4との界面整合性の向上と耐薬品性(耐酸性)の向上とを同時に実現できることが確認された。
上述した実施形態や実施例は、本発明の理解を助けるために説明したものであり、本発明は、記載した具体的な構成のみに限定されるものではない。例えば、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。すなわち、本発明は、本明細書の実施形態や実施例の構成の一部について、削除・他の構成に置換・他の構成の追加をすることが可能である。
10…表面処理銅箔、11…樹脂フィルム、
1…銅原箔、2…下地銅めっき層、3…粗化銅めっき層、4,4’…ニッケルめっき層、
5,5’…緩衝銅めっき層、6,6’…亜鉛めっき層、7,7’…クロメート処理層、
8…シランカップリング処理層。

Claims (9)

  1. 樹脂フィルムと貼り合わせて銅張積層板を形成するための表面処理銅箔であって、
    前記表面処理銅箔は、銅原箔に対して、該銅原箔の前記樹脂フィルムと貼り合わせる側の表面に複数の被覆層が形成されたものであり、
    前記複数の被覆層は、前記銅原箔の上に形成された粗化銅めっき層と、前記粗化銅めっき層の上に形成されたニッケルめっき層と、前記ニッケルめっき層の上に形成された緩衝銅めっき層と、前記緩衝銅めっき層の上に形成された亜鉛めっき層と、前記亜鉛めっき層の上に形成されたクロメート処理層と、前記クロメート層の上に形成されたシランカップリング処理層とからなることを特徴とする表面処理銅箔。
  2. 請求項1に記載の表面処理銅箔において、
    前記緩衝銅めっき層の被膜量と前記亜鉛めっき層の被膜量との質量比率が、41:59〜22:78の範囲内であることを特徴とする表面処理銅箔。
  3. 請求項2に記載の表面処理銅箔において、
    前記亜鉛めっき層の被膜量が、0.5μg/cm2以上3μg/cm2以下であることを特徴とする表面処理銅箔。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の表面処理銅箔において、
    前記銅原箔が圧延銅箔であり、
    前記銅原箔と前記粗化銅めっき層との間に、下地銅めっき層が更に形成されていることを特徴とする表面処理銅箔。
  5. 請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の表面処理銅箔と樹脂フィルムとが貼り合わされた銅張積層板であって、
    前記複数の被覆層の内の前記緩衝銅めっき層と前記亜鉛めっき層とが合金化して、少なくとも銅−亜鉛化合物を含有する銅−亜鉛化合物含有層を形成していることを特徴とする銅張積層板。
  6. 請求項5に記載の銅張積層板において、
    前記銅−亜鉛化合物がγ相を含むことを特徴とする銅張積層板。
  7. 請求項5又は請求項6に記載の銅張積層板において、
    前記銅−亜鉛化合物含有層は、銅−亜鉛合金のα相を更に含むことを特徴とする銅張積層板。
  8. 請求項5乃至請求項7のいずれかに記載の銅張積層板の製造方法であって、
    前記表面処理銅箔を用意する工程と、該表面処理銅箔と前記樹脂フィルムとを貼り合わせる工程とを有し、
    前記表面処理銅箔を用意する工程は、
    前記銅原箔の上に粗化銅めっき層を形成する工程と、
    前記粗化銅めっき層の上にニッケルめっき層を形成する工程と、
    前記ニッケルめっき層の上に緩衝銅めっき層を形成する工程と、
    前記銅めっき層の上に亜鉛めっき層を形成する工程と、
    前記亜鉛めっき層の上にクロメート処理層を形成する工程と、
    前記クロメート層の上にシランカップリング処理層を形成する工程とを含み、
    前記表面処理銅箔と樹脂フィルムとを貼り合わせる工程は、150℃以上350℃以下に加熱する熱処理工程を含み、
    前記熱処理工程を通して前記銅−亜鉛化合物含有層が形成されることを特徴とする銅張積層板の製造方法。
  9. 請求項8に記載の銅張積層板の製造方法において、
    前記緩衝銅めっき層を形成する工程による該緩衝銅めっき層の被膜量と前記亜鉛めっき層を形成する工程による該亜鉛めっき層の被膜量との質量比率が、41:59〜22:78の範囲内であることを特徴とする銅張積層板の製造方法。
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