JP2016089192A - 表面処理銅箔及び積層板 - Google Patents

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Abstract

【課題】積層板を形成した際の表面処理銅箔と樹脂基材との密着性を維持できるとともに、積層板から表面処理銅箔が除去された後の樹脂基材の透明性を確保できる技術を提供する。
【解決手段】銅箔基材の少なくともいずれかの主面上に設けられ、所定の成長方向にそれぞれ成長した複数のめっき粒子を含む粗化銅めっき層を備え、めっき粒子の銅箔基材の主面に沿った粒子径の平均値が0.05μm以上0.8μm以下であり、めっき粒子の成長方向に沿った粒子径の平均値が0.05μm以上1.2μm以下であり、めっき粒子の成長方向と前記銅箔基材の主面とのなす角度が20°以上90°以下である。
【選択図】図1

Description

本発明は、表面処理銅箔及びこの表面処理銅箔を用いて形成した積層板に関する。
従来より、携帯電話等の電子機器の配線板として、フレキシブルプリント配線板(FPC)等が用いられている。FPCは、例えば、銅箔と、樹脂基材と、を備える積層板で形成されている。積層板には、所定箇所の銅箔がエッチング等により除去されることで、銅配線(回路パターン)が形成されている。積層板には、銅箔と樹脂基材との密着性(以下、単に「密着性」とも言う。)が高く、銅配線が樹脂基材から剥がれにくいことが要求されている。そこで、銅箔として、例えば銅箔基材のいずれかの主面上にめっき粒子を含む粗化銅めっき層を設けることで、アンカー効果を得て密着性を向上させた表面処理銅箔を用いることが提案されている(例えば特許文献1〜3参照)。
特開2004−238647号公報 特開2006−155899号公報 特開2010−218905号公報
しかしながら、上述の密着性を高めるために、めっき粒子の粒子径を大きくし、表面処理銅箔の表面を粗くすると、銅箔が除去された箇所の樹脂基材の透明性が低下してしまうことがある。従って、積層板に電子部品等を実装する際、銅箔が除去された箇所の樹脂基材越しにアライメントマーク等を認識しにくくなり、電子部品等の実装位置の位置決めを行いにくくなることがある。
本発明は、上記課題を解決し、積層板を形成した際の表面処理銅箔と樹脂基材との密着性が維持されるとともに、積層板から表面処理銅箔が除去された後の樹脂基材の透明性が確保される技術を提供することを目的とする。
本発明の一態様によれば、
銅箔基材と、
前記銅箔基材の少なくともいずれかの主面上に設けられ、所定の成長方向にそれぞれ成長した複数のめっき粒子を含む粗化銅めっき層と、を備え、
前記めっき粒子の前記銅箔基材の主面に沿った粒子径の平均値が0.05μm以上0.8μm以下であり、
前記めっき粒子の成長方向に沿った粒子径の平均値が0.05μm以上1.2μm以下であり、
前記めっき粒子の成長方向と前記銅箔基材の主面とのなす角度が20°以上90°以下である表面処理銅箔が提供される。
本発明の他の態様によれば、
銅箔基材、及び前記銅箔基材の少なくともいずれかの主面上に設けられ、所定の成長方向にそれぞれ成長した複数のめっき粒子を含む粗化銅めっき層を備える表面処理銅箔と、
前記粗化銅めっき層に対向するように前記表面処理銅箔と貼り合わせられた樹脂基材と、を備え、
前記めっき粒子の前記銅箔基材の主面に沿った粒子径の平均値が0.05μm以上0.8μm以下であり、
前記めっき粒子の成長方向に沿った粒子径の平均値が0.05μm以上1.2μm以下であり、
前記めっき粒子の成長方向と前記銅箔基材の主面とのなす角度が20°以上90°以下である積層板が提供される。
本発明によれば、積層板を形成した際の表面処理銅箔と樹脂基材との密着性を維持できるとともに、積層板から表面処理銅箔が除去された後の樹脂基材の透明性を確保できる。
本発明の一実施形態にかかる表面処理銅箔を備える積層板の概略断面図である。 (a)〜(d)はそれぞれ、本発明の一実施形態にかかる表面処理銅箔が備える粗化銅めっき層に含まれるめっき粒子の縦断面概略図の一例である。 本発明の一実施形態にかかる表面処理銅箔が備える粗化銅めっき層の上面のSEM像の一例である。
近年、電子機器のさらなる小型化、薄肉化の要求に伴い、電子機器に用いられるFPCにも、さらなる小型化、薄肉化が要求されている。そこで、例えば、樹脂基材の銅箔との貼り合わせ面上に設けられる接着剤層の厚さを薄くすることで、FPCの厚さを薄くすることが考えられている。しかしながら、接着剤層の厚さが薄くなると、表面処理銅箔における樹脂基材との貼り合わせ面の表面粗さ等の状態によっては、表面処理銅箔と樹脂基材との密着性が低下してしまうことがある。本発明は、このような接着剤層の厚さを薄くした場合に生じる特有の課題を解決するためになされたものである。
(1)表面処理銅箔及び積層板の構成
本発明の一実施形態にかかる積層板及び表面処理銅箔の構成について、図1〜図3を参照しながら説明する。
(積層板)
図1に示すように、本実施形態にかかる積層板(CCL:Copper Clad Laminate)10は、少なくともいずれかの主面上に粗化銅めっき層3が設けられた表面処理銅箔1と、粗化銅めっき層3に対向するように設けられた樹脂基材11と、を備えている。例えば、積層板10は、樹脂基材11の両主面上にそれぞれ表面処理銅箔1を貼り合わせることで形成されている。具体的には、積層板10は、樹脂基材11を挟んで表面処理銅箔1が対向するとともに、粗化銅めっき層3が樹脂基材11に対向するように、樹脂基材11の両主面上に表面処理銅箔1を貼り合わせて形成されている。
樹脂基材11として、例えばポリイミド(PI)樹脂フィルムや、ポリエチレンテレフタラート(PET)等のポリエステルフィルムや、液晶ポリマ(LCP)等が用いられる。また、樹脂基材11の表面処理銅箔1との貼り合わせ面には、接着剤層が設けられていることが好ましい。接着剤層としては、例えば熱可塑性ポリイミド(TPI)層を形成することができる。
(表面処理銅箔)
上述の積層板10に用いられる表面処理銅箔1は、銅箔基材2を備えている。銅箔基材2としては、例えば圧延銅箔や電解銅箔を用いることができる。銅箔基材2として、電解銅箔よりも耐屈曲性に優れ、繰り返し折り曲げても破断しにくい圧延銅箔が用いられることがより好ましい。銅箔基材2の厚さは例えば5μm以上18μm以下であることが好ましい。
銅箔基材2は、例えば無酸素銅(OFC:Oxygen−Free Copper)やタフピッチ銅(TPC:Tough−Pitch Copper)の純銅から形成されている。無酸素銅とは、JIS C1020やJIS H3100等に規定する純度が99.96%以上の銅材である。無酸素銅には、例えば数ppm程度の酸素が含有されていてもよい。タフピッチ銅とは、例えばJIS C1100やJIS H3100等に規定する純度が99.9%以上の銅材である。タフピッチ銅には、例えば100ppm〜600ppm程度の酸素が含有されていてもよい。銅箔基材2は、無酸素銅やタフピッチ銅に、微量のスズ(Sn)や銀(Ag)等の所定の添加剤が添加された希薄銅合金から形成されていてもよい。これにより、銅箔基材2の耐熱性等を向上させることができる。
銅箔基材2のいずれかの主面上には、粗化銅めっき層3が設けられている。粗化銅めっき層3は、粗化抜けが発生していない状態にあることが好ましい。例えば、粗化銅めっき層3を上面から見た際、銅箔基材2が露出しないように、粗化銅めっき層3が形成されていることが好ましい。
粗化銅めっき層3には、例えば図2(a)〜(d)に示すような銅箔基材2のいずれかの主面上で所定の成長方向にそれぞれ成長した複数のめっき粒子(粗化粒)3aが含まれている。めっき粒子3aは、例えば銅(Cu)(つまりCu単体)で形成されている。粗化銅めっき層3(めっき粒子3a)は、例えば、Cuと、めっき粒子3aの余計な成長(異常な成長)を抑制し(デンドライトの発生を防止し)、めっき粒子3aの大きさを均一にする金属イオンと、を含むめっき液を用いて形成されていることが好ましい。このような金属イオンとして、具体的には、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、コバルト(Co)、亜鉛(Zn)、クロム(Cr)等が用いられる。例えば、粗化銅めっき層3を形成するめっき液(以下、「粗化銅めっき液」とも言う。)中に、硫酸鉄七水和物やモリブデン酸ナトリウム(Mo酸Na)を添加することが好ましい。なお、粗化銅めっき層3は例えばCuからなる、上述の金属イオン非含有のめっき液を用いて形成されていてもよい。
めっき粒子3aの銅箔基材2の主面に沿った粒子径Wの平均値が例えば0.05μm以上0.8μm以下であることが好ましい。めっき粒子3aの銅箔基材2の主面に沿った粒子径Wとは、例えばめっき粒子3aを上面から見た際におけるめっき粒子3aの銅箔基材2の主面に沿った粒子径の最大値である。めっき粒子3aの銅箔基材2の主面に沿った粒子径Wの平均値は、例えば粗化銅めっき液中の金属イオンの濃度(例えば硫酸鉄七水和物やMo酸Naの濃度)や、粗化銅めっき液の液温を調整することで制御することができる。なお、以下では、めっき粒子3aの銅箔基材2の主面に沿った粒子径の平均値を、めっき粒子3aの水平方向の平均粒子径とも言う。
また、めっき粒子3aの成長方向に沿った粒子径Dの平均値が例えば0.05μm以上1.2μm以下であることが好ましい。めっき粒子3aの成長方向とは、めっき粒子3aの主たる成長方向であり、めっき粒子3aの縦断面図において、めっき粒子3aの底辺の中点Oからの頂点Tに向かって延びる線(成長軸L)の方向である。また、めっき粒子3aの成長方向に沿った粒子径Dとは、例えばめっき粒子3aの縦断面図において、頂点Tと底辺の中点Oとの間の長さである。つまり、めっき粒子3aの成長方向に沿った粒子径Dとは、例えばめっき粒子3aの成長軸Lの長さである。めっき粒子3aの成長方向に沿った粒子径Dの平均値は、例えば粗化銅めっき液の液温や、粗化銅めっき層3を形成するめっき処理のめっき時間を調整することで制御することができる。なお、以下では、めっき粒子3aの成長方向に沿った粒子径Dの平均値を、めっき粒子3aの成長方向の平均粒子径とも言う。
さらにまた、めっき粒子3aの成長方向(成長軸L)と銅箔基材2の主面とのなす角度θが例えば20°以上90°以下であることが好ましい。例えば、粗化銅めっき層3に含まれるめっき粒子3aの成長方向と銅箔基材2の主面とのなす角度θの平均値が20°以上90°以下であることが好ましく、60°以上90°以下であることがより好ましい。めっき粒子3aの成長方向と銅箔基材2の主面とのなす角度θの最大値は90°である。また、めっき粒子3aの成長方向と銅箔基材2の主面とのなす角度θは、鋭角側の角度とする。例えば、めっき粒子3aの成長方向と銅箔基材2の主面とのなす角度θが135°である場合及び45°である場合のいずれも、めっき粒子3aの成長方向と銅箔基材2の主面とのなす角度θは45°とする。めっき粒子3aの成長方向と銅箔基材2の主面とのなす角度θは、例えば粗化銅めっき層3を形成するめっき処理の電流密度を調整することで制御することができる。なお、以下では、めっき粒子3aの成長方向と銅箔基材2の主面とのなす角度θを、めっき粒子3aの成長角度θとも言う。
めっき粒子3aの水平方向の平均粒子径、又はめっき粒子3aの成長方向の平均粒子径の少なくともいずれかが0.05μm未満であったり、めっき粒子3aの成長角度θが20°未満であると、積層板10において、樹脂基材11に接触する表面処理銅箔1の表面積が小さすぎ、アンカー効果が不足することがある。従って、所望の密着性を維持することができないことがある。なお、密着性とは、積層板10における表面処理銅箔1と樹脂基材11との密着性である。
めっき粒子3aの水平方向の平均粒子径及びめっき粒子3aの成長方向の平均粒子径をそれぞれ0.05μm以上にし、めっき粒子3aの成長角度θを20°以上にすることで、積層板10において、樹脂基材11に接触する表面処理銅箔1の表面積を充分に大きくすることができる。その結果、アンカー効果を充分に得ることができる。これにより、所望の密着性を維持することができる。例えば、表面処理銅箔1を樹脂基材11に貼り合わせた後に表面処理銅箔1を樹脂基材11から引き剥がす際のピール強度(以下、単に「ピール強度」とも言う。)を0.7N/mm以上に維持することができる。めっき粒子3aの成長角度θを60°以上にすることで、積層板10において、樹脂基材11に接触する表面処理銅箔1の表面積をより大きくすることができる。
しかしながら、めっき粒子3aの水平方向の平均粒子径が0.8μmを超えたり、めっき粒子3aの成長方向の平均粒子径が1.2μmを超えると、透明性が低下することがある。なお、透明性とは、樹脂基材11を挟んで表面処理銅箔1が対向するとともに、粗化銅めっき層3が樹脂基材11に対向するように、樹脂基材11の両主面上に表面処理銅箔1を貼り合わせた後、樹脂基材11の両主面上から表面処理銅箔1を除去した樹脂基材11(以下、「銅箔除去後の樹脂基材11」とも言う。)の透明性である。ここで、めっき粒子3aの水平方向や成長方向の平均粒子径が大きくなるということは、粗化銅めっき層3に含まれる各めっき粒子3aのそれぞれの大きさが大きくなることを実質的に意味している。めっき粒子3aの水平方向や成長方向の平均粒子径が大きくなることにより、表面処理銅箔1と樹脂基材11とを貼り合わせて積層板10を形成する際、表面処理銅箔1の粗化銅めっき層3が設けられた側の面(粗化面)にめっき粒子3aにより形成される凸部が樹脂基材11に押し当てられることで樹脂基材11に形成(転写)される複数の凹部のそれぞれの大きさが、大きくなりすぎる。その結果、銅箔除去後の樹脂基材11の透明性が低下することがある。
また、めっき粒子3aの成長方向の平均粒子径が1.2μmを超えると、樹脂基材11に設けられた接着剤層を介して、樹脂基材11と表面処理銅箔1とを貼り合わせた際、表面処理銅箔1の粗化面にめっき粒子3aにより形成される凸部が接着剤層を突き抜ける(突き破る)ことがある。その結果、銅箔除去後の樹脂基材11において、表面処理銅箔1の一部が樹脂基材11の表面に残ってしまうことがある。つまり、いわゆる根残り(エッチング残り)が発生することがある。
めっき粒子3aの水平方向の平均粒子径を0.8μm以下にし、めっき粒子3aの成長方向の平均粒子径を1.2μm以下にすることで、所望の透明性を確保することができる。例えば、銅箔除去後の樹脂基材11のHAZE値を80%以下にすることができる。なお、HAZE値は、濁度や曇度とも呼ばれ、HAZE値の値が大きくなるほど、透明性が低くなる。また、銅箔除去後の樹脂基材11において、表面処理銅箔1の一部が樹脂基材11の表面に残ることを抑制できる。
ここで、めっき粒子3aの水平方向の平均粒子径の算出方法について説明する。例えば、SEM法により、所定の観察倍率(例えば30000倍)で、粗化銅めっき層3の真上(粗化銅めっき層3の主面に対して垂直な方向)から、粗化銅めっき層3の上面(表面処理銅箔1の粗化面)を観察(撮影)する。これにより、例えば図3に示すような粗化銅めっき層3の上面のSEM像が得られる。得られたSEM像中で観察されるめっき粒子3aから、所定の個数(例えば10個)のめっき粒子3aを任意に抽出し、抽出しためっき粒子3aの粒子径(最大径)を測定し、これをめっき粒子3aの銅箔基材2に沿った粒子径Wとする。そして、測定しためっき粒子3aの銅箔基材2に沿った粒子径Wの平均値を算出し、これをめっき粒子3aの水平方向の平均粒子径とする。なお、例えば図2(d)に示すように、粗化銅めっき層3の高さ方向に複数のめっき粒子3aが重なっている(つまり、一のめっき粒子3a上に他のめっき粒子3aが成長している)場合、最上段に位置するめっき粒子3aの銅箔基材2の主面に沿った粒子径Wを測定する。
次に、めっき粒子3aの成長方向の平均粒子径の算出方法について説明する。例えば、SEM法により、所定の観察倍率(例えば10000倍)で、粗化銅めっき層3の縦断面を観察して得たSEM像から、所定の個数(例えば30個)のめっき粒子3aを任意に抽出する。抽出しためっき粒子3aについてそれぞれ、頂点Tと、底辺の中点Oと、を検出して、頂点Tと底辺の中点Oとの間の距離を測定し、これをめっき粒子3aの成長方向に沿った粒子径Dとする。そして、得られためっき粒子3aの成長方向に沿った粒子径Dの平均値を算出し、これをめっき粒子3aの成長方向の平均粒子径とする。なお、粗化銅めっき層3の高さ方向に複数のめっき粒子3aが重なっている場合、最上段に位置するめっき粒子3aの成長方向に沿った粒子径Dを測定する。
また、めっき粒子3aの成長方向と銅箔基材2の主面とのなす角度θの測定方法について説明する。例えばSEM法により、所定の観察倍率(例えば10000倍)で、粗化銅めっき層3の縦断面を観察して得たSEM像から、所定の個数(例えば30個)のめっき粒子3aを任意に抽出する。抽出しためっき粒子3aについてそれぞれ、頂点Tと、底辺の中点Oと、を検出し、底辺の中点Oから頂点Tに向かう方向をめっき粒子3aの成長方向とする。そして、抽出しためっき粒子3aについてそれぞれ、めっき粒子3aの成長方向と銅箔基材2の主面とのなす角度θを測定する。また、得られためっき粒子3aの成長方向と銅箔基材2の主面とのなす角度θを用い、平均値を算出してもよい。なお、例えば図2(d)に示すように、粗化銅めっき層3の高さ方向に複数のめっき粒子3aが重なっている場合、最下段に位置するめっき粒子3aの底辺の中点Oから最上段に位置するめっき粒子3aの頂点Tに向かう方向をめっき粒子3aの成長方向とする。
また、粗化銅めっき層3の厚さは、例えば0.03μm以上1.1μm以下であることが好ましい。なお、粗化銅めっき層3の厚さとは、粗化銅めっき層3の凹凸を平均に均した時の厚さ(つまり平均厚さ)である。
粗化銅めっき層3の厚さが0.03μm未満であると、粗化銅めっき層3に含まれる各めっき粒子3aの大きさが小さすぎることがある。例えば、めっき粒子3aの水平方向の平均粒子径やめっき粒子3aの成長方向の平均粒子径が0.05μm未満になることがある。また、粗化銅めっき層3を形成するめっき量が少なくなるため、各めっき粒子3aの成長角度θが例えば20°未満になることがある。その結果、積層板10において、樹脂基材11に接触する表面処理銅箔1の表面積が小さすぎ、充分なアンカー効果が得られないことがある。従って、所望の密着性を維持できないことがある。
粗化銅めっき層3の厚さを0.03μm以上にすることで、めっき粒子3aの水平方向の平均粒子径及びめっき粒子3aの成長方向の平均粒子径をそれぞれ0.05μm以上に、より確実にすることができる。また、めっき粒子3aの成長角度θを充分に大きく(例えば20°以上に)することができる。その結果、アンカー効果をより得ることができ、所望の密着性をより確実に維持することができる。例えば、ピール強度を0.7N/mm以上に、より確実に維持することができる。
しかしながら、粗化銅めっき層3の厚さが1.1μmを超えると、めっき粒子3aの水平方向の平均粒子径が0.8μmを超えたり、めっき粒子3aの成長方向の平均粒子径が1.2μmを超え、各めっき粒子3aの大きさが大きくなることがある。その結果、所望の透明性を確保できないことがある。また、表面処理銅箔1と樹脂基材11とを貼り合わせた際、表面処理銅箔1の粗化面に形成される凸部が、樹脂基材11に設けられた接着剤層を突き抜けることがある。従って、銅箔除去後の樹脂基材11において、表面処理銅箔1の一部が樹脂基材11の表面に残ってしまうことがある。
粗化銅めっき層3の厚さを1.1μm以下にすることで、めっき粒子3aの水平方向の平均粒子径を0.8μm以下にし、めっき粒子3aの成長方向の平均粒子径を1.2μm以下に、より確実にすることができる。その結果、所望の透明性をより確実に確保することができる。例えば、銅箔除去後の樹脂基材11のHAZE値を80%以下に、より確実にすることができる。また、銅箔除去後の樹脂基材11において、表面処理銅箔1の一部が樹脂基材11の表面に残ることを抑制することができる。
銅箔基材2と粗化銅めっき層3との間には、粗化銅めっき層3の下地層として機能する下地めっき層4が設けられていてもよい。下地めっき層4は、例えば表面が平坦なめっき層である。下地めっき層4は、例えば銅めっき層で形成されていることが好ましい。下地めっき層4を形成するめっき処理のめっき時間が長くなり、表面処理銅箔1の生産性が低下することを抑制するため、下地めっき層4の厚さは例えば0.1μm以上0.5μm以下であることが好ましい。
表面処理銅箔1の耐熱性や耐薬品性等を向上させるため、少なくとも粗化銅めっき層3の上面を覆うように、防錆層5が設けられていることが好ましい。防錆層5の厚さは例えば6nm以上35nm以下であることが好ましい。防錆層5の厚さが6nm未満であると、表面処理銅箔1の耐熱性や耐薬品性等が不足することがある。防錆層5の厚さを6nm以上にすることで、表面処理銅箔1の耐熱性や耐薬品性等を充分に向上させることができる。しかしながら、防錆層5はエッチングされにくいため、防錆層5の厚さが35nmを超えると、銅箔除去後の樹脂基材11において、表面処理銅箔1の一部が樹脂基材11の表面に残ってしまうことがある。
防錆層5として、例えば、銅箔基材2の側から順に、Niめっき層(又はNiとCoとの合金めっき層等のNi合金めっき層)と、Znめっき層(又はZn合金めっき層)と、クロメート処理層(3価のクロム化成処理層)と、化成処理皮膜としてのシランカップリング層と、が設けられていることが好ましい。
Niめっき層の厚さは例えば4nm以上20nm以下であることが好ましく、これにより、表面処理銅箔1中のCuが樹脂基材11側へ拡散することを抑制できる。Znめっき層の厚さは、例えば1nm以上10nm以下であることが好ましく、これにより、表面処理銅箔1の耐熱性をより向上させることができる。クロメート処理層の厚さは例えば1nm以上5nm以下であることが好ましい。また、シランカップリング層の厚さは非常に薄くてよく、これにより、密着性をより向上させることができる。
(2)表面処理銅箔の製造方法
次に、本実施形態にかかる表面処理銅箔1及び積層板10の製造方法の一実施形態について説明する。
[表面処理銅箔形成工程]
まず、本実施形態にかかる表面処理銅箔1を形成する。
(銅箔基材形成工程)
銅箔基材2として、例えば圧延銅箔や電解銅箔を形成する。例えば、銅箔基材2としての圧延銅箔を形成する場合、まず、無酸素銅やタフピッチ銅からなる純銅の鋳塊や、無酸素銅やタフピッチ銅を母相とし、母相中に所定量のSnやAg等の添加剤を添加した希薄銅合金の鋳塊を鋳造する。そして、鋳造した鋳塊に対し、所定の熱間圧延処理、所定の冷間圧延処理、所定の焼鈍処理等を行い、所定厚さ(例えば5μm以上18μm以下)の圧延銅箔を形成する。
(下地めっき層形成工程)
銅箔基材形成工程が終了したら、銅箔基材2の少なくともいずれかの主面上に所定厚さ(例えば0.1μm以上0.5μm以下)の下地めっき層4を形成する。具体的には、下地めっき層4を形成するめっき液(下地めっき液)中で、例えば下地めっき液の限界電流密度よりも小さい電流密度で電解めっき処理を行い、下地めっき層4を形成する。下地めっき液として、例えば硫酸銅および硫酸を主成分とする酸性銅めっき浴を用いることができる。なお、電流密度を限界電流密度以上にすると、下地めっき層4の表面の凹凸が大きくなり、表面が平坦な下地めっき層4を形成することができないことがある。
下地めっき液の液組成、液温、電流密度等の電解条件は、例えば下記の表1に示す範囲に設定することができる。このとき、陽極としてCu板を用い、めっき処理を施す対象である銅箔基材2自体を陰極とすることが好ましい。
なお、表面処理銅箔1の生産性をより向上させるため、電流密度は、表1に記載の範囲内で、できるだけ高くすることが好ましい。
(粗化銅めっき層形成工程)
下地めっき層形成工程が終了したら、例えばロール・ツー・ロール(roll to roll)形式の連続電解(電気)めっき処理により、下地めっき層4上に所定厚さ(例えば0.04μm以上1.1μm以下)の粗化銅めっき層3を形成する。具体的には、粗化銅めっき層3を形成するめっき液(粗化銅めっき液)中で、例えば粗化銅めっき液の限界電流密度以上の電流密度(いわゆる「やけめっき」になるような電流密度)で電解めっき処理(粗化処理)を行い、粗化銅めっき層3を形成する。粗化銅めっき液として、例えば硫酸銅や硫酸を主成分とする酸性銅めっき浴を用いることができる。また、粗化銅めっき液中に所定量の硫酸鉄七水和物や、Mo酸Na等を添加することが好ましい。
粗化銅めっき液の液組成、液温、電流密度等の電解条件は、例えば下記の表2に示す範囲に設定することができる。このとき、陽極としてCu板を用い、粗化処理を施す対象である銅箔基材2自体を陰極とすることが好ましい。
なお、粗化銅めっき液中の硫酸鉄七水和物(めっき粒子3aの大きさを均一にする金属イオン)の濃度が高くなるほど、また粗化銅めっき液の液温が高くなるほど、例えばめっき粒子3aの水平方向の平均粒子径が大きくなる傾向にある。また、粗化処理のめっき時間が長くなるほど、そして、粗化銅めっき液の液温が高くなるほど、例えばめっき粒子3aの成長方向の平均粒子径が大きくなる傾向にある。また、例えば同じ電荷量(=電流密度×めっき時間)である場合、電流密度が高いほど、例えばめっき粒子3aの成長角度θが大きくなる(90°に近付く)傾向がある。従って、めっき粒子3aの水平方向の平均粒子径と、めっき粒子3aの成長方向の平均粒子径と、めっき粒子3aの成長角度θと、がそれぞれ所望の範囲になるように、粗化銅めっき液中のめっき粒子3aの大きさを均一にする金属イオンの濃度、粗化銅めっき液の液温、めっき時間、電流密度等を適宜調整することが好ましい。
(防錆層形成工程)
粗化銅めっき層形成工程が終了したら、粗化銅めっき層3上に所定厚さ(例えば6nm以上35nm以下)の防錆層5を形成する。例えば、防錆層5として、粗化銅めっき層3の側から順に、所定厚さ(例えば4nm以上20nm以下)のNiめっき層(又はNi合金めっき層)と、所定厚さ(例えば1nm以上10nm以下)のZnめっき層(又はZn合金めっき層)と、所定厚さ(例えば1nm以上5nm以下)の3価クロム化成処理層と、シランカップリング層と、を形成する。3価クロム化成処理層は、例えば3価クロムタイプの反応型クロメート液を用いて形成することが好ましい。
[積層板形成工程]
防錆層形成工程が終了し、表面処理銅箔形成工程が終了したら、表面処理銅箔1と樹脂基材11とを貼り合わせて積層板10を形成する。具体的には、樹脂基材11を挟んで表面処理銅箔1がそれぞれ対向するとともに、粗化銅めっき層3が樹脂基材11に対向するように表面処理銅箔1を樹脂基材11の両主面上に配置し、表面処理銅箔1と樹脂基材11とを貼り合わせて積層板10を形成する。表面処理銅箔1と樹脂基材11との貼り合わせは、例えば、真空プレス機を用い、表面処理銅箔1と樹脂基材11とを所定温度(例えば150℃以上350℃以下)に加熱しつつ、表面処理銅箔1と樹脂基材11とに所定圧力(例えば20MPa以下)を所定時間(例えば1分以上120分以下)加えて行うことができる。
(3)本実施形態にかかる効果
本実施形態によれば、以下に示す1つまたは複数の効果を奏する。
(a)粗化銅めっき層3に含まれる複数のめっき粒子3aの銅箔基材2の主面に沿った粒子径の平均値、めっき粒子3aの成長方向に沿った粒子径の平均値、及びめっき粒子3aの成長方向と銅箔基材2の主面とのなす角度θをそれぞれ所望の範囲にすることで、所望の密着性を維持しつつ、所望の透明性を確保することができる。具体的には、めっき粒子3aの水平方向の平均粒子径を0.05μm以上0.8μm以下にし、めっき粒子3aの成長方向の平均粒子径を0.05μm以上1.2μm以下にし、めっき粒子3aの成長角度θを20°以上90°以下にすることで、ピール強度を0.7N/mm以上に維持しつつ、銅箔除去後の樹脂基材11のHAZE値を80%以下にできる。
ピール強度を0.7N/mm以上にすることで、例えば表面処理銅箔1を用いた積層板10で形成したFPCにおいて、表面処理銅箔1の所定箇所をエッチング等により除去することで形成した銅配線が、樹脂基材11から剥がれることを抑制できる。従って、FPCの信頼性の低下を抑制できる。
また、銅箔除去後の樹脂基材11のHAZE値を80%以下にすることで、例えば表面処理銅箔1を用いた積層板10で形成したFPCに電子部品等を実装する際、目視やCCDカメラ等により、表面処理銅箔1が除去された箇所の樹脂基材11越しに銅配線や位置決めマーク等を容易に認識することができる。その結果、例えばFPCに電子部品等を実装する際の実装作業性を向上させることができる。
(b)また、めっき粒子3aの成長方向における平均粒子径を0.05μm以上1.2μm以下にすることで、表面処理銅箔1を用いて積層板10を形成した際、表面処理銅箔1の粗化面にめっき粒子3aにより形成された凸部が、樹脂基材11に設けられた接着剤層を突き抜けることを抑制できる。これにより、銅箔除去後の樹脂基材11において、表面処理銅箔1の一部が樹脂基材11の表面に残ることを抑制できる。
(c)本実施形態にかかる表面処理銅箔1は、積層板10を形成する際に表面処理銅箔1と貼り合わされる樹脂基材11に設けられた接着剤層の厚さが薄い場合に特に有効である。例えば、接着剤層の厚さが25μm以下である場合に特に有効である。つまり、本実施形態にかかる表面処理銅箔1は、接着剤層の厚さが薄い場合であっても、表面処理銅箔1の粗化面にめっき粒子3aにより形成された凸部が、接着剤層を突き抜けることを抑制できる。従って、上記(b)の効果をより得ることができる。
(d)また、表面処理銅箔1の一部が樹脂基材11の表面に残ることが抑制されることで、表面処理銅箔1を用いた積層板10で形成したFPCにおいて、銅配線の配線ピッチをより狭くすることができる。つまり、精細な銅配線を形成することができる。また、精細な銅配線を形成した場合であっても、例えば短絡の発生を抑制でき、FPCの信頼性をより向上させることができる。このように、本実施形態にかかる表面処理銅箔1は、精細な銅配線を形成するFPCに用いられる場合に、特に有効である。
(e)粗化銅めっき層3の厚さを0.03μm以上1.1μm以下にすることで、めっき粒子3aの水平方向の平均粒子径と、めっき粒子3aの成長方向の平均粒子径と、めっき粒子3aの成長角度θと、をそれぞれ、所望の範囲により確実にすることができる。従って、上記(a)〜(d)の効果をより確実に得ることができる。
(f)本実施形態にかかる表面処理銅箔1を用いて形成した積層板10は、FPCに用いられる場合に特に有効である。本実施形態にかかる表面処理銅箔1を用いて形成したFPCは、表面処理銅箔1が除去された箇所の樹脂基材11を介した識別容易性が高く、表面処理銅箔1が除去された箇所の樹脂基材11越しに銅配線を容易に認識することができ、実装作業性を向上させることができる。また、表面処理銅箔1の所定箇所をエッチング等により除去することで形成した銅配線が、樹脂基材11から剥がれることを抑制できる。
(本発明の他の実施形態)
以上、本発明の一実施形態を具体的に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
上述の実施形態では、表面処理銅箔1が下地めっき層4を備える場合について説明したが、これに限定されない。つまり、下地めっき層4は設けられていなくてもよい。これによっても、粗化銅めっき層3を形成するめっき処理の電流密度やめっき時間等のめっき条件を最適化することで、めっき粒子3aの水平方向の平均粒子径、めっき粒子3aの成長方向の粒子径、めっき粒子3aの成長角度θをそれぞれ、所望の範囲にすることができる。
また、例えば、表面処理銅箔1は、粗化銅めっき層3の少なくとも上面を覆うように設けられためっき粒子脱落抑制層を備えていてもよい。めっき粒子脱落抑制層は、例えば銅めっき層で形成されていることが好ましい。めっき粒子脱落抑制層の厚さは例えば0.05μm以上0.3μm以下であることが好ましい。
上述の実施形態では、防錆層5がNiめっき層(又はNi合金めっき層)を備える場合について説明したが、これに限定されない。つまり、防錆層5はNiめっき層を備えていなくてもよい。この場合には、Niめっき層を設ける場合に比べてZnめっき層の厚さを厚くすることが好ましい。例えば、Znめっき層の厚さを5nm以上20nm以下にすることが好ましい。
また、例えば、粗化銅めっき層3が設けられた主面とは反対側の銅箔基材2の主面には、防錆層(以下、「裏面防錆層」とも言う。)が設けられていてもよい。裏面防錆層は、例えば積層板10やFPCの製造過程で表面処理銅箔1に加わる熱量に耐え得る耐熱性や、耐薬品性等を、表面処理銅箔1に付与することができるように構成されていればよい。例えば、裏面防錆層は、銅箔基材2の側から順に、Niめっき層(又はNi合金めっき層)と、Znめっき層(又はZn合金めっき層)と、クロメート処理層と、を備えていることが好ましい。Niめっき層(又はNi合金めっき層)は設けられていなくてもよい。また、裏面防錆層の厚さは、表面処理銅箔1に所望の耐熱性や耐薬品性等を付与することができる厚さであればよい。しかしながら、裏面防錆層はエッチングされにくいため、裏面防錆層の厚さは、例えばFPCの製造過程でエッチングにより積層板10から裏面防錆層を除去した後に、樹脂基材11の表面に裏面防錆層の一部が残ることを抑制できる厚さであることが好ましい。つまり、裏面防錆層のエッチング残りの発生を抑制できる厚さであることが好ましい。例えば、裏面防錆層の厚さは、防錆層5の厚さよりも薄いことが好ましい。裏面防錆層の形成は、上述の防錆層形成工程と同時並行的に行うことができる。例えば、防錆層5のNiめっき層の形成と同時に、裏面防錆層のNiめっき層を形成することができる。なお、裏面防錆層の形成は、上述の防錆層形成工程が終了した後に行ってもよい。
また、下地めっき層形成工程、粗化銅めっき層形成工程、防錆層形成工程等を行う前にそれぞれ、必要に応じて銅箔基材2や粗化銅めっき層3の表面を清浄する清浄処理を行ってもよい。例えば、粗化銅めっき層形成工程を行う前に清浄処理を行うことで、積層板10における表面処理銅箔1と樹脂基材11との密着性をより向上させることができる。
清浄処理として、例えば電解脱脂処理と酸洗処理とを行うとよい。電解脱脂処理は、水酸化ナトリウム等を含むアルカリ性の水溶液を用いた陰極電解脱脂によって行うことができる。酸洗処理は、銅箔基材2や粗化銅めっき層3の表面に残存するアルカリ成分の中和や、酸化膜の除去を行うものである。酸洗処理は、例えば硫酸やクエン酸等を含む酸性の水溶液中に、銅箔基材2(粗化銅めっき層3が設けられた銅箔基材2)を浸漬することで行うことができる。なお、酸洗処理は、銅をエッチングするエッチング液を用いて行ってもよい。
上述の実施形態では、樹脂基材11の両主面上に表面処理銅箔1を貼り合わせて積層板10が形成される場合について説明したが、これに限定されない。つまり、樹脂基材11の少なくともいずれかの主面上に表面処理銅箔1が貼り合わされて積層板10が形成されていればよい。
上述の実施形態では、表面処理銅箔1と樹脂基材11との貼り合わせを、真空プレス機を用いて行ったが、これに限定されない。例えば、接着剤を用いて表面処理銅箔1と樹脂基材11とを貼り合わせて積層板10を形成してもよい。
上述の実施形態では、表面処理銅箔1を用いて構成された積層板10からFPCが形成される場合について説明したが、これに限定されない。本実施形態にかかる表面処理銅箔1は、プラズマディスプレイ用電磁波シールド、ICカードのアンテナ等にも用いることができる。この場合も、上述の効果を得ることができる。
次に、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<試料の作製>
(試料1)
まず、銅箔基材として、タフピッチ銅(TPC)で形成され、厚さが17μmである圧延銅箔を準備した。
この銅箔基材に電解脱脂処理と酸洗処理とを行い、銅箔基材の表面を清浄した。具体的には、まず、水酸化ナトリウムを40g/Lと、炭酸ナトリウムを60g/Lと、を含む水溶液を用いて電解脱脂処理を行った。このとき、液温を45℃にし、電流密度を30A/dmにし、処理時間を7秒間にした。電解脱脂処理が終了した後、銅箔基材を水洗した。その後、硫酸を200g/L含み、液温が25℃である水溶液中に、銅箔基材を10秒間浸漬して酸洗処理を行った。酸洗処理が終了した後、銅箔基材を水洗した。
次に、銅箔基材のいずれかの主面上に、厚さが0.5μmである下地めっき層を形成した。具体的には、下地めっき層を形成するめっき液(下地めっき液)として、硫酸銅五水和物を150g/Lと、硫酸を50g/Lと、塩酸を0.3ml/Lと、を含む水溶液を作製した。そして、下地めっき液の液温を35℃にし、電流密度を8A/dmにし、めっき時間を8秒間にして、銅箔基材のいずれかの主面に対して電解めっき処理を行い、下地めっき層を形成した。
下地めっき層を形成した後に銅箔基材を水洗した。その後、下地めっき層上に、厚さが0.03μmである粗化銅めっき層を形成した。具体的には、粗化銅めっき液として、硫酸銅五水和物を100g/Lと、硫酸を150g/Lと、硫酸鉄七水和物を50g/Lと、を含む水溶液を作製した。そして、粗化銅めっき液の液温を30℃にし、電流密度を60A/dmにし、めっき時間を0.5秒間にして、電解めっき処理を行い、粗化銅めっき層を形成した。
粗化銅めっき層を形成した後に銅箔基材を水洗した。その後、粗化銅めっき層上に防錆層を形成した。具体的には、防錆層として、銅箔基材の側から順に、厚さが20nmであるNiめっき層と、厚さが4nmであるZnめっき層と、厚さが4nmであるクロメート皮膜と、極薄い厚さのシランカップリング処理層と、を形成した。
具体的には、硫酸ニッケル六水和物を300g/Lと、塩化ニッケルを45g/Lと、硼酸を40g/Lと、を含む水溶液(Niめっき液)を用い、電解めっき処理によりNiめっき層を形成した。このとき、Niめっき液の液温を50℃にし、電流密度を2.5A/dmにし、めっき時間を5秒間にした。Niめっき層を形成した後、銅箔基材を水洗した。その後、硫酸亜鉛七水和物を90g/Lと、硫酸ナトリウムを70g/Lと、を含む水溶液(Znめっき液)を用い、Znめっき層を形成した。このとき、Znめっき液の液温を30℃にし、電流密度を1.8A/dmにし、めっき時間を4秒間にした。Znめっき層を形成した後、銅箔基材を水洗した。続いて、3価クロム化成処理を行い、クロメート皮膜を形成した。クロメート皮膜を形成した後、銅箔基材を水洗した。そして、3―アミノプロピルトリメトキシシランの濃度が5%であり、液温が25℃であるシランカップリング液中に、クロメート皮膜を形成した銅箔基材を5秒間浸漬した後、直ちに200℃の温度で乾燥することで、シランカップリング処理層を形成した。
また、粗化銅めっき層を形成した主面とは反対側の銅箔基材の主面上に、防錆層(裏面防錆層)を形成した。具体的には、裏面防錆層として、銅箔基材の側から順に、所定厚さのNiめっき層と、所定厚さのZnめっき層と、所定厚さのクロメート処理層と、を形成した。なお、Niめっき層、Znめっき層、クロメート処理層の形成方法は、粗化銅めっき層上に設けた防錆層としてのNiめっき層、Znめっき層、クロメート処理層と同様である。これにより、表面処理銅箔を作製し、これを試料1とした。
(試料2〜58)
試料2〜58ではそれぞれ、粗化銅めっき液中の硫酸鉄七水和物の濃度、粗化銅めっき液の液温、粗化銅めっき層を形成するめっき処理のめっき時間、電流密度等を適宜変更した。なお、試料28〜30及び試料56〜58ではそれぞれ、下地めっき層を設けなかった。また、試料28〜30ではそれぞれ、粗化銅めっき層を形成する際、試料13〜15と比べて、粗化銅めっき液中に含まれる硫酸鉄七水和物の濃度を高くし、粗化銅めっき液の液温及び電流密度を高くすると共に、めっき時間を短くした。試料56〜58ではそれぞれ、粗化銅めっき層を形成する際に、試料37〜39と比べて、粗化銅めっき液中に含まれる硫酸鉄七水和物の濃度を高くし、粗化銅めっき液の液温及び電流密度を高くすると共に、めっき時間を短くした。この他は、試料1と同様にして表面処理銅箔を作製した。これらをそれぞれ、試料2〜58とする。
<めっき粒子の水平方向の平均粒子径の算出>
試料1〜58の各表面処理銅箔についてそれぞれ、粗化銅めっき層に含まれるめっき粒子の水平方向の平均粒子径を算出した。具体的には、SEM法により、30000倍の観察倍率で、粗化銅めっき層の真上から、粗化銅めっき層の上面(表面処理銅箔の粗化面)を観察して得たSEM像から、10個のめっき粒子を任意に抽出し、抽出しためっき粒子の粒子径(最大径)を測定した。そして、測定しためっき粒子の粒子径の平均値を算出し、これをめっき粒子の水平方向の平均粒子径とした。その算出結果をそれぞれ、下記の表3及び表4に示す。
<めっき粒子の成長方向の平均粒子径の算出>
試料1〜58の各表面処理銅箔についてそれぞれ、粗化銅めっき層に含まれるめっき粒子の成長方向の平均粒子径を算出した。具体的には、SEM法により、10000倍の観察倍率で、粗化銅めっき層の縦断面を観察して得たSEM像から、30個のめっき粒子を任意に抽出した。抽出しためっき粒子の縦断面においてそれぞれ、頂点と、底辺の中点と、を検出し、めっき粒子の成長方向の粒子径(頂点と底辺の中点との間の距離)を測定した。そして、測定しためっき粒子の成長方向の粒子径の平均値を算出した。その算出結果をそれぞれ下記の表3及び表4に示す。
<めっき粒子の成長角度の測定>
試料1〜58の各表面処理銅箔についてそれぞれ、粗化銅めっき層に含まれるめっき粒子の成長角度を測定した。具体的には、SEM法により、10000倍の観察倍率で、粗化銅めっき層の縦断面を観察して得たSEM像から、30個のめっき粒子を任意に抽出した。抽出しためっき粒子の縦断面においてそれぞれ、頂点と、底辺の中点と、を検出し、めっき粒子の成長方向(めっき粒子の底辺の中点から頂点に向かっう方向)を検出した。そして、めっき粒子の成長方向と銅箔基材の主面とのなす角度(めっき粒子の成長角度)を測定した。そして、各試料においてそれぞれ、めっき粒子の成長角度の平均値を算出し、その算出結果をそれぞれ下記の表3及び表4に示す。
<積層板の作製>
樹脂基材の両主面上に、試料1〜58の各表面処理銅箔を貼り合わせて積層板を作製した。なお、樹脂基材として、厚さが1.4μmである熱可塑性ポリイミド(TPI)層(接着剤層)が両主面上にそれぞれ設けられ、総厚が12.5μmであるポリイミドフィルムを用いた。
まず、試料1〜58の各表面処理銅箔をそれぞれ所定の大きさ(縦100mm×横60mm)に裁断して切り出した。そして、樹脂基材を挟んで同一の試料から切り出した2つの表面処理銅箔をそれぞれ対向させるとともに、各表面処理銅箔の粗化銅めっき層がそれぞれ樹脂基材に対向するように、樹脂基材の両面上に表面処理銅箔を配置して積層体を作製した。そして、真空プレス機を用い、280℃の条件下で、プレス圧を5MPaにして15分間、積層体に圧力をかけ、表面処理銅箔と樹脂基材とを貼り合わせて積層板を形成した。
<密着性の評価>
試料1〜58の各表面処理銅箔を用いて作製した積層板についてそれぞれ、表面処理銅箔と樹脂基材との密着性の評価として、表面処理銅箔を樹脂基材から剥離する際のピール強度の測定を行った。
ピール強度の測定は、以下のように行った。まず、各試料を用いて作製した積層板のそれぞれの一方の主面(積層板が備えるいずれかの表面処理銅箔)上に、幅が1mmのマスキングテープを貼った。また、各積層板の他方の主面の全面にマスキングテープを貼った。そして、マスキングテープを貼った各積層板に対し、35℃以上50℃以下(本実施例では45℃)の条件下で、塩化第二鉄を用いてスプレーエッチングを行い、積層板から表面処理銅箔の所定箇所(マスキングテープが貼られていない箇所)を除去した。その後、マスキングテープを除去した。続いて、表面処理銅箔を樹脂基材から引き剥がした際の強度を測定した。具体的には、オートグラフを用い、エッチングされて1mm幅になった表面処理銅箔を、樹脂基材から90°の角度で(引き剥がされた表面処理銅箔と樹脂基材とのなす角が90°になるように)、50mm/minの速度で表面処理銅箔を樹脂基材から引っ張ったときの剥離荷重を測定し、これをピール強度とした。測定したピール強度の値が大きいほど、密着性が高いことを意味している。ピール強度の測定結果をそれぞれ、下記の表3及び表4に示す。
<透明性の評価>
試料1〜58の各表面処理銅箔を用いて形成した積層板についてそれぞれ、積層板から各試料である表面処理銅箔を除去した後の樹脂基材の透明性の評価として、銅箔除去後の樹脂基材のHAZE値の測定を行った。
具体的には、各試料を用いて作製した積層板に対し、35℃以上50℃以下(本実施例では45℃)の条件下で、塩化第二鉄を用いてスプレーエッチングを行い、積層板から表面処理銅箔を全て除去した。つまり、樹脂基材の両面(両主面)の全面を露出させた。そして、表面処理銅箔が除去された樹脂基材のそれぞれについて、株式会社東洋精機製作所製のhaze−gard plusを用いてHAZE値の測定を行った。HAZE値が小さいほど、銅箔除去後の樹脂基材の透明性が高いことを意味している。HAZE値の測定結果をそれぞれ、下記の表3及び表4に示す。
<根残りの評価>
試料1〜58の各表面処理銅箔を用いて形成した積層板についてそれぞれ、積層板から各試料である表面処理銅箔を除去した後に、樹脂基材の表面に表面処理銅箔が残っていないか否かを評価した。つまり、銅箔除去後の樹脂基材に根残りが発生していないか否かを評価した。
具体的には、各試料を用いて作製した積層板のそれぞれの一方の主面(積層板が備えるいずれかの表面処理銅箔)上に、幅が1mmのマスキングテープを貼った。また、各積層板の他方の主面の全面にマスキングテープを貼った。そして、マスキングテープを貼った各積層板に対し、35℃以上50℃以下(本実施例では45℃)の条件下で、塩化第二鉄を用いてスプレーエッチングを行い、積層板から表面処理銅箔の所定箇所(マスキングテープが貼られていない箇所)を除去した。その後、マスキングテープを除去した。続いて、SEM法により、エッチングされて1mm幅になった表面処理銅箔を真上から観察し、1mm幅の表面処理銅箔と、表面処理銅箔が除去された箇所の樹脂基材と、を含むSEM像を得た。そして、得たSEM像において、本来エッチングされて除去されているべき表面処理銅箔が樹脂基材上に残っていないか否か、つまり表面処理銅箔の根残りが発生していないか否かを確認した。このとき、銅箔除去後の樹脂基材の領域であって、1mm幅の表面処理銅箔の長さ方向に沿って任意の10mmの長さの表面処理銅箔の付近の領域(表面処理銅箔と樹脂基材との境界)を確認した。そして、樹脂基材上に残った本来除去されるべき表面処理銅箔の最大径が5μm未満である試料を合格(○)とし、根残りした表面処理銅箔の最大径が5μm以上である試料を不合格(×)として評価した。表面処理銅箔の根残りの評価結果をそれぞれ、下記の表3及び表4に示す。
<評価結果>
試料1〜30から、粗化銅めっき層に含まれるめっき粒子の水平方向の平均粒子径が0.05μm以上0.8μm以下であり、めっき粒子の成長方向の平均粒子径が0.05μm以上1.2μm以下であり、めっき粒子の成長角度が20°以上90°以下であると、所望の密着性を維持しつつ、所望の透明性を確保することができることを確認した。具体的には、ピール強度を0.7N/mm以上に維持しつつ、銅箔除去後の樹脂基材のHAZE値を80%以下にすることができることを確認した。その結果、表面処理銅箔を用いて形成したFPCに電子部品等を実装する際、目視やCCDカメラ等により、銅箔が除去された箇所の樹脂基材越しに銅配線を認識でき、電子部品の実装位置の位置決めを容易に行うことができることを確認した。また、銅配線が樹脂基材から剥離しにくく、FPCの信頼性を高めることができることを確認した。
また、試料1〜30の表面処理銅箔を用いた積層板は、銅箔除去後の樹脂基材の表面に、表面処理銅箔の一部(本来エッチングにより除去されるべき表面処理銅箔の一部)が残ることを抑制できることを確認した。つまり、根残りの発生を抑制できることを確認した。その結果、試料1〜30の表面処理銅箔を用いた積層板から形成したFPCは、微細な銅配線を形成した場合であっても、短絡の発生を抑制でき、FPCの信頼性をより高めることができることを確認した。
試料13〜15と試料28〜30との比較や、試料37〜39と試料56〜58との比較から、下地めっき層を設けなくても、粗化銅めっき液中の硫酸鉄七水和物の濃度、粗化銅めっき液の液温、電流密度、及びめっき時間を制御することで、下地めっき層を設けた場合と同様に、所望の密着性を維持しつつ、所望の透明性を確保することができることを確認した。具体的には、ピール強度を0.7N/mm以上に維持しつつ、銅箔除去後の樹脂基材のHAZE値を80%以下にすることができることを確認した。
試料31〜39から、めっき粒子の水平方向の平均粒子径が0.05μm未満であると、めっき粒子の成長方向の平均粒子径、めっき粒子の成長角度を所望の範囲内にしても、所望の密着性を維持することができないことがあることを確認した。具体的には、ピール強度が0.7N/mm未満になることがあることを確認した。
試料40〜42から、めっき粒子の成長方向の平均粒子径が0.05μm未満であると、めっき粒子の水平方向の平均粒子径、めっき粒子の成長角度を所望の範囲内にしても、所望の密着性を維持することができないことがあることを確認した。具体的には、ピール強度が0.7N/mm未満になることがあることを確認した。
試料43から、めっき粒子の成長角度が20°未満であると、めっき粒子の水平方向の平均粒子径及びめっき粒子の成長方向の平均粒子径をそれぞれ所望の範囲内にしても、所望の密着性を維持することができないことがあることを確認した。具体的には、ピール強度が0.7N/mm未満になることがあることを確認した。
試料44〜46から、めっき粒子の成長方向の平均粒子径が1.2μmを超えると、めっき粒子の水平方向の平均粒子径、めっき粒子の成長角度を所定の範囲内にしても、銅箔除去後の樹脂基材の透明性が低下し、所望の透明性を確保することができないことがあることを確認した。具体的には、銅箔除去後の樹脂基材のHAZE値が80%を超えることがあることを確認した。
試料37〜40、試料44〜46及び試料53〜58から、めっき粒子の成長方向の平均粒子径が1.2μmを超えると、銅箔除去後の樹脂基材の表面に、本来エッチングにより除去されるべき表面処理銅箔の一部が残ることがあることを確認した。
試料47〜55から、めっき粒子の水平方向の平均粒子径が0.8μmを超えると、めっき粒子の成長方向の平均粒子径、めっき粒子の成長角度を所望の範囲内にしても、所望の透明性を確保できないことがあることを確認した。具体的には、銅箔除去後の樹脂基材のHAZE値が80%を超えることがあることを確認した。
<本発明の好ましい態様>
以下に、本発明の好ましい態様について付記する。
[付記1]
本発明の一態様によれば、
銅箔基材と、
前記銅箔基材の少なくともいずれかの主面上に設けられ、所定の成長方向にそれぞれ成長した複数のめっき粒子を含む粗化銅めっき層と、を備え、
前記めっき粒子の前記銅箔基材の主面に沿った粒子径の平均値が0.05μm以上0.8μm以下であり、
前記めっき粒子の成長方向に沿った粒子径の平均値が0.05μm以上1.2μm以下であり、
前記めっき粒子の成長方向と前記銅箔基材の主面とのなす角度が20°以上90°以下である表面処理銅箔が提供される。
[付記2]
付記1の表面処理銅箔であって、好ましくは、
前記表面処理銅箔を樹脂基材に貼り合わせた後に前記表面処理銅箔を前記樹脂基材から引き剥がす際のピール強度が0.7N/mm以上であり、
前記樹脂基材を挟んで前記表面処理銅箔が対向するとともに、前記粗化銅めっき層が前記樹脂基材に対向するように、前記樹脂基材の両主面上に前記表面処理銅箔を貼り合わせた後、前記樹脂基材の両主面上から前記表面処理銅箔を除去した前記樹脂基材のHAZE値が80%以下である。
[付記3]
付記1又は2の表面処理銅箔であって、好ましくは、
前記粗化銅めっき層の平均厚さは0.03μm以上1.1μm以下である。
[付記4]
本発明の他の態様によれば、
銅箔基材、及び前記銅箔基材の少なくともいずれかの主面上に設けられ、所定の成長方向にそれぞれ成長した複数のめっき粒子を含む粗化銅めっき層を備える表面処理銅箔と、
前記粗化銅めっき層に対向するように前記表面処理銅箔と貼り合わせられた樹脂基材と、を備え、
前記めっき粒子の前記銅箔基材の主面に沿った粒子径の平均値が0.05μm以上0.8μm以下であり、
前記めっき粒子の成長方向に沿った粒子径の平均値が0.05μm以上1.2μm以下であり、
前記めっき粒子の成長方向と前記銅箔基材の主面とのなす角度が20°以上90°以下である積層板が提供される。
[付記5]
付記4の積層板であって、好ましくは、
前記樹脂基材に、前記表面処理銅箔を貼り合わせる接着剤層が設けられており、
前記接着剤層の厚さは25μm以下である。
1 表面処理銅箔
2 銅箔基材
3 粗化銅めっき層
3a めっき粒子
11 樹脂基材

Claims (4)

  1. 銅箔基材と、
    前記銅箔基材の少なくともいずれかの主面上に設けられ、所定の成長方向にそれぞれ成長した複数のめっき粒子を含む粗化銅めっき層と、を備え、
    前記めっき粒子の前記銅箔基材の主面に沿った粒子径の平均値が0.05μm以上0.8μm以下であり、
    前記めっき粒子の成長方向に沿った粒子径の平均値が0.05μm以上1.2μm以下であり、
    前記めっき粒子の成長方向と前記銅箔基材の主面とのなす角度が20°以上90°以下である
    表面処理銅箔。
  2. 前記表面処理銅箔を樹脂基材に貼り合わせた後に前記表面処理銅箔を前記樹脂基材から引き剥がす際のピール強度が0.7N/mm以上であり、
    前記樹脂基材を挟んで前記表面処理銅箔が対向するとともに、前記粗化銅めっき層が前記樹脂基材に対向するように、前記樹脂基材の両主面上に前記表面処理銅箔を貼り合わせた後、前記樹脂基材の両主面上から前記表面処理銅箔を除去した前記樹脂基材のHAZE値が80%以下である
    請求項1に記載の表面処理銅箔。
  3. 前記粗化銅めっき層の平均厚さは0.03μm以上1.1μm以下である
    請求項1又は2に記載の表面処理銅箔。
  4. 銅箔基材、及び前記銅箔基材の少なくともいずれかの主面上に設けられ、所定の成長方向にそれぞれ成長した複数のめっき粒子を含む粗化銅めっき層を備える表面処理銅箔と、
    前記粗化銅めっき層に対向するように前記表面処理銅箔と貼り合わせられた樹脂基材と、を備え、
    前記めっき粒子の前記銅箔基材の主面に沿った粒子径の平均値が0.05μm以上0.8μm以下であり、
    前記めっき粒子の成長方向に沿った粒子径の平均値が0.05μm以上1.2μm以下であり、
    前記めっき粒子の成長方向と前記銅箔基材の主面とのなす角度が20°以上90°以下である
    積層板。
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