JP2016003378A - 表面処理銅箔およびその製造方法、並びに積層板 - Google Patents

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宗男 小平
浩一 古徳
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浩一 古徳
千鶴 後藤
Chizuru Goto
千鶴 後藤
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Abstract

【課題】銅箔基材の少なくとも一方の主面上に、銅箔基材を露出させることなく粗化銅めっき層を形成する技術を提供する。【解決手段】銅箔基材2と、銅箔基材2の少なくとも一方の主面上に設けられ、銅を含む平均粒径0.05〜0.3μmの金属粒で形成される粗化銅めっき層3と、を備え、粗化銅めっき層3が設けられる銅箔基材2の主面側の表層部には50〜1000nmの厚さの改質層2aが形成されており、改質層2aを形成する結晶粒の平均粒径が、銅箔基材2の改質層2aとは異なる部分を形成する結晶粒の平均粒径よりも小さくなるように構成されている、表面処理銅箔1。【選択図】図1

Description

本発明は、表面処理銅箔およびその製造方法、並びに積層板に関する。
例えば携帯電話等の電子機器の配線板として、フレキシブルプリント配線板(FPC)が用いられている。FPCは、例えば、銅箔と、銅箔の少なくとも一方の主面上に設けられる例えばポリイミドフィルム等の樹脂基材と、を備える積層板により形成されている。具体的には、FPCは、銅箔と樹脂基材とを貼り合わせて積層板を形成した後、例えばフォトリソグラフィー法を用いて銅箔をエッチング等により除去することでパターン(銅配線)を形成して構成されている。FPCに用いられる積層板には、銅箔と樹脂基材との間の密着性が高いことが要求されている。そこで、銅箔として、例えば、銅箔基材と、銅を含む金属粒を付着させる粗化めっき処理を行うことで、銅箔基材の少なくとも一方の主面に設けられた粗化銅めっき層と、を備える表面処理銅箔が用いられている(例えば特許文献1〜3参照)。これにより、表面処理銅箔の表面に凹凸形状が形成されるため、アンカー効果により表面処理銅箔と樹脂基材との間の密着性を高めることができる。
特開2004−238647号公報 特開2006−155899号公報 特開2010−218905号公報
しかしながら、特許文献1〜3に記載の表面処理銅箔では、銅箔基材の少なくとも一方の主面上に、粗化銅めっき層が局所的に形成されず、銅箔基材の主面の一部が露出してしまうことがある。具体的には、銅箔基材の少なくとも一方の主面上に、金属粒が付着されていない箇所が生じる。そのため、表面処理銅箔の銅箔基材が露出している箇所では、表面処理銅箔と樹脂基材との間の密着性が低下することがある。
本発明は、上記課題を解決し、銅箔基材の少なくとも一方の主面上に、銅箔基材を露出させることなく粗化銅めっき層を形成する技術を提供することにある。
本発明の一態様によれば、
銅箔基材と、前記銅箔基材の少なくとも一方の主面上に設けられ、銅を含む金属粒で形成される粗化銅めっき層と、を備え、前記粗化銅めっき層が設けられる前記銅箔基材の主面側の表層部には改質層が形成されており、前記改質層を形成する結晶粒の平均粒径が、前記銅箔基材の前記改質層とは異なる部分を形成する結晶粒の平均粒径よりも小さくなるように構成されている、表面処理銅箔が提供される。
本発明の他の態様によれば、
銅箔基材の少なくとも一方の主面を機械研磨することで、前記銅箔基材の主面側の表層部を改質層に改質させる研磨工程と、めっき法により前記改質層上に銅を含む金属粒を付着させることで、粗化銅めっき層を形成するめっき工程と、を有し、前記研磨工程では、前記改質層を形成する結晶粒の平均粒径が、前記銅箔基材の前記改質層とは異なる部分を形成する結晶粒の平均粒径よりも小さくなるように、前記銅箔基材を機械研磨する、表面処理銅箔の製造方法が提供される。
本発明のさらに他の態様によれば、
銅箔基材と、前記銅箔基材の少なくとも一方の主面上に設けられ、銅を含む金属粒で形成される粗化銅めっき層と、前記粗化銅めっき層上に設けられる樹脂基材と、を備え、前記粗化銅めっき層が設けられる前記銅箔基材の主面側の表層部には改質層が形成されており、前記改質層を形成する結晶粒の平均粒径が、前記銅箔基材の前記改質層とは異なる部分を形成する結晶粒の平均粒径よりも小さくなるように構成されている、積層板が提供される。
本発明によれば、銅箔基材の少なくとも一方の主面上に、銅箔基材を露出させることなく粗化銅めっき層を形成することができる。
本発明の一実施形態にかかる表面処理銅箔を備える積層板の概略断面図である。 本発明の一実施形態にかかる表面処理銅箔の製造工程を示すフロー図である。 銅箔基材における結晶面の結晶方位によって金属粒の付着が相違することを説明する図であり、(a)は、金属粒が付着しやすい場合を示し、(b)は金属粒が付着しにくい場合を示す。 圧延銅箔の主面におけるSEM像であり、(a)はサンプル1、(b)はサンプル2、(c)はサンプル3、(d)はサンプル4、(e)はサンプル5をそれぞれ示す。 圧延銅箔の主面におけるIPFマップであり、(a)はサンプル1、(b)はサンプル2、(c)はサンプル3、(d)はサンプル4、(e)はサンプル5をそれぞれ示す。 表面処理銅箔の断面のBSE像であり、(a)はサンプル1、(b)はサンプル5をそれぞれ示す。 粗化銅めっき層の表面におけるSEM像であり、(a)はサンプル1、(b)はサンプル2、(c)はサンプル3、(d)はサンプル4、(e)はサンプル5をそれぞれ示す。 表面処理銅箔と樹脂基材との境界の見えやすさを示す図であり、(a)はサンプル11、(b)はサンプル13、(c)はサンプル18をそれぞれ示す。
上述したように、銅箔基材に粗化めっき処理を施すと、粗化銅めっき層が局所的に形成されず、銅箔基材の主面の一部が露出してしまう(いわゆる、粗化抜けが発生する)ことがある。例えば、粗化めっき処理における電気量を少なくすると、図3(a)に示すように、銅箔基材の主面のある領域では金属粒が付着して粗化銅めっき層が形成されるものの、主面の他の領域では金属粒が付着せず、銅箔基材が露出して粗化抜けが発生してしまう(図中の黒く見える部分)。また例えば、粗化めっき処理における電気量を多くすると、図3(b)に示すように、金属粒が粒子状にならず、波のように析出する部分が生じ、粗化銅めっき層が一様に形成されない。本発明者らの検討の結果、粗化抜けが発生する原因としては、以下の2つが挙げられる。
第1の原因は、粗化銅めっき層が設けられる銅箔基材の主面の平坦性が低いことが挙げられる。一般に、銅箔基材では、特に圧延銅箔の場合、その主面に圧延筋やオイルピットなどの凹部が存在しており、主面の平坦性が低い傾向にある。このような銅箔基材に粗化銅めっき処理を施すと、主面の凸部では電流が集中するので金属粒が付着しやすく、粗化銅めっき層が形成されやすいが、主面の凹部では電流が集中しにくいので金属粒が付着しにくく、粗化銅めっき層が形成されにくくなる。
第2の原因は、銅箔基材の主面に存在する複数の結晶面の結晶方位に起因して、金属粒の銅箔基材の主面への付着に相違が生じることが挙げられる。一般に、銅箔基材は、粒径の比較的大きな複数の結晶粒で形成されている。銅箔基材の主面には、複数の結晶粒のそれぞれが配向することで、結晶方位の異なる複数の結晶面が存在しており、銅箔基材の主面は比較的粗大な結晶組織を有する。このような銅箔基材に粗化めっき処理を施すと、ある結晶方位の結晶面では、金属粒が付着しやすく、粗化銅めっき層が形成されやすいが、他の結晶方位の結晶面では、金属粒が付着しにくく、粗化銅めっき層が形成されにくくなる。
このように、銅箔基材に粗化めっき処理を施す場合、銅箔基材の主面における凹凸や結晶面の結晶方位によって金属粒の付着に相違が生じてしまう。そのため、粗化銅めっき層では、金属粒が一部付着せず、粗化抜けが発生してしまう。
このことから、粗化銅めっき層を粗化抜けなく形成するためには、銅箔基材の主面における凹凸や結晶面の影響を抑制することが考えられる。このような方法について検討したところ、粗化銅めっき層が形成される銅箔基材の主面を機械研磨するとよいことを見出した。機械研磨によれば、銅箔基材の主面の凹凸を低減させると共に、銅箔基材の主面の結晶組織を微細化できる。これにより、銅箔基材の主面における凹凸や結晶面の結晶方位に起因する金属粒の付着の相違を抑制し、粗化抜けなく粗化銅めっき層を形成できる。本発明は、上記知見に基づいて成されたものである。
<本発明の一実施形態>
以下、本発明の一実施形態について説明する。
(1)表面処理銅箔の構成
まず、本発明の一実施形態に係る表面処理銅箔の構成について、図1を用いて説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る表面処理銅箔1を備える積層板10の概略断面図である。
(銅箔基材)
図1に示すように、本実施形態の表面処理銅箔1は、銅箔基材2を備えている。銅箔基材2としては、例えば圧延銅箔や電解銅箔を用いることができる。FPCの耐屈曲性を向上させる観点からは、電解銅箔と比べ、繰り返して折り曲げても破断しにくい圧延銅箔を用いるとよい。圧延銅箔の形成材料としては、例えば無酸素銅(OFC:Oxygen−Free Copper)やタフピッチ銅(TPC:Tough−Pitch Copper)の純銅を用いることができる。無酸素銅とは、JIS C1020やJIS H3100等に規定する純度が99.96%以上の銅材である。無酸素銅には、例えば数ppm程度の酸素が含有されていてもよい。タフピッチ銅とは、例えばJIS C1100やJIS H3100等に規定する純度が99.9%以上の銅材である。タフピッチ銅には、例えば100ppm〜600ppm程度の酸素が含有されていてもよい。圧延銅箔の形成材料としては、圧延銅箔の耐熱性等を向上させる観点から、無酸素銅やタフピッチ銅に微量のスズ(Sn)や銀(Ag)等が添加された希薄銅合金を用いるとよい。銅箔基材2の厚さは、例えば6μm以上36μm以下であるとよい。
銅箔基材2は、銅箔基材2の主面側の表層部が機械研磨されることで改質された改質層2aと、銅箔基材2の改質層2aとは異なる部分である非改質層2bと、を備えている。
改質層2a(いわゆる加工変質層)は、改質層2aを形成する結晶粒の平均粒径が非改質層2bを形成する結晶粒の平均粒径よりも小さくなるように構成されている。これにより、粗化銅めっき層3が形成される改質層2aの主面S(以下、単に粗化銅めっき層形成面Sともいう)は、微細結晶組織を有している。つまり、粗化銅めっき層形成面Sは、結晶方位の異なる複数の結晶面のそれぞれが微細化され、ランダムな方位に分布するように形成されている。
改質層2aは、銅箔基材2の主面から50nm以上1000nm未満、好ましくは50nm以上850nm以下の位置(深さ)まで形成されているとよい。
改質層2aが50nm未満の深さまでしか形成されていないと、粗化銅めっき層形成面Sの結晶組織が十分に微細化されないため、金属粒が局所的に付着せずに粗化抜けが発生するおそれがある。この場合、表面処理銅箔1と樹脂基材11との間の密着性を十分に得られない。
改質層2aが1000nm以上の位置まで形成されてしまうと、改質層2aの粗化銅めっき層形成面Sの表面粗さが大きくなる(凹凸が大きくなる)ため、金属粒が局所的に付着せずに粗化抜けが発生するおそれがある。この場合、表面処理銅箔1と樹脂基材11との高い密着性を確保することが困難となる。また、粗化銅めっき層形成面Sの表面粗さが大きくなると、その上に形成される粗化銅めっき層3の表面粗さも大きくなるため、表面処理銅箔1を樹脂基材11に貼り合わせて積層板10を形成したときに、樹脂基材11の透明性が低下するおそれがある。具体的に説明すると、表面処理銅箔1を樹脂基材11に貼り合わせる際、樹脂基材11には、表面処理銅箔1の表面に形成された粗化銅めっき層3の凹凸形状が転写されることになる。粗化銅めっき層3の表面粗さが大きくなると、凹凸形状が転写された樹脂基材11の表面粗さも大きくなってしまう。樹脂基材11の表面粗さが大きくなると、光が乱反射されてしまうため、樹脂基材11の透明性が低下してしまう(樹脂基材11がくすんでしまう)。樹脂基材11の透明性が低いと、詳細を後述するように、積層板10から形成したFPCに半導体等を実装するときに、実装効率が低下してしまうおそれがある。
非改質層2bは、銅箔基材2の機械研磨されない部分であり、機械研磨する前の銅箔基材2と同様に、比較的粒径の大きな結晶粒で形成されている。
(粗化銅めっき層)
銅箔基材2の一方の主面には、改質層2aを介して粗化銅めっき層3が設けられている。粗化銅めっき層3は所定の表面粗さを有しており、表面処理銅箔1を樹脂基材11に貼り合わせたときに、アンカー効果により表面処理銅箔1と樹脂基材11との密着性を向上できる。
粗化銅めっき層3は、銅(Cu)を含む金属粒を改質層2aの粗化銅めっき層形成面S上に付着させることで形成されている。粗化銅めっき層形成面Sは、結晶方位の異なる複数の結晶面のそれぞれが、微細化され、細かく分布するように構成されているので、金属粒は、粗化銅めっき層形成面Sに存在する結晶面の結晶方位による影響を受けることなく、粗化銅めっき層形成面S上に均一に付着している。そのため、粗化銅めっき層3は、改質層2aを露出させることなく形成されており、粗化抜けがない。
粗化銅めっき層3を形成する金属粒は、例えば、Cuと、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、コバルト(Co)、亜鉛(Zn)またはクロム(Cr)の少なくともいずれかの金属元素と、を含む金属粒(合金粒)で形成されているとよい。なお、金属粒は、例えばCu単体で形成されていてもよい。
粗化銅めっき層3を形成する金属粒の平均粒径は0.05μm以上0.30μm以下であるとよい。平均粒径が0.05μm未満であると、粗化銅めっき層3の凹凸の大きさ(表面粗さ)が小さくなりすぎるため、表面処理銅箔1と樹脂基材11との密着性が低下するおそれがある。平均粒径が0.30μmを超えると、粗化銅めっき層3の表面粗さが大きくなりすぎるため、樹脂基材11の透明性が低下するおそれがある。
粗化銅めっき層3の厚さは、例えば0.05μm以上0.20μm以下であるとよい。これにより、表面処理銅箔1を樹脂基材11に貼り合わせたときの密着性を向上させるとともに、樹脂基材11の透明性を向上できる。粗化銅めっき層3の厚さが0.05μm未満であると、粗化銅めっき層3を設けることによるアンカー効果を得ることができず、表面処理銅箔1と樹脂基材11との密着性が低下するおそれがある。粗化銅めっき層3の厚さが0.20μmを超えると、粗化銅めっき層3の表面粗さが大きくなり、表面処理銅箔1を樹脂基材11に貼り合わせたときに樹脂基材11に転写される凹凸の大きさが大きくなるため、樹脂基材11の透明性が低下するおそれがある。また、積層板10から形成されるFPCを曲げるときの屈曲性が低下するおそれがある。なお、粗化銅めっき層3の厚さは、粗化銅めっき層3の平均厚さを示す。
(防錆層)
粗化銅めっき層3上には、防錆層4が設けられている。防錆層4は、所定のめっき液を用いて形成されている。これにより、表面処理銅箔1の耐熱性や耐薬品性等を向上できる。また、積層板10を形成した後、エッチングにより表面処理銅箔1の所定箇所を除去してパターンを形成する際、表面処理銅箔1を容易に除去できる。
防錆層4は、例えば、銅箔基材2の側から順に、厚さが10nm以上50nm以下であるニッケル(Ni)めっき層と、厚さが1nm以上10nm以下である亜鉛(Zn)めっき層と、厚さが1nm以上10nm以下であるクロメート処理層(3価のクロム化成処理層)と、厚さが非常に薄い(極薄の)シランカップリング層と、を備えているとよい。Niめっき層が設けられると、積層板10が形成された際、表面処理銅箔1のCuが樹脂基材側へ拡散することを抑制できるとともに、表面処理銅箔1の耐熱性や耐薬品性等を向上できる。Znめっき層は、クロメート処理層やシランカップリング層を設けるための下地層として機能する。また、Znめっき層が設けられると、表面処理銅箔1の耐熱性をより向上できる。クロメート処理層及びシランカップリング層はそれぞれ、化成処理層(化成処理皮膜)としても機能する。シランカップリング層が設けられると、表面処理銅箔1と後述の樹脂基材11との化学的密着性を向上できるため、密着性をより向上できる。
防錆層4の厚さは11nm以上35nm以下であるとよい。厚さが11nm未満となると、表面処理銅箔1の耐熱性や耐薬品性が低下するおそれがある。厚さが35nmを超えると、積層板10を形成した後、エッチングにより表面処理銅箔1の所定箇所を除去してパターンを形成する際、表面処理銅箔1が除去されずに残存する(いわゆる根残りが発生する)おそれがある。
(裏面処理層)
銅箔基材2の他方の主面には、改質層2aを介して裏面処理層5が設けられている。裏面処理層5は、例えば、銅箔基材2の側から順に、Niめっき層(又はNi及びCoの合金めっき層)と、Znめっき層(又はZn合金めっき層)と、クロメート処理層と、を備えているとよい。裏面処理層5の厚さ(裏面処理層5を構成する各層の厚さ)は限定されるものではない。裏面処理層5の厚さは、表面処理銅箔1を用いて例えばフレキシブルプリント配線板(FPC)が製造される際、FPCの製造過程における熱量に耐え得る厚さであればよい。例えば、裏面処理層5の厚さは、防錆層4の厚さよりも薄くなるように形成されているとよい。
(2)表面処理銅箔の製造方法
次に、本実施形態にかかる表面処理銅箔1の製造方法の一実施形態について、図2を用いて説明する。図2は、本実施形態にかかる表面処理銅箔1の製造工程を示すフロー図である。
(銅箔基材形成工程(S10))
まず、銅箔基材2として、例えば圧延銅箔や電解銅箔を形成する。銅箔基材2として、例えば圧延銅箔を形成する場合、まず、無酸素銅やタフピッチ銅からなる純銅の鋳塊や、無酸素銅やタフピッチ銅を母相とし、母相中に所定量のSnやAg等の添加剤を添加した希薄銅合金の鋳塊を鋳造する。そして、鋳造した鋳塊に対し、所定の熱間圧延処理、所定の冷間圧延処理、所定の焼鈍処理等を行い、所定厚さ(例えば10μm)の圧延銅箔を形成する。圧延銅箔は、圧延方向に引き伸ばされた粒径の大きな複数の結晶粒で形成されている。圧延銅箔の主面には、結晶方位の異なる複数の結晶面が存在しており、圧延銅箔の主面は比較的粗大な結晶組織を有している。
(銅箔基材研磨工程S20)
銅箔基材形成工程S10の後、銅箔基材2の少なくとも一方の主面を機械研磨する。例えば、銅箔基材2をロールに巻き付けながら搬送し、銅箔基材2にフラップバフを圧下させることで銅箔基材2をバフ研磨する。これにより、銅箔基材2の主面に局所的に存在するオイルピットや圧延筋などの凹部を除去すると同時に、銅箔基材2の主面側の表層部を改質層2aに改質させる。
銅箔基材研磨工程S20では、改質層2aを形成する結晶粒の平均粒径が、銅箔基材2の非改質層2bを形成する結晶粒の平均粒径よりも小さくなるように、銅箔基材2をバフ研磨する。バフ研磨によれば、銅箔基材2の表層部を形成する圧延方向に引き伸ばされた結晶粒がせん断される。これにより、改質層2aは、微細化された結晶粒で形成されることになる。改質層2aの粗化銅めっき層形成面Sは、複数の微細な結晶面のそれぞれがランダムな方位に分布するように形成されており、微細な結集組織を有している。
銅箔基材研磨工程S20では、改質層2aが銅箔基材2の主面から50nm以上1000nm未満の位置まで形成されるように、銅箔基材2をバフ研磨するとよい。改質層2aが形成される深さは、バフ研磨に用いるバフ(研磨材)のメッシュによって適宜調整できる。例えば、メッシュを粗くするほど、改質層2aを主面から深い位置まで形成することができ、メッシュを細かくするほど、改質層2aを主面から浅い位置まで形成できる。改質層2aを銅箔基材2の主面から50nm以上1000nm未満の位置まで形成する場合、バフのメッシュを例えば♯320〜♯1500の間で適宜調整するとよい。
(銅箔基材洗浄工程S30)
銅箔基材研磨工程S20の後、銅箔基材2の表面を清浄する処理を行う。例えば、銅箔基材2の表面に電解脱脂処理と酸洗処理とを行う。まず、電解脱脂処理として、例えば、水酸化ナトリウム等のアルカリ溶液を用いた陰極電解脱脂処理を行う。電解脱脂処理が終了した後、銅箔基材2の表面に酸洗処理を行い、銅箔基材2の表面に残存するアルカリを中和したり、銅酸化膜を除去したりする。酸洗処理は、例えば硫酸やクエン酸等の酸性水溶液に銅箔基材2を浸漬して行う。酸洗処理は、例えば銅エッチング液に銅箔基材2を浸漬して行ってもよい。
(粗化銅めっき層形成工程S40)
銅箔基材洗浄工程S30の後、銅箔基材2の一方の主面上に形成された改質層2a上に、所定厚さ(例えば0.05μm以上0.20μm以下)の粗化銅めっき層3を形成する。具体的には、硫酸銅や硫酸を主成分とする酸性銅めっき液中で、改質層2aが形成された銅箔基材2に対して電解めっき処理を行うことによって、粗化銅めっき層3を形成する。粗化めっき処理においては、改質層2aの粗化銅めっき層形成面S上にCuを含む金属粒を付着させることによって、樹脂状の銅めっき層を形成し、樹脂状の銅めっき層をコブ状の銅めっき層に変化させて、粗化銅めっき層3を形成する。
本実施形態では、粗化銅めっき層3を改質層2aの粗化銅めっき層形成面S上に設けている。上述したように、粗化銅めっき層形成面Sは、複数の微細な結晶面のそれぞれがランダムな方位に分布するように構成されている。そのため、粗化銅めっき層形成面S上に金属粒を付着させるときに、金属粒が、結晶面の結晶方位によって、粗化銅めっき層形成面S上にばらついて付着してしまうことを抑制できる。つまり、金属粒を粗化銅めっき形成面S上に均一に分布するように付着させることができる。これにより、改質層2aを露出させることなく、粗化銅めっき層3を形成できる。
粗化銅めっき層3を形成するめっき液には、金属粒の過剰な成長を抑制(デンドライドを防止)し、その平均粒径を小さくする観点から、Cu以外に、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、コバルト(Co)、亜鉛(Zn)、クロム(Cr)の金属イオンを少なくとも一種類添加するとよい。
粗化銅めっき層3を形成する際の電流密度は、めっき条件における限界電流密度以上とする。つまり、めっき液中に金属粒を析出させて、銅箔基材2の改質層2a上に金属粒を付着させる(いわゆる「やけめっき」となる)ことができる電流密度とする。このような粗化めっき処理では、電流密度やめっき処理の回数を調整することで、析出させる金属粒の平均粒径を調整できる。例えば、電流密度を高くしたり、めっき処理の回数を増やしたりすることで金属粒の平均粒径を大きくさせることができ、また電流密度を低くしたり、めっき処理の回数を減らすことで金属粒の平均粒径を小さくさせることができる。これにより、粗化銅めっき層3の凹凸の大きさを調整して表面処理銅箔1の表面粗さを適宜変更できる。
粗化銅めっき層形成工程S40では、めっき液の組成、液温、電流密度、処理時間等のめっき処理条件は、特に限定されない。例えば、めっき液の組成として、硫酸銅五水和物を50〜300g/L、硫酸を30〜200g/Lとするとよい。また、液温を15〜50℃、めっき電流密度を限界電流密度以上であって30〜90A/dm、めっき時間を0.1〜2秒とするとよい。なお、めっき処理においては、陽極としてCu板を用い、粗化銅めっき層3を形成する対象である銅箔基材2自体を陰極とする。
(防錆層形成工程S50)
粗化銅めっき層形成工程S40の後、粗化銅めっき層3上に所定厚さ(例えば1nm以上70nm以下)の防錆層4を形成する。防錆層4として、例えば、粗化銅めっき層3側から順に、Niめっき層、Znめっき層、クロメート処理層およびシランカップリング層を形成する。Niめっき層やZnめっき層は、Niを含むめっき液やZnを含むめっき液を用いて電界めっき処理を行うことで形成する。クロメート処理層は、例えば3価クロムタイプの反応型クロメート液を用いて電界めっき処理を行うことで形成する。シランカップリング層は、シランカップリング液を用いて電界めっき処理を行うことで形成する。
(裏面処理層形成工程S60)
防錆層形成工程S50と同時に、銅箔基材2の他方の主面上に裏面処理層5を形成する。裏面処理層5として、例えば、銅箔基材2の側から順に、Niめっき層(又はNi及びCoの合金めっき層)と、Znめっき層(又はZn合金めっき層)と、クロメート処理層と、を形成する。これにより、本実施形態に係る表面処理銅箔1を得る。
(3)積層板の構成
続いて、上述した表面処理銅箔1を用いて形成される積層板10について説明する。図1に示すように、積層板10は、表面処理銅箔1の粗化銅めっき層3が設けられた側の面と、樹脂基材11と、が貼り合わされて形成されている。樹脂基材11として、例えばポリイミド(PI)フィルムや、ポリエチレンテレフタラート(PET)等のポリエステルフィルム、液晶ポリマ(LCP)等が用いられる。なお、表面処理銅箔1と樹脂基材11とを貼り合わせる方法としては、例えば、接着剤を介して貼り合わせを行う方法がある。また、接着剤を使用せずに、高温高圧下で表面処理銅箔1の粗化銅めっき層3上に樹脂基材11を積層して接着することで、貼り合わせを行ってもよい。あるいは、表面処理銅箔1の粗化銅めっき層3上に、ポリイミド前駆体を塗布した後、ポリイミド前駆体を乾燥させて硬化させて樹脂基材11を形成することで、表面処理銅箔1と樹脂基材11との貼り合わせを行ってもよい。
(4)本実施形態に係る効果
本実施形態によれば、以下に示す1つまたは複数の効果を奏する。
(a)本実施形態によれば、銅箔基材2の主面を機械研磨することで銅箔基材2の主面側の表層部を改質層2aに改質させている。改質層2aは、機械研磨により、改質層2aを形成する結晶粒の平均粒径が非改質層2bを形成する結晶粒の平均粒径よりも小さくなるように構成されている。改質層2aの粗化銅めっき層形成面Sは、粒径の小さな結晶粒が配向することで、複数の微細な結晶面のそれぞれがランダムな方位に分布するように構成されており、微細結晶組織を有している。このような粗化銅めっき層形成面S上に金属粒を付着させることによって、金属粒が、結晶面の結晶方位によって、粗化銅めっき層形成面S上にばらついて付着してしまうことを抑制できる。つまり、金属粒を粗化銅めっき形成面S上に均一に分布するように付着させることができる。これにより、改質層2aを露出させることなく、粗化銅めっき層3を形成できる。
(b)また、本実施形態によれば、改質層2aを露出させることなく、改質層2a上に粗化銅めっき層3を形成できるので、表面処理銅箔1と樹脂基材11とを貼り合わせたときに、アンカー効果により表面処理銅箔1と樹脂基材11との高い密着性を得ることができる。具体的には、粗化銅めっき層3上に樹脂基材11を積層して貼り合わせた場合の粗化銅めっき層3と樹脂基材11との間のピール強度を1N/mm以上とすることができる。これにより、表面処理銅箔1が樹脂基材11から剥離してしまうことを抑制できる。この結果、例えば、積層板10から所定箇所の表面処理銅箔1を除去することで所定形状のパターンが形成された場合であっても、パターンの剥離を抑制できるので、FPCの信頼性を向上できる。
(c)また、本実施形態によれば、改質層2a上に金属粒を均一に分布するように付着させて粗化銅めっき層3を形成できるので、粗化銅めっき層3の表面粗さが過度に大きくなることを抑制できる。表面処理銅箔1を樹脂基材11に貼り合わせる際、樹脂基材11には、粗化銅めっき層3の凹凸形状が転写されることになるが、粗化銅めっき層3の表面粗さが過度に大きくなることを抑制することで、凹凸形状が転写された樹脂基材11の表面粗さが過度に大きくなることを抑制できる。これにより、樹脂基材11の表面で光が乱反射してしまうことを抑制できるので、樹脂基材11の透明性の低下を抑制できる。
具体的には、表面処理銅箔1の粗化銅めっき層3上に樹脂基材11を貼り合わせ、表面処理銅箔1を除去した後の樹脂基材11のHAZE値を80%未満とすることができる。つまり、積層板10における表面処理銅箔1を除去した後に露出する部分(いわゆる非パターン部分)のHAZE値を80%未満とすることができる。なお、HAZE値とは、樹脂基材11の透明性の指標となる数値である。具体的には、樹脂基材11に可視光を照射したときの全透過光量に対する拡散透過光量の割合(濁度、曇度)のことである。HAZE値の値が低くなるほど、樹脂基材11の透明性が高くなることを示している。
樹脂基材11の透明性の低下が抑制されることで、例えば、積層板10を用いて形成したフレキシブルプリント配線板(FPC)を実装する際、FPCの実装位置の位置決めを容易に行うことができる。つまり、FPCを実装する際、例えばCCDにより、表面処理銅箔1が除去された箇所の樹脂基材11越しにマーキング等を見て位置決めを行う。このとき、樹脂基材11の透明性が良好であると、つまり樹脂基材11の透明性の低下が抑制されていると、樹脂基材11越しであってもマーキング等が見えやすくなる。従って、FPCの実装位置の位置決めを容易に行うことができ、実装作業効率の低下を抑制できる。
(d)また、改質層2aは、銅箔基材2の主面から50nm以上1000nm未満の位置まで形成されている。これにより、改質層2aの粗化銅めっき層形成面Sの表面粗さを過度に大きくさせることがないので、上記(a)〜(c)の効果をより得ることができる。
(e)また、粗化銅めっき層3を形成する金属粒の平均粒径は、0.05μm以上0.3μm以下である。これにより、表面処理銅箔1の高い密着性を維持しつつ、樹脂基材11の透明性の低下をさらに抑制できる。一般に、金属粒の平均粒径を0.05μm以上0.3μm以下と小さくすると、金属粒は、銅箔基材2の主面における凹凸や結晶面の結晶方位の影響を受けやすくなるため、主面に均一に付着しにくくなる。この点、本実施形態では、機械研磨により凹凸が低減されるとともに結晶面が微細化された改質層2a上に金属粒を付着させているので、金属粒の平均粒径を小さくした場合であっても、金属粒を均一に付着できる。その結果、上記(a)〜(c)の効果をより得ることができる。
(f)また、粗化銅めっき層3を、Cuと、Fe、Mo、Ni、Co、Cr、Zn又はWのうちの少なくともいずれかの金属元素と、を含む複数の金属粒で形成することで、複数の金属粒の大きさを均一にできる。つまり、Cuと、Fe、Mo、Ni、Co、Cr、Zn又はWの金属元素のうちの少なくともいずれかと、を添加した粗化銅めっき液を用いて粗化銅めっき層3を形成することで、金属粒の成長速度(析出速度)を均一にできる。例えば、粗化銅めっき層3を形成する際、金属粒が急速に成長し、金属粒の大きさが不均一になることを抑制できる。従って、表面処理銅箔1の高い密着性を維持しつつ、樹脂基材11の透明性の低下をさらに抑制できる。つまり、上記(a)〜(c)の効果をより得ることができる。
(g)また、銅箔基材2を機械研磨する場合、銅箔基材2をバフ研磨している。バフ研磨では、バフ研磨に用いるバフ(研磨材)のメッシュによって、改質層2aが形成される深さを、例えば銅箔基材2の主面から50nm以上1000nm未満の深さまでに適宜調整できる。
(本発明の他の実施形態)
以上、本発明の一実施形態を具体的に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
上述の実施形態では、防錆層4を設けたが、これに限定されない。つまり、表面処理銅箔1の用途や目的等に応じて、防錆層4を設けなくてもよい。また、上述の実施形態では、防錆層4を、Niめっき層と、Znめっき層と、クロメート処理層と、シランカップリング層とで構成したが、これに限定されるものではない。つまり、防錆層4の層構成は、表面処理銅箔1の用途や目的等に応じて、適宜変更してもよい。また、Niめっき層は、Co等の他の金属元素を含むNi合金で形成されていてもよい。Znめっき層は、他の金属を含むZn合金で形成されていてもよい。
上述の実施形態では、表面処理銅箔1がFPCに用いられる場合について説明したが、これに限定されない。本実施形態にかかる表面処理銅箔1は、リチウムイオン二次電池の負極集電銅箔、プラズマディスプレイ用電磁波シールド、ICカードのアンテナ等にも用いることができる。
次に、本発明の実施例を説明する。
<表面処理銅箔の作製>
まず、サンプル1〜5の表面処理銅箔を作製した。
(サンプル1)
まず、銅箔基材として、タフピッチ銅(TPC)で形成され、厚さが10μmの圧延銅箔を準備した。この圧延銅箔に電解脱脂処理と酸洗処理とを行い、圧延銅箔の表面の清浄を行った。具体的には、水酸化ナトリウムを30g/Lと、炭酸ナトリウムを40g/Lと、を含む水溶液を用いて電解脱脂処理を行った。このとき、液温を40℃とし、電流密度を15A/dmとし、処理時間を15秒間とした。電解脱脂処理が終了した後、圧延銅箔を水洗した。その後、硫酸150g/Lを含む水溶液中で、液温を25℃とし、圧延銅箔を10秒間浸漬して酸洗処理を行った。酸洗処理が終了した後、圧延銅箔を水洗した。
次に、圧延銅箔の一方の主面上に粗化銅めっき層を形成した。具体的には、めっき液の液温を30℃とし、電流密度60A/dmで1秒間処理することで、金属粒で形成され、厚さ(平均厚さ)が0.05μmである粗化銅めっき層を形成した。めっき液としては、硫酸銅五水和物を50g/Lと、硫酸を80g/Lと、硫酸鉄七水和物を50g/Lと、を含むものを用いた。
粗化銅めっき層を形成した後、粗化銅めっき層を形成した圧延銅箔を水洗した。その後、粗化銅めっき層上に、Niめっき層、Znめっき層、クロメート処理層およびシランカップリング処理層を順に形成し、防錆層を形成した。具体的には、まず、硫酸ニッケル六水和物を300g/Lと、塩化ニッケルを45g/Lと、硼酸を40g/Lと、を含むNiめっき液中で、Niめっき液の液温を50℃、電流密度を2.5A/dm、処理時間を5秒間として、粗化銅めっき層上に厚さが25nmであるNiめっき層を形成した。Niめっき層を形成した後、圧延銅箔を水洗した。その後、硫酸亜鉛七水和物を90g/Lと、硫酸ナトリウムを70g/Lと、を含むZnめっき液中で、Znめっき液の液温を30℃、電流密度を1.8A/dm、処理時間を4秒間として、Niめっき層上に厚さが7nmであるZnめっき層を形成した。Znめっき層を形成した後、圧延銅箔を水洗した。その後、3価クロム化成処理を行って、Znめっき層上に厚さが4nmであるクロメート処理層を形成した。クロメート処理層を形成した後、圧延銅箔を水洗した。そして、3−アミノプロピルトリメトキシシランの濃度が5%であり、液温が25℃であるシランカップリング液中に、クロメート処理層を形成した圧延銅箔を5秒間浸漬した後、直ちに200℃の温度で乾燥することで、クロメート処理層上に、ごく薄い厚さのシランカップリング処理層を形成した。
次に、圧延銅箔の粗化銅めっき層が設けられた側とは反対側の主面に、防錆層として、圧延銅箔の側から順に、Niめっき層と、Znめっき層と、クロメート処理層と、を形成した。なお、Niめっき層、Znめっき層、クロメート処理層の形成方法は、粗化銅めっき層上に設けた防錆層としてのNiめっき層、Znめっき層、クロメート処理層と同様である。これにより、サンプル1の表面処理銅箔を得た。サンプル1の作製条件を以下の表1に示す。
(サンプル2〜5)
サンプル2〜5では、表1に示すように、粗化銅めっき層を形成する前に圧延銅箔の主面をバフ研磨することで、主面の表層部を改質層に改質させた以外は、サンプル1と同様に表面処理銅箔を作製した。バフ研磨は、具体的には、圧延銅箔をロールに巻き付けながら搬送し、フラップバフを圧下することで行った。このとき、バフのメッシュ(番手)を適宜変更した。本実施例では、番手が#320、#600、#1000、#1500であるフラップバフ(角田ブラシ株式会社製)を用いた。
(サンプル6〜20)
サンプル6〜10、サンプル11〜15及びサンプル16〜20のそれぞれでは、表1に示すように、粗化銅めっき層を形成するときのめっき時間(粗化めっき時間)を変更し、粗化銅めっき層を形成する金属粒の平均粒径を適宜変更した以外は、サンプル1〜5と同様にして表面処理銅箔を作製した。
<積層板の作製>
サンプル1〜20の表面処理銅箔を用いて、積層板(フレキシブル銅張積層板(FCCL;Flexible Copper Clad Laminate))をそれぞれ作製した。具体的には、サンプル1〜20の各表面処理銅箔の粗化銅めっき層上に、樹脂基材として、厚さが50μmであるポリイミド樹脂フィルム(株式会社カネカ製のピクシオ(登録商標))を積層した。その後、真空プレス機を用いて、3MPa、300℃、10分の条件で、表面処理銅箔と樹脂基材とを貼り合わせて、サンプル1〜20のFCCLをそれぞれ作製した。なお、真空プレス機による貼り合わせ条件は、各サンプルの圧延銅箔の結晶が十分に再結晶化されて高屈折率を得られる熱量、かつポリイミド樹脂フィルムメーカの推奨条件を満たすように設定した。
<評価方法>
表面処理銅箔に用いた圧延銅箔、表面処理銅箔および積層板について、以下の評価方法を行った。
(圧延銅箔の評価)
粗化めっき処理を施す前の圧延銅箔について、その主面を評価した。具体的には、改質層の厚さ、および改質層の結晶組織(結晶状態)を評価した。改質層の厚さは、イオンミリングE3500(日立ハイテクノロジーズ株式会社製)で断面を形成した後、SEM(日立ハイテクノロジーズ製SU−70)で反射電子像(BSE像)を観察し、長さ10μmでの改質層の平均厚さを求めた。また、改質層の結晶状態は、バフ研磨後の圧延銅箔の表面をSEMで観察し、その結晶状態(結晶面の分布)をEBSPによる結晶方位マップ(IPFマップ)により評価した。
(粗化銅めっき層の評価)
サンプル1〜20の各表面処理銅箔について、粗化銅めっき層を形成する金属粒の平均粒径を測定した。金属粒の平均粒径は、粗化銅めっき層の表面をSEMで観察し、ランダムに100個の金属粒の粒径を測定し、その平均粒径を求めた。
また、サンプル1〜20の各表面処理銅箔について、粗化抜けの有無を評価した。粗化抜けは、粗化銅めっき層の表面をSEMで観察し、面積40μm(10μm×4μm)当たりにおける金属粒が付着していない部分(粗化抜け箇所)の有無を調べた。本実施例では、粗化銅めっき層の面積40μm当たりに、所定の平均粒径の金属粒が規定個数以上ある場合、粗化抜けが無いとして「○」を、規定個数未満となった場合、粗化抜けが有りとして「×」を示した。具体的には、金属粒の粒径によって単位面積あたりに占める金属粒の個数が異なるため、以下のように、金属粒の粒径によって場合分けして粗化抜けの有無を評価した。金属粒の平均粒径が0.05μm以上0.10μm未満の場合は金属粒が4000個以上、金属粒の平均粒径が0.10μm以上0.15μm未満の場合は1800個以上、金属粒の平均粒径が0.15μm以上0.25μm未満の場合は650個以上、金属粒の平均粒径が0.25μm以上0.30μm以下の場合は400個以上であれば、「○」、それぞれ規定個数未満であれば「×」判定とした。
(密着性の評価)
サンプル1〜20の各表面処理銅箔を用いて作製した積層板について、表面処理銅箔の密着性を評価した。本実施例では、密着性として、表面処理銅箔を樹脂基材から剥離する際のピール強度を評価した。ピール強度の測定は、以下のように行った。まず、サンプル1〜20の積層板の表面処理銅箔上に、幅が1mmで、所定長さのマスキングテープを貼った。マスキングテープを貼った各積層板に対し、塩化第二鉄を用いてスプレーエッチング処理を行うことで、積層板から表面処理銅箔の所定箇所(マスキングテープが貼られていない箇所)を除去し、所定のパターンを形成した。その後、マスキングテープを除去した。続いて、形成された幅1mmのパターン(表面処理銅箔)を、樹脂基材から引き剥がした際の強度を測定した。具体的には、エッチングされて1mm幅となった表面処理銅箔を、樹脂基材から90°の角度で(引き剥がされた表面処理銅箔と樹脂基材との為す角が90°となるように)、樹脂基材から引き剥がしたときに要する力をピール強度として測定した。このように測定したピール強度の値が大きいほど、密着性が高いといえる。本実施例では、ピール強度が1N/mm以上であれば、密着性に優れていることを示す。
(透明性の評価)
サンプル1〜20の各表面処理銅箔を用いて作製した積層板について、樹脂基材の透明性の評価を行った。樹脂基材の透明性の評価として、各サンプルの積層板から表面処理銅箔を除去した後の樹脂基材のHAZE値及び透明度の測定を行った。具体的には、各サンプルの積層板に対し、塩化第二鉄を用いてスプレーエッチング処理を行うことで、積層板から表面処理銅箔を全て除去した。そして、表面処理銅箔が除去された樹脂基材のそれぞれについて、BYK製のhaze−gard plusを用いてHAZE値及び透明度の測定を行った。本実施例では、HAZE値が80%未満であれば、透明性に優れていることを示す。
<評価結果>
サンプル1〜20について、改質層、金属粒の平均粒径および粗化抜け、密着性並びに透明性の評価結果を、上記表1に示す。
サンプル1では、圧延銅箔にバフ研磨を施さなかったため、図4(a)に示すように、圧延銅箔の主面に圧延筋やオイルピットが存在していることが確認された。また、サンプル1の圧延銅箔の主面におけるIPFマップを図5(a)に示す。図5(a)に示すように、バフ研磨なしでは、同一の結晶方位を有する結晶粒が圧延方向(紙面の上下方向)に並んでおり、所定の結晶方位を有する大きな結晶面が分布していることが確認された。また、サンプル1の圧延銅箔の断面のSEM像を図6(a)に示す。図6(a)に示すように、バフ研磨を施していないため、改質層の厚さが50nm未満であり、圧延銅箔の主面には改質層が実質的に存在しないことが確認された。また、粗化銅めっき層の表面をSEMで観察したところ、粗化銅めっき層は図7(a)に示すような状態であることが確認された。図7(a)では、粗化銅めっき層を形成する金属粒の平均粒径が0.3μm、面積40μm当たりに存在する金属粒の個数が規定個数(400個)未満であって、粗化抜けが有ることが確認された。これは、金属粒が付着する主面が、図5(a)に示すような粗大な結晶組織を有しており、金属粒が主面における凹凸や結晶面の結晶方位の影響を受けて均一に分布するように付着しなかったためと考えられる。また、サンプル1の表面処理銅箔では、金属粒の平均粒径が0.3μmと小さいので、表面処理銅箔を除去した後の樹脂基材のHAZE値が75%であり、透明性に優れているものの、粗化抜けがあるため、樹脂基材から引き剥がすときのピール強度が0.6N/mmと低く、十分な密着性を得られないことが確認された。
サンプル2〜4の圧延銅箔では、それぞれ#1500、#1000、#600のバフを用いてバフ研磨を行ったため、図4(b)、図4(c)および図4(d)に示すように、バフ研磨により圧延筋やオイルピットが除去されており、バフによる凹凸が微小であることが確認された。また、圧延銅箔の主面には改質層が形成されており、改質層は、表1に示すように、圧延銅箔の主面から50nm、300nmおよび850nmの深さまで形成されていた。また、サンプル2〜4の圧延銅箔の主面におけるIPFマップを図5(b)〜図5(d)に示す。図5(b)〜図5(d)に示すように、改質層は、結晶面が微細化されることで、複数の微細な結晶面のそれぞれがランダムな方位に分布するように形成されていた。また、図5(b)〜図5(d)を比較すると、バフのメッシュを粗くするほど、各結晶面がより微細化されることが確認された。また、粗化銅めっき層の表面をSEMで観察したところ、図7(b)〜図7(d)に示すように、粗化銅めっき層は、圧延銅箔(改質層)を露出させることなく形成されていることが確認された。これは、粗化めっき処理において、改質層における結晶面の結晶方位に影響を受けることなく、金属粒を均一に分布するように付着できたためと考えられる。また、サンプル2〜4の表面処理銅箔では、ピール強度が1.1N/mm〜1.2N/mmであり、高い密着性を得られると共に、HAZE値が80%未満であり、高い透明性を得られることが確認された。
サンプル5では、サンプル2〜4と比較して粗い#320のバフを用いてバフ研磨を行ったため、図4(e)に示すように、バフ研磨により圧延筋やオイルピットが除去されたものの、バフによる凹凸が顕著に生じていることが確認された。また、図5(e)のIPFマップに示すように、圧延銅箔の主面に形成された改質層は、サンプル2〜4と比較して、各結晶面がより微細化されて主面に細かく分布するように形成されていることが確認された。また、図6(b)に示すように、改質層は圧延銅箔の主面から1000nmの深さまで形成されていた。また、粗化銅めっき層の表面をSEMで観察したところ、図7(e)に示すように、粗化銅めっき層に粗化抜けが生じていることが確認された。これは、改質層を圧延銅箔の主面から深く形成しすぎたため、改質層の表面の凹凸が大きくなったためと考えられる。すなわち、オイルピットや圧延筋が存在する場合と同様に凹凸が大きくなることで、金属粒が均一に分布するように付着しなかったためと考えられる。また、サンプル5の表面処理銅箔では、HAZE値が76%であり、高い透明性を得られるものの、粗化抜けが生じているため、ピール強度が0.6N/mmと低く、十分な密着性を得られないことが確認された。
サンプル6〜10では、圧延銅箔をバフ研磨する条件によって、サンプル1〜5のそれぞれと同様のSEM像およびIPFマップが得られた。サンプル6〜10では、粗化銅めっき層を形成する金属粒の平均粒径が0.03μmと小さいので、ポリアミド樹脂フィルムの透明性は良好であったものの、粗化銅めっき層の表面粗さが小さくなることでピール強度が低くなってしまうことが確認された。なお、サンプル6では、サンプル1と同様にバフ研磨を行わなかったため、改質層が形成されず、粗化抜けが生じていることが確認された。また、サンプル10では、サンプル5と同様にバフ研磨により主面から1000nmの深さまで改質層が形成されて、改質層の表面粗さが大きくなってしまったため、粗化抜けが生じていることが確認された。
サンプル11〜15では、圧延銅箔をバフ研磨する条件によって、サンプル1〜5のそれぞれと同様のSEM像およびIPFマップが得られた。サンプル11〜15では、粗化銅めっき層を形成する金属粒の平均粒径が0.05μmであった。サンプル11〜15では、いずれもHAZE値が80%未満であり、高い透明性を得られることが確認された。しかし、サンプル11では、バフ研磨を行っていないため、サンプル1と同様に粗化抜けが生じ、高い密着性を得られないことが確認された。また、サンプル15では、サンプル5と同様に改質層の表面粗さが大きくなったためか、粗化抜けが生じ、高い密着性を得られないことが確認された。また、サンプル12〜14では、粗化抜けがなく、粗化銅めっき層を形成できたため、高い密着性を得られることが確認された。
サンプル11およびサンプル13では、それぞれの積層板にパターンを形成したとき、図8(a)および図8(b)に示すように、パターンと樹脂基材との境界をはっきり確認できた。しかし、サンプル11では、図8(a)に示すように、粗化銅めっき層に粗化抜けが生じているため、パターンの粗化抜けの領域で光が反射してしまうことが確認された。そのため、サンプル11の積層板から形成されるFPCでは、実装の際に位置合わせしにくいことが確認された。これに対して、サンプル13では、粗化銅めっき層に粗化抜けがないため、図8(b)に示すように、パターンでの光の反射を抑制することができ、FPCを容易に位置合わせすることができる。
サンプル16〜20では、圧延銅箔をバフ研磨する条件によって、サンプル1〜5のそれぞれと同様のSEM像およびIPFマップが得られた。サンプル16〜20では、粗化銅めっき層を形成する金属粒の平均粒径が0.5μmと大きいので、粗化銅めっき層の表面粗さが大きくなり、アンカー効果が大きくなることでピール強度が良好であった。しかし、表面粗さが大きくなることでHAZE値が大きく、透明性が低くなってしまうことが確認された。なお、サンプル16では、サンプル1と同様にバフ研磨を行わなかったため、改質層が形成されず、粗化抜けが生じていることが確認された。また、サンプル20では、サンプル5と同様にバフ研磨により主面から1000nmの深さまで改質層が形成されて、改質層の表面粗さが大きくなってしまったため、粗化抜けが生じていることが確認された。
サンプル18とサンプル13とを比較すると、サンプル18では、金属粒の平均粒径が0.5μmと大きいため、サンプル13よりも樹脂基材の透明性が低かった。具体的には、それぞれの積層板にパターンを形成すると、サンプル13では図8(b)に示すようにパターンと樹脂基材との境界をはっきり確認できるのに対して、サンプル18では、図8(c)に示すように、その境界が不明瞭であった。
<本発明の好ましい態様>
以下に、本発明の好ましい態様について付記する。
[付記1]
本発明の一態様によれば、
銅箔基材と、
前記銅箔基材の少なくとも一方の主面上に設けられ、銅を含む金属粒で形成される粗化銅めっき層と、を備え、
前記粗化銅めっき層が設けられる前記銅箔基材の主面側の表層部には改質層が形成されており、
前記改質層を形成する結晶粒の平均粒径が、前記銅箔基材の前記改質層とは異なる部分を形成する結晶粒の平均粒径よりも小さくなるように構成されている、表面処理銅箔が提供される。
[付記2]
付記1の表面処理銅箔であって、好ましくは、
前記改質層は、前記銅箔基材の主面から50nm以上1000nm未満の位置まで形成されている。
[付記3]
付記1又は2の表面処理銅箔であって、好ましくは、
前記粗化銅めっき層は、前記改質層を露出させることなく形成されている。
[付記4]
付記1〜3のいずれかの表面処理銅箔であって、好ましくは、
前記金属粒の平均粒径は0.05μm以上0.3μm以下である。
[付記5]
付記1〜4のいずれかの表面処理銅箔であって、好ましくは、
前記粗化銅めっき層上に樹脂基材を積層して貼り合わせた場合の前記粗化銅めっき層と前記樹脂基材との間のピール強度が1N/mm以上であり、
前記粗化銅めっき層上に前記樹脂基材を積層して貼り合わせ、前記銅箔基材及び前記粗化銅めっき層を除去した後の前記樹脂基材のHAZE値が80%未満である。
[付記6]
付記1〜5のいずれかの表面処理銅箔であって、好ましくは、
前記改質層は、前記圧延銅箔の主面が機械研磨されることで形成されている。
[付記7]
付記1〜6のいずれかの表面処理銅箔であって、好ましくは、
前記銅粗化銅めっき層は、銅と、鉄、ニッケル、モリブデン、タングステン、コバルト、亜鉛またはクロムのうちの少なくとも1つの金属元素と、を含む金属粒で形成されている。
[付記8]
本発明の他の態様によれば、
銅箔基材の少なくとも一方の主面を機械研磨することで、前記銅箔基材の主面側の表層部を改質層に改質させる研磨工程と、
めっき法により前記改質層上に銅を含む金属粒を付着させることで、粗化銅めっき層を形成するめっき工程と、を有し、
前記研磨工程では、前記改質層を形成する結晶粒の平均粒径が、前記銅箔基材の前記改質層とは異なる部分を形成する結晶粒の平均粒径よりも小さくなるように、前記銅箔基材を機械研磨する、表面処理銅箔の製造方法が提供される。
[付記9]
付記8の表面処理銅箔の製造方法であって、好ましくは、
前記研磨工程では、前記銅箔基材をバフ研磨する。
[付記10]
付記8又は9の表面処理銅箔の製造方法であって、好ましくは、
前記研磨工程では、前記改質層が前記銅箔基材の主面から50nm以上1000nm未満の位置まで形成されるような粒度を有する研磨剤を用いる。
[付記11]
本発明のさらに他の態様によれば、
銅箔基材と、
前記銅箔基材の少なくとも一方の主面上に設けられ、銅を含む金属粒で形成される粗化銅めっき層と、
前記粗化銅めっき層上に設けられる樹脂基材と、を備え、
前記粗化銅めっき層が設けられる前記銅箔基材の主面側の表層部には改質層が形成されており、前記改質層を形成する結晶粒の平均粒径が、前記銅箔基材の前記改質層とは異なる部分を形成する結晶粒の平均粒径よりも小さくなるように構成されている、積層板が提供される。
1 表面処理銅箔
2 銅箔基材
2a 改質層
2b 非改質層
3 粗化銅めっき層
4 防錆層
5 裏面処理層
10 積層板
11 樹脂基材

Claims (8)

  1. 銅箔基材と、
    前記銅箔基材の少なくとも一方の主面上に設けられ、銅を含む金属粒で形成される粗化銅めっき層と、を備え、
    前記粗化銅めっき層が設けられる前記銅箔基材の主面側の表層部には改質層が形成されており、
    前記改質層を形成する結晶粒の平均粒径が、前記銅箔基材の前記改質層とは異なる部分を形成する結晶粒の平均粒径よりも小さくなるように構成されている、表面処理銅箔。
  2. 前記改質層は、前記銅箔基材の主面から50nm以上1000nm未満の位置まで形成されている、請求項1に記載の表面処理銅箔。
  3. 前記粗化銅めっき層は、前記改質層を露出させることなく形成されている、請求項1又は2に記載の表面処理銅箔。
  4. 前記金属粒の平均粒径は0.05μm以上0.3μm以下である、請求項1〜3のいずれかに記載の表面処理銅箔。
  5. 前記粗化銅めっき層上に樹脂基材を積層して貼り合わせた場合の前記粗化銅めっき層と前記樹脂基材との間のピール強度が1N/mm以上であり、
    前記粗化銅めっき層上に前記樹脂基材を積層して貼り合わせ、前記銅箔基材及び前記粗化銅めっき層を除去した後の前記樹脂基材のHAZE値が80%未満である、請求項1〜4のいずれかに記載の表面処理銅箔。
  6. 銅箔基材の少なくとも一方の主面を機械研磨することで、前記銅箔基材の主面側の表層部を改質層に改質させる研磨工程と、
    めっき法により前記改質層上に銅を含む金属粒を付着させることで、粗化銅めっき層を形成するめっき工程と、を有し、
    前記研磨工程では、前記改質層を形成する結晶粒の平均粒径が、前記銅箔基材の前記改質層とは異なる部分を形成する結晶粒の平均粒径よりも小さくなるように、前記銅箔基材を機械研磨する、表面処理銅箔の製造方法。
  7. 前記研磨工程では、前記銅箔基材をバフ研磨する、請求項6に記載の表面処理銅箔の製造方法。
  8. 銅箔基材と、
    前記銅箔基材の少なくとも一方の主面上に設けられ、銅を含む金属粒で形成される粗化銅めっき層と、
    前記粗化銅めっき層上に設けられる樹脂基材と、を備え、
    前記粗化銅めっき層が設けられる前記銅箔基材の主面側の表層部には改質層が形成されており、前記改質層を形成する結晶粒の平均粒径が、前記銅箔基材の前記改質層とは異なる部分を形成する結晶粒の平均粒径よりも小さくなるように構成されている、積層板。
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