JP4391449B2 - キャリア付き極薄銅箔及びプリント配線基板 - Google Patents
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Description
さらに最近では、銅箔の粗化面をあらかじめエポキシ樹脂のような接着用樹脂で被覆し、該接着用樹脂を半硬化状態(Bステージ)の絶縁樹脂層にした樹脂付き銅箔を回路形成用の銅箔として用い、その絶縁樹脂層の側を基材に熱圧着してプリント配線基板とし、該プリント配線基板を多層に積層してビルドアップ配線板を製造することが行われている。ビルドアップ配線基板とは、多層プリント配線板の一種で、絶縁基板上に1層ずつ絶縁層、導体パターンの順に形成し、レーザー法やフォト法により開口した穴(ビア)にめっきを施し、層間を導通させながら配線層を積み上げた配線板をいう。
上述したように、現在多用されている5μm厚さの銅箔はキャリア付き極薄銅箔として提供されている。
キャリア付き極薄銅箔は、キャリア箔の片面に、剥離層と電気銅めっき層がこの順序で形成されたものであり、該電気銅めっき層の最外層表面が粗化面に仕上げられている。
キャリア箔の片面に形成する剥離層は、有機被膜、Cr金属、Cr合金、クロメートなどが常用されているが、近年ポリイミドなどの高温プラスチック等を絶縁基板とする配線基板においては、銅箔と基板とのプレス温度または硬化温度等の条件が高温のため有機系の剥離層では剥がれなくなるため有機皮膜は使用できず、金属が剥離層として用いられている。
本発明は、薄銅箔とキャリア箔との間に剥離層(低融点金属で構成している層)を形成させ、従来と同等の剥離性を持つキャリア付き極薄銅箔を提供し、そのキャリア付き極薄銅箔を使用したファインパターン用途のプリント配線板、多層プリント配線板、チップオンフィルム用配線板等の基材となるプリント配線基板を提供することを目的とする。
前記低融点金属は、単体で融点が450℃以下である金属かまたはその合金である。具体的には、Zn、Sn、Bi、In、またはZn、Sn、Pb、Bi、Inの内の1種を主成分とする合金である。
逆に、樹脂との密着性が要求される場合は、(第1)剥離層を粗化粒子にすることで、従来通りの樹脂との密着性を確保することができる。この場合においても、ファインパターンを考慮にいれると(第1)剥離層の結晶粒(粗化粒子)を細かくすることがより好ましい。
極薄銅箔の形成は、硫酸銅浴、ピロリン酸銅浴、スルファミン酸銅浴、シアン化銅浴などを使用し、剥離層上に電解めっきで形成する。なお、めっき浴は、pH3〜12の間にある銅めっき浴を使用することが好ましい。
極薄銅箔の形成は、剥離層がZnなどめっき液に溶解し易い金属で形成されている場合には、めっき液中のディップ時間・電流値、めっき仕上げのめっき液切り・水洗状態、金属めっき直後のめっき液PH等が剥離層の残存状態を決定するため、浴種は剥離層を形成する金属との関係で選択する必要がある。
ストライクめっきで付着させる銅めっき厚は0.001μm〜1μmが好ましく浴種によってその条件はいろいろ存在するが、電流密度としては、0.1A/dm2〜20A/dm2、めっき時間としては0.1秒以上が好ましい。電流密度が0.1A/dm2以下では、剥離層上にめっきを均一にのせることが難しく、また20A/dm2以上ではめっき液の金属濃度を薄めているストライクめっきでは、焼けめっきが発生し、均一な銅めっき層が得られず、好ましくない。めっき時間については、0.1秒以下では、十分なめっき層を得るためには短かすぎて好ましくない。
なお、極薄銅箔表面における絶縁基板とのより強度の密着性を得るためには極薄銅箔表面に粗化処理を行い、表面の粗度をRz:0.2〜3.0(μm)にするとよい。粗化処理は、粗さが0.2(μm)以下では、密着性にあまり影響を与えないため粗化を行っても意味がなく、粗さが3(μm)あれば、充分な密着性を得られることからそれ以上の粗化は必要としないためである。
(1)銅めっき
[めっき浴1]
硫酸銅(Cu金属として) :1〜50g/dm3
メタパナジン酸アンモニウム(V金属として) :0.1〜15g/dm3
pH :1.0〜4.5
電流密度 :1〜60A/dm2
通電時間 :1秒〜2分
浴温 :20℃〜60℃
硫酸銅(Cu金属として) :10〜70g/dm3
硫酸 :30〜120g/dm3
電流密度 :1〜60A/dm2
通電時間 :1秒〜2分
浴温 :10℃〜70℃
硫酸錫(Sn金属として) :5〜50g/dm3
硫酸 :20〜100g/dm3
電流密度 :0.1〜30A/dm2
通電時間 :1秒〜2分
浴温 :10℃〜50℃
酸化亜鉛 :2〜40g/dm3
水酸化ナトリウム :10〜300g/dm3
温度 :5〜60℃
電流密度 :0.5〜10A/dm2
[めっき浴1]
硫酸ニッケル(Niとして) :1〜50g/dm3
メタパナジン酸アンモニウム(V金属として) :0.1〜15g/dm3
塩化ニッケル(Niとして) :1〜30g/dm3
ホウ酸 :10〜50g/dm3
電流密度 :1〜60A/dm2
通電時間 :1秒〜2分
浴温 :10℃〜60℃
硫酸ニッケル(Ni金属として) :10〜70g/dm3
塩化ニッケル(Niとして) :30〜120g/dm3
ホウ酸 :10〜50g/dm3
電流密度 :1〜60A/dm2
通電時間 :1秒〜2分
浴温 :10℃〜70℃
ピロリン酸銅 :1〜50g/dm3
ピロリン酸スズ :20〜100g/dm3
ピロリン酸ナトリウム :100〜500g/dm3
シュウ酸アンモニウム :1〜50g/dm3
pH :8〜10
温度 :20〜70℃
電流密度 :0.1〜5A/dm2
片面がRz:1.3μmの銅箔(厚さ:55μm)をキャリア箔とし、その片面に銅めっき層(第1剥離層)を、銅めっきの[めっき浴1]→[めっき浴2]の順番にて1.5μm厚さに形成した後、[錫めっき浴]にて錫層(第2剥離層)を0.7μm形成した。
次いで、第2剥離層上に、
Cu2P2O7・3H2O :85g/l
K4P2O7 :320g/l
NH3OH(28%) :4ml/l
pH :8.3
浴温 :45℃
のめっき浴を使用し、電流密度4.5A/dm2でめっきを行い3μm厚さの極薄銅箔を形成させ、キャリア付き極薄銅箔とした。
次いで、公知の方法により、銅の粒子を付着させる粗化処理を施した。防錆処理および表面処理として、粗化処理を施した極薄銅箔上に、公知の方法により、亜鉛めっきを行い、シランカップリング剤処理(後処理)を行い、キャリア付き極薄銅箔を得た。
片面がRz:1.25μmの銅箔(厚さ:35μm)をキャリア銅箔とし、その片面に銅めっき層(第1剥離層)を、銅めっきの[めっき浴1]→[めっき浴2]の順番にて2.0μmの厚さに形成した後、[亜鉛めっき浴]にて亜鉛層(第2剥離層)を0.5μm形成した。
この亜鉛めっき層の上に、
Cu2P2O7・3H2O :30g/l、
K4P2O7 :300g/l
pH :8
電流密度 :1.5A/dm2
の条件で、30秒間ストライク銅めっきを施し、その後
Cu2P2O7・3H2O :85g/l、
K4P2O7 :350g/l
NH4OH(28%) :5ml/l
pH :8.5
電流密度 :4A/dm2
の条件で、3μmの厚さに極薄銅層を電気めっきした。
次いで、公知の方法により、銅の粒子を付着させる粗化処理を施した。防錆処理および表面処理として、粗化処理を施した極薄銅箔上に、公知の方法により、亜鉛めっきを行いキャリア付き極薄銅箔を得た。
片面がRz:1.35μmの電解銅箔(厚さ:35μm)をキャリア銅箔とし、その片面に銅めっき層(第1剥離層)を、銅めっきの[めっき浴1]→[めっき浴2]の順番にて2.0μmの銅層(第1剥離層)を形成した後、[銅―錫めっき浴]にて銅―錫層(第2剥離層)を1.0μm形成した。
次いで、
Cu2P2O7・3H2O :85g/l、
K4P2O7 :350g/l
NH3OH(28%) :5ml/l
pH :8.5
浴温 :50℃
のめっき浴を使用し、電流密度5A/dm2でめっきを行い5μm厚さの極薄銅箔を形成させ、キャリア付き極薄銅箔とした。
次いで、公知の方法により、銅の粒子を付着させる粗化処理を施し、防錆処理および表面処理として、粗化処理を施した極薄銅箔層上に、公知の方法により、亜鉛めっきを行ない、キャリア付き極薄銅箔を得た。
片面がRz:1.25μmの電解銅箔(厚さ:35μm)をキャリア銅箔とし、その片面に[Niめっき浴1]→[Niめっき浴2]の順番にて2.0μmのNi層(第1剥離層)を形成した後、[Snめっき浴]にてSn層(第2剥離層)を1.0μm形成した。
次いで、
Cu2P2O7・3H2O :30g/l、
K4P2O7 :300g/l
pH :8
電流密度 :1.5A/dm2
の条件で、30秒間ストライク銅めっきを施し、その上に
Cu2P2O7・3H2O :85g/l、
K4P2O7 :350g/l
NH4OH(28%) :5ml/l
pH :8.5
電流密度 :4A/dm2
の条件で、3μmの厚さに極薄銅箔を電気めっきした。
次いで、公知の方法により、銅の粒子を付着させる粗化処理を施した。粗化処理を施した極薄銅層上に、公知の方法により、防錆処理を行いキャリア付き極薄銅箔を得た。
片面がRz:2.0μmの電解銅箔(厚さ:35μm)をキャリア銅箔とし、[Snめっき浴]にてSn層を1.0μm形成した後、[亜鉛めっき浴]にてZnを付着させて全体の厚さを2μmに形成した。
次いで、
Cu2P2O7・3H2O :30g/l、
K4P2O7 :300g/l
pH :8
電流密度 :1.5A/dm2
の条件で、30秒間ストライク銅めっきを施し、その上に
Cu2P2O7・3H2O :85g/l、
K4P2O7 :350g/l
NH4OH(28%) :5ml/l
pH :8.5
電流密度 :4A/dm2
の条件で、3μmの厚さに極薄銅箔を電気めっきした。
次いで、公知の方法により、銅の粒子を付着させる粗化処理を施した。粗化処理を施した極薄銅層上に、公知の方法により防錆処理を行い、キャリア付き極薄銅箔を得た。
1.キャリア箔
キャリア箔の表面粗さRz:1.2μmの銅箔をキャリア箔とした。
2.剥離層の形成
前記キャリア銅箔に、公知の方法で有機被膜を付着させ剥離層を形成した。
3.極薄銅箔の形成
この有機被膜上に、
Cu2P2O7・3H2O :30g/l、
K4P2O7 :300g/l
pH :8
電流密度 :4A/dm2
の条件で厚さ1μmめっきした後、
Cu濃度 :50g/l、
H2SO4 :100g/l
電流密度 :20A/dm2
の条件で、3μmの厚さの極薄銅箔になるように電気めっきを行なった。
更に、公知の方法により、銅の粒子を付着させる粗化処理を施した。防錆処理および表面処理として、粗化処理を施した極薄銅層上に、公知の方法により、亜鉛めっきおよびクロメート処理を行いキャリア付き極薄銅箔を得た。
1.キャリア箔
キャリア箔の表面粗さRz:1.2μmの銅箔をキャリア箔とした。
2.剥離層の形成
前記キャリア銅箔に、クロムの電気めっきを連続的に行い、付着量1.5mg/dm2のクロムめっき剥離層を形成した。表層には水和酸化物が形成されている。
3.極薄銅箔の形成
このクロムめっき剥離層の上に、
Cu2P2O7・3H2O :30g/l、
K4P2O7 :300g/l
pH :8
電流密度 :1.5A/dm2
の条件で、60秒間ストライク銅めっきを施し、更に、
Cu2P2O7・3H2O :30g/l、
K4P2O7 :300g/l
pH :8
電流密度 :4A/dm2
の条件で厚さ1μmめっき後、
Cu濃度 :50g/l、
H2SO4 :100g/l
電流密度 :20A/dm2
の条件で、3μmの厚さの極薄銅箔になるように電気めっきを行なった。
更に、公知の方法により、銅の粒子を付着させる粗化処理を施した。防錆処理および表面処理として、粗化処理を施した極薄銅層上に、公知の方法により、亜鉛めっきおよびクロメート処理を行いキャリア付き極薄銅箔を得た。
上記実施例及び比較例で作成したキャリア付き極薄銅箔のピンホール数およびキャリアピールの評価用サンプルを下記のように作成し評価を行った
(1)ピンホール測定用並びにキャリアピール測定用片面銅張積層板の作成
キャリア付き極薄銅箔(実施例1〜5、比較例1、2)を縦250mm、横250mmに切断したのち、極薄銅箔側の面を、熱圧着後に厚さ1mmとなる枚数のガラス繊維エポキシプレプリグシート(FR−4)の上におき、全体を2枚の平滑なステンレス鋼板で挟み、温度170℃、圧力50kg/cm2で60分間熱圧着し、キャリア箔付きのFR−4片面銅張積層板を作成した。
キャリア付き極薄銅箔(実施例1〜5、比較例2)を、縦250mm、横250mmに切断したのち、その粗化面の側の面を厚さ50μmのポリイミドシート(宇部興産製UPILEX−VT)の上に置き、全体を2枚の平滑なステンレス鋼板で挟み、20torrの真空プレスにより、温度330℃、圧力2kg/cm2で10分間熱圧着し、その後、温度330℃、50kg/cm2で5分間熱圧着して、キャリア箔付きのポリイミドキャリアピール用片面銅張積層板を製造し、該積層板を引き剥がし視認性確認用のサンプルとした
(1)ピンホール測定:
上記(1)の方法で作成した縦250mm、横250mmの片面銅張積層板を、暗室内で樹脂基材側から光を当て、透過してくる光により、ピンホールの個数を数えた。評価結果を表1に示す。
上記(1)の方法により作製したキャリア銅箔付きの片面銅張積層板から試料を切りだし、JISC6511に規定する方法に準拠して、測定試料幅10mmでキャリア銅箔から極薄銅箔を引き剥がし、キャリアピール(ピール強度)をn数3で測定した。評価結果を表1に示す。
上記(2)の方法により作製した視認性の評価において比較例2を100%とした場合
各実施例サンプルの視認性の評価を%で数値化した値を表1に示す。
(1)ピンホール:
比較例2とほぼ同等のピンホール数であり実用に支障のない程度であることが確認できた。
キャリピールにおいては比較例1は剥がれず、各実施例は比較例2(Crを使用したもの)と同等かそれ以下の値を示したが、極薄銅箔をキャリア箔から、支障なく剥がすことができることが確認できた。
各実施例の極薄銅箔の視認性は比較例2とほぼ同等であり実用に支障のない程度であることが確認できた。
また、極薄銅箔の形成方法として硫酸銅めっき浴、ピロりん酸銅めっき浴、シアン化銅めっき浴、で行ったが、ほうフッ化銅めっき浴で実施しても、詳細は省略するが、同様な効果が得られた。
また、当該プリント配線板を積層することで多層プリント配線板が提供できる。
また、前記プリント配線板に電子部品を積層するチップオンフィルム用配線板を提供することができる。
Claims (5)
- 表面粗さRzが0.01〜10μmであるキャリア箔表面に、剥離層、極薄銅箔がこの順で設けられているキャリア付き極薄銅箔であって、前記剥離層は付着量が0.5〜300mg/dm2のZn、Sn、Bi、In、またはZn、Sn、Pb、Bi、Inの内の1種を主成分とする合金の1種または2種以上からなることを特徴とするキャリア付き極薄銅箔。
- 表面粗さRzが0.01〜10μmであるキャリア箔表面に、剥離層、極薄銅箔がこの順で設けられているキャリア付き極薄銅箔であって、前記剥離層は、キャリア箔表面に形成の銅または銅合金またはNiまたはNi合金の少なくとも1種類の金属からなる第1剥離層と、該第1剥離層上にZn、Sn、Bi、In、またはZn、Sn、Pb、Bi、Inの内の1種を主成分とする合金の1種または2種以上からなる第2剥離層とからなり、該第2剥離層は付着量が0.5〜300mg/dm2であることを特徴とするキャリア付き極薄銅箔。
- 前記キャリア箔の剥離層側表面の平均表面粗度がRz:0.01〜2.0μmであり、粒状結晶であることを特徴とする請求項1または2に記載のキャリア付き極薄銅箔。
- 前記第1剥離層と、該第1剥離層上に設ける前記第2剥離層との拡散速度が、前記キャリア箔と前記第2剥離層との拡散速度より早いことを特徴とする請求項2に記載のキャリア付き極薄銅箔。
- 請求項1乃至4のいずれかに記載のキャリア付き極薄銅箔の極薄銅箔を樹脂基板に積層してなる高密度極微細配線用プリント配線基板。
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