JP4748519B2 - キャリア付き極薄銅箔、及びその製造方法、キャリア付き極薄銅箔を用いたプリント配線基板 - Google Patents

キャリア付き極薄銅箔、及びその製造方法、キャリア付き極薄銅箔を用いたプリント配線基板 Download PDF

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本発明はキャリア付き極薄銅箔並びにキャリア付き極薄銅箔の製造方法に関するもので、特に高密度極微細配線(ファインパターン)用途のプリント配線基板用として適したキャリア付き極薄銅箔に関するものである。
プリント配線基板は、次のようにして製造される。
まず、ガラス・エポキシ樹脂やガラス・ポリイミド樹脂などから成る電気絶縁性の基板の表面に、表面回路形成用の薄い銅箔を置いたのち、加熱・加圧して銅張積層板を製造する。
ついで、この銅張積層板に、スルーホールの穿設、スルーホールめっきを順次行ったのち、該銅張積層板表面の銅箔にエッチング処理を行って所望の線幅と所望の線間ピッチを備えた配線パターンを形成し、最後に、ソルダレジストの形成やその他の仕上げ処理が行われる。
この銅張積層板に用いる銅箔は、基板に熱圧着する側の表面を粗化面とし、この粗化面で該基材に対するアンカー効果を発揮させ、これにより、該基板と銅箔との接合強度を高めてプリント配線基板としての信頼性を確保している。さらに最近では、銅箔の粗化面をあらかじめエポキシ樹脂のような接着用樹脂で被覆し、該接着用樹脂を半硬化状態(Bステージ)の絶縁樹脂層にした樹脂付き銅箔を表面回路形成用の銅箔として用い、その絶縁樹脂層の側を基材に熱圧着してプリント配線基板、特にビルドアップ配線基板を製造することが行われている。
ビルドアップ配線基板とは、多層配線板の一種で、絶縁基板上に1層ずつ絶縁層、導体パターンの順に形成し、レーザー法やフォト法により開口した穴(ビア)にめっきを施し、層間を導通させながら配線層を積み上げた配線板をいう。
この配線基板は各種電子部品の高密度化に対応して、ビアが微細化できることにより、配線パターンも高密度化できる。そこで、微細な線幅や線間ピッチの配線が可能な配線パターン、いわゆるファインパターンのプリント配線基板の要求がなされるようになり、例えば、半導体パッケージに使用されるプリント配線基板の場合は、線幅や線間ピッチがそれぞれ30μm前後という高密度極微細配線を有するプリント配線基板が要求されている。
このような微細なプリント配線形成用の銅箔として、厚い銅箔を用いると、基材表面に至るまでのエッチング時間が長くなり、その結果、形成される配線パターンにおける側壁の垂直性が崩れ、形成する配線パターンにおける配線の線幅が狭い配線パターンの場合には断線に結びつくこともあり、従って、ファインパターン用途に使われる銅箔としては、厚さ9μm以下、特に最近では情報量の増大により回路数が増えて5μm以下の銅箔が使用されるようになってきている。
しかし、薄い銅箔(極薄銅箔)は機械的強度が低くプリント配線基板の製造時に皺や折れ目が発生しやすく、銅箔切れを起こすこともあるため、ファインパターン用途に使われる極薄銅箔としては、キャリア銅箔の片面に剥離層を介して極薄銅箔層を直接電着させたキャリア付き極薄銅箔が使用されだしている。
キャリア付き極薄銅箔は、キャリアとしての箔(以下、「キャリア箔」という)の片面に、剥離層と電気銅めっき層がこの順序で形成されたものであって、該電気銅めっき層の最外層表面が粗化面に仕上げられている。そして、該粗化面をガラス・エポキシ基材に重ね合わせたのち全体を熱圧着し、ついでキャリア箔を剥離層を介して剥離・除去して電気銅めっき層の剥離層との接合側を露出せしめ、電気銅めっき層に所定の配線パターンを形成するという態様で使用される。
キャリア箔は、前記の薄い電気銅めっき層を基材と接合するまで、電気銅めっき層をバックアップする補強材(キャリア)として機能する。さらに、剥離層は、前記の電気銅めっき層と該キャリア箔を分離する際の剥離をよくするための層であり、該キャリア箔を剥離除去する際に該キャリア箔と一体的に除去されるので、該キャリア箔をきれいにかつ容易に剥がすことができるようになっている。一方、ガラス・エポキシ基材と張り合わされた電気銅めっき層は、スルーホールの穿設及びスルーホールめっきが順次行われ、次いで、該銅張積層板の表面にある銅箔にエッチング処理を行って所望の線幅と所望の線間ピッチを備えた配線パターンを形成し、最後に、ソルダレジストの形成やその他の仕上げ処理が行われる。
このように、キャリア付き銅箔は、電気めっき層の厚さを例えば9μm以下と極薄にでき、ファインパターンを形成することが可能で、しかも、取り扱い時のハンドリング性に優れるという理由から、特にビルドアップ配線板を製造するのに使用される。
キャリア付き銅箔として、キャリア箔にクロメート薄剥離層を設け、この剥離層上にアルカリ性ピロリン酸銅浴で銅層を設け、その上に更に銅層を設けた合成箔が提案されている(特許文献1参照)。
この合成箔を、例えばFR−4グレードのような耐熱性ガラス・エポキシ樹脂積層板に適用した場合、熱圧着温度が170℃前後であることから、銅箔とキャリア箔とを剥がすことは可能であるが、剥離強度がキャリア銅箔の表面粗さに依存し、剥離強度に安定性がない。さらに、高耐熱性樹脂、とりわけポリイミド樹脂を基材とする場合は、加工温度がキャスティング法または熱圧着法のいずれの場合も300℃以上の高温下となるため、温度による銅の拡散は激しく、キャリア銅箔の表面粗さは更に剥離強度に影響し、キャリア箔と極薄銅箔との剥離強度の安定性はなくなり、剥離強度のバラツキも大きくなる。また、極薄銅箔を剥離層上へ均一にめっきを施すことが難しいことから極薄銅箔に存在するピンホールの数も多くなり(例えば特許文献2の比較例5〜6参照)問題であった。
特公昭61−34385号公報 特公平成08−18401号公報
発明が解決しようとする課題は、高耐熱性樹脂である基材を使用する場合のように高温下の加工温度にも耐える剥離層を有し、キャリア箔と極薄銅箔とがキャリア箔の粗さの影響を最小にとどめることで容易に安定した剥離強度で剥離することができ、キャリア箔に銅箔を均一にめっきを施すことで10μm以下の極薄銅箔においてもピンホールの少ないキャリア付き極薄銅箔を提供すると共に、その製造方法並びにこのキャリア付き極薄銅箔を使用したプリント配線基板を提供することである。
本発明のキャリア付き極薄銅箔は、キャリア箔、剥離層、ストライクめっき層、極薄銅箔がこの順に設けられているキャリア付き極薄銅箔において、前記ストライクめっき層がPを含有するCu層またはPを含有するCu合金層からなり、前記極薄銅箔が、前記ストライクめっき層上に設けたCuまたはCu合金からなる極薄層と、該極薄層上に設けたCuまたはCu合金からなる極薄銅箔との積層体で構成されていることを特徴とする。
前記キャリア付き極薄銅箔において好ましくは、極薄銅箔側におけるキャリア箔表面の表面粗さRzが0.1μm〜5μm箔であり、300℃以上の熱圧着処理後のキャリア箔と極薄銅箔との剥離強度が0.01KN/m〜0.05KN/mである。
また、前記キャリア付き極薄銅箔において好ましくは、極薄銅箔側のキャリア箔表面の表面粗さRzが0.1μm〜5μmであり、該キャリア箔表面に設けた剥離層の上に設ける極薄銅箔のキャリア箔側の表面粗さRzが0.1μm〜5μmであり、該極薄銅箔のキャリア箔側表面凹凸の凸部より極薄銅箔側に、極薄銅箔の表面粗さRzに0.1μm〜0.2μmを加えた位置において、少なくとも剥離層表面の90%以上の面積を覆うような銅または銅合金層が形成されており、かつ、300℃以上の熱圧着処理後のキャリア箔と極薄銅箔との剥離強度が0.01KN/m〜0.05KN/mである。
更に好ましくは、前記キャリア付き極薄銅箔において、極薄銅箔側のキャリア箔表面の表面粗さRzが0.1μm〜5μmであり、該キャリア箔表面に設けた剥離層の上に設ける極薄銅箔のキャリア箔側の表面粗さRzが0.1μm〜5μmであり、該極薄銅箔のキャリア箔側表面凹凸の凸部より極薄銅箔側に、極薄銅箔の表面粗さRzに0.1μm〜0.2μmを加えた位置において、すくなくとも導電率が90%以上を持つ銅または銅合金層が形成されており、かつ、300℃以上の熱圧着処理後のキャリア箔と極薄銅箔との剥離強度が0.01KN/m〜0.05KN/mである。
本発明のキャリア付き極薄銅箔の製造方法の第1は、キャリア箔、剥離層、ストライクめっき層、極薄銅箔からなるキャリア付き極薄銅箔の製造方法において、キャリア箔の表面にCr、Ni、Fe、またはこれらの合金をめっきして剥離層を形成し、この剥離層上にリン含有CuまたはP含有Cu合金めっき浴でPを含有するCu層またはPを含有するCu合金層をストライクめっきし、そのストライクめっき層上に銅または銅合金めっきにより極薄層を製膜し、この極薄層上にCuまたはCu合金めっきにより極薄銅箔を形成することを特徴とする。
本発明のプリント配線基板は、前記キャリア付き極薄銅箔を用いて高密度極微細配線を構成したことを特徴とする。
本発明の作用は以下のとおりである。
本発明に使用されるキャリア箔は、アルミニウム箔、アルミニウム合金箔、ステンレス箔、鉄合金箔、チタン箔、チタン合金箔、銅箔、銅合金箔等が使用可能であるが、コストの点から、電解銅箔、電解銅合金箔、圧延銅箔または圧延銅合金箔などが好ましく、また、その厚みは7μm〜200μmの厚さの箔を使用することが好ましい。キャリア箔として薄い銅箔を採用すると機械的強度が低くプリント配線基板の製造時に皺や折れ目が発生しやすく、銅箔切れを起こす危険性があるため、7μm以下のものではキャリア箔としての役割を果たすことが難しくなる。またキャリア箔の厚さが200μm以上になると製品に対しての単位コイル当たりの重量(コイル単重)が増すことで生産性に大きく影響するとともに設備上もより大きな張力を要求され、設備が大がかりとなって好ましくない。
上記キャリア箔上に設ける剥離層は、クロム金属、クロム合金及びクロム金属層上にクロム水和酸化物層、Ni、Feまたはこれらの合金層または/およびこれらの水和物層であることが好ましい。
クロムの二元合金としては、ニッケル−クロム、コバルト−クロム、クロム−タングステン、クロム−銅、クロム−鉄等があげられ、三元系合金としては、ニッケル−コバルト−クロム、ニッケル−鉄−クロム、ニッケル−クロム−モリブデン、ニッケル−クロム−タングステン、ニッケル−クロム−銅、ニッケル−クロム−リン、コバルト−鉄−クロム、コバルト−クロム−モリブデン、コバルト−クロム−タングステン、コバルト−クロム−銅、コバルト−クロム−リン等があげられる。
これらの剥離層を形成する金属及びそれらの水和酸化物は電気処理により形成することが好ましい。なお、より高温での加熱プレス後の剥離性の安定化を図る上で、剥離層の下地にニッケル、鉄またはこれらの合金層を用いるとよい。
極薄銅箔をキャリア箔から剥離する際の剥離強度は、剥離層を形成する金属の付着量により影響される。即ち、めっき付着量が多いとキャリア箔表面を完全に剥離層を構成する金属(以下単に剥離材金属という)が覆った状態になり、剥離強度は剥離材金属表面とこの後に付着される金属箔との結合が引き剥がす力になると考えられる。これに対して、剥離材金属の付着量が少ない場合には、キャリア箔表面が完全に剥離材金属で覆われていず、剥離強度は、僅かに露出している下地の金属及び剥離材金属とこの上に付着させる金属との結合力が引き剥がす力になると考えられる。従って、剥離層を形成する剥離材金属の付着量によりキャリアの剥離強度は変化するが、ある程度剥離層を厚く形成(付着)するとそれ以上は変化しなくなり、実験によると、剥離層を形成する金属の付着量としては、0.01〜100mg/dm 以上に付着量を多くしても箔との剥離強度は変化しなくなる。
ただし、剥離層を形成する金属であるCr金属は、人体にまた環境に悪影響を及ぼす金属であることから4.5mg/dm2以下が望ましい。
剥離層は金属(合金)のみで形成しても上記のように高温剥離は維持であるが、その金属表層に水和酸化物が存在すると剥離性は更に向上する。この水和酸化物はめっき液中のディップ時間、電流値、めっき液切り、水洗状態、めっき直後のめっき液のpH等が表層に形成される水和酸化物に密接に関係しており、この水和酸化物層が高温剥離性に大きく影響するものと思われる。
ただし、このときにも剥離層を形成する金属であるCr金属は、人体にまた環境に悪影響を及ぼす金属であることから<4.5mg/dm2が望ましい。また、これを越えるとピンホールが多くなるため好ましくない。剥離層をCrの水和酸化物にて形成する場合は、人体にまた環境に悪影響を及ぼすことからCr金属(その合金も含む)の付着量は<0.015mg/dm2が好ましい。
剥離層上は、めっき浴には、錯イオンを形成する浴を使用することで、ピンホール数を減少させる効果が得られると書かれている(特許文献1)。しかし、錯イオンを形成するめっき液は一般的に密着性があまり良くないことから、極薄銅箔のキャリア箔側表面凹凸の凸部より極薄銅箔側に、極薄銅箔のキャリア箔側の表面粗さRzに0.1〜0.2μmを加えた位置において、剥離層表面の90%以上の面積を銅層で覆うことができないが、ストライクめっきを施すことで極薄銅箔のキャリア箔側表面凹凸の凸部より極薄銅箔側に、極薄銅箔のキャリア箔側の表面粗さRzに0.1〜0.2μmを加えた位置において、剥離層表面の90%以上の面積を銅層で覆うことが可能となり、また、この位置における導電率を90%以上とすることができ、ピンホール数をより減少させ、高温剥離性を安定化させることができる。
一般に、剥離層上への極薄銅箔のめっきは、剥離層の剥離性ゆえに、均一なめっきを行うことが非常に難しく、極薄銅箔にピンホールの数が多くなる。このため、本発明では剥離層上にピロリン酸ストライク銅めっきまたは錯イオンを形成するめっき液でストライクめっきを行う。このように剥離層上にストライクめっきを施すことで剥離層上に均一な極薄銅箔のめっきを施すことができ、10μm以下の極薄銅箔においてもピンホールの数を著しく減少させることができる。
ピロリン酸銅ストライクめっき液組成の例としては、
Cu・3HO :5〜50g/l
:50〜300g/l
pH :8〜10
が良好なめっき被膜を形成させるのに好ましい。
錯イオンを形成させるめっき液としてはシアン・スルファミン酸銅めっき浴が上げられる。シアン浴組成の例としては、
シアン化銅ストライクめっき浴の例
CuCN :10〜50g/l
KCN :20〜60g/l
pH :11〜13
が良好なめっき被膜を形成させるのに好ましい。
スルファミン酸銅ストライクめっき浴の例
Cu(NHSO)・4HO :20〜100g/l
NiCl6HO :10〜60g/l
BO :10〜40g/l
PH :3.5〜4.5
が良好なめっき被膜を形成させるのに好ましい。
また、キャリア箔の表面粗さの大小についてもストライクめっきを行うことで安定性のある剥離強度を得ることができる。また、剥離層としてのクロメート被膜生成は、特に生成する被膜が薄いため、キャリア箔表面の表面粗さの影響をより受け易く、剥離強度のバラツキの一つの原因となるが、剥離層上にストライクめっきを行うことでこの剥離強度のバラツキを抑えることができる。
なお、剥離層上のストライクめっきの替わりとして、パルスめっきにても同様の効果が得られる。
このストライクめっきは剥離層として有機被膜を採用し、この有機皮膜上のめっきにも効果を示し、ストライクめっき上に10μm以下の極薄銅箔を形成させるときに、ピンホール数の減少に効果がある。
ストライクめっきで付着させる銅層の平均めっき厚は0.01μm〜0.5μmが好ましく、めっき条件は浴種によっていろいろであるが、電流密度としては、0.1A/dm〜10A/dm めっき時間としては0.1秒〜2分ぐらいが好ましい。電流密度が0.1A/dm以下では、剥離層上にめっきを均一にのせることが難しく、また10A/dm 以上ではめっき液の金属濃度を薄めているストライクめっきでは、焼けめっきが発生し、均一な銅めっき層が得られないため好ましくない。また、めっき時間については、0.1秒以下では、十分なめっき層を得るためには短く、好ましくない。
ストライクめっき層の形成方法としては、まず剥離層上にピロリン酸銅めっき浴で剥離層の剥離性を損なわないように0.01μm以上の薄い銅めっき層をつけた後、電流効率の良い硫酸銅めっき浴等のめっき浴で一定の膜厚とすることも可能である。この方法の中でも、容易に剥離できかつピンホール数を少なくするキャリア付き銅箔の製造方法としては、剥離層上にピロリン酸銅ストライクを施し均一で薄い銅めっき層を施した後さらにピロリン酸銅めっき浴にて前記ストライク銅めっき層を侵すことなくめっきを行い安定性あるめっき膜を形成した上で、電流効率の良い硫酸銅めっき浴、シアン化銅めっき浴、ほうフッ化銅めっき浴、ピロリン酸銅めっき浴等を使用し、目標とするめっき厚までめっきすることが、品質良く、効率的である。
上記方法にて作成されたキャリア付き極薄銅箔は、極薄銅箔の表面に樹脂を圧接接着した後キャリア箔を剥がし、樹脂付き銅箔とし、極薄銅箔を目的とする回路構成にエッチング等してプリント配線基板を作成する。この時、樹脂上に密着している極薄銅箔の表面(キャリア箔を剥離して露出せしめた面)は、ストライクめっきを行った場合は極薄銅箔と、ストライクめっき層の少なくとも一部分で形成されており、ストライクめっきをしない場合は剥離層上に形成された極薄銅箔によってのみ形成される。
また、極薄銅箔の表面に設ける樹脂との密着性を得るため極薄銅箔表面に粗化処理を行い、粗化処理面のRz:0.2〜4.0(μm)とするとよい。即ち、粗化処理は、粗さを0.2μm以下では樹脂との密着性にあまり影響を与えないため粗化を行う意味がなく、粗さが4μmあれば、充分な密着性が得られることから、それ以上の粗化は必要ない。
本発明によるキャリア付き極薄銅箔とその製造方法では、剥離層における剥離性を損なうことなく箔の製造が行え、高温下において樹脂基板と接合加工したものも容易に剥がすことができる。また、剥離層上のめっきはその剥離性ゆえに均一なめっきは困難とされるが、ストライクめっきを利用することで均一な銅めっきを行え、ピンホールの少ないキャリア付き極薄銅箔が製造できる。
また、従来高温下加工にも剥離可能にするため拡散防止層をいれユーザーニーズに対応してきたが、拡散防止層であるNi、Ni−Coなどはエッチング性が非常に悪くユーザーの生産性を著しく損なうという難があったが、本発明品のキャリア付き極薄銅箔は、拡散防止層を形成することなく剥離可能であることからユーザーニーズをも満たすものである。
次に本発明を実施例に従い詳細に説明する。
<実施例1>
1.キャリア銅箔の用意:
キャリア銅箔として、厚さ31μm、シャイニ面粗さRz=1.5μmの未処理電解銅箔を用意した。
2.剥離層の形成:
該キャリア銅箔のシャイニ面に、電気処理を連続的に行い、金属Cr付着量0.50mg/dmの金属クロム剥離層を形成させた。
3.剥離層表面及びその近傍にPを含有するストライクめっき層の形成:
次いでこのこの剥離層の上に、
Cu・3HO : 30g/l
:300g/l
pH :8
の溶液中で、電流密度:1.5A/dmの条件で、30秒間ストライクめっきし、剥離層表面にPを含有する層を形成した。
4.極薄銅箔の形成
次いで、P含有ストライクめっき層の上に、
Cu・3HO :85g/l、
:350g/l
NHOH(28%) :5ml/l
pH :8.5
の溶液中で電流密度:4A/dmの条件で、前記ストライクめっき層の膜厚を加算した膜厚が、TOTALめっき厚さで3μmになるようにめっきし極薄銅箔とした。
さらに、公知の方法により、極薄銅箔の表面に銅の粒子を付着させる粗化処理を施した。防錆処理および表面処理として、粗化処理を施した極薄銅層上に、公知の方法により、亜鉛めっきおよびクロメート処理を行いキャリア箔付き極薄銅箔を得た。
<実施例2>
1.キャリア銅箔の用意:
キャリア銅箔として、厚さ31μm、シャイニ面粗さRz=0.2μmの未処理電解銅箔を用意した。
2.剥離層の形成:
該キャリア銅箔のシャイニ面に、電気処理を連続的に行い、Cr付着量0.30mg/dmの水和酸化物膜からなる剥離層を形成した。
3.剥離層表面及びその近傍にPを含有するストライクめっき層の形成:
ついで剥離層の上に、
Cu・3HO :30g/l
:300g/l
pH :8
の溶液中で、電流密度:1.5A/dmの条件で、60秒間ストライクめっきし、剥離層表面及びその近傍にPを含有する層を形成した。
4.極薄銅箔の形成−1:
次いで、P含有ストライクめっき層の上に、銅の極薄銅層を
Cu濃度 :50g/l
SO :100g/l
電流密度 :15A/dm2
で形成した。
5.極薄銅箔の形成−2:
次いで
Cu・3HO :85g/l、
:350g/l
NHOH(28%) :5ml/l
pH :8.5
の溶液中で、電流密度:4A/dmの条件で、ストライクめっき層及び極薄銅層1,2で極薄銅箔3のトータルめっき厚さを3μmになるように薄膜を形成した。
さらに、公知の方法により、極薄銅箔表面に銅の粒子を付着させる粗化処理を施した。防錆処理および表面処理として、粗化処理を施した極薄銅層上に、公知の方法により、亜鉛めっきおよびクロメート処理を行いキャリア箔付き極薄銅箔を得た。
<実施例3>
1.キャリア銅箔の用意:
キャリア銅箔として、厚さ35μm、シャイニ面粗さRz=0.8μmの未処理電解銅箔を用意した。
2.剥離層の形成:
該キャリア銅箔のシャイニ面に、電気処理を連続的に行い、金属付着量0.50mg/dmの金属クロムと水和酸化物膜からなる剥離層を形成した。
3.剥離層表面及びその近傍にPを含有する層の形成:
次いでこの剥離層の上に、
Cu・3HO :16g/l
:300g/l
pH :8
の溶液中で、電流密度:1.5A/dmの条件で、60秒間ストライクめっきし、剥離層表面及びその近傍にPを含有する層を形成した。
4.極薄銅層の形成−1:
次いで、P含有ストライクめっき層の上に、銅の極薄銅層を
Cu・3HO :70g/l、
:250g/l
NHOH(28%) :4ml/l
pH :8.5
で形成した。
5.極薄箔の形成−2:
次いで、P含有極薄銅層の上に、
Cu濃度 :55g/l
SO :80g/l
の溶液中で、電流密度:15A/dmの条件で、ストライクめっき層及び上記極薄銅層のTOTALめっき厚さが3μmになるようにめっきした。
さらに、公知の方法により、銅の粒子を付着させる粗化処理を施した。防錆処理および表面処理として、粗化処理を施した極薄銅層上に、公知の方法により、亜鉛めっきおよびクロメート処理を行いキャリア箔付き極薄銅箔を得た。
<実施例4>
1.キャリア銅箔の用意:
キャリア銅箔として、厚さ35μm、シャイニ面粗さRz=4.1μmの未処理電解銅箔を用意した。
剥離層及び極薄銅箔の形成は、実施例3と同条件にて行った。
<実施例5>
1.キャリア銅箔の用意:
キャリア銅箔として、厚さ31μm、シャイニ面粗さRz=1.1μmの未処理電解銅箔を用意した。
2.剥離層の形成:
該キャリア銅箔のシャイニ面に、Dip法にて付着量0.014mg/dmの水和酸化物膜の剥離層を形成させた。
3.剥離層表面及びその近傍にPを含有する層の形成:
次いでこの剥離層上に、
Cu・3HO :20g/l
:300g/l
pH :8
の溶液中で、電流密度:1.2A/dmの条件で、60秒間ストライクめっきし、剥離層表面及びその近傍にPを含有する層を形成した。
4.極薄銅箔の形成−1:
次いで、P含有ストライクめっき層の上に、
Cu・3HO :100g/l、
:280g/l
NHOH(28%) :5ml/l
pH :8.5
で極薄銅層を形成した。
5.極薄銅箔の形成−2:
次いで、
CuCn :70g/l、
KCN :90g/l
の溶液中で、電流密度:5A/dmの条件で、ストライクめっき層及び上記極薄銅層のTOTALめっき厚さが3μmになるようにめっきを施した。
その後公知の方法により、銅の粒子を付着させる粗化処理を施した。防錆処理および表面処理として、粗化処理を施した極薄銅層上に、公知の方法により、亜鉛めっきおよびクロメート処理を行いキャリア箔付き極薄銅箔を得た。
<実施例6>
1.キャリア銅箔の用意:
キャリア銅箔として、厚さ31μm、シャイニ面粗さRz=4μmの未処理電解銅箔を用意した。
2. 剥離層の形成:該キャリア銅箔のシャイニ面に、ニッケル−クロム合金の電気めっきを連続的に行い、付着量0.50mg/dmのニッケル−クロム合金めっき剥離層を形成した。
3.剥離層表面及びその近傍にPを含有する層の形成:
次いでこのニッケル−クロム合金剥離層の上に、
Cu・3HO :30g/l、
:300g/l
pH :8
の溶液中で、電流密度:1.5A/dmの条件で、60秒間ストライクめっきし、剥離層表面及びその近傍にPを含有する層を形成した。
4.極薄銅箔の形成−1:
次いで、P含有ストライクめっき層の上に、P含有銅の極薄銅層を
Cu・3HO :90g/l、
:300g/l
pH :8
の溶液中で、電流密度:4A/dmの条件で厚さ1μmのPを含有する層を電気めっきで形成した。
5. 極薄銅箔の形成−2:
次いで、P含有銅層の上に、
Cu濃度 :50g/l、
SO :100g/l
の溶液中で、電流密度:20A/dmの条件で、ストライクめっき層及び上記極薄銅のめっき厚さを加算したTOTAL膜厚が3μmになるようにめっきした。
最後に公知の方法により、銅の粒子を付着させる粗化処理を施した。防錆処理および表面処理として、粗化処理を施した極薄銅層上に、公知の方法により、亜鉛めっきおよびクロメート処理を行いキャリア箔付き極薄銅箔を得た。
<実施例7>
1.キャリア銅箔の用意:
キャリア銅箔として、厚さ31μm、シャイニ面粗さRz=1.8μmの未処理電解銅箔を用意した。
2.剥離層の形成:
該キャリア銅箔のシャイニ面に、電気処理を連続的に行い、Cr付着量1.50mg/dmの金属クロムの剥離層を形成した。
3.剥離層表面及びその近傍にPを含有する層の形成:
次いでこの剥離層の上に、
Cu・3HO :30g/l、
:300g/l
pH :8
の溶液中で、電流密度:1.5A/dmの条件で、2分間ストライクめっきし、剥離層表面及びその近傍にPを含有する層を形成した。
4.極薄銅箔の形成−1:
次いで、P含有ストライクめっき層の上に、
CuCN :55g/l、
KCN :70g/l
の溶液中で電流密度:5.0A/dmの条件で0.5分間めっきし、極薄銅層を形成した。
5. 極薄銅箔の形成−2:
次いで、極薄銅層の上に、
Cu・3HO :85g/l
:350g/l
NHOH(28%) :5ml/l
pH :8.5
の溶液中で電流密度:3A/dmの条件で、ストライクめっき層及び上記極薄銅のめっき厚さを加算したTOTAL膜厚が3μmになるようにめっきした。
さらに、公知の方法により、銅の粒子を付着させる粗化処理を施した。防錆処理および表面処理として、粗化処理を施した極薄銅層上に、公知の方法により、亜鉛めっきおよびクロメート処理を行いキャリア箔付き極薄銅箔を得た。
<実施例8>
1.キャリア銅箔の用意:
キャリア銅箔として、厚さ31μm、シャイニ面粗さRz= 3.5μm電解銅箔を用意した。
2.剥離層の形成:
該キャリア銅箔のシャイニ面に、鉄−クロム合金の電気めっきを連続的に行い、付着量1.0mg/dmの鉄−クロムめっき剥離層を形成した。
3.剥離層表面及びその近傍にPを含有する層の形成:
次いでこの鉄−クロムめっき層の上に、
Cu・3HO :30g/l
:300g/l
pH :8
の溶液中で、電流密度:1.5A/dmの条件で、1分間ストライクめっきし、剥離層表面及びその近傍にPを含有する層を形成した。
4.極薄銅箔の形成−1:
次いで、P含有ストライクめっき層の上に、
Cu・3HO :50g/l、
:300g/l
pH :8
の溶液中で、電流密度:4A/dmの条件でPを含有する極薄銅層を電気めっきで形成した。
5.極薄銅箔の形成−2:
次いで、P含有極薄銅層の上に、
Cu濃度 :50g/l、
SO :100g/l
の溶液中で電流密度:15A/dmの条件で、ストライクめっき層及び上記極薄銅のめっき厚さを加算したTOTAL膜厚が3μmになるようにめっきした。
さらに、公知の方法により、銅の粒子を付着させる粗化処理を施した。防錆処理および表面処理として、粗化処理を施した極薄銅層上に、公知の方法により、亜鉛めっきおよびクロメート処理を行いキャリア箔付き極薄銅箔を得た。
<実施例9>
実施例1で作成したキャリア箔付き極薄銅箔の表面に、ロールコータを用いて樹脂ワニスを厚さ6.0mg/dmとなるように塗布した後、温度160°Cで5分間熱処置してBステージの絶縁樹脂層とした樹脂付き銅箔を使用し、プリント配線基板を作成した。使用したワニスはエビクロン1121−75M(商品名、大日本インキ化学(株)製のビスフェノールA型エポキシ樹脂ワニス)130重量部と、ジシアンジアミド2.1重量部と、2−エチル−4−メチルイミダゾール0.1重量部と、メチルセロソルブ20重量部とを混合して調製した。
<比較例1>
実施例3の状態でピロリン酸ストライクめっきを行わないでキャリア付き極薄銅箔を調整した。
<比較例2>
キャリア箔を表面粗さRz=4.1μmのものにかえ実施例3の状態でピロリン酸ストライクめっきを行わないでキャリア付き極薄銅箔を調整した。
上記実施例で示した箔のキャリアピールおよびピンホールの評価用サンプルを下記のように作成し評価を行った
(1)キャリアピール測定用片面銅張積層板の作製
前記のキャリア箔付き極薄銅箔(実施例1〜10、比較例1・2)を縦250mm、横250mmに切断したのち、極薄銅箔表面(粗化面の側の面)に、熱圧着後に厚さが1mmとなるガラス繊維強化エポキシプレプリグシート(FR−4)を置き、全体を2枚の平滑なステンレス鋼板で挟み、温度170℃、圧力50kg/cmで60分間熱圧着し、キャリア箔付きのFR−4キャリアピール用片面銅張積層板を製造した。
また、前記のキャリア銅箔付き極薄銅箔(実施例1〜10、比較例1・2)を、縦250mm、横250mmに切断したのち、極薄銅箔表面(粗化面の側の面)上に厚さ50μmのポリイミドシート(宇部興産製UPILEX−VT)を置き、全体を2枚の平滑なステンレス鋼板で挟み、20torrの真空プレスにより、温度330℃、圧力2kg/cmで10分間熱圧着し、その後、温度330℃、50kg/cmで5分間熱圧着して、キャリア箔付きのポリイミドキャリアピール用片面銅張積層板を製造した。
(2)ピンホール測定用片面銅張積層板の作製
上記のFR−4用キャリアピール用片面銅張積層板と同じ工程で、ピンホール測定用片面銅張積層板を作成した。
特性評価
(1)キャリアピールの測定:
上記(1)の方法により作製したキャリア銅箔付きの片面銅張積層板から試料を切りだし、JISC6511に規定する方法に準拠して、測定試料幅10mmで樹脂層からキャリア銅箔を引き剥がし、ピール強度をn数3で測定した。評価結果を表1に示す。
(2)ピンホール測定:
上記(2)の方法で作成した縦250mm、横250mmの片面銅張積層板を、暗室内で樹脂基材側から光を当て、透過してくる光により、ピンホールの個数を数えた。評価結果を表1に併記して示す。
(3)極薄銅箔のキャリア箔側の極薄銅箔表面の凹凸の凸部より表面粗さRzに0.1〜0.2μmを加えた位置での剥離層上の銅めっき面積比測定方法
実施例及び比較例のめっき条件でキャリア箔表面に設けた剥離層上に、この剥離層表面凹凸の凹部よりRz値+0.2μmの位置まで銅をめっきし、その表面に透明テープを貼り合わせて銅側を透明テープに貼着させて剥がし、剥離層表面積と剥がした銅層の表面積を測定し、その比率を算出した。結果を表1に併記する。
確認の仕方としては他に銅箔を樹脂に埋めキャリア箔表面の剥離層表面に形成される極薄銅箔表面の凹凸の凸部の反対側より極薄銅箔表面の粗さRz値+0.1〜0.2μmを残すように研磨し測定することも可能である。
また、FIBなどで樹脂埋めした銅箔をスライスし、確認することも可能である。
(4)キャリア箔表面の剥離層表面に形成される極薄銅箔表面凹凸の凸部より極薄銅箔表面の粗さRz値+0.2μmの位置までの銅層の導電率の測定方法
実施例及び比較例のめっき条件でキャリア箔表面に設けた剥離層上に、この剥離層表面凹凸の凹部よりRz値+0.2μmの位置まで銅をめっきし、その表面に透明テープを貼り合わせて銅側を透明テープに貼着させて剥がし、テープについた銅層の導電率を測定した。その結果を表1に併記する。
確認の仕方としては、極薄銅箔のキャリア箔側からキャリア箔表面の剥離層表面に形成される極薄銅箔表面凹凸の凸部から極薄銅箔表面の粗さRz値+0.1〜0.2μmまでを研磨または化学的に溶解し、研磨または溶解前後の導電率の測定を行ないその差で導電率を求めることも可能であり、この方法は樹脂付き銅箔の場合は有効な手段になる。







Figure 0004748519
評価結果
(1)キャリアピール:
FR−4キャリアピールの場合は、熱圧着温度が170℃でも、比較例のサンプルのキャリアピールは数値が若干大きいのに対し、実施例のサンプルは安定しておりキャリアピールも低い。またポリイミドキャリアピールの場合は、熱圧着温度が330℃の高温であるため、比較例1は剥離が不可能 比較例2は剥がれるが0.05KN/m以上と剥がし難いのに対し、実施例のサンプルはすべて剥がれる結果が得られ実施例5のサンプルが一番低い値を示した。
(2)ピンホール:
比較例1は多くのピンホールが見られるのに対し、実施例のサンプルはそれと比較し数が少ないことを確認できた。また比較例2は、多い。
上記実施例では、キャリア箔として電解銅箔を使用したが、キャリア箔としては電解銅合金箔、圧延銅(合金)箔、アルミニウム箔、アルミニウム合金箔、ステンレス鋼箔、チタン箔、チタン合金箔を使用しても同様な効果が得られる。
また、ストライクめっき後の極薄銅層の成形方法として硫酸銅浴、ピロりん酸銅めっき浴で行ったが、スルファミン酸銅めっき浴、ホウフッ化銅めっき浴など
(3)面積比測定:
極薄銅箔表面凹凸の凸部よりキャリア箔側の極薄銅箔表面粗さRz値+0.2μmの位置における銅層と剥離層の面積比は実施例では90%以上が銅層であり、剥離層の凹凸に銅層が入りこみ、満遍なく剥離層と銅層が密着し、剥離層を銅層が保護し、薄利層の劣化を防止し、剥離層の劣化を防ぐことで剥離強度の安定化が図られているとものと理解される。一方、比較例では面積比が75%以下と低い。このことは、比較例では剥離層の凹凸に銅層が入り込めず、剥離層と銅層が剥離した状態となっていることを示し、銅層のめっきの際に剥離層がめっき浴により劣化させられ、その結果として剥離強度が安定しない結果となっているものと推定される。
(4)導電率測定
極薄銅箔表面凹凸の凸部よりキャリア箔側の極薄銅箔表面粗さRz値+0.2μmの位置における導電率は、実施例ではすべて90%をこえる結果であるが比較例の銅箔は
90%以下の値を示している。この結果からも実施例では、めっきし難い剥離層表面及び形状が凹凸しているにも関わらず銅層が凹凸に対し、満遍なく密着しており、また剥離層を破壊せずめっきが行われた故に剥離強度の安定化が図られていると理解される。一方、比較例でもめっきし難い剥離層表面及び形状が凹凸しており、通常通りの表面処理を行っているため凹凸に銅層が凹凸に対して均一に密着せず剥離層と銅層表面の空間率が大きくなっていることを示す。銅層のめっきの際に剥離層がめっき浴により部分的破壊させられるため、その結果として剥離強度が安定しない結果となっているものと推定される。
(5)プリント配線板のファインパターン対応:
実施例10で作成したプリント配線板に線幅、線間ピッチがそれぞれ30μmの高密度極微細な配線を施したところ、断線、ショートする個所がないファインパターンの配線が実現できた。
なた、上記実施例で製作したキャリア付き極薄銅箔を使用してポリイミド樹脂を基材とした基板に熱圧着法で350℃の高温で積層したところ、基板に貼りついた極薄銅箔を容易に剥がすことができ、その後極薄銅箔表面にスルーホールの穿設、スルーホールめっきを順次行い、極薄銅箔にエッチング処理を行って所望の線幅と所望の線間ピッチを備えた配線パターンを形成し、最後に、ソルダレジストの形成、その他の仕上げ処理を行い、プリント配線基板を完成したところ、エッチング処理による断線等は全くなく、ファインピッチで作成することができた。
本発明によるキャリア付き極薄銅箔とその製造方法では、剥離層における剥離性を損なうことなく箔の製造が行え、高温下において樹脂基板と接合加工したものも容易に剥がすことができる。また、剥離層上のめっきはその剥離性ゆえに均一なめっきは困難とされるが、ストライクめっきを利用することで均一な銅めっきを行え、ピンホールの少ないキャリア付き極薄銅箔が製造できる。
また、従来高温下加工にも剥離可能にするため拡散防止層をいれユーザーニーズに対応してきたが、拡散防止層であるNi、Ni−Coなどはエッチング性が非常に悪くユーザーの生産性を著しく損なうという難があったが、本発明品のキャリア付き極薄銅箔は、拡散防止層を形成することなく剥離可能であることからユーザーニーズをも満たすものである。
以上、本発明は、従来、拡散防止層をつけることを行わなければ不可能であった高温下における接着加工においても箔を容易に剥がすことができるようになり、ピンホールの数も減らすことができたキャリア付極薄銅箔とその製造方法である。これらは、ユーザーニーズを満足する箔であり、製品品質も非常に安定させたことにより製造コストの低減も可能である。

Claims (8)

  1. キャリア箔、剥離層、ストライクめっき層、極薄銅箔からなるキャリア付き極薄銅箔の製造方法において、キャリア箔の表面にCr、Ni、Fe、またはこれらの合金をめっきして剥離層を形成し、この剥離層上にP含有CuまたはP含有Cu合金めっき浴でPを含有するCu層またはPを含有するCu合金層をストライクめっきで製膜し、そのストライクめっき層上に該ストライクめっき層を侵すことなくピロリン酸銅めっき浴により銅または銅合金の極薄層を製膜し、この極薄層上にCuまたはCu合金めっきにより極薄銅層を、前記極薄層と前記極薄銅層とからなる極薄銅箔の厚さが10μm以下となるように形成することを特徴とするキャリア付き極薄銅箔の製造方法。
  2. 記剥離層をCr金属、Cr合金、Cr金属水酸化物、またはCr合金水和酸化物で形成する請求項1記載のキャリア付き極薄銅箔の製造方法
  3. 記剥離層がCr金属またはCr合金と、Cr金属またはCr合金の水和酸化物とで形成する請求項1に記載のキャリア付き極薄銅箔の製造方法
  4. 記剥離層を形成するCr金属またはCr合金の付着金属量を4.5mg/dm以下とする請求項2又は3に記載のキャリア付き極薄銅箔の製造方法
  5. 記水和酸化物からなる剥離層中のCr金属またはCr合金の付着金属量を0.015mg/dm以下とする請求項2又は3に記載のキャリア付き極薄銅箔の製造方法
  6. 記剥離層をNi、Feまたはこれらの合金または/およびこれらを含む水和酸化物で形成する請求項1に記載のキャリア付き極薄銅箔の製造方法
  7. 請求項1乃至6のいずれかに記載のキャリア付き極薄銅箔の製造方法で製造されたキャリア付き極薄銅箔。
  8. 請求項7に記載のキャリア付き極薄銅箔を用いて高密度極微細配線を構成したことを特徴とするプリント配線基板。
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