JP5756547B1 - 表面処理銅箔及び積層板 - Google Patents

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Abstract

【課題】フレキシブルプリント配線板に電子部品等を実装する際の実装作業性を向上させる技術を提供する。【解決手段】銅箔基材と、銅箔基材上に形成された銅めっき層と、銅めっき層上に形成された粗化銅めっき層と、を備える表面処理銅箔であって、樹脂基材の両主面上に、表面処理銅箔を対向させて、粗化銅めっき層が設けられた側の面が樹脂基材に接するように表面処理銅箔を貼り合わせた後、樹脂基材の両主面上から表面処理銅箔を除去したとき、樹脂基材のHAZE値が80%以下、透明度が70%以上となり、表面処理銅箔と樹脂基材との間のピール強度が0.6N/mm以上となるように形成されている。【選択図】図1

Description

本発明は、表面処理銅箔及び積層板に関する。
従来より、携帯電話等の電子機器の配線板として用いられるフレキシブルプリント配線板(FPC)は、例えば、銅箔と、銅箔の少なくともいずれかの主面上に設けられるポリイミドフィルム等の樹脂基材と、を備える積層板で形成されている。積層板には、エッチング等により所定箇所の銅箔を除去することで回路パターン(銅配線)が形成されている。FPCに電子部品等が実装される際、銅箔が除去された箇所の樹脂基材を介して(銅箔が除去された箇所の樹脂基材越しに)位置決めマークを視認し、電子部品等の実装位置の位置決めが行われる。従って、FPCには、銅箔が貼り合わされて除去された後の樹脂基材の透明性(以下では、単に「樹脂基材の透明性」とも言う。)が高いことが要求されている。そこで、樹脂基材の光透過率が30%となるように銅箔の表面粗さを調整したり、樹脂基材の光透過率が40%以上、樹脂基材のHAZE値(曇価)が30%以下となるように、銅箔の表面粗さを調整することが提案されている(例えば特許文献1〜3参照)。
特開2013−147688号公報 特許第5035220号公報 特開2004−98659号公報
しかしながら、FPCに電子部品等が実装される際、樹脂基材と位置決めマークとは密着しておらず、所定の距離があけられている。従って、樹脂基材の光透過率、樹脂基材のHAZE値を調整しても、FPCに電子部品等を実装する際、樹脂基材越しに位置決めマークを視認することができなかったり、視認することが難しいことがある。その結果、実装作業性が低下してしまう。
本発明は、上記課題を解決し、フレキシブルプリント配線板に電子部品等を実装する際の実装作業性を向上させる技術を提供することを目的とする。
本発明の一態様によれば、銅箔基材と、前記銅箔基材上に形成された銅めっき層と、前記銅めっき層上に形成された粗化銅めっき層と、を備える表面処理銅箔であって、樹脂基材の両主面上に、前記表面処理銅箔を対向させて、前記粗化銅めっき層が設けられた側の面が前記樹脂基材に接するように前記表面処理銅箔を貼り合わせた後、前記樹脂基材の両主面上から前記表面処理銅箔を除去したとき、前記樹脂基材のHAZE値が80%以下、透明度が70%以上となり、前記表面処理銅箔と前記樹脂基材との間のピール強度が0.6N/mm以上となるように形成されている表面処理銅箔が提供される。
本発明の他の態様によれば、銅箔基材、前記銅箔基材上に形成された銅めっき層、及び前記銅めっき層上に形成された粗化銅めっき層、を備える表面処理銅箔と、前記粗化銅めっき層が設けられた側の面に接するように形成された樹脂基材と、を備え、前記表面処理銅箔は、前記樹脂基材の両主面上に、前記表面処理銅箔を対向させて前記表面処理銅箔を貼り合わせた後、前記樹脂基材の両主面上から前記表面処理銅箔を除去したとき、前記樹脂基材のHAZE値が80%以下、透明度が70%以上となり、前記表面処理銅箔と前記樹脂基材との間のピール強度が0.6N/mm以上となるように形成されている積層板が提供される。
本発明によれば、フレキシブルプリント配線板に電子部品等を実装する際の実装作業性を向上させることができる。
本発明の一実施形態にかかる表面処理銅箔を備える積層板の概略断面図である。 樹脂基材のHAZE値の測定装置を示す概略図である。 (a)は樹脂基材の透明度の測定装置を示す概略図であり、(b)は(a)に示す装置に用いられるセンサの平面概略図である。 本発明の一実施形態にかかる表面処理銅箔及び積層板の製造工程を示すフロー図である。 本発明の一実施形態にかかる積層板で形成したフレキシブルプリント配線板に電子部品等を実装する際の様子を示す概略図である。
(発明者等が得た知見)
まず、本発明の実施形態の説明に先立ち、発明者等が得た知見について説明する。FPC等の配線板には、銅箔基材及び銅箔基材のいずれかの主面上に設けられた粗化銅めっき層を有する表面処理銅箔と、樹脂基材と、を備える積層板(銅張積層板)が用いられている。積層板は、表面処理銅箔の粗化銅めっき層が設けられた側の面と、樹脂基材と、を貼り合わせて形成されている。例えば図5に示すように、FPC100に電子部品等を実装する際の電子部品等の実装位置の位置合わせは、光源101から光を照射しつつ、例えばCCDカメラ102等を用い、銅配線を形成するために表面処理銅箔が除去された箇所の樹脂基材越しに、実装位置の位置決めマーク103を視認して行われる。このため、表面処理銅箔が除去された箇所の樹脂基材には、透明性が高いことが要求されている。しかしながら、積層板を形成する際に樹脂基材と表面処理銅箔とが貼り合わされると、粗化銅めっき層により表面処理銅箔の表面に形成された凹凸が樹脂基材に転写されてしまうため、樹脂基材の透明性が低下してしまう。そこで、表面処理銅箔を貼り合わせて除去した後の樹脂基材のHAZE値や光透過率(以下では、これらをそれぞれ「樹脂基材のHAZE値」や「樹脂基材の光透過率」とも言う。)が所定の値となるように、表面処理銅箔の樹脂基材に貼り合わせられる側の面の表面粗さを調整している。なお、樹脂基材のHAZE値とは、樹脂基材を透過した全光線の光量に対する拡散透過光量(直進せずに拡散した光の量)の割合である。樹脂基材の光透過率は、光の反射や散乱を考慮せずに、平行光線で測定した値である。光の反射や散乱が多いと、樹脂基材の光透過率が低くなる。つまり、樹脂基材の光透過率は、樹脂基材を透過した全光線の光量に対する直進透過光量(拡散せずに直進した光の量)の割合と相関している。ただし、光透過率と直進透過光量とでは、測定機器及び測定方法が異なるため、光透過率の数値の絶対値と直進透過光量の割合の数値の絶対値とは一致しない。このように、樹脂基材のHAZE値と樹脂基材の透過率とはそれぞれ、樹脂基材自体の透明性(濁り度)を示す指標であり、表裏一体の関係にある。例えば、樹脂基材のHAZE値が大きくなると、樹脂基材の光透過率の値が小さくなり、樹脂基材のHAZE値が小さくなると、樹脂基材の光透過率の値が大きくなる。
実際にFPC100に電子部品等を実装する際、樹脂基材(FPC100)は、位置決めマーク103から離間した位置に配置されている(図5参照)。つまり、実際の実装工程では、樹脂基材と位置決めマーク103とが密着しているわけではない。このため、実際の実装工程では、光源101から樹脂基材に光を照射した際、樹脂基材を透過した光の一部が散乱してしまう。その結果、樹脂基材のHAZE値や光透過率が所定の値となるように表面処理銅箔を調整しても、実際の実装工程では、樹脂基材越しに位置決めマーク103を視認することが難しく、実装作業性が低下してしまうことがある。つまり、樹脂基材自身の透明性を評価する指標であり、樹脂基材を透過した光の散乱については考慮されていない樹脂基材のHAZE値や光透過率を制御するだけでは、実装作業性を向上させることができないことがある。本発明は、発明者が見出した上記知見に基づくものである。
<本発明の一実施形態>
(1)表面処理銅箔及び積層板の構成
まず、本発明の一実施形態にかかる表面処理銅箔の構成について、図1を参照しながら説明する。図1は、本実施形態にかかる表面処理銅箔1を備える積層板10の概略断面図である。
(表面処理銅箔)
図1に示すように、本実施形態にかかる表面処理銅箔1は、銅箔基材2と、銅箔基材2上に形成された銅めっき層3と、銅めっき層3上に形成された粗化銅めっき層4と、を備えている。また、表面処理銅箔1は、樹脂基材としての例えばポリイミド樹脂フィルムの両主面上に、表面処理銅箔1を対向させて、粗化銅めっき層4の側が樹脂基材に接するように表面処理銅箔1を貼り合わせた後、表面処理銅箔1を樹脂基材から除去したとき、樹脂基材のHAZE値が80%以下、透明度が70%以上となり、表面処理銅箔と樹脂基材との間のピール強度が0.6N/mmとなるように形成されている。
樹脂基材のHAZE値(曇価)とは、樹脂基材の見た目の透明性(見た目の濁り度)を評価する指標である。つまり、樹脂基材のHAZE値とは、樹脂基材を透過した全光線の光量(全光線透過光量)に対する樹脂基材の拡散透過光の光量(拡散透過光量)の割合である。樹脂基材の両主面上に、2つの表面処理銅箔1を粗化銅めっき層4の側が樹脂基材に接するとともに、2つの表面処理銅箔1をそれぞれ対向させて貼り合わせた後、例えばエッチング等により表面処理銅箔1を除去した樹脂基材(以下では、単に「エッチング後の樹脂基材」とも言う。)のHAZE値を測定することで、エッチング後の樹脂基材と位置決めマーク(認識マーク、アライメントマーク)とを密着させたとき、エッチング後の樹脂基材を介して(エッチング後の樹脂基材越しに)位置決めマークを視認できるか否かを評価できる。
HAZE値の測定は、例えば図2に示す測定装置20を用いて行われる。例えば、HAZE値は、積分球21と、光源22と、検出器23と、を備える装置で測定される。積分球21の内周面は、光源22から出射されて光導入口21aから積分球21内に導入された光を一様に拡散(反射)させるように構成されている。積分球21には、光源22からの光を導入する光導入口21aと、光導入口21aに対向する位置に設けられ、光を排出する光排出口21bと、が壁を貫通するように設けられている。光排出口21bには、光排出口21bを塞ぐ蓋体24が設けられている。蓋体24の積分球21の内側に位置する面は、積分球21内に導入された光を拡散(反射)させるように構成されている。
積分球21の外側であって、光導入口21aと対向する位置には、光源22が配置されている。光源22は、例えば光源22の光軸と光導入口21aの中心位置とが一致するように配置されている。光源22は、光の出射位置と光導入口21aの中心位置との間の距離Lが、実装距離と一致するように配置されているとよい。しかしながら、光源22は、距離Lと実装距離とが一致するように配置されていなくてもよい。なお、実装距離とは、後述の積層板10に電子部品等が実装される際の樹脂基材11と光源22との間の距離を言う。検出器23は、光源22から出射されて光導入口21aから積分球21内に導入された光の量を測定するように構成されている。
樹脂基材のHAZE値の測定は、以下のように行う。まず、光導入口21aに測定対象である樹脂基材25を配置する。例えば、積分球21の外側から光導入口21aを塞ぐように、樹脂基材25を配置する。そして、蓋体24により光排出口21bを塞いだ(閉じた)状態で、光源22から光を照射し、樹脂基材25を透過して積分球21内に導入された光の量(全光線透過光量)を検出器23で測定する。続いて、蓋体24を外し、光排出口21bを開いた状態で、光源22から光を照射し、樹脂基材25を透過して積分球21内に導入された光のうち、光排出口21bから排出されなかった光の量(拡散透過光量)を測定する。そして、下記(数1)から測定対象である樹脂基材25のHAZE値を算出する。
(数1)
HAZE値(%)=(拡散透過光量/全光線透過光量)×100
透明度(CLARITY)とは、樹脂基材を透過した光の指向性を評価する指標である。特に、透明度とは、樹脂基材を透過して直進した光の指向性を評価する指標である。つまり、透明度とは、樹脂基材を透過して直進した光の散乱光(狭角度散乱光)を検出することで、樹脂基材の透明度を評価するものである。エッチング後の樹脂基材の透明度を測定することで、エッチング後の樹脂基材が位置決めマークから離間した位置に配置されているとき(つまり、エッチング後の樹脂基材と位置決めマークとが密着していないとき)、エッチング後の樹脂基材を介して位置決めマークを視認できるか否かを評価できる。
透明度の測定は、例えば図3(a)に示す測定装置30を用いて行われる。図3に示す測定装置30は、光排出口21bにセンサ31を設けたこと以外は、図2に示すHAZE値の測定装置20と同一である。測定装置30のセンサ31は、円板状のセンターセンサ31aと、円環状のリングセンサ31bとを備えている。図3(b)に示すように、リングセンサ31bは、センターセンサ31aの外周を囲うように設けられている。
樹脂基材の透明度の測定は、以下のように行う。まず、光源22の光の出射位置に測定対象である樹脂基材25を配置する。そして、蓋体24を設けずに、光源22から光を照射し、樹脂基材25を透過して光導入口21aから積分球21内に導入された光をセンターセンサ31aとリングセンサ31bとでそれぞれ受光する。センターセンサ31aで受光した光量(IC)と、リングセンサ31bで受光した光量(IR)と、を用い、下記(数2)から測定対象である樹脂基材25の透明度を算出する。
(数2)
透明度(%)={(IC−IR)/(IC+IR)}×100
ピール強度とは、樹脂基材と表面処理銅箔との間の密着性を評価する指標である。ピール強度が高いほど、密着性が高いことを示す。
(銅箔基材)
上述したように、本実施形態にかかる表面処理銅箔1は、銅箔基材2を備えている。銅箔基材2として、例えば圧延銅箔や電解銅箔が用いられる。銅箔基材2として、電解銅箔よりも耐屈曲性に優れ、繰り返して折り曲げても破断しにくい圧延銅箔が用いられるとよりよい。圧延銅箔の形成材料として、例えば無酸素銅(OFC:Oxygen-Free Copper)やタフピッチ銅(TPC:Tough-Pitch Copper)の純銅が用いられている。無酸素銅とは、JIS C1020やJIS H3100等に規定する純度が99.96%以上の銅材である。無酸素銅には、例えば数ppm程度の酸素が含有されていてもよい。つまり、無酸素銅は、酸素含有量がゼロでなくてもよい。タフピッチ銅とは、例えばJIS C1100やJIS H3100等に規定する純度が99.9%以上の銅材である。タフピッチ銅には、例えば100ppm〜600ppm程度の酸素が含有されていてもよい。圧延銅箔の形成材料として、無酸素銅やタフピッチ銅に、微量のスズ(Sn)や銀(Ag)等の所定の添加材が添加された希薄銅合金が用いられてもよい。これにより、圧延銅箔の耐熱性等を向上させることができる。
(銅めっき層)
銅箔基材2のいずれかの主面上には、例えば電解めっき等により銅めっき層3が形成されている。銅めっき層3は、平滑銅めっき層であり、粗化銅めっき層4の下地層として機能する。銅めっき層3には、所定量の硫黄元素(S)が含まれている。つまり、銅めっき層3は、メルトカプト基を有する有機化合物(有機硫黄化合物)が添加された銅めっき液を用いて形成されている。以下では、銅めっき層3を形成する銅めっき液を、単に「銅めっき液」という。メルトカプト基を有する有機化合物として、例えばビス(3−スルホプロピル)ジスルフィド(SPS)が用いられる。
有機硫黄化合物の添加量は、例えば5mg/L以上60mg/L以下であるとよく、5mg/L以上45mg/L以下であるとよりよく、5mg/L以上30mg/L以下であるとさらによい。有機硫黄化合物の添加量が5mg/L未満であると、樹脂基材の透明性を高くしつつ、密着性の低下を抑制する効果が十分に得られないことがある。有機硫黄化合物の添加量を5mg/L以上とすることで、これを解決でき、樹脂基材の透明性を高くしつつ、密着性の低下を抑制できる。つまり、所望の樹脂基材の透明性と、所望の密着性と、を得ることができる。しかしながら、有機硫黄化合物の添加量が60mg/Lを超えると、銅めっき液に対する有機硫黄化合物の溶解性が低下し、有機硫黄化合物を添加する効果を十分に得られないことがある。有機硫黄化合物は高価な原料であるため、添加量が60mg/Lを超えると、表面処理銅箔の製造コストが高くなってしまう。有機硫黄化合物の添加量を60mg/L以下とすることで、これらを解消できる。つまり、有機硫黄化合物の溶解性の低下を抑制できるとともに、製造コストの上昇を抑制できる。有機硫黄化合物の添加量を45mg/Lとすることで、有機硫黄化合物の溶解性の低下をより抑制できるとともに、製造コストの上昇をより抑制できる。有機硫黄化合物の添加量を30mg/Lとすることで、有機硫黄化合物の溶解性の低下をさらに抑制できるとともに、製造コストの上昇をさらに抑制できる。
また、銅めっき液には、界面活性剤、レベリング剤、塩化物イオン等が添加されていてもよい。
界面活性剤として、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシアルキレンエーテル等のいずれかが用いられる。具体的には、界面活性剤として、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシアルキレンエーテルのいずれかを主成分とする薬液が用いられる。界面活性剤として、例えば荏原ユージライト株式会社製のCU−BRITE TH−RIII(登録商標)シリーズの界面活性剤薬液が用いられる。界面活性剤の添加量は例えば1ml/L以上4ml/L以下であるとよい。
レベリング剤として、ジアリルジアルキルアンモニウムアルキルサルフェイト等が用いられる。具体的には、レベリング剤として、ジアリルジアルキルアンモニウムアルキルサルフェイト等を主成分とする薬液が用いられる。また、レベリング剤として、例えば荏原ユージライト株式会社製のCU−BRITE TH−RIIIシリーズ等の高分子炭化水素を主成分とするレベリング剤薬液を用いてもよい。レベリング剤としてのCU−BRITE TH−RIIIシリーズが用いられる場合、レベリング剤の添加量は例えば3ml/L以上10ml/L以下であるとよい。
塩化物イオンとして、例えば塩素イオンを含む薬液(つまり塩酸、HCl水溶液)が用いられる。塩酸の添加量は例えば0.05ml/L以上0.3ml/L以下であるとよい。
銅めっき層3は、厚さが例えば0.1μm以上0.6μm以下となるように形成されているとよい。これにより、エッチング後の樹脂基材のHAZE値をより低くするとともに、透明度をより高くできる。つまり、エッチング後の樹脂基材の透明性をより向上させることができる。銅めっき層3の厚さが0.1μm未満であると、銅めっき層3を設ける効果が得られず、エッチング後の樹脂基材の透明性が低下してしまう。銅めっき層3の厚さが0.6μmを超えると、銅箔基材2として例えば圧延銅箔が用いられる場合、銅箔基材2の再結晶が妨げられてしまい、銅箔基材2の耐屈曲性が低下してしまうことがある。
(粗化銅めっき層)
銅めっき層3上には、粗化銅めっき層4が形成されている。これにより、アンカー効果が得られ、後述の積層板10における表面処理銅箔1と樹脂基材11との間の密着性(以下では、単に「密着性」とも言う。)を向上させることができる。粗化銅めっき層4は、主に複数の粗化粒で構成されている。粗化銅めっき層4は、粗化抜けが発生していない状態にあるとよい。例えば、粗化銅めっき層4を上面から見た際、銅めっき層3が露出しないように、粗化銅めっき層4が形成されているとよい。
粗化銅めっき層4を形成する粗化粒は、例えば銅(Cu)(つまりCu単体)で形成されている。粗化粒は、例えば、Cuと、鉄(Fe)、モリブデン(Mo)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、クロム(Cr)、亜鉛(Zn)又はタングステン(W)の少なくともいずれかの金属元素と、を含むめっき液を用いて形成されていてもよい。
粗化銅めっき層4は、平均厚さが0.05μm以上0.30μm以下となるように形成されているとよい。粗化銅めっき層4の平均厚さとは、粗化銅めっき層4を平均に均したときの厚さである。これにより、樹脂基材の透明性を向上させつつ、密着性を維持できる。粗化銅めっき層4の平均厚さが0.05μm未満であると、粗化銅めっき層4を設けることによるアンカー効果を得ることができず、密着性が低下してしまう。粗化銅めっき層4の平均厚さが0.30μmを超えると、後述の積層板10を形成する際、樹脂基材11に転写される凹凸の大きさが大きくなる(例えば凹部の深さが深くなる)ため、樹脂基材の透明性が低下してしまう。
(防錆層)
粗化銅めっき層4上には、所定厚さ(例えば1nm以上70nm以下)の防錆層(後処理めっき層)5が形成されているとよい。防錆層5は、所定のめっき液を用いて形成されている。これにより、表面処理銅箔1の耐熱性や耐薬品性等を向上させることができる。また、積層板10を形成した後、エッチングにより表面処理銅箔1の所定箇所を除去して銅配線を形成する際、表面処理銅箔1を容易に除去できる。
防錆層5は、例えば、銅箔基材2の側から順に、厚さが10nm以上50nm以下であるニッケル(Ni)めっき層と、厚さが1nm以上10nm以下である亜鉛(Zn)めっき層と、厚さが1nm以上10nm以下であるクロメート処理層(3価のクロム化成処理層)と、厚さが非常に薄い(極薄の)シランカップリング層と、を備えているとよい。Niめっき層が設けられると、積層板10が形成された際、表面処理銅箔1のCuが樹脂基材側へ拡散することを抑制できるとともに、表面処理銅箔1の耐熱性や耐薬品性等を向上させることができる。Znめっき層は、クロメート処理層やシランカップリング層を設けるための下地層として機能する。また、Znめっき層が設けられると、表面処理銅箔1の耐熱性をより向上させることができる。クロメート処理層及びシランカップリング層はそれぞれ、化成処理層(化成処理皮膜)としても機能する。シランカップリング層が設けられると、表面処理銅箔1と後述の樹脂基材11との化学的密着性を向上させることができるため、密着性をより向上させることができる。
(積層板)
本実施形態にかかる積層板(CCL:Copper Clad Laminate)10は、表面処理銅箔1の粗化銅めっき層4が設けられた側の面と、樹脂基材11と、が貼り合わされて形成されている。積層板10は、例えば、2つの表面処理銅箔1を用いて形成されていてもよい。つまり、積層板10は、樹脂基材11の両方の主面(両面)上に、2つの表面処理銅箔1の粗化銅めっき層4が設けられた側がそれぞれ樹脂基材11に接するとともに、2つの表面処理銅箔1をそれぞれ対向させて貼り合わせることで形成されていてもよい。樹脂基材11として、例えばポリイミド(PI)樹脂フィルムや、ポリエチレンテレフタラート(PET)等のポリエステルフィルム、液晶ポリマ(LCP)等が用いられる。
(2)表面処理銅箔及び積層板の製造方法
次に、本実施形態にかかる表面処理銅箔1、積層板10及びこの積層板10を用いて形成するフレキシブルプリント配線板(FPC)の製造方法について、図4を用いて説明する。図4は、本実施形態にかかる表面処理銅箔1及び積層板10の製造工程を示すフロー図である。
[表面処理銅箔形成工程(S10)]
まず、本実施形態にかかる表面処理銅箔1の製造方法について説明する。
(銅箔基材形成工程(S11))
銅箔基材2としての例えば圧延銅箔や電解銅箔を形成する。銅箔基材2として、例えば圧延銅箔を用いる場合、まず、無酸素銅やタフピッチ銅からなる純銅の鋳塊や、無酸素銅やタフピッチ銅を母相とし、母相中に所定量のSnやAg等の添加剤を添加した希薄銅合金の鋳塊を鋳造する。そして、鋳造した鋳塊に対し、所定の熱間圧延処理、所定の冷間圧延処理、所定の焼鈍処理等を行い、所定厚さ(例えば11μm)の圧延銅箔を形成する。このとき、圧延銅箔を再結晶させる際の加熱温度に応じて、圧延銅箔の耐熱性を調整するとよい。
(銅めっき層形成工程(S12))
銅箔基材形成工程(S11)が終了した後、まず、銅箔基材2の表面を清浄する処理を行う。そして、銅箔基材2のいずれかの主面上に、銅めっき層3を形成する銅めっき処理を行う。
<清浄処理(S121)>
銅箔基材形成工程(S11)が終了したら、銅箔基材2の表面を清浄する処理を行う。例えば、銅箔基材2の表面に、清浄処理として、電解脱脂処理と酸洗処理とを行う。電解脱脂処理として、例えば、水酸化ナトリウム等のアルカリ溶液を用いた陰極電解脱脂処理を行う。アルカリ溶液として、例えば、水酸化ナトリウムを20g/L以上60g/L以下含み、炭酸ナトリウムを10g/L以上30g/L以下含む水溶液が用いられる。酸洗処理として、例えば硫酸等の酸性水溶液に銅箔基材2を浸漬し、銅箔基材2の表面に残存するアルカリ成分を中和したり、銅酸化膜を除去する処理を行う。酸性水溶液として、硫酸を120g/L以上180g/L以下含む水溶液、クエン酸等を含む水溶液、銅をエッチングする銅エッチング液等が用いられる。
<銅めっき処理(S122)>
清浄処理(S121)が終了したら、銅めっき液を準備する。銅めっき液として、例えば硫酸銅及び硫酸を主成分とする水溶液(酸性銅めっき浴)を準備する。そして、銅めっき液中に、有機硫黄化合物として例えばSPSを、所定量(例えば5mg/L以上60mg/L以下)添加する。また、必要に応じて、銅めっき液中に、界面活性剤、レベリング剤、塩化物イオンを添加してもよい。銅めっき液中に、界面活性剤として例えば荏原ユージライト株式会社製のCU−BRITE TH−RIIIシリーズの界面活性剤薬液を所定量(例えば1ml/以上4ml/L以下)添加してもよい。また、銅めっき液中に、レベリング剤として例えば荏原ユージライト株式会社製のCU−BRITE TH−RIIIシリーズのレベリング剤薬液を所定量(例えば3ml/L以上10ml/L以下)添加してもよい。また、銅めっき液中に、塩化物イオンとして例えば塩酸を所定量(例えば0.05ml/L以上0.3ml/L以下)添加してもよい。
そして、銅めっき処理として、銅めっき液中で電解めっき処理を行い、銅箔基材2のいずれかの主面上に、所定厚さ(例えば0.1μm以上0.6μm以下)の銅めっき層3を形成する。銅めっき層3を形成する際の電流密度は、めっき条件における限界電流密度未満の密度とする。つまり、銅めっき液中に金属粒を析出させることがない(いわゆる「やけめっき」とはならない)電流密度とする。これにより、銅めっき層3として平滑銅めっき層を形成できる。その一方、電流密度を高くするほど、生産性を向上させることができる。従って、電流密度は、限界電流密度未満の範囲内で、できるだけ高くするとよい。
銅めっき処理(S122)では、銅めっき液の液組成、液温、電流密度、処理時間(めっき時間)等の処理条件は、例えば下記の表1に示すように設定できる。このとき、陽極としてCu板を用い、銅めっき処理(S122)を施す対象である銅箔基材2自体を陰極とするとよい。
Figure 0005756547
銅めっき液中の硫酸銅五水和物の添加量を50g/L以上300g/L以下とし、硫酸の添加量を30g/L以上200g/L以下とするとよりよい。表1に示すように、処理時間を1秒以上30秒以下とすることで、銅めっき層3の厚さを0.1μm以上0.6μm以下にできる。
(粗化銅めっき層形成工程(S13))
銅めっき層形成工程(S12)が終了したら、銅めっき層3を形成した銅箔基材2を水洗した後、銅めっき層3上に所定厚さ(例えば0.05μm以上0.3μm以下)の粗化銅めっき層4を形成する。つまり、粗化銅めっき層4を形成するめっき液(粗化銅めっき液)中で電解めっき処理を行い、粗化銅めっき層4を形成する。粗化銅めっき液として、例えば硫酸銅および硫酸を主成分とする酸性銅めっき浴が用いられる。また、粗化銅めっき液中に、例えば所定量(例えば10g/L以上30g/L以下)の硫酸鉄七水和物を含む水溶液を添加するとよい。
粗化銅めっき層4を形成する際の電流密度は、めっき条件における限界電流密度以上とする。つまり、粗化銅めっき液中に金属粒を析出させて、銅めっき層3上に粗化粒を付着させる(いわゆる「やけめっき」となる)ことができる電流密度とする。
粗化銅めっき層形成工程(S13)では、粗化銅めっき液の液組成、液温、電流密度、処理時間等のめっき処理条件は、例えば下記の表2に示すように設定できる。このとき、陽極としてCu板を用い、粗化銅めっき処理を施す対象である銅箔基材2自体を陰極とする。
Figure 0005756547
表2に示すように、処理時間を0.3秒以上2.5秒以下とすることで、粗化銅めっき層4の平均厚さを0.05μm以上0.3μm以下にできる。
(防錆層形成工程(S14))
粗化銅めっき層形成工程(S13)が終了したら、粗化銅めっき層4を形成した銅箔基材2を水洗した後、粗化銅めっき層4上に所定厚さ(例えば1nm以上70nm以下)の防錆層5を形成する。つまり、防錆層5を形成するめっき液中で電解めっき処理を行い、防錆層5を形成する。防錆層5の厚さはめっき量と一定の関係を有する。つまり、めっき量が多くなると、防錆層5の厚さが厚くなる。従って、所定のめっき量となるように、防錆層5を形成する電解めっき処理を行うとよい。
防錆層形成工程(S14)では、例えば、Niめっき層を形成するNiめっき処理と、Znめっき層を形成するZnめっき処理と、クロメート処理層を形成するクロメート処理(3価クロム化成処理)と、シランカップリング層を形成するシランカップリング処理と、を順に行う。
<Niめっき処理>
粗化銅めっき層形成工程(S13)が終了したら、粗化銅めっき層4を形成した銅箔基材2を水洗した後、Niめっき処理を行い、粗化銅めっき層4上に所定厚さ(例えば10nm以上50nm以下)のNiめっき層を形成する。例えば、硫酸ニッケル六水和物を280g/L以上320g/L以下と、塩化ニッケルを40g/L以上50g/L以下と、硼酸を40g/L以上60g/L以下と、を含むめっき液(めっき浴)を用いて電解めっき処理を行うことで、Niめっき層を形成する。Niめっき層の厚さの調整は、めっき時間を調整することで行う。
<Znめっき処理>
Niめっき処理が終了したら、Niめっき層を形成した銅箔基材2を水洗した後、Znめっき処理を行い、Niめっき層上に所定厚さ(例えば1nm以上10nm以下)のZnめっき層を形成する。例えば、硫酸亜鉛を80g/L以上120g/L以下と、硫酸ナトリウムを60g/L以上80g/L以下と、を含むめっき液を用いて電解めっき処理を行うことで、Znめっき層を形成する。Znめっき層の厚さの調整は、めっき時間を調整することで行う。
<クロメート処理>
Znめっき処理が終了したら、Znめっき層を形成した銅箔基材2を水洗した後、クロメート処理を行い、Znめっき層上に所定厚さ(例えば1nm以上10nm以下)クロメート処理層を形成する。例えば、処理液として3価クロムタイプの反応型クロメート液を用いて化成処理を行うことで、クロメート処理層を形成する。クロメート処理層の厚さの調整は、化成処理時間等を調整することで行う。
<シランカップリング処理>
クロメート処理が終了したら、クロメート処理層を形成した銅箔基材2を水洗した後、シランカップリング処理を行い、クロメート処理層上に、厚さが非常に薄いシランカップリング層を形成する。例えば、処理液として、シランカップリング液を用いて化成処理を行うことで、シランカップリング層を形成する。シランカップリング層の厚さの調整は、化成処理時間や処理液の濃度等を調整することで行う。以上により、本実施形態に係る表面処理銅箔1が製造される。
[積層板形成工程(S20)]
続いて、表面処理銅箔1を用いて積層板10を形成する。まず、表面処理銅箔1を所定の大きさに裁断する。また、いずれかの主面上に熱可塑性層が形成された樹脂基材(例えばポリイミド(PI)樹脂フィルム)11を準備する。そして、2つの表面処理銅箔1がそれぞれ対向するとともに、各表面処理銅箔1の粗化銅めっき層が設けられた側の面と、樹脂基材11の熱可塑性層と、が接するように、表面処理銅箔1と樹脂基材11とを配置する。続いて、例えば真空プレス機等を用い、表面処理銅箔1と樹脂基材11とを所定温度(例えば150℃以上350℃以下)に加熱しつつ、表面処理銅箔1と樹脂基材11とに所定圧力(例えば0.5MPa以上3.0MPa以下)を所定時間(例えば1分以上120分以下)加えることで、表面処理銅箔1と樹脂基材11とを貼り合わせて、積層板10として2層CCLを形成する。
表面処理銅箔1と樹脂基材11とを貼り合わせる際の加熱により、最終の冷間圧延処理により加工硬化している銅箔基材2(圧延銅箔)の再結晶が起こり、圧延銅箔が軟化する。つまり、表面処理銅箔1と樹脂基材11との貼り合わせを行いつつ、銅箔基材2の再結晶焼鈍処理を行う。圧延銅箔が再結晶することで、圧延銅箔が再結晶組織を有するようになり、圧延銅箔の耐屈曲性が向上する。また、このときの加熱により、銅めっき層3の少なくとも一部も銅箔基材2とともに再結晶する。
[HAZE値検査工程(S30)]
続いて、樹脂基材11のHAZE値を測定する。まず、例えばエッチングにより、積層板10から少なくとも一部(例えばHAZE値及び後述の透明度の測定に必要な面積分)の表面処理銅箔1を除去して樹脂基材11を露出させる。そして、積分球21の光導入口21aを塞ぐように、測定対象である樹脂基材11(積層板10の樹脂基材11が露出した部分)を配置する(図2参照)。蓋体24により光排出口21bを閉じた状態で、光源22から光を照射し、検出器23で全光線透過光量を測定する。続いて、蓋体24を外して光排出口21bを開いた状態で、光源22から光を照射し、検出器23で拡散透過光量を測定する。そして、上記(数1)から、表面処理銅箔1を除去した箇所の樹脂基材11のHAZE値を算出する。樹脂基材11のHAZE値が80%以下であった場合、表面処理銅箔1を合格と判定する。樹脂基材11のHAZE値が80%を超えた場合、表面処理銅箔1を不良品と判定する。
[透明度検査工程(S40)]
HAZE値検査工程(S30)で測定したHAZE値が80%以下であった場合、積層板10から表面処理銅箔1を除去した箇所の樹脂基材11の透明度を測定する。まず、光源22の光の出射位置に樹脂基材11を配置する(図3(a)参照)。続いて、蓋体24を外した状態で、光源22から光を照射し、センターセンサ31aとリングセンサ31bとでそれぞれ、樹脂基材11を透過して光導入口21aから積分球21内に導入された光の光量を測定する。そして、センターセンサ31aで受光した光量(IC)とリングセンサ31bで受光した光量(IR)とを用い、上記(数2)から樹脂基材11の透明度を算出する。樹脂基材11の透明度が70%以上であった場合、表面処理銅箔1を合格と判定する。樹脂基材11の透明度が70%未満であった場合、表面処理銅箔1を不良品と判定する。そして、積層板10の製造工程を終了する。
(4)本実施形態にかかる効果
本実施形態によれば、以下に示す1つまたは複数の効果を奏する。
(a)本実施形態によれば、樹脂基材の両主面上に、表面処理銅箔1を対向させて、粗化銅めっき層4の側が樹脂基材に接するように表面処理銅箔1を貼り合わせた後、樹脂基材の両主面上から表面処理銅箔1を除去したとき、樹脂基材のHAZE値が80%以下、透明度が70%以上となるように、表面処理銅箔1を形成している。これにより、エッチング後の樹脂基材と位置合わせマークとが密着している場合はもちろん、エッチング後の樹脂基材が位置合わせマークと離間した位置に配置されている場合であっても、エッチング後の樹脂基材越しに、位置合わせマークを視認しやすくなる。従って、表面処理銅箔1を用いて形成した積層板10で形成したFPCに電子部品等を実装する際、実装位置の位置決めを容易に行うことができ、実装作業性を向上させることができる。
つまり、エッチング後の樹脂基材のHAZE値を80%以下にすることで、エッチング後の樹脂基材と位置合わせマークとが密着している際に、エッチング後の樹脂基材越しに、位置合わせマークを視認できる。また、エッチング後の樹脂基材の透明度を70%以上にすることで、エッチング後の樹脂基材が位置合わせマークと離間した位置に配置されている場合であっても、エッチング後の樹脂基材越しに位置合わせマークを視認できる。従って、本実施形態は、例えばFPCを搬送させつつ電子部品等の実装が行われる場合であっても、実装位置の位置決めを精度よく、容易に行うことができる。このように、本実施形態は、FPCを搬送させつつ電子部品等の実装が行われる場合に特に有効である。
(b)表面処理銅箔1と樹脂基材との間のピール強度が0.6N/mm以上となるように、表面処理銅箔1を形成することで、積層板10を形成した際の表面処理銅箔1が樹脂基材11から剥がれることを抑制できる。例えば、積層板10から所定箇所の表面処理銅箔1を除去することで所定形状の銅配線が形成された場合であっても、表面処理銅箔1が樹脂基材11から剥がれることを抑制できる。つまり、FPCの信頼性を向上させることができる。
(c)銅めっき層3を、メルカプト基を有する有機化合物が添加された銅めっき液を用いて形成することで、密着性を低下させることなく、エッチング後の樹脂基材の透明性の低下を抑制できる。具体的には、通常、光沢剤として用いられるメルトカプト基を有する有機化合物を、光沢剤として用いる場合の適正量(例えば1.5mg/L以下)よりも多くすることで、密着性を低下させることなく、透明性の低下を抑制できる。つまり、通常、光沢剤として用いられるメルトカプト基を有する有機化合物添加剤の他の用途を見出した。その結果、上記(a)(b)の効果をより得ることができる。
一般的に、樹脂基材の透明性と密着性とは表裏一体の関係にあり、例えばエッチング後の樹脂基材の透明性が高くなるほど、密着性が低下してしまう。樹脂基材の透明性を高くするためには、粗化銅めっき層を形成する粗化粒の大きさを小さくする必要がある。しかしながら、粗化粒の大きさを小さくすると、得られるアンカー効果が少なくなるため密着性が低下してしまう。これに対し、メルカプト基を有する有機化合物が添加された銅めっき液を用いて銅めっき層3を形成することで、樹脂基材の透明性を高くしつつも密着性の低下を抑制できる。この作用因子等については、鋭意研究中である。
(d)銅めっき層3を、厚さが0.1μm以上0.6μm以下となるように形成することで、上記(a)(b)の効果をより得ることができる。また、銅箔基材2を再結晶させる際、銅めっき層3を銅箔基材2(圧延銅箔)と共に再結晶させることができる。
(e)粗化銅めっき層4を、厚さが0.05μm以上0.3μm以下となるように形成することで、樹脂基材の透明性の低下を抑制しつつ、密着性を維持できる。つまり、上述の(a)(b)の効果をより得ることができる。また、粗化銅めっき層4を形成する際の処理時間(めっき時間)が不必要に長くなってしまうことを抑制でき、生産性を向上させることができる。
(f)表面処理銅箔1と樹脂基材11とを貼り合わせて積層板10を形成する際の加熱により、銅箔基材2の再結晶焼鈍処理を行うことで、表面処理銅箔1が変形することを低減できる。つまり、銅箔基材2として例えば圧延銅箔が用いられる場合、再結晶焼鈍処理が行われる前の銅箔基材2は硬化した状態である。従って、積層板10が形成されるまでの間に表面処理銅箔1を搬送する際に、表面処理銅箔1が破断したり、伸びたり、折れたり、表面処理銅箔1にしわが入ること等を低減できる。これにより、表面処理銅箔1の製造が中断されることを低減できるため、生産性を向上させることができる。また、表面処理銅箔1と樹脂基材11とを貼り合わせる際、変形が生じていない表面処理銅箔1に樹脂基材11を貼り合わせることができる。
(本発明の他の実施形態)
以上、本発明の一実施形態を具体的に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
上述の実施形態では、光源22の光の出射位置と積分球21の光導入口21aの中心位置との間の距離Lが実装距離と一致するように、積分球21と光源22とをそれぞれ配置したが、これに限定されない。つまり、光源22の光の出射位置と光導入口21aの中心位置との間の距離Lが実装距離よりも長くなるように、積分球21と光源22とをそれぞれ配置してもよい。この場合、測定対象である樹脂基材11(25)の透明度を測定する際、光源22の光軸上であって、測定対象である樹脂基材11と光導入口21aとの間の距離が実装距離となる位置に、樹脂基材11を配置すればよい。また、樹脂基材11と光導入口21aとの間の距離が実装距離よりも長くなる位置に、樹脂基材11を配置してもよい。つまり、光源22と光導入口21aとの間の距離や、樹脂基材11と光導入口21aとの間の距離は任意の距離に設定でき、実装距離と一致していなくてもよい。
上述の実施形態では、有機硫黄化合物と、界面活性剤と、レベリング剤と、をそれぞれ別々に添加したが、これに限定されない。例えば、有機硫黄化合物、界面活性剤、レベリング剤等のうちの2種以上が予め配合された添加剤を用いてもよい。このような添加剤は、単独で用いてもよく、上述の実施形態で記載した有機硫黄化合物、界面活性剤、レベリング剤と組み合わせて用いてもよい。
上述の実施形態では、防錆層5を設けたが、これに限定されない。つまり、表面処理銅箔1の用途や目的等に応じて、防錆層5を設けなくてもよい。また、上述の実施形態では、防錆層5を、Niめっき層と、Znめっき層と、クロメート処理層と、シランカップリング層とで構成したが、これに限定されるものではない。つまり、防錆層5の層構成は、表面処理銅箔1の用途や目的等に応じて、適宜変更してもよい。また、Niめっき層は、Co等の他の金属元素を含むNi合金で形成されていてもよい。Znめっき層は、他の金属を含むZn合金で形成されていてもよい。
上述の実施形態では、粗化銅めっき層4上のみに防錆層5を形成する場合について説明したが、これに限定されない。例えば、表面処理銅箔1が備える銅箔基材2の、粗化銅めっき層4が設けられた側とは反対側の主面(以下では、便宜上、表面処理銅箔1(銅箔基材2)の裏面とも言う。)上にも防錆層が設けられていてもよい。つまり、銅箔基材2の裏面に、銅箔基材2の側から順に、防錆層として、例えば、Niめっき層と、Znめっき層と、クロメート処理層とが設けられていてもよい。これにより、表面処理銅箔1の耐熱性や耐薬品性をより向上させることができる。
上述の実施形態では、樹脂基材11の両面に表面処理銅箔1が設けられた積層板10について説明したが、これに限定されない。つまり、樹脂基材11のいずれかの主面に表面処理銅箔1が設けられていればよい。
上述の実施形態では、表面処理銅箔1と樹脂基材11との貼り合わせを、接着剤を用いることなく行ったが、これに限定されない。例えば、表面処理銅箔1と樹脂基材とを接着剤を介して貼り合わせてもよい。つまり、積層板10として3層CCLを形成してもよい。
例えば、粗化銅めっき層形成工程では、銅めっき層3上に粗化粒を付着させた後、さらにカプセル銅めっき処理を行うことで粗化銅めっき層4を形成してもよい。つまり、カプセル銅めっき層(いわゆる被せめっき層)によって、銅めっき層3上に付着した粗化粒を覆ってもよい。これにより、粗化粒をコブ状の突起へと成長させることができる。つまり、粗化粒の大きさをより大きくできる。なお、カプセル銅めっき処理を行う場合は、樹脂基材のHAZE値が80%以下、透明度が70%以上となるように行う。
上述の実施形態では、銅めっき層形成工程で電解脱脂処理と酸洗処理とを行う清浄工程を行ったが、これに限定されない。例えば、清浄工程として、電解脱脂処理又は酸洗処理のいずれかを行ってもよい。また、清浄工程で、電解脱脂処理及び酸洗処理に加えて、他の処理を行ってもよい。また、清浄工程は省略してもよい。
上述の実施形態では、粗化銅めっき層4上のみに防錆層5を設けたが、これに限定されない。例えば、銅箔基材2の粗化銅めっき層4が設けられた側とは反対側の主面上にも防錆層(以下では、裏面防錆層とも言う。)を設けてもよい。この場合、防錆層5と裏面防錆層とを同時に設けるとよい。また、防錆層5と裏面防錆層とを別々に設けてもよい。例えば、防錆層5を形成する工程を行った後に、裏面防錆層を形成する工程を行ってもよい。裏面防錆層の層構成は、防錆層5と同一の構成であってもよく、防錆層5と異なる構成であってもよい。例えば、裏面防錆層は、シランカップリング層を備えていなくてもよい。
上述の実施形態では、表面処理銅箔1と樹脂基材とを貼り合わせつつ、表面処理銅箔1が備える銅箔基材2の再結晶焼鈍処理を行ったが、これに限定されない。つまり、表面処理銅箔1及び樹脂基材の貼り合わせと、銅箔基材2の再結晶焼鈍処理と、をそれぞれ別の工程で行ってもよい。
上述の実施形態では、表面処理銅箔1がFPCに用いられる場合について説明したが、これに限定されない。本実施形態にかかる表面処理銅箔1は、リチウムイオン二次電池の負極集電銅箔、プラズマディスプレイ用電磁波シールド、ICカードのアンテナ等にも用いることができる。
次に、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<試料の作製>
まず、試料1〜21の各試料となる表面処理銅箔を作製した。
(試料1)
試料1では、まず、銅箔基材として、無酸素銅(OFC)で形成され、厚さが11μmの圧延銅箔を準備した。この銅箔基材に電解脱脂処理と酸洗処理とを行い、銅箔基材の表面の清浄を行った。まず、水酸化ナトリウムを40g/Lと、炭酸ナトリウムを20g/Lと、を含む水溶液を用いて電解脱脂処理を行った。このとき、液温を40℃とし、電流密度を10A/dmとし、処理(めっき)時間を10秒間とした。電解脱脂処理が終了した後、銅箔基材を水洗した。その後、硫酸を150g/L含み、液温が25℃である水溶液中に、銅箔基材を10秒間浸漬して酸洗処理を行った。酸洗処理が終了した後、銅箔基材を水洗した。
次に、銅箔基材のいずれかの主面上に銅めっき層を形成した。まず、銅めっき液として、硫酸銅五水和物を170g/Lと、硫酸を70g/Lと、有機硫黄化合物としてのSPSの粉末試薬を30mg/Lと、界面活性剤として、荏原ユージライト株式会社製のCU−BRITE TH−RIIIシリーズの界面活性剤薬液を4ml/Lと、レベリング剤として、荏原ユージライト株式会社製のCU−BRITE TH−RIIIシリーズのレベリング剤薬液を5ml/Lと、塩化物イオンとしての塩酸(HCl水溶液)を0.15ml/Lと、を含む水溶液を作製した。そして、銅めっき液の液温を35℃とし、電流密度を7A/dmとし、処理時間を10秒間として、電解めっき処理を行い、厚さが0.1μmである銅めっき層を形成した。
銅めっき層を形成した後、銅めっき層を形成した銅箔基材を水洗した。その後、銅めっき層上に、粗化銅めっき層を形成した。粗化銅めっき液として、硫酸銅五水和物を100g/Lと、硫酸を70g/Lと、硫酸鉄七水和物を20g/Lと、を含む水溶液を作製した。そして、粗化銅めっき液の液温を30℃とし、電流密度を60A/dmとし、処理時間を0.5秒間として、主に粗化粒で形成され、厚さが0.05μmである粗化銅めっき層を形成した。つまり、粗化銅めっき層を平均に均したときの厚さ(平均厚さ)が0.05μm相当となるようにめっき条件を設定して、粗化銅めっき層を形成した。
粗化銅めっき層を形成した後、粗化銅めっき層を形成した銅箔基材を水洗した。その後、粗化銅めっき層上に防錆層を形成した。具体的には、まず、硫酸ニッケル六水和物を300g/Lと、塩化ニッケルを45g/Lと、硼酸を50g/Lと、を含む水溶液(Niめっき液)を作製した。そして、Niめっき液の液温を50℃とし、電流密度を2A/dmとし、処理時間を5秒間として、粗化銅めっき層上に厚さが25nmであるNiめっき層を形成した。Niめっき層を形成した後、銅箔基材を水洗した。その後、硫酸亜鉛を90g/Lと、硫酸ナトリウムを70g/Lと、を含む水溶液(Znめっき液)を作製した。そして、Znめっき液の液温を30℃とし、電流密度を1.5A/dmとし、処理時間を4秒間として、Niめっき層上に厚さが7nmであるZnめっき層を形成した。Znめっき層を形成した後、銅箔基材を水洗した。続いて、3価クロム化成処理を行って、Znめっき層上に厚さが5nmであるクロメート処理層を形成した。クロメート処理層を形成した後、銅箔基材を水洗した。そして、3−アミノプロピルトリメトキシシランの濃度が5%であり、液温が25℃であるシランカップリング液中に、クロメート処理層を形成した銅箔基材を5秒間浸漬した後、直ちに200℃の温度で乾燥することで、クロメート処理層上に、ごく薄い厚さのシランカップリング処理層を形成した。
粗化銅めっき層上の防錆層の形成と併行して(粗化銅めっき層上への防錆層の形成と同時に)、銅箔基材の粗化銅めっき層が設けられた側とは反対側の主面に、防錆層(裏面防錆層)として、銅箔基材の側から順に、Niめっき層と、Znめっき層と、クロメート処理層と、を形成した。なお、Niめっき層、Znめっき層、クロメート処理層の形成方法は、粗化銅めっき層上に設けた防錆層としてのNiめっき層、Znめっき層、クロメート処理層と同様である。これにより、表面処理銅箔を作製し、これを試料1とした。
(試料2〜3)
試料2〜3ではそれぞれ、銅めっき層の厚さを表3に示す通りに変更した。この他は、試料1と同様にして表面処理銅箔を作製した。
(試料4〜6)
試料4では、粗化銅めっき層の平均厚さを0.11μmとした。つまり、粗化銅めっき層を形成する際のめっき処理条件を変更し、粗化粒の大きさを小さくした。この他は、試料1と同様にして表面処理銅箔を作製した。試料5〜6ではそれぞれ、銅めっき層の厚さを表3に示す通りに変更した。この他は、試料4と同様にして表面処理銅箔を作製した。
(試料7〜9)
試料7では、粗化銅めっき層の平均厚さを0.3μmとした。つまり、粗化銅めっき層を形成する際のめっき処理条件を変更し、粗化粒の大きさを大きくした。この他は、試料1と同様にして表面処理銅箔を作製した。試料8〜9ではそれぞれ、銅めっき層の厚さを表3に示す通りに変更した。この他は、試料7と同様にして表面処理銅箔を作製した。
(試料10〜11)
試料10では、粗化銅めっき層の平均厚さを0.03μmとした。この他は、試料2と同様にして表面処理銅箔を作製した。試料11では、銅めっき層を、有機硫黄化合物としてのSPSを添加していない銅めっき液を用いて形成した。この他は、試料10と同様にして表面処理銅箔を作製した。
(試料12〜13)
試料12では、粗化銅めっき層を、硫酸鉄七水和物を添加していない粗化銅めっき液を用いて形成した。この他は、試料10と同様にして表面処理銅箔を作製した。試料13では、銅めっき層を形成しなかった。この他は、試料12と同様にして表面処理銅箔を作製した。
(試料14〜16)
試料14では、粗化銅めっき層の平均厚さを0.35μmとした。この他は、試料2と同様にして表面処理銅箔を作製した。試料15では、銅めっき層を、有機硫黄化合物としてのSPSを添加していない銅めっき液を用いて形成した。この他は、試料14と同様にして表面処理銅箔を作製した。試料16では、粗化銅めっき層を、硫酸鉄七水和物を添加していない粗化銅めっき液を用いて形成した。この他は、試料14と同様にして表面処理銅箔を作製した。
(試料17〜21)
試料17では、銅めっき層を、有機硫黄化合物としてのSPSを添加していない銅めっき液を用いて形成した。この他は、試料5と同様にして表面処理銅箔を作製した。試料18では、粗化銅めっき層を、硫酸鉄七水和物を添加していない粗化銅めっき液を用いて形成した。この他は、試料5と同様にして表面処理銅箔を作製した。試料19では、銅めっき層を形成しなかった。この他は、試料1と同様にして表面処理銅箔を作製した。試料20では、銅めっき層を形成しなかった。この他は、試料4と同様にして表面処理銅箔を作製した。試料21では、銅めっき層を形成しなかった。この他は、試料7と同様にして表面処理銅箔を作製した。
Figure 0005756547
<積層板の作製>
試料1〜21の各表面処理銅箔を用いて、積層板として両面FCCL(Flexible Copper Clad Laminate)をそれぞれ作製した。樹脂基材として、厚さが25μmであるポリイミド樹脂フィルム(株式会社カネカ製のピクシオ(登録商標))を用いた。試料1〜21の各表面処理銅箔と樹脂基材とを、所定の大きさ(縦100mm×横60mm)に裁断した。そして、樹脂基材の両面上にそれぞれ、所定形状に裁断した各試料である表面処理銅箔を積層した。このとき、各試料である表面処理銅箔の粗化銅めっき層が設けられた側の面が樹脂基材と接するように各試料を積層した。その後、真空プレス機を用いて、300℃、5MPa、15分間の条件下で各試料である表面処理銅箔と樹脂基材とを貼り合わせて、両面FCCLを作製した。なお、真空プレス機による貼り合わせ条件は、各試料である表面処理銅箔が再結晶されて再結晶組織を有することとなる熱量を表面処理銅箔に付与するとともに、ポリイミド樹脂フィルムメーカの推奨条件を満たし、表面処理銅箔と樹脂基材とを貼り合わせることができるように設定した。
<透明性の評価>
試料1〜21の各表面処理銅箔を用いて形成した積層板について、樹脂基材の透明性の評価を行った。樹脂基材の透明性の評価として、積層板から各試料である表面処理銅箔を除去した後の樹脂基材のHAZE値及び透明度の測定を行った。具体的には、各試料を用いて作製した積層板に対し、塩化第二鉄を用いてスプレーエッチング処理を行うことで、積層板から表面処理銅箔を全て除去した。つまり、樹脂基材の両面(両主面)の全面を露出させた状態とした。そして、表面処理銅箔が除去された樹脂基材のそれぞれについて、BYK製のhaze-gard plusを用いてHAZE値及び透明度の測定を行った。
<密着性の評価>
試料1〜21の各表面処理銅箔を用いて形成した積層板の密着性は、表面処理銅箔を樹脂基材から剥離する際のピール強度を測定することで評価した。ピール強度の測定は、以下のように行った。まず、試料1〜21の各表面処理銅箔を用いて形成した積層板のそれぞれの一方の主面(表面処理銅箔の樹脂基材と接する側とは反対側の面)上に、幅が1mmで、所定長さのマスキングテープを貼った。また、各積層板の他方の主面の全面にマスキングテープを貼った。そして、マスキングテープを貼った各積層板に対し、塩化第二鉄を用いてスプレーエッチング処理を行うことで、積層板から表面処理銅箔の所定箇所(マスキングテープが貼られていない箇所)を除去した。その後、マスキングテープを除去した。続いて、表面処理銅箔31を樹脂基材32から引き剥がした際の強度を測定した。具体的には、エッチングされて1mm幅となった表面処理銅箔を、樹脂基材から90°の角度で(引き剥がされた表面処理銅箔と樹脂基材との為す角が90°となるように)、表面処理銅箔を樹脂基材から引き剥がしたときに要する力をピール強度として測定した。このように測定したピール強度の値が大きいほど、密着性が高いといえる。
<評価結果>
試料1〜21について、樹脂基材の透明性(HAZE値、透明度)、表面処理銅箔と樹脂基材との密着性の評価結果を表3にそれぞれ示す。
試料1〜9から、樹脂基材のHAZE値が80%以下であり、樹脂基材の透明度が70%以上であると、試料1〜9の表面処理銅箔を用いて形成したFPCに電子部品等を実装する際の実装作業性が向上することを確認した。つまり、電子部品等を実装する際、樹脂基材越しに、電子部品等の実装位置を決める位置決めマークを容易に確認できる。具体的には、樹脂基材と位置決めマークとが密着している場合であっても、樹脂基材が位置決めマークと離間した位置に配置されている場合であっても、樹脂基材越しに位置決めマークを容易に確認できる。
試料1と試料19との比較、試料4と試料20との比較、試料7と試料21との比較、試料12と試料13との比較から、銅めっき層を形成すると、樹脂基材の透明性を向上させることができることを確認した。つまり、樹脂基材のHAZE値をより低くでき、樹脂基材の透明度をより高くできることを確認した。
試料5と試料17との比較、試料10と試料11との比較から、有機硫黄化合物を含む銅めっき液で銅めっき層を形成すると、樹脂基材の透明性を向上させることができることを確認した。
試料2と試料10との比較から、粗化銅めっき層の平均厚さが0.05μm未満であると、樹脂基材の透明性を向上させることはできるが、密着性が低下する傾向にあることを確認した。また、試料8と試料14との比較から、粗化銅めっき層の平均厚さが0.30μmより厚くなると、密着性を向上させることはできるが、樹脂基材の透明性が低下してしまうことを確認した。試料14、15から、粗化銅めっき層の平均厚さが厚すぎると(0.30μmより厚くなると)、有機硫黄化合物を含む銅めっき液で銅めっき層を形成したか否かに関わらず、密着性を向上させることはできるが、樹脂基材の透明性を向上させる効果を発揮できないことを確認した。
試料5と試料18との比較、試料10と試料12との比較から、銅めっき層を有機硫黄化合物を含む銅めっき液を用いて形成し、粗化銅めっき層を硫酸鉄七水和物を添加した粗化銅めっき液を用いて形成すると、粗化銅めっき層を構成する粗化粒の成長が抑制され、粗化粒の大きさの均一化を図れることを確認した。その結果、樹脂基材の透明性が向上することを確認した。また、試料14と試料16との比較から、粗化銅めっき層の平均厚さが厚すぎると、銅めっき層を有機硫黄化合物を含む銅めっき液を用いて形成し、粗化銅めっき層を硫酸鉄七水和物を添加した粗化銅めっき液を用いて形成しても、樹脂基材の透明性を向上させる効果を発揮できないことを確認した。
<本発明の好ましい態様>
以下に、本発明の好ましい態様について付記する。
[付記1]
本発明の一態様によれば、
銅箔基材と、
前記銅箔基材上に形成された銅めっき層と、
前記銅めっき層上に形成された粗化銅めっき層と、を備える表面処理銅箔であって、
樹脂基材の両主面上に、前記表面処理銅箔を対向させて、前記粗化銅めっき層が設けられた側の面が前記樹脂基材に接するように前記表面処理銅箔を貼り合わせた後、前記樹脂基材の両主面上から前記表面処理銅箔を除去したとき、前記樹脂基材のHAZE値が80%以下、透明度が70%以上となり、前記表面処理銅箔と前記樹脂基材との間のピール強度が0.6N/mm以上となるように形成されている表面処理銅箔が提供される。
[付記2]
付記1の表面処理銅箔であって、好ましくは、
前記銅めっき層は、メルカプト基を有する有機化合物が添加された銅めっき液を用いて形成されている。
[付記3]
付記2の表面処理銅箔であって、好ましくは、
前記銅めっき液中には、前記メルトカプト基を有する有機化合物が5mg/L以上60mg/L以下含まれている。
[付記4]
付記1ないし3のいずれかの表面処理銅箔であって、好ましくは、
前記銅めっき層は、厚さが0.1μm以上0.6μm以下となるように形成されている。
[付記5]
付記1ないし4のいずれかの表面処理銅箔であって、好ましくは、
前記粗化銅めっき層は、平均厚さが0.05μm以上0.30μm以下となるように形成されている。
[付記6]
本発明の他の態様によれば、
銅箔基材、前記銅箔基材上に形成された銅めっき層、及び前記銅めっき層上に形成された粗化銅めっき層、を備える表面処理銅箔と、
前記粗化銅めっき層が設けられた側の面に接するように形成された樹脂基材と、を備え、
前記表面処理銅箔は、前記樹脂基材の両主面上に、前記表面処理銅箔を対向させて前記表面処理銅箔を貼り合わせた後、前記樹脂基材の両主面上から前記表面処理銅箔を除去したとき、前記樹脂基材のHAZE値が80%以下、透明度が70%以上となり、前記表面処理銅箔と前記樹脂基材との間のピール強度が0.6N/mm以上となるように形成されている積層板が提供される。
1 表面処理銅箔
2 銅箔基材
3 銅めっき層
4 粗化銅めっき層

Claims (3)

  1. 銅箔基材と、
    前記銅箔基材上に形成された銅めっき層と、
    前記銅めっき層上に形成された粗化銅めっき層と、を備える表面処理銅箔であって、
    前記銅めっき層は、メルカプト基を有する有機化合物が添加された銅めっき液を用いて形成され、
    ポリイミド樹脂フィルムからなる樹脂基材の両主面上に、前記表面処理銅箔を対向させて、前記粗化銅めっき層が設けられた側の面が前記樹脂基材に接するように前記表面処理銅箔を貼り合わせた後、前記樹脂基材の両主面上から前記表面処理銅箔を除去したとき、
    前記樹脂基材のHAZE値が80%以下、透明度が70%以上となり、
    前記表面処理銅箔と前記樹脂基材との間のピール強度が0.6N/mm以上となるように形成され、
    前記粗化銅めっき層の平均厚さが0.05μm以上0.30μm以下となるように形成されている
    表面処理銅箔。
  2. 前記銅めっき層は、厚さが0.1μm以上0.6μm以下となるように形成されている
    請求項1に記載の表面処理銅箔。
  3. 銅箔基材、前記銅箔基材上に形成された銅めっき層、及び前記銅めっき層上に形成された粗化銅めっき層、を備える表面処理銅箔と、
    前記粗化銅めっき層が設けられた側の面に接するように形成されたポリイミド樹脂フィルムからなる樹脂基材と、を備え、
    前記銅めっき層は、メルカプト基を有する有機化合物が添加された銅めっき液を用いて形成され、
    前記表面処理銅箔は、前記樹脂基材の両主面上に、前記表面処理銅箔を対向させて前記表面処理銅箔を貼り合わせた後、前記樹脂基材の両主面上から前記表面処理銅箔を除去したとき、前記樹脂基材のHAZE値が80%以下、透明度が70%以上となり、
    前記表面処理銅箔と前記樹脂基材との間のピール強度が0.6N/mm以上となり、
    前記粗化銅めっき層の平均厚さが0.05μm以上0.30μm以下となるように形成されている
    積層板。
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