JP5362923B1 - 表面処理銅箔及びそれを用いた積層板 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】少なくとも一方の面に表面処理が行われており、前記表面処理が行われている面の表面の二乗平均平方根高さRqが0.14〜0.63μmである表面処理銅箔であって、銅箔を表面処理が行われている表面側からポリイミド樹脂基板の両面に貼り合わせた後、エッチングで両面の銅箔を除去し、ライン状のマークを印刷した印刷物を、露出したポリイミド基板の下に敷いて、印刷物をポリイミド基板越しにCCDカメラで撮影したとき、撮影によって得られた画像について、観察されたライン状のマークが伸びる方向と垂直な方向に沿って観察地点ごとの明度を測定して作製した、観察地点−明度グラフにおいて、特定の形状を有する。
【選択図】図1
Description
また、特許文献2には、電解銅箔による導体層を積層された絶縁層を有し、当該導体層をエッチングして回路形成した際のエッチング領域における絶縁層の光透過性が50%以上であるチップオンフレキ(COF)用フレキシブルプリント配線板において、前記電解銅箔は、絶縁層に接着される接着面にニッケル−亜鉛合金による防錆処理層を備え、該接着面の表面粗度(Rz)は0.05〜1.5μmであるとともに入射角60°における鏡面光沢度が250以上であることを特徴とするCOF用フレキシブルプリント配線板に係る発明が開示されている。
また、特許文献3には、印刷回路用銅箔の処理方法において、銅箔の表面に銅−コバルト−ニッケル合金めっきによる粗化処理後、コバルト−ニッケル合金めっき層を形成し、更に亜鉛−ニッケル合金めっき層を形成することを特徴とする印刷回路用銅箔の処理方法に係る発明が開示されている。
また、特許文献2では、粗化処理がなされておらず、COF用フレキシブルプリント配線板以外の用途においては銅箔と樹脂との密着強度が低く不十分である。
さらに、特許文献3に記載の処理方法では、銅箔へのCu−Co−Niによる微細処理は可能であったが、当該銅箔を樹脂と接着させてエッチングで除去した後の樹脂について、優れた透明性を実現できていない。
本発明は、樹脂と良好に接着し、且つ、銅箔をエッチングで除去した後の樹脂の透明性に優れた表面処理銅箔及びそれを用いた積層板を提供する。
Sv=(ΔB×0.1)/(t1−t2) (1)
本発明において使用する銅箔は、樹脂基板と接着させて積層体を作製し、エッチングにより除去することで使用される銅箔に有用である。
本発明において使用する銅箔は、電解銅箔或いは圧延銅箔いずれでも良い。通常、銅箔の、樹脂基板と接着する面、即ち表面処理側の表面には積層後の銅箔の引き剥し強さを向上させることを目的として、脱脂後の銅箔の表面にふしこぶ状の電着を行う粗化処理が施されてもよい。電解銅箔は製造時点で凹凸を有しているが、粗化処理により電解銅箔の凸部を増強して凹凸を一層大きくすることができる。本発明においては、この粗化処理は銅−コバルト−ニッケル合金めっきや銅−ニッケル−りん合金めっき等により行うことができる。粗化前の前処理として通常の銅めっき等が行われることがあり、粗化後の仕上げ処理として電着物の脱落を防止するために通常の銅めっき等が行なわれることもある。圧延銅箔と電解銅箔とでは処理の内容を幾分異にすることもある。
・Ni:20g/L
・pH:2.5
・浴温:40℃
なお、本発明において使用する銅箔の厚みは特に限定する必要は無いが、例えば1μm以上、2μm以上、3μm以上、5μm以上であり、例えば3000μm以下、1500μm以下、800μm以下、300μm以下、150μm以下、100μm以下、70μm以下、50μm以下、40μm以下である。
なお、本願発明に係る圧延銅箔にはAg、Sn、In、Ti、Zn、Zr、Fe、P、Ni、Si、Te、Cr、Nb、V、B等の元素を一種以上含む銅合金箔も含まれる。上記元素の濃度が高くなる(例えば合計で10質量%以上)と、導電率が低下する場合がある。圧延銅箔の導電率は、好ましくは50%IACS以上、より好ましくは60%IACS以上、更に好ましくは80%IACS以上である。
<電解液組成>
銅:90〜110g/L
硫酸:90〜110g/L
塩素:50〜100ppm
レべリング剤1(ビス(3スルホプロピル)ジスルフィド):10〜30ppm
レべリング剤2(アミン化合物):10〜30ppm
上記のアミン化合物には以下の化学式のアミン化合物を用いることができる。
電流密度:70〜100A/dm2
電解液温度:50〜60℃
電解液線速:3〜5m/sec
電解時間:0.5〜10分間
めっき浴組成:Cu10〜20g/L、Co1〜10g/L、Ni1〜10g/L
pH:1〜4
温度:30〜50℃
電流密度Dk:30〜40A/dm2
めっき時間:1.0〜1.7秒
めっき浴組成:Co1〜20g/L、Ni1〜20g/L
pH:1.5〜3.5
温度:30〜80℃
めっき浴組成:Zn100〜300g/L
pH:3〜4
温度:50〜60℃
本発明の表面処理銅箔は、少なくとも一方の表面の二乗平均平方根高さRqが0.14〜0.63μmに制御されている。このような構成により、ピール強度が高くなって樹脂と良好に接着し、且つ、銅箔をエッチングで除去した後の樹脂の透明性が高くなる。この結果、当該樹脂を透過して視認される位置決めパターンを介して行うICチップ搭載時の位置合わせ等が容易となる。二乗平均平方根高さRqが0.14μm未満であると、銅箔表面の粗化処理が不十分となり、樹脂と十分に接着できないという問題が生じる。一方、二乗平均平方根高さRqが0.63μm超であると、銅箔をエッチングで除去した後の樹脂表面の凹凸が大きくなり、その結果樹脂の透明性が不良となる問題が生じる。粗化処理表面の二乗平均平方根高さRqは、0.25〜0.60μmがより好ましく、0.32〜0.56μmが更により好ましい。
ここで、表面の二乗平均平方根高さRqは、JIS B 0601(2001)に準拠した非接触式粗さ計による表面粗さ測定における、凹凸の程度を示す指標であり、下記式で表され、表面粗さのZ軸方向の凹凸(山の)高さであって、基準長さlrにおける山の高さZ(x)の二乗平均平方根である。
基準長さlrにおける山の高さの二乗平均平方根高さRq:
√{(1/lr)×∫Z2(x)dx(但しインテグラルは0からlrまでの積算値)}
本発明の表面処理銅箔は、無粗化処理銅箔でも、粗化粒子が形成された粗化処理銅箔でもよく、粗化処理表面のTDの平均粗さRzが0.20〜0.64μmであるのが好ましい。このような構成により、よりピール強度が高くなって樹脂と良好に接着し、且つ、銅箔をエッチングで除去した後の樹脂の透明性がより高くなる。この結果、当該樹脂を透過して視認される位置決めパターンを介して行うICチップ搭載時の位置合わせ等がより容易となる。TDの平均粗さRzが0.20μm未満であると、銅箔表面の粗化処理が不十分であるおそれがあり、樹脂と十分に接着できないという問題が生じるおそれがある。一方、TDの平均粗さRzが0.64μm超であると、銅箔をエッチングで除去した後の樹脂表面の凹凸が大きくなるおそれがあり、その結果樹脂の透明性が不良となる問題が生じるおそれがある。処理表面のTDの平均粗さRzは、0.26〜0.62μmがより好ましく、0.40〜0.55μmが更により好ましい。
また、表面処理前の銅箔は、TDの60度光沢度が400〜710%であり、500〜710%であるのが好ましい。表面処理前の銅箔のMDの60度光沢度が400%未満であると400%以上の場合よりも上述の樹脂の透明性が不良となるおそれがあり、710%を超えると、製造することが難しくなるという問題が生じるおそれがある。
なお、高光沢圧延は以下の式で規定される油膜当量を13000〜24000以下とすることで行うことが出来る。
油膜当量={(圧延油粘度[cSt])×(通板速度[mpm]+ロール周速度[mpm])}/{(ロールの噛み込み角[rad])×(材料の降伏応力[kg/mm2])}
圧延油粘度[cSt]は40℃での動粘度である。
油膜当量を13000〜24000とするためには、低粘度の圧延油を用いたり、通板速度を遅くしたりする等、公知の方法を用いればよい。
圧延ロールの表面粗さは例えば、算術平均粗さRa(JIS B0601)で0.01〜0.25μmとすることができる。圧延ロールの算術平均粗さRaの値が大きい場合、表面処理前の銅箔の表面のTDの粗さ(Rz)が大きくなり、表面処理前の銅箔の表面のTDの60度光沢度が低くなる傾向がある。また、圧延ロールの算術平均粗さRaの値が小さい場合、表面処理前の銅箔の表面のTDの粗さ(Rz)が小さくなり、表面処理前の銅箔の表面のTDの60度光沢度が高くなる傾向がある。
化学研磨は硫酸−過酸化水素−水系またはアンモニア−過酸化水素−水系等のエッチング液で、通常よりも濃度を低くして、長時間かけて行う。
本発明の表面処理銅箔は、ポリイミド基材樹脂の両面に貼り合わせた後、エッチングで両面の銅箔を除去し、ライン状のマークを印刷した印刷物を、露出した前記ポリイミド基板の下に敷いて、印刷物を前記ポリイミド基板越しにCCDカメラで撮影したとき、撮影によって得られた画像について、観察されたライン状のマークが伸びる方向と垂直な方向に沿って観察地点ごとの明度を測定して作製した、観察地点−明度グラフにおいて、マークの端部からマークが描かれていない部分にかけて生じる明度曲線のトップ平均値Btとボトム平均値Bbとの差をΔB(ΔB=Bt−Bb)とし、観察地点−明度グラフにおいて、明度曲線とBtとの交点の内、前記ライン状マークに最も近い交点をt1として、明度曲線とBtとの交点からBtを基準に0.1ΔBまでの深さ範囲において、明度曲線と0.1ΔBとの交点の内、前記ライン状マークに最も近い交点をt2としたときに、(1)式で定義されるSvが3.5以上となる。
Sv=(ΔB×0.1)/(t1−t2) (1)
なお、前記観察位置−明度グラフにおいて、横軸は位置情報(ピクセル×0.1)、縦軸は明度(階調)の値を示す。
ここで、「明度曲線のトップ平均値Bt」、「明度曲線のボトム平均値Bb」、及び、後述の「t1」、「t2」、「Sv」について、図を用いて説明する。
図1(a)及び図1(b)に、マークの幅を約0.3mmとした場合のBt及びBbを定義する模式図を示す。マークの幅を約0.3mmとした場合、図1(a)に示すようにV型の明度曲線となる場合と、図1(b)に示すように底部を有する明度曲線となる場合がある。いずれの場合も「明度曲線のトップ平均値Bt」は、マークの両側の端部位置から50μm離れた位置から30μm間隔で5箇所(両側で合計10箇所)測定したときの明度の平均値を示す。一方、「明度曲線のボトム平均値Bb」は、明度曲線が図1(a)に示すようにV型となる場合は、このV字の谷の先端部における明度の最低値を示し、図1(b)の底部を有する場合は、約0.3mmの中心部の値を示す。
図2に、t1及びt2及びSvを定義する模式図を示す。「t1(ピクセル×0.1)」は、明度曲線とBtとの交点の内、前記ライン状マークに最も近い交点並びにその交点の位置を示す値(前記観察地点−明度グラフの横軸の値)を示す。「t2(ピクセル×0.1)」は、明度曲線とBtとの交点からBtを基準に0.1ΔBまでの深さ範囲において、明度曲線と0.1ΔBとの交点の内、前記ライン状マークに最も近い交点並びにその交点の位置を示す値(前記観察地点−明度グラフの横軸の値)を示す。このとき、t1およびt2を結ぶ線で示される明度曲線の傾きについては、y軸方向に0.1ΔB、x軸方向に(t1−t2)で計算されるSv(階調/ピクセル×0.1)で定義される。なお、横軸の1ピクセルは10μm長さに相当する。また、Svは、マークの両側を測定し、小さい値を採用する。さらに、明度曲線の形状が不安定で上記「明度曲線とBtとの交点」が複数存在する場合は、最もマークに近い交点を採用する。
CCDカメラで撮影した上記画像において、マークが付されていない部分では高い明度となるが、マーク端部に到達したとたんに明度が低下する。ポリイミド基板の視認性が良好であれば、このような明度の低下状態が明確に観察される。一方、ポリイミド基板の視認性が不良であれば、明度がマーク端部付近で一気に「高」から「低」へ急に下がるのではなく、低下の状態が緩やかとなり、明度の低下状態が不明確となってしまう。
本発明はこのような知見に基づき、本発明の表面処理銅箔を貼り合わせて除去したポリイミド基板に対し、マークを付した印刷物を下に置き、ポリイミド基板越しにCCDカメラで撮影した上記マーク部分の画像から得られる観察地点−明度グラフにおいて描かれるマーク端部付近の明度曲線の傾きを制御している。より詳細には、明度曲線のトップ平均値Btとボトム平均値Bbとの差をΔB(ΔB=Bt−Bb)とし、観察地点−明度グラフにおいて、明度曲線とBtとの交点の内、前記ライン状マークに最も近い交点の位置を示す値(前記観察地点−明度グラフの横軸の値)をt1として、明度曲線とBtとの交点からBtを基準に0.1ΔBまでの深さ範囲において、明度曲線と0.1ΔBとの交点の内、前記ライン状マークに最も近い交点の位置を示す値(前記観察地点−明度グラフの横軸の値)をt2としたときに、上記(1)式で定義されるSvが3.5以上となる。このような構成によれば、基板樹脂の種類や厚みの影響を受けずに、CCDカメラによるポリイミド越しのマークの識別力が向上する。このため、視認性に優れるポリイミド基板を作製することができ、電子基板製造工程等でポリイミド基板に所定の処理を行う場合のマーキングによる位置決め精度が向上し、これによって歩留まりが向上する等の効果が得られる。Svは好ましくは3.9以上、より好ましくは4.5以上、更により好ましくは5.0以上、更により好ましくは5.5以上である。Svの上限は特に限定する必要はないが、例えば70以下、30以下、15以下、10以下である。このような構成によれば、マークとマークで無い部分との境界がより明確になり、位置決め精度が向上して、マーク画像認識による誤差が少なくなり、より正確に位置合わせができるようになる。
銅箔の表面処理側の表面の三次元表面積Aと二次元表面積Bとの比A/Bは、上述の樹脂の透明性に大いに影響を及ぼす。すなわち、表面粗さRzが同じであれば、比A/Bが小さい銅箔ほど、上述の樹脂の透明性が良好となる。このため、本発明の表面処理銅箔は、当該比A/Bが1.0〜1.7であるのが好ましく、1.0〜1.6であるのがより好ましい。ここで、表面処理側の表面の粗化粒子の三次元表面積Aと二次元表面積Bとの比A/Bは、例えば当該表面が粗化処理されている場合、粗化粒子の表面積Aと、銅箔を銅箔表面側から平面視したときに得られる面積Bとの比A/Bとも云うことができる。
ポリイミド基材樹脂の厚みは特に制限を受けるものではないが、一般的に25μmや50μmが挙げられる。
本発明の表面処理銅箔と樹脂基板との積層板の位置決めをする方法について説明する。まず、表面処理銅箔と樹脂基板との積層板を準備する。本発明の表面処理銅箔と樹脂基板との積層板の具体例としては、本体基板と付属の回路基板と、それらを電気的に接続するために用いられる、ポリイミド等の樹脂基板の少なくとも一方の表面に銅配線が形成されたフレキシブルプリント基板とで構成される電子機器において、フレキシブルプリント基板を正確に位置決めして当該本体基板及び付属の回路基板の配線端部に圧着させて作製される積層板が挙げられる。すなわち、この場合であれば、積層板は、フレキシブルプリント基板及び本体基板の配線端部が圧着により貼り合わせられた積層体、或いは、フレキシブルプリント基板及び回路基板の配線端部が圧着により貼り合わせられた積層板となる。積層板は、当該銅配線の一部や別途材料で形成したマークを有している。マークの位置については、当該積層板を構成する樹脂越しにCCDカメラ等の撮影手段で撮影可能な位置であれば特に限定されない。
なお、本発明の実施の形態に係る位置決め方法は表面実装機やチップマウンターに用いてもよい。
また、本発明において位置決めされる表面処理銅箔と樹脂基板との積層板が、樹脂板及び前記樹脂板の上に設けられた回路を有するプリント配線板であってもよい。また、その場合、前記マークが前記回路であってもよい。
なお、プリント配線板においては、印刷物のマークの代わりにプリント配線板上の回路をマークとして、樹脂越しに当該回路をCCDカメラで撮影してSvの値を測定することができる。また、銅張積層板については、銅をエッチングによりライン状とした後に、印刷物のマークの代わりに当該ライン状とした銅をマークとして、樹脂越しに当該ライン状とした銅をCCDカメラで撮影してSvの値を測定することができる。
なお、表1に表面処理前の銅箔作製工程のポイントを記載した。「高光沢圧延」は、最終の冷間圧延(最終の再結晶焼鈍後の冷間圧延)を記載の油膜当量の値で行ったことを意味する。なお、実施例1、2については銅箔の厚みが6μm、12μm、35μmである銅箔も製造した。
(1)表面粗さ(Rz)の測定;
各実施例、比較例の表面処理後の銅箔について、株式会社小阪研究所製接触粗さ計Surfcorder SE−3Cを使用してJIS B0601−1994に準拠して十点平均粗さを表面処理面について測定した。測定基準長さ0.8mm、評価長さ4mm、カットオフ値0.25mm、送り速さ0.1mm/秒の条件で、圧延銅箔については圧延方向と垂直な方向(TD)に測定位置を変えて、または、電解銅箔については電解銅箔の製造装置における電解銅箔の進行方向と垂直な方向(TD)に測定位置を変えて、それぞれ10回行い、10回の測定での値を求めた。
なお、表面処理前の銅箔についても、同様にして表面粗さ(Rz)を求めておいた。
各実施例、比較例の表面処理後の銅箔の表面処理面について、オリンパス社製レーザー顕微鏡OLS4000にて、銅箔表面の二乗平均平方根高さRqを測定した。評価長さ647μm、カットオフ値ゼロの条件で、圧延銅箔については圧延方向と垂直な方向(TD)の測定で、または、電解銅箔については電解銅箔の製造装置における電解銅箔の進行方向と垂直な方向(TD)の測定で、それぞれ値を求めた。なお、レーザー顕微鏡による表面の二乗平均平方根高さRqの測定環境温度は23〜25℃とした。
銅箔表面の表面積はレーザー顕微鏡による測定法を使用した。各実施例、比較例の表面処理後の銅箔の表面処理面について、オリンパス社製レーザー顕微鏡OLS4000を用いて処理表面の倍率20倍における647μm×646μm相当面積B(実データでは417,953μm2)における三次元表面積Aを測定して、三次元表面積A÷二次元表面積B=面積比(A/B)とする手法により設定を行った。なお、レーザー顕微鏡による三次元表面積Aの測定環境温度は23〜25℃とした。
JIS Z8741に準拠した日本電色工業株式会社製光沢度計ハンディーグロスメーターPG−1を使用し、圧延銅箔については圧延方向と垂直な方向(TD)の入射角60度での光沢度、または、電解銅箔については電解銅箔の製造装置における電解銅箔の進行方向に垂直な方向(TD)の入射角60度での光沢度を、それぞれ表面処理前の銅箔について測定した。
銅箔をポリイミドフィルム(カネカ製厚み50μm(二層銅張積層板用ピクシオ(PIXEO)))の両面に貼り合わせ、銅箔をエッチング(塩化第二鉄水溶液)で除去してサンプルフィルムを作製した。続いて、ライン状の黒色マークを印刷した印刷物を、サンプルフィルムの下に敷いて、印刷物をサンプルフィルム越しにCCDカメラで撮影し、撮影によって得られた画像について、観察されたライン状のマークが伸びる方向と垂直な方向に沿って観察地点ごとの明度を測定して作製した、観察地点−明度グラフにおいて、マークの端部からマークが描かれていない部分にかけて生じる明度曲線の傾き(角度)を測定した。このとき用いた撮影装置の構成及び明度曲線の傾きの測定方法を表す模式図を図3に示す。
また、ΔB及びt1、t2、Svは、図2で示すように下記撮影装置で測定した。
撮影装置は、CCDカメラ、マークを付した紙を下に置いたポリイミド基板を置くステージ(白色)、ポリイミド基板の撮影部に光を照射する照明用電源、撮影対象のマークが付された紙を下に置いた評価用ポリイミド基板をステージ上に搬送する搬送機(不図示)を備えている。当該撮影装置の主な仕様を以下に示す:
・撮影装置:株式会社ニレコ製シート検査装置Mujiken
・CCDカメラ:8192画素(160MHz)、1024階調ディジタル(10ビット)
・照明用電源:高周波点灯電源(電源ユニット×2)
・照明:蛍光灯(30W)
なお、図3に示された明度について、0は「黒」を意味し、明度255は「白」を意味し、「黒」から「白」までの灰色の程度(白黒の濃淡、グレースケール)を256階調に分割して表示している。
銅箔をポリイミドフィルム(カネカ製厚み50μm)の両面に貼り合わせ、銅箔をエッチング(塩化第二鉄水溶液)で除去してサンプルフィルムを作成した。得られた樹脂層の一面に印刷物(直径6cmの黒色の円)を貼り付け、反対面から樹脂層越しに印刷物の視認性を判定した。印刷物の黒色の円の輪郭が円周の90%以上の長さにおいてはっきりしたものを「◎」、黒色の円の輪郭が円周の80%以上90%未満の長さにおいてはっきりしたものを「○」(以上合格)、黒色の円の輪郭が円周の0〜80%未満の長さにおいてはっきりしたもの及び輪郭が崩れたものを「×」(不合格)と評価した。
IPC−TM−650に準拠し、引張り試験機オートグラフ100で常態ピール強度を測定し、上記常態ピール強度が0.7N/mm以上を積層基板用途に使用できるものとした。なお、本ピール強度の測定にはカネカ製の厚み50μmのポリイミドフィルムと本発明の実施例および比較例に係る表面処理銅箔の表面処理面とを張り合わせたサンプルを用いた。また、測定の際に、ポリイミドフィルムを硬質基材(ステンレスの板または合成樹脂の板(ピール強度測定中に変形しなければよい))に両面テープで、もしくは瞬間接着剤で貼り付けることにより固定した。
銅箔をポリイミドフィルム(カネカ製厚み50μm)の両面に貼り合わせた。得られた両面積層板について、JIS C6471に準拠したテストクーポンを作成した。作成したテストクーポンを85℃、85%RHの高温高湿下で48時間暴露した後に、300℃のはんだ槽に浮かべて、はんだ耐熱特性を評価した。はんだ耐熱試験後に、銅箔粗化処理面とポリイミド樹脂接着面の界面において、テストクーポン中の銅箔面積の5%以上の面積において、膨れにより界面が変色したものを×(不合格)、面積が5%未満の膨れ変色の場合を○、全く膨れ変色が発生しなかったものを◎として評価した。
銅箔をポリイミドフィルム(カネカ製厚み50μm)の両面に貼り合わせ、銅箔をエッチング(塩化第二鉄水溶液)して、L/Sが30μm/30μmの回路幅のFPCを作成した。その後、20μm×20μm角のマークをポリイミド越しにCCDカメラで検出することを試みた。10回中9回以上検出できた場合には「◎」、7〜8回検出できた場合には「○」、6回検出できた場合には「△」、5回以下検出できた場合には「×」とした。
なお、プリント配線板または銅張積層板においては、樹脂を溶かして除去することで、銅回路または銅箔表面について、前述の(1)表面粗さ(Rz)、(2)表面の二乗平均平方根高さRq、(3)銅箔表面の面積比(A/B)を測定することができる。
上記各試験の条件及び評価を表1及び2に示す。
実施例1〜9は、いずれも表面の二乗平均平方根高さRqが0.14〜0.63μmの範囲にあり、且つ、Svが3.5以上であり、視認性、ピール強度、はんだ耐熱評価及び歩留まりが良好であった。また、実施例1、2について製造した、厚みが6μm、12μm、35μmである銅箔についても、実施例1、2の厚みが18μmの場合と同じ結果となった。すなわち、実施例1、2について製造した、厚みが6μm、12μm、35μmである銅箔はいずれも表面の二乗平均平方根高さRqが0.14〜0.63μmの範囲にあり、且つ、Svが3.5以上であり、視認性、ピール強度、はんだ耐熱評価及び歩留まりが良好であった。
比較例1は、表面の二乗平均平方根高さRqが0.14μm未満であり、ピール強度及びはんだ耐熱性が不良であった。
比較例2〜5は、表面の二乗平均平方根高さRqが0.63μmを超え、さらにSvが3.5未満であり、視認性が不良であった。
図4に、上記Rz評価の際の、(a)比較例1、(b)実施例1、(c)実施例2、(d)実施例3、(e)実施例4、(f)実施例5、(g)実施例6、(h)実施例7、(i)実施例8、(j)実施例9、(k)比較例2、(l)比較例3の銅箔表面のSEM観察写真をそれぞれ示す。
Claims (16)
- 少なくとも一方の面に表面処理が行われており、前記表面処理が行われている面の表面の二乗平均平方根高さRqが0.14〜0.63μmである表面処理銅箔であって、
前記銅箔を表面処理が行われている表面側からポリイミド樹脂基板の両面に貼り合わせた後、エッチングで前記両面の銅箔を除去し、
ライン状のマークを印刷した印刷物を、露出した前記ポリイミド基板の下に敷いて、前記印刷物を前記ポリイミド基板越しにCCDカメラで撮影したとき、
前記撮影によって得られた画像について、観察された前記ライン状のマークが伸びる方向と垂直な方向に沿って観察地点ごとの明度を測定して作製した、観察地点−明度グラフにおいて、
前記マークの端部から前記マークが描かれていない部分にかけて生じる明度曲線のトップ平均値Btとボトム平均値Bbとの差をΔB(ΔB=Bt−Bb)とし、観察地点−明度グラフにおいて、明度曲線とBtとの交点の内、前記ライン状のマークに最も近い交点の位置を示す値をt1として、明度曲線とBtとの交点からBtを基準に0.1ΔBまでの深さ範囲において、明度曲線と0.1ΔBとの交点の内、前記ライン状のマークに最も近い交点の位置を示す値をt2としたときに、下記(1)式で定義されるSvが3.5以上となる表面処理銅箔。
Sv=(ΔB×0.1)/(t1−t2) (1) - 前記表面処理銅箔の前記表面の二乗平均平方根高さRqが0.25〜0.60μmである請求項1に記載の表面処理銅箔。
- 前記明度曲線における(1)式で定義されるSvが3.9以上となる請求項1又は2に記載の表面処理銅箔。
- 前記明度曲線における(1)式で定義されるSvが5.0以上となる請求項1〜3のいずれかに記載の表面処理銅箔。
- 前記表面のTDの十点平均粗さRzが0.20〜0.64μmである請求項1〜4のいずれかに記載の表面処理銅箔。
- 前記表面のTDの十点平均粗さRzが0.26〜0.62μmである請求項5に記載の表面処理銅箔。
- 前記表面の三次元表面積Aと二次元表面積Bとの比A/Bが1.0〜1.7である請求項1〜6のいずれかに記載の表面処理銅箔。
- 前記A/Bが1.0〜1.6である請求項7に記載の表面処理銅箔。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の表面処理銅箔と樹脂基板とを積層して構成した積層板。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の表面処理銅箔を用いたプリント配線板。
- 請求項10に記載のプリント配線板を用いた電子機器。
- 請求項10に記載のプリント配線板を2つ以上接続して、プリント配線板が2つ以上接続したプリント配線板を製造する方法。
- 請求項10に記載のプリント配線板を少なくとも1つと、もう一つの請求項10に記載のプリント配線板又は請求項10に記載のプリント配線板に該当しないプリント配線板とを接続する工程を少なくとも含む、プリント配線板が2つ以上接続したプリント配線板を製造する方法。
- 請求項12又は13に記載のプリント配線板が少なくとも1つ接続したプリント配線板を1つ以上用いた電子機器。
- 請求項10に記載のプリント配線板と、部品とを接続する工程を少なくとも含む、プリント配線板を製造する方法。
- 請求項10に記載のプリント配線板を少なくとも1つと、もう一つの請求項10に記載のプリント配線板又は請求項10に記載のプリント配線板に該当しないプリント配線板とを接続する工程、および、
請求項10に記載のプリント配線板又は請求項13に記載のプリント配線板が2つ以上接続したプリント配線板と、部品とを接続する工程
を少なくとも含む、プリント配線板が2つ以上接続したプリント配線板を製造する方法。
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