JP2015055123A - ユニット式建物の設計方法および建物ユニットの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】建物設計用CADシステムに対し、予め、全館空調システムを構成する装置や部品等の構成要素を象徴するアイコンに係る情報を記憶しておくとともに、設計図における当該アイコンの配置禁止箇所を構成要素の種類ごとに設定しておき、建物設計用CADシステムによって建物本体2および屋根3の設計図を作成した後、当該設計図上に、構成要素のアイコンをその種類ごとに配置禁止箇所以外の箇所に配置する。また、作成された設計図に従って、建物本体2を構成する複数の建物ユニット2aを製造する。
【選択図】図1
Description
このような建物ユニットを用いたユニット式建物によれば、各種部品が組み付けられた状態の建物ユニットを工場で製造するので、建設現場での作業が軽減され、高品質の建物を短期間で構築できるという利点がある。
また、工場等で全館空調システムを構成する装置や部品等の構成要素を建物ユニットに組み付ける場合において、建物ユニットの製造効率を考慮すると、各構成要素の組み付け位置を予め判明させておきたいという要望があった。
換言すれば、フリー設計を行う場合に、ユニット式建物の設計や建物ユニットの製造を考慮すると、全館空調システムを採用しにくいという問題があった。
前記建物設計用CADシステムに対し、予め、前記全館空調システムを構成する装置や部品等の構成要素(例えば室内機31、リターンガラリ32)を象徴するアイコン(例えば室内機アイコンIC1、リターンガラリアイコンIC2等)に係る情報を記憶しておくとともに、前記設計図における当該アイコンの配置禁止箇所(例えば配置禁止箇所A1等)を前記構成要素の種類ごとに設定しておき、
前記建物設計用CADシステムによって前記建物本体2および前記屋根3の設計図を作成した後、当該設計図上に、前記構成要素のアイコンをその種類ごとに前記配置禁止箇所以外の箇所に配置することを特徴とする。
また、設計段階において、前記構成要素を前記建物ユニット2aのどこの位置に組み付ければよいかを予め判明させておくことができるので、工場等では前記構成要素の前記建物ユニット2aへの組み付け位置を判明させる必要はない。これによって、前記構成要素を、前記建物ユニット2aのうちの当該組み付け位置に、特に迷うことなく容易に組み付けることができる。
したがって、フリー設計を行う場合であっても前記全館空調システムを容易に採用することが可能となる。
前記全館空調システムは、前記構成要素として、
空気調整機能を有し、かつ調整された空気を循環させる室内機31と、
空気の循環経路における吸気側に位置し、かつ前記部屋(例えば居室10等)に露出するリターンガラリ32と、
空気の循環経路における給気側に位置し、かつ前記部屋に露出する吹出口33、および、前記室内機31と当該吹出口33とを接続する給気ダクト34aを配置するためのダクトスペース34と、
前記室内機31によって調整された空気を分岐させる分岐チャンバー35と、
外気との熱交換を行い、かつ前記室内機31と接続される室外機36と、
前記部屋内の壁(例えば内壁23)に設置されるリモコン37a,37bと、
前記室内機31と前記室外機36とを接続する冷媒管等を配置するためのパイプスペース38と、
前記屋根3の小屋裏空間3dに出入りするための点検口39と、を有することを特徴とする。
前記配置禁止箇所(例えば配置禁止箇所A1等)は、前記設計図上に表示されないように設定されていることを特徴とするユニット式建物1の設計方法。
前記建物設計用CADシステムは、前記構成要素(例えば室内機31、リターンガラリ32等)のアイコン(例えば室内機アイコンIC1、リターンガラリアイコンIC2等)を前記配置禁止箇所(例えば配置禁止箇所A1等)に配置した際に、前記設計図上に、前記アイコンの配置の禁止を示すマークを表示する禁止マーク表示手段を備えており、
前記構成要素のアイコンを前記設計図上に配置するにあたり、前記禁止マーク表示手段によって前記設計図上に前記マークが表示された場合に、前記アイコンを、前記配置禁止箇所以外の箇所に配置することを特徴とする。
前記構成要素(例えば室内機31、リターンガラリ32等)のうち、前記建物ユニット2aに対して予め取付可能なものを、当該建物ユニット2aに対して予め取り付けておき、
前記構成要素(例えば室内機31、リターンガラリ32等)のうち、前記建物ユニット2aに対して予め取付不可能なものを、当該建物ユニット2aの内部に収納するようにして予め提供しておくことを特徴とする。
また、前記構成要素(例えば室内機31、リターンガラリ32等)のうち、前記建物ユニット2aに対して予め取付不可能なものを、当該建物ユニット2aの内部に収納するようにして予め提供しておくので、前記ユニット式建物1を施工する際に、現場での施工手間を極力省略することができる。すなわち、前記建物ユニット2aと前記予め取付不可能なものとを同時に輸送することができるとともに、現場では、前記予め取付不可能なものを取り出して前記建物ユニット2aに取り付けるだけで済むので、現場での施工手間を極力省略することが可能となる。
図1において符号1は、ユニット式建物を示す。このユニット式建物1は、直方体状の建物ユニット2aを複数組み合わせてなる建物本体2と、当該建物本体2の上部に設けられる屋根3とを備える。また、建物本体2には、複数の部屋全体の空調を行うための全館空調システムを設けてなる。
なお、当該ユニット式建物1は、顧客の要求に応じて設計される、所謂フリー設計によって建築される建物である。このようなフリー設計のユニット式建物1の場合、全館空調システムを構成する装置や部品等の構成要素(後述する)も各々の建物1ごとに異なる。すなわち、建物を購入する顧客(ユーザ)ごとに要求が異なるため、建築される建物の設計も異なる。したがって、全館空調システムの各構成要素の配置も当然異なる。
建物ユニット2aは金属製であり、直方体形状の骨組みを有し、この骨組みは、四隅に立設された柱と、これらの柱の上端間を連結する短辺天井梁および長辺天井梁と、四本の柱の下端間を連結する短辺床梁および長辺床梁とを備える。なお、図1において外壁22や内壁23の内部に表れる四角形状のものが建物ユニット2aの柱2eとされている。
この骨組みには、天井材、床材、外壁材、内壁材(間仕切壁)等の各種部品が予め工場等で組み付けられ、その状態で現場に輸送される。また、工場等で予め組み付けられる各種部品としては、全館空調システムの各構成要素や、必要な電源線、通信線、各種配管等も含まれる。
また、図5に示すように、建物本体2の上端部には屋根束3b等の屋根用支持部材が複数設置され、複数の屋根パネル3aは、当該複数の屋根用支持部材によって支持されている。また、図5(b)に示すように、屋根束3bだけでなく、隣り合う屋根束3b間にブレース3cが設けられる場合がある。
間取りは、フリー設計を行う上で顧客からの特に要求が多いものであり、間取りに応じて建物自体の構造だけでなく、全館空調システムの各構成要素の配置箇所も適宜変更する必要が生じる。
このように柱抜き工法を採用することによって、一階の居室10および二階の子供部屋17,18を構成する複数の建物ユニット2aの柱2eを取り外すことができるので、当該一階の居室10および二階の子供部屋17,18を建物本体2内における大空間として確保できる。
収納として使用する場合は、小屋裏空間3dに対して、例えば図9,図13に示すような収納室3eが設けられる場合がある。当該収納室3eは、建物本体2の二階と行き来可能とされており、その天井高は0.9m〜1.4mの範囲で適宜変更可能である。この0.9m〜1.4mの天井高とは、人が前記収納室3eに入って、何とか作業ができる最低限の高さを確保するための高さ範囲であり、かつ、このように天井高を必要最小限に抑えることで、ユニット式建物1の高さが高くなることによって隣接する建物に及ぼす日照減少等の影響を極力少なくすることができる高さ範囲である。
換言すれば、上述のような天井裏空間2cや小屋裏空間3d、複数の部屋(玄関4〜子供部屋18)は、天井20や床21、外壁22、内壁23、または屋根3によってその周囲を囲まれているものとする。
以上のような建物本体2および屋根3の設計は、建物設計用CADシステムによって行われる。建物設計用CADシステムとは、顧客の要求に応じてユニット式建物1を設計する際に、その設計作業を支援するものである。
建物設計用CADシステムには、図示はしないが、当該建物設計用CADシステムの核となるコンピュータと、設計している階の平面図等を表示する表示装置と、コンピュータ等の操作を行うための入力装置と、設計した平面図等を製図するX−Yプロッタ装置と、設計した建物についてのデータ等を印字するプリンタとが設けられている。
このうち、ハードディスク装置には、記憶される情報の属性ごとに複数の記憶領域が設定されている。そして、当該ハードディスク装置には、建物本体2および屋根3の設計に必要な種々のデータやプログラムが記憶されている。例えば、建物ユニット2aの大きさを表示する表示用データ等の寸法情報や、当該建物ユニット2aを図面に描画するための描画用データ等が記憶されている。
また、全館空調システムの設計に必要な種々のデータやプログラムも記憶されているものとする。すなわち、配置禁止箇所A1〜A11および配置許可箇所B1〜B13に関するデータや、当該配置禁止箇所A1〜A11および配置許可箇所B1〜B13を図面上に設定するためのプログラム等が記憶されている。
また、表示装置の表示画面D(例えば図2,図3参照)には、設計対象となるユニット式建物1に設けられる各種部品の設置位置の基準を示す補助線として、グリッドモジュール心線Gが表示される。グリッドモジュール心線Gは、当該ユニット式建物1の平面に格子状に設定されるとともに、互いに直交して複数の長方形を形成するものとなっている。そして、このグリッドモジュール心線Gは、所定ピッチ間隔(P)で並べられる。なお、1PはM/8に設定されている。
また、複数の建物ユニット2aのうち、屋外に面する箇所には外壁22の入力作業を行う。また、顧客の要求する間取りに応じて内壁23(間仕切壁)の入力作業を行う。さらに、階段9aや窓等のサッシ、トイレ、流し台、ユニットバス等を始め、様々な部品や設備等の入力作業を行う。
以上のようにして、配置する建物ユニット2aや各種部品等を、表示画面Dのグリッドモジュール心線Gに基づいて配置し、建物本体2の平面図を作成する。さらに、屋根3の設計も建物設計用CADシステムによって作成することができる。すなわち、屋根パネル3aやブレース3c等を、表示画面Dのグリッドモジュール心線Gに基づいて配置し、屋根伏図を作成することができる。
また、各種構成要素31〜40の配置の判断は、前記プログラムに基づいてコンピュータによって行われる。すなわち、建物設計用CADシステムは、各種構成要素31〜40の配置の可否を判断する判断手段を備える。
さらに、後述するが、全館空調システム設計時に、表示画面D上で各種構成要素31〜40のアイコンIC1〜IC10を配置禁止箇所A1〜A11に配置した場合に、配置禁止であることを示すマークや記号表記等を、表示画面D上に表示するようにしてもよい。すなわち、建物設計用CADシステムは、各種構成要素31〜40の配置の可否の判断に基づいて、配置禁止を示すマークや記号表記等を表示する禁止マーク表示手段を備える。
続いて、全館空調システムの概略構成について説明する。
全館空調システムは、図1〜図22に示すように、当該全館空調システムを構成する構成要素として、室内機31と、リターンガラリ32と、吹出口33およびダクトスペース34と、分岐チャンバー35と、室外機36と、リモコン37a,37bと、パイプスペース38と、点検口39と、内部回転ガラリ40と、を有する。
このような構成の全館空調システムによれば、室内機31から調整された空気を供給するとともに、複数の部屋(玄関4〜子供部屋18)内の空気を室内機31に環気できるので、建物本体2内に空気の循環経路を形成することができる。
また、この全館空調システムは、上述のように建物設計用CADシステムによって設計される。
建物設計用CADシステムにおいては、室内機31は、室内機アイコンIC1として表示され、室外機36は、室外機アイコンIC6として表示される。すなわち、表示画面D上では、これら各アイコンIC1,IC6がグリッドモジュール心線Gに基づいて適宜配置される。
なお、室内機31を配置許可箇所(例えば配置許可箇所B1)に配置する際は、まず、室内機31の荷重を受けるための補助床31bが設けられ、その上に室内機31が設けられる。当該補助床31bは、2M×2Mの面積に設定されている。
また、本実施の形態において室内機31は屋根3の小屋裏空間3dに設けられるが、部屋の領域内を利用して設けられるものとしてもよい。部屋の領域内としては、例えば部屋に隣接して設けられる低天井の収納室の上方空間等が挙げられる。また、当該上方空間とは、部屋の天井高と低天井収納室の天井高との差を利用して形成される空間を指す。
リターンガラリ32は、建物本体2内の空気が集まる箇所であるため、居室10や主寝室14、子供部屋17,18等には設けられず、ホール12や廊下15等のような共用部に露出して設けられる。また、リターンガラリ32は、当該リターンガラリ32と室内機31とを接続するリターンダクト32aとセットで用いられる。
また、リターンガラリ32は、表示画面D上で、リターンガラリアイコンIC2として表示される。
吹出口33は、複数の部屋のうち、和室6や居室10、主寝室14、子供部屋17,18等にそれぞれ設けられる。さらに、熱気の溜まりやすい洗面脱衣所7等に設けられてもよい。また、吹出口33は、当該吹出口33と前記室内機31とを接続する給気ダクト34aとセットで用いられる。
ダクトスペース34は、周囲を壁で囲まれることによって形成されるものであり、外壁22および内壁23と同様に平面図に入力される。図1に示すように、平面視において、外壁22または/および内壁23を含んで角筒状に形成されている。このダクトスペース34内には、給気ダクト34aが配置される。
また、吹出口33は、表示画面D上で、吹出口アイコンIC3として表示され、給気ダクト34aは、表示画面D上で、給気ダクトアイコンIC4として表示される。
また、分岐チャンバー35は、表示画面D上で、分岐チャンバーアイコンIC5として表示される。
なお、当該メインリモコン37aおよびサブリモコン37bは、説明の便宜上、図1の平面図上に表示されているが、本来は、当該平面図に基づいて作成される電気配線図(図示せず)上に表示される。
また、メインリモコン37aは、表示画面D上で、メインリモコンアイコンIC7aとして表示され、サブリモコン37bは、表示画面D上で、サブリモコンアイコンIC7bとして表示される。
なお、パイプスペース38は平面図上で壁の一部として表示されており、冷媒管や電源線等はアイコン表示されないものとする。
また、天井20に形成される点検口39は、表示画面D上で、点検口アイコンIC9として表示される。
また、リターン経路上にドアがある場合は、例えば欄間付きドア(図示せず)等のように通気可能な構成のドアが採用される。
また、内部回転ガラリ40は、表示画面D上で、回転ガラリアイコンIC10として表示される。
分岐チャンバー35へと送られた空気は、当該分岐チャンバー35に接続された複数の給気ダクト34aへと送られる。そして、給気ダクト34aを通過する空気は、吹出口33から居室10等の各部屋内に供給される。
各部屋内に供給された空気は、内部回転ガラリ40や欄間を通過して、ホール12や廊下15等の共用部へと流れる。そして、当該共用部に設けられたリターンガラリ32から室内機31へと戻る。
次に、以上のような構成の全館空調システムの設計を行う方法について説明する。
まず、建物設計用CADシステムによって作成したユニット式建物1の各種図面を表示画面D上に表示する。上述のように各種図面が作成された段階で、当該各種図面に対して、配置禁止箇所A1〜A11および配置許可箇所B1〜B13の設定が可能となるので、全館空調システムの設計を行う際には、当該配置禁止箇所A1〜A11および配置許可箇所B1〜B13を各種図面に対して設定しておく。
そして、各種図面上に対して全館空調システムの各種構成要素の位置を決定する。すなわち、室内機31の位置の決定、リターンガラリ32の位置の決定、吹出口33およびダクトスペース34の位置の決定、分岐チャンバー35の位置の決定、室外機36の位置の決定、メインリモコン37aおよびサブリモコン37bの位置の決定、パイプスペース38の位置の決定、点検口39の位置の決定、を少なくとも行う。さらに本実施の形態においては内部回転ガラリ40の位置の決定も行う。
図4は、室内機31を小屋裏空間3dに配置する場合における配置許可箇所B1を示している。補助床31bは、上述のように2M×2Mのサイズに設定されており、室内機31は、当該補助床31bからはみ出さないように配置される。
また、室内機31は、当該室内機31の側面に設けられる電装ボックス31aを備えており、室内機31は、補助床31bに対して、電装ボックス31a側に十分な作業スペースが形成されるようにして配置されている。
図5(a)の配置禁止箇所A1は、屋根束3bのある位置であり、この位置には室内機31および補助床31bを設置することができない。したがって、室内機アイコンIC1を配置できないため、配置禁止の箇所となっている。
図5(b)の配置禁止箇所A2は、ブレース3cのある位置であり、この位置には室内機31および補助床31bを設置することができない。したがって、室内機アイコンIC1を配置できないため、配置禁止の箇所となっている。
図5(c)の配置許可箇所B2は、複数の屋根束3bで囲まれた位置であり、この位置には室内機31および補助床31bを設置することができる。したがって、室内機アイコンIC1を配置できるため、配置許可の箇所となっている。
図6(a)の配置禁止箇所A3は、給気ダクト34aのある位置であり、この位置には室内機31および補助床31bを設置することができない。したがって、室内機アイコンIC1を配置できないため、配置禁止の箇所となっている。
図6(b)の配置許可箇所B3は、給気ダクト34aのある位置から離間した位置であり、この位置には室内機31および補助床31bを設置することができる。したがって、室内機アイコンIC1を配置できるため、配置許可の箇所となっている。
図7(a)の配置禁止箇所A4は、室内機31と、傾斜する屋根3とが干渉する位置であり、室内機31の上方に十分な作業スペースを形成できない。したがって、室内機アイコンIC1を配置できないため、配置禁止の箇所となっている。
図7(b)の配置許可箇所B4は、室内機31と、傾斜する屋根3とが干渉しない位置であり、室内機31の上方に十分な作業スペースを形成できる。したがって、室内機アイコンIC1を配置できるため、配置許可の箇所となっている。
図8の配置禁止箇所A5は、室内機31と、傾斜する屋根3とが干渉する位置であり、室内機31の上方に十分な作業スペースを形成できない。したがって、室内機アイコンIC1を配置できないため、配置禁止の箇所となっている。
図8の配置許可箇所B5は、室内機31と、傾斜する屋根3とが干渉しない位置であり、室内機31の上方に十分な作業スペースを形成できる。したがって、室内機アイコンIC1を配置できるため、配置許可の箇所となっている。
また、室内機31を配置するために最低限必要な一辺の間口の必要最小寸法は、図8に示すような両流れの勾配屋根3の場合には、配置許可箇所B5の寸法と、双方の配置禁止箇所A5,A5の寸法とを足した寸法に等しい。
図9(a)の配置禁止箇所A6は、室内機31と、傾斜する屋根3とが干渉する位置であり、室内機31の上方に十分な作業スペースを形成できない。また、収納室3eは収納スペースであり、室内機31を配置できない。このため、図9(b)に示すように、収納室3eの範囲を狭め、配置許可箇所B6を確保するように設計を行う。
小屋裏空間3d内において補助床31bに干渉する障害物がある場合には、当該障害物を避けた位置が配置許可箇所となる。例えば、小屋裏空間3d内に突出する補強梁や、小屋裏空間3d内に設けられる壁等が前記干渉するものとして挙げられる。
また、室内機31だけでなく、当該室内機31に接続されるリターンダクト32aや給気ダクト34aも、屋根束3bやブレース3cに干渉しないように考慮する必要がある。
さらに、室内機31を収納室3eに隣接して配置する場合は、電装ボックス31a側だけでなく、メンテナンス等に必要な作業スペースを確保する必要がある。
続いて、補助床31bの領域を入力する。すなわち、図2に示すように、補助床31bの四つ角となる基準点h1,h2,h3,h4を入力する。補助床31bの領域は、上述のように2M×2Mとなるように入力する。
以上のように入力することで、図1(b)に示すように、ユニット式建物1の設計図上に室内機アイコンIC1を入力することができる。
したがって、以下では、リターンガラリ32のリターンガラリアイコンIC2や吹出口33の吹出口アイコンIC3等を始めとする各種構成要素32〜40のアイコンIC2〜IC10の配置禁止箇所A7〜A11および配置許可箇所B7〜B13や、各種構成要素32〜40の設置例について詳細に説明する。
図10は、リターンガラリ32のリターンガラリアイコンIC2を、各種図面(ここでは平面図)に配置する位置を示している。すなわち、リターンガラリアイコンIC2の配置許可箇所B7は、ホール12や廊下15等の共用部を構成する建物ユニット2aの大きさの範囲内に収まるように設定されている。一方の配置禁止箇所A7は、当該建物ユニット2aの大きさの範囲を超えて、隣接する建物ユニット2aとの境界部分を跨ぐような位置である。
また、当該建物ユニット2aに対して内壁23等が取り付けられる場合は、当該内壁23等に干渉しない位置が配置許可箇所B7となる。
図11に示すように、リターンガラリ32と室内機31とを接続するリターンダクト32aの長さの基準は5m以上〜7.6m以内に設定されている。すなわち、図11におけるリターンガラリアイコンIC2の配置禁止箇所A8は、リターンダクト32aの長さの基準を逸脱する箇所であり、配置許可箇所B8は、リターンダクト32aの長さの基準に収まる箇所である。
より詳細に説明すると、リターンダクト32aは、リターンガラリ32に対しては上方から接続され、室内機31に対しては後側面から接続される。このため、図12(a)に示すように、室内機31とリターンガラリ32との距離が近すぎる場合は、5m以上〜7.6m以内の長さに設定されたリターンダクト32aの接続ができない。すなわち、室内機31の後側面直近の位置は、配置禁止箇所A8に該当する。
一方、図12(b)に示すように、一定以上の間隔(例えば1.5M以上)を空ける場合には、5m以上〜7.6m以内の長さに設定されたリターンダクト32aであっても、リターンガラリ32および室内機31に対して接続できる(すなわち、配置許可箇所B8となる)。
また、図12(c)に示すように、リターンガラリ32の位置を、室内機31の後側面から左右側面側にずらす場合には、5m以上〜7.6m以内の長さに設定されたリターンダクト32aであっても、リターンガラリ32および室内機31に対して接続できる(すなわち、配置許可箇所B8となる)。
すなわち、リターンガラリ32に接続されたリターンダクト32aは、建物1の内側方向に取り回すため、リターンガラリ32の近傍に収納室3eがある場合には、リターンダクト32aを配置するためのスペースを確保する必要がある。図13では、リターンガラリ32が、収納室3eから8P(ピッチ)以上離間した箇所に、リターンガラリ32の入力原点(中心点)が位置するように配置されている。
台形ユニット2bの内部に有効な天井高を確保するために、当該台形ユニット2bには水平な天井を設けにくいので、この台形ユニット2bにはリターンガラリ32は配置されないように設定されている。すなわち、台形ユニット2bの場合はリターンガラリ32を設けることが可能な天井懐を確保しにくいため、図14(a)に示すように、台形ユニット2b自体が配置禁止箇所A9となっている。
図14(b)は、リターンガラリ32を、台形ユニット2bおよび収納室3eの近傍に配置する場合において、リターンガラリ32と、小屋裏空間3dとの位置関係に基づく配置禁止箇所A10を示している。すなわち、この場合、リターンガラリ32を収納室3eから8P(ピッチ)以上離間した箇所に配置できないため、配置禁止の箇所となっている。
図14(c)は、リターンガラリ32を、台形ユニット2bおよび収納室3eの近傍に配置する場合において、リターンガラリ32と、小屋裏空間3dとの位置関係に基づく配置許可箇所B10を示している。すなわち、この場合、リターンガラリ32を収納室3eから8P(ピッチ)以上離間した箇所に配置できるため、配置許可の箇所となっている。
このような場合を解消するために、図15(b)に示すように、ホール12や廊下15等の共用部に隣接する部屋(例えば主寝室14)のクローゼット14a等の天井部にリターンガラリ32を取り付けるようにし、当該リターンガラリ32の直下を室内機31の搬入口32bとする方法が採られる。その結果、リターンガラリ32の位置が外壁22からある程度離間することになるので、当該リターンガラリ32の取付位置は配置許可箇所B11となる。
なお、この場合には、クローゼット14aの直上には着脱式の天板32cが取り付けられる。また、クローゼット14aと、ホール12や廊下15等の共用部とを仕切る内壁23には、リターンガラリ32と天板32cとの間の空間に通じる開口部32dが形成される。
図16に示すように、吹出口33のうち天井設置用33aの配置許可箇所B12は、天井懐を確保できる箇所や小屋裏空間3dとされている。
吹出口33のうち壁面設置用33bの配置許可箇所B13は、部屋の天井よりも低い位置にある下がり天井33cの上方空間とされている。
ダクトスペース34は、図1,図16,図21(b)に示すように、また上述のように各種図面を作成する際に同時に作成されるものである。給気ダクト34aは、ダクトスペース34内に配置されるとともに室内機31に接続される(すなわち、小屋裏空間3d内に配置される部分がある)。
なお、図示はしないが、天井設置用の吹出口33の配置禁止箇所は、例えば、勾配天井等のように天井懐を確保できない天井面や、他の天井設置用設備の直近の位置とされている。
図19(a)においては、壁面設置用33bの吹出口が、上方空間を形成する壁(外壁22および/または内壁23)に干渉しないように適切な向きで配置されている。一方、図19(b)においては、壁面設置用33bの吹出口が、上方空間を形成する壁(外壁22および/または内壁23)に干渉した状態となっている。すなわち、下がり天井33cの上方空間に設ける場合には、壁面設置用33bの吹出口の向きが適切となるように配置する必要がある。
分岐チャンバー35は一階用と二階用とがあり、図1および図20に示すように、それぞれ小屋裏空間3d内に配置されている。すなわち、分岐チャンバー35の配置許可箇所は小屋裏空間3dとなる。
また、分岐チャンバー35と室内機31とを接続する中間ダクト35aは、7.6m以内に設定されており、小屋裏空間3d内に配置されている。
メインリモコン37aは、図1(a)に示すように一階の内壁23に設けられ、サブリモコン37bは、図1(b)に示すように二階の内壁23に設けられる。なお、これらメインリモコン37aおよびサブリモコン37bは、熱等の外部負荷を受ける可能性があるため、外壁22に設けることは禁止とされている。
また、当該パイプスペース38は、室内機31と室外機36とを接続する冷媒管等が配置されるため、図21(a)に示すように、室外機36の近傍に配置される。すなわち、室外機36の近傍の位置が配置許可の箇所とされ、室外機36からある程度離間する位置が配置禁止の箇所となっている。
なお、当該パイプスペース38の上方に位置するダクトスペース34は、上端部が小屋裏空間3dに通じているため、冷媒管等を配置するスペースとして兼用される。
なお、内部回転ガラリ40の配置箇所は、平面図上では、図1に示すように「△」マークで指し示されている。
次に、作成された設計図に従って、建物本体2を構成する複数の建物ユニット2aを製造する方法について説明する。
すなわち、工場では、作成された設計図に従って建物ユニット2aの製造が行われる。その際、各種構成要素31〜40のうち、建物ユニット2aに対して予め取付可能なものを、当該建物ユニット2aに対して予め取り付けておく。
例えば、補助床31bは、配置許可箇所B1を含む小屋裏空間3dを構成する建物ユニット2aに予め取り付けておくことができる。
補助床31bは、上述のように建物ユニット2aに対して予め取り付けておくことができるが、室内機31自体を予め取り付けてしまうと、建物ユニット2aの上端部から上方に突出してしまうため、輸送が困難となる。このような場合は、室内機31は、当該室内機31が配置される建物ユニット2aの内部に収納するようにして提供された状態で輸送される。または、この補助床31bをパネル化して現場で設置するようにしてもよい。
なお、室内機31まで延びる電源線は、図示はしないが、建物ユニット2aに予め取り付けておくようにする。
ダクトスペース34配置箇所の上下は、予め工場で開口部を形成しておくようにする。
点検口39は、図示はしないが、予め工場で当該点検口39となる開口部を形成しておくようにする。
内部回転ガラリ40は、図示はしないが、予め工場で内壁23に形成された開口部に取り付けておくようにする。
図1に示す例において、矢印Yで指し示す位置の建物ユニット2aの場合は、吹出口33と、二つの内部回転ガラリ40,40が設けられる。上述のように吹出口33は、枠部33dを予め天井梁2dに取り付けておき、吹出口33そのものは建物ユニット2a内部に収納する。また、内部回転ガラリ40は、建物ユニット2aに取り付けられる内壁23(出入口上方の小壁等を含む)の開口部に予め取り付けておく。したがって、図1のY部における建物ユニット2aには、外壁22や内壁23の他にも、枠部33dや内部回転ガラリ40等が取り付けられ、吹出口33が収納されるようにして提供される。
現場では、このY部のような建物ユニット2aを組み立ててユニット式建物1の施工が行われるので、その施工作業を容易に行うことができる。
したがって、建築されるユニット式建物1ごとに、各アイコンIC1〜IC10が配置された箇所に対応した処理を適宜行うようにする。
また、設計段階において、各種構成要素31〜40を建物ユニット2aのどこの位置に組み付ければよいかを予め判明させておくことができるので、工場等では各種構成要素31〜40の建物ユニット2aへの組み付け位置を判明させる必要は無い。これによって、各種構成要素31〜40を、建物ユニット2aのうちの当該組み付け位置に、特に迷うことなく容易に組み付けることができる。
したがって、フリー設計を行う場合であっても全館空調システムを容易に採用することが可能となる。
また、各種構成要素31〜40のうち、建物ユニット2aに対して予め取付不可能なものを、当該建物ユニット2aの内部に収納するようにして予め提供しておくので、ユニット式建物1を施工する際に、現場での施工手間を極力省略することができる。すなわち、建物ユニット2aと予め取付不可能なものとを同時に輸送することができるとともに、現場では、予め取付不可能なものを取り出して建物ユニット2aに取り付けるだけで済むので、現場での施工手間を極力省略することが可能となる。
2 建物本体
2a 建物ユニット
3 屋根
3d 小屋裏空間
31 室内機
32 リターンガラリ
33 吹出口
34 ダクトスペース
35 分岐チャンバー
36 室外機
37a メインリモコン
37b サブリモコン
38 パイプスペース
39 点検口
40 内部回転ガラリ
A1〜A11 配置禁止箇所
B1〜B13 配置許可箇所
IC1 室内機アイコン
IC2 リターンガラリアイコン
IC3 吹出口アイコン
IC4 給気ダクトアイコン
IC5 分岐チャンバーアイコン
IC6 室外機アイコン
IC7a メインリモコンアイコン
IC7b サブリモコンアイコン
IC9 点検口アイコン
IC10 回転ガラリアイコン
Claims (5)
- 直方体状の建物ユニットを複数組み合わせてなる建物本体と、当該建物本体の上部に設けられる屋根とを備え、かつ前記建物本体に、複数の部屋全体の空調を行うための全館空調システムを設けてなるユニット式建物を、当該ユニット式建物の設計図を作成する作業を支援する建物設計用CADシステムによって設計するユニット式建物の設計方法であって、
前記建物設計用CADシステムに対し、予め、前記全館空調システムを構成する装置や部品等の構成要素を象徴するアイコンに係る情報を記憶しておくとともに、前記設計図における当該アイコンの配置禁止箇所を前記構成要素の種類ごとに設定しておき、
前記建物設計用CADシステムによって前記建物本体および前記屋根の設計図を作成した後、当該設計図上に、前記構成要素のアイコンをその種類ごとに前記配置禁止箇所以外の箇所に配置することを特徴とするユニット式建物の設計方法。 - 請求項1に記載のユニット式建物の設計方法において、
前記全館空調システムは、前記構成要素として、
空気調整機能を有し、かつ調整された空気を循環させる室内機と、
空気の循環経路における吸気側に位置し、かつ前記部屋に露出するリターンガラリと、
空気の循環経路における給気側に位置し、かつ前記部屋に露出する吹出口、および、前記室内機と当該吹出口とを接続する給気ダクトを配置するためのダクトスペースと、
前記室内機によって調整された空気を分岐させる分岐チャンバーと、
外気との熱交換を行い、かつ前記室内機と接続される室外機と、
前記部屋内の壁に設置されるリモコンと、
前記室内機と前記室外機とを接続する冷媒管等を配置するためのパイプスペースと、
前記屋根の小屋裏空間に出入りするための点検口と、を有することを特徴とするユニット式建物の設計方法。 - 請求項1または2に記載のユニット式建物の設計方法において、
前記配置禁止箇所は、前記設計図上に表示されないように設定されていることを特徴とするユニット式建物の設計方法。 - 請求項3に記載のユニット式建物の設計方法において、
前記建物設計用CADシステムは、前記構成要素のアイコンを前記配置禁止箇所に配置した際に、前記設計図上に、前記アイコンの配置の禁止を示すマークを表示する禁止マーク表示手段を備えており、
前記構成要素のアイコンを前記設計図上に配置するにあたり、前記禁止マーク表示手段によって前記設計図上に前記マークが表示された場合に、前記アイコンを、前記配置禁止箇所以外の箇所に配置することを特徴とするユニット式建物の設計方法。 - 請求項1〜4のいずれか一項に記載のユニット式建物の設計方法によって設計された設計図に従って、前記建物本体を構成する前記複数の建物ユニットを製造する建物ユニットの製造方法であって、
前記構成要素のうち、前記建物ユニットに対して予め取付可能なものを、当該建物ユニットに対して予め取り付けておき、
前記構成要素のうち、前記建物ユニットに対して予め取付不可能なものを、当該建物ユニットの内部に収納するようにして予め提供しておくことを特徴とする建物ユニットの製造方法。
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