JP2014124972A - 車両の制動制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】スプリット路を走行する車両に対してセレクトロー方式のアンチロックブレーキ制御を行うに際し、車両挙動の安定性を確保した上で車両の減速度を大きくすることができる車両の制動制御装置を提供する。
【解決手段】制御装置は、スプリット路を走行中の車両に対してアンチロックブレーキ制御を行うに際し、ヨーレート偏差ΔYrが大きいときには小さいときよりも、高μ側輪HFWに対する制動力を大きくする。
【選択図】図8

Description

本発明は、車輪のロックを抑制して車両の操舵性を確保するアンチロックブレーキ制御を行う車両の制動制御装置に関する。
アンチロックブレーキ制御として、いわゆるセレクトロー方式のアンチロックブレーキ制御が知られている。こうした制御では、左右両輪のうち車輪速度の遅い方の車輪が特定され、この車輪のスリップ量(又はスリップ率)に基づいて左右両輪に対する制動力を減少させる減少期間及び制動力を増大させる増大期間を含む制御サイクルが決定される。
特許文献1には、セレクトロー方式のアンチロックブレーキ制御を行う制動制御装置の一例が開示されている。この装置では、運転者によるブレーキ操作時に、左右両輪のスリップ量に基づいて車両の走行している路面がスプリット路であるか否かが判定される。なお、スプリット路とは、左輪に接地している路面のμ値が右輪に接地している路面のμ値と乖離している路面のことである。
そして、路面がスプリット路であるという条件下で、左右両輪のうち低μ路を走行する車輪(以下、「低μ側輪」ともいう。)のスリップ量が第1閾値を超えると、低μ側輪だけではなく高μ路を走行する車輪(以下、「高μ側輪」ともいう。)にもアンチロックブレーキ制御が開始される。すると、低μ側輪及び高μ側輪に対する制動力は、低μ側輪のスリップ量によって決定された減少期間ではそれぞれ減少され、増大期間ではそれぞれ増大される。
また、上記の制動制御装置にあっては、高μ側輪のロック傾向が監視される。すなわち、前回の増大期間を含む一の制御サイクルで高μ側輪のスリップ量が第1閾値よりも小さい第2の閾値を超えなかった場合、高μ側輪がロック傾向になりにくいと判断できるため、今回の増大期間での高μ側輪に対する制動力の増大勾配が、前回の増大期間での高μ側輪に対する制動力の増大勾配よりも急勾配にされる。その一方で、前回の増大期間を含む一の制御サイクルで高μ側輪のスリップ量が第2の閾値を超えていた場合、高μ側輪がロック傾向になりやすいと判断できるため、今回の増大期間での高μ側輪に対する制動力の増大勾配が、前回の増大期間での高μ側輪に対する制動力の増大勾配よりも緩勾配にされる。これにより、スプリット路を走行する車両挙動の安定性が確保されるようになる。
特開2009−179322号公報
ところで、近年では、車両がスプリット路を走行している際に上記のアンチロックブレーキ制御を行う場合であっても、車両挙動の安定性を確保した上で、車両の減速度をより大きくすることが希求されている。
本発明は、このような実情に鑑みて成されたものである。その目的は、スプリット路を走行する車両でセレクトロー方式のアンチロックブレーキ制御を行うに際し、車両挙動の安定性を確保した上で車両の減速度を大きくすることができる車両の制動制御装置を提供することにある。
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
上記課題を解決する車両の制動制御装置は、左右両輪のうち車輪速度(VW)の遅い第1の車輪(LFW)に対する制動力を減少させる減少期間(PD)には左右両輪のうち車輪速度(VW)の速い第2の車輪(HFW)に対する制動力を減少させ、第1の車輪(LFW)に対する制動力を増大させる増大期間(PI)には第2の車輪(HFW)に対する制動力を増大させるセレクトロー方式のアンチロックブレーキ制御を行う装置を前提としている。そして、同装置では、アンチロックブレーキ制御を行うに際し、第2の車輪(HFW)に対する制動力を、車両挙動の不安定傾向が小さいときには車両挙動の不安定傾向が大きいときよりも大きくする(S46、S48、S56、S58)ようにした。
車両がスプリット路を走行中に左右両輪に対して制動力が付与されているときには、低μ路に接地する車輪である低μ側輪が第1の車輪となりやすく、高μ路に接地する車輪である高μ側輪が第2の車輪となりやすい。この状態で低μ側輪のスリップ量が大きくなってアンチロックブレーキ制御の開始条件が成立すると、低μ側輪だけではなく高μ側輪に対する制動力が調整されるようになる。このとき、低μ側輪に対する制動力が減少される減少期間(PD)では高μ側輪に対する制動力も減少され、低μ側輪に対する制動力が増大される増大期間(PI)では高μ側輪に対する制動力も増大される。
そして、こうしたセレクトロー方式のアンチロックブレーキ制御の実行中では、第2の車輪に相当する高μ側輪に対する制動力は、車両挙動の不安定傾向が小さいときには不安定傾向が大きいときよりも大きくされる。そのため、車両挙動が安定しているという条件下では、車両全体の制動力が大きくなりやすい。したがって、スプリット路を走行する車両でセレクトロー方式のアンチロックブレーキ制御を行うに際し、車両挙動の安定性を確保した上で車両の減速度を大きくすることができるようになる。
ところで、第1の車輪に相当する低μ側輪のスリップ量によって決定される減少期間(PD)では、高μ側輪がロック傾向を示していない場合もある。こうした場合、減少期間(PD)での高μ側輪に対する制動力の減少量を極力少なくすることにより、車両全体の制動力を大きくすることができる。そこで、減少期間(PD)における第2の車輪(HFW)に対する制動力の減少量(DP_RR、DP_RL)を、車両挙動の不安定傾向が小さいときには車両挙動の不安定傾向が大きいときよりも少なくする(S46、S48)ことが好ましい。この制御構成を採用すると、スプリット路を走行する車両でセレクトロー方式のアンチロックブレーキ制御が行われている場合、車両挙動が安定しているという条件下では、第2の車輪に相当する高μ側輪に対する制動力が小さくなりにくい。そのため、車両全体の制動力を大きくすることが可能となる。したがって、車両挙動の安定性を確保した上で車両の減速度を大きくすることができるようになる。
なお、上記の減少量(DP_RR、DP_RL)を設定する方法としては、一例として、設定されている基本減少量(BDP)に減少補正係数(KREL)を掛け合わせる方法が挙げられる。この場合、減少補正係数(KREL)を、車両挙動の不安定傾向が小さいときには車両挙動の不安定傾向が大きいときよりも小さくする(S41)ようにしてもよい。
また、上記車両の制動制御装置において、増大期間(PI)における第2の車輪(HFW)に対する制動力の増大量(BP_RR、BP_RL)を、車両挙動の不安定傾向が小さいときには車両挙動の不安定傾向が大きいときよりも多くする(S56、S58)ことが好ましい。この制御構成を採用すると、スプリット路を走行する車両でセレクトロー方式のアンチロックブレーキ制御が行われている場合、車両挙動が安定しているという条件下では、第2の車輪に相当する高μ側輪に対する制動力が大きくなりやすい。そのため、車両全体の制動力を大きくすることが可能となる。したがって、車両挙動の安定性を確保した上で車両の減速度を大きくすることができるようになる。
なお、上記の増大量(BP_RR、BP_RL)を設定する方法としては、一例として、設定されている基本増大量(BBP)に増大補正係数(KAPP)を掛け合わせる方法が挙げられる。この場合、増大補正係数(KAPP)を、車両挙動の不安定傾向が小さいときには車両挙動の不安定傾向が大きいときよりも大きくする(S51)ようにしてもよい。
ここで、上記車両の制動制御装置では、車両操作態様に応じて設定される目標ヨーレート(Yr_Trg)と車両のヨーレート(Yr)との差分(|ΔYr|)が小さいときほど、車両挙動の不安定傾向が小さいとするようにしてもよい。これによれば、セレクトロー方式のアンチロックブレーキ制御の実行に起因する車両のヨーモーメントが小さいときには、車両挙動が安定していると判断できるため、高μ側輪に対する制動力が大きくされやすくなる。そのため、車両挙動の安定性を確保した上で車両の減速度をより大きくすることができるようになる。
車両の制動制御装置の一実施形態である制御装置を備える制動装置を模式的に示すブロック図。 ヨーレート偏差と減圧ゲインとの関係を示すマップ。 ヨーレート偏差と増圧ゲインとの関係を示すマップ。 セレクトロー方式のアンチロックブレーキ制御を行うために制御装置が実行する処理ルーチンを説明するフローチャート。 制動液圧変更処理ルーチンを説明するフローチャート。 減圧量演算処理ルーチンを説明するフローチャート。 増圧量演算処理ルーチンを説明するフローチャート。 スプリット路を走行する車両でセレクトロー方式のアンチロックブレーキ制御が実行される際において、(a)は低μ側輪及び高μ側輪の車輪速度が変化する様子を示すタイミングチャート、(b)はヨーレート偏差が変化する様子を示すタイミングチャート、(c)は減圧ゲイン及び増圧ゲインが変化する様子を示すタイミングチャート、(d)は低μ側輪に対応するホイールシリンダの液圧が変化する様子を示すタイミングチャート、(e)は高μ側輪に対応するホイールシリンダの液圧が変化する様子を示すタイミングチャート。
以下、車両の制動装置の一実施形態について図を参照して説明する。
図1に示すように、制動装置11は、複数(本実施形態では4つ)の車輪(右前輪FR、左前輪FL、右後輪RR、及び左後輪RL)を有する車両に搭載されている。この制動装置11は、ブレーキペダル12が連結される液圧発生装置20と、各車輪FR,FL,RR,RLに対する制動力を調整するブレーキアクチュエータ30と、ブレーキアクチュエータ30を制御する制動制御装置の一例としての制御装置40とを備えている。
液圧発生装置20には、運転者によるブレーキペダル12の操作力を倍力するブースタ21と、このブースタ21によって倍力された操作力に応じたブレーキ液圧(以下、「MC圧」ともいう。)を発生するマスタシリンダ22とが設けられている。そして、運転者によってブレーキ操作が行われている場合、マスタシリンダ22からは、その内部で発生したMC圧に応じたブレーキ液がブレーキアクチュエータ30を介して車輪FR,FL,RR,RLに個別対応するホイールシリンダ15a,15b,15c,15dに供給される。すると、車輪FR,FL,RR,RLには、ホイールシリンダ15a〜15dで発生するブレーキ液圧(以下、「WC圧」ともいう。)に応じた制動力が付与される。
ブレーキアクチュエータ30には、右前輪用のホイールシリンダ15a及び左後輪用のホイールシリンダ15dに接続される第1の液圧回路31と、左前輪用のホイールシリンダ15b及び右後輪用のホイールシリンダ15cに接続される第2の液圧回路32とが設けられている。そして、第1の液圧回路31には右前輪用の経路33a及び左後輪用の経路33dが設けられるとともに、第2の液圧回路32には左前輪用の経路33b及び右後輪用の経路33cが設けられている。こうした経路33a〜33dには、ホイールシリンダ15a〜15dのWC圧の増圧を規制する際に作動する常開型の電磁弁である増圧弁34a,34b,34c,34dと、WC圧を減圧させる際に作動する常閉型の電磁弁である減圧弁35a,35b,35c,35dとが設けられている。
また、液圧回路31,32には、ホイールシリンダ15a〜15dから減圧弁35a〜35dを介して流出したブレーキ液が一時貯留されるリザーバ361,362と、リザーバ361,362内に一時貯留されているブレーキ液を吸引して液圧回路31,32におけるマスタシリンダ22側に吐出するためのポンプ371,372とが設けられている。これら各ポンプ371,372は、同一の駆動モータ38の駆動によってポンプ作動する。
次に、制御装置40について説明する。
制御装置40の入力側インターフェースには、車輪FR,FL,RR,RLの車輪速度VWを検出するための車輪速度センサSE1,SE2,SE3,SE4及び車両のヨーレートYrを検出するためのヨーレートセンサSE5が電気的に接続されている。また、入力側インターフェースには、ステアリングホイール16の操舵角θを検出するための操舵角センサSE6及びブレーキペダル12の操作の有無を検出するためのブレーキスイッチSW1が電気的に接続されている。一方、制御装置40の出力側インターフェースには、各弁34a〜34d,35a〜35d及び駆動モータ38などが電気的に接続されている。そして、制御装置40は、各種センサSE1〜SE6及びブレーキスイッチSW1からの各種検出信号に基づき、各弁34a〜34d,35a〜35d及び駆動モータ38を制御する。
こうした制御装置40は、CPU、ROM及びRAMなどで構成されるマイクロコンピュータを有している。ROMには、CPUが実行する各種制御処理、各種マップ及び各種閾値などが予め記憶されている。また、RAMには、車両の図示しないイグニッションスイッチが「オン」である間に適宜書き換えられる各種の情報(車両の車体速度VSなど)が記憶される。
本実施形態の車両では、前輪FR,FLに対しては左右独立方式のアンチロックブレーキ制御(以下、「ABS制御」ともいう。)が行われ、後輪RR,RLに対してはセレクトロー方式のABS制御が行われるようになっている。左右独立方式のABS制御では、運転者によるブレーキ操作によって、例えば右前輪FRのスリップ量Slpがスリップ判定値SlpTh以上になると、右前輪FRに対してABS制御が開始される。しかし、このとき、左前輪FLのスリップ量Slpがスリップ判定値SlpTh未満である場合、左前輪FLにはABS制御が行われない。
これに対し、セレクトロー方式のABS制御では、運転者によるブレーキ操作によって、左右の両後輪RR,RLのうち少なくとも一方の後輪のスリップ量Slpがスリップ判定値SlpTh以上になると、両後輪RR,RLに対してABS制御が開始される。しかも、両後輪RR,RLに対する制御サイクルは同一サイクルとなっている。そのため、例えば右後輪RRに対応するホイールシリンダ15cのWC圧が減圧される減圧期間PDでは、左後輪RLに対応するホイールシリンダ15dのWC圧も減圧される。また、右後輪RRに対応するホイールシリンダ15cのWC圧が保圧される保圧期間PRでは、左後輪RLに対応するホイールシリンダ15dのWC圧も保圧される。さらに、右後輪RRに対応するホイールシリンダ15cのWC圧が増圧される増圧期間PIでは、左後輪RLに対応するホイールシリンダ15dのWC圧も増圧される。
なお、ホイールシリンダのWC圧の調整によって車輪に対する制動力を制御する車両にあっては、減圧期間PDが、後輪RR,RLに対する制動力を減少させる減少期間に相当し、保圧期間PRが、後輪RR,RLに対する制動力を保持させる保持期間に相当する。また、増圧期間PIが、後輪RR,RLに対する制動力を増大させる増大期間に相当する。また、以降の記載においては、「車輪に対応するホイールシリンダのWC圧」を単に「車輪に対するWC圧」というものとする。
ところで、運転者がブレーキ操作を行った際における車輪の減速度は、同車輪に対するWC圧、車輪の接地している路面のμ値などによって決まる。そのため、車両のスプリット路の走行中に運転者がブレーキ操作を行うと、低μ路に接地している車輪(以下、「低μ側輪」ともいう)LFWの減速度が、高μ路に接地している車輪(以下、「高μ側輪」ともいう)HFWの減速度よりも大きくなりやすい。すなわち、低μ側輪LFWのスリップ量Slpのほうが高μ側輪HFWのスリップ量Slpよりも大きくなりやすい。したがって、車両がスプリット路を走行する際にセレクトロー方式のABS制御が行われるときには、低μ側輪LFWのスリップ量Slpに基づいて、減圧期間PD、増圧期間PI(及び保圧期間PR)を含む制御サイクルが決定されやすい。なお、「スプリット路」とは、左側の車輪FL,RLの接地している路面のμ値が右側の車輪FR,RRの接地している路面のμ値と乖離する路面のことである。
そのため、低μ側輪LFWのスリップ量Slpの変化態様に基づいて制御サイクルが決定される場合、高μ側輪HFWに対するWC圧は、スリップ量Slpが未だ小さくても、即ち高μ側輪HFWがロック傾向を示していなくても又はロック傾向が小さくても、減圧期間PDでは減圧されることとなる。すなわち、ロック傾向を示しにくい高μ側輪HFWに対する制動力は、ロック傾向を示しやすい低μ側輪LFWのスリップ量Slpに左右されることとなる。
そこで、本実施形態では、セレクトロー方式のABS制御の実行中に車両挙動の不安定傾向を観察し、高μ側輪HFWに対する制動力を、車両挙動の安定性を確保した上で極力大きくしている。減圧期間PDにおいては、車両挙動の不安定傾向が小さいときには不安定傾向が大きいときよりも、減圧期間PD中での高μ側輪HFWに対するWC圧の減圧量が少なくされる。例えば、減圧期間PD中での高μ側輪HFWに対するWC圧の減圧量は、設定されている基本減少量としての基本減圧量BDPに、車両挙動の不安定傾向の大きさに応じて決定される減少補正係数としての減圧ゲインKRELを掛け合わせることにより設定される。
また、増圧期間PIにおいては、車両挙動の不安定傾向が小さいときには不安定傾向が大きいときよりも、増圧期間PI中での高μ側輪HFWに対する増圧量が多くされる。例えば、増圧期間PI中での高μ側輪HFWに対するWC圧の増圧量は、設定されている基本増大量としての基本増圧量BBPに、車両挙動の不安定傾向の大きさに応じて決定される増大補正係数としての増圧ゲインKAPPを掛け合わせることにより設定される。
このように減圧期間PD及び増圧期間PIで、高μ側輪HFWに対するWC圧の増減を車両挙動の不安定傾向の大きさに基づいて調整することにより、セレクトロー方式のABS制御の実行中であっても、車両挙動の安定性が確保された状態で車両全体の制動力が大きくされる。その結果、車両の制動距離の短縮化を図ることも可能となる。
本実施形態では、車両挙動の不安定傾向を示すパラメータとして、ヨーレート偏差ΔYrが採用されている。このヨーレート偏差ΔYrは、運転者による車両操作態様に応じて設定される目標ヨーレートYr_TrgとヨーレートセンサSE5によって検出されるヨーレートYrとを以下に示す関係式(式1)に代入することで求められる。そして、ヨーレート偏差の絶対値|ΔYr|が大きいときほど、車両挙動の不安定傾向が大きいと推定することができる。
なお、目標ヨーレートYr_Trgは、ステアリングホイール16の操舵角θ及び車両の車体速度VSに応じた値であって、以下に示す関係式(式2)を用いて演算することができる。関係式(式2)において、「SF」は車両のスタビリティファクタであり、「N」は車両のステアリング装置のギア比であり、「WB」は車両のホイールベース長である。
次に、図2を参照して、上記の減圧ゲインKRELを決定するためのマップについて説明する。
図2に示すマップは、ヨーレート偏差ΔYrと減圧ゲインKRELとの関係を示している。この図2に示すように、減圧ゲインKRELは、ヨーレート偏差ΔYrが「0(零)」であるときには最小値KREL_minに決定され、ヨーレート偏差ΔYrが「0(零)」よりも小さい第1の値ΔYr1未満であるときには最小値KREL_minよりも大きい最大値KREL_maxに決定される。そして、減圧ゲインKRELは、ヨーレート偏差ΔYrが「0(零)」未満且つ第1の値ΔYr1以上であるときには、ヨーレート偏差ΔYrが小さいほど大きい値に決定される。
減圧ゲインの最小値KREL_minは、「0(零)」以上であって且つ「1」未満の値に設定することが好ましい。これにより、ヨーレート偏差ΔYrが「0(零)」に近い値であるときには、減圧期間PD中での高μ側輪HFWに対するWC圧の減圧量が少ない値に決定されるようになる。本実施形態では、減圧ゲインの最小値KREL_minが「0(零)」であるものとする。この場合、ヨーレート偏差ΔYrが「0(零)」である場合、減圧期間PD中では高μ側輪HFWに対するWC圧が減圧されない。
その一方で、減圧ゲインの最大値KREL_maxは、「1」以上の値に設定することが好ましい。これにより、ヨーレート偏差ΔYrが小さい値であるときに、減圧期間PD中での高μ側輪HFWに対するWC圧の減圧量が大きい値に決定されるようになる。本実施形態では、減圧ゲインの最大値KREL_maxが「1」であるものとする。
次に、図3を参照して、上記の増圧ゲインKAPPを決定するためのマップについて説明する。
図3に示すマップは、ヨーレート偏差ΔYrと増圧ゲインKAPPとの関係を示している。この図3に示すように、増圧ゲインKAPPは、ヨーレート偏差ΔYrが「0(零)」であるときには最大値KAPP_maxに決定され、ヨーレート偏差ΔYrが「0(零)」よりも小さい第2の値ΔYr2未満であるときには最大値KAPP_maxよりも小さい最小値KAPP_minに決定される。そして、増圧ゲインKAPPは、ヨーレート偏差ΔYrが「0(零)」未満且つ第2の値ΔYr2以上であるときには、ヨーレート偏差ΔYrが小さいほど小さい値に決定される。なお、第2の値ΔYr2は、上記第1の値ΔYr1と同一値であってもよいし、第1の値ΔYr1とは異なる値であってもよい。
増圧ゲインの最大値KAPP_maxは、「1」以上の値に設定することが好ましい。これにより、ヨーレート偏差ΔYrが「0(零)」に近い値であるときに、増圧期間PI中での高μ側輪HFWに対するWC圧の増圧量が大きい値に決定されるようになる。本実施形態では、増圧ゲインの最大値KAPP_maxが「1.5」であるものとする。
その一方で、増圧ゲインの最小値KAPP_minは、「1」未満であって且つ「0(零)」以上の値に設定することが好ましい。これにより、ヨーレート偏差ΔYrが小さい値であるときに、増圧期間PI中での高μ側輪HFWに対するWC圧の増圧量が小さい値に決定されるようになる。特に最小値KAPP_minを「0(零)」とした場合、ヨーレート偏差ΔYrが第2の値ΔYr2以下である場合、増圧期間PI中では高μ側輪HFWに対するWC圧が増圧されない。本実施形態では、増圧ゲインの最小値KAPP_minが「0.5」であるものとする。
次に、図4〜図7に示すフローチャートを参照して、セレクトロー方式のABS制御を行うために制御装置40が実行する処理ルーチンについて説明する。図4に示す処理ルーチンは、ABS制御を行うためのメイン処理ルーチンであって、予め設定された所定周期毎に行われるものである。
まず始めに、図4に示すフローチャートを参照して、メイン処理ルーチンについて説明する。
図4に示すように、この処理ルーチンにおいて、制御装置40は、車輪速度センサSE1〜SE4から出力される検出信号に基づいた各車輪FR,FL,RR,RLの車輪速度VWを取得する(ステップS11)。続いて、制御装置40は、各車輪FR,FL,RR,RLの車輪速度VWのうち少なくとも一つの車輪の車輪速度VWに基づいて車体速度VSを演算する(ステップS12)。そして、制御装置40は、後輪RR,RLのスリップ量Slpを演算する(ステップS13)。すなわち、制御装置40は、車体速度VSから右後輪RRの車輪速度VWを差し引いた値を右後輪RRのスリップ量Slpとし、車体速度VSから左後輪RLの車輪速度VWを差し引いた値を左後輪RLのスリップ量Slpとする。
そして、制御装置40は、操舵角センサSE6から出力される検出信号に基づいたステアリングホイール16の操舵角θを取得し(ステップS14)、車体速度VS及び操舵角θを上記関係式(式2)に代入して目標ヨーレートYr_Trgを求める(ステップS15)。続いて、制御装置40は、ヨーレートセンサSE5から出力される検出信号に基づいたヨーレートYrを取得し(ステップS16)、目標ヨーレートYr_Trg及びヨーレートYrを上記関係式(式1)に代入してヨーレート偏差ΔYrを求める(ステップS17)。
そして、制御装置40は、セレクトロー方式のABS制御が実行中であるか否かを判定する(ステップS18)。ABS制御中である場合(ステップS18:YES)、制御装置40は、セレクトロー方式のABS制御の終了条件が成立しているか否かを判定する(ステップS19)。一方、ABS制御中でない場合(ステップS18:NO)、制御装置40は、セレクトロー方式のABS制御の開始条件が成立しているか否かを判定する(ステップS20)。
なお、セレクトロー方式のABS制御の開始条件は、運転者がブレーキ操作を行っていること、後輪RR,RLの少なくとも一方の車輪のスリップ量Slpがスリップ判定値SlpTh以上であることを含んでいる。また、セレクトロー方式のABS制御の終了条件は、車両が停止すること、又は運転者によるブレーキ操作が解消されることである。
ステップS19において、ABS制御の終了条件が成立していない場合(ステップS19:NO)、制御装置40は、その処理を後述するステップS21に移行する。一方、ABS制御の終了条件が成立している場合(ステップS19:YES)、制御装置40は、本処理ルーチンを一旦終了する。その後、制御装置40は、リザーバ361,362内におけるブレーキ液の残量がなくなるまでポンプ371,372を作動させた後に同ポンプ371,372を停止させる終了処理を行う。
ステップS20において、ABS制御の開始条件が成立していない場合(ステップS20:NO)、制御装置40は、本処理ルーチンを一旦終了する。一方、ABS制御の開始条件が成立している場合(ステップS20:YES)、制御装置40は、その処理を次のステップS21に移行する。
ステップS21において、制御装置40は、後輪RR,RLに対するWC圧を個別に変更する制動液圧変更処理を行う。なお、制動液圧変更処理については、図5を用いて後述する。その後、制御装置40は、本処理ルーチンを一旦終了する。
次に、図5に示すフローチャートを参照して、上記ステップS21の制動液圧変更処理ルーチンについて説明する。
図5に示すように、この処理ルーチンにおいて、制御装置40は、現在の期間が減圧期間PDであるか否かを判定する(ステップS31)。現在の期間が減圧期間PDである場合(ステップS31:YES)、制御装置40は、後輪RR,RLに対するWC圧の減圧量DP_RR,DP_RLを演算する減圧量演算処理を行う(ステップS32)。なお、この減圧量演算処理については、図6を用いて後述する。
そして、制御装置40は、演算した減圧量DP_RR,DP_RLに基づいて後輪RR,RLに対するWC圧を減圧させる減圧処理を行う(ステップS33)。この減圧処理において、制御装置40は、ポンプ371,372を作動させた状態で、後輪RR,RLに対応する増圧弁34c,34dを閉弁させるとともに、対応する減圧弁35c,35dを開弁させる。なお、増圧弁34a〜34d及び減圧弁35a〜35dは、PWM(Pulse Width Modulation)制御されている。そのため、制御装置40は、減圧弁35cのソレノイドに入力する制御信号のDuty比を減圧量DP_RRが大きいほど大きい比率に設定し、減圧弁35dのソレノイドに入力する制御信号のDuty比を減圧量DP_RLが大きいほど大きい比率に設定する。また、制御装置40は、増圧弁34c,34dのソレノイドに入力する制御信号のDuty比を例えば「100%」に設定する。その後、制御装置40は、本処理ルーチンを一旦終了する。
一方、先のステップS31において、現在の期間が減圧期間PDではない場合(ステップS31:NO)、制御装置40は、現在の期間が増圧期間PIであるか否かを判定する(ステップS34)。現在の期間が増圧期間PIである場合(ステップS34:YES)、制御装置40は、後輪RR,RLに対するWC圧の増圧量BP_RR,BP_RLを演算する増圧量演算処理を行う(ステップS35)。なお、この増圧量演算処理については、図7を用いて後述する。
そして、制御装置40は、演算した増圧量BP_RR,BP_RLに基づいて後輪RR,RLに対するWC圧を増圧させる増圧処理を行う(ステップS36)。この増圧処理において、制御装置40は、ポンプ371,372を作動させた状態で、後輪RR,RLに対応する増圧弁34c,34dを開弁させるとともに、対応する減圧弁35c,35dを閉弁させる。すなわち、制御装置40は、増圧弁34cのソレノイドに入力する制御信号のDuty比を増圧量BP_RRが大きいほど小さい比率に設定し、増圧弁34dのソレノイドに入力する制御信号のDuty比を増圧量BP_RLが大きいほど小さい比率に設定する。また、制御装置40は、減圧弁35c,35dのソレノイドに入力する制御信号のDuty比を「0%」に設定する。その後、制御装置40は、本処理ルーチンを一旦終了する。
また、先のステップS34において、現在の期間が増圧期間PIではない場合(ステップS34:NO)、現在の期間が保圧期間PRであるため、制御装置40は、後輪RR,RLに対するWC圧を保圧させる保圧処理を行う(ステップS37)。この保圧処理において、制御装置40は、ポンプ371,372を作動させた状態で、後輪RR,RLに対応する増圧弁34c,34d及び減圧弁35c,35dを閉弁させる。すなわち、制御装置40は、増圧弁34c,34dのソレノイドに入力する制御信号のDuty比を例えば「100%」に設定するとともに、減圧弁35c,35dのソレノイドに入力する制御信号のDuty比を「0%」に設定する。その後、制御装置40は、本処理ルーチンを一旦終了する。
次に、図6に示すフローチャートを参照して、上記ステップS32の減圧量演算処理ルーチンについて説明する。
図6に示すように、この処理ルーチンにおいて、制御装置40は、図2に示すマップを用いて、減圧ゲインKRELを上記ステップS17で演算したヨーレート偏差ΔYrに応じた値に決定する(ステップS41)。すなわち、このステップS41では、ヨーレート偏差ΔYrが大きいときには、同ヨーレート偏差ΔYrが小さいときよりも減圧ゲインKRELが小さい値に決定される。
続いて、制御装置40は、車両の走行中の路面がスプリット路であるか否かを判定する(ステップS42)。例えば、制御装置40は、右後輪RRのスリップ量Slpと左後輪RLのスリップ量Slpとの差分を演算し、この差分が所定のスプリット路判定値以上であるか否かを判定する。この場合、演算した差分がスプリット路判定値以上である場合には路面がスプリット路であると判定することができ、差分がスプリット路判定値未満である場合には路面がスプリット路ではないと判定することができる。
そして、路面がスプリット路ではない場合(ステップS42:NO)、制御装置40は、右輪減圧量DP_RR及び左輪減圧量DP_RLを予め設定された基本減圧量BDPとし(ステップS43)、本処理ルーチンを一旦終了する。
一方、路面がスプリット路である場合(ステップS42:YES)、制御装置40は、右後輪RRが高μ側輪HFWであるか否かを判定する(ステップS44)。すなわち、このステップS44では、右後輪RRが、左右の両後輪RR,RLのうち車輪速度VWの速い第2の車輪であるか否かが判定される。そして、右後輪RRが高μ側輪HFWである場合(ステップS44:YES)、右後輪RRが第2の車輪に相当し、左後輪RLが第1の車輪に相当することとなるため、制御装置40は、左輪減圧量DP_RLを基本減圧量BDPとする(ステップS45)。続いて、制御装置40は、設定した左輪減圧量DP_RL(=基本減圧量BDP)にステップS41で決定した減圧ゲインKRELを掛け合わせ、この乗算結果を右輪減圧量DP_RRとする(ステップS46)。そして、制御装置40は、本処理ルーチンを一旦終了する。
一方、左後輪RLが高μ側輪である場合(ステップS44:YES)、右後輪RRが第1の車輪に相当し、左後輪RLが第2の車輪に相当することとなるため、制御装置40は、右輪減圧量DP_RRを基本減圧量BDPとする(ステップS47)。続いて、制御装置40は、設定した右輪減圧量DP_RR(=基本減圧量BDP)にステップS41で決定した減圧ゲインKRELを掛け合わせ、この乗算結果を左輪減圧量DP_RLとする(ステップS48)。そして、制御装置40は、本処理ルーチンを一旦終了する。
次に、図7に示すフローチャートを参照して、上記ステップS35の増圧量演算処理ルーチンについて説明する。
図7に示すように、この処理ルーチンにおいて、制御装置40は、図3に示すマップを用いて、増圧ゲインKAPPを、上記ステップS17で演算したヨーレート偏差ΔYrに応じた値に決定する(ステップS51)。すなわち、このステップS51では、ヨーレート偏差ΔYrが大きいときには、同ヨーレート偏差ΔYrが小さいときよりも増圧ゲインKAPPが大きい値に決定される。
続いて、制御装置40は、車両の走行中の路面がスプリット路であるか否かを判定する(ステップS52)。そして、路面がスプリット路ではない場合(ステップS52:NO)、制御装置40は、右輪増圧量BP_RR及び左輪増圧量BP_RLを基本増圧量BBPとし、本処理ルーチンを一旦終了する。
一方、路面がスプリット路である場合(ステップS52:YES)、制御装置40は、右後輪RRが高μ側輪HFWであるか否かを判定する(ステップS54)。すなわち、このステップS54では、右後輪RRが、左右の両後輪RR,RLのうち車輪速度VWの速い第2の車輪であるか否かが判定される。右後輪RRが高μ側輪HFWである場合(ステップS54:YES)、右後輪RRが第2の車輪に相当し、左後輪RLが第1の車輪に相当することとなるため、制御装置40は、左輪増圧量BP_RLを基本増圧量BBPとする(ステップS55)。続いて、制御装置40は、設定した左輪増圧量BP_RL(=基本増圧量BBP)にステップS51で決定した増圧ゲインKAPPを掛け合わせ、この乗算結果を右輪増圧量BP_RRとする(ステップS56)。そして、制御装置40は、本処理ルーチンを一旦終了する。
一方、左後輪RLが高μ側輪HFWである場合(ステップS54:NO)、右後輪RRが第1の車輪に相当し、左後輪RLが第2の車輪に相当することとなるため、制御装置40は、右輪増圧量BP_RRを基本増圧量BBPとする(ステップS57)。続いて、制御装置40は、設定した右輪増圧量BP_RR(=基本増圧量BBP)にステップS51で決定した増圧ゲインKAPPを掛け合わせ、この乗算結果を左輪増圧量BP_RLとする(ステップS58)。そして、制御装置40は、本処理ルーチンを一旦終了する。
次に、図8に示すタイミングチャートを参照して、スプリット路を直進走行する車両でセレクトロー方式のABS制御が行われる際の動作について説明する。ここでは、左右の両後輪RR,RLのうち、右後輪RRが低μ路に接地し、左後輪RLが高μ路に接地しているものとする。
なお、図8(a)では、低μ側輪LFW(この場合、右後輪RR)の車輪速度VWが実線で描かれ、高μ側輪HFW(この場合、左後輪RL)の車輪速度VWが破線で描かれている。そして、運転者によるブレーキ操作中においては、左後輪RLがロック傾向を示さないため、即ち左後輪RLのスリップ量Slpがほぼ「0(零)」となるため、車両の車体速度VSが左後輪RLの車輪速度VWにほぼ一致するものとする。
また、図8(d),(e)には、比較例のセレクトロー方式のABS制御が図示されている。この比較例では、低μ側輪LFWに対するWC圧は、本実施形態の場合と同じように減圧されたり増圧されたりする。その一方で、増圧期間PI中における高μ側輪HFWに対するWC圧の増圧勾配が本実施形態の場合と異なっている。すなわち、低μ側輪LFWのスリップ量Slpがスリップ判定値SlpTh未満の状態からスリップ判定値SlpTh以上になる回数であるロック回数が計測される。そして、ロック回数が「2」未満である場合、増圧期間PI中における高μ側輪HFWに対するWC圧の増圧勾配は、低μ側輪LFWに対するWC圧の増圧勾配と同等とされる。一方、ロック回数が「2」以上になった場合、増圧期間PI中における高μ側輪HFWに対するWC圧の増圧勾配は、前回の増圧期間PIでの増圧勾配よりも急勾配とされる。ただし、前回の増圧期間PIを含む一の制御サイクルで高μ側輪HFWのスリップ量Slpが、スリップ判定値SlpThよりも小さい基準値以上になっていた場合、今回の増圧期間PI中における高μ側輪HFWに対するWC圧の増圧勾配が、前回の増圧期間PIでの増圧勾配よりも緩勾配とされる。
図8(a),(d),(e)に示すように、第1のタイミングt1で運転者によるブレーキ操作が開始されると、低μ側輪LFW及び高μ側輪HFWに対するWC圧がそれぞれ増圧される。すると、低μ側輪LFW及び高μ側輪HFWに対する制動力が増大され、これらの車輪速度VWが低下し始める。
このとき、低μ側輪LFWは、高μ側輪HFWと比較して急激に減速され、高μ側輪HFWと低μ側輪LFWとの車輪速度差が次第に大きくなる。すると、図8(b)に示すように、車両挙動の不安定傾向を示すパラメータであるヨーレート偏差ΔYrが「0(零)」から負側に乖離していく、即ちヨーレート偏差ΔYrが次第に小さくなる。そのため、図8(c)に示すように、ヨーレート偏差ΔYrが小さくなるに連れて、減圧ゲインKRELが次第に大きくなる一方で、増圧ゲインKAPPが次第に小さくなる。
そして、図8(a)に示すように、第2のタイミングt2では、低μ側輪LFWのスリップ量Slpがスリップ判定値SlpThに達するため、セレクトロー方式のABS制御が開始される。すると、図8(d),(e)に示すように、低μ側輪LFW及び高μ側輪HFWに対するWC圧が減圧される。このとき、低μ側輪LFWに対するWC圧は、低μ側輪LFWのロック傾向を速やかに解消させるべく急激に減圧される。
これに対し、高μ側輪HFWに対するWC圧は、低μ側輪LFWに対するWC圧の減圧勾配とは異なる勾配で減圧される。すなわち、図8(e)にて実線で示すように、今回の減圧期間PDでの高μ側輪HFWに対するWC圧の減圧量が、低μ側輪LFWに対するWC圧の減圧量よりも少なくなる。しかも、ヨーレート偏差ΔYrが「0(零)」に近いときにはヨーレート偏差ΔYrが「0(零)」から乖離しているときよりも車両挙動が安定していると判断できるため、高μ側輪HFWに対するWC圧が緩やかに減圧される。
ここで、図8(e)にて破線で示すように、比較例では、高μ側輪HFWに対するWC圧が、低μ側輪LFWに対するWC圧と同じ勾配で減圧される。そのため、初回の減圧期間PDが終了される第3のタイミングt3では、本実施形態における高μ側輪HFWに対するWC圧が、比較例における高μ側輪HFWに対するWC圧よりも高圧となる。すなわち、本実施形態では、減圧期間PDにおける高μ側輪HFWに対する制動力が比較例の場合よりも小さくなりにくい。
ただし、本実施形態では、減圧期間PDでの高μ側輪HFWに対するWC圧の減圧勾配は、ヨーレート偏差ΔYrによって決まる。そのため、第2のタイミングt2から第3のタイミングt3までのようにヨーレート偏差ΔYrが次第に小さくなるときには、車両挙動の不安定傾向が次第に大きくなっていると推定できるため、WC圧の減圧勾配が次第に急勾配になる。
そして、減圧期間PDが終了する第3のタイミングt3から第5のタイミングt5までは、低μ側輪LFW及び高μ側輪HFWに対するWC圧が保圧される保圧期間PRとされる。この保圧期間PRでは、図8(a)に示すように、低μ側輪LFWに対する制動力が小さい状態で保持されるため、低μ側輪LFWの車輪速度VWが次第に速くなり、スリップ量Slpが次第に小さくなる。すると、図8(b)に示すように、ヨーレート偏差ΔYrが次第に大きくなって「0(零)」に近づく。本実施形態では、第5のタイミングt5よりも前に、ヨーレート偏差ΔYrが「0(零)」となり、その後の第6のタイミングt6まではヨーレート偏差ΔYrが「0(零)」となる。
また、図8(d),(e)に示すように、保圧期間PRでは、低μ側輪LFWに対するWC圧よりも高μ側輪HFWに対するWC圧のほうが高圧となっている。すなわち、本実施形態での保圧期間PRでは、比較例の保圧期間PRよりも高μ側輪HFWに対する制動力が大きい値で保持されている。そのため、保圧期間PRでの車両全体の制動力が、比較例の場合よりも大きい。
また、保圧期間PRでは、低μ側輪LFWの車輪速度VWが高μ側輪HFWの車輪速度VWに向けて速くなる。すると、第5のタイミングt5よりも前の第4のタイミングt4で、低μ側輪LFWのスリップ量Slpがスリップ判定値SlpTh未満となる。そして、第5のタイミングt5に達すると、低μ側輪LFWの車輪速度VWが高μ側輪HFWの車輪速度VWとほぼ一致するようになる。すると、この第5のタイミングt5からは、低μ側輪LFW及び高μ側輪HFWに対するWC圧の増圧が開始される。すなわち、第5のタイミングt5から第7のタイミングt7までが、増圧期間PIとされる。
本実施形態では、図8(b)に示すように、第5のタイミングt5から、第7のタイミングt7よりも前の第6のタイミングt6までは、ヨーレート偏差ΔYrが変化していない。この場合、ヨーレート偏差ΔYrがほぼ「0(零)」であるため、増圧ゲインKAPPは、最大値KAPP_max又はこの最大値KAPP_maxに近い値に決定されている。そのため、図8(d),(e)に示すように、高μ側輪HFWに対するWC圧は、低μ側輪LFWに対するWC圧と比較して急勾配で増圧される。
ただし、図8(a)に示すように、第6のタイミングt6以降では、WC圧の増圧によって低μ側輪LFWの車輪速度VWが急激に低下し始め、低μ側輪LFWと高μ側輪HFWとの車輪速度差が次第に大きくなる。そのため、図8(b)に示すように、ヨーレート偏差ΔYrが次第に小さくなる。その結果、第6のタイミングt6以降にあっては、増圧ゲインKAPPが次第に小さくなるため、高μ側輪HFWに対するWC圧の増圧勾配が次第に緩やかになる。
ここで、比較例の場合にあっては、第2のタイミングt2から第5のタイミングt5までの期間では、低μ側輪LFWのスリップ量Slpがスリップ判定値SlpTh以上になったロック回数は「1」である。そのため、高μ側輪HFWに対するWC圧の増圧勾配は、低μ側輪LFWに対するWC圧の増圧勾配と同等とされる。そのため、第5のタイミングt5から第7のタイミングt7までの増圧期間PIでは、高μ側輪HFWに対する制動力が本実施形態の場合と比較して小さい。言い換えると、本実施形態では、この増圧期間PIでの車両全体の制動力が比較例の場合よりも大きくなる。
また、第2のタイミングt2から第7のタイミングまでが減圧から増圧までを繰り返すセレクトロー方式のABS制御の1回の制御サイクルであり、本実施形態では、この1回の制御サイクル期間において、高μ側輪HFWに対する制動力が低μ側輪LFWに対する制動力よりも大きくなるように制御される。
そして、第7のタイミングt7になると、低μ側輪LFWのスリップ量Slpがスリップ判定値SlpTh以上になるため、低μ側輪LFW及び高μ側輪HFWに対するWC圧の減圧が開始される。図8(b)に示すように、第7のタイミングt7から第8のタイミングt8までの間では、ヨーレート偏差ΔYrが次第に小さくなるため、減圧ゲインKRELは、ヨーレート偏差ΔYrが小さくなるに連れて次第に大きくなるものの、最大値KREL_max(=1)未満となる。そのため、この減圧期間PDにおける高μ側輪HFWに対するWC圧の減圧勾配は、時間が経過するに連れて次第に緩やかにはなるものの、低μ側輪LFWに対するWC圧の減圧勾配(即ち、比較例での高μ側輪HFWに対するWC圧の減圧勾配)よりも急勾配で維持される。したがって、本実施形態では、第7のタイミングt7から第8のタイミングt8までの減圧期間PDでも、高μ側輪HFWに対する制動力が比較例の場合よりも大きくなる。
そして、第8のタイミングt8で減圧期間PDが終了すると、低μ側輪LFW及び高μ側輪HFWに対するWC圧の保圧が開始される。すなわち、第8のタイミングt8から次の第9のタイミングt9までは、第3のタイミングt3から第5のタイミングt5までと同様に保圧期間PRとなる。
そして、第9のタイミングt9で、低μ側輪LFWの車輪速度VWが高μ側輪HFWの車輪速度VWとほぼ一致するようになると、低μ側輪LFW及び高μ側輪HFWに対するWC圧の増圧が開始される。本実施形態では、第9のタイミングt9から第11のタイミングt11までの今回の増圧期間PIでは、前回の増圧期間PIと同様に、高μ側輪HFWに対するWC圧の増圧勾配が、ヨーレート偏差ΔYrの大きさ、即ち増圧ゲインKAPPによって決まる。第9のタイミングt9から、第11のタイミングt11よりも前の第10のタイミングt10までは、増圧ゲインKAPPが最大値KAPP_maxで保持されているのに対し、第10のタイミングt10から第11のタイミングt11までは、増圧ゲインKAPPが次第に小さくなる。そのため、高μ側輪HFWに対するWC圧の増圧勾配は、第10のタイミングt10以降では次第に緩やかになる。
これに対し、比較例の場合においては、低μ側輪LFWでのロック回数が「2回」となっているとともに、前回の増圧期間PIを含む一の制御サイクルで高μ側輪HFWのスリップ量Slpが上記の基準値以上になっていない。そのため、今回の増圧期間PIにおいては、高μ側輪HFWに対するWC圧の増圧勾配が低μ側輪LFWに対するWC圧の増圧勾配よりも急勾配となる。
しかし、比較例にあっては、第11のタイミングt11から第12のタイミングt12までの減圧期間PDで、高μ側輪HFWのスリップ量Slpがほぼ「0(零)」であるにも拘わらず、高μ側輪HFWに対するWC圧が急激に減圧される。
これに対し、本実施形態にあっては、第11のタイミングt11から第12のタイミングt12までの減圧期間PDでも、それ以前の減圧期間PDと同様に、高μ側輪HFWに対するWC圧の減圧勾配は、ヨーレート偏差ΔYr、即ち減圧ゲインKRELによって決まる。そのため、比較例の場合と比較して、WC圧の減圧勾配が緩やかになりやすい。
以上説明したように、本実施形態では、以下に示す効果を得ることができる。
(1)車両のスプリット路の走行中にセレクトロー方式のABS制御が左右の両後輪RR,RLに実施されるに際し、車両挙動の不安定傾向が小さい場合における高μ側輪HFWに対する制動力は車両挙動の不安定傾向が大きい場合よりも大きくされる。そのため、車両挙動が安定しているという条件下では、車両全体に対する制動力をより大きくすることが可能となる。したがって、スプリット路を走行する車両でセレクトロー方式のABS制御を行うに際し、車両挙動の安定性を確保した上で車両の減速度をより大きくすることができるようになる。
(2)その一方で、車両挙動の不安定傾向が大きいときには、高μ側輪HFWに対する制動力が、車両挙動の不安定傾向が小さいときよりも小さくされる。そのため、車両挙動の安定性の低下を抑制することができるようになる。
(3)本実施形態では、車両挙動の不安定傾向が小さいときにおける減圧期間PDでの高μ側輪HFWに対するWC圧の減圧勾配は、車両挙動の不安定傾向が大きいときよりも緩勾配とされる。すなわち、減圧期間PDにおいては、高μ側輪HFWに対する制動力が小さくなりにくい。したがって、車両挙動の不安定傾向が許容範囲に収まるという条件下で車両全体の制動力を大きくすることができるようになる。
(4)また、本実施形態では、車両挙動の不安定傾向が小さいときにおける増圧期間PIでの高μ側輪HFWに対するWC圧の増圧勾配は、車両挙動の不安定傾向が大きいときよりも急勾配とされる。すなわち、増圧期間PIにおいては、高μ側輪HFWに対する制動力が大きくなりやすい。したがって、車両挙動の不安定傾向が許容範囲に収まるという条件下で車両全体の制動力を大きくすることができるようになる。
(5)増圧ゲインKAPP及び減圧ゲインKRELは、ヨーレート偏差ΔYrが変わる毎に更新される。そのため、一の増圧期間PI中であっても、増圧ゲインKAPPが変更されると、変更後の増圧ゲインKAPPに基づいて高μ側輪HFWに対するWC圧の増圧量が変更されることとなる。したがって、一の増圧期間PIでは、同増圧期間PIの開始時の増圧ゲインKAPPに基づいた高μ側輪HFWに対するWC圧の増圧量で固定される場合よりも、車両挙動の安定性向上と車両の減速度の上昇との両立を図ることができるようになる。
同様に、一の減圧期間PD中であっても、減圧ゲインKRELが変更されると、変更後の減圧ゲインKRELに基づいて高μ側輪HFWに対するWC圧の減圧量が変更されることとなる。したがって、一の減圧期間PDでは、同減圧期間PDの開始時の減圧ゲインKRELに基づいた高μ側輪HFWに対するWC圧の減圧量で固定される場合よりも、車両挙動の安定性向上と車両の減速度の上昇との両立を図ることができるようになる。
(6)増圧ゲインKAPPの最大値KAPP_maxを「2」とし、最小値KAPP_minを「1」とすることも考えられる。この場合、本実施形態の場合と比較して、増圧期間PIでの高μ側輪HFWに対するWC圧の増圧勾配を急勾配にすることが可能となる。その一方で、増圧期間PIの終了後における高μ側輪HFWに対するWC圧が本実施形態の場合よりも大きいため、減圧期間PDでは、本実施形態の場合よりも高μ側輪HFWに対するWC圧を大幅に減圧させることとなり得る。すなわち、高μ側輪HFWに対する制動力の増減が大きくなりやすい。
この点、本実施形態では、増圧ゲインKAPPの最大値KAPP_maxを「2」よりも小さい値(1)とし、最小値KAPP_minを「1」よりも小さい値(0.5)としている。そのため、上記の場合と比較して、増圧期間PIの終了後における高μ側輪HFWに対するWC圧が小さくなるものの、減圧期間PDでの高μ側輪HFWに対するWC圧の減圧量が少なくなりやすい。すなわち、高μ側輪HFWに対する制動力の変動幅が小さくなる。したがって、セレクトロー方式のABS制御中における車両の制動力の変動幅が小さくなる分、セレクトロー方式のABS制御中におけるドライバビリティを向上させることができるようになる。
(7)図4〜図7に示す各処理ルーチンを実行すると、車両がスプリット路を走行していないときにも、左右の両後輪RR,RLのうち車輪速度VWの速いほうの車輪に対する制動力の変動態様をヨーレート偏差ΔYrによって調整することも可能となる。こうした場合としては、右後輪RRに対するブレーキの効きと左後輪RLに対するブレーキの効きとに乖離がある場合などが挙げられる。この場合、ブレーキの効きのよくない方の車輪が、スリップ量Slpが小さくなりやすいため、高μ側輪HFWと判断される。すなわち、ブレーキの効きのよくない方の車輪に対するWC圧の減圧勾配や増圧勾配が、ヨーレート偏差ΔYrによって決まるようになる。こうした場合であっても、車両がスプリット路を走行している場合と同様に、車両の安定性を確保した上で車両の減速度をより大きくすることができるようになる。
なお、右後輪RRに装着されるタイヤと左後輪RLに装着されるタイヤの摩耗度合に乖離がある場合でも、左右の両後輪RR,RLのうち車輪速度VWの速いほうの車輪に対する制動力の変動態様をヨーレート偏差ΔYrによって調整することも可能となる。
(8)本実施形態では、車両挙動の不安定傾向を示すパラメータとして、ヨーレート偏差ΔYrを採用している。セレクトロー方式のABS制御の実行に起因する車両のヨーモーメントが小さいときには、車両挙動が安定していると判断できるため、高μ側輪に対する制動力が大きくされる。そのため、車両挙動の安定性を確保した上で車両の減速度をより大きくすることができるようになる。
なお、上記実施形態は以下のような別の実施形態に変更してもよい。
・セレクトロー方式のABS制御の実行されない右前輪FRと左前輪FLとの車輪速度差に基づいて車両挙動の不安定傾向を推定するようにしてもよい。この場合、右前輪FRと左前輪FLとの車輪速度差が大きいほど車両挙動の不安定傾向が大きいと推定することができる。
・減圧ゲインの最大値KREL_max、減圧ゲインの最小値KREL_min、増圧ゲインの最大値KAPP_max、増圧ゲインの最小値KAPP_minは適宜設定してもよい。例えば、減圧ゲインの最大値KREL_maxを「1」以上としてもよいし、減圧ゲインの最小値KREL_minを「0(零)」以下としてもよい。
・低μ側輪用の基本増圧量BBPと高μ側輪用の基本増圧量BBPとをそれぞれ用意し、高μ側輪用の基本増圧量BBPを適宜変更するようにしてもよい。例えば、前回の増圧期間PIを含む一の制御サイクルで高μ側輪HFWのスリップ量Slpが上記基準値以上にならなかった場合には、高μ側輪用の基本増圧量BBPを大きい値に変更するようにしてもよい。この場合、上記実施形態の場合と比較して、増圧期間PIでの高μ側輪HFWに対するWC圧の増圧勾配をより急勾配にすることが可能となり、車両全体に対する制動力をより大きくすることができるようになる。ただし、前回の増圧期間PIを含む一の制御サイクルで高μ側輪HFWのスリップ量Slpが上記基準値以上になっていた場合には、高μ側輪用の基本増圧量BBPを小さい値に変更することが好ましい。これにより、車両挙動の安定性を確保した上で車両の減速度をより大きくすることが可能となる。
・低μ側輪用の基本減圧量BDPと高μ側輪用の基本減圧量BDPとをそれぞれ用意し、高μ側輪用の基本減圧量BDPを適宜変更するようにしてもよい。例えば、前回の減圧期間PDを含む一の制御サイクルで高μ側輪HFWのスリップ量Slpが上記基準値以上にならなかった場合には、高μ側輪用の基本増圧量BBPを小さい値に変更するようにしてもよい。この場合、上記実施形態の場合と比較して、減圧期間PDでの高μ側輪HFWに対するWC圧の減圧勾配をより緩勾配にすることが可能となり、車両全体に対する制動力をより大きくすることができるようになる。ただし、前回の減圧期間PDを含む一の制御サイクルで高μ側輪HFWのスリップ量Slpが上記基準値以上になっていた場合には、高μ側輪用の基本減圧量BDPを大きい値に変更することが好ましい。これにより、車両挙動の安定性を確保した上で車両の減速度をより大きくすることが可能となる。
・増圧期間PIにおいては、高μ側輪HFWに対するWC圧の増圧勾配を、ヨーレート偏差ΔYrには関係なく決定するようにしてもよい。例えば、高μ側輪HFWに対応する増圧弁のソレノイドに入力される制御信号のDuty比を、低μ側輪LFWに対応する増圧弁のソレノイドに入力される制御信号のDuty比と同一比としてもよい。この場合であっても、減圧期間PDにおける高μ側輪HFWに対するWC圧の減圧勾配を、ヨーレート偏差ΔYrが大きいときにはヨーレート偏差ΔYrが小さいときよりも緩勾配にすることにより、上記(1)〜(3)の効果を得ることができる。
・減圧期間PDにおいては、高μ側輪HFWに対するWC圧の減圧勾配を、ヨーレート偏差ΔYrには関係なく決定するようにしてもよい。例えば、高μ側輪HFWに対応する減圧弁のソレノイドに入力される制御信号のDuty比を、低μ側輪LFWに対応する減圧弁のソレノイドに入力される制御信号のDuty比と同一比としてもよい。この場合であっても、増圧期間PIにおける高μ側輪HFWに対するWC圧の増圧勾配を、ヨーレート偏差ΔYrが大きいときにはヨーレート偏差ΔYrが小さいときよりも急勾配にすることにより、上記(1),(2),(4)の効果を得ることができる。
・増圧期間PIが開始された場合には、増圧ゲインKAPPを、同増圧期間PIの開始時点のヨーレート偏差ΔYrに応じた値で固定するようにしてもよい。この場合、一の増圧期間PI中では、増圧弁に入力する制御信号のDuty比が変更されない。したがって、増圧期間PI中における制御装置40の制御負荷を軽減させることが可能となる。
・減圧期間PDが開始された場合には、減圧ゲインKRELを、同減圧期間PDの開始時点のヨーレート偏差ΔYrに応じた値で固定するようにしてもよい。この場合、一の減圧期間PD中では、減圧弁に入力する制御信号のDuty比が変更されない。したがって、減圧期間PD中における制御装置40の制御負荷を軽減させることが可能となる。
・ABS制御の制御サイクルは、減圧期間PDと増圧期間PIとを含んでいれば保圧期間PRを含んでいなくてもよい。
・左右の両前輪FR,FLに対して、セレクトロー方式のABS制御を行うようにしてもよい。この場合、左右の両後輪RR,RLに対しては左右独立方式のABS制御を行うことが好ましい。
・ブレーキアクチュエータとしては、左右の両前輪用のホイールシリンダ15a,15bが一方の液圧回路に連結され、左右の両後輪用のホイールシリンダ15c,15dが他方の液圧回路に連結される構成であってもよい。
・制動装置は、車輪FR,FL,RR,RL毎に設けられる電動ブレーキ装置を備える装置であってもよい。この場合、車輪FR,FL,RR,RLに対する制動力は、対応する電動ブレーキ装置が備えるモータの駆動力の調整によって制御されることとなる。
・制御装置40が搭載される車両は、3輪の車輪を有する車両であっても、5輪以上の車輪を有する車両であってもよい。
・制御装置40は、例えば、右前輪FR及び左後輪RLや左前輪FL及び右後輪RRなど、対角の左右輪に対してセレクトロー方式のABS制御を行ってもよい。
40…制動制御装置としての制御装置、FR,FL,RR,RL…車輪、LFW…第1の車輪の一例としての低μ側輪、HFW…第2の車輪の一例としての高μ側輪、VS…車体速度、VW…車輪速度、Yr…ヨーレート、Yr_Trg…目標ヨーレート、ΔYr…差分の一例としてのヨーレート偏差、PD…減少期間の一例としての減圧期間、PI…増大期間の一例としての増圧期間、BDP…基本減少量としての基本減圧量、BBP…基本増大量としての基本増圧量、KREL…減少補正係数としての減圧ゲイン、KAAP…増大補正係数としての増圧ゲイン、DP_RR,DP_RL…減少量の一例としての減圧量、BP_RR,BP_RL…増大量の一例としての増圧量。

Claims (6)

  1. 左右両輪のうち車輪速度(VW)の遅い第1の車輪(LFW)に対する制動力を減少させる減少期間(PD)には前記左右両輪のうち車輪速度(VW)の速い第2の車輪(HFW)に対する制動力も減少させ、前記第1の車輪(LFW)に対する制動力を増大させる増大期間(PI)には前記第2の車輪(HFW)に対する制動力も増大させるセレクトロー方式のアンチロックブレーキ制御を行う車両の制動制御装置において、
    前記アンチロックブレーキ制御を行うに際し、前記第2の車輪(HFW)に対する制動力を、車両挙動の不安定傾向が小さいときには車両挙動の不安定傾向が大きいときよりも大きくする(S46、S48、S56、S58)
    ことを特徴とする車両の制動制御装置。
  2. 前記減少期間(PD)における前記第2の車輪(HFW)に対する制動力の減少量(DP_RR、DP_RL)を、車両挙動の不安定傾向が小さいときには車両挙動の不安定傾向が大きいときよりも少なくする(S46、S48)
    請求項1に記載の車両の制動制御装置。
  3. 前記減少期間(PD)における前記第2の車輪(HFW)に対する制動力の減少量(DP_RR、DP_RL)は、設定されている基本減少量(BDP)に減少補正係数(KREL)を掛け合わせて設定されるようになっており(S46、S48)、
    前記減少補正係数(KREL)を、車両挙動の不安定傾向が小さいときには車両挙動の不安定傾向が大きいときよりも小さくする(S41)
    請求項2に記載の車両の制動制御装置。
  4. 前記増大期間(PI)における前記第2の車輪(HFW)に対する制動力の増大量(BP_RR、BP_RL)を、車両挙動の不安定傾向が小さいときには車両挙動の不安定傾向が大きいときよりも多くする(S56、S58)
    請求項1〜請求項3の何れか一項に記載の車両の制動制御装置。
  5. 前記増大期間(PI)における前記第2の車輪(HFW)に対する制動力の増大量(BP_RR、BP_RL)は、設定されている基本増大量(BBP)に増大補正係数(KAPP)を掛け合わせて設定されるようになっており(S56、S58)、
    前記増大補正係数(KAPP)を、車両挙動の不安定傾向が小さいときには車両挙動の不安定傾向が大きいときよりも大きくする(S51)
    請求項4に記載の車両の制動制御装置。
  6. 車両操作態様に応じて設定される目標ヨーレート(Yr_Trg)と車両のヨーレート(Yr)との差分(|ΔYr|)が小さいときほど、車両挙動の不安定傾向が小さいとする
    請求項1〜請求項5の何れか一項に記載の車両の制動制御装置。
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