JP2005193847A - 車輌の挙動制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】車輌の通常走行時に於ける車輌の不安定な挙動を確実に安定化させつつ、車輌が旋回走行時又は左右の路面の摩擦係数が異なる走行路での走行時に制動される場合に不必要な挙動安定化制御が実行されることを効果的に防止する。
【解決手段】ヨーレートYrに基づき挙動悪化の程度を示す第一の指標値ΔYrが演算され(S20)、左右の車輪速度差に基づき挙動悪化の程度を示す第二の指標値ΔYrwが演算され(S40)、少なくとも第一の指標値が第一の基準値Yro以上であり且つ第二の指標値が第二の基準値Yrwo以上であるときに(S30、100)、第一の指標値に応じて所定の車輪の制動力が制御されることにより挙動安定化制御が行われ(S140〜160)、車輌が旋回走行時又は左右の路面の摩擦係数が異なる走行路での走行時に制動されるときには(S50、70)、第二の基準値が大きくされる(S60、80)。
【選択図】図2

Description

本発明は、車輌の挙動制御装置に係り、更に詳細には所定の車輪の制動力を制御することにより車輌の挙動安定化制御を行う車輌の挙動制御装置に係る。
自動車等の車輌の挙動制御装置の一つとして、例えば本願出願人の出願にかかる下記の特許文献1に記載されている如く、基準ヨーレートと検出ヨーレートとの偏差の大きさがその基準値を越えており且つ基準ヨーレートと左右の車輪の車輪速度に基づき演算される推定ヨーレートとの偏差の大きさ若しくは基準ヨーレートと車輌の横加速度に基づき演算される推定ヨーレートとの偏差の大きさがそれぞれ対応する基準値を越えているときに車輌挙動の安定化制御を行う車輌の挙動制御装置が従来より知られている。
また自動車等の車輌の挙動制御装置の一つとして、例えば下記の特許文献2に記載されている如く、車輌が左右の路面の摩擦係数が異なる走行路にて制動されるときには、車輌のヨーレートと目標ヨーレートとの偏差が所定のしきい値を越えてもヨーレートの制御を禁止し、また車輌のスリップ角と目標スリップ角との偏差に基づくスリップ角制御のしきい値を増大させるよう構成された車輌の挙動制御装置も既に知られている。
特許第3317205号公報 特開平10−264796号公報
上述の特許文献1に記載された従来の挙動制御装置に於いては、基準ヨーレートと左右の車輪の車輪速度に基づき演算される推定ヨーレートとの偏差の大きさが対応する基準値を越えているか否かの判定、及び基準ヨーレートと車輌の横加速度に基づき演算される推定ヨーレートとの偏差の大きさが対応する基準値を越えているか否かの判定は、基準ヨーレートと検出ヨーレートとの偏差の大きさがその基準値を越えているときに開始される車輌挙動の安定化制御が不必要に実行されることを防止するガードとして機能する。
しかし車輌が旋回走行時又は左右の路面の摩擦係数が異なる走行路での走行時に制動される場合には、左右の車輪の車輪速度差には旋回内外輪差による速度差に加えて制動による速度差が含まれるため、車輌が旋回走行時又は左右の路面の摩擦係数が異なる走行路での走行時に制動される場合以外の状況の場合よりも左右の車輪の車輪速度差が大きくなる。そのため左右の車輪の車輪速度に基づき演算される推定ヨーレートが実際のヨーレートより大きくなり、車輌の挙動が悪化していなくても推定ヨーレートと基準ヨーレートとの差が制御開始の基準値を越える場合がある。かかる状態でヨーレートセンサにドリフトの如き異常が発生すると、左右車輪速度に基づく推定ヨーレートによるガードがない状態になり、車輌挙動の安定化制御が不必要に実行されてしまう。
また上述の特許文献2に記載された従来の挙動制御装置に於いては、車輌が左右の路面の摩擦係数が異なる走行路での走行時に制動されるときには、車輌のヨーレートと目標ヨーレートとの偏差が所定のしきい値を越えてもヨーレートの制御が禁止されるため、車輌が左右の路面の摩擦係数が異なる走行路での走行時に制動される状況に於いて車輌の挙動が実際に悪化しても車輌の挙動を安定化させることができない。
本発明は、基準ヨーレートと左右の車輪の車輪速度に基づき演算される推定ヨーレートとの偏差の大きさが対応する基準値を越えているか否かの判定が不必要な挙動安定化制御を防止するためのガードとして実行される従来の挙動制御装置に於ける上述の如き問題に鑑みてなされたものであり、本発明の主要な課題は、車輌が旋回走行時又は左右の路面の摩擦係数が異なる走行路での走行時に制動される場合には、他の場合よりも左右の車輪の車輪速度差が大きくなることを考慮することにより、車輌が旋回走行時又は左右の路面の摩擦係数が異なる走行路での走行時に制動される場合以外の状況に於いては車輌の不安定な挙動を確実に安定化させつつ、車輌が旋回走行時又は左右の路面の摩擦係数が異なる走行路での走行時に制動される場合に不必要な挙動安定化制御が実行されることを効果的に防止することである。
上述の主要な課題は、本発明によれば、車輌のヨーレートに基づき車輌の挙動悪化の程度を示す第一の指標値を演算すると共に、左右の車輪速度差に基づき車輌の挙動悪化の程度を示す第二の指標値を演算し、少なくとも前記第一の指標値が第一の基準値以上であり且つ前記第二指標値が第二の基準値以上であるときに前記第一の指標値に応じて所定の車輪の制動力を制御することにより挙動安定化制御を行う車輌の挙動制御装置に於いて、車輌が旋回走行時又は左右の路面の摩擦係数が異なる走行路での走行時に制動されるときには、前記第二の基準値を大きくすることを特徴とする車輌の挙動制御装置(請求項1の構成)、又は車輌のヨーレートに基づき車輌の挙動悪化の程度を示す第一の指標値を演算し、左右の車輪速度差に基づき車輌の挙動悪化の程度を示す第二の指標値を演算し、車輌の横加速度に基づき車輌の挙動悪化の程度を示す第三の指標値を演算し、車輌が旋回走行時又は左右の路面の摩擦係数が異なる走行路での走行時に制動される状況ではないときには、前記第一の指標値が第一の基準値以上である状況にて前記第二の指標値が第二の基準値以上であり又は前記第三の指標値が第三の基準値以上であるときに前記第一の指標値に応じて所定の車輪の制動力を制御することにより挙動安定化制御を行い、車輌が旋回走行時又は左右の路面の摩擦係数が異なる走行路での走行時に制動されるときには、前記第一の指標値が第一の基準値以上である状況にて前記第二の指標値が第二の基準値以上であり且つ前記第三の指標値が第三の基準値以上であるときに前記第一の指標値に応じて所定の車輪の制動力を制御することにより挙動安定化制御を行うことを特徴とする車輌の挙動制御装置(請求項3の構成)によって達成される。
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項1の構成に於いて、車輌は旋回制動時に車輌がスピン状態になり易いほど前輪寄りに制動力の前後配分が制御される車輌であり、前記第二の基準値を大きくするときには、前記制動力の前後配分制御を早く開始させるよう構成される(請求項2の構成)。
上記請求項1の構成によれば、車輌のヨーレートに基づき車輌の挙動悪化の程度を示す第一の指標値が演算されると共に、左右の車輪速度差に基づき車輌の挙動悪化の程度を示す第二の指標値が演算され、少なくとも第一の指標値が第一の基準値以上であり且つ第二指標値が第二の基準値以上であるときに第一の指標値に応じて所定の車輪の制動力が制御されることにより挙動安定化制御が行われ、特に車輌が旋回走行時又は左右の路面の摩擦係数が異なる走行路での走行時に制動されるときには、第二の基準値が大きくされるので、車輌が旋回走行状態又は左右の路面の摩擦係数が異なる走行路での走行状態にあることにより、これらの走行状態以外の状況の場合よりも左右の車輪の車輪速度差が大きくなることに起因して左右の車輪の車輪速度に基づき演算される推定ヨーレートが実際のヨーレートより大きくなっても、車輌の挙動が悪化していないにも拘らず第二指標値が第二の基準値以上になることを抑制し、これにより左右車輪速度に基づく推定ヨーレートによるガードを効果的に発揮させて車輌挙動の安定化制御が不必要に実行されることを効果的に防止することができる。
また上記請求項2の構成によれば、車輌は旋回制動時に車輌がスピン状態になり易いほど前輪寄りに制動力の前後配分が制御される車輌であり、第二の基準値を大きくするときには、制動力の前後配分制御が早く開始されるので、第二の基準値が大きくされることにより車輌のスピン状態を抑制する車輌挙動の安定化制御が開始され難くなっても、制動力の前後配分制御が早く開始されることにより車輌がスピン状態になることを効果的に抑制することができる。
また上記請求項3の構成によれば、車輌のヨーレートに基づき車輌の挙動悪化の程度を示す第一の指標値が演算され、左右の車輪速度差に基づき車輌の挙動悪化の程度を示す第二の指標値が演算され、車輌の横加速度に基づき車輌の挙動悪化の程度を示す第三の指標値が演算され、車輌が旋回走行時又は左右の路面の摩擦係数が異なる走行路での走行時に制動される状況ではないときには、第一の指標値が第一の基準値以上である状況にて第二の指標値が第二の基準値以上であり又は第三の指標値が第三の基準値以上であるときに第一の指標値に応じて所定の車輪の制動力を制御することにより挙動安定化制御が行われ、車輌が旋回走行時又は左右の路面の摩擦係数が異なる走行路での走行時に制動されるときには、第一の指標値が第一の基準値以上である状況にて第二の指標値が第二の基準値以上であり且つ第三の指標値が第三の基準値以上であるときに第一の指標値に応じて所定の車輪の制動力を制御することにより挙動安定化制御が行われるので、車輌が旋回走行時又は左右の路面の摩擦係数が異なる走行路での走行時に制動される場合以外の状況に於いては車輌の不安定な挙動を確実に安定化させることができると共に、車輌が旋回走行時又は左右の路面の摩擦係数が異なる走行路での走行時に制動される場合に不必要な挙動安定化制御が実行されることを効果的に防止することができる。
[課題解決手段の好ましい態様]
本発明の一つの好ましい態様によれば、上記請求項1乃至3の構成に於いて、第一の指標値は車輌のヨーレートと操舵角及び車速に基づく車輌の基準ヨーレートとの偏差に基づいて演算されるよう構成される(好ましい態様1)。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記好ましい態様1の構成に於いて、第一の指標値は車輌のヨーレートと操舵角及び車速に基づく車輌の基準ヨーレートとの偏差の絶対値であるよう構成される(好ましい態様2)。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項1乃至3の構成に於いて、第二の指標値は車輌のヨーレートと左右の車輪速度差に基づく車輌の推定ヨーレートとの偏差に基づいて演算されるよう構成される(好ましい態様3)。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記好ましい態様3の構成に於いて、第二の指標値は車輌のヨーレートと左右の車輪速度差に基づく車輌の推定ヨーレートとの偏差の絶対値であるよう構成される(好ましい態様4)。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項1又は2の構成に於いて、車輌の横加速度に基づき車輌の挙動悪化の程度を示す第三の指標値を演算し、第一指標値が第一の基準値以上である状況にて第二の指標値が第二の基準値以上であり又は第三の指標値が第三の基準値以上であるときに挙動安定化制御を行うよう構成される(好ましい態様5)。
また車輌モデルによれば、スタビリティファクタをKhとし、車速をVとし、操舵角をθとし、ステアリングギヤ比をNとし、車輌のホイールベースをLとすると、車輌のヨーレートYrは下記の式1により表される。
Yr={1/(1+Kh×V×V)}×(θ×V)/(N×L) ……(1)
上記式1の両辺に(1+Kh×V×V)をかけると、下記の式2が得られ、車輌の横加速度をGyとすると、Gy=Yr×Vの関係より下記の式3が得られる。
Yr+Kh×(Yr×V)×V=(θ×V)/(N×1) ……(2)
Yr=(θ×V)/(N×1)−Kh×Gy×V ……(3)
一般に、実際の車輌に於いては、車輌の定常旋回時に制動されると、操舵角が一定にも拘らず車輌が旋回内側に入り込もうとする現象、即ちヨーレートYrが大きくなるという好ましくない現象が生じる。
この現象を上記式3にあてはめて考えると、制動前のヨーレートをYr1とし、制動後のヨーレートをYr2とし、制動前後の車速の変化が小さいとすると、これらのヨーレートはそれぞれ下記の式4及び5にて表されるので、上記現象に於けるヨーレートYrの増大はYr2>Yr1ということであり、このヨーレートYrの増大を抑制するためには、下記の式6により表されるヨーレートの変化量をの値を小さくすればよい。
Yr1=(θ×V)/(N×1)−Kh1×Gy×V ……(4)
Yr2=(θ×V)/(N×1)−Kh2×Gy×V ……(5)
Yr2−Yr1=(Kh1−Kh2)×Gy×V ……(6)
スタビリティファクタKhは制動力の前後輪配分比が前輪寄りになるほど大きくなる傾向にあることが実際の車輌に於いて確認されている。従って車輌の旋回時に於ける制動後のヨーレートYrの増大を抑制するためには、車輌の横加速度Gyと車速Vとの積Gy×Vの大きさが大きいほど(Kh1−Kh2)を小さくする、即ち制動力の前後輪配分比を前輪寄りに制御すればよいことが解る。
従って本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項2の構成に於いて、車輌の横加速度と車速との積の絶対値が積の基準値以上であるときには、前記積の大きさが大きいほど後輪に対する前輪の制動力の配分比が高くなるよう制動力の前後配分を制御し、車輌が旋回時に制動されるときには、前記積の基準値を小さくするよう構成される(好ましい態様6)。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項2の構成に於いて、何れかの車輪の制動スリップ量がアンチスキッド制御開始の基準値よりも大きくなり、アンチスキッド制御の開始条件が成立すると、アンチスキッド制御の終了条件が成立するまで、当該車輪について制動スリップ量が所定の範囲内になるよう制動圧を増減するアンチスキッド制御を行い、車輌が左右の路面の摩擦係数が異なる走行路での走行時に制動され左右後輪の少なくとも一方についてアンチスキッド制御を行う場合には、左右後輪の目標制動圧をそれらの低い方の値と同一に設定して左右後輪の制動圧を同一の値に制御するローセレクト制御を行うよう構成される(好ましい態様7)。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項3の構成に於いて、第三の指標値は車輌のヨーレートと車輌の横加速度に基づく車輌の推定ヨーレートとの偏差に基づいて演算されるよう構成される(好ましい態様8)。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記好ましい態様8の構成に於いて、第三の指標値は車輌のヨーレートと車輌の横加速度に基づく車輌の推定ヨーレートとの偏差の絶対値であるよう構成される(好ましい態様9)。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記好ましい態様8又は9の構成に於いて、車輌の横加速度に基づく車輌の推定ヨーレートは車輌の横加速度を車速にて除算した値であるよう構成される(好ましい態様10)。
以下に添付の図を参照しつつ、本発明を幾つかの好ましい実施例について詳細に説明する。
図1は本発明による車輌の挙動制御装置の実施例1を示す概略構成図である。
図1に於いて、10FL及び10FRはそれぞれ車輌12の左右の前輪を示し、10RL及び10RRはそれぞれ左右の後輪を示している。操舵輪である左右の前輪10FL及び10FRは運転者によるステアリングホイール14の転舵に応答して駆動されるラック・アンド・ピニオン式のパワーステアリング装置16によりタイロッド18L及び18Rを介して操舵される。
各車輪の制動力は制動装置20の油圧回路22によりホイールシリンダ24FR、24FL、24RR、24RLの制動圧が制御されることによって制御されるようになっている。図には示されていないが、油圧回路22はオイルリザーバ、オイルポンプ、種々の弁装置等を含み、各ホイールシリンダの制動圧は通常時には運転者によるブレーキペダル26の踏み込み操作に応じて駆動されるマスタシリンダ28により制御され、また必要に応じて後に説明する如く電子制御装置30により制御される。
車輪10FR〜10RLにはそれぞれ対応する車輪の車輪速度(回転速度)Vwi(i=fl、fr、rl、rr)を検出する車輪速度センサ32FR〜32RLが設けられている。またステアリングホイール14が連結されたステアリングコラムには操舵角θを検出する操舵角センサ34が設けられており、車輌12にはマスタシリンダ圧力Pmを検出する圧力センサ36、車輌のヨーレートγを検出するヨーレートセンサ38、車輌の横加速度Gyを検出する横加速度センサ40が設けられている。尚操舵角センサ34、ヨーレートセンサ38、横加速度センサ40は車輌の左旋回方向を正としてそれぞれ操舵角、ヨーレート、横加速度を検出する。
図示の如く、車輪速度センサ32FR〜32RLにより検出された車輪速度Vwiを示す信号、操舵角センサ34により検出された操舵角θを示す信号、圧力センサ36により検出されたマスタシリンダ圧力Pmを示す信号、ヨーレートセンサ38により検出された車輌のヨーレートγを示す信号、横加速度センサ40により検出された車輌の横加速度Gyを示す信号は電子制御装置42に入力される。尚図には詳細に示されていないが、電子制御装置42は例えばCPUとROMとRAMと入出力ポート装置とを有し、これらが双方向性のコモンバスにより互いに接続された一般的な構成のマイクロコンピュータを含んでいる。
電子制御装置42は、後述の如く図2に示されたフローチャートに従い、ヨーレートYrに基づき挙動悪化の程度を示す第一の指標値ΔYrを演算し、左右の車輪速度差に基づき挙動悪化の程度を示す第二の指標値ΔYrwを演算し、車輌の横加速度Gyに基づき挙動悪化の程度を示す第三の指標値ΔYgを演算し、第一指標値が第一の基準値Yro以上である状況にて第二指標値が第二の基準値Yrwo以上であり又は第三の指標値ΔYgが第三の基準値Ygo以上であるときには、第一の指標値に応じて車輌の挙動を安定化させるための各車輪の目標制動圧Pti(i=fl、fr、rl、rr)を演算し、各車輪の制動圧Piが目標制動圧Ptiになるよう制御することにより挙動安定化制御を行う。
特に電子制御装置42は、車輌が旋回走行時又は左右の路面の摩擦係数が異なる走行路での走行時に制動される状況ではないときには、第二の基準値rwoをその標準値Yrw1に設定するが、車輌が旋回走行時又は左右の路面の摩擦係数が異なる走行路での走行時に制動される状況であるときには、第二の基準値rwoを標準値Yrw1よりも大きいYrw2に設定し、車輌が旋回走行時又は左右の路面の摩擦係数が異なる走行路での走行時に制動されることに起因して左右の車輪速度差が大きくなることにより、車輌の挙動が実際には悪化していないにも拘らず不必要な挙動安定化制御が実行されることを防止する。
また電子制御装置42は、フローチャートとしては図示されていないが、各車輪の車輪速度Vwiに基づき当技術分野に於いて公知の要領にて車体速度Vb及び各車輪の制動スリップ量SBi(i=fl、fr、rl、rr)を演算し、何れかの車輪の制動スリップ量SBiがアンチスキッド制御(ABS制御)開始の基準値よりも大きくなり、アンチスキッド制御の開始条件が成立すると、アンチスキッド制御の終了条件が成立するまで、当該車輪について制動スリップ量が所定の範囲内になるよう制動圧Pi(i=fl、fr、rl、rr)を増減するアンチスキッド制御を行う。
また電子制御装置42は、車輌が左右の路面の摩擦係数が異なる走行路での走行時に制動され左右後輪の少なくとも一方についてアンチスキッド制御を行う場合には、左右後輪の目標制動圧Ptrl、Ptrrをそれらの低い方の値と同一に設定し、これにより左右後輪の制動圧を同一の値に制御するローセレクト制御を行う。
更に電子制御装置42は、後述の如く図3に示されたフローチャートに従い、車輌が旋回制動状態にあるときには、車輌の横加速度Gyと車速Vとの積Gy×Vの大きさが大きいほど前輪の制動圧を増大させ、また積Gy×Vの大きさが非常に大きいときには旋回内側後輪の制動圧をフル減圧し、これにより車輌の旋回中に運転者により制動操作が行われたような場合に、制動力の前後輪配分比を前輪寄りに制御することによって車輌のヨーレートが増大することを防止する旋回制動時の制動力の前後輪配分制御を行う。
尚、挙動安定化制御の各車輪の目標制動圧Pti及び旋回制動時の制動力の前後輪配分制御の各車輪の目標制動圧Ptiが同時に演算される状況に於いては、挙動安定化制御の目標制動圧Ptiが優先され、各車輪の制動圧Piは挙動安定化制御の目標制動圧Ptiになるよう制御される。
次に図2に示されたフローチャートを参照して実施例1に於ける挙動制御ルーチンについて説明する。尚図2に示されたフローチャートによる制御は図には示されていないイグニッションスイッチの閉成により開始され、所定の時間毎に繰返し実行される。
まずステップ10に於いては各車輪の車輪速度Vwiを示す信号等の読み込みが行われ、ステップ20に於いては各車輪の車輪速度Vwiに基づき当技術分野に於いて公知の要領にて車体速度Vbが演算され、上記式1に対応する下記の式7に従って車輌の基準ヨーレートYrtが演算され、下記の式8に従って車輌のヨーレートYrと基準ヨーレートYrtとの偏差の絶対値として車輌の挙動悪化の程度を示す第一の指標値ΔYrが演算される。
Yrt={1/(1+Kh×Vb2)}×(θ×Vb)/(N×L) ……(7)
ΔYr=|Yr−Yrt| ……(8)
ステップ30に於いては第一の指標値ΔYrが第一の基準値Yro(正の定数)以上であるか否かの判別、即ち車輌の挙動がスピン状態の如く悪化しているか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはステップ10へ戻り、肯定判別が行われたときにはステップ40へ進む。
ステップ40に於いては車輌のトレッドをTrとして下記の式9に従って左右輪の車輪速度差に基づく車輌の推定ヨーレートYrwが演算されると共に、下記の式10に従って車輌の推定ヨーレートYrwと車輌の基準ヨーレートYrtとの偏差の絶対値として車輌の挙動悪化の程度を示す第二の指標値ΔYrwが演算される。
Yrw=(Vwfr−Vwfl)/Tr ……(9)
ΔYrw=|Yrw−Yrt| ……(10)
またステップ40に於いては車輌の横加速度Gyを車体速度Vbにて除算した値Gy/Vbとして車輌の横加速度に基づく車輌の推定ヨーレートYrgが演算されると共に、下記の式11に従って推定ヨーレートYrgと車輌の基準ヨーレートYrtとの偏差の絶対値として車輌の挙動悪化の程度を示す第三の指標値ΔYrgが演算される。
ΔYrg=|Yrg−Yrt| ……(11)
ステップ50に於いては例えば操舵角θの絶対値が基準値θo(正の定数)以上であり且つマスタシリンダ圧力Pmが基準値Pmo(正の定数)以上であるか否かの判別により、車輌が旋回制動状態にあるか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ60に於いて第二の指標値に関する第二の基準値Yrwoが通常時の値Yrw1(正の定数)よりも大きい値Yrw2(正の定数)に設定されると共に、後述の制動力の前後配分制御の第一の基準値Thaが通常時の値Tha1(正の定数)よりも小さい値Tha2(正の定数)に設定され、否定判別が行われたときにはステップ70へ進む。
ステップ70に於いては例えば左右輪の一方についてアンチスキッド制御が実行され且つ左右輪の他方についてアンチスキッド制御が実行されていないか否かの判別により、車輌が左右の路面の摩擦係数が異なる走行路での走行時に制動される状況(左右異μ路制動中)であるか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ80に於いて第二の指標値に関する第二の基準値Yrwoが通常時の値Yrw1よりも大きい値Yrw2に設定されると共に、制動力の前後配分制御の第一の基準値Thaが通常時の値Tha1に設定され、否定判別が行われたときにはステップ90に於いて第二の指標値に関する第二の基準値Ywoが通常時の値Yrw1に設定されると共に、制動力の前後配分制御の第一の基準値Thaが通常時の値Tha1に設定される。
ステップ100に於いては第二の指標値ΔYrwが第二の基準値Yrwo以上であるか又は第三の指標値ΔYrgが第三の基準値Yrgo(正の定数)以上であるか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときには、即ち第二の指標値ΔYrwが第二の基準値Yrwo未満であり且つ第三の指標値ΔYrgが第三の基準値Yrgo未満であるときにはそのまま図2に示されたルーチンによる制御が一旦終了され、肯定判別が行われたときにはステップ130へ進む。
ステップ130に於いてはsignYrを車輌のヨーレートYrの符号として、車輌のヨーレートYrと車輌の基準ヨーレートYrtとの偏差Yr−YrtとsignYrとの積が正の値であるか否かの判別、即ち車輌のヨーレートが旋回方向に増大するスピン状態であるか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ140に於いて第一の指標値ΔYrに基づき図4に示されたグラフに対応するマップよりスピン制御量Scが演算され、否定判別が行われたときにはステップ150に於いて第一の指標値ΔYrに基づき図5に示されたグラフに対応するマップよりドリフトアウト制御量Dcが演算される。
ステップ160に於いてはスピン制御量Sc又はドリフトアウト制御量Dc及び車輌の旋回方向に基づき各車輪の目標制動圧Ptiが演算されると共に、各車輪の制動圧Piが目標制動圧Ptiになるよう制御されることにより所定の車輪に車輌挙動を安定化させるための制動力が付与される。尚この場合ステップ130に於いて肯定判別が行われ車輌がスピン状態にあるときには所定の車輪は旋回外側前輪に設定され、ステップ130に於いて否定判別が行われ車輌がドリフトアウト状態にあるときには所定の車輪は左右の後輪に設定される。
次に図3に示されたフローチャートを参照して図示の実施例1に於ける旋回制動時の前後輪配分制御ルーチンについて説明する。尚図3に示されたフローチャートによる制御も図には示されていないイグニッションスイッチの閉成により開始され、所定の時間毎に繰返し実行される。
まずステップ210に於いては圧力センサ36により検出されたマスタシリンダ圧Pmを示す信号等の読み込みが行われ、ステップ220に於いてはマスタシリンダ圧Pmに基づき各車輪の目標制動圧Ptiが演算され、またアンチスキッド制御が必要であるときには当技術分野に於いて公知の要領にて車輪の過大な制動スリップを低減するに必要な目標制動圧Ptiが演算される。
ステップ230に於いては車輌の旋回制動時に於ける制動力の前後輪配分制御が許可される状況であるか否かの判定が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ240へ進み、否定判別が行われたときにはそのままステップ320へ進む。尚車輌の旋回制動時に於ける制動力の前後輪配分制御が許可される状況であるか否かの判定は、例えば前述の特許文献の図4に示されている如く、当技術分野に於いて公知の任意の要領にて行われてよい。
ステップ240に於いては車輌の横加速度Gyと車速Vとの積Gy×Vが演算され、ステップ250に於いては積Gy×Vの絶対値が第一の基準値Tha(正の定数)以上であるか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはそのままステップ320へ進み、肯定判別が行われたときにはステップ260へ進む。
ステップ260に於いては積Gy×Vの絶対値が第二の基準値Thb(Thaよりも大きい正の定数)以上であるか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはステップ280へ進み、肯定判別が行われたときにはステップ270に於いて操舵角θ等に基づき車輌の旋回方向が判定されると共に、旋回内側後輪の目標制動圧Pti(i=rl又はrr)が0に設定される。
ステップ280に於いては積Gy×Vの絶対値に基づき図6に示されたグラフに対応するマップより前輪制動圧の増圧量Aが演算され、ステップ290に於いてはマスタシリンダ圧力Pmに基づき図7に示されたグラフに対応するマップより補正係数Kpfが演算され、ステップ300に於いては前輪制動圧の増圧量Aが補正係数Kpfと増圧量Aとの積に補正されることにより、補正後の前輪制動圧の増圧量A′が演算される。
ステップ310に於いては左右前輪の目標制動圧Ptfl及びPtfrがそれらに補正後の増圧量A′が加算されることによって補正され、ステップ320に於いては各車輪の制動圧が目標制動圧Ptiになるよう制御され、しかる後ステップ10へ戻る。
かくして図示の実施例1によれば、ステップ20に於いて操舵角θ及び車体速度Vbに基づき車輌の基準ヨーレートYrtが演算されると共に、車輌のヨーレートYrと基準ヨーレートYrtとの偏差の絶対値として車輌の挙動悪化の程度を示す第一の指標値ΔYrが演算され、ステップ30に於いて第一の指標値ΔYrが第一の基準値Yro以上であるか否かの判別により、車輌の挙動がスピン状態の如く悪化しているか否かの判別が行われる。
そして車輌の挙動が悪化していると判別されたときには、ステップ40に於いて左右輪の車輪速度差に基づく車輌の推定ヨーレートYrwと車輌の基準ヨーレートYrtとの偏差の絶対値として車輌の挙動悪化の程度を示す第二の指標値ΔYrwが演算されると共に、車輌の横加速度Gyを車体速度Vbにて除算した値Gy/Vbとして演算される車輌の横加速度に基づく車輌の推定ヨーレートYrgと車輌の基準ヨーレートYrtとの偏差の絶対値として車輌の挙動悪化の程度を示す第三の指標値ΔYrgが演算され、ステップ100に於いて第二の指標値ΔYrwが第二の基準値Yrwo以上であるか又は第三の指標値ΔYrgが第三の基準値Yrgo以上であると判別され、ステップ130〜160に於いて車輌の挙動安定化のための各車輪の制動圧の制御が行われる。
この場合、ステップ50に於いて車輌が旋回制動状態にあるか否かの判別が行われ、ステップ70に於いて左右異μ路制動中であるか否かの判別が行われ、車輌が旋回制動状態にあるか左右異μ路制動中であると判別されたときには、それぞれステップ60及び80に於いて第二の指標値に関する第二の基準値Yrwoが通常時の値Yrw1よりも大きい値Yrw2に設定される。
図8は車輌の非制動旋回時(A)に於ける左右前輪の車輪速度の変化の一例を示すグラフ(B)であり、図9は車輌の制動旋回時(A)に於ける左右前輪の車輪速度の変化の一例を示すグラフ(B)である。図8と図9との比較より解る如く、車輌の制動旋回時に於ける旋回外輪の車輪速度Vwoutと旋回内輪の車輪速度Vwinとの差は車輌の非制動旋回時の場合よりも大きくなるので、同一の旋回半径の場合について見て車輌の制動旋回時に於ける車輌の推定ヨーレートYrwも車輌の非制動旋回時に於ける車輌の推定ヨーレートYrwよりも大きくなる。
尚車輌の制動旋回時に於ける旋回外輪の車輪速度Vwoutと旋回内輪の車輪速度Vwinとの差が車輌の非制動旋回時の場合よりも大きくなるのは、図10に示されている如く、旋回外輪と旋回内輪とではF−S特性、即ち制動力とスリップ率との関係の相違があり、旋回外輪及び旋回内輪に同一の制動力が付与されてもそれらのスリップ率に差が生じることが原因である。
そのため車輌の制動旋回時には、車輌の実際のヨーレートYrと基準ヨーレートYrtとの偏差の大きさが大きくなっていない状況に於いても第二の指標値ΔYrwが第二の基準値Yrwo以上であると判別されることになり、ヨーレートセンサ38に零点ドリフト等の異常が生じていれば、第一指標値ΔYrが第一の基準値Yro以上であると判別されると共に第二の指標値ΔYrwも第二の基準値Yrwo以上であると判別されることに起因して車輌の挙動安定化制御が不必要に実行されてしまう。この問題は左右異μ路制動中の場合も同様である。
図示の実施例1によれば、車輌が旋回制動状態にあるか左右異μ路制動中であると判別されたときには、それぞれステップ60及び80に於いて第二の指標値に関する第二の基準値Yrwoが通常時の値Yrw1よりも大きい値Yrw2に設定され、第二の指標値ΔYrwが第二の基準値Yrwo以上であると判別されることが抑制されるので、車輌の挙動が実際には悪化していないにも拘らずヨーレートセンサ38に零点ドリフト等の異常に起因して第一指標値ΔYrが第一の基準値Yro以上であると判別される状況に於いて不必要な車輌の挙動安定化制御が実行されることを効果的に防止することができる。
特に図示の実施例1によれば、車輌が旋回制動状態にあるときには、車輌の横加速度Gyと車速Vとの積Gy×Vの大きさが第一の基準値Tha以上であるときには、積Gy×Vの大きさが大きいほど前輪の制動圧を増大させ、また積Gy×Vの大きさが第二の基準値Thb以上であるときには旋回内側後輪の制動圧をフル減圧し、これにより車輌の旋回中に運転者により制動操作が行われたような場合に、制動力の前後輪配分比を前輪寄りに制御することによって車輌のヨーレートが増大することを防止する旋回制動時の制動力の前後輪配分制御が行われる(図3参照)。
そして第一の基準値Thaはステップ50に於いて車輌が旋回制動状態にあると判別されるとステップ60に於いて通常時の値Tha1(正の定数)よりも小さい値Tha2(正の定数)に設定され、これにより車輌が旋回制動状態にあるときには旋回制動時の制動力の前後輪配分制御が早期に開始されるので、車輌の挙動安定化制御が実行され難くなることにより車輌がスピン状態になる虞れを効果的に低減することができる。
また図示の実施例1によれば、車輌が左右の路面の摩擦係数が異なる走行路での走行時に制動され左右後輪の少なくとも一方についてアンチスキッド制御を行う場合には、左右後輪の目標制動圧Ptrl、Ptrrをそれらの低い方の値と同一に設定し、これにより左右後輪の制動圧を同一の値に制御するローセレクト制御が行われるので、車輌が左右異μ路制動中であると判別された場合に第二の基準値Yrwoが通常時の値Yrw1よりも大きい値Yrw2に設定され、車輌の挙動安定化制御が実行され難くなっても、左右後輪の制動力差に起因して車輌の挙動が悪化することを効果的に抑制することができる。
図11は本発明による車輌の挙動制御装置の実施例2に於ける挙動制御ルーチンを示すフローチャートである。尚図11に於いて図2に示されたステップと同一のステップには図2に於いて付されたステップ番号と同一のステップ番号が付されている。
この実施例2に於いては、ステップ10〜50、ステップ70、130〜160はそれぞれ上述の実施例1の場合と同様に実行され、ステップ50又はステップ70に於いて肯定判別が行われたときにはステップ110へ進む。
ステップ110に於いては第二の指標値ΔYrwが第二の基準値Yrwo以上であり且つ第三の指標値ΔYrgが第三の基準値Yrgo以上であるか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ130へ進み、否定判別が行われたときには図11に示されたルーチンによる制御が一旦終了される。
またステップ70に於いて否定判別が行われると、ステップ120に於いて第二の指標値ΔYrwが第二の基準値Yrwo以上であるか又は第三の指標値ΔYrgが第三の基準値Yrgo以上であるか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ130へ進み、否定判別が行われたときには図11に示されたルーチンによる制御が一旦終了される。
従って図示の実施例2によれば、車輌が旋回制動状態にあるか左右異μ路制動中であると判別されたときには、第二の指標値ΔYrwが第二の基準値Yrwo以上であり且つ第三の指標値ΔYrgが第三の基準値Yrgo以上でなければ車輌挙動の安定化制御は許可されないので、車輌が旋回制動状態にあるか左右異μ路制動中であるときにも、第二の指標値ΔYrwが第二の基準値Yrwo以上であるか又は第三の指標値ΔYrgが第三の基準値Yrgo以上であるときに車輌挙動の安定化制御が許可される場合に比して、車輌が旋回制動状態又は左右異μ路制動中である場合に不必要な車輌挙動の安定化制御が実行される虞れを効果的に低減することができる。
以上に於いては本発明を特定の実施例について詳細に説明したが、本発明は上述の実施例に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施例が可能であることは当業者にとって明らかであろう。
例えば上述の各実施例に於いては、左右輪の車輪速度差に基づく車輌の推定ヨーレートYrwは左右前輪の車輪速度Vwfl及びVwfrに基づいて演算されるようになっているが、左右輪の車輪速度差に基づく車輌の推定ヨーレートYrwは左右後輪の車輪速度Vwrl及びVwrrに基づいて演算されてもよく、また左前後輪の車輪速度Vwfl及びVwrlの平均値と右前後輪の車輪速度Vwfr及びVwrrの平均値とに基づいて演算されるよう修正されてもよい。
また上述の各実施例に於いては、車輌が旋回制動状態にあるときには車輌の横加速度Gyと車速Vとの積Gy×Vの大きさに基づいて制動力の前後輪配分比を前輪寄りに制御することによって車輌のヨーレートが増大することを防止する旋回制動時の制動力の前後輪配分制御が行われるようになっているが、旋回制動時の制動力の前後輪配分制御は省略されてもよい。
更に上述の各実施例に於いては、車輌が左右の路面の摩擦係数が異なる走行路での走行時に制動され左右後輪の少なくとも一方についてアンチスキッド制御を行う場合には、左右後輪の目標制動圧Ptrl、Ptrrをそれらの低い方の値と同一に設定し、これにより左右後輪の制動圧を同一の値に制御するローセレクト制御が行われるようになっているが、ローセレクト制御も省略されてもよい。
本発明による車輌の挙動制御装置の実施例1を示す概略構成図である。(実施例1) 実施例1に於ける挙動制御ルーチンを示すフローチャートである。(実施例1) 実施例1に於ける制動力の前後配分制御ルーチンを示すフローチャートである。(実施例1) ヨーレート偏差ΔYrの絶対値とスピン制御量Scとの間の関係を示すグラフである。 ヨーレート偏差ΔYrの絶対値とドリフトアウト制御量Dcとの間の関係を示すグラフである。 車輌の横加速度Gy及び車速Vの積Gy×Vの絶対値と前輪の制動圧の増圧量Aとの間の関係を示すグラフである。 マスタシリンダ圧Pmと補正係数Kpfとの間の関係を示すグラフである。 車輌の非制動旋回状態を示す説明図(A)及び車輌の非制動旋回時に於ける左右前輪の車輪速度の変化の一例を示すグラフ(B)である。 車輌の制動旋回状態を示す説明図(A)及び車輌の制動旋回時に於ける左右前輪の車輪速度の変化の一例を示すグラフ(B)である。 車輌の制動旋回時に於ける旋回内輪及び旋回外輪について制動力と制動スリップ率との関係の一例を示すグラフである。 実施例2に於ける挙動制御ルーチンを示すフローチャートである。(実施例2)
符号の説明
10FR〜10RL 車輪
20 制動装置
28 マスタシリンダ
32FR〜32RL 車輪速度センサ
34 操舵角センサ
36 圧力センサ
38 ヨーレートセンサ
40 横加速度センサ
42 電子制御装置

Claims (3)

  1. 車輌のヨーレートに基づき車輌の挙動悪化の程度を示す第一の指標値を演算すると共に、左右の車輪速度差に基づき車輌の挙動悪化の程度を示す第二の指標値を演算し、少なくとも前記第一の指標値が第一の基準値以上であり且つ前記第二指標値が第二の基準値以上であるときに前記第一の指標値に応じて所定の車輪の制動力を制御することにより挙動安定化制御を行う車輌の挙動制御装置に於いて、車輌が旋回走行時又は左右の路面の摩擦係数が異なる走行路での走行時に制動されるときには、前記第二の基準値を大きくすることを特徴とする車輌の挙動制御装置。
  2. 車輌は旋回制動時に車輌がスピン状態になり易いほど前輪寄りに制動力の前後配分が制御される車輌であり、前記第二の基準値を大きくするときには、前記制動力の前後配分制御を早く開始させることを特徴とする請求項1に記載の車輌の挙動制御装置。
  3. 車輌のヨーレートに基づき車輌の挙動悪化の程度を示す第一の指標値を演算し、左右の車輪速度差に基づき車輌の挙動悪化の程度を示す第二の指標値を演算し、車輌の横加速度に基づき車輌の挙動悪化の程度を示す第三の指標値を演算し、車輌が旋回走行時又は左右の路面の摩擦係数が異なる走行路での走行時に制動される状況ではないときには、前記第一の指標値が第一の基準値以上である状況にて前記第二の指標値が第二の基準値以上であり又は前記第三の指標値が第三の基準値以上であるときに前記第一の指標値に応じて所定の車輪の制動力を制御することにより挙動安定化制御を行い、車輌が旋回走行時又は左右の路面の摩擦係数が異なる走行路での走行時に制動されるときには、前記第一の指標値が第一の基準値以上である状況にて前記第二の指標値が第二の基準値以上であり且つ前記第三の指標値が第三の基準値以上であるときに前記第一の指標値に応じて所定の車輪の制動力を制御することにより挙動安定化制御を行うことを特徴とする車輌の挙動制御装置。
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