本発明は、左右の車輪をそれぞれ駆動する少なくとも二つの電動機を有する電動機駆動車輌に係り、更に詳細には電動機駆動車輌に於いて電動機の性能低下を判定する電動機性能低下判定装置に係る。
左右の車輪をそれぞれ駆動する少なくとも二つの電動機を有する電気自動車等の電動機駆動車輌の一つとして、例えば下記の特許文献1に記載されている如く、各車輪がそれぞれ対応する電動機により駆動されるよう構成された電動機駆動車輌が従来より知られている。
特開2002−274358号公報
一般に、電気自動車等の電動機駆動車輌に於いては、各車輪がそれぞれ対応する電動機により駆動されるので、各車輪の制駆動力を比較的自由に制御することができるが、左右一対の電動機の一方の性能が低下すると、左右の車輪の制駆動力が同一に制御されるべき状況に於いてもそれらの制駆動力に差が生じるため、車輌の直進走行性能や旋回走行性能が低下し易い。従って電動機駆動車輌に於いては、左右の車輪をそれぞれ駆動する二つの電動機の一方の性能が低下したときには、その性能低下をできるだけ速やかに判定し得ることが好ましい。
本発明は、電動機駆動車輌に於ける上述の如き未解決の課題に鑑みてなされたものであり、本発明の主要な課題は、左右の車輪をそれぞれ駆動する二つの電動機の一方の性能が低下すると車輌の特定の状態量が二つの電動機が正常である場合とは異なる値に変化することに着目し、二つの電動機が正常であるときの車輌状態量と実際の車輌状態量とを比較することにより、一方の電動機の性能が低下したときにはその性能低下を速やかに判定することである。
上述の主要な課題は、本発明によれば、左右の車輪をそれぞれ駆動する少なくとも二つの電動機を有する電動機駆動車輌に於いて、電動機の性能低下を判定する電動機性能低下判定装置にして、車輌の直進走行状態を検出する手段と、車輌が直進走行状態にあるときの左右の車輪の車輪速度の差の大きさに基づき電動機の性能低下を判定する手段とを有することを特徴とする電動機駆動車輌の電動機性能低下判定装置(請求項1の構成)、左右の車輪をそれぞれ駆動する少なくとも二つの電動機を有する電動機駆動車輌に於いて、電動機の性能低下を判定する電動機性能低下判定装置にして、操舵トルクを検出する手段と、左右の車輪の車輪速度の差に基づき操舵トルクを推定する手段と、前記検出操舵トルクと前記推定操舵トルクとの差の大きさに基づき電動機の性能低下を判定する手段とを有することを特徴とする電動機駆動車輌の電動機性能低下判定装置(請求項2の構成)、左右の車輪をそれぞれ駆動する少なくとも二つの電動機を有する電動機駆動車輌に於いて、電動機の性能低下を判定する電動機性能低下判定装置にして、車輌のヨーレートを検出する手段と、操舵角及び車速に基づき車輌のヨーレートを推定する手段と、前記検出ヨーレートと前記推定ヨーレートとの差の大きさに基づき電動機の性能低下を判定する手段とを有することを特徴とする電動機駆動車輌の電動機性能低下判定装置(請求項3の構成)、左右の車輪をそれぞれ駆動する少なくとも二つの電動機を有する電動機駆動車輌に於いて、電動機の性能低下を判定する電動機性能低下判定装置にして、車輌の横加速度を検出する手段と、操舵角及び車速に基づき車輌の横加速度を推定する手段と、前記検出横加速度と前記推定横加速度との差の大きさに基づき電動機の性能低下を判定する手段とを有することを特徴とする電動機駆動車輌の電動機性能低下判定装置(請求項4の構成)によって達成される。
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項1乃至4の構成に於いて、運転者の制駆動要求に関係なく車輪の制駆動力を制御する制駆動力制御が実行されているときには、電動機の性能低下の判定を行わないよう構成される(請求項5の構成)。
一般に、左右の車輪をそれぞれ駆動する二つの電動機が正常であれば、車輌が直進走行状態にあるときの左右の車輪の車輪速度は実質的に同一であるが、何れかの電動機の性能が低下すると、車輌が直進走行状態にあるときの左右の車輪の車輪速度の差が大きくなるので、車輌が直進走行状態にあるときの左右の車輪の車輪速度の差の大きさに基づき電動機の性能低下を判定することができる。
上記請求項1の構成によれば、車輌が直進走行状態にあるときの左右の車輪の車輪速度の差の大きさに基づき電動機の性能低下が判定されるので、何れかの電動機の性能が低下すると、左右の車輪の車輪速度の差の大きさが大きくなることにより、電動機の性能低下を確実に判定することができる。
また一般に、左右の車輪をそれぞれ駆動する二つの電動機が正常であれば、左右の車輪の車輪速度の差に基づき推定される操舵トルクと実際の操舵トルクとの差は小さいが、何れかの電動機の性能が低下すると、推定される操舵トルクと実際の操舵トルクとの差が大きくなるので、推定される操舵トルクと実際の操舵トルクとの差の大きさに基づき電動機の性能低下を判定することができる。
上記請求項2の構成によれば、左右の車輪の車輪速度の差に基づき推定される操舵トルクと検出操舵トルクとの差の大きさに基づき電動機の性能低下を判定されるので、何れかの電動機の性能が低下すると、推定操舵トルクと検出操舵トルクとの差の大きさが大きくなることにより、電動機の性能低下を確実に判定することができる。
また一般に、左右の車輪をそれぞれ駆動する二つの電動機が正常であれば、操舵角及び車速に基づき推定される車輌のヨーレートと実際のヨーレートとの差は小さいが、何れかの電動機の性能が低下すると、推定ヨーレートと実際のヨーレートとの差が大きくなるので、推定ヨーレートと実際のヨーレートとの差の大きさに基づき電動機の性能低下を判定することができる。
上記請求項3の構成によれば、操舵角及び車速に基づき推定される車輌のヨーレートと検出ヨーレートとの差の大きさに基づき電動機の性能低下を判定されるので、何れかの電動機の性能が低下すると、推定ヨーレートと検出ヨーレートとの差の大きさが大きくなることにより、電動機の性能低下を確実に判定することができる。
また一般に、左右の車輪をそれぞれ駆動する二つの電動機が正常であれば、操舵角及び車速に基づき推定される車輌の横加速度と実際の横加速度との差は小さいが、何れかの電動機の性能が低下すると、推定横加速度と実際の横加速度との差が大きくなるので、推定横加速度と実際の横加速度との差の大きさに基づき電動機の性能低下を判定することができる。
上記請求項4の構成によれば、操舵角及び車速に基づき推定される車輌の横加速度と検出横加速度との差の大きさに基づき電動機の性能低下が判定されるので、何れかの電動機の性能が低下すると、推定横加速度と検出横加速度との差の大きさが大きくなることにより、電動機の性能低下を確実に判定することができる。
また一般に、運転者の制駆動要求に関係なく車輪の制駆動力を制御するアンチスキッド制御のごとき制駆動力制御が実行されているときには、電動機が正常であっても、車輌が直進走行状態にあるときにも左右の車輪の車輪速度の差が大きくなったり、何れかの電動機の性能が低下していても、車輌が直進走行状態にあるときの左右の車輪の車輪速度の差が小さくなったりし、電動機の性能低下を正確に判定することができない。このことは上記請求項1乃至4の構成による判定の場合も同様である。
上記請求項5の構成によれば、運転者の制駆動要求に関係なく車輪の制駆動力を制御する制駆動力制御が実行されているときには、電動機の性能低下の判定は行われないので、制駆動力制御に起因して電動機が正常であるにも拘らず電動機の性能が低下していると判定されたり、電動機の性能が低下しているにも拘らず電動機が正常であると判定されることを確実に防止することができる。
[課題解決手段の好ましい態様]
本発明の一つの好ましい態様によれば、上記請求項1の構成に於いて、車輌が加速状態にあるときには、車輪速度が低い方の車輪の電動機の性能が低下していると判定するよう構成される(好ましい態様1)。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項1の構成に於いて、電動機は車輌の制動時に回生により発電する電動発電機であり、車輌が制動状態にあり回生制動が行われているときには、車輪速度が高い方の車輪の電動機の性能が低下していると判定するよう構成される(好ましい態様2)。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項2の構成に於いて、車輌が加速状態にある状況にて推定操舵トルクの大きさが検出操舵トルクの大きさよりも小さいときには、旋回外輪の電動機の性能が低下していると判定し、車輌が加速状態にある状況にて推定操舵トルクの大きさが検出操舵トルクの大きさよりも大きいときには、旋回内輪の電動機の性能が低下していると判定するよう構成される(好ましい態様3)。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項2の構成に於いて、電動機は車輌の制動時に回生により発電する電動発電機であり、車輌が制動状態にあり回生制動が行われている状況にて推定操舵トルクの大きさが検出操舵トルクの大きさよりも小さいときには、旋回内輪の電動機の性能が低下していると判定し、車輌が加速状態にある状況にて推定操舵トルクの大きさが検出操舵トルクの大きさよりも大きいときには、旋回外輪の電動機の性能が低下していると判定するよう構成される(好ましい態様4)。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項3の構成に於いて、車輌が加速状態にある状況にて推定ヨーレートの大きさが検出ヨーレートの大きさよりも小さいときには、旋回外輪の電動機の性能が低下していると判定し、車輌が加速状態にある状況にて推定ヨーレートの大きさが検出ヨーレートの大きさよりも大きいときには、旋回内輪の電動機の性能が低下していると判定するよう構成される(好ましい態様5)。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項3の構成に於いて、電動機は車輌の制動時に回生により発電する電動発電機であり、車輌が制動状態にあり回生制動が行われている状況にて推定ヨーレートの大きさが検出ヨーレートの大きさよりも小さいときには、旋回内輪の電動機の性能が低下していると判定し、車輌が加速状態にある状況にて推定ヨーレートの大きさが検出ヨーレートの大きさよりも大きいときには、旋回外輪の電動機の性能が低下していると判定するよう構成される(好ましい態様6)。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項4の構成に於いて、車輌が加速状態にある状況にて推定横加速度の大きさが検出横加速度の大きさよりも小さいときには、旋回外輪の電動機の性能が低下していると判定し、車輌が加速状態にある状況にて推定横加速度の大きさが検出横加速度の大きさよりも大きいときには、旋回内輪の電動機の性能が低下していると判定するよう構成される(好ましい態様7)。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項4の構成に於いて、電動機は車輌の制動時に回生により発電する電動発電機であり、車輌が制動状態にあり回生制動が行われている状況にて推定横加速度の大きさが検出横加速度の大きさよりも小さいときには、旋回内輪の電動機の性能が低下していると判定し、車輌が加速状態にある状況にて推定横加速度の大きさが検出横加速度の大きさよりも大きいときには、旋回外輪の電動機の性能が低下していると判定するよう構成される(好ましい態様8)。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項1の構成に於いて、電動機の性能低下を判定する手段は左右前輪及び左右後輪について電動機の性能の低下を判定するよう構成される(好ましい態様9)。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項2乃至4の構成に於いて、車輪は操舵輪であるよう構成される(好ましい態様10)。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項1乃至4の構成に於いて、電動機はホイールインモータであるよう構成される(好ましい態様11)。
以下に添付の図を参照しつつ、本発明を幾つかの好ましい実施例について詳細に説明する。
図1はホイールインモータ式の四輪駆動車に適用された本発明による電動機性能低下判定装置の実施例1を示す概略構成図である。
図1に於いて、10FL及び10FRはそれぞれ左右の前輪を示し、10RL及び10RRはそれぞれ左右の後輪を示している。左右の前輪10FL及び10FRにはそれぞれホイールインモータである電動発電機12FL及び12FRが組み込まれており、左右の前輪10FL及び10FRは電動発電機12FL及び12FRにより駆動され、電動発電機12FL及び12FRは電子制御装置14により制御される。電動発電機12FL及び12FRはそれぞれ左右前輪の発電機としても機能し、回生発電機としての機能(回生駆動)も電子制御装置14により制御される。
同様に、左右の後輪10RL及び10RRにはそれぞれホイールインモータである電動発電機12RL及び12RRが組み込まれており、左右の前輪10RL及び10RRは電動発電機12RL及び12RRにより駆動され、電動発電機12RL及び12RRも電子制御装置14により制御される。電動発電機12RL及び12RRはそれぞれ左右後輪の発電機としても機能し、回生発電機としての機能も電子制御装置14により制御される。
電子制御装置14はマイクロコンピュータ16と駆動回路18とよりなっており、通常時にはバッテリ20に充電された電力が駆動回路18を経て各電動発電機12FL及び12RRへ供給され、車輌の減速制動時には各電動発電機12FL及び12RRによる回生制動により発電された電力が駆動回路18を経てバッテリ20に充電される。尚マイクロコンピュータ16は図1には詳細に示されていないが例えば中央処理ユニット(CPU)と、リードオンリメモリ(ROM)と、ランダムアクセスメモリ(RAM)と、入出力ポート装置とを有し、これらが双方向性のコモンバスにより互いに接続された一般的な構成のものであってよい。また図示の実施例に於いては、車輌は電気自動車であり、バッテリ20を充電するめのエンジン及び発電機を備えていないが、本発明の駆動力制御装置はエンジンにより駆動される電動機により発電された電力がバッテリ20に充電される車輌に適用されてもよい。
電子制御装置14には、アクセル開度センサ22より運転者によって操作される図には示されていないアクセルペダルの踏み込み量としてのアクセル開度φを示す信号、シフトポジション(SP)センサ24より運転者によって操作される図には示されていないシフトレバーの位置Psを示す信号、操舵角センサ26より操舵角θを示す信号、車速センサ28より車速Vを示す信号、ヨーレートセンサ30により車輌のヨーレートγを示す信号、前後加速度センサ32より車輌の前後加速度Gxを示す信号、横加速度センサ34より車輌の横加速度Gyを示す信号が入力される。尚操舵角センサ26、ヨーレートセンサ30、横加速度センサ34は車輌の左旋回方向を正としてそれぞれ操舵角θ、ヨーレートγ、横加速度Gyを検出する。
また電子制御装置14には、図1には示されていないマスタシリンダに設けられた圧力センサ36よりマスタシリンダ圧力Pmを示す信号及び左右の前輪10FL、10FR及び左右の後輪10RL、10RRに設けられた車輪速度センサ38FL〜38RRより対応する車輪の車輪速度Vwi(i=fl、fr、rl、rr)を示す信号が入力される。
フローチャートとして図には示されていないが、電子制御装置14は通常走行時にはアクセル開度φ、シフトポジションPs、車速Vに基づいて各車輪の目標駆動トルクTwti(i=fl、fr、rl、rr)を演算し、目標駆動トルクTwtiに基づき電動発電機12FL〜12RRに対する目標駆動電流Iti(i=fl、fr、rl、rr)を演算し、目標駆動電流Itiに基づき各電動発電機12FL〜12RRに通電される駆動電流を制御することにより各車輪の駆動トルクTwiが目標駆動トルクTwtiになるよう各車輪の駆動力を制御する。
またフローチャートとして図には示されていないが、電子制御装置14は各車輪の車輪速度Vwiに基づき当技術分野に於いて公知の要領にて車体速度Vb及び各車輪の制動スリップ量SBi(i=fl、fr、rl、rr)を演算し、制動スリップ量SBiがアンチスキッド制御(ABS制御)開始の基準値よりも大きくなり、アンチスキッド制御の開始条件が成立すると、アンチスキッド制御の終了条件が成立するまで、当該車輪について制動スリップ量を所定の範囲内にするための各車輪の目標駆動トルクTwtiを演算し、各車輪の駆動トルクTwiが目標駆動トルクTwtiになるよう制御することによってアンチスキッド制御を行う。
またフローチャートとして図には示されていないが、電子制御装置14は各車輪の車輪速度Vwiに基づき当技術分野に於いて公知の要領にて車体速度Vb及び各車輪の加速スリップ量SAi(i=fl、fr、rl、rr)を演算し、加速スリップ量SAiがトラクション制御(TRC制御)開始の基準値よりも大きくなり、トラクション制御の開始条件が成立すると、トラクション制御の終了条件が成立するまで、当該車輪について加速スリップ量を所定の範囲内にするための各車輪の目標駆動トルクTwtiを演算し、各車輪の駆動トルクTwiが目標駆動トルクTwtiになるよう制御することによってトラクション制御を行う。
またフローチャートとして図には示されていないが、電子制御装置14は車輌の走行に伴い変化する車輌の横加速度Gyの如き車輌状態量に基づき車輌のスピンの程度を示すスピン状態量SS及び車輌のドリフトアウトの程度を示すドリフトアウト状態量DSを演算し、スピン状態量SS及びドリフトアウト状態量DSに基づき車輌の挙動を安定化させる挙動制御の各車輪の目標駆動トルクTwtiを演算し、各車輪の駆動トルクTwiが目標駆動トルクTwtiになるよう制御することによって車輌の挙動を安定化させる挙動制御を行う。
この場合電子制御装置14はアンチスキッド制御に基づく目標駆動トルクTwti若しくはトラクション制御に基づく目標駆動トルクTwti若しくは挙動制御に基づく目標駆動トルクTwtiを演算したときには、それらの値を通常の走行時の目標駆動トルクTwtiに優先し、それらの値に基づいて各車輪の駆動トルクTwiを制御する。
尚各車輪の目標駆動トルクTwtiの演算自体は本発明の要旨をなすものではなく、目標駆動トルクTwtiは当技術分野に於いて公知の任意の態様にて演算されてよい。また電子制御装置14は図1には示されていない制動装置による車輌の制動時には電動発電機12FL〜12RRにより回生制動が行われるよう電動発電機を制御する。
更に電子制御装置14は後述の如く図2に示されたフローチャートに従って、車輌が直進走行状態にある場合に於いて、車輌が加速状態にあるか回生制動が行われる減速制動状態にあるか否か、左右の車輪の車輪速度差の大きさが基準値以上であるか否か、左右の車輪の車輪速度差の符号に基づき、電動発電機12FL〜12RRに性能低下の異常が生じているか否か及び左右の何れの電動発電機に異常が生じているか否かを判定し、何れかの電動発電機に異常が生じていると判定したときには、警報装置40を作動させて車輌の乗員に特定の電動発電機に異常が生じている旨の警報を発する。
上述の如く電動発電機の異常を判定するためには、車輌の直進走行状態を正確に検出すると共に、各車輪の車輪速度を正確に検出する必要がある。図示の実施例に於いては、フローチャートとして図には示されていないが、電子制御装置14は操舵角センサ26及びヨーレートセンサ30について当技術分野に於いて公知の要領にて零点補正を行う。また電子制御装置14は当技術分野に於いて公知の要領にて車輪速度センサ38FL〜38RRにより検出された車輪の車輪速度Vwiに対する補正係数を演算し、補正係数にて補正された車輪の車輪速度Vwiに基づいて左右の車輪の車輪速度差を演算する。
次に図2に示されたフローチャートを参照して実施例1に於ける電動機性能低下判定制御について説明する。尚図2に示されたフローチャートによる制御は電子制御装置14が起動されることにより開始され、図には示されていないイグニッションスイッチがオフに切り換えられるまで所定の時間毎に繰返し実行される。
まずステップ10に於いては操舵角センサ26により検出された操舵角θを示す信号等の読み込みが行われ、ステップ20に於いては操舵角センサ26及びヨーレートセンサ30について零点補正が完了し、車輪速度センサの検出値に対する補正係数の演算が完了しているか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはそのまま図2に示されたルーチンによる制御が一旦終了され、肯定判別が行われたときにはステップ30へ進む。
ステップ30に於いては何れかの車輪について制駆動力の制御、即ちアンチスキッド制御、トラクション制御、挙動制御の何れかが実行されているか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはそのまま図2に示されたルーチンによる制御が一旦終了され、否定判別が行われたときにはステップ40へ進む。
ステップ40に於いては操舵角θの絶対値が基準値θo(正の定数)以下であるか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ50に於いて車輌のヨーレートγの絶対値が基準値γo(正の定数)以下であるか否かの判別が行われ、ステップ40又は50に於いて否定判別が行われたときにはそのまま図2に示されたルーチンによる制御が一旦終了され、ステップ50に於いて肯定判別、即ち車輌が実質的に直進走行状態にある旨の判別が行われたときにはステップ60へ進む。
ステップ60に於いては例えば車輌の前後加速度Gx及びアクセル開度φに基づき車輌が加速中であるか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはステップ160へ進み、肯定判別は行われたときにはステップ70へ進む。
ステップ70に於いては前輪の左右の車輪速度差ΔVwf、即ち左前輪の車輪速度Vwflと右前輪の車輪速度Vwfrとの偏差の絶対値が基準値Vwfo(正の定数)以上であるか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはそのままステップ110へ進み、肯定判別が行われたときにはステップ80へ進む。
ステップ80に於いては左右前輪の車輪速度差ΔVwfが正の値であるか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ90に於いて右前輪の電動発電機12FRが異常であると判定されると共に、そのことを示す警報が発せられるよう警報装置40が作動され、否定判別が行われたときにはステップ100に於いて電動発電機12FLが異常であると判定されると共に、そのことを示す警報が出力されるよう警報装置40が作動される。
ステップ110に於いては左右後輪の車輪速度差ΔVwr、即ち左後輪の車輪速度Vwrlと右後輪の車輪速度Vwrrとの偏差の絶対値が基準値Vwro(正の定数)以上であるか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはそのまま図2に示されたルーチンによる制御が一旦終了され、肯定判別が行われたときにはステップ120へ進む。
ステップ120に於いては左右後輪の車輪速度差ΔVwrが正の値であるか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ130に於いて右後輪の電動発電機12RRが異常であると判定されると共に、そのことを示す警報が出力されるよう警報装置40が作動され、否定判別が行われたときにはステップ140に於いて左後輪の電動発電機12RLが異常であると判定されると共に、そのことを示す警報が出力されるよう警報装置40が作動される。
ステップ160に於いてはマスタシリンダ圧力Pm等に基づき各電動発電機12FL〜12RRによる回生制動が行われているか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはそのまま図2に示されたルーチンによる制御が一旦終了され、肯定判別が行われたときにはステップ170へ進む。
ステップ170〜240はそれぞれ上述のステップ70〜140と同様に実行されるが、ステップ180に於いて肯定判別が行われたときにはステップ190に於いて左前輪の電動発電機12FLが異常であると判定され、否定判別が行われたときにはステップ200に於いて右前輪の電動発電機12FRが異常であると判定される。
またステップ220に於いて肯定判別が行われたときにはステップ230に於いて左後輪の電動発電機12RLが異常であると判定され、否定判別が行われたときにはステップ240に於いて右後輪の電動発電機12RRが異常であると判定される。
かくして図示の実施例1によれば、ステップ40及び50に於いて車輌が実質的に直進走行状態にあるか否かが判定され、ステップ60に於いて車輌が加速状態にあるか否かが判定され、車輌が実質的に直進状態にて加速しているときに、ステップ70及び80に於いて左右前輪の車輪速度の偏差が大きい状況であるか否かの判別により左右前輪の何れの電動発電機が異常であるかが判定され、ステップ110及び120に於いて左右後輪の車輪速度の偏差が大きい状況であるか否かの判別により左右後輪の何れの電動発電機が異常であるかが判定される。
従って左右前輪又は左右後輪の何れかの電動発電機に性能低下の異常が生じたときには、車輌が実質的に直進状態にて加速している状況に於いて、確実にその異常を検出し、異常な電動発電機を特定することができる。
また図示の実施例1によれば、ステップ40及び50に於いて車輌が実質的に直進走行状態にあるか否かが判定され、ステップ160に於いて回生制動が行われているか否かが判定され、車輌が実質的に直進走行している状況にて回生制動が行われているときに、ステップ170及び180に於いて左右前輪の車輪速度の偏差が大きい状況であるか否かの判別により左右前輪の何れの電動発電機が異常であるかが判定され、ステップ210及び220に於いて左右後輪の車輪速度の偏差が大きい状況であるか否かの判別により左右後輪の何れの電動発電機が異常であるかが判定される。
従って左右前輪又は左右後輪の何れかの電動発電機に性能低下の異常が生じたときには、車輌が実質的に直進状態し回生制動が行われている状況に於いて、確実にその異常を検出し、異常な電動発電機を特定することができる。
また図示の実施例1によれば、前後輪について左右の車輪の車輪速度差の大きさに基づいて電動発電機の異常判定が行われるので、前輪及び後輪の何れの車輪の電動発電機に異常が生じても、その異常を確実に検出し、異常な電動発電機を確実に特定することができる。
図3はホイールインモータ式の四輪駆動車に適用された本発明による電動機性能低下判定装置の実施例2に於ける電動機性能低下判定制御ルーチンを示すフローチャートである。尚図3に於いて図2に示されたステップと同一のステップには図2に於いて付されたステップ番号と同一のステップ番号が付されている。
この実施例2に於いては、図には示されていないが、この実施例に於いてはトルクセンサにより操舵トルクTssが検出される。またこの実施例に於いては、ヨーレートセンサ30について零点補正は行われないが、操舵トルクTssを検出するトルクセンサについて零点補正が行われる。
図3に示されている如く、ステップ10〜30は上述の実施例1の場合と同様に実行され、ステップ30に於いて否定判別が行われたときにはステップ310に於いて操舵角θ及び車速Vに基づき図5に示されたグラフに対応するマップより推定操舵トルクTssaが演算され、ステップ320に於いて左右前輪の車輪速度差ΔVwf及び車速Vに基づき図6に示されたグラフに対応するマップより推定操舵トルクTswaが演算される。
ステップ330に於いては推定操舵トルクTssaと実操舵トルクTsとの偏差ΔTssaが演算されると共に、操舵トルクの偏差ΔTssaが基準値Tsso(正の定数)以上であるか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ340に於いて右前輪の電動発電機12FRが異常であると判定されると共に、そのことを示す警報が出力されるよう警報装置40が作動され、否定判別が行われたときにはステップ350へ進む。
ステップ350に於いては操舵トルクの偏差ΔTssaが−Tsso以下であるか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはステップ370へ進み、肯定判別が行われたときにはステップ360に於いて左前輪の電動発電機12FLが異常であると判定されると共に、そのことを示す警報が出力されるよう警報装置40が作動される。
同様にステップ370に於いては推定操舵トルクTswaと実操舵トルクTsとの偏差ΔTswaが演算されると共に、操舵トルクの偏差ΔTswaが基準値Tswo(正の定数)以上であるか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ380に於いて右前輪の電動発電機12FRが異常であると判定されると共に、そのことを示す警報が出力されるよう警報装置40が作動され、否定判別が行われたときにはステップ390へ進む。
ステップ390に於いては操舵トルクの偏差ΔTswaが−Tswo以下であるか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときには図3に示されたルーチンによる制御が一旦終了され、肯定判別が行われたときにはステップ400に於いて左前輪の電動発電機12FLが異常であると判定されると共に、そのことを示す警報が出力されるよう警報装置40が作動される。
かくして図示の実施例2によれば、ステップ310に於いて操舵角θ及び車速Vに基づき推定操舵トルクTssaが演算され、ステップ320に於いて左右前輪の車輪速度差ΔVwf及び車速Vに基づき推定操舵トルクTswaが演算され、ステップ330及び350に於いて操舵角θ及び車速Vに基づく推定操舵トルクTssaと実際の操舵トルクTsとの偏差ΔTssaが大きい状況であるか否かの判別により左右前輪の何れの電動発電機が異常であるかが判定され、ステップ370及び390に於いて左右前輪の車輪速度差ΔVwf及び車速Vに基づく推定操舵トルクTswaと実際の操舵トルクTsとの偏差ΔTswaが大きい状況であるか否かの判別により左右後輪の何れの電動発電機が異常であるかが判定される。
従って左右前輪又は左右後輪の何れかの電動発電機に性能低下の異常が生じたときには、車輌が直進走行しているか否かに拘らず、確実にその異常を検出し、異常な電動発電機を特定することができる。
特に図示の実施例2によれば、ステップ330〜360に於ける操舵角θ及び車速Vに基づく推定操舵トルクTssaと実際の操舵トルクTsとの偏差ΔTssaによる異常判定及びステップ370〜400に於ける左右前輪の車輪速度差ΔVwf及び車速Vに基づく推定操舵トルクTswaと実際の操舵トルクTsとの偏差ΔTswaによる異常判定が行われるので、これらの何れかの判定しか行われない場合に比して、電動発電機の異常を確実に検出し、異常な電動発電機を確実に特定することができる。
図4はホイールインモータ式の四輪駆動車に適用された本発明による電動機性能低下判定装置の実施例3に於ける電動機性能低下判定制御ルーチンを示すフローチャートである。尚図4に於いて図3に示されたステップと同一のステップには図3に於いて付されたステップ番号と同一のステップ番号が付されている。
図には示されていないが、この実施例3に於いてもトルクセンサにより操舵トルクTssが検出される。またこの実施例に於いては、ヨーレートセンサ30、横加速度センサ34、操舵トルクTssを検出するトルクセンサについて零点補正が行われる。
図4に示されている如く、ステップ10〜30は上述の実施例1及び2の場合と同様に実行され、ステップ30に於いて否定判別が行われたときにはステップ410に於いて操舵角θ及び車速Vに基づき図7に示されたグラフに対応するマップより推定ヨーレートγsaが演算され、ステップ420に於いて操舵角θ及び車速Vに基づき図8に示されたグラフに対応するマップより推定横加速度Gysaが演算される。
ステップ430に於いては推定ヨーレートγsaと実ヨーレートγとの偏差Δγsaが演算されると共に、ヨーレートの偏差Δγsaが基準値γso(正の定数)以上であるか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ440に於いて右前輪の電動発電機12FRが異常であると判定されると共に、そのことを示す警報が出力されるよう警報装置40が作動され、否定判別が行われたときにはステップ450へ進む。
ステップ450に於いてはヨーレートの偏差Δγsaが−γso以下であるか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはステップ470へ進み、肯定判別が行われたときにはステップ460に於いて左前輪の電動発電機12FLが異常であると判定されると共に、そのことを示す警報が出力されるよう警報装置40が作動される。
同様にステップ470に於いては推定横加速度Gysaと実横加速度Gyとの偏差ΔGysaが演算されると共に、横加速度の偏差ΔGysaが基準値Gyso(正の定数)以上であるか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ480に於いて右前輪の電動発電機12FRが異常であると判定されると共に、そのことを示す警報が出力されるよう警報装置40が作動され、否定判別が行われたときにはステップ490へ進む。
ステップ490に於いては横加速度の偏差ΔGysaが−Gyso以下であるか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときには図3に示されたルーチンによる制御が一旦終了され、肯定判別が行われたときにはステップ500に於いて左前輪の電動発電機12FLが異常であると判定されると共に、そのことを示す警報が出力されるよう警報装置40が作動される。
かくして図示の実施例3によれば、ステップ410に於いて操舵角θ及び車速Vに基づき推定ヨーレートγsaが演算され、ステップ420に於いて操舵角θ及び車速Vに基づき推定横加速度Gysaが演算され、ステップ430及び450に於いて操舵角θ及び車速Vに基づく推定ヨーレートγsaと実際のヨーレートγとの偏差Δγsaが大きい状況であるか否かの判別により左右前輪の何れの電動発電機が異常であるかが判定され、ステップ470及び490に於いて操舵角θ及び車速Vに基づきく推定横加速度Gysaと実際の横加速度Gyとの偏差ΔGysaが大きい状況であるか否かの判別により左右後輪の何れの電動発電機が異常であるかが判定される。
従って上述の実施例2の場合と同様、左右前輪又は左右後輪の何れかの電動発電機に性能低下の異常が生じたときには、車輌が直進走行しているか否かに拘らず、確実にその異常を検出し、異常な電動発電機を特定することができる。
特に図示の実施例3によれば、ステップ430〜460に於ける操舵角θ及び車速Vに基づく推定ヨーレートγsaと実際のヨーレートγとの偏差Δγsaによる異常判定及びステップ470〜500に於ける操舵角θ及び車速Vに基づく推定横加速度Gysaと実際の横加速度Gyとの偏差ΔGysaによる異常判定が行われるので、これらの何れかの判定しか行われない場合に比して、電動発電機の異常を確実に検出し、異常な電動発電機を確実に特定することができる。
尚図示の各実施例によれば、ステップ20に於いて操舵角センサ26等について零点補正が完了し、また車輪速度センサの検出値に対する補正係数の演算が完了しているか否かの判別が行われ、これらの補正が完了している場合にのみ電動発電機の異常判定が行われるので、操舵角センサ26等の零点ずれによる検出誤差に起因して電動発電機が正常であるにも拘らず電動発電機が異常であると判定したり、何れかの電動発電機に異常が生じているにも拘らず全ての電動発電機が正常であると判定することを確実に防止することができる。
また図示の各実施例によれば、ステップ30に於いて何れかの車輪について制駆動力の制御、即ちアンチスキッド制御、トラクション制御、挙動制御の何れかが実行されているか否かの判別が行われ、何れかの制駆動力制御が実行されている場合には電動発電機の異常判定が行われないので、制駆動力制御による車輪速度の影響に起因して電動発電機が正常であるにも拘らず電動発電機が異常であると判定したり、何れかの電動発電機に異常が生じているにも拘らず全ての電動発電機が正常であると判定することを確実に防止することができる。
以上に於いては本発明を特定の実施例について詳細に説明したが、本発明は上述の実施例に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施例が可能であることは当業者にとって明らかであろう。
例えば上述の各実施例に於いては、電動機は各車輪に組み込まれたホイールインモータであるが、電動機は各車輪を駆動し得る限り車体に支持された電動機であってもよい。また上述の各実施例に於ける電動機は車輌の制動時に回生制動を行う電動発電機であるが、電動機は回生制動を行わない電動機であってもよく、その場合には実施例1のステップ160〜240は省略され、ステップ60に於いて否定判別が行われると図2に示されたルーチンによる制御が一旦終了される。
また上述の各実施例に於いては、左右輪の何れの電動発電機が異常であるかまで判定されるようになっているが、例えば実施例1のステップ70又は170に於いて肯定判別が行われたときには、何れかの前輪の電動発電機が異常であると判定され、ステップ110又は210に於いて肯定判別が行われたときには何れかの後輪の電動発電機が異常であると判定され、実施例2のステップ330又は370に於いて肯定判別が行われたときには、何れかの前輪の電動発電機が異常であると判定され、実施例3のステップ430又は470に於いて肯定判別が行われたときには、何れかの前輪の電動発電機が異常であると判定されるよう修正されてもよい。
また上述の各実施例に於いては、制駆動力の制御としてアンチスキッド制御、トラクション制御、挙動制御が行われるようになっているが、これらの制御の少なくとも何れかが省略されてもよく、またこれらの制御の全てが省略される場合にはステップ30も省略される。
また上述の各実施例に於いては、ステップ20に於いて操舵角センサ26等について零点補正が完了し、また車輪速度センサの検出値に対する補正係数の演算が完了しているか否かの判別が行われ、これらの補正が完了している場合にのみ電動発電機の異常判定が行われるようになっているが、ステップ20の判別が省略されてもよい。
また上述の実施例3に於いては、操舵角θ及び車速Vに基づく推定操舵トルクTssaと実際の操舵トルクTsとの偏差ΔTssaによる異常判定及びステップ370〜400に於ける左右前輪の車輪速度差ΔVwf及び車速Vに基づく推定操舵トルクTswaと実際の操舵トルクTsとの偏差ΔTswaによる異常判定が行われるようになっているが、これらの何れかの判定が省略されてもよい。
同様に上述の実施例4に於いては、操舵角θ及び車速Vに基づく推定ヨーレートγsaと実際のヨーレートγとの偏差Δγsaによる異常判定及びステップ470〜500に於ける操舵角θ及び車速Vに基づく推定横加速度Gysaと実際の横加速度Gyとの偏差ΔGysaによる異常判定が行われるようになっているが、これらの何れかの判定が省略されてもよい。
また上述の実施例4に於いては、アクセル開度φ及び車速Vに基づき車輌の推定前後加速度Gxaaが演算され、推定前後加速度Gxaaと実際の前後加速度Gxとの偏差ΔGxaaに基づく電動発電機の異常判定が、上記二つの判定との組合せ又は上記二つの判定の何れかとの組合せにて実行されるよう修正されてもよい。
更に上述の各実施例に於いては、車輌は全ての車輪がそれぞれ対応する電動発電機により駆動されるホイールインモータ式の四輪駆動車であるが、本発明の電動機性能低下判定装置は左右前輪又は左右後輪がそれぞれ対応する電動発電機により駆動されるハイブリッド車に適用されてもよい。
ホイールインモータ式の四輪駆動車に適用された本発明による電動機性能低下判定装置の実施例1を示す概略構成図である。
実施例1に於ける電動機性能低下判定制御ルーチンを示すフローチャートである。
実施例2に於ける電動機性能低下判定制御ルーチンを示すフローチャートである。
実施例3に於ける電動機性能低下判定制御ルーチンを示すフローチャートである。
操舵角θ及び車速Vと推定操舵トルクTssaとの間の関係を示すグラフである(実施例2)。
車輪速度差ΔVwf及び車速Vと推定操舵トルクTswaとの間の関係を示すグラフである(実施例2)。
操舵角θ及び車速Vと推定ヨーレートγsaとの間の関係を示すグラフである(実施例3)。
操舵角θ及び車速Vと推定横加速度Gysaとの間の関係を示すグラフである(実施例3)。
符号の説明
12FL〜12RR…電動発電機
14…電子制御装置
22…アクセル開度センサ
24…シフトポジションセンサ
26…操舵角センサ
28…車速センサ
30…ヨーレートセンサ
34…横加速度センサ
38FL〜38RR…車輪速度センサ