JP5163817B2 - 車両用液圧ブレーキシステム - Google Patents

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Description

本発明は、液圧源装置を備え、その液圧源装置によって供給される作動液に依拠して制動力を発生させる車両用液圧ブレーキシステムに関する。
車両に搭載される液圧ブレーキシステムには、運転者によってブレーキ操作部材に加えられる操作力に依拠することなく、作動液の液圧を調圧可能な液圧源装置によって供給される作動液に依拠して制動力を発生させるシステムが存在する。そのようなシステムでは、液圧源装置への供給電力を制御することで、その液圧源装置が供給する作動液の液圧である供給圧を制御可能に変更し、運転者によるブレーキ操作に基づいた適切な制動力を発生させることが可能となっている。また、液圧ブレーキシステムには、車輪のロック,横滑り等を抑制するためにABS弁装置が搭載されているシステムも存在する。下記特許文献には、液圧源装置およびABS弁装置を備えたブレーキシステムの一例が記載されている。
特開2009−61816号公報 特開2009−292176号公報 特開2007−137281号公報
(A)発明の概要
液圧源装置によって供給される作動液に依拠して制動力を発生させることが可能なブレーキシステムにおいては、運転者によるブレーキ操作に基づいた適切な制動力を発生させるべく、運転者によるブレーキ操作に基づいて供給圧の目標となる目標供給圧を決定し、供給圧が目標供給圧となるように液圧源装置への供給電力が制御される目標供給圧制御が実行される。詳しくいえば、目標供給圧制御では、供給圧が目標供給圧より高い場合には、液圧源装置の有する減圧用リニア弁に供給圧と目標供給圧との差に応じた電力が供給され、供給圧が目標供給圧より低い場合には、液圧源装置の有する増圧用リニア弁に供給圧と目標供給圧との差に応じた電力が供給される。このように目標供給圧制御が実行されることで、供給圧を目標供給圧にすることが可能となっている。
ただし、目標供給圧制御実行時にABS弁装置が作動すると、供給圧が大きく変動し、供給圧を目標供給圧に追従させるべく、減圧用リニア弁および増圧用リニア弁の開閉状態が頻繁に切り換えられる虞がある。そこで、上記特許文献1に記載のシステムでは、ABS弁装置が作動している場合には、基本的に、目標供給圧制御とは別の制御が実行されるようになっている。詳しくいえば、目標供給圧に対してある程度マージンをもつ範囲を目標範囲として定め、ABS弁装置作動時に、その目標範囲内に供給圧が収まるように液圧源装置への供給電力が制御される目標範囲制御が実行されるようになっている。目標範囲は、それの上限値が目標供給圧に上限決定用加算値を加えた値となるとともに下限値が目標供給圧から下限決定用減算値を減じた値となるように設定されている。目標範囲制御では、減圧用リニア弁に、供給圧が上限値以上となった場合に減圧用リニア弁を開弁させるための電力が供給されるとともに、増圧用リニア弁には、供給圧が下限値以下となった場合に増圧用リニア弁を開弁させるための電力が供給される。ABS弁装置作動時に、供給圧が目標範囲内に収まるように液圧弁装置が制御されることで、減圧用リニア弁および増圧用リニア弁の開閉状態の頻繁な切換を抑制することが可能となる。ただし、ABS弁装置作動時であっても、供給圧が目標範囲から大きくずれたような場合、具体的にいえば、目標供給圧に減圧閾値決定用加算値を加えた圧力より供給圧が高くなった場合には、供給圧を早急に目標供給圧にするべく、目標供給圧制御が実行されるようになっている。
上述したように2つの制御が選択的に実行されることで、ABS弁装置の作動時において、減圧用リニア弁および増圧用リニア弁の開閉状態の頻繁な切換を抑制することが可能となり、ABS弁装置の非作動時において、運転者によるブレーキ操作に基づいた適切な制動力を発生させることが可能となっている。ただし、ABS弁装置の作動時には、供給圧が目標供給圧からズレていることが多く、特に、目標範囲制御時に供給圧をある程度高圧に維持すべく、上限値決定用加算値が大きな値とされているような場合には、供給圧が目標供給圧よりある程度高くなることが多くある。供給圧が目標供給圧よりある程度高くなると、例えば、運転者が想定している制動力より大きな制動力が生じ、運転者が違和感を感じる虞がある。このため、ABS弁装置の作動が終了すると推定される状況下では、例えば、供給圧を早急に低減させることが望ましい。本発明は、そのような事情に鑑みてなされたものであり、目標供給圧制御と目標範囲制御とを選択的に実行可能なブレーキシステムにおいて、ABS弁装置の作動の終了に良好に対応可能なシステムを提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明の液圧ブレーキシステムは、ABS弁装置の作動が終了すると推定される状況下において、その状況に対応するための対応制御として、(A)上記減圧閾値決定用加算値を小さくすることと、(B)上記上限決定用加算値を小さくすることと、(C)ABS弁装置の作動が終了すると推定された時点で目標供給圧制御が実行されている場合において、減圧用リニア弁に供給されている電力を増加させることと、(D)目標供給圧を低減させることとの少なくとも1つを実行するように構成される。
本発明の液圧ブレーキシステムでは、ABS弁装置の作動が終了すると推定される状況下(以下、「作動終了状況下」と略す場合がある)において、減圧閾値決定用加算値を小さくすることで、目標範囲制御の代わりに目標供給圧制御が実行され易くなり、供給圧と目標供給圧との差を小さくすることが可能となる。また、作動終了状況下において、上限決定用加算値を小さくすることで、目標範囲制御が実行される際の目標範囲の上限値を小さくすることが可能となり、供給圧と目標供給圧との差を小さくすることが可能となる。また、作動終了状況下において、ABS装置の作動終了が推定された時点で目標供給圧制御が実行されている場合に、減圧用リニア弁に供給されている電力を増加させることで、供給圧を目標供給圧に早急に低下させることが可能となり、供給圧と目標供給圧との差を小さくすることが可能となる。また、作動終了状況下において、目標供給圧を低減させることで、後に詳しく説明するように、液圧弁装置による減圧効果を高めることが可能となり、供給圧と目標供給圧との差を小さくすることが可能となる。したがって、本発明の液圧ブレーキシステムによれば、対応制御を実行することで、ABS弁装置の作動終了時点での供給圧と目標供給圧との差を小さくすることが可能となり、ABS弁装置の作動の終了に良好に対応することが可能となる。
(B)発明の態様
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、それらの発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載,実施形態の記載等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。
なお、以下の各項において、(1)項に(3)項、(5)項、(7)項および(9)項に記載の技術的特徴を付加したものが請求項1に相当し、請求項1に(4)項、(6)項、(8)項および(10)項に記載の技術的特徴を付加したものが請求項2に、請求項1または請求項2に(11)項および(12)項に記載の技術的特徴を付加したものが請求項3に、請求項1ないし請求項3のいずれか1つに(11)項および(13)項に記載の技術的特徴を付加したものが請求項4に、請求項1ないし請求項4のいずれか1つに(11)項および(14)項に記載の技術的特徴を付加したものが請求項5に、請求項1ないし請求項5のいずれか1つに(11)項および(15)項に記載の技術的特徴を付加したものが請求項6に、請求項1ないし請求項6のいずれか1つに(11)項および(16)項に記載の技術的特徴を付加したものが請求項7に、請求項1ないし請求項7のいずれか1つに(11)項および(17)項に記載の技術的特徴を付加したものが請求項8に、請求項1ないし請求項8のいずれか1つに(11)項および(18)項に記載の技術的特徴を付加したものが請求項9に、請求項9に(19)項に記載の技術的特徴を付加したものが請求項10に、請求項9に(20)項に記載の技術的特徴を付加したものが請求項11に、請求項11に(21)項に記載の技術的特徴を付加したものが請求項12に、請求項9ないし請求項12のいずれか1つに(22)項に記載の技術的特徴を付加したものが請求項13に、それぞれ相当する。
(1)運転者によって操作されるブレーキ操作部材と、
車輪に設けられて自身に供給された圧力に応じた制動力を発生させるブレーキ装置と、
自身に供給される電力に応じて作動液を増圧する電磁式の増圧用リニア弁と、自身に供給される電力に応じて作動液を減圧する電磁式の減圧用リニア弁とを有し、それらによって調圧された作動液を供給する液圧源装置と、
その液圧源装置と前記ブレーキ装置との間に介在させられたABS弁装置と、
前記増圧用リニア弁への供給電力を制御してその増圧用リニア弁の作動を制御するとともに、前記減圧用リニア弁への供給電力を制御してその減圧用リニア弁の作動を制御する制御装置と
を備えた車両用液圧ブレーキシステムであって、
前記制御装置が、
前記ブレーキ操作部材の操作に基づいて、前記液圧源装置が供給する作動液の液圧である供給圧の目標となる目標供給圧を決定する目標供給圧決定部と、
(a)前記供給圧が前記目標供給圧決定部によって決定された前記目標供給圧となるように、前記供給圧が前記目標供給圧より高い場合に前記供給圧と前記目標供給圧との差に応じた電力を前記減圧用リニア弁に供給するとともに、前記供給圧が前記目標供給圧より低い場合に前記供給圧と前記目標供給圧との差に応じた電力を前記増圧用リニア弁に供給する第1制御と、(b)上限値が前記目標供給圧に上限決定用加算値を加えた値となるとともに下限値が前記目標供給圧から下限決定用減算値を減じた値となるように決定される目標範囲内に前記供給圧が収まるように、前記供給圧が前記上限値以上となった場合において前記減圧用リニア弁を開弁させるための電力を前記減圧用リニア弁に供給し続けるとともに、前記供給圧が前記下限値以下となった場合において前記増圧用リニア弁を開弁させるための電力を前記増圧用リニア弁に供給し続ける第2制御とを選択的に実行する供給圧制御実行部と、
その供給圧制御実行部が実行する制御として、(i)前記ABS弁装置が作動していない場合に前記第1制御を選択し、一方、(ii)前記ABS弁装置が作動している場合において、前記供給圧が前記目標供給圧以上であり、かつその目標供給圧に前記上限決定用加算値より大きな値の減圧閾値決定用加算値を加えた圧力以下であるときに前記第2制御を、前記供給圧が前記目標供給圧に前記減圧閾値決定用加算値を加えた圧力より高いときに前記第1制御を、それぞれ選択する制御選択部とを有し、
前記制御装置が、さらに、
前記ABS弁装置の作動が終了すると推定される状況下において、その状況に対応するための対応制御を実行するABS弁装置作動終了対応部を有する車両用液圧ブレーキシステム。
液圧源装置とABS弁装置とを備えた液圧ブレーキシステムにおいて、上記目標供給圧制御としての第1制御が実行されている際に、ABS弁装置が作動すると、液圧源装置が供給する作動液の液圧である供給圧が大きく変動し、供給圧を目標供給圧に追従させるべく、減圧用リニア弁および増圧用リニア弁の開閉状態が頻繁に切り換えられる虞がある。このため、ABS弁装置が作動している場合に、上記目標範囲制御としての第2制御が目標圧制御の代わりに実行されるシステムが存在する。ただし、ABS弁装置作動時であっても、供給圧が減圧閾値を超えるほど高くなった場合、詳しくいえば、目標供給圧に減圧閾値決定用加算値を加えた圧力より供給圧が高くなった場合等には、供給圧を早急に目標供給圧にするべく、目標供給圧制御が実行されるようになっている。
上述したように2つの制御が選択的に実行されることで、ABS弁装置の作動時において、減圧用リニア弁および増圧用リニア弁の開閉状態の頻繁な切換を抑制することが可能となり、ABS弁装置の非作動時において、運転者によるブレーキ操作に基づいた適切な制動力を発生させることが可能となっている。ただし、ABS弁装置の作動時には、供給圧は目標供給圧からある程度ズレていることが多く、特に、目標範囲制御時に供給圧をある程度高圧に維持すべく、上限値決定用加算値が大きな値とされているような場合には、供給圧が目標供給圧よりある程度高くなることが多くある。供給圧が目標供給圧よりある程度高くなると、例えば、運転者が想定している制動力より大きな制動力が生じ、運転者が違和感を感じる虞がある。このため、ABS弁装置の作動が終了すると推定される状況下では、例えば、供給圧を早急に低減させることが望ましい。
そこで、本項に記載の液圧ブレーキシステムでは、ABS弁装置の作動が終了すると推定される状況下において、その状況に良好に対応するための対応制御が実行されるようになっている。対応制御は、ABS弁装置の作動が終了すると推定される状況に良好に対応可能な制御であればよく、例えば、供給圧の減圧効果を高めるための制御であってもよく、供給圧を早急に低減させることが可能な制御であってもよい。対応制御を実行することで、例えば、ABS弁装置の作動が終了した時点での前記供給圧と前記目標供給圧との差を小さくすることが可能となり、ABS弁装置の作動終了時の運転者のブレーキ操作に対する違和感を軽減することが可能となる。
本項に記載の「ABS弁装置」は、車輪のロック,横滑り,空転等を抑制するべく、ブレーキ装置に供給される作動液の圧力であるブレーキ圧を増減可能な構造であればよく、例えば、液圧源装置が供給する作動液のブレーキ装置への流入を許容する状態と禁止する状態とを切換可能なABS保持弁と、ブレーキ装置に供給された作動液のリザーバへの流出を許容する状態と禁止する状態とを切換可能なABS減圧弁とを有し、ABS保持弁が開弁されるとともにABS減圧弁が閉弁されることで、ブレーキ圧を増加させ、ABS保持弁が閉弁されるとともにABS減圧弁が開弁されることで、ブレーキ圧を低減させる構造であってもよい。また、本項に記載の「ABS弁装置が作動している場合」とは、ABS保持弁若しくはABS減圧弁の開閉状態が頻繁に切り換えられている場合であり、「ABS弁装置が作動していない場合」とは、ABS保持弁が開弁されるとともにABS減圧弁が閉弁される状態が維持されている場合である。
本項に記載の「上限決定用加算値」と「減圧閾値決定用加算値」とは、それぞれ、正の値とされており、「下限決定用減算値」は、正の値とされてもよく、目標範囲制御実行時に供給圧をある程度高圧に維持するべく、0若しくは負の値とされてもよい。つまり、下限決定用減算値が正の値に設定される場合には、目標範囲は目標供給圧を含んだ範囲となる。また、下限決定用減算値が0に設定される場合には、目標範囲の下限値が目標供給圧となり、下限決定用減算値が負の値に設定される場合には、目標範囲の下限値が目標供給圧より高い圧力となるため、目標範囲制御実行時に供給圧を目標供給圧に対してある程度高圧にすることが可能となる。なお、下限決定用減算値が負の値に設定される場合には、上限決定用加算値は下限決定用減算値の絶対値より大きな値とされており、下限決定用減算値が正の値に設定される場合には、上限決定用加算値は下限決定用減算値の絶対値より大きな値とされることが望ましい。
(2)前記対応制御が、
前記ABS弁装置の作動が終了した時点での前記供給圧と前記目標供給圧との差を小さくするための制御である(1)項に記載の車両用液圧ブレーキシステム。
本項に記載のシステムによれば、ABS弁装置作動時の液圧弁装置の制御からABS弁装置非作動時の液圧弁装置の制御への切換を円滑にすることが可能となり、ABS弁装置の作動終了時の運転者のブレーキ操作に対する違和感を軽減することが可能となる。
(3)前記ABS弁装置作動終了対応部が、
前記対応制御として、前記減圧閾値決定用加算値を小さくするように構成された(1)項または(2)項に記載の車両用液圧ブレーキシステム。
ABS弁装置が作動している場合であっても、供給圧が目標供給圧より高くなりすぎた場合、具体的には、供給圧が目標供給圧に減圧閾値決定用加算値を加えた圧力より高くなった場合には、供給圧を早急に目標供給圧まで低減させるべく、目標範囲制御の代わりに目標供給圧制御が実行される。つまり、減圧閾値決定用加算値が大きいほど、ABS弁装置作動時に目標範囲制御の代わりに目標供給圧制御が実行され難くなり、供給圧と目標供給圧との差が大きくなる虞がある。このため、減圧閾値決定用加算値が大きいほど、ABS弁装置の作動終了時の運転者のブレーキ操作に対する違和感が大きくなる虞がある。本項に記載のシステムにおいては、ABS弁装置の作動が終了すると推定される状況下において、減圧用閾値決定用加算値を小さくしており、目標範囲制御の代わりに目標供給圧制御が実行され易くなる。したがって、本項に記載のシステムによれば、ABS弁装置の作動が終了すると推定される状況下において、供給圧と目標供給圧との差を小さくすることが可能となり、ABS弁装置の作動終了時の運転者のブレーキ操作に対する違和感を軽減することが可能となる。
(4)前記前記ABS弁装置作動終了対応部が、
当該車両用液圧ブレーキシステムを搭載した車両の走行速度と前記目標供給圧との一方をパラメータとして用い、そのパラメータが低いほど前記減圧閾値決定用加算値をより小さくするように構成された(3)項に記載の車両用液圧ブレーキシステム。
車両の走行速度(以下、「車速」という場合がある)が高いほど車輪の横滑りは発生し易く、車速が低いほど車輪の横滑りは発生し難い。また、目標供給圧が高いほど車輪のロックは発生し易く、目標供給圧が低いほど車輪のロックは発生し難い。このため、車速、若しくは目標供給圧が低いほど、ABS弁装置の作動の終了に備えて、供給圧と目標供給圧との差を小さくしておくことが望ましい。本項に記載のシステムにおいては、車速、若しくは目標供給圧が低いほど、減圧閾値決定用加算値を小さくしており、供給圧と目標供給圧との差を小さくすることが可能となっている。
(5)前記ABS弁装置作動終了対応部が、
前記対応制御として、前記上限決定用加算値を小さくするように構成された(1)項ないし(4)項のいずれか1つに記載の車両用液圧ブレーキシステム。
(6)前記前記ABS弁装置作動終了対応部が、
当該車両用液圧ブレーキシステムを搭載した車両の走行速度と前記目標供給圧との一方をパラメータとして用い、そのパラメータが低いほど前記上限決定用加算値をより小さくするように構成された(5)項に記載の車両用液圧ブレーキシステム。
目標範囲制御における目標範囲の上限値、つまり、上限決定用加算値が大きいと、目標範囲制御において、供給圧と目標供給圧との差が大きくなる虞がある。このため、上限決定用加算値が大きいほど、ABS弁装置の作動終了時の運転者のブレーキ操作に対する違和感が大きくなる虞がある。したがって、上記2つの項に記載のシステムによれば、ABS弁装置の作動が終了すると推定される状況下において、上限決定用加算値を小さくすることで、目標範囲制御実行時の供給圧と目標供給圧との差を小さくすることが可能となり、ABS弁装置の作動終了時の運転者のブレーキ操作に対する違和感を軽減することが可能となる。また、後者の項に記載のシステムによれば、車速、若しくは目標供給圧が低いほど、上限決定用加算値を小さくすることで、供給圧と目標供給圧との差をさらに小さくし、ABS弁装置の作動終了時の運転者のブレーキ操作に対する違和感をさらに軽減することが可能となる。
(7)前記ABS弁装置作動終了対応部が、
前記対応制御として、前記ABS装置の作動が終了すると推定された時点で前記第1制御が実行されている場合において、前記減圧用リニア弁に供給されている電力を増加させるように構成された(1)項ないし(6)項のいずれか1つに記載の車両用液圧ブレーキシステム。
(8)前記前記ABS弁装置作動終了対応部が、
当該車両用液圧ブレーキシステムを搭載した車両の走行速度と前記目標供給圧との一方をパラメータとして用い、そのパラメータが低いほど前記減圧用リニア弁に供給されている電力をより多く増加させるように構成された(7)項に記載の車両用液圧ブレーキシステム。
ABS弁装置作動時に目標供給圧制御が実行されている場合には、供給圧は目標供給圧より相当高くなっている。このような場合に、ABS弁装置の作動が終了すれば、供給圧と目標供給圧との差が相当大きいため、運転者はブレーキ操作に対して大きな違和感を感じる虞がある。上記2つの項に記載のシステムにおいては、ABS弁装置の作動が終了すると推定される状況下において、目標供給圧制御が実行されている場合の減圧用リニア弁への供給電力を増加させており、供給圧を早急に目標供給圧に追従させることが可能となる。したがって、上記2つの項に記載のシステムによれば、ABS弁装置の作動が終了すると推定される状況下において、供給圧と目標供給圧との差を小さくすることが可能となり、ABS弁装置の作動終了時の運転者のブレーキ操作に対する違和感を軽減することが可能となる。また、後者の項に記載のシステムによれば、車速、若しくは目標供給圧が低いほど、減圧用リニア弁への供給電力を増加させることで、供給圧と目標供給圧との差をさらに小さくし、ABS弁装置の作動終了時の運転者のブレーキ操作に対する違和感をさらに軽減することが可能となる。
(9)前記ABS弁装置作動終了対応部が、
前記対応制御として、前記目標供給圧決定部によって決定される前記目標供給圧を低減させるように構成された(1)項ないし(8)項のいずれか1つに記載の車両用液圧ブレーキシステム。
(10)前記前記ABS弁装置作動終了対応部が、
当該車両用液圧ブレーキシステムを搭載した車両の走行速度と前記目標供給圧との一方をパラメータとして用い、そのパラメータが低いほど前記目標供給圧をより大きく低減させるように構成された(9)項に記載の車両用液圧ブレーキシステム。
ABS弁装置作動時に目標供給圧制御と目標範囲制御との切換を判定するための閾値は、目標供給圧に減圧閾値決定用加算値を加えた値に設定されている。このため、減圧閾値決定用加算値を小さくするのではなく目標供給圧を低減させることでもその閾値を小さくすることが可能となり、ABS弁装置作動時に目標範囲制御の代わりに目標供給圧制御が実行され易くなる。また、目標範囲の上限値は、目標供給圧に上限決定用加算値を加えた値に設定されている。このため、上限決定用加算値を小さくするのではなく目標供給圧を低減させることでも目標範囲の上限値を小さくすることが可能となり、目標範囲制御実行時の供給圧と目標供給圧との差を小さくすることが可能となる。さらに、目標供給圧制御において、供給圧が目標供給圧より高い場合には、目標供給圧から供給圧を減じた圧力差に応じた電力が減圧用リニア弁に供給される。このため、目標供給圧を低減させることで、目標供給圧制御実行時の減圧用リニア弁への供給電力を増加させることが可能となり、供給圧を早急に目標供給圧に追従させることが可能となる。
したがって、上記2つの項に記載のシステムによれば、対応制御として、減圧閾値決定用加算値を小さくすることと、上限決定用加算値を小さくすることと、減圧用リニア弁への供給電力を増加させることとの全ての効果を生じさせることが可能となり、ABS弁装置の作動終了時の運転者のブレーキ操作に対する違和感を軽減することが可能となる。また、後者の項に記載のシステムによれば、車速、若しくは目標供給圧が低いほど、目標供給圧を低減させることで、供給圧と目標供給圧との差をさらに小さくし、ABS弁装置の作動終了時の運転者のブレーキ操作に対する違和感をさらに軽減することが可能となる。
ちなみに、対応制御として、減圧閾値決定用加算値を小さくすることと、上限決定用加算値を小さくすることと、減圧用リニア弁への供給電力を増加させることと、目標供給圧を低減させることとの4つの態様を説明したが、それら4つの態様のうちの少なくとも1つを対応制御として実行することで、ABS弁装置の作動終了時の運転者のブレーキ操作に対する違和感を軽減することが可能となる。つまり、当該液圧ブレーキシステムは、4つの態様のうちの1つだけ実行可能とされていてもよく、4つの態様のうちの複数のものを実行可能とされていてもよい。また、4つの態様のうちの複数のものを実行可能とされている場合には、それら複数のものを同時に対応制御として実行してもよく、それら複数のものの1つを単独で対応制御として実行してもよい。具体的にいえば、対応制御として、減圧閾値決定用加算値を小さくすることと、上限決定用加算値を小さくすることとが採用されている場合には、減圧閾値決定用加算値を小さくするとともに上限決定用加算値を小さくしてもよく、減圧閾値決定用加算値を小さくすることと、上限決定用加算値を小さくこととのいずれかを選択的に実行してもよい。
(11)前記ABS弁装置作動終了対応部が、
前記ABS弁装置の作動の終了を推定するABS弁装置作動終了推定部を有し、そのABS弁装置作動終了推定部の推定に基づいて前記対応制御を実行するように構成された(1)項ないし(10)項のいずれか1つに記載の車両用液圧ブレーキシステム。
本項に記載のシステムにおいては,ABS弁装置の作動が終了することを予測することが可能となり、上記対応制御を適切なタイミングで実行することが可能となる。
(12)前記ABS弁装置作動終了推定部が、
前記供給圧が安定した場合に、前記ABS弁装置の作動が終了すると推定するように構成された(11)項に記載の車両用液圧ブレーキシステム。
ABS弁装置は、車輪のロック,横滑り等を抑制するべく、ブレーキ圧を増減させる構造とされており、ABS弁装置が頻繁に作動しているときには、ブレーキ圧の増減に伴って供給圧は安定することなく増減を繰り返す。一方、ABS弁装置の作動頻度が低下すると、供給圧は大きく増減しなくなり、供給圧の変動の幅が小さくなる。つまり、供給圧が大きく変化しなくなり、安定する。したがって、本項に記載のシステムによれば、ABS弁装置の作動が終了することを適切に推定することが可能となり、適切なタイミングで対応制御を実行することが可能となる。
本項に記載の「ABS弁装置作動終了推定部」は、単位時間当たりの供給圧の最大値と最小値との差,単位時間当たりの供給圧の平均値の変化量,最小2乗法等を利用して、供給圧の安定を判定することが可能である。具体的には、例えば、単位時間当たりの供給圧の最大値と最小値との差が設定差以下となった場合に供給圧は安定していると判定してもよく、最小2乗法において演算される寄与率が設定値以上である場合に供給圧は安定していると判定してもよい。
(13)前記ABS弁装置作動終了推定部が、
前記目標供給圧が増加していないにも関わらず前記供給圧が増加した場合に、前記ABS弁装置の作動が終了すると推定するように構成された(11)項または(12)項に記載の車両用液圧ブレーキシステム。
ABS弁装置が作動していない場合には、目標供給圧の増加に伴って供給圧も増加するが、ABS弁装置が作動している場合には、ABS弁装置の作動によって供給圧が低下するため、目標供給圧が増加しても供給圧が増加しないことがある。つまり、目標供給圧が増加しているにも関わらず供給圧が増加しない場合には、ABS弁装置が頻繁に作動している可能性が極めて高いと考えられる。一方、目標供給圧が増加しているにも関わらず供給圧が増加しない場合とは反対の場合、つまり、目標供給圧が増加していないにも関わらず供給圧が増加した場合には、ABS弁装置が作動している可能性は殆どないと考えられる。したがって、本項に記載のシステムによれば、ABS弁装置の作動が終了することを適切に推定することが可能となり、適切なタイミングで対応制御を実行することが可能となる。
(14)前記ABS弁装置作動終了推定部が、
前記目標供給圧が低下した場合に、前記ABS弁装置の作動が終了すると推定するように構成された(11)項ないし(13)項のいずれか1つに記載の車両用液圧ブレーキシステム。
運転者がブレーキペダルを踏み込んで目標供給圧が増加している場合には、車輪のロック,横滑り等の発生の可能性は高いが、運転者がブレーキペダルの踏み込みをやめて目標供給圧が低下するような場合には、車輪のロック,横滑り等の発生の可能性は低くなる。したがって、本項に記載のシステムによれば、ABS弁装置の作動が終了することを適切に推定することが可能となり、適切なタイミングで対応制御を実行することが可能となる。
本項に記載の「ABS弁装置作動終了推定部」は、目標供給圧の低下を目標供給圧の変化勾配,変化量,変化速度等によって判定してもよく、ブレーキペダルの操作量,操作速度等によって判断してもよい。具体的には、例えば、目標供給圧の変化勾配が設定勾配以下となった場合に、目標供給圧が低下したと判断してもよく、目標供給圧の低下量が設定量以上となった場合に、目標供給圧が低下したと判断してもよい。
(15)前記ABS弁装置作動終了推定部が、
前記目標供給圧が設定圧以下となった場合に、前記ABS弁装置の作動が終了すると推定するように構成された(11)項ないし(14)項のいずれか1つに記載の車両用液圧ブレーキシステム。
目標供給圧が高い場合には、ブレーキ圧も高くなるため、車輪のロック,横滑り等の発生の可能性は高い。一方、目標供給圧が低下すれば、ブレーキ圧も低下するため、車輪のロック,横滑り等の発生の可能性は低くなる。したがって、本項に記載のシステムによれば、ABS弁装置の作動が終了することを適切に推定することが可能となり、適切なタイミングで対応制御を実行することが可能となる。
(16)前記ABS弁装置作動終了推定部が、
当該車両用液圧ブレーキシステムを搭載した車両の走行速度が設定速度以下となった場合に、前記ABS弁装置の作動が終了すると推定するように構成された(11)項ないし(15)項のいずれか1つに記載の車両用液圧ブレーキシステム。
車速が高い場合には、車輪の横滑り等の発生の可能性は高く、車速が低い場合には、車輪の横滑り等の発生の可能性は低い。したがって、本項に記載のシステムによれば、ABS弁装置の作動が終了することを適切に推定することが可能となり、適切なタイミングで対応制御を実行することが可能となる。
(17)前記ABS弁装置作動終了推定部が、
前記ABS弁装置の作動が設定時間以上継続した場合に、前記ABS弁装置の作動が終了すると推定するように構成された(11)項ないし(16)項のいずれか1つに記載の車両用液圧ブレーキシステム。
ABS弁装置は、車輪のロック,横滑り等を抑制する際に作動するものであり、長時間連続して作動することは殆どない。したがって、本項に記載のシステムによれば、ABS弁装置の作動が終了することを適切に推定することが可能となり、適切なタイミングで対応制御を実行することが可能となる。
(18)前記ABS弁装置作動終了推定部が、
前記供給圧と前記目標供給圧との一方である判定対象圧と前記ブレーキ装置に供給されている作動液の圧力であるブレーキ圧との差が設定差以下となった場合に、前記ABS弁装置の作動が終了すると推定するように構成された(11)項ないし(17)項のいずれか1つに記載の車両用液圧ブレーキシステム。
ABS弁装置が作動していない場合には、液圧源装置が供給する作動液がブレーキ装置に作用することから、供給圧とブレーキ圧とは同じとなる。一方、ABS弁装置が作動している場合には、車輪のロック等を抑制するべくブレーキ圧が増減し、供給圧とブレーキ圧とは異なっている場合が多い。つまり、供給圧とブレーキ圧との差が小さい場合には、ABS弁装置の作動頻度が低下していると考えられる。また、供給圧と目標供給圧と概ね同じように増減することから、目標供給圧とブレーキ圧との差が小さい場合にも、ABS弁装置の作動頻度が低下していると考えられる。したがって、本項に記載のシステムによれば、ABS弁装置の作動が終了することを適切に推定することが可能となり、適切なタイミングで対応制御を実行することが可能となる。
ちなみに、ABS弁装置の作動の終了を推定する手段として、7つの態様を上述したが、それら7つの態様のうちの少なくとも1つのものによって、ABS弁装置の作動の終了を推定することで、上記対応制御を適切なタイミングで実行することが可能となる。つまり、当該液圧ブレーキシステムは、7つの態様のうちの1つのものだけ実行可能とされていてもよく、7つの態様のうちの複数のものを実行可能とされていてもよい。また、7つの態様のうちの複数のものを実行可能とされている場合には、それら複数のもののうちの1つのものを満たすことを条件として、ABS弁装置の作動の終了を推定してもよく、それら複数のもののうちの2以上のものを同時に満たすことを条件として、ABS弁装置の作動の終了を推定してもよい。具体的にいえば、例えば、ABS弁装置の作動の終了を推定する手段として、車速に依拠した態様とABS弁装置の作動の継続時間に依拠した態様とが採用されている際には、車速が設定速度以下となった場合にABS弁装置の作動が終了すると推定してもよく、ABS弁装置の作動が設定時間以上継続した場合にABS弁装置の作動が終了すると推定してもよく、また、車速が設定速度以下となり、かつ、ABS弁装置の作動が設定時間以上継続した場合にABS弁装置の作動が終了すると推定してもよい。
(19)当該車両用液圧ブレーキシステムが、
前後左右の車輪に対応してそれぞれが前記ブレーキ装置となる4つのブレーキ装置を備え、
前記ABS弁装置作動終了推定部が、
前記4つのブレーキ装置のうちの少なくとも1つのものの各々の前記ブレーキ圧に基づいて前記判定対象圧との差を判定するための単一のブレーキ圧を決定し、その決定された単一のブレーキ圧と前記判定対象圧との差が前記設定差以下となった場合に、前記ABS弁装置の作動が終了すると推定するように構成された(18)項に記載の車両用液圧ブレーキシステム。
4輪に対応して設けられた4つのブレーキ装置に対応する4つのブレーキ圧は、ABS弁装置作動時には、通常、互いに異なる。このため、本項に記載のシステムにおいては、上記判定対象圧との差を判定するために単一のブレーキ圧を決定し、その決定された単一のブレーキ圧と判定対象圧との差によってABS弁装置の作動の終了を推定している。本項に記載の「ABS弁装置作動終了推定部」は、4つのブレーキ圧のいずれかのもの、若しくは、4つのブレーキ圧の複数のものを用いて演算したものによって、単一のブレーキ圧を決定すればよく、具体的には、例えば、4つのブレーキ圧の平均値,最大値,2番目若しくは3番目に大きい値,4つのブレーキ圧の各々に重み付けをし演算した値等によって、単一のブレーキ圧を決定すればよい。また、ABS弁装置は、通常、4つの車輪に対応して4対の電磁弁を有しており、ABS弁装置作動時に4対の電磁弁が全て作動するわけではない。つまり、少なくとも1対の電磁弁が作動しない場合がある。このような場合には、作動していないその少なくとも1対の電磁弁のうちのいずれか1つに対応する車輪のブレーキ圧を、判定対象圧との差を判定するための単一のブレーキ圧に決定してもよい。
(20)当該車両用液圧ブレーキシステムが、
前後左右の車輪に対応してそれぞれが前記ブレーキ装置となる4つのブレーキ装置を備え、
前記ABS弁装置作動終了推定部が、
前記4つのブレーキ装置の各々の前記ブレーキ圧について前記判定対象圧との差を判定し、前記4つのブレーキ装置のうちの1つでも前記ブレーキ圧と前記判定対象圧との差が前記設定差以下となった場合に、前記ABS弁装置の作動が終了すると推定するように構成された(18)項に記載の車両用液圧ブレーキシステム。
(21)前記ABS弁装置作動終了対応部が、
前記対応制御として、
(A)前記減圧閾値決定用加算値を小さくすることと、
(B)前記上限決定用加算値を小さくすることと、
(C)前記ABS装置の作動が終了すると推定された時点で前記第1制御が実行されている場合において、前記減圧用リニア弁に供給されている電力を増加させることと、
(D)前記目標供給圧決定部によって決定される前記目標供給圧を低減させることと
の少なくとも1つを実行するように構成され、
(A)前記対応制御として、前記減圧閾値決定用加算値を小さくするように構成された場合に、前記4つのブレーキ装置のうちの前記ブレーキ圧と前記判定対象圧との差が前記設定差以下となっているものの数が多いほど前記減圧閾値決定用加算値をより小さくし、
(B)前記対応制御として、前記上限決定用加算値を小さくするように構成された場合に、前記4つのブレーキ装置のうちの前記ブレーキ圧と前記判定対象圧との差が前記設定差以下となっているものの数が多いほど前記上限決定用加算値をより小さくし、
(C)前記対応制御として、前記ABS装置の作動が終了すると推定された時点で前記第1制御が実行されている場合において、前記減圧用リニア弁に供給されている電力を増加させるように構成された場合に、前記4つのブレーキ装置のうちの前記ブレーキ圧と前記判定対象圧との差が前記設定差以下となっているものの数が多いほど前記減圧用リニア弁に供給されている電力をより多く増加させ、
(D)前記対応制御として、前記目標供給圧決定部によって決定される前記目標供給圧を低減させるように構成された場合に、前記4つのブレーキ装置のうちの前記ブレーキ圧と前記判定対象圧との差が前記設定差以下となっているものの数が多いほど前記目標供給圧をより大きく低減させるように構成された(20)項に記載の車両用液圧ブレーキシステム。
上記2つの項に記載のシステムにおいては、ABS弁装置の作動の終了を推定するべく、4つのブレーキ圧毎に判定対象圧との差を演算しており、後者の項に記載のシステムにおいては、4つのブレーキ圧のうちの判定対象圧との差が設定差以下となっているものの数に応じて対応制御における加算値,目標供給圧,供給電力等を変化させている。全てのブレーキ圧が判定対象圧との差が設定差以下となっていれば、全車輪に対応して設けられた4対の電磁弁の作動頻度が低下していると考えられ、一方、全てのブレーキ圧が判定対象圧との差が設定差より大きくなっていれば、4対の電磁弁は頻繁に作動していると考えられる。したがって、後者の項に記載のシステムによれば、4対の電磁弁のうちの作動頻度が低下しているものの数が多いほど、供給圧と目標供給圧との差を小さくすることが可能となる。
(22)前記ABS弁装置作動終了推定部が、
前記ABS弁装置が作動し始めてからの前記ABS弁装置の作動状況に基づいて前記ブレーキ圧を推定するブレーキ圧推定部を有し、そのブレーキ圧推定部によって推定された前記ブレーキ圧に基づいて前記ABS弁装置の作動の終了を推定するように構成された(18)項ないし(21)項のいずれか1つに記載の車両用液圧ブレーキシステム。
ABS弁装置は、上述したように、通常、4つの車輪に対応して4対の電磁弁を有している。1対の電磁弁は、ブレーキ圧を増圧可能なABS保持弁とブレーキ圧を減圧可能なABS減圧弁とによって構成されており、ABS保持弁が開弁されるとともにABS減圧弁が閉弁されることで、ブレーキ圧を増加させ、ABS減圧弁が開弁されるとともにABS保持弁が閉弁されることで、ブレーキ圧を低下させる構造とされている。このため、ABS弁装置の作動状況、つまり、ABS保持弁およびABS減圧弁の各々の作動履歴、具体的にいえば、ABS弁装置が作動し始めてからの開弁時間等に基づいてブレーキ圧の変化量を演算することが可能である。また、ABS弁装置が作動していない場合、つまり、4対の電磁弁が作動していない場合には、4つのブレーキ圧の各々は供給圧と同じとなっている。したがって、ABS弁装置が作動する直前の供給圧からABS保持弁およびABS減圧弁の各々の作動履歴に基づいて演算されるブレーキ圧の変化量を減じることで、ABS弁装置作動時のブレーキ圧を適切に推定することが可能である。
(23)前記制御選択部が、
前記ABS弁装置が作動している場合において、前記供給圧が前記目標供給圧未満であり、かつ前記目標供給圧から増圧閾値決定用減算値を減じた圧力以上であるときに前記第2制御を、前記供給圧が前記目標供給圧から前記増圧閾値決定用減算値を減じた圧力未満であるときに前記第1制御を、それぞれ選択するように構成された(1)項ないし(22)項のいずれか1つに記載の車両用液圧ブレーキシステム。
(24)前記減圧閾値決定用加算値が、前記増圧閾値決定用減算値より大きな値である(23)項に記載の車両用液圧ブレーキシステム。
上記2つの項に記載のシステムにおいては、ABS弁装置作動時であっても、供給圧が目標供給圧より低くなりすぎた場合に目標供給圧制御が実行される。したがって、上記2つの項に記載のシステムによれば、供給圧が急激に低下しても、供給圧を早急に目標供給圧にまで増加することが可能となる。また、後者の項に記載のシステムにおいては、供給圧が目標供給圧より低下した際に目標範囲制御の代わりに目標供給圧制御が実行され易くなっており、ABS弁装置作動時に供給圧を高圧に維持することが可能となっている。
(25)当該車両用液圧ブレーキシステムが、
前記液圧源装置から前記ABS弁装置へ作動液を供給するための液通路と、
その液通路に設けられ、前記液通路内の作動液の液圧を検出する検出器とを備え、
前記制御装置が、
前記検出器によって検出される液圧を前記供給圧とみなすように構成された(1)項ないし(24)項のいずれか1つに記載の車両用液圧ブレーキシステム。
本項に記載のシステムにおいては、液通路内の作動液の液圧を供給圧として採用しており、本項に記載のシステムによれば、適切に供給圧を検出することが可能となる。
請求可能発明の実施形態である車両用液圧ブレーキシステムが装備されたハイブリッド車両の駆動システムおよび制動システムを表す模式図である。 請求可能発明の実施形態である車両用液圧ブレーキシステムを示す概略図である。 図2の増圧用リニア弁および減圧用リニア弁を示す概略断面図である。 供給圧と減圧用リニア弁の開弁電流との関係を示すグラフである。 高圧源圧と供給圧との差圧と増圧用リニア弁の開弁電流との関係を示すグラフである。 対応制御実行時の減圧閾値決定用加算値,目標供給圧,実供給圧,ブレーキ圧の時間経過に対する変化を概略的に示すチャートである。 (a)対応制御非実行時の目標供給圧,実供給圧,ブレーキ圧の時間経過に対する変化を概略的に示すチャート、および(b)対応制御実行時の目標供給圧,実供給圧,ブレーキ圧の時間経過に対する変化を概略的に示すチャートである。 目標供給圧,ABS制御非実行輪のブレーキ圧、ABS制御実行輪のブレーキ圧の時間経過に対する変化を概略的に示すチャートである。 判定成立数とそれに依拠するゲインとの関係を示す概略図である。 実供給圧が大きく変化した後に実供給圧が安定した場合の目標供給圧,実供給圧、ブレーキ圧の時間経過に対する変化を概略的に示すチャートである。 目標供給圧が増加していないにも関わらず実供給圧が増加している場合の目標供給圧,実供給圧、ブレーキ圧の時間経過に対する変化を概略的に示すチャートである。 目標供給圧とそれに依拠するゲインとの関係を示す概略図である。 車両の走行速度とそれに依拠するゲインとの関係を示す概略図である。 車両用液圧ブレーキシステムの制御において実行される液圧制動プログラムを示すフローチャートである。 液圧制動プログラムにおいて実行されるABS弁装置作動時サブルーチンを示すフローチャートである。 液圧制動プログラムにおいて実行される第1ABS弁装置作動終了推定サブルーチンを示すフローチャートである。 液圧制動プログラムにおいて実行される第2ABS弁装置作動終了推定サブルーチンを示すフローチャートである。 液圧制動プログラムにおいて実行される第3ABS弁装置作動終了推定サブルーチンを示すフローチャートである。 液圧制動プログラムにおいて実行される第4ABS弁装置作動終了推定サブルーチンを示すフローチャートである。 液圧制動プログラムにおいて実行される第5ABS弁装置作動終了推定サブルーチンを示すフローチャートである。 液圧制動プログラムにおいて実行される第6ABS弁装置作動終了推定サブルーチンを示すフローチャートである。 液圧制動プログラムにおいて実行される第7ABS弁装置作動終了推定サブルーチンを示すフローチャートである。 液圧制動プログラムにおいて実行される第8ABS弁装置作動終了推定サブルーチンを示すフローチャートである。 液圧制動プログラムにおいて実行される第1対応制御実行サブルーチンを示すフローチャートである。 液圧制動プログラムにおいて実行される第2対応制御実行サブルーチンを示すフローチャートである。 液圧制動プログラムにおいて実行される第3対応制御実行サブルーチンを示すフローチャートである。 液圧制動プログラムにおいて実行される第4対応制御実行サブルーチンを示すフローチャートである。 車両用液圧ブレーキシステムの制御を司る制御装置の機能を示すブロック図である。
以下、請求可能発明の実施形態を、図を参照しつつ詳しく説明する。なお、本請求可能発明は、下記実施形態の他、前記〔発明の態様〕の項に記載された態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更を施した種々の態様で実施することができる。
実施形態
<車両の構成>
図1に、実施形態の車両用液圧ブレーキシステムを搭載したハイブリッド車両の駆動システムおよび制動システムを模式的に示す。車両には、動力源として、エンジン10と電気モータ12とが搭載されており、また、エンジン10の出力により発電を行う発電機14も搭載されている。これらエンジン10、電気モータ12、発電機14は、動力分割機構16によって互いに接続されている。この動力分割機構16を制御することで、エンジン10の出力を発電機14を作動させるための出力と、4つの車輪18のうちの駆動輪となるものを回転させるための出力とに振り分けたり、電気モータ12からの出力を駆動輪に伝達させることができる。つまり、動力分割機構16は、減速機20および駆動軸22を介して駆動輪に伝達される駆動力に関する変速機として、機能するのである。なお、「車輪18」等のいくつかの構成要素は、総称として使用するが、4つの車輪のいずれかに対応するものであることを示す場合には、左前輪,右前輪,左後輪,右後輪にそれぞれ対応して、添え字「FL」,「FR」,「RL」,「RR」を付すこととする。この表記に従えば、本車両における駆動輪は、車輪18RL,および車輪18RRである。
電気モータ12は、交流同期電動機であり、交流電力によって駆動される。車両にはインバータ24が備えられており、インバータ24は、電力を、直流から交流、あるいは、交流から直流に変換することができる。したがって、インバータ24を制御することで、発電機14によって出力される交流の電力を、バッテリー26に蓄えるための直流の電力に変換させたり、バッテリ26に蓄えられている直流の電力を、電気モータ12を駆動するための交流の電力に変換させることができる。発電機14は、電気モータ12と同様に、交流同期電動機としての構成を有している。つまり、本実施例の車両では、交流同期電動機が2つ搭載されていると考えることができ、一方が、電気モータ12として、主に駆動力を出力するために使用され、他方が、発電機14として、主にエンジン10の出力により発電するために使用されている。
また、電気モータ12は、車両の走行に伴う車輪18RL、18RRの回転を利用して、発電(回生発電)を行うことも可能である。このとき、車輪18RL、18RRに連結される電気モータ12では、電力が発生するとともに、電気モータ12の回転を制止するための抵抗力が発生する。したがって、その抵抗力を、車両を制動する制動力として利用することができる。つまり、電気モータ12は、電力を発生させつつ車両を制動するための回生ブレーキの手段として利用される。したがって、本車両は、回生ブレーキがエンジンブレーキや後述する液圧ブレーキとともに制御されることで、制動されるのである。
本車両において、上記のブレーキの制御や、その他の車両に関する各種の制御は、複数の電子制御ユニット(ECU)によって行われる。複数のECUのうち、メインECU40は、それらの制御を統括する機能を有している。例えば、ハイブリッド車両は、エンジン10の駆動および電気モータ12の駆動によって走行することが可能とされているが、それらエンジン10の駆動と電気モータ12の駆動は、メインECU40によって総合的に制御される。具体的に言えば、メインECU40によって、エンジン10の出力と電気モータ12による出力の配分が決定され、その配分に基づき、エンジン10を制御するエンジンECU42、電気モータ12及び発電機14を制御するモータECU44に各制御についての指令が出力される。また、メインECU40には、バッテリ26を制御するバッテリECU46も接続されている。
さらに、メインECU40には、ブレーキを制御するブレーキECU48も接続されている。当該車両には、運転者によって操作されるブレーキ操作部材が設けられており、ブレーキECU48は、そのブレーキ操作部材の操作量に基づいて目標制動力を決定し、メインECU40に対してこの目標制動力を出力する。メインECU40は、モータECU44にこの目標制動力を出力し、モータECU44は、その目標制動力に基づいて回生ブレーキを制御するとともに、それの実行値、つまり、発生させている回生制動力をメインECU40に出力する。メインECU40では、目標制動力から回生制動力が減算され、その減算された値によって、車両に搭載される液圧ブレーキシステム100において発生すべき目標液圧制動力が決定される。メインECU40は、目標液圧制動力をブレーキECU48に出力し、ブレーキECU48は、通常時において、液圧ブレーキシステム100が発生させる液圧制動力が目標液圧制動力となるように制御するのである。
<車両用液圧ブレーキシステムの構成>
図2に、車両が備える液圧ブレーキシステム100を概念的に示す。本液圧ブレーキシステム100は、ブレーキ操作部材としてのブレーキペダル110と、マスタシリンダ装置112と、ブレーキアクチュエータ114とを備えている。マスタシリンダ装置112は、ブレーキペダル110の踏込みに基づいて作動液(ブレーキ液)を加圧するマスタシリンダ116を備えている。マスタシリンダ116は、2つの加圧室118,120を備えており、加圧室118は主液通路122の一端に、加圧室120は主液通路124の一端に、それぞれ接続されている。主液通路122の他端は、左前輪18FLの回転を制動するブレーキ装置126FLのブレーキシリンダ128FLと接続され、主液通路124の他端は、右前輪18FRの回転を制動するブレーキ装置126FRのブレーキシリンダ128FRと接続されている。
主液通路122の途中にはマスタカット弁130が設けられており、主液通路124の途中にはマスタカット弁132が設けられている。各マスタカット弁130,132は、常開の電磁式開閉弁であり、開状態でマスタシリンダ116からブレーキシリンダ128へ向かう作動液の流れを許容するとともに、閉状態でマスタシリンダ116からブレーキシリンダ128へ向かう作動液の流れを禁止するものとされている。また、マスタシリンダ装置112には、作動液が大気圧で蓄えられるリザーバ134が設けられており、そのリザーバ134からマスタシリンダ116の加圧室118,120の各々に作動液が供給される。なお、主液通路122には、常閉の電磁式開閉弁であるシュミレータ制御弁136を介してストロークシミュレータ138が接続されている。
ブレーキアクチュエータ114は、上記ブレーキシリンダ128FL,FR、左後輪18RLの回転を制動するブレーキ装置126RLのホイールシリンダ128RL、右後輪18RRの回転を制動するブレーキ装置126RRのホイールシリンダ128RRの各液圧を制御するものであり、高圧源装置140とABS弁装置142と液圧源装置144とを備えている。
高圧源装置140は、リザーバ134に一端が接続される高圧通路150に設けられている。高圧源装置140は、高圧通路150を介してリザーバ134から作動液を汲み上げるポンプ152と、そのポンプ152を駆動する電動モータ154と、ポンプ152から吐出された作動液を加圧された状態で蓄えるアキュムレータ156と、ポンプ152の吐出圧を設定値以下に規制するリリーフ弁158とを有している。高圧通路150の他端は共通通路160に接続されており、高圧源装置140が発生させる高圧の作動液を共通通路160に流すことが可能となっている。また、共通通路160には、低圧通路162の一端が接続されており、その低圧通路162の他端はリザーバ134に接続されている。このため、共通通路160内の作動液を、低圧通路162を介して、リザーバ134に流すことが可能となっている。
液圧源装置144は、高圧通路150の高圧源装置140の下流側に設けられた常閉の電磁式リニア弁(以下、「増圧用リニア弁」という場合がある)170と、低圧通路162に設けられた常閉の電磁式リニア弁(以下、「減圧用リニア弁」という場合がある)172とを有している。増圧用リニア弁170は、高圧源装置140が発生させる高圧の作動液の共通通路160への流入を制御することが可能となっており、一方、減圧用リニア弁172は、共通通路160内の作動液のリザーバ134への流出を制御することが可能となっている。増圧用リニア弁170および減圧用リニア弁172は、高圧側の作動液と低圧側の作動液との液圧差と供給電流との間に予め定められた一定の関係があり、供給電流の増減に応じて開弁圧が変えることが可能となっている。したがって、増圧用リニア弁170および減圧用リニア弁172は、供給電流の制御により、液圧源装置144が共通通路160に供給する液圧である供給圧を連続的に変化させることができ、供給圧を容易に任意の高さに制御することが可能となっている。
具体的にいえば、増圧用リニア弁170および減圧用リニア弁172は、図3に示すように、いずれも、弁体180と弁座182とを含むシーティング弁と、スプリング184と、ソレノイド186とを備えている。スプリング184の付勢力F1は、弁体180を弁座182に接近させる向きに作用し、ソレノイド186に電流が供給されることにより駆動力F2が弁体180を弁座182から離間させる向きに作用する。また、増圧用リニア弁170においては、高圧源装置140によって加圧された作動液の液圧と供給圧との差圧に応じた差圧作用力F3が弁体180を弁座182から離間させる向きに作用し、減圧用リニア弁172においては、リザーバ134に貯留される作動液の液圧、つまり、大気圧と供給圧との差圧に応じた差圧作用力F3が弁体180を弁座182から離間させる向きに作用する。このため、増圧用リニア弁170および減圧用リニア弁172のいずれにおいても、ソレノイド186への通電量を制御することによって、差圧作用力F3を制御し、増圧用リニア弁170および減圧用リニア弁172の開弁圧を制御することが可能となっている。つまり、増圧用リニア弁170および減圧用リニア弁172を差圧弁として機能させて、供給圧を制御可能に変化させることが可能となっている。
また、増圧用リニア弁170および減圧用リニア弁172を流量調整弁として機能させて、供給圧を制御することも可能となっている。供給圧の目標となる目標供給圧と実際の供給圧である実供給圧との差が大きい場合には、ソレノイド186への通電量を多くして、高圧側から低圧側への作動液の流量を多くし、一方、目標供給圧と実供給圧との差が小さくなるほど、ソレノイド186への通電量を少なくなくすることで、実供給圧を目標供給圧まで変化させるのである。つまり、目標供給圧と実供給圧との差に応じた電力をソレノイド186へ供給して、実供給圧を目標供給圧まで変化させることが可能となっている。
なお、高圧通路150のポンプ152と増圧用リニア弁170との間には、高圧源装置140が発生させる高圧の作動液の液圧を検出する高圧源液圧センサ190が設けられており、共通通路160には、その液通路としての共通通路160内の作動液の液圧、つまり、供給圧を検出する検出器としての共通通路液圧センサ192が設けられている。
また、共通通路160には、ABS弁装置142を介して上記4つのブレーキシリンダ128が接続されている。ABS弁装置142は、ブレーキシリンダ128の液圧を増圧及び保持するためのABS保持弁200と、ブレーキシリンダ128の液圧を減圧するためのABS減圧弁202とを、各車輪に対応して有している。ABS保持弁200は、ブレーキシリンダ128と共通通路160とに接続される個別通路204の途中に設けられており、電磁式の開閉弁とされている。左前輪18FLに対応するABS保持弁200FLは常開弁とされており、他の3つのABS保持弁200FR,RL,RRは常閉弁とされている。また、ABS減圧弁202は、個別通路204のABS保持弁200の下流側と低圧通路162とに接続される個別低圧通路206の途中に設けられており、電磁式の開閉弁とされている。前輪18FL,FRに対応する2つのABS減圧弁202FL、FRは常閉弁とされており、後輪18RL,RRに対応する2つのABS減圧弁202RL、RRは常開弁とされている。
本システム10では、図1に示すように、ブレーキECU48が設けられている。ブレーキECU48は、各種電磁弁130,132,136,170,172,200,202、およびポンプ152の作動を制御する制御装置であり、各ブレーキ装置126のブレーキシリンダ128に作用させる作動液の液圧を制御するものである。ブレーキECU48は、CPU,ROM,RAM等を備えたコンピュータを主体として構成されたコントローラ210と、ポンプ152を駆動する電動モータ154に対応する駆動回路212と、各種電磁弁130,132,136,170,172,200,202のそれぞれに対応する複数の駆動回路214,216,218,220,222,224,226とを有している(図28参照)。それら複数の駆動回路212等には、コンバータ228を介してバッテリ230が接続されており、電動モータ154、各種制御弁130等に、そのバッテリ230から電力が供給される。
さらに、複数の駆動回路212等には、コントローラ210が接続されており、コントローラ210が、それら複数の駆動回路212等に各制御信号を送信する。詳しくは、コントローラ210は、電動モータ154の駆動回路212にモータ駆動信号を送信し、マスタカット弁130,132,シュミレータ制御弁136のそれぞれの駆動回路214,216,218に各種電磁弁を開閉するための制御信号を送信する。さらに、増圧用リニア弁170,減圧用リニア弁172の駆動回路220,222には、各リニア弁170,172の有するソレノイド186の発生させる磁気力を制御するための電流制御信号を送信し、ABS保持弁200,ABS減圧弁202の駆動回路224,226には、各種電磁弁の開閉時間を制御するための電流制御信号を送信する。このように、コントローラ210が各駆動回路212等に各制御信号を送信することで、電動モータ154、各種電磁弁130等の作動を制御する。なお、コントローラ210には、上記高圧源液圧センサ190および共通通路液圧センサ192とともに、ブレーキペダル110の操作量を検出するストロークセンサ232、各車輪18に対して設けられて各車輪の回転速度を検出する車輪速センサ234、後述する対応制御における対応方法を選択するための対応方法選択スイッチ236、その対応制御におけるABS弁装置142の作動の終了の推定方法を選択する推定方法選択スイッチ238等が接続されており、各センサ,スイッチによる検出値は、後に説明するブレーキシステム100の制御において利用される。
<車両用液圧ブレーキシステムの制御>
上述した構造によって、本ブレーキシステム100では、ブレーキペダル110が運転者によって操作された場合に、そのブレーキペダル100に加えられた操作力によってマスタシリンダ116の加圧室118,120内の作動液が加圧され、その加圧された作動液に依拠してブレーキ装置126のブレーキシリンダ128を作動させることで、制動力を発生させることが可能となっている。ただし、本システム10では、通常時に、マスタシリンダ116によって加圧された作動液に依拠することなく、液圧源装置144によって調圧される作動液に依拠してブレーキ装置126のブレーキシリンダ128を作動させる電気制動制御が実行される。
電気制動制御では、マスタシリンダ116によって加圧された作動液がブレーキシリンダ128に作用しないように、マスタカット弁130,132が励磁されて閉弁状態とされる。そして、液圧源装置144によって調圧された作動液に依拠してブレーキシリンダ128を作動させるべく、左前輪18FLに対応するABS保持弁200FLを消磁状態とするとともに、他の3つのABS保持弁200FR,RL,RRを励磁状態とすることで、全てのABS保持弁200が開弁状態とされる。また、前輪18FL,FRに対応する2つのABS減圧弁202FL、FRを消磁状態とするとともに、後輪18RL,RRに対応する2つのABS減圧弁202RL、RRを励磁状態とすることで、全てのABS減圧弁202が閉弁状態とされる。このように各種電磁弁を制御することで、液圧源装置144が供給する作動液によってブレーキシリンダ128が作動するのである。つまり、液圧源装置144が供給する作動液の液圧である供給圧が、ブレーキシリンダ128へ供給される作動液の液圧であるブレーキ圧となるのである。
i)目標供給圧制御
電気制動制御においてブレーキ装置126が発生させるべき目標液圧制動力は、上述したように、上記メインECU40によって演算されており、その目標液圧制動力を発生可能な供給圧が目標供給液圧P*として、ブレーキECU48のコントローラ210において演算される。そして、その演算された目標供給圧P*と、上記共通通路液圧センサ192によって検出される実供給圧Prとが比較されて、実供給圧Prが目標供給圧P*より高い場合には実供給圧Prを低減させるべく液圧源装置144が制御され、実供給圧Prが目標供給圧P*より低い場合には実供給圧Prを増加させるべく液圧源装置144が制御される。つまり、電気制動制御において、実供給圧Prが目標供給圧P*となるように液圧源装置144の作動を制御する目標供給圧制御が実行されるのである。
詳しくいえば、目標供給圧制御において、実供給圧Prが目標供給圧P*より高い場合には、増圧用リニア弁170を閉弁させるべく、増圧用リニア弁170は消磁状態とされる。つまり、増圧用リニア弁170のソレノイド186への通電量が0とされる。そして、実供給圧Prが目標供給圧P*まで低下するように、減圧用リニア弁172のソレノイド186への通電量が制御される。本システム100において、減圧用リニア弁172のソレノイド186への通電量は、目標供給圧P*と実供給圧Prとの差である供給圧差ΔPの絶対値に基づいて決定されており、供給圧差ΔPの絶対値に基づくフィードバック制御の手法を利用して決定される。具体的には、まず、供給圧差ΔPが演算され、次いで、それをパラメータとして、次式に従って、減圧用リニア弁172のソレノイド186への目標供給電流i* Gが決定される。
* G=iG0+KG・|Δθ|
ここで、KGは、減圧用リニア弁172に対応する比例ゲインであり、iG0は、減圧用リニア弁172の弁体180に作用する実供給圧Prとリザーバ134に貯留される作動液の液圧との差圧、つまり、実供給圧Prに応じて定まる減圧用リニア弁172の開弁電流iGKである。その減圧用リニア弁172の開弁電流iGKは、供給圧Pkと一定の関係があり、次式に従って決定される。
GK=f(Pk)
ここで、f(Pk)は、供給圧Pkに依拠した関数であり、図4に示すように、供給圧Pkの増加に伴って直線的に減少するような関数とされている。
一方、実供給圧Prが目標供給圧P*より低い場合には、減圧用リニア弁172を閉弁させるべく、減圧用リニア弁172のソレノイド186への通電量が0とされる。そして、実供給圧Prが目標供給圧P*まで増加するように、増圧用リニア弁170のソレノイド186への通電量が制御される。増圧用リニア弁170のソレノイド186への目標供給電流i* Z通電量は、次式に従って決定される。
* Z=iZ0+KZ・|Δθ|
ここで、KZは、増圧用リニア弁170に対応する比例ゲインであり、iZ0は、高圧源装置140が発生させる高圧の作動液の液圧、つまり、高圧源液圧センサ190によって検出される高圧源圧Phと実供給圧Prとの差圧(Ph−Pr)に応じて定まる増圧用リニア弁170の開弁電流iZKである。その増圧用リニア弁170の開弁電流iZKは、高圧源圧Phと供給圧Pkとの差圧(Ph−Pk)と一定の関係があり、次式に従って決定される。
ZK=g(Ph−Pk)
ここで、g(Ph−Pk)は、高圧源圧Phと供給圧Pkとの差圧(Ph−Pk)に依拠した関数であり、図5に示すように、差圧(Ph−Pk)の増加に伴って直線的に減少するような関数とされている。
なお、実供給圧Prと目標供給圧P*とが概ね等しい場合には、実供給圧Prを維持するべく、増圧用リニア弁170のソレノイド186への通電量と、減圧用リニア弁172のソレノイド186への通電量とは、それぞれ0とされる。このように、目標供給圧制御において、増圧用リニア弁170と減圧用リニア弁172との各ソレノイド186への通電量を制御することで、供給圧を目標供給圧とすることが可能となり、各ブレーキ装置126が発生させる制動力を目標液圧制動力とすることが可能となっている。
ii)ABS弁装置の制御
また、本ブレーキシステム100においては、ABS弁装置142の作動を制御することで、車両の挙動を安定化させるための制御、所謂ABS(Anti-lock Brake System)制御,VSC(Vehicle Stability Control)制御,TRC(Traction Control)制御が実行されるようになっている。ABS制御は、急ブレーキ時等において車輪のロックを抑制するための制御であり、VSC制御は、車両旋回時における車輪の横滑りを抑制するための制御である。また、TRC制御は、車両発進時,急加速時等に駆動輪の空転を抑制するための制御である。
ABS制御,VSC制御,TRC制御では、各ブレーキ装置126に対応して設けられたABS保持弁200とABS減圧弁202とが制御されることで、各ブレーキ装置126のブレーキ圧が個別に制御される。ABS制御等は、公知の制御であることから、簡単に説明すると、まず、ブレーキECU48のコントローラ210において各車輪の回転速度,スリップ率等に基づいて4つのABS保持弁200と4つのABS減圧弁202との各々に対応してデューティ比が演算される。そして、各ABS保持弁200と各ABS減圧弁202とがそれぞれのデューティ比に従って開閉するように、各ABS保持弁200と各ABS減圧弁202とに電力が供給される。ABS保持弁200が開弁されABS減圧弁202が閉弁されている状態においては、ブレーキ圧は供給圧まで増加可能であり、ABS保持弁200が閉弁されABS減圧弁202が開弁されている状態においては、ブレーキ圧は大気圧まで低減可能となっている。このように、ABS弁装置142を制御することで、車輪のロック,横滑り,空転等が抑制されるようになっている。
ただし、上記目標供給圧制御が実行されている際にABS制御等が実行されると、各ABS保持弁200および各ABS減圧弁202が開閉されるため、液圧源装置144によって供給される作動液が流入する共通通路160等の液通路内の容積が大きく変化し、供給圧が目標供給圧に追従し難くなる場合がある。また、ABS減圧弁202が開弁されると、ブレーキ装置126からリザーバ134に作動液が流出し、ABS保持弁200が開弁されると、共通通路160内の作動液がブレーキ装置126に流入する。ABS制御等実行時においては、ABS保持弁200およびABS減圧弁202は頻繁に開閉される。このため、共通通路160内の作動液、つまり、液圧源装置144から供給される作動液がブレーキ装置126を介してリザーバ134に排出されることが多くなり、供給圧を高圧に維持し難くなる虞がある。また、液圧源装置144から供給される作動液のリザーバ134への排出に伴って供給圧が大きく変動することで、増圧用リニア弁170および減圧用リニア弁172の通電状態が頻繁に切り換えられる場合がある。
iii)目標範囲制御
そこで、本ブレーキシステム100では、ABS制御等が実行されている場合には、第1制御としての目標供給圧制御に代えて、供給圧が目標範囲内に収まるように液圧弁装置144を制御する目標範囲制御を実行するようになっている。第2制御としての目標範囲制御においては、供給圧が目標範囲の上限値以上となった場合に減圧用リニア弁172が開弁するとともに、供給圧が目標範囲の下限値以下となった場合に増圧用リニア弁170が開弁するように、増圧用リニア弁170および減圧用リニア弁172に電力を供給することで、供給圧が目標範囲内に維持されるようになっている。つまり、目標範囲の上限値に相当する圧力が減圧用リニア弁172の開弁圧となるような電力を減圧用リニア弁172に供給するとともに、目標範囲の下限値に相当する圧力が増圧用リニア弁170の開弁圧となるような電力を増圧用リニア弁170に供給することで、増圧用リニア弁170および減圧用リニア弁172を差圧弁として機能させて、供給圧が目標範囲内に維持されるようになっている。
目標範囲制御での目標範囲は、上限値が目標供給圧P*に上限決定用加算値αを加えた値となるとともに、下限値が目標供給圧P*から下限決定用減算値βを減じた値となるように設定されている。目標範囲制御は、共通通路160内の作動液がブレーキ装置126を介してリザーバ134に排出される頻度の高い状況において実行される制御であることから、供給圧をある程度高い圧力に維持するべく、上限決定用加算値αは下限決定用減算値βより大きな値となるように設定されている。ちなみに、本システム100での下限決定用減算値βは0に設定されており、供給圧が目標供給圧以上に維持されるようになっている。
目標範囲制御での減圧用リニア弁172のソレノイド186への目標供給電流i* Gは、目標供給圧P*に上限決定用加算値αを加えた値に相当する圧力において減圧用リニア弁172が開弁するように決定される。具体的には、目標供給電流i* Gは、減圧用リニア弁172の開弁電流iGKと供給圧Pkとの関係を示した図4に示す関数に従って決定される。つまり、目標供給電流i* Gは、目標供給圧P*に上限決定用加算値αを加えた値(P*+α)に対応する開弁電流iGKであり、次式に従って決定される。
* G=f(P*+α)
一方、増圧用リニア弁170のソレノイド186への目標供給電流i* Zは、下限決定用減算値βが0であることから、目標供給圧P*において増圧用リニア弁170が開弁するように決定されており、高圧源圧Phと供給圧Pkとの差圧(Ph−Pk)と増圧用リニア弁170の開弁電流iZKとの関係を示した図5に示す関数に従って決定される。具体的には、目標供給電流i* Zは、高圧源圧Phと目標供給圧P*との差圧(Ph−P*)に対応する開弁電流iZKであり、次式に従って決定される。
* Z=g(Ph−P*
目標範囲制御においては、上述したように、増圧用リニア弁170と減圧用リニア弁172との各ソレノイド186への通電量を制御することで、供給圧を目標範囲内に収めることが可能となる。このため、ABS制御等の実行によってABS保持弁200,ABS減圧弁202が頻繁に開閉している状況下においては、供給圧を敢えて目標供給圧に追従させることなく、増圧用リニア弁170および減圧用リニア弁172の通電状態の頻繁な切換を抑制することが可能となっている。また、供給圧を目標供給圧以上に設定された範囲内に収めることが可能となり、供給圧をある程度高圧に維持することが可能となっている。
ただし、目標供給圧P*の急変,ブレーキ圧の急減等によって供給圧が目標範囲から大きくズレる場合があり、このような場合には、高圧源装置140から共通通路160への作動液の単位時間あたりの流入量、若しくは、共通通路160からリザーバ134への作動液の単位時間あたりの流出量を多くして、供給圧を早急に目標範囲内に収めることが望ましい。そこで、本システム100では、ABS制御等が実行されている場合であっても、供給圧が目標範囲から大きくズレた場合には、増圧用リニア弁170および減圧用リニア弁172を流量調整弁として機能させる制御である目標供給圧制御が実行されるようになっている。詳しくいえば、ABS制御等が実行されている場合であっても、目標供給圧より比較的高い圧力に設定された減圧閾値より供給圧が高くなったときには、目標供給圧制御での供給圧を低減させる制御が実行され、目標供給圧より低い圧力に設定された増圧閾値より供給圧が低くなったときには、目標供給圧制御での供給圧を増加させる制御が実行される。ちなみに、減圧閾値は、目標供給圧P*に減圧閾値決定用加算値PGを加えた値(P*+PG)に設定されており、増圧閾値は、目標供給圧P*から増圧閾値決定用減算値PZを減じた値(P*−PZ )に設定されている。なお、減圧閾値決定用加算値PGは、上記上限決定用加算値αより大きな値に設定されている。
iv)対応制御
本システム100では、上述したように、ABS弁装置142が作動している場合には、基本的に目標範囲制御が実行され、ABS弁装置142が作動していない場合には、目標供給圧制御が実行される。目標範囲制御は、供給圧が目標範囲内に収まっていればよい制御であることから、目標範囲制御では、供給圧は目標供給圧からズレていることが多く、目標範囲の幅が大きく設定されているような場合には、供給圧が目標供給圧から大きくズレている場合もある。このため、ABS弁装置142の作動が終了して、目標範囲制御の代わりに目標供給圧制御が実行されると、供給圧が目標供給圧に追従し難い場合があり、運転者がブレーキ操作に違和感を抱く虞がある。また、ABS弁装置142が作動している場合に目標供給圧制御が実行されている場合は、供給圧が目標供給圧から大きく乖離している場合であるため、ABS弁装置142の作動終了時に運転者がブレーキ操作に違和感を抱く虞がある。
以上のことに鑑みて、本システム100では、ABS弁装置142の作動が終了すると推定される状況下において、その状況に対応するための対応制御が実行される。対応制御は、ABS弁装置142の作動が終了した時点での供給圧と目標供給圧との差を小さくするための制御であり、ABS弁装置142の作動終了時点での運転者のブレーキ操作に対する違和感を低減させるための制御である。ちなみに、ABS弁装置作動時に実行される目標範囲制御は、目標供給圧以上に設定された目標範囲内に供給圧を収めるための制御であることから、ABS弁装置作動時の供給圧は目標供給圧以上となっていることが多い。つまり、対応制御は、目標供給圧より高くなっている供給圧を目標供給圧に近づけるための制御であり、減圧効果を高めるための制御である。本システム100では、ABS弁装置142の作動が終了すると推定される状況下において、種々の方法によって供給圧と目標供給圧との差を小さくすることが可能とされている。つまり、本システム100において実行される対応制御には様々なバリエーションがある。以下に、対応制御のバリエーションについて説明する。
a)減圧閾値決定用加算値に依拠した対応制御
増圧用リニア弁170および減圧用リニア弁172の通電状態の頻繁な切換を抑制するという観点からすれば、ABS弁装置142が作動している場合に目標供給圧制御と目標範囲制御とを切り換えるための減圧閾値は目標供給圧よりある程度高い値に設定されることが望ましい。しかし、減圧閾値が目標供給圧より高く設定されるほど、目標範囲制御から目標供給圧制御に切り換えられ難くなり、供給圧が目標供給圧より高い状態で供給圧と目標供給圧との差が大きくなる虞がある。
そこで、本システム100では、ABS弁装置142の作動が終了すると推定される状況下において、減圧閾値を設定するための減圧閾値決定用加算値PGを小さな値に変更する。具体的には、通常時に、減圧閾値決定用加算値PGをPG1に設定しておき、ABS弁装置142の作動が終了すると推定される状況下において、減圧閾値決定用加算値PGをPG1より小さなPG2に変更する。このように減圧閾値決定用加算値PGを小さくすることで、目標範囲制御から目標供給圧制御に切り換えられ易くし、ABS弁装置142の作動終了時点での供給圧と目標供給圧との差を小さくすることが可能となる。つまり、対応制御として、減圧閾値決定用加算値PGの値を小さな値に変更することで、ABS弁装置の作動終了時の運転者の違和感を低減させることが可能となっている。
図6に、減圧閾値決定用加算値PGに依拠した対応制御が実行されている場合の目標供給圧P*,実供給圧Pr,ブレーキ圧PBの時間経過に対する変化、および、減圧閾値決定用加算値PGの時間経過に対する変化を示す。図から解るように、減圧閾値決定用加算値PGの値が小さな値にされている場合、つまり、減圧閾値決定用加算値PGの値がPG2にされている場合には、対応制御が実行されており、目標供給圧P*(実線)と実供給圧Pr(点線)との差を小さくすることが可能となっている。なお、本図6および本図6より後に示す図面において実供給圧Pr(点線)とブレーキ圧PB(一点鎖線)とが一致している場合には、実供給圧Prとブレーキ圧PBとを一点鎖線によって示している。
b)上限決定用加算値に依拠した対応制御
ABS弁装置142の作動時に供給圧をある程度高圧に維持するという観点からすれば、目標範囲の上限値、つまり、上限決定用加算値αを大きな値にすることが望ましい。しかし、上限決定用加算値αが大きな値に設定されるほど、減圧用リニア弁172の開弁圧と目標供給圧との差が大きくなり、供給圧が目標供給圧より高い状態で供給圧と目標供給圧との差が大きくなる虞がある。
そこで、本システム100では、ABS弁装置142の作動が終了すると推定される状況下において、上限決定用加算値αを小さな値に変更する。具体的には、通常時に、上限決定用加算値αをα1に設定しておき、ABS弁装置142の作動が終了すると推定される状況下において、上限決定用加算値αをα1より小さなα2に変更する。このように、上限決定用加算値αを小さくすることで、減圧用リニア弁172の開弁圧と目標供給圧との差を小さくし、ABS弁装置142の作動終了時点での供給圧と目標供給圧との差を小さくすることが可能となる。つまり、対応制御として、上限決定用加算値αを小さな値に変更することで、ABS弁装置の作動終了時の運転者の違和感を低減させることが可能となる。
図7(a)に、対応制御が実行されていない場合の目標供給圧P*,実供給圧Pr,ブレーキ圧PBの時間経過に対する変化を示し、図7(b)に、上限決定用加算値αに依拠した対応制御が実行されている場合の目標供給圧P*,実供給圧Pr,ブレーキ圧PBの時間経過に対する変化を示す。図から解るように、対応制御が実行されていない場合(図7(a))には、目標供給圧P*(実線)が低下しても、実供給圧Pr(点線)は高圧に維持されており、目標供給圧P*と実供給圧Prとの差は大きくなっている。一方、対応制御が実行されている場合(図7(b))には、目標供給圧P*の変化に実供給圧Prは追従しており、目標供給圧P*と実供給圧Prとの差を小さくすることが可能となっている。なお、本図7および本図7より後に示す図面において目標供給圧P*と実供給圧Prとブレーキ圧PBとが一致している場合には、それら3つの液圧P*,Pr,PBを実線によって示している。
c)減圧用リニア弁の目標供給電流に依拠した対応制御
また、ABS弁装置142の作動時に目標供給圧制御が実行される場合があるが、この場合には供給圧が目標供給圧から大きく乖離しており、供給圧と目標供給圧との差を早急に小さくするべく、フィードバック制御を利用した制御が実行される。フィードバック制御では、実供給圧と目標供給圧との差に応じてソレノイド186への目標供給電流の成分が決定されており、その成分が決定される際に利用されるフィードバックゲインに応じて減圧効果、若しくは、増圧効果が変化する。具体的にいえば、減圧用リニア弁172のソレノイド186への目標供給電流i* Gの成分が決定される際には、減圧用リニア弁172に対応した比例ゲインKGが利用されており、その比例ゲインKGが高いほど減圧効果は高くなり、比例ゲインKGが低いほど減圧効果は低くなる。
そこで、本システム100では、ABS弁装置142の作動が終了すると推定される状況下において、目標供給圧制御が実行されている場合には、減圧用リニア弁172に対応した比例ゲインKGを高くする。具体的には、通常時に、比例ゲインKGをKG1に設定しておき、ABS弁装置142の作動が終了すると推定される状況下において、比例ゲインKGをKG1より大きなKG2に変更する。このように比例ゲインKGを高くすることで、減圧効果を高くして、ABS弁装置142の作動終了時点での供給圧と目標供給圧との差を小さくすることが可能となる。つまり、対応制御として、減圧用リニア弁172に対応した比例ゲインKGを高くすることで、減圧用リニア弁172への供給電力を増加させて、ABS弁装置の作動終了時の運転者の違和感を低減させることが可能となっている。
d)目標供給圧に依拠した対応制御
上述したように、減圧閾値を小さくすることと、目標範囲の上限値を小さくすることと、減圧用リニア弁172の目標供給電流i* Gを増加させることとの少なくとも1つを実行することで、ABS弁装置の作動終了時の運転者の違和感を低減させることが可能である。減圧用閾値は、目標供給圧P*に減圧閾値決定用加算値PGを加えた値(P*+PG)に設定されており、減圧閾値決定用加算値PGではなく目標供給圧P*を小さくすることでも減圧閾値を小さくすることが可能である。また、目標範囲の上限値は、目標供給圧P*に上限決定用加算値αを加えた値(P*+α)に設定されており、上限決定用加算値αではなく目標供給圧P*を小さくすることでも上限値を小さくすることが可能である。また、減圧用リニア弁172の目標供給電流i* Gは、次式に従って決定されている。
* G=iG0+KG・|ΔP|
ちなみに、供給圧差ΔPは、実供給圧Prと目標供給圧P*との差であり、供給圧の減圧時には、実供給圧Prは目標供給圧P*より高いことから、上記式は次式に変形可能である。
* G=iG0+KG・(Pr−P*
この式から解るように、減圧用リニア弁172の目標供給電流i* Gは、比例ゲインKGではなく、実供給圧Prと目標供給圧P*との差(Pr−P*)を大きくすることでも増加する。つまり、目標供給圧P*を小さくすることでも、実供給圧Prと目標供給圧P*との差(Pr−P*)が大きくなり、減圧用リニア弁172の目標供給電流i* Gを増加させることが可能である。
したがって、制御に利用する目標供給圧P*を低減させることで、減圧閾値を小さくすることと、目標範囲の上限値を小さくすることと、減圧用リニア弁172の目標供給電流i* Gを増加させることとを実現することが可能となる。そこで、本システム100では、ABS弁装置142の作動が終了すると推定される状況下において、対応制御として、制御に利用する目標供給圧P*を低減させている。具体的には、通常時に、上記目標液圧制動力に応じた目標供給液圧P*を用いて各制御を実行し、ABS弁装置142の作動が終了すると推定される状況下において、上記目標液圧制動力に応じた目標供給液圧P*から設定低減値γ(>0)を低減させた圧力(P*−γ)を用いて各制御を実行する。このように、対応制御として、目標供給液圧P*を低減させることで、ABS弁装置の作動終了時の運転者の違和感を低減させることが可能となっている。
v)ABS弁装置の作動終了の推定
上記対応制御を実行するべく、ABS弁装置142の作動がまもなく終了するか否かを推定する必要がある。ABS弁装置142は、車輪のロック,横滑り,空転等を抑制するべく制御されるものであり、車輪のロック等の発生しやすい状況であるか否かを判定することで、ABS弁装置142の作動終了を推定することが可能である。また、ABS弁装置142の作動に伴ってブレーキ圧,供給圧等が変化することから、ブレーキ圧,供給圧等の変化の履歴,ブレーキ圧と供給圧との関係等に基づいて、ABS弁装置142の作動終了を推定することも可能である。このように、ABS弁装置142の作動の終了は、ブレーキ圧,供給圧,車輪のロック等の発生要因等に基づいて推定することが可能であり、本システム100では、様々な方法によってABS弁装置142の作動終了が推定されている。以下に、ABS弁装置142の作動終了の推定方法のバリエーションについて説明する。
a)供給圧とブレーキ圧との差に基づくABS弁装置の作動終了推定
ABS弁装置142が作動している際には、ABS減圧弁202の作動に伴ってブレーキ圧PBは実供給圧Prより低くなっている場合が多い。つまり、ABS減圧弁202の開閉が頻繁に切換られている際には、ブレーキ圧PBと実供給圧Prとの差は大きくなり、ABS減圧弁202が開弁されることが少なくなると、ブレーキ圧PBと実供給圧Prとの差は小さくなる。ABS減圧弁202が開弁されることが少なくなる場合には、車輪のロック等がある程度抑制されていることが多く、ABS弁装置142の作動がまもなく終了することが多い。そこで、本システム100では、実供給圧Prとブレーキ圧PBとの差に基づいてABS弁装置142の作動の終了を推定しており、判定対象圧としての実供給圧Prとブレーキ圧PBとの差が設定差P1以下となった場合に、ABS弁装置142の作動がまもなく終了すると推定している。
また、実供給圧Prは、目標供給圧制御では目標供給液圧P*に追従するように制御されており、目標範囲制御であっても目標供給液圧P*に近い圧力となるように制御されている。このため、ABS弁装置142の作動の終了を推定する場合に、実供給圧Prの代わりに目標供給液圧P*を用いることが可能である。そこで、本システム100では、目標供給液圧P*とブレーキ圧PBとの差に基づいてもABS弁装置142の作動の終了を推定しており、判定対象圧としての目標供給液圧P*とブレーキ圧PBとの差が設定差P2以下となった場合に、ABS弁装置142の作動がまもなく終了すると推定している。
ちなみに、本システム100では、ブレーキ圧PBは、ABS弁装置142の作動状況に基づいて推定している。ブレーキ圧PBの推定方法は、公知の方法であることから、簡単に説明すると、まず、ABS保持弁200とABS減圧弁202との各々のデューティ比からABS弁装置142が作動してからのブレーキ圧PBの変化量を演算する。そして、ABS弁装置142の作動直前の実供給圧Prからその演算したブレーキ圧PBの変化量を減じることで、ブレーキ圧PBを推定している。ブレーキ圧PBはブレーキ装置126毎に推定しており、4つのブレーキ装置126に対応して4つのブレーキ圧PBが推定される。
ABS制御等は、車輪のロック,横滑り等を抑制する制御であり、車輪のロック,横滑り等の生じていない車輪に対しては実行されない。ABS制御が実行される車輪のブレーキ圧PBとABS制御が実行されていない車輪のブレーキ圧PBとを比較すると、図8に示すように、ABS制御が実行されていない車輪のブレーキ圧PB(一点鎖線)は、目標供給液圧P*(実線)に概ね追従するように変化している。一方、ABS制御が実行されている車輪のブレーキ圧PB(二点鎖線)は、目標供給液圧P*(実線)とは殆ど無関係に変化している。そこで、本システム100では、ABS弁装置142の作動の終了を推定する際に、4つのブレーキ圧PBのうちのABS制御等が実行されていないブレーキ装置126のブレーキ圧PBを用いて目標供給液圧P*との差を演算している。ただし、全ての車輪に対してABS制御等が実行されている場合には、4つのブレーキ圧PBの平均値を用いて目標供給液圧P*との差を演算している。
また、ブレーキ圧PBと実供給圧Prとの差に基づいてABS弁装置142の作動終了を推定する際には、4つのブレーキ圧PBの各々に対して実供給圧Prとの差を演算し、1つのブレーキ圧PBでも実供給圧Prとブレーキ圧PBとの差が設定差P1以下となった場合に、ABS弁装置142の作動がまもなく終了すると推定している。なお、実供給圧Prとブレーキ圧PBとの差が設定差P1以下となるブレーキ圧PBの数(以下、「判定成立数」という場合がある)が多いほど、対応制御において減圧効果が高くなるようにされている。詳しくいえば、判定成立数Nが多いほど、減圧閾値決定用加算値PGに依拠した対応制御での減圧閾値決定用加算値PG2を小さくしており、その減圧閾値決定用加算値PG2は、判定成立数Nに応じて次式に従って決定される。
G2=KN1・PG2
ここで、KN1は、判定成立数Nに依拠するゲインであり、図9(a)に示すように、判定成立数Nが1の場合に1となり、判定成立数Nが多くなるにつれて小さな値となるように設定されている。また、判定成立数Nが多いほど、上限決定用加算値αに依拠した対応制御での上限決定用加算値α2も小さくしており、その上限決定用加算値α2は、判定成立数Nに応じて次式に従って決定される。
α2=KN1・α2
さらに、判定成立数Nが多いほど、減圧用リニア弁172の目標供給電流i* Gに依拠した対応制御における目標供給電流i* Gを増加させるべく、減圧用リニア弁172に対応した比例ゲインKG2を大きくしており、その比例ゲインKG2は、判定成立数Nに応じて次式に従って決定される。
G2=KN2・KG2
ここで、KN2は、判定成立数Nに依拠するゲインであり、図9(b)に示すように、判定成立数Nが1の場合に1となり、判定成立数Nが多くなるにつれて大きな値となるように設定されている。また、判定成立数Nが多いほど、目標供給圧P*に依拠した対応制御での目標供給圧P*を低減させおり、その目標供給圧P*は、判定成立数Nに応じて次式に従って決定される。
*=P*−KN2・γ
b)実供給圧の変動に基づくABS弁装置の作動終了推定
ABS減圧弁202の作動に伴って、液圧源装置144によって供給される作動液がブレーキ装置126を介してリザーバ134に排出されることで、実供給圧Prは低下する。一方、低下した実供給圧を増加させるべく、増圧用リニア弁170が作動することで、実供給圧Prは増加する。このため、ABS弁装置142の作動時には、実供給圧Prは安定せずに増減を繰り返す。そして、ABS減圧弁202の作動頻度が低下するにつれて、実供給圧Prは、大きく増減しなくなり安定する。図10に、目標供給圧P*,実供給圧Pr,ブレーキ圧PBの時間経過に対する変化を示す。図から解るように、実供給圧Pr(点線)が大きく変動している場合には、ブレーキ圧PB(一点鎖線)は実供給圧Prよりある程度低くなっており、ABS減圧弁202が作動していると推定される。そして、実供給圧Prが大きく変動しなくなり安定すると、ブレーキ圧PBと実供給圧Prとが概ね一致することから、ABS減圧弁202が殆ど作動しなくなっていると推定される。そこで、本システム100では、実供給圧Prが安定した場合に、ABS弁装置142の作動がまもなく終了すると推定している。
c)実供給圧と目標供給圧との各々の変化勾配に基づくABS弁装置の作動終了推定
目標供給圧P*が増加している場合には、実供給圧Prは、通常、目標供給圧P*に追従して増加する。しかし、ABS弁装置142が作動している場合には、液圧源装置144によって供給される作動液がブレーキ装置126を介してリザーバ134に排出されることで、目標供給圧P*が増加しているにも関わらず、実供給圧Prは低下する場合がある。つまり、目標供給圧P*が増加しているにも関わらず、実供給圧Prが低下している場合には、ABS弁装置142が作動している可能性は極めて高いと考えられる。また、目標供給圧P*が増加しているにも関わらず、実供給圧Prが低下している場合とは、反対の場合、つまり、目標供給圧P*が増加していないにも関わらず、実供給圧Prが増加している場合には、液圧源装置144によって供給される作動液がブレーキ装置126を介してリザーバ134に排出されていることは殆どないと考えられることから、ABS弁装置142が作動している可能性は極めて低いと考えられる。
また、図11に示すように、目標供給圧P*(実線)が増加していないにも関わらず、実供給圧Pr(点線)が増加している場合(t1<t<t2)には、実供給圧Prとブレーキ圧(一点鎖線)とが一致しており、ABS減圧弁202は殆ど作動していないと推定される。そこで、本システム100では、目標供給圧P*が増加していないにも関わらず、実供給圧Prが増加している場合、つまり、目標供給圧P*の変化勾配dP*が正の値でないにも関わらず、実供給圧Prの変化勾配dPrが正の値となった場合に、ABS弁装置142の作動がまもなく終了すると推定している。ただし、実供給圧Prの変化勾配dPrが大きすぎる場合、具体的には、実供給圧Prの変化勾配dPrが設定勾配dPr0以上となった場合には、ABS弁装置142の作動に伴って実供給圧Prが大きく変動した可能性があるため、ABS弁装置142の作動が終了すると推定しないようにしている。
d)運転者によるブレーキ操作に基づくABS弁装置の作動終了推定
運転者によるブレーキペダル110の操作量が増加している場合、つまり、目標供給圧P*が増加している場合には、ブレーキ圧PBも増加し、車輪がロックする可能性が高くなる。一方、運転者によるブレーキペダル110の操作が解除されるような場合、つまり、目標供給圧P*が低下している場合には、ブレーキ圧PBも低下し、車輪がロックする可能性は低くなる。そこで、本システム100では、目標供給圧P*が低下した場合に、ABS弁装置142の作動がまもなく終了すると推定している。ただし、目標供給圧P*が低下しても、目標供給圧P*が高い場合には、車輪がロックする可能性はある程度あるため、本システム100では、目標供給圧P*が低下するとともに、その低下量がある程度大きい場合に、ABS弁装置142の作動がまもなく終了すると推定している。具体的には、1回のブレーキ操作の中で最も高い目標供給圧P*である最大目標供給圧P* MAXから目標供給圧P*を減じた値(P* MAX−P*)が設定偏差ΔP* 0を超えた場合に、ABS弁装置142の作動がまもなく終了すると推定している。
e)目標供給圧に基づくABS弁装置の作動終了推定
目標供給圧P*が高い場合には、ブレーキ圧PBも高くなり、車輪がロックする可能性が高くなるが、目標供給圧P*が低い場合には、ブレーキ圧PBも低いため、車輪がロックする可能性は低くなる。そこで、本システム100では、目標供給圧P*が設定圧P* 0以下となった場合に、ABS弁装置142の作動がまもなく終了すると推定している。
また、目標供給圧P*が低いほど、対応制御において減圧効果が高くなるようにされている。詳しくいえば、目標供給圧P*が低いほど、減圧閾値決定用加算値PGに依拠した対応制御での減圧閾値決定用加算値PG2を小さくしており、その減圧閾値決定用加算値PG2は、目標供給圧P*に応じて次式に従って決定される。
G2=KP1・PG2
ここで、KP1は、目標供給圧P*に依拠するゲインであり、図12(a)に示すように、目標供給圧P*が設定圧P* 0の場合に1となり、目標供給圧P*が設定圧P* 0より低くなるにつれて小さな値となるように設定されている。また、目標供給圧P*が低いほど、上限決定用加算値αに依拠した対応制御での上限決定用加算値α2も小さくしており、その上限決定用加算値α2は、目標供給圧P*に応じて次式に従って決定される。
α2=KP1・α2
さらに、目標供給圧P*が低いほど、減圧用リニア弁172の目標供給電流i* Gに依拠した対応制御における比例ゲインKG2を大きくしており、その比例ゲインKG2は、目標供給圧P*に応じて次式に従って決定される。
G2=KP2・KG2
ここで、KP2は、目標供給圧P*に依拠するゲインであり、図12(b)に示すように、目標供給圧P*が設定圧P* 0の場合に1となり、目標供給圧P*が設定圧P* 0より低くなるにつれて大きな値となるように設定されている。また、目標供給圧P*が低いほど、目標供給圧P*に依拠した対応制御での目標供給圧P*を低減させており、その目標供給圧P*は、次式に従って決定される。
*=P*−KP2・γ
f)車両の走行速度に基づくABS弁装置の作動終了推定
車両の走行速度(以下、「車速」と略す場合がある)Vが高い場合には、車輪の横滑りが発生する可能性が高くなる。さらに、車速Vが高い場合には、高速で走る車両を制動するためにブレーキ圧PBが高くなり、車輪がロックする可能性も高くなる。一方、車速Vが低い場合には、車輪の横滑り,ロックが発生する可能性は低い。そこで、本システム100では、車速Vが設定速度V0以下となった場合に、ABS弁装置142の作動がまもなく終了すると推定している。
また、車速Vが低いほど、対応制御において減圧効果が高くなるようにされている。詳しくいえば、車速Vが低いほど、減圧閾値決定用加算値PGに依拠した対応制御での減圧閾値決定用加算値PG2を小さくしており、その減圧閾値決定用加算値PG2は、車速Vに応じて次式に従って決定される。
G2=KV1・PG2
ここで、KV1は、車速Vに依拠するゲインであり、図13(a)に示すように、車速Vが設定速度V0の場合に1となり、車速Vが設定速度V0より低くなるにつれて小さな値となるように設定されている。また、車速Vが低いほど、上限決定用加算値αに依拠した対応制御での上限決定用加算値α2も小さくしており、その上限決定用加算値α2は、車速Vに応じて次式に従って決定される。
α2=KV1・α2
さらに、車速Vが低いほど、減圧用リニア弁172の目標供給電流i* Gに依拠した対応制御における比例ゲインKG2を大きくしており、その比例ゲインKG2は、車速Vに応じて次式に従って決定される。
G2=KV2・KG2
ここで、KV2は、車速Vに依拠するゲインであり、図13(b)に示すように、車速Vが設定速度V0の場合に1となり、車速Vが設定速度V0より低くなるにつれて大きな値となるように設定されている。また、車速Vが低いほど、目標供給圧P*に依拠した対応制御での目標供給圧P*を低減させており、その目標供給圧P*は、車速Vに応じて次式に従って決定される。
*=P*−KV2・γ
g)ABS弁装置の作動継続時間に基づくABS弁装置の作動終了推定
ABS制御等は、ブレーキ圧PBを瞬時に低下させ、そして、低下したブレーキ圧PBを瞬時に増加させる制御であり、ブレーキ圧PBの低下と増加とが繰り返される制御であるが、長時間継続して実行されることは少ない。そこで、本システム100では、ABS弁装置142がある程度継続して作動した場合、具体的には、ABS弁装置142が作動し始めてからの作動時間Tが設定時間T0以上となった場合に、ABS弁装置142の作動がまもなく終了すると推定している。
<制御プログラム>
本システム100において液圧源装置144が発生させる作動液の液圧である供給圧の制御は、図14にフローチャートを示す液圧制動プログラムが、イグニッションスイッチがON状態とされている間、設定された時間間隔ΔtをおいてブレーキECU48のコントローラ210により繰り返し実行されることによって行われる。以下に、液圧制動プログラムによる制御処理のフローを、図に示すフローチャートを参照しつつ、簡単に説明する。
液圧制動プログラムによる処理では、まず、ステップ1(以下、単に「S1」と略す。他のステップについても同様とする)において、上記メインECU40において演算されている目標液圧制動力に基づいて目標供給圧P*が決定される。コントローラ210内には、目標液圧制動力をパラメータとする目標供給圧P*に関するマップデータが格納されており、目標供給液圧P*は、そのマップデータを参照することによって決定される。そして、S2において、共通通路液圧センサ192によって、実供給圧Prが検出され、S3において、高圧源液圧センサ190によって、高圧源圧Phが検出される。
S4において、ABS弁装置142が作動しているか否かが判定される。ABS弁装置142の4つのABS保持弁200および4つのABS減圧弁202のうちの1つでも作動していれば、ABS弁装置142が作動していると判定される。ABS弁装置142が作動していると判定されると、S5において、図15にフローチャートを示すABS弁装置作動時サブルーチンを実行するための処理が実行される。このABS弁装置作動時サブルーチンでは、S21において、ABS弁装置作動終了推定サブルーチンを実行するための処理が実行される。このABS弁装置作動終了推定サブルーチンでは、図16〜図23にフローチャートで示す8つのサブルーチンが準備されており、推定方法選択スイッチ238を運転者が操作することによって、それらのいずれかが実行されるようになっている。
推定方法選択スイッチ238によって実供給圧Prとブレーキ圧PBとの差に基づくABS弁装置の作動終了推定方法が選択されている場合には、図16にフローチャートを示す第1ABS弁装置作動終了推定サブルーチンが実行される。このサブルーチンでは、まず、S41において、各車輪に対応したブレーキ圧PBが、各ABS保持弁200および各ABS減圧弁202のデューティ比に基づいて推定される。次に、S42において、推定された各ブレーキ圧PBに対して、実供給圧Prとの差が設定差P1以下であるか否かが判定され、S43において、実供給圧Prとの差が設定差P1以下であるブレーキ圧PBの数である判定成立数Nが決定される。続いて、S44において、判定成立数Nが0でないか否かが判定され、判定成立数Nが0でないと判定された場合には、S45において、ABS弁装置作動終了推定フラグFSのフラグ値が1にされる。ABS弁装置作動終了推定フラグFSは、ABS弁装置142の作動が終了すると推定される状況下にあるか否かを示すものであり、そのフラグFSのフラグ値が1とされる場合には、ABS弁装置142の作動が終了すると推定される状況下にあることを示し、0とされている場合には、ABS弁装置142の作動が終了すると推定される状況下にないことを示している。また、判定成立数Nが0であると判定された場合には、S46において、ABS弁装置作動終了推定フラグFSのフラグ値が0にされる。ABS弁装置作動終了推定フラグFSのフラグ値が決定されると、このサブルーチンの実行が終了する。
また、推定方法選択スイッチ238によって目標供給圧P*とブレーキ圧PBとの差に基づくABS弁装置の作動終了推定方法が選択されている場合には、図17にフローチャートを示す第2ABS弁装置作動終了推定サブルーチンが実行される。このサブルーチンでは、S51において、各車輪に対応したブレーキ圧PBが推定され、S52において、ABS制御等が実行されていない車輪が存在するか否かが判定される。ABS制御等が実行されていない車輪が存在すると判定された場合には、S53において、判定に利用する判定用ブレーキ圧PHBが、ABS制御等が実行されていない車輪のブレーキ圧PBに決定される。また、ABS制御等が実行されていない車輪が存在しないと判定された場合には、S54において、4つのブレーキ圧PBの平均値が演算され、判定用ブレーキ圧PHBがその平均値に決定される。判定用ブレーキ圧PHBが決定されると、S55において、目標供給圧P*と判定用ブレーキ圧PHBとの差が設定差P2以下であるか否かが判定される。それら差が設定差P2以下であると判定された場合には、S56において、ABS弁装置作動終了推定フラグFSのフラグ値が1にされ、それら差が設定差P2以下でないと判定された場合には、S57において、フラグ値が0にされる。ABS弁装置作動終了推定フラグFSのフラグ値が決定されると、このサブルーチンの実行が終了する。
また、推定方法選択スイッチ238によって実供給圧Prの変動に基づくABS弁装置の作動終了推定方法が選択されている場合には、図18にフローチャートを示す第3ABS弁装置作動終了推定サブルーチンが実行される。このサブルーチンでは、まず、S61において、実供給圧Prの変化勾配dPrおよび寄与率Rが、最小2乗法に基づいて演算される。次に、S62において、演算された寄与率Rが設定値R0より大きいか否かが判定される。寄与率Rが高いほど実供給圧Prは安定しているため、寄与率Rが設定値R0より大きいと判定された場合には、実供給圧Prは安定していると推定し、S63において、ABS弁装置作動終了推定フラグFSのフラグ値が1にされる。一方、寄与率Rが設定値R0以下と判定された場合には、実供給圧Prは安定していないと推定し、S64において、フラグ値が0にされる。ABS弁装置作動終了推定フラグFSのフラグ値が決定されると、このサブルーチンの実行が終了する。
また、推定方法選択スイッチ238によって実供給圧Prと目標供給圧P*との各々の変化勾配に基づくABS弁装置の作動終了推定方法が選択されている場合には、図19にフローチャートを示す第4ABS弁装置作動終了推定サブルーチンが実行される。このサブルーチンでは、S71において、実供給圧Prの変化勾配dPrが最小2乗法に基づいて演算され、S72において、目標供給圧P*の変化勾配dP*が最小2乗法に基づいて演算される。次に、S73において、実供給圧Prの変化勾配dPrが0より大きく、かつ、設定勾配dPr0未満であるか否かが判定される。実供給圧Prの変化勾配dPrが0より大きく、かつ、設定勾配dPr0未満であると判定された場合には、S74において、目標供給圧P*の変化勾配dP*が0より大きいか否かが判定される。目標供給圧P*の変化勾配dP*が0以下と判定された場合には、S75において、ABS弁装置作動終了推定フラグFSのフラグ値が1にされる。また、実供給圧Prの変化勾配dPrが0より大きく、かつ、設定勾配dPr0未満でないと判定された場合、若しくは、目標供給圧P*の変化勾配dP*が0より大きいと判定された場合には、S76において、ABS弁装置作動終了推定フラグFSのフラグ値が0にされる。ABS弁装置作動終了推定フラグFSのフラグ値が決定されると、このサブルーチンの実行が終了する。
また、推定方法選択スイッチ238によって運転者のブレーキ操作に基づくABS弁装置の作動終了推定方法が選択されている場合には、図20にフローチャートを示す第5ABS弁装置作動終了推定サブルーチンが実行される。このサブルーチンでは、S81において、目標供給圧P*が低下しているか否かが判定される。具体的には、今回の本プログラムの実行において決定された目標供給圧P*が、前回の本プログラムの実行において決定された前回目標供給圧P* Pより小さいか否かが判定される。目標供給圧P*が前回目標供給圧P* Pより小さくないと判定された場合、つまり、目標供給圧P*が低下していないと判定された場合には、S82において、1回のブレーキ操作の中で最も高い目標供給圧P*である最大目標供給圧P* MAXが、今回の本プログラムの実行において決定された目標供給圧P*とされる。また、目標供給圧P*が低下していると判定された場合には、S83において、最大目標供給圧P* MAXから目標供給圧P*を減じた値が設定偏差ΔP* 0を超えているか否かが判定される。最大目標供給圧P* MAXから目標供給圧P*を減じた値が設定偏差ΔP* 0を超えていると判定された場合には、S84において、ABS弁装置作動終了推定フラグFSのフラグ値が1にされる。また、最大目標供給圧P* MAXが目標供給圧P*とされた後、若しくは、最大目標供給圧P* MAXから目標供給圧P*を減じた値が設定偏差ΔP* 0以下であると判定された場合には、S85において、ABS弁装置作動終了推定フラグFSのフラグ値が0にされる。ABS弁装置作動終了推定フラグFSのフラグ値が決定されると、このサブルーチンの実行が終了する。
また、推定方法選択スイッチ238によって目標供給圧P*に基づくABS弁装置の作動終了推定方法が選択されている場合には、図21にフローチャートを示す第6ABS弁装置作動終了推定サブルーチンが実行される。このサブルーチンでは、S91において、目標供給圧P*が設定圧P* 0以下であるか否かが判定される。目標供給圧P*が設定圧P* 0以下であると判定された場合には、S92において、ABS弁装置作動終了推定フラグFSのフラグ値が1にされ、目標供給圧P*が設定圧P* 0以下でないと判定された場合には、S93において、フラグ値が0にされる。ABS弁装置作動終了推定フラグFSのフラグ値が決定されると、このサブルーチンの実行が終了する。
また、推定方法選択スイッチ238によって車速Vに基づくABS弁装置の作動終了推定方法が選択されている場合には、図22にフローチャートを示す第7ABS弁装置作動終了推定サブルーチンが実行される。このサブルーチンでは、まず、S101において、車輪速センサ234によって車速Vが検出され、次に、S102において、その検出された車速Vが設定速度V0以下であるか否かが判定される。車速Vが設定速度V0以下であると判定された場合には、S103において、ABS弁装置作動終了推定フラグFSのフラグ値が1にされ、車速Vが設定速度V0以下でないと判定された場合には、S104において、フラグ値が0にされる。ABS弁装置作動終了推定フラグFSのフラグ値が決定されると、このサブルーチンの実行が終了する。
また、推定方法選択スイッチ238によってABS弁装置の作動継続時間に基づくABS弁装置の作動終了推定方法が選択されている場合には、図23にフローチャートを示す第8ABS弁装置作動終了推定サブルーチンが実行される。このサブルーチンでは、S111において、ABS弁装置142が作動し始めてからの作動時間Tを計測するべく、その作動時間Tに時間間隔Δtが加算され、S112において、その作動時間Tが設定時間T0以上であるか否かが判定される。作動時間Tが設定時間T0以上であると判定された場合には、S113において、ABS弁装置作動終了推定フラグFSのフラグ値が1にされ、作動時間Tが設定時間T0以上でないと判定された場合には、S114において、フラグ値が0にされる。ABS弁装置作動終了推定フラグFSのフラグ値が決定されると、このサブルーチンの実行が終了する。
上記8つのABS弁装置作動終了推定サブルーチンのいずれかの実行が終了すると、ABS弁装置作動時サブルーチンのS22において、ABS弁装置作動終了推定フラグFSのフラグ値が1にされているか否かが判定される。フラグ値が1にされていないと判定された場合には、S23において、減圧閾値決定用加算値PGがPG1に決定され、S24において、上限決定用加算値αがα1に決定される。そして、S25において、減圧用リニア弁172に対応した比例ゲインKGがKG1に決定される。また、フラグ値が1にされていると判定された場合には、S26において、対応制御実行サブルーチンを実行するための処理が実行される。この対応制御実行サブルーチンでは、図24〜図27にフローチャートで示す4つのサブルーチンが準備されており、対応方法選択スイッチ236を運転者が操作することによって、それらのいずれかが実行されるようになっている。
対応方法選択スイッチ236によって減圧閾値決定用加算値PGに依拠した対応制御が選択されている場合には、図24にフローチャートを示す第1対応制御実行サブルーチンが実行される。このサブルーチンでは、S121において、推定方法選択スイッチ238によって実供給圧Prとブレーキ圧PBとの差に基づくABS弁装置の作動終了推定方法が選択されているか否かが判定される。つまり、第1ABS弁装置作動終了推定サブルーチン(以下、「第1推定サブルーチン」と略す場合がある)が実行されたか否かが判定される。第1推定サブルーチンが実行されたと判定された場合には、S122において、判定成立数Nに基づいて、図9(a)に示すように設定されているマップデータを参照し、上述したように減圧閾値決定用加算値PGが決定される。また、第1推定サブルーチンが実行されていないと判定された場合には、S123において、推定方法選択スイッチ238によって目標供給圧P*に基づくABS弁装置の作動終了推定方法が選択されているか否かが判定される。つまり、第6ABS弁装置作動終了推定サブルーチン(以下、「第6推定サブルーチン」と略す場合がある)が実行されたか否かが判定される。第6推定サブルーチンが実行されたと判定された場合には、S124において、目標供給圧P*に基づいて、図12(a)に示すように設定されているマップデータを参照し、上述したように減圧閾値決定用加算値PGが決定される。また、第6推定サブルーチンが実行されていないと判定された場合には、S125において、推定方法選択スイッチ238によって車速Vに基づくABS弁装置の作動終了推定方法が選択されているか否かが判定される。つまり、第7ABS弁装置作動終了推定サブルーチン(以下、「第7推定サブルーチン」と略す場合がある)が実行されたか否かが判定される。第7推定サブルーチンが実行されたと判定された場合には、S126において、車速Vに基づいて、図13(a)に示すように設定されているマップデータを参照し、上述したように減圧閾値決定用加算値PGが決定される。また、第7推定サブルーチンが実行されていないと判定された場合には、S127において、減圧閾値決定用加算値PGがPG2に決定される。減圧閾値決定用加算値PGがいずれかの値に決定されると、このサブルーチンの実行が終了する。
対応方法選択スイッチ236によって上限決定用加算値αに依拠した対応制御が選択されている場合には、図25にフローチャートを示す第2対応制御実行サブルーチンが実行される。このサブルーチンでは、S131において、第1推定サブルーチンが実行されたか否かが判定される。第1推定サブルーチンが実行されたと判定された場合には、S132において、判定成立数Nに基づいて、図9(a)に示すように設定されているマップデータを参照し、上述したように上限決定用加算値αが決定される。また、第1推定サブルーチンが実行されていないと判定された場合には、S133において、第6推定サブルーチンが実行されたか否かが判定される。第6推定サブルーチンが実行されたと判定された場合には、S134において、目標供給圧P*に基づいて、図12(a)に示すように設定されているマップデータを参照し、上述したように上限決定用加算値αが決定される。また、第6推定サブルーチンが実行されていないと判定された場合には、S135において、第7推定サブルーチンが実行されたか否かが判定される。第7推定サブルーチンが実行されたと判定された場合には、S136において、車速Vに基づいて、図13(a)に示すように設定されているマップデータを参照し、上述したように上限決定用加算値αが決定される。また、第7推定サブルーチンが実行されていないと判定された場合には、S137において、上限決定用加算値αがα2に決定される。上限決定用加算値αがいずれかの値に決定されると、このサブルーチンの実行が終了する。
対応方法選択スイッチ236によって目標供給電流i* Gに依拠した対応制御が選択されている場合には、図26にフローチャートを示す第3対応制御実行サブルーチンが実行される。このサブルーチンでは、S141において、第1推定サブルーチンが実行されたか否かが判定される。第1推定サブルーチンが実行されたと判定された場合には、S142において、判定成立数Nに基づいて、図9(b)に示すように設定されているマップデータを参照し、上述したように減圧用リニア弁172に対応した比例ゲインKGが決定される。また、第1推定サブルーチンが実行されていないと判定された場合には、S143において、第6推定サブルーチンが実行されたか否かが判定される。第6推定サブルーチンが実行されたと判定された場合には、S144において、目標供給圧P*に基づいて、図12(b)に示すように設定されているマップデータを参照し、上述したように比例ゲインKGが決定される。また、第6推定サブルーチンが実行されていないと判定された場合には、S145において、第7推定サブルーチンが実行されたか否かが判定される。第7推定サブルーチンが実行されたと判定された場合には、S146において、車速Vに基づいて、図13(b)に示すように設定されているマップデータを参照し、上述したように比例ゲインKGが決定される。また、第7推定サブルーチンが実行されていないと判定された場合には、S147において、比例ゲインKGがKG2に決定される。比例ゲインKGがいずれかの値に決定されると、このサブルーチンの実行が終了する。
対応方法選択スイッチ236によって目標供給圧P*に依拠した対応制御が選択されている場合には、図27にフローチャートを示す第4対応制御実行サブルーチンが実行される。このサブルーチンでは、S151において、第1推定サブルーチンが実行されたか否かが判定される。第1推定サブルーチンが実行されたと判定された場合には、S152において、判定成立数Nに基づいて、図9(b)に示すように設定されているマップデータを参照し、上述したように目標供給圧P*が決定される。また、第1推定サブルーチンが実行されていないと判定された場合には、S153において、第6推定サブルーチンが実行されたか否かが判定される。第6推定サブルーチンが実行されたと判定された場合には、S154において、目標供給圧P*に基づいて、図12(b)に示すように設定されているマップデータを参照し、上述したように目標供給圧P*が決定される。また、第6推定サブルーチンが実行されていないと判定された場合には、S155において、第7推定サブルーチンが実行されたか否かが判定される。第7推定サブルーチンが実行されたと判定された場合には、S156において、車速Vに基づいて、図13(b)に示すように設定されているマップデータを参照し、上述したように目標供給圧P*が決定される。また、第7推定サブルーチンが実行されていないと判定された場合には、S157において、目標供給圧P*から設定低減値γを減じたものが、目標供給圧P*に決定される。目標供給圧P*がいずれかの値に決定されると、このサブルーチンの実行が終了する。
上記4つの対応制御実行サブルーチンのいずれかの実行が終了した後、若しくは、ABS弁装置作動時サブルーチンのS26の実行が終了した後に、S27において、実供給圧Prが、目標供給圧P*から増圧閾値決定用減算値PZを減じた圧力以上、かつ、目標供給圧P*に減圧閾値決定用加算値PGを加えた圧力以下であるか否かが判定される。つまり、実供給圧Prが、増圧閾値以上かつ減圧閾値以下であるか否かが判定される。実供給圧Prが増圧閾値以上かつ減圧閾値以下であると判定された場合には、S28において、目標範囲制御を実行するべく、図4に示すように設定されているマップデータを参照し、減圧用リニア弁172の目標供給電流i* Gが決定され、図5に示すように設定されているマップデータを参照し、増圧用リニア弁170の目標供給電流i* Zが決定される。
また、実供給圧Prが増圧閾値以上かつ減圧閾値以下でないと判定された場合には、S29において、実供給圧Prが減圧閾値(P*+PG)より大きいか否かが判定される。実供給圧Prが減圧閾値より大きいと判定された場合には、S30において、目標供給圧制御において供給圧を低減させるべく、増圧用リニア弁170の目標供給電流i* Zが0に決定され、減圧用リニア弁172の目標供給電流i* Gが、フィードバック制御を利用した上記式に従って決定される。また、実供給圧Prが減圧閾値以下であると判定された場合には、S31において、目標供給圧制御において供給圧を増加させるべく、減圧用リニア弁172の目標供給電流i* Gが0に決定され、増圧用リニア弁170の目標供給電流i* Zが、フィードバック制御を利用した上記式に従って決定される。減圧用リニア弁172の目標供給電流i* Gおよび増圧用リニア弁170の目標供給電流i* Zが決定されると、ABS弁装置作動時サブルーチンの実行が終了する。
メインルーチンのS4においてABS弁装置142が作動していないと判定された場合には、S6において、最大目標供給圧P* MAXが0にリセットされ、S7において、作動時間Tも0にリセットされる。次に、S8において、実供給圧Prと目標供給圧P*とが概ね一致しているか否かが判定され、実供給圧Prと目標供給圧P*とが概ね一致していると判定された場合には、S9において、減圧用リニア弁172の目標供給電流i* Gおよび増圧用リニア弁170の目標供給電流i* Zが0に決定される。また、実供給圧Prと目標供給圧P*とが概ね一致していないと判定された場合には、S10において、実供給圧Prが目標供給圧P*より大きいか否かが判定される。実供給圧Prが目標供給圧P*より大きいと判定された場合には、S11において、増圧用リニア弁170の目標供給電流i* Zが0に決定され、減圧用リニア弁172の目標供給電流i* Gが、フィードバック制御を利用した上記式に従って決定される。また、実供給圧Prが目標供給圧P*より小さいと判定されると、S12において、減圧用リニア弁172の目標供給電流i* Gが0に決定され、増圧用リニア弁170の目標供給電流i* Zが、フィードバック制御を利用した上記式に従って決定される。そして、S13において、決定された減圧用リニア弁172の目標供給電流i* Gに基づく制御信号が駆動回路222に送信され、増圧用リニア弁170の目標供給電流i* Zに基づく制御信号が駆動回路220に送信された後、本プログラムの1回の実行が終了する。
<制御装置の機能構成>
液圧制動プログラムを実行するブレーキECU48のコントローラ210は、それの実行処理に鑑みれば、図28に示すような機能構成を有するものと考えることができる。図から解るように、コントローラ210は、S1の処理を実行する機能部、つまり、液圧源装置144が供給するべき作動液の液圧である目標供給圧P*を決定する機能部として、目標供給圧決定部250を、S9,S11〜S13,S28,S30,S31の処理を実行する機能部、つまり、目標供給圧制御と目標範囲制御とを選択的に実行する機能部として、供給圧制御実行部252を、S4,S27,S29の処理を実行する機能部、つまり、目標供給圧制御と目標範囲制御とのいずれの制御を実行すべきかを選択する機能部として、制御選択部254を、S21,S26の処理を実行する機能部、つまり、ABS弁装置の作動が終了すると推定される状況下においてその状況に対応する機能部として、ABS弁装置作動終了対応部256を、それぞれ備えている。さらに、ABS弁装置作動終了対応部256は、S21の処理を実行する機能部、つまり、ABS弁装置の作動の終了を推定する機能部として、ABS弁装置作動終了推定部258を有している。そのABS弁装置作動終了推定部258は、S41,S51の処理を実行する機能部、つまり、ブレーキ圧PBを推定する機能部として、ブレーキ圧推定部260を有している。
<対応制御およびABS弁装置の作動の終了の推定方法の更なるバリエーション>
上記液圧ブレーキシステム100においては、減圧閾値決定用加算値PGに依拠した対応制御と、上限決定用加算値αに依拠した対応制御と、減圧用リニア弁172の目標供給電流i* Gに依拠した対応制御と、目標供給圧P*に依拠した対応制御とが選択的に単独で実行可能とされているが、それら4つの対応制御のうちの2以上の対応制御が同時に実行可能とされてもよい。つまり、例えば、ABS弁装置142の作動が終了すると推定された場合に、減圧閾値決定用加算値PGを小さくするとともに、上限決定用加算値αを小さくしてもよい。具体的にいえば、上記第1対応制御実行サブルーチン実行後に、上記第2対応制御実行サブルーチンを実行し、減圧閾値決定用加算値PGおよび上限決定用加算値αを小さくしてもよい。また、4つの対応制御のうちの一部のものが実行可能なシステムであってもよい。つまり、例えば、減圧用リニア弁172の目標供給電流i* Gに依拠した対応制御だけが実行可能なシステムであってもよく、減圧閾値決定用加算値PGに依拠した対応制御と目標供給圧P*に依拠した対応制御とだけが実行可能なシステムであってもよい。
また、上記液圧ブレーキシステム100においては、ABS弁装置142の作動の終了を推定する方法として、図16〜図23に示すように、8つの推定方法が採用されており、それら8つの推定方法は選択的に単独で実行されるようになっている。つまり、第1〜第8ABS弁装置作動終了推定サブルーチンのうちのいずれか1つのサブルーチンの各条件を満たした場合に、ABS弁装置142の作動が終了すると推定している。そのように、ABS弁装置142の作動の終了を推定してもよいが、第1〜第8ABS弁装置作動終了推定サブルーチンのうちの2以上のサブルーチンの各条件を満たした場合に、ABS弁装置142の作動が終了すると推定してもよい。具体的には、例えば、第6ABS弁装置作動終了推定サブルーチンを実行し、S91の条件を満たすとともに、第7ABS弁装置作動終了推定サブルーチンを実行し、S102の条件を満たした場合に、ABS弁装置142の作動が終了すると推定してもよい。また、8つの推定方法のうちの一部のものが実行可能なシステムであってもよい。つまり、例えば、車速に基づく推定方法だけが実行可能なシステムであってもよく、ABS弁装置の作動継続時間に基づく推定方法と目標供給圧に基づく推定方法とだけが実行可能なシステムであってもよい。

Claims (13)

  1. 運転者によって操作されるブレーキ操作部材と、
    車輪に設けられて自身に供給された圧力に応じた制動力を発生させるブレーキ装置と、
    自身に供給される電力に応じて作動液を増圧する電磁式の増圧用リニア弁と、自身に供給される電力に応じて作動液を減圧する電磁式の減圧用リニア弁とを有し、それらによって調圧された作動液を供給する液圧源装置と、
    その液圧源装置と前記ブレーキ装置との間に介在させられたABS弁装置と、
    前記増圧用リニア弁への供給電力を制御してその増圧用リニア弁の作動を制御するとともに、前記減圧用リニア弁への供給電力を制御してその減圧用リニア弁の作動を制御する制御装置と
    を備えた車両用液圧ブレーキシステムであって、
    前記制御装置が、
    前記ブレーキ操作部材の操作に基づいて、前記液圧源装置が供給する作動液の液圧である供給圧の目標となる目標供給圧を決定する目標供給圧決定部と、
    (a)前記供給圧が前記目標供給圧決定部によって決定された前記目標供給圧となるように、前記供給圧が前記目標供給圧より高い場合に前記供給圧と前記目標供給圧との差に応じた電力を前記減圧用リニア弁に供給するとともに、前記供給圧が前記目標供給圧より低い場合に前記供給圧と前記目標供給圧との差に応じた電力を前記増圧用リニア弁に供給する第1制御と、(b)上限値が前記目標供給圧に上限決定用加算値を加えた値となるとともに下限値が前記目標供給圧から下限決定用減算値を減じた値となるように決定される目標範囲内に前記供給圧が収まるように、前記供給圧が前記上限値以上となった場合において前記減圧用リニア弁を開弁させるための電力を前記減圧用リニア弁に供給し続けるとともに、前記供給圧が前記下限値以下となった場合において前記増圧用リニア弁を開弁させるための電力を前記増圧用リニア弁に供給し続ける第2制御とを選択的に実行する供給圧制御実行部と、
    その供給圧制御実行部が実行する制御として、(i)前記ABS弁装置が作動していない場合に前記第1制御を選択し、一方、(ii)前記ABS弁装置が作動している場合において、前記供給圧が前記目標供給圧以上であり、かつその目標供給圧に前記上限決定用加算値より大きな値の減圧閾値決定用加算値を加えた圧力以下であるときに前記第2制御を、前記供給圧が前記目標供給圧に前記減圧閾値決定用加算値を加えた圧力より高いときに前記第1制御を、それぞれ選択する制御選択部とを有し、
    前記制御装置が、さらに、
    前記ABS弁装置の作動が終了すると推定される状況下において、その状況に対応するための対応制御を実行するABS弁装置作動終了対応部を有し、
    そのABS弁装置作動終了対応部が、
    前記対応制御として、
    (A)前記減圧閾値決定用加算値を小さくすることと、
    (B)前記上限決定用加算値を小さくすることと、
    (C)前記ABS装置の作動が終了すると推定された時点で前記第1制御が実行されている場合において、前記減圧用リニア弁に供給されている電力を増加させることと、
    (D)前記目標供給圧決定部によって決定される前記目標供給圧を低減させることと
    の少なくとも1つを実行するように構成された車両用液圧ブレーキシステム。
  2. 前記ABS弁装置作動終了対応部が、
    (A)前記対応制御として、前記減圧閾値決定用加算値を小さくするように構成された場合に、当該車両用液圧ブレーキシステムを搭載した車両の走行速度と前記目標供給圧との一方をパラメータとして用い、そのパラメータが低いほど前記減圧閾値決定用加算値をより小さくし、
    (B)前記対応制御として、前記上限決定用加算値を小さくするように構成された場合に、前記走行速度と前記目標供給圧との一方をパラメータとして用い、そのパラメータが低いほど前記上限決定用加算値をより小さくし、
    (C)前記対応制御として、前記ABS装置の作動が終了すると推定された時点で前記第1制御が実行されている場合において、前記減圧用リニア弁に供給されている電力を増加させるように構成された場合に、前記走行速度と前記目標供給圧との一方をパラメータとして用い、そのパラメータが低いほど前記減圧用リニア弁に供給されている電力をより多く増加させ、
    (D)前記対応制御として、前記目標供給圧決定部によって決定される前記目標供給圧を低減させるように構成された場合に、前記走行速度と前記目標供給圧との一方をパラメータとして用い、そのパラメータが低いほど前記目標供給圧をより大きく低減させるように構成された請求項1に記載の車両用液圧ブレーキシステム。
  3. 前記ABS弁装置作動終了対応部が、
    前記ABS弁装置の作動の終了を推定するABS弁装置作動終了推定部を有し、そのABS弁装置作動終了推定部の推定に基づいて前記対応制御を実行するように構成され、
    前記ABS弁装置作動終了推定部が、
    前記供給圧が安定した場合に、前記ABS弁装置の作動が終了すると推定するように構成された請求項1または請求項2に記載の車両用液圧ブレーキシステム。
  4. 前記ABS弁装置作動終了対応部が、
    前記ABS弁装置の作動の終了を推定するABS弁装置作動終了推定部を有し、そのABS弁装置作動終了推定部の推定に基づいて前記対応制御を実行するように構成され、
    前記ABS弁装置作動終了推定部が、
    前記目標供給圧が増加していないにも関わらず前記供給圧が増加した場合に、前記ABS弁装置の作動が終了すると推定するように構成された請求項1ないし請求項3のいずれか1つに記載の車両用液圧ブレーキシステム。
  5. 前記ABS弁装置作動終了対応部が、
    前記ABS弁装置の作動の終了を推定するABS弁装置作動終了推定部を有し、そのABS弁装置作動終了推定部の推定に基づいて前記対応制御を実行するように構成され、
    前記ABS弁装置作動終了推定部が、
    前記目標供給圧が低下した場合に、前記ABS弁装置の作動が終了すると推定するように構成された請求項1ないし請求項4のいずれか1つに記載の車両用液圧ブレーキシステム。
  6. 前記ABS弁装置作動終了対応部が、
    前記ABS弁装置の作動の終了を推定するABS弁装置作動終了推定部を有し、そのABS弁装置作動終了推定部の推定に基づいて前記対応制御を実行するように構成され、
    前記ABS弁装置作動終了推定部が、
    前記目標供給圧が設定圧以下となった場合に、前記ABS弁装置の作動が終了すると推定するように構成された請求項1ないし請求項5のいずれか1つに記載の車両用液圧ブレーキシステム。
  7. 前記ABS弁装置作動終了対応部が、
    前記ABS弁装置の作動の終了を推定するABS弁装置作動終了推定部を有し、そのABS弁装置作動終了推定部の推定に基づいて前記対応制御を実行するように構成され、
    前記ABS弁装置作動終了推定部が、
    当該車両用液圧ブレーキシステムを搭載した車両の走行速度が設定速度以下となった場合に、前記ABS弁装置の作動が終了すると推定するように構成された請求項1ないし請求項6のいずれか1つに記載の車両用液圧ブレーキシステム。
  8. 前記ABS弁装置作動終了対応部が、
    前記ABS弁装置の作動の終了を推定するABS弁装置作動終了推定部を有し、そのABS弁装置作動終了推定部の推定に基づいて前記対応制御を実行するように構成され、
    前記ABS弁装置作動終了推定部が、
    前記ABS弁装置の作動が設定時間以上継続した場合に、前記ABS弁装置の作動が終了すると推定するように構成された請求項1ないし請求項7のいずれか1つに記載の車両用液圧ブレーキシステム。
  9. 前記ABS弁装置作動終了対応部が、
    前記ABS弁装置の作動の終了を推定するABS弁装置作動終了推定部を有し、そのABS弁装置作動終了推定部の推定に基づいて前記対応制御を実行するように構成され、
    前記ABS弁装置作動終了推定部が、
    前記供給圧と前記目標供給圧との一方である判定対象圧と前記ブレーキ装置に供給されている作動液の圧力であるブレーキ圧との差が設定差以下となった場合に、前記ABS弁装置の作動が終了すると推定するように構成された請求項1ないし請求項8のいずれか1つに記載の車両用液圧ブレーキシステム。
  10. 当該車両用液圧ブレーキシステムが、
    前後左右の車輪に対応してそれぞれが前記ブレーキ装置となる4つのブレーキ装置を備え、
    前記ABS弁装置作動終了推定部が、
    前記4つのブレーキ装置のうちの少なくとも1つのものの各々の前記ブレーキ圧に基づいて前記判定対象圧との差を判定するための単一のブレーキ圧を決定し、その決定された単一のブレーキ圧と前記判定対象圧との差が前記設定差以下となった場合に、前記ABS弁装置の作動が終了すると推定するように構成された請求項9に記載の車両用液圧ブレーキシステム。
  11. 当該車両用液圧ブレーキシステムが、
    前後左右の車輪に対応してそれぞれが前記ブレーキ装置となる4つのブレーキ装置を備え、
    前記ABS弁装置作動終了推定部が、
    前記4つのブレーキ装置の各々の前記ブレーキ圧について前記判定対象圧との差を判定し、前記4つのブレーキ装置のうちの1つでも前記ブレーキ圧と前記判定対象圧との差が前記設定差以下となった場合に、前記ABS弁装置の作動が終了すると推定するように構成された請求項9に記載の車両用液圧ブレーキシステム。
  12. 前記ABS弁装置作動終了対応部が、
    前記対応制御として、
    (A)前記減圧閾値決定用加算値を小さくすることと、
    (B)前記上限決定用加算値を小さくすることと、
    (C)前記ABS装置の作動が終了すると推定された時点で前記第1制御が実行されている場合において、前記減圧用リニア弁に供給されている電力を増加させることと、
    (D)前記目標供給圧決定部によって決定される前記目標供給圧を低減させることと
    の少なくとも1つを実行するように構成され、
    (A)前記対応制御として、前記減圧閾値決定用加算値を小さくするように構成された場合に、前記4つのブレーキ装置のうちの前記ブレーキ圧と前記判定対象圧との差が前記設定差以下となっているものの数が多いほど前記減圧閾値決定用加算値をより小さくし、
    (B)前記対応制御として、前記上限決定用加算値を小さくするように構成された場合に、前記4つのブレーキ装置のうちの前記ブレーキ圧と前記判定対象圧との差が前記設定差以下となっているものの数が多いほど前記上限決定用加算値をより小さくし、
    (C)前記対応制御として、前記ABS装置の作動が終了すると推定された時点で前記第1制御が実行されている場合において、前記減圧用リニア弁に供給されている電力を増加させるように構成された場合に、前記4つのブレーキ装置のうちの前記ブレーキ圧と前記判定対象圧との差が前記設定差以下となっているものの数が多いほど前記減圧用リニア弁に供給されている電力をより多く増加させ、
    (D)前記対応制御として、前記目標供給圧決定部によって決定される前記目標供給圧を低減させるように構成された場合に、前記4つのブレーキ装置のうちの前記ブレーキ圧と前記判定対象圧との差が前記設定差以下となっているものの数が多いほど前記目標供給圧をより大きく低減させるように構成された請求項11に記載の車両用液圧ブレーキシステム。
  13. 前記ABS弁装置作動終了推定部が、
    前記ABS弁装置が作動し始めてからの前記ABS弁装置の作動状況に基づいて前記ブレーキ圧を推定するブレーキ圧推定部を有し、そのブレーキ圧推定部によって推定された前記ブレーキ圧に基づいて前記ABS弁装置の作動の終了を推定するように構成された請求項9項ないし請求項12のいずれか1つに記載の車両用液圧ブレーキシステム。
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