JP5163817B2 - 車両用液圧ブレーキシステム - Google Patents
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Description
液圧源装置によって供給される作動液に依拠して制動力を発生させることが可能なブレーキシステムにおいては、運転者によるブレーキ操作に基づいた適切な制動力を発生させるべく、運転者によるブレーキ操作に基づいて供給圧の目標となる目標供給圧を決定し、供給圧が目標供給圧となるように液圧源装置への供給電力が制御される目標供給圧制御が実行される。詳しくいえば、目標供給圧制御では、供給圧が目標供給圧より高い場合には、液圧源装置の有する減圧用リニア弁に供給圧と目標供給圧との差に応じた電力が供給され、供給圧が目標供給圧より低い場合には、液圧源装置の有する増圧用リニア弁に供給圧と目標供給圧との差に応じた電力が供給される。このように目標供給圧制御が実行されることで、供給圧を目標供給圧にすることが可能となっている。
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、それらの発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載,実施形態の記載等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。
車輪に設けられて自身に供給された圧力に応じた制動力を発生させるブレーキ装置と、
自身に供給される電力に応じて作動液を増圧する電磁式の増圧用リニア弁と、自身に供給される電力に応じて作動液を減圧する電磁式の減圧用リニア弁とを有し、それらによって調圧された作動液を供給する液圧源装置と、
その液圧源装置と前記ブレーキ装置との間に介在させられたABS弁装置と、
前記増圧用リニア弁への供給電力を制御してその増圧用リニア弁の作動を制御するとともに、前記減圧用リニア弁への供給電力を制御してその減圧用リニア弁の作動を制御する制御装置と
を備えた車両用液圧ブレーキシステムであって、
前記制御装置が、
前記ブレーキ操作部材の操作に基づいて、前記液圧源装置が供給する作動液の液圧である供給圧の目標となる目標供給圧を決定する目標供給圧決定部と、
(a)前記供給圧が前記目標供給圧決定部によって決定された前記目標供給圧となるように、前記供給圧が前記目標供給圧より高い場合に前記供給圧と前記目標供給圧との差に応じた電力を前記減圧用リニア弁に供給するとともに、前記供給圧が前記目標供給圧より低い場合に前記供給圧と前記目標供給圧との差に応じた電力を前記増圧用リニア弁に供給する第1制御と、(b)上限値が前記目標供給圧に上限決定用加算値を加えた値となるとともに下限値が前記目標供給圧から下限決定用減算値を減じた値となるように決定される目標範囲内に前記供給圧が収まるように、前記供給圧が前記上限値以上となった場合において前記減圧用リニア弁を開弁させるための電力を前記減圧用リニア弁に供給し続けるとともに、前記供給圧が前記下限値以下となった場合において前記増圧用リニア弁を開弁させるための電力を前記増圧用リニア弁に供給し続ける第2制御とを選択的に実行する供給圧制御実行部と、
その供給圧制御実行部が実行する制御として、(i)前記ABS弁装置が作動していない場合に前記第1制御を選択し、一方、(ii)前記ABS弁装置が作動している場合において、前記供給圧が前記目標供給圧以上であり、かつその目標供給圧に前記上限決定用加算値より大きな値の減圧閾値決定用加算値を加えた圧力以下であるときに前記第2制御を、前記供給圧が前記目標供給圧に前記減圧閾値決定用加算値を加えた圧力より高いときに前記第1制御を、それぞれ選択する制御選択部とを有し、
前記制御装置が、さらに、
前記ABS弁装置の作動が終了すると推定される状況下において、その状況に対応するための対応制御を実行するABS弁装置作動終了対応部を有する車両用液圧ブレーキシステム。
前記ABS弁装置の作動が終了した時点での前記供給圧と前記目標供給圧との差を小さくするための制御である(1)項に記載の車両用液圧ブレーキシステム。
前記対応制御として、前記減圧閾値決定用加算値を小さくするように構成された(1)項または(2)項に記載の車両用液圧ブレーキシステム。
当該車両用液圧ブレーキシステムを搭載した車両の走行速度と前記目標供給圧との一方をパラメータとして用い、そのパラメータが低いほど前記減圧閾値決定用加算値をより小さくするように構成された(3)項に記載の車両用液圧ブレーキシステム。
前記対応制御として、前記上限決定用加算値を小さくするように構成された(1)項ないし(4)項のいずれか1つに記載の車両用液圧ブレーキシステム。
当該車両用液圧ブレーキシステムを搭載した車両の走行速度と前記目標供給圧との一方をパラメータとして用い、そのパラメータが低いほど前記上限決定用加算値をより小さくするように構成された(5)項に記載の車両用液圧ブレーキシステム。
前記対応制御として、前記ABS装置の作動が終了すると推定された時点で前記第1制御が実行されている場合において、前記減圧用リニア弁に供給されている電力を増加させるように構成された(1)項ないし(6)項のいずれか1つに記載の車両用液圧ブレーキシステム。
当該車両用液圧ブレーキシステムを搭載した車両の走行速度と前記目標供給圧との一方をパラメータとして用い、そのパラメータが低いほど前記減圧用リニア弁に供給されている電力をより多く増加させるように構成された(7)項に記載の車両用液圧ブレーキシステム。
前記対応制御として、前記目標供給圧決定部によって決定される前記目標供給圧を低減させるように構成された(1)項ないし(8)項のいずれか1つに記載の車両用液圧ブレーキシステム。
当該車両用液圧ブレーキシステムを搭載した車両の走行速度と前記目標供給圧との一方をパラメータとして用い、そのパラメータが低いほど前記目標供給圧をより大きく低減させるように構成された(9)項に記載の車両用液圧ブレーキシステム。
前記ABS弁装置の作動の終了を推定するABS弁装置作動終了推定部を有し、そのABS弁装置作動終了推定部の推定に基づいて前記対応制御を実行するように構成された(1)項ないし(10)項のいずれか1つに記載の車両用液圧ブレーキシステム。
前記供給圧が安定した場合に、前記ABS弁装置の作動が終了すると推定するように構成された(11)項に記載の車両用液圧ブレーキシステム。
前記目標供給圧が増加していないにも関わらず前記供給圧が増加した場合に、前記ABS弁装置の作動が終了すると推定するように構成された(11)項または(12)項に記載の車両用液圧ブレーキシステム。
前記目標供給圧が低下した場合に、前記ABS弁装置の作動が終了すると推定するように構成された(11)項ないし(13)項のいずれか1つに記載の車両用液圧ブレーキシステム。
前記目標供給圧が設定圧以下となった場合に、前記ABS弁装置の作動が終了すると推定するように構成された(11)項ないし(14)項のいずれか1つに記載の車両用液圧ブレーキシステム。
当該車両用液圧ブレーキシステムを搭載した車両の走行速度が設定速度以下となった場合に、前記ABS弁装置の作動が終了すると推定するように構成された(11)項ないし(15)項のいずれか1つに記載の車両用液圧ブレーキシステム。
前記ABS弁装置の作動が設定時間以上継続した場合に、前記ABS弁装置の作動が終了すると推定するように構成された(11)項ないし(16)項のいずれか1つに記載の車両用液圧ブレーキシステム。
前記供給圧と前記目標供給圧との一方である判定対象圧と前記ブレーキ装置に供給されている作動液の圧力であるブレーキ圧との差が設定差以下となった場合に、前記ABS弁装置の作動が終了すると推定するように構成された(11)項ないし(17)項のいずれか1つに記載の車両用液圧ブレーキシステム。
前後左右の車輪に対応してそれぞれが前記ブレーキ装置となる4つのブレーキ装置を備え、
前記ABS弁装置作動終了推定部が、
前記4つのブレーキ装置のうちの少なくとも1つのものの各々の前記ブレーキ圧に基づいて前記判定対象圧との差を判定するための単一のブレーキ圧を決定し、その決定された単一のブレーキ圧と前記判定対象圧との差が前記設定差以下となった場合に、前記ABS弁装置の作動が終了すると推定するように構成された(18)項に記載の車両用液圧ブレーキシステム。
前後左右の車輪に対応してそれぞれが前記ブレーキ装置となる4つのブレーキ装置を備え、
前記ABS弁装置作動終了推定部が、
前記4つのブレーキ装置の各々の前記ブレーキ圧について前記判定対象圧との差を判定し、前記4つのブレーキ装置のうちの1つでも前記ブレーキ圧と前記判定対象圧との差が前記設定差以下となった場合に、前記ABS弁装置の作動が終了すると推定するように構成された(18)項に記載の車両用液圧ブレーキシステム。
前記対応制御として、
(A)前記減圧閾値決定用加算値を小さくすることと、
(B)前記上限決定用加算値を小さくすることと、
(C)前記ABS装置の作動が終了すると推定された時点で前記第1制御が実行されている場合において、前記減圧用リニア弁に供給されている電力を増加させることと、
(D)前記目標供給圧決定部によって決定される前記目標供給圧を低減させることと
の少なくとも1つを実行するように構成され、
(A)前記対応制御として、前記減圧閾値決定用加算値を小さくするように構成された場合に、前記4つのブレーキ装置のうちの前記ブレーキ圧と前記判定対象圧との差が前記設定差以下となっているものの数が多いほど前記減圧閾値決定用加算値をより小さくし、
(B)前記対応制御として、前記上限決定用加算値を小さくするように構成された場合に、前記4つのブレーキ装置のうちの前記ブレーキ圧と前記判定対象圧との差が前記設定差以下となっているものの数が多いほど前記上限決定用加算値をより小さくし、
(C)前記対応制御として、前記ABS装置の作動が終了すると推定された時点で前記第1制御が実行されている場合において、前記減圧用リニア弁に供給されている電力を増加させるように構成された場合に、前記4つのブレーキ装置のうちの前記ブレーキ圧と前記判定対象圧との差が前記設定差以下となっているものの数が多いほど前記減圧用リニア弁に供給されている電力をより多く増加させ、
(D)前記対応制御として、前記目標供給圧決定部によって決定される前記目標供給圧を低減させるように構成された場合に、前記4つのブレーキ装置のうちの前記ブレーキ圧と前記判定対象圧との差が前記設定差以下となっているものの数が多いほど前記目標供給圧をより大きく低減させるように構成された(20)項に記載の車両用液圧ブレーキシステム。
前記ABS弁装置が作動し始めてからの前記ABS弁装置の作動状況に基づいて前記ブレーキ圧を推定するブレーキ圧推定部を有し、そのブレーキ圧推定部によって推定された前記ブレーキ圧に基づいて前記ABS弁装置の作動の終了を推定するように構成された(18)項ないし(21)項のいずれか1つに記載の車両用液圧ブレーキシステム。
前記ABS弁装置が作動している場合において、前記供給圧が前記目標供給圧未満であり、かつ前記目標供給圧から増圧閾値決定用減算値を減じた圧力以上であるときに前記第2制御を、前記供給圧が前記目標供給圧から前記増圧閾値決定用減算値を減じた圧力未満であるときに前記第1制御を、それぞれ選択するように構成された(1)項ないし(22)項のいずれか1つに記載の車両用液圧ブレーキシステム。
前記液圧源装置から前記ABS弁装置へ作動液を供給するための液通路と、
その液通路に設けられ、前記液通路内の作動液の液圧を検出する検出器とを備え、
前記制御装置が、
前記検出器によって検出される液圧を前記供給圧とみなすように構成された(1)項ないし(24)項のいずれか1つに記載の車両用液圧ブレーキシステム。
図1に、実施形態の車両用液圧ブレーキシステムを搭載したハイブリッド車両の駆動システムおよび制動システムを模式的に示す。車両には、動力源として、エンジン10と電気モータ12とが搭載されており、また、エンジン10の出力により発電を行う発電機14も搭載されている。これらエンジン10、電気モータ12、発電機14は、動力分割機構16によって互いに接続されている。この動力分割機構16を制御することで、エンジン10の出力を発電機14を作動させるための出力と、4つの車輪18のうちの駆動輪となるものを回転させるための出力とに振り分けたり、電気モータ12からの出力を駆動輪に伝達させることができる。つまり、動力分割機構16は、減速機20および駆動軸22を介して駆動輪に伝達される駆動力に関する変速機として、機能するのである。なお、「車輪18」等のいくつかの構成要素は、総称として使用するが、4つの車輪のいずれかに対応するものであることを示す場合には、左前輪,右前輪,左後輪,右後輪にそれぞれ対応して、添え字「FL」,「FR」,「RL」,「RR」を付すこととする。この表記に従えば、本車両における駆動輪は、車輪18RL,および車輪18RRである。
図2に、車両が備える液圧ブレーキシステム100を概念的に示す。本液圧ブレーキシステム100は、ブレーキ操作部材としてのブレーキペダル110と、マスタシリンダ装置112と、ブレーキアクチュエータ114とを備えている。マスタシリンダ装置112は、ブレーキペダル110の踏込みに基づいて作動液(ブレーキ液)を加圧するマスタシリンダ116を備えている。マスタシリンダ116は、2つの加圧室118,120を備えており、加圧室118は主液通路122の一端に、加圧室120は主液通路124の一端に、それぞれ接続されている。主液通路122の他端は、左前輪18FLの回転を制動するブレーキ装置126FLのブレーキシリンダ128FLと接続され、主液通路124の他端は、右前輪18FRの回転を制動するブレーキ装置126FRのブレーキシリンダ128FRと接続されている。
上述した構造によって、本ブレーキシステム100では、ブレーキペダル110が運転者によって操作された場合に、そのブレーキペダル100に加えられた操作力によってマスタシリンダ116の加圧室118,120内の作動液が加圧され、その加圧された作動液に依拠してブレーキ装置126のブレーキシリンダ128を作動させることで、制動力を発生させることが可能となっている。ただし、本システム10では、通常時に、マスタシリンダ116によって加圧された作動液に依拠することなく、液圧源装置144によって調圧される作動液に依拠してブレーキ装置126のブレーキシリンダ128を作動させる電気制動制御が実行される。
電気制動制御においてブレーキ装置126が発生させるべき目標液圧制動力は、上述したように、上記メインECU40によって演算されており、その目標液圧制動力を発生可能な供給圧が目標供給液圧P*として、ブレーキECU48のコントローラ210において演算される。そして、その演算された目標供給圧P*と、上記共通通路液圧センサ192によって検出される実供給圧Prとが比較されて、実供給圧Prが目標供給圧P*より高い場合には実供給圧Prを低減させるべく液圧源装置144が制御され、実供給圧Prが目標供給圧P*より低い場合には実供給圧Prを増加させるべく液圧源装置144が制御される。つまり、電気制動制御において、実供給圧Prが目標供給圧P*となるように液圧源装置144の作動を制御する目標供給圧制御が実行されるのである。
i* G=iG0+KG・|Δθ|
ここで、KGは、減圧用リニア弁172に対応する比例ゲインであり、iG0は、減圧用リニア弁172の弁体180に作用する実供給圧Prとリザーバ134に貯留される作動液の液圧との差圧、つまり、実供給圧Prに応じて定まる減圧用リニア弁172の開弁電流iGKである。その減圧用リニア弁172の開弁電流iGKは、供給圧Pkと一定の関係があり、次式に従って決定される。
iGK=f(Pk)
ここで、f(Pk)は、供給圧Pkに依拠した関数であり、図4に示すように、供給圧Pkの増加に伴って直線的に減少するような関数とされている。
i* Z=iZ0+KZ・|Δθ|
ここで、KZは、増圧用リニア弁170に対応する比例ゲインであり、iZ0は、高圧源装置140が発生させる高圧の作動液の液圧、つまり、高圧源液圧センサ190によって検出される高圧源圧Phと実供給圧Prとの差圧(Ph−Pr)に応じて定まる増圧用リニア弁170の開弁電流iZKである。その増圧用リニア弁170の開弁電流iZKは、高圧源圧Phと供給圧Pkとの差圧(Ph−Pk)と一定の関係があり、次式に従って決定される。
iZK=g(Ph−Pk)
ここで、g(Ph−Pk)は、高圧源圧Phと供給圧Pkとの差圧(Ph−Pk)に依拠した関数であり、図5に示すように、差圧(Ph−Pk)の増加に伴って直線的に減少するような関数とされている。
また、本ブレーキシステム100においては、ABS弁装置142の作動を制御することで、車両の挙動を安定化させるための制御、所謂ABS(Anti-lock Brake System)制御,VSC(Vehicle Stability Control)制御,TRC(Traction Control)制御が実行されるようになっている。ABS制御は、急ブレーキ時等において車輪のロックを抑制するための制御であり、VSC制御は、車両旋回時における車輪の横滑りを抑制するための制御である。また、TRC制御は、車両発進時,急加速時等に駆動輪の空転を抑制するための制御である。
そこで、本ブレーキシステム100では、ABS制御等が実行されている場合には、第1制御としての目標供給圧制御に代えて、供給圧が目標範囲内に収まるように液圧弁装置144を制御する目標範囲制御を実行するようになっている。第2制御としての目標範囲制御においては、供給圧が目標範囲の上限値以上となった場合に減圧用リニア弁172が開弁するとともに、供給圧が目標範囲の下限値以下となった場合に増圧用リニア弁170が開弁するように、増圧用リニア弁170および減圧用リニア弁172に電力を供給することで、供給圧が目標範囲内に維持されるようになっている。つまり、目標範囲の上限値に相当する圧力が減圧用リニア弁172の開弁圧となるような電力を減圧用リニア弁172に供給するとともに、目標範囲の下限値に相当する圧力が増圧用リニア弁170の開弁圧となるような電力を増圧用リニア弁170に供給することで、増圧用リニア弁170および減圧用リニア弁172を差圧弁として機能させて、供給圧が目標範囲内に維持されるようになっている。
i* G=f(P*+α)
i* Z=g(Ph−P*)
本システム100では、上述したように、ABS弁装置142が作動している場合には、基本的に目標範囲制御が実行され、ABS弁装置142が作動していない場合には、目標供給圧制御が実行される。目標範囲制御は、供給圧が目標範囲内に収まっていればよい制御であることから、目標範囲制御では、供給圧は目標供給圧からズレていることが多く、目標範囲の幅が大きく設定されているような場合には、供給圧が目標供給圧から大きくズレている場合もある。このため、ABS弁装置142の作動が終了して、目標範囲制御の代わりに目標供給圧制御が実行されると、供給圧が目標供給圧に追従し難い場合があり、運転者がブレーキ操作に違和感を抱く虞がある。また、ABS弁装置142が作動している場合に目標供給圧制御が実行されている場合は、供給圧が目標供給圧から大きく乖離している場合であるため、ABS弁装置142の作動終了時に運転者がブレーキ操作に違和感を抱く虞がある。
増圧用リニア弁170および減圧用リニア弁172の通電状態の頻繁な切換を抑制するという観点からすれば、ABS弁装置142が作動している場合に目標供給圧制御と目標範囲制御とを切り換えるための減圧閾値は目標供給圧よりある程度高い値に設定されることが望ましい。しかし、減圧閾値が目標供給圧より高く設定されるほど、目標範囲制御から目標供給圧制御に切り換えられ難くなり、供給圧が目標供給圧より高い状態で供給圧と目標供給圧との差が大きくなる虞がある。
ABS弁装置142の作動時に供給圧をある程度高圧に維持するという観点からすれば、目標範囲の上限値、つまり、上限決定用加算値αを大きな値にすることが望ましい。しかし、上限決定用加算値αが大きな値に設定されるほど、減圧用リニア弁172の開弁圧と目標供給圧との差が大きくなり、供給圧が目標供給圧より高い状態で供給圧と目標供給圧との差が大きくなる虞がある。
また、ABS弁装置142の作動時に目標供給圧制御が実行される場合があるが、この場合には供給圧が目標供給圧から大きく乖離しており、供給圧と目標供給圧との差を早急に小さくするべく、フィードバック制御を利用した制御が実行される。フィードバック制御では、実供給圧と目標供給圧との差に応じてソレノイド186への目標供給電流の成分が決定されており、その成分が決定される際に利用されるフィードバックゲインに応じて減圧効果、若しくは、増圧効果が変化する。具体的にいえば、減圧用リニア弁172のソレノイド186への目標供給電流i* Gの成分が決定される際には、減圧用リニア弁172に対応した比例ゲインKGが利用されており、その比例ゲインKGが高いほど減圧効果は高くなり、比例ゲインKGが低いほど減圧効果は低くなる。
上述したように、減圧閾値を小さくすることと、目標範囲の上限値を小さくすることと、減圧用リニア弁172の目標供給電流i* Gを増加させることとの少なくとも1つを実行することで、ABS弁装置の作動終了時の運転者の違和感を低減させることが可能である。減圧用閾値は、目標供給圧P*に減圧閾値決定用加算値PGを加えた値(P*+PG)に設定されており、減圧閾値決定用加算値PGではなく目標供給圧P*を小さくすることでも減圧閾値を小さくすることが可能である。また、目標範囲の上限値は、目標供給圧P*に上限決定用加算値αを加えた値(P*+α)に設定されており、上限決定用加算値αではなく目標供給圧P*を小さくすることでも上限値を小さくすることが可能である。また、減圧用リニア弁172の目標供給電流i* Gは、次式に従って決定されている。
i* G=iG0+KG・|ΔP|
ちなみに、供給圧差ΔPは、実供給圧Prと目標供給圧P*との差であり、供給圧の減圧時には、実供給圧Prは目標供給圧P*より高いことから、上記式は次式に変形可能である。
i* G=iG0+KG・(Pr−P*)
この式から解るように、減圧用リニア弁172の目標供給電流i* Gは、比例ゲインKGではなく、実供給圧Prと目標供給圧P*との差(Pr−P*)を大きくすることでも増加する。つまり、目標供給圧P*を小さくすることでも、実供給圧Prと目標供給圧P*との差(Pr−P*)が大きくなり、減圧用リニア弁172の目標供給電流i* Gを増加させることが可能である。
上記対応制御を実行するべく、ABS弁装置142の作動がまもなく終了するか否かを推定する必要がある。ABS弁装置142は、車輪のロック,横滑り,空転等を抑制するべく制御されるものであり、車輪のロック等の発生しやすい状況であるか否かを判定することで、ABS弁装置142の作動終了を推定することが可能である。また、ABS弁装置142の作動に伴ってブレーキ圧,供給圧等が変化することから、ブレーキ圧,供給圧等の変化の履歴,ブレーキ圧と供給圧との関係等に基づいて、ABS弁装置142の作動終了を推定することも可能である。このように、ABS弁装置142の作動の終了は、ブレーキ圧,供給圧,車輪のロック等の発生要因等に基づいて推定することが可能であり、本システム100では、様々な方法によってABS弁装置142の作動終了が推定されている。以下に、ABS弁装置142の作動終了の推定方法のバリエーションについて説明する。
ABS弁装置142が作動している際には、ABS減圧弁202の作動に伴ってブレーキ圧PBは実供給圧Prより低くなっている場合が多い。つまり、ABS減圧弁202の開閉が頻繁に切換られている際には、ブレーキ圧PBと実供給圧Prとの差は大きくなり、ABS減圧弁202が開弁されることが少なくなると、ブレーキ圧PBと実供給圧Prとの差は小さくなる。ABS減圧弁202が開弁されることが少なくなる場合には、車輪のロック等がある程度抑制されていることが多く、ABS弁装置142の作動がまもなく終了することが多い。そこで、本システム100では、実供給圧Prとブレーキ圧PBとの差に基づいてABS弁装置142の作動の終了を推定しており、判定対象圧としての実供給圧Prとブレーキ圧PBとの差が設定差P1以下となった場合に、ABS弁装置142の作動がまもなく終了すると推定している。
PG2=KN1・PG2
ここで、KN1は、判定成立数Nに依拠するゲインであり、図9(a)に示すように、判定成立数Nが1の場合に1となり、判定成立数Nが多くなるにつれて小さな値となるように設定されている。また、判定成立数Nが多いほど、上限決定用加算値αに依拠した対応制御での上限決定用加算値α2も小さくしており、その上限決定用加算値α2は、判定成立数Nに応じて次式に従って決定される。
α2=KN1・α2
KG2=KN2・KG2
ここで、KN2は、判定成立数Nに依拠するゲインであり、図9(b)に示すように、判定成立数Nが1の場合に1となり、判定成立数Nが多くなるにつれて大きな値となるように設定されている。また、判定成立数Nが多いほど、目標供給圧P*に依拠した対応制御での目標供給圧P*を低減させおり、その目標供給圧P*は、判定成立数Nに応じて次式に従って決定される。
P*=P*−KN2・γ
ABS減圧弁202の作動に伴って、液圧源装置144によって供給される作動液がブレーキ装置126を介してリザーバ134に排出されることで、実供給圧Prは低下する。一方、低下した実供給圧を増加させるべく、増圧用リニア弁170が作動することで、実供給圧Prは増加する。このため、ABS弁装置142の作動時には、実供給圧Prは安定せずに増減を繰り返す。そして、ABS減圧弁202の作動頻度が低下するにつれて、実供給圧Prは、大きく増減しなくなり安定する。図10に、目標供給圧P*,実供給圧Pr,ブレーキ圧PBの時間経過に対する変化を示す。図から解るように、実供給圧Pr(点線)が大きく変動している場合には、ブレーキ圧PB(一点鎖線)は実供給圧Prよりある程度低くなっており、ABS減圧弁202が作動していると推定される。そして、実供給圧Prが大きく変動しなくなり安定すると、ブレーキ圧PBと実供給圧Prとが概ね一致することから、ABS減圧弁202が殆ど作動しなくなっていると推定される。そこで、本システム100では、実供給圧Prが安定した場合に、ABS弁装置142の作動がまもなく終了すると推定している。
目標供給圧P*が増加している場合には、実供給圧Prは、通常、目標供給圧P*に追従して増加する。しかし、ABS弁装置142が作動している場合には、液圧源装置144によって供給される作動液がブレーキ装置126を介してリザーバ134に排出されることで、目標供給圧P*が増加しているにも関わらず、実供給圧Prは低下する場合がある。つまり、目標供給圧P*が増加しているにも関わらず、実供給圧Prが低下している場合には、ABS弁装置142が作動している可能性は極めて高いと考えられる。また、目標供給圧P*が増加しているにも関わらず、実供給圧Prが低下している場合とは、反対の場合、つまり、目標供給圧P*が増加していないにも関わらず、実供給圧Prが増加している場合には、液圧源装置144によって供給される作動液がブレーキ装置126を介してリザーバ134に排出されていることは殆どないと考えられることから、ABS弁装置142が作動している可能性は極めて低いと考えられる。
運転者によるブレーキペダル110の操作量が増加している場合、つまり、目標供給圧P*が増加している場合には、ブレーキ圧PBも増加し、車輪がロックする可能性が高くなる。一方、運転者によるブレーキペダル110の操作が解除されるような場合、つまり、目標供給圧P*が低下している場合には、ブレーキ圧PBも低下し、車輪がロックする可能性は低くなる。そこで、本システム100では、目標供給圧P*が低下した場合に、ABS弁装置142の作動がまもなく終了すると推定している。ただし、目標供給圧P*が低下しても、目標供給圧P*が高い場合には、車輪がロックする可能性はある程度あるため、本システム100では、目標供給圧P*が低下するとともに、その低下量がある程度大きい場合に、ABS弁装置142の作動がまもなく終了すると推定している。具体的には、1回のブレーキ操作の中で最も高い目標供給圧P*である最大目標供給圧P* MAXから目標供給圧P*を減じた値(P* MAX−P*)が設定偏差ΔP* 0を超えた場合に、ABS弁装置142の作動がまもなく終了すると推定している。
目標供給圧P*が高い場合には、ブレーキ圧PBも高くなり、車輪がロックする可能性が高くなるが、目標供給圧P*が低い場合には、ブレーキ圧PBも低いため、車輪がロックする可能性は低くなる。そこで、本システム100では、目標供給圧P*が設定圧P* 0以下となった場合に、ABS弁装置142の作動がまもなく終了すると推定している。
PG2=KP1・PG2
ここで、KP1は、目標供給圧P*に依拠するゲインであり、図12(a)に示すように、目標供給圧P*が設定圧P* 0の場合に1となり、目標供給圧P*が設定圧P* 0より低くなるにつれて小さな値となるように設定されている。また、目標供給圧P*が低いほど、上限決定用加算値αに依拠した対応制御での上限決定用加算値α2も小さくしており、その上限決定用加算値α2は、目標供給圧P*に応じて次式に従って決定される。
α2=KP1・α2
KG2=KP2・KG2
ここで、KP2は、目標供給圧P*に依拠するゲインであり、図12(b)に示すように、目標供給圧P*が設定圧P* 0の場合に1となり、目標供給圧P*が設定圧P* 0より低くなるにつれて大きな値となるように設定されている。また、目標供給圧P*が低いほど、目標供給圧P*に依拠した対応制御での目標供給圧P*を低減させており、その目標供給圧P*は、次式に従って決定される。
P*=P*−KP2・γ
車両の走行速度(以下、「車速」と略す場合がある)Vが高い場合には、車輪の横滑りが発生する可能性が高くなる。さらに、車速Vが高い場合には、高速で走る車両を制動するためにブレーキ圧PBが高くなり、車輪がロックする可能性も高くなる。一方、車速Vが低い場合には、車輪の横滑り,ロックが発生する可能性は低い。そこで、本システム100では、車速Vが設定速度V0以下となった場合に、ABS弁装置142の作動がまもなく終了すると推定している。
PG2=KV1・PG2
ここで、KV1は、車速Vに依拠するゲインであり、図13(a)に示すように、車速Vが設定速度V0の場合に1となり、車速Vが設定速度V0より低くなるにつれて小さな値となるように設定されている。また、車速Vが低いほど、上限決定用加算値αに依拠した対応制御での上限決定用加算値α2も小さくしており、その上限決定用加算値α2は、車速Vに応じて次式に従って決定される。
α2=KV1・α2
KG2=KV2・KG2
ここで、KV2は、車速Vに依拠するゲインであり、図13(b)に示すように、車速Vが設定速度V0の場合に1となり、車速Vが設定速度V0より低くなるにつれて大きな値となるように設定されている。また、車速Vが低いほど、目標供給圧P*に依拠した対応制御での目標供給圧P*を低減させており、その目標供給圧P*は、車速Vに応じて次式に従って決定される。
P*=P*−KV2・γ
ABS制御等は、ブレーキ圧PBを瞬時に低下させ、そして、低下したブレーキ圧PBを瞬時に増加させる制御であり、ブレーキ圧PBの低下と増加とが繰り返される制御であるが、長時間継続して実行されることは少ない。そこで、本システム100では、ABS弁装置142がある程度継続して作動した場合、具体的には、ABS弁装置142が作動し始めてからの作動時間Tが設定時間T0以上となった場合に、ABS弁装置142の作動がまもなく終了すると推定している。
本システム100において液圧源装置144が発生させる作動液の液圧である供給圧の制御は、図14にフローチャートを示す液圧制動プログラムが、イグニッションスイッチがON状態とされている間、設定された時間間隔ΔtをおいてブレーキECU48のコントローラ210により繰り返し実行されることによって行われる。以下に、液圧制動プログラムによる制御処理のフローを、図に示すフローチャートを参照しつつ、簡単に説明する。
液圧制動プログラムを実行するブレーキECU48のコントローラ210は、それの実行処理に鑑みれば、図28に示すような機能構成を有するものと考えることができる。図から解るように、コントローラ210は、S1の処理を実行する機能部、つまり、液圧源装置144が供給するべき作動液の液圧である目標供給圧P*を決定する機能部として、目標供給圧決定部250を、S9,S11〜S13,S28,S30,S31の処理を実行する機能部、つまり、目標供給圧制御と目標範囲制御とを選択的に実行する機能部として、供給圧制御実行部252を、S4,S27,S29の処理を実行する機能部、つまり、目標供給圧制御と目標範囲制御とのいずれの制御を実行すべきかを選択する機能部として、制御選択部254を、S21,S26の処理を実行する機能部、つまり、ABS弁装置の作動が終了すると推定される状況下においてその状況に対応する機能部として、ABS弁装置作動終了対応部256を、それぞれ備えている。さらに、ABS弁装置作動終了対応部256は、S21の処理を実行する機能部、つまり、ABS弁装置の作動の終了を推定する機能部として、ABS弁装置作動終了推定部258を有している。そのABS弁装置作動終了推定部258は、S41,S51の処理を実行する機能部、つまり、ブレーキ圧PBを推定する機能部として、ブレーキ圧推定部260を有している。
上記液圧ブレーキシステム100においては、減圧閾値決定用加算値PGに依拠した対応制御と、上限決定用加算値αに依拠した対応制御と、減圧用リニア弁172の目標供給電流i* Gに依拠した対応制御と、目標供給圧P*に依拠した対応制御とが選択的に単独で実行可能とされているが、それら4つの対応制御のうちの2以上の対応制御が同時に実行可能とされてもよい。つまり、例えば、ABS弁装置142の作動が終了すると推定された場合に、減圧閾値決定用加算値PGを小さくするとともに、上限決定用加算値αを小さくしてもよい。具体的にいえば、上記第1対応制御実行サブルーチン実行後に、上記第2対応制御実行サブルーチンを実行し、減圧閾値決定用加算値PGおよび上限決定用加算値αを小さくしてもよい。また、4つの対応制御のうちの一部のものが実行可能なシステムであってもよい。つまり、例えば、減圧用リニア弁172の目標供給電流i* Gに依拠した対応制御だけが実行可能なシステムであってもよく、減圧閾値決定用加算値PGに依拠した対応制御と目標供給圧P*に依拠した対応制御とだけが実行可能なシステムであってもよい。
Claims (13)
- 運転者によって操作されるブレーキ操作部材と、
車輪に設けられて自身に供給された圧力に応じた制動力を発生させるブレーキ装置と、
自身に供給される電力に応じて作動液を増圧する電磁式の増圧用リニア弁と、自身に供給される電力に応じて作動液を減圧する電磁式の減圧用リニア弁とを有し、それらによって調圧された作動液を供給する液圧源装置と、
その液圧源装置と前記ブレーキ装置との間に介在させられたABS弁装置と、
前記増圧用リニア弁への供給電力を制御してその増圧用リニア弁の作動を制御するとともに、前記減圧用リニア弁への供給電力を制御してその減圧用リニア弁の作動を制御する制御装置と
を備えた車両用液圧ブレーキシステムであって、
前記制御装置が、
前記ブレーキ操作部材の操作に基づいて、前記液圧源装置が供給する作動液の液圧である供給圧の目標となる目標供給圧を決定する目標供給圧決定部と、
(a)前記供給圧が前記目標供給圧決定部によって決定された前記目標供給圧となるように、前記供給圧が前記目標供給圧より高い場合に前記供給圧と前記目標供給圧との差に応じた電力を前記減圧用リニア弁に供給するとともに、前記供給圧が前記目標供給圧より低い場合に前記供給圧と前記目標供給圧との差に応じた電力を前記増圧用リニア弁に供給する第1制御と、(b)上限値が前記目標供給圧に上限決定用加算値を加えた値となるとともに下限値が前記目標供給圧から下限決定用減算値を減じた値となるように決定される目標範囲内に前記供給圧が収まるように、前記供給圧が前記上限値以上となった場合において前記減圧用リニア弁を開弁させるための電力を前記減圧用リニア弁に供給し続けるとともに、前記供給圧が前記下限値以下となった場合において前記増圧用リニア弁を開弁させるための電力を前記増圧用リニア弁に供給し続ける第2制御とを選択的に実行する供給圧制御実行部と、
その供給圧制御実行部が実行する制御として、(i)前記ABS弁装置が作動していない場合に前記第1制御を選択し、一方、(ii)前記ABS弁装置が作動している場合において、前記供給圧が前記目標供給圧以上であり、かつその目標供給圧に前記上限決定用加算値より大きな値の減圧閾値決定用加算値を加えた圧力以下であるときに前記第2制御を、前記供給圧が前記目標供給圧に前記減圧閾値決定用加算値を加えた圧力より高いときに前記第1制御を、それぞれ選択する制御選択部とを有し、
前記制御装置が、さらに、
前記ABS弁装置の作動が終了すると推定される状況下において、その状況に対応するための対応制御を実行するABS弁装置作動終了対応部を有し、
そのABS弁装置作動終了対応部が、
前記対応制御として、
(A)前記減圧閾値決定用加算値を小さくすることと、
(B)前記上限決定用加算値を小さくすることと、
(C)前記ABS装置の作動が終了すると推定された時点で前記第1制御が実行されている場合において、前記減圧用リニア弁に供給されている電力を増加させることと、
(D)前記目標供給圧決定部によって決定される前記目標供給圧を低減させることと
の少なくとも1つを実行するように構成された車両用液圧ブレーキシステム。 - 前記ABS弁装置作動終了対応部が、
(A)前記対応制御として、前記減圧閾値決定用加算値を小さくするように構成された場合に、当該車両用液圧ブレーキシステムを搭載した車両の走行速度と前記目標供給圧との一方をパラメータとして用い、そのパラメータが低いほど前記減圧閾値決定用加算値をより小さくし、
(B)前記対応制御として、前記上限決定用加算値を小さくするように構成された場合に、前記走行速度と前記目標供給圧との一方をパラメータとして用い、そのパラメータが低いほど前記上限決定用加算値をより小さくし、
(C)前記対応制御として、前記ABS装置の作動が終了すると推定された時点で前記第1制御が実行されている場合において、前記減圧用リニア弁に供給されている電力を増加させるように構成された場合に、前記走行速度と前記目標供給圧との一方をパラメータとして用い、そのパラメータが低いほど前記減圧用リニア弁に供給されている電力をより多く増加させ、
(D)前記対応制御として、前記目標供給圧決定部によって決定される前記目標供給圧を低減させるように構成された場合に、前記走行速度と前記目標供給圧との一方をパラメータとして用い、そのパラメータが低いほど前記目標供給圧をより大きく低減させるように構成された請求項1に記載の車両用液圧ブレーキシステム。 - 前記ABS弁装置作動終了対応部が、
前記ABS弁装置の作動の終了を推定するABS弁装置作動終了推定部を有し、そのABS弁装置作動終了推定部の推定に基づいて前記対応制御を実行するように構成され、
前記ABS弁装置作動終了推定部が、
前記供給圧が安定した場合に、前記ABS弁装置の作動が終了すると推定するように構成された請求項1または請求項2に記載の車両用液圧ブレーキシステム。 - 前記ABS弁装置作動終了対応部が、
前記ABS弁装置の作動の終了を推定するABS弁装置作動終了推定部を有し、そのABS弁装置作動終了推定部の推定に基づいて前記対応制御を実行するように構成され、
前記ABS弁装置作動終了推定部が、
前記目標供給圧が増加していないにも関わらず前記供給圧が増加した場合に、前記ABS弁装置の作動が終了すると推定するように構成された請求項1ないし請求項3のいずれか1つに記載の車両用液圧ブレーキシステム。 - 前記ABS弁装置作動終了対応部が、
前記ABS弁装置の作動の終了を推定するABS弁装置作動終了推定部を有し、そのABS弁装置作動終了推定部の推定に基づいて前記対応制御を実行するように構成され、
前記ABS弁装置作動終了推定部が、
前記目標供給圧が低下した場合に、前記ABS弁装置の作動が終了すると推定するように構成された請求項1ないし請求項4のいずれか1つに記載の車両用液圧ブレーキシステム。 - 前記ABS弁装置作動終了対応部が、
前記ABS弁装置の作動の終了を推定するABS弁装置作動終了推定部を有し、そのABS弁装置作動終了推定部の推定に基づいて前記対応制御を実行するように構成され、
前記ABS弁装置作動終了推定部が、
前記目標供給圧が設定圧以下となった場合に、前記ABS弁装置の作動が終了すると推定するように構成された請求項1ないし請求項5のいずれか1つに記載の車両用液圧ブレーキシステム。 - 前記ABS弁装置作動終了対応部が、
前記ABS弁装置の作動の終了を推定するABS弁装置作動終了推定部を有し、そのABS弁装置作動終了推定部の推定に基づいて前記対応制御を実行するように構成され、
前記ABS弁装置作動終了推定部が、
当該車両用液圧ブレーキシステムを搭載した車両の走行速度が設定速度以下となった場合に、前記ABS弁装置の作動が終了すると推定するように構成された請求項1ないし請求項6のいずれか1つに記載の車両用液圧ブレーキシステム。 - 前記ABS弁装置作動終了対応部が、
前記ABS弁装置の作動の終了を推定するABS弁装置作動終了推定部を有し、そのABS弁装置作動終了推定部の推定に基づいて前記対応制御を実行するように構成され、
前記ABS弁装置作動終了推定部が、
前記ABS弁装置の作動が設定時間以上継続した場合に、前記ABS弁装置の作動が終了すると推定するように構成された請求項1ないし請求項7のいずれか1つに記載の車両用液圧ブレーキシステム。 - 前記ABS弁装置作動終了対応部が、
前記ABS弁装置の作動の終了を推定するABS弁装置作動終了推定部を有し、そのABS弁装置作動終了推定部の推定に基づいて前記対応制御を実行するように構成され、
前記ABS弁装置作動終了推定部が、
前記供給圧と前記目標供給圧との一方である判定対象圧と前記ブレーキ装置に供給されている作動液の圧力であるブレーキ圧との差が設定差以下となった場合に、前記ABS弁装置の作動が終了すると推定するように構成された請求項1ないし請求項8のいずれか1つに記載の車両用液圧ブレーキシステム。 - 当該車両用液圧ブレーキシステムが、
前後左右の車輪に対応してそれぞれが前記ブレーキ装置となる4つのブレーキ装置を備え、
前記ABS弁装置作動終了推定部が、
前記4つのブレーキ装置のうちの少なくとも1つのものの各々の前記ブレーキ圧に基づいて前記判定対象圧との差を判定するための単一のブレーキ圧を決定し、その決定された単一のブレーキ圧と前記判定対象圧との差が前記設定差以下となった場合に、前記ABS弁装置の作動が終了すると推定するように構成された請求項9に記載の車両用液圧ブレーキシステム。 - 当該車両用液圧ブレーキシステムが、
前後左右の車輪に対応してそれぞれが前記ブレーキ装置となる4つのブレーキ装置を備え、
前記ABS弁装置作動終了推定部が、
前記4つのブレーキ装置の各々の前記ブレーキ圧について前記判定対象圧との差を判定し、前記4つのブレーキ装置のうちの1つでも前記ブレーキ圧と前記判定対象圧との差が前記設定差以下となった場合に、前記ABS弁装置の作動が終了すると推定するように構成された請求項9に記載の車両用液圧ブレーキシステム。 - 前記ABS弁装置作動終了対応部が、
前記対応制御として、
(A)前記減圧閾値決定用加算値を小さくすることと、
(B)前記上限決定用加算値を小さくすることと、
(C)前記ABS装置の作動が終了すると推定された時点で前記第1制御が実行されている場合において、前記減圧用リニア弁に供給されている電力を増加させることと、
(D)前記目標供給圧決定部によって決定される前記目標供給圧を低減させることと
の少なくとも1つを実行するように構成され、
(A)前記対応制御として、前記減圧閾値決定用加算値を小さくするように構成された場合に、前記4つのブレーキ装置のうちの前記ブレーキ圧と前記判定対象圧との差が前記設定差以下となっているものの数が多いほど前記減圧閾値決定用加算値をより小さくし、
(B)前記対応制御として、前記上限決定用加算値を小さくするように構成された場合に、前記4つのブレーキ装置のうちの前記ブレーキ圧と前記判定対象圧との差が前記設定差以下となっているものの数が多いほど前記上限決定用加算値をより小さくし、
(C)前記対応制御として、前記ABS装置の作動が終了すると推定された時点で前記第1制御が実行されている場合において、前記減圧用リニア弁に供給されている電力を増加させるように構成された場合に、前記4つのブレーキ装置のうちの前記ブレーキ圧と前記判定対象圧との差が前記設定差以下となっているものの数が多いほど前記減圧用リニア弁に供給されている電力をより多く増加させ、
(D)前記対応制御として、前記目標供給圧決定部によって決定される前記目標供給圧を低減させるように構成された場合に、前記4つのブレーキ装置のうちの前記ブレーキ圧と前記判定対象圧との差が前記設定差以下となっているものの数が多いほど前記目標供給圧をより大きく低減させるように構成された請求項11に記載の車両用液圧ブレーキシステム。 - 前記ABS弁装置作動終了推定部が、
前記ABS弁装置が作動し始めてからの前記ABS弁装置の作動状況に基づいて前記ブレーキ圧を推定するブレーキ圧推定部を有し、そのブレーキ圧推定部によって推定された前記ブレーキ圧に基づいて前記ABS弁装置の作動の終了を推定するように構成された請求項9項ないし請求項12のいずれか1つに記載の車両用液圧ブレーキシステム。
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