JP5673328B2 - 液圧ブレーキシステム - Google Patents

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Description

本発明は、ブレーキシリンダの液圧を制御する液圧ブレーキシステムに関するものである。
特許文献1には、(a)複数のブレーキシリンダが接続された共通通路と、(b)共通通路,複数のブレーキシリンダおよび低圧源の間に設けられた個別液圧制御弁装置と、(c)共通通路の液圧を制御可能な共通通路液圧制御弁とを含む液圧ブレーキシステムが記載されている。この液圧ブレーキシステムにおいて、アンチロック制御が行われる場合には、共通通路液圧制御弁の制御により共通通路の液圧が制御されるとともに、個別液圧制御弁装置の制御により複数のブレーキシリンダの液圧が個別に制御される。
特許文献2には、(a)マスタシリンダとブレーキシリンダとの間に設けられた増圧用開閉弁と、(b)ブレーキシリンダと低圧源との間に設けられた減圧用開閉弁と、(c)マスタシリンダの液圧を検出するマスタ圧センサと、(d)マスタ圧センサの検出値をフィルタ処理するフィルタと、(e)そのフィルタによって処理されたフィルタ値に基づいてブレーキシリンダの液圧を推定するブレーキシリンダ液圧推定装置と、(f)これら推定されたブレーキシリンダの液圧、フィルタ値、車輪のスリップ率等に基づいて増圧用開閉弁、減圧用開閉弁を制御するアンチロック制御装置とを含む液圧ブレーキシステムが記載されている。ブレーキシリンダ液圧推定装置において、通常制動中には、ブレーキシリンダの液圧はマスタシリンダの液圧と同じであると推定され、アンチロック制御中には、アンチロック制御開始直前に推定されたブレーキシリンダの液圧と、増圧用開閉弁、減圧用開閉弁の開閉状態等とに基づいて推定される。
また、フィルタとして、ハイパスフィルタとローパスフィルタとが設けられ、アンチロック制御の第1回目の増圧制御が終了するまでの間はハイパスフィルタによって処理されたハイパスフィルタ値が用いられ、それ以降はローパスフィルタによって処理されたローパスフィルタ値が用いられる。また、通常制動時には、マスタ圧センサの検出値がそのまま用いられる。通常制動時にはアンチロック制御時より、マスタシリンダの液圧の変化が小さいためフィルタ処理されない値が用いられても差し支えない。
また、アンチロック制御の第1回目の増圧制御が終了する前には、ハイパスフィルタ値が用いられるため、アンチロック制御開始当初においてブレーキシリンダ液圧を正確に推定することができ、電気的ノイズやポンプモータの振動に起因する液圧変動を除くことができる。また、第1回目の増圧制御が終了した後には、ローパスフィルタ値が用いられるため、増圧用、減圧用開閉弁の作動に起因する液圧の脈動を除くことができる。
特開2009−61816号公報 特開平9−249106号公報
本発明の課題は、液圧ブレーキシステムの改良であり、例えば、複数のブレーキシリンダが接続された共通通路を含む液圧ブレーキシステムにおいて、共通通路の液圧制御とブレーキシリンダの液圧の個別制御との両方が行われる場合に、フィルタ値を用いて共通通路の液圧制御が良好に行われるようにすることである。
課題を解決するための手段および効果
本液圧ブレーキシステムは、複数のブレーキシリンダが接続された共通通路の液圧を制御する共通通路液圧制御装置と、共通通路の液圧を検出する共通液圧センサの検出値をフィルタ処理するフィルタ処理装置とを含み、フィルタ処理装置が、(a)互いに異なる態様でフィルタ処理を行う複数のフィルタ処理部と、(b)複数のフィルタ処理部のうちの1つ以上の各々によって処理されて、得られた値であるフィルタ値を1つ以上出力するフィルタ値出力部とを含み、共通通路液圧制御装置が、1つ以上のフィルタ値に基づいて共通通路の液圧を制御するものとされる。
例えば、共通通路の液圧が、複数のフィルタ処理部のうちの遅れが大きいフィルタ処理を行うフィルタ処理部によって処理されることによって得られたフィルタ値に基づいて制御される場合には、制御ハンチングを抑制することができる。また、共通通路の液圧が、遅れが小さいフィルタ処理を行うフィルタ処理部によって処理されることによって得られたフィルタ値に基づいて制御される場合には、応答性を向上させることができる。
特許請求可能な発明
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明について説明する。
(1)車両の複数の車輪の各々に対応して設けられ、それぞれ、ブレーキシリンダの液圧により作動させられて前記車輪の回転を抑制する液圧ブレーキと、
前記複数のブレーキシリンダが接続された共通通路の液圧を制御する共通通路液圧制御装置と、
前記共通通路の液圧を検出する共通通路液圧センサと、
その共通通路液圧センサの検出値をフィルタ処理するフィルタ処理装置と
を含む液圧ブレーキシステムであって、
前記フィルタ処理装置が、互いに異なる態様で前記フィルタ処理を行う複数のフィルタ処理部を含み、
前記共通通路液圧制御装置が、それら複数のフィルタ処理部のうちの1つ以上の各々においてフィルタ処理されて得られた値であるフィルタ値に基づいて前記共通通路の液圧を制御するフィルタ値依拠液圧制御部を含むことを特徴とする液圧ブレーキシステム。
フィルタ処理装置は、互いに異なる態様でフィルタ処理を行う複数のフィルタ処理部を含む。例えば、複数のフィルタ処理部の各々において、(i)フィルタ処理において用いられる検出値の個数が互いに異なる場合、(ii)複数個の検出値が出力される時間的な長さが互いに異なる場合、(iii)互いに異なる程度の平滑化が行われる場合、(iv)互いに遅れの程度が異なる処理が行われる場合、(v)カットオフ周波数が互いに異なる場合等が該当する。
具体的に、共通通路液圧センサによって、予め定められた設定間隔毎に共通通路の液圧Prawが検出される(検出値Prawが出力される)場合において、フィルタ処理として、N個の検出値Prawの平均値が求められ、その平均値がフィルタ値Pvalとされる場合に、フィルタ処理の内容は、式
Pval=(ΣPraw)/N
で表すことができる。
平均値を取得するのに用いられる検出値Prawの個数Nが多い場合は少ない場合に比較して、N個の検出値Prawが出力される時間が長くなり(フィルタ長が長いと称する場合がある)、フィルタ値Pvalの平滑化の程度が強くなり、遅れが大きくなる。また、高周波数の振動が除去される(ローパスフィルタとしての作用を成すと考えることができる)。
換言すれば、個数Nが少ない場合は多い場合より、検出値Pvalが出力される時間が短くなり(フィルタ長が短いと称する場合がある)、平滑化の程度が弱くなり、遅れが小さくなる。また、フィルタ値には高周波数の振動も含まれる(ハイパスフィルタとしての作用を成すと考えることができる)。フィルタ値Pvalの変化は、検出値Prawの変化に近くなる。
フィルタ処理装置は、2つ以上のフィルタ処理部を含むものであり、2つあるいは3つのフィルタ処理部を含むものであっても、4つ以上のフィルタ処理部を含むものであってもよい。
また、フィルタ処理装置は、(i)フィルタ値を1つ出力するものであっても、(ii)2つ以上出力するものであってもよく、(iii)フィルタ値を1つ出力したり、2つ以上出力したりするものであってもよい。
さらに、フィルタ処理装置は、(i)複数のフィルタ処理部から1つ以上を選択するフィルタ処理部選択部を含むものであっても、(ii)複数のフィルタ処理部の各々においてフィルタ処理されて、得られた複数のフィルタ値から1つ以上を選択するフィルタ値選択部を含むものであってもよい。前者の場合には、選択された1つ以上のフィルタ処理部においてフィルタ処理が行われ、他のフィルタ処理部においてはフィルタ処理が行われないようにすることができる。
(2)前記共通通路液圧制御装置が、(a)前記共通通路に接続された少なくとも1つの液圧制御弁と、(b)それら少なくとも1つ液圧制御弁のソレノイドのコイルへの供給電流量を制御することにより、前記共通通路の液圧を目標液圧に近づける電流制御部とを含む(1)項に記載の液圧ブレーキシステム。
液圧制御弁は、高圧源と共通通路との間に設けられた増圧制御弁としたり、低圧源と共通通路との間に設けられた減圧制御弁としたりすることができ、共通通路液圧制御装置は、増圧制御弁と減圧制御弁との少なくとも一方を含むものとすることができる。
液圧制御弁は、それぞれ、ソレノイドへの供給電流量の連続的な制御により共通通路の液圧の大きさを連続的に制御可能なリニア弁としたり、供給電流のON・OFFにより開状態と閉状態とに択一的に切り換えられる開閉弁としたりすることができる。
なお、共通通路液圧制御装置は、(a)共通通路に接続され、電気エネルギの供給により作動させられる動力液圧源と、(b)その動力液圧源への供給電気エネルギを制御して、前記共通通路の液圧を制御する供給電力制御部とを含むものとすることもできる。
(3)当該液圧ブレーキシステムが、前記複数のブレーキシリンダの液圧を個別に制御可能な個別液圧制御装置を含む(1)項または(2)項に記載の液圧ブレーキシステム。
個別液圧制御装置によれば、例えば、複数のブレーキシリンダの液圧を共通通路の液圧とは異なる大きさに制御したり、複数のブレーキシリンダの液圧を互いに異なる大きさに制御したりすることが可能である。
なお、個別液圧制御装置は、複数のブレーキシリンダの各々の液圧をそれぞれ別個独立に制御するものであっても、複数のブレーキシリンダのうちの2つのブレーキシリンダの液圧を共通に制御するものであってもよい。例えば、(i)左右後輪のブレーキシリンダの液圧、(ii)右前輪のブレーキシリンダの液圧、(iii)左前輪のブレーキシリンダの液圧が、それぞれ、制御されるようにすることができる。
(4)前記個別液圧制御装置が、(i)少なくとも前記共通通路と前記複数のブレーキシリンダの各々との間にそれぞれ設けられた複数の増圧側個別制御弁と、(ii)それら複数の増圧側個別制御弁のうち制御対象車輪に対応するものを制御することにより、前記制御対象車輪のスリップ状態が路面の摩擦係数で決まる適正状態に保たれるように制御するスリップ制御部とを含む(3)項に記載の液圧ブレーキシステム。
スリップ制御には、アンチロック制御、トラクション制御、ビークルスタビリティ制御等が該当し、それぞれ、制動スリップ状態、駆動スリップ状態、横スリップ状態が適正状態に保たれる。
増圧側個別制御弁の制御により、共通通路の液圧が制御されてブレーキシリンダに供給される。また、増圧側個別制御弁の制御により、複数のブレーキシリンダの各々は、それぞれ、共通通路に連通させられたり遮断されたりする。
増圧側個別制御弁は、リニア弁であっても開閉弁であってもよく、開閉弁である場合にはデューティ制御される場合もある。
個別液圧制御装置は、複数のブレーキシリンダの各々と低圧源との間に設けられた減圧側個別制御弁を含むものとすることができるが、減圧側個別制御弁は不可欠ではない。例えば、回生協調制御中に制動スリップが過大になった場合に、回生協調制御が終了させられてアンチロック制御が開始される場合には、回生ブレーキ力が加えられなくなることにより、制動スリップが小さくなる場合があるからである。
なお、増圧側個別制御弁、減圧側個別制御弁は、複数のブレーキシリンダの各々に対応して1つずつ設けられることが多いが、例えば、左右後輪のブレーキシリンダに共通に1つずつ設けられる場合もある。左右後輪のブレーキシリンダの液圧が共通に制御される場合もある。
(5)前記共通通路液圧制御装置が、(a)前記個別液圧制御装置による制御が行われない場合に、前記共通通路の液圧を制御する単独共通通路液圧制御部と、(b)前記個別液圧制御装置による制御と並行して前記共通通路の液圧を制御する並行共通通路液圧制御部との少なくとも一方を含む(1)項ないし(4)項のいずれか1つに記載の液圧ブレーキシステム。
単独共通通路液圧制御部においては、共通通路に複数のブレーキシリンダが連通させられた状態で、共通通路の液圧が制御される。共通通路の液圧の制御により複数のブレーキシリンダの液圧が制御されるのであり、共通通路の液圧と複数のブレーキシリンダの液圧とは、原則として、同じ高さとなる。そのため、共通通路の液圧の目標値は、運転者のブレーキ操作部材の操作状態で決まる要求制動力に基づいて決まることが多い。また、共通通路の液圧制御において、高精度、高応答(高追従)が要求されることが多い。単独共通通路液圧制御としては、例えば、回生協調制御が該当する。
個別液圧制御装置においては、複数のブレーキシリンダの液圧が共通通路の液圧を利用して制御される。並行共通通路液圧制御部においては、複数のブレーキシリンダの各々が共通通路に連通させられたり遮断されたりする状態で、共通通路の液圧が制御される。ブレーキシリンダの個別の連通、遮断により、共通通路の液圧は頻繁に変化する。また、ブレーキシリンダの液圧は、共通通路の液圧を利用して制御されるため、共通通路の液圧の目標値は、個別液圧制御において複数のブレーキシリンダの各々において要求される液圧に基づいて決まる値とすることが望ましい(例えば、要求液圧の最大値以上の値とすることが望ましい)。以上の事情から、共通通路の液圧の制御において、高精度、高応答が要求されることは少なく、共通通路の液圧が個別液圧制御において不足しない大きさ以上に維持することが要求されることが多い。
(6)前記フィルタ値依拠液圧制御部が、前記共通通路の液圧の制御において高応答性が要求される場合は高応答性が要求されない場合に比較して、遅れの程度がより小さいフィルタ処理を行うフィルタ処理部において得られたフィルタ値に基づいて前記共通通路の液圧を制御する応答性対応制御部を含む(1)項ないし(5)項のいずれか1つに記載の液圧ブレーキシステム。
遅れの程度が小さいフィルタ処理を行うフィルタ処理部によってフィルタ処理されて、得られた値であるフィルタ値に基づけば、共通通路の液圧の制御において、応答遅れを小さくすることができる。
(7)前記フィルタ値依拠液圧制御部が、前記複数のフィルタ処理部の各々によってフィルタ処理されて得られた値のうちの最小値に基づいて前記共通通路の液圧を制御する最小値依拠制御部を含む(1)項ないし(6)項のいずれか1つに記載の液圧ブレーキシステム。
フィルタ値が目標液圧に近づくように共通通路の液圧が制御される場合において、フィルタ値として最小値が使用されれば、共通通路の液圧を高めの値に制御することが可能となる。
また、フィルタ値と目標液圧との関係に基づいて、共通通路の液圧について増圧制御、保持あるいは減圧制御が行われる場合に、増圧制御が行われ易くなり、保持あるいは減圧制御が行われ難くなる。
(8)前記複数のフィルタ処理部が、少なくとも、(i)第1フィルタ処理部と、(ii)その第1フィルタ処理部におけるフィルタ処理より遅れが大きくなるフィルタ処理を行う第2フィルタ処理部とを含む(1)項ないし(7)項のいずれか1つに記載の液圧ブレーキシステム。
前述のように、フィルタ処理が、式
Pval=(ΣPraw)/N
で表される場合において、第1フィルタ処理部における個数N1は第2フィルタ処理部における個数N2より少ない(N1<N2)。
(9)前記フィルタ処理装置が、前記第1フィルタ処理部によってフィルタ処理されて、得られた値である第1フィルタ値と前記第2フィルタ処理部によってフィルタ処理されて、得られた値である第2フィルタ値とのうちの小さい方をフィルタ値として出力するスモーラー値出力部を含む(8)項に記載の液圧ブレーキシステム。
例えば、複数のブレーキシリンダのうちの1つ以上が共通通路に連通させられた状態で、共通通路の液圧を増加させて、ブレーキシリンダ液圧を増加させる増圧制御が行われる場合において、ブレーキシリンダの液圧は共通通路の液圧に遅れて増加する。また、第1フィルタ値は第2フィルタ値より早く増加する。そのため、第1フィルタ値に基づくと、ブレーキシリンダ液圧が目標液圧まで増加する前に、増圧制御が終了させられるおそれがある。それに対して、第1フィルタ値と第2フィルタ値とのうちの小さい方(第2フィルタ値)に基づけば、増圧制御を長く続けることが可能となり、ブレーキシリンダの液圧を良好に目標液圧に近づけることができる。
共通通路からブレーキシリンダに液圧が供給されることによって共通通路の液圧が減少させられる場合において、第1フィルタ値は第2フィルタ値より早く減少する。そのため、第2フィルタ値に基づくと、なかなか、増圧制御が開始されず、共通通路の液圧が不足する可能性がある。それに対して、第1フィルタ値と第2フィルタ値とのうちの小さい方(第1フィルタ値)に基づけば、増圧制御を早期に開始させることができる。
(10)前記フィルタ処理装置が、前記単独共通通路液圧制御部に前記第1フィルタ値を出力し、前記並行共通通路液圧制御部に前記第2フィルタ値を出力する個別制御対応フィルタ値出力部を含む(8)項または(9)項に記載の液圧ブレーキシステム。
個別液圧制御と共通通路液圧制御とが並行して行われる場合には、共通通路の液圧は頻繁に変化することが多い。そこで、第2フィルタ値に基づく制御が行われるようにすれば、制御ハンチングを抑制することができる。
(11)前記複数フィルタ処理部が、少なくとも、(i)第3フィルタ処理部と、(ii)その第3フィルタ処理部より遅れが大きいフィルタ処理を行う第4フィルタ処理部とを含む(1)項ないし(10)項のいずれか1つに記載の液圧ブレーキシステム。
第3フィルタ処理部におけるフィルタ処理において用いられる検出値Prawの個数N3は、第4フィルタ処理部におけるフィルタ処理における個数N4より少ない(N3<N4)。
なお、第3フィルタ処理部、第4フィルタ処理部は、それぞれ、第1フィルタ処理部、第2フィルタ処理部と、同じ態様でフィルタ処理を行うものであっても、異なる態様でフィルタ処理を行うものであってもよい。また、第3フィルタ処理部と第2フィルタ処理部とが同じ態様でフィルタ処理を行うものとすることができる(N4>N3≧N2>N1)。
(12)前記フィルタ処理装置が、前記個別液圧制御装置の制御中に、前記第3フィルタ処理部によってフィルタ処理されて得られた値である第3フィルタ値と前記第4フィルタ処理部によってフィルタ処理されて得られた値である第4フィルタ値とのうちの小さい方を出力するスモーラー値出力部を含む(11)項に記載の液圧ブレーキシステム。
並行共通通路液圧制御において、共通通路の液圧を高めに維持することができ、液圧不足を抑制することができる。
(13)前記フィルタ処理装置が、前記個別液圧制御装置の制御中に、前記第3フィルタ値と前記第4フィルタ値とのいずれか一方を前記フィルタ値として出力する選択的出力部を含み、前記共通通路液圧制御装置が、(a)少なくとも、前記共通通路と高圧源との間に設けられ、供給電流量が多い場合は少ない場合より、前記共通通路の液圧を高い値に制御可能な増圧制御弁と、(b)前記選択的出力部によって出力された前記フィルタ値が目標液圧に近づくように、前記増圧制御弁への供給電流量を制御する電流制御部とを含み、その電流制御部が、前記共通通路の液圧が前記複数のブレーキシリンダのうちの1つ以上に供給されることに起因して、前記選択的出力部によって出力された前記フィルタ値が前記目標液圧より小さくならないように、前記増圧制御弁への供給電流量を制御する液圧不足抑制部を含む(1)項ないし(12)項のいずれか1つに記載の液圧ブレーキシステム。
選択的出力部は、第3フィルタ値と第4フィルタ値とのうちの小さい方を出力するものとしたり、第4フィルタ値を出力するものとしたりすること等ができる。
増圧制御弁への供給電流量が多くされれば、増圧制御弁の開度を大きくすることができ、高圧源から共通通路へ供給される作動液の流量を大きくすることができる。それにより、共通通路の作動液の消費に起因する共通通路の液圧の低下を抑制することができる。このことから、増圧制御弁は、供給電流量が多い場合は少ない場合より開度が大きくなる(許容される作動液の流量が大きくなる)ものであると定義することもできる。
また、共通通路の作動液の消費に起因して共通通路の液圧が低下しても、共通通路の実際の液圧が目標液圧より小さいならないように、増圧制御弁への供給電流量を多くして、共通通路の液圧を予め大きくしておくことができる。
共通通路の液圧は、個別液圧制御装置の制御対象輪のブレーキシリンダに、その個別制御に起因して供給されたり、個別液圧制御装置の非制御対象輪のブレーキシリンダに供給されたりするが、非制御対象輪のブレーキシリンダの液圧は共通通路の液圧とほぼ同じ大きさにあることが多い。そのため、この増圧制御弁への供給電流量の増加分は、主として、個別制御に起因する共通通路の液圧の低下を抑制するためのものであると考えることができる。
(14)前記液圧不足抑制部が、共通通路の液圧を保持する保持制御中において、前記選択的出力部によって出力された前記フィルタ値から、前記共通通路の作動液の前記複数のブレーキシリンダのうちの1つ以上への供給量に対応する共通通路の液圧の変化量を引いた値が前記目標液圧より小さい場合に前記目標液圧以上である場合に比較して、前記増圧制御弁への供給電流量を増加させる電流増加部を含む(13)項に記載の液圧ブレーキシステム。
本項に記載の液圧ブレーキシステムにおいて、フィルタ値Pvalから変化量ΔPabsを引いた値が目標液圧Prefより小さい場合に、増圧制御弁への供給電流量が大きくされる。
Pval−ΔPabs<Pref
また、フィルタ値Pvalが目標液圧Prefに変化量ΔPabsを加えた値より小さい場合に、増圧制御弁への供給電流量が増加させられると考えることができる。
Pval<Pref+ΔPabs
前者の場合には、変化量ΔPabsは、共通通路から作動液がブレーキシリンダに供給されることに起因する共通通路の液圧の低下量であると考えることができ、後者の場合には、変化量ΔPabsは、ブレーキシリンダへの作動液の供給に起因して、共通通路の液圧が目標液圧より低くならないように、予め増加させておく増加量であると考えることができる。
増圧制御弁への供給電流量の増加分(補正電流)は、液圧不足抑制電流と称することができる。液圧不足抑制電流は、共通通路から1つ以上のブレーキシリンダへ供給される作動供給量が多い場合は少ない場合より、大きい値とすることができる。
(15)前記電流増加部が、(a)前記共通通路に接続された複数のブレーキシリンダの各々の液圧を推定する個別液圧推定部と、(b)その個別液圧推定部によって推定された複数のブレーキシリンダの各々の現時点の推定液圧と、次の制御サイクルにおける前記複数のブレーキシリンダの各々における目標液圧と、予め記憶されているブレーキシリンダの液圧作動特性とに基づいて、前記次の制御サイクルにおいて前記複数のブレーキシリンダの各々において消費される作動液量を取得する個別消費液量取得部と、(c)その個別消費液量取得部によって取得された複数のブレーキシリンダの各々における個別消費液量の合計である総消費液量と、前記フィルタ値と、予め記憶されている共通通路の液圧特性とに基づいて前記共通通路の液圧の前記変化量を取得する変化量取得部とを含む(14)項に記載の液圧ブレーキシステム。
次の制御サイクルにおいて、複数のブレーキシリンダのすべてに作動液が供給されるとは限らない。複数のブレーキシリンダには、共通通路から遮断されているブレーキシリンダが含まれる場合があり、そのブレーキシリンダにおいては、次の制御サイクルにおける個別消費液量は0となる。
個別消費液量、総消費液量は、1制御サイクル時間内における作動液量であるが、1制御サイクル時間は決まっているため、個別消費液量、総消費液量に基づけば、個別消費流量、総消費流量を求めることができる。また、1制御サイクル時間が単位時間である場合には、個別消費液量、総消費液量が個別消費流量、総消費流量に対応する。
ブレーキシリンダの液圧作動特性とは、ブレーキシリンダにおける作動液量と液圧との関係を表すものであり、ブレーキシリンダ作動当初においては、作動液量に対する液圧増加量が小さくなる特性である。共通通路の液圧特性とは、共通通路における作動液量と液圧との関係を表すものである。
(16)前記フィルタ処理装置が、前記個別液圧制御装置による制御中に、前記第3フィルタ処理部によってフィルタ処理されて、得られた値である第3フィルタ値と前記第4フィルタ処理部によってフィルタ処理されて、得られた値である第4フィルタ値との両方を出力する複数フィルタ値出力部を含む(11)項に記載の液圧ブレーキシステム。
(17)前記共通通路液圧制御装置が、(a)前記共通通路と高圧源との間に設けられ、供給電流量が多い場合は少ない場合より、前記共通通路の液圧を高い値に制御可能な増圧制御弁と、(b)前記共通通路と低圧源との間に設けられ、供給電流量が多い場合は少ない場合より、前記共通通路の液圧を低い値に制御可能な減圧制御弁と、(c)前記複数フィルタ値出力部によって出力された前記第3フィルタ値と前記第4フィルタ値とのいずれか一方と前記共通通路の目標液圧とに基づいて、制御モードを決定する制御モード決定部と、(d)前記第3フィルタ値と前記第4フィルタ値との両方に基づいて、前記増圧制御弁および前記減圧制御弁への供給電流量を決定する電流量決定部とを含む(16)項に記載の液圧ブレーキシステム。
第3フィルタ値と第4フィルタ値とのいずれか一方が制御モードの決定に用いられ、他方(あるいは、両方)が供給電流量の決定に用いられるようにすることができる。
例えば、制御モードの決定には、第3フィルタ値と第4フィルタ値とのうちの小さい方が用いられたり、第4フィルタ値が用いられたりすることができる。第4フィルタ値が用いられる場合には、制御ハンチング抑制の効果が得られる。
また、制御モードには、共通通路の液圧を増加させる増圧モード、共通通路の液圧を減少させる減圧モード、共通通路の液圧を保持する保持モード等が該当する。例えば、増圧モードと、減圧モードおよび保持モードの少なくとも一方とのうちのいずれか1つに決定されるようにすることができる。
(18)前記フィルタ処理装置が、少なくとも、(i)第5フィルタ処理部と、(ii)その第5フィルタ処理部と遅れの程度が異なるフィルタ処理を行う第6フィルタ処理部とを含む(1)項ないし(17)項のいずれか1つに記載の液圧ブレーキシステム。
用いられる共通通路液圧センサの検出値の個数が、第5フィルタ処理部における場合と第6フィルタ処理部における場合とで異なる(N5≠N6)。
なお、第5フィルタ処理部、第6フィルタ処理部は、第3フィルタ処理部、第4フィルタ処理部と同じ態様のフィルタ処理を行うものであっても(例えば、N5=N3、N6=N4)、異なる態様のフィルタ処理を行うものであっても(例えば、N5≠N3、N6≠N4)よい。
(19)前記フィルタ処理装置が、前記個別液圧制御装置による制御中に、前記第5フィルタ処理部によってフィルタ処理されて、得られた値である第5フィルタ値を前記フィルタ値として出力するとともに、前記第6フィルタ処理部によってフィルタ処理されて、得られた値である第6フィルタ値を前記フィルタ値として出力する複数フィルタ値出力部を含み、前記共通通路液圧制御装置が、前記第5フィルタ値と前記第6フィルタ値との差の絶対値が設定値より大きい場合と、前記差の絶対値が設定値以下である場合とで、互いに異なる態様で前記共通通路の液圧の制御を行うフィルタ値差対応液圧制御部を含む(18)項に記載の液圧ブレーキシステム。
(20)前記フィルタ値差対応液圧制御部が、前記差の絶対値が前記設定値以下の状態が設定時間以上続いた場合に、前記差の絶対値が前記設定値より大きい場合と前記設定値以下の場合とで異なる態様で制御を行うものである(19)項に記載の液圧ブレーキシステム。
第5フィルタ値と第6フィルタ値との差が設定値以下である状態は、
(i)共通通路110の液圧の変化が小さい状態であり、例えば、共通通路110とブレーキシリンダとの液圧差が小さく、ブレーキシリンダが共通通路に連通させられても遮断されても、共通通路の液圧の変化が小さい状態(個別液圧制御が収束した場合)、あるいは、
(ii)共通通路の液圧と、共通通路に連通させられたブレーキシリンダの液圧とがほぼ同じである状態{個別液圧制御装置により他のブレーキシリンダが共通通路から遮断されている場合が含まれる}
であると考えられる。
(i)の場合には、個別液圧制御装置による制御が終了し、近い将来、並行共通通路液圧制御から単独共通通路液圧制御に移行すると推測される。単独共通通路液圧制御においては、共通通路の液圧を精度よく、速やかに目標液圧に近づけることが要求される。そのため、(i)の場合には、単独共通通路液圧制御に近づける(増圧制御弁、減圧制御弁への供給電流量が、単独共通通路液圧制御において決定される電流量に近づけることをいう)ことが望ましい。それにより、並行共通通路液圧制御から単独共通通路液圧制御への移行を滑らかに行うことができる。
(ii)の場合には、単独共通通路液圧制御に近づける必要性が低い場合もあるが、単独共通通路液圧制御に近づけられ、その後、差の絶対値が設定値より大きくなった場合に、並行共通通路液圧制御に戻される(増圧制御弁、減圧制御弁への供給電流量が、並行共通通路液圧制御において決定される電流量に戻される)ようにすればよい。
なお、上述の(i)、(ii)のいずれの状態であるかを、推定ブレーキシリンダ液圧等に基づいて区別して判定することも可能である。それに対して、本項に記載のように、第5フィルタ値と第6フィルタ値との差に基づけば、(i)の可能性があること{(i)、(ii)のいずれかの状態であること}を容易に判定できるという利点がある。
(21)前記共通通路液圧制御装置が、前記共通通路と高圧源との間に設けられ、供給電流量が多い場合は少ない場合より、前記共通通路の液圧を高い値に制御可能な増圧制御弁を含み、前記フィルタ値差対応液圧制御部が、前記差の絶対値が前記設定値以下である場合に前記設定値より大きい場合より、前記増圧制御弁への供給電流量を小さくする電流減少部を含む(19)項または(20)項に記載の液圧ブレーキシステム。
(22)前記電流減少部が、前記差の絶対値が前記設定値より小さい状態が設定時間以上継続した場合に、前記増圧制御弁への供給電流量を、制御サイクル毎に設定量ずつ減少させる電流漸減部を含む(21)項に記載の液圧ブレーキシステム。
増圧制御弁への供給電流が漸減させられれば、並行共通通路液圧制御と単独共通通路液圧制御との間の切り換えを、滑らかに行うことができる。
(23)前記フィルタ値差対応液圧制御部が、前記差の絶対値が前記設定値より大きい場合に、前記共通通路の液圧を増加させる増圧制御と、保持する保持制御とのいずれかを選択的に行い、前記差の絶対値が前記設定値以下である場合に前記共通通路の液圧を増加させる増圧制御と、保持する保持制御と、減少させる減圧制御とのうちのいずれかを選択的に行う(19)項ないし(22)項のいずれか1つに記載の液圧ブレーキシステム。
差の絶対値が設定値以下である場合には、共通通路の液圧を精度よく制御することができる。
本発明の複数の実施例である液圧ブレーキシステムが搭載された共通の車両全体を概念的に示す図である。 上記液圧ブレーキシステムに含まれる共通のブレーキ回路図である。 (a)上記ブレーキ回路図に含まれる共通の増圧リニア弁、減圧リニア弁の断面図である。(b)上記増圧リニア弁の開弁電流決定テーブルを表す図である。(c)上記減圧リニア弁の開弁電流決定テーブルを表す図である。 (a)本発明の実施例1の液圧ブレーキシステムの共通通路液圧センサの検出値の一例を示す図である。(b)上記共通通路液圧センサの検出値を処理するフィルタ処理装置を概念的に図示したものである。 上記液圧ブレーキシステムのブレーキECUの記憶部に記憶されたフィルタ処理プログラムを表すフローチャートである。 (a)記憶部に記憶された単独共通通路液圧制御に用いられる制御モード決定テーブルを表す図である。(b)増圧リニア弁、減圧リニア弁への供給電流量を示す図である。 上記記憶部に記憶された単独共通通路液圧制御(回生協調制御)プログラムを表すフローチャートである。 上記記憶部に記憶された個別液圧制御(アンチロック制御)プログラムを表すフローチャートである。 (a)記憶部に記憶された並行共通通路液圧制御に用いられる制御モード決定テーブルを示す図である。(b)増圧リニア弁、減圧リニア弁への供給電流量を表す図である。(c)上記記憶部に記憶されたブレーキシリンダ作動特性を表す図である。(d)上記記憶部に記憶された消費液量と液圧不足電流との関係を示す図である。 上記記憶部に記憶された並行共通通路液圧制御プログラムを表すフローチャートである。 上記液圧ブレーキシステムにおいて上記各プログラムが実行された場合のフィルタ値の変化、増圧リニア弁、減圧リニア弁への供給電流量の変化を示す図である。 本発明の実施例2の液圧ブレーキシステムの共通通路液圧センサの検出値の処理するフィルタ処理装置を概念的に図示したものである。 上記液圧ブレーキシステムのブレーキECUの記憶部に記憶されたフィルタ処理プログラムを表すフローチャートである。 (a)上記記憶部に記憶された並行共通通路液圧制御に用いられる制御モード決定テーブルを示す図である。(b)増圧リニア弁、減圧リニア弁への供給電流量を表す図である。(c)消費液量と共通通路の液圧変化量との関係を示す図である。 上記憶部に記憶された並行共通通路液圧制御プログラムを表すフローチャートである。 上記液圧ブレーキシステムにおいて上記各プログラムが実行された場合のフィルタ値の変化、増圧リニア弁、減圧リニア弁への供給電流量の変化を示す図である。 本発明の実施例3の液圧ブレーキシステムの共通通路液圧センサの検出値の処理するフィルタ処理装置を概念的に図示したものである。 上記液圧ブレーキシステムのブレーキECUの記憶部に記憶されたフィルタ処理プログラムを表すフローチャートである。 上記憶部に記憶された並行共通通路液圧制御プログラムを表すフローチャートである。 (a)本発明の実施例4の液圧ブレーキシステムのブレーキECUの記憶部に記憶された並行共通通路液圧制御に用いられる制御モード決定テーブルを示す図である。(b)増圧リニア弁、減圧リニア弁への供給電流量を表す図である。 上記憶部に記憶された並行共通通路液圧制御プログラムを表すフローチャートである。 上記液圧ブレーキシステムにおいて上記各プログラムが実行された場合のフィルタ値の変化、カウント値の変化、増圧リニア弁、減圧リニア弁への供給電流量の変化等を示す図である。
発明の実施形態
以下、本発明の一実施形態である液圧ブレーキシステムについて図面に基づいて詳細に説明する。
最初に、本発明の複数の実施例に係る液圧ブレーキシステムが搭載される共通の車両、液圧ブレーキシステムに含まれる共通の液圧ブレーキ回路について説明する。
<車両>
本車両は、駆動装置として電動モータとエンジンとを含むハイブリッド車両である。ハイブリッド車両において、駆動輪としての左右前輪2,4は、電気的駆動装置6と内燃的駆動装置8とを含む駆動装置10によって駆動される。駆動装置10の駆動力はドライブシャフト12,14を介して左右前輪2,4に伝達される。内燃的駆動装置8は、エンジン16,エンジン16の作動状態を制御するエンジンECU18等を含むものであり、電気的駆動装置6は駆動用モータ(以下、単に電動モータと称する場合がある)20,蓄電装置22,モータジェネレータ24,電力変換装置26,駆動用モータECU(以下、単にモータECUと称する場合がある)28、動力分割機構30等を含む。動力分割機構30には、電動モータ20、モータジェネレータ24、エンジン16が連結され、これらの制御により、出力部材32に電動モータ20の駆動トルクのみが伝達される場合、エンジン16の駆動トルクと電動モータ20の駆動トルクとの両方が伝達される場合、エンジン16の出力がモータジェネレータ24と出力部材32とに出力される場合等に切り換えられる。出力部材32に伝達された駆動力は、減速機、差動装置を介してドライブシャフト12,14に伝達される。
電力変換装置26は、インバータ等を含むものであり、モータECU28によって制御される。インバータの電流制御により、少なくとも、電動モータ20に蓄電装置22から電気エネルギが供給されて回転させられる回転駆動状態と、回生制動により発電器として機能することにより蓄電装置22に電気エネルギを充電する充電状態とに切り換えられる。充電状態においては、左右前輪2,4に回生制動トルクが加えられる。その意味において、電気的駆動装置6は回生ブレーキ装置であると考えることができる。
蓄電装置22は、ニッケル水素電池を含むものとしたり、リチウムイオン電池を含むものとしたりすること等ができる。
液圧ブレーキシステムは、左右前輪2,4に設けられた液圧ブレーキ40のブレーキシリンダ42,左右後輪46,48(図2等を参照)に設けられた液圧ブレーキ50のブレーキシリンダ52と、これらブレーキシリンダ42,52の液圧を制御可能な液圧制御部54等を含む。液圧制御部54は、コンピュータを主体とするブレーキECU56によって制御される。
また、車両には、ハイブリッドECU58が設けられ、これらハイブリッドECU58,ブレーキECU56,エンジンECU18,モータECU28は、CAN(Car area Network)59を介して接続され、互いに通信可能とされている。これらECUの間では、適宜必要な情報が通信される。
なお、本液圧ブレーキシステムが搭載される車両の駆動装置10の構造は図1に記載の構造に限定されない。本液圧ブレーキシステムは、別の構造を有する駆動装置を備えた車両に適用することができる。
また、本液圧ブレーキシステムは、上記車両に限らず、プラグインハイブリッド車両、電気自動車、燃料電池車両に搭載することもできる。電気自動車においては、内燃的駆動装置8が不要となる。燃料電磁車両においては、駆動用モータが燃料電池スタック等によって駆動される。
さらに、本液圧ブレーキシステムは、内燃駆動車両に搭載することもできる。電気的駆動装置6が設けられていない車両においては駆動輪2,4に回生制動トルクが加えられることがないため、回生協調制御が行われることはない。
<液圧ブレーキ回路>
液圧ブレーキシステムは、図2に示すブレーキ回路を含む。
以下、ブレーキ回路の説明等において、ブレーキシリンダ、液圧ブレーキ、後述する種々の電磁開閉弁等を、前後左右の車輪の位置に対応して区別する必要がある場合には、車輪位置を表す符号(FL,FR,RL,RR)を付して記載し、代表して、あるいは、区別する必要がない場合には、符号を付さないで記載する。
60はブレーキ操作部材としてのブレーキペダルであり、62はブレーキペダル60の操作により液圧を発生させるマニュアル式液圧源である。64はポンプ装置65とアキュムレータ66とを含む動力式液圧源である。マニュアル式液圧源62,動力式液圧源64の液圧がブレーキシリンダ42,52に選択的に供給されて、液圧ブレーキ40,50が作動させられ、車輪2,4,46,48の回転を抑制する。
a)液圧源
マニュアル式液圧源62は、液圧ブースタ68と、マスタシリンダ70とを含む。
マスタシリンダ70は、ブレーキペダル60に連携させられた加圧ピストン72を含み、加圧ピストン72の前方の加圧室74に、ブレーキペダル60の操作に起因して液圧を発生させる。
液圧ブースタ68は、ブレーキペダル60に加えられるブレーキ操作力に対応する液圧より高い液圧を発生させるレギュレータ(Reg)76と、ブレーキペダル60に連携させられるとともに加圧ピストン72に連携させられたパワーピストン78aと、パワーピストン78aの後方に設けられたブースタ室78bとを含む。レギュレータ76は、図示しないレギュレータ室の液圧を、動力液圧源64の液圧を利用して、ブレーキペダル60のブレーキ操作力で決まる大きさ(ブレーキ操作力に対応する液圧より大きい液圧)に調整する。このレギュレータ室の液圧がブースタ室78bに供給され、それによって、パワーピストン78aに前進方向の力が加えられ、ブレーキ操作力が助勢される。
動力式液圧源64において、ポンプ装置65は、ポンプ100およびポンプモータ102を含み、ポンプ100によりマスタリザーバ(以下、単にリザーバと称する)82から作動液が汲み上げられて吐出されて、アキュムレータ66に蓄えられる。ポンプモータ102は、アキュムレータ66に蓄えられた作動液の圧力が予め定められた設定圧力範囲内にあるように制御される。また、リリーフ弁104により、ポンプ100の吐出圧が過大になることが防止される。
本液圧ブレーキシステムに、動力式液圧源64およびマニュアル式液圧源62が設けられ、マニュアル式液圧源62には、液圧ブースタ68とマスタシリンダ70とが含まれる。動力式液圧源64,液圧ブースタ68のブースタ室78b,マスタシリンダ70の加圧室74には、それぞれ、動力制御圧通路90,ブースタ通路92,マスタ通路94が接続され、共通通路110に接続される。共通通路110には、さらに、左右前輪2,4のブレーキシリンダ42FL,FR、左右後輪46,48のブレーキシリンダ52RL,RRが、それぞれ、個別通路120FL,FR,RL,RRを介して接続される。
b)個別制御弁装置
個別通路120FL,FR,RL,RRには、それぞれ、増圧側個別制御弁としての保持弁(SHij:i=F,R、j=L,R)122FL,FR,RL,RRが設けられるとともに、ブレーキシリンダ42FL,42FR,52RL,52RRとリザーバ82との間には、それぞれ、減圧側個別制御弁としての減圧弁(SRij:i=F,R、j=L,R)124FL,FR,RL,RRが設けられる。
本実施例においては、保持弁122が、ソレノイドに電流が供給されない場合に開状態にある常開の電磁開閉弁であり、減圧弁124が、ソレノイドに電流が供給されない場合に閉状態にある常閉の電磁開閉弁である。保持弁122FL,FR,RL,RR,減圧弁124FL,FR,RL,RRの個別の制御により、ブレーキシリンダ42FL,FR、ブレーキシリンダ52RL,RRの液圧を別個独立に個別に制御することができる。この意味において、保持弁122,減圧弁124等により個別制御弁装置126が構成される。
なお、共通通路110には分離弁128が設けられる。分離弁128により、共通通路110が、左右前輪のブレーキシリンダ42FL,FRが接続される部分と、左右後輪のブレーキシリンダ52FL,FRが接続される部分とに分離される。
c)共通通路液圧制御弁装置
動力式液圧源64と共通通路110とを接続する動力制御圧通路90には増圧リニア弁(SLA)132が設けられ、共通通路110とリザーバ82との間には減圧リニア弁(SLR)136が設けられる。
これら増圧リニア弁132,減圧リニア弁136の制御により、共通通路110の液圧が制御されるのであり、増圧リニア弁132,減圧リニア弁136により共通通路液圧制御弁装置138が構成される。
図3(a)に示すように、増圧リニア弁132,減圧リニア弁136は、いずれもソレノイドのコイルに電流が供給されない場合に閉状態にある常閉弁であり、ソレノイドのコイルへの供給電流の大きさの連続的な制御により、出力液圧の大きさを連続的に制御可能なものである。
増圧リニア弁132,減圧リニア弁136は、各々、弁子140、弁座142、スプリング143を備えたシーティング弁144と、ソレノイド146とを含み、スプリング143の付勢力F1が、弁子140を弁座142に接近させる向きに作用し、ソレノイド146のコイルに電流が供給される(以下、ソレノイド146に電流が供給されると略称する)ことにより電磁駆動力F2が弁子140を弁座142から離間させる向きに作用する。
増圧リニア弁132において、動力式液圧源64と共通通路110との間の液圧差(前後の差圧:高圧側の液圧から低圧側の液圧を引いた値)ΔPに応じた差圧作用力F3が弁子140を弁座142から離間させる向きに作用し、減圧リニア弁136においては、共通通路110とリザーバ82との間の液圧差(低圧側の液圧がリザーバ82であり、リザーバ82の液圧が大気圧であるため、前後の差圧は共通通路110の液圧に相当する)ΔPに応じた差圧作用力F3が作用する(F2+F3:F1)。
いずれにしても、電磁駆動力F2の制御により差圧作用力F3が制御され、共通通路110の液圧が制御される。また、電磁駆動力F2の制御により弁子140と弁座142との間の開度が制御され、共通通路110への作動液の供給流量が制御される。
図3(b)、(c)に、増圧リニア弁132,減圧リニア弁136の各々における開弁電流と、前後の差圧ΔPとの関係を示す。開弁電流は、前後の差圧がある大きさである場合において、シーティング弁部144を閉状態から開状態に切り換えるために必要な最小の電流である。換言すれば、図3(b)、(c)は、釣り合い状態(F1=F2+F3)における開弁電流(F2に相当)と前後の差圧(F3に相当)との関係を示すものである。
以上の事情から、例えば、増圧リニア弁132のソレノイド146に、実際の前後の差圧と図3(b)に示す関係とに基づいて決まる開弁電流よりわずかに大きい電流が供給されると、増圧リニア弁132が閉状態から開状態に切り換えられる。また、現時点の前後の差圧ΔPaより小さい差圧ΔPb(ΔPa>ΔPb)に対応する開弁電流Ibが供給されれば{現時点の前後の差圧に対応する開弁電流Iaより大きい電流(Ia<Ib)が供給されれば}、増圧リニア弁132は、開状態に切り換えられ、実際の前後の差圧が、供給された開弁電流Ibに対応する差圧(ΔPb)に達すると閉状態に切り換えられる。逆に、現時点の前後の差圧ΔPaより大きい差圧ΔPc(ΔPa<ΔPc)に対応する開弁電流Ic(Ia>Ic)が供給されても、増圧リニア弁132は閉状態のままであるが、実際の差圧が大きくなって、開弁電流Icに対応する差圧ΔPcよりわずかに大きくなると、開状態に切り換えられる。この場合には、増圧リニア弁132は、差圧弁として機能する。
減圧リニア弁136についても同様である。
図3(b)に基づけば、増圧リニア弁132における開弁電流IopenAと実際の前後の差圧ΔPとの間には、式
IopenA=Iup−Kup(Pacc−Pc)
で表される関係が成立することがわかる。Iupは、前後の差圧ΔPが0である場合の開弁電流(切片)であり、Kupは勾配である。Paccはアキュムレータ66の液圧(動力式液圧源64の液圧)であり、Pcは共通通路110の液圧である。
また、上述のように、共通通路110の液圧が目標液圧Prefに達した場合の差圧(目標差圧と称することができる)ΔPref(=Pacc−Pref)を求め、目標差圧ΔPrefと図3(b)の関係とに基づいて決まる電流が供給されれば、増圧リニア弁132は、直ちに、閉状態から開状態に切り換えられ、共通通路110の液圧が目標液圧Prefに達すると閉状態に切り換えられる。この場合に供給される電流も図3(b)に基づいて決定されるのであり、本実施例において開弁電流と称する。
以上のように、増圧リニア弁132への供給電流量が大きい場合は小さい場合より共通通路110の液圧Pcを増加させることができる。また、供給電流量が大きい場合は小さい場合より開度を大きくすることができ、動力液圧源64から共通通路110へ流入させられる作動液の流量を大きくすることができる。
減圧リニア弁136における開弁電流IopenRと前後の差圧ΔPとの間には、式
IopenR=Idw−Kdw(Pc)
で表される関係が成立する。Idwは、前後の差圧ΔPが0である場合(Pcが大気圧である場合)の開弁電流であり、Kdwは勾配である。なお、増圧リニア弁132,減圧リニア弁136において、それぞれ、スプリング143の付勢力等の諸元等が異なるため、切片Iup,Idw、傾きKup,Kdwの大きさが異なるのが普通である。
減圧リニア弁136において、共通通路110の目標液圧Prefと、図3(c)の関係とに基づいて決まる電流が供給されると、減圧リニア弁136は閉状態のままであるが、共通通路110の液圧が目標液圧Prefよりわずかに大きくなると閉状態から開状態に切り換えられる。この場合に供給される電流も本実施例において開弁電流と称する。
減圧リニア弁136への供給電流量が大きい場合は小さい場合より共通通路110の液圧Pcが小さくされ、開度が大きくされる。
d)その他
ブースタ通路92にはブースタ遮断弁152が設けられ、マスタ通路94にはマスタ遮断弁154が設けられる。ブースタ遮断弁152,マスタ遮断弁154は、いずれも、ソレノイドに電流が供給されない場合に開状態にある常開の電磁開閉弁である。
また、マスタ通路94の途中には、ストロークシミュレータ160がシミュレータ制御弁162を介して接続される。シミュレータ制御弁162は常閉の電磁開閉弁である。
動力式液圧源64(ポンプモータ102),増圧リニア弁132,減圧リニア弁136,ブースタ遮断弁152,マスタ遮断弁154,保持弁122,減圧弁124等により液圧制御部54が構成される。液圧制御部54はブレーキECU56の指令に基づいて制御される。
<ブレーキECU>
ブレーキECU56は、図1に示すように、実行部170,入出力部171,記憶部173等を含むコンピュータを主体とするものであり、入出力部171には、ブレーキスイッチ218,ストロークセンサ220,マニュアル液圧センサ222,アキュムレータ圧センサ224,共通通路液圧センサ226,車輪速度センサ230等が接続されるとともに液圧制御部54等が接続される。
ブレーキスイッチ218は、ブレーキペダル60が操作状態にある場合、すなわち、後退端位置より設定値以上前進側の位置にある場合にON状態にあるスイッチである。
ストロークセンサ220は、ブレーキペダル60の操作ストローク(STK)を検出するものであり、本実施例においては、2つのセンサが設けられ、同様に、ブレーキペダル60の操作ストローク(STK1,SKT2)が検出される。
マニュアル液圧センサ222は、運転者によってブレーキペダル60に加えられた操作力に対応する液圧を検出するものであるが、本実施例においては、液圧ブースタ68の液圧であるブースタ室78bの液圧を検出するものである。マニュアル液圧センサ222は、マスタシリンダ70の加圧室74の液圧を検出するものであってもよい。
アキュムレータ圧センサ224は、アキュムレータ66に蓄えられている作動液の圧力(PACC)を検出するものである。
共通通路液圧センサ226は、共通通路110の液圧を検出するものであるが、保持弁122の開状態において、ブレーキシリンダ42,52と共通通路110とは連通させられるため、ブレーキシリンダ42,52の液圧を検出することができる。
車輪速度センサ230は、左右前輪2,4、左右後輪46,48に対応してそれぞれ設けられ、車輪の回転速度を検出する。また、4輪の回転速度に基づいて車両の走行速度が取得される。車輪速度センサ230の検出値に基づけば、各輪2,4,46,48の各々のスリップ率が求められる。
さらに、記憶部173には、種々のプログラム、テーブル等が記憶されている。
<液圧ブレーキシステムにおける作動>
ブレーキペダル60の踏込み操作が行われると、通常、回生協調制御が行われる。すべての保持弁122が開状態とされ、減圧弁124が閉状態とされることにより、ブレーキシリンダ42,52が共通通路110に連通させられる。共通通路110の液圧が増圧リニア弁132,減圧リニア弁136の制御により制御され、ブレーキシリンダ42,52の液圧が共通に制御される。ブレーキシリンダ42FL,FR,52RL,RRの液圧について個別制御は行われず、原則として、同じ大きさに制御される。
回生協調制御においては、運転者のブレーキペダル60の操作状態で決まる要求総制動力Fsrefが、駆動輪2,4に加えられる回生制動力Fmと前後左右の4輪2,4,46,48に加えられる液圧ブレーキ40,50の作用による液圧制動力Fpとによって満たされるように、ブレーキシリンダ42,52の目標液圧(共通通路110の目標液圧)Prefが決定される。そして、実際の共通通路110の液圧が目標液圧Prefに近づくように、増圧リニア弁132,減圧リニア弁136が制御される。
このように、ブレーキシリンダ42FL,FR,52RL,RRの液圧の個別制御が行われない状態で行われる共通通路110の液圧制御を、単独共通通路液圧制御と称する。回生協調制御は単独共通通路液圧制御の一態様である。
例えば、回生協調制御中に、ブレーキシリンダ42,52のうちの少なくとも1つの液圧が路面の摩擦係数μに関して過大になって、少なくとも1輪のスリップが過大になる等のアンチロック開始条件が成立すると、アンチロック制御が開始される。
アンチロック制御においては、制御対象車輪のスリップ率が路面の摩擦係数で決まる適正範囲内に保たれるように、制御対象輪に対応する保持弁122,減圧弁123の各々の制御により、ブレーキシリンダの液圧が個別に制御される。
共通通路110の液圧は、運転者のブレーキペダル60の操作状態で決まる要求制動力Frerに対応する目標液圧Prefに近づくように、増圧リニア弁132,減圧リニア弁136により制御される。アンチロック制御において、ブレーキシリンダにブレーキペダル60の操作状態で決まる目標液圧Prefより大きい液圧は要求されないのが普通であるからである。
このように、ブレーキシリンダ42,52の液圧の個別制御と、共通通路110の液圧の制御とが並行して行われるのであり、この場合の共通通路110の液圧制御を、並行共通通路液圧制御と称する。また、アンチロック制御は個別液圧制御の一態様である。
単独共通通路液圧制御、並行共通通路液圧制御においては、共通通路110の液圧としてフィルタ値が用いられる。共通通路液圧センサ226によって共通通路110の液圧が検出されるが、検出値がフィルタ処理装置によってフィルタ処理され、そのフィルタ処理によって得られた値がフィルタ値とされる。
以下の各実施例において、フィルタ処理、単独共通通路液圧制御、並行共通通路液圧制御等についてに説明する。
〔1〕フィルタ処理
本実施例においては、図4(b)に示すように、共通通路液圧センサ226の検出値Prawがフィルタ処理装置246によって処理されて、そのフィルタ処理によって得られた値であるフィルタ値Pvalが出力されて、共通通路液圧制御装置248に供給される。
フィルタ処理装置246は、第1フィルタ処理部250,第2フィルタ処理部252、フィルタ処理部選択部254を含み、共通通路液圧制御装置248は、単独共通通路液圧制御部258、並行共通通路液圧制御部260を含む。
図4(a)に示すように、共通通路液圧センサ226によって予め定められた設定時間毎に共通通路110の液圧Prawが検出される。また、ブレーキECU56の記憶部173には、予め定められた複数個の検出値Prawが記憶される。
図4(b)に示すように、第1フィルタ処理部250においては、N個の検出値Praw(n)の平均値が求められ(フィルタ処理)、そのフィルタ処理により得られた値である第1フィルタ値PvalNが出力される。
第2フィルタ処理部252においては、NABS個の検出値Praw(n)の平均値が求められ、そのフィルタ処理により得られた値である第2フィルタ値PvalABSが出力される。
フィルタ処理に用いられる検出値Prawの個数が多いほど、フィルタ処理による検出値Prawの平滑化のレベルが高くなり、フィルタ値Pvalの変化が滑らかになる。しかし、フィルタ値Pvalの、共通通路110の液圧の変化に対する遅れが大きくなり、高周波数の振動が除去される。それに対して、個数が少ないと、フィルタ値Pvalの変化は検出値Prawの変化に近くなる。
本実施例においては、第2フィルタ処理部252において用いられる検出値Prawの個数NABSが第1フィルタ処理部250において用いられる個数NABSより多い(個数NABS>個数N)。そのため、第1フィルタ処理部250によって出力される第1フィルタ値PvalNの方が検出値Praw(生データ)に近く、第2フィルタ処理部252によって出力される第2フィルタ値PvalABSの方が変化が滑らかになる。
一方、図11(a)、(b)に示すように、アンチロック制御が行われていない場合(図11に通常制御と記載)とアンチロック制御が行われる場合とを比較すると、アンチロック制御が行われる場合の方が、共通通路110の液圧(第1フィルタ値PvalN,第2フィルタ値PvalABS)の振幅が大きく、変化頻度が高い。そのため、並行共通通路液圧制御において、第1フィルタ値PvalNが用いられると、制御ハンチングが生じるおそれがある。また、単独共通通路液圧制御(回生協調制御等)においては、共通通路110の液圧を運転者の意図に応じた大きさに速やかに制御する要求がある。
そこで、本実施例においては、アンチロック制御が行われる場合、すなわち、並行共通通路液圧制御が行われる場合に第2フィルタ値PvalABSが用いられ、単独共通通路液圧制御が行われる場合に第1フィルタ値PvalNが用いられるようにした。
フィルタ処理部選択部254は、単独共通通路液圧制御が行われる場合に第1フィルタ処理部250を選択し、並行共通通路液圧制御が行われる場合に第2フィルタ処理部252を選択する。
図5のフローチャートで表されるフィルタ処理プログラムは予め定められた設定時間毎に実行される。
ステップ1(以下、S1と略称する。他のステップについても同様とする)において、ブレーキスイッチ218がON状態にあるか否かが判定される。ON状態にある場合には、S2において、アンチロック制御中であるか否かが判定される。アンチロック制御中である場合には、アンチロック制御中フラグがセットされるため、アンチロック制御中フラグがセット状態にある場合にはアンチロック制御中であると判定される。アンチロック制御中フラグがセットされていない場合には、S3において、第1フィルタ処理部250が選択される。第1フィルタ処理部250においてフィルタ処理が行われ、第1フィルタ値PvalNが求められ、第1フィルタ値PvalNがフィルタ値Pvalとされる。S4において、フィルタ値Pvalが単独共通通路液圧制御部258に出力される。
PvalN=ΣPraw(n)/N
Pval←PvalN
一方、アンチロック制御中である場合には、S5において、第2フィルタ処理部252が選択される。第2フィルタ処理部252においてフィルタ処理が行われ、第2フィルタ値PvalABSが求められフィルタ値Pvalとされて、S6において、並行共通通路液圧制御部260に出力される。
PvalABS=ΣPraw(n)/NABS
Pval←PvalABS
〔2〕単独共通通路液圧制御(回生協調制御)
回生協調制御において、図6(a)に示すように、目標液圧Prefからフィルタ値Pvalを引いた値である偏差e(=Pref−Pval)が、増圧しきい値ThapNより大きい場合に増圧モードが設定され、減圧しきい値ThreNより小さい場合に減圧モードが設定され、増圧しきい値ThapNと減圧しきい値ThreNとの間にある場合には、保持モードが設定される。
図6(b)に示すように、増圧モードが設定された場合には減圧リニア弁136が閉状態とされ(供給電流ISLR=0)、増圧リニア弁132のソレノイド146への供給電流が制御される。
増圧リニア弁132には、開弁電流IopenANと、偏差e(=Pref−Pval)に応じた電流K・(Pref−Pval)との和の電流ISLAが供給される。Kは、フィードバックゲインである。開弁電流IopenANは、図3(b)に示す開弁電流決定テーブルと、アキュレムレータ圧Paccと目標液圧Prefとの差である目標差圧ΔPref(=Pacc−Pref)とに基づいて決定される。
SLA=IopenAN+K(Pref−Pval)
IopenAN=Iup−Kup(Pacc−Pref)
SLR=0
保持モードが設定された場合には、増圧リニア弁132,減圧リニア弁136がいずれも閉状態とされるのであり、供給電流は0とされる。
SLA=0
SLR=0
減圧モードが設定された場合には、増圧リニア弁132が閉状態とされ、減圧リニア弁136に、目標差圧ΔPref(=Pref)に応じた開弁電流IopenRNと、偏差eの絶対値(=|Pref−Pval|=Pval−Pref)に応じた電流K・(Pval−Pref)との和の電流が供給される。
SLA=0
SLR=IopenRN+K(Pval−Pref)
IopenRN=Idw−Kdw(Pref)
図7のフローチャートで表される回生協調制御(単独共通通路液圧制御)プログラムは予め定められた設定時間毎に実行される。
S11〜15において、ブレーキECU56において、ストロークセンサ210,マニュアル液圧センサ212によって、ブレーキペダル60のストローク、操作力に対応するマニュアル液圧が検出され、要求総制動力Fsrefが求められる。ハイブリッドECU58において、要求総制動力Fsrefに基づいて出力可能な回生制動力が目標回生制動力Fmrefとして決定され、モータECU28によって目標回生制動力Fmrefが得られるように電力変換装置26が制御されるとともに、実際に得られた実回生制動力Fmが検出される。ブレーキECU56において、実回生制動力Fmが取得され、要求総制動力Fsrefから実回生制動力Fmを引いた値に基づいて要求液圧制動力Fprefが求められ、それに対応する共通通路110の目標液圧Prefが求められる。
そして、S16において、フィルタ値Pvalが読み込まれ、S17において、フィルタ値Pvalと目標液圧Prefとに基づいて、増圧モード、保持モード、減圧モードのうちの1つが選択され、上述のように、増圧リニア弁132,減圧リニア弁136への供給電流が共通通路110の液圧(フィルタ値Pval)が目標液圧Prefに近づくように制御される。
このように、回生協調制御においては、第1フィルタ値PvalNが用いられるため、単独共通通路液圧制御において要求される応答性(追従性)を満たすことができる。
〔3〕並行共通通路液圧制御
〔個別液圧制御〕
個別液圧制御としてのアンチロック制御は、図8のフローチャートで表されるアンチロック制御(個別液圧制御)プログラムの実行に従って行われる。
S21において、アンチロック制御フラグがセットされているか否かが判定される。セットされていない場合には、S22において、アンチロック開始条件が成立するか否かが判定される。
例えば、前後左右の4輪2,4,46,48の各々において、車輪速度センサ230の検出値に基づいて車輪減速度や、制動スリップ率が取得され、少なくとも1輪において、車輪減速度が大きく、かつ、制動スリップ率が過大である場合等にアンチロック制御開始条件が成立したとされる。
アンチロック制御開始条件が成立すると、S23において、アンチロック制御フラグがセットされて、S24において、制御対象輪についての保持弁122、減圧弁124がそれぞれ開閉制御される。
本実施例においては、アンチロック制御開始直前の共通通路110の液圧がブレーキシリンダ液圧の初期圧とされ、その初期圧、保持弁122,減圧弁124の開閉の履歴等に基づいて、アンチロック制御中、常に、各輪2,4,46,48のブレーキシリンダ液圧が推定される。また、制御対象輪の制動スリップ状態が適正範囲内に保たれるように目標液圧が決定され、推定されたブレーキシリンダ液圧と目標液圧とに基づいて保持弁122,124についての開閉の制御態様が決定される。なお、ブレーキシリンダ液圧を増加させる際には保持弁122についてデューティ制御が行われる。
それに対して、アンチロック制御フラグがセットされている場合には、S25において終了条件が成立するか否かが判定される。
例えば、すべての保持弁122が開状態になったこと、ブレーキスイッチ218がOFFになったこと、車両が停止したこと等のうちの1つ以上が成立した場合にアンチロック制御終了条件が成立したとされる。
アンチロック制御終了条件が成立しない場合には、S24において、アンチロック制御が継続して行われ、成立した場合には、S26において、アンチロック制御フラグがリセットされる等終了処理が行われる。
〔共通通路110の液圧制御〕
アンチロック制御において、ブレーキシリンダの液圧を増加させる場合には、共通通路110の液圧が利用される。また、ブレーキシリンダ42,52から流出させられた作動液はマスタリザーバ82に戻される。そのため、共通通路110の作動液が多量に消費され、アンチロック制御において、作動液が不足し、液圧が低くなり易い。また、ブレーキシリンダ42,52へ供給される作動液が不足し、ブレーキシリンダ42,52の液圧の増加不足が生じる。
そこで、本実施例においては、共通通路110において、ブレーキシリンダ42,52に供給される作動液が不足したり、ブレーキシリンダ42,52に供給される液圧が低くなったりしないように制御される。
偏差e(目標液圧Prefからフィルタ値Pvalを引いた値)が増圧しきい値ThapABSより大きい場合に増圧モードが設定される。並行共通通路液圧制御において用いられる増圧しきい値ThapABSは単独共通通路液圧制御において用いられる増圧しきい値ThapNと同じ値であっても、異なる値であってもよい。増圧しきい値を、それぞれの制御において、共通に設定しても、専用に設定してもよいのである。
増圧モードにおいては、減圧リニア弁136の閉状態において、増圧リニア弁132への供給電流が、開弁電流IopenAC、偏差eに応じた電流K・(Pref−Pval)、液圧不足抑制電流Iabsの和として決定される。
SLA=IopenAC+K・(Pref−Pval)+Iabs
IopenAC=Iup−Kup(Pacc−Pref)
SLR=0
開弁電流IopenACは、アキュムレータ圧Paccから目標液圧prefを引いた値である目標差圧ΔPrefと、図3(b)に示す開弁電流決定テーブルとに基づいて決定される。
液圧不足抑制電流Iabsは、共通通路110から開状態にある保持弁122に対応するブレーキシリンダに作動液が供給されることに起因する共通通路110の液圧の低下を抑制するために加えられる電流である。
図11に示すように、通常制御(回生協調制御)が終了してアンチロック制御が開始されると、共通通路110の目標液圧Pref(一点鎖線)が回生制動力分増加させられる。それに伴って、共通通路110の液圧が増加させられ(第1フィルタ値PvalN,第2フィルタ値PvalABS)、それに遅れて、アンチロック制御の非対象輪のブレーキシリンダの液圧が増加させられる。非制御対象輪のブレーキシリンダの液圧は、アンチロック制御開始当初においては共通通路110の液圧より低い。
また、アンチロック制御対象輪のブレーキシリンダの液圧は、保持弁122,減圧弁124の開閉制御により、共通通路110の液圧より低い状態にあるのが普通である。
以上により、アンチロック制御中に、共通通路110の作動液が非制御対象輪、制御対象輪のブレーキシリンダ42,52に供給されることに起因して共通通路110の液圧が低下する場合がある。
そこで、本実施例においては、アンチロック制御の1回の制御サイクルにおいて、共通通路110から4つのブレーキシリンダ42,52に供給される(制御対象輪、非制御対象輪を含む)作動液の総和(総消費液量)ΔQabsが求められ、求められた総消費液量ΔQabsに基づいて液圧不足抑制電流Iabsが求められるのであり、総消費液量ΔQabsが大きい場合は小さい場合より液圧不足抑制電流Iabsが大きい値に決定される。
総消費液量ΔQabsは、(i)図9(c)に示すブレーキシリンダ液圧作動特性に従って、複数のブレーキシリンダ42,52の各々について、推定されたブレーキシリンダ液圧Pwcsと、その制御サイクルにおける目標液圧Pwcrefとに基づいて、その1サイクル時間内におけるブレーキシリンダ42,52の各々の作動液の消費量(個別消費液量)Δqabsが取得され、(ii)これらブレーキシリンダ42,52の各々における個別消費液量Δqabsの和として取得される。
ΔQabs=Σ(Δqabs)=Δqfl+Δqfr+Δqrl+Δqrr
そして、取得された総消費液量ΔQabsと図9(d)に示す液圧不足抑制電流Iabs決定テーブルとに基づいて、液圧不足抑制電流Iabsが求められる。
以上のように、液圧不足抑制電流Iabsは、共通通路110から流出させられる作動液を補うため、動力液圧源64から増圧リニア弁132を経て共通通路110に流入させられる作動液の流量を大きくするための電流(開度を大きくするための電流)であると考えたり、作動液の流出に起因して共通通路110の液圧が低下しても目標液圧Prefより低くならないようにするための電流(共通通路110の液圧を予め増加させておくための電流)であると考えたりすることができる。
このように、並行共通通路液圧制御においては、単独共通通路液圧制御における場合と比較して、増圧リニア弁132に液圧不足抑制電流Iabs大きい電流が供給されるため、動力液圧源64から共通通路110に作動液が供給され易くされる(作動液の供給が重視される)。また、共通通路110の液圧が目標液圧Prefより低くなり難くされる。
また、共通通路110からブレーキシリンダへの作動液の供給に合わせて、動力液圧源64から共通通路110に作動液が供給されるため、保持弁122が開状態にあるブレーキシリンダに良好に作動液を供給することが可能となる。
なお、総消費液量ΔQabsは、1サイクル時間の間に4輪のブレーキシリンダ42,52に供給される作動液量の合計であるため、総消費液量ΔQabsを1サイクル時間で割れば、そのサイクル制御時間内に共通通路110から4輪のブレーキシリンダ42,52に供給される作動液の流量を求めることができる。
また、便宜的に、1サイクル制御時間を単位時間と考えれば、ΔQabsを、単位時間内(1サイクル時間内)に、共通通路110から4輪のブレーキシリンダ42,52に供給される作動液の流量であると考えることもできる。
偏差eが増圧側しきい値ThapABS以下である場合には保持モードが設定される。保持モードにおいて、増圧リニア弁132には、開弁電流IopenACと、液圧不足抑制電流Iabsとの和の電流が供給される。
減圧リニア弁136には、開弁電流IopenRCが供給される。減圧リニア弁136において、目標差圧ΔPrefが目標液圧Prefよりα高い値とされる(ΔPref=Pref+α)。共通通路110の液圧が目標液圧Prefより設定圧α高くなると、減圧リニア弁136が閉状態から開状態に切り換えられる。αは、単独共通通路液圧制御における減圧しきい値ThreNとしたり、並行共通通路液圧制御における減圧しきい値ThreABSとしたりすることができる。これら減圧しきい値ThreN,ThreABSは共通の値(同じ値)であっても、専用の値(互いに異なる値)であってもよい。
SLA=IopenAC+Iabs
SLR=IopenRC
IopenRC=Idw−Kdw(Pref+α)
このように、保持モードが設定された場合に、増圧リニア弁132,減圧リニア弁136が差圧弁として用いられるため、共通通路110の液圧を目標液圧で決まる設定範囲内に保持することができる。
図10のフローチャートで表される並行共通通路液圧制御プログラムは予め定められた設定時間毎に実行される。
S31において、ブレーキペダル60の操作ストローク、操作力(マニュアル液圧)が取得され、S32において、目標総制動力Fsrefが決定され、それに対応する目標液圧Prefが決定される。目標総制動力Fsrefが、単独共通通路液圧制御における場合と同様に決定される場合には、目標液圧Prefは、単独共通通路液圧制御における場合より、実回生制動力Fmに相当する分大きい値となる。
S33において、フィルタ値Pvalが読み込まれ、偏差eが求められる。S34において、偏差eと増圧しきい値ThapABSとが比較され、偏差eが増圧しきい値ThapABSより大きい場合にはS35において増圧モードが設定され、増圧しきい値ThapABS以下である場合には、S36において、保持モードが設定される。
〔制御例〕
図11(a)において、第1フィルタ値PvalNを破線で示し、第2フィルタ値PvalABSを実線で示す。また、図11(b)において、増圧リニア弁132への供給電流ISLAを実線で示し、減圧リニア弁136への供給電流ISLRを一点鎖線で示す。
本実施例においては、アンチロック制御中に第2フィルタ値PvalABSが用いられる。時間T0において、アンチロック制御が開始され増圧モードが設定される。その後、時間T2において、目標液圧Prefから第2フィルタ値PvalABSを引いた値である偏差が増圧しきい値ThapABSより小さくなる(Pref−PvalABS<ThapABS)と、保持モードが設定される。
一方、仮に第1フィルタ値PvalNが用いられた場合には、時間T2より前の時間T1に,目標液圧Prefから第1フィルタ値PvalNを引いた値である偏差が増圧しきい値ThapABSより小さくなって(Pref−PvalN<ThapABS)、保持モードが設定される。非制御対象輪のブレーキシリンダの液圧が充分に増加していない時点で保持モードに設定されるため、ブレーキシリンダにおいて増圧不足が生じる。
それに対して、本実施例においては、第2フィルタ値PvalABSが用いられるため、増圧モードが設定される時間を長くすることができる。その結果、アンチロック制御開始当初において、非制御対象輪のブレーキシリンダの液圧を良好に増加させることができ、共通通路110の作動液不足を抑制することができる。
また、保持モードであっても、増圧リニア弁132に、開弁電流IopenACと液圧不足抑制電流Iabsとの和の電流が供給される。(例えば、時間T3,T4においては、液圧不足抑制電流Iabsが大きく、供給電流が大きくされたと考えられる)。そのため、共通通路110の作動液不足を抑制し、液圧不足を抑制することができる。
さらに、図11(a)から明らかなように、第2フィルタ値PvalABSは第1フィルタ値PvalNと比較して、振幅が小さく、変化頻度が低いため、第1フィルタ値PvalNに基づく場合に比較して、制御ハンチングを抑制することができる。
以上のように、本実施例において、ブレーキECU56のS3を記憶する部分、実行する部分等により第1フィルタ処理部250が構成され、S5を記憶する部分、実行する部分等により第2フィルタ処理部252が構成され、S2を記憶する部分、実行する部分等によりフィルタ処理部選択部が構成され、S2,4,6を記憶する部分、実行する部分等によりフィルタ値出力部が構成される。
また、ブレーキECU56の図7のフローチャートで表される回生協調制御プログラムを記憶する部分、実行する部分等により単独共通通路液圧制御部258が構成され、個別液圧制御弁装置126およびブレーキECU56の図8のフローチャートで表されるアンチロック制御プログラムを記憶する部分、実行する部分等により個別液圧制御装置が構成され、ブレーキECU56の図9(c)に示す総消費液量決定テーブル、(d)に示す液圧不足抑制電流決定テーブルを記憶する部分、図10のフローチャートで表される並行共通通路液圧制御プログラムを記憶する部分、実行する部分等により並行共通通路制御部260が構成される。並行共通通路制御部260は、フィルタ値依拠液圧制御部、応答性対応制御部でもある。さらに、S35,36を記憶する部分、実行する部分等により液圧不足抑制部が構成される。
実施例2においては、並行共通通路液圧制御が行われる場合に用いられるフィルタ値が実施例1における場合とは異なる。その他の構成は実施例1における場合と同様であるため説明を省略する。また、同じ構成のものには、同じ符号を付して説明を省略する。
〔1〕フィルタ処理
図12に示すように、フィルタ処理装置298が、第1フィルタ処理部250,フィルタ処理部選択部254,第3フィルタ処理部300,第4フィルタ処理部302,フィルタ値選択部304を含み、共通通路液圧制御装置305が、単独共通通路液圧制御部258,並行共通通路液圧制御部306を含む。
並行共通通路液圧制御が行われる場合には、共通通路液圧センサ226の検出値Prawが、第3フィルタ処理部300,第4フィルタ処理部302に供給され、それぞれ、第3フィルタ値PvalL,第4フィルタ値PvalHが求められる。
第3フィルタ処理部300におけるフィルタ処理は、式
PvalH=(1/NABSH)ΣPraw(n)
で表され、第4フィルタ処理部302におけるフィルタ処理は、式
PvalL=(1/NABSL)ΣPraw(n)
で表される。
第3フィルタ処理部300においては検出値Prawの個数NABSHの平均値が求められ、第4フィルタ処理部302においては個数NABSLの平均値が求められる。個数NABSH<個数NABSLであり、第4フィルタ値PavalLの方が平滑化のレベルが高い。なお、第3フィルタ処理部300において用いられる検出値Prawの個数NABSHは、実施例1における第2フィルタ処理部252において用いられる個数NABS以上とすることができる(個数NABS≦個数NABSH)。
そして、フィルタ値選択部304において、第3フィルタ値PvalH,第4フィルタ値PvalLの小さい方が選択され、フィルタ値Pvalとして出力される。
Pval=MIN(PvalH,PvalL)
図13のフローチャートで表されるフィルタ処理プログラムは予め定められた設定時間毎に実行される。実施例1における場合と同様の実行が行われるステップについては、同様のステップ番号を付し、説明を省略する。
ブレーキスイッチ218がONであり、アンチロック制御中フラグがセット状態にある場合には、S51、S52において、第3,第4フィルタ処理部300,302において第3、第4フィルタ値PvalL,PvalHがそれぞれ求められ、S53において、小さい方がフィルタ値Pvalとされ、S54において、フィルタ値Pvalが出力される。
〔2〕並行共通通路液圧制御
並行共通通路液圧制御においては、図14(a)に示すように、偏差e(=Pref−Pval)が増圧しきい値ThapABSより大きい場合には増圧モードが設定される。増圧リニア弁132への供給電流、減圧リニア弁136への供給電流は、実施例1における場合と同様に決定される。
SLA=IopenAC+K(Pref−Pval)+Iabs
SLR=0
偏差eが増圧しきい値ThapABS以下である場合には保持モードが設定されるが、本実施例においては、フィルタ値Pval(共通通路110の液圧)が目標液圧Prefに変化量ΔPabsを加えた値より小さい場合、換言すれば、フィルタ値Pvalから変化量ΔPabsを引いた値が目標液圧Prefより小さい場合には、第1保持モードが設定され、そうでない場合には第2保持モードが設定される。
Pval<Pref+ΔPabs
(Pval−ΔPabs<Pref)
共通通路110の液圧の変化量ΔPabsとは、実施例1において説明した総消費液量ΔQabsに対応する共通通路110の液圧の変化量ΔPabsである。共通通路110から総消費液量ΔQabsの作動液がブレーキシリンダに供給された場合の、共通通路110の液圧の低下量であると考えたり、共通通路110に総消費液量ΔQabsの作動液が供給された場合の共通通路110の液圧の増加量であると考えたりすることができる。
共通通路110における作動液量と液圧との関係を図14(c)に示す。この図14(c)に示す変化液圧決定テーブルと、フィルタ値Pval,総消費液量ΔQabsとに基づいて共通通路110の変化量ΔPabs(低下量あるいは増加量)が求められる。
以上のことから、共通通路110の液圧Pvalが目標液圧Prefに変化量ΔPabsを加えた値より小さい場合には、サイクル制御時間内に、共通通路110からΔQabsの作動液が流出させられた場合に、共通通路110の液圧Pvalが目標液圧Prefより小さくなる。そこで、本実施例においては、保持モードが設定された場合においては、共通通路110の液圧Pvalが目標液圧Prefに変化量ΔPabsを加えた値より小さい場合に、増圧リニア弁132への供給電流量が液圧不足抑制電流Iabs増加させられる。
SLA=IopenAC+Iabs
SLR=IopenRC
それに対して、第2保持モードが設定された場合、すなわち、共通通路110の液圧Pvalが目標液圧Prefに変化量ΔPabsを加えた値以上である場合には、共通通路110から1サイクル制御時間内にQabsの作動液が流出させられても、フィルタ値Pvalが目標液圧Prefより小さくならないと考えられる。そのため、液圧不足抑制電流Iabsは加えられることはない。
SLA=IopenAC
SLR=IopenRC
図15のフローチャートで表される並行共通通路液圧制御プログラムは、予め定められた設定時間毎に実行される。実施例1における場合と同様の実行が行われるステップについては同様のステップ番号を付して説明を省略する。
S31〜33において、目標液圧Prefが決定され、フィルタ値Pvalが読み込まれる。S61において、変化量ΔPabsが求められ、S62において、偏差eが増圧しきい値ThapABSより大きいか否かが判定される。判定がYESである場合には、S63において、増圧モードが設定される。
偏差eが増圧しきい値ThapABS以下である場合には、S64において、フィルタ値Pvalが目標液圧Prefに変化量ΔPabsを加えた値より小さいか否かが判定される。
Pval<Pref+ΔPabs
上式が成立する場合には、S65において、第1保持モードが設定され、成立しない場合には、S66において、第2保持モードが設定される。
〔制御例〕
図16(a)に、第3フィルタ値PvalHを破線で示し、第4フィルタ値PvalLを二点鎖線で示し、フィルタ値Pvalを実線で示す。
図16(b)に、増圧リニア弁132への供給電流量ISLAを実線で示し、減圧リニア弁136への供給電流量ISLRを一点鎖線で示す。
並行共通通路液圧制御が、第3フィルタ値PvalHと第4フィルタ値PvalLとの小さい方(フィルタ値Pval)に基づいて行われるため、アンチロック制御が開始された時間T0から時間T2まで増圧モードが設定される。
一方、仮に、第3フィルタ値PvalHに基づいて行われた場合には、時間T2より早期の時間T1において保持モードが設定され、増圧制御が行われる時間が短くなる。
それに対して、本実施例におけるように、小さい方に基づけば、増圧モードが設定される時間が長くなり、ブレーキシリンダの液圧の増加不足を抑制することができる。
例えば、第3フィルタ値Pvalの方が共通通路110の実際の液圧の変化に近いため、共通通路110に作動液が流入させられる場合には、第3フィルタ値PvalHが第4フィルタ値PvalLより大きくなり、共通通路110から作動液が流出させられる場合には、第3フィルタ値PvalHが第4フィルタ値PvalLより小さくなる。このことから、通常、共通通路110に作動液が流入させられる場合には第4フィルタ値PvalLが用いられ、共通通路110から作動液が流出させられる場合には第3フィルタ値PvalHが用いられることになる。その結果、増圧モードから保持モードに切り換えられ難くすることができ、また、保持モードから増圧モードに切り換えられ易くすることができ、共通通路110の液圧不足を抑制することができる。
本実施例においては、ブレーキECU56の図13のフローチャートで表されるフィルタ処理プログラムのS51を記憶する部分、実行する部分等により第3フィルタ処理部が構成され、S52を記憶する部分、実行する部分等により第4フィルタ処理部が構成され、S53を記憶する部分、実行する部分等によりフィルタ値選択部が構成され、S54を記憶する部分、実行する部分等によりフィルタ値出力部が構成される。なお、S53,54を記憶する部分、実行する部分等によりフィルタ値選択部、フィルタ値出力部が構成されると考えることができる。フィルタ値出力部はスモーラー値出力部でもある。
また、ブレーキECU56の図15のフローチャートで表される並行共通通路液圧制御プログラムを記憶する部分、実行する部分、図14(c)の液圧変化量決定テーブル、図9(c)のブレーキシリンダ作動特性テーブル、図9(d)の液圧不足抑制電流決定テーブルを記憶する部分等により共通通路液圧制御装置が構成される。共通通路液圧制御装置は、最小フィルタ値依拠液圧制御部でもある。
なお、実施例2においては、並行共通通路液圧制御において、第3フィルタ値PvalHと第4フィルタ値PvalLとの小さい方が用いられるようにされていたが、本実施例においては、第3,第4の両方のフィルタ値PvalH,PvalLが用いられる。その他の部分については、同様であるため、説明を省略する。また、実施例1,2における場合と同様の部分については同様の符号等を付して説明を省略する。
〔1〕フィルタ処理
図17に示すように、フィルタ処理装置328が、第1フィルタ処理部250,フィルタ処理部選択部254,第3フィルタ処理部330,第4フィルタ処理部332を含み、共通通路液圧制御装置333が、単独共通通路液圧制御部258,並行共通通路液圧制御部334を含む。フィルタ処理装置328から並行共通通路液圧制御部334には、第3フィルタ値PvalH,第4フィルタ値PvalLの両方が出力される。
図18のフローチャートで表されるフィルタ処理プログラムは、予め定められた設定時間毎に実行される。
アンチロック制御が行われる場合には、S71において、第3フィルタ処理部330においてフィルタ処理が行われ、S72において、第4フィルタ処理部332においてフィルタ処理が行われ、第4フィルタ値PvalLがフィルタ値Pvalとされる。そして、S73において、フィルタ値Pvalが出力されるとともに、第3フィルタ値PvalHが出力される。
〔2〕並行共通通路液圧制御
図19のフローチャートで表される並行共通通路液圧制御プログラムは、予め定められた設定時間毎に実行される。
フィルタ値Pval(=PvalL)に基づいて偏差eが求められ、増圧モードと保持モードとのいずれか一方が設定され、フィルタ値Pval,PvalHの両方に基づいて第1保持モードと第2保持モードとのいずれか一方が設定される(増圧リニア弁132への供給電流量が決定される)。
S33′において、フィルタ値Pval,PvalHが読み込まれ、S61において、共通通路110の液圧の変化量ΔPabsが求められ、S62′において、目標液圧Prefからフィルタ値Pvalを引いた値である偏差eが増圧しきい値ThapABSより大きいか否かが判定される。偏差eが増圧しきい値ThapABSより大きい場合には増圧モードが設定される。
それに対して、偏差eが増圧しきい値ThapABS以下である場合には、S81において、フィルタ値Pvalが目標液圧Prefに変化量ΔPabsを加えた値より小さいか否か、S82において、第3フィルタ値PvalHが目標液圧Prefに変化量ΔPabsを加えた値より小さいか否かが判定される。S81,82のいずれかの判定がYESである場合には、S83において第1保持モードが設定され、両方の判定がNOである場合には、S84において第2保持モードが設定される。
このように、本実施例においては、第3フィルタ値PvalH,第4フィルタ値PvalLの少なくとも一方が、目標液圧Prefに変化量ΔPabsを加えた値より小さい場合に第1保持モードが設定される。そのため、実施例2における場合と比較して、第1保持モードが設定される機会が多くなり、共通通路110の液圧不足を良好に抑制することができる。
なお、本実施例において、(i)増圧モード、保持モードのいずれかを選択するために、フィルタ値Pval(PvalL)が用いられ、第1保持モード、第2保持モードのいずれか選択するため(増圧リニア弁132への供給電流を決定するため)に、フィルタ値Pvalと第3フィルタ値PvalHとが用いられると考えたり、(ii)第3フィルタ値PvalHも第4フィルタ値PvalLもフィルタ値と考えたり、(iii)第4フィルタ値PvalLが主フィルタ値Pvalであり、第3フィルタ値PvalHが補助フィルタ値Pvalであると考えたりすること等ができる。
本実施例においては、ブレーキECU56の図18のフィルタ処理プログラムのS71を記憶する部分、実行する部分等により第3フィルタ処理部330が構成され、S72を記憶する部分、実行する部分等により第4フィルタ処理部332が構成され、S73を記憶する部分、実行する部分等によりフィルタ値出力部が構成される。
また、ブレーキECU56の図19のフローチャートで表される並行共通通路液圧制御プログラムを記憶する部分、実行する部分等により並行共通通路液圧制御部334が構成される。
実施例4においては、第2保持モードにおける共通通路110の液圧制御の態様が実施例2,3における場合とは異なる。実施例4においては、第3フィルタ値PvalHとフィルタ値Pval(=第4フィルタ値PvalL)との差の絶対値が設定値より小さい状態が設定時間以上続いたか否かが判定され、設定値より小さい状態が設定時間以上続いた場合には、単独共通通路液圧制御に近づけられる。換言すれば、保持モードにおいて、増圧リニア弁132への供給電流量が小さくされ、減圧リニア弁136への供給電流量の増加が許可される。
〔1〕フィルタ処理
実施例3における場合と同様である。
〔2〕並行共通通路液圧制御
図20に示すように、第3フィルタ値PvalHとフィルタ値PvalL(=第4フィルタ値PvalL)との差の絶対値が設定値より小さい状態は、
(x)共通通路110の液圧とブレーキシリンダの液圧との差が小さい状態(保持弁122が開閉させられても、共通通路110の液圧の低下量が小さい状態)であり、アンチロック制御が終了する可能性が高い状態(終了間際)、あるいは、
(y)保持弁122が開状態にあるブレーキシリンダ(例えば、非制御対象輪のブレーキシリンダ)の液圧が共通通路110の液圧に近づいた状態{この状態において、制御対象輪のブレーキシリンダが共通通路110から遮断されている場合もある}
であると推定することができる。
(x)の状態である場合には単独共通通路液圧制御に切り換えることも考えられるが、(y)の状態である場合には単独共通通路液圧制御に切り換えても、並行共通通路液圧制御に戻す必要がある場合もある。そこで、本実施例においては、2つのフィルタ値の差の絶対値が設定値より小さい場合には、単独共通通路液圧制御に近づけられるのであり、第1保持モードにおける場合より、増圧リニア弁132への供給電流量が小さくされるとともに、必要に応じて減圧リニア弁136への供給電流量が多くされる。
このように、2つのフィルタ値の差の絶対値が設定値より小さい場合に、並行共通通路液圧制御から単独共通通路液圧制御に近づけられるため、その後、並行共通通路液圧制御から単独共通通路液圧制御に切り換える場合の急激な液圧変化を抑制することができる(x)。また、単独共通通路液圧制御に近づけられるだけであるため、2つのフィルタ値の差の絶対値が設定値以上になった場合にも、共通通路110の液圧の低下を抑制することができる(y)。
具体的には、図20(b)に示すように、第2保持モードが設定された場合において、第3フィルタ値PvalHと第4フィルタ値PvalLとの差の絶対値が設定値より小さい状態が設定時間以上続いた場合には、増圧リニア弁132の供給電流量が漸減させられる。
SLA=ISLA−ΔI
さらに、偏差eが減圧しきい値ThreABS(ThreNを用いても良い)より小さくなると、減圧リニア弁136への供給電流量が以下のように決定される(単独共通通路液圧制御における場合と同様の大きさ)。
SLR=IopenRN+K(Pval−Pref)
図21のフローチャートで表される並行共通通路液圧制御プログラムは予め定められた設定時間毎に実行される。
図19のフローチャートで表される並行共通通路液圧制御プログラムにおいて、S81,82の判定がNOとなり、第2保持モードが設定させられた場合には、図21のS91において、第3,第4フィルタ値PvalL,PvalHとの差の絶対値が設定値ΔPdifより小さいか否かが判定され、設定値ΔPdif以上である場合には、S92において、カウンタのカウント値が0にリセットされる。S93,94において、実施例2、3における場合と同様に、増圧リニア弁132,減圧リニア弁136への供給電流量が決定される。
それに対して、差の絶対値が設定値ΔPdifより小さい場合には、S95において、カウンタのカウント値Cが1増加させられる。設定値ΔPdifより小さい状態が継続する時間がカウントされるのである。
S96において、カウント値Cが設定カウント値Thdifより大きいか否かが判定される。最初にS96が実行された場合には、設定カウント値Thdif以下であるため、判定はNOとなり、S93,94において増圧リニア弁132,減圧リニア弁136への供給電流が決定される。
そのうちに、カウント値Cが設定カウント値Thdifより大きくなると、S96の判定がYESとなり、S97において、増圧リニア弁132への供給電流が前回値よりΔIだけ小さくされる(ISLA=ISLA−ΔI)。ここで、S97が最初に実行された場合の前回値ISLAはS93において決定された開弁電流IopenACであるため、S97において決定される増圧リニア弁132への供給電流量は(ISLA=IopenAC−ΔI・m)であると考えることができる。mは、S97が実行される回数である。また、増圧リニア弁132への供給電流ISLAを漸減させる場合のΔIは着座電流と称することができる。供給電流ISLAが漸減させられることにより、増圧リニア弁132は閉状態にされるため、ΔIを着座電流と称することができる。
そして、偏差eが減圧しきい値ThreABSより小さいか否かが判定され、減圧しきい値ThreABSより小さい場合には、S99において、減圧リニア弁136に上述の供給電流が供給される。
それに対して、偏差eが減圧しきい値ThreABS以上である場合には、S94において、第1保持モードにおける場合と同様に電流が供給される。
〔制御例〕
図22(a)、(b)に示すように、時間T1において、破線で表される第3フィルタ値PvalHと一点鎖線で表される第4フィルタ値PvalLとの差の絶対値が設定値ΔPdifより小さくなる。そして、その状態が継続するのに伴って、図22(c)に示すように、カウント値Cが増加させられる。時間T2において、カウント値が設定カウント値Thdifに達すると、図22(d)に示すように、増圧リニア弁132への供給電流量ISLAが漸減させられる。そして、時間T3において、偏差eが減圧しきい値ThreABSより小さくなる(Pref−Pval<ThreABS)と、減圧リニア弁136への供給電流量が大きくされる。
しかし、この第3フィルタ値PvalHと第4フィルタ値PvalLとの差が小さい状態は、制御対象輪の保持弁122が閉状態にあったことに起因する状態であったため、その後、制御対象輪の保持弁122が開状態に切り換えられると、共通通路110の液圧が低下する。それにより、図22(c)に示すように、第3フィルタ値PvalHと第4フィルタ値PvalLとの差が大きくなり、増圧リニア弁132の供給電流量を減少させ、減圧リニア弁136の供給電流量を増加させる制御が終了する。
また、時間T4において、共通通路110からブレーキシリンダに供給される作動液の和である総消費液量ΔQabsが大きくなり、共通通路110の液圧変化量ΔPabsが大きくなる。そのため、S82の判定がYESとなって、S83において、第1保持モードが設定される。増圧リニア弁132に開弁電流Iopenと液圧不足抑制電流Iabsとの和が供給されるのであり、それにより、共通通路110の液圧の低下が抑制される。
その後、アンチロック制御が終了間際になると、第3フィルタ値PvalHと第4フィルタ値PvalLとの差の絶対値が設定値より小さくなる。時間T5において、カウント値Cが設定カウント値Thdifに達すると、増圧リニア弁132への供給電流量ISLAが漸減させられる。そして、時間T6においてアンチロック制御が終了する。
本実施例においては、ブレーキECU56の図21のフローチャートで表される並行共通通路液圧制御プログラムを記憶する部分、実行する部分等により並行共通通路液圧制御部334が構成される。また、S91〜99を記憶する部分、実行する部分等によりフィルタ値差対応制御部が構成され、S97を記憶する部分、実行する部分等により電流減少部が構成される。
なお、本実施例において、第3フィルタ処理部、第4フィルタ処理部は、第5フィルタ処理部、第6フィルタ処理部でもある。
その他の実施例
以上、複数の実施例について説明したが、これら複数の実施例を適宜組み合わせて実行することができる。
また、個別制御としてのトラクション制御、ビークルスタビリティ制御と共通通路110の液圧制御とが並行に行われる場合にも、本発明を適用することができる。その場合には、ブレーキペダル60の非操作状態で行われる場合があり、共通通路110の目標液圧は、個別制御において要求される液圧値の最大値以上の大きさに制御される。
さらに、ブレーキ回路は、図2に示す構造のものに限定されない等、本発明は、前記記載の態様の他、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施本発明は種々の態様で実施することができる。
56:ブレーキECU 122:保持弁 124:減圧弁 126:個別液圧制御弁装置 132:増圧リニア弁 136:減圧リニア弁 138:共通通路液圧制御弁装置 226:共通通路液圧センサ 248,298,328,350:フィルタ処理装置 250:第1フィルタ処理部 252:第2フィルタ処理部 254:フィルタ処理部選択部 248,305,333,352:共通通路液圧制御装置 258:単独共通通路液圧制御部 260,306,334,354:並行共通通路液圧制御部 300,330:第3フィルタ処理部 302,332:第4フィルタ処理部 304:フィルタ値選択部

Claims (11)

  1. 車両の複数の車輪の各々に対応して設けられ、それぞれ、ブレーキシリンダの液圧により作動させられて前記車輪の回転を抑制する液圧ブレーキと、
    前記複数のブレーキシリンダが接続された共通通路と、
    その共通通路の液圧を検出する共通通路液圧センサと、
    その共通通路液圧センサの検出値をフィルタ処理するとともに、そのフィルタ処理して得られた値であるフィルタ値を出力するフィルタ処理装置と、
    前記フィルタ値に基づいて、前記共通通路の液圧を制御する共通通路液圧制御装置と、
    前記複数のブレーキシリンダの液圧を個別に制御する個別液圧制御装置と
    を含む液圧ブレーキシステムであって、
    前記フィルタ処理装置が、(i)少なくとも、第1フィルタ処理部、および、その第1フィルタ処理部より遅れが大きいフィルタ処理を行う第2フィルタ処理部と、(ii)前記個別液圧制御装置による制御が行われない場合に、前記第1フィルタ処理部のフィルタ処理によって得られた値である第1フィルタ値を前記フィルタ値として出力し、前記個別液圧制御装置による制御が行われる場合に、前記第2フィルタ処理部のフィルタ処理によって得られた値である第2フィルタ値を前記フィルタ値として出力するフィルタ値出力部とを含むことを特徴とする液圧ブレーキシステム。
  2. 前記フィルタ処理装置が、(i)第3フィルタ処理部と、(ii)その第3フィルタ処理部によるフィルタ処理とは遅れの程度が異なるフィルタ処理を行う第4フィルタ処理部とを含み、前記フィルタ値出力部が、前記個別液圧制御装置の制御が行われる場合に、前記第3フィルタ処理部のフィルタ処理によって得られた値である第3フィルタ値と前記第4フィルタ処理部のフィルタ処理によって得られた値である第4フィルタ値とのうちの小さい方を前記フィルタ値として出力するスモーラー値出力部を含む請求項1に記載の液圧ブレーキシステム。
  3. 前記共通通路液圧制御装置が、(a)前記共通通路と高圧源との間に設けられ、ソレノイドへの供給電流量が多い場合は少ない場合より、前記共通通路の液圧を高い値に制御可能な増圧制御弁と、(b)前記共通通路の液圧が目標液圧に近づくように前記増圧制御弁への供給電流量を制御する電流制御部とを含み、その電流制御部が、前記スモーラー値出力部によって出力された前記フィルタ値が、前記共通通路の液圧が前記複数のブレーキシリンダのうちの1つ以上に供給されることに起因して前記目標液圧より小さくなる場合に、前記目標液圧より小さくならない場合に比較して、前記増圧制御弁への供給電流量を多くする液圧不足抑制部を含む請求項2に記載の液圧ブレーキシステム。
  4. 前記フィルタ処理装置が、(i)第5フィルタ処理部と、(ii)その第5フィルタ処理部によるフィルタ処理とは遅れの程度が異なるフィルタ処理を行う第6フィルタ処理部とを含み、前記フィルタ値出力部が、前記個別液圧制御装置の制御中に、前記第5フィルタ処理部のフィルタ処理によって得られた値である第5フィルタ値を前記フィルタ値として出力するとともに、前記第6フィルタ処理部のフィルタ処理によって得られた値である第6フィルタ値を前記フィルタ値として出力する複数フィルタ値出力部を含み、前記共通通路液圧制御装置が、前記第5フィルタ値と前記第6フィルタ値との差の絶対値が設定値より大きい場合と、前記差の絶対値が前記設定値以下である場合とで、互いに異なる態様で前記共通通路の液圧の制御を行うフィルタ値差対応液圧制御部を含む請求項1ないし3のいずれか1つに記載の液圧ブレーキシステム。
  5. 前記共通通路液圧制御装置が、前記共通通路と高圧源との間に設けられ、供給電流量が多い場合は少ない場合より、前記共通通路の液圧を高い値に制御可能な増圧制御弁を含み、前記フィルタ値差対応液圧制御部が、前記差の絶対値が前記設定値以下である場合に前記設定値より大きい場合より、前記増圧制御弁への供給電流量を少なくする電流減少部を含む請求項4に記載の液圧ブレーキシステム。
  6. 前記フィルタ値差対応液圧制御部が、前記差の絶対値が前記設定値より大きい場合に、前記共通通路の液圧を増加させる増圧制御と、保持する保持制御とのいずれかを選択的に行い、前記差の絶対値が前記設定値以下である場合に前記共通通路の液圧を増加させる増圧制御と、保持する保持制御と、減少させる減圧制御とのうちのいずれかを選択的に行う請求項4または5に記載の液圧ブレーキシステム。
  7. 車両の複数の車輪の各々に対応して設けられ、それぞれ、ブレーキシリンダの液圧により作動させられて前記車輪の回転を抑制する液圧ブレーキと、
    前記複数のブレーキシリンダが接続された共通通路の液圧を制御する共通通路液圧制御装置と、
    前記共通通路の液圧を検出する共通通路液圧センサと、
    その共通通路液圧センサの検出値をフィルタ処理するフィルタ処理装置と、
    前記複数のブレーキシリンダの液圧を個別に制御する個別液圧制御装置と
    を含む液圧ブレーキシステムであって、
    前記フィルタ処理装置が、互いに遅れの程度が異なるフィルタ処理を行う複数のフィルタ処理部を含み、
    前記共通通路液圧制御装置が、前記個別液圧制御装置の制御が行われる場合に、前記複数のフィルタ処理部の各々におけるフィルタ処理によって得られた値のうちの最も小さい値に基づいて前記共通通路の液圧を制御する最小フィルタ値依拠液圧制御部を含むことを特徴とする液圧ブレーキシステム。
  8. 車両の複数の車輪の各々に対応して設けられ、それぞれ、ブレーキシリンダの液圧により作動させられて前記車輪の回転を抑制する液圧ブレーキと、
    前記複数のブレーキシリンダが接続された共通通路の液圧を制御する共通通路液圧制御装置と、
    前記共通通路の液圧を検出する共通通路液圧センサと、
    その共通通路液圧センサの検出値をフィルタ処理するフィルタ処理装置と、
    前記複数のブレーキシリンダの液圧を個別に制御する個別液圧制御装置と
    を含む液圧ブレーキシステムであって、
    前記フィルタ処理装置が、互いに遅れの程度が異なるフィルタ処理を行う2つのフィルタ処理部を含み、
    前記共通通路液圧制御装置が、前記個別液圧制御装置の制御が行われる場合に、前記2つのフィルタ処理部の各々におけるフィルタ処理によって得られた値の差の絶対値が設定値以上である場合と、前記差の絶対値が前記設定値より小さい場合とで、互いに異なる態様で前記共通通路の液圧の制御を行うフィルタ値差対応液圧制御部を含むことを特徴とする液圧ブレーキシステム。
  9. 車両の複数の車輪の各々に対応して設けられ、それぞれ、ブレーキシリンダの液圧により作動させられて前記車輪の回転を抑制する液圧ブレーキと、
    前記複数のブレーキシリンダが接続された共通通路の液圧を制御する共通通路液圧制御装置と、
    前記共通通路の液圧を検出する共通通路液圧センサと、
    その共通通路液圧センサの検出値をフィルタ処理するフィルタ処理装置と
    を含む液圧ブレーキシステムであって、
    前記フィルタ処理装置が、互いに異なる態様で前記フィルタ処理を行う複数のフィルタ処理部を含み、
    前記共通通路液圧制御装置が、前記複数のフィルタ処理部のうちの1つ以上の各々においてフィルタ処理されて得られた値である1つ以上のフィルタ値に基づいて前記共通通路の液圧を制御するフィルタ値依拠液圧制御部を含むことを特徴とする液圧ブレーキシステム。
  10. 前記フィルタ値依拠液圧制御部が、前記共通通路の液圧の制御において高応答性が要求される場合は高応答性が要求されない場合に比較して、遅れの程度が低いフィルタ処理を行うフィルタ処理部によってフィルタ処理されて得られた値に基づいて前記共通通路の液圧を制御する応答性対応制御部を含む請求項9に記載の液圧ブレーキシステム。
  11. 前記フィルタ値依拠液圧制御部が、前記複数のフィルタ処理部の各々によってフィルタ処理されて得られた値のうちの最小値に基づいて前記共通通路の液圧を制御する最小値依拠制御部を含む請求項9または10に記載の液圧ブレーキシステム。
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