JP4736839B2 - 液圧ブレーキ装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ブレーキシリンダの液圧を制御可能な液圧ブレーキ装置に関するものである。
特許文献1,6には、マニュアル液圧源と、低圧源と、車両に設けられたすべてのブレーキシリンダが接続された主通路と、主通路と動力液圧源との間に設けられた1つの増圧用電磁リニア弁と、主通路と低圧源との間に設けられた1つの減圧用電磁リニア弁と、これら増圧用電磁リニア弁と減圧用電磁リニア弁とへの供給電流をそれぞれ制御することによりすべてのブレーキシリンダの液圧を共通に制御するブレーキ液圧制御装置とを含む液圧ブレーキ装置が記載され、特許文献2には、特許文献1に記載の液圧ブレーキ装置において、増圧用電磁リニア弁が、動力液圧源とすべてのブレーキシリンダが接続された液圧伝達装置との間に設けられ、減圧用電磁リニア弁が、低圧源と液圧伝達装置との間に設けられ、これら増圧用電磁リニア弁と減圧用電磁リニア弁とへの供給電流をそれぞれ制御することによりすべてのブレーキシリンダの液圧を共通に制御するブレーキ液圧制御装置を含む液圧ブレーキ装置が記載されている。
また、特許文献3には、駆動輪について、マニュアル液圧源とブレーキシリンダとの間に設けられた増圧用電磁リニア弁とブレーキシリンダと低圧源との間に設けられた減圧用電磁開閉弁とを含むとともに、増圧用電磁リニア弁への供給電流を制御することによりブレーキシリンダ液圧を制御するブレーキ液圧制御装置を含む液圧ブレーキ装置が記載されている。
さらに、特許文献4には、マニュアル液圧源とブレーキシリンダとの間に設けられた増圧用電磁開閉弁およびブレーキシリンダと低圧源との間に設けられた減圧用電磁開閉弁と、これらを制御することによりブレーキシリンダ液圧を制御するブレーキ液圧制御装置とを含む液圧ブレーキ装置が記載されており、特許文献5には、複数のブレーキシリンダの各々に共通に設けられた1つのスプール弁(マスタ制御弁)と、複数のブレーキシリンダの各々に対応して設けられたスプール弁(個々の制御弁)とを含み、マスタ制御弁を制御することにより、複数のブレーキシリンダの液圧を共通に制御し、個々の制御弁を制御することにより複数のブレーキシリンダの液圧を個別に制御するブレーキ液圧制御装置とを備えた液圧ブレーキ装置が記載されている。
また、特許文献6には、主通路が、複数のブレーキシリンダのうちの1つ以上が接続された第1主通路と、別の1つ以上のブレーキシリンダが接続された第2主通路とを含み、これら第1主通路と第2主通路との間に設けられた分離弁の液漏れの有無を検出することが記載されている。
特開平11−180294号 特開平9−193773号 特開2002−220037号 特開平7−336805号 特開平8−318845号 特開平11−115740号
本発明の課題は、上記各特許文献に記載の構造とは異なる構造の液圧ブレーキ装置を得ることである。
課題を解決するための手段および効果
本発明に係る液圧ブレーキ装置は、(i)車両の複数の車輪に対応してそれぞれ設けられ、ブレーキシリンダの液圧により車輪の回転をそれぞれ抑制する複数の液圧ブレーキと、(ii)液圧を発生可能な液圧発生装置と、(iii)低圧源と、(iv)前記液圧発生装置が接続されるとともに、前記複数のブレーキシリンダが接続された主通路と、(v)その主通路と前記複数のブレーキシリンダとを、それぞれ、個別に接続する複数の個別通路と、(vi)それら複数の個別通路の各々に、前記複数のブレーキシリンダの各々に対応してそれぞれ設けられた複数の電磁増圧制御弁と、(vii)前記低圧源に直接接続された低圧通路と、(viii)前記複数の個別通路の各々の前記電磁増圧制御弁の下流側において、前記複数のブレーキシリンダの各々と前記低圧通路とを、それぞれ、個別に接続する複数の減圧用個別通路と、(ix)前記複数の減圧用個別通路の各々に、前記複数のブレーキシリンダの各々に対応して設けられた複数の電磁減圧制御弁とを含む液圧ブレーキ装置であって、前記複数の電磁減圧制御弁のうちの一部を供給電流の連続的な変化により、前記電磁減圧制御弁の前後の差圧を連続的に変化させ得る減圧用電磁リニア弁とし、残りを供給電流のON・OFFにより開閉させられる減圧用電磁開閉弁とするとともに、当該液圧ブレーキ装置が、前記複数の電磁増圧制御弁を開状態とすることにより、前記複数のブレーキシリンダを互いに連通させた状態で、少なくとも、前記減圧用電磁リニア弁への供給電流を制御することにより前記複数のブレーキシリンダの液圧を制御するブレーキ液圧制御装置を含むものとする。
本項に記載の液圧ブレーキ装置においては、複数の電磁増圧制御弁と複数の電磁減圧制御弁とが設けられる。また、複数のブレーキシリンダは主通路に接続されるとともに、複数の電磁減圧制御弁のうちの一部が電磁リニア弁とされ、残りが電磁開閉弁とされる。複数のブレーキシリンダの液圧は、少なくとも、減圧用の電磁リニア弁を制御することにより制御される。例えば、複数の電磁増圧制御弁の開状態において、複数のブレーキシリンダは互いに連通させられることになり、この状態で、一部の減圧用の電磁リニア弁を制御すれば、複数のブレーキシリンダの液圧を共通に制御することができる。減圧用の電磁開閉弁の制御により複数のブレーキシリンダの液圧を共通に制御することも可能であるが、電磁リニア弁によって制御されるようにすれば、ブレーキシリンダ液圧を滑らかに変化させることができる。
このように、本項に記載の液圧ブレーキ装置においては、複数のブレーキシリンダと低圧源との間に設けられた複数の電磁減圧制御弁の一部が電磁リニア弁とされて、その減圧用の電磁リニア弁の制御により複数のブレーキシリンダの液圧が共通に制御されるのであり、上述の特許文献1〜6に記載の液圧ブレーキ装置と異なる。
なお、複数の電磁減圧制御弁のうちの一部が電磁リニア弁とされればよいのであり、電磁リニア弁は1つとしても、2つあるいは3つとしてもよい。例えば、前後左右輪のうち1輪のブレーキシリンダに対応する電磁減圧制御弁を減圧用電磁リニア弁としたり、左右前輪のブレーキシリンダに対応する電磁減圧制御弁を減圧用電磁リニア弁としたり、左右後輪のブレーキシリンダに対応して減圧用電磁リニア弁を設けたり、互いに対角位置にある2つの車輪に対応して減圧用電磁リニア弁を設けたり、前後左右の4輪のうちの3輪のブレーキシリンダに対応して設けたりすることができる。いずれにしても、一部を電磁リニア弁とすれば、すべての電磁減圧制御弁を電磁リニア弁とする場合よりコストアップを抑制することができる
さらに、複数の電磁増圧制御弁は、電磁リニア弁であっても、電磁開閉弁であってもよい。電磁開閉弁とした方が、電磁リニア弁とする場合よりコストアップを抑制することができる。
また、液圧発生装置は、動力の供給により液圧を発生させる動力液圧源を含むものとしても、運転者によるブレーキ操作部材の操作により液圧を発生させるマニュアル液圧源を含むものとしてもよい。動力液圧源を含む場合には、出力される液圧が制御されるものであっても、出力液圧の制御が予定されていないものであってもよい。液圧発生装置から出力される液圧が制御可能なものである場合には、電磁増圧制御弁を電磁リニア弁とする必要性は低く、減圧用の電磁リニア弁の制御によりブレーキシリンダ液圧を滑らかに制御することが可能となる。
さらに、本項に記載の液圧ブレーキ装置には増圧制御装置を設けることもできる。減圧用電磁リニア弁の制御によるブレーキシリンダ液圧の制御はいわゆる減圧制御に対応するため、ブレーキシリンダ液圧の増圧制御を行い得る増圧制御装置を設ければ、ブレーキシリンダの液圧を滑らかに増加・減少させることができる。増圧制御装置は、電磁増圧制御弁や液圧発生装置としての動力液圧源等を含むものとすることができるが、これらとは別個に設けることもできる。ブレーキ液圧制御装置は、少なくとも、減圧用電磁リニア弁を制御することにより複数のブレーキシリンダの液圧を共通に制御するものであり、(a)減圧用電磁リニア弁を制御する減圧制御弁制御手段を含むものとしたり、(b)その減圧制御弁制御手段と増圧制御装置とを含むものとしたりすること等ができる。
特許請求可能な発明
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある。請求可能発明は、少なくとも、請求の範囲に記載された発明である「本発明」ないし「本願発明」を含むが、本願発明の下位概念発明や、本願発明の上位概念あるいは別概念の発明を含むこともある。)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、請求可能発明を構成する構成要素の組を、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載,実施例の記載等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。
(1)車両の複数の車輪に対応してそれぞれ設けられ、ブレーキシリンダの液圧により車輪の回転をそれぞれ抑制する複数の液圧ブレーキと、
液圧を発生可能な液圧発生装置と、
低圧源と、
前記液圧発生装置が接続されるとともに、前記複数のブレーキシリンダが接続された主通路と、
その主通路と前記複数のブレーキシリンダとを、それぞれ、個別に接続する複数の個別通路と、
それら複数の個別通路の各々に、前記複数のブレーキシリンダの各々に対応してそれぞれ設けられた複数の電磁増圧制御弁と、
前記低圧源に直接接続された低圧通路と、
前記複数の個別通路の各々の前記電磁増圧制御弁の下流側において、前記複数のブレーキシリンダの各々と前記低圧通路とを、それぞれ、個別に接続する複数の減圧用個別通路と、
前記複数の減圧用個別通路の各々に、前記複数のブレーキシリンダの各々に対応して設けられた複数の電磁減圧制御弁と
を含む液圧ブレーキ装置であって、
前記複数の電磁減圧制御弁のうちの一部を供給電流の連続的な変化により、前記電磁減圧制御弁の前後の差圧を連続的に変化させ得る減圧用電磁リニア弁とし、残りを供給電流のON・OFFにより開閉させられる減圧用電磁開閉弁とするとともに、
当該液圧ブレーキ装置が、前記複数の電磁増圧制御弁を開状態とすることにより、前記複数のブレーキシリンダを互いに連通させた状態で、少なくとも、前記減圧用電磁リニア弁への供給電流を制御することにより前記複数のブレーキシリンダの液圧を制御するブレーキ液圧制御装置を含むことを特徴とする液圧ブレーキ装置(請求項1)。
例えば、前記液圧ブレーキが、前記車両に設けられた前後左右の4輪の各々に対応してそれぞれ設けられ、前記前後左右の4輪のブレーキシリンダが前記主通路に、それぞれ、前記個別通路を介して接続され、前記4つの個別通路に、それぞれ、前記電磁増圧制御弁が設けられるとともに、前記4つの個別通路の各々の前記電磁増圧制御弁の下流側において、前記前後左右の4輪のブレーキシリンダの各々と前記減圧通路とが、それぞれ、前記減圧用個別通路によって接続され、かつ、前記4つの減圧用個別通路の各々に、前記電磁減圧制御弁が前記前後左右の4輪のブレーキシリンダに対応して設けられるともに、それら4つの電磁減圧制御弁のうちの1つを前記減圧用電磁リニア制御弁として、残りの3つを前記減圧用電磁開閉弁とすることができる(請求項2)。
(2)前記ブレーキ液圧制御装置が、前記複数のブレーキシリンダの液圧を、前記複数の電磁増圧制御弁と前記複数の電磁減圧制御弁とへの供給電流の制御により、前記車輪のスリップ状態が路面の摩擦係数に対して適正な状態となるように制御するスリップ制御手段を含む(1)項に記載の液圧ブレーキ装置(請求項3の一部)
スリップ制御手段は、制動スリップ状態が適正状態となるようにブレーキシリンダ液圧を制御するアンチロック制御手段と、駆動スリップ状態が適正状態となるように制御するトラクション制御手段と、横スリップ状態が適正状態となるように制御するビークルスタビリティ制御手段との少なくとも1つを含むものとすることができる。この意味において、電磁増圧制御弁、電磁減圧制御弁は、スリップ制御用の電磁制御弁であるとすることができる。なお、ブレーキ液圧制御装置は、スリップ制御以外の制御において、これら電磁増圧制御弁、電磁減圧制御弁を制御する場合もある。
スリップ制御手段が、トラクション制御手段とビークルスタビリティ制御手段との少なくとも一方を含む場合には、液圧発生装置が動力液圧源を含むものとされる。
本項に記載の液圧ブレーキ装置においては、スリップ制御用の電磁減圧制御弁の一部が電磁リニア弁とされるとともに、その電磁リニア弁が、回生協調制御、通常制御等に利用されると考えることができる。通常制御には、例えば、ブレーキシリンダの液圧を、ブレーキ操作部材の操作状態で決まる要求液圧あるいは要求減速度が得られる大きさにする制御が該当する。
(3)前記ブレーキ液圧制御装置が、前記主通路の液圧を増圧制御することによって、前記複数のブレーキシリンダに供給される液圧を増圧制御する増圧制御装置を含む(1)項または(2)項に記載の液圧ブレーキ装置。
増圧制御装置は、例えば、出力液圧を制御可能な液圧発生装置を含む場合、液圧発生装置と主通路との間に設けられた増圧用電磁リニア弁を含む場合等がある。液圧発生装置は、動力の供給により液圧を発生させ得る動力液圧源とすることができる。
(4)当該液圧ブレーキ装置が、前記主通路と前記液圧発生装置との間に設けられ、供給電流の連続的な変化により、前記液圧発生装置と前記主通路との間の差圧を連続的に変化させ得る増圧用電磁リニア弁を含み、前記ブレーキ液圧制御装置が、前記増圧用電磁リニア弁への供給電流を制御することにより前記複数のブレーキシリンダの液圧を制御する増圧リニア弁制御部を含む(1)項ないし(3)項に記載の液圧ブレーキ装置。
本項に記載の液圧ブレーキ装置においては、増圧用電磁リニア弁の制御により液圧発生装置から出力された液圧が制御されて複数のブレーキシリンダに供給される。増圧用電磁リニア弁への供給電流の制御により主通路の液圧が増圧制御されるのであり、主通路の複数のブレーキシリンダの接続部の液圧が制御される。複数の電磁増圧制御弁の開状態においては、複数のブレーキシリンダの液圧を増圧用電磁リニア弁と減圧用電磁リニア弁との制御により、共通に制御することができるのであり、ブレーキシリンダの液圧を滑らかに増加・減少させることができる。
(5)前記液圧発生装置が、動力の供給により、前記車両のブレーキ操作部材の操作とは関係なく液圧を発生させ得る動力液圧源を含む(1)項ないし(4)項のいずれか1つに記載の液圧ブレーキ装置(請求項4)。
増圧用電磁リニア弁が動力液圧源の下流側に設けられれば、マニュアル液圧源の下流側に設けられる場合に比較して、増圧用電磁リニア弁の高圧側の液圧変化を抑制することができ、増圧用電磁リニア弁の制御精度を向上させることができる。
また、運転者がブレーキ操作部材を操作していない状態で液圧ブレーキを作動させたり、ブレーキ操作状態に対応する液圧より大きな液圧で液圧ブレーキを作動させたりすること等が可能となる。
なお、増圧用電磁リニア弁は、動力液圧源の構成要素であると考えることができる。この場合には、動力液圧源の出力液圧が増圧用電磁リニア弁により制御されると考えることができる。
(6)前記複数のブレーキシリンダが、第1群に属する1つ以上のブレーキシリンダと、第2群に属する別の1つ以上のブレーキシリンダとを含み、前記主通路が、前記第1群に属するブレーキシリンダが接続された第1主通路と前記第2群に属するブレーキシリンダが接続された第2主通路とを含む(1)項ないし(5)項のいずれか1つに記載の液圧ブレーキ装置。
複数のブレーキシリンダは、第1群のブレーキシリンダと第2群のブレーキシリンダとに分けられる。左右前輪のブレーキシリンダと左右後輪のブレーキシリンダとに分けても、互いに対角位置にある2つのブレーキシリンダに分けてもよい。
(7)前記液圧発生装置が、前記車両のブレーキ操作部材の操作力に応じた液圧を発生させる2つのマニュアル液圧発生部を備えたマニュアル液圧源を含み、それら2つのマニュアル液圧発生部の一方が前記第1主通路に接続され、他方が前記第2主通路に接続された(6)項に記載の液圧ブレーキ装置。
マニュアル液圧源には、ブレーキ操作部材の操作により、その操作力に応じた液圧が発生させられる。2つのマニュアル液圧発生部は、液圧ブースタおよびマスタシリンダとしたり、マスタシリンダの2つの加圧室としたりすることができる。換言すれば、マニュアル液圧源は、ハイドロブースタ付きマスタシリンダとしたり、タンデム式のマスタシリンダとしたりすることができる。
液圧発生装置が動力液圧源を含む場合に、その動力液圧源は、第1主通路に接続されても第2主通路に接続されても、両方に接続されてよい。
(8)前記第1主通路と前記第2主通路とを連通させる連通状態とこれらを遮断する遮断状態とに切り換え可能な分離弁を含む(6)項または(7)項に記載の液圧ブレーキ装置(請求項5)。
本項に記載の液圧ブレーキ装置においては、分離弁の制御により第1主通路と第2主通路とが互いに連通させられる連通状態と、第1主通路と第2主通路とを遮断する遮断状態とに切り換えられる。
第1主通路と第2主通路との連通状態においては、減圧用電磁リニア弁の制御、あるいは、減圧用電磁リニア弁および増圧用電磁リニア弁の制御により、第1主通路、第2主通路に接続された複数のブレーキシリンダの液圧が共通に制御される。
第1主通路と第2主通路との遮断状態においては、第1主通路に接続された1つ以上のブレーキシリンダ、第2主通路に接続された1つ以上のブレーキシリンダに、それぞれ、別のマニュアル液圧発生部からの液圧が供給されることにより、複数のブレーキがそれぞれ作動させられる。液圧ブレーキ回路が2系統とされるのであり、前後2系統としてもX2系統としてもよい。
(9)前記第1群に属するブレーキシリンダのうちの一部に対応して設けられた前記電磁減圧制御弁を前記減圧用電磁リニア弁として残りを前記減圧用電磁開閉弁とし、前記第2群に属するブレーキシリンダのうちの一部に対応して設けられた前記電磁減圧制御弁を前記減圧用電磁リニア弁として残りを前記減圧用電磁開閉弁とした(6)項ないし(8)項のいずれか1つに記載の液圧ブレーキ装置(請求項7)
減圧用電磁リニア弁が、第1群、第2群のそれぞれに設けられる。なお、増圧用電磁リニア弁についても同様に、第1群、第2群のそれぞれに設けることができる。本項に記載の液圧ブレーキ装置においては、分離弁によって第1主通路と第2主通路とが遮断された状態においても、複数のブレーキシリンダの液圧を減圧用電磁リニア弁の制御により滑らかに制御することが可能となる。
本項に記載の液圧ブレーキ装置においては、第1群、第2群にそれぞれ2つ以上のブレーキシリンダが属することになる。例えば、第1群に左右前輪のブレーキシリンダが属し、第2群に左右後輪のブレーキシリンダが属する場合において、右前輪のブレーキシリンダと左前輪のブレーキシリンダとのいずれか一方に対応する電磁減圧制御弁が電磁リニア弁とされるとともに他方が電磁開閉弁とされ、右後輪のブレーキシリンダと左後輪のブレーキシリンダとのいずれか一方に対応する電磁減圧制御弁が電磁リニア弁とされるとともに他方が電磁開閉弁とされる。
(10)前記第2主通路が、前記第1主通路と別に設けられた(6)項、(7)項、(9)項のいずれか1つに記載の液圧ブレーキ装置
本項に記載の液圧ブレーキ装置においては、第1主通路と第2主通路とが別に設けられ、第1主通路と第2主通路とのそれぞれにブレーキシリンダが接続されるのであり、液圧ブレーキ回路が2系統とされる。
そして、ブレーキ系統毎に電磁減圧制御弁の一部が電磁リニア弁とされた場合には、ブレーキ系統毎に、減圧用電磁リニア弁の制御により、1つ以上のブレーキシリンダの液圧が共通に制御されることになる。このように、ブレーキ系統毎にブレーキシリンダ液圧がそれぞれ制御されるようにすれば、分離弁の開状態において、複数のブレーキシリンダ液圧が共通に制御される場合に比較して、分離弁の絞り機能による液圧の伝達遅れを回避することができ、ブレーキシリンダの液圧をより正確に制御することができる。
(11)前記液圧発生装置が、(a)前記車両のブレーキ操作部材の操作力に応じた液圧を発生させる2つのマニュアル液圧発生部を備えたマニュアル液圧源と、(b)動力の供給により、前記ブレーキ操作部材の操作とは関係なく液圧を発生させ得る動力液圧源とを含み、前記動力液圧源が前記第1主通路と前記第2主通路とにそれぞれ接続されるとともに、前記2つのマニュアル液圧発生部のうちの一方が前記第1主通路に接続されて前記他方が前記第2主通路に接続され、かつ、当該液圧ブレーキ装置が、前記第1主通路および前記第2主通路の各々と前記動力液圧源との間にそれぞれ設けられた増圧用電磁リニア弁を含む(6)項ないし(10)項のいずれか1つに記載の液圧ブレーキ装置
本項に記載の液圧ブレーキ装置においては、ブレーキ系統毎に増圧用電磁リニア弁と減圧用電磁リニア弁とが設けられ、ブレーキ系統毎に、1つ以上のブレーキシリンダの液圧が、増圧用電磁リニア弁と減圧用電磁リニア弁とにより共通に制御される。本項に記載の液圧ブレーキ装置は、分離弁を含む場合にも含まない場合にも適用することができる。
(12)前記第1群と前記第2群とのいずれか一方の群に属するブレーキシリンダに対応して設けられた前記電磁減圧制御弁を前記減圧用電磁リニア弁とし、前記第1群と前記第2群との他方の群に属するブレーキシリンダに対応して設けられた前記電磁減圧制御弁を前記減圧用電磁開閉弁とした(6)項ないし(8)項、(10)項、(11)項のいずれか1つに記載の液圧ブレーキ装置(請求項6)。
例えば、液圧ブレーキ装置が前後2系統である場合には、前輪ブレーキ系統と後輪ブレーキ系統とのいずれか一方について、すべての電磁減圧制御弁が減圧用電磁リニア弁とされ、他方について、すべての電磁減圧制御弁が減圧用電磁開閉弁とされる。例えば、前輪ブレーキ系統に属する左前輪のブレーキシリンダに対応する電磁減圧制御弁と右前輪ブレーキシリンダに対応する電磁減圧制御弁との両方を電磁リニア弁とするのである。液圧ブレーキ装置がX配管である場合には、互いに対角位置にある2つのブレーキシリンダを含む2つのブレーキ系統のうちの一方について、例えば、右前輪のブレーキシリンダに対応する電磁減圧制御弁と左後輪のブレーキシリンダに対応する電磁減圧制御弁との両方が減圧用電磁リニア弁とされ、他方について、例えば、左前輪、右後輪のブレーキシリンダに対応する電磁減圧制御弁が減圧用電磁開閉弁とされる。
前後2系統である場合において、ブレーキシリンダの液圧が同じ場合に、設計上、前輪に加わる制動力が後輪に加わる制動力より大きくなるようにされるのが普通である。その場合に、前輪ブレーキ系統においてすべての電磁減圧制御弁を減圧用電磁開閉弁とし、後輪ブレーキ系統においてすべての電磁減圧制御弁を減圧用電磁リニア弁とした方が、フェールセーフ上望ましい。
(13)前記いずれか一方の群に属するブレーキシリンダが左右の後輪のブレーキシリンダであり、前記減圧用電磁リニア弁が左右後輪のブレーキシリンダに共通に設けられた(12)項に記載の液圧ブレーキ装置。
左右後輪のブレーキシリンダの液圧が1つの減圧用電磁リニア弁の制御により共通に制御されるようにすれば、ブレーキシリンダの液圧が個別に制御される場合に比較して、電磁リニア弁の個数を減らすことができ、コストアップを抑制することができる。また、液圧ブレーキ装置のうち電磁減圧制御弁、電磁増圧制御弁等を含む液圧制御アクチュエータを小形化することができ、質量を小さくすることができる。
なお、電磁増圧制御弁も左右後輪のブレーキシリンダに共通とすることもできる。
(14)前記減圧用電磁開閉弁に対応する電磁増圧制御弁と前記減圧用電磁リニア弁に対応する電磁増圧制御弁とのいずれか一方の流路面積を他方の流路面積より大きくするとともに、その流路面積が大きくされた電磁増圧制御弁とそれに対応するブレーキシリンダとの間に絞り機能部を設けた(1)項ないし(13)項のいずれか1つに記載の液圧ブレーキ装置(請求項8、14)。
複数のブレーキシリンダ液圧の減圧制御が、減圧用電磁リニア弁の制御により行われる場合において、減圧用電磁開閉弁に対応するブレーキシリンダの作動液は、少なくとも、それに対応する電磁増圧制御弁と、減圧用電磁リニア弁に対応する電磁増圧制御弁と、減圧用電磁リニア弁とを経て流出させられる。換言すれば、ブレーキシリンダ(減圧用電磁開閉弁に対応する)と減圧用電磁リニア弁との間には、少なくとも2つの電磁増圧制御弁が直列に位置することになる。そのため、減圧用電磁開閉弁に対応するブレーキシリンダから作動液が流出する場合の流路抵抗が大きくなり、減圧遅れが生じる。それに対して、2つの電磁増圧制御弁の一方の流路面積を大きくすれば、両方とも流路面積が小さい場合に比較して、流路抵抗を小さくすることができ、減圧遅れを抑制することができる。
一方、電磁増圧制御弁の流路面積を大きくすると、それに対応するブレーキシリンダの液圧の増加勾配が大きくなる。特に、アンチロック制御等において増圧勾配が過大になることは望ましくない。それに対して、流路面積が大きくされた電磁増圧制御弁と、それに対応するブレーキシリンダとの間に絞り機能部を設ければ、増圧勾配が過大となることを抑制することができる。
また、すべての電磁増圧制御弁(減圧用電磁開閉弁に対応する電磁増圧制御弁と減圧用電磁リニア弁に対応する電磁増圧制御弁との両方)の流路面積を大きくすれば、減圧用電磁開閉弁に対応するブレーキシリンダの液圧の減圧遅れを良好に抑制することができるが、すべてのブレーキシリンダに対応して絞り機能部が必要となり、望ましくない。そこで、本項に記載の液圧ブレーキ装置においては、減圧用電磁開閉弁に対応する増圧電磁制御弁と減圧用電磁リニア弁に対応する増圧電磁制御弁とのいずれか一方の流路面積を他方より大きくしたのであり、直列に位置する2つの電磁増圧制御弁のうちの一方の流路面積を他方より大きくしたのである。
なお、減圧用電磁開閉弁に対応する電磁増圧制御弁の流路面積を大きくしても、減圧用電磁リニア弁に対応する電磁増圧制御弁の流路面積を大きくしてもよい。
また、絞り機能部は、ブレーキ回路に設けられた液通路のうち、ブレーキシリンダと電磁増圧制御弁との間の部分(以下、ブレーキシリンダ側部分通路と称する)の一部の流路面積が小さくされた部分(絞り)から構成されたものであっても、ブレーキシリンダ側部分通路全体(流路面積が他のブレーキシリンダに対応する部分より小さくされた)から構成されたものであってもよい。
(15)前記減圧用電磁リニア弁に対応する電磁増圧制御弁の流路面積を、前記減圧用電磁開閉弁に対応する電磁増圧制御弁の流路面積より大きくするとともに、前記流路面積が大きくされた方の電磁増圧制御弁とそれに対応するブレーキシリンダとの間に絞り機能部を設けた(1)項ないし(14)項のいずれか1つに記載の液圧ブレーキ装置。
(16)前記減圧用電磁リニア弁が、左右前輪のブレーキシリンダと左右後輪のブレーキシリンダとのいずれか一方に対応して設けられ、前記左右後輪のブレーキシリンダに対応する電磁増圧制御弁の流路面積を、前記左右前輪のブレーキシリンダに対応する電磁増圧制御弁の流路面積より大きくするとともに、その左右後輪のブレーキシリンダとそれに対応する電磁増圧制御弁との間に絞り機能部を設けた(1)項ないし(15)項のいずれか1つに記載の液圧ブレーキ装置。
流路面積が大きくされた電磁増圧制御弁とブレーキシリンダとの間に絞り機能部が設けられる。また、後述するように、絞り機能部と並列に逆止弁も設けられる。この場合に、より応答性が求められる前輪側に絞りを設けることは車両の挙動上望ましくないことから、絞り機能部や逆止弁は、後輪側に設けた方が前輪側に設けるより望ましい。
(17)前記絞り機能部と並列に、前記ブレーキシリンダと前記電磁増圧制御弁とを、前記絞り機能部をバイパスして接続するバイパス通路を設けるとともに、そのバイパス通路に前記ブレーキシリンダからの作動液の流出を許容し、流入を阻止する逆止弁を設けた(14)項ないし(16)項のいずれか1つに記載の液圧ブレーキ装置。
絞り機能部をバイパスする通路を設けるとともに、バイパス通路に逆止弁を設ければ、ブレーキシリンダ液圧の増圧勾配が過大となることを防止しつつ、減圧遅れを抑制することができる。
(18)前記液圧発生装置が、(a)動力の供給により、前記車両のブレーキ操作部材の操作とは関係なく液圧を発生させ得る動力液圧源と、(b)その動力液圧源の液圧を利用して、前記車両のブレーキ操作部材の操作力を倍力し、その倍力した大きさの液圧を発生させるマニュアル液圧源としての液圧ブースタとを含み、当該液圧ブレーキ装置が、(c)前記主通路と前記動力液圧源との間に設けられ、供給電流の連続的な変化により、前記動力液圧源と前記主通路との間の差圧を連続的に変化させ得る動力側増圧用電磁リニア弁と、(d)前記主通路と前記液圧ブースタとの間に設けられ、供給電流の連続的な変化により、前記液圧ブースタと前記主通路との間の差圧を連続的に変化させ得るブースタ側増圧用電磁リニア弁とを含む(1)項ないし(10)項,(12)項ないし(17)項のいずれか1つに記載の液圧ブレーキ装置(請求項15)。
本項に記載の液圧ブレーキ装置においては、動力液圧源と主通路との間に設けられた増圧用電磁リニア弁と、液圧ブースタ(ブースタ室)と主通路との間に設けられた増圧用電磁リニア弁との両方の制御により主通路の液圧が制御される。そして、すべての電磁増圧制御弁の開状態においては複数のブレーキシリンダ液圧が共通に制御される。
複数のブレーキシリンダの液圧が2つの増圧用電磁リニア弁の制御により増圧制御される場合には、1つの増圧用電磁リニア弁の制御により増圧制御される場合に比較して、複数のブレーキシリンダの液圧の増圧勾配を同じにした場合に、増圧用電磁リニア弁各々の開度を小さくすることができる。常閉の電磁リニア弁においては、閉状態から開状態に切り換わる場合に、弁子が弁座に摺動しつつ移動する。そのため、電磁リニア弁の開度を大きくする場合には、弁子の弁座に対する相対移動量が大きくなり、その分、弁子の摩耗量が大きくなる。それに対して開度を小さくすれば、相対移動量を小さくすることができ、摩耗量を小さくすることができ、電磁リニア弁の寿命を長くすることができる。
また、複数のブレーキシリンダの液圧が、2つの増圧用電磁リニア弁のうちの1つが選択され、選択された1つの増圧用電磁リニア弁の制御によって増圧制御される場合には、増圧用電磁リニア弁各々の作動回数を減らすことができ、それによって電磁リニア弁の寿命を長くすることもできる。
さらに、電磁リニア弁と電磁開閉弁とでは、電磁開閉弁においては、開閉作動に伴って供給電流のON・OFF制御が行われるため、弁子が弁座に着座する際に大きな音がする。それに対して、電磁リニア弁において、開状態から閉状態に切り換える際に弁子が弁座に軟着陸するように供給電流が制御される場合には、作動音を小さくすることができる。そのため、電磁開閉弁の個数が減って電磁リニア弁の個数が増えれば、システム全体の作動音を軽減することができる。
(19)前記動力側増圧用電磁リニア弁と前記ブースタ側増圧用電磁リニア弁とが、それぞれ、(i)(a)弁座と、(b)その弁座に接近・離間可能に設けられた弁子と、(c)その弁子を前記弁座に対して接近させる向きに付勢力を付与するスプリングとを含むシーティング弁と、(ii)前記弁子を前記弁座から離間させる向きに供給電流に応じた電磁駆動力を付与するソレノイドとを含み、前記弁子を前記弁座から離間させる向きに、前後の差圧に応じた差圧作用力が加わる状態で配設されたものであり、前記ブレーキ液圧制御装置が、前記ソレノイドへの供給電流を、前後の差圧で決まる開弁電流と、前記ブレーキシリンダ液圧の要求変化勾配に応じて決まる要求勾配対応電流との和に基づいて決める供給電流決定部を含むとともに、その供給電流決定部が、前記動力側増圧用電磁リニア弁と前記ブースタ側増圧用電磁リニア弁との両方に電流を供給する場合には、いずれか一方に供給する場合より、前記要求勾配対応電流を小さくする開度抑制型供給電流決定部を含む(18)項に記載の液圧ブレーキ装置。
シーティング弁において、弁子の弁座に対する相対位置は、前後の差圧に応じた差圧作用力、電磁駆動力、スプリングの付勢力の関係で決まり、差圧作用力と電磁駆動力との和がスプリングの付勢力より大きい場合に、シーティング弁は開状態にある。また、シーティング弁の開度は、前後の差圧が同じ場合に電磁駆動力が大きい場合は小さい場合より大きくなる。
複数のブレーキシリンダの液圧を同じ勾配で増圧制御する場合に、2つの増圧用電磁リニア弁への供給電流が制御される場合には、1つの増圧用電磁リニア弁への供給電流が制御される場合に比較して、増圧用電磁リニア弁個々の開度を小さくすることができるのであり、個々の供給電流を小さくすることができる。この場合において、開弁電流は電磁リニア弁の開度の大きさには関係がないため、要求勾配対応電流が小さくされると考えるのが妥当である。
(20)前記ブレーキ液圧制御装置が、前記ブレーキ操作部材の操作状態を検出するブレーキ操作状態検出装置と、前記ブレーキシリンダの実際の液圧が、前記ブレーキ操作状態検出装置によって検出されたブレーキ操作状態に基づいて決まる要求制動力に対応する目標液圧に近づくように、少なくとも、前記減圧用電磁リニア弁への供給電流を制御する要求制動力対応電流制御部とを含む(1)項ないし(19)項のいずれか1つに記載の液圧ブレーキ装置(請求項3)。
要求制動力対応電流制御は、例えば、通常ブレーキ作動時に実行される場合、回生協調制御において実行される場合等がある。回生協調制御においては、要求制動力と実際の回生制動力とに基づいて要求液圧制動力が決められ、要求液圧制動力が得られるようにブレーキシリンダの目標液圧が決められる。
(21)当該液圧ブレーキ装置が、前記主通路と前記液圧発生装置との間に設けられ、供給電流の連続的な変化により、前記液圧発生装置と前記主通路との間の差圧を連続的に変化させ得る増圧用電磁リニア弁を含み、前記ブレーキ液圧制御装置が、前記車両のブレーキ操作部材の操作状態を検出するブレーキ操作状態検出装置と、そのブレーキ操作状態検出装置によって緊急ブレーキ操作であることが検出された場合に、前記ブレーキシリンダの実際の液圧が、前記ブレーキ操作状態で決まる要求制動力に対応する液圧より大きい目標液圧に近づくように、前記増圧用電磁リニア弁と前記減圧用電磁リニア弁とへの供給電流を制御するブレーキアシスト制御部とを含む(1)項ないし(20)項のいずれか1つに記載の液圧ブレーキ装置。
(22)当該液圧ブレーキ装置が、前記主通路と前記液圧発生装置との間に設けられ、供給電流の連続的な変化により、前記液圧発生装置と前記主通路との間の差圧を連続的に変化させ得る増圧用電磁リニア弁を含み、前記ブレーキ液圧制御装置が、自車両の前方車両に対する相対位置関係を取得する車間状態検出装置と、その車間状態検出装置によって前方車両との相対位置関係が前記液圧ブレーキを作動させることが必要である関係であることが検出された場合に、前記ブレーキ操作部材が操作されていなくても、前記ブレーキシリンダの実際の液圧が前記相対位置関係で決まる目標液圧に近づくように、前記増圧用電磁リニア弁と前記減圧用電磁リニア弁とへの供給電流を制御するクルージング制御部とを含む(1)項ないし(21)項のいずれか1つに記載の液圧ブレーキ装置。
液圧発生装置が、動力の供給により、液圧を発生させる動力液圧源を含む場合には、液圧ブレーキを自動で作動させたり(ブレーキ操作部材が操作されなくても作動させたり)、ブレーキシリンダの液圧を、運転者のブレーキ操作状態とは関係ない大きさに制御したりすることができる。ブレーキシリンダの液圧は、動力液圧源と主通路との間の増圧用電磁リニア弁の制御により増圧制御される。
なお、ブレーキ液圧制御装置は、車両が坂道で停止している場合に、ブレーキシリンダの液圧を路面の傾斜状態に応じた大きさに制御するヒルホールド制御手段を含むものとしたり、停止中に駆動源を停止させた場合にブレーキシリンダの液圧を車両を停止させ得る大きさに制御する手段を含むものとしたりすることもできる。
また、動力液圧源が、出力液圧が制御可能なものである場合には、増圧用電磁リニア弁は不要であり、出力液圧の制御により、ブレーキシリンダの液圧を増圧制御することが可能となる。
(23)前記低圧源を、大気圧で作動液を収容するリザーバタンクとする(1)項ないし(22)項のいずれか1つに記載の液圧ブレーキ装置(請求項9)。
本項に記載の液圧ブレーキ装置においては、低圧源がスプリングの付勢力に抗して作動液を収容するものではない。そのため、ブレーキシリンダがリザーバタンクに連通させられた場合に、ブレーキシリンダの液圧をほぼ大気圧まで低下させることができる。
(24)前記ブレーキ液圧制御装置が、前記減圧用電磁リニア弁のうちの少なくとも1つの異常時に、その異常である少なくとも1つの減圧用電磁リニア弁に対応する電磁増圧制御弁を閉状態として、複数のブレーキシリンダからその閉状態とされた電磁増圧制御弁に対応するブレーキシリンダを除くブレーキシリンダの液圧を制御する異常時液圧制御手段を含む(1)項ないし(23)項のいずれか1つに記載の液圧ブレーキ装置(請求項10)。
本項に記載の液圧ブレーキ装置においては、液漏れが検出された減圧用電磁リニア弁に対応する電磁増圧制御弁が閉状態とされる。それによって、開状態にある電磁増圧制御弁に対応するブレーキシリンダに液圧を確実に発生させて、制動力を加えることができる。
なお、減圧用電磁リニア弁すべてが異常であると検出され、それらに対応する電磁増圧制御弁が閉状態とされた場合には、残りのブレーキシリンダにマニュアル液圧源が連通させられるようにすることが望ましい。
(25)前記液圧発生装置が、(a)動力の供給により液圧を発生させ得る動力液圧源と、(b)その動力液圧源を含み、その動力液圧源の液圧を利用して、前記ブレーキ操作部材の操作力を倍力し、その倍力した大きさの液圧を発生させる液圧ブースタとのいずれか一方を含み、前記ブレーキ液圧制御装置が、(a)前記動力液圧源の出力液圧が設定範囲内に保たれるように、動力を供給する出力液圧制御部と、(b)前記液圧ブレーキの作用中に、前記出力液圧制御部によって動力が供給される時間が液漏れ判定時間より長い場合に、前記減圧用電磁リニア弁の少なくとも1つに液漏れがあると検出する動力供給時間依拠液漏れ検出装置とを含む(1)項ないし(24)項のいずれか1つに記載の液圧ブレーキ装置(請求項16)。
本項に記載の液圧ブレーキ装置においては、液圧ブレーキの作用状態において、液漏れの有無が検出される。
動力液圧源に動力が供給され、作動させられている間に、減圧用電磁リニア弁から作動液が漏れると、動力液圧源の出力液圧を設定範囲内に保つために動力の供給時間が長くなる。したがって、動力供給時間が液漏れ判定時間より長い場合には、減圧用電磁リニア弁の少なくとも1つに液漏れがあると検出することができる。
なお、動力の供給により動力液圧源の作動部が作動させられるため、動力供給時間は動力液圧源の作動時間であると考えることもできる。
また、動力供給時間は、動力の供給開始から供給停止までの間の時間(1回の連続動力供給時間)としたり、1回のブレーキの作動開始から解除までの間、あるいは、異常検出中の動力供給時間の和の時間(累積動力供給時間)としたりすることができる。
(26)前記液圧発生装置が、(a)作動液を汲み上げて加圧して吐出するポンプと、(b)そのポンプを駆動するポンプモータと、(c)前記ポンプによって吐出された作動液を加圧した状態で蓄えるアキュムレータとを含み、前記出力液圧制御部が、前記アキュムレータに蓄えられる作動液の液圧が設定範囲の下限値で決まる下側しきい値より小さい場合に、ポンプモータを始動させ、設定範囲の上限値で決まる上側しきい値より大きくなると停止させるポンプモータ制御部を含む(25)項に記載の液圧ブレーキ装置。
出力液圧制御部は、アキュムレータ圧が下側しきい値より低くなるとポンプモータを始動させ(電力供給を開始し)、上側しきい値より大きくなると停止させる(電力供給を終了する)。それによって、アキュムレータ圧を設定範囲内に保つことができる。この意味において、ポンプモータ制御部はアキュムレータ圧制御部と称することができる。
減圧用電磁リニア弁において液漏れが有ると、アキュムレータの作動液が連続的に消費されることが多く、そのため、ポンプモータが始動させられた後、アキュムレータ圧が上側しきい値より大きくなるまでに長時間を要し、ポンプモータの連続作動時間が長くなる。したがって、ポンプモータの連続作動時間が液漏れ判定時間より長い場合には液漏れが有るとされる。液漏れ判定時間は、液漏れがない場合に、アキュムレータ圧を下側しきい値から上側しきい値まで増加させるのに要する時間より長い時間とすることができる。
また、アキュムレータ圧が上側しきい値より大きくなり、ポンプモータの作動が停止させられた後においても、アキュムレータの作動液が消費されるため、アキュムレータ圧は小さくなり、再度、ポンプモータが始動させられる。その結果、ポンプモータの非作動時間が短くなるのであり、1回のブレーキ作動・解除までの間、あるいは、異常検出中の作動時間の和が長くなる。そのため、累積作動時間が液漏れ判定時間より長くなると、液漏れが有るとすることができる。
なお、下側しきい値を下限値とし、上側しきい値を上限値とすることができる。
また、累積作動時間についての液漏れ判定時間と作動時間についての液漏れ判定時間とは、互いに同じであっても異なっていてもよい。
(27)前記液圧発生装置が、作動液を汲み上げて加圧して吐出するポンプと、そのポンプを駆動するポンプモータとを含み、前記動力供給時間依拠液漏れ検出部が、前記ポンプモータへ電流を供給する蓄電装置の出力電圧に基づいて前記液漏れ判定時間を決定する液漏れ判定時間決定部を含む(25)項または(26)項に記載の液圧ブレーキ装置(請求項17)。
蓄電装置の出力電圧、すなわち、ポンプモータの端子電圧が低い場合は高い場合より、ポンプの回転数が小さくなる。ポンプの回転数が小さい場合は大きい場合より、吐出流量が小さくなり、液圧発生装置の出力液圧を同じだけ増加させるのに要する時間が長くなる。そのため、出力電圧が低い場合は高い場合より液漏れ判定時間が長い値に決定されるようにすることが望ましい。本項に記載の動力供給時間依拠液漏れ検出部は、ポンプモータの端子電圧を検出する端子電圧検出部を含むものとされる。
また、蓄電装置の出力電圧は、蓄電装置に蓄えられた電気エネルギの容量が多い場合は少ない場合より低くなる。したがって、液漏れ判定時間は、蓄電装置に蓄えられた容量に基づいて決めることもできる。容量が多い場合は少ない場合より液漏れ判定時間を短い値に決定することができる。蓄電装置に蓄えられた電気エネルギの容量は取得可能な場合もある。動力供給時間依拠液漏れ検出部は、蓄電装置に蓄えられた電気エネルギの容量を取得するチャージ量取得部を含むものとされる。
さらに、蓄電装置の容量、出力電圧をその都度取得し、取得された値に基づいて液漏れ判定時間を決定することは不可欠ではなく、予め、蓄電装置の容量が少ないことも想定して、液漏れ判定時間を長めの値に決定しておくことも可能である。それによって、本来、液漏れが生じていないのに、誤って、液漏れが生じたと検出することを回避することができる。
(28)前記液圧発生装置が、車両のブレーキ操作部材の操作力に応じた液圧を発生させるとともに、前記ブレーキ操作部材のストロークの増加に伴って作動液を供給するマスタシリンダを含み、前記ブレーキ液圧制御装置が、前記複数のブレーキシリンダのうちの少なくとも1つの液圧に対して前記ストロークが大きい場合に、前記減圧用電磁リニア弁の少なくとも1つに液漏れがあると検出するストローク依拠液漏れ検出装置を含む(1)項ないし(27)項のいずれか1つに記載の液圧ブレーキ装置。
(29)前記複数のブレーキシリンダが、第1群に属する1つ以上のブレーキシリンダと、第2群に属する別の1つ以上のブレーキシリンダとを含み、前記主通路が、前記第1群に属するブレーキシリンダが接続された第1主通路と前記第2群に属するブレーキシリンダが接続された第2主通路とを含み、前記減圧用電磁リニア弁が前記第1群と前記第2群とのいずれか一方の群に属するブレーキシリンダのうちの少なくとも1つに対応して設けられ、残りのブレーキシリンダに対応して減圧用電磁開閉弁が設けられた(1)項ないし(28)項のいずれか1つに記載の液圧ブレーキ装置。
本項に記載の液圧ブレーキ装置においては、2つのブレーキ系統のうちの一方のブレーキ系統に減圧用電磁リニア弁が設けられるが、他方のブレーキ系統には減圧用電磁リニア弁は設けられない。減圧用電磁リニア弁は1つである場合、2つ以上である場合があるが、いずれにしても、減圧用電磁リニア弁のすべてが一方のブレーキ系統に属する。
そのため、減圧用電磁リニア弁の液漏れに起因する異常、例えば、減圧用電磁リニア弁における液漏れに起因する液圧低下等は一方のブレーキ系統において生じ、他方のブレーキ系統において生じることはない。
また、後述するように、減圧用電磁リニア弁の液漏れに起因して液圧発生装置に異常が生じる場合もあるが、その異常は、第1主通路と第2主通路とのうち、一方のブレーキ系統のブレーキシリンダが接続された通路に接続された液圧発生装置に生じる。
(30)前記ブレーキ液圧制御装置が、前記第1主通路と前記第2主通路とが遮断された状態において、前記減圧用電磁リニア弁のうちの少なくとも1つにおける液漏れの有無を検出する液漏れ有無検出部を含む(29)項に記載の液圧ブレーキ装置。
第1主通路と第2主通路とが遮断された状態には、第1主通路と第2主通路とが分離弁によって遮断された状態、第1主通路と第2主通路とが別に(互いに独立に、連通することなく)設けられた状態等が該当する。
(31)前記ブレーキ液圧制御装置が、前記第1主通路と前記第2主通路とが遮断された状態において、前記一方の群のブレーキシリンダを含む一方のブレーキ系統の液圧が前記他方の群のブレーキシリンダを含む他方のブレーキ系統の液圧に対して低い場合に、前記減圧用電磁リニア弁のうちの少なくとも1つにおいて液漏れが有るとする液圧依拠液漏れ検出部を含む(29)項または(30)項に記載の液圧ブレーキ装置(請求項18)。
第1主通路と第2主通路とが遮断された状態において、一方のブレーキ系統の液圧が他方のブレーキ系統の液圧に対して低い場合には、一方のブレーキ系統に液漏れが有ると検出される。減圧用電磁リニア弁のうちの少なくとも1つから液漏れが生じたと推定されるのである。
一方のブレーキ系統の液圧が他方のブレーキ系統の液圧に対して低い場合には、一方の液圧Paが他方のブレーキ系統の液圧Pbより液漏れ判定しきい値ΔPth以上小さい場合(Pa<Pb−ΔPth)、一方の液圧Paが他方の液圧Pbに設定比率(1より小さい液漏れ判定比率γ)を掛けた値より小さい場合(Pa<Pb・γ)、一方の液圧Paが他方の液圧Pbで決まる関数値より小さい場合{Pa<f(Pb)}等が該当する。いずれにしても、測定誤差ではなく、減圧用電磁リニア弁の液漏れが有ると判定し得るだけ低い場合に、一方のブレーキ系統に液漏れがあるとされる。
なお、動力供給時間、2つのブレーキ系統の液圧、ストロークのうちの2つ以上に基づいて液漏れの有無が検出されるようにすることができる。例えば、(i)動力供給時間が液漏れ判定時間より長く、かつ、一方のブレーキ系統の液圧が他方のブレーキ系統の液圧に対して低い場合に、減圧用電磁リニア弁が異常であるとしたり、(ii)動力供給時間が液漏れ判定時間より長く、かつ、ストロークが液圧に対して大きい場合に、異常であるとしたり、(iii)一方のブレーキ系統の液圧が他方のブレーキ系統の液圧に対して低く、かつ、ストロークが液圧に対して大きい場合に、異常であるとしたり、(iv)動力供給時間が液漏れ判定時間より長く、かつ、ストロークが液圧に対して大きく、かつ、一方のブレーキ系統の液圧が他方の液圧に対して低い場合に、異常であるとしたりすることができる。
(32)前記ブレーキ液圧制御装置が、前記液圧依拠液漏れ検出部によって前記減圧用電磁リニア弁のうちの少なくとも1つにおいて液漏れが有ると検出された場合に、(i)前記一方のブレーキ系統に設けられた減圧用電磁リニア弁に対応する電磁増圧制御弁のうちの1つを閉状態とするとともに残りの電磁増圧制御弁を開状態とし、その状態において、前記一方のブレーキ系統の液圧と前記他方のブレーキ系統の液圧との関係が正常である場合に、その閉状態にある電磁増圧制御弁に対応する減圧用電磁リニア弁に液漏れが有るとする第1液圧依拠液漏れ弁特定部と、(ii)前記一方のブレーキ系統に設けられた減圧用電磁リニア弁に対応する電磁増圧制御弁のうちの1つを開状態とするとともに残りの電磁増圧制御弁を閉状態とし、その状態において、前記一方のブレーキ系統の液圧と前記他方のブレーキ系統の液圧との関係が正常である場合に、その開状態にある電磁増圧制御弁に対応する減圧用電磁リニア弁には液漏れがないとする第2液圧依拠液漏れ弁特定部との少なくとも一方を含む(31)項に記載の液圧ブレーキ装置(請求項19)。
本項に記載の液圧ブレーキ装置においては、液圧依拠液漏れ検出部によって一方のブレーキ系統に含まれる減圧用電磁リニア弁の少なくとも1つにおいて液漏れが有ると検出された場合に、液漏れが有るのがいずれの減圧用電磁リニア弁であるのかが特定される。液漏れが有る減圧用電磁リニア弁は、1つの場合と2つ以上の場合とがある。また、一方のブレーキ系統に含まれる減圧用電磁リニア弁すべてである場合や減圧用電磁リニア弁のうちの一部である場合等がある。なお、本項に記載の液圧ブレーキ装置においては、増圧電磁制御弁は正常であり、液通路に液漏れはないものとする。
例えば、一方のブレーキ系統に2つの減圧用電磁リニア弁A,Bが含まれる場合に、2つの減圧用電磁リニア弁A,Bのうちの一方の減圧用電磁リニア弁Aに対応する電磁増圧制御弁Aを閉状態とし他方の減圧用電磁リニア弁Bに対応する電磁増圧制御弁Bを開状態とする。この場合に、一方のブレーキ系統の液圧が他方のブレーキ系統の液圧との関係において正常である場合(以下、単に一方のブレーキ系統の液圧が正常である場合と略称する)には、減圧用電磁リニア弁Aにおいて液漏れが有ると検出することができる。また、一方のブレーキ系統の液圧が他方のブレーキ系統に対して小さい場合(以下、単に一方のブレーキ系統の液圧が異常である場合と略称する)には、減圧用電磁リニア弁Bにおいて液漏れが有ると検出することができるが、減圧用電磁リニア弁Aには液漏れが有るか否かは明らかではない。次に、減圧用電磁リニア弁Bに対応する電磁増圧制御弁Bを閉状態とし電磁増圧制御弁Aを開状態とした場合に、一方のブレーキ系統の液圧が正常である場合には、これら2つの結果から、減圧用電磁リニア弁Bに液漏れが有り、減圧用電磁リニア弁Aに液漏れはないことが明らかであるが、一方のブレーキ系統の液圧が異常である場合には、減圧用電磁リニア弁A,Bの両方に液漏れが有るとすることができる。このように、一方のブレーキ系統に2つの減圧用電磁リニア弁が設けられる場合には、減圧用電磁リニア弁に対応する電磁増圧制御弁を1つずつ閉状態として、それぞれ、一方のブレーキ系統の液圧と他方のブレーキ系統の液圧とを比較すれば、減圧用電磁リニア弁の各々において液漏れの有無を検出することができるのであり、液漏れが有る減圧用電磁リニア弁を特定することができる。
一方のブレーキ系統に3つの減圧用電磁リニア弁A,B,Cが設けられた場合において、(i)電磁増圧制御弁Aの閉状態、電磁増圧制御弁B,Cの開状態において一方のブレーキ系統の液圧が正常である場合には、減圧用電磁リニア弁Aに液漏れが有り(異常であり)、減圧用電磁リニア弁B,Cには液漏れがない(正常である)とすることができる。電磁増圧制御弁B,Cの1つが閉状態とされ、残りが開状態とされた場合において一方のブレーキ系統の液圧が正常である場合についても同様である。
(ii)電磁増圧制御弁A,Bの閉状態、電磁増圧制御弁Cの開状態において一方のブレーキ系統の液圧が正常である場合には、減圧用電磁リニア弁Cが正常であることはわかる。しかし、減圧用電磁リニア弁A,B各々における液漏れの有無は不明である。
さらに、電磁増圧制御弁Bを開状態、電磁増圧制御弁A,Cを閉状態とした場合(あるいは、電磁増圧制御弁B,Cを開状態、電磁増圧制御弁Aを閉状態とした場合)に、一方のブレーキ系統の液圧が正常である場合には、減圧用電磁リニア弁Cは正常であるため、減圧用電磁リニア弁Bが正常で、減圧用電磁リニア弁Aが異常であることがわかる。それに対して、一方のブレーキ系統の液圧が異常である場合には、減圧用電磁リニア弁Bは異常であることがわかるが、減圧用電磁リニア弁Aが正常であるか否かが不明である。この場合には、電磁増圧制御弁B,Cを閉状態、電磁増圧制御弁Aを開状態とした場合に、一方のブレーキ系統の液圧が正常である場合には、減圧用電磁リニア弁Aは正常であるが、液圧が異常である場合には、減圧用電磁リニア弁Aも異常であることがわかる。
(33)前記液圧発生装置が、(a)動力の供給により、ブレーキ操作部材の操作とは関係なく、液圧を発生させ得る動力液圧源と、(b)その動力液圧源を含み、その動力液圧源の液圧を利用して、前記ブレーキ操作部材の操作力を倍力し、その倍力した大きさの液圧を発生させる液圧ブースタとのいずれか一方を含み、そのいずれか一方が、前記第1主通路と前記第2主通路とのうち前記一方の群のブレーキシリンダが接続された通路に接続され、前記ブレーキ液圧制御装置が、(i)前記動力液圧源の出力液圧が予め定められた設定範囲内に保たれるように、前記動力液圧源に供給される動力を制御する出力液圧制御部と、(ii)前記第1主通路と前記第2主通路とが遮断された状態において、前記出力液圧制御部の制御によって前記動力液圧源に動力が液漏れ判定時間以上供給された場合に、前記減圧用電磁リニア弁のうちの少なくとも1つにおいて液漏れが有るとする動力供給時間依拠液漏れ検出部とを含む(29)項ないし(32)項のいずれか1つに記載の液圧ブレーキ装置。
(34)前記ブレーキ液圧制御装置が、前記動力供給時間対応液漏れ検出部によって前記減圧用電磁リニア弁のうちの少なくとも1つにおいて液漏れが有ると検出された場合に、(a)前記一方のブレーキ系統に設けられた減圧用電磁リニア弁に対応する電磁増圧制御弁の
うちの1つを閉状態とするとともに残りを開状態とし、その状態における前記出力液圧制御部による前記動力の供給時間が液漏れ判定時間より短い場合に、その閉状態とされた電磁増圧制御弁に対応する減圧用電磁リニア弁に液漏れが有るとする第1動力供給時間依拠液漏れ弁特定部と、(b)前記一方のブレーキ系統に設けられた減圧用電磁リニア弁に対応する電磁増圧制御弁のうちの1つを開状態とするとともに残りを閉状態とし、その状態における前記出力液圧制御部による前記動力の供給時間が液漏れ判定時間より短い場合に、その開状態とされた電磁増圧制御弁に対応する減圧用電磁リニア弁には液漏れがないとする第2動力供給時間依拠液漏れ弁特定部含む(33)項に記載の液圧ブレーキ装置。
(35)前記液圧発生装置が、前記車両のブレーキ操作部材の操作力に応じた液圧を発生させ、ストロークの増加に伴って作動液を供給するマスタシリンダを含むとともに、そのマスタシリンダが前記第1主通路と前記第2主通路とのうちの前記一方の群に属するブレーキシリンダが接続された通路に接続され、前記ブレーキ液圧制御装置が、前記第1主通路と前記第2主通路とが遮断された状態において、前記一方の群のブレーキシリンダが属する一方のブレーキ系統の液圧に対して前記ブレーキ操作部材のストロークが大きい場合に、前記減圧用電磁リニア弁の少なくとも1つに液漏れが有るとするストローク依拠液漏れ検出部を含む(29)項ないし(34)項のいずれか1つに記載の液圧ブレーキ装置(請求項20)。
本項に記載の液圧ブレーキ装置において、マスタシリンダには、ブレーキ操作部材の操作により、その操作力に応じた液圧が発生させられ、ブレーキ操作部材のストロークの増加に伴って作動液が出力される。第1主通路と第2主通路とのうちの一方にマスタシリンダが接続され、その一方のブレーキ系統の液圧に対してブレーキ操作部材のストロークが大きい場合には、一方のブレーキ系統に液漏れが有るとすることができる。
なお、一方のブレーキ系統は、前輪ブレーキ系統とすることができる。フェールセーフ上、前輪のブレーキシリンダにマスタシリンダが連通可能な状態とすることが望ましいからである。
また、第1主通路と第2主通路とを連通した状態で液漏れの有無を検出することもできるが、遮断された状態における方が、ストロークが液圧に対して過大であるか否かをより正確に検出することができる。
(36)前記ブレーキ液圧制御装置が、前記ストローク依拠液漏れ検出部によって前記減圧用電磁リニア弁のうちの少なくとも1つにおいて液漏れがあると検出された場合に、(a)前記減圧用電磁リニア弁に対応する電磁増圧制御弁のうちの少なくとも1つを閉状態とするとともに残りを開状態とし、その状態における前記ブレーキ操作部材のストロークと前記一方のブレーキ系統の液圧との関係が正常である場合に、その閉状態とされた電磁増圧制御弁に対応する減圧用電磁リニア弁に液漏れが有るとする第1ストローク依拠液漏れ弁特定部と、(b)前記減圧用電磁リニア弁に対応する電磁増圧制御弁のうちの少なくとも1つを開状態とするとともに残りを閉状態とし、その状態における前記ブレーキ操作部材のストロークと前記一方のブレーキ系統の液圧との関係が正常である場合に、その開状態とされた電磁増圧制御弁に対応する減圧用電磁リニア弁には液漏れがないとする第2ストローク依拠液漏れ弁特定部含む(35)項に記載の液圧ブレーキ装置。
(37)前記複数のブレーキシリンダが、第1群に属する1つ以上のブレーキシリンダと、第2群に属する別の1つ以上のブレーキシリンダとを含み、前記主通路が、前記第1群に属するブレーキシリンダが接続された第1主通路と前記第2群に属するブレーキシリンダが接続された第2主通路とを含み、当該液圧ブレーキ装置が、前記第1主通路と前記第2主通路とを連通させる連通状態とこれらを遮断する遮断状態とに、供給電流の制御により切り換わる分離弁を含み、前記ブレーキ液圧制御装置が、前記分離弁の閉状態において、前記第1主通路の液圧と前記第2主通路の液圧との差を設定値以上とし、その状態で、前記分離弁が閉状態から開状態に切り換わるように供給電流の制御指令を出力した後に、前記第1主通路と前記第2主通路との少なくとも一方の液圧が異常判定しきい値以上変化しない場合に、前記分離弁が閉固着異常であるとする分離弁異常検出部を含む(1)項ないし(36)項のいずれか1つに記載の液圧ブレーキ装置(請求項11)。
第1主通路の液圧と第2主通路の液圧との差が設定値以上である場合において、分離弁が指令通りに閉状態から開状態に切り換われば、少なくとも一方の通路の液圧は、変化するはずである。それに対して、全く変化しないか、変化量が異常判定しきい値より小さい場合には、分離弁の閉固着異常であるとすることができる。分離弁の閉固着異常は、指令に応じて供給電流が制御されない場合、供給電流が制御されたにもかかわらず分離弁が作動しない場合等が該当する。
第1主通路の液圧と第2主通路の液圧とのいずれに基づいてもよいが、液圧検出装置が予め設けられている側の液圧が検出されるようにすれば、専用の液圧検出装置を設ける必要がなく、コストアップを抑制しつつ、分離弁の閉固着異常を検出することができる。
なお、設定値は、分離弁の閉固着異常を検出し得る液圧差であり、分離弁が開状態に切り換わったか否かを区別し得る大きさとすることができる。
このように、本項に記載の液圧ブレーキ装置においては、分離弁の開閉指令に伴う液圧変化に基づいて分離弁の閉固着異常が検出される。それに対して、特許文献6に記載の液圧ブレーキ装置においては、分離弁の閉状態における液圧変化に基づいて分離弁における液漏れが検出される点が異なる。そのため、特許文献6に記載の液圧ブレーキ装置においては、分離弁の異常検出の際に、開閉指令が出力されることがないが、本願に係る液圧ブレーキ装置においては、開閉指令が出力されることになる。
(38)前記液圧発生装置が、動力の供給により液圧を発生させ得る動力液圧源を含み、その動力液圧源が前記第1主通路と前記第2主通路とのいずれか一方の通路に接続され、前記分離弁異常検出部が、前記動力液圧源を作動させることにより、前記一方の通路の液圧を他方の通路の液圧より設定値以上大きくし、その状態で、前記分離弁が閉状態から開状態に切り換わるように供給電流の制御指令を出力した後に、前記他方の通路の液圧が異常判定しきい値以上大きくならない場合に、前記分離弁が閉固着異常であるとする不増加時異常検出部を含む(37)項に記載の液圧ブレーキ装置(請求項12)。
他方の通路の液圧は、分離弁が指令に応じて閉状態から開状態に切り換われば、それに応じて増加するはずである。それに対して、異常判定しきい値以上増加しない場合には、分離弁の閉固着異常であるとすることができる。
この場合に、他方の通路を含む閉領域を狭くしておけば、他方の通路の液圧の変化を良好に検出することができる。例えば、他方の通路に接続されたブレーキシリンダに対応する増圧電磁制御弁を閉状態とすれば、その分、他方の通路を含む閉領域が狭くなる。
(39)前記分離弁異常検出部が、前記第1主通路と前記第2主通路とのいずれか一方の通路に接続されたブレーキシリンダに対応する電磁減圧制御弁を開状態とすることにより、前記一方の通路の液圧を他方の通路の液圧より設定値以上小さくし、その状態で、前記分離弁が閉状態から開状態に切り換わるように供給電流の制御指令を出力した後に、前記他方の通路の液圧が異常判定しきい値以上小さくならない場合に、前記分離弁が閉固着異常であるとする不低下時異常検出部を含む(37)項または(38)項に記載の液圧ブレーキ装置(請求項13)。
一方の通路の液圧を低くした場合に、他方の通路の液圧は、分離弁の閉状態から開状態への切り換えに応じて低下するはずである。それに対して、それに応じて低下しない場合には、分離弁の閉固着異常であるとすることができる。
(40)前記分離弁異常検出部が、前記ブレーキ液圧制御装置が、前記分離弁の閉状態において、前記第1主通路と前記第2主通路とのいずれか一方の液圧を設定値以上変化させた場合に、他方の液圧が液漏れ判定しきい値以上変化した場合に、前記分離弁に液漏れが有ると検出する液圧変化時漏れ検出部を含む(37)項ないし(39)項のいずれか1つに記載の液圧ブレーキ装置。
前記分離弁の閉状態において、第1主通路と第2主通路とのいずれか一方の液圧を設定値以上変化させても他方の液圧は変化しないはずである。それに対して、他方の液圧が液漏れ判定しきい値以上変化した場合には、分離弁に液漏れが有るとすることができる。
本項に記載の異常検出は、分離弁を閉状態から開状態に切り換える指令が出力される以前に実行することができる。
(41)前記液圧発生装置が、前記車両のブレーキ操作部材の操作力に応じた液圧を発生させるマニュアル液圧発生部を含み、前記ブレーキ液圧制御装置が、前記分離弁異常検出装置によって、前記分離弁が閉固着異常であると検出された場合に、(i)前記複数のブレーキシリンダすべてにマニュアル液圧発生部を連通させる手段と、(ii)前記第1主通路と前記第2主通路とのうちの前記減圧用電磁リニア弁が設けられた側の通路に接続されたブレーキシリンダの液圧を制御し、他方の側に接続されたブレーキシリンダにマニュアル液圧源を連通させる手段と、(iii)前記第1主通路と前記第2主通路とのうちの前記減圧用電磁リニア弁が設けられた側の通路に接続されたブレーキシリンダの液圧を前記減圧用電磁リニア弁への供給電流の制御により制御し、他方の通路に接続されたブレーキシリンダの液圧を前記減圧用電磁開閉弁への供給電流のON・OFF制御により制御する手段との少なくとも1つを含む(37)項ないし(40)項のいずれか1つに記載の液圧ブレーキ装置。
(42)車両の複数の車輪に対応してそれぞれ設けられ、ブレーキシリンダの液圧により車輪の回転をそれぞれ抑制する複数の液圧ブレーキと、
液圧を発生可能な液圧発生装置と、
低圧源と、
前記液圧発生装置が接続されるとともに、前記複数のブレーキシリンダが接続された主通路と、
その主通路と前記複数のブレーキシリンダとの間に設けられた複数の電磁増圧制御弁と、
前記複数のブレーキシリンダと前記低圧源との間に設けられた複数の電磁減圧制御弁と、
それら複数の電磁減圧制御弁のうちの少なくとも1つにおける液漏れの有無を検出する液漏れ有無検出部と、
その液漏れ有無検出部によって液漏れがあると検出された電磁減圧制御弁に対応する電磁増圧制御弁を閉状態として、前記複数のブレーキシリンダから前記閉状態とされた電磁増圧制御弁に対応するブレーキシリンダ除くブレーキシリンダの液圧を制御する増圧弁閉時ブレーキシリンダ液圧制御装置と
を含む液圧ブレーキ装置。
本項に記載の液圧ブレーキ装置には、(1)項ないし(41)項のいずれかに記載の技術的特徴を採用することができる。
(43)車両の車輪の回転を、ブレーキシリンダの液圧により抑制する液圧ブレーキと、
前記ブレーキシリンダに接続され、動力の供給により、前記車両のブレーキ操作部材の操作とは関係なく液圧を発生させ得る動力液圧源と、
前記ブレーキシリンダと低圧源との間に設けられた電磁減圧制御弁と、
前記動力液圧源への供給動力を、前記動力液圧源の出力液圧が予め定められた設定範囲内に保たれるように制御する動力制御装置と、
前記液圧ブレーキの作用時に、前記動力制御装置によって前記動力液圧源に動力が供給される時間である供給動力時間が液漏れ判定時間より長い場合に、前記電磁減圧制御弁に液漏れが有るとする液漏れ検出装置と
を含む液圧ブレーキ装置。
本項に記載の液圧ブレーキ装置には、(1)項ないし(42)項のいずれかに記載の技術的特徴を採用することができる。
(44)車両の複数の車輪に対応してそれぞれ設けられ、ブレーキシリンダの液圧により車輪の回転をそれぞれ抑制する複数の液圧ブレーキと、
前記複数のブレーキシリンダのうち第1群に属する1つ以上のブレーキシリンダが接続された第1主通路および第2群に属する別の1つ以上のブレーキシリンダが接続された第2主通路と、
それら第1主通路と第2主通路との間に設けられ、ソレノイドへの供給電流の制御により、前記第1主通路と前記第2主通路とを連通させる開状態とこれらを遮断する閉状態とに切り換え可能な分離弁と、
その分離弁の閉状態において、前記第1主通路の液圧と前記第2主通路の液圧との差を予め定められた設定値以上とする液圧制御装置と、
その液圧制御装置により、前記第1主通路と前記第2主通路との液圧差が設定値以上とされた状態で、前記分離弁が閉状態から開状態に切り換わるように、ソレノイドへの供給電流を制御する指令を出力した後の、前記第1主通路と前記第2主通路との少なくとも一方の液圧の変化量が異常判定しきい値以下である場合に、前記分離弁が閉固着異常であるとする分離弁異常検出装置と
を含む液圧ブレーキ装置。
本項に記載の液圧ブレーキ装置には、(1)項ないし(43)項のいずれかに記載の技術的特徴を採用することができる。
以下、本発明の一実施例である液圧ブレーキ装置について図面に基づいて詳細に説明する。
図1に示すように、本液圧ブレーキ装置が搭載された車両はハイブリッド車であり、駆動輪としての右前輪10,左前輪12は、電気的駆動装置14と内燃駆動装置16とを含む駆動装置18によって駆動される。駆動装置18の駆動力はドライブシャフト24,26を介して、前輪10,12に伝達される。
内燃駆動装置16は、エンジン30およびエンジン30の作動状態を制御するエンジンECU32等を含むものであり、電気的駆動装置14は、電動モータ34,蓄電装置としてのバッテリ36,モータジェネレータ38,電力変換装置40,モータECU42,動力分割機構44等を含むものである。動力分割機構44は、図示しないが、遊星歯車装置を含むものであり、サンギヤにモータジェネレータ38が連結され、リングギヤに出力部材46が接続されるとともに電動モータ34が連結され、キャリヤにエンジン30の出力軸が連結される。エンジン30,電動モータ34,モータジェネレータ38等の制御により、出力部材46に電動モータ34の駆動トルクのみが伝達される場合とエンジン30の駆動トルクと電動モータ34の駆動トルクとの両方が伝達される場合等とに切り換えられる。出力部材46に伝達された駆動力は、減速機,差動装置を介してドライブシャフト24,26に伝達される。
電力変換装置40は、インバータ等を含むものであり、モータECU42によって制御される。インバータによる電流制御により、少なくとも、電動モータ34がバッテリ36から電気エネルギが供給されて回転させられる回転駆動状態と、回生制動によりバッテリ36に電気エネルギを充電する充電状態とに切り換えられる。充電状態においては、右前輪10,左前輪12に回生制動トルクが加えられる。したがって、電気的駆動装置14は、電動モータ34の回生制動により右前輪10,左前輪12に回生制動トルクを加える回生制動装置であると考えることができる。モータECU42は、電力変換装置40をハイブリッドECU48からの指令に基づいて制御する。
本車両においては、図2に示すように摩擦制動装置としての液圧ブレーキ装置50が設けられる。右前輪10,左前輪12と共に回転するブレーキ回転体に摩擦部材としてのパッドがブレーキシリンダ52,54に液圧が伝達されて押し付けられることにより液圧ブレーキ55FR、55FLが作動させられ、右前輪10,左前輪12に液圧制動トルクが加えられる。右前輪10,左前輪12には、液圧制動トルクと回生制動トルクとの少なくとも一方が加えられ、回転が抑制される。
液圧ブレーキ装置50は、右前輪10,左前輪12のブレーキシリンダ52,54に加えて、右後輪56,左後輪58の液圧ブレーキ59RR,59RLのブレーキシリンダ60,62、動力液圧源64、マニュアル液圧源としてのハイドロブースタ付きマスタシリンダ66等を含む。
動力液圧源64は、ポンプ70およびポンプモータ71を含むポンプ装置72、アキュムレータ74等を含む。ポンプ70は、低圧源としてのリザーバ75の作動液を汲み上げて加圧するものであり、高圧側の液圧が設定圧以上になるとリリーフ弁76を経て低圧側に戻される。ポンプ70から吐出された作動液はアキュムレータ74に蓄えられるが、ポンプモータ71は、アキュムレータ圧が設定範囲内にあるように制御される。アキュムレータ74の液圧Paccは動力液圧センサ77によって検出される。
ポンプモータ71は図5のフローチャートで表されるポンプモータ制御プログラムに従って制御される。ステップ1(以下、S1と略称する。他のステップについても同様とする)において、ポンプモータ71が作動中であるか否かが判定される。作動中でない場合には、S2において、アキュムレータ圧Paccが設定範囲の下限値PaccLより小さいか否かが判定される。下限値PaccLより小さい場合には、S3においてポンプモータ71が始動させられる(ポンプモータ71への電流の供給が開始される)が、下限値PaccL以上である場合には、ポンプモータ71が作動させられることはない。アキュムレータ圧Paccが下限値PaccL以上で、設定範囲内にある場合には、S1,2が繰り返し実行されて、ポンプモータ71は停止状態に保たれる。
それに対して、ポンプモータ71が作動中である場合には、S4において、アキュムレータ圧Paccが設定範囲の上限値PaccHより大きいか否かが判定される。上限値PaccH以下である場合には、ポンプモータ71の作動が続けられるが、上限値PaccHより大きくなると、S5において、ポンプモータ71が停止させられる(ポンプモータ71への電流の供給が停止させられる)のである。
ハイドロブースタ付きマスタシリンダ66は、液圧ブースタ78と、マスタシリンダ80とを含む。
マスタシリンダ80は、ハウジングと、そのハウジングに液密かつ摺動可能に嵌合された加圧ピストン84とを含むものであり、加圧ピストン84の前進に伴って加圧室86の液圧が増圧される。
液圧ブースタ78は、ブレーキ操作力を倍力し、その倍力した大きさに応じた液圧を発生させる液圧調節部88と、ブレーキ操作部材としてのブレーキペダル90に連携させられたパワーピストン92を含む入力部94とを含む。パワーピストン92の後方がブースタ室96とされる。液圧調節部88は、図示しないスプールバルブ、調圧室等を含み、動力液圧源64,リザーバ75に接続される。加圧ピストン84の移動に伴うスプールの移動により、調圧室にこれらが選択的に連通させられ、それにより、調圧室の液圧がブレーキ操作力に応じた大きさに調整される。この調圧室の作動液(液圧調節部88によって調節された作動液)がブースタ室96に供給され、それによって、パワーピストン92に前進方向の力が加えられ、ブレーキ操作力が助勢される。
ブレーキペダル90が踏み込まれると、パワーピストン92,加圧ピストン84が前進させられる。ブースタ室96には、ブレーキ操作力に応じた大きさに調節された液圧が供給される。加圧ピストン84は、ブレーキ操作力と助勢力(ブースタ室96の液圧に応じた力)とによって前進させられ、加圧室86の液圧が増圧させられる。ブースタ室96と加圧室86とには同じ高さの液圧が発生させられる。
このように、本実施例においては、液圧ブレーキ装置50に、液圧発生装置として動力液圧源64,マニュアル液圧源66が設けられ、マニュアル液圧源66は、2つのマニュアル液圧発生部としての液圧ブースタ78とマスタシリンダ80とを含む。
動力液圧源64には動力通路100が接続され、液圧ブースタ78のブースタ室96,マスタシリンダ80の加圧室86には、それぞれ、マニュアル通路(それぞれブースタ通路,マスタ通路と称することもできる)102,104が接続される。マスタシリンダ80の加圧室86に接続されたマニュアル通路104にはストロークシミュレータ装置106が設けられる。ストロークシミュレータ装置106は、ストロークシミュレータ110とシミュレータ制御弁(SSC)112とを含む。シミュレータ制御弁112は、ソレノイドへの供給電流のON・OFF制御により開閉させられる常閉の電磁開閉弁である。
本実施例においては、上述の液圧発生装置64,78,80と、前輪10,12のブレーキシリンダ52,54および後輪56,58のブレーキシリンダ60,62との間に液圧制御ユニット150が設けられる。
液圧制御ユニット150は、主通路160と、主通路160に接続された個別通路162〜168と、増圧制御弁(FRH、FLH、RRH、RLH)172〜178,減圧制御弁(FRR、FLR、RRR、RLR)182〜188,分離弁(SCC)190等を含む。個別通路162〜168は、各輪のブレーキシリンダ52,54,60,62にそれぞれ接続され、個別通路162〜168の各々には、それぞれ、増圧制御弁172〜178が設けられる。増圧制御弁172〜178は、ソレノイドへの供給電流のON・OFFにより開閉させられる常開の電磁開閉弁である。
また、ブレーキシリンダ52,54,60,62と減圧通路191とを接続する減圧用個別通路192〜198には、それぞれ、減圧制御弁182〜188が設けられる。減圧制御弁184〜188は、ソレノイドへの供給電流のON・OFFにより開閉させられる常閉の電磁開閉弁であり、減圧制御弁(FRR)182は、後述するように、ソレノイドへの供給電流が連続的に変化させられることにより前後の差圧を連続的に変化可能な電磁リニア弁である。減圧通路191は、リザーバ通路199を介してリザーバ75に接続される。リザーバ75は、スプリングを備えていないものであり、スプリングの付勢力に抗して作動液を収容するものではなく、作動液を大気圧で収容するリザーバタンクである。したがって、ブレーキシリンダ52,54,60,62がリザーバタンク75に連通させられた状態において、ブレーキシリンダ52,54,60,62の液圧をほぼ大気圧まで低下させ得る。
分離弁(SCC)190は、主通路160に設けられ、第1主通路202と第2主通路204とに仕切る。第1主通路202には個別通路162,168が接続され、第2主通路204には個別通路164,166が接続される。分離弁190は、ソレノイドへの供給電流のON・OFFにより開閉させられる常閉の電磁開閉弁である。
また、主通路160には動力液圧源64が動力通路100を介して接続されるとともに、マニュアル通路102,104を介してマニュアル液圧源66が接続される。図2に示すように、動力液圧源64と液圧ブースタ78とが第1主通路202に接続され、マスタシリンダ80が第2主通路204に接続される。
マニュアル通路102,104には、それぞれ、マニュアル液圧源遮断弁(SRC、SMC)222,224が設けられる。以下、これらマニュアル液圧源遮断弁222,224の両方をマスタ遮断弁と略称したり、マニュアル液圧源遮断弁224(SMC)をマスタ遮断弁と略称し、マニュアル液圧源遮断弁(SRC)222をブースタ遮断弁と略称したりする。マスタ遮断弁222,224は、ソレノイドへの供給電流のON・OFFにより開閉させられる常開の電磁開閉弁である。
また、主通路160と動力液圧源64とを接続する動力通路100には電磁リニア弁230が設けられる。電磁リニア弁230と前述の電磁リニア弁182とは同様の構造を成したものであり、これら2つの電磁リニア弁230,182を区別するために、電磁リニア弁230を増圧用電磁リニア弁(SLA)と称し、電磁リニア弁182を減圧用電磁リニア弁と称する。
これら電磁リニア弁230,182は、図3に示すように、ソレノイド236に電流が供給されない間、閉状態にある常閉の電磁制御弁であり、ソレノイド236への供給電流に応じた電磁駆動力F1と、スプリング238の付勢力F2と、前後の差圧に応じた差圧作用力F3との関係(F1+F3:F2)により弁子240の弁座242に対する相対位置が決まり、ソレノイド236への供給電流を連続的に制御することによって、前後の差圧が連続的に制御され得る。
増圧用電磁リニア弁230においては、前後の差圧が動力液圧源64の液圧と主通路160の液圧との差圧に対応し、減圧用電磁リニア弁182においては、ブレーキシリンダ52の液圧とリザーバ75の液圧(大気圧)との差圧に対応する。
液圧制御ユニット150等は、図1に示すブレーキECU250の指令に基づいて制御される。ブレーキECU250,ハイブリッドECU48,モータECU42,エンジンECU32等は、いずれも、実行部、記憶部、入・出力部等を有するコンピュータを主体とするものである。ハイブリッドECU48には、ブレーキECU250,モータECU42,エンジンECU32等が接続され、これらECUの間で情報の通信が行われる。エンジン30の制御については、本発明と関係がないため、ハイブリッドECU48とエンジンECU32との間の情報の通信についての説明は省略する。他のECU間の情報の通信についても発明に関連のある部分についてのみ説明する。
ブレーキECU250の入力部には、ブレーキペダル90が操作状態にあるか否かを検出するブレーキスイッチ298,動力液圧源64の液圧を検出する動力液圧センサ77,マニュアル液圧源66の液圧を検出するマニュアル液圧センサ(以下、マスタ液圧センサと称する)302,ブレーキシリンダ52の液圧を検出するブレーキシリンダ液圧センサ304,ブレーキペダル90のストロークを検出するストロークセンサ306等が接続されるとともに、各電磁制御弁(増圧制御弁172〜178,減圧制御弁184〜188,分離弁190、マスタ遮断弁222,224,電磁リニア弁230,182,シミュレータ制御弁112等を総称して電磁制御弁と称する)のソレノイド、ポンプモータ71等が図示しない駆動回路を介して接続される。
動力液圧センサ77は、前述のように、アキュムレータ74の液圧を検出するが、増圧用電磁リニア弁230の高圧側の液圧でもあるため、増圧用電磁リニア弁230の制御に利用される。
マスタ液圧センサ302は、マニュアル通路102,104の各々のマスタ遮断弁222,224の上流側の部分に設けられ、マスタ遮断弁222,224の閉状態においてマニュアル液圧源66の液圧(液圧ブースタ78の液圧、マスタシリンダ80の液圧)を検出する。前述のように、マスタシリンダ80の加圧室86の液圧と液圧ブースタ78のブースタ室96の液圧とは原則として同じである。
ブレーキシリンダ液圧センサ304は、個別通路162の増圧制御弁172の下流側に設けられる。すべての増圧制御弁172〜176が開状態にある場合には、すべてのブレーキシリンダ52,54,60,62の液圧は原則として同じであり、すべてのブレーキシリンダ52,54,60,62の液圧はブレーキシリンダ液圧センサ304によって共通に検出され得る。また、増圧制御弁172の開状態においては、個別通路162の液圧は主通路160の液圧(増圧用電磁リニア弁230の低圧側の液圧)に対応するために、増圧用電磁リニア弁230の制御に利用される(増圧用電磁リニア弁230の前後の差圧は、動力液圧センサ77による検出液圧からブレーキシリンダ液圧304による検出液圧を引いた値に対応する)。同様に、ブレーキシリンダ液圧センサ304による検出値は、減圧用電磁リニア弁182の高圧側の液圧となり、減圧用電磁リニア弁182の制御に利用される(減圧用電磁リニア弁182の低圧側は大気圧であるため、ブレーキシリンダ液圧センサ302による検出液圧が前後の差圧に対応する)。
以上のように構成された制動装置(回生制動装置14と液圧ブレーキ装置50とを含む)における作動について説明する。
本制動装置においては回生協調制御が行われる。回生協調制御は、駆動輪に加わる回生制動トルクと、駆動輪と従動輪との両方に加わる摩擦制動トルクとの和である総制動トルクが運転者の要求する要求制動トルクとなるように行われる制御である。
ブレーキECU250において、ストロークセンサ306によって検出された操作ストロークとマスタ液圧センサ302による検出液圧との少なくとも一方に基づいて総要求制動トルクが求められる。そして、ハイブリッドECU48から供給された情報(電動モータ34の回転数等に基づいて決まる回生制動トルクの上限値である発電側上限値、バッテリ36の充電容量等に基づいて決まる上限値である蓄電側上限値)と、上述の総要求制動トルク(運転者のブレーキペダル90の操作状態に応じて決まる操作側上限値)とのうちの最小値が要求回生制動トルクとして決定され、この要求回生制動トルクを表す情報がハイブリッドECU48に供給される。
ハイブリッドECU48は要求回生制動トルクを表す情報をモータECU42に出力する。モータECU42は、電動モータ34によって右前輪10、左前輪12に加えられる制動トルクが要求回生制動トルクとなるように、電力変換装置40に制御指令を出力する。電動モータ34は、電力変換装置40によって制御される。
電動モータ34の実際の回転数等の作動状態を表す情報がモータECU42からハイブリッドECU48に供給される。ハイブリッドECU48においては、電動モータ34の実際の作動状態に基づいて実際に得られた実回生制動トルクが求められ、その実回生制動トルク値を表す情報をブレーキECU250に出力する。
ブレーキECU250は、総要求制動トルクから実回生制動トルクを引いた値等に基づいて要求液圧制動トルクを決定し、ブレーキシリンダ液圧が要求液圧制動トルクに対応する目標液圧に近づくように、増圧用電磁リニア弁230,減圧用電磁リニア弁182を制御する。
回生協調制御においては、すべてのブレーキシリンダ52,54,60,62がマニュアル液圧源66から遮断された状態で、ブレーキシリンダ52,54,60,62の液圧が、動力液圧源64の液圧を利用して、1つの増圧用電磁リニア弁230,1つの減圧用電磁リニア弁182の制御により共通に制御される。
図4のフローチャートで表される回生協調制御プログラムは、予め定められた設定時間毎に実行される。
S21において、システムが正常であるか否かが判定され、正常である場合には、S22において、ブレーキスイッチ298がON状態にあるか否かが判定される。ON状態にある場合には、S23以降において回生協調制御が行われる。システムの異常は、異常検出プログラムの実行により検出される。システム異常の検出については、本実施例とは関係がないため、説明を省略する。
S23において、マスタ遮断弁222,224が閉状態とされるとともに、分離弁190が開状態とされる。そして、S24において、要求総制動トルクF*が求められ、S25において、ハイブリッドECU48から供給された回生制動トルクの上限値に関する情報が取得され、S26において、要求回生制動トルクが求められ、ハイブリッドECU48に出力される。S27において、実際の回生制動トルクFEに関する情報が取得され、S28において、要求総制動トルクF*と実回生制動トルクFEとに基づいて要求液圧制動トルクFqrefが求められ、S29において、要求液圧制動トルクFqrefが得られるように、増圧用電磁リニア弁230,減圧用電磁リニア弁182への制御指令値が作成され、出力される。
また、システムが異常である場合には、S30において、すべての電磁制御弁への供給電流がOFFとされる。それによって、図2に示す状態となる。分離弁190が閉状態とされることにより、第1主通路202,第2主通路204が遮断される。ブレーキシリンダ52,62にはブースタ室96から液圧が供給されて液圧ブレーキ55FR、59RLが作動させられ、ブレーキシリンダ54,60にはマスタシリンダ80から液圧が供給されて液圧ブレーキ55FL、59RRが作動させられる。ブースタ室96,マスタシリンダ80の加圧室86には、ブレーキペダル90の操作力に対応する液圧が発生させられる。
それに対して、車輪のスリップ状態が路面の摩擦係数に対して過大になると、スリップ制御が行われる。ブレーキシリンダ52,54,60,62の液圧が、それぞれ、車輪10,12,54,56のスリップ状態が路面の摩擦状態に対して適正状態となるように、増圧制御弁172〜176が開閉制御されるとともに、減圧制御弁182〜188が開閉制御される。減圧制御弁182は、供給される電流が0とされたり、最大値とされたりすることにより開閉制御されるのである。この場合には、マスタ遮断弁222,224が閉状態、分離弁190が開状態とされるとともに、増圧用電磁リニア弁230が開状態とされることにより、動力液圧源64の液圧が利用される。スリップ制御としては、制動スリップが適正状態となるように行われるアンチロック制御、駆動スリップが適正状態となるように行われるトラクション制御、横スリップ状態が適正状態となるように行われるビークルスタビリティ制御があり、本実施例における液圧ブレーキ装置においては、これら制御のうちの少なくとも1つが行われる。
このように、本実施例においては、回生協調制御において、増圧用電磁リニア弁230と減圧用電磁リニア弁182とへの供給電流の制御により、すべてのブレーキシリンダ52,54,60,62の液圧が共通に制御される。電磁リニア弁230,182の制御によりブレーキシリンダ液圧が制御されるようにされているため、電磁開閉弁の制御による場合より、ブレーキシリンダ液圧を滑らかに変化させることができる。また、各輪毎にブレーキシリンダ液圧を検出するブレーキシリンダ液圧センサを設ける必要がなくなるため、センサの個数を減らすことができ、その分、コストアップを抑制することが可能となる。
また、減圧用電磁リニア弁182は回生協調制御専用に設けられたものではなく、スリップ制御にも利用されるものである。したがって、回生協調制御専用に設ける場合に比較して、電磁制御弁の個数を減らすことができ、その分、コストアップを抑制することができる。
さらに、本実施例においては、ブレーキシリンダ52,54,60,62に動力液圧源64が接続されるため、マニュアル液圧源66に液圧が発生していない状態においても液圧ブレーキを作動させることができる。その結果、自動ブレーキを作動させることが可能となり、トラクション制御や非ブレーキ操作中におけるビークルスタビリティ制御の実行が可能となる。
本実施例においては、ブレーキECU250の図4のフローチャートで表される回生協調制御プログラム、図5のフローチャートで表されるポンプモータ制御プログラムを記憶する部分、実行する部分等によりブレーキ液圧制御装置が構成され、そのうちの、S29を記憶する部分、実行する部分(増圧用電磁リニア弁230への供給電流を決定する部分)等により増圧リニア弁制御部が構成される。
なお、上記実施例においては、右前輪10のブレーキシリンダ52に対応する減圧制御弁182が電磁リニア弁とされ、他のブレーキシリンダ54,60,62に対応する減圧制御弁184〜188が電磁開閉弁とされたがそれに限らない。減圧制御弁184〜188のうちの1つを電磁リニア弁として、他の減圧制御弁を電磁開閉弁とすることができる。
また、減圧制御弁182〜188のうちの2つを電磁リニア弁として残りの2つを電磁開閉弁としたり、減圧制御弁182〜188のうちの3つを電磁リニア弁として残りの1つを電磁開閉弁としたりすることができる。これらの場合においても、減圧制御弁182〜188のすべてを電磁リニア弁とする場合に比較してコストアップを抑制することができる。
さらに、上記液圧ブレーキ装置は、いわゆるX2系統とされていたが、前後2系統とすることもできる。すなわち、第1主通路202,第2主通路204の一方に前輪10,12のブレーキシリンダ52,54が接続されるとともに、他方に後輪56,58のブレーキシリンダ60,62が接続されるようにするのである。
また、個別通路164,166のいずれか一方にもブレーキシリンダ液圧センサを設けることができる。
さらに、上記実施例においては、回生協調制御が行われる場合について説明したが、回生協調制御に限らず、通常ブレーキ作動時に、実際のブレーキシリンダ液圧が要求制動力に対応する目標液圧に近づくように行われる制御に適用することができる。ブレーキシリンダ52,54,60,62がマニュアル液圧源66から遮断されて動力液圧源64に連通させられて、4つのブレーキシリンダ52,54,60,62の液圧が1つの増圧用電磁リニア弁230,減圧用電磁リニア弁182の制御により共通に制御される。この場合には、液圧ブレーキ装置は、ハイブリッド車ではなく、駆動源に電動モータを含まない車両に搭載されるようにすることもできる。
また、1つの増圧用電磁リニア弁230,1つの減圧用電磁リニア弁182の制御により、クルージング制御、ブレーキアシスト制御、ヒルホールド制御等が行われるようにしたりすることもできる。
さらに、増圧用電磁リニア弁230は動力液圧源64の構成要素であると考えることもできる。この場合には、ブレーキシリンダ52,54,60,62の液圧は、動力液圧源64と減圧リニア弁182との制御により、制御されることになる。また、増圧用電磁リニア弁230は不可欠ではない。ポンプモータ71の制御により動力液圧源64から主通路160に供給される作動液の液圧を制御することができる。
また、動力通路100と主通路160とによって主通路が構成されると考えることもできる。この場合には、増圧用電磁リニア弁230が主通路160の動力液圧源64と個別通路162〜168の接続部との間に設けられ、増圧用電磁リニア弁230の制御により、個別通路162〜168の接続部の液圧が制御されることになる。
さらに、主通路160と個別通路162〜168の増圧制御弁172〜178より上流側の部分とによって主通路が構成されると考えることもできる。
さらに、液圧ブレーキ装置は、図6に示す構造のものとすることができる。本実施例においては、主通路348が、互いに別個に設けられた第1主通路350と第2主通路352とを含む。第1主通路350,第2主通路352には、上記実施例における場合と同様に、それぞれ、ブレーキシリンダ52,62が接続されるとともにブレーキシリンダ54,60が接続される。また、第1、第2主通路350,352には、それぞれ、動力液圧源64が動力通路360,362を介して接続され、動力通路360,362には、それぞれ、増圧用電磁リニア弁370、372が設けられる。増圧用電磁リニア弁370,372は、上記実施例における増圧用電磁リニア弁230と同じ構造を成したものである。
さらに、減圧制御弁182と減圧制御弁184との2つが減圧用電磁リニア弁とされる。すなわち、第1主通路350に接続された2つのブレーキシリンダ52,62に対応する減圧制御弁182,188の一方が電磁リニア弁とされて他方が電磁開閉弁とされ、第2主通路352に接続された2つのブレーキシリンダ54,60に対応する減圧制御弁184,186の一方が電磁リニア弁とされて他方が電磁開閉弁とされるのである。
また、ブレーキシリンダ液圧センサ380,382が、それぞれ、個別通路162,164に設けられる。第1主通路350,第2主通路352にそれぞれ接続された個別通路の1つずつに取り付けられるのである。
本実施例においては、回生協調制御において、ブレーキシリンダ52,62の液圧が増圧用電磁リニア弁370および減圧用電磁リニア弁182により共通に制御され、ブレーキシリンダ54,60の液圧が増圧用電磁リニア弁372,減圧用電磁リニア弁184の制御により共通に制御される。各ブレーキ系統に1対ずつ増圧用電磁リニア弁と減圧用電磁リニア弁とが設けられるのであり、各ブレーキ系統毎に、それぞれ、2つのブレーキシリンダ液圧が共通に制御される。上記実施例においては、第2主通路304には、分離弁190を介して動力液圧源64の液圧が供給されるようにされていたため、ブレーキシリンダ54,60には液圧が遅れて伝達される。それに対して、本実施例においては、ブレーキシリンダ54,60への液圧の伝達遅れを回避することができる。
次に、本発明の別の実施例について説明する。
本実施例に係る液圧ブレーキ装置400を図8に示し、液圧ブレーキ装置400が搭載された車両全体を図7に示す。
図8に示すように、本液圧ブレーキ装置400は前後2系統とされている。第1主通路202には、右後輪56,左後輪58のブレーキシリンダ60,62が個別通路166,168によって接続され、第2主通路204には、右前輪10,左前輪12のブレーキシリンダ52,54が個別通路162,164によって接続される。
また、後輪56,58のブレーキシリンダ60,62に対応する減圧制御弁(RRR,RLR)186,188が電磁リニア弁とされ、前輪10,12のブレーキシリンダ52,54に対応する減圧制御弁(FRR,FLR)182,184が電磁開閉弁とされる。
さらに、後輪56,58のブレーキシリンダ60,62に対応する増圧制御弁(RRH,RLH)176,178に形成される通路の流路面積(横断面積)が、前輪10,12のブレーキシリンダ52,54に対応する増圧制御弁(FRH、FLH)172,174に形成される通路の流路面積(横断面積)より大きくされるとともに、個別通路166,168の後輪56,58のブレーキシリンダ60,62と増圧制御弁176,178との間の部分に、それぞれ、互いに並列に絞り402,404と逆止弁406,408とが設けられる。
上記実施例における場合と同様に、回生協調制御等が行われる場合には、電磁開閉弁である減圧制御弁182,184は閉状態に保たれ、ブレーキシリンダ52,54,60,62の液圧は、減圧用電磁リニア弁186,188の制御により減圧させられる。すなわち、ブレーキシリンダ60,62の作動液は、減圧用電磁リニア弁186,188を経てリザーバ75に流出させられるが、ブレーキシリンダ52,54の作動液は、増圧制御弁172,174、分離弁190,増圧制御弁176,178、減圧用電磁リニア弁186,188を経てリザーバ75に流出させられる。ブレーキシリンダ52,54と減圧用電磁リニア弁186,188との間に、直列に、分離弁190,2つの増圧制御弁172,174および増圧制御弁176,178が位置する。そのため、流路抵抗が大きくなり、減圧遅れが生じる可能性がある。そこで、本実施例においては、後輪側の増圧制御弁176,178の流路面積を大きくした。
一方、増圧制御弁176,178の流路面積を大きくすると、例えば、アンチロック制御等において、ブレーキシリンダ60,62の液圧の増加勾配が大きくなり、望ましくない。それを抑制するために、個別通路166,168の増圧制御弁176,178とブレーキシリンダ60,62との間に絞り402,404を設けた。
また、絞り402,404を設けると、ブレーキシリンダ60,62の減圧遅れが生じる。それを抑制するために、ブレーキシリンダ60,62と増圧制御弁176,178とを、絞り402,404をバイパスして接続するバイパス通路を設けるとともに、バイパス通路に、ブレーキシリンダ60,62からの作動液の流出を許容し逆向きの流れを阻止する逆止弁406,408を設けた。
本実施例によれば、回生協調制御における減圧遅れを抑制し、かつ、アンチロック制御において増圧勾配が過大となることを回避することができる。また、絞りおよび逆止弁等が後輪側に設けられるため、前輪側の応答性の低下が回避される。
なお、増圧制御弁172〜178すべての液通路の流路面積を大きくすれば、ブレーキシリンダ52,54の液圧の減圧遅れを小さくすることができるが、その場合には、すべてのブレーキシリンダ52、54,60,62に対応して絞りと逆止弁とを設ける必要が生じ、コストアップとなる等望ましくない。そこで、本実施例においては、後輪側の増圧制御弁176,178(減圧用電磁リニア弁186,188に対応する)の流路面積を大きくするとともに、ブレーキシリンダ60,62に対応して絞り402,404と逆止弁406,408とを設けたのである。
本実施例においては、第2主通路204にブレーキシリンダ圧センサ410が設けられ、ブースタ通路102にブースタ圧センサ412が設けられる。ブレーキシリンダ圧センサ410は、分離弁(SCC)190の閉状態においては前輪10,12のブレーキシリンダ52,54の液圧、すなわち、前輪ブレーキ系統の液圧を検出するが、分離弁190の開状態においては、すべてのブレーキシリンダ52,54,60,62の液圧を検出する。分離弁190の開状態においては、減圧用電磁リニア弁186,188の上流側の液圧に対応する。ブースタ圧センサ412は、ブースタ室96の液圧、すなわち、液圧調整部88によって調整された液圧(Preg:レギュレータ圧)を検出する。また、ブースタ遮断弁(SRC)222の開状態においては後輪56,58のブレーキシリンダ60,62の液圧、すなわち、後輪ブレーキ系統の液圧を検出する。システム等が正常であり、各電磁制御弁が図8に示す状態にある場合には、ブースタ圧センサ412による検出値とブレーキシリンダ圧センサ410による検出値とは、原則として、同じとなる。
ブレーキECU250には、図7に示すように、ブレーキスイッチ298、動力液圧センサ77、ストロークセンサ306,ブースタ圧センサ412,ブレーキシリンダ圧センサ410,電圧計414、イグニッションスイッチ416、車速センサ218等が接続される。電圧計414は、ポンプモータ71の端子電圧を検出する。車速センサ218は、駆動源の出力軸の回転数に基づいて車速を取得するものとしたり、各車輪10,12,56,58の車輪速度に基づいて車速を取得するものとしたりすること等ができる。
以上のように構成された制動装置(回生制動装置14と液圧ブレーキ装置400とを含む)における作動について説明する。
本制動装置においては、回生協調制御等が上記実施例における場合と同様に行われる。ただし、上記実施例においては、減圧用電磁リニア弁(FLR)182が1つであったが、本実施例においては減圧用電磁リニア弁(RRR,RLR)186,188が2つ設けられるため、回生協調制御等において減圧制御が行われる場合には、2つの減圧用電磁リニア弁186,188への供給電流が制御される。
本実施例においては、減圧用電磁リニア弁186,188における液漏れの有無が検出され、液漏れが有ると検出された場合には、その減圧用電磁リニア弁186,188に対応する増圧制御弁176,178が閉状態とされる。
減圧用電磁リニア弁186,188の液漏れの有無は、イグニッションスイッチ416がOFF状態からON状態に切り換えられてから最初にブレーキペダル90が操作された場合に行われるチェック、すなわち、イニシャルチェックにおいて検出される。
本実施例においては、後輪ブレーキ系統の液圧Pregと前輪ブレーキ系統の液圧Pwcとに基づいて液漏れの有無が検出される。
ブレーキペダル90の操作によって、加圧室86,ブースタ室96には操作力に応じた液圧が発生させられ、その液圧が、それぞれ、前輪10,12のブレーキシリンダ52,54および後輪56,58のブレーキシリンダ60,62に供給されるが、減圧用電磁リニア弁186,188に液漏れが生じていない場合には、ブレーキシリンダ圧センサ410によって検出される前輪ブレーキ系統の液圧Pwcとブースタ圧センサ412によって検出される後輪ブレーキ系統の液圧Pregとは同じである。そのため、後輪ブレーキ系統の液圧Pregが前輪ブレーキ系統の液圧Pwcより液漏れ判定しきい値ΔPthq以上小さい場合には、減圧用電磁リニア弁186,188の少なくとも一方に液漏れが生じているとすることができる。
また、液漏れが有る減圧用電磁リニア弁186,188が特定される。減圧用電磁リニア弁186,188の少なくとも一方に液漏れが生じていると検出された場合には、増圧制御弁176,178が1つずつ閉状態とされ、その状態で、前輪ブレーキ系統の液圧Pwcと後輪ブレーキ系統の液圧Pregとが比較され、減圧用電磁リニア弁186,188の各々における液漏れの有無が検出されるのである。
分離弁(SCC)190の閉固着異常が検出される。
主通路160が動力液圧源64,マニュアル液圧源66から遮断され、かつ、分離弁190の閉状態で、減圧用電磁リニア弁(RRR、RLR)186,188を開状態とすることにより、第1主通路202の液圧を第2主通路204の液圧に対して設定圧以上低くする。この状態で、分離弁(SCC)190のソレノイドに電流を供給する指令を出力する。この指令に応じて分離弁190が閉状態から開状態に切り換われば、ブレーキシリンダ液圧センサ410による検出液圧は閉固着判定しきい値ΔPthb以上低下する。それに対して、開指令を出力したにもかかわらず、ブレーキシリンダ液圧センサ410による検出液圧が閉固着判定しきい値ΔPthb以上低下しない場合には、分離弁190が開状態に切り換わらず、閉状態のままである、すなわち、閉固着異常であるとすることができる。
図9のフローチャートで表されるブレーキ液圧制御プログラムは予め定められた設定時間毎に実行される。
S51において、イグニッションスイッチ416がON状態であるか否かが検出され、S52において、ブレーキスイッチ298がON状態であるか否かが検出され、S53において、初回フラグがON状態(セット状態)であるか否かが判定され、S54において、ブレーキペダル90の操作が、イグニッションスイッチ416がOFF状態からON状態に切り換えられてから最初に行われた操作であるか否かが判定される。初回フラグは、イグニッションスイッチ416がOFF状態からON状態に切り換えられてから最初にブレーキペダル90が操作され、その操作状態が継続している間、セット状態に保たれるフラグであり、ブレーキペダル90の非操作状態においてリセット(OFF状態)される。
イグニッションスイッチ416がOFF状態からON状態に切り換えられてから最初にブレーキペダル90が操作された場合には、S55において初回フラグがセットされ、S56において、イニシャルチェック中であるか否かが判定される。イニシャルチェック中でない場合には、S57において、各電磁弁等が図示する原位置とされる。すなわち、ブースタ遮断弁222、マスタ遮断弁224,増圧制御弁172〜178が開状態、分離弁190,シミュレータ制御弁112,増圧用電磁リニア弁230,減圧制御弁182〜188が閉状態とされるのである。ブレーキシリンダ52,54,60,62はマニュアル液圧源66に連通させられ、ブレーキ操作力に応じた液圧が供給される。
イニシャルチェック中においては、S58において、そのチェックにおいて各電磁弁等が制御される。イニシャルチェック中の電磁制御弁の制御は、イニシャルチェックの説明に関して説明する。
次に、本プログラムが実行される場合に、ブレーキスイッチ298がON状態であり、初回フラグがセット状態にある場合には、S53の判定がYESとなり、S54,55が実行されることなく、S56〜58が実行される。イグニッションスイッチ416がON状態に切り換えられてから最初にブレーキペダル90が操作された場合において、その操作が継続している間、S51〜53,56〜58が繰り返し実行される。
ブレーキペダル90の操作が解除されると、S52の判定がNOとなり、S59において初回フラグがOFF状態とされ、S60において終了処理が行われる。各電磁制御弁は図8に示す原位置に切り換えられる。ブレーキペダル90の操作が解除されることにより、S51の判定がNOとなった場合には、S60は一連のブレーキ制御の終了処理であるが、ブレーキペダル90が操作される前においてS51の判定がNOとなった場合には、S63は操作前制御となる。いずれにしても、各電磁制御弁は図8に示す原位置とされる。
それに対して、イグニッションスイッチ416のON状態において、ブレーキ操作が行われたのが最初でない場合には、S51、52の判定がYES,S53の判定がNO、S54の判定がNOとなり、S61以降が実行される。イグニッションスイッチ416がOFF状態からON状態に切り換えられた後、ブレーキペダル90が操作されたのが2回目以降である場合、例えば、車両の走行中等に通常のブレーキ操作が行われた場合等には、S54の判定がNOとなり、S61において、後述するように、左後輪58の減圧用電磁リニア弁(RLR)188に液漏れが有ることが検出されたか否かが判定され、液漏れが有ると検出された場合には、S62において、それに対応する増圧制御弁(RLH)178が閉状態に切り換えられる。同様に、S63,64において、右後輪56の減圧用電磁リニア弁(RRR)186に液漏れが有ることが検出された場合には、それに対応する増圧制御弁(RRH)176が閉状態に切り換えられる。液漏れが有ることが検出された場合に、その減圧用電磁リニア弁に対応する増圧制御弁が閉状態とされるのである。
また、S65において、増圧制御弁176,178の両方が閉状態であるか否かが判定される。増圧制御弁176,178の両方が閉状態でない場合、すなわち、増圧制御弁176,178の両方が開状態である場合、いずれか一方が開状態である場合には、S66において、通常のブレーキ制御が行われるのであり、例えば、上記実施例における場合と同様に回生協調制御が行われる(図4のフローチャートで表されるブレーキ制御プログラムのS23〜29の実行により制御される)。増圧用電磁リニア弁230,開状態にある増圧制御弁に対応する減圧用電磁リニア弁への供給電流の制御により、閉状態にある増圧制御弁に対応するブレーキシリンダを除くブレーキシリンダの液圧が共通に制御される。それに対して、増圧制御弁176,178の両方が閉状態である場合には、S67において、回生協調制御が中止させられる。減圧用電磁リニア弁186,188を利用して、複数のブレーキシリンダの液圧を共通に制御することができないからである。
このように、液漏れが有ると検出された減圧用電磁リニア弁に対応する増圧制御弁が閉状態とされるため、減圧用電磁リニア弁における液漏れの影響が全体に及ぶことを回避することができる。
イニシャルチェックは、図10のフローチャートで表されるプログラムの実行に従って行われる。
S101において、チェック開始条件が成立するか否かが判定される。チェック開始条件が成立しない場合には、イニシャルチェックが行われることはないが、チェック開始条件が成立した場合にはS102以降が実行される。
S102において、後輪ブレーキ系統に液漏れがあるか否か、すなわち、減圧用電磁リニア弁186,188の少なくとも一方に液漏れがあるか否かが判定される。少なくとも一方に液漏れが有ると判定された場合には、S103の判定がYESとなり、S104において液漏れ弁の特定が行われ、S105において、分離弁190の閉固着異常の有無が検出される。
S101のチェック開始条件の成立判定は、図11のフローチャートで表されるように、S111〜115のすべての判定結果がYESである場合にS116においてチェック開始条件が成立したと判定され、少なくとも1つの判定結果がNOである場合には、S117において、チェック開始条件は成立しないと判定され、イニシャルチェックが行われることはない。
S111においてイグニッションスイッチ416がON状態にあるか否かが判定され、S112においてシフト位置がパーキング位置であるか否かが判定され、S113において車速Vsが停止状態にあるとみなし得る設定値V0以下であるか否かが判定され、S114においてブレーキスイッチ298がON状態にあるか否かが判定され、S115において、ブレーキ操作が行われたのが、イグニッションスイッチ416がOFF状態からON状態に切り換わってから最初であるか否かが判定される。
車両をこれから走行させる場合には、停止状態において、イグニッションスイッチ416をOFF状態からON状態に切り換え、シフト位置をパーキング位置からドライブ位置に切り換える等の一連の操作が行われるが、これら操作が行われる場合には、ブレーキペダル90が操作されることが多い。また、ブレーキペダル90が操作されていない場合には、シフト位置をドライブ位置に切り換えることができないようにされている車両もある。したがって、たいていの場合には、シフト操作が行われる前にチェック開始条件が満たされ、イニシャルチェックが実行されると考えられる。
なお、チェック開始条件は、シフト位置がパーキング位置にあることと車両の走行速度が設定速度以下であることとのいずれか一方が満たされた場合に成立するようにすることもできる。
また、減圧用電磁リニア弁186,188等の液漏れチェックは、イニシャルチェック時に行われるようにすることは不可欠ではない。一旦車両が走行した後の、車両の停止中に液漏れチェックが行われるようにすることができる(S115は不要である)。
S102の後輪ブレーキ系統液漏れ有無検出は、図12のフローチャートで表されるように、S131において、後輪ブレーキ系統の液圧Pregと前輪ブレーキ系統の液圧Pwcとがブースタ圧センサ412,ブレーキシリンダ圧センサ410によって検出される。S132において、後輪ブレーキ系統の液圧Pregが前輪ブレーキ系統の液圧Pwcより液漏れ判定しきい値ΔPthq以上小さいか否かが判定される(Preg<Pwc−ΔPthq)。液漏れ判定しきい値ΔPthq以上小さい場合には、S133において後輪ブレーキ系統に液漏れが有ると判定され、そうでない場合には、S134において、後輪ブレーキ系統には液漏れがないとされる。後輪ブレーキ系統の液漏れは、減圧用電磁リニア弁186,188の少なくとも一方における液漏れに起因すると考えられる。
なお、ブレーキペダル90の操作が開始されてから設定時間経過後、あるいは、ブレーキペダル90のストロークが設定ストロークを越えた場合に、S131が実行されるようにすることもできる。液漏れがない場合のブレーキシリンダ液圧が充分に大きくなってからの方が、液漏れが有る場合の後輪ブレーキ系統の液圧Pregと前輪ブレーキ系統の液圧Pwcとの差が大きくなり、液漏れの有無を正確に検出できるからである。
後輪ブレーキ系統に液漏れが有ると判定された場合には、S104において、液漏れ弁の特定が行われる。減圧用電磁リニア弁186,188の各々において液漏れの有無が検出されるのである。
S104の実行は、S102において、減圧用電磁リニア弁186,188の少なくとも一方に液漏れが有ると判定された場合に実行される。また、本実施例においては、増圧制御弁176,178は正常であり、液通路166,168における液漏れ等はないことが前提である。
図14に示すように、例えば、増圧制御弁(RRH)176の閉状態、増圧制御弁(RLH)178の開状態において、後輪ブレーキ系統Pregが前輪ブレーキ系統の液圧Pwcとほぼ同じであり、正常である場合には、閉状態とされた増圧制御弁(RRH)176に対応する減圧用電磁リニア弁(RRR)186に液漏れが有り、開状態とされた増圧制御弁(RLH)178に対応する減圧用電磁リニア弁(RLR)188は正常であるとされる。また、後輪ブレーキ系統Pregが前輪ブレーキ系統の液圧Pwcに対して小さく、異常である場合には、開状態とされた増圧制御弁(RLH)178に対応する減圧用電磁リニア弁(RLR)188に液漏れがあるが、閉状態とされた増圧制御弁(RRH)176に対応する減圧用電磁リニア弁(RRR)186については液漏れが有るか否かは不明である。同様に、増圧制御弁(RRH)176の開状態、増圧制御弁(RLH)178の閉状態において、後輪ブレーキ系統Pregが正常である場合には、閉状態とされた増圧制御弁(RLH)178に対応する減圧用電磁リニア弁(RLR)188に液漏れが有り、開状態とされた増圧制御弁(RRH)176に対応する減圧用電磁リニア弁(RRR)186は正常であるとされる。また、後輪ブレーキ系統Pregが異常である場合には、開状態とされた増圧制御弁(RRH)176に対応する減圧用電磁リニア弁(RRR)186に液漏れがあるが、閉状態とされた増圧制御弁(RLH)178に対応する減圧用電磁リニア弁(RLR)188については液漏れが有るか否かは不明である。
したがって、増圧制御弁176,178のいずれか一方が開状態とされ、他方が閉状態とされた場合において、後輪ブレーキ系統の液圧Pregが正常である場合には、閉状態とされた増圧制御弁に対応する減圧用電磁リニア弁に液漏れが有ると判定される。
それに対して、増圧制御弁176,178のいずれか一方が開状態とされ、他方が閉状態とされた場合において、後輪ブレーキ系統の液圧Pregが異常である場合には、開状態とされた一方の増圧制御弁に対応する減圧用電磁リニア弁に液漏れが有るが、閉状態とされた他方の増圧制御弁に対応する減圧用電磁リニア弁における液漏れの有無は不明である。そのため、他方の増圧制御弁を開状態、一方の増圧制御弁を閉状態として、同様に、後輪ブレーキ系統の液圧Pregを前輪ブレーキ系統の液圧Pwcと比較する。後輪ブレーキ系統の液圧Pregが正常である場合には、他方の減圧用電磁リニア弁には液漏れが無いと判定されるが、異常である場合には、他方の減圧用電磁リニア弁には液漏れが有ると判定される。
図13のフローチャートにおいて、S151において、増圧制御弁(RLH)178が閉状態とされ、S152において、後輪ブレーキ系統の液圧Preg、前輪ブレーキ系統の液圧Pwcが検出され、S153において、後輪ブレーキ系統の液圧Pregが前輪ブレーキ系統の液圧Pwcより液漏れ判定しきい値ΔPthq以上小さいか否かが判定される(Preg<Pwc−ΔPthq)。後輪ブレーキ系統の液圧Pregが前輪ブレーキ系統の液圧Pwcに対して液漏れ判定しきい値ΔPthq以上小さくない場合、すなわち、正常である場合には、S154において、閉状態とされた増圧制御弁(RLH)178に対応する減圧用電磁リニア弁(RLR)178に液漏れが有り(異常であり)、開状態である増圧制御弁(RRH)176に対応する減圧用電磁リニア弁(RRR)186には液漏れが無いとされ(正常であるとされ)、そのことを表すフラグがセットされる。その後、S155において、増圧制御弁176,178が開状態に戻される。
一方、増圧制御弁(RLH)178の閉状態において、後輪ブレーキ系統の液圧Pregが前輪ブレーキ系統の液圧Pwcより液漏れ判定しきい値ΔPthq以上小さく、異常である場合には、S156において、増圧制御弁(RRH)178が開状態とされ、増圧制御弁(RLH)176が閉状態とされる。そして、S157、158において、同様に、後輪ブレーキ系統の液圧Preg、前輪ブレーキ系統の液圧Pwcが検出され、後輪ブレーキ系統の液圧Pregが前輪ブレーキ系統の液圧Pwcより液漏れ判定しきい値ΔPthq以上小さいか否かが判定される。
後輪ブレーキ系統の液圧Pregが前輪ブレーキ系統の液圧Pwcより液漏れ判定しきい値ΔPthq以上小さい場合には、S160において、減圧用電磁リニア弁(RLR、RRR)186,188の両方に液漏れが有るとされる。増圧制御弁(RLH)178の閉状態においても増圧制御弁(RRH)176の閉状態においても後輪ブレーキ系統の液圧Pregが前輪ブレーキ系統の液圧Pwcより液漏れ判定しきい値ΔPthq以上小さい場合には、減圧用電磁リニア弁(RRR、RLR)188,186の両方に液漏れがあることがわかり、そのことを表すフラグがセットされる。
後輪ブレーキ系統の液圧Pregが前輪ブレーキ系統の液圧Pwcに対して正常な大きさである場合には、S161において、減圧用電磁リニア弁(RLR)186は正常で、減圧用電磁リニア弁(RRR)188に液漏れが有るとされる。増圧制御弁(RLH)178の閉状態において異常であり、増圧制御弁(RRH)176の閉状態においては正常である場合には、増圧制御弁(RRH)176に対応する減圧用電磁リニア弁(RRR)186が異常であるとされるのであり、そのことを表すフラグがセットされる。
液漏れ弁特定後には、S155において、増圧制御弁176,178の両方が開状態とされるのであり、各電磁制御弁が図示する原位置とされる。
このように、本実施例においては、ブレーキシリンダ52,54,60,62に液圧が発生させられている状態で減圧用電磁リニア弁186,188の各々について液漏れの有無が検出される。
また、増圧制御弁176,178の一方を閉状態、他方を開状態として、閉状態とされた増圧制御弁に対応する減圧用電磁リニア弁の液漏れの有無を検出することと、開状態とされた増圧制御弁に対応する減圧用電磁リニア弁の液漏れの有無を検出することとは同じことである。
なお、本実施例においては、ブレーキペダル90が操作されており、ブレーキシリンダ52,54,60,62に液圧が発生させられた状態でS104が実行される場合について説明したが、S104の実行時に、ブレーキペダル90が操作されていない場合には、次に、車両の停止状態において、ブレーキペダル90が操作されるのを待って、実行されるようにすることもできる。
また、S151,156の実行後、設定時間が経過した後に、S152,157が実行されるようにすることができる。
S105の分離弁(SCC)190の閉固着異常は図15のフローチャートで表されるように検出される。
S181において、マスタ遮断弁(SMC)224,ブースタ遮断弁(SRC)222を閉状態とし、前輪側の増圧制御弁(FRH、FLH)172,174を閉状態とし、後輪側の減圧用電磁リニア弁(RRR、RLR)186,188を開状態とし、シミュレータ制御弁(SSC)112を開状態とする。
ブレーキペダル90の操作中において、主通路160がマニュアル液圧源66から遮断されるとともに、シミュレータ制御弁112が開状態とされる。それによって、マスタ遮断弁(SMC)224,ブースタ遮断弁(SRC)222が閉状態とされても、ブレーキペダル90の操作フィーリングの低下を抑制することができる。
また、前輪側の増圧制御弁(FRH、FLH)172,174が閉状態とされるため、第2主通路204がブレーキシリンダ52,54から遮断される。ブレーキシリンダ52,54の液圧は保持されることになり、チェック中においても、前輪10,12に加えられる制動力の低下を抑制することが可能となる。また、第2主通路204を含む閉空間を狭くすることができるため、後述するように、第2主通路204の液圧変化を正確に検出することができる。
この状態において、減圧用電磁リニア弁(RLR、RRR)186,188が開状態とされることにより、第1主通路202の液圧が第2主通路204の液圧より設定値以上低くされる。
S182において、前輪側ブレーキ系統の液圧Pwc1(第2主通路204の液圧)がブレーキシリンダ液圧センサ410により検出され、S183において、分離弁190のソレノイドに電流を供給する指令が発せられる。S184において、前輪側ブレーキ系統の液圧Pwc2が検出され、低下量が閉固着判定しきい値ΔPthbより大きいか否かが判定される。
Pwc1−Pwc2>ΔPthb
閉固着判定しきい値ΔPthbより低下量の方が大きい場合には、S186において、分離弁190は、指令に応じて閉状態から開状態に切り換わり、閉固着異常ではないとされる。低下量の方が小さい場合には、指令に応じて開状態に切り換わらないことがわかる。そのため、S187において、分離弁190が閉固着異常であるとされる。指令に応じてソレノイドに電流が供給されない異常、ソレノイドに電流が供給されたにもかかわらず分離弁190が開状態に切り換わらない異常等が考えられる。
その後、S188において、各電磁弁が図示する原位置に戻される。
このように、本実施例においては、分離弁190の閉固着異常の有無が検出される。また、S184の検出は、S183の実行されて、予め定められた設定時間が経過した後に行われるようにすることができる。
本実施例においては、前述のように、液漏れが有ると検出された減圧用電磁リニア弁に対応する増圧制御弁が閉状態とされ(S61〜64)、正常な減圧用電磁リニア弁と増圧リニア弁230との制御により、異常である減圧用電磁リニア弁に対応するブレーキシリンダを除くブレーキシリンダの液圧が共通に制御される(S66)。それに対して、分離弁190の閉固着異常が検出された場合には、(a)回生協調制御が行われないようにしたり、(b)後輪56,58のブレーキシリンダ60,62の液圧の制御が、増圧リニア弁230,減圧用電磁リニア弁186,188の制御により行われ、前輪10,12のブレーキシリンダ52,54の液圧の制御が、増圧制御弁172,174および減圧制御弁182,184の制御により行われるようにしたりすることができる。分離弁190の閉状態においては、左右前輪のブレーキシリンダ52,54の液圧(第2主通路204の液圧)を増圧用電磁リニア弁230,減圧用電磁リニア弁186,188への供給電流の制御により制御することができないからである。
本実施例においては、イグニッションスイッチ416がON状態からOFF状態に切り換わった後においても分離弁190の閉固着異常の有無が検出される。ここでは、分離弁190の液漏れの有無も検出される。
図16のフローチャートで表されるイグニッションOFF後チェックプログラムは、予め定められた設定時間毎に実行される。イグニッションスイッチ416がON状態からOFF状態に切り換えられた場合には、直ちに、ブレーキECU250、各電磁制御弁等を含む制御系が電源(メインバッテリ、あるいは、補助バッテリ)から遮断されるのではなく、設定時間の間は、接続状態に保たれるのが普通である。そこで、本プログラムは、イグニッションスイッチ416がON状態からOFF状態に切り換わった後から制御系が電源から遮断されるまでの間に実行されるのであり、チェックは1回だけ行われる。
S201において、イグニッションスイッチ416がOFF状態にあるか否かが判定され、S202において、ブレーキスイッチ298がOFF状態にあるか否かが判定され、S203において、今回、チェックが行われたか否かが判定される。チェック済みフラグがセット状態にあるか否かが判定されるのである。
イグニッションスイッチ416がOFF状態にあり、ブレーキペダル90が非操作中で、かつ、チェックが未だ行われていない場合には、S204以降が実行される。S204〜S211において分離弁190の液漏れの有無が検出され、S212〜216において閉固着異常が検出される。
S204において、マスタ遮断弁(SMC)224,ブースタ遮断弁(SRC)222が閉状態とされ、分離弁(SCC)190が閉状態とされる。その後、S205において、第2主通路204の液圧Pwc0が検出され、S206、207において、予め定められた設定時間の間、増圧電磁リニア弁230が開状態とされ(例えば、供給電流が設定値以上とされ)、その後、S208において、第2主通路204の液圧Pwc1が検出される。たいていの場合には、アキュムレータ74には設定範囲の液圧の作動液が蓄えられているため、増圧電磁リニア弁230を開状態に切り換えれば、高圧の作動液が後輪56,58のブレーキシリンダ60,62に供給され、第1主通路202の液圧(後輪56,58のブレーキシリンダ60,62の液圧)が増加する。第2主通路204の液圧は、ブレーキペダル90が操作されていないため、ほぼ大気圧にある。
S209において、検出液圧Pwcの増加量(Pwc1−Pwc0)が液漏れ判定しきい値より大きいか否かが判定される。
Pwc1−Pwc0>ΔPthbq
増加量が液漏れ判定しきい値ΔPthbqより大きい場合には、S210において、分離弁190に液漏れが有るとされ、増加量が液漏れ判定しきい値以下である場合には、S211において、液漏れがないとされる。
次に、S212において、分離弁190が閉状態から開状態に切り換わるように、ソレノイドに電流を供給するON指令が出力される。S213において、前輪ブレーキ系統の液圧Pwc2が検出され、S214において、増加量が閉固着異常判定しきい値ΔPthb以上であるか否かが判定される。
Pwc2−Pwc1≧ΔPthb
分離弁190が指令通りに閉状態から開状態に切り換われば、増加量は閉固着異常しきい値ΔPthb以上となり、S215において、分離弁190は正常であるとされる。分離弁190が指令通りに切り換わらない場合には、S216において、分離弁190は閉固着異常であるとされる。その場合には、S217において、分離弁190のソレノイドへの電流のON・OFFが複数回繰り返し実行される。異物に起因して閉固着状態になっている場合には、それによって、解消されることがある。
その後、S218において、チェック済みフラグがセットされ、S219において、ブースタ遮断弁(SRC)222,マスタ遮断弁(SMC)224が開状態、分離弁190が閉状態に戻される。
分離弁190の閉固着異常の有無のチェックが行われると、チェック済みフラグがセットされるため、次に、S203が実行されると判定がYESとなり、S204以降が実行されることはない。
また、イグニッションスイッチ416のON状態において、S220において、チェック済みフラグがリセットされる。
このように、本実施例においては、イグニッションスイッチ416のOFF状態においても分離弁190の閉固着異常が検出される。
なお、S204において、増圧制御弁172、174を閉状態とすることができる。第2主通路204を含む閉領域を狭くすることができ、第2主通路204の液圧Pwcの変化の有無を正確に検出することができるのである。
また、S208においてブレーキシリンダ液圧Pwc1は、第1主通路202の液圧が増加させられてから設定時間が経過した後に、検出されるようにしてもよい。
本実施例においては、ブレーキECU250の図9のフローチャートで表されるブレーキ制御プログラムのS61〜67を記憶する部分、実行する部分等により異常時液圧制御手段が構成される。また、図10のフローチャートで表されるイグニッションON時チェックプログラムのS102(S131〜134)を記憶する部分、実行する部分等により液圧依拠液漏れ検出部が構成され、S104(S151〜161)を記憶する部分、実行する部分等により第1液圧依拠液漏れ特定部、第2液圧依拠液漏れ特定部が構成される。さらに、S105(S181〜188)、S212〜216を記憶する部分、実行する部分等により分離弁異常検出部が構成される。そのうちの、S105を記憶する部分、実行する部分等により、不低下時異常検出部が構成され、S212〜216を記憶する部分、実行する部分等により不増加時異常検出部が構成される。
なお、上記実施例においては、S103の後輪ブレーキ系統液漏れ検出、S104の液漏れ弁特定、S105の分離弁閉固着検出の順番に、イニシャルチェックが行われるようにされていたが、この順に行われるようにすることは不可欠ではない。例えば、後輪ブレーキ系統液漏れ検出、分離弁閉固着検出、液漏れ弁特定の順に行われるようにすることもできる。
また、液漏れ弁の特定は、イグニッションスイッチ416がOFF状態からON状態に切り換えられて、次に、車両の停止中であって、かつ、ブレーキペダル90の操作中である場合に、実行されるようにすることもできる。すなわち、液漏れ弁の特定、分離弁閉固着異常検出等は、イニシャルチェック時に限らず、後の制動中に実行されるようにすることもできる。
さらに、上記実施例においては、後輪側の増圧制御弁176,178の液通路が前輪側の増圧制御弁172,174の液通路より流路面積が大きくされるとともに絞り402,404および逆止弁406,408が後輪側の増圧制御弁176,178とブレーキシリンダ60,62との間に設けられるようにされていたが、逆に、前輪側の増圧制御弁172,174の液通路の流路面積が後輪側の増圧制御弁176,178の液通路の流路面積より大きくされるとともに絞りおよび逆止弁が前輪側の増圧制御弁172,174とブレーキシリンダ52,54との間に設けることもできる。
また、絞り402,404を設けることは不可欠ではなく、個別通路166,168の増圧制御弁176,178とブレーキシリンダ60,62との間の部分の横断面積を個別通路162,164の対応する部分(増圧制御弁172,174とブレーキシリンダ52,54との間の部分)の横断面積より小さくすること等もできる。
さらに、分離弁190の閉固着検出は、イグニッションスイッチ416がOFF状態からON状態に切り換わった場合と、ON状態からOFF状態に切り換わった場合との両方の場合に検出されるようにすることは不可欠ではなく、いずれか一方の場合において検出されるようにしてもよい。
また、S206,207において増圧用電磁リニア弁230が設定時間の間、開状態に保たれるのではなく、設定液圧に達するまでの間、開状態に保たれるようにすることができる。
さらに、減圧用電磁リニア弁186,188の液漏れの有無が前輪ブレーキ系統の液圧Pwcと後輪ブレーキ系統の液圧Pregとを比較し、その比較結果に基づいて判定されるようにされていたが、ポンプモータ71の作動時間に基づいて判定されるようにすることもできる。ポンプモータ71は、図5のフローチャートで表されるように、アキュムレータ74の液圧が設定範囲内に保たれるように作動させられる。アキュムレータ74に作動液が充分に蓄えられていれば、イグニッションスイッチ416がOFF状態からON状態に切り換わった後に、ブレーキペダル90が操作されても、それによって、アキュムレータ圧Paccが下限値PaccLより低くなることはないのが普通である。また、仮に、下限値PaccLより低くなって、ポンプモータ71が作動させられても、アキュムレータ圧Paccが上限値PaccHを越えるまでの、ポンプモータ71の連続作動時間はそれほど長くはならない。それに対して、後輪ブレーキ系統に液漏れがあると、アキュムレータ74の作動液の消費量が増えるため、アキュムレータ圧Paccが下限値PaccLより低くなり、ポンプモータ71が作動させられる確率が高くなる。また、ポンプモータ71の作動中においても、アキュムレータ74の作動液は消費され続けるため、アキュムレータ圧Paccが上限値PaccHを越えるまでに長時間を要する。
この事情に基づき、ポンプモータ71の連続作動時間、すなわち、ポンプモータ71への電流の連続供給時間が液漏れ判定時間Tthq以上である場合には、後輪ブレーキ系統に液漏れがあると検出される。
また、ポンプモータ71が非作動状態にあっても、アキュムレータ74の作動液の消費量が多い場合には、アキュムレータ圧Paccが下限値PaccLより小さくなり、再び、ポンプモータ71が作動させられることになる。そのため、後輪ブレーキ系統に液漏れが有る場合は液漏れがない場合に比較して、ポンプモータ71の非作動時間は短くなると考えられる。
この事情に基づき、ポンプモータ71の非作動状態が設定時間以上継続した場合に、後輪ブレーキ系統に液漏れがないと検出される。この場合の設定時間も液漏れ判定時間の一態様であり、液漏れがない場合に、通常のブレーキ操作が行われる場合に、アキュムレータ圧が上限値PaccHから下限値PacccLまで下がるまでの時間より短い時間とすることができる。
液漏れ判定時間Tthqは、モータ端子電圧に基づいて決めることができる。図19に示すように、ポンプモータ71の端子電圧は、蓄電装置36に蓄えられる電気エネルギの容量に応じて決まる。蓄電容量(チャージ量)が多い場合は少ない場合より端子電圧が高くなるのである。また、端子電圧が高い場合は低い場合より、図19(a)に示すようにポンプモータ71の回転数が大きくなり、ポンプモータ71の回転数が大きい場合は小さい場合よりポンプ70の吐出量が大きくなるため、回転数が大きい場合は小さい場合よりアキュムレータ74において必要な作動液の容量(アキュムレータ74における作動液の消費量、作動液の要求量)が同じ場合の作動時間が短くなる。したがって、回転数が大きい場合は小さい場合より、図19(b)に示すように、液漏れ判定時間Tthqが短い時間とされる。
また、液漏れ判定時間Tthqは、アキュムレータ圧が設定範囲の下限値PaccLより小さい状態から上限値PaccHに達するまでポンプモータ71が作動させられる時間以上の長さとされる。
上記S102の後輪ブレーキ系統液漏れ有無検出は、図17のフローチャートに従って行われる。
S251において、電圧計414によりポンプモータ71の端子電圧が検出され、S252において、液漏れ判定時間Tthqが図19(a)、(b)に示すマップで表されるテーブルに従って決定される。S253において、ポンプモータ71が作動中であるか否かが判定される。ポンプモータ71の非作動中においては、S254において、設定時間が経過したか否かが判定される。ポンプモータ71の非作動状態が設定時間経過した場合には、S255において、減圧用電磁リニア弁に液漏れがないとされる。
それに対して、ポンプモータ71が作動中である場合には、S256において、モータ作動時間が液漏れ判定時間Tthqより長いか否かが判定され、液漏れ判定時間Tthqより長い場合には、S257において液漏れが有るとされる。液漏れ判定時間Tthqより短く、ポンプモータ71の作動が停止させられた場合には、非作動時間が設定時間経過した後に、S254において液漏れが無いとされる。
なお、1回の液圧ブレーキの作用中において、複数回、ポンプモータ71の作動、停止が繰り返される場合がある。この場合においては、一回の液圧ブレーキ55FL, FR,59RL, RRの作用中、イニシャルチェック中、予め定められた設定時間の間等における作動時間の和(累積作動時間)が液漏れ判定時間より長い場合に液漏れが有るとすることができる。液漏れが有る場合にはない場合より、ポンプモータ71の作動時間が長くなり、非作動時間が短くなるため、累積作動時間が長くなるからである。
また、ポンプモータ71の非作動時間が設定時間より短い場合には、作動時間を計測することなく、液漏れがあると検出されるようにしたり、ポンプモータ71の作動時間が液漏れ判定時間より短い場合には、非作動時間が設定時間より長いか否かを検出することなく、正常であると検出したりすることもできる。
上記S104の液漏れ弁特定は、図18のフローチャートに従って行われる。
S281において、増圧制御弁(RLH)176が閉状態とされ、S282において、ポンプモータ71が作動中であるか否かが判定され、作動時間が液漏れ判定時間Tthqを超えたか否かが判定される。S104が実行されるのは、S102において、モータ作動時間が長く、アキュムレータ74に充分に作動液が蓄えられていない状態であると考えられる。そのため、S282の判定はたいていの場合にはYESとなる。しかし、増圧制御弁(RLH)176を閉状態に切り換えることによって後輪ブレーキ系統の液漏れが防止されれば、ポンプモータ71の作動時間が液漏れ判定時間Tthqより長くなることはないはずであり、アキュムレータ圧Paccが設定範囲の上限値PaccHを越えれば、ポンプモータ71の作動は停止させられる。
ポンプモータ71の作動が停止させられ、ポンプモータ71の作動時間が液漏れ判定時間Tthqより短い場合には、S284、285において、非作動状態が設定時間以上継続した後に、減圧用電磁リニア弁(RLR)186に液漏れが有り、減圧用電磁リニア弁(RRR)188は正常であると判定される。
それに対して、ポンプモータ71の作動時間が液漏れ判定時間Tthqを超えた場合には、S286において、増圧制御弁(RLH)176が開状態、増圧制御弁(RRH)178が閉状態とされ、S287,288において、上記S282、283と同様に、ポンプモータ71の作動時間が液漏れ判定時間Tthqを超えたか否かが判定される。
ポンプモータ71の作動時間が液漏れ判定時間Tthqより短い場合には、S289において、非作動状態が設定時間継続した後に、S290において、減圧用電磁リニア弁(RRR)186に液漏れが有り、減圧用電磁リニア弁(RLR)188は正常であるとされる。液漏れ判定時間Tthqを超えた場合には、S291において、減圧用電磁リニア弁(RRR、RLR)186,188の両方において液漏れが有るとされる。個別液漏れ検出が行われた後、S292において、増圧制御弁(FLH、FRH)176,178は開状態に戻される。
このように、減圧用電磁リニア弁の液漏れの有無は、モータ作動時間に基づいて検出することもできる。
本実施例においては、ブレーキECU250の図5のフローチャートで表されるポンプモータ制御プログラムを記憶する部分、実行する部分等により出力液圧制御部が構成され、図17のフローチャートで表される後輪ブレーキ系統液漏れ検出プログラムを記憶する部分、実行する部分、図19のマップで表されるテーブルを記憶する部分等により、動力供給時間依拠液漏れ検出部が構成される。動力供給時間依拠液漏れ検出部は、作動時間依拠液漏れ検出部でもある。また、図18のフローチャートで表される液漏れ弁特定プログラムを記憶する部分、実行する部分等により第1,第2動力供給時間依拠液漏れ弁特定部が構成され、S252記憶する部分、実行する部分、図19のマップで表されるテーブルを記憶する部分、実行する部分等により液漏れ判定時間決定部が構成される。
なお、上記実施例においては、ブレーキペダル90が操作されており、ブレーキシリンダ52,54,60,62に液圧が発生させられた状態でS104が実行される場合について説明したが、S104の実行時に、ブレーキペダル90が操作されていない場合には、分離弁190を開状態とし、増圧用電磁リニア弁(SLA)230を、ブレーキシリンダ液圧センサ410による検出液圧Pwcが設定圧に達するまで開状態に保つことができる。この場合において、ポンプモータ71の作動時間が液漏れ判定時間より長い場合には、液漏れがあるとされる。ただし、この場合には、前輪ブレーキ系統、後輪ブレーキ系統のいずれに液漏れが有るかは不明である。また、アキュムレータ圧を利用してブレーキシリンダ52,54,60,62に液圧が発生させられれば、その後、液圧を利用して、分離弁190の閉固着異常の有無を検出することも可能である。
また、後輪ブレーキ系統の液漏れの有無の検出と、液漏れ弁の特定とのいずれか一方が前輪、後輪のブレーキ系統の液圧の比較に基づいて行われ、他方がモータ作動時間に基づいて行われるようにすることができる。この場合には、液漏れ弁の特定において、液漏れ判定時間Tthqが決定されるようにすることが望ましい。
さらに、前輪、後輪のブレーキ系統の液圧の比較と、モータ作動時間との両方に基づいて、液漏れの有無が検出されるようにすることができる。例えば、後輪ブレーキ系統の液圧が異常であり、かつ、モータ作動時間が長い場合等に、液漏れがあると判定することができる。
また、端子電圧に基づいて液漏れ判定時間を決定することは不可欠ではない。液漏れ判定時間は、予め定められた設定時間とすることができるのである。設定時間は、アキュムレータ圧が下限値PaccLより小さい状態から上限値PaccHを越えるまでの標準的なモータ作動継続時間に基づいて決定することができる。この場合には、蓄電装置36の容量不足を考慮して長めの値に決定することができる。
さらに、端子電圧を検出することは不可欠ではない。別の方法によって蓄電装置の容量が取得可能であれば、容量を取得し、その結果に基づいて液漏れ有無判定時間を決定することもできる。
また、上記実施例においては、後輪側の減圧制御弁186,188が電磁リニア弁とされたが、前輪側の減圧制御弁182,184を電磁リニア弁とすることもできる。その場合には、ブレーキペダル90のストロークSと前輪ブレーキ系統の液圧Pwcとの関係に基づいて前輪ブレーキ系統の液漏れの有無を検出することができる。
図21に示すように、ストロークSが前輪ブレーキ系統の液圧Pwcに対して過大であり、これらが領域Rに属する場合には、前輪ブレーキ系統に液漏れがあるとされる。ストロークSと前輪ブレーキ系統の液圧Pwcとの関係が正常である場合には、前輪ブレーキ系統に液漏れはないとされる。
前輪ブレーキ系統の液漏れの有無の検出は、図20のフローチャートに従って行われる。S300において、分離弁190が閉状態とされる。そして、S301、302において、予め定められた設定時間の間、ペダルストロークSと前輪ブレーキ系統の液圧Pwcとの両方が検出される。複数個のデータがそれぞれ検出されるのである。次に、S303において、ストロークSと前輪ブレーキ系統の液圧Pwcとの関係に基づき、ストロークSが液圧Pwcに対して過大であるか否か、すなわち、領域Rにあるか否かが判定される。ストロークSが液圧Pwcに対して過大である場合には、S304において、前輪ブレーキ系統に液漏れが有るとされ、ストロークSと液圧Pwcとの関係が正常である場合には、S305において、前輪ブレーキ系統に液漏れはないとされる。
このように、本実施例においては、マスタシリンダ80と第2主通路204とが連通している状態において、ペダルストロークとブレーキシリンダ52,54の液圧との関係に基づいて前輪ブレーキ系統の液漏れの有無が検出される。ブレーキECU250の図20のフローチャートで表される前輪ブレーキ系統液漏れ有無検出プログラムを記憶する部分、実行する部分等によりストローク依拠液漏れ検出部が構成される。
なお、本実施例の前輪ブレーキ系統の液漏れ検出は、車両の停止状態でなくても、すなわち、車両の走行中にブレーキペダル90が操作された場合においても行うことができる。
また、イニシャルチェック時でなくても、ブレーキシリンダ52,54とマスタシリンダ80とが連通状態にある場合に検出することができる。
さらに、ストロークとブレーキシリンダ液圧Pwcとのデータを複数対取得することは不可欠ではない。その場合には、ストロークが設定ストロークに達した後の、ストロークと液圧との関係に基づいて液漏れの有無が検出されるようにすることが望ましい。
また、分離弁190を閉状態とすることは不可欠ではなく、分離弁190の開状態においても前輪ブレーキ系統の液漏れの有無を検出することはできる。
また、上記各実施例においては、増圧用電磁リニア弁230は1つであったが、2つ設けることもできる。例えば、図22に示すように、液圧ブレーキ装置498において、ブースタ遮断弁が電磁リニア弁(ブースタ側増圧用電磁リニア弁)500とされる。
ブレーキシリンダ液圧の増圧制御が2つの電磁リニア弁(動力側増圧用電磁リニア弁)230,ブースタ側増圧用電磁リニア弁500の制御によって行われるようにすれば、ブレーキシリンダ52,54,60,62の増圧勾配を同じにする場合に、それぞれの開度を1/2とすることが可能となり、それによって、電磁リニア弁における弁子204の摩耗を抑制することができ、寿命を長くすることができる。
例えば、電磁リニア弁の供給電流は、開弁電流Iopenと、増圧要求量ΔPrefで決まる電流Irefとに基づいて決まるが、その場合に、増圧用電磁リニア弁が1つの場合より2つの場合には、増圧要求量ΔPrefで決まる電流Irefを小さくすることができる。
その場合の一例を図23に示す。
増圧用電磁リニア弁の前後の差圧と開弁電流との間には、図23(a)に示す関係があることが知られている。増圧用電磁リニア弁は、図3に示すように、電磁駆動力F1と差圧作用力F3との和がスプリングの付勢力F2より大きくなると閉状態から開状態に切り換えられるのであるが、ブレーキシリンダの液圧が増加するのに伴って前後の差圧が小さくなるため、開弁電流Iopenが大きくなる。また、ブレーキ液圧の要求勾配ΔPrefは、出力可能な回生制動トルクがほぼ一定であると仮定すれば、ブレーキペダル90の操作力あるいは操作ストロークの増加に伴って大きくなる。本実施例においては、開弁電流Iと、ブレーキシリンダ液圧の要求勾配ΔPrefに応じた電流Irefとの和に応じて決まる電流Iが供給されることになる。
I=f(Iopen+Iref)
Iref=g(ΔPref)
f、gは関数を表す。
それに対して、増圧リニア弁230,500が2つの場合は1つの場合より、ブレーキシリンダ液圧の要求勾配ΔPrefに応じた電流Irefが小さくされる。それによって、弁子240の弁座242に対する離間距離である開度が小さくされる。弁子240の弁座242に対する移動量を小さくして、弁子240の摩耗量を小さくすることができ、増圧用電磁リニア弁230,500の寿命を長くすることができる。開弁電流Iopenは開度には影響しない大きさである。
また、電磁開閉弁を電磁リニア弁とするとともに、電磁リニア弁において軟着陸制御、すなわち、弁子240が弁座242に着座する際の衝突音が小さくなるようにする電流制御が行われるようにすれば、システム全体の作動音を低減させることができる。
なお、2つの電磁リニア弁230,500が択一的に使用されるようにすることもできる。本実施例においては、回生協調制御が行われる回数が同じである場合に、電磁リニア弁230,500各々の作動回数を少なくすることができ、その分、寿命を長くすることができる。
また、上記各実施例においては、前輪10,12が駆動輪である場合について説明したが、後輪56,58が駆動輪である車両、4輪が駆動輪である車両に適用することもできる。
さらに、上記実施例においては、マニュアル液圧源66が液圧ブースタ78とマスタシリンダ80とを含むものであったが、液圧ブースタを含まないものとすることができる。例えば、マニュアル液圧源を2つの加圧室を備えたマスタシリンダとすることができ、2つの加圧室がそれぞれ第1主通路202,350、第2主通路204,352に接続されることになる。
また、電磁リニア弁は、常開弁とすることもできる。
さらに、後輪56,58に共通に増圧制御弁と減圧用電磁リニア弁を設けることもできる。このようにすれば、減圧用電磁リニア弁が1つで済むため、よりコストダウンを図ることができる。また、液圧制御ユニット150の小形化したり、軽量化したりすること等も可能である。
さらに、蓄電装置は、バッテリに限らず、キャパシタ等他の種類の蓄電装置を採用することできる。
その他、本発明は、前述に記載の態様の他、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した態様で実施することができる。
本発明の一実施例である液圧ブレーキ装置を含む制動装置全体を概念的に示す図である。 上記液圧ブレーキ装置の回路図である。 上記液圧ブレーキ装置に含まれるリニア液圧制御装置を断面図である。 上記液圧ブレーキ装置のブレーキECUの記憶部に記憶された回生協調制御プログラムを表すフローチャートである。 上記ブレーキECUの記憶部に記憶されたポンプモータ制御プログラムを表すフローチャートである。 本発明の別の一実施例である液圧ブレーキ装置の回路図である 本発明の別の一実施例である液圧ブレーキ装置を含む制動装置全体を概念的に示す図である。 上記液圧ブレーキ装置の回路図である。 上記液圧ブレーキ装置のブレーキECUの記憶部に記憶されたブレーキ制御プログラムを表すフローチャートである。 上記ブレーキECUの記憶部に記憶されたイグニッションスイッチON時チェックプログラムを表すフローチャートである。 上記プログラムの一部を表すフローチャートである(チェック開始条件成立判定)。 上記プログラムの別の一部を表すフローチャートである(後輪ブレーキ系統液漏れ有無検出)。 上記プログラムの別の一部を表すフローチャートである(液漏れ弁特定)。 上記プログラムの実行に従う液漏れ有無検出結果を示す図である。 上記プログラムのさらに別の一部を表すフローチャートである(分離弁閉固着検出)。 上記ブレーキECUの記憶部に記憶されたイグニッションOFF時チェックプログラムを表すフローチャートである。 図10のフローチャートで表されるブレーキ制御プログラムの一部の別のフローチャートである(後輪ブレーキ系統液漏れ有無検出)。 図10のフローチャートで表されるブレーキ制御プログラムの一部の別のフローチャートである(液漏れ弁特定)。 液漏れ判定時間を決定するためのテーブルを表すマップである。 本発明のさらに別の一実施例である液圧ブレーキ装置のブレーキECUに記憶されたイグニッションスイッチON時チェックプログラムの一部を表すフローチャートである(前輪ブレーキ系統液漏れ有無検出)。 上記液圧ブレーキ装置のストロークとブレーキ液圧との関係から前輪ブレーキ系統の液漏れの有無を検出するためのテーブルを表すマップである。 本発明の別の一実施例である液圧ブレーキ装置の回路図である。 上記液圧ブレーキ装置のブレーキECUの記憶部に記憶された増圧リニア弁への供給電流を決定するためのテーブルを表すマップである。
符号の説明
14:回生制動装置 48:ハイブリッドECU 50,400,498:液圧ブレーキ装置 52,54,60,62:ブレーキシリンダ 64:動力液圧源 66:マニュアル液圧源 160、348:主通路 190:分離弁 202、350:第1主通路 204、352:第2主通路 172,174:増圧制御弁 182,184:減圧用電磁リニア弁 186,188:減圧用電磁リニア弁 222:ブースタ遮断弁 224:マスタ遮断弁 230,370,372,500:増圧用電磁リニア弁 402,404:絞り 406,408:逆止弁 410:ブレーキシリンダ圧センサ 412:ブースタ圧センサ

Claims (20)

  1. 車両の複数の車輪に対応してそれぞれ設けられ、ブレーキシリンダの液圧により車輪の回転をそれぞれ抑制する複数の液圧ブレーキと、
    液圧を発生可能な液圧発生装置と、
    低圧源と、
    前記液圧発生装置が接続されるとともに、前記複数のブレーキシリンダが接続された主通路と、
    その主通路と前記複数のブレーキシリンダとを、それぞれ、個別に接続する複数の個別通路と、
    それら複数の個別通路の各々に、前記複数のブレーキシリンダの各々に対応してそれぞれ設けられた複数の電磁増圧制御弁と、
    前記低圧源に直接接続された低圧通路と、
    前記複数の個別通路の各々の前記電磁増圧制御弁の下流側において、前記複数のブレーキシリンダの各々と前記低圧通路とを、それぞれ、個別に接続する複数の減圧用個別通路と、
    前記複数の減圧用個別通路の各々に、前記複数のブレーキシリンダの各々に対応して設けられた複数の電磁減圧制御弁と
    を含む液圧ブレーキ装置であって、
    前記複数の電磁減圧制御弁のうちの一部を供給電流の連続的な変化により、前記電磁減圧制御弁の前後の差圧を連続的に変化させ得る減圧用電磁リニア弁とし、残りを供給電流のON・OFFにより開閉させられる減圧用電磁開閉弁とするとともに、
    当該液圧ブレーキ装置が、前記複数の電磁増圧制御弁を開状態とすることにより、前記複数のブレーキシリンダを互いに連通させた状態で、少なくとも、前記減圧用電磁リニア弁への供給電流を制御することにより前記複数のブレーキシリンダの液圧を制御するブレーキ液圧制御装置を含むことを特徴とする液圧ブレーキ装置。
  2. 前記液圧ブレーキが、前記車両に設けられた前後左右の4輪の各々に対応してそれぞれ設けられ、
    前記前後左右の4輪のブレーキシリンダが、前記主通路にそれぞれ前記個別通路を介して接続され、
    前記4つの個別通路に、それぞれ、前記電磁増圧制御弁が設けられるとともに、
    前記4つの個別通路の各々の前記電磁増圧制御弁の下流側において、前記前後左右の4輪のブレーキシリンダの各々と前記減圧通路とがそれぞれ前記減圧用個別通路によって接続され、かつ、
    前記4つの減圧用個別通路の各々に、前記電磁減圧制御弁が前記前後左右の4輪のブレーキシリンダに対応して設けられるともに、それら4つの電磁減圧制御弁のうちの1つが前記減圧用電磁リニア制御弁とされ、残りの3つが前記減圧用電磁開閉弁とされた請求項1に記載の液圧ブレーキ装置。
  3. 前記ブレーキ液圧制御装置が、(a)前記複数のブレーキシリンダの実際の液圧がブレーキ操作状態で決まる要求制動力に対応する目標液圧に近づくように、少なくとも前記減圧用電磁リニア弁への供給電流量を制御する要求制動力対応電流制御部と、(b)前記車輪のスリップ状態が路面の摩擦係数に対して適正な状態となるように、前記減圧用電磁リニア弁への供給電流を0と最大値とのいずれかに制御するスリップ制御時電流制御部との少なくとも一方を含む請求項1または2に記載の液圧ブレーキ装置。
  4. 前記液圧発生装置が、動力の供給により、前記車両のブレーキ操作部材の操作とは関係なく液圧を発生させ得る動力液圧源を含み、当該液圧ブレーキ装置が、前記主通路と前記動力液圧源との間に設けられ、供給電流の連続的な変化により、前記動力液圧源と前記主通路との間の差圧を連続的に変化させ得る増圧用電磁リニア弁を含み、前記ブレーキ液圧制御装置が、前記増圧用電磁リニア弁への供給電流を制御する増圧リニア弁制御部を含む請求項1ないし3のいずれか1つに記載の液圧ブレーキ装置。
  5. 前記液圧発生装置が、前記車両のブレーキ操作部材の操作力に応じた液圧を発生させる2つのマニュアル液圧発生部を備えたマニュアル液圧源を含み、前記複数のブレーキシリンダが、第1群に属する1つ以上のブレーキシリンダと、第2群に属する別の1つ以上のブレーキシリンダとを含み、前記主通路が、前記第1群に属するブレーキシリンダが接続されるとともに前記2つのマニュアル液圧発生部の一方が接続された第1主通路と前記第2群に属するブレーキシリンダが接続されるとともに前記2つのマニュアル液圧発生部の他方が接続された第2主通路とを含み、当該液圧ブレーキ装置が、前記第1主通路と前記第2主通路とを連通させる連通状態とこれらを遮断する遮断状態とに切り換え可能な分離弁を含む請求項1ないし4のいずれか1つに記載の液圧ブレーキ装置。
  6. 前記第1群と前記第2群との一方の群に属するブレーキシリンダに対応して設けられた前記電磁減圧制御弁を前記減圧用リニア制御弁として、前記第1群と前記第2群との他方の群に属するブレーキシリンダに対応して設けられた前記電磁減圧制御弁を前記減圧用電磁開閉弁とした請求項5に記載の液圧ブレーキ装置。
  7. 前記第1群に2つ以上のブレーキシリンダが属し、それら2つ以上のブレーキシリンダのうちの一部に対応して設けられた前記電磁減圧制御弁を前記減圧用電磁リニア弁として残りを前記減圧用電磁開閉弁とし、前記第2群に2つ以上のブレーキシリンダが属し、それら2つ以上のブレーキシリンダのうちの一部に対応して設けられた前記電磁減圧制御弁を前記減圧用電磁リニア弁として残りを前記減圧用電磁開閉弁とした請求項5に記載の液圧ブレーキ装置。
  8. 前記減圧用電磁開閉弁に対応する電磁増圧制御弁と前記減圧用電磁リニア弁に対応する電磁増圧制御弁とのいずれか一方の流路面積を他方の流路面積より大きくするとともに、その流路面積が大きくされた電磁増圧制御弁とそれに対応するブレーキシリンダとの間に絞り機能部を設けた請求項1ないし7のいずれか1つに記載の液圧ブレーキ装置。
  9. 前記低圧源を、大気圧で作動液を収容するリザーバタンクとする請求項1ないし8のいずれか1つに記載の液圧ブレーキ装置。
  10. 前記ブレーキ液圧制御装置が、前記減圧用電磁リニア弁のうちの少なくとも1つの異常時に、その異常である少なくとも1つの減圧用電磁リニア弁に対応する電磁増圧制御弁を閉状態として、前記複数のブレーキシリンダからその閉状態とされた電磁増圧制御弁に対応するブレーキシリンダを除くブレーキシリンダの液圧を制御する異常時液圧制御手段を含む請求項1ないし9のいずれか1つに記載の液圧ブレーキ装置。
  11. 前記複数のブレーキシリンダが、第1群に属する1つ以上のブレーキシリンダと、第2群に属する別の1つ以上のブレーキシリンダとを含み、前記主通路が、前記第1群に属するブレーキシリンダが接続された第1主通路と前記第2群に属するブレーキシリンダが接続された第2主通路とを含み、当該液圧ブレーキ装置が、前記第1主通路と前記第2主通路とを連通させる連通状態とこれらを遮断する遮断状態とに、供給電流の制御により切り換わる分離弁を含み、前記ブレーキ液圧制御装置が、前記分離弁の閉状態において、前記第1主通路の液圧と前記第2主通路の液圧との差を設定値以上とし、その状態で、前記分離弁が閉状態から開状態に切り換わるように供給電流の制御指令を出力した後に、前記第1主通路と前記第2主通路との少なくとも一方の液圧が異常判定しきい値以上変化しない場合に、前記分離弁が閉固着異常であるとする分離弁異常検出部を含む請求項1ないし10のいずれか1つに記載の液圧ブレーキ装置。
  12. 前記液圧発生装置が、動力の供給により液圧を発生させ得る動力液圧源を含み、その動力液圧源が前記第1主通路と前記第2主通路とのいずれか一方の通路に接続され、前記分離弁異常検出部が、前記動力液圧源を作動させることにより、前記一方の通路の液圧を他方の通路の液圧より設定値以上大きくし、その状態で、前記分離弁が閉状態から開状態に切り換わるように供給電流の制御指令を出力した後に、前記他方の通路の液圧が前記異常判定しきい値以上大きくならない場合に、前記分離弁が閉固着異常であるとする不増加時異常検出部を含む請求項11に記載の液圧ブレーキ装置。
  13. 前記分離弁異常検出部が、前記第1主通路と前記第2主通路とのいずれか一方の通路に接続されたブレーキシリンダに対応する電磁減圧制御弁を開状態とすることにより、前記一方の通路の液圧を他方の通路の液圧より設定値以上小さくし、その状態で、前記分離弁が閉状態から開状態に切り換わるように供給電流の制御指令を出力した後に、前記他方の通路の液圧が前記異常判定しきい値以上小さくならない場合に、前記分離弁が閉固着異常であるとする不低下時異常検出部を含む請求項11または12に記載の液圧ブレーキ装置。
  14. 車両の複数の車輪に対応してそれぞれ設けられ、ブレーキシリンダの液圧により車輪の回転をそれぞれ抑制する複数の液圧ブレーキと、
    液圧を発生可能な液圧発生装置と、
    低圧源と、
    前記液圧発生装置が接続されるとともに、前記複数のブレーキシリンダが接続された主通路と、
    その主通路と前記複数のブレーキシリンダとの間に設けられた複数の電磁増圧制御弁と、
    前記複数のブレーキシリンダと前記低圧源との間に設けられた複数の電磁減圧制御弁とを含む液圧ブレーキ装置であって、
    前記複数の電磁減圧制御弁のうちの一部を、供給電流の連続的な変化により、前記電磁減圧制御弁の前後の差圧を連続的に変化させ得る減圧用電磁リニア弁とし、残りを供給電流のON・OFFにより開閉させられる減圧用電磁開閉弁とするとともに、
    前記残りの減圧用電磁開閉弁に対応する電磁増圧制御弁と前記一部の減圧用電磁リニア弁に対応する電磁増圧制御弁とのいずれか一方の流路面積を他方の流路面積より大きくし、かつ、
    当該液圧ブレーキ装置が、前記流路面積が大きくされた電磁増圧制御弁とそれに対応するブレーキシリンダとの間に設けられた絞り機能部を含むとともに、少なくとも、前記減圧用電磁リニア弁への供給電流を制御することにより前記複数のブレーキシリンダの液圧を制御するブレーキ液圧制御装置を含むことを特徴とする液圧ブレーキ装置。
  15. 車両の複数の車輪に対応してそれぞれ設けられ、ブレーキシリンダの液圧により車輪の回転をそれぞれ抑制する複数の液圧ブレーキと、
    液圧を発生可能な液圧発生装置と、
    低圧源と、
    前記液圧発生装置が接続されるとともに、前記複数のブレーキシリンダが接続された主通路と、
    その主通路と前記複数のブレーキシリンダとの間に設けられた複数の電磁増圧制御弁と、
    前記複数のブレーキシリンダと前記低圧源との間に設けられた複数の電磁減圧制御弁とを含む液圧ブレーキ装置であって、
    前記複数の電磁減圧制御弁のうちの一部を供給電流の連続的な変化により、前記電磁減圧制御弁の前後の差圧を連続的に変化させ得る減圧用電磁リニア弁とし、残りを供給電流のON・OFFにより開閉させられる減圧用電磁開閉弁とするとともに、
    前記液圧発生装置が、(a)動力の供給により、前記車両のブレーキ操作部材の操作とは関係なく液圧を発生させ得る動力液圧源と、(b)その動力液圧源の液圧を利用して、前記車両のブレーキ操作部材の操作力を倍力し、その倍力した大きさの液圧を発生させるマニュアル液圧源としての液圧ブースタとを含み、
    当該液圧ブレーキ装置が、(c)前記主通路と前記動力液圧源との間に設けられ、供給電流の連続的な変化により、前記動力液圧源と前記主通路との間の差圧を連続的に変化させ得る動力側増圧用電磁リニア弁と、(d)前記主通路と前記液圧ブースタとの間に設けられ、供給電流の連続的な変化により、前記液圧ブースタと前記主通路との間の差圧を連続的に変化させ得るブースタ側増圧用電磁リニア弁と、(e)少なくとも、前記減圧用電磁リニア弁への供給電流を制御することにより前記複数のブレーキシリンダの液圧を制御するブレーキ液圧制御装置とを含むことを特徴とする液圧ブレーキ装置。
  16. 車両の複数の車輪に対応してそれぞれ設けられ、ブレーキシリンダの液圧により車輪の回転をそれぞれ抑制する複数の液圧ブレーキと、
    液圧を発生可能な液圧発生装置と、
    低圧源と、
    前記液圧発生装置が接続されるとともに、前記複数のブレーキシリンダが接続された主通路と、
    その主通路と前記複数のブレーキシリンダとの間に設けられた複数の電磁増圧制御弁と、
    前記複数のブレーキシリンダと前記低圧源との間に設けられた複数の電磁減圧制御弁とを含む液圧ブレーキ装置であって、
    前記複数の電磁減圧制御弁のうちの一部を供給電流の連続的な変化により、前記電磁減圧制御弁の前後の差圧を連続的に変化させ得る減圧用電磁リニア弁とし、残りを供給電流のON・OFFにより開閉させられる減圧用電磁開閉弁とするとともに、
    前記液圧発生装置が、(a)動力の供給により、前記車両のブレーキ操作部材の操作とは関係なく液圧を発生させ得る動力液圧源と、(b)その動力液圧源を含み、その動力液圧源の液圧を利用して、前記ブレーキ操作部材の操作力を倍力し、その倍力した大きさの液圧を発生させる液圧ブースタとのいずれか一方を含み、
    当該液圧ブレーキ装置が、少なくとも、前記減圧用電磁リニア弁への供給電流を制御することにより前記複数のブレーキシリンダの液圧を制御するブレーキ液圧制御装置であって、(a)前記動力液圧源の出力液圧が設定範囲内に保たれるように、動力を供給する出力液圧制御部と、(b)前記液圧ブレーキの作用中に、前記出力液圧制御部によって動力が供給される時間が液漏れ判定時間より長い場合に、前記減圧用電磁リニア弁の少なくとも1つに液漏れがあると検出する動力供給時間依拠液漏れ検出装置とを備えたものを含むことを特徴とする液圧ブレーキ装置。
  17. 前記液圧発生装置が、作動液を汲み上げて加圧して吐出するポンプと、そのポンプを駆動するポンプモータとを含み、前記動力供給時間依拠液漏れ検出部が、前記ポンプモータへ電流を供給する蓄電装置の出力電圧に基づいて前記液漏れ判定時間を決定する液漏れ判定時間決定部を含む請求項16に記載の液圧ブレーキ装置。
  18. 車両の複数の車輪に対応してそれぞれ設けられ、ブレーキシリンダの液圧により車輪の回転をそれぞれ抑制する複数の液圧ブレーキと、
    液圧を発生可能な液圧発生装置と、
    低圧源と、
    前記液圧発生装置が接続されるとともに、前記複数のブレーキシリンダが接続された主通路と、
    その主通路と前記複数のブレーキシリンダとの間に設けられた複数の電磁増圧制御弁と、
    前記複数のブレーキシリンダと前記低圧源との間に設けられた複数の電磁減圧制御弁とを含む液圧ブレーキ装置であって、
    前記複数のブレーキシリンダが、第1群に属する1つ以上のブレーキシリンダと、第2群に属する別の1つ以上のブレーキシリンダとを含み、前記主通路が、前記第1群に属するブレーキシリンダが接続された第1主通路と前記第2群に属するブレーキシリンダが接続された第2主通路とを含み、
    前記複数の電磁減圧制御弁のうちの、前記第1群と前記第2群とのいずれか一方の群に属するブレーキシリンダのうちの少なくとも1つに対応して設けられものを、供給電流の連続的な変化により、前記電磁減圧制御弁の前後の差圧を連続的に変化させ得る減圧用電磁リニア弁とし、残りを供給電流のON・OFFにより開閉させられる減圧用電磁開閉弁とするとともに、
    少なくとも、前記減圧用電磁リニア弁への供給電流を制御することにより前記複数のブレーキシリンダの液圧を制御するブレーキ液圧制御装置を設け、そのブレーキ液圧制御装置が、前記第1主通路と前記第2主通路とが遮断された状態において、前記一方の群のブレーキシリンダを含む一方のブレーキ系統の液圧が他方の群のブレーキシリンダを含む他方のブレーキ系統の液圧に対して低い場合に、前記減圧用電磁リニア弁のうちの少なくとも1つに液漏れが有るとする液圧依拠液漏れ検出部を含むことを特徴とする液圧ブレーキ装置。
  19. 前記ブレーキ液圧制御装置が、前記液圧依拠液漏れ検出部によって前記減圧用電磁リニア弁のうちの少なくとも1つにおいて液漏れが有ると検出された場合に、(i)前記一方のブレーキ系統に設けられた減圧用電磁リニア弁に対応する電磁増圧制御弁のうちの1つを閉状態とするとともに残りの電磁増圧制御弁を開状態とし、その状態において、前記一方のブレーキ系統の液圧と前記他方のブレーキ系統の液圧との関係が正常である場合に、その閉状態にある電磁増圧制御弁に対応する減圧用電磁リニア弁に液漏れが有るとする第1液圧依拠液漏れ弁特定部と、(ii)前記一方のブレーキ系統に設けられた減圧用電磁リニア弁に対応する電磁増圧制御弁のうちの1つを開状態とするとともに残りの電磁増圧制御弁を閉状態とし、その状態において、前記一方のブレーキ系統の液圧と前記他方のブレーキ系統の液圧との関係が正常である場合に、その開状態にある電磁増圧制御弁に対応する減圧用電磁リニア弁には液漏れがないとする第2液圧依拠液漏れ弁特定部との少なくとも一方を含む請求項18に記載の液圧ブレーキ装置。
  20. 車両の複数の車輪に対応してそれぞれ設けられ、ブレーキシリンダの液圧により車輪の回転をそれぞれ抑制する複数の液圧ブレーキと、
    液圧を発生可能な液圧発生装置と、
    低圧源と、
    前記液圧発生装置が接続されるとともに、前記複数のブレーキシリンダが接続された主通路と、
    その主通路と前記複数のブレーキシリンダとの間に設けられた複数の電磁増圧制御弁と、
    前記複数のブレーキシリンダと前記低圧源との間に設けられた複数の電磁減圧制御弁とを含む液圧ブレーキ装置であって、
    前記複数のブレーキシリンダが、第1群に属する1つ以上のブレーキシリンダと、第2群に属する別の1つ以上のブレーキシリンダとを含み、
    前記第1群と前記第2群とのいずれか一方の群に属するブレーキシリンダのうちの少なくとも1つに対応して、供給電流の連続的な変化により、前記電磁減圧制御弁の前後の差圧を連続的に変化させ得る減圧用電磁リニア弁が設けられ、残りのブレーキシリンダに対応して、供給電流のON・OFFにより開閉させられる減圧用電磁開閉弁が設けられ、
    前記主通路が、前記第1群に属するブレーキシリンダが接続された第1主通路と前記第2群に属するブレーキシリンダが接続された第2主通路とを含み、
    前記液圧発生装置が、前記車両のブレーキ操作部材の操作力に応じた液圧を発生させ、ストロークの増加に伴って作動液を供給するマスタシリンダを含むとともに、そのマスタシリンダが前記第1主通路と前記第2主通路とのうちの前記一方の群に属するブレーキシリンダが接続された通路に接続され、
    当該液圧ブレーキ装置が、少なくとも、前記減圧用電磁リニア弁への供給電流を制御することにより前記複数のブレーキシリンダの液圧を制御するブレーキ液圧制御装置であって、前記第1主通路と前記第2主通路とが遮断された状態において、前記一方の群のブレーキシリンダが属するブレーキ系統の液圧に対して前記ブレーキ操作部材のストロークが大きい場合に、前記減圧用電磁リニア弁の少なくとも1つに液漏れが有るとするストローク依拠液漏れ検出部を備えたものを含むことを特徴とする液圧ブレーキ装置。
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