JP5609484B2 - 液圧ブレーキシステム - Google Patents

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Description

本発明は、車輪の回転を抑制する液圧ブレーキを備えた液圧ブレーキシステムに関するものである。
特許文献1に記載の液圧ブレーキシステムには、(a)マニュアル式液圧源と、(b)ポンプ装置とアキュムレータとを含む動力式液圧源と、(c)低圧源と、(d)複数のブレーキシリンダが接続された共通通路と、(e)共通通路と動力式液圧源との間と、共通通路と低圧源との間とに、それぞれ設けられた増圧側、減圧側のリニア式制御弁と、(f)共通通路とマニュアル式液圧源との間に設けられたONOFF式制御弁と、(g)リニア式制御弁とONOFF式制御弁とを制御することにより、共通通路の液圧を制御する液圧制御装置とが含まれる。この液圧ブレーキシステムにおいて、ブレーキの解除時に、ONOFF式制御弁が閉状態から開状態に切り換えられる前に、減圧側のリニア式制御弁が開状態とされる。それによって、ブレーキシリンダの液圧を速やかに大気圧に戻すことが可能となり、引きずりを良好に防止することができる。
特開2010−42743
本発明の課題は、液圧ブレーキシステムの改良を図ることであり、動力式液圧源の液圧を利用して、共通通路の液圧を良好に制御することである。
課題を解決するための手段および効果
本願発明に係る液圧ブレーキシステムは、複数のブレーキシリンダが接続された共通通路と動力式液圧源との間に、互いに並列に設けられたリニア式制御弁とONOFF式制御弁とを含むものであり、ONOFF式制御弁が、共通通路の前輪ブレーキシリンダの接続部と後輪ブレーキシリンダの接続部との間の部分に接続され、ONOFF式制御弁と後輪ブレーキシリンダとの間に流れ制限装置が設けられたものである。
このように、共通通路と動力液圧源との間に、リニア式制御弁とONOFF式制御弁とが並列に設けられるため、これらの間にリニア式制御弁のみが設けられる場合に比較して、共通通路に供給される作動液の流量を大きくすることができ、共通通路の液圧(複数のブレーキシリンダの液圧)の増加速度を大きくすることができる。一方、リニア式制御弁の流路面積を大きくすることも考えられるが、その場合には、ソレノイドが大型化したり、大きな電流が必要になったりする等の問題がある。それに対して、リニア式制御弁とONOFF式制御弁とを並列に設ければ、それらの問題を回避しつつ、増加速度を大きくすることができる。
また、ONOFF式制御弁が共通通路の前輪ブレーキシリンダの接続部と後輪ブレーキシリンダの接続部との間の部分に接続され、ONOFF式制御弁と後輪ブレーキシリンダとの間に流れ制限装置が設けられる。動力式液圧源からONOFF式制御弁を経て、後輪ブレーキシリンダへ作動液が流れ難くされるのであり、その分、前輪ブレーキシリンダへ流れ易くすることができる。一方、前輪ブレーキシリンダは後輪ブレーキシリンダよりシリンダ径が大きいのが普通であるため、同じ液圧とするために多くの作動液量が必要となる。また、後輪が先にロックすることを回避するために、後輪ブレーキシリンダより前輪ブレーキシリンダに大きな流量で作動液が供給されることが望ましい。それに対して、本願発明に係る液圧ブレーキシステムにおいては、動力式液圧源からONOFF式制御弁を経て、前輪ブレーキシリンダに大きな流量で作動液を供給することができるため、前輪液圧ブレーキの効き遅れを抑制し、後輪が先にロックすることを良好に回避することができる。
特許請求可能な発明
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある。請求可能発明は、少なくとも、請求の範囲に記載された発明である「本発明」ないし「本願発明」を含むが、本願発明の下位概念発明や、本願発明の上位概念あるいは別概念の発明を含むこともある。)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、請求可能発明を構成する構成要素の組を、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載,実施例の記載等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。
(1)車両に設けられ、動力の供給により作動させられる動力式液圧源と、
前記車両の前輪に設けられ、車輪の回転を抑制する前輪液圧ブレーキと、
前記車両の後輪に設けられ、車輪の回転を抑制する後輪液圧ブレーキと、
前記前輪液圧ブレーキに含まれる前輪ブレーキシリンダと前記後輪液圧ブレーキに含まれる後輪ブレーキシリンダとがそれぞれ接続された共通通路と、
その共通通路と前記動力式液圧源との間に互いに並列に設けられた(a)ソレノイドへの供給電流のONOFF制御により開閉させられるONOFF式制御弁と、(b)ソレノイドへの供給電流量の連続的な制御により高圧側と低圧側との差圧を連続的に制御可能なリニア式制御弁とを備えた増圧制御弁装置と
を含むとともに、
前記ONOFF式制御弁が、前記共通通路の、前記前輪ブレーキシリンダが接続された前輪側接続部と前記後輪ブレーキシリンダが接続された後輪側接続部との間に接続されたことを特徴とする液圧ブレーキシステム。
共通通路には、前輪ブレーキシリンダと後輪ブレーキシリンダとが、それぞれ、接続されるが、前輪ブレーキシリンダ、後輪ブレーキシリンダが、それぞれ、複数個ずつ接続されるのが普通である。複数個(左右2個)の前輪ブレーキシリンダは、それぞれ、別個に接続される場合と、共通に接続される場合とがある。別個に接続される場合には、複数個の前輪ブレーキシリンダが、それぞれ、個別の前輪側接続部(左前輪側接続部、右前輪側接続部)において接続され、共通に接続される場合には、複数個の前輪ブレーキシリンダが、1つの共通の前輪側接続部(左右共通前輪側接続部)において接続される。後輪ブレーキシリンダについても同様である。
なお、共通通路に、複数の個別の前輪側接続部、複数の個別の後輪側接続部が設けられる場合には、ONOFF式制御弁は、共通通路の、複数の個別前輪側接続部、複数の個別後輪側接続部の間の部分に接続される。
(2)前記リニア式制御弁と前記ONOFF式制御弁とで、最小断面積を互いに異なるものとした(1)項に記載の液圧ブレーキシステム。
最小断面積とは、制御弁内に形成された流路等のうち断面積が最小の部分(例えば、ポート)の面積をいう。制御弁の使用時において、制御弁の開口部の面積である開口面積は、この最小断面積以下の範囲で調節可能とされるのが普通である。そのため、制御弁の構造で決まる最小断面積は制御弁の開口部の最大開口面積とほぼ同じであると考えることができる。
このことから、最小断面積が大きい制御弁においては小さい制御弁より、大きな流量での作動液の流れが許容される。
(3)前記リニア式制御弁の最小断面積が前記ONOFF式制御弁の最小断面積より小さい(1)項または(2)項に記載の液圧ブレーキシステム。
(4)前記リニア式制御弁と前記ONOFF式制御弁との両方が、それぞれ、弁子と弁座とを備えたシーティング弁部と、弁子と弁座との間に付勢力を付与するスプリングと、コイルおよびプランジャを備えたソレノイドとを含むものである(1)項ないし(3)項のいずれか1つに記載の液圧ブレーキシステム。
ONOFF式制御弁、リニア式制御弁は、それぞれ、スプール弁部を含むものであっても、シーティング弁部を含むものであってもよいが、シーティング弁部を含むものとした方が、閉時において高い液密性が得られるため、望ましい。
ONOFF式制御弁、リニア式制御弁は、それぞれ、ソレノイドのコイルに電流(以下、単に、ソレノイドに電流と略称する)が供給されない間、スプリングの付勢力により弁子を弁座に着座させる常閉弁であっても、スプリングの付勢力により弁子を弁座から離間させる常開弁であってもよい。
最小断面積が大きい場合には、液圧が同じであっても、シーティング弁部に作用する力が大きくなるため、その分、ソレノイドを大きくする必要があり、開閉するのに大きな電流が必要となる。一方、リニア式制御弁とONOFF式制御弁とを比較すると、リニア式制御弁の方が使用頻度が高い。そのため、リニア式制御弁の最小断面積をONOFF式制御弁の最小断面積より小さくするのが望ましい。
(5)前記前輪ブレーキシリンダが、前記共通通路に前輪個別通路を介して接続されるとともに、当該液圧ブレーキシステムが、運転者のブレーキ操作部材の操作により液圧を発生させるマニュアル式液圧源を含み、そのマニュアル式液圧源が、前記前輪個別通路に接続された(1)項ないし(4)項のいずれか1つに記載の液圧ブレーキシステム。
本項に記載の液圧ブレーキシステムにおいては、動力式液圧源が共通通路に接続されるが、マニュアル式液圧源は共通通路に接続されていない。そのため、マニュアル式液圧源の液圧を利用して、共通通路の液圧を制御することが困難である。
一方、特許文献1に記載のブレーキシステムにおけるように、マニュアル式液圧源が共通通路にONOFF式制御弁を介して接続されている場合には、ONOFF式制御弁を制御することによって、共通通路に供給される作動液の流量を大きくすることができ、複数のブレーキシリンダに供給される作動液の流量を大きくすることができる。
それに対して、マニュアル式液圧源が共通通路に接続されていない液圧ブレーキシステムにおいて、動力式液圧源と共通通路との間に、リニア式制御弁とONOFF式制御弁とが互いに並列に設けられれば、マニュアル式液圧源の液圧を利用しなくても、動力式液圧源の液圧を利用して、複数のブレーキシリンダに供給される作動液の液量を大きくすることができる。
また、マニュアル式液圧源が個別通路に接続されているため、システム異常時に、より確実に、ブレーキシリンダに液圧を供給することが可能となる。
さらに、動力式液圧源の液圧はマニュアル式液圧源の液圧より安定しているため、動力式液圧源の液圧を利用した方が、共通通路の液圧を精度よく制御することが可能となる。
なお、液圧ブレーキシステムが、2つのマニュアル式液圧源を含み、かつ、左前輪ブレーキシリンダ、右前輪ブレーキシリンダが、それぞれ、左前輪個別通路、右前輪を介して共通通路に接続される場合には、マニュアル式液圧源の各々が、それぞれ、左前輪個別通路、右前輪個別通路に接続されるようにすることができる。
また、本願発明は、マニュアル式液圧源が共通通路に接続されている液圧ブレーキシステムに適用することができる。
(6)当該液圧ブレーキシステムが、前記共通通路の、前記ONOFF式制御弁と前記後輪ブレーキシリンダとの間に設けられ、前記ONOFF式制御弁から前記後輪ブレーキシリンダへ向かう作動液の流れを制限する流れ制限装置を含む(1)項ないし(5)項のいずれか1つに記載の液圧ブレーキシステム。
流れ制限装置は、ONOFF式制御弁と1つ以上の後輪ブレーキシリンダとの間に設けられる。
流れ制限装置は、共通通路に設けても、後輪側接続部と後輪ブレーキシリンダとの間に設けてもよい。後輪ブレーキシリンダが後輪側接続部に後輪個別通路を介して接続される場合には、後輪個別通路に設けることができるのである。例えば、実施例において詳述するように、後輪個別通路に設けられたアンチロック制御用の制御弁を流れ制限装置の一構成要素であると考えることもできる。
また、流れ制限装置を設けることにより、ONOFF式制御弁から共通通路に作動液が供給されることにより発生させられる脈動を抑制し得る場合もある。
なお、流れ制限装置は、例えば、絞り(オリフィスを含む)、逆止弁、電磁開閉弁、ダンパー、可変容積室等のうちの1つ以上を含むものとすることができる。流れ制限装置は、オリフィスを含むものとすることが望ましい。
(7)前記流れ制限装置が、前記共通通路の、前記ONOFF式制御弁の接続部と前記後輪側接続部との間の部分に設けられた絞りを含む(6)項に記載の液圧ブレーキシステム。
複数個の後輪ブレーキシリンダが共通通路に接続される場合に、絞りが共通通路に設けられるため、絞りにより、複数個の後輪ブレーキシリンダへの作動液の流れを共通に制限することができる。
また、複数個の後輪ブレーキシリンダが、それぞれ、後輪個別通路を介して、共通通路の個別後輪側接続部に接続されている場合において、流れ制限装置を複数の後輪個別通路の各々に設けるより、共通通路に設けた方が、部品点数を少なくすることができ、コストダウンを図ることができる。
(8)前記リニア式制御弁が、前記共通通路の、前記後輪側接続部に対して前記ONOFF式制御弁とは反対側に接続され、前記流れ制限装置が、互いに並列に設けられた(a)絞りと、(b)前記リニア式制御弁から前記前輪側接続部への作動液の流れを許容し、逆向きの流れを阻止する逆止弁とを含む(6)項または(7)項に記載の液圧ブレーキシステム。
リニア式制御弁は、共通通路の後輪側接続部に対してONOFF式制御弁とは反対側に設けられる。換言すれば、共通通路には、リニア式制御弁、後輪ブレーキシリンダ、ONOFF式制御弁、前輪ブレーキシリンダが、この順に接続されることになる。
流れ抑制装置において、(i)絞りと、(ii)逆止弁とが並列に設けられる。絞りによって、後輪側接続部とONOFF式制御弁との間の双方向の流れが抑制されるが、逆止弁によって、リニア式制御弁から前輪側接続部への作動液の流れが許容される。その結果、ONOFF式制御弁から後輪ブレーキシリンダへの作動液の流れを抑制しつつ、リニア式制御弁からも、ONOFF式制御弁からも、前輪ブレーキシリンダへの作動液の流れが許容される。後輪ブレーキシリンダより前輪ブレーキシリンダに、より大きな流量で作動液を供給することが可能となり、前輪液圧ブレーキの作動遅れを抑制し、後輪が先にロックすることを良好に回避することができる。
(9)当該液圧ブレーキシステムが、前記共通通路の、前記流れ制限装置に対して前記ONOFF式制御弁の接続部とは反対側に設けられ、前記共通通路の液圧を検出する共通液圧検出装置を含む(6)項ないし(8)項のいずれか1つに記載の液圧ブレーキシステム。
共通通路には、共通液圧検出装置、流れ制限装置、ONOFF式制御弁の接続部が、この順に設けられる。
共通通路と、前輪ブレーキシリンダ、後輪ブレーキシリンダとが連通している場合には、共通通路の液圧は、前輪ブレーキシリンダ、後輪ブレーキシリンダの液圧でもある。その意味において、共通通路の液圧はブレーキシリンダの液圧であると考えることができ、共通液圧検出装置は、ブレーキシリンダ液圧検出装置であると考えることもできる。そのため、共通液圧検出装置によって検出される液圧は、できる限り、安定した値であることが望ましい。それに対して、共通液圧検出装置が、流れ制限装置に対して、ONOFF式制御弁の反対側に設けられるため、ONOFF式制御弁から共通通路に液圧が供給されることによって脈動が生じることがあるが、その脈動が流れ制限装置によって抑制されて、共通液圧検出装置に供給される。その結果、共通液圧検出装置の検出値の振動を抑制することができ、より安定した値を取得することができる。
(10)当該液圧ブレーキシステムが、(a)前記ONOFF式制御弁の閉状態において、前記リニア式制御弁の制御により前記共通通路の液圧を制御するリニア弁単独制御部と、(b)前記リニア式制御弁の閉状態において、前記ONOFF式制御弁の制御により前記共通通路の液圧を制御するONOFF弁単独制御部と、(c)前記ONOFF式制御弁と前記リニア式制御弁との両方の制御により前記共通通路の液圧を制御する協調制御部とのうちの2つ以上を含む(1)項ないし(9)項のいずれか1つに記載の液圧ブレーキシステム。
液圧ブレーキシステムは、(i)(a)リニア弁単独制御部と、(ii)(b)ONOFF弁単独制御部と(c)協調制御部との少なくとも一方とを含むものとすることが望ましい。
その結果、例えば、共通通路の増圧制御の細かな要求を満足したり、液圧ブレーキシステムの信頼性を向上させたりすること等が可能となる。
(11)当該液圧ブレーキシステムが、少なくとも前記協調制御部を含み、その協調制御部が、(i)前記共通通路の液圧制御において目標液圧増加速度が設定速度以上であることと、(ii)前記目標液圧と実際の液圧との偏差の絶対値が設定値以上であることとの少なくとも一方が満たされた場合に、前記ONOFF式制御弁と前記リニア式制御弁との両方を制御する急増圧時協調制御部を含む(10)項に記載の液圧ブレーキシステム。
目標液圧増加速度が設定速度以上であること、目標液圧と実際の液圧との偏差の絶対値が設定値以上であることとの少なくとも一方が満たされた場合に、リニア式制御弁とONOFF式制御弁との両方が作動させられれば、リニア式制御弁が作動させられてONOFF式制御弁が作動させられない場合に比較して、共通通路に供給される作動液の流量を大きくすることができ、共通通路の液圧を速やかに目標液圧に近づけることができる。
このように、協調制御部によれば、液圧制御における急増圧要求(高応答要求)を良好に満たすことができる。
なお、上述の(i)の目標液圧増加速度が大きいことと(ii)偏差の絶対値が大きいこととの少なくとも一方が満たされた場合に、リニア弁単独制御、あるいは、ONOFF弁単独制御が行われることもある。
(12)前記急増圧時協調制御部が、前記ONOFF式制御弁への供給電流のONとOFFとを交互に繰り返すデューティ制御部を含む(11)項に記載の液圧ブレーキシステム。
ONOFF式制御弁に対しては、デューティ制御が行われても、連続ON制御が行われてもよいが、デューティ制御が行われれば、共通通路に供給される作動液の平均的な流量を制御することが可能となり、共通通路の液圧増加勾配を制御することができる。
(13)当該液圧ブレーキシステムが、少なくとも前記協調制御部を含むとともに、(i)低圧源と、(ii)前記共通通路と前記低圧源との間に設けられた減圧制御弁とを含み、前記協調制御部が、前記共通通路の液圧の増加制御が開始される場合に、前記減圧制御弁を作動させることにより、前記共通通路の液圧の増加勾配を抑制する減圧制御弁制御部を含む(10)項ないし(12)項のいずれか1つに記載の液圧ブレーキシステム。
減圧制御弁は、リニア式制御弁であっても、ONOFF式制御弁であってもよい。
ONOFF式制御弁において許容される作動液の流量が大きい場合には、減圧制御弁の制御により、共通通路の液圧の増加勾配を抑制することが望ましい。それによって、オーバーシュートを抑制することができる。特に、増加制御が開始される場合に減圧制御弁が制御されるため、オーバーシュートが生じることを良好に防止することができる。
例えば、ONOFF式制御弁が開状態にされると同時に、減圧制御弁を開状態にすることができる。
具体的には、ONOFF式制御弁について連続ON制御が実行された場合に、ONOFF式制御弁が開状態に切り換えられると同時に、減圧制御弁も開状態に切り換えられ、設定時間が経過した後に閉状態に切り換えられるようにすることができる。設定時間は、差圧、ONOFF式制御弁の開口面積、連続ON時間に基づいてオーバーシュート量を取得し(推測し)、そのオーバーシュート量分だけリザーバに戻すように決めることができる。
また、ONOFF式制御弁についてデューティ制御が行われる場合に、そのデューティ制御の周期と同期して、減圧制御弁も開状態と閉状態とに交互に切り換えられるようにすることができる。
(14)当該液圧ブレーキシステムが、少なくとも前記ONOFF弁単独制御部を含むとともに、前記リニア式制御弁の閉固着異常を検出するリニア式制御弁異常検出装置を含み、前記ONOFF弁単独制御部が、前記リニア式制御弁異常検出装置によって前記リニア式制御弁の閉固着異常が検出された場合に、前記ONOFF式制御弁を制御することにより前記共通通路への前記動力式液圧源の液圧の供給を許容するリニア弁異常時ONOFF弁制御部を含む(10)項ないし(13)項のいずれか1つに記載の液圧ブレーキシステム。
リニア式制御弁の閉固着異常時に、ONOFF式制御弁が使用されれば、動力式液圧源の液圧を利用して、共通通路の液圧を制御して、前輪ブレーキシリンダ、後輪ブレーキシリンダの液圧を共通に制御することができる。リニア式制御弁が異常であっても、液圧ブレーキシステムの電源系が正常である場合には、動力式液圧源を作動させたり、ONOFF式制御弁を作動させたりすることが可能である。
リニア式制御弁の閉固着異常の有無は、リニア式制御弁に、開度が最大となる電流(開弁電流でもよい)を供給した状態で、動力式液圧源に含まれるアキュムレータの液圧の変化を検出し、アキュムレータの液圧が低下しない場合には、リニア式制御弁の閉固着異常であると検出することができる。
リニア式制御弁が常閉の電磁弁である場合には、閉固着異常は断線に起因する場合もある。
なお、リニア式制御弁とONOFF式制御弁との両方に閉固着異常が生じることは稀であるため、ONOFF式制御弁は正常であるとすることができる。
(15)当該液圧ブレーキシステムが、(a)前記ONOFF式制御弁の開固着異常を検出するONOFF弁異常検出装置と、(b)そのONOFF弁異常検出装置によって、前記ONOFF式制御弁の開固着異常が検出された場合であって、かつ、前記前輪液圧ブレーキおよび前記後輪液圧ブレーキが非作用状態にある場合に、前記ONOFF式制御弁のソレノイドへの供給電流のONとOFFとを交互に切り換えるONOFF弁異常時ONOFF弁制御部とを含む(1)項ないし(14)項のいずれか1つに記載の液圧ブレーキシステム。
ONOFF式制御弁が常閉の電磁弁である場合には、開固着異常は異物の混入に起因すると考えられる。この場合には、ONOFF式制御弁についてソレノイドへの供給電流のONとOFFとを交互に切り換えることによって、異物が取り除かれることがある。
また、このONOFF式制御弁の作動は、液圧ブレーキの非作用状態において行われることが望ましい。
動力式液圧源がポンプ装置とアキュムレータとを含み、アキュムレータ圧が設定範囲の下限値より低くなるとポンプ装置を始動させ、上限値を超えると停止させる場合において、ONOFF式制御弁が開状態にある場合には、アキュムレータ圧が流出するため、設定時間内のポンプ装置の作動回数が多くなる。そのため、設定時間内のポンプ装置の作動回数が設定回数を超えた場合には、ONOFF式制御弁が開固着異常であると検出することができる。
なお、ONOFF式制御弁の開固着異常の検出は、リニア式制御弁が開固着異常ではないことが前提で行われる。2つの制御弁が開固着異常になることは稀なことであるからである。
(16)当該液圧ブレーキシステムが、前記ONOFF式制御弁と前記リニア式制御弁とを共通に保持するブロックを含み、そのブロックが、(a)前記ONOFF式制御弁の高圧側ポートと前記リニア式制御弁の高圧側ポートとを通る高圧側通路と、(b)前記ONOFF式制御弁の低圧側ポートと前記リニア式制御弁の低圧側ポートとを通る低圧側通路としての前記共通通路とを含むとともに、前記低圧側通路が、前記リニア式制御弁の低圧側ポート、前記後輪側接続部、前記ONOFF式制御弁の低圧側ポート、前記前輪側接続部を、この順で通る姿勢で形成された(1)項ないし(15)項のいずれか1つに記載の液圧ブレーキシステム。
ONOFF式制御弁、リニア式制御弁等は1つのブロックに設けられ、ユニット化されることが多い。その場合には、ブロックに形成される通路等の本数が少ない方が加工コストを低減させる点が好ましい。
(17)車両に設けられ、動力の供給により作動させられる動力式液圧源と、
前記車両の前輪に設けられ、車輪の回転を抑制する前輪液圧ブレーキと、
前記車両の後輪に設けられ、車輪の回転を抑制する後輪液圧ブレーキと、
前記前輪液圧ブレーキに含まれる前輪ブレーキシリンダと前記後輪液圧ブレーキに含まれる後輪ブレーキシリンダとがそれぞれ接続された共通通路と、
その共通通路と前記動力式液圧源との間に互いに並列に設けられた(a)ソレノイドへの供給電流のONOFF制御により開閉させられるONOFF式制御弁と、(b)ソレノイドへの供給電流量の連続的な制御により高圧側と低圧側との差圧を連続的に制御可能なリニア式制御弁とを備えた増圧制御弁装置と
を含むとともに、前記リニア式制御弁が、前記共通通路の前記ONOFF式制御弁の接続部と前記前輪ブレーキシリンダの接続部との間の部分以外の部分に接続されたことを特徴とする液圧ブレーキシステム。
共通通路に、ONOFF式制御弁、リニア式制御弁、前輪ブレーキシリンダが、この順で接続されると、ONOFF式制御弁を経て供給された作動液がリニア式制御弁との接続部を経由して前輪ブレーキシリンダに供給されるが、リニア式制御弁と共通通路との接続部は作動液の流れの抵抗となることがある。例えば、接続部にフィルタ等が設けられ、フィルタを通過して、前輪ブレーキシリンダに供給されるようになっている場合には、フィルタが抵抗になるのである。また、ブロックの本体と制御弁本体との間の隙間を経て作動液が流れる場合において、その隙間が小さい場合にもそれが抵抗となる。
それに対して、リニア式制御弁、ONOFF式制御弁、前輪ブレーキシリンダが、この順に接続される場合には、ONOFF式制御弁を経て供給された作動液を速やかに前輪ブレーキシリンダに供給することが可能となる。
また、ONOFF式制御弁が、最小断面積が大きいものとされているため、動力式液圧源からONOFF式制御弁を経て前輪ブレーキシリンダに供給される場合に、流路抵抗を小さくすることができる。
本項に記載の液圧ブレーキシステムには、(1)項ないし(16)項のいずれかに記載の技術的特徴を採用することができる。
(18)車両に設けられ、動力の供給により作動させられる動力式液圧源と、
前記車両の前輪に設けられ、車輪の回転を抑制する前輪液圧ブレーキと、
前記車両の後輪に設けられ、車輪の回転を抑制する後輪液圧ブレーキと、
前記前輪液圧ブレーキに含まれる前輪ブレーキシリンダと前記後輪液圧ブレーキに含まれる後輪ブレーキシリンダとがそれぞれ接続された共通通路と、
その共通通路と前記動力式液圧源との間に互いに並列に設けられ、断面積が最も小さい部分の断面積である最小断面積が互いに異なる複数の電磁制御弁と
を含むとともに、
前記複数の電磁制御弁のうち、前記最小断面積が最も大きい制御弁である最大流量制御弁が、前記共通通路の、前記前輪ブレーキシリンダが接続された前輪側接続部と前記後輪ブレーキシリンダが接続された後輪側接続部との間に接続され、かつ、前記最大流量制御弁と前記後輪側接続部との間に、前記最大流量制御弁から前記後輪ブレーキシリンダへ向かう作動液の流れを制限する流れ制限装置を設けたことを特徴とする液圧ブレーキシステム。
複数の電磁制御弁のうち、最小断面積が最も大きい制御弁においては、複数の電磁制御弁のうち、最大の流量で作動液の流れを実現することが可能となる。この最大流量制御弁を経て供給された作動液が前輪ブレーキシリンダに速やかに供給される構造とすることが望ましい。
本項に記載の液圧ブレーキシステムには、(1)項ないし(16)項のいずれか1つに記載の技術的特徴を採用することができる。
本発明の実施例1に係る液圧ブレーキシステムの回路図である。 (a)上記液圧ブレーキシステムに含まれる増圧リニア式制御弁、減圧リニア式制御弁の断面図である。(b)上記増圧リニア式制御弁、減圧リニア式制御弁の開弁特性を示す図である。 (a)上記液圧ブレーキシステムに含まれる液圧制御ユニットの一部断面図である。(b)上記液圧制御ユニットの効果を説明するために用いる比較例である。 上記液圧ブレーキシステムのブレーキECU周辺を示す図である。 上記ブレーキECUの記憶部に記憶されたイニシャルチェックプログラムを表すフローチャートである。 上記記憶部に記憶されたブレーキ液圧制御プログラムを表すフローチャートである。 上記ブレーキ液圧制御プログラムの一部を示すフローチャートである(正常時液圧制御)。 (a)上記正常時制御が行われた場合の液圧変化、リニア式制御弁、ONOFF式制御弁の作動状態を示す図である。(b))上記正常時制御が行われた場合の液圧変化、リニア式制御弁、ONOFF式制御弁の別の作動状態を示す図である。 上記記憶部に記憶されたONOFF式制御弁開固着検出時制御プログラムを示すフローチャートである。
以下、本発明の一実施形態である液圧ブレーキシステムについて図面に基づいて詳細に説明する。
<液圧ブレーキシステムの構造>
本実施例1に係る液圧ブレーキシステムは、図1に示す液圧ブレーキ回路を含む。
10はブレーキ操作部材としてのブレーキペダルであり、12はブレーキペダル10の操作により液圧を発生させるマニュアル式液圧源としてのマスタシリンダである。14は動力式液圧源であり、ポンプ装置16とアキュムレータ18とを含む。
また、車両の左右前輪20には、それぞれ、液圧ブレーキ22が設けられ、左右後輪24には、それぞれ、液圧ブレーキ26が設けられる。液圧ブレーキ22,26は、それぞれ、ブレーキシリンダ28,30の液圧により作動させられる。液圧ブレーキ22,26は、車輪20,24の回転を、それぞれ抑制するものである。
マスタシリンダ12は、タンデム式のものであり、ブレーキペダル10に連携させられた2つの加圧ピストン34a,34bを含み、加圧ピストン34a,34bの前方が、それぞれ、加圧室36a,36bとされる。ブレーキペダル10の踏込み操作が行われると、それに伴って加圧ピストン34a,34bが前進させられ、加圧室36a,36bに、それぞれ、独立に液圧が発生させられる。また、加圧室36a,36bには、それぞれ、マスタ通路40a,40bが接続される。
以下、ブレーキシリンダ、液圧ブレーキ、後述する種々の電磁開閉弁等を、前後左右の車輪の位置に対応して区別する必要がある場合には、車輪位置を表す符号(FL,FR,RL,RR)を付して記載し、代表して、あるいは、区別する必要がない場合には、符号を付さないで記載する。
動力式液圧源14において、ポンプ装置16は、ポンプ44およびポンプモータ46を含み、ポンプ44によりリザーバ48から作動液が汲み上げられて吐出されて、アキュムレータ18に蓄えられる。ポンプモータ46は、アキュムレータ18に蓄えられた作動液の圧力が予め定められた設定範囲内にあるようにポンプモータECU50の指令に基づいて制御される。
アキュムレータ圧(アキュムレータ18に蓄えられた作動液の液圧)が設定範囲の下限値より低くなったこと、設定範囲の上限値に達したことを表す情報(あるいはアキュムレータ圧の大きさを表す情報)が、ブレーキECU52からポンプモータECU50に供給される。アキュムレータ圧が下限値より低くなると、ポンプモータ46が始動させられ、アキュムレータ圧が上限値を超えると、ポンプモータ46が停止させられる。
一方、左右前輪20FL,20FRのブレーキシリンダ28FL,28FR、左右後輪24RL,24RRのブレーキシリンダ30RL,30RRは、それぞれ、個別通路60FL,FR,RL,RRを介して共通通路62に接続される。個別通路60FL,FRの共通通路62との接続部を前輪側接続部63FL,FRと称し、個別通路60RL,RRの共通通路62との接続部を後輪側接続部63RL,RRと称する。
個別通路60FL,FR,RL,RRには、それぞれ、増圧弁(SHij:i=F,R、j=L,R)64FL,FR,RL,RRが設けられ、ブレーキシリンダ28FL,28FR,30RL,30RRとリザーバ48との間には、それぞれ、減圧弁(SRij:i=F,R、j=L,R)66FL,FR,RL,RRが設けられる。増圧弁64、減圧弁66は、アンチロック制御等に用いられる。
左前輪20FLに対応して設けられた増圧弁64FLが、ソレノイドのコイルに電流が供給(以下、単にソレノイドに電流が供給と略称する)されない場合に開状態にある常開の電磁開閉弁であり、残りの、右前輪20FR,左後輪24RL、右後輪24RRに対応して設けられた増圧弁64FR,RL,RRがソレノイドに電流が供給されない場合に閉状態にある常閉の電磁開閉弁である。
また、左右前輪20FL,FRに対応する減圧弁66FL,FRはソレノイドに電流が供給されない場合に閉状態にある常閉の電磁開閉弁であり、左右後輪24RL,RRに対応する減圧弁66RL,RRは、ソレノイドに電流が供給されない場合に開状態にある常開の電磁開閉弁である。
共通通路62には、ブレーキシリンダ28,30に加えて、動力式液圧源14が接続される。
また、動力式液圧源14と共通通路62との間には、互いに並列に増圧リニア式制御弁(SLA)70と増圧電磁開閉弁(SA)72とが設けられる。増圧電磁開閉弁72は、共通通路62の、前輪側接続部63FL,FRと後輪側接続部63RL,RRとの間の部分のONOFF弁接続部73SAにおいて接続され、増圧リニア式制御弁70は、共通通路62の、後輪側接続部63RL,RRに対してONOFF弁接続部73SAとは反対側の部分のリニア弁接続部73SLAにおいて接続される。
また、共通通路62とリザーバ48との間には、減圧リニア式制御弁(SLR)74が設けられる。
なお、本実施例においては、増圧リニア式制御弁70および増圧電磁開閉弁72等により増圧制御弁装置76が構成され、増圧制御弁装置76および減圧リニア式制御弁74等により制御弁装置78が構成される。
[リニア式制御弁]
増圧リニア式制御弁70,減圧リニア式制御弁74は、図2(a)に示すように、いずれも、弁子80と弁座82とを含むシーティング弁部83と、スプリング84と、ソレノイド86とを含み、スプリング84の付勢力Fsが弁子80を弁座82に接近させる向きに作用し、ソレノイド86に電流が供給されることにより電磁駆動力Fdが弁子80を弁座82から離間させる向きに作用する。
また、増圧リニア式制御弁70において、動力式液圧源14と共通通路62との差圧に応じた差圧作用力Fpが弁子80を弁座82から離間させる向きに作用する(Fd+Fp:Fs)。換言すれば、高圧側ポート87に動力式液圧源14が接続され、低圧側ポート88に共通通路62が接続される。
減圧リニア式制御弁74において、共通通路62とリザーバ48との差圧に応じた差圧作用力Fpが作用する。高圧側ポート87に共通通路62が接続され、低圧側ポート88にリザーバ48が接続される。
いずれにしても、ソレノイド86への供給電流の制御により、差圧作用力Fpが制御され、共通通路62の液圧が制御される。
なお、符号90,92はフィルタである。
図2(b)には、ソレノイド86への供給電流量I(開弁電流量)と開弁圧(差圧)との関係である増圧リニア式制御弁70の開弁特性を示す。図2(b)から、増圧リニア式制御弁70を閉状態から開状態に切り換える場合に、高圧側と低圧側との差圧(以下、前後の差圧と略称する場合がある)が小さい場合は大きい場合より、大きな開弁電流量Iが必要となることがわかる。減圧リニア式制御弁74の開弁特性も同様である。
[ONOFF式制御弁]
増圧電磁開閉弁72の構造は、図2(a)に示すリニア式制御弁72の構造とほぼ同様であるが、ソレノイドへの供給電流のONとOFFとにより、開状態と閉状態とをとり得るバルブである。供給電流量Iの大きさの連続的な制御は行われない。その意味において、増圧電磁開閉弁を増圧ONOFF弁、増圧ONOFF式制御弁と称することができる。
増圧ONOFF式制御弁72については、供給電流のONとOFFとを交互に切り換える制御(例えば、デューティ制御)が行われる場合もある。デューティ制御が行われることにより、増圧ONOFF式制御弁72を流れる作動液の平均的な流量が制御される。
[増圧リニア式制御弁と増圧ONOFF式制御弁]
本実施例においては、増圧リニア式制御弁70,増圧ONOFF式制御弁72,減圧リニア式制御弁74,増圧弁64,減圧弁66等はユニット化されて、図3(a)に示すように、共通のハウジング(ブロック)96に保持される。
ハウジング96には、複数の凹部、凹部を通る通路が設けられ、凹部に、増圧リニア式制御弁70,増圧ONOFF式制御弁72等のシーティング弁部が嵌合された状態で、これら増圧リニア式制御弁70,増圧ONOFF式制御弁72等が保持される。
この場合に、形成される通路の本数が少ない場合は多い場合より加工コストを低減することができる。
図3(a)には、ハウジング96の一部を示す。ハウジング96には、2つの凹部97,98が形成され、それぞれ、増圧リニア式制御弁70のシーティング弁部83、増圧ONOFF式制御弁72のシーティング弁部99が嵌合される。
また、共通通路62が、凹部97,98を通る状態で形成される一方、共通通路62に、個別通路60FR,FL,RL,RRが接続される。
共通通路62には、増圧リニア式制御弁70の低圧側ポート88が接続されるとともに増圧ONOFF式制御弁72の低圧側ポート100が接続される。本実施例においては、これら低圧側ポート88,100と共通通路62との接続部が、それぞれ、リニア弁接続部73SLA,ONOFF弁接続部73SAに対応する。共通通路62と増圧リニア式制御弁70の低圧側ポート88との間にはフィルタ92が位置し、共通通路62と増圧ONOFF式制御弁72の低圧側ポート100との間にはフィルタ102が位置する。
ハウジング96には、動力式液圧源14に接続された高圧通路104が形成され、それぞれ、増圧リニア式制御弁70,増圧ONOFF式制御弁72の高圧側ポート87,106が接続される。そして、高圧側通路104と高圧側ポート87との間にフィルタ90が位置し、高圧側通路104と高圧側ポート106との間にフィルタ108が位置する。
増圧ONOFF式制御弁72の閉状態において、動力式液圧源14から供給された液圧は、高圧通路104,増圧リニア式制御弁70(フィルタ90,92)を経て後輪側接続部63RL,RRに供給され、高圧通路104,増圧リニア式制御弁70(フィルタ90,92),増圧ONOFF式制御弁72の低圧側ポート100,フィルタ102を経て前輪側接続部63FL,FRに供給される。
それに対して、増圧ONOFF式制御弁72の開状態において、動力式液圧源14から供給された液圧は、高圧通路104,増圧ONOFF式制御弁72(フィルタ108,102)を経て後輪側接続部63RL,RR、前輪側接続部63FL,FRに供給される。
このように、動力式液圧源14と前輪側接続部63FL,FRとの間において、増圧ONOFF式制御弁72を経由する場合の方が通過するフィルタの数が少なくなり、流路抵抗が小さくなる。
なお、本実施例においては、増圧ONOFF式制御弁72と増圧リニア式制御弁70とでは、横断面積が最小の部分の断面積(最小断面積:例えば、高圧側ポートの断面積で決まる場合がある)が、増圧リニア式制御弁70の方が小さい。
最小断面積(オリフィス径と称することもある)を大きくすると、弁子80に作用する差圧作用力が大きくなる。そのため、スプリング84の付勢力を大きくしたり(閉状態に保持するために大きな力が必要になる)、ソレノイド86を大きくしたり(開状態に切り換える際に大きな電磁駆動力が必要になる)する必要がある。そこで、本実施例においては、使用頻度が高い増圧リニア式制御弁70の最小断面積を小さいものとし、使用頻度が低い増圧ONOFF式制御弁72の最小断面積を大きいものとしたのである。
そして、増圧ONOFF式制御弁72の最小断面積を、増圧リニア式制御弁70の最小断面積より大きいものとすれば、増圧リニア式制御弁70の最小断面積と同じものとした場合より、共通通路62に供給可能な流量を大きくすることができ、大きな流量での作動液の供給が要求される場合であっても、その要求を満たすことが可能となる。また、それにより、増圧ONOFF式制御弁72を流れる作動液の流路抵抗をより一層小さくすることができる。
一方、図3(b)に示す(比較例)ように、増圧リニア式制御弁(SLA弁)が共通通路62の前輪側接続部63FL、FRと後輪側接続部63RL,RRとの間に接続され、増圧ONOFF式制御弁(SA弁)が共通通路62の後輪側接続部63RL,RRの増圧リニア式制御弁とは反対側に接続された場合には、増圧ONOFF式制御弁の開状態において、通過するフィルタの数が多くなり、動力式液圧源14から前輪側接続部63FL,FRへ流れる作動液の流路抵抗が大きくなる。
それに対して、本実施例においては、図3(a)に示すように、増圧リニア式制御弁70が、増圧ONOFF式制御弁72と前輪側接続部63FL,FRとの間に接続されていないため、動力式液圧源14から増圧ONOFF式制御弁72を経て前輪側接続部63FL,FRに作動液が供給される場合に、通過するフィルタの数を少なくすることができ、流路抵抗を小さくすることができる。
なお、作動液が、共通通路62と増圧リニア式制御弁(SLA弁)、増圧ONOFF式制御弁(SA弁)との接続部を通過する場合に、フィルタを通過しない場合、例えば、ハウジング96とシーティング弁部83の本体との間の隙間を通過する場合があるが、その場合においても、隙間を通過する分、流路抵抗が大きくなると考えられる。隙間が小さい場合には、特に、流路抵抗が大きくなる。
また、図3において、ハウジング96に対して同一のハッチングを付し、同一の断面である場合を記載したが、同一の断面である必要は必ずしもない。共通通路62と高圧通路104とが異なる断面に形成されてもよいのである。
[流通制限装置等]
本実施例においては、共通通路62の増圧リニア式制御弁70と増圧ONOFF式制御弁72との間に、共通通路62の液圧、すなわち、ブレーキシリンダ28,30の液圧を共通に検出するブレーキシリンダ圧センサ(共通液圧検出装置)120が設けられる。
増圧弁64の開状態において、ブレーキシリンダ28,30と共通通路62とが連通させられるため、共通通路62の液圧をブレーキシリンダ28,30の液圧とすることができる。
また、共通通路62のブレーキシリンダ圧センサ120と増圧ONOFF式制御弁72の接続部73SAとの間に、流通制限装置122が設けられる。流通制限装置122は、互いに並列に設けられた絞り124と逆止弁126とを含む。逆止弁126は、増圧リニア式制御弁70から前輪20FL,FRのブレーキシリンダ28FL,FRを接続する個別通路60FL,FRに向かう作動液の流れを許容し、逆向きの流れを阻止するものである。
絞り124により、増圧ONOFF式制御弁72の開状態において、増圧ONOFF式制御弁72から後輪側接続部63RL,RRに作動液が供給され難くされる。その結果、動力式液圧源14の液圧が、前輪20FL,FRのブレーキシリンダ28FL,FRに供給され易くなり、前輪のブレーキシリンダ28FL,FRへ大きな流量で作動液を供給することが可能となる。
一方、絞り124により増圧リニア式制御弁70から前輪側接続部63FL,FRへの作動液の流れが抑制され、望ましくない。それに対して、絞り124と並列に逆止弁126が設けられるため、増圧リニア式制御弁70から前輪側接続部63FL、FRへの作動液の流れが許容される。その結果、絞り124が設けられても、増圧リニア式制御弁70を経て、前輪20FL,FRのブレーキシリンダ28FL,FRへ、大きな流量で作動液を供給することが可能となる。
さらに、絞り124を設けることにより、増圧ONOFF式制御弁72を開状態にした場合に生じる脈動が抑制され、ブレーキシリンダ液圧センサ120に伝達され難くすることができる。それによって、ブレーキシリンダ液圧センサ120による検出値の振動を抑制することが可能となり、安定した検出値を得ることができる。
[マスタ遮断弁等]
一方、第1,第2マスタ通路40a,40bが、それぞれ、右前輪4,左前輪2の個別通路60FR,FLの増圧弁64FR,FLの下流側(増圧弁64FR,FLとブレーキシリンダ28FR,RLとの間の部分)に接続される。第1,第2マスタ通路40a,40bは共通通路62に接続されることなく、直接ブレーキシリンダ28FR,28FLに接続される。
第1,第2マスタ通路40a、40bの途中にそれぞれ第1,第2マスタ遮断弁(SMCFR,FL)130FR,FLが設けられる。第1,第2マスタ遮断弁130FR,FLは、それぞれ、常開の電磁開閉弁である。
さらに、第2マスタ通路40bには、ストロークシミュレータ132が接続される。
[ECU、センサ等]
ブレーキECU52は、図4に示すように、実行部(CPU)150,入力部151,出力部152,記憶部153等を含むコンピュータを主体とするものであり、入力部151には、ブレーキスイッチ158,ストロークセンサ160,マニュアル液圧センサとしてのマスタシリンダ圧センサ162,アキュムレータ圧センサ164,ブレーキシリンダ圧センサ120,車輪速度センサ170等が接続される。
ブレーキスイッチ158は、ブレーキペダル10が操作されるとOFFからONになるスイッチである。
ストロークセンサ160は、ブレーキペダル10の操作ストローク(STK)を検出するものであり、本実施例においては、2つのセンサが設けられ、同様に、ブレーキペダル60の操作ストローク(後退端位置からの隔たり)が検出される。このように、ストロークセンサ160について2系統とされており、2つのセンサのうちの一方が故障しても他方によりストロークを検出することが可能となる。
マスタシリンダ圧センサ162は、マスタシリンダ12の加圧室の液圧を検出するものである。
アキュムレータ圧センサ164は、アキュムレータ18に蓄えられている作動液の圧力(PACC)を検出するものである。
車輪速度センサ170は、左右前輪20,左右後輪22に対応してそれぞれ設けられ、車輪の回転速度を検出する。また、4輪の回転速度に基づいて車両の走行速度が取得される。
出力部152には、増圧リニア式制御弁70、減圧リニア式制御弁74が、それぞれ、リニア用駆動回路を介して接続され、増圧ONOFF式制御弁72,増圧弁64,減圧弁66、マスタ遮断弁130等が、それぞれ、ONOFF弁用駆動回路を介して接続される。
また、記憶部153には、種々のプログラム、テーブル等が記憶されている。
ポンプモータECU50も、実行部、記憶部、入力部、出力部等を含むコンピュータを主体とするものであり、入力部には、ブレーキスイッチ158,ブレーキECU52が接続され、出力部には、ポンプモータ46が駆動回路を介して接続される。
本液圧ブレーキシステムに設けられるポンプモータ46,複数の電磁弁、駆動回路、ECU等は、電源172から電力が供給されることにより、作動させられる。
ポンプモータECU50は、電源172等が正常である場合には、制御系が異常(例えば、増圧リニア式制御弁70が閉固着異常)であってもポンプモータ46を制御するが、この場合には、正常である場合とは異なる態様で制御する。
<液圧ブレーキシステムにおける作動>
[イニシャルチェック]
本液圧ブレーキシステムにおいては、予め定められたイニシャルチェック開始条件が満たされると、図5のフローチャートで表されるイニシャルチェックプログラムが実行される。
イニシャルチェックにおいては、電源172のチェック、増圧リニア式制御弁70における断線チェック、閉固着異常チェックを含む複数のチェックが行われる。
ステップ1(以下、S1と略称する。他のステップについても同様とする)において、電源172が正常であるか否かが判定される。例えば、電源172の電圧が検出され、正常範囲内にある場合には、電源172が正常であるが、電圧が正常範囲から外れて低い場合には、異常であると判定されて、S2において、電源異常フラグがONとされる。
電源172が正常である場合には、S3において、増圧リニア式制御弁70における断線の有無が判定される。増圧リニア式制御弁70において断線している場合には、S4において、断線フラグがONとされる。
増圧リニア式制御弁70において断線していない場合には、S5において、ソレノイド86に、その時点の開弁電流以上の電流が供給される(最大電流が供給されるようにすることもできる)。S6において、アキュムレータ圧センサ164によってアキュムレータ圧が検出され、S7において、アキュムレータ圧の変化量(負の値)ΔPACCが閉固着異常判定しきい値ΔPAth(負の値)より小さいか否か(アキュムレータ圧の低下量が閉固着異常判定しきい値より大きいか否か)が判定され、S8において、増圧リニア式制御弁70に電流が供給されてからの経過時間が設定時間に達したか否かが判定される。S6〜8の実行により、設定時間が経過する前に、アキュムレータ圧の変化量ΔPACCが閉固着異常判定しきい値ΔPAthより小さくなった場合には、増圧リニア式制御弁70は、開状態にあることがわかるのであり、閉固着異常ではないと判定される。それに対して、変化量が閉固着判定しきい値より小さくなることなく、設定時間が経過した場合には、増圧リニア式制御弁70は閉固着異常である(断線以外の理由による閉固着異常である)と判定され、S9において、SLA閉固着異常フラグがONとされる。
[ブレーキ液圧制御]
図6のフローチャートで表されるブレーキ液圧制御プログラムは、予め定められた設定時間毎に実行される。ブレーキ液圧制御は、イニシャルチェックの結果に応じて決まる態様で実行される。
S11において、ブレーキスイッチ158がONであるか否かが判定される。ブレーキ作動要求があるか否かが判定されるのである。
ブレーキスイッチ158がONである場合には、S12において、イニシャルチェックの結果が読み込まれ、異常が有るか否かが判定される。異常がない場合、すなわち、液圧ブレーキシステムが正常である場合には、S13において、正常時制御が行われる。
それに対して、異常が有る場合には、S14において、電源172の異常であるか否か、S15において、増圧リニア式制御弁70の断線であるか否か、S16において、増圧リニア式制御弁70の閉固着異常(断線以外の原因による)であるか否かが判定される。増圧リニア式制御弁70は、常閉弁であるため、断線が生じた場合には、閉状態に保たれる。そのため、断面も広義の閉固着異常であると考えられる。以下、これらの異常を閉固着異常(断線を含む)と称することがある。
電源異常である場合いは、制御弁装置78の制御は行われず、S17において、マニュアル作動状態とされる。すべての電磁弁のソレノイドに電流が供給されなくなることにより、図1に示す原位置とされる。ブレーキペダル10の操作によりマスタシリンダ12に液圧が発生させられ、左右前輪のブレーキシリンダ28に供給されて、前輪液圧ブレーキ22が作動させられる。
増圧リニア式制御弁70の閉固着異常で(断線を含む)ある場合には、S18において、ONOFF弁単独制御が行われる。
それ以外の異常である場合には、S19において、その異常に応じた制御が行われる。その他の異常については、本発明には関係がないため説明を省略する。
[正常時制御]
S13の正常時制御ルーチンのフローチャートの一例を図7に示す。
S21、22において、ストロークセンサ160,マスタシリンダ圧センサ162の検出値等に基づいて共通通路62の要求液圧Prefが取得されるとともに、要求液圧の変化速度dPref/dtが取得される。S23において、ブレーキシリンダ液圧センサ120によって実際のブレーキシリンダ液圧P*が検出され、S24において、要求液圧から実際のブレーキシリンダ液圧を引いた値の絶対値である偏差e{=|Pref−P*|}が取得される。そして、S25において、要求液圧の増加速度dPref/dtが急増圧要求判定しきい値dPthより大きいか否か、偏差eが増圧要求大判定しきい値ethより大きいか否かが判定される。これら2つの条件の両方が満たされた場合には、S26において協調制御が実行される。2つの条件の両方が満たされたということは、急増圧が要求されたと考えられるため、協調制御が行われるのである。それに対して、2つの条件うちの少なくとも一方が満たされない場合には、S26においてリニア弁単独制御が行われる。
{リニア弁単独制御}
マスタ遮断弁130FL,FRが閉状態とされ、増圧弁64FL,FR,RL,RRが開状態、減圧弁66FL,FR,RL,RRが閉状態とされ、ブレーキシリンダ圧センサ120の検出値である共通通路62の実際の液圧P*が要求液圧Prefに近づくように、増圧リニア式制御弁70,減圧リニア式制御弁74が制御される。左右前輪20,左右後輪24のブレーキシリンダ28,30の液圧が共通に制御されるのである。
増圧リニア式制御弁70,減圧リニア式制御弁74への供給電流については、フィードバック制御やフィードフォワード制御が行われる。また、増圧リニア式制御弁70,減圧リニア式制御弁74の作動開始時には、図2(b)に示す開弁電流以上の電流が供給される。そのため、増圧リニア式制御弁70,減圧リニア式制御弁74の作動遅れが抑制される。
本実施例においては、ブレーキECU52のS26を記憶する部分、実行する部分等によりリニア弁単独制御部が構成される。
{協調制御}
協調制御においては、増圧リニア式制御弁70と増圧ONOFF式制御弁72との両方が制御されるのであり、増圧ONOFF式制御弁72も開状態に切り換えられる。
一方、増圧ONOFF式制御弁72のソレノイドをONとした場合に、増圧ONOFF式制御弁72において許容される作動液の流量は、増圧リニア式制御弁70において許容される作動液の流量より大きく、増圧ONOFF式制御弁72が開状態に切り換えられると、増圧勾配が大きくなり、オーバーシュートが生じるおそれがある。
そこで、本実施例においては、要求液圧の増加速度が急増圧要求判定しきい値より大きく、かつ、偏差の絶対値が増圧要求大しきい値より大きい場合には、増圧ONOFF式制御弁72が開状態にされるとともに、減圧リニア式制御弁74も開状態とされる。それによって、増圧勾配が過大になることを回避し、オーバシュートを抑制することが可能となる。この場合には、増圧リニア式制御弁70については、開閉電流より多少大きめの電流が供給される。増圧リニア式制御弁70は、開状態に保たれ、ほぼ一定の流量で作動液の流れが許容される。
減圧リニア式制御弁74は、例えば、予め定められた設定時間の間だけ開状態とされる(開弁電流以上の電流が設定時間の間供給される)ようにしたり、増圧ONOFF式制御弁72の最小断面積、前後の差圧、開時間、共通通路62,個別通路60等の流路抵抗等を考慮して、ブレーキシリンダ液圧のオーバシュート量を予め取得して、オーバーシュートに対応する量だけ作動液がリザーバ48に流出させられるように、減圧リニア式制御弁74を制御することが可能である。例えば、それに応じて設定時間を決定することができる。
その場合の一例を図8(a)に示す。時間t0において、ブレーキスイッチ158がONとされ、リニア弁単独制御が開始されるが、時間t1において、急増圧が要求された状態であると判定される(S25の判定がYES)と、増圧ONOFF式制御弁72が開状態にされるとともに、減圧リニア式制御弁74が予め定められた設定時間の間だけ開状態とされる。
なお、減圧リニア式制御弁74において、時間t1から開弁電流以上の電流が供給されるのではなく、ブレーキ操作が検出された時間t0から開弁電流より小さめの電流が供給されるようにすることができる。そのようにすれば、時間t1に達した場合に、減圧リニア式制御弁74を速やかに開状態に切り換えることができる。
それに対して、増圧ONOFF式制御弁72についてデューティ制御が行われるようにすることができる。
その場合の一例を図8(b)に示す。デューティ制御が行われる場合には、実質的に、共通通路62の増圧勾配を制御することができるのであり、流量制御を行うことが可能となる。
また、デューティ制御が行われても、増圧ONOFF式制御弁72において実現される液圧の増加速度が要求液圧の増加速度より大きい場合には、減圧リニア式制御弁74を作動させることもできる。例えば、図8(b)に示すように、減圧リニア式制御弁74への供給電流を、増圧ONOFF式制御弁72のデューティ制御と同期させて、変化させる(開弁電流以上の状態と開弁電流より小さい状態とに変化させる)ことができる。
本実施例においては、ブレーキECU52のS27を記憶する部分、実行する部分等により協調制御部が構成される。協調制御部は急増圧時協調制御部でもある。また、協調制御部は、減圧制御弁制御部を含む。
[ONOFF弁単独制御]
増圧リニア式制御弁70の閉固着異常(断線も含む)である場合には、電源172は正常であるため、ポンプモータ46を作動させることも、増圧ONOFF式制御弁72を作動させることも可能である。
本実施例においては、ポンプモータ46が間欠運転させられ、ポンプ44から吐出される作動液の液圧が過大にならないように制御される。また、ONOFF式制御弁72が開状態とされる。それによって、共通通路62に動力式液圧源14の液圧を供給することができる。なお、ポンプモータ46の始動とONOFF式制御弁72の制御とは、連動して行われる。
一方、増圧リニア式制御弁70が閉固着異常である場合には、増圧弁64、減圧弁66,マスタ遮断弁130は、図1に示す原位置にある。共通通路62に供給された作動液は左前輪20FLのブレーキシリンダ28FLに供給されるとともに、マスタシリンダ12の加圧室36bに供給される。それによって、加圧室36bの液圧が高くなり、加圧ピストン34bの後退により、加圧室36aの液圧も高くなる。加圧室36aの液圧は右前輪20FRのブレーキシリンダ28FRに供給されるのであり、ブレーキシリンダ28FL,FRの液圧を、共通通路62に作動液が供給されない場合に比較して、高くすることができる。
また、右前輪20FRに対応する増圧弁64FRは閉状態にあるため、右前輪20FRのブレーキシリンダ28FRの液圧が共通通路62に流出させられることを良好に回避することができる。
本実施例においては、ブレーキECU52のS18を記憶する部分、実行する部分等によりONOFF弁単独制御部が構成される。ONOFF弁単独制御部はリニア弁異常時ONOFF弁制御部でもある。
[増圧ONOFF式制御弁の開固着異常時制御]
また、本実施例においては、図9のフローチャートで表される増圧ONOFF式制御弁の開固着異常時制御プログラムが予め定められた設定時間毎に実行される。
S41において、液圧ブレーキ22,26が非作用状態にあるか否かが判定される。作用状態にある場合には、S42以降が実行されることはない。非作用状態にある場合には、S42において、ポンプモータ46の作動回数Nが読み込まれる。液圧ブレーキ22,26の非作用状態におけるポンプモータ46の作動回数は、図示しないルーチンに従って、カウントされている。S43において、作動回数Nが開固着異常判定しきい値Nthより大きいか否かが判定される。開固着異常判定しきい値Nth以下である場合には、増圧ONOFF式制御弁72は開固着異常ではないと判定されるが、開固着異常判定しきい値Nthより大きい場合には、開固着異常であると判定され、S44において、予め定められた設定回数(例えば、1回以上)だけ、増圧ONOFF式制御弁72のソレノイドへの供給電流がONとOFFとに交互に切り換えられる。その後、S25において、作動回数をカウントするカウンタのカウント値が0とされる。
ポンプモータ46は、前述のように、アキュムレータ圧が低くなると始動させられるため、液圧ブレーキ22,26の非作用状態における作動回数が多いということは、アキュムレータ18の液圧が、増圧ONOFF式制御弁72を経て流出していると考えられるのである。
このように、増圧ONOFF式制御弁72の開固着異常が検出された場合には、電流のONとOFFとが交互に切り換えられることにより、異物が取り除かれて、開固着が解消されたと考えられるため、カウント値が0とされる。しかし、開固着が解消されなかった場合には、再び、ポンプモータ46の作動回数が開固着異常判定しきい値より大きくなるため、開固着異常であると判定されて、ONとOFFとの切り換え制御が行われることになる。
なお、このプログラムは、リニア式制御弁70,74の開固着異常の検出等にも適用することができる。
本実施例においては、ブレーキECU52の増圧ONOFF式制御弁開固着異常時制御プログラムを記憶する部分、実行する部分等によりONOFF弁異常時ONOFF弁制御部が構成される。
なお、本液圧ブレーキシステムは、駆動装置がエンジンである車両、ハイブリッド車両、プラグインハイブリッド車両、電気自動車、燃料電池車両に搭載することもできる。燃料電磁車両においては、駆動用モータが燃料電池スタック等によって駆動される。また、ハイブリッド車両、プラグインハイブリッド車両、電気自動車等においては、回生協調制御が行われる場合もあるが、その場合には、要求液圧の取得の方法が異なるが、共通通路の液圧制御に同様に適用することができる。
また、ブレーキ回路は、上記実施例における態様に限定されない。リニア式制御弁における最小断面積をONOFF式制御弁における最小断面積より大きいものとすることもできる。
その他、本発明は、上述に記載の態様の他、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した態様で実施することができる。
16:ポンプ装置 18:アキュムレータ 22,26:液圧ブレーキ 28,30:ブレーキシリンダ 50:ポンプモータECU 52:ブレーキECU 70:増圧リニア式制御弁 72:増圧ONOFF式制御弁 74:減圧リニア式制御弁 76:増圧制御弁装置 78:制御弁装置 120:ブレーキシリンダ液圧センサ 122:流れ制限装置 124:絞り 126:逆止弁

Claims (10)

  1. 車両に設けられ、動力の供給により作動させられる動力式液圧源と、
    前記車両の前輪に設けられ、車輪の回転を抑制する前輪液圧ブレーキと、
    前記車両の後輪に設けられ、車輪の回転を抑制する後輪液圧ブレーキと、
    前記前輪液圧ブレーキに含まれる前輪ブレーキシリンダと前記後輪液圧ブレーキに含まれる後輪ブレーキシリンダとがそれぞれ接続された共通通路と、
    その共通通路と前記動力式液圧源との間に互いに並列に設けられた(a)ソレノイドへの
    供給電流のONOFF制御により開閉させられるONOFF式制御弁と、(b)ソレノイド
    への供給電流量の連続的な制御により高圧側と低圧側との差圧を連続的に制御可能なリニア式制御弁とを備えた増圧制御弁装置と
    を含む液圧ブレーキシステムにおいて、
    前記リニア式制御弁から前記後輪ブレーキシリンダへ向かう作動液の流れと、前記ONOFF式制御弁から前記前輪ブレーキシリンダへ向かう作動液の流れとを制限しないで、前記ONOFF式制御弁から前記後輪ブレーキシリンダへ向かう作動液の流れを制限する流れ制限装置を設けたことを特徴とする液圧ブレーキシステム。
  2. 前記ONOFF式制御弁が、前記共通通路の、前記前輪ブレーキシリンダが接続された前輪側接続部と前記後輪ブレーキシリンダが接続された後輪側接続部との間に接続され、 前記リニア制御弁が、前記共通通路の、前記後輪接続部に対して前記ONOFF式制御弁とは反対側に接続され、
    かつ、前記流れ制限装置が、前記ONOFF式制御弁と前記後輪ブレーキシリンダとの間に設けられた請求項1に記載の液圧ブレーキシステム。
  3. 前記流れ制限装置が、前記共通通路の、前記ONOFF式制御弁の接続部と前記後輪側接続部との間の部分に設けられた絞りを含む請求項1または2に記載の液圧ブレーキシステム。
  4. 車両に設けられ、動力の供給により作動させられる動力式液圧源と、
    前記車両の前輪に設けられ、車輪の回転を抑制する前輪液圧ブレーキと、
    前記車両の後輪に設けられ、車輪の回転を抑制する後輪液圧ブレーキと、
    前記前輪液圧ブレーキに含まれる前輪ブレーキシリンダと前記後輪液圧ブレーキに含まれる後輪ブレーキシリンダとがそれぞれ接続された共通通路と、
    その共通通路と前記動力式液圧源との間に互いに並列に設けられた(a)ソレノイドへの
    供給電流のONOFF制御により開閉させられるONOFF式制御弁と、(b)ソレノイド
    への供給電流量の連続的な制御により高圧側と低圧側との差圧を連続的に制御可能なリニア式制御弁とを備えた増圧制御弁装置と
    を含むとともに、
    前記ONOFF式制御弁が、前記共通通路の、前記前輪ブレーキシリンダが接続された前輪側接続部と前記後輪ブレーキシリンダが接続された後輪側接続部との間に接続され、
    前記リニア式制御弁が、前記共通通路の、前記後輪側接続部に対して前記ONOFF式制御弁とは反対側に接続され、
    かつ、前記ONOFF式制御弁と前記後輪ブレーキシリンダとの間に、(a)絞りと、(b)前記リニア式制御弁から前記前輪側接続部への作動液の流れを許容し、逆向きの流れを阻止する逆止弁とを備えた流れ制限装置を設けたことを特徴とする液圧ブレーキシステム。
  5. 当該液圧ブレーキシステムが、前記共通通路の、前記流れ制限装置に対して前記ONOFF式制御弁の接続部とは反対側に設けられ、前記共通通路の液圧を検出する共通液圧検出装置を含む請求項1ないしのいずれか1つに記載の液圧ブレーキシステム。
  6. 当該液圧ブレーキシステムが、(a)前記ONOFF式制御弁の閉状態において、前記リ
    ニア式制御弁の制御により前記共通通路の液圧を制御するリニア弁単独制御部と、(b)前
    記リニア式制御弁の閉状態において、前記ONOFF式制御弁の制御により前記共通通路の液圧を制御するONOFF弁単独制御部と、(c)前記ONOFF式制御弁と前記リニア
    式制御弁との両方の制御により前記共通通路の液圧を制御する協調制御部とのうちの2つ以上を含む請求項1ないしのいずれか1つに記載の液圧ブレーキシステム。
  7. 当該液圧ブレーキシステムが、少なくとも前記協調制御部を含み、その協調制御部が、(i)前記共通通路の液圧制御において目標液圧増加速度が設定速度以上であることと、(ii)前記目標液圧と実際の液圧との偏差の絶対値が設定値以上であることとの少なくとも一
    方が満たされた場合に、前記ONOFF式制御弁と前記リニア式制御弁との両方を制御する急増圧時協調制御部を含む請求項に記載の液圧ブレーキシステム。
  8. 当該液圧ブレーキシステムが、少なくとも前記協調制御部を含むとともに、(i)低圧源
    と、(ii)前記共通通路と前記低圧源との間に設けられた減圧制御弁とを含み、前記協調制御部が、前記共通通路の液圧の増加制御が開始される場合に、前記減圧制御弁を作動させることにより、前記共通通路の液圧の増加勾配を抑制する減圧制御弁制御部を含む請求項6または7に記載の液圧ブレーキシステム。
  9. 当該液圧ブレーキシステムが、少なくとも前記ONOFF弁単独制御部を含むとともに
    、前記リニア式制御弁の閉固着異常を検出するリニア式制御弁異常検出装置を含み、前記ONOFF弁単独制御部が、前記リニア式制御弁異常検出装置によって前記リニア式制御弁の閉固着異常が検出された場合に、前記ONOFF式制御弁を制御することにより前記共通通路への前記動力式液圧源の液圧の供給を許容するリニア弁異常時ONOFF弁制御部を含む請求項6ないし8のいずれか1つに記載の液圧ブレーキシステム。
  10. 当該液圧ブレーキシステムが、(a)前記ONOFF式制御弁の開固着異常を検出するO
    NOFF弁異常検出装置と、(b)そのONOFF弁異常検出装置によって、前記ONOF
    F式制御弁の開固着異常が検出された場合であって、かつ、前記前輪液圧ブレーキおよび前記後輪液圧ブレーキが非作用状態にある場合に、前記ONOFF式制御弁のソレノイドへの供給電流のONとOFFとを交互に切り換えるONOFF弁異常時ONOFF弁制御部とを含む請求項1ないし9のいずれか1つに記載の液圧ブレーキシステム。
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