JP5113681B2 - ブレーキ液圧制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ブレーキ液圧制御装置に関する。
一般に、車両に適用されるディスクブレーキ等のブレーキ構造では、摩擦パッドとディスクロータとが近づき過ぎて接触し、引摺りを生じるのを防止するため、これらの間のクリアランスを十分に確保して組み付けていた。なお、摩擦パッドがディスクロータに引摺られると、異音や偏磨耗の原因となるため好ましくない。
しかし、摩擦パッドとディスクロータとのクリアランスを十分に確保して引摺り現象を防止すると、これらの組み付け間隔が広くなることで、ブレーキ制動時の応答性に影響を及ぼすおそれがでてくる。
そこで、従来では、ホイールシリンダに送られるブレーキ液圧を制御するためのブレーキ制御装置として、摩擦パッドをディスクロータに近接させて、クリアランスによる液圧の立ち上がりタイミングのバラツキを低減させるようにした技術が開示されている(例えば、特許文献1、2参照)。
特許文献1、2に記載された技術では、所定時間、モータを駆動させることで、実質的な制動力が発生しない程度の液圧をホイールシリンダに作用させる予圧制御(プリチャージ)を行うことで、ブレーキ制動時の応答性を向上させている。
特開2006−69495号公報 特開2003−252189号公報
しかしながら、前記した特許文献1に記載された技術では、ホイールシリンダに通じる出口弁からマスタシリンダ側へ自然に流出する作動液量によって予圧が調整されるようになっているので、予圧の調整は、ブレーキ回路内の流路抵抗に大きく依存することとなる。このため、実質的な制動力が発生しない程度の予圧をホイールシリンダに精度良く作用させることが難しいという問題があった。
また、前記した特許文献2に記載された技術では、リニアバルブである増圧弁により所定液圧を発生させ、クリアランスが小さくなるように制御している。しかし、このような制御を行うためには、ホイールシリンダにかかる作動液圧を高精度に取得する必要があるだけではなく、温度変化や製造バラツキ等の影響も考慮する必要がある。このため、制御の複雑化やコストアップに繋がるという問題がある。
このような観点から、本発明は、安定した調圧精度で予圧制御を行うことができ、簡単な構成でコストを低減することができるブレーキ液圧制御装置を提供することを課題とする。
このような課題を解決する本発明のブレーキ液圧制御装置は、マスタシリンダからホイールシリンダに至る作動液の流路に設けられ、前記ホイールシリンダに作用する作動液の液圧を少なくとも増圧および減圧制御する制御弁手段と、前記制御弁手段よりも前記マスタシリンダ側の前記流路に設けられたレギュレータと、前記制御弁手段へ通じる吐出液圧路に作動液を排出するポンプと、前記マスタシリンダと前記レギュレータとの間の前記流路から前記ポンプに至る吸入液圧路に設けられた吸入弁と、前記吸入液圧路に設けられ、前記制御弁手段による減圧制御時に作動液を一時的に貯溜するリザーバと、を含んでなるブレーキ液圧制御装置であって、前記流路のうち、前記レギュレータから前記ホイールシリンダに至る出力液圧路に可変容量制御弁を介して設けられ、前記可変容量制御弁を通じて前記出力液圧路から作動液が流入した際に容積変化して作動液を貯溜可能な可変容量室を備え、前記可変容量室には、前記レギュレータが閉弁された状態、かつ、前記吸入弁および前記可変容量制御弁が開弁された状態で、前記ポンプが所定時間駆動されることにより作動液が流入するようになっており、前記可変容量室は、作動液の流入を許容することで前記出力液圧路における作動液圧を調圧するものであり、前記可変容量室は、流入してきた作動液を貯溜可能な作動液室と、前記作動液室内に摺動可能に設けられ、流入してきた作動液を受けて前記作動液室の容積が大きくなる側に摺動するピストンと、前記ピストンを、前記作動液室の容積が小さくなる側に付勢するピストンばねとを備えてなり、前記可変容量制御弁に並列に接続され、前記可変容量室から前記出力液圧路への作動液の流入のみを許容するチェック弁を備え、前記可変容量室に貯溜された作動液が、前記出力液圧路における作動液圧の調圧後に、前記チェック弁を通って前記出力液圧路へ戻ることを特徴とする。
このブレーキ液圧制御装置によれば、ポンプが所定時間駆動されることにより作動液が可変容量制御弁を介して可変容量室に流入すると、作動液圧を受けて可変容量室の容量が変化し、その容量の変化に伴って作動液圧が調圧されることとなる。これによって、流路のうち、レギュレータからホイールシリンダに至る出力液圧路に可変容量制御弁を介して可変容量室を設けるという簡単な構成によって、実質的な制動力が発生しない程度の予圧を良好に発生させることが可能となる。
また、ポンプが所定時間駆動されることにより作動液圧が高められると、ピストンがピストンばねの付勢力に抗して作動液室の容積が大きくなる側に摺動し、そのピストンの摺動に伴って作動液室内に作動液が流入して貯溜される。これにより、ホイールシリンダに至る流路の作動液がピストンばねの付勢力によって調圧されるようになり、簡単な構成でありながらも実質的な制動力が発生しない程度の予圧を良好に発生させることが可能となる。
本発明によれば、安定した調圧精度で予圧制御を行うことができ、簡単な構成でコストを低減することのできるブレーキ液圧制御装置が得られる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を、添付した図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
参照する図面において、図1は本発明の一実施形態に係るブレーキ液圧制御装置の液圧回路図である。
図1に示すように、本実施形態のブレーキ液圧制御装置Uは、左右の前輪を制動する車輪ブレーキFL,FRおよび左右の後輪を制動する車輪ブレーキRL,RRに作用するブレーキ液圧の大きさを制御することによって、車輪ブレーキFL,RR,RL,FRの独立したアンチロックブレーキ制御や車両の挙動制御等を実行するものであり、電磁弁やポンプ等の各種部品や作動液としてのブレーキ液の流路が設けられた液圧ユニット10と、この液圧ユニット10の各種部品を制御するための制御装置20とを備えている。
本実施形態では、ブレーキ液圧制御装置Uの後記するレギュレータREから制御弁手段Vに至る第2出力液圧路A2に本発明における可変容量室として機能する予圧リザーバ30が設けられており、この予圧リザーバ30に、ポンプPで加圧されたブレーキ液が第2出力液圧路A2から流れ込んで貯溜されることで、第2出力液圧路A2から車輪液圧路BのホイールシリンダHに至る流路におけるブレーキ液圧(予圧)が調整されるようになっている。
はじめに液圧ユニット10について説明する。液圧ユニット10は、液圧源であるマスタシリンダMCと車輪ブレーキFL,RR,RL,FRとの間に介設されるものであり、四つの車輪ブレーキFL,RR,RL,FRのうちの二つの車輪ブレーキFL,RRに制動力を付与するためのブレーキ系統BK1、および残り二つの車輪ブレーキFR,RLに制動力を付与するためのブレーキ系統BK2を備えている。
なお、マスタシリンダMCは、ブレーキ操作子であるブレーキペダルBPに加える踏力に応じた液圧を発生するものであり、二つのブレーキ系統BK1,BK2に対応して二つの出力ポートM1,M2を備えている。
なお、ブレーキ系統BK1,BK2は、実質的に同一の構成であるので、以下においては主としてブレーキ系統BK1について説明し、適宜ブレーキ系統BK2について説明する。
ブレーキ系統BK1には、車輪ブレーキFL,RRに対応する二つの制御弁手段V,V、リザーバ3、ダンパ5、オリフィス5a、レギュレータRE、吸入弁7が設けられており、さらに、二つのブレーキ系統BK1,BK2のポンプP,Pを駆動するための共通の電動モータMを備えている。また、本実施形態では、ブレーキ系統BK2にのみ圧力センサ8が設けられている。
なお、以下では、マスタシリンダMCからレギュレータREに至る流路(油路)を「第1出力液圧路A1」と称し、レギュレータREから制御弁手段V,Vに至る流路を「第2出力液圧路A2」と称し、制御弁手段V,Vから車輪ブレーキFL,RRに至る流路を「車輪液圧路B」と称する。また、ポンプPから第2出力液圧路A2に至る流路を「吐出液圧路C」と称し、第1出力液圧路A1からポンプPに至る流路を「吸入液圧路D」と称し、さらに、制御弁手段V,VからポンプPに至る流路を「開放路E」と称する。
制御弁手段Vは、第2出力液圧路A2から車輪液圧路Bへのブレーキ液の流入を許容しつつ開放路Eへの流出を遮断する増圧状態、第2出力液圧路A2から車輪液圧路Bへのブレーキ液の流入を遮断しつつ開放路Eへの流出を許容する減圧状態、および第2出力液圧路A2から車輪液圧路Bへのブレーキ液の流入を遮断しつつ開放路Eへの流出を遮断する保持状態を切り換える機能を有しており、入口弁1、出口弁2およびチェック弁1aを備えて構成されている。
入口弁1は、常開型の電磁弁であり、マスタシリンダMCと車輪ブレーキFL,RRの各ホイールシリンダHとの間(第2出力液圧路A2と車輪液圧路Bとの間)にそれぞれ設けられている。各入口弁1は、通常時に開いていることで、マスタシリンダMCから各ホイールシリンダHへブレーキ液圧が伝達するのをそれぞれ許容している。また、各入口弁1は、アンチロックブレーキ制御時に、前輪および後輪がロックしそうになったときに制御装置20により閉塞されることで、マスタシリンダMCから車輪ブレーキFL,RRへ加わるブレーキ液圧を遮断する。
出口弁2は、常閉型の電磁弁であり、車輪液圧路Bと開放路Eとの間に介設されている。各出口弁2は、通常時に閉塞されているが、前輪および後輪がロックしそうになったときに制御装置20によって駆動制御されて開放されることで、車輪ブレーキFL,RRへ加わるブレーキ液圧を各リザーバ3に逃がす。
チェック弁1aは、各入口弁1に並列に接続されている。このチェック弁1aは、ホイールシリンダHからマスタシリンダMC側へのブレーキ液の流入のみを許容する弁であり、ブレーキペダルBPからの入力が解除された場合に入口弁1を閉じた状態にしたときにおいても、各ホイールシリンダH側から各マスタシリンダMC側へのブレーキ液の流入を許容する。
リザーバ3は、開放路Eに設けられており、各出口弁2が開放されることによって逃がされるブレーキ液圧を吸収する機能を有している。また、リザーバ3とポンプPとの間には、リザーバ3側からポンプP側へのブレーキ液の流入のみを許容するチェック弁3aが介設されている。
ポンプPは、第1出力液圧路A1に通じる吸入液圧路Dと第2出力液圧路A2に通じる吐出液圧路Cとの間に介設されており、上流側(マスタシリンダMC側)にあるブレーキ液を吸入して下流側(ホイールシリンダH側)に吐出する。これにより、リザーバ3によるブレーキ液圧の吸収によって減圧された第1出力液圧路A1や第2出力液圧路A2、さらに車輪液圧路Bの圧力状態が回復される。また、このポンプPは、レギュレータREの後記するカット弁6が第1出力液圧路A1から第2出力液圧路A2へのブレーキ液の流入を遮断し、かつ、後記する吸入弁7が吸入液圧路Dを開放しているときに、マスタシリンダMC、第1出力液圧路A1、吸入液圧路Dに貯溜されているブレーキ液を吸入して吐出液圧路Cに吐出する機能を有している。これにより、ブレーキペダルBPの非操作時において各車輪ブレーキFL,FR,RL,RRにブレーキ液圧を作用させることが可能となる。
また、同様に、レギュレータREの後記するカット弁6が第1出力液圧路A1から第2出力液圧路A2へのブレーキ液の流入を遮断し、かつ、後記する吸入弁7が吸入液圧路Dを開放するとともに、後記する可変容量制御弁37が開弁状態となっているときに、レギュレータREからホイールシリンダHに至る流路(主として第2出力液圧路A2、車輪液圧路B)にブレーキ液圧を作用させて予圧することが可能である。
なお、ダンパ5およびオリフィス5aは、その協働作用によってポンプPから吐出されたブレーキ液の圧力の脈動および後記するレギュレータREが作動することにより発生する脈動を減衰させている。
レギュレータREは、第1出力液圧路A1から第2出力液圧路A2へのブレーキ液の流入を許容する状態および遮断する状態を切り換える機能と、第1出力液圧路A1から第2出力液圧路A2へのブレーキ液の流入が遮断されているときに、第2出力液圧路から車輪液圧路Bを通じてホイールシリンダHに至るブレーキ液圧を設定値以下に調節する機能とを有しており、カット弁6、チェック弁6aおよびリリーフ弁6bを備えて構成されている。
カット弁6は、マスタシリンダMCに通じる第1出力液圧路A1と第2出力液圧路との間に介設された常開型の電磁弁であり、第1出力液圧路A1から第2出力液圧路A2へのブレーキ液の流入を許容する状態および遮断する状態を切り換えるものである。カット弁6は、通常時に開いていることで、マスタシリンダMCから各車輪ブレーキFL,RRへブレーキ液圧が伝達するのを許容している。また、カット弁6は、ブレーキペダルPBの非操作時であってポンプPを作動させるとき、言い換えれば、ブレーキペダルPBの非操作時において各車輪ブレーキFL,RRにブレーキ液圧を作用させる予圧制御時や挙動制御時に制御装置20の制御により閉塞される。
チェック弁6aは、各カット弁6に並列に接続されている。このチェック弁6aは、第1出力液圧路A1から第2出力液圧路A2へのブレーキ液の流入のみを許容する弁であり、各カット弁6を閉じた状態にしたときにおいてブレーキペダルBPからの入力があったときには、第1出力液圧路A1から第2出力液圧路A2へのブレーキ液の流入を許容する。
リリーフ弁6bは、各カット弁6に並列に接続されており、第2出力液圧路A2のブレーキ液圧と第1出力液圧路A1のブレーキ液圧との差が設定値以上になるのに応じて開弁する。なお、カット弁6とリリーフ弁6bとは、例えばソレノイドへの通電を制御することによって開弁圧を調節可能なリニアソレノイドバルブによっても実現できる。そして、このようにカット弁6およびリリーフ弁6bとしてリニアソレノイドバルブを採用すると、第2出力液圧路A2からレギュレータREにかかるブレーキ液圧と、ソレノイドへの通電によって制御される弁を閉じようとする力とのバランスによって、第2出力液圧路A2のブレーキ液圧を適宜第1出力液圧路A1へ開放して調節することができる。
吸入弁7は、吸入液圧路Dに設けられた常閉型の電磁弁であり、吸入液圧路Dを開放する状態および遮断する状態を切り換えるものである。吸入弁7は、ブレーキペダルBPの非操作時であってカット弁6が第1出力液圧路A1から第2出力液圧路A2へのブレーキ液の流入を遮断する状態にあるとき、言い換えれば、ブレーキペダルBPの非操作時において各車輪ブレーキFL,RRにブレーキ液圧を作用させるときに制御装置20の制御により開放(開弁)される。開弁状態にすると、マスタシリンダM1とポンプ6の吸入口とが連通した状態になる。
圧力センサ8は、第1出力液圧路A1のブレーキ液圧を計測するものであり、その計測結果は制御装置20に随時取り込まれ、かかる制御装置20によりマスタシリンダMCからブレーキ液圧が出力されているか否か、すなわち、ブレーキペダルBPが踏まれているか否かが判定され、さらに、圧力センサ8で計測されたブレーキ液圧の大きさに基づいて、車両のアンチロックブレーキ制御や挙動制御等が行われる。
予圧リザーバ30は、流路12を介して第2出力液圧路A2に接続されており、流路12を通じて第2出力液圧路A2からブレーキ液が流入した際に容積変化して、ブレーキ液を貯溜可能に構成されている。
予圧リザーバ30は、図2に示すように、液圧ユニット10に形成された作動液室を形成する穴部11に、構成部品Nを組み付けることで構成される。
穴部11は、液圧ユニット10の基体の表面に開口する有底状の穴である。
リザーバ構成部品Nは、ピストン31、ピストンばね32、受け部材33、抜け止部材34を備えている。
ピストン31は、受け部材33側に開口する有底筒状の、例えば、樹脂製の部材からなり、穴部11の底面11bに対向する底部31Aと、穴部11の内壁面11cに対向する筒状の周壁部31Bとを備えている。このようなピストン31は、穴部11に収容されて穴部11内を摺動するようになっており、可変容量制御弁37(図1参照)からの流路12を通じて第2出力液圧路A2(図1参照)から流入したブレーキ液圧によってピストン31が受け部材33側に移動することで、穴部11の底面11bとの間にブレーキ液を貯溜する貯溜室(不図示)を形成する。
ピストン31の底部31Aには、ピストン31が穴部11の底面11bに張り付くことで穴12が塞がれるのを防止するための突起31aが形成されている。また、ピストン31の受け部材33側の面には、ピストンばね32の一端側を係止可能な内空部31bが設けられている。
周壁部31Bは、底部31Aの周縁部から受け部材33側に向かって立ち上がっている。周壁部31Bの内周面は、円筒面状を呈しており、ピストンばね32の一端側に対向し、また、周壁部31Bの外周面は、穴部11の内壁面11cに対向する。なお、内壁面11cには、周壁部31Bの周方向に沿って環状のシール溝35aが凹設されており、このシール溝35aには、環状のシール部材35が嵌め込まれている。シール部材35は、周壁部31Bの外周面に当接し、ピストン31と穴部11の内壁面11cとの間をシールする。
ピストンばね32は、コイルばねであり、ピストン31を穴部11の底面11b側に付勢する。
受け部材33は、ピストンばね32を支持するものであるが、本実施形態では、ピストン31のストッパーとしても機能する。本実施形態に係る受け部材33は、底部31Aに対向する支持部33aと、穴部11の内壁面11cに対向する立上部33bとを備えている。
支持部33aは、ピストンばね32の他端部に当接する部位であるが、本実施形態では、平面視円帯状を呈していて、その中央部に開口部33cが設けられている。これにより、穴部11内が大気開放されている。
立上部33bは、支持部33aの周縁部からピストン31側に向かって立ち上がっていて、その先端面(上端面)33dは、ピストン31が受け部材33側にストロークした際に、周壁部31Bの先端面(下端面)31gに当接し、ピストン31のそれ以上のストロークを阻止する。なお、立上部33bの内周面は、円筒面状を呈しており、ピストンばね32の他端部に対向する。
受け部材23の外周面は、段付き円筒状を呈していて、穴部11の開口縁近傍の内壁面11cに隙間を空けて対向する。
抜け止部材34は、ピストンばね32の付勢力を受ける受け部材33の穴部11からの抜け出しを阻止するものであり、穴部11の内壁面11cと受け部材33との間に介設されている。なお、抜け止部材34は、本実施形態では、円環の一部を欠損させた形態(C字状)の部材からなり、その内周側に弾性変形させた状態で、穴部11に挿入され、外周側に広がろうとする復元力によって内壁面11cに弾接する。
図1を参照して、可変容量制御弁37は、常閉型の電磁弁であり、第2出力液圧路A2から予圧リザーバ30への流路12に設けられている。可変容量制御弁37は、通常時に閉塞されているが、後記するように、例えば、横滑り等を伴う車両の姿勢変化がその後に生じる可能性があるときに制御装置20によって駆動制御されて開放されることで、第2出力液圧路A2のブレーキ液が予圧リザーバ30へ流入するのを許容する。
チェック弁37aは、可変容量制御弁37に並列に接続されている。このチェック弁37aは、予圧リザーバ30から第2出力液圧路A2側へのブレーキ液の流入のみを許容する弁であり、可変容量制御弁37を閉じた状態にしたときにおいても、予圧リザーバ30から第2出力液圧路A2側へのブレーキ液の流入を許容する。すなわち、後記する予圧制御後に、予圧リザーバ30に貯溜されていたブレーキ液は、チェック弁37aを通じて第2出力液圧路A2に戻されることとなる。
このような予圧リザーバ30には、レギュレータREが閉弁された状態、かつ、吸入弁7および可変容量制御弁37が開弁された状態で、ポンプPが所定時間駆動されることによりブレーキ液が流入するようになっており、そのブレーキ液の流入を許容することで、第2出力液圧路A2におけるブレーキ液圧を調圧するようになっている。
制御装置20は、液圧ユニット10の各種部品を制御する役割をなし、特に、レギュレータREからホイールシリンダHに至る、第2出力液圧路A2および車輪液圧路Bのブレーキ液を予圧する際に、後記するようにレギュレータRE、吸入弁7、可変容量制御弁37の開閉状態を制御するとともに、ポンプPを駆動制御する。
以上のようなブレーキ液圧制御装置Uにおける予圧制御時の動作について、図3のフローチャートを参照して説明する。
制御装置20は、車両走行時の姿勢変化等の運動状態を示すパラメータを入力しており、入力したパラメータから、ステップS1で、例えば、横滑り等を伴う車両の姿勢変化がその後に生じる可能性があるか否かを判定する。ここで、車両走行時の姿勢変化等を示すパラメータとしては、車体速度やヨーレートを挙げることができ、制御装置20は、入力されたパラメータに基づいて、これを記憶部等に予め設定された閾値と比較することにより、姿勢変化が生じる可能性があるか否かを判定する。
ステップS1で、制御装置20が、姿勢制御の生じる可能性があると判定した場合(ステップS1でYes)には、ステップS2で、制御装置20が、各種弁の開閉状態を制御する。具体的には、レギュレータREを閉弁制御するとともに、吸入弁7および可変容量制御弁37を開弁制御する。これにより、第1出力液圧路A1と第2出力液圧路A2とが遮断され、第2出力液圧路A2から車輪液圧路Bを通じてホイールシリンダHに至るという、ブレーキ回路内の比較的短い流路を利用した予圧制御が可能となる。
なお、ステップS1で、制御装置20が、姿勢制御の生じる可能性がないと判定した場合(ステップS1でNo)には、ステップS1に戻る。
ステップS3で、制御装置20は、ポンプPを所定時間駆動する。ここで、ポンプPを駆動する所定時間は、実験等により得られたデータに基づき、実質的な制動力が発生しない程度の予圧がホイールシリンダHに作用する時間に設定される。
制御装置20によりポンプPが所定時間駆動されると、加圧されたブレーキ液は、図4において太線で示すように、吐出液圧路Cを通じて第2出力液圧路A2に流入し、第2出力液圧路A2から可変容量制御弁37を通じて予圧リザーバ30に流入する。そうすると、予圧リザーバ30のピストン31が流入したブレーキ液によって、その容積を大きくする側に摺動し、ブレーキ液を貯溜する。これによって、第2出力液圧路A2におけるブレーキ液圧が調圧されるようになり、それによって第2出力液圧路A2から車輪液圧路Bを通じてホイールシリンダHに至る流路のブレーキ液は、ホイールシリンダHに対して実質的な制動力が発生しない程度の予圧に調圧されることとなる。
なお、図4では、両方のブレーキ系統BK1、BK2を予圧する例を示したが、これに限定されるものではなく、いずれか一方のみを予圧するように構成しても良い。
その後、ステップS4で制御装置20が挙動制御を実行する必要があるか否かを判定し、挙動制御を実行する必要があると判定した場合(ステップS4でYes)には、ステップS5に移行して挙動制御を実行し、終了する。ここで、制御装置20は、車両走行時の姿勢変化等を示すパラメータを、記憶部等に予め設定された挙動制御に関する閾値と比較し、挙動制御を実行する必要がある場合に、これを実行する。
挙動制御は、例えば、図示しない車両の旋回時等に横滑り現象が生じる場合等に実行されるものであり、制御弁手段Vを制御して、ホイールシリンダHにブレーキ液圧を作用させることによって実現される。
一方、ステップS4で制御装置20が挙動制御を実行する必要がないと判定した場合(ステップS4でNo)には、ステップS6で可変容量制御弁37が閉弁状態に制御され、その後、ステップS1に戻って以降の処理がなされる。
なお、ステップS6で可変容量制御弁37が閉弁状態に制御された後、予圧リザーバ30に貯溜されているブレーキ液は、第2出力液圧路A2のブレーキ液圧が予圧時のブレーキ液圧よりも低下した際に、チェック弁37aを通じて第2出力液圧路A2に戻されることとなる
以上のように、本実施形態に係るブレーキ液圧制御装置Uによれば、ポンプPが所定時間駆動されることによりブレーキ液が可変容量制御弁37を介して予圧リザーバ30に流入すると、ブレーキ液圧を受けて予圧リザーバ30の容量が変化し、その容量の変化に伴って第2出力液圧路A2から車輪液圧路Bを通じてホイールシリンダHに至るブレーキ液圧が調圧されることとなる。これによって、流路のうち、第2出力液圧路A2に可変容量制御弁37を介して予圧リザーバ30を設けるという簡単な構成によって、実質的な制動力が発生しない程度の予圧を良好に発生させることが可能となる。
また、予圧リザーバ30は、ブレーキ液圧の流入により、ピストン31がピストンばね32の付勢力に抗して予圧リザーバ30内の容積が大きくなる側に摺動するように構成されているので、流入するブレーキ液圧の大きさが多少変動した場合にも、これに柔軟に対応してピストン31が摺動し、ブレーキ液圧の変動を好適に吸収して、安定した調圧を行うことができる。
なお、前記実施形態では、第2出力液圧路A2に予圧リザーバ30を設けた例を示したが、これに限られることはなく、レギュレータREからホイールシリンダHに至るその他の流路(車輪液圧路B、吐出液圧路C)に、予圧リザーバ30が設けられていても良い。
本発明の一実施形態に係るブレーキ液圧制御装置を示す液圧回路図である。 予圧リザーバの構成を示す断面図である。 予圧制御時のフローチャートである。 予圧制御時の様子を示す液圧回路図である。
符号の説明
10 液圧ユニット
20 制御装置
30 予圧リザーバ
31 ピストン
37 可変容量制御弁
A1 第1出力液圧路
A2 第2出力液圧路
B 車輪液圧路
H ホイールシリンダ
MC マスタシリンダ
P ポンプ
RE レギュレータ
U ブレーキ液圧制御装置
V 制御弁手段

Claims (1)

  1. マスタシリンダからホイールシリンダに至る作動液の流路に設けられ、前記ホイールシリンダに作用する作動液の液圧を少なくとも増圧および減圧制御する制御弁手段と、
    前記制御弁手段よりも前記マスタシリンダ側の前記流路に設けられたレギュレータと、
    前記制御弁手段へ通じる吐出液圧路に作動液を排出するポンプと、
    前記マスタシリンダと前記レギュレータとの間の前記流路から前記ポンプに至る吸入液圧路に設けられた吸入弁と、
    前記吸入液圧路に設けられ、前記制御弁手段による減圧制御時に作動液を一時的に貯溜するリザーバと、を含んでなるブレーキ液圧制御装置であって、
    前記流路のうち、前記レギュレータから前記ホイールシリンダに至る出力液圧路に可変容量制御弁を介して設けられ、前記可変容量制御弁を通じて前記出力液圧路から作動液が流入した際に容積変化して作動液を貯溜可能な可変容量室を備え、
    前記可変容量室には、
    前記レギュレータが閉弁された状態、かつ、前記吸入弁および前記可変容量制御弁が開弁された状態で、前記ポンプが所定時間駆動されることにより作動液が流入するようになっており、
    前記可変容量室は、
    作動液の流入を許容することで前記出力液圧路における作動液圧を調圧するものであり、
    前記可変容量室は、流入してきた作動液を貯溜可能な作動液室と、前記作動液室内に摺動可能に設けられ、流入してきた作動液を受けて前記作動液室の容積が大きくなる側に摺動するピストンと、前記ピストンを、前記作動液室の容積が小さくなる側に付勢するピストンばねとを備えてなり、
    前記可変容量制御弁に並列に接続され、前記可変容量室から前記出力液圧路への作動液の流入のみを許容するチェック弁を備え、
    前記可変容量室に貯溜された作動液が、前記出力液圧路における作動液圧の調圧後に、前記チェック弁を通って前記出力液圧路へ戻ることを特徴とするブレーキ液圧制御装置。
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