JP2007015494A - 車両の制動制御装置、及び車両の制動制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】急ブレーキ時に制動力配分制御を適切なタイミングで開始することにより、車両における走行の安定性が低下することを抑制できる車両制動制御装置及び車両の制動制御方法を提供する。
【解決手段】CPUは、各車輪の車輪速度VWを検出し、この検出結果に基づき車両の車体速度VSを検出(演算)する。そして、CPUは、車両の車体速度VSを微分することにより車体減速度DVSを検出(演算)し、この車体減速度DVSを微分することにより車体減速度微分値ΔDVSを検出(演算)する。続いて、CPUは、車体減速度微分値ΔDVSに対応する車体減速度閾値KDVSを設定し、この車体減速度閾値KDVSと車両の車体減速度DVSとを比較する。そして、車両の車体減速度DVS≧車体減速度閾値KDVSであった場合には、CPUは、ブレーキペダルの踏込み速度が速かったものと判断し、後輪の制動力を抑制すべく制動力配分制御を開始する。
【選択図】 図5
【解決手段】CPUは、各車輪の車輪速度VWを検出し、この検出結果に基づき車両の車体速度VSを検出(演算)する。そして、CPUは、車両の車体速度VSを微分することにより車体減速度DVSを検出(演算)し、この車体減速度DVSを微分することにより車体減速度微分値ΔDVSを検出(演算)する。続いて、CPUは、車体減速度微分値ΔDVSに対応する車体減速度閾値KDVSを設定し、この車体減速度閾値KDVSと車両の車体減速度DVSとを比較する。そして、車両の車体減速度DVS≧車体減速度閾値KDVSであった場合には、CPUは、ブレーキペダルの踏込み速度が速かったものと判断し、後輪の制動力を抑制すべく制動力配分制御を開始する。
【選択図】 図5
Description
本発明は、車両制動時に車両の前輪及び後輪に対する各制動力を好適に配分制御する車両の制動制御装置、及び車両の制動制御方法に関する。
一般に、車両制動時における前輪及び後輪への実際の制動力配分を、各車輪を同時にロック状態とする理想制動力配分に近づけるべく、後輪の制動力を前輪の制動力に対して所定の関係に調整する車両の制動制御装置及び車両の制動制御方法が広く知られている。すなわち、こうした車両の制動制御装置では、車両制動時における車両の車体減速度が予め設定された基準値以上となった場合に、後輪の制動力の増加を抑制する制動力配分制御(EBD制御)を行うようになっている。
ここで、車両の車体減速度を求める場合、従来の車両の制動制御装置では、CPU(制御手段)が、車輪速度センサからの信号に基づき各車輪の車輪速度を検出し、その検出した各車輪の車輪速度から車両の車体減速度(推定車体減速度)を演算している。しかし、走行する路面のがたつきなどに起因して、車輪速度センサからの信号は乱れることがあるため、一般的に、制動制御装置では、フィルタ処理(「フィルタリング」ともいう。)された信号を車輪速度センサから受信し、そのフィルタ処理された信号に基づき車両の推定車体減速度を演算している。
そのため、特にブレーキペダルの踏込み速度(操作速度)が速い場合(すなわち、急ブレーキの場合)には、車輪速度センサからの信号をフィルタ処理することによる応答速度の低下が顕著になり、CPUによって検出された車両の推定車体減速度が実際の車両の車体減速度に比して低くなることがあった。そして、このような場合には、車両の推定車体減速度が基準値以上となる前に、後輪の接地荷重の低下に基づき後輪のスリップ率が前輪のスリップ率よりも大きくなってしまい、その結果、車両における走行の安定性が低下するという問題があった。そこで、近時、こうした問題を解決するべく、例えば特許文献1に記載の車両の制動制御装置及び車両の制動制御方法が提案されている。
すなわち、この特許文献1に記載の車両の制動制御装置では、制動力配分制御を開始する際の判断値として、従来における推定車体減速度の代わりに推定車輪減速度を用い、後輪の車輪減速度(推定車輪減速度)が所定の閾値よりも小さくなった場合に、後輪の制動力の増加を抑制する制動力配分制御を開始するようになっている。そのため、この特許文献1に記載の車両の制動制御装置では、車両の推定車体減速度を検出することに起因する応答速度の低下を抑制できる結果、従来の車両の制動制御装置と比較した場合、制動力配分制御の開始の遅れを低減できるものとなっていた。
特開2002−362342(請求項1、段落番号[0008])
ところで、特許文献1に記載の車両の制動制御装置及び車両の制動制御方法では、各車輪の推定車輪減速度を車輪速度センサからの信号に基づき検出している。すなわち、CPUが、フィルタ処理された車輪速度センサからの信号に基づき各車輪の車輪速度を検出し、その各車輪の車輪速度を微分することにより、各車輪の推定車輪減速度を検出している。そのため、各車輪の推定車輪減速度を検出する際におけるフィルタ処理の介在により、急ブレーキ時には、やはり応答速度が低下するという問題があった。したがって、特許文献1に記載の車両の制動制御装置及び車両の制動制御方法であっても、急ブレーキ時において、制動力配分制御の開始が遅れることに起因して車両における走行の安定性が低下してしまうという問題を十分に解決できているとは言い難かった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、急ブレーキ時における制動力配分制御を適切なタイミングで開始することにより、車両における走行の安定性が低下することを抑制できる車両制動制御装置及び車両の制動制御方法を提供することにある。
上記目的を達成するために、車両の制動制御装置にかかる請求項1に記載の発明は、車両の各車輪(FR,FL,RR,RL)に制動力を付与する制動手段(18a,18b,18c,18d)と、ブレーキペダル(20)の操作速度(ΔDVS)を検出する操作速度検出手段(40)と、該操作速度検出手段(40)が検出した操作速度(DVS)に対応する車体減速度閾値(KDVS)を、前記操作速度(DVS)が比較的速い場合には比較的遅い場合よりも小さな値となるように設定する車体減速度閾値設定手段(40)と、前記車両の車体減速度(DVS)を検出する車体減速度検出手段(40,SE1,SE2,SE3,SE4)と、該車体減速度検出手段(40,SE1,SE2,SE3,SE4)により検出された車両の車体減速度(DVS)が前記車体減速度閾値設定手段(40)によって設定された前記車体減速度閾値(KDVS)以上であるか否かを判定する車体減速度判定手段(40)と、該車体減速度判定手段(40)の判定結果が肯定判定である場合に、後輪(RR,RL)に付与する制動力の増加を抑制するように前記制動手段(18a,18b,18c,18d)を制御する制御手段(40)とを備えたことを要旨とする。
この請求項1に記載の発明では、後輪の制動力の増加を抑制する制御を開始する際の判定条件となる車体減速度閾値が、ブレーキペダルの操作速度に応じて可変設定される。すなわち、車体減速度閾値は、ブレーキペダルの操作速度が比較的遅い場合には大きな値に設定される一方、ブレーキペダルの踏込む速度が比較的速い場合には小さな値に設定される。そのため、特にブレーキペダルの操作速度が速い場合(すなわち、急ブレーキの場合)に、後輪の制動力の増加を抑制する制動力配分制御の開始タイミングの遅れが抑制される。したがって、急ブレーキ時における制動力配分制御を適切なタイミングで開始することにより、車両における走行の安定性が低下することを抑制できる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の車両の制動制御装置において、前記車体減速度検出手段(40,SE1,SE2,SE3,SE4)は、前記各車輪(FR,FL,RR,RL)の車輪速度(VW)のうち少なくとも一つの車輪(FR,FL,RR,RL)の車輪速度(VW)に基づき車両の車体減速度(DVS)を演算することを要旨とする。
請求項2に記載の発明では、例えばGセンサ等の車体減速度を検出するためのセンサを車両に別途設置することなく、車体減速度を減速度検出手段での演算により求めることができるため、部品点数の増加に起因するコストアップを良好に抑制できる。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の車両の制動制御装置において、前記操作速度検出手段(40)は、前記車体減速度検出手段(40,SE1,SE2,SE3,SE4)が検出した車両の車体減速度(DVS)を微分する車体減速度微分手段(40)であり、前記車体減速度閾値設定手段(40)は、前記車体減速度微分手段(40)が演算した車体減速度微分値(ΔDVS)に基づき前記車体減速度閾値(KDVS)を設定することを要旨とする。
この請求項3に記載の発明では、ブレーキペダルの操作速度と対応関係にある車体減速度微分値に応じて、車体減速度閾値が設定される。そのため、車体減速度閾値をブレーキペダルの操作速度に対応した最適値に設定できる。その結果、後輪の制動力の増加を抑制するための制動力配分制御を、最適なタイミングで開始させることができる。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の車両の制動制御装置において、複数の車体減速度閾値(KDVS)を前記車体減速度微分値(ΔDVS)に対応付けた状態で記憶する車体減速度記憶手段(41)をさらに備え、前記車体減速度閾値設定手段(40)は、前記車体減速度微分手段(40)が演算した前記車体減速度微分値(ΔDVS)に対応する前記車体減速度閾値(KDVS)を前記車体減速度記憶手段(41)から読み出すことを要旨とする。
この請求項4に記載の発明では、車体減速度微分値に対応した車体減速度閾値を車体減速度記憶手段から読み出すことにより、制御を開始する際の判定条件となる車体減速度閾値が設定される。すなわち、この車体減速度閾値を設定するために、関係式を用いて演算処理を行う必要もない。したがって、車体減速度閾値設定手段の処理負担を良好に低減できる。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項4のうち何れか一項に記載の車両の制動制御装置において、前記各車輪(FR,FL,RR,RL)の車輪速度(VW)を検出する車輪速度検出手段(40,SE1,SE2,SE3,SE4)と、該車輪速度検出手段(40,SE1,SE2,SE3,SE4)が検出した前輪(FR,FL)の車輪速度(VW)と後輪(RR,RL)の車輪速度(VW)との差を演算する車輪速度差演算手段(40)と、該車輪速度差演算手段(40)が演算した車輪速度差(GVW)を微分する車輪速度差微分手段(40)と、該車輪速度差微分手段(40)が演算した車輪速度差微分値(ΔGVW)に基づき車輪速度差閾値(KVW)を設定する車輪速度差閾値設定手段(40)と、前記車輪速度差演算手段(40)が演算した前記車輪速度差(GVW)が前記車輪速度差閾値設定手段(40)によって設定された前記車輪速度差閾値(KVW)以上であるか否かを判定する車輪速度差判定手段(40)とをさらに備え、前記制御手段(40)は、前記車輪速度差判定手段(40)による判定結果が肯定判定である場合に、前記後輪(RR,RL)に付与する制動力の増加を抑制するように前記制動手段(18a,18b,18c,18d)を制御するようにしたことを要旨とする。
車両制動時において、特にブレーキペダルの操作速度が速い場合(すなわち、急ブレーキの場合)には、制動手段による制動力が各車輪に付与されると、前輪及び後輪への実際の制動力配分が後輪寄りになることがある。この場合、後輪の制動力の増加量が前輪の制動力の増加量よりも大きくなり、結果として、車体減速度判定手段の判定結果が肯定判定となる前に、後輪のスリップ率が前輪のスリップ率よりも大きくなることがある。すなわち、車両における走行の安定性が多少低下することがある。この点、請求項5に記載の発明では、前輪及び後輪への実際の制動力配分が後輪寄りであるか否かを判断するための車輪速度差微分値を検出し、この車輪速度差微分値が車輪速度差閾値以上となった場合に、前輪及び後輪への実際の制動力配分が後輪寄りとなり、車両における走行の安定性が多少低下したと判断する。そして、後輪の制動力の増加を抑制すべく制動手段を制御する。そのため、後輪のスリップ率が前輪のスリップ率よりも大きくなることが回避され、車両における走行の安定性が低下することを回避できる。
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の車両の制動制御装置において、複数の車輪速度差閾値(KVW)を前記車輪速度差微分値(ΔGVW)に対応付けた状態で記憶する車輪速度差記憶手段(41)をさらに備え、前記車輪速度差閾値設定手段(40)は、前記車輪速度差微分手段(40)が演算した前記車輪速度差微分値(ΔGVW)に対応する前記車輪速度差閾値(KVW)を前記車輪速度差記憶手段(41)から読み出すことを要旨とする。
この請求項6に記載の発明では、車輪速度差閾値を、車輪速度差微分値に対応する最適値に設定できる。そのため、後輪の制動力の増加を抑制するための制動手段に対する制御を、最適なタイミングで開始させることができる。
請求項7に記載の発明は、請求項1〜請求項4のうち何れか一項に記載の車両の制動制御装置において、前記各車輪(FR,FL,RR,RL)の車輪速度(VW)を検出する車輪速度検出手段(40,SE1,SE2,SE3,SE4)と、該車輪速度検出手段(40,SE1,SE2,SE3,SE4)が検出した前輪(FR,FL)の車輪速度(VW)と後輪(RR,RL)の車輪速度(VW)との差を演算する車輪速度差演算手段(40)と、該車輪速度差演算手段(40)が演算した車輪速度差(GVW)を微分する車輪速度差微分手段(40)と、該車輪速度差微分手段(40)が演算した車輪速度差微分値(ΔGVW)が予め設定された車輪速度差微分値閾値(KD)以上であるか否かを判定する車輪速度差微分値判定手段(40)とをさらに備え、前記制御手段(40)は、前記車輪速度差微分値判定手段(40)による判定結果が肯定判定である場合に、前記後輪(RR,RL)に付与する制動力の増加を抑制するように前記制動手段(18a,18b,18c,18d)を制御するようにしたことを要旨とする。
この請求項7に記載の発明では、前輪及び後輪への実際の制動力配分が後輪寄りであるか否かを判断するための車輪速度差微分値を検出(演算)し、この車輪速度差微分値が予め設定された車輪速度差微分値閾値以上となった場合に、前輪及び後輪への実際の制動力配分が後輪寄りとなり、車両における走行の安定性が多少低下したと判断する。そして、後輪の制動力の増加を抑制すべく制動手段を制御する。そのため、後輪のスリップ率が前輪のスリップ率よりも大きくなることが回避され、車両における走行の安定性が低下することを回避できる。
一方、車両の制動制御方法にかかる請求項8に記載の発明は、車両の制動時に、車両の車体減速度(DVS)及びブレーキペダル(20)の操作速度(ΔDVS)をそれぞれ検出し、該操作速度(ΔDVS)に基づき車体減速度閾値(KDVS)を設定し、前記車両の車体減速度(DVS)が前記車体減速度閾値(KDVS)以上となった場合に、後輪(RR,RL)の制動力の増加を抑制する制動力配分制御を開始するようにしたことを要旨とする。
この請求項8に記載の発明では、請求項1に記載の発明と同様の作用効果を奏し得る。
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の車両の制動制御方法において、前記各車輪(FR,FL,RR,RL)の車輪速度(VW)を検出し、その検出結果に基づき前輪(FR,FL)の車輪速度(VW)と後輪(RR,RL)の車輪速度(VW)との差を演算すると共に、該演算した車輪速度差(GVW)を微分して車輪速度差微分値(ΔGVW)を検出し、該車輪速度差微分値(ΔGVW)に基づき車輪速度差閾値(KVW)を設定し、前記前輪(FR,FL)の車輪速度(VW)と前記後輪(RR,RL)の車輪速度(VW)との差が前記車輪速度差閾値(KVW)以上となった場合に、後輪(RR,RL)の制動力の増加を抑制する制動力配分制御を開始するようにしたことを要旨とする。
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の車両の制動制御方法において、前記各車輪(FR,FL,RR,RL)の車輪速度(VW)を検出し、その検出結果に基づき前輪(FR,FL)の車輪速度(VW)と後輪(RR,RL)の車輪速度(VW)との差を演算すると共に、該演算した車輪速度差(GVW)を微分して車輪速度差微分値(ΔGVW)を検出し、該車輪速度差微分値(ΔGVW)に基づき車輪速度差閾値(KVW)を設定し、前記前輪(FR,FL)の車輪速度(VW)と前記後輪(RR,RL)の車輪速度(VW)との差が前記車輪速度差閾値(KVW)以上となった場合に、後輪(RR,RL)の制動力の増加を抑制する制動力配分制御を開始するようにしたことを要旨とする。
この請求項9に記載の発明では、前輪及び後輪への実際の制動力配分が後輪よりであるか否かを判断するための車輪速度差微分値を検出し、この車輪速度差微分値が車輪速度差閾値以上となった場合に、前輪及び後輪への実際の制動力配分が後輪寄りとなり、車両における走行の安定性が多少低下したと判断する。そして、後輪の制動力の増加を抑制すべく制動手段を制御する。そのため、後輪のスリップ率が前輪のスリップ率よりも大きくなることが回避され、車両における走行の安定性が低下することを回避できる。
(第1の実施形態)
以下、本発明を具体化した第1の実施形態を図1〜図8に従って説明する。なお、以下における本明細書中の説明においては、車両の進行方向(前進方向)を前方(車両前方)として説明する。また、特に説明がない限り、以下の記載における左右方向は、車両進行方向における左右方向と一致するものとする。
以下、本発明を具体化した第1の実施形態を図1〜図8に従って説明する。なお、以下における本明細書中の説明においては、車両の進行方向(前進方向)を前方(車両前方)として説明する。また、特に説明がない限り、以下の記載における左右方向は、車両進行方向における左右方向と一致するものとする。
図1に示すように、本実施形態における車両の制動制御装置11は、複数(本実施形態では4つ)の車輪(右前輪FR、左前輪FL、右後輪RR及び左後輪RL)を有する車両に搭載されている。車両の制動制御装置11は、マスタシリンダ12及びブースタ13を有する液圧発生装置14と、2つの液圧回路15,16を有する液圧制御装置(図1では二点鎖線で示す。)17を備えている。各液圧回路15,16は、液圧発生装置14に接続されると共に、各車輪FR,FL,RR,RLに対応して設けられたホイールシリンダ(制動手段)18a,18b,18c,18dに接続されている。また、車両の制動制御装置11には、液圧制御装置17を制御するための電子制御装置(「ECU」ともいう。)19が設けられている。
液圧発生装置14には、ブレーキペダル20が設けられており、このブレーキペダル20が車両の搭乗者によって操作されたことに基づき、液圧発生装置14のマスタシリンダ12及びブースタ13が駆動するようになっている。また、マスタシリンダ12には、2つの出力ポート12a,12bが設けられており、各出力ポート12a,12bのうち一方の出力ポート12aには第1液圧回路15が接続されると共に、他方の出力ポート12bには第2液圧回路16が接続されている。また、液圧発生装置14には、ブレーキペダル20が操作された場合に電子制御装置19に向けて制動制御を開始させるための信号を送信するブレーキスイッチSW1が設けられている。
液圧制御装置17には、第1液圧回路15内のブレーキ液圧を昇圧するためのポンプ21と、第2液圧回路16内のブレーキ液圧を昇圧するためのポンプ22と、各ポンプ21,22を同時に駆動させるモータMとが設けられている。また、各液圧回路15,16上にはブレーキオイルが貯留されるリザーバ23,24が設けられており、各リザーバ23,24内のブレーキオイルは、ポンプ21,22の駆動に基づき液圧回路15,16内に供給されるようになっている。また、各液圧回路15,16には、マスタシリンダ12内のブレーキ液圧を検出するための液圧センサPS1,PS2が設けられている。
第1液圧回路15には、右前輪FRに対応するホイールシリンダ18aに接続されるホイールシリンダ18a用(右前輪FR用)の右前輪用経路15aと、左後輪RLに対応するホイールシリンダ18dに接続されるホイールシリンダ18d用(左後輪RL用)の左後輪用経路15bとが形成されている。そして、これら各経路15a,15b上には、常開型の電磁弁25,26と常閉型の電磁弁27,28とがそれぞれ設けられている。
同様に、第2液圧回路16には、左前輪FLに対応するホイールシリンダ18bに接続されるホイールシリンダ18b用(左前輪FL用)の左前輪用経路16aと、右後輪RRに対応するホイールシリンダ18cに接続されるホイールシリンダ18c用(右後輪RR用)の右後輪用経路16bとが形成されている。そして、これら各経路16a,16b上には、常開型の電磁弁29,30と常閉型の電磁弁31,32とがそれぞれ設けられている。
ここで、上記各電磁弁25〜32のソレノイドコイルが通電状態にある場合及び非通電状態にある場合の各ホイールシリンダ18a〜18d内のブレーキ液圧の変化について説明する。
まず、各電磁弁25〜32のソレノイドコイルが全て非通電状態にある場合には、常開型の電磁弁25,26,29,30は開き状態のままであると共に、常閉型の電磁弁27,28,31,32は閉じ状態のままである。そのため、マスタシリンダ12からブレーキオイルが各経路15a,15b,16a,16bを介して各ホイールシリンダ18a〜18d内に流入し、各ホイールシリンダ18a〜18d内のブレーキ液圧は上昇することになる。
一方、各電磁弁25〜32のソレノイドコイルが全て通電状態にある場合には、常開型の電磁弁25,26,29,30が閉じ状態となると共に、常閉型の電磁弁27,28,31,32が開き状態となる。そのため、各ホイールシリンダ18a〜18d内からブレーキオイルが各経路15a,15b,16a,16bを介してリザーバ23,24へと流出し、各ホイールシリンダ18a〜18d内のブレーキ液圧は降下することになる。
そして、各電磁弁25〜32のうち常開型の電磁弁25,26,29,30のソレノイドコイルのみが通電状態にある場合には、全ての電磁弁25〜32が閉じ状態となる。そのため、各経路15a,15b,16a,16bを介したブレーキオイルの流動が規制される結果、各ホイールシリンダ18a〜18d内のブレーキ液圧はその液圧レベルが保持されることになる。
図2に示すように、電子制御装置19は、制御手段としてのCPU40、ROM41、及びRAM42などを備えたデジタルコンピュータと、各装置を駆動させるための駆動回路(図示略)とを主体として構成されている。ROM41には、液圧制御装置17(モータM及び各電磁弁25〜32の駆動)を制御するための制御プログラム、及び各種閾値(後述する車体減速度閾値や車輪速度差閾値など)を設定するためのマップ(図3及び図4参照)が記憶されている。また、RAM42には、車両の制動制御装置11の駆動中に適宜書き換えられる各種の情報が記憶されるようになっている。
また、電子制御装置19の入力側インターフェース(図示略)には、上記ブレーキスイッチSW1、液圧センサPS1,PS2、及び各車輪FL,FR,RL,RRの車輪速度を検出するための車輪速度センサSE1,SE2,SE3,SE4がそれぞれ接続されている。すなわち、CPU40は、ブレーキスイッチSW1、液圧センサPS1,PS2、及び車輪速度センサSE1〜SE4からの各信号を受信するようになっている。この場合、ブレーキスイッチSW1、液圧センサPS1,PS2及び車輪速度センサSE1〜SE4からの各信号は、電気的なノイズの影響を低下させるためにフィルタ処理(「フィルタリング」ともいう。)が行われた後に、電子制御装置19(CPU40)に受信されるようになっている。一方、電子制御装置19の出力側インターフェース(図示略)には、各ポンプ21,22を駆動させるためのモータM及び各電磁弁25〜32が接続されている。そして、CPU40は、上記スイッチSW1及び各センサPS1,PS2,SE1〜SE4からの入力信号に基づき、モータM及び各電磁弁25〜32の動作を個別に制御するようになっている。
次に、ROM41に記憶される各マップについてそれぞれ説明する。
図3に示すマップは、後述する車両の車体減速度微分値ΔDVSと車体減速度閾値KDVSとの関係を示すものである。同図のマップに示すように、ROM41には、車体減速度微分値ΔDVSが第1の車体減速度微分値ΔDVS0以下である場合、その第1の車体減速度微分値ΔDVS0と対応するように、車体減速度閾値KDVSが一定の上限値である第1の車体減速度閾値KDVS0として設定記憶されている。ここで、第1の車体減速度微分値ΔDVS0は、それ以上小さな値であればフィルタ処理による応答遅れが問題になることはないと予め実験等により確認されている車体減速度微分値ΔDVSである。
図3に示すマップは、後述する車両の車体減速度微分値ΔDVSと車体減速度閾値KDVSとの関係を示すものである。同図のマップに示すように、ROM41には、車体減速度微分値ΔDVSが第1の車体減速度微分値ΔDVS0以下である場合、その第1の車体減速度微分値ΔDVS0と対応するように、車体減速度閾値KDVSが一定の上限値である第1の車体減速度閾値KDVS0として設定記憶されている。ここで、第1の車体減速度微分値ΔDVS0は、それ以上小さな値であればフィルタ処理による応答遅れが問題になることはないと予め実験等により確認されている車体減速度微分値ΔDVSである。
また、ROM41には、車体減速度微分値ΔDVSが第2の車体減速度微分値ΔDVS1以上である場合、その第2の車体減速度微分値ΔDVS1と対応するように、車体減速度閾値KDVSが一定の下限値である第2の車体減速度閾値KDVS1(<KDVS0)として設定記憶されている。ここで、第2の車体減速度微分値ΔDVS1は、それ以上大きな値であれば制動力配分制御の開始タイミングが早くなり過ぎて制動力不足になると予め実験等により確認されている車体減速度微分値ΔDVSである。
そして、ROM41には、車体減速度微分値ΔDVSが第1の車体減速度微分値ΔDVS0よりも大きく且つ第2の車体減速度微分値ΔDVS1(>ΔDVS0)よりも小さな場合には、車体減速度閾値KDVSが、その場合の車体減速度微分値ΔDVSの大きさに比例して増減するように対応付けられて設定記憶されている。すなわち、車体減速度微分値ΔDVSが一定範囲(ΔDVS0<ΔDVS<ΔDVS1)内にある場合には、ブレーキペダル20の踏込み速度と対応関係にある車体減速度微分値ΔDVSの値が大きくなればなる程、車体減速度閾値KDVSが小さな値となるように設定されている。したがって、この点で、本実施形態では、こうした図3に示すマップを記憶するROM41が、複数の車体減速度閾値KDVSを車体減速度微分値ΔDVSに対応付けた状態で記憶する車体減速度記憶手段として機能するようになっている。
図4に示すマップは、後述する車輪速度差微分値ΔGVWと車輪速度差閾値KVWとの関係を示すものであり、車輪速度差微分値ΔGVWは前輪FR,FLの車輪速度と後輪RR,RLの車輪速度との差を微分したものである。同図のマップに示すように、ROM41には、車輪速度差微分値ΔGVWが第1の車輪速度差微分値ΔGVW0以下である場合、その第1の車輪速度差微分値ΔGVW0と対応するように、車輪速度差閾値KVWが一定の上限値である第1の閾値車輪速度差KVW0として設定記憶されている。ここで、第1の車輪速度差微分値ΔGVW0は、それ以上小さな値であればフィルタ処理による応答遅れが問題になることはないと予め実験等により確認されている車輪速度差微分値ΔGVWである。
また、ROM41には、車輪速度差微分値ΔGVWが第2の車輪速度差微分値ΔGVW1以上である場合、その第2の車輪速度差微分値ΔGVW1と対応するように、車輪速度差閾値KVWが一定の下限値である第2の車輪速度差閾値KVW1(<KVW0)として設定記憶されている。ここで、第2の車輪速度差微分値ΔGVW1は、それ以上大きな値であれば制動力配分制御の開始タイミングが早くなり過ぎて制動力不足になると予め実験等により確認されている車輪速度差微分値ΔGVWである。
そして、ROM41には、車輪速度差微分値ΔGVWが第1の車輪速度差微分値ΔGVW0よりも大きく且つ第2の車輪速度差微分値ΔGVW1(>ΔGVW0)よりも小さな場合には、車輪速度差閾値KVWが、その場合の車輪速度差微分値ΔGVWの大きさに比例して増減するように対応付けられて設定記憶されている。すなわち、車輪速度差微分値ΔGVWが一定範囲(ΔGVW0<ΔGVW<ΔGVW1)内にある場合には、車輪速度差微分値ΔGVWの値が大きくなればなる程、車輪速度差閾値KVWが小さな値となるように設定されている。したがって、この点で、本実施形態では、こうした図4に示すマップを記憶するROM41が、複数の車輪速度差閾値KVWを車輪速度差微分値ΔGVWに対応付けた状態で記憶する車輪速度差記憶手段としても機能するようになっている。
次に、本実施形態のCPU40が実行する制御処理ルーチンのうち、ブレーキスイッチSW1からの信号をCPU40が受信した場合に実行する制動力配分制御処理ルーチンについて図5に基づき以下説明する。
さて、CPU40は、所定周期毎に制動力配分制御処理ルーチンを実行する。そして、この制動力配分制御処理ルーチンにおいて、CPU40は、まず各車輪速度センサSE1〜SE4から受信した信号に基づき、各車輪FR,FL,RR,RLの車輪速度VWをそれぞれ検出する(ステップS10)。この点で、本実施形態では、車輪速度センサSE1〜SE4及びCPU40が、各車輪FR,FL,RR,RLの車輪速度VWを検出する車輪速度検出手段として機能する。なお、本実施形態では、説明理解の便宜上、右前輪FRの車輪速度VWと左前輪FLの車輪速度VWとは同一の値となると共に、右後輪RRの車輪速度VWと左後輪RLの車輪速度VWとは同一の値となるものとする。
続いて、CPU40は、車両の車体速度(推定車体速度)VSを検出する(ステップS11)。具体的には、CPU40は、ステップS10にて検出した各車輪FR,FL,RR,RLの車輪速度VWのうち最も大きな値のものを車両の車体速度VSと設定する。そして、CPU40は、ステップS11にて検出した車両の車体速度VSを微分することにより、車両の車体減速度(推定車体減速度)DVSを検出(演算)する(ステップS12)。この点で、本実施形態では、車輪速度センサSE1〜SE4及びCPU40が、車両の車体減速度DVSを検出する車体減速度検出手段として機能する。
続いて、CPU40は、ステップS12にて検出(演算)した車両の車体減速度DVSを微分することにより、車体減速度微分値ΔDVSを検出(演算)する(ステップS13)。この点で、本実施形態では、CPU40が車体減速度微分手段としても機能する。ここで、車体減速度微分値ΔDVSは、車両の車体減速度DVSの単位時間あたりの変化量を示した値であり、前述したように、ブレーキペダル20の踏込み速度と対応関係にある。そして、CPU40は、車体減速度微分値ΔDVSが比較的大きい場合にはブレーキペダル20の踏込み速度が比較的速いと判断する一方、車体減速度微分値ΔDVSが比較的小さい場合にはブレーキペダル20の踏込み速度が比較的遅いと判断する。したがって、この点で、本実施形態では、CPU40が、車体減速度微分値ΔDVSを検出することにより、ブレーキペダル20の踏込み速度(操作速度)を検出する操作速度検出手段としても機能するようになっている。
そして、CPU40は、ステップS10にて検出した各車輪FR,FL,RR,RLの車輪速度VWに基づき、前輪FR,FLと後輪RR,RLとの車輪速度差GVWを検出(演算)する(ステップS14)。この点で、本実施形態では、CPU40が車輪速度差演算手段としても機能する。ここで、車輪速度差GVWは、下記の条件式(1)を基に演算される。
(前輪FR,FLと後輪RR,RLとの車輪速度差GVW)=(前輪FR,FLの車輪速度VW)−(後輪RR,RLの車輪速度VW)…(1)
続いて、CPU40は、ステップS14にて検出された車輪速度差GVWを微分することにより、車輪速度差微分値ΔGVWを検出(演算)する(ステップS15)。この点で、本実施形態では、CPU40が車輪速度差微分手段としても機能するようになっている。ちなみに、車輪速度差微分値ΔGVWは、前輪FR,FL及び後輪RR,RLへの実際の制動力配分が前輪FR,FL寄りとなったか、後輪RR,RL寄りとなったかを判断するための値である。そして、前輪FR,FL及び後輪RR,RLへの実際の制動力配分が後輪RR,RL寄りとなった場合には、後輪RR,RLのスリップ率が前輪FR,FLのスリップ率よりも大きくなり、車両における走行の安定性が多少低下するおそれがある。
続いて、CPU40は、ステップS14にて検出された車輪速度差GVWを微分することにより、車輪速度差微分値ΔGVWを検出(演算)する(ステップS15)。この点で、本実施形態では、CPU40が車輪速度差微分手段としても機能するようになっている。ちなみに、車輪速度差微分値ΔGVWは、前輪FR,FL及び後輪RR,RLへの実際の制動力配分が前輪FR,FL寄りとなったか、後輪RR,RL寄りとなったかを判断するための値である。そして、前輪FR,FL及び後輪RR,RLへの実際の制動力配分が後輪RR,RL寄りとなった場合には、後輪RR,RLのスリップ率が前輪FR,FLのスリップ率よりも大きくなり、車両における走行の安定性が多少低下するおそれがある。
続いて、CPU40は、ROM41に記憶される図4に示すマップからステップS15にて検出した車輪速度差微分値ΔGVWに対応する車輪速度差閾値KVWを読み出し、RAM42に記録する(ステップS16)。すなわち、ステップS16では、車輪速度差微分値ΔGVWに応じて補正された車輪速度差閾値KVWがRAM42に設定される。この点で、本実施形態では、CPU40が、ステップS15にて検出した車輪速度差微分値ΔGVWに基づき車輪速度差閾値KVWを設定する車輪速度差閾値設定手段としても機能するようになっている。
そして次に、CPU40は、ステップS14にて検出した前輪FR,FLと後輪RR,RLとの車輪速度差GVWがステップS16にて設定した車輪速度差閾値KVW以上であるか否かを判定する(ステップS17)。この点で、本実施形態では、CPU40が車輪速度差判定手段としても機能する。そして、ステップS17の判定結果が肯定判定(GVW≧KVW)であった場合、CPU40は、前輪FR,FL及び後輪RR,RLへの実際の制動力配分が後輪RR,RL寄りとなったと判断し、後輪RR,RLの制動力を低下させるべく後輪側減圧制御を実行する(ステップS18)。具体的には、CPU40は、左後輪用経路15b上の各電磁弁26,28及び右後輪用経路16bの各電磁弁30,32のソレノイドに電流をそれぞれ供給し、ホイールシリンダ18c,18d内のブレーキ液圧を低下させる。そして、CPU40は、所定時間の間、電磁弁25,27,30,32のソレノイドへの電流供給を行った後に、その電流の供給を停止する。その後、CPU40は、制動力配分制御処理ルーチンを一旦終了し、所定周期後に、再び制動力配分制御処理ルーチンを実行する。
一方、ステップS17の判定結果が否定判定(GVW<KVW)であった場合、CPU40は、ROM41に記憶される図3に示すマップからステップS13にて検出(演算)した車体減速度微分値ΔDVSに対応する車体減速度閾値KDVSを読み出し、RAM42に記録する(ステップS19)。すなわち、ステップS19では、車体減速度微分値ΔDVSに応じて補正された車体減速度閾値KDVSがRAM42に設定される。この点で、本実施形態では、CPU40が、ステップS13にて検出した車体減速度微分値ΔDVS(操作速度検出手段が検出した操作速度)に基づき車体減速度閾値KDVSを設定する車体減速度閾値設定手段としても機能するようになっている。続いて、CPU40は、ステップS12にて検出した車両の車体減速度DVSがステップS19にて設定した車体減速度閾値KDVS以上であるか否かを判定する(ステップS20)。この点で、本実施形態では、CPU40が、車体減速度判定手段としても機能する。
そして、ステップS20の判定結果が否定判定であった場合、CPU40は、制動力配分制御処理ルーチンを終了する。一方、ステップS20の判定結果が肯定判定であった場合、CPU40は、後輪RR,RLの制動力の増加を抑制する制動力配分制御を開始する(ステップS21)。具体的には、CPU40は、左後輪用経路15b上の各電磁弁26及び右後輪用経路16bの各電磁弁30のソレノイドに電流をそれぞれ供給し、ホイールシリンダ18c,18d内のブレーキ液圧を保持(保圧)させる。その後、CPU40は、制動力配分制御処理ルーチンを終了する。
なお、本実施形態では、CPU40は、ブレーキスイッチSW1からの信号を受信しなくなった場合、ブレーキペダル20の踏込み操作が終了し車両が完全に停止したものと判断する。そして、CPU40は、後輪側減圧制御及び制動力配分制御が実行される状態であった場合には、後輪側減圧制御及び制動力配分制御を停止させる。
次に、本実施形態における車両の制動制御方法について、図6〜図8に基づき以下説明する。
さて、車両の走行中に搭乗者がブレーキペダル20を踏込むと、各車輪FR,FL,RR,RLには各ホイールシリンダ18a〜18dから制動力が付与される。すると、前輪FR,FL及び後輪RR,RLの各制動力が増加し、その結果、図6(a)(b)に示すように、前輪FR,FL及び後輪RR,RLの各制動力はそれぞれ飽和状態となる。ここで、搭乗者によるブレーキペダル20の踏込み速度が速かった場合(すなわち、車体減速度微分値ΔDVSが大きい場合)には、後輪RR,RL側の図示しないブレーキパッド(摩擦材)の特性などに起因して、前輪FR,FL及び後輪RR,RLへの実際の制動力配分が後輪RR,RL寄りとなることがある。
さて、車両の走行中に搭乗者がブレーキペダル20を踏込むと、各車輪FR,FL,RR,RLには各ホイールシリンダ18a〜18dから制動力が付与される。すると、前輪FR,FL及び後輪RR,RLの各制動力が増加し、その結果、図6(a)(b)に示すように、前輪FR,FL及び後輪RR,RLの各制動力はそれぞれ飽和状態となる。ここで、搭乗者によるブレーキペダル20の踏込み速度が速かった場合(すなわち、車体減速度微分値ΔDVSが大きい場合)には、後輪RR,RL側の図示しないブレーキパッド(摩擦材)の特性などに起因して、前輪FR,FL及び後輪RR,RLへの実際の制動力配分が後輪RR,RL寄りとなることがある。
この場合、従来の制動制御方法により付与される後輪RR,RLの制動力(図6(b)では破線で示す。)は、その増加率が前輪FR,FLの制動力の増加率よりも大きくなり、前輪FR,FLの制動力よりも時間t1だけ早く飽和状態となる。すると、図7の一点鎖線で示すように制動力配分制御を行おうとしても、実際は、後輪RR,RLの制動力の増加率が予想以上に高いため、図7の実線で示すような制動力配分制御が行われることになる。すなわち、後輪RR,RLの制動力の増加を抑制する制動力配分制御が開始される前に、後輪RR,RLのスリップ率が前輪FR,FLのスリップ率よりも大きくなり、車両における走行の安定性が多少低下する可能性がある。
ところが、本実施形態では、前輪FR,FL及び後輪RR,RLへの実際の制動力配分が後輪RR,RL寄りであるか否かを判断するための車輪速度差微分値ΔGVWが演算され、この車輪速度差微分値ΔGVWに対応した車輪速度差閾値KVWがRAM42に設定される。そして、前輪FR,FLと後輪RR,RLとの車輪速度差GVWがRAM42に設定された車輪速度差閾値KVW以上となった場合には、実際の制動力配分が後輪RR,RL寄りであると判断され、後輪側減圧制御が実行される。すなわち、左後輪用経路15b上の各電磁弁26,28及び右後輪用経路16bの各電磁弁30,32のソレノイドには、電流がそれぞれ供給され、その結果、常開型の電磁弁26,30が閉じ状態となると共に、常閉型の電磁弁28,32が開き状態となる。そのため、後輪RR,RL用のホイールシリンダ18c,18d内のブレーキ液圧が低下し、図6(b)に実線で示すように、後輪RR,RLの制動力が降下する。
そして、所定時間経過後に、各電磁弁26,28,30,32のソレノイドへの電流供給が停止されると、再び、後輪RR,RL用のホイールシリンダ18c,18d内のブレーキ液圧が上昇し、後輪RR,RLの制動力が増加する。その後、ほぼ同一のタイミングで、前輪FR,FL及び後輪RR,RLの各制動力が飽和状態となる(図6(a)(b)参照)。したがって、後輪RR,RLのスリップ率が前輪FR,FLのスリップ率よりも大きくなることが回避され、車両における走行の安定性が維持される。
また、搭乗者によるブレーキペダル20の踏込み速度が速かった(すなわち、車体減速度微分値ΔDVSが大きい)場合には、車輪速度センサSE1〜SE4からの信号をフィルタ処理することにより応答速度が低下する。この応答速度の低下は、図8に示すように、搭乗者によるブレーキペダル20の踏込み速度が速いほど顕著になり、制動力配分制御の開始が遅れやすい傾向になる。しかし、本実施形態では、車体減速度微分値ΔDVSに対応する車体減速度閾値KDVSがRAM42に設定される。そのため、搭乗者によるブレーキペダル20の踏込み速度に応じて、最適なタイミングで後輪RR,RLの制動力の増加を抑制する制動力配分制御が開始される。すなわち、ブレーキペダル20の踏込み速度が速い場合には、車体減速度閾値KDVSが低く設定され、車両の車体減速度(推定車体減速度)DVSが比較的低い段階から、後輪RR,RLの制動力の増加を抑制する制動力配分制御が開始される。
そして、車両の車体減速度DVSが車体減速度閾値KDVS以上となった場合には、左後輪用経路15b上の各電磁弁26及び右後輪用経路16bの各電磁弁30のソレノイドに電流が供給され、各電磁弁26,28,30,32が閉じ状態となり、後輪RR,RL用のホイールシリンダ18c,18d内のブレーキ液圧が保持される。そのため、本実施形態のように車輪速度センサSE1〜SE4からの信号がフィルタ処理される場合においても、そのフィルタ処理が介在することにより、制動力配分制御の開始タイミングが遅れることが抑制される。その結果、後輪RR,RLのスリップ率>前輪FR,FLのスリップ率の関係が継続されることが回避され、車両における走行の安定性が良好に維持される。
したがって、本実施形態では、以下に示す効果を得ることができる。
(1)後輪RR,RLの制動力の増加を抑制する際の判定条件となる車体減速度閾値KDVSは、ブレーキペダル20の踏込み速度に応じて設定される。すなわち、車体減速度閾値KDVSは、ブレーキペダル20の踏込み速度が比較的遅い場合には大きな値に設定される一方、ブレーキペダル20の踏込む速度が比較的速い場合には小さな値に設定される。そのため、特にブレーキペダル20の踏込み速度が速い場合(すなわち、急ブレーキの場合)に、車輪速度センサSE1〜SE4からの信号のフィルタ処理による応答遅れに起因して、後輪RR,RLの制動力の増加を抑制すべくホイールシリンダ(制動手段)18c,18dを制御するタイミングが遅くなることが抑制される。したがって、急ブレーキ時における制動力配分制御を適切なタイミングで開始することにより、車両における走行の安定性が低下することを抑制できる。
(1)後輪RR,RLの制動力の増加を抑制する際の判定条件となる車体減速度閾値KDVSは、ブレーキペダル20の踏込み速度に応じて設定される。すなわち、車体減速度閾値KDVSは、ブレーキペダル20の踏込み速度が比較的遅い場合には大きな値に設定される一方、ブレーキペダル20の踏込む速度が比較的速い場合には小さな値に設定される。そのため、特にブレーキペダル20の踏込み速度が速い場合(すなわち、急ブレーキの場合)に、車輪速度センサSE1〜SE4からの信号のフィルタ処理による応答遅れに起因して、後輪RR,RLの制動力の増加を抑制すべくホイールシリンダ(制動手段)18c,18dを制御するタイミングが遅くなることが抑制される。したがって、急ブレーキ時における制動力配分制御を適切なタイミングで開始することにより、車両における走行の安定性が低下することを抑制できる。
(2)各車輪速度センサSE1〜SE4からの信号に基づきCPU40が車両の車体減速度(推定車体減速度)DVSを演算するため、車体に別途に車体減速度センサ(Gセンサ)を設けることによる部品点数の増加を抑制できる。
(3)ブレーキペダル20の踏込み速度(操作速度)と対応関係にある車体減速度微分値ΔDVSに応じて、車体減速度閾値KDVSが設定される。そのため、車体減速度閾値KDVSをブレーキペダル20の踏込み速度に対応した最適値に設定できる。その結果、後輪RR,RLの制動力の増加を抑制するための制動力配分制御を、最適なタイミングで開始させることができる。
(4)車体減速度微分値ΔDVSに対応した車体減速度閾値KDVSをROM(車体減速度記憶手段)41から読み出すことにより、制動力配分制御を開始する際の判定条件となる車体減速度閾値KDVSが設定される。すなわち、この車体減速度閾値KDVSを設定するために、関係式を用いて演算処理を行う必要もない。したがって、CPU(車体減速度閾値設定手段)40の処理負担を良好に低減できる。
(5)前輪FR,FL及び後輪RR,RLへの実際の制動力配分が後輪RR,RL寄りであるか否かを判断するための車輪速度差微分値ΔGVWを検出(演算)し、この車輪速度差微分値ΔGVWが車輪速度差閾値KVW以上となった場合には、車両における走行の安定性が多少低下したと判断する。そして、後輪RR,RLの制動力を減少させ、所定時間経過後に再び後輪RR,RLの制動力を増加させる。その結果、前輪FR,FL及び後輪RR,RLの制動力をほぼ同一のタイミングで飽和させることができる。そのため、後輪RR,RLのスリップ率が前輪FR,FLのスリップ率よりも大きくなることが回避され、車両における走行の安定性が低下することを回避できる。
(6)車輪速度差閾値KVWを、車輪速度差微分値ΔGVWに対応する最適値に設定できる。そのため、後輪RR,RLの制動力の増加を抑制するためのホイールシリンダ(制動手段)18c,18dに対する制御を、最適なタイミングで開始させることができる。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態を図9に従って説明する。なお、第2の実施形態は、ROM41に記憶される制動力配分制御処理ルーチンのプログラム内容が第1の実施形態と異なっている。したがって、以下の説明においては、第1の実施形態と相違する部分について主に説明するものとし、第1の実施形態と同一又は相当する部材構成には同一符号を付して重複説明を省略するものとする。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態を図9に従って説明する。なお、第2の実施形態は、ROM41に記憶される制動力配分制御処理ルーチンのプログラム内容が第1の実施形態と異なっている。したがって、以下の説明においては、第1の実施形態と相違する部分について主に説明するものとし、第1の実施形態と同一又は相当する部材構成には同一符号を付して重複説明を省略するものとする。
本実施形態における車両の制動制御装置11は、電子制御装置19を備えており、電子制御装置19には、CPU40,ROM41及びRAM42が設けられている。そして、ROM41には、液圧制御装置17(モータM及び各電磁弁25〜32の駆動)を制御するための制御プログラム及び後述する車輪速度差微分値閾値KD(図9参照)が記憶されている。
次に、本実施形態のCPU40が実行する制御処理ルーチンのうち、ブレーキスイッチSW1からの信号をCPU40が受信した場合に実行する制動力配分制御処理ルーチンについて図9に基づき以下説明する。
さて、CPU40は、所定周期毎に制動力配分制御処理ルーチンを実行する。そして、この制動力配分制御処理ルーチンにおいて、CPU40は、まず各車輪速度センサSE1〜SE4から受信した信号に基づき、各車輪FR,FL,RR,RLの車輪速度VWをそれぞれ検出する(ステップS30)。続いて、CPU40は、車両の車体速度(推定車体速度)VSを検出する(ステップS31)。そして、CPU40は、ステップS31にて検出した車両の車体速度VSを微分することにより、車両の車体減速度(推定車体減速度)DVSを検出(演算)し(ステップS32)、このステップS32にて検出した車両の車体減速度DVSを微分することにより、車体減速度微分値ΔDVSを検出(演算)する(ステップS33)。
そして、CPU40は、ステップS30にて検出した各車輪FR,FL,RR,RLの車輪速度VWに基づき、前輪FR,FLと後輪RR,RLとの車輪速度差GVWを検出(演算)する(ステップS34)。続いて、CPU40は、ステップS34にて検出された車輪速度差GVWを微分することにより、車輪速度差微分値ΔGVWを検出(演算)する(ステップS35)。そして、CPU40は、ROM41に予め設定された車輪速度差微分値閾値KDを読み出し、ステップS35にて検出した車輪速度差微分値ΔGVWが車輪速度差微分値閾値KD以上であるか否かを判定する(ステップS36)。この点で、本実施形態では、CPU40が車輪速度差微分値判定手段として機能する。なお、車輪速度差微分値閾値KDは、前輪FR,FL及び後輪RR,RLへの実際の制動力配分が前輪FR,FL寄りであるか、後輪RR,RL寄りであるかを判断するための基準値であり、予め実験やシミュレーションなどによって設定される。
そして、ステップS36の判定結果が肯定判定である場合、CPU40は、前輪FR,FL及び後輪RR,RLへの実際の制動力配分が後輪RR,RL寄りであると判断し、後輪RR,RLの制動力を低下させるべく後輪側減圧制御を実行し(ステップS37)、その後、制動力配分制御処理ルーチンを終了する。一方、ステップS36の判定結果が否定判定である場合、CPU40は、ROM41に記憶される図3に示すマップからステップS33にて検出した車体減速度微分値ΔDVSに対応する車体減速度閾値KDVSを読み出し、RAM42に記録する(ステップS38)。
続いて、CPU40は、ステップS32にて検出した車両の車体減速度DVSがステップS38にて設定した車体減速度閾値KDVS以上であるか否かを判定する(ステップS39)。そして、ステップS39の判定結果が否定判定であった場合、CPU40は、制動力配分制御処理ルーチンを終了する。一方、ステップS39の判定結果が肯定判定であった場合、CPU40は、後輪RR,RLの制動力の増加を抑制する制動力配分制御を開始し(ステップS40)、その後、制動力配分制御処理ルーチンを終了する。
本実施形態では、上記第1の実施形態の効果(1)〜(4)に加え、さらに以下に示す効果をも得ることができる。
(7)前輪FR,FL及び後輪RR,RLへの実際の制動力配分が後輪RR,RL寄りであるか否かを判断するための車輪速度差微分値ΔGVWを検出(演算)し、この車輪速度差微分値ΔGVWが予め設定された車輪速度差微分値閾値KD以上となった場合には、車両における走行の安定性が多少低下したと判断する。そして、後輪RR,RLの制動力を減少させ、所定時間経過後に再び後輪RR,RLの制動力を増加させる。その結果、前輪FR,FL及び後輪RR,RLの制動力をほぼ同一のタイミングで飽和させることができる。そのため、後輪RR,RLのスリップ率が前輪FR,FLのスリップ率よりも大きくなることが回避され、車両における走行の安定性が低下することを回避できる。
(7)前輪FR,FL及び後輪RR,RLへの実際の制動力配分が後輪RR,RL寄りであるか否かを判断するための車輪速度差微分値ΔGVWを検出(演算)し、この車輪速度差微分値ΔGVWが予め設定された車輪速度差微分値閾値KD以上となった場合には、車両における走行の安定性が多少低下したと判断する。そして、後輪RR,RLの制動力を減少させ、所定時間経過後に再び後輪RR,RLの制動力を増加させる。その結果、前輪FR,FL及び後輪RR,RLの制動力をほぼ同一のタイミングで飽和させることができる。そのため、後輪RR,RLのスリップ率が前輪FR,FLのスリップ率よりも大きくなることが回避され、車両における走行の安定性が低下することを回避できる。
なお、各実施形態は以下のような別の実施形態(別例)に変更してもよい。
・第1の実施形態において、ROM41には、図4に示すマップを記憶させるのではなく、車輪速度差微分値ΔGVWと車輪速度差閾値KVWとの関係式を記憶させ、この関係式に基づき車輪速度差閾値KVWを設定するようにしてもよい。
・第1の実施形態において、ROM41には、図4に示すマップを記憶させるのではなく、車輪速度差微分値ΔGVWと車輪速度差閾値KVWとの関係式を記憶させ、この関係式に基づき車輪速度差閾値KVWを設定するようにしてもよい。
・各実施形態において、ステップS18,S37では、後輪RR,RLの制動力を減少させる後輪側減圧制御ではなく、一定期間、後輪RR,RLの制動力を保持させるような制御であってもよい。また、後輪RR,RLの制動力の増加率を低くするような制御であってもよい。
・各実施形態において、ROM41には、図3に示すマップを記憶させるのではなく、車体減速度微分値ΔDVSと車体減速度閾値KDVSとの関係式を記憶させ、この関係式に基づき車体減速度閾値KDVSを設定するようにしてもよい。
・各実施形態において、ブレーキペダル20の踏込み速度を、マスタシリンダ12内のブレーキ液圧の変化に基づき検出するようにしてもよい。すなわち、各液圧センサPS1,PS2からの信号に基づきマスタシリンダ12内のブレーキ液圧を検出し、その検出したブレーキ液圧を微分して、単位時間あたりのブレーキ液圧の変化量を検出する。そして、このブレーキ液圧を微分した値に対応した車体減速度閾値KDVSを設定するようにしてもよい。この場合、CPU(踏込み速度検出手段)40は、各液圧センサPS1,PS2が検出したマスタシリンダ12内のブレーキ液圧に基づき、ブレーキペダル20の踏込み速度を検出することになる。
・各実施形態において、車体に車体減速度センサ(「Gセンサ」ともいう。)を配設し、この車体減速度センサによって車両の車体減速度を検出するようにしてもよい。
・各実施形態において、第1液圧回路15には右前輪FR用のホイールシリンダ18aと左前輪FL用のホイールシリンダ18bとが接続されると共に、第2液圧回路16には右後輪RR用のホイールシリンダ18cと左後輪RL用のホイールシリンダ18dとが接続されるような回路構成としてもよい。
・各実施形態において、第1液圧回路15には右前輪FR用のホイールシリンダ18aと左前輪FL用のホイールシリンダ18bとが接続されると共に、第2液圧回路16には右後輪RR用のホイールシリンダ18cと左後輪RL用のホイールシリンダ18dとが接続されるような回路構成としてもよい。
次に、上記各実施形態及び別例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
(イ)車両の各車輪(FR,FL,RR,RL)に制動力を付与する制動手段(18a,18b,18c,18d)と、前記各車輪(FR,FL,RR,RL)の車輪速度(VW)を検出する車輪速度検出手段(40,SE1,SE2,SE3,SE4)と、該車輪速度検出手段(40,SE1,SE2,SE3,SE4)が検出した前輪(FR,FL)の車輪速度(VW)と後輪(RR,RL)の車輪速度(VW)との差を演算する車輪速度差演算手段(40)と、該車輪速度差演算手段(40)が演算した車輪速度差(GVW)を微分する車輪速度差微分手段(40)と、該車輪速度差微分手段(40)が演算した車輪速度差微分値(ΔGVW)に基づき車輪速度差閾値(KVW)を設定する車輪速度差閾値設定手段(40)と、前記車輪速度差演算手段(40)が演算した前記車輪速度差(GVW)が前記車輪速度差閾値設定手段(40)によって設定された前記車輪速度差閾値(KVW)以上であるか否かを判定する車輪速度差閾値判定手段(40)と、該車輪速度差閾値判定手段(40)による判定結果が肯定判定である場合に、後輪(RR,RL)に付与する制動力の増加を抑制するように前記制動手段(18a,18b,18c,18d)を制御する制御手段(40)とを備えた車両の制動制御装置。
(イ)車両の各車輪(FR,FL,RR,RL)に制動力を付与する制動手段(18a,18b,18c,18d)と、前記各車輪(FR,FL,RR,RL)の車輪速度(VW)を検出する車輪速度検出手段(40,SE1,SE2,SE3,SE4)と、該車輪速度検出手段(40,SE1,SE2,SE3,SE4)が検出した前輪(FR,FL)の車輪速度(VW)と後輪(RR,RL)の車輪速度(VW)との差を演算する車輪速度差演算手段(40)と、該車輪速度差演算手段(40)が演算した車輪速度差(GVW)を微分する車輪速度差微分手段(40)と、該車輪速度差微分手段(40)が演算した車輪速度差微分値(ΔGVW)に基づき車輪速度差閾値(KVW)を設定する車輪速度差閾値設定手段(40)と、前記車輪速度差演算手段(40)が演算した前記車輪速度差(GVW)が前記車輪速度差閾値設定手段(40)によって設定された前記車輪速度差閾値(KVW)以上であるか否かを判定する車輪速度差閾値判定手段(40)と、該車輪速度差閾値判定手段(40)による判定結果が肯定判定である場合に、後輪(RR,RL)に付与する制動力の増加を抑制するように前記制動手段(18a,18b,18c,18d)を制御する制御手段(40)とを備えた車両の制動制御装置。
(ロ)複数の車輪速度差閾値(KVW)を前記車輪速度差微分値(ΔGVW)に対応付けた状態で記憶する車輪速度差記憶手段(41)をさらに備え、前記車輪速度差閾値設定手段(40)は、前記車輪速度差微分手段(40)が演算した前記車輪速度差微分値(ΔGVW)に対応する前記車輪速度差閾値(KVW)を前記車輪速度差記憶手段(41)から読み出す前記技術的思想(イ)に記載の車両の制動制御装置。
(ハ)車両の各車輪(FR,FL,RR,RL)に制動力を付与する制動手段(18a,18b,18c,18d)と、前記各車輪(FR,FL,RR,RL)の車輪速度(VW)を検出する車輪速度検出手段(40,SE1,SE2,SE3,SE4)と、該車輪速度検出手段(40,SE1,SE2,SE3,SE4)が検出した前輪(FR,FL)の車輪速度(VW)と後輪(RR,RL)の車輪速度(VW)との差を演算する車輪速度差演算手段(40)と、該車輪速度差演算手段(40)が演算した車輪速度差(GVW)を微分する車輪速度差微分手段(40)と、該車輪速度差微分手段(40)が演算した車輪速度差微分値(ΔGVW)が予め設定された車輪速度差微分値閾値(KD)以上であるか否かを判定する車輪速度差微分値判定手段(40)と、該車輪速度差微分値判定手段(40)による判定結果が肯定判定である場合に、後輪(RR,RL)に付与する制動力の増加を抑制するように前記制動手段(18a,18b,18c,18d)を制御する制御手段(40)とを備えた車両の制動制御装置。
11…車両の制動制御装置、18a〜18d…ホイールシリンダ(制動手段)、20…ブレーキペダル、40…CPU(踏込み速度検出手段、車体減速度閾値設定手段、車体減速度検出手段、車体減速度判定手段、制御手段、車体減速度微分手段、車輪速度検出手段、車輪速度差演算手段、車輪速度差微分手段、車輪速度差閾値設定手段、車輪速度差閾値判定手段)、41…ROM(車体減速度記憶手段、車輪速度差記憶手段)、DVS…車両の車体減速度、ΔDVS…車体減速度微分値、FR,FL…前輪(車輪)、GVW…車輪速度差、ΔGVW…車輪速度差微分値、KD…車輪速度差微分値閾値、KDVS…車体減速度閾値、KVW…車輪速度差閾値、RR,RL…後輪(車輪)、SE1〜SE4…車輪速度センサ(車体減速度検出手段、車輪速度検出手段)、VW…車輪速度。
Claims (9)
- 車両の各車輪(FR,FL,RR,RL)に制動力を付与する制動手段(18a,18b,18c,18d)と、
ブレーキペダル(20)の操作速度(ΔDVS)を検出する操作速度検出手段(40)と、
該操作速度検出手段(40)が検出した操作速度(DVS)に対応する車体減速度閾値(KDVS)を、前記操作速度(DVS)が比較的速い場合には比較的遅い場合よりも小さな値となるように設定する車体減速度閾値設定手段(40)と、
前記車両の車体減速度(DVS)を検出する車体減速度検出手段(40,SE1,SE2,SE3,SE4)と、
該車体減速度検出手段(40,SE1,SE2,SE3,SE4)により検出された車両の車体減速度(DVS)が前記車体減速度閾値設定手段(40)によって設定された前記車体減速度閾値(KDVS)以上であるか否かを判定する車体減速度判定手段(40)と、
該車体減速度判定手段(40)の判定結果が肯定判定である場合に、後輪(RR,RL)に付与する制動力の増加を抑制するように前記制動手段(18a,18b,18c,18d)を制御する制御手段(40)とを備えた車両の制動制御装置。 - 前記車体減速度検出手段(40,SE1,SE2,SE3,SE4)は、前記各車輪(FR,FL,RR,RL)の車輪速度(VW)のうち少なくとも一つの車輪(FR,FL,RR,RL)の車輪速度(VW)に基づき車両の車体減速度(DVS)を演算する請求項1に記載の車両の制動制御装置。
- 前記操作速度検出手段(40)は、前記車体減速度検出手段(40,SE1,SE2,SE3,SE4)が検出した車両の車体減速度(DVS)を微分する車体減速度微分手段(40)であり、前記車体減速度閾値設定手段(40)は、前記車体減速度微分手段(40)が演算した車体減速度微分値(ΔDVS)に基づき前記車体減速度閾値(KDVS)を設定する請求項1又は請求項2に記載の車両の制動制御装置。
- 複数の車体減速度閾値(KDVS)を前記車体減速度微分値(ΔDVS)に対応付けた状態で記憶する車体減速度記憶手段(41)をさらに備え、前記車体減速度閾値設定手段(40)は、前記車体減速度微分手段(40)が演算した前記車体減速度微分値(ΔDVS)に対応する前記車体減速度閾値(KDVS)を前記車体減速度記憶手段(41)から読み出す請求項3に記載の車両の制動制御装置。
- 前記各車輪(FR,FL,RR,RL)の車輪速度(VW)を検出する車輪速度検出手段(40,SE1,SE2,SE3,SE4)と、
該車輪速度検出手段(40,SE1,SE2,SE3,SE4)が検出した前輪(FR,FL)の車輪速度(VW)と後輪(RR,RL)の車輪速度(VW)との差を演算する車輪速度差演算手段(40)と、
該車輪速度差演算手段(40)が演算した車輪速度差(GVW)を微分する車輪速度差微分手段(40)と、
該車輪速度差微分手段(40)が演算した車輪速度差微分値(ΔGVW)に基づき車輪速度差閾値(KVW)を設定する車輪速度差閾値設定手段(40)と、
前記車輪速度差演算手段(40)が演算した前記車輪速度差(GVW)が前記車輪速度差閾値設定手段(40)によって設定された前記車輪速度差閾値(KVW)以上であるか否かを判定する車輪速度差判定手段(40)とをさらに備え、
前記制御手段(40)は、前記車輪速度差判定手段(40)による判定結果が肯定判定である場合に、前記後輪(RR,RL)に付与する制動力の増加を抑制するように前記制動手段(18a,18b,18c,18d)を制御するようにした請求項1〜請求項4のうち何れか一項に記載の車両の制動制御装置。 - 複数の車輪速度差閾値(KVW)を前記車輪速度差微分値(ΔGVW)に対応付けた状態で記憶する車輪速度差記憶手段(41)をさらに備え、前記車輪速度差閾値設定手段(40)は、前記車輪速度差微分手段(40)が演算した前記車輪速度差微分値(ΔGVW)に対応する前記車輪速度差閾値(KVW)を前記車輪速度差記憶手段(41)から読み出す請求項5に記載の車両の制動制御装置。
- 前記各車輪(FR,FL,RR,RL)の車輪速度(VW)を検出する車輪速度検出手段(40,SE1,SE2,SE3,SE4)と、
該車輪速度検出手段(40,SE1,SE2,SE3,SE4)が検出した前輪(FR,FL)の車輪速度(VW)と後輪(RR,RL)の車輪速度(VW)との差を演算する車輪速度差演算手段(40)と、
該車輪速度差演算手段(40)が演算した車輪速度差(GVW)を微分する車輪速度差微分手段(40)と、
該車輪速度差微分手段(40)が演算した車輪速度差微分値(ΔGVW)が予め設定された車輪速度差微分値閾値(KD)以上であるか否かを判定する車輪速度差微分値判定手段(40)とをさらに備え、
前記制御手段(40)は、前記車輪速度差微分値判定手段(40)による判定結果が肯定判定である場合に、前記後輪(RR,RL)に付与する制動力の増加を抑制するように前記制動手段(18a,18b,18c,18d)を制御するようにした請求項1〜請求項4のうち何れか一項に記載の車両の制動制御装置。 - 車両の制動時に、車両の車体減速度(DVS)及びブレーキペダル(20)の操作速度(ΔDVS)をそれぞれ検出し、該操作速度(ΔDVS)に基づき車体減速度閾値(KDVS)を設定し、前記車両の車体減速度(DVS)が前記車体減速度閾値(KDVS)以上となった場合に、後輪(RR,RL)の制動力の増加を抑制する制動力配分制御を開始するようにした車両の制動制御方法。
- 前記各車輪(FR,FL,RR,RL)の車輪速度(VW)を検出し、その検出結果に基づき前輪(FR,FL)の車輪速度(VW)と後輪(RR,RL)の車輪速度(VW)との差を演算すると共に、該演算した車輪速度差(GVW)を微分して車輪速度差微分値(ΔGVW)を検出し、該車輪速度差微分値(ΔGVW)に基づき車輪速度差閾値(KVW)を設定し、前記前輪(FR,FL)の車輪速度(VW)と前記後輪(RR,RL)の車輪速度(VW)との差が前記車輪速度差閾値(KVW)以上となった場合に、後輪(RR,RL)の制動力の増加を抑制する制動力配分制御を開始するようにした請求項8に記載の車両の制動制御方法。
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