JP4453152B2 - 制動力配分制御の開始方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の制動力配分制御の開始方法に係り、詳しくは制動力配分制御(EBD制御)を好適に行うことができる制動力配分制御の開始方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、アンチスキッド制御装置を利用して、前後の車輪速度差をなくすように前輪と後輪の制動力配分制御(EBD制御)を行い、理想的な制動力配分を達成するようにした制動力配分制御(EBD制御)技術が、例えば特開平9−1187号公報にて提案されている。この制動力配分制御(EBD制御)は、車体減速度が予め定めた基準値以上になったとき、EBD制御を開始するようになっている。この車体減速度は、以下のように求められていた。つまり、各車輪に設けられた回転速度センサにて各車輪の車輪速度を求めその各車輪速度から車体速度を演算する。その演算して求められたその時々の車体速度の変化量から車体減速度を求めるようにしている。そして、その時々に求められた車体減速度が予め定めた基準値とその都度比較され、車体減速度が予め定めた基準値以上になったときにEBD制御が開始されることになる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記車体減速度は、加速度センサを用いて車体減速度を直接検出してすることもできる。加速度センサを用いての車体減速度の演算は、演算処理時間を短くコンピュータの負荷を軽減することができる点で優れている。
【0004】
しかしながら、加速度センサは、走行路面の傾斜に影響を受けやすい。詳述すると、加速度センサは、下り坂では実際の加速度より小さい値に、反対に、上り坂では実際の加速度より大きい値にとなる。この下り坂及び上り坂での、加速度センサの誤検出は、該加速度センサの設置状態に起因する。加速度センサは、水平走行路面での車両の加速度を検出するため、同加速度センサは水平走行路面上の車体に対して水平となるように設置されている。そして、下り坂及び上り坂で車体が傾くと、加速度センサも水平面に対して傾斜する。その結果、車両の加減速度によって受ける力も傾斜角度に相対して変動する。
【0005】
従って、下り坂及び上り坂において加速度センサを用いて車体減速度を求めてEBD制御を開始する場合、早期制御開始又は制御開始遅れによる車両不安定を招来する可能性があった。
【0006】
本発明は上記問題点を解消するためになされたものであって、その目的は、下り坂及び上り坂に影響されることなく、しかも、車体減速に依存しないで制動力配分制御を好適に開始することができる制動力配分制御の開始方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、車両の制動時に、前輪に対する後輪の微小スリップの発生に基づいて各前後輪に対して設けたホイールシリンダへのブレーキ液の供給を液圧制御装置を介して前輪の制動力と後輪の制動力とを配分調整してその後輪の制動力の増大を抑制するようにした車両の制動力配分制御方法において、ブレーキペダルの操作に基づいて作動する液圧発生装置の発生液圧を検出する液圧検出手段を設け、前記液圧検出手段にて検出された前記液圧発生装置の発生液圧が予め定めた基準値以上になったときには、制動力配分制御を開始し、該制動力配分制御では、各前後輪に対して設けたホイールシリンダへのブレーキ液の供給を、前輪のホイールシリンダに対しては液圧制御装置を介して前輪ブレーキ液圧を続けて増圧するとともに、後輪のホイールシリンダに対しては液圧制御装置を介して後輪ブレーキ液圧を予め定めたブレーキ液圧の理想値に近づくようにパルス増圧するようにしたことを要旨とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の制動力配分制御の開始方法において、前記予め定めた基準値は、理想的な前後輪制動力配分線と実際の前後輪制動力配分線とのクロス点における前輪制動力に相当する液圧発生装置の発生液圧であることを要旨とする。
【0009】
(作用)
請求項1に記載の発明の構成によれば、ブレーキペダルの操作に基づいて作動する液圧発生装置の発生液圧が予め定めた基準値以上になったときには、制動力配分制御を開始するようにした。従って、加速度センサにて検出した車体減速度に基づいて制動力配分制御の開始条件を判断した従来技術に比べて、路面の傾斜による影響を受けず、制動力配分制御の早期制御開始又は制御開始遅れといった不都合を防止することができる。その結果、制動力配分制御を好適に開始することができる。
【0010】
請求項2に記載の発明の構成によれば、請求項1に記載の発明の作用に加えて、予め定めた基準値は、理想的な制動力配分線と実際の制動力配分線とのクロス点における前輪制動力に相当する液圧発生装置の発生液圧であるため、基準値は車両走行中の他のパラメータに影響されず常に一定となるため、制動力配分制御を簡単且つ確実に行うことができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化したブレーキ液圧制御装置の一実施形態を図面に従って説明する。
【0012】
図1は本実施形態のブレーキ液圧制御装置の回路説明図である。図1に示すように、ブレーキ液圧制御装置10は、マスタシリンダ11a及びブースタ11bから構成された液圧発生装置11と、各車輪(右前輪FR、左前輪FL、右後輪RR及び左後輪RL)にそれぞれ配設されたホイールシリンダ12a〜12dと、前記液圧発生装置11とホイールシリンダ12a〜12d間に液圧路を介して接続された液圧制御装置としてのアクチュエータ13と、該アクチュエータ13を制御する電子制御装置14とを備えている。
【0013】
前記液圧発生装置11は、ブレーキスイッチ15を設けたブレーキペダル16により駆動されている。液圧発生装置11は、ブレーキペダル16が踏まれることによって動作し液圧路に液圧を発生するようになっている。
【0014】
前記アクチュエータ13は、図1に示すように、マスタシリンダ11aの一方の出力ポートとホイールシリンダ12a,12dの各々とを接続する液圧路に電磁弁17a〜17dが配設され、これらの電磁弁17a〜17dとマスタシリンダ11aとの間にポンプ18が配設されている。同様に、マスタシリンダ11aの他方の出力ポートとホイールシリンダ12b,12cの各々とを接続する液圧路に電磁弁17e〜17hが配設され、これらの電磁弁17e〜17hとマスタシリンダ11aとの間にポンプ19が配設されている。前記ポンプ18,19は、電動モータ20によって駆動され、上記の液圧路に所定の圧力に昇圧されたブレーキ液圧を供給するようになっている。
【0015】
前記電磁弁17a,17cは、常開型の電磁弁であり、その排出側液圧路がそれぞれ右前輪FRのホイールシリンダ12aと左後輪RLのホイールシリンダ12dに接続されている。また、前記電磁弁17e,17gは、常開型の電磁弁であり、その排出側液圧路がそれぞれ左前輪FLのホイールシリンダ12bと右後輪RRのホイールシリンダ12cに接続されている。
【0016】
前記電磁弁17b,17dは、常閉型の電磁弁であり、その排出側液圧路がリザーバ21を介して前記ポンプ18に接続されている。同様に、前記電磁弁17f,17hは、常閉型の電磁弁であり、その排出側液圧路がリザーバ22を介して前記ポンプ19に接続されている。前記リザーバ21,22は、各々ピストンとスプリングとを備え、前記電磁弁17b,17d,17f,17hから排出側液圧路を介して環流されるブレーキ液を収容するとともに、ポンプ18,19の作動時にブレーキ液を供給する。
【0017】
前記電磁弁17a〜17hは、2ポート2位置電磁弁であり、ソレノイド非通電時(以下、オフと称する)において、各ホイールシリンダ12a〜12dを前記液圧発生装置11及びポンプ18,19と連通させるようになっている。
【0018】
また、前記電磁弁17a〜17hは、ソレノイド通電時(以下、オンと称する)において、各ホイールシリンダ12a〜12dを前記液圧発生装置11及びポンプ18,19と遮断させるとともに、前記リザーバ21,22と連通させるようになっている。なお、図1に示すように、液圧路には複数の逆止弁Bが設けられ、それらの逆止弁Bはホイールシリンダ12a〜12d及びリザーバ21,22側から液圧発生装置11側へのブレーキ液の流通のみを許容するようになっている。
【0019】
そして、電磁弁17a〜17hのソレノイドを前記電子制御装置14にてオン、オフすることによってホイールシリンダ12a〜12dのブレーキ液圧を増圧、保持、減圧の状態にすること(つまりABS制御)が可能となる。すなわち、電磁弁17a〜17hのソレノイドがオフされたときには、ホイールシリンダ12a〜12dに液圧発生装置11及びポンプ18,19からブレーキ液圧が供給されて増圧される。一方、電磁弁17a〜17hのソレノイドがオンされたときには、ホイールシリンダ12a〜12dがリザーバ21,22に連通されて減圧される。また、電磁弁17a,17c,17e,17gのソレノイドがオフされ、電磁弁17b,17d,17f,17hのソレノイドがオンされたときには、ブレーキ液圧が保持される。従って、各電磁弁17a〜17hのソレノイドへの通電時間を電子制御装置14にて調整することにより、増圧と保持を組み合わせたパルス増圧や、減圧と保持を組み合わせたパルス減圧を行うことができ、緩やかにブレーキ液圧を増圧又は減圧するように制御することも可能となる。
【0020】
また、選択的に電磁弁17c,17gのソレノイドを前記電子制御装置14にてオン、オフすることによってホイールシリンダ12a〜12dのブレーキ液圧をそれぞれ配分調整すること(つまりEBD制御)が可能となる。すなわち、電磁弁17a,17eのソレノイドがオフされたままで電磁弁17c,17gのソレノイドがオンされる(本実施形態では、これをEBD制御開始とする)ときには、後輪RL,RRのホイールシリンダ12c,12dは液圧発生装置11及びポンプ18,19と遮断される。このとき、後輪RL,RRのホイールシリンダ12c,12dにかかるブレーキ液圧は、前輪FR,FLのホイールシリンダ12a,12bが液圧発生装置11及びポンプ18,19により増圧又はリザーバ21,22により減圧されるかどうかに関係なく、所定値に保持される。
【0021】
この状態から電磁弁17d,17hのソレノイドを前記電子制御装置14にてオンすることによって後輪RL,RRのホイールシリンダ12c,12dにかかるブレーキ液圧はリザーバ21,22により減圧することが可能となる。
【0022】
一方、電磁弁17c,17gのソレノイドがオフされたときには、後輪RL,RRのホイールシリンダ12c,12dは液圧発生装置11及びポンプ18,19と導通される。このとき、後輪RL,RRのホイールシリンダ12c,12dは液圧発生装置11のマスタシリンダ11aからのブレーキ液圧によりそのまま作用される又はポンプ18,19からのブレーキ液圧により増圧される。
【0023】
前記電子制御装置14は、図2に示すように、バスを介して相互に接続されたCPU23、ROM24、RAM25、タイマ(TMR)26、入力ポート27及び出力ポート28からなるマイクロコンピュータ29を備えている。前記入力ポート27は、増幅回路30a〜30gを介して、各車輪FR,FL,RR,RLに設けられた車輪速度センサ31a〜31dと、前記ブレーキスイッチ15及びマスタシリンダ11a側の液圧路に設けられた液圧検出センサ32,33と接続されている(図1に参照)。一方、前記出力ポート28は、駆動回路34aを介して前記電動モータ20と接続され(図1に参照)、駆動回路34b〜34iを介して前記電磁弁17a〜17hと接続されている。また、前記ROM24は、制動力配分制御(以下、EBD制御という)のプログラムを記憶し、CPU23は、図示しないイグニッションスイッチがオンになったときにプログラムを実行し、RAM25は、プログラムの実行に必要な変数データを一時的に記憶するようになっている。そして、本実施形態では、電子制御装置14は、前記車輪速度センサ31a〜31dと、ブレーキスイッチ15及び液圧検出センサ32,33からの出力信号に基づいて前記電動モータ20と電磁弁17a〜17hを制御している。
【0024】
なお、本実施形態では、車両のエンジンがかけられる(つまりイグニッションスイッチがオンされる)と、電子制御装置14のCPU23は、プログラムを実行し、以下のような処理がエンジンが停止される(つまりイグニッションスイッチがオフされる)まで繰り返し行うようになっている。図3はその処理のフローチャートである。
【0025】
図3に示すように、イグニッションスイッチがオンされるとき処理がスタートされる。そして、まず最初にステップ101でマイクロコンピュータ29が初期化され、各種の演算値、制御の基準車速となる推定車体速度Vso、車輪速度Vw及び車輪加速度DVw等の初期設定が行われる。
【0026】
次に、ステップ102においては、車輪速度センサ31a〜31dからの出力信号により各車輪FR,FL,RR,RLの車輪速度Vwを演算しその演算値を前記RAM25に記憶させる。続いてステップ103においては、ステップ102で演算された各車輪FR,FL,RR,RLの車輪速度Vwの演算値に基づいて各車輪FR,FL,RR,RLの車輪加速度DVwを演算しその演算値をRAM25に記憶させる。
【0027】
次のステップ104では、EBD制御中かどうかを判断し、制御中の場合には後述するステップ106へジャンプし、制御中でない(制御前)場合にはステップ105に進む。ステップ105では、各車輪FR,FL,RR,RLに対してEBD制御を開始させる(つまりEBD制御の開始条件が成立する)かどうかを判断する。EBD制御の開始条件が成立する場合には、ステップ106へ進む。EBD制御の開始条件が成立しない場合には、ステップ112へジャンプする。
【0028】
ここで、EBD制御開始条件について説明する。本実施形態では、EBD制御開始条件をマスタシリンダ11aの発生液圧(以下、マスタシリンダ液圧という)Pmcが予め定めた基準値P0以上になった時を開始条件としている。尚、本実施形態では、マスタシリンダ液圧Pmcは、後述するステップ113で求めるようにしている。
【0029】
詳述すると、図6は車輪の前後輪制動力配分線図である。図6において、破線L1は車両の理想的な前後輪制動力配分線を示す。つまり、この理想的な前後輪制動力配分線L1に基づいて前輪FL,FRの制動力(前輪制動力)Mfと後輪RL,RRの制動力(後輪制動力)Mrを配分制御すれば、理想的な車両の制動力が得られ制動効率が高められるとともに、車両安定性が保つことができる。しかしながら、前記アクチュエータ13の性能上、実際の前後輪制動力配分線L2は、図6に実線で示すように線形となる。
【0030】
その結果、実際の前後輪制動力配分線L2と理想的な前後輪制動力配分線L1とが交差するクロス点Kが存在する。そして、そのクロス点Kの左側範囲においては、図6に示すように、同じ大きさの前輪制動力Mf(1)に対して実際の後輪制動力Mr(j1)が理想の後輪制動力Mr(r1)より小さくなっている。すなわち、Mr(j1)<Mr(r1)となる。
【0031】
反対に、クロス点Kの右側範囲においては、同じ大きさの前輪制動力Mf(2)に対して実際の後輪制動力Mr(j2)が理想の後輪制動力Mr(r2)より大きくなっている。すなわち、Mr(j2)>Mr(r2)となる。
【0032】
ところで、クロス点Kの右側範囲は、実際の後輪制動力Mr(j2)が理想の後輪制動力Mr(r2)より大きくなるため、車両の安定性を図る上で好ましくない。つまり、制動時において、クロス点Kの右側範囲にある場合に車両の安定性を図るために、実際の後輪制動力Mr(j2)が理想の後輪制動力Mr(r2)より大きくならないように制動力配分制御する必要が生じる。詳述すると、前輪制動力Mfがクロス点Kに対応する前輪制動力Mf(0)まで上昇したときに制動力配分制御を開始する必要があることがわかる。
【0033】
この前輪制動力Mfはマスタシリンダ液圧Pmcに相対するものであるため、クロス点Kにおける前輪制動力Mf(0)に対応するマスタシリンダ液圧Pmcを事前に求めることができる。そして、本実施形態では、このクロス点Kの前輪制動力Mf(0)に相当するマスタシリンダ液圧Pmcを基準値P0としている。つまり、マスタシリンダ液圧Pmcが基準値P0以上になることは、図6に示すように、前輪制動力Mfがクロス点Kに到達し、同クロス点Kの右側範囲に移行することを意味する。そして、この基準値P0を事前にROM24に記憶しておき、マスタシリンダ液圧Pmcが基準値P0以上になったとき、ステップ106に移りEBD制御を開始させるようにしている。
【0034】
なお、車両の発進段階又は正常走行中においてはブレーキペダルが踏まれていないことからステップ104及びステップ105の条件が揃えていないため、前記の処理はステップ104及びステップ105からステップ106へ進まずステップ112へジャンプする。
【0035】
ステップ112では、4つの車輪に対して同じ処理を完了したかどうかを判断する。なお、ここで言う処理は、4つの車輪に対する車輪速度Vw及び車輪加速度DVwの演算処理である。そして、すべての車輪に対する処理が完了していない場合には、ステップ102に戻って処理しなかった車輪に対して同じ処理を繰り返す。また、すべての車輪に対する処理が完了した場合には、ステップ113で前記液圧検出センサ32,33にて前記EBD制御の開始条件の基準となるマスタシリンダ11aの発生液圧Pmcを検出する。
【0036】
次にステップ114で後述する演算方法にて推定車体速度Vsoを演算する。その後、1演算処理サイクルが終了し再びステップ102に戻って次の演算処理サイクルを開始する。
【0037】
上記推定車体速度Vsoは、図4のフローチャートで示す方法に従って求められる。詳述すると、まずステップ201において、演算処理サイクル(本実施形態では1演算処理サイクルが6ms)毎に各車輪FL,FR,RL,RRの車輪速度の中から最大の車輪速度を求め、その最大の車輪速度を4輪による推定車体速度Vwo(n)すなわち第1推定車体速度とする。ここで、(n)あるいは後述の(n−1)は添字で、演算処理サイクルが第n回目あるいは第n−1回目であることを表わし、nは自然数である。次に、ステップ202においては前記ステップ113で検出したマスタシリンダ液圧Pmcに基づいて推定車体減速度αDWを演算する。
【0038】
次に、ステップ203で推定車体速度の下限値すなわち第2推定車体速度を演算する。ここでは、前回の演算処理サイクル時の推定車体速度Vso(n-1)から前記ステップ202の演算結果であるαDWと1演算処理サイクルの時間tとの積を減じた値(つまり、Vso(n-1)−αDW・t)を演算値とする。次に、ステップ204において、ステップ201で求めた今回の4輪による推定車体速度すなわち第1推定車体速度Vwo(n)と、ステップ203で求めた推定車体速度の下限値すなわち第2推定車体速度Vso(n-1)−αDW・tとの大小比較を行い、第1推定車体速度Vwo(n)が第2推定車体速度Vso(n-1)−αDW・tより大きければステップ205に進み、その第1推定車体速度Vwo(n)を今回の演算処理サイクルの推定車体速度Vsoとする。すなわち、Vso=Vwo(n)とする。一方、ステップ204での比較結果として、第1推定車体速度Vwo(n)が第2推定車体速度Vso(n-1)−αDW・tより小さいか等しければステップ206に進み、その第2推定車体速度Vso(n-1)−αDW・tを今回の演算処理サイクルの推定車体速度Vsoとする。すなわち、Vso=Vso(n-1)−αDW・tとしている。
【0039】
やがて、車両の正常走行中においてブレーキペダル16が踏まれ、ステップ105において、前回目(例えば第n−1回目、nは自然数である)の演算処理サイクルにおけるステップ113で検出したマスタシリンダ液圧Pmcに基づいてEBD制御の開始条件が成立した(つまり、マスタシリンダ液圧Pmcは基準値P0以上である。Pmc≧P0)と判断されると、ステップ106へ進む。
【0040】
ステップ106において、前記車輪加速度DVwが所定のしきい値以上であるかどうか、車輪速度Vwと推定車体速度Vsoとに基づいて求められるスリップ率が所定のしきい値以上であるかどうかによって車輪毎に各ホイールシリンダ12a〜12dに対する制御モードの選択を行う。つまり、その時の各車輪FL,FR,RL,RRの車輪加速度DVw及び車輪速度Vwによって、個々車輪FL,FR,RL,RRのホイールシリンダ12a〜12dに対する制御モードを選択するようになる。しかも、選択された個々車輪FL,FR,RL,RRの制御モードに基づいて各車輪FL,FR,RL,RRのホイールシリンダ12a〜12dに対して減圧、パルス増圧又は保持の出力処理の行う。
【0041】
例えば、右前輪FRの車輪加速度DVw及び車輪速度Vwによって右前輪FRの制御モードが減圧モードに選択された場合、その後の制御処理が右前輪FRのホイールシリンダ12aに対して減圧出力させるように行う。同様に、右後輪RRの車輪加速度DVw及び車輪速度Vwによって右後輪RRの制御モードがパルス増圧モードに選択された場合、その後の制御処理が右後輪RRのホイールシリンダ12cに対してパルス増圧出力させるように行う。
【0042】
そして、ステップ107において、ステップ106で車輪毎に選択された制御モードが減圧モードであるかどうかについて判断し、選択された制御モードが減圧モードである場合には、ステップ108で減圧出力処理を行う。また、減圧モードでない場合には、ステップ109でパルス増圧モードであるかどうかを判断し、パルス増圧モードである場合には、ステップ110においてパルス増圧出力処理を行い、パルス増圧モードでない場合には、ステップ111でパルス保持出力処理を行う。
【0043】
図5はEBD制御の推移を示すグラフである。図5に示すように、時刻t0(Pmc=P0であって、EBD制御開始時刻)以降において前輪FL,FRのホイールシリンダ12a,12bにかかる前輪ブレーキ液圧Pwc(z)を続けて増圧させる(Pwc(z)=Pmc)に対し、後輪RL,RRのホイールシリンダ12c,12dにかかる後輪ブレーキ液圧Pwc(kj)は、後輪RL,RRのホイールシリンダ12c,12dにかかるブレーキ液圧の理想値Pwc(kr)に近づくようにパルス増圧されている。
【0044】
そして、ステップ108,ステップ110又はステップ111での処理が終わったらステップ112へ進む。ステップ112では、4つの車輪FL,FR,RL,RRに対してすべての処理を完了したかどうかを判断する。なお、ここで言う処理は、4つの車輪FL,FR,RL,RRに対する減圧、増圧、保持等の出力処理である。そして、ステップ112以降の処理は上記で説明したとおりに行う。
【0045】
以上詳述したように、本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(1)本実施形態では、液圧検出センサ32,33にて検出したマスタシリンダ液圧Pmcが基準値P0以上になった時点で、各車輪FL,FR,RL,RRに対するEBD制御を開始させるようにした。
【0046】
従って、加速度センサにて検出した車体減速度に基づいてEBD制御の開始条件を判断した従来技術に比べて、路面の傾斜による影響を受けず、EBD制御の早期制御開始又は制御開始遅れといった不都合を防止することができる。その結果、ブレーキ液圧制御装置10によるEBD制御を好適に開始することができる。
【0047】
(2)本実施形態では、予め定めた基準値P0は、理想的な前後輪制動力配分線と実際の前後輪制動力配分線とのクロス点における前輪制動力に相当するマスタシリンダ液圧Pmcである。
【0048】
従って、基準値P0は車両走行中の他のパラメータに影響されず常に一定となるため、ブレーキ液圧制御装置10によるEBD制御を簡単且つ確実に行うことができる。
【0049】
なお、本発明の実施の形態は上記実施形態に限定されるものではなく、次のように変更してもよい。
○上記実施形態では、液圧検出センサ32,33にて検出したマスタシリンダ液圧Pmcが基準値P0以上になった時点で、各車輪FL,FR,RL,RRに対するEBD制御を開始させるようにしたが、マスタシリンダ11a(又はブレーキペダル16)にストロークセンサ(図示せず)を設ける。そして、そのストロークセンサの検出値が予め設定した所定値以上になったかどうかを各車輪FL,FR,RL,RRに対するEBD制御の開始条件にして実施してもよい。この場合、上記実施形態の(1)〜(3)の効果と同様な効果を得ることができる。
【0050】
○上記実施形態では、ステップ113において、EBD制御開始判定のためのマスタシリンダ液圧Pmcを求めたが、これに限定されるものではなく、例えばステップ104とステップ105の間でマスタシリンダ液圧Pmcを求めて実施してもよい。
【0051】
次に、以上の実施形態及び別例から把握することができる請求項以外の技術的思想を、その効果とともに以下に記載する。
(イ)車両の制動時に、各前後輪に対して設けたホイールシリンダへのブレーキ液の供給をそれぞれ制御し前輪の制動力と後輪の制動力との配分を調整して前輪と後輪の車輪速度差をなくすように車両を制動するようにした制動力配分制御の開始方法において、ブレーキペダルに基づいて液圧を供給する液圧発生装置にストロークセンサを設け、該ストロークセンサの検出値が予め設定した所定値以上になったときに制動力配分制御を開始させるようにしたことを特徴とする制動力配分制御の開始方法。
【0052】
従って、制動力配分制御を好適に開始することができる。
【0053】
【発明の効果】
以上詳述したように、請求項1に記載の発明によれば、制動力配分制御を好適に開始することができる。
【0054】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加えて、制動力配分制御を簡単且つ確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るブレーキ液圧制御装置の全体構成図。
【図2】図1の電子制御装置の構成を示すブロック図。
【図3】制動力配分制御の概要を示すフローチャート。
【図4】図3に示される推定車体速度演算の詳細を示すフローチャート。
【図5】制動力配分制御における前後輪のホイールシリンダ液圧の関係を示すグラフ。
【図6】車輪の前後輪制動力配分線図。
【符号の説明】
10…ブレーキ液圧制御装置、11…液圧発生装置、11a…液圧発生装置を構成するマスタシリンダ、12a〜12d…ホイールシリンダ、13…液圧制御装置としてのアクチュエータ、14…電子制御装置、31a〜31d…車輪速度センサ、32,33…液圧検出センサ。

Claims (2)

  1. 車両の制動時に、前輪に対する後輪の微小スリップの発生に基づいて各前後輪に対して設けたホイールシリンダへのブレーキ液の供給を液圧制御装置を介して前輪の制動力と後輪の制動力とを配分調整してその後輪の制動力の増大を抑制するようにした車両の制動力配分制御方法において、
    ブレーキペダルの操作に基づいて作動する液圧発生装置の発生液圧を検出する液圧検出手段を設け、
    前記液圧検出手段にて検出された前記液圧発生装置の発生液圧が予め定めた基準値以上になったときには、制動力配分制御を開始し、該制動力配分制御では、各前後輪に対して設けたホイールシリンダへのブレーキ液の供給を、前輪のホイールシリンダに対しては液圧制御装置を介して前輪ブレーキ液圧を続けて増圧するとともに、後輪のホイールシリンダに対しては液圧制御装置を介して後輪ブレーキ液圧を予め定めたブレーキ液圧の理想値に近づくようにパルス増圧するようにしたことを特徴とする制動力配分制御の開始方法。
  2. 請求項1に記載の制動力配分制御の開始方法において、
    前記予め定めた基準値は、理想的な前後輪制動力配分線と実際の前後輪制動力配分線とのクロス点における前輪制動力に相当する液圧発生装置の発生液圧であることを特徴とする制動力配分制御の開始方法。
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