JP2019162935A - 車両の制動制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 制動制御装置において、制動力配分制御が必要な場合に限って実行され得るものを提供する。【解決手段】 制動制御装置は、車輪の制動トルクを調整するアクチュエータと、車輪速度を検出する車輪速度センサと、後輪速度の低下を抑制するよう、後輪に対する制動トルクの増加を制限する配分制御を実行するコントローラと、制動操作部材の操作量を検出する操作量センサを備える。コントローラでは、操作量に基づいて、配分制御の実行を許可する許可領域、及び、配分制御の実行を禁止する禁止領域が設定される。例えば、コントローラでは、操作量に基づいて減速度規範値が演算され、減速度実際値が減速度規範値以上の場合が許可領域に設定され、減速度実際値が減速度規範値未満の場合が禁止領域に設定される。或いは、操作量が所定量未満の場合が許可領域に設定され、操作量が所定量以上の場合が禁止領域に設定されてもよい。【選択図】 図2

Description

本発明は、車両の制動制御装置に関する。
特許文献1には、制動時に後輪の車輪速度が前輪の車輪速度を超えないよう後輪の制動力を制御する制動力制御装置において、前輪ブレーキの失陥に伴って車両全体の制動力が低下することを防止するため、前輪ブレーキが失陥状態と判定されたとき、制動力前後配分手段による後輪の制動力制御を禁止することが記載されている。
特許文献2には、後輪制動力が理想前後制動力配分を超える前に、前後輪の制動力配分を制御して後輪制動力の増大を抑制する制動力配分システムを備える制動力配分制御装置において、制動力配分制御の作動頻度を抑制するため、制動力配分システムの作動前に、車両重量が小さいほど、理想前後制動力配分を、現在の車両重量での通常の理想前後制動力配分と比較して後輪制動力の増大を許容する方向に変更することで、前記制動力配分システムの作動を抑制することが記載されている。
特許文献1、2には、制動力配分制御が必要な場合に、それが作動されることが記載されている。ところで、荷物を積載する貨物車両(「トラック」ともいう)では、荷物の積載状態によって、車両重量のみならず、前輪荷重と後輪荷重との比率も変動する。例えば、軽積状態(車両に荷物が積載されていない状態)では、後輪荷重が小さいため、制動力配分制御の必要性は高い。一方、定積状態(最大定員が乗車し、最大積載量の荷物を積んだ状態であり、「GVW(車両総重量)」ともいう」では、後輪荷重は十分に大きいため、制動力配分制御の必要性は低い。つまり、積載状態に起因する前後輪荷重の変化が大きい貨物車両において、制動力の配分制御が必要な場合に限って行われる制動制御装置が望まれている。
特開平8−301092号公報 特開2006−335156号公報
本発明の目的は、車両の制動制御装置において、制動力配分制御が必要な場合に限って実行され得るものを提供することである。
本発明に係る車両の制動制御装置は、車両の車輪(WH)に対する制動トルク(Tq)を調整するアクチュエータ(HU)と、前記車輪の速度を車輪速度(Vw)として検出する車輪速度センサ(VW)と、前記車輪速度(Vw)のうちの後輪(WHr)に係る後輪速度(Vwr)と、前記車輪速度(Vw)のうちの前輪(WHf)に係る前輪速度(Vwf)との比較に基づいて前記後輪速度(Vwr)の低下を抑制するよう、前記アクチュエータ(HU)を介して前記後輪(WHr)に対する前記制動トルク(Tqr)の増加を制限する配分制御を実行するコントローラ(ECU)と、を備えるとともに、前記車両の制動操作部材(BP)の操作量(Ba)を検出する操作量センサ(BA)を備える。
本発明に係る車両の制動制御装置では、前記コントローラ(ECU)は、前記操作量(Ba)に基づいて、前記配分制御の実行を許可する許可領域(RA)、及び、前記配分制御の実行を禁止する禁止領域(RB)を設定するよう構成されている。例えば、前記コントローラ(ECU)は、前記車両の実際の減速度を減速度実際値(Ge、Gx)として取得し、前記操作量(Ba)に基づいて減速度規範値(Gs)を演算し、前記減速度実際値(Ge、Gx)が前記減速度規範値(Gs)以上の場合を前記許可領域(RA)に設定し、前記減速度実際値(Ge、Gx)が前記減速度規範値(Gs)未満の場合を前記禁止領域(RB)に設定する。或いは、前記コントローラ(ECU)は、前記操作量(Ba)が所定量(bx)未満の場合を前記許可領域(RA)に設定し、前記操作量(Ba)が前記所定量(bx)以上の場合を前記禁止領域(RB)に設定するよう構成されてもよい。
操作量Baと、車両の減速度との関係は、車両への積載状態に依存する。操作量Baに対して、定積状態では、減速度が発生され難く、逆の軽積状態では、減速度が発生され易い。また、制動力の配分制御は、軽積状態では必要とされるが、定積状態では必要性は低い。上記構成によれば、操作量Baに基づいて、許可領域RA、及び、禁止領域RBが決定され、配分制御の要否が判定される。積載状態が考慮されて、配分制御が、必要な場合に限って実行され得る。
例えば、操作量Baに応じて規範減速度(減速度規範値)Gsが演算され、規範減速度Gsと実際の車両減速度(減速度実際値)Ge、Gxとの相互関係に基づいて、要否が判定される。軽積状態(又は、その近傍)では、規範減速度Gsは相対的に小さく演算され、配分制御が許可される。結果、配分制御によって、車両の安定性が確保される。一方、定積状態(又は、その近傍)では、規範減速度Gsは相対的に大きく演算され、配分制御が禁止される。定積状態等では、後輪荷重が大であるため、配分制御が実行されない。結果、後輪の制動力が十分に確保され、車両の制動性が向上される。
操作量Baの大小に基づいて、要否が判定され得る。操作量Baが所定量bx未満の場合が、許可領域RAに設定され、操作量Baが所定量bx以上の場合が、禁止領域RBに設定される。積載状態に対応して、配分制御が必要となる状況は予測可能である。例えば、軽積状態において配分制御が必要となってくる実減速度が許可領域RAに含まれるように、所定量bxが予め設定される。これにより、軽積状態(又は該状態近傍)では、配分制御の実行が許可され、車両の安定性が確保され得る。一方、定積状態(又は該状態近傍)では、配分制御が禁止され、車両の減速性が確保され得る。
本発明に係る車両の制動制御装置SCの実施形態を説明するための全体構成図である。 配分制御の第1の演算処理例を説明するための制御フロー図である。 配分制御の第2の演算処理例を説明するための制御フロー図である。 作用・効果を説明するための特性図である。
<構成部材等の記号、記号末尾の添字、及び、運動・移動方向>
以下の説明において、「ECU」等の如く、同一記号を付された構成部材、演算処理、信号、特性、及び、値は、同一機能のものである。各車輪に係る記号の末尾に付された添字「i」〜「l」は、それが各車輪のうちの何れのものに関するものであるかを示す包括記号である。具体的には、「i」は右前輪、「j」は左前輪、「k」は右後輪、「l」は左後輪を示す。例えば、4つの各ホイールシリンダにおいて、右前輪ホイールシリンダCWi、左前輪ホイールシリンダCWj、右後輪ホイールシリンダCWk、及び、左後輪ホイールシリンダCWlと表記される。更に、記号末尾の添字「i」〜「l」は、省略され得る。添字「i」〜「l」が省略された場合には、各記号は、4つの各車輪における総称を表す。例えば、「WH」は各車輪、「CW」は各ホイールシリンダを表す。
2つの制動系統に係る記号の末尾に付された添字「f」、「r」は、それが何れの系統に関するものであるかを示す包括記号である。具体的には、「f」は前輪に係る系統、「r」は後輪に係る系統を示す。例えば、2つのマスタシリンダ流体路において、前輪マスタシリンダ流体路HMf、及び、後輪マスタシリンダ流体路HMrと表記される。更に、記号末尾の添字「f」、「r」は省略され得る。添字「f」、「r」が省略された場合には、各記号は、2つの各制動系統についての総称を表す。例えば、「HM」は、各制動系統のマスタシリンダ流体路を表す。
<本発明に係る車両の制動制御装置の実施形態>
図1の全体構成図を参照して、本発明に係る車両の制動制御装置SCの実施形態について説明する。例えば、車両は、荷物を積載する貨物車両(トラック)である。車両には、マスタシリンダCMから制動液BFを圧送し、ホイールシリンダCWに制動液圧Pwを付与する制動装置SDが備えられる。車両の制動装置SDでは、マスタシリンダCMが、マスタシリンダ流体路HM、及び、ホイールシリンダ流体路HWを介して、ホイールシリンダCWに接続される。ここで、「流体路」は、制動装置SD、及び、制動制御装置SCの作動液体である制動液BFを移動するための経路であり、制動配管、流体ユニットの流路、ホース等が該当する。各流体路の内部は、制動液BFが満たされている。なお、流体路において、リザーバRVに近い側(ホイールシリンダCWから遠い側)が、「上流側」、又は、「上部」と称呼され、ホイールシリンダCWに近い側(リザーバRVから遠い側)が、「下流側」、又は、「下部」と称呼される。
一般的な車両では、流体路として、2系統のものが採用され、冗長性が確保されている。2系統の流体路のうちの前輪系統(前輪用のマスタシリンダ室Rmfに係る系統)は、前輪ホイールシリンダCWf(=CWi、CWj)に接続される。2系統の流体路のうちの後輪系統(後輪用のマスタシリンダ室Rmrに係る系統)は、後輪ホイールシリンダCWr(=CWk、CWl)に接続される。つまり、2系統流体路として、所謂、前後型(「H型」ともいう)のものが採用されている。
制動制御装置SCを備える車両には、制動操作部材BP、ホイールシリンダCW、リザーバRV、マスタシリンダCM、及び、ブレーキブースタBBが備えられる。制動操作部材(例えば、ブレーキペダル)BPは、運転者が車両を減速するために操作する部材である。制動操作部材BPが操作されることによって、車輪WHの制動トルクTqが調整され、車輪WHに制動力が発生される。
車両の車輪WHには、回転部材(例えば、ブレーキディスク)KTが固定される。そして、回転部材KTを挟み込むようにブレーキキャリパが配置される。ブレーキキャリパには、ホイールシリンダCWが設けられている。ホイールシリンダCW内の制動液BFの圧力(制動液圧)Pwが増加されることによって、摩擦部材(例えば、ブレーキパッド)が、回転部材KTに押し付けられる。回転部材KTと車輪WHとは、一体的に回転するよう固定されているため、このときに生じる摩擦力によって、車輪WHに制動トルクTqが発生される。この制動トルクTqによって、車輪WHに減速スリップが発生し、その結果、制動力が生じる。制動装置SDは、所謂、ディスク型(ディスクブレーキ)である。
ディスク型制動装置SDに代えて、ドラム型制動装置(ドラムブレーキ)SDが採用されてもよい。ドラムブレーキSDの場合、キャリパに代えて、ブレーキドラムが採用される。また、摩擦部材はブレーキシューであり、回転部材はブレーキドラムである。
リザーバ(大気圧リザーバ)RVは、作動液体用のタンクであり、その内部に制動液BFが貯蔵されている。大気圧リザーバRVの内部は、仕切り板SKによって、2つの部位に区画されている。前輪用のマスタリザーバ室Rufは前輪マスタシリンダ室Rmfに、後輪用のマスタリザーバ室Rurは後輪マスタシリンダ室Rmrに、夫々、接続される。
マスタシリンダCMは、制動操作部材BPに、ブレーキロッド、クレビス(U字リンク)等を介して、機械的に接続されている。マスタシリンダCMは、タンデム型であり、第1、第2マスタピストンPA、PBによって、その内部が、前輪、後輪マスタシリンダ室Rmf、Rmrに分けられている。制動操作部材BPが操作されていない場合には、マスタシリンダCMの前輪、後輪マスタシリンダ室Rmf、RmrとリザーバRV(前輪、後輪マスタリザーバ室Ruf、Rur)とは連通状態にある。マスタシリンダCMは、リザーバRVからの制動液BFの供給を受け、前輪、後輪マスタシリンダ液圧Pmf、Pmrを発生する。マスタシリンダCMには、前輪、後輪マスタシリンダ流体路HMf、HMrが接続されている。
制動操作部材BPが操作されると、マスタシリンダCM内の第1、第2マスタピストンPA、PBが押され、前進する。この前進によって、マスタシリンダ室Rmは、リザーバRV(特に、マスタリザーバ室Ru)から遮断される。制動操作部材BPの操作が増加されると、マスタシリンダ室Rmの体積は減少し、制動液BFは、マスタシリンダCMから、ホイールシリンダCWに向けて圧送される。
ブレーキブースタ(単に、「ブースタ」ともいう)BBによって、運転者による制動操作部材BPの操作力Fpが軽減される。ブースタBBとして、負圧式のものが採用される。負圧は、エンジン、又は、電動負圧ポンプにて形成される。ブースタBBとして、電気モータを駆動源とするものが採用されてもよい(例えば、電動ブースタ、アキュムレータ式ハイドロリックブースタ)。
更に、車両には、車輪速度センサVW、操舵角センサSA、ヨーレイトセンサYR、減速度センサGX、横加速度センサGY、制動操作量センサBA、及び、操作スイッチSTが備えられる。車両の各車輪WHには、車輪速度Vwを検出するよう、車輪速度センサVWが備えられる。車輪速度Vwの信号は、車輪WHのロック傾向(即ち、過大な減速スリップ)を抑制するアンチスキッド制御等の各輪での独立制御に利用される。
操舵操作部材(例えば、ステアリングホイール)には、操舵角Saを検出するように操舵角センサSAが備えられる。車両の車体には、ヨーレイト(ヨー角速度)Yrを検出するよう、ヨーレイトセンサYRが備えられる。また、車両の前後方向(進行方向)の加速度(減速度)Gx、及び、横方向(進行方向に直角な方向)の加速度(横加速度)Gyを検出するよう、減速度センサGX、及び、横加速度センサGYが設けられる。これらの信号は、過大なオーバステア挙動、アンダステア挙動を抑制する車両安定化制御(所謂、ESC)等の車両運動制御に用いられる。
運転者による制動操作部材BP(ブレーキペダル)の操作量Baを検出するよう、制動操作量センサBAが設けられる。制動操作量センサBAとして、マスタシリンダCM内の液圧(マスタシリンダ液圧)Pmを検出するマスタシリンダ液圧センサPM、制動操作部材BPの操作変位Spを検出する操作変位センサSP、及び、制動操作部材BPの操作力Fpを検出する操作力センサFPのうちの少なくとも1つが採用される。つまり、操作量センサBAによって、制動操作量Baとして、マスタシリンダ液圧Pm、操作変位Sp、及び、操作力Fpのうちの少なくとも1つが検出される。
制動操作部材BPには、操作スイッチSTが設けられる。操作スイッチSTによって、運転者による制動操作部材BPの操作の有無が検出される。制動操作部材BPが操作されていない場合(即ち、非制動時)には、制動操作スイッチSTによって、操作信号Stとしてオフ信号が出力される。一方、制動操作部材BPが操作されている場合(即ち、制動時)には、操作信号Stとしてオン信号が出力される。各センサ(VW等)によって検出された車輪速度Vw、操舵角Sa、ヨーレイトYr、車両減速度Gx、横加速度Gy、制動操作量Ba、及び、制動操作信号Stは、コントローラECUに入力される。コントローラECUでは、車輪速度Vwに基づいて、車体速度Vxが演算される。
≪電子制御ユニットECU≫
制動制御装置SCは、コントローラECU、及び、液圧モジュレータ(「アクチュエータ」に相当)HUにて構成される。コントローラ(「電子制御ユニット」ともいう)ECUは、マイクロプロセッサMP等が実装された電気回路基板と、マイクロプロセッサMPにプログラムされた制御アルゴリズムにて構成されている。コントローラECUは、車載の通信バスBSを介して、他のコントローラと、信号(検出値、演算値等)を共有するよう、ネットワーク接続されている。
コントローラECU(電子制御ユニット)によって、液圧モジュレータHUの電気モータML、及び、3種類の異なる電磁弁UP、VI、VOが制御される。具体的には、マイクロプロセッサMP内の制御アルゴリズムに基づいて、各種電磁弁UP、VI、VOを制御するための駆動信号Up、Vi、Voが演算される。同様に、電気モータMLを制御するための駆動信号Mlが演算される。
コントローラECUには、電磁弁UP、VI、VO、及び、電気モータMLを駆動するよう、駆動回路DRが備えられる。駆動回路DRには、電気モータMLを駆動するよう、スイッチング素子(MOS−FET、IGBT等のパワー半導体デバイス)によってブリッジ回路が形成される。モータ駆動信号Mlに基づいて、各スイッチング素子の通電状態が制御され、電気モータMLの出力が制御される。また、駆動回路DRでは、電磁弁UP、VI、VOを駆動するよう、駆動信号Up、Vi、Voに基づいて、スイッチング素子によって、それらの通電状態(即ち、励磁状態)が制御される。なお、駆動回路DRには、電気モータML、及び、電磁弁UP、VI、VOの実際の通電量を検出する通電量センサが設けられる。例えば、通電量センサとして、電流センサが設けられ、電気モータML、及び、電磁弁UP、VI、VOへの供給電流が検出される。
コントローラECUには、制動操作量Ba(マスタシリンダ液圧Pm、操作変位Sp、及び、操作力Fpのうちの少なくとも1つ)、制動操作信号St、車輪速度Vw、ヨーレイトYr、操舵角Sa、減速度Gx、横加速度Gy、等が入力される。例えば、コントローラECUでは、車輪速度Vwに基づいて、車輪WHの過度の減速スリップ(例えば、車輪ロック)を抑制するよう、アンチスキッド制御が実行される。コントローラECUでは、実際のヨーレイトYr等に基づいて、車両の不安定挙動(過度のオーバステア挙動、アンダステア挙動)を抑制する車両安定化制御(所謂、ESC)が実行される。
≪液圧モジュレータHU≫
前輪、後輪マスタシリンダ流体路HMf、HMrに、液圧モジュレータHU(「流体ユニット」ともいう)が接続される。液圧モジュレータHU内の部位Bwf、Bwrにて、マスタシリンダ流体路HMf、HMrは、ホイールシリンダ流体路HWi〜HWlに分岐され、ホイールシリンダCWi〜CWlに接続される。具体的には、前輪マスタシリンダ流体路HMfは、分岐部Bwfにて、前輪ホイールシリンダ流体路HWi、HWjに分岐され、前輪ホイールシリンダCWi、CWjに接続される。同様に、後輪マスタシリンダ流体路HMrは、分岐部Bwrにて、ホイールシリンダ流体路HWk、HWlに分岐され、後輪ホイールシリンダCWk、CWlが接続される。
液圧モジュレータHU(アクチュエータ)は、電動ポンプDL、低圧リザーバRL、調圧弁UP、マスタシリンダ液圧センサPM、インレット弁VI、及び、アウトレット弁VOにて構成される。電動ポンプDLは、1つの電気モータML、及び、2つの流体ポンプQLf、QLrにて構成される。電気モータMLは、コントローラECUによって、駆動信号Mlに基づいて制御される。電気モータMLによって、前輪、後輪流体ポンプQLf、QLrが一体となって回転され、駆動される。流体ポンプQLによって、前輪、後輪調圧弁UPf、UPrの上流部Bsf、Bsrから制動液BFが汲み上げられる。汲み上げられた制動液BFは、調圧弁UPの下流部Btf、Btrに吐出される。ここで、電動ポンプDLは、一方向に限って回転される。流体ポンプQLの吸込み側には、前輪、後輪低圧リザーバRLf、RLrが設けられる。
調圧弁UPが、マスタシリンダ流体路HMに設けられる。調圧弁UPとして、通電状態(例えば、供給電流)に基づいて開弁量(リフト量)が連続的に制御されるリニア型の電磁弁(「比例弁」、又は、「差圧弁」ともいう)が採用される。調圧弁UPは、コントローラECUによって、駆動信号Upに基づいて制御される。駆動信号Upに応じて、調圧弁UPへの通電量(電流)が調整され、調圧弁UPの開弁量が調整される。なお、調圧弁UPとして、常開型の電磁弁が採用される。
調圧弁UPの上流部には、前輪、後輪マスタシリンダ液圧Pmf、Pmrを検出するよう、前輪、後輪マスタシリンダ液圧センサPMf、PMrが設けられる。「Pmf=Pmr」であるため、前輪マスタシリンダ液圧センサPMf、及び、後輪マスタシリンダ液圧センサPMrのうちの一方は、省略可能である。なお、液圧モジュレータHU(特に、電磁弁UP、VI、VO)が非作動の場合には、マスタシリンダ液圧Pmとホイールシリンダ液圧(制動液圧)Pwとは一致する。
マスタシリンダ流体路HMは、調圧弁UPの下流側の分岐部Bwにて、各前輪ホイールシリンダ流体路HWに分岐(分流)される。ホイールシリンダ流体路HWには、インレット弁VI、及び、アウトレット弁VOが設けられる。インレット弁VIとして、常開型のオン・オフ電磁弁が採用される。また、アウトレット弁VOとして、常閉型のオン・オフ電磁弁が採用される。ここで、オン・オフ電磁弁は、開位置と閉位置の2つの位置を有する、2ポート2位置切替型の電磁弁である。電磁弁VI、VOは、コントローラECUによって、駆動信号Vi、Voに基づいて制御される。インレット弁VI、及び、アウトレット弁VOによって各輪の制動液圧Pwが独立して制御され得る。
インレット弁VI、及び、アウトレット弁VOにおいて、各車輪WHに係る構成は同じである。ホイールシリンダ流体路HW(部位BwとホイールシリンダCWとを結ぶ流体路)には、常開型のインレット弁VIが設けられる。ホイールシリンダ流体路HWは、インレット弁VIの下流部にて、常閉型のアウトレット弁VOを介して、低圧リザーバRLに接続される。例えば、各輪独立の制動制御において、ホイールシリンダCW内の液圧Pwを減少するために、インレット弁VIが閉位置にされ、アウトレット弁VOが開位置される。インレット弁VIからの制動液BFの流入が阻止され、ホイールシリンダCW内の制動液BFは、低圧リザーバRLに流出し、制動液圧Pwは減少される。低圧リザーバRLに流入した制動液BFは、電動ポンプDLによって、インレット弁VIの上流部Btに戻される。一方、制動液圧Pwを増加するため、インレット弁VIが開位置にされ、アウトレット弁VOが閉位置される。低圧リザーバRLへの制動液BFの流出が阻止され、調圧弁UPによって調節された液圧が、ホイールシリンダCWに導入され、制動液圧Pwが増加される。また、制動液圧Pwを維持するためには、インレット弁VI、及び、アウトレット弁VOが、共に、閉位置にされ、ホイールシリンダCW内の制動液BFは、移動されない。
<制動力配分制御の第1の処理例>
図2の制御フロー図を参照して、制動力配分制御(単に、「配分制御」ともいう)の第1の演算処理例について説明する。該処理は、コントローラECUにプログラムされている。
ステップS110にて、各センサの検出信号(Vw、Ba等)が読み込まれる。車輪速度Vwは車輪速度センサVWによって、車両の減速度(前後方向の加速度)Gxは減速度センサGXによって、夫々、検出される。操作量Baは、マスタシリンダ液圧Pm、操作変位Sp、操作力Fpの総称であり、これらの検出信号のうちの少なくとも1つが該当する。マスタシリンダ液圧Pm、操作変位Sp、操作力Fpは、夫々、マスタシリンダ液圧センサPM、操作変位センサSP、操作力センサFPによって検出される。
ステップS120にて、車輪速度Vwに基づいて、車体速度Vxが演算される。例えば、車両の加速時を含む非制動時には、4つの車輪速度Vwのうちの最も遅いもの(最遅の車輪速度)に基づいて、車体速度Vxが演算される。また、制動時には、4つの車輪速度Vwのうちの最も速いもの(最速の車輪速度)に基づいて、車体速度Vxが演算される。更に、車体速度Vxの演算において、その時間変化量において制限が設けられ得る。即ち、車体速度Vxの増加勾配の上限値aup、及び、減少勾配の下限値adnが設定され、車体速度Vxの変化が、上下限値aup、adnによって制約される。
ステップS130にて、車体速度Vxに基づいて、実際の車両減速度Ge(「減速度実際値」に相当)が演算される。具体的には、車体速度Vxが時間微分されて、実際の減速度Geが演算される。ステップS140にて、基準速度Veが演算される。基準速度Veは、制動力配分制御の実行(特に、開始)判定するための基準となる値である。具体的には、前輪速度Vwfから所定速度veが減じられて、基準速度Veが演算される。従って、基準速度Veは、前輪速度Vwfよりも、所定速度veだけ小さい値である。ここで、所定速度veは、予め設定された定数(所定値)である。
ステップS150にて、操作量Ba、及び、演算マップZgsに基づいて、規範減速度Gs(「減速度規範値」に相当)が演算される。規範減速度Gsは、配分制御の要否を判定するための基準となる値(即ち、しきい値)である。規範減速度Gsは、演算マップZgsに従って、操作量Ba(例えば、マスタシリンダ液圧Pm)が大きいほど、大きくなるように決定される。なお、規範減速度Gsには、下限値ga、及び、上限値gbが設定される。
ステップS160にて、実減速度(減速度実際値)Ge、及び、規範減速度(減速度規範値)Gsに基づいて、「制動力配分制御を許可するか、否か(配分制御の要否)」が判定される。具体的には、実際の減速度(実減速度)Geが、規範減速度Gs以上である場合(「Ge≧Gs」の場合)には、配分制御が許可され、処理は、ステップS170に進む。一方、実減速度Geが、規範減速度Gs未満である場合(「Ge<Gs」の場合)には、配分制御が禁止され、処理は、ステップS110に戻される。
ブロックX160の特性図を参照して、ステップS160の判定の詳細について説明する。上述したように、演算マップZgsでは、操作量Baの増加に従って、規範減速度(減速度規範値)Gsが増加するように演算される。操作量Baが、「0」以上、所定値ba未満の範囲では、規範減速度Gsは、下限値gaに決定される。また、操作量Baが所定値bb以上の範囲では、規範減速度Gsは、上限値gbに決定される。そして、操作量Baと規範減速度Gsとの相互関係において、演算マップZgsの上側が、配分制御の実行が許可される許可領域RAに設定される。一方、演算マップZgsの下部が、配分制御の実行が禁止される禁止領域RBに設定されている。
例えば、「Ba=bc」の場合には、規範減速度Gsは、値gcに演算される。このときの実減速度Geと値gc(=Gs)とが比較され、配分制御の要否が判定される。例えば、点Aにて示す様に、実減速度Geが許可領域RA内にある状態では、「Ge>gc」であるため、配分制御は許可される。しかし、点Bにて示す様に、実減速度Geが禁止領域RB内にある状態では、「Ge<gc」であるため、配分制御は禁止される。
ステップS170〜ステップS200の処理は、制動力配分制御の演算処理である。制動力は、車輪の減速スリップ(車輪速度Vwと車体速度Vxとの差)によって生じる。また、制動力は、横力に対してトレードオフの関係にある。制動力配分制御では、後輪WHrにおいて、制動力が抑制され、横力が確保される。具体的には、配分制御では、前輪速度Vwfと後輪速度Vwrとの比較結果に応じて、後輪の減速スリップの増大(つまり、後輪速度Vwrの過度の低下)が抑制されるよう、後輪制動液圧(後輪ホイールシリンダCWrの液圧)Pwrの増加が制限(抑制)される。例えば、配分制御では、後輪速度Vwrが、前輪速度Vwfよりも、所定速度veだけ小さい値(しきい速度)Ve未満にはならないよう、後輪液圧Pwrが制限される。
ステップS170にて、「配分制御が実行されているか、否か」が判定される。配分制御が既に実行されている場合(ステップS170が肯定される場合)には、処理は、ステップS190に進む。配分制御が非実行である場合(ステップS170が否定される場合)には、処理は、ステップS180に進む。
ステップS180にて、「配分制御の開始条件が満足されるか、否か」が判定される。つまり、ステップS180は、配分制御の開始判定である。ステップS180では、後輪速度Vwrが、しきい速度Ve未満である場合に、制御開始が判定される。開始条件が満足されると、処理は、ステップS190に進む。「Vwr≧Ve」である場合には、制御開始は判定されず、処理は、ステップS110に戻される。
ステップS190にて、「配分制御の終了条件が満足されるか、否か」が判定される。つまり、ステップS190は、配分制御の終了判定である。ステップS190では、以下の3つの条件のうちの少なくとも1つが満足されると、配分制御は終了される。終了条件が満足されると、配分制御は終了され、処理は、ステップS110に戻される。つまり、後輪液圧Pwrは制限されなくなる。一方、以下の全ての条件が否定される場合には、制御終了は判定されず、配分制御は終了さない。処理は、ステップS190に進み、配分制御は継続される。
条件1:操作量Baが所定量bs未満であること。所定量bsは、予め設定された、所定の定数である。
条件2:車体速度Vxが所定速度vs未満であること。所定速度vsは、予め設定された、所定の定数である。
条件3:後輪WHrに対して、アンチスキッド制御の実行が開始されたこと。
ステップS200にて、後輪ホイールシリンダCWrの液圧(後輪液圧)Pwrが制限される。具体的には、インレット弁VIの開閉が繰り返され、マスタシリンダ液圧Pmの増加勾配(時間に対する増加量)よりも、後輪液圧Pwrの増加勾配が小さくされる。或いは、インレット弁VI、及び、アウトレット弁VOが閉位置にされ、後輪液圧Pwrが一定値に保持される。配分制御により、後輪制動トルクTqrが制限(抑制)され、後輪WHrの横力が確保されるため、車両の安定性が向上される。
上記の演算例では、車体速度Vxが微分されて、実減速度Geが決定された。実減速度Geに代えて、減速度センサGXによって検出された実際の減速度Gx(「減速度実際値」に相当)が採用され得る。また、ロバスト性を向上するよう、実減速度Gx(検出値)、及び、実減速度Ge(演算値)の両方が、判定に用いられてもよい。
制動操作量Baと、車両の実際の減速度(実減速度)Ge、Gxとの関係は、積載状態に依存する。つまり、積載物が多く、車両重量が大きい場合には、制動操作量Baに対して、車両の減速度Ge、Gxが発生され難い。一方、積載物が少なく(又は、積載物がなく)、車両重量が小さい場合には、制動操作量Baに対して減速度Ge、Gxが発生され易い。配分制御の要否判定では、操作量Baに基づいて規範減速度(減速度規範値)Gsが演算される。そして、規範減速度Gsと実際に発生する車両減速度(減速度実際値)Ge、Gxとの相互関係に基づいて、許可領域RA、及び、禁止領域RBが判定される。このため、制動力の配分制御が、積載状態を考慮して、必要な場合に限って実行され得る。
具体的には、要否判定では、演算マップZgsに従って、操作量Baが大きいほど、規範減速度Gsは大きく演算される。軽積状態(又は、その近傍)では、実減速度Ge、Gxは相対的に大きくなり、配分制御が許可される(例えば、点Aの状態を参照)。結果、軽積状態等では、配分制御によって、車両の安定性が確保される。一方、定積状態(又は、その近傍)では、実減速度Ge、Gxは相対的に小さくなり、配分制御が禁止される(例えば、点Bの状態を参照)。従って、定積状態等では、配分制御が実行されず、後輪制動力が十分に確保され、車両の制動性が向上される。
<制動力配分制御の第2処理例>
図3の制御フロー図を参照して、配分制御の第2の演算処理例について説明する。第1の処理例では、操作量Baに基づいて、規範減速度Gsが決定され、規範減速度Gsと実減速度Ge、Gxとの比較に基づいて、配分制御の要否が判定された。第2の処理例では、該要否判定が簡略され、操作量Ba自身に基づいて、要否が判定される。該処理も、コントローラECUにプログラムされている。
ステップS210、及び、ステップS220の処理は、ステップS110、及び、ステップS120の処理と同じである。ステップS210にて、センサ検出信号(Vw、Ba等)が読み込まれる。ステップS220にて、車輪速度Vwに基づいて、車体速度Vxが演算される。
ステップS230にて、操作量Baに基づいて、「制動力配分制御を許可するか、否か」が判定される。具体的には、操作量Baが、所定量bx未満である場合(「Ba<bx」の場合)には、配分制御が許可され、処理は、ステップS240に進む。一方、操作量Baが、所定量bx以上である場合(「Ba≧bx」の場合)には、配分制御が禁止され、処理は、ステップS210に戻される。ここで、所定量bxは、予め設定された、所定の定数であり、判定用のしきい値である。
ステップS240〜ステップS270の処理は、制動力配分制御の演算処理であり、ステップS170〜ステップS200の処理と同じである。ステップS240にて、「配分制御が実行中であるか、否か」が判定される。実行中であるには、処理は、ステップS260に進む。非実行の場合には、処理は、ステップS250に進む。ステップS250にて、配分制御の開始が判定される。開始条件(「Vwr<Ve」であること)が満足されると、処理は、ステップS260に進む。ステップS250にて、制御開始が否定されると、処理は、ステップS210に戻される。ステップS260にて、配分制御の終了が判定される。3つの条件(「Ba<bs」、「Vx<vs」、後輪のアンチスキッド制御の開始)のうちの少なくとも1つが満足されると、配分制御は終了され、処理は、ステップS210に戻される。3つの条件の全てが否定される場合には、処理は、ステップS270に進み、配分制御は開始、又は、継続される。ステップS270にて、配分制御により、後輪液圧Pwrが制限される。これにより、後輪WHrの横力が確保され、車両の安定性が向上される。
操作量Baに対する実際の減速度Ge、Gxの関係は、積載状態に応じて変化する。また、配分制御が必要とされる減速度Ge、Gxの領域は、積載状態に基づく。例えば、軽積状態では、操作量Baが相対的に小さい場合に、配分制御が必要な領域に達する。一方、定積状態では、後輪荷重が十分に確保されているため、配分制御は不要である。従って、操作量Baに基づいて、許可領域RA、及び、禁止領域RBを識別することが可能である。
第2の処理例では、「Ba<bx」の場合が、許可領域RAに設定され、配分制御の実行が許可される。一方、「Ba≧bx」の場合は、禁止領域RBに設定され、配分制御の実行が禁止される。操作量Baに基づいて、配分制御の要否が設定されるため、第1の処理例と同様に、制動力の配分制御が、積載状態を考慮して、必要な場合に限って実行され得る。つまり、軽積状態(又は、その近傍)の領域では配分制御が許可されるとともに、定積状態(又は、その近傍)では配分制御が禁止される。結果、軽積状態等では、配分制御によって、車両の安定性が確保され、定積状態等では、後輪制動力が十分に確保され、車両の制動性が向上される。
<作用・効果>
図4の特性図を参照して、本発明に係る制動制御装置SCの作用・効果について詳述する。特性図は、規範減速度Gsの演算マップZgsにおいて、操作量Baと規範減速度Gsとの関係を示す。加えて、特性図では、操作量Baの増加に対する実減速度演算値Ge(又は、実減速度検出値Gx)の増加が演算マップZgsに重畳されている。特性図において、特性Caは、軽積状態(例えば、空車重量+乗員2名分の重量)における、操作量Baと実減速度Ge、Gxとの関係である。また、特性Cbは、定積状態(例えば、空車重量+最大定員分の重量+荷物の最大積載量)の場合である。更に、特性Ccは、制動装置SDにおいて2つの制動系統のうちの1つ(例えば、前輪系統)が失陥した場合を示している。
車両の制動制御装置SCは、液圧モジュレータ(アクチュエータ)HU、車輪速度センサVW、及び、コントローラECUを含んで構成される。液圧モジュレータHUによって、車両の各ホイールシリンダCWの液圧Pwが調整される。つまり、液圧モジュレータHUによって、車輪WHに対する制動トルクTqが調整される。車輪速度センサVWによって、車両の各車輪WHの車輪速度Vwが検出される。コントローラECUでは、後輪速度Vwrと前輪速度Vwfとの比較に基づいて、後輪速度Vwrの低下(即ち、後輪減速スリップの増大)を抑制するよう、液圧モジュレータHUを介して、後輪液圧Pwr(後輪制動トルクTqr)の増加を制限する配分制御が実行される。
制動制御装置SCには、制動操作部材BPの操作量Baを検出する操作量センサBAが設けられる。コントローラECUでは、操作量Baに基づいて、配分制御の実行を許可する許可領域RA、及び、配分制御の実行を禁止する禁止領域RBが設定される。例えば、コントローラECUでは、車両の実際の減速度(減速度実際値)Ge、Gxが取得される。減速度実際値Geは、車体速度Vxに基づいて、それが時間微分されて演算される。また、減速度センサGXによって、減速度実際値Gxが検出されてもよい。操作量Baに基づいて、規範とする減速度(減速度規範値)Gsが演算される。そして、実際の減速度Ge、Gxと、規範減速度Gsと、が比較される。具体的には、減速度実際値Ge、Gxが減速度規範値Gs以上の場合が、許可領域RAに設定される。一方、減速度実際値Ge、Gxが減速度規範値Gs未満の場合が、禁止領域RBに設定される。
例えば、車両が軽積状態である場合には、操作量Baに対する実減速度Ge(又は、実減速度Gx)は、特性Caにて遷移する。軽積状態では、「Ge、Gx=gd」の点C近傍にて、配分制御が必要となってくる(このことは、実験等を通して予測できる)。一方、車両が定積状態にある場合には、操作量Baに対する実減速度Ge(又は、実減速度Gx)は、特性Cbにて変化する。定積状態では、後輪WHrの垂直荷重は十分に大であるため、実減速度Ge、Gxが増加しても、配分制御は不要である。
以上の事項が考慮され、規範減速度Gsは、演算マップZgsに従って、「0≦Ba<ba」の範囲では、下限値gaに決定される。また、「ba≦Ba<bb」の範囲では、操作量Baの増加に伴って、規範減速度Gsが増加するように決定される。更に、「Ba≧bb」の範囲では、規範減速度Gsは、上限値gbに決定される。そして、実減速度Ge、Gxが、規範減速度Gs以上の領域が、許可領域RAに設定される。一方、実減速度Ge、Gxが、規範減速度Gs未満の領域が禁止領域RBに設定される。つまり、操作量Baと規範減速度Gsとの相互関係において、実際の減速度Ge、Gxの状態が、演算マップZgsを示す線に対して、上方(減速度Gs、Ge、Gxの増加方向)にある場合に配分制御が許可され、下方にある場合には、禁止される。
演算マップZgsの設定において、演算マップZgsの傾き(例えば、「Gs=gg」での操作量Baの増加に対する規範減速度Gsの増加勾配)Kgが、特性Ca(軽積時)の傾き(「Ge(又は、Gx)=gg」での操作量Baの増加に対する実減速度Ge、Gxの増加勾配)Kaよりも小さく設定される(即ち、「Kg<Ka」)。加えて、演算マップZgsの増加勾配Kgが、特性Cb(定積時)の傾き(「Ge(又は、Gx)=gg」での操作量Baの増加に対する実減速度Ge、Gxの増加勾配)Kbよりも大きく設定される(即ち、「Kg>Kb」)。「Kb<Kg<Ka」に設定されているため、操作量Baに対する実減速度Ge、Gxの状態遷移は、定積状態には、許可領域RA内に侵入するが、定積状態では禁止領域RB内に留まる。このため、軽積状態、又は、該状態近傍では、配分制御が確実に実行されるが、定積状態、又は、該状態近傍では、配分制御が禁止される。つまり、制動力の配分制御が、積載状態を考慮して、必要な場合に限って実行され得る。
なお、失陥状態(例えば、前輪系統の失陥状態)では、特性Ccの傾き(増加勾配)は、特性Cbの傾きKbよりも小さいため、上記状態遷移は、禁止領域RB内に留められ、配分制御は実行されない。このため、制動装置SDが失陥している場合には、制動トルクTqを制限する配分制御が禁止されるため、十分は車両減速が確保され得る。ここで、制動装置SDの失陥は、マスタシリンダCMからホイールシリンダCWに至るまでの制動液BFの伝達経路での破損によって発生する。制動装置SDの失陥には、マスタシリンダCM(特に、前輪マスタシリンダ室Rmf)から前輪ホイールシリンダCWfに至るまでの破損に起因する前輪制動系統の失陥(単に、「前輪失陥」ともいう)と、マスタシリンダCM(特に、後輪マスタシリンダ室Rmr)から後輪ホイールシリンダCWrに至るまでの破損に起因する後輪制動系統の失陥(単に、「後輪失陥」ともいう)とが存在する。禁止領域RBの設定は、特に、前輪失陥において効果的である。
許可領域RA、及び、禁止領域RBは、操作量Baの大小に基づいて設定され得る。具体的には、操作量Baが所定量bx未満の場合が、許可領域RAに設定され、操作量Baが所定量bx以上の場合が、禁止領域RBに設定される。積載状態に応じて、配分制御が必要とされる状態(実際の減速度の発生)は、予測可能である。上述した様に、点C近傍(配分制御が必要となる状況)の状態遷移が、許可領域RAに含まれるように、所定量bxが予め設定される。規範減速度Gsに基づく判定と同様に、軽積状態、又は、該状態近傍では、配分制御の実行が許可され、車両の安定性が確保され得る。また、定積状態、該状態近傍、或いは、制動装置SDの失陥状態では、配分制御が禁止され、車両の減速性が担保され得る。
<他の実施形態>
以下、他の実施形態について説明する。他の実施形態においても、上記同様の効果を奏する。
上記実施形態では、2系統流体路として、前後型流体路が例示された。これに代えて、ダイアゴナル型(「X型」ともいう)の構成が採用され得る。ダイアゴナル型では、2つのマスタシリンダ室Rmのうちの一方が、ホイールシリンダCWi、CWlに接続される(第1系統)。また、2つのマスタシリンダ室Rmのうちの他方が、ホイールシリンダCWj、CWkに接続される(第2系統)。
上記実施形態では、制動液BFによる液圧式の制動制御装置SCが例示された。これに代えて、制動液BFが用いられない、電動式の制動制御装置SCが採用され得る。該装置では、電気モータの回転が、ねじ機構等によって直線動力に変換され、摩擦部材が回転部材KTに押圧される。この場合には、制動液圧Pwに代えて、回転部材KTに対する摩擦部材の押圧力(動力源は電気モータ)よって、制動トルクTqが発生され、調整される。なお、該構成では、アクチュエータは、電気モータ、及び、動力伝達機構(ねじ機構等)を含んで構成される。
SD…制動装置、SC…制動制御装置、BP…制動操作部材、BF…制動液、CM…マスタシリンダ、CW…ホイールシリンダ、HU…液圧モジュレータ(アクチュエータ)、HM…マスタシリンダ流体路、HW…ホイールシリンダ流体路、UP…調圧弁、VI…インレット弁、VO…アウトレット弁、ML…電気モータ、QL…流体ポンプ、ECU…コントローラ、BA…操作量センサ、PM…マスタシリンダ液圧センサ、VW…車輪速度センサ、GX…減速度センサ、Ba…操作量、Pm…マスタシリンダ液圧、Vw…車輪速度、Gs…規範減速度(減速度規範値)、Gx…実減速度(検出値であり、減速度実際値)、Ge…実減速度(演算値であり、減速度実際値)、Tq…制動トルク、RA…許可領域、RB…禁止領域。


Claims (3)

  1. 車両の車輪に対する制動トルクを調整するアクチュエータと、
    前記車輪の速度を車輪速度として検出する車輪速度センサと、
    前記車輪速度のうちの後輪に係る後輪速度と、前記車輪速度のうちの前輪に係る前輪速度との比較に基づいて前記後輪速度の低下を抑制するよう、前記アクチュエータを介して前記後輪に対する前記制動トルクの増加を制限する配分制御を実行するコントローラと、
    を備える車両の制動制御装置であって、
    前記車両の制動操作部材の操作量を検出する操作量センサを備え、
    前記コントローラは、
    前記操作量に基づいて、前記配分制御の実行を許可する許可領域、及び、前記配分制御の実行を禁止する禁止領域を設定するよう構成された、車両の制動制御装置。
  2. 請求項1に記載の車両の制動制御装置において、
    前記コントローラは、
    前記車両の実際の減速度を減速度実際値として取得し、
    前記操作量に基づいて減速度規範値を演算し、
    前記減速度実際値が前記減速度規範値以上の場合を前記許可領域に設定し、
    前記減速度実際値が前記減速度規範値未満の場合を前記禁止領域に設定するよう構成された、車両の制動制御装置。
  3. 請求項1に記載の車両の制動制御装置において、
    前記コントローラは、
    前記操作量が所定量未満の場合を前記許可領域に設定し、
    前記操作量が前記所定量以上の場合を前記禁止領域に設定するよう構成された、車両の制動制御装置。


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