JP2014122826A - 磁性粒子の分離方法および当該方法を使用する自動分析装置 - Google Patents

磁性粒子の分離方法および当該方法を使用する自動分析装置 Download PDF

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Abstract

【課題】磁気分離工程を含む生体由来試料の分析においては、反応液量が微量になるにつれて、磁気分離工程において反応液を吸引排出することが困難になる。特に、反応液量が150マイクロリットル以下となった際には、吸引排出後の反応液残存量が反応液量に対して相対的に増大することにより、未排出の標識物質によるバックグラウンド発光が分析データに及ぼす影響を無視できなくなる場合が生じる。そのため、感度を維持した状態で反応液量の微量化を実現することが困難であった。
【解決手段】磁気分離工程における反応液排出工程の前に、反応容器内の液量を増加させる手段を備える自動分析装置を提案する。反応液排出の前に反応容器内の液量を増加させることで、反応容器内で反応液が占める体積や液高さが増加するため、もとの反応液が微量であっても吸引排出を実施することが容易になる。
【選択図】図1

Description

本発明は、血液などの生体由来試料を分析する方法または分析する装置に係り、特に、磁性粒子を利用して分析対象成分を共存成分から分離するための磁気分離方法を有する方法または磁気分離部を有する装置に関する。
血液や尿などの生体由来の液体試料を高感度に分析するにあたっては、多量の共存物質が含まれる試料中から測定対象成分を選択的に認識する技術が必須となる。
例えば、がんマーカや感染症ウィルス、ホルモンなどにおける抗原や抗体を分析対象とする免疫分析においては、測定対象成分の血清中濃度が概ねfmol/L〜nmol/Lオーダの極微量であるのに対して、血清中には約70g/Lもの大量なたんぱく質成分が共存する。
このような生体試料分析を実施するために、分析対象成分に対して選択的に結合する物質を利用することにより、対象成分を選択的に標識化および分離する手段がとられる。例えば、特許文献1には免疫分析において一般的であるサンドイッチ法では、次の1)〜3)に示すような工程で分析が行われることが記載されている。
1)測定対象の抗原に対して、磁性粒子の結合した第一の抗体と、発光標識物質の結合した第二の抗体とを抗原抗体反応によって結合させる。2)永久磁石を利用して磁性粒子を磁気的に捕捉し、磁性粒子に結合していない成分を系外に排出する。3)磁性粒子に結合している標識物質を発光させることにより、分析対象の抗原濃度に依存した発光シグナルを得る。
このような分析工程のうち、2)の磁性粒子を磁気的に分離する工程を、磁気分離あるいはB/F分離(B:Bound、F:Free)と一般に呼ぶ。磁気分離は、未結合成分の分離効率を高めるために、測定対象成分によっては第一の抗体と第二の抗体の結合の間にも実施される場合もある。
磁気分離工程では、一般的に次のA)〜E)に示すような工程で分離が行われる。A)反応容器の外側に永久磁石を近接させ、反応容器内の磁性粒子を容器内壁面に捕捉する。B)反応容器内の反応液をプローブにより吸引して排出する。C)抗原抗体反応に関与する物質を含まないバッファなどの液体を、反応容器内に注入する。D)反応容器から永久磁石を遠ざけ、反応容器内の磁性粒子に作用する磁気的引力を除去する。E)反応容器を撹拌し、磁性粒子を反応容器内の液体中に再分散させる。
特開2006−218442号公報
生体試料分析においては、被検者への負担を軽減するため、また新生児などに由来する微量試料からの分析を可能とするため、分析で使用する試料の微量化が求められる。さらに、一つの分析装置上に搭載可能な測定項目数を増加させるため、可能測定数を維持したままでの試薬ボトルの小型化、すなわち、一測定あたりの試薬消費量の低減が要求される。上記より、自動分析装置においては、分析で使用する反応液量(試料量+測定試薬量)を低減することが重要な課題となる。
しかしながら、先に述べたような磁気分離工程を含む分析においては、反応液量が微量になるにつれて、反応容器内で反応液が占める体積や液高さが減少する。反応液の体積や液高さが減少すると、磁気分離工程において磁石が磁性粒子を捕捉する捕捉面積が小さくなるため、磁性粒子の捕捉効率が低下し、磁気分離工程において反応液を吸引排出することが困難になる。ここで捕捉面積とは容器内壁面において、反応液が接触している領域であって、かつ、磁気分離用の磁界の及ぶ範囲を言う。
特に、反応液量が150マイクロリットル以下となった際には、磁気分離工程における2)の吸引排出工程後の反応液残存量が捕捉された磁性粒子の量に対して相対的に増大することにより、未排出の標識物質によるバックグラウンド発光が分析データに及ぼす影響を無視できなくなる場合が生じる。そのため、感度を維持した状態で反応液量の微量化を実現することが困難であった。
上記の課題を解決するために、本発明では、磁気分離工程における反応液排出工程の前に、反応容器内の液量を調整する磁気分離方法、および反応容器中の液量を調整する手段を備える自動分析装置を提案する。具体的には、磁性粒子を含む少なくとも二種類の物質を含む混合液体に対して、当該混合液体の液量を調整する調整工程と、液量を調整した後の混合液体に含まれる磁性粒子または磁性粒子と結合した物質を、当該混合液体を収容する容器の内壁に捕捉する捕捉工程と、捕捉された物質と捕捉されない液中の共存物質を分離する分離工程と、捕捉した成分を再分散させる液体を前記容器中に注入する再分散工程と、を有する方法である。

本発明によれば、微量試料および低試薬量での分析においても、反応液排出の前に反応容器内の液量を増加させることで、反応容器内で反応液が占める体積や液高さが増加するため、もとの反応液が微量であっても液体を吸引排出することが容易になる。液体の吸引排出が容易となるため、微量試料における高感度な分析を実現することができる。
また、本発明の他の効果としては、さらに、一測定あたりの試薬消費量を低減し、分析装置上に搭載可能な測定項目数を増加させることが可能となる。
本発明を適用した基本的な磁気分離工程を模式的に示した図。 本発明を適用した磁気分離工程であって、磁気分離工程完了後の液量が反応液増量前と比較して増加する場合を模式的に示した図。 本発明の実施例である自動分析装置の上面図を模式的に示した図。 本発明を適用した自動分析装置において、磁気分離工程に関して設定を行うことが可能な画面の一例を示した図。 本発明を適用した自動分析装置において、磁気分離バッファ液の残量についての情報が表示される画面の一例を示した図。 本発明における免疫複合体形成プロセスとして反応例1および2を示した図。
以下、本発明を実施するために好適な自動分析装置の一例について記載する。
まず、図1および図2を使用して、本発明を適用した磁気分離工程について説明する。
図1は、本発明を適用した基本的な磁気分離工程を示している。反応容器中に反応液が収容されている(図1(a))。はじめに、反応液に対して磁気分離バッファを注入し、反応液を増量する(図1(b))。なお、この磁気分離バッファ液は例えば血清中の濃度とほぼ等しい濃度の塩化物イオンおよびナトリウムイオンを含有する緩衝液であることが好ましいが、分析に必要な抗原抗体反応に関与しない成分のみを含む液体であれば他の液体でも使用が可能であり、本発明を限定するものではない。
次に、反応容器に永久磁石や電磁石等の強磁性体を近接させ、反応容器内の磁性粒子を反応容器内壁面に捕捉する(図1(c))。この際、捕捉可能な内壁面の面積を十分に確保して磁気分離効率を高めるため、永久磁石の上端部の高さは増量後の液面高さ以上であることが好ましい。また、本実施例では反応液の増量を粒子捕捉前に実施しているが、反応液の増量を粒子捕捉工程中に実施しても良い。
この後、反応容器内の反応液をプローブにより吸引して排出する(図1(d)、(e))。そして、磁気分離バッファを反応容器内に再度注入し(図1(f))、反応容器から永久磁石を遠ざけ、反応容器を撹拌して(図1(g))磁性粒子を反応容器内の液体中に再分散する(図1(h))。バッファ液の注入、磁性粒子の捕捉、反応液の排出の一連の工程は、必要に応じて複数回実施しても良い。複数回実施することにより反応液中から共存物質を効果的に除去することが可能である。
この際、図1(h)の状態で、再分散後の反応容器内の液量が反応液増量前と同量となるように磁気分離バッファを注入することが基本であるが、磁気分離後の検出工程における検出部への分注を容易とするため、反応液増量前と比較して液量を増加させるように磁気分離バッファを注入することも好適である(この場合の工程の概要を図2(f)〜(h)に示している)。磁気分離工程前の液量に比べて磁気分離工程後の液量を増加させることにより、次のような効果がある。すなわち、増加した液量により、反応容器内の共存物質濃度を減少させ、共存物質のバックグラウンド発光の影響を低減可能である。また、反応容器外に反応液を移す必要がある場合(例えば、磁気分離工程の後工程で反応液を吸引し、フローセルや他の容器等に移し替える必要がある場合)に、反応容器から反応液の持ち出しが簡単になる。
さらに、測定項目によって各試薬の分注量や共存成分の種類(分離効率)が異なることを考慮して、液量を反応液増量前より増加させるための追加注入液量を、測定項目に応じて変更することも好適である。
図3は、本発明を適用した自動分析装置の例について、その上面図を模式的に示したものである。
本実施例における自動分析装置は、分析動作を行うための分析部101と、装置を制御するための制御部102と、ユーザが装置に情報を入力するための入力部103と、ユーザに情報を表示するための表示部104から構成される。なお、入力部103と表示部104は同一のものであっても良く、その一例としてタッチパネル式のモニタが挙げられる。
本実施例の自動分析装置における分析部101は、試料が含まれる試料容器111を試料分取位置まで搬送するための搬送機構112と、試料を分注するための試料プローブ113と、試料プローブ用のディスポーザブルチップを前記試料プローブに装脱着するためのチップ装脱着部114と、前記ディスポーザブルチップを供給するためのチップマガジン115と、反応容器を供給するための反応容器マガジン116と、前記ディスポーザブルチップと前記反応容器を搬送するためのチップ・反応容器搬送機構117と、前記反応容器内の反応液を一定温度で保持可能な開口部118を複数個備えたインキュベータ119と、測定試薬を含む試薬容器120を保持するための試薬ディスク121と、前記測定試薬を前記インキュベータに分注するための試薬分注プローブ122と、前記試薬分注プローブを水や洗浄液で洗浄するための試薬プローブ洗浄部123と、磁性粒子を含む測定試薬を分注前に撹拌するための磁性粒子撹拌機構124と、前記磁性粒子撹拌機構を水や洗浄液で洗浄するための磁性粒子撹拌機構洗浄部125と、磁気分離前の反応容器に磁気分離バッファ液を注入するための磁気分離バッファ事前注入プローブ126と、磁気分離工程を行うための磁気分離部127と、前記反応容器を前記インキュベータと前記磁気分離部との間で搬送するための反応容器搬送機構128と、前記反応容器を回転させて前記反応液を撹拌するための反応液撹拌機構129と、永久磁石などの強磁性体を外周に備え、その内部領域に前記反応容器を保持して磁性粒子捕捉を行うための磁気分離機構130と、前記反応液撹拌機構や前記磁気分離部に保持されている前記反応容器から反応液を吸引排出、および、反応容器への磁気分離バッファ液を注入するための磁気分離部用プローブ131と、発光検出を行うための検出部132と、前記検出部に前記反応液を分注するための検出部用分注プローブ133を備える。
発光試薬、洗浄液、磁気分離バッファ液、プローブ洗浄液といった共通試薬を供給するためのボトルは分析装置内部に予備ボトルを含めて複数個ずつ保管されており、各ボトル内に挿入される試薬チューブを通じて各試薬が各機構に供給される。
次に、分析工程の概要について、図3および図6を参照して記載する。ここで、免疫複合体を作成するための反応工程には様々な方法があるが、代表的な反応例としては図6に示す反応例1と反応例2がある。
まず、反応例1について説明する。
分析に先立ち、反応容器マガジン116より反応容器がインキュベータ119上の試料保持部118に設置される。磁性粒子撹拌機構124は、磁性粒子を含む測定試薬を使用する前に撹拌し、磁性粒子を当該試薬容器中で懸濁させる。磁性粒子攪拌機構124はコンタミネーションを防止するため、磁性粒子攪拌機構洗浄部125において洗浄を行う。
本実施例では、試料を収容した試料容器111はラックに載せた状態で試料容器搬送機構112を搬送される。試料プローブ113は、試料容器111から試料(S:測定対象抗原)を吸引し、インキュベータ上の反応容器に分注する。試薬分注プローブ122は、試薬ディスク121上の測定試薬容器120から、第一の抗体が含まれる測定試薬(R1:ビオチン結合第一抗体)と第二の抗体が含まれる測定試薬(R2:発光標識結合第二抗体)を吸引し、同じ反応容器に吐出する。試薬分注プローブ122はコンタミネーションを防止するため、分注後に試薬プローブ洗浄部123にてプローブの洗浄を行う。その後、インキュベータ119にて一定時間インキュベーションを行ない、S,R1,R2の結合を生成する(S601)。
その後、試薬分注プローブ122は、試薬ディスク121から磁性粒子を含む測定試薬(B:ストレプトアビジン結合磁性粒子)を吸引し反応容器に吐出する。その後、再びインキュベータ119にて一定時間のインキュベーションを行ない、免疫複合体を生成する(S602)。
インキュベーション終了後の反応容器に対して、磁気分離バッファ事前注入プローブ126によりバッファ液を吐出する。その後、反応容器搬送機構128が磁気分離部127に搬送する。磁気分離部では、磁気分離機構130にて磁性粒子の捕捉工程を実施し、その後、反応液攪拌機構129にて不要な液の排出を行なう(S603)。B/F分離工程が終了した反応容器は再びインキュベータ119へと戻される。必要に応じて、図2で説明したように、磁気分離後の液量を磁気分離工程前に比べて増量させるように磁気分離バッファ事前注入プローブ126が再度バッファ液を吐出しても良い。
その後、反応容器中の反応液を検出部用分注プローブ133により吸引し、検出部132に搬送する。検出部において免疫複合体の量を検出する(S604)。検出された分析結果は表示部103に表示される。使用後の反応容器はインキュベータ上から取り除かれる。
次に反応例2について説明する。
分析に先立ち、反応容器マガジン116より反応容器がインキュベータ119上の試料保持部118に設置され、磁性粒子撹拌機構124により磁性粒子を含む測定試薬を懸濁させる点は反応例1と同様である。
本実施例では、試料を収容した試料容器111はラックに載せた状態で試料容器搬送機構112を搬送される。試料プローブ113は、試料容器111から試料(S:測定対象抗原)を吸引し、インキュベータ上の反応容器に分注する。試薬分注プローブ122は、試薬ディスク121上の測定試薬容器120から、第一の抗体が含まれる測定試薬(R1:ビオチン結合第一抗体)と磁性粒子を含む測定試薬(B:ストレプトアビジン結合磁性粒子)を吸引し、同じ反応容器に吐出する。試薬分注プローブ122はコンタミネーションを防止するため、分注後に試薬プローブ洗浄部123にてプローブの洗浄を行う。その後、インキュベータ119にて一定時間インキュベーションを行ない、S,R1,Bの結合を生成する(S611)。
インキュベーション終了後の反応容器に対して、磁気分離バッファ事前注入プローブ126によりバッファ液を吐出する。その後、反応容器を反応容器搬送機構128が磁気分離部127に搬送する。磁気分離部では、B/F分離工程として、磁気分離機構130にて磁性粒子の捕捉工程を実施し、その後、反応液攪拌機構129にて不要な液の排出を行なう(S612)。B/F分離工程が終了した反応容器は再びインキュベータ119へと戻される。必要に応じて、図2で説明したように磁気分離後の液量を磁気分離工程前に比べて増量させるように、磁気分離バッファ事前注入プローブ126がバッファ液を再度吐出しても良い。
インキュベータに戻された反応容器に対して、試薬分注プローブ122は、試薬ディスク121から第二の抗体が含まれる測定試薬(R2:発光標識結合第二抗体)を吸引し吐出する。その後、再びインキュベータ119にて一定時間のインキュベーションを行ない、免疫複合体を生成する(S603)。
インキュベーション後の反応容器に対して、ふたたび磁気分離バッファ事前注入プローブ126がバッファ液の吐出を行い、反応容器搬送機構128によって磁気分離部127に搬送し、B/F分離工程を実施する(S614)。B/F分離工程が終了した反応容器は再びインキュベータ119へと戻される。なお、本工程においても、上記と同様に、図1または図2のいずれの方式でB/F分離を実施しても良い。
その後、反応容器中の反応液を検出部用分注プローブ133により吸引し、検出部132に搬送する。検出部において免疫複合体の量を検出する(S604)。検出された分析結果は表示部103に表示される。使用後の反応容器はインキュベータ上から取り除かれる。
反応例2においては、複数回B/F分離工程を実施するため、共存物質と磁性粒子とを高い分離効率で分離することが可能となる。
なお、本実施例では試薬および反応液の増量を、専用の磁気分離バッファ事前注入プローブ126を用いて行いた例を説明したが、反応容器を磁気分離部に搬送した後で、磁気分離部用プローブ131により液の増量を行っても良い。また、磁気分離部は、反応液の吸引排出とバッファ液注入に、それぞれ個別の磁気分離部用プローブ131を使用しても良い。
図4は、本発明を適用した自動分析装置における磁気分離工程に関して設定を行うことが可能な画面の一例を示している。
本画面は、試薬ディスク121上での試薬容器の位置を示す位置表示部201と、前記試薬容器が測定対象とする成分を示す測定項目表示部202と、前記試薬容器を用いて測定可能な残テスト数を示す残テスト数表示部203と、前記試薬容器のロット番号を示すロット番号表示部204と、前記試薬容器の有効期限を示す有効期限表示部205と、磁気分離前および磁気分離後の磁気分離バッファ注入量を設定可能な磁気分離前後増量設定部206と、設定画面を非表示化するための非表示化ボタン207を備える。また、磁気分離前後増量設定部206は、第一の抗体が含まれる測定試薬の分注およびインキュベーション後の磁気分離工程に関する反応液の増量を設定するステップ1磁気分離前後増量設定部208と、第二の抗体が含まれる測定試薬の分注およびインキュベーション後の磁気分離工程に関する反応液の増量を設定するステップ2磁気分離前後増量設定部209を備える。
図4を用いて、磁気分離工程での反応液の増量に関する設定の例について説明する。なお、本例ではプルダウンメニューを使用して設定を変更可能な方式を示しているが、直接入力など他の入力方式を使用しても良いし、各測定項目に対して設定が固定されており表示のみを行う方式でも良い。
磁気分離工程を行わない場合には、本例における測定項目TSHのように、ステップ1磁気分離前後増量設定部に、磁気分離工程を行わないことを示す内容として「なし」と入力される。
反応液排出前に増量を行うが、磁気分離工程完了後の液量ははじめの液量と同等とする場合(図1のパターン)には、本例における測定項目HCGのステップ1磁気分離前後増量設定部に示しているように、「+20/0」のような内容が入力される。ここで、+20は図1(b)の工程において反応液に加えられるバッファ液の量であり、元の液量に対して加えられる液量をさす。
反応液排出前に増量を行わないが、磁気分離工程完了後の液量をはじめの液量と比較して増量する場合(図2のパターンにおいて、図2(b)においてバッファ液の注入をしない場合)には、本例における測定項目PSAのステップ1磁気分離前後増量設定部に示しているように、「0/+10」のような内容が入力される。ここで、+10は図2(f)の工程で加えられるバッファ液の量である。
反応液排出前に増量を行い、さらに磁気分離工程完了後の液量をはじめの液量と比較して増量する場合(図2の場合)には、本例における測定項目HBsAgのステップ1磁気分離前後増量設定部に示しているように、「+50/+20」のような内容が入力される。なお、ここでは増量分の容量を入力する方式を述べたが、増量後の容量を指定する方式としても良い。
なお、本実施例では測定項目ごとに注入するバッファ液量を設定可能となるようにしたが、複数の測定項目に共通に設定したバッファ液を注入するようにしても良い。また、注入するバッファ液量の設定方法については、磁性粒子捕捉用の磁石の高さに基づく液面位置までバッファ液を注入するように設定しても良い。この場合、バッファ液による磁気分離前/後増量の設定を行なった測定項目は、いずれも液面高さが一定の範囲内となるようにバッファ液量の調整を行う。
図5は、磁気分離バッファ液を含む消耗品の残量についての情報が表示される画面の一例を示している。
本画面は、試薬ディスク121上での測定試薬120の配置状態を示すための測定試薬オーバビュー部301と、異なる分析で共通的に使用される消耗品の残量を示すための消耗品オーバビュー部302と、測定試薬や消耗品の状態を更新するための更新ボタン303と、本画面を非表示化するための非表示化ボタン304から構成される。
消耗品オーバビュー部302は、発光試薬の残量を示す発光試薬残量表示部305と、洗浄液の残量を示す洗浄液残量表示部306と、磁気分離バッファ液の残量を示す磁気分離バッファ液残量表示部307と、プローブ洗浄液の残量を示すプローブ洗浄液残量表示部308と、ディスポーザブルチップの残量を示すディスポーザブルチップ残量表示部309と、反応容器の残量を示す反応容器残量表示部310と、廃棄物コンテナへの廃棄物の廃棄可能量を示す廃棄物コンテナ残量表示部311とを備える。
本発明で使用する磁気分離バッファ液の残量は、前記磁気分離バッファ液残量表示部から確認することが可能である。また、磁気分離バッファ液残量が一定値を下回ると交換を促す表示が行われ、新しい磁気分離バッファ液を設置した後で更新ボタン303を選択すると残量が更新される。
101:分析部、102:制御部、103:入力部、104:表示部、111:試料容器、112:試料容器搬送機構、113:試料プローブ、114:ディスポーザブルチップ装脱着部、115:ディスポーザブルチップマガジン、116:反応容器マガジン、117:ディスポーザブルチップ・反応容器搬送機構、118:インキュベータ上の試料保持部、119:インキュベータ、120:測定試薬容器、121:試薬ディスク、122:試薬分注プローブ、123:試薬プローブ洗浄部、124:磁性粒子撹拌機構、125:磁性粒子撹拌機構洗浄部、126:磁気分離バッファ事前注入プローブ、127:磁気分離部、128:反応容器搬送機構、129:反応液撹拌機構、130:磁気分離機構、131磁気分離部用プローブ、132:検出部、133:検出部用分注プローブ、201:位置表示部、202:測定項目表示部、203:残テスト数表示部、204:ロット番号表示部、205:有効期限表示部、206:磁気分離前後増量設定部、207:非表示化ボタン、208:ステップ1磁気分離前後増量設定部、209:ステップ2磁気分離前後増量設定部、301:測定試薬オーバビュー部、302:消耗品オーバビュー部、303:更新ボタン、304:非表示化ボタン、305:発光試薬残量表示部、306:洗浄液残量表示部、307:磁気分離バッファ液残量表示部、308:プローブ洗浄液残量表示部、309:ディスポーザブルチップ残量表示部、310:反応容器残量表示部、311:廃棄物コンテナ残量表示部

Claims (14)

  1. 磁性粒子を含む少なくとも二種類の物質を含む混合液体に対して、
    当該混合液体の液量を調整する調整工程と、
    液量を調整した後の混合液体に含まれる磁性粒子または磁性粒子と結合した物質を、当該混合液体を収容する容器の内壁に捕捉する捕捉工程と、
    捕捉された物質と捕捉されない液中の共存物質を分離する分離工程と、
    捕捉した成分を再分散させる液体を前記容器中に注入する再分散工程と、を有する磁気分離方法。
  2. 請求項1記載の磁気分離方法において、
    前記調整工程において、容器に注入する液体の量を測定項目に応じて設定する工程を有する磁気分離方法。
  3. 請求項1記載の磁気分離方法において、
    磁性粒子を含む少なくとも二種類の物質を含む混合液体は、磁性粒子を含む試薬と、測定対象物質と結合する抗体を含む試薬の混合液体であることを特徴とする磁気分離方法。
  4. 請求項1記載の磁気分離方法において、
    前記磁性粒子を含む少なくとも二種類の物質を含む混合液体は、測定対象物質を含む試料と、磁性粒子を含む試薬との混合液体であることを特徴とする磁気分離方法。
  5. 請求項1記載の磁気分離方法において、
    前記再分散工程は、当初の混合液体の液量と再分散工程後の液量とが等しくなるように液量を調整することを特徴とする磁気分離方法。
  6. 請求項1記載の分析方法において、
    前記再分散工程は、当初の混合液体の液量よりも再分散工程後の液量が大きくなるように液量を調整することを特徴とする磁気分離方法。
  7. 請求項1記載の磁気分離方法において、
    前記調整工程では、容器内に緩衝液、またはナトリウムイオン又は塩化物イオンを含む液体を注入することを特徴とする磁気分離方法。
  8. 磁性粒子を含む、少なくとも二種類の物質を混合した液体を収容した容器を保持する容器保持機構と、
    容器中の液体に含まれる磁性粒子を当該容器の内壁面に捕捉する磁場印加手段と、前記磁場印加手段により捕捉されない物質を除去する除去手段を有する磁気分離機構と、を備えた自動分析装置において、
    前記除去手段により、前記磁場発生手段で捕捉されていない物質を除去する前に、当該容器内の液量を調整する調整手段と、を備えたことを特徴とする自動分析装置。
  9. 請求項8記載の自動分析装置において、
    前記調整手段が液量を調整した後の前記容器内の液面高さは、前記磁場発生手段の上端部よりも高くない位置にあることを特徴とする自動分析装置。
  10. 請求項8記載の自動分析装置において、
    前記除去手段と前記調整手段は同一の機構であることを特徴とする自動分析装置。
  11. 請求項8記載の自動分析装置において、
    前記調製手段により容器に注入される液量を設定する画面を表示する表示手段を備えたことを特徴とする自動分析装置。
  12. 請求項8記載の自動分析装置において、
    前記容器保持手段は複数の容器を温調しながら保持するインキュベータであって、
    前記調整手段は、前記容器がインキュベータに保持されている状態で液量の調整を行うことを特徴とする自動分析装置。
  13. 請求項8記載の自動分析装置において、
    前記容器保持手段は前記磁気分離手段により磁場が印加される対象の容器を保持する機構であって、
    前記調整手段は、前記磁気分離手段により磁場が印加されている状態で液量の調整を行なうことを特徴とする自動分析装置。
  14. 請求項8記載の自動分析装置において、
    前記調整手段により容器に注入される液体が緩衝液、または、ナトリウムイオン又は塩化物イオンを含む液体であることを特徴とする自動分析装置。
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