JP2016047491A - 懸濁装置、及びそれを用いた懸濁方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】この目的を達成するために、本発明に係る懸濁装置1は、遠沈管2の内容物を懸濁し、遠沈管2を保持する保持部3と、保持部3を介して遠沈管2を回転させる回転動作部4と、保持部3によって遠沈管2が保持される初期状態から、内容物が遠沈管2の上端部に位置する第1の状態へ変化させ、第1の状態から、内容物が遠沈管2の下端部に位置する第2の状態へ変化させるように回転動作部4を制御し、第1の状態の期間が第2の状態の期間よりも長くなるように、及び、第1の状態と第2の状態を交互に繰り返すように、回転動作部4を制御する制御部5、を備える構成とする。
【選択図】図6
Description
そこで、懸濁対象の容器の内容物として、懸濁対象物と磁性粒子を入れ、撹拌子を用いずに、容器の外側から磁石を近接させることにより磁性粒子を移動させ、懸濁を実現する手法がある(例えば、特許文献1参照。)。
しかしながら、特に、粘度の高い溶液を懸濁する場合には、懸濁前の初期状態において懸濁対象の容器の底部に内容物の塊が付着し、この内容物を素早く洗い流して懸濁することが困難であり、そのため、十分な懸濁をするためには、その懸濁時間が長くなってしまう。
(懸濁装置の概要)
図1は、本発明の実施形態に係る懸濁装置1の概要図であり、図1(a)は上面図、図1(b)は前面図、図1(c)は側面図である。
図1において示されるように、懸濁装置1は、主に保持部3、回転動作部4、制御部5、マグネット部6から構成される。懸濁装置1は、一般には容器の内容物を懸濁する装置であり、本実施例では、遠沈管の内部の溶液を懸濁する。懸濁対象の溶液中には、懸濁対象の細胞を含む溶液と、磁性粒子である磁気ビーズとが混入されており、この細胞の一部は磁気ビーズに付着する。
制御部5は、回転動作部4を制御することにより、遠沈管2を様々な状態に変化させることができる。マグネット部6は、遠沈管2の側部近傍に配置され、遠沈管2の内容物の一部である磁気ビーズを遠沈管2の側部に引き寄せるために用いられる。
次に、図2を用いて本発明の実施の形態に係る懸濁装置1を用いた懸濁方法の大まかな流れについて説明する。
まず、使用者が、懸濁対象の溶液が入っている遠沈管2を、懸濁装置1の保持部3が安定して保持できるように設置する。回転動作により懸濁を行うため、遠沈管2は、通常、上部に蓋を有するものが用いられる。
その後、遠沈管2が開栓された後に、溶液が一部回収される(S04)。そして、制御部5は、磁石が遠沈管2から分離するように、マグネット部6を動作させる等により、マグネット部6の磁力をOFFにする(S05)。
その後、遠沈管2が閉栓された後に、制御部5は、本発明の主要な実施形態である回転による懸濁を行なう(S08)。なお詳細には、別途説明を行なう。
次に、図2の回転懸濁(S09)について、遠沈管2の状態変化を示す図3を用いて詳細に説明する。
図3(a)は、回転懸濁の初期状態の遠沈管2及びその中の溶液8と磁気ビーズ7の様子を示す図であり、この図において示されるように、初期状態において、遠沈管2の蓋2aが上側に位置するように遠沈管2は配置されている。そして、遠沈管2の内部において、マグネット部6の磁力の影響を受けて、マグネット部6が近接していた側部2bの部分に、厚みを持った磁気ビーズ7の塊ができている。さらに、ステップS02の回転等の影響を受けて、遠沈管2の蓋2aの近傍にも磁気ビーズ7が付着している。
なお、図3における遠沈管2の形状は、底部2cが円錐状に尖っている形状、いわゆるテーパ形状になっている。このような形状では、特に底部近傍に、比重の大きな懸濁対象の細胞や磁気ビーズ7が塊となって吸着・沈殿し、懸濁を行なった際にそれらの細胞や磁気ビーズ7が溶液中に溶け出しづらくなるため、本実施の形態に係る懸濁装置のように、溶液の懸濁時間を短くするための手法は特に有用となる。
次に、本実施の形態にかかる遠沈管2の回転動作について、図4を用いて説明する。
図4において示されるように、初期位置の遠沈管2は、水平線Hに対して垂直に配置される。本図では図示を省略しているが、遠沈管2は、その底部2cを回転の中心軸S1として、回転動作部4によって回転される。
次に、図5Aおよび図5Bを用いて、本発明の実施の形態に係る遠沈管2の回転中心の位置について説明する。
図5Aにおいて示されるように、回転動作部4による遠沈管2の回転の中心点S2は、前記保持部3において保持される遠沈管2の中心位置S1とは異なる位置にあってもよい。これは、遠沈管2の回転の中心点S2から遠沈管2の端部の距離を大きくすることにより、遠心力を遠沈管2の内部の溶液8や磁気ビーズ7により大きく付加させるためである。この遠心力を加えることにより、底部2cに溜まりやすい磁気ビーズ7を底部2cから分離しやすくすることができる。また、遠心力によって、溶液8や磁気ビーズ7の有する運動エネルギーが大きくなるため、静止位置1や静止位置2において遠沈管2の底部2cや蓋2a付近に磁気ビーズ7を叩きつける衝撃力、かつ溶液8が磁気ビーズ7を砕く衝撃力を増すことができ、磁気ビーズ7を溶かすための効率が良くなる。その結果として、十分な懸濁に要する時間を短縮することができる。
(回転角度の時間変化)
次に、図6を用いて、本発明の実施の形態に係る遠沈管2の回転角度の時間変化について説明する。図6における横軸は時刻であり、縦軸は遠沈管2の回転角度である。遠沈管2の回転角度を視認しやすいように、遠沈管2を図中に付記する。
その後、遠沈管2の状態は第2の状態になるように、逆方向(図4の矢印K参照)に回転し、時刻t3において静止する。時刻t3から時刻t4までの期間は第2の静止期間である。その後、遠沈管2の状態は第1の状態になるように、再び順方向(図4の矢印J参照)に回転し、時刻t5において静止する。このようにして、第1の静止期間と第2の静止期間は交互に繰り返される。そして、第1の状態の期間は第2の状態の期間よりも長く、かつ、第1の静止期間は第2の静止期間よりも長い。第1の状態及び第1の静止期間を確保することにより、特にテーパ形状の遠沈管2を採用する場合、遠沈管2の底部2cに溜まりやすい磁気ビーズ7が下方に落ちるまでの待ち時間を持たせることにより、磁気ビーズ7を塊として留めずに溶液8内に溶け込みやすくすることができる。そして、第2の状態及び第2の静止期間を確保することにより、遠沈管2の蓋2a付近に付着した磁気ビーズ7を溶液8に溶け込みやすくするとともに、懸濁対象となる溶液8の全てを下方へ移動させることができる。
なお、図6において、回転動作部4の回転速度としては、順方向に一定→ゼロ(静止)→逆方向に一定というように、回転角度の時間変位の波形が略台形となるように、制御部5によって制御されているものの、この形状に限られず、回転角度の時間変位の波形が正弦波形になるように制御部5によって制御される構成でもよい。さらに、図6において、順方向の一定速度、すなわち、第1の静止期間から第2の静止期間までの期間t2〜t3における回転角度の時間変位を示す直線の傾きは、逆方向の一定速度、すなわち、第2の静止期間から第1の静止期間までの期間t4〜t5における回転角度の時間変位を示す直線の傾きよりも急峻であり、期間t2〜t3は、期間t4〜t5よりも短く設定されている。このように、第1の静止期間から第2の静止期間に変化する際には、その期間が比較的短く設定されることにより、遠沈管2の側面に付着している磁気ビーズを勢いよく洗い流し、さらに遠沈管2の底部にたまっている磁気ビーズを溶液の落下による衝撃力によって砕くことができる。さらのこのように、第2の静止期間から第1の静止期間に変化する際には、その期間が比較的長く設定されることにより、遠沈管2の底部に溜まっている磁気ビーズ7に対して、溶液のみが流れて磁気ビーズ7が底部近傍に留まり続けないようにすることができる。
2 遠沈管
2a 蓋
2b 側部
2c 底部
2d 上端部
3 保持部
4 回転動作部
5 制御部
6 マグネット部
7 磁気ビーズ
8 溶液
Claims (10)
- 容器の内容物を懸濁する懸濁装置であって、
前記容器を保持する保持部と、
前記保持部を介して前記容器を回転させる回転動作部と、
前記保持部によって前記容器が保持される初期状態から、前記内容物が前記容器の上端部に位置する第1の状態へ変化させ、前記第1の状態から、前記内容物が前記容器の下端部に位置する第2の状態へ変化させるように前記回転動作部を制御し、前記第1の状態の期間が前記第2の状態の期間よりも長くなるように、及び、前記第1の状態と前記第2の状態を交互に繰り返すように、前記回転動作部を制御する制御部と、
を備える、懸濁装置。 - 前記制御部は、前記第1の状態において前記容器の回転が静止される第1の静止期間が、前記第2の状態において、前記容器の回転が静止される第2の静止期間よりも長くなるように、前記回転動作部を制御する、請求項1に記載の懸濁装置。
- 前記容器は、底部が円柱状に尖っている形状の遠沈管である、請求項1又は2に記載の懸濁装置。
- 前記容器の側部近傍に配置され、前記容器の内容物の一部である磁性粒子を前記容器の側部に引き寄せるために用いられるマグネット部をさらに備える、請求項1から3のいずれか一項に記載の懸濁装置。
- 前記容器は、上端部に蓋を有する遠沈管であり、
前記制御部は、
前記初期状態において、前記蓋が上側に位置するように前記遠沈管を配置し、
前記第1の状態において、前記蓋が下側に位置するように前記回転動作部を制御し、
前記第2の状態において、前記蓋が上側に位置するように前記回転動作部を制御する、
請求項1から4のいずれか一項に記載の懸濁装置。 - 前記回転動作部の回転動作を所定の範囲内に制限する仕切り板をさらに備える、請求項1から5のいずれか一項に記載の懸濁装置。
- 前記容器の一部の状態を検出するセンサをさらに備え、
前記制御部は、前記センサにおける検出結果に基づいて、前記回転動作部の制御を変更する、請求項1から6のいずれか一項に記載の懸濁装置。 - 前記センサは、前記回転動作部による前記容器の回転とともに回転し、前記容器が回転している間、前記容器の同一個所の一部の検出を継続する、請求項7に記載の懸濁装置。
- 前記回転動作部による前記容器の回転の中心点は、前記保持部において保持される前記容器の中心位置とは異なる、請求項1から8のいずれか一項に記載の懸濁装置。
- 容器の内容物を懸濁する懸濁装置であって、前記容器を保持する保持部と、前記保持部を介して前記容器を回転させる回転動作部と、前記回転動作部を制御する制御部とを備える前記懸濁装置を用いる懸濁方法であって、
前記保持部によって前記容器が保持される初期状態から、前記内容物が前記容器の上端部に位置する第1の状態へ変化させるように、前記制御部が前記回転動作部を制御するステップと、
前記第1の状態から、前記容器の内容物が前記容器の下端部に位置する第2の状態へ変化させるように、前記制御部が前記回転動作部を制御し、前記第1の状態の期間よりも前記第2の状態の期間が短くなるように制御するステップと、
前記第1の状態と前記第2の状態を交互に繰り返すように、前記制御部が前記回転動作部を制御するステップと、
を備える懸濁方法。
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