JPH0829424A - 免疫学的分析方法及び装置 - Google Patents

免疫学的分析方法及び装置

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JPH0829424A
JPH0829424A JP16378094A JP16378094A JPH0829424A JP H0829424 A JPH0829424 A JP H0829424A JP 16378094 A JP16378094 A JP 16378094A JP 16378094 A JP16378094 A JP 16378094A JP H0829424 A JPH0829424 A JP H0829424A
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JP
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solid phase
reaction mixture
reaction
antibody
suction nozzle
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JP16378094A
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Inventor
Tomoya Sakurai
智也 桜井
Yasushi Niiyama
也寸志 新山
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 免疫学的分析方法及び装置において、被測定
溶液内への目的とする測定対象物以外の物質の混入を低
減し、信頼性の高い測定を行うことができるようにす
る。また、検出部周辺への遊離状の標識物の非特異的吸
着を低減し、高精度の測定を行うことができるようにす
る。 【構成】 抗原抗体反応により生成された試料中の測定
対象物に固相及び標識物質が結合した複合体を含む反応
混合液を吸引ノズル5に導き、この吸引ノズル5におい
て反応混合液中の固相51を磁気的に捕捉し、次に、吸
引ノズル5内に分離用緩衝液を吸引ノズル5から見てフ
ローセル24とは逆方向に流し、遊離状の物質52をフ
ローセル24を経由させずに排出し、次に、固相51を
フローセル24に導入する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は免疫学的に生体液内の微
少成分を検出する免疫学的分析方法及び装置に係り、特
に、固相を捕捉してB/F分離を行うのに好適な免疫学
的分析方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】抗体はある特定の抗原に対して極めて特
異的に結合することが知られており、一般に抗原抗体反
応と呼ばれている。この抗原抗体反応を利用することに
より、生体中、特にヒト血液中の極微量の物質の存在、
あるいは、その物質の濃度を測定することが可能となる
ため、これを利用した免疫学的分析法は、近年、医療の
分野で広く利用され、特に各種疾患の早期診断等に役立
っている。
【0003】免疫学的分析法としては競合法と非競合法
が公知の方法であるが、抗原抗体反応を行った後の複合
体を捕捉しやすくする手段として、近年、特に固相を利
用する測定系が広く用いられている。例えば、非競合法
では、分析対象とする体液中の抗原に対して、不溶性の
固相に結合した抗体、及び何らかの物質で標識した抗体
を作用させ複合体を形成させるが、その抗体を結合する
ための固相としては、数μmから数mmまでの種々の粒
径の不溶性の粒子、あるいは、反応容器内壁を直接用い
た物が知られている。この反応において、体液中の抗体
の量と抗原抗体により生成する標識物質付きの複合体の
量は比例するため、固相に結合した標識物質を測定する
ことにより、体液中の抗原の存在及び量を知ることがで
きる。
【0004】しかし、上記免疫学的分析法においては、
通常、抗体量と添加される試薬の量は1:1の関係には
なく、抗原抗体反応により生成した結合型の標識物(b
ound form:B)と遊離状の標識物(free
form:F)の分離(B/F分離)が必要となる。
この操作は固相を何らかの方法で一時的に捕捉し、液相
部分を流しさることにより達成されるが、反応容器や専
用のカップをB/F分離に使用した場合、容器内の溶液
の置換に時間がかかるため分析装置の稼動効率は低下す
る、特別なB/F分離機構を必要とするためコストアッ
プを招く等の問題が生じる。
【0005】従来の免疫学的分析方法及び装置におい
て、上記の問題を解決するものとしては、特開昭60
−122374号公報及び特開昭61−132869
号公報に開示のものがある。従来技術は固相として磁
性粒子を使用し、この磁性粒子含む反応混合物を導管に
沿って次々にそして個別に流し、この導管内を流れる間
に各反応混合物中の磁性粒子を磁気的に捕捉し、その捕
捉した磁性粒子に対し洗浄液体を通すことによりB/F
分離を行うものである。一方、従来技術は反応混合物
を多孔質セラミック筒のフィルタに通すことによりB/
F分離を行うものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来技術においては、以下の問題点が存在する。従来技術
においては、複数の試料につき遊離状の標識物を含む
反応混合物を同一の導管内に次々に流すことになるた
め、試料中の所定の物質成分が導管内に付着することに
より次試料への汚染を引き起こし、被測定溶液内に目的
とする測定対象物以外の物質が混入し、その結果、他人
の抗体と反応して誤判定される等が発生し、信頼性が低
下すると共に、洗浄後の遊離状の標識物がそのまま検出
部の方向へ排出されるため、検出部周辺への非特異的吸
着を引き起こし、測定精度が劣化するという問題が生じ
る。
【0007】また、従来技術においても従来技術と
同様の問題がある。さらに、従来技術では多孔質セラ
ミック筒のフィルタの取り替えが困難であるため、長期
間使用していると徐々に試料中の所定の物質成分がフィ
ルタ内に付着することにより次試料への汚染を引き起こ
し、この場合においても、被測定溶液内に目的とする測
定対象物以外の物質が混入し、信頼性が低下するという
問題が生じる。
【0008】本発明の第1の目的は、被測定溶液内への
目的とする測定対象物以外の物質の混入を低減し、信頼
性の高い測定を行うことのできる免疫学的分析方法及び
装置を提供することにある。
【0009】本発明の第2の目的は、検出部周辺への遊
離状の標識物の非特異的吸着を低減し、高精度の測定を
行うことのできる免疫学的分析方法及び装置を提供する
ことにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の第1の概念によ
る免疫学的分析方法は、上記第1及び第2の目的を達成
するために次の構成を採用する。すなわち、抗原抗体反
応を利用して試料中の測定対象物を免疫学的に測定する
免疫学的分析方法において、試料と、固相としての磁性
粒子と、この磁性粒子を前記試料中の測定対象物に結合
させる抗体と、標識物質をラベルした標識抗体とを反応
容器内で混合して抗原抗体反応を行わせ、試料中の測定
対象物に固相及び標識物質が結合した複合体を含む反応
混合液を生成する第1手順と、前記反応容器内の反応混
合液を検出部に通ずる経路に導き、その経路の所定の部
位において前記反応混合液中の固相を磁気的に捕捉する
第2手順と、前記経路内に洗浄液を前記所定の部位から
見て前記検出部とは逆方向に流し、前記反応混合液中の
磁気的に捕捉されなかった遊離状の物質を前記検出部を
経由させずに経路外へ排出する第3手順と、前記磁気的
に捕捉した固相を前記検出部に導入する第4手順とを含
む。
【0011】本発明の第2の概念による免疫学的分析方
法は、上記第1の目的を達成するために次の構成を採用
する。すなわち、抗原抗体反応を利用して試料中の測定
対象物を免疫学的に測定する免疫学的分析方法におい
て、試料と、固相としての磁性粒子と、この磁性粒子を
前記試料中の測定対象物に結合させる抗体とを反応容器
内で混合して抗原抗体反応を行わせ、試料中の測定対象
物に固相が結合した第1複合体を含む第1反応混合液を
生成する第1手順と、前記反応容器内の第1反応混合液
を検出部に通ずる経路に導き、その経路の所定の部位に
おいて前記第1反応混合液中の固相を磁気的に捕捉する
第2手順と、前記経路内に洗浄液を前記所定の部位から
見て前記検出部とは逆方向に流し、前記第1反応混合液
中の磁気的に捕捉されなかった遊離状の物質を前記検出
部を経由させずに経路外へ排出する第3手順と、前記磁
気的に捕捉した固相を前記反応容器に戻し、標識物質を
ラベルした標識抗体と混合して抗原抗体反応を行わせ、
前記第1複合体の測定対象物及び固相に標識物質が結合
した第2複合体を含む第2反応混合液を生成する第4手
順と、前記反応容器内の第2反応混合液を前記経路に再
び導いて、前記経路の所定の部位において前記第2反応
混合液中の固相を磁気的に捕捉する第5手順と、前記経
路内に洗浄液を流し、前記第2反応混合液中の磁気的に
捕捉されなかった遊離状の物質を前記検出部を経由させ
ずに経路外へ排出する第6手順と、前記磁気的に捕捉し
た固相を前記検出部に導入する第7手順とを含む。
【0012】また、上記第2の概念による免疫学的分析
方法において、上記第2の目的を達成するため、前記第
6手順は、前記経路内に洗浄液を前記所定の部位から見
て前記検出部とは逆方向に流し、前記第2反応混合液中
の磁気的に捕捉されなかった遊離状の物質を前記検出部
を経由させずに経路外へ排出する。
【0013】上記第1及び第2の概念による免疫学的分
析方法において、好ましくは、前記経路は先端に位置す
る吸引ノズルとこの吸引ノズルを前記検出部に接続する
導管とからなり、前記所定の部位を前記吸引ノズルとす
る。
【0014】この場合、好ましくは、前記吸引ノズルと
して着脱可能なプラスチック製のディスポーザブルチッ
プを使用する。
【0015】また、上記第1及び第2の概念による免疫
学的分析方法において、好ましくは、前記標識物質とし
て電気化学的に発光する物質を使用し、前記検出部は電
極を有するものとし、前記検出部において電気化学発光
を利用することにより前記免疫複合体の前記標識物質の
量を測定する。
【0016】さらに、上記第1及び第2の概念による免
疫学的分析方法において、好ましくは、前記磁性粒子と
して比重が1.1〜1.4、粒径が2.5〜5μmのも
のを使用する。
【0017】また、本発明の免疫学的分析装置は、上記
第1及び第2の目的を達成するために次の構成を採用す
る。すなわち、抗原抗体反応を利用して試料中の特定成
分を免疫学的に測定する免疫学的分析装置において、試
料と、固相としての磁性粒子と、この磁性粒子を前記試
料中の測定対象物に結合させる抗体と、標識物質をラベ
ルした標識抗体とを混合して抗原抗体反応を行わせ、試
料中の測定対象物に固相及び標識物質が結合した複合体
を含む反応混合液を生成する反応容器と、前記反応容器
内の反応混合液を吸引するノズル及びその吸引ノズルを
検出部に接続する導管と、前記吸引ノズル及び導管を含
む経路の所定の部位に設置され、この所定の部位に導か
れた前記反応混合液中の固相を磁気的に捕捉する磁石
と、前記経路内に洗浄液を前記所定の部位からみて前記
検出部とは逆方向に流し、前記反応混合液中の磁気的に
捕捉されなかった遊離状の物質を前記検出部を経由させ
ずに排出する手段と、前記経路内に緩衝液を前記所定の
部位からみて前記検出部に向かう方向に流し、前記反応
混合液中の磁気的に捕捉された固相を前記検出部に導入
する手段とを備える。
【0018】上記免疫学的分析装置において、好ましく
は、前記磁石は前記吸引ノズルに隣接して設置される。
【0019】
【作用】以上のように構成した本発明の第1の概念によ
る免疫学的分析方法は、本発明を1ステップの分析法に
適用した場合のものであり、試料、固相としての磁性粒
子、この磁性粒子を試料中の測定対象物に結合させる抗
体及び標識物質をラベルした標識抗体を混合して抗原抗
体反応を行わせ、試料中の測定対象物に固相及び標識物
質が結合した複合体を含む反応混合液を生成し、検出部
に通ずる経路の所定の部位において反応混合液中の固相
を磁気的に捕捉し、経路内に洗浄液を所定の部位から見
て検出部とは逆方向に流して反応混合液中の遊離状の物
質を検出部を経由させずに経路外へ排出する。これによ
り、遊離状の物質に含まれる未反応の試料中の測定対象
物単体及びその複合体(標識抗体に試料中の測定対象物
が結合したもの、これにさらに磁性粒子用の抗体が結合
したもの)や遊離状の標識物(未反応の余剰標識抗体、
標識抗体に試料中の測定対象物が結合したもの、これに
さらに磁性粒子用の抗体が結合したもの)は経路の所定
の部位から検出部までの間を流れることはない。以上に
より、経路の所定の部位から検出部までの間に遊離状の
測定対象物単体及びその複合体が付着することによる次
試料への汚染が生じることはなく、被測定溶液内への目
的とする測定対象物以外の物質の混入が低減され、信頼
性の高い測定を行うことが可能となる。また、遊離状の
標識物による経路の特に検出部周辺への非特異的吸着が
低減され、高精度な測定を行うことが可能となる。
【0020】また、本発明の第2の概念による免疫学的
分析方法は、本発明を2ステップの分析法に適用した場
合のものであり、試料、固相としての磁性粒子及びこの
磁性粒子を試料中の測定対象物に結合させる抗体を混合
して抗原抗体反応を行わせ第1反応混合液を生成し、検
出部に通ずる経路の所定の部位において第1反応混合液
中の固相を磁気的に捕捉し、経路内に洗浄液を所定の部
位から見て検出部とは逆方向に流して第1反応混合液中
の遊離状の物質を経路外へ排出する。次に、磁気的に捕
捉した固相と標識物質をラベルした標識抗体を混合して
抗原抗体反応を行わせ、試料中の測定対象物に固相及び
標識物質が結合した第2複合体を含む第2反応混合液を
生成し、検出部に通ずる経路の所定の部位において第2
反応混合液中の固相を磁気的に捕捉し、経路内に洗浄液
を流して第2反応混合液中の遊離状の物質を検出部を経
由させずに経路外へ排出する。これにより、未反応の試
料中の測定対象物単体及びその複合体は経路の所定の部
位から検出部までの間を流れることはないため、その部
分に遊離状の測定対象物単体及びその複合体が付着する
ことによる次試料への汚染が生じることはなく、被測定
溶液内への目的とする測定対象物以外の物質の混入が低
減され、信頼性の高い測定を行うことが可能となる。
【0021】また、経路内に洗浄液を所定の部位から見
て検出部とは逆方向に流し、第2反応混合液中の磁気的
に捕捉されなかった遊離状の物質を検出部を経由させず
に経路外へ排出することにより、仮に第2複合体を生成
する標識抗体と測定対象物が分離し遊離したとしても、
それが経路の所定の部位から検出部までの間を流れるこ
とはないため、その部分に遊離状の測定対象物単体及び
その複合体が付着することによる次試料への汚染が生じ
ることはなく、被測定溶液内への目的とする測定対象物
以外の物質の混入が低減され、信頼性の高い測定を行う
ことが可能となる。また、未反応の余剰標識抗体も経路
の所定の部位から検出部までの間を流れることはないた
め、遊離状の標識物による経路の特に検出部周辺への非
特異的吸着が低減され、高精度な測定を行うことが可能
となる。
【0022】また、経路の所定の部位を経路の先端に位
置する吸引ノズルとすることにより、未反応の試料中の
測定対象物単体及びその複合体や遊離状の標識物は経路
の吸引ノズルから検出部までの間を流れることはないた
め、経路の吸引ノズルから検出部までの間に遊離状の測
定対象物単体及びその複合体が付着することによる次試
料への汚染が生じることはなく、被測定溶液内への目的
とする測定対象物以外の物質の混入がより低減され、最
も信頼性の高い測定を行うことが可能となる。また、遊
離状の標識物による経路の特に検出部周辺への非特異的
吸着がより低減され、最も高精度な測定を行うことが可
能となる。さらに、一般に使用される標識物質は非特異
的な吸着を起こしやすいため経路の洗浄操作が重要とな
るが、吸引ノズルのみを洗浄すればよいこととなるた
め、洗浄液が少なくてすみかつ洗浄時間が短縮される。
【0023】また、吸引ノズルとして着脱可能なプラス
チック製のディスポーザブルチップを使用することによ
り、上記洗浄操作が簡便になると共に、上記反応混合液
中の遊離状の測定対象物及びその複合体や遊離状の標識
物の経路への影響をいっそう防止できる。
【0024】また、標識物質として電気化学的発光物質
を使用する場合は、B/F分離し洗浄した後、固相を電
極を有する検出部に導き、電極に電位を与え標識物質を
発光させることになるが、この際、反応混合液中の遊離
状の物質は検出部を通らずに経路外へ送り出されるた
め、遊離状の標識物が電極上に非特異的に吸着すること
が防止され、測定精度の劣化のみならず電位の発生に悪
影響を与えることも防止される。
【0025】また、磁性粒子として比重が1.1〜1.
4、粒径が2.5〜5μmのものを使用することにより
高精度な測定が可能になると共に、磁性粒子である固相
が磁気的に捕捉された際、液の流れによる磁性粒子の落
下が防止され、かつ経路内での磁性粒子の詰まりが防止
される。
【0026】また、以上のように構成した本発明の免疫
学的分析装置においては、反応容器内の反応混合液を吸
引するノズル及びその吸引ノズルを検出部に接続する導
管を含む経路の所定の部位に磁石を設置し、その磁石に
より反応混合液中の固相を磁気的に捕捉した後、経路内
に洗浄液を所定の部位からみて検出部とは逆方向に流
し、反応混合液中の磁気的に捕捉されなかった遊離状の
物質を検出部を経由させずに排出することにより、上記
本発明の免疫学的分析方法を実施することができる。
【0027】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照して説明
する。まず、本発明の第1の実施例を図1〜図3により
説明する。図1において、本実施例の免疫学的分析装置
はターンテーブル1を有し、ターンテーブル1上には複
数の反応容器2がサークル状に配置され、この反応容器
2内で試料、磁性粒子からなる固相、この磁性粒子を試
料中の測定対象物に結合させる抗体及び標識物質をラベ
ルした標識抗体を混合して抗原抗体反応を行わせる。ま
た、ターンテーブル1に隣接して撹拌機3及び可動アー
ム9が取り付けられ、撹拌機3は撹拌機駆動装置4によ
り上下動または回転可能であり、可動アーム9は可動ア
ーム駆動装置8により上下動または回転可能である。可
動アーム9に固定された吸引ノズル5は着脱可能なプラ
スチック製のディスポーザブルチップであり、導管11
aに接続されている。この吸引ノズル5は反応容器2内
の抗原抗体反応により生成された反応混合液及び測定用
緩衝液ボトル12中の測定用緩衝液を吸引するのに使用
され、吸引ノズル5の可動範囲にノズル洗浄槽10が配
置されている。また、吸引ノズル5に隣接して永久磁石
6が設置されている。この永久磁石6は可動アーム9に
固定された磁石駆動装置7により移動可能であり、吸引
ノズル5に対する距離を変えることにより吸引ノズル5
に作用する磁場の強さを変化させる。
【0028】導管11aはフローセル24の入口に接続
されており、フローセル24の出口は導管11bを介し
てシリンジ31に接続されている。フローセル24は被
測定液に接する電極を有し、かつフローセル24に隣接
して永久磁石26が設置されている。この永久磁石26
は磁石駆動装置27により移動可能であり、フローセル
24に対する距離を変えることによりフローセル24に
かかる磁場の強さを変化させる。また、フローセル24
内の電極には発光用電源37より電位が印加され、電気
化学発光により生じる光がフォトマルチプライヤ25に
おいて検出される。増幅装置33はフォトマルチプライ
ヤ25に高電圧を印加し、かつフォトマルチプライヤ2
5により検出された信号を増幅しコントローラ34へ送
る。
【0029】コントローラ34はターンテーブル1、撹
拌機駆動装置4、磁石駆動装置7,27、増幅装置33
及び発光用電源37を制御するものであり、その他通信
用のインターフェイス、フロッピードライブ、演算処理
能力、及び表示装置を備えている。
【0030】導管11aは可動アーム9とフローセル2
4の間に電磁弁13,14を有し、電磁弁13と電磁弁
14の間で分岐した導管11cは電磁弁15を介してシ
リンジ21と接続され、電磁弁14とフローセル24の
間で分岐した導管11dは電磁弁22を介して廃液溜2
3と接続されている。導管11cの電磁弁15とシリン
ジ21の間からは導管11e,11f,11gが分岐
し、導管11eは電磁弁16を介して廃液溜23と接続
され、導管11fは電磁弁17を介して洗浄液ボトル1
9と接続され、導管11gは電磁弁18を介して分離用
緩衝液ボトル20と接続されている。また、導管11b
には電磁弁28が接続され、導管11bの電磁弁28と
シリンジ31の間からは導管11h,11i,11jが
分岐し、導管11fは電磁弁29を介して廃液溜23と
接続され、導管11iは電磁弁30を介して洗浄液ボト
ル32と接続され、導管11jは電磁弁35を介してコ
ンディショニング液ボトル36と接続されている。
【0031】次に、上記免疫学的分析装置を用いた本実
施例の免疫学的分析方法を説明する。本実施例の免疫学
的分析方法において、抗原抗体反応により形成される複
合体を担持する固相として磁性粒子を使用するが、この
磁性粒子は比重が1.1〜1.4であり、粒径が2.5
〜5μmのものを使用する。また、固相に抗体を結合さ
せる方法としては、固相に物理的に吸着または直接化学
的に結合する方法、ビオチン−アビジン等の特異的な結
合を利用して間接的に結合する方法等が知られている
が、本実施例においては結合強度の点から、直接化学的
に結合する方法、及び特異的な結合の利用による方法に
より行う。また、抗体の標識物質としては放射性物質、
蛍光発光物質、酵素、化学発光物質、及び電気化学発光
物質等が知られており、これら全ての標識物質を使用す
ることが可能であるが、本実施例においては電気化学発
光物質であるRu(ルテニュウム)化合物を使用する。
Ruを利用した電気化学的な発光法としては、例えば特
開昭64−500146号公報に開示のものがある。
【0032】本実施例の免疫学的分析方法による分析項
目としては、TSH(thyroid-stimulating hormone:
甲状腺刺激ホルモン)、T3(triiodothyronine:3,
3’,5−L−トリヨードチロニン)、HCG(human
chorionic gonadotropin:絨毛性性腺刺激ホルモン)、
CEA(carcinoembryonic antigen:がん胎児性抗
原)、AFP(α fetoprotein:αフェトプロテイン)
等があげられるが、これらは使用する抗体を変えること
により、装置の構成を変えずに行うことができる。
【0033】以下、第1の実施例による分析操作過程を
TSH分析を例にとり説明する。第1の実施例は1ステ
ップの抗原抗体反応による分析法である。
【0034】まず、ストレプトアビジンを直接結合した
直径約2.8μmの磁性粒子、ビオチンが直接結合した
抗TSH抗体、TSHを有する測定試料、標識物質とし
てRuが直接結合した抗TSH抗体をターンテーブル1
上に乗った反応容器2に分注し、ターンテーブル1及び
撹拌機3を駆動させて反応容器2内の溶液を一定時間撹
拌する。撹拌後、28℃で15分間加温することにより
抗原抗体反応を起こさせる。この抗原抗体反応により反
応容器2内において、測定試料中のTSHの濃度に比例
した量のRuが結合した固相複合体が形成される。
【0035】次に、可動アーム9を反応容器2の上方に
移動させた後、吸引ノズル5が反応容器2の液面に接す
る位置まで可動アーム9を下降させる。次いで、電磁弁
13,15を開き、電磁弁14,16,17,18は閉
じたままにし、この状態でシリンジ21の動作により反
応容器2内の測定試料中のTSHの濃度に比例した量の
Ruが結合した固相複合体を含む反応混合液を一定量吸
引する。このとき、吸引ノズル5内には、図2の(a)
に示すように、固相51と遊離状の物質52を含む反応
混合液が満たされる。ここで、固相51には測定試料中
のTSHの濃度に比例した量のRuが結合した固相複合
体に加えて、Ruが結合していない未反応の余剰磁性粒
子単体及びRuが結合していない磁性粒子の複合体が含
まれる。遊離状の物質52には主として未反応の余剰標
識抗体(Ruが直接結合した抗TSH抗体単体)が含ま
れ、その他、標識抗体に測定試料中のTSHが結合した
もの、これにさらに磁性粒子用の抗TSH抗体が結合し
たもの、未反応の余剰抗TSH抗体単体、未反応の測定
試料中のTSH単体が少量含まれる。遊離状の物質52
のうち測定試料中のTSH単体及びその複合体(標識抗
体に測定試料中のTSHが結合したもの、これにさらに
磁性粒子用の抗TSH抗体が結合したもの)は汚染の原
因となる物質である。また、遊離状の物質52のうち標
識物質が結合したもの(未反応の余剰標識抗体、標識抗
体に測定試料中のTSHが結合したもの、これにさらに
磁性粒子用の抗TSH抗体が結合したもの)を本明細書
ではまとめて遊離状の標識物という。
【0036】次に、電磁弁13,15を閉じ、電磁弁1
8を開き、シリンジ21の動作により分離用緩衝液ボト
ル20の分離用緩衝液をシリンジ21内に導きつつ、可
動アーム9を所定の位置まで上昇させ、磁石駆動装置7
により永久磁石6を吸引ノズル5の外壁に近づける。次
いで、ノズル洗浄槽10の上方に吸引ノズル5がくるよ
うに可動アーム9を回転させ、吸引ノズル5が所定位置
にきたら可動アーム9を下降させる。このとき、吸引ノ
ズル5内では、図2の(b)に示すように、永久磁石6
による磁場により固相51が吸引ノズル5の内壁に捕捉
された状態となる。
【0037】次に、電磁弁18を閉じ、電磁弁13,1
5を開き、シリンジ21の動作により吸引ノズル5内に
分離用緩衝液を流す。これにより、吸引ノズル5内の遊
離状の物質52は、図2の(c)に示すように、吸引ノ
ズル5の外に洗い流される。次いで、電磁弁13,15
を閉じ、電磁弁17を開き、シリンジ21の動作により
洗浄液ボトル19の洗浄液をシリンジ21内に導いた
後、電磁弁17を閉じ、電磁弁13,15を開き、シリ
ンジ21の動作によりシリンジ21内の洗浄液を吸引ノ
ズル5内に流し、吸引ノズル5内の洗浄を行う。さら
に、吸引ノズル5の外壁をノズル洗浄槽10において流
水により洗浄する。
【0038】次に、吸引ノズル5が測定用緩衝液ボトル
12の測定用緩衝液を吸引することが可能な位置まで可
動アーム9を移動させつつ、磁石駆動装置27により永
久磁石26をフローセル24に近づけ、固相51を捕捉
するに十分な磁場を作り出す。次いで、電磁弁13,1
4,28を開き、電磁弁15,22,29,30,35
を閉じ、測定用緩衝液ボトル12の測定用緩衝液をシリ
ンジ31の動作により吸引しフローセル24の方向へ引
きつつ、磁石駆動装置7により吸引ノズル5から永久磁
石6を遠ざける。これにより、図2の(d)に示すよう
に、固相51は測定用緩衝液の流れによりフローセル2
4へ導かれ、フローセル24内で固相51は永久磁石2
6の磁場により電極上に捕捉される。次いで、ノズル洗
浄槽10の上方に吸引ノズル5がくるように可動アーム
9を回転させ、吸引ノズル5が所定位置にきたら可動ア
ーム9を下降させる。次いで、電磁弁13,15を閉
じ、電磁弁17を開き、シリンジ21の動作により洗浄
液ボトル19の洗浄液をシリンジ21内に導いた後、電
磁弁17を閉じ、電磁弁13,15を開き、シリンジ2
1の動作によりシリンジ21内の洗浄液を吸引ノズル5
内に流し、吸引ノズル5内及び導管11内の洗浄を行
う。次いで、電磁弁13,15を閉じ、電磁弁18を開
き、シリンジ21の動作により分離用緩衝液ボトル20
の分離用緩衝液をシリンジ21内に導いた後、電磁弁1
8を閉じ、電磁弁13,15を開き、シリンジ21の動
作によりシリンジ21内の分離用緩衝液を吸引ノズル5
内及び導管11内に流し、次検体に備える。
【0039】一方、上記のようにフローセル24内の電
極上に固相51を捕捉した後、シリンジ31を停止さ
せ、電磁弁14,28を閉じ、その後、発光用電源37
によりフローセル24内の電極に電圧を印加する。この
電圧印加によりRu標識物質付き免疫複合体から被対象
TSH抗体の量に比例した光が放出され、この光はフォ
トマルチプライヤ25で検出され、その検出信号は増幅
装置33で増幅され、コントローラ34に送られる。コ
ントローラ34はこのRuの発光により得られた信号を
処理し、コントローラ34内に必要な情報を保存すると
共に、コントローラ34上の表示装置に表示する。
【0040】次に、磁石駆動装置27により永久磁石2
6をフローセル24から離し、フローセル24内の電極
上の磁場を解除する。次いで、電磁弁30を開き、シリ
ンジ31の動作により洗浄液ボトル32の洗浄液をシリ
ンジ31内に導いた後、電磁弁30を閉じ、電磁弁2
2,28を開き、シリンジ31の動作によりシリンジ3
1内の洗浄液をフローセル24に流し、発光終了後の複
合体を廃液溜23へ導く。次いで、電磁弁28を閉じ、
電磁弁35を開き、シリンジ31の動作によりコンディ
ショニング液ボトル36のコンディショニング液をシリ
ンジ31内に導いた後、電磁弁35を閉じ、電磁弁28
を開き、シリンジ31の動作によりシリンジ31内のコ
ンディショニング液を導管11及びフローセル24に流
し、次検体に備える。
【0041】既知の濃度のTSHを試料にして測定を行
った際の結果を図3に示す。図3において、実線a1は
本実施例の方法により行ったものであり、点線b1は従
来の方法により同一の試薬を用いて行った比較例であ
る。図3から分かるように、第1の実施例の方法により
行ったものは比較例に比べて、低濃度の検出感度が高く
かつ直線性が良くなるという結果が得られた。
【0042】以上のように第1の実施例においては、吸
引ノズル5において反応混合液中の固相51を磁気的に
捕捉し、導管11a内に分離用緩衝液ボトル20の分離
用緩衝液を吸引ノズル5から見てフローセル24とは逆
方向に流して反応混合液中の遊離状の物質52をフロー
セル24を経由させずに導管11a外へ排出しており、
反応混合液中の遊離状の物質52に含まれる測定試料中
のTSH単体及びその複合体(標識抗体に測定試料中の
TSHが結合したもの、これにさらに磁性粒子用の抗T
SH抗体が結合したもの)や遊離状の標識物(未反応の
余剰標識抗体、標識抗体に測定試料中のTSHが結合し
たもの、これにさらに磁性粒子用の抗TSH抗体が結合
したもの)が導管11a内の吸引ノズル5からフローセ
ル24までの間を流れることはない。このため、導管1
1a内に測定試料中のTSH単体及びその複合体が付着
することによる次試料への汚染が生じることはなく、被
測定溶液内への目的とする測定対象物以外の物質の混入
が低減され、信頼性の高い測定を行うことが可能とな
る。また、遊離状の標識物による導管11a内の特にフ
ローセル24周辺への非特異的吸着が低減され、高精度
な測定を行うことが可能となる。さらに、導管11a内
の洗浄操作の際、吸引ノズル5のみを洗浄すればよいこ
ととなるため、洗浄液ボトル19の洗浄液及び分離用緩
衝液ボトル20の分離用緩衝液が少なくてすみかつ洗浄
時間が短縮される。また、B/F分離に特別の位置及び
構成を必要とせず、かつB/F分離をフロー系で効率よ
く行うことができる。
【0043】また、吸引ノズル5として着脱可能なプラ
スチック製のディスポーザブルチップを使用したので、
導管11a内の洗浄操作が簡便になると共に、上記反応
混合液中の測定試料中のTSH単体及びその複合体や遊
離状の標識物の導管11a内への影響をいっそう防止で
きる。
【0044】また、本実施例では標識物質として電気化
学的発光物質であるRu化合物を使用し、B/F分離し
洗浄した後、固相51を電極を有するフローセル24に
導き、電極に電位を与え標識物質を発光させるが、この
ように標識物質として電気化学的発光物質を使用する際
には、遊離状の物質52はフローセル24を通らずに導
管11a外へ送り出されるため、遊離状の標識物が電極
上に非特異的に吸着することが防止され、測定精度の劣
化のみならず電位の発生に悪影響を与えることも防止さ
れる。
【0045】また、磁性粒子を比重が1.1〜1.4、
粒径が2.5〜5μmとしたので高精度な測定が可能と
なると共に、固相51が吸引ノズル5内に磁気的に捕捉
された際、液の流れによる磁性粒子の落下が防止され、
かつ導管11内での磁性粒子51の詰まりが防止され
る。
【0046】なお、本実施例においては、反応混合液中
の固相51を磁気的に捕捉する位置を吸引ノズル5内と
したが、固相51捕捉位置はそれに限らず、フローセル
24に通ずる導管11aの導管11cとの分岐点より上
流側の任意の位置であってもよい。この場合は、反応混
合液中の測定試料中のTSH単体及びその複合体は導管
11aの固相51捕捉位置からフローセル24までの間
を流れることはないため、その部分で測定試料中のTS
H単体及びその複合体が付着することによる次試料への
汚染が生じることはない。このため、導管11a内の汚
染は若干生じるが、導管11a内の全長が汚染される従
来技術に比して汚染の程度は少なく、被測定溶液内への
目的とする測定対象物以外の物質の混入が低減され、信
頼性の高い測定を行うことが可能となる。また、反応混
合液中の遊離状の標識物も導管11aの固相51捕捉位
置からフローセル24までの間を流れることはないた
め、その部分で遊離状の標識物による導管11a内への
非特異的吸着が生じることはない。このため、導管11
a内の非特異的吸着は若干生じるが、導管11a内の全
長に非特異的吸着が生じ、遊離状の標識物を検出部方向
に排出する従来技術に比して導管11a内の特にフロー
セル24周辺への非特異的吸着が低減され、高精度な測
定を行うことが可能となる。
【0047】本発明の第2の実施例を図1及び図4によ
り説明する。本実施例は本発明を2ステップの分析法に
適用したものである。この第2の実施例の免疫学的分析
方法も図1に示す前述した免疫学的分析装置により実施
し、また、使用する磁性粒子の特性、固相に抗体を結合
させる方法、抗体の標識物及び分析項目はすべて第1の
実施例と同じである。以下、第2の実施例による分析操
作過程をHCG分析を例にとり説明する。
【0048】まず、ストレプトアビジンを直接結合した
直径約2.8μmの磁性粒子、ビオチンが直接結合した
抗HCG抗体、HCGを有する測定試料をターンテーブ
ル1上に乗った反応容器2に添加し、ターンテーブル1
及び撹拌機3を駆動させて反応容器2内の溶液を一定時
間撹拌する。撹拌後、37℃で15分間加温することに
より、反応容器2内において、抗原抗体反応及びビオチ
ンとストレプトアビジンの結合を起こさせることによ
り、測定試料中のHCGと磁性粒子が結合した複合体が
形成される。
【0049】次に、可動アーム9を反応容器2の上方に
移動させた後、吸引ノズル5が反応容器2の液面に接す
る位置まで可動アーム9を下降させる。次いで、電磁弁
13,15を開き、電磁弁14,16,17,18は閉
じたままにし、この状態でシリンジ21の動作により反
応容器2内の測定試料中のHCGと磁性粒子が結合した
複合体を含む反応混合液を一定量吸引する。このとき、
吸引ノズル5内は、図4の(a)に示すように、固相5
1aと遊離状の物質52aを含む反応混合液が満たされ
る。ここで、固相51aにはRuが結合していない未反
応の余剰磁性粒子単体及びRuが結合していない磁性粒
子の複合体が含まれる。遊離状の物質52aには未反応
の余剰抗HCG抗体単体、未反応の測定試料中のHCG
単体が少量含まれる。
【0050】次に、電磁弁13,15を閉じ、電磁弁1
8を開き、シリンジ21の動作により分離用緩衝液ボト
ル20の分離用緩衝液をシリンジ21内に導きつつ、可
動アーム9を所定の位置まで上昇させ、磁石駆動装置7
により永久磁石6を吸引ノズル5の外壁に近づける。次
いで、ノズル洗浄槽10の上方に吸引ノズル5がくるよ
うに可動アーム9を回転させ、吸引ノズル5が所定位置
にきたら可動アーム9を下降させる。このとき、吸引ノ
ズル5内では、図4の(b)に示すように、永久磁石6
による磁場により固相51aが吸引ノズル5の内壁に捕
捉された状態となる。
【0051】次に、電磁弁18を閉じ、電磁弁13,1
5を開き、シリンジ21の動作によりシリンジ21内の
分離用緩衝液を吸引ノズル5内に流す。これにより、吸
引ノズル5内の遊離状の物質52aは、図4の(c)に
示すように、吸引ノズル5の外に洗い流される。次い
で、電磁弁13,15を閉じ、電磁弁17を開き、シリ
ンジ21の動作により洗浄液ボトル19の洗浄液をシリ
ンジ21内に導いた後、電磁弁17を閉じ、電磁弁1
3,15を開き、シリンジ21の動作によりシリンジ2
1内の洗浄液を吸引ノズル5内に流し、吸引ノズル5内
の洗浄を行う。さらに、吸引ノズル5の外壁をノズル洗
浄槽10において流水により洗浄する。
【0052】次に、吸引ノズル5が反応容器2の上方に
くるよう可動アーム9を移動させた後、磁石駆動装置7
により永久磁石6を吸引ノズル5の外壁から遠ざける。
次いで、電磁弁13,15を閉じ、電磁弁18を開き、
シリンジ21の動作により分離用緩衝液ボトル20の分
離用緩衝液をシリンジ21内に導いた後、電磁弁18を
閉じ、電磁弁13,15を開き、シリンジ21の動作に
よりシリンジ21内の分離用緩衝液を吸引ノズル5内に
流し、固相51aは、図4の(d)に示すように、吸引
ノズル5から反応容器2に戻される。
【0053】次に、反応容器2に標識物質としてRuが
直接結合した抗HCG抗体を分注し、撹拌機3を駆動さ
せて反応容器2内の溶液を一定時間撹拌する。撹拌後、
37℃で10分間加温することにより抗原抗体反応を起
こさせる。この抗原抗体反応により反応容器2内におい
て、測定試料中のHCG濃度に比例した量のRuが結合
した固相複合体が形成される。
【0054】次に、可動アーム9を反応容器2の上方に
移動させた後、吸引ノズル5が反応容器2の液面に接す
る位置まで可動アーム9を下降させる。次いで、電磁弁
13,15を開き、電磁弁14,16,17,18を閉
じた状態で、シリンジ21の動作により反応容器2内の
測定試料中のHCGの濃度に比例した量のRuが結合し
た固相複合体を含む反応混合液を一定量吸引する。この
とき、吸引ノズル5内は、図4の(e)に示すように、
固相51bと遊離状の物質52bを含む反応混合液が満
たされる。ここで、固相51bには測定試料中のHCG
の濃度に比例した量のRuが結合した固相複合体に加え
て、Ruが結合していない未反応の余剰磁性粒子単体及
びRuが結合していない磁性粒子の複合体が含まれる。
遊離状の物質52bには未反応の余剰標識抗体(Ruが
直接結合した抗HCG抗体単体)が含まれる。
【0055】次に、電磁弁13,15を閉じ、電磁弁1
8を開き、シリンジ21の動作により分離用緩衝液ボト
ル20の分離用緩衝液をシリンジ21内に導きつつ、可
動アーム9を所定の位置まで上昇させ、磁石駆動装置7
により永久磁石6を吸引ノズル5の外壁に近づける。次
いで、ノズル洗浄槽10の上方に吸引ノズル5がくるよ
うに可動アーム9を回転させ、吸引ノズル5が所定位置
にきたら可動アーム9を下降させる。このとき、吸引ノ
ズル5内では、図4の(f)に示すように、永久磁石6
による磁場により固相51bが吸引ノズル5の内壁に捕
捉された状態となる。
【0056】次に、電磁弁18を閉じ、電磁弁13,1
5を開き、シリンジ21の動作により吸引ノズル5内に
分離用緩衝液を流す。これにより、吸引ノズル5内の遊
離状の物質52bは、図4の(g)に示すように、吸引
ノズル5の外に洗い流される。次いで、電磁弁13,1
5を閉じ、電磁弁17を開き、シリンジ21の動作によ
り洗浄液ボトル19の洗浄液をシリンジ21内に導いた
後、電磁弁17を閉じ、電磁弁13,15を開き、シリ
ンジ21の動作によりシリンジ21内の洗浄液を吸引ノ
ズル5内に流し、吸引ノズル5内の洗浄を行う。さら
に、吸引ノズル5の外壁をノズル洗浄槽10において流
水により洗浄する。
【0057】以下、第1の実施例の場合と同様に、図4
の(h)に示すように、固相51bをフローセル24に
導入してフローセル24内の電極上に捕捉し、所定のシ
ーケンスによる電圧印加により放出される光をフォトマ
ルチプライヤ25で検出し、その後、フローセル24の
洗浄及びコンディショニングを行う。
【0058】既知の濃度のHCGを試料にして測定を行
った結果、濃度と得られる光の量との間に良好な比例関
係が得られた。
【0059】以上のように第2の実施例においては、吸
引ノズル5において反応混合液中の固相51a,51b
を磁気的に捕捉し、導管11a内に分離用緩衝液ボトル
20の分離用緩衝液を吸引ノズル5から見てフローセル
24とは逆方向に流して反応混合液中の遊離状の物質5
2a,52bをフローセル24を経由させずに導管11
a外へ排出しており、反応混合液中の測定試料中のHC
G単体及びその複合体(標識抗体に測定試料中のHCG
が結合したもの、これにさらに磁性粒子用の抗T3抗体
が結合したもの)や遊離状の標識物(未反応の余剰標識
抗体、標識抗体に測定試料中のHCGが結合したもの、
これにさらに磁性粒子用の抗HCG抗体が結合したも
の)は導管11a内の吸引ノズル5からフローセル24
までの間を流れることはない。このため、第1の実施例
と同様に、導管11a内に測定試料中のHCG単体及び
その複合体が付着することによる次試料への汚染が生じ
ることはなく、被測定溶液内への目的とする測定対象物
以外の物質の混入が低減され、信頼性の高い測定を行う
ことが可能となる。また、遊離状の標識物による導管1
1a内の特にフローセル24周辺への非特異的吸着が低
減され、高精度な測定を行うことが可能となる。さら
に、本実施例においては、固相51aと遊離状の物質5
2aを分離した後、固相51aと標識抗体を抗原抗体反
応させるようにしたので、測定試料中のHCG単体及び
その複合体が生成されることは極めて少なく、仮に固相
複合体を生成する標識抗体と測定試料中のHCGが分離
し遊離したとしても、上記の如く測定試料中のHCG単
体及びその複合体は導管11a内の吸引ノズル5からフ
ローセル24までの間を流れることはないため、導管1
1a内への影響をいっそう防止できる。
【0060】以上の第2の実施例においては、固相51
bを磁気的に捕捉した後、導管11a内に分離用緩衝液
ボトル20の分離用緩衝液を吸引ノズル5から見てフロ
ーセル24とは逆方向に流すことにより固相51bと遊
離状の物質52bとを分離するものとしたが、それに限
らず、吸引ノズル5から見てフローセル24と同方向に
流して反応混合液中の遊離状の物質52a,52bをフ
ローセル24を経由させずに導管11a外へ排出しても
よい。この場合は、未反応の余剰標識抗体がフローセル
24と同方向に導入されるため、固相51bと遊離状の
物質52bを分離する場合に比して導管11a内に非特
異的吸着が生じるが、導管11a内に測定試料中のHC
G単体及びその複合体が付着することによる次試料への
汚染が生じることはなく、被測定溶液内への目的とする
測定対象物以外の物質の混入が低減され、信頼性の高い
測定を行うことが可能となるという効果が得られる。
【0061】なお、第1及び第2の実施例において、固
相51,51a,51bを捕捉するための磁場の発生源
として永久磁石6,26を使用したが、電磁石を使用し
てもよく、この場合には、コイルに流れる電流を制御す
るための装置が必要になる。
【0062】また、本発明の免疫学的分析方法及び装置
は抗原抗体反応に限らず、特異的な結合性を示す反応で
あれば使用することが可能であり、例えばDNA(デオ
キシリボ核酸)とDNA、あるいはDNAとRNA(リ
ボ核酸)がその塩基配列により特異的に塩基対を形成す
る性質を利用し、遺伝子診断に使用することも可能であ
る。
【0063】
【発明の効果】本発明によれば、検出部に通ずる経路の
所定の部位において反応混合液中の固相を磁気的に捕捉
し、経路内に洗浄液を所定の部位から見て検出部とは逆
方向に流して反応混合液中の遊離状の物質を検出部を経
由させずに経路外へ排出するようにしたので、被測定溶
液内への目的とする測定対象物以外の物質の混入が低減
され、信頼性の高い測定を行うことが可能となる。ま
た、遊離状の標識物による経路の特に検出部周辺への非
特異的吸着が低減され、高精度な測定を行うことが可能
となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1及び第2の実施例による免疫学的
分析装置の構成を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施例によるB/F分離の様子
を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施例による分析結果を示す図
である。
【図4】本発明の第2の実施例によるB/F分離の様子
を示す図である。
【符号の説明】
2 反応容器 5 吸引ノズル 6 永久磁石 10 ノズル洗浄槽 11a 導管 12 測定用緩衝液ボトル 19 洗浄液ボトル 20 分離用緩衝液ボトル 21 シリンジ 24 フローセル 26 永久磁石 31 シリンジ 32 洗浄液ボトル 36 コンディショニング液ボトル 51,51a,51b 固相 52,52a,52b 遊離状の物質

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 抗原抗体反応を利用して試料中の測定対
    象物を免疫学的に測定する免疫学的分析方法において、 試料と、固相としての磁性粒子と、この磁性粒子を前記
    試料中の測定対象物に結合させる抗体と、標識物質をラ
    ベルした標識抗体とを反応容器内で混合して抗原抗体反
    応を行わせ、試料中の測定対象物に固相及び標識物質が
    結合した複合体を含む反応混合液を生成する第1手順
    と、 前記反応容器内の反応混合液を検出部に通ずる経路に導
    き、その経路の所定の部位において前記反応混合液中の
    固相を磁気的に捕捉する第2手順と、 前記経路内に洗浄液を前記所定の部位から見て前記検出
    部とは逆方向に流し、前記反応混合液中の磁気的に捕捉
    されなかった遊離状の物質を前記検出部を経由させずに
    経路外へ排出する第3手順と、 前記磁気的に捕捉した固相を前記検出部に導入する第4
    手順とを含むことを特徴とする免疫学的分析方法。
  2. 【請求項2】 抗原抗体反応を利用して試料中の測定対
    象物を免疫学的に測定する免疫学的分析方法において、 試料と、固相としての磁性粒子と、この磁性粒子を前記
    試料中の測定対象物に結合させる抗体とを反応容器内で
    混合して抗原抗体反応を行わせ、試料中の測定対象物に
    固相が結合した第1複合体を含む第1反応混合液を生成
    する第1手順と、 前記反応容器内の第1反応混合液を検出部に通ずる経路
    に導き、その経路の所定の部位において前記第1反応混
    合液中の固相を磁気的に捕捉する第2手順と、 前記経路内に洗浄液を前記所定の部位から見て前記検出
    部とは逆方向に流し、前記第1反応混合液中の磁気的に
    捕捉されなかった遊離状の物質を前記検出部を経由させ
    ずに経路外へ排出する第3手順と、 前記磁気的に捕捉した固相を前記反応容器に戻し、標識
    物質をラベルした標識抗体と混合して抗原抗体反応を行
    わせ、前記第1複合体の測定対象物及び固相に標識物質
    が結合した第2複合体を含む第2反応混合液を生成する
    第4手順と、 前記反応容器内の第2反応混合液を前記経路に再び導い
    て、前記経路の所定の部位において前記第2反応混合液
    中の固相を磁気的に捕捉する第5手順と、 前記経路内に洗浄液を流し、前記第2反応混合液中の磁
    気的に捕捉されなかった遊離状の物質を前記検出部を経
    由させずに経路外へ排出する第6手順と、 前記磁気的に捕捉した固相を前記検出部に導入する第7
    手順とを含むことを特徴とする免疫学的分析方法。
  3. 【請求項3】 請求項2記載の免疫学的分析方法におい
    て、前記第6手順は、前記経路内に洗浄液を前記所定の
    部位から見て前記検出部とは逆方向に流し、前記第2反
    応混合液中の磁気的に捕捉されなかった遊離状の物質を
    前記検出部を経由させずに経路外へ排出する手順である
    ことを特徴とする免疫学的分析方法。
  4. 【請求項4】 請求項1または2項記載の免疫学的分析
    方法において、前記経路は先端に位置する吸引ノズルと
    この吸引ノズルを前記検出部に接続する導管とからな
    り、前記所定の部位を前記吸引ノズルとすることを特徴
    とする免疫学的分析方法。
  5. 【請求項5】 請求項4記載の免疫学的分析方法におい
    て、前記吸引ノズルとして着脱可能なプラスチック製の
    ディスポーザブルチップを使用することを特徴とする免
    疫学的分析方法。
  6. 【請求項6】 請求項1または2記載の免疫学的分析方
    法において、前記標識物質として電気化学的に発光する
    物質を使用し、前記検出部は電極を有するものとし、前
    記検出部において電気化学発光を利用することにより前
    記免疫複合体の前記標識物質の量を測定することを特徴
    とする免疫学的分析方法。
  7. 【請求項7】 請求項1または2記載の免疫学的分析方
    法において、前記磁性粒子として比重が1.1〜1.
    4、粒径が2.5〜5μmのものを使用することを特徴
    とする免疫学的分析方法。
  8. 【請求項8】 抗原抗体反応を利用して試料中の特定成
    分を免疫学的に測定する免疫学的分析装置において、 試料と、固相としての磁性粒子と、この磁性粒子を前記
    試料中の測定対象物に結合させる抗体と、標識物質をラ
    ベルした標識抗体とを混合して抗原抗体反応を行わせ、
    試料中の測定対象物に固相及び標識物質が結合した複合
    体を含む反応混合液を生成する反応容器と、 前記反応容器内の反応混合液を吸引するノズル及びその
    吸引ノズルを検出部に接続する導管と、 前記吸引ノズル及び導管を含む経路の所定の部位に設置
    され、この所定の部位に導かれた前記反応混合液中の固
    相を磁気的に捕捉する磁石と、 前記経路内に洗浄液を前記所定の部位からみて前記検出
    部とは逆方向に流し、前記反応混合液中の磁気的に捕捉
    されなかった遊離状の物質を前記検出部を経由させずに
    排出する手段と、 前記経路内に緩衝液を前記所定の部位からみて前記検出
    部に向かう方向に流し、前記反応混合液中の磁気的に捕
    捉された固相を前記検出部に導入する手段とを備えるこ
    とを特徴とする免疫学的分析装置。
  9. 【請求項9】 請求項8記載の免疫学的分析装置におい
    て、前記磁石は前記吸引ノズルに隣接して設置されるこ
    とを特徴とする免疫学的分析装置。
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