WO2023079962A1 - 免疫分析方法および免疫分析装置 - Google Patents

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Abstract

洗浄工程が不要な免疫分析方法および免疫分析装置を提供する。本発明に係る免疫分析方法は、分析対象物質(1)と、前記分析対象物質(1)と特異的に結合する第一捕獲材(2)を有する第一標識分子(3)と、前記分析対象物質(1)と特異的に結合する第二捕獲材(4)を有する磁気微粒子(5)とを同一の溶液中で反応させる第一工程と、前記第一工程で反応させた溶液と、前記第一標識分子(3)と特異的に結合する第二標識分子(7)が表面に固定された磁気センサ(8)とを接触させ、そのまま前記磁気微粒子(5)によって誘起された磁界の強さを前記磁気センサ(8)で検出する第二工程と、を有する。

Description

免疫分析方法および免疫分析装置
 本発明は、免疫分析方法および免疫分析装置に関する。
 試料中の特定の生体物質を定量分析する方法は、生体内の反応・状態を調べる上で必要不可欠なものであり、臨床診断、薬剤の薬効や副作用の評価など幅広く用いられている。分析方法としては、ELISA(Enzyme-Linked Immuno-Sorbent Assay、酵素結合免疫吸着法)やECL(Electro-Chemical Luminescence、電気化学発光法)が一般的に用いられている。
 また、分析対象物質を特異的に捕獲、標識して分析する分析方法として、抗体を用いたものがある(免疫分析方法)。一般的に、抗体と、タンパクなどの分析対象物質との結合形成は平衡反応であり、結合過程だけでなく解離過程も同時に起こる。そのため、免疫分析方法では、結合過程よりも解離過程が起こり難い抗体、すなわち、解離定数(=解離速度定数/結合反応速度定数)が小さい抗体を選んで使用するのが一般的である。しかし、分析対象物質によっては、解離定数が十分小さい抗体を選ぶことが困難な場合がある。
 さらに、近年、分析方法に関して、例えば、特許文献1に記載の技術(標的物質の検出方法)が提案されている。特許文献1に記載の技術は、次の(a)~(e)の工程を有する。(a)は、非特異吸着防止膜を有する基体と、標的物質を特異的に捕捉する第1のリガンド分子を有する粒子と、前記標的物質を特異的に捕捉する部位および光照射により前記非特異吸着防止膜に結合する光照射結合部位を有する第2のリガンド分子と、を用意する工程である。(b)は、反応媒体中で前記第1のリガンド分子および前記第2のリガンド分子を前記標的物質に結合させ、前記第1のリガンド分子を有する粒子と前記標的物質と前記第2のリガンド分子とを含んで構成される複合体を形成する工程である。(c)は、前記複合体をB/F分離によって分離する工程である。(d)は、光照射により、前記複合体に含まれる第2のリガンド分子中の光照射結合部位を前記非特異吸着防止膜に結合させる工程である。(e)は、前記非特異吸着防止膜に固定された粒子の有無または量を検出する工程である。
特開2009-288069号公報
 しかしながら、特許文献1に記載の標的物質の検出方法をはじめ、従来の分析方法はいずれも分析対象物質を正確に定量するため、分析の際に未反応の標識材やリガンド分子などを除去する洗浄工程(B/F分離工程)を行う必要があった。なお、B/F分離とは、Bound(結合)/Free(遊離)分離のことであり、洗浄工程による洗浄と同義である。これらの工程を行うと、ELISAなどの分析方法においては、分析対象物質を含む錯体の解離反応を避けることができなかった。また、特許文献1に記載の標的物質の検出方法においては、複合体(サンドイッチ錯体)の解離反応が必然的に生じてしまう。その結果、従来の分析方法はいずれも最終的な発光強度や信号強度などの低下を招き、感度が低下するため、分析対象物質を正確に定量することができなかった。
 さらに、抗体医薬品などのバイオ医薬品服用に伴って産生される抗薬物抗体を検出する場合には薬剤を捕獲材として用いるが、十分小さな解離定数を持つことが担保されない場合が多い。また、がんに罹患した際に産生される自己抗体は、がん特異的マーカとしてがんの早期診断に役立つことが大いに期待されている。がん特異的マーカの検出には、がん由来の組織構成物を自己抗体の捕獲材として用いることになる。しかし、抗原となるがん組織に対する自己抗体の結合力には個人間差が大きく、診断としてみた際の感度が低くなる恐れがある。すなわち、十分小さな解離定数を持たない薬剤や抗体を用いて複合体を形成させた後に洗浄工程を行うと複合体から捕獲材が解離してしまう。その結果、発光強度や信号強度などの低下を招き、感度が低下するため、分析対象物質を正確に定量することができなかった。
 本発明の目的は、洗浄工程が不要な免疫分析方法および免疫分析装置を提供することにある。
 本発明に係る免疫分析方法は、分析対象物質と、前記分析対象物質と特異的に結合する第一捕獲材を有する第一標識分子と、前記分析対象物質と特異的に結合する第二捕獲材を有する磁気微粒子とを同一の溶液中で反応させる第一工程と、前記第一工程で反応させた溶液と、前記第一標識分子と特異的に結合する第二標識分子が表面に固定された磁気センサとを接触させ、そのまま前記磁気微粒子によって誘起された磁界の強さを前記磁気センサで検出する第二工程と、を有する。
 本発明によれば、洗浄工程が不要な免疫分析方法および免疫分析装置を提供できる。
免疫分析方法における第一工程の内容を示す概略図。 免疫分析方法における第二工程の内容を示す概略図。 免疫分析装置の構成を示す概略構成図。 抗原濃度に対する磁気信号強度をプロットしたグラフ(横軸は抗原濃度(CEA濃度(pM))、縦軸は磁気信号強度)。
 次に、適宜図面を参照して一実施形態を説明する。参照する図面において、図1は、免疫分析方法における第一工程の内容を示す概略図である。図2は、免疫分析方法における第二工程の内容を示す概略図である。
[免疫分析方法]
 本実施形態に係る免疫分析方法(以下、「本分析方法」と呼称する場合がある)は、第一工程と、第二工程とを有する。
 図1に示すように、第一工程は、分析対象物質1と、分析対象物質1と特異的に結合する第一捕獲材2を有する第一標識分子3と、分析対象物質1と特異的に結合する第二捕獲材4を有する磁気微粒子5とを同一の溶液中で反応させる工程である。第一工程において溶液中でこれらが反応すると、サンドイッチ錯体6が生成される。
 図2に示すように、次いで行う第二工程は、第一工程で反応させた溶液と、第一標識分子3と特異的に結合する第二標識分子7が表面に固定された磁気センサ8とを接触させ(より詳細には、前記溶液と、磁気センサ8の表面に固定された前記第二標識分子7とを接触させ)、そのまま磁気微粒子5によって誘起された磁界の強さを磁気センサ8で検出する工程である。
 分析対象物質1は、第一捕獲材2および第二捕獲材4と特異的に結合できるものであればどのようなものも対象となる。そのような分析対象物質1として、例えば、SCC、CXA-125、CEA、SLX、CYFRA、NSE、ProGRP、AFP、PIVKA-II、CA19-9、PSA、CA-125、CA15-3、NCC-ST-439、STN、Elastase I、βHCGなどの腫瘍マーカが挙げられるが、これらに限定されない。
 第一捕獲材2および第二捕獲材4は、分析対象物質1と特異的に結合するものであることが好ましい。第一捕獲材2および第二捕獲材4は、互いに分析対象物質1に対するエピトープ(認識部位)が異なることが好ましい。第一捕獲材2および第二捕獲材4は、第一捕獲材2、分析対象物質1、第二捕獲材4から構成されるサンドイッチ錯体6(複合体)を形成できるものが好ましい。第一捕獲材2および第二捕獲材4は、例えば、モノクローナル抗体、モノクローナル抗体の抗原結合断片、単鎖抗体および抗体の結合領域を含む遺伝子構築物であることが好ましい。また、分析対象物質1が、自己抗体の場合には、薬剤や腫瘍組織などの構成物の一部の化合物や組織断片あるいは類似組成物であることが好ましい。
 第一捕獲材2には第一標識分子3を予め修飾しておく。第一標識分子3としては、例えば、ビオチン、ディゴキシゲニンなどを用いることができる。第一捕獲材2への第一標識分子3の修飾は、例えば、アミノ基と選択的に反応することが知られている官能基、例えば、N-ヒドロキシスクシンアミドとビオチンが炭素鎖で結ばれた市販の化合物を用いることで行うことができる。また、第一捕獲材2への第一標識分子3の修飾は、第一捕獲材2として抗体を用いる場合には、予め抗体のヒンジ部位のジスルフィド結合を還元剤で切断し、生成したスルフヒドリル基とビオチンとマレイミド基とが炭素鎖で結ばれた市販の化合物を用いることで行うことができる。また、第一捕獲材2がスルホヒドリル基を有する場合には、同様に、ビオチンとマレイミド基とが炭素鎖で結ばれた市販の化合物を用いることで、第一標識分子3の修飾を行うことができる。
 第二捕獲材4は、磁気微粒子5の表面に予め固定されている。磁気微粒子5には、フェライトなどの磁性材料微粒子をデキストランなどの高分子や脂質で包み込んだ微粒子を用いることができる。分散性と磁気センサ8による検出性を合わせて考慮すると、磁気微粒子5は超常磁性を有していることが好ましい。磁気微粒子5の粒子径は、分散性、超常磁性、反応速度などの観点で選択することが好ましく、1μm以下が適しており、より好ましくは300nm以下が適している。第二捕獲材4を磁気微粒子5の表面に固定する方法は、磁気微粒子5の表面被覆材料に大きく依存する。これらを固定する方法としては、例えば、カルボキシメチルデキストランで被覆した磁気微粒子5を用いた場合、磁気微粒子5の表面に存在するカルボキシル基と第二捕獲材4のアミノ基との間で、カルボジイミドをリンキング試薬として用いることが挙げられる。このようにすると、これらの基の結合反応を容易に行うことができ、第二捕獲材4の磁気微粒子5表面への固定を容易に実施することができる。また、これらを固定する方法としては、例えば、脂質で被覆した磁気微粒子5を用いた場合、磁気微粒子5の表面に存在する水酸基と第二捕獲材4のアミノ基との間で臭化シアンをリンキング薬としたカップリング反応を用いることが挙げられる。この場合も前記同様、これらの基の結合反応を容易に行うことができ、第二捕獲材4の磁気微粒子5表面への固定を容易に実施することができる。
 第二工程で用いる磁気センサ8は、その構成によらず、磁気微粒子5を検出できればよい。磁気センサ8としては、例えば、ホール素子、磁気抵抗効果素子、巨大磁気抵抗効果(GMR)素子、トンネル磁気抵抗効果素子、スクイッド(超伝導量子干渉計)素子などを用いることができる。磁気センサ8の表面には、第二標識分子7を固定するのに適した表面処理を施すことが好ましい。例えば、磁気センサ8の表面にシリコン酸化膜の薄膜を蒸着しておき、その上にアミノシランなどを用いて吸着力の強い膜を形成しておくことが好ましい。
 磁気センサ8の表面に固定される第二標識分子7は、第一標識分子3と特異的に結合する。つまり、第二標識分子7は、第一標識分子3に応じて適切なものを選択するとよい。例えば、第一標識分子3にビオチンを用いた場合は、第二標識分子7はアビジンまたはストレプトアビジンを選択するとよい。また、例えば、第一標識分子3にディゴキシゲニンを用いた場合は、第二標識分子7はアンチ-ディゴキシゲニン抗体を選択するとよい。
 前述したように、第二工程では、第一工程で反応させた溶液と、第一標識分子3と特異的に結合する第二標識分子7が表面に固定された磁気センサ8とを接触させ、そのまま磁気微粒子5によって誘起された磁界の強さを磁気センサ8で検出する。磁気センサ8は、磁気センサ8の表面に、第二標識分子7、第一標識分子3、第一捕獲材2、分析対象物質1および第二捕獲材4を介して固定された磁気微粒子5の存在量に比例した出力信号を得ることができる。ここで、「そのまま」とは、第一工程で反応させた溶液と磁気センサ8とを接触させた後、洗浄工程(B/F分離)を行わずに前記溶液中でそれらを接触させた状態を維持することをいう。つまり、本分析方法は、第一工程において溶液中でサンドイッチ錯体6を形成した後、第二工程で当該溶液を磁気センサ8に接触させ、洗浄工程を行わずに前記溶液中で磁気センサ8の信号を検出するものである。このようにすると、洗浄を行わないので、サンドイッチ錯体6における解離反応が起き難くなり、最終的な発光強度や信号強度などが低下し難くなる。そのため、本分析方法は、感度が低下し難く、分析対象物質1を正確に定量できる。なお、本分析方法が洗浄工程を行わないにも関わらず、分析対象物質1を正確に定量できる理由については後ほど説明する。
 なお、磁気微粒子5による磁界は、外部磁場発生装置10で磁場を印加することにより発生させることができる。外部磁場発生装置10は、例えば、同一の二つのコイルを同一の中心軸を持つように配置されたヘルムホルツコイルを用いることができる。
 本分析方法の一例を具体的に説明する。分析対象物質1の分析は以下のように実施できる。
 まず、第一工程では、図1に示すように、バッファー液に分析対象物質1を含む試料と、第一標識分子3を予め修飾しておいた第一捕獲材2と、第二捕獲材4を予め表面に固定した磁気微粒子5とを混合し、混合液9を調製する。バッファー液は、例えば、リン酸バッファーなどのpHを7.0などの所定のpHになるよう調製されたものを用いることができる。混合液9には、非特異的な反応を抑制するために、ウシ血清アルブミン、マウスIgGなどのブロッキング材を含めてもよい。
 混合液9は、反応容器に入れて室温や37℃などの所定の温度で30分や60分などの所定の時間、反応させる。当該反応には、振とう機などの攪拌手段を用いることが、反応効率を高める上で好ましい。反応終了後、図1に示すように、サンドイッチ錯体6が形成される。
 次に、第二工程では、図2に示すように、サンドイッチ錯体6を含む混合液9を、精製や洗浄することなく、そのまま、第一標識分子3と特異的に結合する第二標識分子7が表面に固定された磁気センサ8に、所定の時間、所定の環境下で接触させる。また、第二工程では、サンドイッチ錯体6を含む混合液9を所定の容器に入れ、そこに磁気センサ8を浸漬することもできる。さらに、第二工程では、磁気センサ8の表面にサンドイッチ錯体6を含む混合液9を液滴として滴下し、十分に湿度が高い環境下に所定の時間静置することもできる。
 なお、前記したように、第一標識分子3と特異的に結合する第二標識分子7の組み合わせには、各々例えば、ビオチンとアビジンまたはストレプトアビジンとの組み合わせや、ディゴキシゲニンとアンチ-ディゴキシゲニン抗体との組み合わせを用いることができる。磁気センサ8の表面に第二標識分子7を固定する方法としては、例えば、磁気センサ8の表面にアミノプロピルシランやポリ(L-リジン)を予めコートしておき、その上に第二標識分子7を含む溶液を接触させる。このようにすると、物理吸着によって、第二標識分子7が磁気センサ8の表面に固定される。
 本分析方法では、磁気センサ8の表面に固定する第二標識分子7の量は、第一標識分子3の全量の少なくとも1/10以上とすることが好ましく、1/4以上とすることがより好ましく、1/2以上とすることがさらに好ましい。このようにすると、高感度な検出が可能になる。さらに好ましくは、磁気センサ8の表面に固定された第二標識分子7の量は、第一標識分子3の量よりも多いことである。サンドイッチ錯体6の作製に関わらない未反応の第一捕獲材2も、第一標識分子3と第二標識分子7の結合を介して、磁気センサ8の表面に固定される。第二標識分子7の量が第一標識分子3の量よりも少ないと、サンドイッチ錯体6が磁気センサ8の検出に必要な量を下回る可能性がある。これは、第一標識分子3で修飾された未反応の第一捕獲材2の方が、サンドイッチ錯体6よりも分子サイズとして小さいため、優先的に磁気センサ8の表面に存在する第二標識分子7に捕捉される可能性があるためである。従って、磁気センサ8に固定された第二標識分子7の量は、第一標識分子3の量よりも多いことが、高感度を得るためには好ましい。なお、磁気センサ8の単位面積当たりの固定される第二標識分子7の上限量は、磁気センサ8の面積と第二標識分子7の大きさ(占有面積)とで決まる。例えば、第二標識分子7の長さが一辺約6nmである場合、単位面積1μm中には、計算上、1000nm×1000nm÷36nm=約27800個が上限値となる。
 そして、第二工程では、サンドイッチ錯体6を含む溶液(混合液9)と磁気センサ8とを接触させた後、そのまま、磁気センサ8の表面上に固定された磁気微粒子5の量を算出する。磁気微粒子5の量の算出は、磁気センサ8の出力を読み取るための読み取り装置11とその出力を演算・記憶するための制御装置12とを用い、磁気センサ8の表面上に固定された磁気微粒子5の量、すなわち、サンドイッチ錯体6の量を算出する。前述したように、磁気センサ8は、表面に付着した磁気微粒子5の存在量に比例した出力信号を得ることができる。磁気センサ8として巨大磁気抵抗センサを用いた場合は、磁気センサ8とそれに接する磁気微粒子5を含む溶液に磁場を印加する。磁場の印加は、前記した外部磁場発生装置10で行うことができる。外部磁場発生装置10は超常磁性を有する磁気微粒子5に磁化を帯びさせ、その誘起された磁界の強さを磁気センサ8で検出する。
 磁界の強さは距離の3乗に比例して減衰する。また、磁気センサ8は、磁気センサ8の表面から凡そ500nm以内に存在し、かつ所定時間留まる磁気微粒子5の磁界だけ検出できる。すなわち、サンドイッチ錯体6に含まれない溶液中に分散している未反応の磁気微粒子13は、たとえ一時500nm以内に存在したとしても一所に留まることはないので、磁気センサ8で検出されない。そのため、本分析方法では第二工程において未反応の磁気微粒子13を洗浄・除去せずとも、サンドイッチ錯体6の量を正確に定量できる。なお、磁気センサ8として巨大磁気抵抗センサを用いた場合には、磁気センサ8の抵抗値を読み取り装置11で測定し、読み取り装置11で測定した測定値を制御装置12に取り込み、演算、データ保管、表示等を実施する。制御装置12は、一般的なコンピュータや磁気センサ8による測定のために開発された専用の制御機器を用いることができる。
 サンドイッチ錯体6を磁気センサ8で検出するための条件は以下のようになる。
 第一標識分子3を有する第一捕獲材2の分子数をa、分析対象物質1の分子数をb、磁気センサ8の面積をf(μm)、第二標識分子7の分子数をg、磁気センサ8がその表面に固定された磁気微粒子5を検出できる最小の磁気微粒子密度をh(個/μm)とする。溶液中におけるサンドイッチ錯体6の形成反応効率は100%とする。結合速度定数が10~10(M-1-1)程度の抗体を第一捕獲材2および第二捕獲材4に用い、反応時の捕獲材濃度が1nM以上であり、反応時間を1時間程度とすることで、サンドイッチ錯体6の形成反応効率を100%近い高い値にすることは容易にできる。また、磁気センサ8上に固定されるサンドイッチ錯体6の固定密度は、b×g/a/fで与えられる。この固定密度が磁気センサ8の検出感度(前記最小の磁気微粒子密度h)よりも高くなれば、サンドイッチ錯体6、すなわち分析対象物質1を定量・検出できることになる。
 そのためには、第二標識分子7(分子数g)と第一標識分子3を有する第一捕獲材2(分子数a)の比率が、g/a>h×f/b、すなわち、b×g/a/f>hを満たすように設定しておけばよい。例えば、分析対象物質1を10fMの検出感度(分子数b=10×10-15×6×1023×400×10-6=24×10個)で検出することを考える。反応溶液のボリュームを400μL、磁気センサ8の面積を100μm×120μm、検出感度(磁気センサ8がその表面に固定された磁気微粒子5を検出できる磁気微粒子密度(個数/磁気センサ8の単位面積))を0.1個/μm、第一標識分子3を有する第一捕獲材2の濃度を1nM(分子数a=1×10-9×6×1023×400×10-6=24×1010個)とすると、第二標識分子7の分子数gは、1.2×10個以上あればよい。仮に、第二標識分子7にストレプトアビジン、第一標識分子3にビオチンを用いるとすると、ストレプトアビジンの長さは一辺約6nmであることから、磁気センサ8の面積100μm×120μm上に固定されるストレプトアビジンの分子数は約3×10個となり、10fMの検出感度は十分実現できる。
[免疫分析装置]
 次に、図3を参照して、免疫分析装置100について説明する。なお、既に説明した要素については同一の符号を付し、説明を省略する場合がある。図3は、免疫分析装置100の構成を示す概略構成図である。
 図3は、水平面であるXY平面に設置された免疫分析装置100を上(Z方向)から見た平面の構成を示している。X方向およびY方向は水平面を構成する互いに直交する方向であり、ここでは、X方向は免疫分析装置100の横幅の方向に対応し、Y方向は免疫分析装置100の縦幅の方向に対応している。Z方向は、X方向およびY方向に垂直な鉛直方向であり、免疫分析装置100の高さ方向に対応している。また、これに加えて、図3には、水平面において試薬ディスク112の半径方向Rと、試薬ディスク112の円周方向Cとを示している。
 図3に示すように、免疫分析装置100は、反応部200と、検出部300と、洗浄部400と、入力部500とを備えている。
 反応部200は、分析対象物質1と、分析対象物質1と特異的に結合する第一捕獲材2を有する第一標識分子3と、分析対象物質1と特異的に結合する第二捕獲材4を有する磁気微粒子5とを同一の溶液(混合液9)中で反応させる。
 検出部300は、この溶液と、第一標識分子3と特異的に結合する第二標識分子7が表面に固定された磁気センサ8とを接触させ、そのまま磁気微粒子5によって誘起された磁界の強さを磁気センサ8で検出する。
 洗浄部400は、反応部200または検出部300に近接して設けられ、洗浄液を注入して除去することにより、分析対象物質1と結合していない第一標識分子3および磁気微粒子5を除去する。
 入力部500は、ユーザが免疫分析装置100に対して様々な情報の入力や操作を行う入力装置である。免疫分析装置100が図3に示すような制御コンピュータ123を有している場合、入力部500としてはキーボードやマウスが該当する。また、免疫分析装置100が画面の表示および情報の入力を直接行うことのできるタッチパネルなどを備えている場合、入力部500としては当該タッチパネルなどが該当する。
 免疫分析装置100におけるこれらの要素は、従来の免疫分析装置と同様である。なお、従来の免疫分析装置としては、例えば、国際公開第2019/159609号に記載の自動分析装置が挙げられる。免疫分析装置100の基本的な構成や動作等は当該公報に記載の自動分析装置を参考にすることができる。
 そして、免疫分析装置100は、前記した入力部500に、洗浄部400に対して洗浄を行わないモードの選択が可能な選択部(図示せず)が設けられている。選択部は、スイッチやボタンなどであってもよく、また、画面の所定の位置に表示されるメニューボタンのようなものであってもよい。
 免疫分析装置100は、入力部500で洗浄を行わないモードが選択されたら、洗浄液の注入と除去を行わずに溶液のまま検出部300で磁気センサ8の信号を検出する。
 つまり、本実施形態に係る免疫分析装置100は、洗浄工程を行う一般的な免疫分析を実施することができるが、十分小さな解離定数を持たない捕獲材(例、薬剤や抗体、生体組織の組成物など)を用いる場合は、洗浄を行わないモードを選択することにより、洗浄を行わない前記した免疫分析方法を実施することができる。
 免疫分析装置100の一例について、図3を参照してより具体的に説明する。
 図3に示すように、免疫分析装置100は、制御コンピュータ123、ラック搬送部120、ラック搬送ライン118、サンプル分注機構103、インキュベータ(反応ディスク)104、搬送機構106、保持部材107、反応容器攪拌機構108、廃棄孔109、試薬ディスク112、試薬分注機構114、磁気微粒子攪拌装置115、反応容器搬送機構116、検出ユニット117を有する。
 制御コンピュータ123は、免疫分析装置100の分析依頼情報に基づいて各機構を制御して、分析のための各工程を実現する。工程には分注工程や洗浄工程などが含まれる。また、制御コンピュータ123は、前記したように、ユーザに対するインタフェースを提供する。つまり、制御コンピュータ123が入力部500に相当する。
 免疫分析装置100が分析対象とするサンプル(分析対象物質1)はサンプル容器102に収容されている。サンプル容器102はラック101に架設された状態で免疫分析装置100に搬入される。ラック搬送部120は、外部と免疫分析装置100との間でラック101を搬入または搬出する機構である。また、ラック搬送部120には、免疫分析装置100の電源投入指示部121および電源切断指示部122が備えられている。電源投入指示部121および電源切断指示部122は、免疫分析装置100を操作するユーザが入力操作するボタンである。なお、制御コンピュータ123の表示部に、電源投入指示部121および電源切断指示部122に相当するメニューボタンを備えてもよい。
 ラック搬送部120により搬入されたラック101は、ラック搬送ライン118によってサンプル分注機構103近傍のサンプル分注位置まで移動される。インキュベータ104は、その円周部に複数の反応容器105を設置することができる。インキュベータ104は、円周方向に設置された反応容器105をそれぞれ所定位置に移動させる回転運動を行うことができる。
 搬送機構106は、X、Y、Zの3軸の各方向に移動可能である。搬送機構106は、サンプル分注チップと反応容器105とを搬送する機構である。搬送機構106は、サンプル分注チップおよび反応容器105を保持する保持部材107、反応容器105を攪拌する反応容器攪拌機構108、サンプル分注チップまたは反応容器105を廃棄する廃棄孔109、サンプル分注チップ装着位置110、およびインキュベータ104の所定箇所の範囲を移動する。
 保持部材107には、未使用の反応容器105および未使用のサンプル分注チップが複数個保持されている。なお、未使用の反応容器105の内側の表面に、前記した第二標識分子7が表面に固定された磁気センサ8が設けられている。
 まず、搬送機構106は、保持部材107の上方に移動し、下降して未使用の反応容器105を把持した後に上昇する。そして、搬送機構106は、インキュベータ104の所定位置の上方に移動した後に下降して、反応容器105をインキュベータ104の所定位置に設置する。
 次いで、搬送機構106は、再び保持部材107の上方に移動し、下降して未使用のサンプル分注チップを把持した後に上昇する。そして、搬送機構106は、サンプル分注チップ装着位置110の上方に移動した後に下降して、サンプル分注チップをサンプル分注チップ装着位置110に設置する。サンプル分注チップは、コンタミネーションを防止するため、サンプル分注機構103がサンプルを分注する際にノズル(プローブ)の先端に装着され、当該サンプルの分注が終了すると破棄される。
 サンプル分注機構103は、水平面での回転動作および鉛直方向(Z方向)の上下移動が可能である。サンプル分注機構103は、サンプル分注チップ装着位置110の上方まで回転動作により移動した後、下降して、ノズルの先端にサンプル分注チップを圧入して装着する。ノズルの先端にサンプル分注チップを装着したサンプル分注機構103は、ラック101に載置されているサンプル容器102の上方に移動した後、下降して、そのサンプル容器102に保持されているサンプルを所定量吸引する。サンプルを吸引したサンプル分注機構103は、インキュベータ104の上方に移動した後、下降して、インキュベータ104に保持されている未使用の反応容器105にサンプルを吐出する。サンプルの吐出が終了すると、サンプル分注機構103は廃棄孔109の上方に移動し、使用済みのサンプル分注チップを廃棄孔109から廃棄する。
 試薬ディスク112はディスク形状を有し、回転動作を行う。試薬ディスク112には複数の試薬ボトル113が設置されている。試薬ディスク112は、水平面において鉛直方向の中心軸の周りに回転する。これにより、試薬ディスク112上に配置されている試薬ボトル113が円周方向Cに移動し、工程に応じた所定の位置に搬送される。
 試薬ディスク112は、例えば3個の容器部113aを1セットとした試薬ボトル113が設置可能となっている。なお、容器部113aの個数は3個に限定されない。容器部113aの開口部には開閉可能な蓋が設けられていてもよい。開閉可能な蓋は任意に設定可能である。このような蓋として、例えば、ヒンジによって本体と繋がった態様とすることや、スクリュー型キャップ構造とすることが挙げられる。
 試薬ボトル113は、例えば、磁気微粒子5を含む溶液(磁気微粒子溶液)を収容する1つの容器部113aと、試薬を収容する2つの容器部113aとで1セットを構成する。なお、この試薬のうちの1つは前記した第一捕獲材2を有する第一標識分子3を含む溶液である。
 洗浄液を使用する場合、この試薬を収容する2つの容器部113aのうち少なくとも1つに生理食塩水やリン酸バッファーなどの洗浄液を収容させることができる。また、洗浄液を使用する場合、1セットの試薬ボトル113における3つの容器部113aのすべてに洗浄液を収容し、洗浄液専用の試薬ボトル113とすることもできる。これらのようにすると、装置を小型化することができる。また、洗浄液を用いる場合、洗浄液は試薬ディスク112の外に設けられた専用の洗浄液ボトル(図示せず)に収容してもよい。このようにすると、試薬ボトル113が洗浄液以外の試薬を収容できるので、より多くのサンプルを分析することができる。
 磁気微粒子溶液とサンプルとを反応させた後、所定の段階で洗浄液を用いて洗浄する一般的な免疫分析を行う場合、サンプル分注機構103は、ノズルの先端に未使用のサンプル分注チップを装着し、洗浄液を収容する試薬ボトル113または容器部113aから洗浄液を所定量吸引して対象となる反応容器105に当該洗浄液を吐出する。そして、洗浄後、サンプル分注機構103は、洗浄を行った洗浄液を吸い上げ、図示しない廃液容器に廃棄し、使用済みのサンプル分注チップを廃棄孔109から廃棄する。
 なお、試薬ディスク112の上部には図示しないカバーが設けられており、ほこり等の侵入が防止されているとともに、試薬ディスク112を含む空間部分が所定の温度に保温または保冷されている。すなわち、試薬ディスク112を含む空間部分は、保温庫や保冷庫としても機能する。本実施形態では、領域113bで試薬分注機構114または磁気微粒子攪拌装置115が試薬ボトル113にアクセスするため、カバーにおける当該領域113bにあたる部分に開口部を設けることが好ましい。容器部113aの開口部に開閉可能な蓋が設けられている場合、カバーにおける当該開口部には、開閉可能な蓋に応じてこれを開閉できる機構(試薬容器蓋開閉機構;図示せず)を設けることが望ましい。これにより容器部113aの蓋の開閉動作と試薬吸引動作との間に行われ得る試薬ディスク112の回転動作などが不要となり、分注工程や洗浄工程に要する時間を短くすることができる。
 試薬分注機構114は、水平面での回転動作および鉛直方向の上下移動が可能である。試薬分注機構114は、領域113b(カバーの開口部)の上方に回転動作で移動した後に、下降し、ノズル(プローブ)の先端を容器部113a内の試薬(洗浄液である場合を含む)に浸漬して、所定量の試薬を吸引する。次いで、試薬分注機構114は、上昇した後、インキュベータ104の所定位置の上方に回転動作で移動して、反応容器105に試薬を吐出する。図3に示すように、試薬分注機構114の回転軌道は所定位置の1つの試薬ボトル113の複数の開口部の上を通過するように設定されている。
 磁気微粒子攪拌装置115もまた、水平面での回転動作および鉛直方向の上下移動が可能である。磁気微粒子溶液を収容する容器の吸引口の位置は位置113cである。このため、磁気微粒子攪拌装置115は、位置113cの上方に回転動作で移動した後に、下降し、磁気微粒子攪拌装置115の先端を、試薬ボトル113内の磁気微粒子溶液に浸漬して、攪拌する。そして、磁気微粒子攪拌装置115により磁気微粒子溶液の攪拌を行っている間、試薬分注機構114により試薬の分注を行うことができる。
 サンプル、試薬、磁気微粒子溶液が吐出された反応容器105は、インキュベータ104の回転によって所定位置に移動し、搬送機構106によって、反応容器攪拌機構108へと搬送される。反応容器攪拌機構108は、反応容器105に回転運動を加えることで、反応容器105内のサンプルと試薬とを攪拌して混和する。これにより、反応容器105内に反応液(溶液、混合液9)が生成される。
 つまり、免疫分析装置100における反応容器105、インキュベータ104、試薬ディスク112、試薬ボトル113、サンプル分注機構103、試薬分注機構114、磁気微粒子攪拌装置115などが、反応部200に相当する。
 また、反応容器105内の溶液中に分散している、サンドイッチ錯体6に含まれない未反応の磁気微粒子13や未反応の第一捕獲材2を有する第一標識分子3などを洗浄して除去する場合は、洗浄の際に使用される試薬ボトル113や洗浄液ボトル、反応容器105、インキュベータ104、試薬ディスク112、サンプル分注機構103、試薬分注機構114などが、洗浄部400に相当する。
 攪拌の終了した反応容器105は、搬送機構106によって、インキュベータ104の所定位置に戻される。反応容器搬送機構116は、インキュベータ104と検出ユニット117との間で反応容器105を搬送する。反応容器搬送機構116は、反応容器105を把持して上昇し、回転動作によって検出ユニット117に反応容器105を搬送する。その反応容器105は、検出ユニット117内で分析される。つまり、この検出ユニット117が検出部300に相当する。
 前述したように、免疫分析装置100は、入力部500で洗浄を行わないモードが選択された場合、反応部200で分析対象物質1と、分析対象物質1と特異的に結合する第一捕獲材2を有する第一標識分子3と、分析対象物質1と特異的に結合する第二捕獲材4を有する磁気微粒子5とを同一の溶液中で反応させ(第一工程)、サンドイッチ錯体6を生成させる。その後、免疫分析装置100は、当該溶液と、第一標識分子3と特異的に結合する第二標識分子7が表面に固定された磁気センサ8とを接触させ、洗浄部400で洗浄を行わずにそのまま反応容器搬送機構116により検出ユニット117へ搬送する。なお、「洗浄を行わずに」の一態様として、例えば、サンプル分注機構103が、ノズルの先端に未使用のサンプル分注チップを装着して洗浄液を収容する試薬ボトル113または容器部113aから洗浄液を所定量吸引し、対象となる反応容器105に当該洗浄液を吐出する、という動作をいずれも行わないことが挙げられる。そして、検出ユニット117は、外部磁場発生装置10で磁場を印加し、サンドイッチ錯体6に含まれる磁気微粒子5によって誘起された磁界の強さを磁気センサ8で検出する(第二工程)。
 分析が終了した反応容器105は、反応容器搬送機構116によってインキュベータ104に戻される。その後、反応容器105は、搬送機構106によって、インキュベータ104から廃棄孔109の上方に移動し、その廃棄孔109から廃棄される。
 以上に説明した構成としているので、本実施形態に係る免疫分析方法および免疫分析装置100は、洗浄工程が不要である。そのため、本実施形態に係る免疫分析方法および免疫分析装置100は、十分小さな解離定数を持たない(つまり、結合力が十分に強くない)薬剤や抗体、生体組織の組成物などを用いてサンドイッチ錯体6を形成させた場合であっても、サンドイッチ錯体6から薬剤や抗体などの捕獲材が解離してしまうのを防ぐことができる。従って、本分析方法および免疫分析装置100は、発光強度や信号強度などの低下を招き難く、高い感度が得られるため、分析対象物質を正確に定量できる。
 次に、本分析方法および免疫分析装置100の一具体例を説明する。
 本実施例は、腫瘍マーカであるCEAを検出する系を構築して実施した。第一捕獲材2である捕獲抗体には、Medix Biochemica社製抗CEA抗体5909を用いた。ビオチン化キット(同仁化学社製LK10)を用いて、捕獲抗体をビオチン化した(ビオチンが第一標識分子3に相当する)。第二捕獲材4である検出抗体には、Medix Biochemica社製抗CEA抗体5905を用いた。磁気微粒子5には、Miltenyi社の磁気微粒子のラベリングキット(カタログ#130-105-805)を用い、検出抗体5905を、Miltenyi社推奨プロトコールに従い、磁気微粒子5の表面に固定した。磁気センサ8には、MagArray社製GMRチップを用いた。
 チップの10mm角基板の表面に、面積が100μm×120μmの巨大磁気抵抗センサを複数設けてある。センサ表面には、(3-アミノプロピル)トリエトキシシラン(Sigma-Aldrich社製440140)を蒸着した後、ストレプトアビジン(invitorogen、S888)のリン酸バッファー溶液を磁気センサ上にスポットすることで、磁気センサ8の表面に第二標識分子7であるストレプトアビジンを固定した。
 CEAの試料液として、バイオラッド社のLyphocheck Lv2を用いた。所定の濃度になるように、標準コントロール血清(Roche社製TSHアッセイ用コントロール試薬cal1)で希釈して用いた。反応バッファーには、ウシ血清アルブミン1%入りリン酸バッファーを用いた。反応ボリュームは400μlとした。ビオチン化捕獲抗体、検出抗体付き磁気微粒子の濃度を各々1nMとし、抗原CEA濃度は0pM、0.1pM、1pM、10pMの4種類を調製した。
 捕獲抗体、抗原、検出抗体付き磁気微粒子を反応チューブに入れ、37℃、60分間、攪拌しながら反応させた。反応後直ちに、所定の容器に入れたチップに反応液を注ぎ、そのまま巨大磁気抵抗センサの出力読み出しをMagArray製磁気信号測定装置で開始した(つまり、洗浄やB/F分離を行わずに測定を開始した)。同じ操作の実験を独立して4回行った(実験1~実験4)。
 出力信号強度の継時変化をモニターすると、各回の実験はいずれも読み出し直後から信号強度が増加し、凡そ20~30分後に信号強度の増加が抑制され、凡そ40分後以降は信号強度が飽和した。信号強度としては、この飽和値を採用した。CEA濃度が0.1pM、1pM、10pMの場合の信号強度から、CEA濃度が0pMの信号強度を差し引き、抗原濃度に対する信号強度をプロットした結果を図4に示す。図4に示すように、0.1pMの場合、信号強度のばらつきが大きくなるものの、リニアリティは良好に得られることが分かった。
 このことから、本実施例に示す免疫分析方法は、洗浄工程が不要でありながら、腫瘍マーカであるCEAの定量解析を実現できることが確認された。
 以上、本発明に係る免疫分析方法および免疫分析装置について実施形態および実施例により詳細に説明したが、本発明の主旨はこれに限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、前記した実施形態は本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
 1   分析対象物質
 2   第一捕獲材
 3   第一標識分子
 4   第二捕獲材
 5   磁気微粒子
 7   第二標識分子
 8   磁気センサ
 100 免疫分析装置
 200 反応部
 300 検出部
 400 洗浄部
 500 入力部

Claims (4)

  1.  分析対象物質と、前記分析対象物質と特異的に結合する第一捕獲材を有する第一標識分子と、前記分析対象物質と特異的に結合する第二捕獲材を有する磁気微粒子とを同一の溶液中で反応させる第一工程と、
     前記第一工程で反応させた溶液と、前記第一標識分子と特異的に結合する第二標識分子が表面に固定された磁気センサとを接触させ、そのまま前記磁気微粒子によって誘起された磁界の強さを前記磁気センサで検出する第二工程と、
     を有する、免疫分析方法。
  2.  前記第一標識分子を有する第一捕獲材の分子数をa、前記分析対象物質の分子数をb、前記磁気センサの面積をf(μm)、前記第二標識分子の分子数をg、前記磁気センサがその表面に固定された前記磁気微粒子を検出できる最小の磁気微粒子密度をh(個/μm)とし、b×g/a/f>hの関係式を満たす、請求項1に記載の免疫分析方法。
  3.  前記磁気微粒子が超常磁性を有し、前記磁気センサが巨大磁気抵抗センサである、請求項1または請求項2に記載の免疫分析方法。
  4.  分析対象物質と、前記分析対象物質と特異的に結合する第一捕獲材を有する第一標識分子と、前記分析対象物質と特異的に結合する第二捕獲材を有する磁気微粒子とを同一の溶液中で反応させる反応部と、
     前記溶液と、前記第一標識分子と特異的に結合する第二標識分子が表面に固定された磁気センサとを接触させ、そのまま前記磁気微粒子によって誘起された磁界の強さを前記磁気センサで検出する検出部と、
     前記反応部または前記検出部に近接して設けられ、洗浄液を注入して除去することにより、前記分析対象物質と結合していない前記第一標識分子および前記磁気微粒子を除去する洗浄部と、
     前記洗浄部に対して洗浄を行わないモードの選択が可能な入力部と、を備え、
     前記入力部で洗浄を行わないモードが選択されたら、前記洗浄液の注入と除去を行わずに前記溶液のまま前記検出部で前記磁気センサの信号を検出する、免疫分析装置。
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