JP2014059444A - トナー及びトナーの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】加熱接着性、低温定着性、耐熱保存安定性に優れ、接着強度が高く、トナーから得られた塗膜の光沢が高く、塗膜の耐水性に優れるトナーを提供する。
【解決手段】結晶性樹脂(A)を含有するコア層(Q)の表面に、結晶性ポリウレタン樹脂(B)を含有するシェル層(S)を有するトナー(X)であって、結晶性樹脂(A)の融解熱の最大ピーク温度(Ta)が40〜70℃であり、かつ、結晶性ポリウレタン樹脂(B)の融解熱の最大ピーク温度(Tu)が50〜90℃であるトナー(X)。
【選択図】なし

Description

本発明は、トナー及びトナーの製造方法に関する。
溶融エネルギーが小さく、耐熱保存安定性に優れたトナーとして、シェル層とコア層とで構成されたコア・シェル型のトナーが知られている(特許文献1参照)。
しかしながら、特許文献1のトナーは、長時間高温で加熱しなければトナー粒子全体が溶融しないため、加熱接着性が十分でないという課題があった。
そこで、トナーの加熱接着性を向上させるために、シェル層とコア層とで構成されたコア・シェル型のトナー粒子において、シェル層部分にシャープメルト性を付与させたトナー粒子が提案されている(特許文献2参照)。
しかしながら、特許文献2の粒子でも加熱接着性は十分でないため、加熱接着性に優れたトナーの開発が求められていた。
そこで本発明は、加熱接着性に優れた画像形成用のトナーおよび当該トナーの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記の問題点を解決するべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。すなわち本発明は、結晶性樹脂(A)を含有するコア層(Q)の表面に、結晶性ポリウレタン樹脂(B)を含有するシェル層(S)を有するトナー(X)であって、結晶性樹脂(A)の融解熱の最大ピーク温度(Ta)が40〜70℃であり、かつ、結晶性ポリウレタン樹脂(B)の融解熱の最大ピーク温度(Tu)が50〜90℃であるトナー(X)である。
また本発明は、結晶性樹脂(A)を有機溶剤(C)に溶解してなる溶液(D)を、結晶性ポリウレタン樹脂(B)を含有してなる樹脂粒子(E)が分散してなる分散媒体(F)中に分散して分散体(DF)を得る工程の後、分散体(DF)から、有機溶剤(C)及び分散媒体(F)を除去して得られる、結晶性樹脂(A)を含有してなるトナーコア粒子(G)の表面に樹脂粒子(E)が付着して得られるトナー(X)の製造方法であって、トナー(X)が結晶性樹脂(A)を含有するコア層(Q)の表面に結晶性ポリウレタン樹脂(B)を含有するシェル層(S)を有する構造であり、結晶性樹脂(A)の融解熱の最大ピーク温度(Ta)が40〜70℃であり、かつ、結晶性ポリウレタン樹脂(B)の融解熱の最大ピーク温度(Tu)が50〜90℃であるトナー(X)の製造方法である。
本発明のトナー(X)は、加熱接着性、低温定着性、耐熱保存安定性に優れ、接着強度が高い。
本発明のトナー(X)の製造に用いられる実験装置の構成を示す概略図である。
以下、本発明に係る構成を実施の形態に基づいて詳細に説明する。
本発明における結晶性樹脂(A)とは、樹脂の軟化点(以下Tmと略記する)と融解熱の最大ピーク温度(以下Taと略記する)との比(Tm/Ta)が0.8〜1.55であり、DSCにおいて、階段状の吸熱量変化ではなく、明確な吸熱ピークを有する樹脂を意味する。Tm、Taは以下の方法で測定することができる。
<Tmの測定方法>
高化式フローテスター{例えば「CFT−500D」[(株)島津製作所製]}を用いて、1gの測定試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出して、「プランジャー降下量(流れ値)」と「温度」とのグラフを描き、プランジャーの降下量の最大値の1/2に対応する温度をグラフから読み取り、この値(測定試料の半分が流出したときの温度)をTmとする。
<Taの測定方法>
示差走査熱量計{例えば「DSC210」[セイコー電子工業(株)製]}を用いて測定する。Taの測定に供する(A)は、前処理として、130℃で溶融した後、130℃から70℃まで1.0℃/分の速度で降温し、次に70℃から10℃まで0.5℃/分の速度で降温する。ここで、一度DSCにより、昇温速度20℃/分で昇温して吸発熱変化を測定して、「吸発熱量」と「温度」とのグラフを描き、このとき観測される20〜100℃にある吸熱ピーク温度をTa’とする。複数ある場合は最も吸熱量が大きいピークの温度をTa’とする。最後に試料を(Ta’−10)℃で6時間保管した後、(Ta’−15)℃で6時間保管する。
次いで、前記(A)を、DSCにより降温速度10℃/分で0℃まで冷却した後、昇温
速度20℃/分で昇温して吸発熱変化を測定して同様のグラフを描き、吸熱量の最大ピー
クに対応する温度を、融解熱の最大ピーク温度(Ta)とする。
結晶性ポリウレタン樹脂(B)のTuは、定着下限温度、耐熱保存性の観点から、好ましくは53〜87℃であり、更に好ましくは55〜85℃である。
結晶性樹脂(A)のTaは、40〜70℃であり、好ましくは45〜68℃、更に好ましくは50〜65℃である。(A)のTaが40℃未満であると、トナー(X)の耐熱保存性が低下し、Taが70℃を超えると(X)の定着下限温度が上昇するため好ましくない。
本発明における結晶性樹脂(A)としては、結晶性ポリエステル樹脂(A1)、結晶性ポリウレタン樹脂(A2)及び結晶性ビニル樹脂(A3)等が挙げられる。(A)としては、(A1)〜(A3)を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
結晶性ポリエステル樹脂(A1)としては、ジオール(1)と、ジカルボン酸(2)を構成単位とするものが挙げられる。
ジオール(1)としては、炭素数2〜30のアルキレングリコール(例えばエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、オクタンジオール、デカンジオール、ドデカンジオール、テトラデカンジオール、ネオペンチルグリコール及び2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール等);数平均分子量(以下Mnと略記する)=106〜10,000のアルキレンエーテルグリコール(例えばジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール及びポリテトラメチレンエーテルグリコール等);炭素数6〜24の脂環式ジオール(例えば1,4−シクロヘキサンジメタノール及び水素添加ビスフェノールA等);Mn=100〜10,000の前記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(以下AOと略記する)付加物(付加モル数2〜100)[例えば1,4−シクロヘキサンジメタノールのエチレンオキサイド(以下EOと略記する)10モル付加物等];炭素数15〜30のビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF及びビスフェノールS等)又は炭素数12〜24のポリフェノール(例えばカテコール、ハイドロキノン及びレゾルシン等)のAO[EO、プロピレンオキサイド(以下POと略記する)及びブチレンオキサイド(以下BOと略記する)等]付加物(付加モル数2〜100)(例えばビスフェノールA・EO2〜4モル付加物及びビスフェノールA・PO2〜4モル付加物等);重量平均分子量(以下Mwと略記する)=100〜5,000のポリラクトンジオール(例えばポリ−ε−カプロラクトンジオール等);Mw=1,000〜20,000のポリブタジエンジオール等が挙げられる。
これらのうち好ましいのは、アルキレングリコール及びビスフェノール類のAO付加物であり、更に好ましいのはビスフェノール類のAO付加物、及びビスフェノール類のAO付加物とアルキレングリコールとの混合物である。
ジカルボン酸(2)としては、炭素数4〜32のアルカンジカルボン酸(例えばコハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジカルボン酸及びオクタデカンジカルボン酸等);炭素数4〜32のアルケンジカルボン酸(例えばマレイン酸、フマール酸、シトラコン酸及びメサコン酸等);炭素数8〜40の分岐アルケンジカルボン酸[例えばダイマー酸、アルケニルコハク酸(ドデセニルコハク酸、ペンタデセニルコハク酸及びオクタデセニルコハク酸等);炭素数12〜40の分岐アルカンジカルボン酸[例えばアルキルコハク酸(デシルコハク酸、ドデシルコハク酸及びオクタデシルコハク酸等);炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸(例えばフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸及びナフタレンジカルボン酸等)等が挙げられる。
これらのうち好ましいのは、アルケンジカルボン酸及び芳香族ジカルボン酸であり、更に好ましいのは芳香族ジカルボン酸である。
(A1)は、トナー(X)の耐熱保存性の観点から、ジオール(1)及びジカルボン酸(2)の構成単位としての合計炭素数が10以上のものが好ましく、更に好ましくは12以上、特に好ましくは14以上であり、(X)を電子写真用トナーの母体粒子として用いた際の低温定着性の観点から、前記合計炭素数が52以下のものが好ましく、更に好ましくは45以下、特に好ましくは40以下、最も好ましくは30以下である。また、ジカルボン酸(2)としては、必要により炭素数6〜30の芳香族ジカルボン酸を含んでいてもよい。
結晶性ポリウレタン樹脂(A2)としては、前記ジオール(1)及び/又はジアミン(3)と、ジイソシアネート(4)を構成単位とするもの(A2−1)、並びに前記結晶性ポリエステル樹脂(A1)と、前記ジオール(1)及び/又はジアミン(3)と、ジイソシアネート(4)を構成単位とするもの(A2−2)等が挙げられる。
ジアミン(3)としては、炭素数2〜18の脂肪族ジアミン及び芳香族ジアミン(炭素数6〜20)等が挙げられる。炭素数2〜18の脂肪族ジアミンとしては、鎖状脂肪族ジアミン及び環状脂肪族ジアミン等が挙げられる。
鎖状脂肪族ジアミンとしては、炭素数2〜12のアルキレンジアミン(エチレンジアミン、プロピレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン及びヘキサメチレンジアミン等)及びポリアルキレン(炭素数2〜6)ポリアミン[ジエチレントリアミン、イミノビスプロピルアミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン及びペンタエチレンヘキサミン等]等が挙げられる。
環状脂肪族ポリアミンとしては、炭素数4〜15の脂環式ジアミン{1,3−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、メンセンジアミン、4,4’−メチレンジシクロヘキサンジアミン(水添メチレンジアニリン)及び3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン等}及び炭素数4〜15の複素環式ジアミン[ピペラジン、N−アミノエチルピペラジン、1,4−ジアミノエチルピペラジン、及び1,4−ビス(2−アミノ−2−メチルプロピル)ピペラジン等]等が挙げられる。
芳香族ジアミン(炭素数6〜20)としては、非置換芳香族ジアミン、アルキル基(メチル基、エチル基、n−又はイソプロピル基及びブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基)を有する芳香族ジアミン等が挙げられる。
非置換芳香族ジアミンとしては、1,2−、1,3−又は1,4−フェニレンジアミン、2,4’−又は4,4’−ジフェニルメタンジアミン、ジアミノジフェニルスルホン、ベンジジン、チオジアニリン、ビス(3,4−ジアミノフェニル)スルホン、2,6−ジアミノピリジン、m−アミノベンジルアミン、ナフチレンジアミン及びこれらの混合物等が挙げられる。
アルキル基(メチル基、エチル基、n−又はイソプロピル基及びブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基)を有する芳香族ジアミンとしては、2,4−又は2,6−トリレンジアミン、クルードトリレンジアミン、ジエチルトリレンジアミン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン、4,4’−ビス(o−トルイジン)、ジアニシジン、ジアミノジトリルスルホン、1,3−ジメチル−2,4−ジアミノベンゼン、1,3−ジエチル−2,4−ジアミノベンゼン、1,3−ジメチル−2,6−ジアミノベンゼン、1,4−ジエチル−2,5−ジアミノベンゼン、1,4−ジイソプロピル−2,5−ジアミノベンゼン、1,4−ジブチル−2,5−ジアミノベンゼン、2,4−ジアミノメシチレン、1,3,5−トリエチル−2,4−ジアミノベンゼン、1,3,5−トリイソプロピル−2,4−ジアミノベンゼン、1−メチル−3,5−ジエチル−2,4−ジアミノベンゼン、1−メチル−3,5−ジエチル−2,6−ジアミノベンゼン、2,3−ジメチル−1,4−ジアミノナフタレン、2,6−ジメチル−1,5−ジアミノナフタレン、2,6−ジイソプロピル−1,5−ジアミノナフタレン、2,6−ジブチル−1,5−ジアミノナフタレン、3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン、3,3’,5,5’−テトライソプロピルベンジジン、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトライソプロピル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラブチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,5−ジエチル−3’−メチル−2’,4−ジアミノジフェニルメタン、3,5−ジイソプロピル−3’−メチル−2’,4−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジエチル−2,2’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’,5,5’−テトライソプロピル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’,5,5’−テトライソプロピル−4,4’−ジアミノジフェニルスルホン及びこれらの混合物等が挙げられる。
ジイソシアネート(4)としては、炭素数(NCO基中の炭素を除く。以下同様。)6〜20の芳香族ジイソシアネート、炭素数2〜18の脂肪族ジイソシアネート、これらのジイソシアネートの変性物(ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、イソシアヌレート基及びオキサゾリドン基含有変性物等)及びこれらの2種以上の混合物等が挙げられる。
芳香族ジイソシアネートとしては、1,3−又は1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−又は2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、粗製TDI、m−又はp−キシリレンジイソシアネート(XDI)、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、2,4’−又は4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、粗製MDI{粗製ジアミノフェニルメタン[ホルムアルデヒドと芳香族アミン(アニリン)又はその混合物との縮合生成物及びこれらの混合物等が挙げられる。
脂肪族ジイソシアネートとしては、鎖状脂肪族ジイソシアネート及び環状脂肪族ジイソシアネート等が挙げられる。
鎖状脂肪族ジイソシアネートとしては、エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ドデカメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、ビス(2−イソシアナトエチル)フマレート、ビス(2−イソシアナトエチル)カーボネート、2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエート及びこれらの混合物等が挙げられる。
環状脂肪族ジイソシアネートとしては、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート(水添MDI)、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート(水添TDI)、ビス(2−イソシアナトエチル)−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボキシレート、2,5−又は2,6−ノルボルナンジイソシアネート及びこれらの混合物等が挙げられる。
ジイソシアネートの変性物には、ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、イソシアヌレート基及び/又はオキサゾリドン基を含有する変性物等が用いられ、変性MDI(ウレタン変性MDI、カルボジイミド変性MDI及びトリヒドロカルビルホスフェート変性MDI等)、ウレタン変性TDI及びこれらの混合物[例えば変性MDIとウレタン変性TDI(イソシアネート含有プレポリマー)との混合物]等が挙げられる。
ジイソシアネート(4)のうちで好ましいのは、炭素数6〜15の芳香族ジイソシアネート、炭素数4〜15の脂肪族ジイソシアネートであり、更に好ましいのはTDI、MDI、HDI、水添MDI及びIPDIである。
結晶性ポリウレタン樹脂(A2)は、前記ジオール(1)に加え、カルボン酸(塩)基、スルホン酸(塩)基、スルファミン酸(塩)基及びリン酸(塩)基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基を有するジオール(1’)を構成単位としてもよい。(A2)がジオール(1’)を構成単位とすることにより、トナー(X)の帯電性、耐熱保存性が向上する。
なお、本発明における「酸(塩)」は、酸又は酸塩を意味する。
カルボン酸(塩)基を有するジオール(1’)としては、酒石酸(塩)、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロパン酸(塩)、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)ブタン酸(塩)及び3−[ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ]プロパン酸(塩)等が挙げられる。
スルホン酸(塩)基を有するジオール(1’)としては、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)エタンスルホン酸(塩)、2−[ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ]エタンスルホン酸(塩)及び5−スルホ−イソフタル酸−1,3‐ビス(2‐ヒドロキシエチル)エステル等が挙げられる。
スルファミン酸(塩)基を有するジオール(1’)としては、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)スルファミン酸(塩)、N,N−ビス(3−ヒドロキシプロピル)スルファミン酸(塩)、N,N−ビス(4−ヒドロキシブチル)スルファミン酸(塩)及びN,N−ビス(2−ヒドロキシプロピル)スルファミン酸(塩)等が挙げられる。
リン酸(塩)基を有するジオール(1’)としては、ビス(2−ヒドロキシエチル)ホスフェート等が挙げられる。
酸塩を構成する塩としては、アンモニウム塩、アミン塩(メチルアミン塩、ジメチルアミン塩、トリメチルアミン塩、エチルアミン塩、ジエチルアミン塩、トリエチルアミン塩、プロピルアミン塩、ジプロピルアミン塩、トリプロピルアミン塩、ブチルアミン塩、ジブチルアミン塩、トリブチルアミン塩、モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、N−メチルエタノールアミン塩、N−エチルエタノールアミン塩、N,N−ジメチルエタノールアミン塩、N,N−ジエチルエタノールアミン塩、ヒドロキシルアミン塩、N,N−ジエチルヒドロキシルアミン塩及びモルホリン塩等)、4級アンモニウム塩[テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩及びトリメチル(2−ヒドロキシエチル)アンモニウム塩等]、アルカリ金属塩(ナトリウム塩及びカリウム塩等)が挙げられる。
ジオール(1’)のうち、トナー(X)の帯電性及び耐熱保存性の観点から好ましいのは、カルボン酸(塩)基を有するジオール(1’)及びスルホン酸(塩)基を有するジオール(1’)である。
結晶性ビニル樹脂(A3)としては、重合性二重結合を有する単量体を単独重合又は共重合した重合体である。重合性二重結合を有する単量体としては、以下の(5)〜(14)が挙げられる。
(5)重合性二重結合を有する炭化水素:
(5−1)重合性二重結合を有する脂肪族炭化水素:
(5−1−1)重合性二重結合を有する鎖状炭化水素:炭素数2〜30のアルケン(例えばエチレン、プロピレン、ブテン、イソブチレン、ペンテン、ヘプテン、ジイソブチレン、オクテン、ドデセン及びオクタデセン等);炭素数4〜30のアルカジエン(例えばブタジエン、イソプレン、1,4−ペンタジエン、1,6−ヘキサジエン及び1,7−オクタジエン等)。
(5−1−2)重合性二重結合を有する環状炭化水素:炭素数6〜30のモノ又はジシクロアルケン(例えばシクロヘキセン、ビニルシクロヘキセン及びエチリデンビシクロヘプテン等)及び炭素数5〜30のモノ又はジシクロアルカジエン[例えば(ジ)シクロペンタジエン等]等。
(5−2)重合性二重結合を有する芳香族炭化水素:スチレン;スチレンのハイドロカルビル(炭素数1〜30のアルキル、シクロアルキル、アラルキル及び/又はアルケニル)置換体(例えばα−メチルスチレン、ビニルトルエン、2,4−ジメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、フェニルスチレン、シクロヘキシルスチレン、ベンジルスチレン、クロチルベンゼン、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルキシレン及びトリビニルベンゼン等);及びビニルナフタレン等。
(6)カルボキシル基と重合性二重結合を有する単量体及びそれらの塩:
炭素数3〜15の不飽和モノカルボン酸{例えば(メタ)アクリル酸[「(メタ)アクリル」は、アクリル又はメタクリルを意味する。]、クロトン酸、イソクロトン酸及び桂皮酸等};炭素数3〜30の不飽和ジカルボン酸(無水物)[例えば(無水)マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、(無水)シトラコン酸及びメサコン酸等];及び炭素数3〜10の不飽和ジカルボン酸のモノアルキル(炭素数1〜10)エステル(例えばマレイン酸モノメチルエステル、マレイン酸モノデシルエステル、フマル酸モノエチルエステル、イタコン酸モノブチルエステル及びシトラコン酸モノデシルエステル等)等。
カルボキシル基と重合性二重結合を有する単量体の塩を構成する塩としては、例えばアルカリ金属塩(ナトリウム塩及びカリウム塩等)、アルカリ土類金属塩(カルシウム塩及びマグネシウム塩等)、アンモニウム塩、アミン塩及び4級アンモニウム塩等が挙げられる。
アミン塩としては、アミン化合物であれば特に限定されないが、例えば1級アミン塩(エチルアミン塩、ブチルアミン塩及びオクチルアミン塩等)、2級アミン(ジエチルアミン塩及びジブチルアミン塩等)、3級アミン(トリエチルアミン塩及びトリブチルアミン塩等)が挙げられる。4級アンモニウム塩としては、テトラエチルアンモニウム塩、トリエチルラウリルアンモニウム塩、テトラブチルアンモニウム塩及びトリブチルラウリルアンモニウム塩等が挙げられる。
カルボキシル基と重合性二重結合を有する単量体の塩としては、アクリル酸ナトリウム、メタクリル酸ナトリウム、マレイン酸モノナトリウム、マレイン酸ジナトリウム、アクリル酸カリウム、メタクリル酸カリウム、マレイン酸モノカリウム、アクリル酸リチウム、アクリル酸セシウム、アクリル酸アンモニウム、アクリル酸カルシウム及びアクリル酸アルミニウム等が挙げられる。
(7)スルホ基と重合性二重結合を有する単量体及びそれらの塩:
炭素数2〜14のアルケンスルホン酸(例えばビニルスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸及びメチルビニルスルホン酸等);スチレンスルホン酸及びこのアルキル(炭素数2〜24)誘導体(例えばα−メチルスチレンスルホン酸等;炭素数5〜18のスルホ(ヒドロキシ)アルキル−(メタ)アクリレート(例えばスルホプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロキシプロピルスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエタンスルホン酸及び3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸等);炭素数5〜18のスルホ(ヒドロキシ)アルキル(メタ)アクリルアミド[例えば2−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2−ジメチルエタンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸及び3−(メタ)アクリルアミド−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸等];アルキル(炭素数3〜18)アリルスルホコハク酸(例えばプロピルアリルスルホコハク酸、ブチルアリルスルホコハク酸、2−エチルヘキシル−アリルスルホコハク酸等);ポリ[n(重合度。以下同様。)=2〜30]オキシアルキレン(オキシエチレン、オキシプロピレン及びオキシブチレン等。オキシアルキレンは単独又は併用でもよく、併用する場合、付加形式はランダム付加でもブロック付加でもよい。)モノ(メタ)アクリレートの硫酸エステル[例えばポリ(n=5〜15)オキシエチレンモノメタクリレート硫酸エステル及びポリ(n=5〜15)オキシプロピレンモノメタクリレート硫酸エステル等];下記一般式(1)〜(3)で表される化合物;及びこれらの塩等が挙げられる。なお、塩としては、(6)カルボキシル基と重合性二重結合を有する単量体の塩を構成する塩として例示したものが挙げられる。
Figure 2014059444
式中、Rは炭素数2〜4のアルキレン基であり、ROは単独でも2種以上を併用したものでもよく、2種以上を併用した場合は、結合形式はランダムでもブロックでもよい;R及びRは、それぞれ独立に炭素数1〜15のアルキル基;m及びnは、それぞれ独立に1〜50の数;Arはベンゼン環;Rは、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜15のアルキル基を表す。
(8)ホスホノ基と重合性二重結合を有する単量体及びその塩:
(メタ)アクリロイルオキシアルキルリン酸モノエステル(アルキル基の炭素数1〜24)(例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリロイルホスフェート及びフェニル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート等)、(メタ)アクリロイルオキシアルキルホスホン酸(アルキル基の炭素数1〜24)(例えば2−アクリロイルオキシエチルホスホン酸等)。
なお、塩としては、(6)カルボキシル基と重合性二重結合を有する単量体を構成する塩として例示したもの挙げられる。
(9)ヒドロキシル基と重合性二重結合を有する単量体:
ヒドロキシスチレン、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(メタ)アリルアルコール、クロチルアルコール、イソクロチルアルコール、1−ブテン−3−オール、2−ブテン−1−オール、2−ブテン−1,4−ジオール、プロパルギルアルコール、2−ヒドロキシエチルプロペニルエーテル及び庶糖アリルエーテル等。
(10)重合性二重結合を有する含窒素単量体:
(10−1)アミノ基と重合性二重結合を有する単量体:
アミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、t−ブチルアミノエチルメタクリレート、N−アミノエチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アリルアミン、モルホリノエチル(メタ)アクリレート、4−ビニルピリジン、2−ビニルピリジン、クロチルアミン、N,N−ジメチルアミノスチレン、メチル−α−アセトアミノアクリレート、ビニルイミダゾール、N−ビニルピロール、N−ビニルチオピロリドン、N−アリールフェニレンジアミン、アミノカルバゾール、アミノチアゾール、アミノインドール、アミノピロール、アミノイミダゾール、アミノメルカプトチアゾール及びこれらの塩等。
(10−2)アミド基と重合性二重結合を有する単量体:
(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N’−メチレン−ビス(メタ)アクリルアミド、桂皮酸アミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジベンジルアクリルアミド、メタクリルホルムアミド、N−メチル−N−ビニルアセトアミド及びN−ビニルピロリドン等。
(10−3)ニトリル基と重合性二重結合を有する炭素数3〜10の単量体:
(メタ)アクリロニトリル、シアノスチレン及びシアノアクリレート等。
(10−4)ニトロ基と重合性二重結合を有する炭素数8〜12の単量体:
ニトロスチレン等。
(11)エポキシ基と重合性二重結合を有する炭素数6〜18の単量体:
グリシジル(メタ)アクリレート及びp−ビニルフェニルフェニルオキサイド等。
(12)ハロゲン元素と重合性二重結合を有する炭素数2〜16の単量体:
塩化ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデン、アリルクロライド、クロロスチレン、ブロムスチレン、ジクロロスチレン、クロロメチルスチレン、テトラフルオロスチレン及びクロロプレン等。
(13)重合性二重結合を有するエステル、重合性二重結合を有するエーテル、重合性二重結合を有するケトン及び重合性二重結合を有する含硫黄化合物:
(13−1)重合性二重結合を有する炭素数4〜16のエステル:
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ジアリルフタレート、ジアリルアジペート、イソプロペニルアセテート、ビニルメタクリレート、メチル−4−ビニルベンゾエート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ビニルメトキシアセテート、ビニルベンゾエート、エチル−α−エトキシアクリレート、炭素数1〜50のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート[メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート及びエイコシル(メタ)アクリレート等]、ジアルキルフマレート(2個のアルキル基は、炭素数2〜8の直鎖、分枝鎖又は脂環式の基である)、ジアルキルマレエート(2個のアルキル基は、炭素数2〜8の直鎖、分枝鎖又は脂環式の基である)、ポリ(メタ)アリロキシアルカン類(ジアリロキシエタン、トリアリロキシエタン、テトラアリロキシエタン、テトラアリロキシプロパン、テトラアリロキシブタン及びテトラメタアリロキシエタン等)等、ポリアルキレングリコール鎖と重合性二重結合を有する単量体[ポリエチレングリコール[Mn=300]モノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(Mn=500)モノアクリレート、メチルアルコールEO10モル付加物(メタ)アクリレート及びラウリルアルコールEO30モル付加物(メタ)アクリレート等]、ポリ(メタ)アクリレート類[多価アルコール類のポリ(メタ)アクリレート:エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート及びポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等]等が挙げられる。
(13−2)重合性二重結合を有する炭素数3〜16のエーテル:
ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテル、ビニルブチルエーテル、ビニル−2−エチルヘキシルエーテル、ビニルフェニルエーテル、ビニル−2−メトキシエチルエーテル、メトキシブタジエン、ビニル−2−ブトキシエチルエーテル、3,4−ジヒドロ−1,2−ピラン、2−ブトキシ−2’−ビニロキシジエチルエーテル、アセトキシスチレン及びフェノキシスチレン等が挙げられる。
(13−3)重合性二重結合を有する炭素数4〜12のケトン:
ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン及びビニルフェニルケトン等が挙げられる。
(13−4)重合性二重結合を有する炭素数2〜16の含硫黄化合物:
ジビニルサルファイド、p−ビニルジフェニルサルファイド、ビニルエチルサルファイド、ビニルエチルスルホン、ジビニルスルホン及びジビニルスルホキサイド等が挙げられる。
結晶性樹脂(A)のうち、トナー(X)の接着強度の観点から好ましいのは、結晶性ポリエステル樹脂(A1)及び結晶性ポリウレタン樹脂(A2)であり、更に好ましいのは(A2)、特に好ましいのは(A2−2)、最も好ましいのは、(A2−2)のうち、分子中にエステル基、ウレタン基及びウレア基を有するものである。
本発明における結晶性樹脂(A)は、前記の(A)からなる1個以上の結晶性部(a)と、非結晶性樹脂(A’)からなる非結晶性部(a’)を1個以上有するブロック樹脂であってもよい。
本発明における非結晶性樹脂(A’)としては、前記の結晶性樹脂(A)として例示した結晶性ポリエステル樹脂(A1)、結晶性ポリウレタン樹脂(A2)及び結晶性ビニル樹脂(A3)と同様の組成であって、TmとTaとの比(Tm/Ta)が1.55より大きい樹脂が挙げられる。
結晶性樹脂(A)が、結晶性部(a)と、非結晶性部(a’)とで構成されるブロック樹脂の場合、(a)、(a’)それぞれの末端官能基の反応性を考慮して、結合剤の使用、未使用を選択し、また結合剤を使用する際は、末端官能基にあった結合剤種を選択し、(a)と(a’)を結合させ、ブロック樹脂とすることができる。
結合剤を使用しない場合、必要により加熱減圧しつつ、(a)を形成する(A)の末端官能基と、(a’)を形成する(A’)の末端官能基の反応を進める。特に酸とアルコールとの反応や酸とアミンとの反応の場合、一方の樹脂の酸価が高く、もう一方の樹脂の水酸基価やアミン価が高い場合、反応がスムーズに進行する。反応温度は180℃〜230℃で行うのが好ましい。
結合剤を使用する場合は、種々の結合剤が使用できる。結合剤としては、前記のジオール(1)、ジカルボン酸(2)、ジアミン(3)、ジイソシアネート(4)及び多官能エポキシ等が挙げられる。
多官能エポキシとしては、ビスフェノールA型及びF型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物、水添ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールA又はFのAO付加体のジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールAのAO付加体のジグリシジルエーテル、ジオール(エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコール等)の各ジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンジ及び/又はトリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールトリ及び/又はテトラグリシジルエーテル、ソルビトールヘプタ及び/又はヘキサグリシジルエーテル、レゾルシンジグリシジルエーテル、ジシクロペンタジエン・フェノール付加型グリシジルエーテル、メチレンビス(2,7−ジヒドロキシナフタレン)テトラグリシジルエーテル、1,6−ジヒドロキシナフタレンジグリシジルエーテル、ポリブタジエンジグリシジルエーテルなどが挙げられる。
(a)と(a’)を結合させる方法としては、(a)と(a’)の脱水反応及び付加反応等が挙げられる。
脱水反応としては、(a)と(a’)が共に水酸基を有し、これらを結合剤[例えばジカルボン酸(2)]で結合する反応が挙げられる。脱水反応は、無溶剤下、反応温度180〜230℃で行うことができる。
付加反応としては、(a)と(a’)が共に水酸基を有し、これらを結合剤[例えばジイソシアネート(4)]で結合する反応や、(a)と(a’)の一方が水酸基を有する樹脂であり、もう一方がイソシアネート基を有する樹脂の場合、結合剤を用いずにこれらを結合する反応が挙げられる。付加反応は、(a)と(a’)共に溶解可能な溶剤に溶解させ、必要により結合剤を投入し、反応温度80℃〜150℃で行うことができる。
結晶性樹脂(A)が、(a)と(a’)とで構成されるブロック樹脂である場合、(A)中の(a)の含有率は、好ましくは50〜99重量%であり、更に好ましくは55〜98重量%、特に好ましくは60〜95重量%、最も好ましくは62〜80重量%である。(a)の含有率が上記の範囲であれば、(A)の結晶性が損なわれず、(X)の低温定着性、保存安定性及び光沢性が良好となり好ましい。
結晶性樹脂(A)は、全吸熱量が20〜150J/gであるものが好ましく、更に好ましくは30〜120J/g、特に好ましくは40〜100J/gである。
全吸熱量が20J/g以上であればトナー(X)の耐水性が向上し、150J/g以下であれば(X)の低温定着性が良好となるため好ましい。
(A)の全吸熱量は、以下の方法で測定することができる。
<全吸熱量ΔHの測定方法>
結着樹脂に由来する吸熱ピークの全熱量ΔHは、示差走査熱量計DSC Q1000(TA Instruments社製)を使用して以下の条件にて測定を行う。
昇温速度:10℃/min
測定開始温度:20℃
測定終了温度:180℃
装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。
具体的には、試料約5mgを精秤し、銀製のパンの中に入れ、一回吸熱量測定を行い、DSC曲線を得る。このDSC曲線からΔHを求める。なお、リファレンスとしては銀製の空パンを用いる。
結晶性樹脂(A)のMnは、好ましくは1,000〜500万であり、更に好ましくは2,000〜500,000である。
本発明における樹脂のMn、Mwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて、以下の条件で測定することができる。
装置(一例):「HLC−8120」[東ソー(株)製]
カラム(一例):「TSK GEL GMH6」[東ソー(株)製]2本
測定温度 :40℃
試料溶液 :0.25重量%のテトラヒドロフラン溶液(不溶解分をグラスフィルターでろ別したもの)
溶液注入量 :100μl
検出装置 :屈折率検出器
基準物質 :標準ポリスチレン(TSKstandard POLYSTYRENE)12点(分子量:500、1,050、2,800、5,970、9,100、
18,100、37,900、96,400、190,000、355,000、
1,090,000、2,890,000)[東ソー(株)製]
結晶性樹脂(A)の分子量分布(Mw/Mn)は、1.0〜100であり、更に好ましくは1.2〜50、特に好ましくは1.5〜20である。上記の範囲内であれば、トナー(X)の低温定着性と接着強度が向上する。
結晶性樹脂(A)の溶解性パラメーター(以下SP値と略記する)は、好ましくは7〜18(cal/cm1/2、であり、更に好ましくは8〜16(cal/cm1/2、特に好ましくは9〜14(cal/cm1/2である。なお、本発明におけるSP値は、Fedorsによる方法[Polym.Eng.Sci.14(2)152,(1974)]により計算することができる。
結晶性樹脂(A)のガラス転移温度(以下Tgと略記する)は、好ましくは20〜200℃であり、更に好ましくは40℃〜150℃である。20℃以上では粒子粒子(B)の保存安定性が良好である。なお、Tgは「DSC20、SSC/580」[セイコー電子工業(株)製]を用いて、ASTM D3418−82に規定の方法(DSC)で測定することができる。
本発明における結晶性ポリウレタン樹脂(B)とは、結晶性ポリウレタン樹脂(A2)と同様のものが挙げられる。
結晶性ポリウレタン樹脂(B)の融解熱の最大ピーク温度(以下Tuと略記する)は、50〜90℃であり、好ましくは53〜83℃、更に好ましくは55〜85℃である。(B)のTuが50℃未満であると、トナー(X)の耐熱保存性が低下し、Tuが90℃を超えると(X)の定着下限温度が上昇するため好ましくない。
結晶性ポリウレタン樹脂(B)は、下記条件2を満たすものが好ましい。条件2を満たすことにより、トナー(X)の接着強度が向上する。
[条件2]
5≦0.94(B−urethane)+0.70(B−urea)+0.00032(B−Mw)−9.2
条件2における(B−urethane)は、(B)のウレタン基濃度(重量%)である。
条件2における(B−urea)は、(B)のウレア基濃度(重量%)である。
条件2における(B−Mw)は、(B)のMwである。
本発明において、(B)中の(B−urethane)及び(B−urea)は、窒素分析計「ANTEK7000」[アンテック(株)製]によって定量されるN原子含量とNMRによって定量されるウレタン基とウレア基の比率から算出される。
なお、(B)の製造時に、触媒及び/又は添加物としてアミン化合物を使用した場合は、それらを差し引く必要があり、使用したアミン化合物の沸点が70℃未満の場合は、試料を130℃で2時間、減圧乾燥した後、測定する方法が挙げられる。また、使用したアミン化合物の沸点が70℃以上の場合は、試料をそのまま測定し、アミン化合物の仕込量から計算されるN原子含量を、定量したN原子含量から引いたものをN原子含量とする方法が挙げられる。
NMR測定については、「NMRによるポリウレタン樹脂の構造研究:武田研究所報34(2)、224−323(1975)」に記載の方法で行うことができる。すなわちH−NMRを測定して、化学シフト6ppm付近のウレア基由来の水素の積分量と化学シフト7ppm付近のウレタン基由来の水素の積分量の比率からウレア基とウレタン基の重量比を測定し、該重量比と上記のN原子含量からウレア基の含有量及びウレタン基の含有量を算出する。ウレア基の含有率、ウレタン基の含有率の調整は、原料の組成や仕込み当量を、適宜調整すればよい。
条件2における下限は、トナー(X)の接着強度の観点から、好ましくは5.5であり、更に好ましくは6.0である。条件2における(B−urethane)は、好ましくは1.0〜30重量%であり、更に好ましくは2.0〜20重量%である。条件2における(B−urea)は、好ましくは0.05〜5重量%であり、更に好ましくは0.1〜2重量%である。条件2における(B−Mw)は、好ましくは5,000〜100,000であり、更に好ましくは10,000〜70,000である。
結晶性ポリウレタン樹脂(B)の酸価は、好ましくは5〜200(mgKOH/g)であり、更に好ましくは10〜150(mgKOH/g)、最も好ましくは15〜100(mgKOH/g)である。(B)の酸価が5(mgKOH/g)以上であれば、後述するトナー(X)の製造方法において(B)を含有してなる樹脂粒子(E)が連続層媒体(O)中で分散しやすくなる。また、エマルションが作成し易くなり、(B)の酸価が200(mgKOH/g)以下であれば、トナー(X)の耐水性が良好となる。
なお、(B)の酸価は、JIS K0070に規定の方法で測定することができる。
結晶性ポリウレタン樹脂(B)のSP値は、好ましくは9.0〜14(cal/cm1/2、であり、更に好ましくは9.5〜13(cal/cm1/2、特に好ましくは9.8〜12(cal/cm1/2である。
本発明のトナー(X)は、結晶性樹脂(A)を含有するコア層(Q)の表面に、結晶性ポリウレタン樹脂(B)を含有するシェル層(S)を有する。コア層(Q)とシェル層(S)の重量比[(Q):(S)]は、好ましくは99.9:0.1〜75:25であり、更に好ましくは99.5:0.5〜80:20、特に好ましくは99:1〜90:10である。
本発明のトナー(X)は、下記条件1を満たすことが好ましい。
[条件1]
0≦(Tu)−(Ta)≦30(℃)
条件1において、(Tu)−(Ta)が上限に近くなるほど、トナー(X)の耐熱保存性が良好となる。また、(Tu)−(Ta)が下限に近くなるほど、トナー(X)の低温定着性が良好となる。
条件1における下限は、好ましくは5℃であり、更に好ましくは10℃である。条件1における上限は、好ましくは25℃であり、更に好ましくは20℃である。
トナー(X)の体積平均粒径は、好ましくは0.0005〜30μmであり、更に好ましくは0.01〜20μm、特に好ましくは0.02〜10μmである。なお、(X)の体積平均粒径は、レーザー式粒度分布測定装置「LA−920」[(株)堀場製作所製]や「マルチサイザーIII」[ベックマン・コールター(株)製]、光学系としてレーザードップラー法を用いる「ELS−800」[大塚電子(株)製]、光散乱法を用いる「LB−550」[(株)島津製作所製]等で測定することができる。
トナー(X)は、流動性及び溶融レベリング性等の観点から、平均円形度が0.96〜1.0であるものが好ましく、更に好ましくは0.97〜1.0、特に好ましくは0.98〜1.0である。なお、(X)の平均円形度は、光学的に粒子を検知して、投影面積の等しい相当円の周囲長で除した値であり、数値が1.0に近いほど真球に近いことを意味する。(X)の平均円形度は、フロー式粒子像分析装置「FPIA−2000」[シスメックス(株)製]を用いて測定することができる。
トナー(X)の製造方法には、特に制限はないが、本発明の(X)の製造方法で製造することにより、粒度分布が良好になる。
本発明のトナー(X)の製造方法は、結晶性樹脂(A)を有機溶剤(C)に溶解してなる溶液(D)を、結晶性ポリウレタン樹脂(B)を含有してなる樹脂粒子(E)が分散してなる分散媒体(F)中に分散し、その後、有機溶剤(C)及び連続相媒体(F)を除去して得られる、結晶性樹脂(A)を含有してなるトナーコア粒子(G)の表面に樹脂粒子(E)が付着して得られるトナー(X)の製造方法であって、トナー(X)が結晶性樹脂(A)を含有するコア層(Q)の表面に結晶性ポリウレタン樹脂(B)を含有するシェル層(S)を有する構造であり、結晶性樹脂(A)の融解熱の最大ピーク温度(Ta)が40〜70℃であり、かつ、結晶性ポリウレタン樹脂(B)の融解熱の最大ピーク温度(Tu)が50〜90℃である。
本発明のトナー(X)の製造方法における結晶性樹脂(A)、結晶性ポリウレタン樹脂(B)、(A)のTa、(B)のTuは、前記のものと同様であり、好ましい範囲も同様である。
本発明のトナー(X)の製造方法において、結晶性樹脂(A)としては、その前駆体である(A0)から得られたものを使用してもよい。前駆体(A0)としては、化学反応により樹脂(A)になり得るものであれば特に限定されず、(A)が、結晶性ポリエステル樹脂(A1)又は結晶性ポリウレタン樹脂(A2)である場合、(A0)としては、反応性基を有するプレポリマー(α)と硬化剤(β)の組み合わせが挙げられる。(A)が結晶性ビニル樹脂(A3)である場合、(A0)としては、前記の単量体(5)〜(14)が挙げられる。(A0)のうち、接着強度の観点から好ましいのは、反応性基を有するプレポリマー(α)と硬化剤(β)の組み合わせである。
前駆体(A0)として、反応性基を有するプレポリマー(α)と硬化剤(β)の組み合わせを用いる場合の、(α)が有する「反応性基」とは、硬化剤(β)と反応可能な基のことをいう。この場合、前駆体(A0)を反応させて(A)を形成する方法としては、(α)及び(β)を後述する分散媒体(W)中に分散して、加熱により(α)と(β)を反応させて(A)を形成させる方法等が挙げられる。
反応性基含有プレポリマー(α)が有する反応性基と、硬化剤(β)の組み合わせとしては、以下の〔1〕及び〔2〕等が挙げられる。
〔1〕(α)が有する反応性基が、活性水素化合物と反応可能な官能基(α1)であり、(β)が活性水素基含有化合物(β1)である組み合わせ。
〔2〕(α)が有する反応性基が活性水素含有基(α2)であり、(β)が活性水素含有基と反応可能な化合物(β2)である組み合わせ。
前記組合せ〔1〕において、活性水素化合物と反応可能な官能基(α1)としては、イソシアネート基(α1a)、ブロック化イソシアネート基(α1b)、エポキシ基(α1c)、酸無水物基(α1d)及び酸ハライド基(α1e)等が挙げられる。これらのうち好ましいのは、(α1a)、(α1b)及び(α1c)であり、更に好ましいのは(α1a)及び(α1b)である。
ブロック化イソシアネート基(α1b)は、ブロック化剤によりブロックされたイソシアネート基のことをいう。
前記ブロック化剤としては、オキシム類(アセトオキシム、メチルイソブチルケトオキシム、ジエチルケトオキシム、シクロペンタノンオキシム、シクロヘキサノンオキシム及びメチルエチルケトオキシム等);ラクタム類(γ−ブチロラクタム、ε−カプロラクタム及びγ−バレロラクタム等);炭素数1〜20の脂肪族アルコール類(エタノール、メタノール及びオクタノール等);フェノール類(フェノール、m−クレゾール、キシレノール及びノニルフェノール等);活性メチレン化合物(アセチルアセトン、マロン酸エチル及びアセト酢酸エチル等);塩基性窒素含有化合物(N,N−ジエチルヒドロキシルアミン、2−ヒドロキシピリジン、ピリジンN−オキサイド及び2−メルカプトピリジン等);及びこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
これらのうち好ましいのはオキシム類であり、更に好ましいのはメチルエチルケトオキシムである。
反応性基含有プレポリマー(α)の構成単位としては、ポリエーテル(αw)、ポリエステル(αx)、エポキシ樹脂(αy)及びポリウレタン(αz)等が挙げられる。これらのうち好ましいのは、(αx)、(αy)及び(αz)であり、更に好ましいのは(αx)及び(αz)である。
ポリエーテル(αw)としては、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリブチレンオキサイド及びポリテトラメチレンオキサイド等が挙げられる。
ポリエステル(αx)としては、ジオール(1)とジカルボン酸(2)の重縮合物、ポリラクトン(ε−カプロラクトンの開環重合物)等が挙げられる。
エポキシ樹脂(αy)としては、ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF及びビスフェノールS等)とエピクロルヒドリンとの付加縮合物等が挙げられる。
ポリウレタン(αz)としては、ジオール(1)とジイソシアネート(4)の重付加物及びポリエステル(αx)とジイソシアネート(4)の重付加物等が挙げられる。
ポリエステル(αx)、エポキシ樹脂(αy)及びポリウレタン(αz)等に反応性基を含有させる方法としては、
〔1〕二以上の構成成分のうちの一つを過剰に用いることで構成成分の官能基を末端に残存させる方法。
〔2〕二以上の構成成分のうちの一つを過剰に用いることで構成成分の官能基を末端に残存させ、更に残存した前記官能基と反応可能な官能基及び反応性基を含有する化合物を反応させる方法。
等が挙げられる。
前記〔1〕の方法では、水酸基含有ポリエステルプレポリマー、カルボキシル基含有ポリエステルプレポリマー、酸ハライド基含有ポリエステルプレポリマー、水酸基含有エポキシ樹脂プレポリマー、エポキシ基含有エポキシ樹脂プレポリマー、水酸基含有ポリウレタンプレポリマー及びイソシアネート基含有ポリウレタンプレポリマー等が得られる。
構成成分の比率は、例えば水酸基含有ポリエステルプレポリマーの場合、ポリオール成分とポリカルボン酸成分の比率が、水酸基[OH]とカルボキシル基[COOH]の当量比[OH]/[COOH]として、好ましくは2/1〜1/1であり、更に好ましくは1.5/1〜1/1、特に好ましくは1.3/1〜1.02/1である。他の骨格、末端基のプレポリマーの場合も、構成成分が変わるだけで比率は同様である。
前記〔2〕の方法では、前記方法〔1〕で得られたプレプリマーに、ポリイソシアネートを反応させることでイソシアネート基含有プレポリマーが得られ、ブロック化ポリイソシアネートを反応させることでブロック化イソシアネート基含有プレポリマーが得られ、ポリエポキシドを反応させることでエポキシ基含有プレポリマーが得られ、ポリ酸無水物を反応させることで酸無水物基含有プレポリマーが得られる。
官能基及び反応性基を含有する化合物の使用量は、例えば、水酸基含有ポリエステルにポリイソシアネートを反応させてイソシアネート基含有ポリエステルプレポリマーを得る場合、ポリイソシアネートの比率が、イソシアネート基[NCO]と、水酸基含有ポリエステルの水酸基[OH]の当量比[NCO]/[OH]として、好ましくは5/1〜1/1であり、更に好ましくは4/1〜1.2/1、特に好ましくは2.5/1〜1.5/1である。他の骨格、末端基を有するプレポリマーの場合も、構成成分が変わるだけで比率は同様である。
反応性基含有プレポリマー(α)中の1分子当たりに含有する反応性基は、好ましくは1個以上であり、更に好ましくは平均1.5〜3個、特に好ましくは平均1.8〜2.5個である。前記範囲にすることで、硬化剤(β)と反応させて得られる硬化物の分子量が高くなる。
反応性基含有プレポリマー(α)のMnは、好ましくは500〜30,000であり、更に好ましくは1,000〜20,000、特に好ましくは2,000〜10,000である。
反応性基含有プレポリマー(α)のMwは、好ましくは1,000〜50,000であり、更に好ましくは2,000〜40,000、特に好ましくは4,000〜20,000である。
反応性基含有プレポリマー(α)の粘度は、100℃において、好ましくは200Pa・s以下であり、更に好ましくは100Pa・s以下である。200Pa・s以下にすることで、粒度分布の狭いトナー(X)が得られる点で好ましい。
活性水素基含有化合物(β1)としては、脱離可能な化合物でブロック化されていてもよいジアミン(β1a)、ジオール(β1b)、ジメルカプタン(β1c)及び水等が挙げられる。これらのうち好ましいのは、(β1a)、(β1b)及び水であり、更に好ましいのは(β1a)及び水であり、特に好ましいのは、ブロック化されたポリアミン類及び水である。
(β1a)としては、前記ジアミン(3)と同様のものが挙げられる。(β1a)として好ましいのは、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、キシリレンジアミン、イソホロンジアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン及びこれらの混合物である。
(β1a)が脱離可能な化合物でブロック化されたポリアミンである場合の例としては、前記ポリアミン類と炭素数3〜8のケトン類(アセトン、メチルエチルケトン及びメチルイソブチルケトン等)から得られるケチミン化合物、炭素数2〜8のアルデヒド化合物(ホルムアルデヒド及びアセトアルデヒド等)から得られるアルジミン化合物、エナミン化合物及びオキサゾリジン化合物等が挙げられる。
ジオール(β1b)としては、前記ジオール(1)と同様のものが挙げられ、好ましい範囲も同様である。ジメルカプタン(β1c)としては、エチレンジチオール、1,4−ブタンジチオール及び1,6−ヘキサンジチオール等が挙げられる。
必要により、活性水素基含有化合物(β1)と共に反応停止剤(βs)を用いることができる。反応停止剤を(β1)と一定の比率で併用することにより、(A)を所定の分子量に調整することが可能である。
反応停止剤(βs)としては、モノアミン(ジエチルアミン、ジブチルアミン、ブチルアミン、ラウリルアミン、モノエタノールアミン及びジエタノールアミン等);モノアミンをブロックしたもの(ケチミン化合物等);モノオール(メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール及びフェノール等);モノメルカプタン(ブチルメルカプタン及びラウリルメルカプタン等);モノイソシアネート(ラウリルイソシアネート及びフェニルイソシアネート等);及びモノエポキシド(ブチルグリシジルエーテル等)等が挙げられる。
前記組合せ〔2〕における反応性基含有プレポリマー(α)が有する活性水素含有基(α2)としては、アミノ基(α2a)、水酸基(アルコール性水酸基及びフェノール性水酸基)(α2b)、メルカプト基(α2c)、カルボキシル基(α2d)及びそれらが脱離可能な化合物でブロック化された有機基(α2e)等が挙げられる。これらのうち好ましいのは、(α2a)、(α2b)及び(α2e)であり、更に好ましいのは(α2b)である。
アミノ基が脱離可能な化合物でブロック化された有機基としては、前記(β1a)の場合と同様のものが挙げられる。
活性水素含有基と反応可能な化合物(β2)としては、ジイソシアネート(β2a)、ポリエポキシド(β2b)、ポリカルボン酸(β2c)、ポリ酸無水物(β2d)及びポリ酸ハライド(β2e)等が挙げられる。これらのうち好ましいのは(β2a)及び(β2b)であり、更に好ましいのは(β2a)である。
ジイソシアネート(β2a)としては、前記ジイソシアネート(4)と同様のものが挙げられ、好ましいものも同様である。
ジエポキシド(β2b)としては、芳香族ジエポキシ化合物及び脂肪族ジエポキシ化合物等が挙げられる。
芳香族ジエポキシ化合物としては、多価フェノールのグリシジルエーテル体及びグリシジルエステル体、グリシジル芳香族ポリアミン並びにアミノフェノールのグリシジル化物等が挙げられる。
多価フェノールのグリシジルエーテル体としては、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールBジグリシジルエーテル、ビスフェノールADジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、ハロゲン化ビスフェノールAジグリシジル、テトラクロロビスフェノールAジグリシジルエーテル、カテキンジグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、ハイドロキノンジグリシジルエーテル、ピロガロールトリグリシジルエーテル、1,5−ジヒドロキシナフタリンジグリシジルエーテル、ジヒドロキシビフェニルジグリシジルエーテル、オクタクロロ−4,4’−ジヒドロキシビフェニルジグリシジルエーテル、テトラメチルビフェニルジグリシジルエーテル、ジヒドロキシナフチルクレゾールトリグリシジルエーテル、トリス(ヒドロキシフェニル)メタントリグリシジルエーテル、ジナフチルトリオールトリグリシジルエーテル、テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタンテトラグリシジルエーテル、p−グリシジルフェニルジメチルトリールビスフェノールAグリシジルエーテル、トリスメチル−t−ブチル−ブチルヒドロキシメタントリグリシジルエーテル、9,9’−ビス(4−ヒドキシフェニル)フロオレンジグリシジルエーテル、4,4’−オキシビス(1,4−フェニルエチル)テトラクレゾールグリシジルエーテル、4,4’−オキシビス(1,4−フェニルエチル)フェニルグリシジルエーテル、ビス(ジヒドロキシナフタレン)テトラグリシジルエーテル、フェノール又はクレゾールノボラック樹脂のグリシジルエーテル体、リモネンフェノールノボラック樹脂のグリシジルエーテル体、ビスフェノールA2モルとエピクロロヒドリン3モルの反応から得られるジグリシジルエーテル体、フェノールとグリオキザール、グルタールアルデヒド、又はホルムアルデヒドの縮合反応によって得られるポリフェノールのポリグリシジルエーテル体、及びレゾルシンとアセトンの縮合反応により得られるポリフェノールのポリグリシジルエーテル体等が挙げられる。
多価フェノールのグリシジルエステル体としては、フタル酸ジグリシジルエステル、イソフタル酸ジグリシジルエステル及びテレフタル酸ジグリシジルエステル等が挙げられる。
グリシジル芳香族ポリアミンとしては、N,N−ジグリシジルアニリン、N,N,N’,N’−テトラグリシジルキシリレンジアミン及びN,N,N’,N’−テトラグリシジルジフェニルメタンジアミン等が挙げられる。
また、前記芳香族ポリエポキシ化合物としては、p−アミノフェノールのトリグリシジルエーテル、トリレンジイソシアネート又はジフェニルメタンジイソシアネートとグリシドールの付加反応により得られるジグリシジルウレタン化合物、前記2反応物にポリオールも反応させて得られるグリシジル基含有ポリウレタン(プレ)ポリマー及びビスフェノールAのAO付加物のジグリシジルエーテル体が挙げられる。
脂肪族ポリエポキシ化合物としては、鎖状脂肪族ポリエポキシ化合物及び環状脂肪族ポリエポキシ化合物等が挙げられる。
鎖状脂肪族ポリエポキシ化合物としては、多価脂肪族アルコールのポリグリシジルエーテル体、多価脂肪酸のポリグリシジルエステル体及びグリシジル脂肪族アミン等が挙げられる。
多価脂肪族アルコールのポリグリシジルエーテル体としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、テトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル及びポリグリセロールポリグリシジルエーテル等が挙げられる。
多価脂肪酸のポリグリシジルエステル体としては、ジグリシジルオキサレート、ジグリシジルマレート、ジグリシジルスクシネート、ジグリシジルグルタレート、ジグリシジルアジペート及びジグリシジルピメレート等が挙げられる。
グリシジル脂肪族アミンとしては、N,N,N’,N’−テトラグリシジルヘキサメチレンジアミン等が挙げられる。
また、脂肪族ポリエポキシ化合物としては、ジグリシジルエーテル及びグリシジル(メタ)アクリレートの共重合体等も挙げられる。
環状脂肪族ポリエポキシ化合物としては、トリスグリシジルメラミン、ビニルシクロヘキセンジオキサイド、リモネンジオキサイド、ジシクロペンタジエンジオキサイド、ビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル、エチレングリコールビスエポキシジシクロペンチルエーテル、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシ−6’−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)ブチルアミン及びダイマー酸ジグリシジルエステル等が挙げられる。
また、環状脂肪族ポリエポキシ化合物としては、前記芳香族ポリエポキシド化合物の水添化物も挙げられる。
ジカルボン酸(β2c)としては、前記ジカルボン酸(2)と同様のものが挙げられ、好ましいものも同様である。
硬化剤(β)の比率は、反応性基含有プレポリマー(α)中の反応性基の当量[α]と、硬化剤(β)中の活性水素含有基[β]の当量の比[α]/[β]として、好ましくは1/2〜2/1であり、更に好ましくは1.5/1〜1/1.5、特に好ましくは1.2/1〜1/1.2である。なお、硬化剤(β)が水である場合は、水は2価の活性水素化合物として取り扱う。
(A)が結晶性ビニル樹脂(A3)であり、前記単量体(5)〜(14)を(A0)として用いた場合、前駆体(A0)を反応させて(A)にする方法としては、例えば、油溶性開始剤及び単量体を含有する油相を、分散媒体(W)中に分散懸濁させ、加熱によりラジカル重合反応を行わせる方法等が挙げられる。
前記油溶性開始剤としては、油溶性パーオキサイド系重合開始剤(I)、油溶性アゾ系重合開始剤(II)等が挙げられる。また、油溶性パーオキサイド系重合開始剤(I)と還元剤とを併用してレドックス系重合開始剤(III)を形成してもよい。更には、(I)〜(III)のうちから2種以上を併用してもよい。
油溶性パーオキサイド系重合開始剤(I):
アセチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ベンゾイルパーオキサイド、パラクロロベンゾイルパーオキサイド及びクメンパーオキサイド等。
油溶性アゾ系重合開始剤(II):
2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)及び2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)等。
非水系レドックス系重合開始剤(III):
ヒドロペルオキシド、過酸化ジアルキル及び過酸化ジアシル等の油溶性過酸化物と、3級アミン、ナフテン酸塩、メルカプタン類、有機金属化合物(トリエチルアルミニウム、トリエチルホウ素及びジエチル亜鉛等)等の油溶性還元剤とを併用したもの。
本発明のトナー(X)の製造方法において、結晶性ポリウレタン樹脂(B)としては、前記ジオール(1)に加え、カルボン酸塩基、スルホン酸塩基、スルファミン酸塩基及びリン酸塩基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基を有するジオール(1’)を構成単位としたものが好ましい。(B)がジオール(1’)を構成単位とすることにより、分散媒体(F)中で樹脂粒子(E)が分散しやすくなるため好ましい。
結晶性ポリウレタン樹脂(B)が、カルボン酸塩基、スルホン酸塩基、スルファミン酸塩基及びリン酸塩基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基を有するジオール(1’)を構成単位としたものの場合、本発明のトナー(X)の製造方法における、溶液(D)を結晶性ポリウレタン樹脂(B)を含有してなる樹脂粒子(E)が分散してなる分散媒体(F)中に分散する工程の後に、樹脂粒子(E)が有するカルボン酸塩基、スルホン酸塩基、スルファミン酸塩基及びリン酸塩基からなる群から選ばれる1種類以上の基を、カルボン酸基、スルホン酸基、スルファミン酸基及びリン酸基からなる群から選ばれる1種類以上の基に変換する工程を含むことが好ましい。係る工程を含むことにより、得られたトナー(X)の低温定着性、耐水性が向上する。
(E)が有するカルボン酸塩基、スルホン酸塩基、スルファミン酸塩基及びリン酸塩基からなる群から選ばれる1種類以上の基を、カルボン酸基、スルホン酸基、スルファミン酸基及びリン酸基からなる群から選ばれる1種類以上の基に変換する方法としては、酸性の水溶液であれば特に制限はなく、公知の化合物の中から適宜選択することができ、例えば、塩酸、酢酸、リン酸、硝酸などの水溶液が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、塩酸、リン酸が好ましい。
本発明における有機溶剤(C)としては、芳香族炭化水素溶剤(トルエン、キシレン、エチルベンゼン及びテトラリン等);脂肪族炭化水素溶剤(n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−デカン、ミネラルスピリット及びシクロヘキサン等);ハロゲン溶剤(塩化メチル、臭化メチル、ヨウ化メチル、メチレンジクロライド、四塩化炭素、トリクロロエチレン及びパークロロエチレン等);エステル溶剤(酢酸エチル、酢酸ブチル、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル、乳酸メチル、乳酸エチル、メトキシブチルアセテート、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ピルビン酸メチル及びピルビン酸エチル等);エーテル溶剤(ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル及びプロピレングリコールモノエチルエーテル等);ケトン溶剤(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジ−n−ブチルケトン及びシクロヘキサノン等);アルコール溶剤(メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、2−エチルヘキシルアルコール、ベンジルアルコール、2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール及びトリフルオロエタノール等);アミド溶剤(ジメチルホルムアミド及びジメチルアセトアミド等);スルホキシド溶剤(ジメチルスルホキシド等);複素環式化合物溶剤(N−メチルピロリドン等)並びにこれらの2種以上の混合溶剤が挙げられる。また、これらの有機溶剤とアルコール溶剤又は水との混合溶剤を用いることもできる。
本発明における溶液(D)は、結晶性樹脂(A)を有機溶剤(C)に溶解してなる。
(D)中の(A)の含有率は、好ましくは5〜50重量%であり、更に好ましくは10〜40重量%である。(D)中の(C)の含有率は、好ましくは40〜90重量%であり、更に好ましくは50〜85重量%である。
溶液(D)中には、更に添加剤(着色剤、荷電制御剤、酸化防止剤、ブロッキング防止剤、耐熱安定剤及び流動化剤等)を含有させることができる。
着色剤としては、トナー用着色剤として使用されている染料、顔料等のすべてを使用することができる。具体的には、カーボンブラック、鉄黒、スーダンブラックSM、ファーストイエローG、ベンジジンイエロー、ソルベントイエロー(21、77及び114等)、ピグメントイエロー(12、14、17及び83等)、インドファーストオレンジ、イルガシンレッド、パラニトアニリンレッド、トルイジンレッド、ソルベントレッド(17、49、128、5、13、22及び48・2等)、ディスパースレッド、カーミンFB、ピグメントオレンジR、レーキレッド2G、ローダミンFB、ローダミンBレーキ、メチルバイオレットBレーキ、フタロシアニンブルー、ソルベントブルー(25、94、60及び15・3等)、ピグメントブルー、ブリリアントグリーン、フタロシアニングリーン、オイルイエローGG、カヤセットYG、オラゾールブラウンB及びオイルピンクOP等が挙げられ、これらは単独でも又は2種以上を混合してもよい。着色剤の含有率は、(A)の重量に基づいて、好ましくは0.5〜15重量%である。
荷電制御剤としては、ニグロシン染料、3級アミンを側鎖として含有するトリフェニルメタン系染料、4級アンモニウム塩、ポリアミン樹脂、イミダゾール誘導体、4級アンモニウム塩基含有ポリマー、含金属アゾ染料、銅フタロシアニン染料、サリチル酸金属塩、ベンジル酸のホウ素錯体、スルホン酸基含有ポリマー、含フッ素系ポリマー、ハロゲン置換芳香環含有ポリマー、サリチル酸のアルキル誘導体の金属錯体及びセチルトリメチルアンモニウムブロミド等が挙げられる。荷電制御剤の含有率は、(A)の重量に基づいて、好ましくは0〜5重量%である。
流動化剤としては、コロイダルシリカ、アルミナ粉末、酸化チタン粉末、炭酸カルシウム粉末、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ベンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム及び炭酸バリウム等が挙げられる。流動化剤の含有率は、(A)の重量に基づいて、好ましくは0〜10重量%である。
本発明における樹脂粒子(E)は、前記の結晶性ポリウレタン樹脂(B)を含有してなる。(E)の体積平均粒径は、好ましくは0.01〜0.5μmであり、更に好ましくは0.02〜0.4μm、特に好ましくは0.03〜0.3μm、最も好ましくは0.04〜0.2μmである。
本発明におけるトナーコア粒子(G)は、前記の結晶性樹脂(A)を含有してなる。(G)の体積平均粒径は、好ましくは0.1〜300μmであり、更に好ましくは0.5〜250μm、特に好ましくは1〜200μmである。
樹脂粒子(E)、(G)の体積平均粒径は、レーザー式粒度分布測定装置「LA−920」[(株)堀場製作所製]や「マルチサイザーIII」(コールター社製)、光学系としてレーザードップラー法を用いる「ELS−800」[大塚電子(株)製]等で測定できる。仮に、各測定装置間で粒径の測定値に差を生じた場合は、「ELS−800」での測定値を採用する。
樹脂粒子(E)の体積平均粒径は、通常、トナーコア粒子(G)の体積平均粒径よりも小さく、トナー(X)の粒径均一性の観点から、粒径比[(E)の体積平均粒径]/[(G)の体積平均粒径]の値が0.001〜0.3の範囲であることが好ましい。粒径比の下限は、更に好ましくは0.003であり、上限は、更に好ましくは0.25である。粒径比が、0.3より大きいと(E)が(G)の表面に効率よく吸着しないため、得られるトナー(X)の粒度分布が広くなる傾向がある。
本発明における分散媒体(F)としては、液体状態又は超臨界状態の二酸化炭素(F1)、非水性有機溶剤(F2)及び水性媒体(F3)等が挙げられる。(F1)のうち、液体状態の二酸化炭素とは、二酸化炭素の温度軸と圧力軸とで表す相図上において、二酸化炭素の三重点(温度=−57℃、圧力0.5MPa)と二酸化炭素の臨界点(温度=31℃、圧力=7.4MPa)を通る気液境界線、臨界温度の等温線及び固液境界線に囲まれた部分の温度・圧力条件である二酸化炭素を表す。
(F1)のうち、超臨界状態の二酸化炭素とは、臨界温度以上の温度・圧力条件である二酸化炭素を表す(ただし、圧力は、2成分以上の混合ガスの場合、全圧を表す)。
非水性有機溶剤(F2)としては、前記有機溶剤(C)のうち、結晶性樹脂(A)の溶解度が1重量%以下であるものが挙げられる。(A)の溶解度が1重量%以下であれば、トナー(X)同士が合一しにくく好ましい。なお、(A)の(F2)に対する溶解度は、以下の方法で測定することができる。
(A)10gを(F2)90g中に分散した非水性分散液を、3,000rpmの条件で10分間遠心分離し、上澄み液約2g(wg)をアルミ容器に採取する。更にこの上澄み液を、減圧乾燥機で、(C)の沸点の温度条件で1時間乾燥を行い、残渣の質量を秤量する。このときの残渣質量をWgとすると、(A)の(F2)に対する溶解度は、以下の式から算出することができる。
溶解度(重量%)=[(W/w)/10]×100
また、(F2)の沸点は、本発明のトナー(X)の製造方法で使用する有機溶剤(C)の沸点よりも20℃以上高いものが好ましい。そのような(F2)を使用することにより、(C)を減圧により除去する工程において、(F2)が除去されることを防ぐことができる。
水性媒体(F3)としては、水を必須構成成分とする液体であれば制限なく使用でき、水に界面活性剤を含有させた水溶液等が挙げられる。界面活性剤としては、公知の界面活性剤(例えば特開2004−124059号公報に記載の界面活性剤)等を使用することができる。一方、(F3)は、得られたトナー(X)のコストと環境負荷の観点から、界面活性剤を含有しないものであることが好ましい場合もある。
本発明における、分散媒体(F)中に分散して分散体(DF)を得る工程の後、分散体(DF)から、有機溶剤(C)を除去して得られる、溶液(D)を分散媒体(F)中に分散させて分散体(DF)を得る工程としては特に制限はなく、例えば、分散機を用いて(F)中に(D)を分散させる方法が挙げられる。
分散機としては、一般に乳化機や分散機として市販されているものであれば特に限定されず、例えばバッチ式乳化機{「ホモジナイザー」(IKA社製)、「ポリトロン」(キネマティカ社製)及び「TKオートホモミキサー」[特殊機化工業(株)製]等}、連続式乳化機{「エバラマイルダー」[(株)荏原製作所製]、「TKフィルミックス」、「TKパイプラインホモミキサー」[特殊機化工業(株)製]、「コロイドミル」[神鋼パンテック(株)製]、「スラッシャー」、「トリゴナル湿式微粉砕機」[サンテック(株)製]、「キャピトロン」(ユーロテック社製)及び「ファインフローミル」[太平洋機工(株)製]等}、高圧乳化機{「マイクロフルイダイザー」[みずほ工業(株)製]、「ナノマイザー」[エス・ジーエンジニアリング(株)製]及び「APVガウリン」(ガウリン社製)等}、膜乳化機{「膜乳化機」[冷化工業(株)製]等}、振動式乳化機{「バイブロミキサー」[冷化工業(株)製]等}、超音波乳化機{「超音波ホモジナイザー」(ブランソン社製)等}等が挙げられる。
分散体(DF)から有機溶剤(C)を除去する工程としては、減圧により除去する方法が挙げられる。ただし、減圧により(C)を除去する場合、同時に(E)も除去されないように、減圧度や温度を調整する必要がある。
また、(F)が(F1)の場合、(C)を減圧により除去すると、(C)が(DF)中で凝縮し、(DF)中のトナー(X)が(DF)中に溶解したり、(X)同士が合一してしまう等の問題が生じる場合がある。
そこで、(F)が(F1)の場合には、(DF)中に、更に(F1)を混合して、(X)中に存在する(C)を(DF)の相に抽出し、次いで(DF)を(F1)で置換し、その後に減圧(0.1〜20MPa)する方法により行うのが好ましい。
(DF)中に、更に(F1)を混合する場合、(DF)より高い圧力の(F1)を加えてもよく、また(DF)を(DF)より低い圧力の(F1)中に加えてもよいが、連続操作の容易性の観点から好ましいのは後者である。(DF)と混合する(F1)の量は、(X)の合一防止の観点から、(DF)の体積の1〜50倍が好ましく、更に好ましくは1〜40倍、特に好ましくは1〜30倍である。
(DF)を(F1)で置換する方法としては、トナー(X)を一旦フィルターやサイクロンで捕捉した後、圧力を保ちながら、(C)が完全に除去されるまで(F1)を流通させる方法が挙げられる。流通させる(F1)の量は、(C)の除去が容易になるという観点から、(DF)の体積に対して1〜100倍が好ましく、更に好ましくは1〜50倍、最も好ましくは1〜30倍である。
(F)が(F2)又は(F3)の場合には、分散体(DF)から有機溶剤(C)を除去する工程としては、減圧(0.001〜0.05MPa)により(C)を除去する方法が挙げられる。
本発明のトナー(X)の製造方法において、有機溶剤(C)を除去する工程の後、分散媒体(F)を除去する工程を経ることにより、(F)中からトナー(X)を分離することができる。
(F)を除去する方法としては特に限定しないが、例えば、減圧により除去する方法や、濾過及び/又は遠心分離装置を用いて個液分離を行い乾燥させる方法が挙げられる。
トナー(X)は、トナーコア粒子(G)の表面に樹脂粒子(E)が付着して得られることから、(E)は(G)に対する吸着力を有する必要がある。(E)の(G)に対する吸着力は、以下のような方法で制御することができる。
(1)(E)と(G)が正負逆の電荷を持つようにすると吸着力が発生し、この場合、(E)、(G)各々の電荷を大きくするほど、吸着力が強くなる。
(2)分散媒体(F3)中で界面活性剤を使用すると吸着力が強くなる。
(3)結晶性樹脂(A)と結晶性ポリウレタン樹脂(B)のSP値差を小さくすると吸着力が強くなる。
本発明のトナー(X)の製造方法において、結晶性樹脂(A)と結晶性ポリウレタン樹脂(B)のSP値差又は(A)のMwを制御することで、(X)の粒子形状や粒子表面性を制御することができる。(A)と(B)のSP値差が小さいと、いびつな形で表面平滑な(X)が得られやすく、SP値差が大きいと球形で表面にザラつきのある(X)が得られやすい。
また、(A)のMwが大きいと、表面にザラつきのある(X)が得られやすく、(A)のMwが小さいと表面が平滑な(X)が得られやすい。ただし、(A)と(B)のSP値差は小さすぎても大きすぎても造粒困難になる。また(A)のMwが小さすぎると造粒困難になる。
このことから、(A)と(B)のSP値差は、好ましくは0.01〜5.0(cal/cm1/2であり、更に好ましくは0.1〜3.0(cal/cm1/2、特に好ましくは0.2〜2.0(cal/cm1/2である。
以下、実施例により本発明を更に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。
<製造例1>〔結晶性ポリウレタン樹脂(B−1)溶液の製造〕
撹拌機及び温度計を備えた反応装置に、エチレングリコールとセバシン酸からなるポリエステルジオール[水酸基価56]74重量部、1,9−ノナンジオール20重量部、2,2−ジメチロールプロピオン酸47重量部、3−(2,3−ジヒドロキシプロポキシ)−1−プロパンスルホン酸ナトリウム9重量部、ヘキサメチレンジイソシアネート100重量部、トリエチルアミン4重量部及びアセトン250重量部を、窒素を導入しながら投入した。その後50℃に昇温し、10時間かけてウレタン化反応を行い、イソシアネート基を末端に有するウレタン樹脂溶液を製造した。次いで、n−ブチルアミンを8重量部及びトリエチルアミンを31重量部加え、50℃で3時間反応させ、結晶性ポリウレタン樹脂(B−1)のアセトン溶液を得た。(B−1)のNCO含有率は0重量%であった。
<製造例2>〔結晶性ポリウレタン樹脂(B−2)溶液の製造〕
撹拌機及び温度計を備えた反応装置に、エチレングリコールとセバシン酸からなるポリエステルジオール(水酸基価44)379.7重量部、2,2−ジメチロールプロピオン酸26.9重量部、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)スルファミン酸2.4重量部、イソホロンジイソシアネート76重量部及びアセトン500重量部を、窒素を導入しながら投入した。その後90℃に加熱し、40時間かけてウレタン化反応を行い、ヒドロキシル基を末端に有する結晶性ウレタン樹脂(B−2)のアセトン溶液を製造した。(B−2)のNCO含有率は0重量%であった。
<製造例3>〔結晶性ポリウレタン樹脂(B−3)溶液の製造〕
撹拌機及び温度計を備えた反応装置に、エチレングリコールとドデカン二酸からなるポリエステルジオール(水酸基価31)377.3重量部、2,2−ジメチロールプロピオン酸30.3重量部、ビス(2−ヒドロキシエチル)ホスフェート2.4重量部、イソホロンジイソシアネート95.0重量部及びアセトン487.2重量部を、窒素を導入しながら投入した。その後90℃に加熱し、40時間かけてウレタン化反応を行い、ヒドロキシル基を末端に有する結晶性ウレタン樹脂(B−3)のアセトン溶液を得た。(B−3)のNCO含有率は0重量%であった。
<製造例4>〔結晶性ポリウレタン樹脂(B−4)溶液の製造〕
撹拌機及び温度計を備えた反応装置に、エチレングリコールとドデカン二酸からなるポリエステルジオール(水酸基価51)447重量部、2,2−ジメチロールプロピオン酸を6.3重量部、3−(2,3−ジヒドロキシプロポキシ)−1−プロパンスルホン酸ナトリウムを2.5重量部、ヘキサメチレンジイソシアネートを44重量部及びアセトン500重量部を、窒素を導入しながら投入した。その後90℃に加熱し、40時間かけてウレタン化反応を行い、ヒドロキシル基を末端に有する結晶性ウレタン樹脂(B−4)のアセトン溶液を得た。(B−4)のNCO含有率は0重量%であった。
<製造例5>〔結晶性ポリウレタン樹脂(B−5)用プレポリマー溶液の製造〕
撹拌機及び温度計を備えた反応装置に、のエチレングリコールとセバシン酸からなるポリエステルジオール[水酸基価56]99重量部、エチレングリコールとセバシン酸からなるポリエステルジオール[水酸基価112]50重量部、2,2−ジメチロールプロピオン酸50重量部、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)スルファミン酸を17重量部、ジフェニルメタンジイソシアネート67重量部、トリエチルアミン3重量部及びアセトン250重量部を、窒素を導入しながら投入した。その後50℃に加熱し、10時間かけてウレタン化反応を行い、ウレタン樹脂(B−5)のプレポリマー(B0−5)のアセトン溶液を得た。(B0−5)のNCO含有率は1.7重量%であった。
<製造例6>〔結晶性ポリウレタン樹脂(B−6)溶液の製造〕
撹拌機及び温度計を備えた反応装置に、エチレングリコールとセバシン酸からなるポリ
エステルジオール[水酸基価112]111重量部、2,2−ジメチロールプロピオン酸21重量部、3−(2,3−ジヒドロキシプロポキシ)−1−プロパンスルホン酸ナトリウム1重量部、ヘキサメチレンジイソシアネート117重量部、トリエチルアミン15重量部及びアセトン250重量部を、窒素を導入しながら投入した。その後50℃に加熱し、15時間かけてウレタン化反応を行い、ヒドロキシル基を末端に有する結晶性ウレタン樹脂溶液を得た。ウレタン化反応終了時のNCO含有率は0重量%であった。
<製造例7>〔結晶性ポリウレタン樹脂(B−7)溶液の製造〕
撹拌機及び温度計を備えた反応装置に、エチレングリコールとセバシン酸からなるポリ
エステルジオール(水酸基価44)379.7重量部、2,2−ジメチロールプロピオン酸26.9重量部、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)スルファミン酸2.4重量部、イソホロンジイソシアネート76重量部及びアセトン500重量部を、窒素を導入しながら投入した。その後90℃に加熱し、40時間かけてウレタン化反応を行い、ヒドロキシル基を末端に有する結晶性ウレタン樹脂(B−7)のアセトン溶液を製造した。(B−7)のNCO含有率は0重量%であった。
<製造例8>〔結晶性ポリウレタン樹脂(B−8)溶液の製造〕
撹拌機及び温度計を備えた反応装置に、エチレングリコールとセバシン酸からなるポリエステルジオール(水酸基価44)379.7重量部、2,2−ジメチロールプロピオン酸26.9重量部、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)スルファミン酸2.4重量部、イソホロンジイソシアネート76重量部及びアセトン500重量部を、窒素を導入しながら投入した。その後90℃に加熱し、40時間かけてウレタン化反応を行い、ヒドロキシル基を末端に有する結晶性ウレタン樹脂(B−8)のアセトン溶液を製造した。(B−8)のNCO含有率は0重量%であった。
<製造例9>〔微粒子(E−1)の水分散液(W−1)の製造〕
撹拌機、温度計、脱溶剤装置を備えた反応装置に、水1,800重量部を投入し、40℃に昇温した。次いで撹拌下、40℃にした製造例1で得られた(B−1)のアセトン溶液836重量部を投入し、(B−1)を水中で乳化させ、次いでアセトンを留去し、(B−1)からなる微粒子(E−1)の水分散液(W−1)を得た。(W−1)中の(E−1)の体積平均粒径を「ELS−800」で測定したところ、0.05μmであった。
<製造例10>〔微粒子(E−2)の水分散液(W−2)の製造〕
撹拌機、温度計、脱溶剤装置を備えた反応装置に、水1,800重量部を投入し、40℃に昇温した。次いで撹拌下、40℃にした製造例2で得られた(B−2)のアセトン溶液836重量部を投入し、(B−2)を水中で乳化させ、アセトンを留去し、(B−2)からなる微粒子(E−2)の水分散液(W−2)を得た。(W−2)中の(E−2)の体積平均粒径を「ELS−800」で測定したところ、0.15μmであった。
<製造例11>〔微粒子(E−3)の水分散液(W−3)の製造〕
撹拌機、温度計、脱溶剤装置を備えた反応装置に、水1,800重量部を投入し、40℃に昇温した。次いで撹拌下、40℃にした製造例3で得られた(B−3)のアセトン溶液836重量部を投入し、(B−3)を水中で乳化させ、アセトンを留去し、(B−3)からなる微粒子(E−3)の水分散液(W−3)を得た。(W−3)中の(E−3)の体積平均粒径を「ELS−800」で測定したところ、0.30μmであった。
<製造例12>〔微粒子(E−4)の水分散液(W−4)の製造〕
撹拌機、温度計、脱溶剤装置を備えた反応装置に、水1,800重量部を投入し、40℃に昇温した。次いで撹拌下、40℃にした製造例4で得られた(B−4)のアセトン溶液836重量部を投入し、(B−4)を水中で乳化させ、アセトンを留去し、(B−4)からなる微粒子(E−4)の水分散液(W−4)を得た。(W−4)中の(E−4)の体積平均粒径を「ELS−800」で測定したところ、0.30μmであった。
<製造例13>〔微粒子(E−5)の水分散液(W−5)の製造〕
撹拌機、温度計、脱溶剤装置を備えた反応装置に、水1,800重量部を投入し、40℃に昇温した。次いで撹拌下、40℃にした製造例5で得られた(B−5)のアセトン溶液836重量部を投入し、(B−5)を水中で乳化させ、更に、n−ブチルアミン4.5重量部、ヘキサメチレンジアミン9.5重量部及びトリエチルアミン10重量部を加え、撹拌しながら5時間反応させた後、アセトンを留去し、(B−5)をアミン伸長した樹脂からなる微粒子(E−5)の水分散液(W−5)を得た。(W−5)中の(E−5)の体積平均粒径を「ELS−800」で測定したところ、0.05μmであった。
<製造例14>〔微粒子(E−6)の水分散液(W−6)の製造〕
撹拌機、温度計、脱溶剤装置を備えた反応装置に、水1,800重量部を投入し、40℃に昇温した。次いで撹拌下、40℃にした製造例6で得られた(B−6)のアセトン溶液836重量部を投入し、(B−6)を水中で乳化させ、アセトンを留去し、(B−6)からなる微粒子(E−6)の水分散液(W−6)を得た。(W−6)中の(E−6)の体積平均粒径を「ELS−800」で測定したところ、0.30μmであった。
<製造例15>〔微粒子(E−7)の水分散液(W−7)の製造〕
撹拌機、温度計、脱溶剤装置を備えた反応装置に、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5重量%水溶液「エレミノールMON−7」[三洋化成工業(株)製]18重量部、水1,800重量部を投入し、40℃に昇温した。次いで撹拌下、40℃にした製造例7で得られた(B−7)のアセトン溶液836重量部を投入し、(B−7)を水中で乳化させ、アセトンを留去し、(B−7)からなる微粒子(E−7)の水分散液(W−7)を得た。(W−7)中の(E−7)の体積平均粒径を「ELS−800」で測定したところ、0.20μmであった。
<製造例16>〔微粒子(E−8)のデカン散液(W−8)の製造〕
撹拌機、温度計、脱溶剤装置を備えた反応装置に、デカン1,800重量部を投入し、40℃に昇温した。次いで撹拌下、40℃にした製造例8で得られた(B−8)のアセトン溶液836重量部を投入し、(B−8)を水中で乳化させ、アセトンを留去し、(B−8)からなる微粒子(E−8)のデカン分散液(W−8)を得た。(W−8)中の(E−8)の体積平均粒径を「ELS−800」で測定したところ、0.20μmであった。
<比較製造例1>〔比較のポリウレタン樹脂(B’−1)溶液の製造〕
撹拌機及び温度計を備えた反応装置に、1,2−プロピレングリコールとイソフタル酸からなるポリエステルジオール(水酸基価56)を197.5重量部、2,2−ジメチロールプロピオン酸を10重量部、3−(2,3−ジヒドロキシプロポキシ)−1−プロパンスルホン酸ナトリウムを2.5重量部、イソホロンジイソシアネートを40重量部、トリエチルアミンを8重量部及びアセトンを250重量部、窒素を導入しながら投入した。その後50℃に加熱し、15時間かけてウレタン化反応を行い、ヒドロキシル基を末端に有するウレタン樹脂(B’−1)のアセトン溶液を得た。(B’−1)のNCO含有率は0重量%であった。
<比較製造例2>〔比較のポリウレタン樹脂(B’−2)溶液の製造〕
撹拌機及び温度計を備えた反応装置に、ポリエチレングリコール「PEG−400」[水酸基価278、三洋化成工業(株)製]92重量部、2,2−ジメチロールプロピオン酸38重量部、3−(2,3−ジヒドロキシプロポキシ)−1−プロパンスルホン酸ナトリウム3重量部、イソホロンジイソシアネート122重量部、トリエチルアミン3重量部及びアセトン250重量部を、窒素を導入しながら投入した。その後50℃に加熱し、15時間かけてウレタン化反応を行い、次いで、トリエチルアミン29重量部を添加・混合し、ウレタン樹脂(B’−2)のアセトン溶液を得た。(B’−2)のNCO含量は0重量%であった。
<比較製造例3>〔微粒子(E’−1)の水分散液(W’−1)の製造〕
撹拌機、温度計、脱溶剤装置を備えた反応装置に、水1,800重量部を投入し、40℃に昇温した。次いで撹拌下、40℃にした比較製造例1で得られた(B’−1)のアセトン溶液836重量部を投入し、(B’−1)を水中で乳化させ、アセトンを留去し、(B’−1)からなる微粒子(E’−1)の水分散液(W’−1)を得た。(W’−1)中の(E’−1)の体積平均粒径を「ELS−800」で測定したところ、0.30μmであった。
<比較製造例4>〔微粒子(E’−2)の水分散液(W’−2)の製造〕
撹拌機、温度計、脱溶剤装置を備えた反応装置に、水1,800重量部を投入し、40℃に昇温した。次いで撹拌下、40℃にした比較製造例2で得られた(B’−2)のアセトン溶液836重量部を投入し、(B’−2)を水中で乳化させ、アセトンを留去し、(B’−2)からなる微粒子(E’−2)の水分散液(W’−2)を得た。(W’−2)中の(E’−2)の体積平均粒径を「ELS−800」で測定したところ、0.30μmであった。
製造例1〜8で得られた結晶性ポリウレタン樹脂(B−1)〜(B−8)、比較製造例1〜2で得られたポリウレタン樹脂(B’−1)、(B’−2)について、それぞれの物性値を表1に記載した。
Figure 2014059444
<製造例17>〔結晶性ポリエステル樹脂(A1−1)の合成〕
撹拌機、温度計、窒素導入管及び減圧装置を備えた反応装置に、窒素を導入しながらセバシン酸703重量部、アジピン酸56重量部、1,4−ブタンジオール379重量部、酸化ジブチルスズ0.1重量部を投入し、減圧操作により系内を窒素置換した後、180℃に昇温し、同温度で6時間撹拌した。その後、撹拌を続けながら減圧下(0.007〜0.026MPaMPa)にて230℃まで徐々に昇温し、更に同温度で2時間保持する。粘稠な状態となったところで150℃まで冷却し、反応を停止させることで、結晶性ポリエステル樹脂(A1−1)を合成した。
<製造例18>〔結晶性ポリエステル樹脂(A1−2)の合成〕
製造例17において、セバシン酸703重量部、アジピン酸56重量部を、アジピン酸713量部に、1,4−ブタンジオール379重量部を1,4−ブタンジオール462重量部に変更した以外は製造例17と同様にして、結晶性ポリエステル樹脂(A1−2)を得た。
<製造例19>〔結晶性ポリエステル樹脂(A1−3)の合成〕
製造例17において、セバシン酸703重量部、アジピン酸56重量部をセバシン酸848重量部に、1,4−ブタンジオール379重量部をエチレングリコール226重量部と1,4−ブタンジオール75重量部を混合したものに変更した以外は製造例17と同様にして、結晶性ポリエステル樹脂(A1−3)を得た。
<製造例20>〔結晶性ポリエステル樹脂(A1−4)の合成〕
製造例17において、セバシン酸703重量部、アジピン酸56重量部をイソフタル酸627重量部に、1,4−ブタンジオール379重量部を1,6−ヘキサンジオール508重量部に変更した以外は製造例17と同様にして、結晶性ポリエステル樹脂(A1−4)を得た。
<製造例21>〔結晶性ポリエステル樹脂(A1−5)の合成〕
製造例17において、セバシン酸703重量部、アジピン酸56重量部をセバシン酸787重量部に、1,4−ブタンジオール379重量部をエチレングリコール382重量部に変更した以外は製造例17と同様にして、結晶性ポリエステル樹脂(A1−5)を得た。
<製造例22>〔結晶性ポリウレタン樹脂(A2−1)の製造〕
撹拌機、温度計、窒素導入管及び減圧装置を備えた反応装置に、窒素を導入しながら結晶性ポリエステル(A1−1)216.0重量部、ジフェニルメタンジイソシアネート64.0重量部、1,2−プロピレングリコール20.0重量部、テトラヒドロフラン(THF)300.0重量部を投入した。次いで50℃に昇温し、同温度で15時間かけてウレタン化反応をし、ヒドロキシル基を末端に有する結晶性ポリウレタン樹脂(A2−1)のTHF溶液を得た後THFを留去し、結晶性樹脂(A2−1)を得た。(A2−1)のNCO含有率は0重量%であった。
<製造例23>〔結晶性ポリウレタン樹脂(A2−2)の製造〕
撹拌機、温度計、窒素導入管及び減圧装置を備えた反応装置に、窒素を導入しながら結晶性ポリエステル(A1−2)150.0重量部、ヘキサメチレンジイソシアネート60.0重量部、シクロヘキサンジメタノール 90.0重量部、THF300.0重量部を投入した。次いで50℃に昇温し、同温度で15時間かけてウレタン化反応をし、ヒドロキシル基を末端に有する結晶性ポリウレタン樹脂(A2−2)のTHF溶液を得た後THFを留去し、結晶性樹脂(A2−2)を得た。(A2−2)のNCO含有率は0重量%であった。
<製造例24>〔結晶性ポリウレタン樹脂(A2−3)の製造〕
撹拌機、温度計、窒素導入管及び減圧装置を備えた反応装置に、窒素を導入しながら結晶性ポリエステル(A1−3)285.0重量部、イソホロンジイソシアネート15.0重量部、THF300.0重量部を投入した。次いで50℃に昇温し、同温度で15時間かけてウレタン化反応をし、ヒドロキシル基を末端に有する結晶性ポリウレタン樹脂(A2−3)のTHF溶液を得たTHFを留去し、結晶性樹脂(A2−3)を得た。(A2−3)のNCO含有率は0重量%であった。
<製造例25>〔結晶性ポリウレタン樹脂(A2−4)の製造〕
撹拌機、温度計、窒素導入管及び減圧装置を備えた反応装置に、窒素を導入しながら結晶性ポリエステル(A1−4)240.0重量部、ジフェニルメタンジイソシアネート33.0重量部、ビスフェノールA・PO2モル付加物27.0重量部、THF300.0重量部を投入した。次いで50℃に昇温し、同温度で15時間かけてウレタン化反応をし、ヒドロキシル基を末端に有する結晶性ポリウレタン樹脂(A2−4)のTHF溶液を得た後THFを留去し、結晶性樹脂(A2−4)を得た。(A2−4)のNCO含有率は0重量%であった。
<製造例26>〔結晶性ポリウレタン樹脂(A2−5)の製造〕
撹拌機、温度計、窒素導入管及び減圧装置を備えた反応装置に、窒素を導入しながら結晶性ポリエステル(A1−5)240.0重量部、キシリレンジイソシアネート47.0重量部、1,2−プロピレングリコール27.0重量部、THF300.0重量部を投入した。次いで50℃に昇温し、同温度で15時間かけてウレタン化反応をし、ヒドロキシル基を末端に有する結晶性ポリウレタン樹脂(A2−5)のTHF溶液を得た後THFを留去し、結晶性樹脂(A2−5)を得た。(A2−5)のNCO含有率は0重量%であった。
<製造例27>[前駆体(A0−1)の合成]
撹拌装置、加熱冷却装置、冷却管及び温度計を備えた反応容器に、(A1−3)452重量部、酢酸エチル500重量部を投入し、60℃まで昇温し、同温度で2時間撹拌し、溶解させた後、この溶液中の水分量が0.06重量%になるように水を加えた。溶解を確認した後、トリレンジイソシアネート48重量部を加え、80℃まで昇温し、同温度で1時間反応させ、末端にイソシアネート基を有する前駆体(A0−1)の溶液を得た。(A0−1)のMwは14,000、融解熱の最大ピーク温度は60℃、イソシアネート含有率は1.0重量%であった。
<比較製造例5>〔ポリエステル樹脂(A’1−1)の製造〕
撹拌機、温度計、窒素導入管及び減圧装置を備えた反応装置に、ビスフェノールA・PO2モル付加物67重量部、ビスフェノールA・PO3モル付加物700重量部、テレフタル酸260重量部及び縮合触媒としてジブチルチンオキサイド1重量部を投入し、常圧で230℃まで昇温し、同温度で5時間反応し、更に0.013〜0.020MPaの減圧下で2時間反応した。次いで、180℃まで冷却し、無水トリメリット酸24重量部を加え、常圧密閉下で2時間反応後室温まで冷却し、ポリエステル樹脂(A’1−1)を得た。
製造例22〜26、比較製造例5で得られた結晶性樹脂(A2−1)〜(A2−5)、(A’1−1)について、それぞれの物性値を表2に記載した。
Figure 2014059444
<製造例28>(着色剤分散液の製造)
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計、冷却管及び窒素導入管を備えた反応容器に、プロピレングリコール557重量部(17.5モル部)、テレフタル酸ジメチルエステル569重量部(7.0モル部)、アジピン酸184重量部(3.0モル部)及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート3重量部を投入し、180℃で窒素気流下に、生成するメタノールを留去しながら8時間反応させた。次いで230℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下に、生成するプロピレングリコール及び水を留去しながら4時間反応させ、更に0.007〜0.026MPaの減圧下に1時間反応させた。回収されたプロピレングリコールは175重量部(5.5モル部)であった。次いで180℃まで冷却し、無水トリメリット酸121重量部(1.5モル部)を加え、常圧密閉下で2時間反応後、220℃、常圧で軟化点が180℃になるまで反応させ、ポリエステル樹脂(Mn=8,500)を得た。
ビーカーに、銅フタロシアニン20重量部と着色剤分散剤「ソルスパーズ28000」[アビシア(株)製]4重量部、得られたポリエステル樹脂20重量部及び酢酸エチル56重量部を投入し、撹拌して均一分散させた後、ビーズミルによって銅フタロシアニンを微分散して、着色剤分散液を得た。着色剤分散液の「LA−920」で測定した体積平均粒径は0.2μmであった。
<製造例29>(変性ワックスの製造)
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計及び滴下ボンベを備えた耐圧反応容器に、キシレン454重量部、低分子量ポリエチレン 「サンワックス LEL−400」[軟化点:128℃、三洋化成工業(株)製]150重量部を投入し、窒素置換後撹拌下170℃に昇温し、同温度でスチレン595重量部、メタクリル酸メチル255重量部、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート34重量部及びキシレン119重量部の混合溶液を3時間かけて滴下し、更に同温度で30分間保持した。
次いで0.039MPaの減圧下でキシレンを留去し、変性ワックスを得た。変性ワックスのグラフト鎖のSP値は10.35(cal/cm1/2、Mnは1,900、Mwは5,200、Tgは56.9℃であった。
<製造例30>[離型剤分散液の製造]
撹拌装置、加熱冷却装置、冷却管及び温度計を備えた反応容器に、パラフィンワックス「HNP−9」[融解熱最大ピーク温度:73℃、日本精鑞(株)製]10重量部、製造例29で得られた変性ワックス1重量部及び酢酸エチル33重量部を投入し、撹拌下78℃に昇温し、同温度で30分間撹拌後、1時間かけて30℃まで冷却してパラフィンワックスを微粒子状に晶析させ、更に「ウルトラビスコミル」[アイメックス(株)製]で湿式粉砕し、離型剤分散液を得た。体積平均粒径は0.25μmであった。
<製造例31>〔樹脂溶液(D−1)の製造〕
撹拌機及び温度計を備えた反応容器に、着色剤分散液30重量部、離型剤分散液140重量部、結晶性樹脂(A2−1)100重量部及び酢酸エチル153重量部を投入し、撹拌して(A2−1)を均一に溶解させ、樹脂溶液(D−1)を得た。
<製造例32>〔樹脂溶液(D−2)の製造〕
撹拌機及び温度計を備えた反応容器に、着色剤分散液30重量部、離型剤分散液140重量部、結晶性樹脂(A2−2)100重量部及び酢酸エチル153重量部を投入し、撹拌して(A2−2)を均一に溶解させ、樹脂溶液(D−2)を得た。
<製造例33>〔樹脂溶液(D−3)の製造〕
撹拌機及び温度計を備えた反応容器に、着色剤分散液30重量部、離型剤分散液140重量部、結晶性樹脂(A2−3)100重量部及び酢酸エチル153重量部を投入し、撹拌して(A2−3)を均一に溶解させ、樹脂溶液(D−3)を得た。
<製造例34>〔樹脂溶液(D−4)の製造〕
撹拌機及び温度計を備えた反応容器に、着色剤分散液30重量部、離型剤分散液140重量部、結晶性樹脂(A2−4)100重量部及び酢酸エチル153重量部を投入し、撹拌して(A2−4)を均一に溶解させ、樹脂溶液(D−4)を得た。
<製造例35>〔樹脂溶液(D−5)の製造〕
撹拌機及び温度計を備えた反応容器に、着色剤分散液30重量部、離型剤分散液140重量部、結晶性樹脂(A2−1)100重量部及びTHF153重量部を投入し、撹拌して(A2−1)を均一に溶解させ、樹脂溶液(D−5)を得た。
<製造例36>〔樹脂溶液(D−6)の製造〕
撹拌機及び温度計を備えた反応容器に、着色剤分散液30重量部、離型剤分散液140重量部、結晶性樹脂(A2−1)100重量部及びメチルエチルケトン153重量部を投入し、撹拌して(A2−1)を均一に溶解させ、樹脂溶液(D−6)を得た。
<製造例37>〔樹脂溶液(D−7)の製造〕
撹拌機及び温度計を備えた反応容器に、着色剤分散液30重量部、離型剤分散液140重量部、結晶性樹脂(A2−1)50重量部、結晶性樹脂(A2−5)50重量部及びアセトン153重量部を投入し、撹拌して(A2−1)、(A2−5)を均一に溶解させ、樹脂溶液(D−7)を得た。
<製造例38>〔樹脂溶液(D−8)の製造〕
撹拌機及び温度計を備えた反応容器に、着色剤分散液30重量部、離型剤分散液140重量部、結晶性樹脂(A2−1)80重量部、前駆体(A0−1)40重量部及び酢酸エチル133重量部を投入し、撹拌して(A2−1)、(A0−1)を均一に溶解させ、樹脂溶液(D−8)を得た。
<比較製造例6>〔樹脂溶液(D’−1)の製造〕
撹拌機及び温度計を備えた反応容器に、着色剤分散液30重量部、離型剤分散液140重量部、ポリエステル樹脂(A’1−1)100重量部及び酢酸エチル153重量部を投入し、撹拌して(A’1−1)を均一に溶解させ、樹脂溶液(D’−1)を得た。
製造例31〜38、比較製造例6で得られた樹脂溶液(D−1)〜(D−8)、(D’−1)の組成を表3に記載した。
Figure 2014059444
<実施例1>
ビーカーに、イオン交換水(F3)170.2重量部、(W−3)0.7重量部、カルボキシメチルセルロースナトリウム1重量部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5重量%水溶液「エレミノールMON−7」[三洋化成工業(株)製]36重量部及び酢酸エチル15.3重量部を投入し、撹拌して均一に溶解した。次いで50℃に昇温し、同温度でTKオートホモミキサーを10,000rpmに撹拌しながら、樹脂溶液(D−1)75重量部を投入し2分間撹拌した。次いでこの混合液を撹拌機及び温度計を備えた反応容器に移し、50℃で濃度が0.5重量%以下となるまで酢酸エチルを留去し、(A)で構成されたコア層(Q)の表面に(B)が付着されたシェル層(S)が形成されたトナー(X−1)の水性樹脂分散体を得た。次いで洗浄、濾別し、40℃×18時間乾燥を行い、揮発分を0.5重量%以下として、トナー(X−1)を得た。
<実施例2>
実施例1において、(W−3)0.7重量部を(W−2)2.1重量部に変更する以外は実施例1と同様にして、トナー(X−2)を得た。
<実施例3>
実施例1において、樹脂溶液(D−1)75重量部を樹脂溶液(D−2)75重量部に、(W−3)0.7重量部を(W−2)7.2重量部に変更する以外は実施例1と同様にして、トナー(X−3)を得た。
<実施例4>
実施例1において、樹脂溶液(D−1)75重量部を樹脂溶液(D−3)75重量部に、(W−3)0.7重量部を(W−2)34.5重量部に変更する以外は実施例1と同様にして、トナー(X−4)を得た。
<実施例5>
実施例1において、樹脂溶液(D−1)75重量部を樹脂溶液(D−4)75重量部に、(W−3)0.7重量部を(W−1)4.2重量部に変更する以外は実施例1と同様にして、トナー(X−5)を得た。
<実施例6>
実施例1において、酢酸エチル15.3重量部をテトラヒドロフラン15.3重量部に、樹脂溶液(D−1)75重量部を樹脂溶液(D−5)75重量部に、(W−3)0.7重量部を(W−6)4.2重量部に変更する以外は実施例1と同様にして、トナー(X−6)を得た。
<実施例7>
実施例1において、酢酸エチル15.3重量部をメチルエチルケトン15.3重量部に、樹脂溶液(D−1)75重量部を樹脂溶液(D−6)75重量部に、(W−3)0.7重量部を(W−5)4.2重量部に変更する以外は実施例1と同様にして、トナー(X−7)を得た。
<実施例8>
実施例1において、酢酸エチル15.3重量部をアセトン15.3重量部に、樹脂溶液(D−1)75重量部を樹脂溶液(D−7)75重量部に、(W−3)0.7重量部を(W−4)4.2重量部に変更する以外は実施例1と同様にして、トナー(X−8)を得た。
<実施例9>
ビーカーに、イオン交換水(F3)170.2重量部、(W−2)2.1重量部、カルボキシメチルセルロースナトリウム1重量部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5重量%水溶液「エレミノールMON−7」[三洋化成工業(株)製]36重量部及び酢酸エチル15.3重量部を投入し、撹拌して均一に溶解した。次いで50℃に昇温し、同温度でTKオートホモミキサーを10,000rpmに撹拌しながら、樹脂溶液(D−8)75重量部を投入し2分間撹拌した。次いでこの混合液を撹拌機及び温度計を備えた反応容器に移し、50℃で濃度が0.5重量%以下となるまで酢酸エチルを留去し、(A)で構成されたコア層(Q)の表面に(B)が付着されたシェル層(S)が形成されたトナー(X−9)の水性樹脂分散体を得た。次いで0.1mol/Lの塩酸水溶液で(X−1)の水性樹脂分散体のpHが2.1となるまで酸洗浄し、濾別し、40℃で18時間乾燥を行い、揮発分を0.5重量%以下として、トナー(X−9)を得た。
<実施例10>
実施例1において、樹脂溶液(D−1)75重量部を樹脂溶液(D−8)75重量部に、(W−3)0.7重量部を(W−7)2.1重量部に変更する以外は実施例1と同様にして、トナー(X−10)を得た。
<実施例11>
図1の実験装置において、まずバルブV1、V2を閉じ、ボンベB2、ポンプP4から粒子回収槽T4に二酸化炭素(純度99.99体積%)を導入し、14MPa、40℃に調整した。また溶液タンクT1に溶液(D−8)を入れ、40℃に調整し、微粒子分散液タンクT2に(W−8)を投入し、40℃に調整した。次いでボンベB1、ポンプP3から二酸化炭素を分散槽T3に導入し、9MPa、40℃に調整し、更にタンクT2、ポンプP2から(W−8)を導入した。次いで分散槽T3の内部を2,000rpmで撹拌しながら、タンクT1、ポンプP1から溶液(D−8)を分散槽T3内に導入した。導入後のT3内部の圧力は14MPaであった。
分散槽T3へ投入した各成分の重量比は以下の通りである。
(D−8) 75重量部
(W−8) 2.1重量部
二酸化炭素 125重量部
なお、導入した二酸化炭素の重量部は、二酸化炭素の温度(40℃)、及び圧力(15MPa)から二酸化炭素の密度を文献(Journal of Physical and Chemical Refarence data、vol.25、P.1509〜1596)に記載の状態式から算出し、これに分散槽T3の体積を乗じることにより算出した。
T3内の混合液を1分間撹拌し分散体(DF)を得た。次いでバルブV1を開き、P3からT4内に二酸化炭素を導入した後、分散体(DF)をT4内に導入し、この間圧力が一定に保たれるように、V2の開度を調節した。この操作を30秒間行い、V1を閉めた。
この操作によりT4内に導入された溶液(D−8)から有機溶剤(C)を除去した。有機溶剤(C)の含有率は45重量%であった。更にT4を57℃に昇温し、同温度で10分間保持した。その後T4を40℃まで冷却した。次いで圧力ボンベB2、ポンプP4から粒子回収槽T4に二酸化炭素を導入しつつ圧力調整バルブV2の調整により圧力を14MPaに保持することにより、有機溶剤(C)を含む二酸化炭素を溶剤トラップ槽T5に排出すると共に、トナー(X−11)をフィルターF1に捕捉した。圧力ボンベB2、ポンプP4から粒子回収槽T4に二酸化炭素を導入する操作は、上記の分散槽T3に導入した二酸化炭素重量の5倍量を粒子回収槽T4に導入した時点で二酸化炭素の導入を停止した。この停止の時点で、有機溶剤(C)を含む二酸化炭素を、溶剤を含まない二酸化炭素で置換すると共にトナー(X−11)をフィルターF1に捕捉する操作は完了した。更に、圧力調整バルブV2を少しずつ開き、粒子回収槽T4内を大気圧まで減圧し、トナー(X−11)を得た。
<比較例1>
実施例1において、樹脂溶液(D−1)75重量部を樹脂溶液(D’−1)75重量部に、(W−3)0.3重量部を(W−2)4.2重量部に変更する以外は実施例1と同様にして、トナー(X’−1)を得た。
<比較例2>
実施例1において、樹脂溶液(D−1)75重量部を(D’−1)75重量部に、(W−3)0.3重量部を(W‘−1)4.2重量部に変更する以外は実施例1と同様にして、トナー(X’−2)を得た。
<比較例3>
実施例1において、(W−3)0.3重量部を(W’−2)4.2重量部に変更する以外は実施例1と同様にして、トナー(X’−3)を得た。
トナー(X−1)〜(X−11)、(X’−1)〜(X’−3)について、(Q)、(Q’)、(S)、(S’)の組成比率(重量%)を表4に記載した。
また、トナー(X−1)〜(X−11)、(X’−1)〜(X’−3)について、下記の方法で体積平均粒径、粒度分布を測定し、耐熱保存性、低温定着性、加熱接着性、接着強度、塗膜の光沢、塗膜の耐水性を評価した。結果を表4に示す。
Figure 2014059444
[1]体積平均粒径、粒度分布
トナー(X−1)〜(X−11)、(X’−1)〜(X’−3)を水に分散してコールターカウンター「マルチサイザーIII」(ベックマンコールター社製)で体積平均粒径、粒度分布を測定した。
[2]耐熱保存安定性
トナー(X−1)〜(X−11)、(X’−1)〜(X’−3)を40℃の雰囲気で1日間静置し、ブロッキングの程度を目視で判断し、により下記の基準で耐熱保存安定性を評価した。
[評価基準]
○:ブロッキングが発生していない。
×:ブロッキングが発生している。
[3]低温定着性
トナー(X−1)〜(X−11)、(X’−1)〜(X’−3)に、「アエロジルR972」[日本アエロジル(株)製]を1.0重量%添加し、よく混ぜて均一にした後、この粉体を紙面上に0.6mg/cmとなるよう均一に載せる(このとき粉体を紙面に載せる方法は、熱定着機を外したプリンターを用いる。上記の重量密度で粉体を均一に載せることができるのであれば他の方法を用いてもよい)。この紙を加圧ローラーに定着速度(加熱ローラ周速)213mm/sec、定着圧力(加圧ローラ圧)10kg/cmの条件で通した時のコールドオフセットの発生温度を測定した。コールドオフセットの発生温度が低いほど、低温定着性に優れることを意味する。
[4]加熱接着性
リン酸亜鉛処理鋼板標準板[日本テストパネル(株)製]に、市販のコロナ帯電方式スプレーガンを用いて、膜圧が40〜60μmになるようにトナー(X−1)〜(X−11)、(X’−1)〜(X’−3)を静電塗装し、100℃で20分間焼き付けた後、JIS K6830に規定する方法に従い剪断接着試験を行い、下記の基準で加熱接着性を評価した。
[評価基準]
○:凝集破壊
×:界面破壊
[5]接着強度
上記の低温定着性の評価サンプルの中から、160℃で定着させた画像を使用し、JIS K5600−5−4に規定する方法に従って鉛筆硬度試験を行い、下記の基準で接着強度を評価した。
[評価基準]
◎:HB以上
○:4B〜B
△:5B以下
[6]塗膜の光沢
上記の低温定着性の評価サンプルの中から、160℃で定着させた画像の光沢を目視で判断し、下記の基準で塗膜の光沢を評価した。
[評価基準]
○:光沢が十分備わっている
△:光沢が備わっている
×:光沢が不十分である
[7]塗膜の耐水性
上記の低温定着性の評価サンプルの中から、160℃で定着させた画像を4cm×4cmに裁断し、赤インク液「パイロットインキ/レッド」[(株)パイロット製]を水で100倍に希釈したものに1時間浸漬し、端面からのインクの浸み込み幅を測定し、最大値(mm)を耐水性とした。数値が小さいほど耐水性に優れることを表す。
尚、上述の実施形態は本発明の好適な実施の例ではあるがこれに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。
特開昭61−118758号公報 特開2010−47752号公報

Claims (17)

  1. 結晶性樹脂(A)を含有するコア層(Q)の表面に、結晶性ポリウレタン樹脂(B)を含有するシェル層(S)を有するトナー(X)であって、結晶性樹脂(A)の融解熱の最大ピーク温度(Ta)が40〜70℃であり、かつ、結晶性ポリウレタン樹脂(B)の融解熱の最大ピーク温度(Tu)が50〜90℃であるトナー(X)。
  2. 下記条件1を満たす請求項1に記載のトナー(X)。
    [条件1]
    0≦(Tu)−(Ta)≦30(℃)
  3. 結晶性ポリウレタン樹脂(B)が、下記条件2を満たす請求項1又は2に記載のトナー(X)。
    [条件2]
    5≦0.94(B−urethane)+0.70(B−urea)+0.00032(B−Mw)−9.2
    [(B−urethane):(B)のウレタン基濃度(重量%)、(B−urea):(B)のウレア基濃度(重量%)、(B−Mw):(B)のMwである。]
  4. 結晶性ポリウレタン樹脂(B)の酸価が5〜200である請求項1〜3のいずれかに記載のトナー(X)。
  5. 結晶性ポリウレタン樹脂(B)が、カルボン酸(塩)基、スルホン酸(塩)基、スルファミン酸(塩)基及びリン酸(塩)基からなる群から選ばれる1種類以上を有する請求項1〜4のいずれかに記載のトナー(X)。
  6. コア層(Q)とシェル層(S)の重量比が99.9:0.1〜75:25である請求項1〜5のいずれかに記載のトナー(X)。
  7. 結晶性樹脂(A)の全吸熱量が20〜150J/gである請求項1〜6のいずれかに記載のトナー(X)。
  8. 結晶性樹脂(A)が、結晶性部(a)と非結晶部(a’)とで構成されるブロック樹脂である請求項1〜7のいずれかに記載のトナー(X)。
  9. 結晶性樹脂(A)が、エステル基、ウレタン基及びウレア基を有する請求項1〜8のいずれかに記載のトナー(X)。
  10. 結晶性樹脂(A)を有機溶剤(C)に溶解してなる溶液(D)を、結晶性ポリウレタン樹脂(B)を含有してなる樹脂粒子(E)が分散してなる分散媒体(F)中に分散して分散体(DF)を得る工程の後、分散体(DF)から、有機溶剤(C)及び分散媒体(F)を除去して得られる、結晶性樹脂(A)を含有してなるトナーコア粒子(G)の表面に樹脂粒子(E)が付着して得られるトナー(X)の製造方法であって、
    トナー(X)が結晶性樹脂(A)を含有するコア層(Q)の表面に結晶性ポリウレタン樹脂(B)を含有するシェル層(S)を有する構造であり、結晶性樹脂(A)の融解熱の最大ピーク温度(Ta)が40〜70℃であり、かつ、結晶性ポリウレタン樹脂(B)の融解熱の最大ピーク温度(Tu)が50〜90℃であるトナー(X)の製造方法。
  11. 結晶性樹脂(A)が、その前駆体(A0)から得られることを特徴とする請求項10に記載のトナー(X)の製造方法。
  12. 前駆体(A0)が、反応性基を有するプレポリマー(α)と硬化剤(β)の組み合わせである請求項11に記載のトナー(X)の製造方法。
  13. 樹脂粒子(E)の体積平均粒径が0.01〜0.5μmである請求項10〜12のいずれかに記載のトナー(X)の製造方法。
  14. 樹脂粒子(E)がカルボン酸塩基、スルホン酸塩基、スルファミン酸塩基及びリン酸塩基からなる群から選ばれる1種類以上を有する請求項10〜13のいずれかに記載のトナー(X)の製造方法。
  15. 溶液(D)を結晶性ポリウレタン樹脂(B)を含有してなる樹脂粒子(E)が分散してなる分散媒体(F)中に分散する工程の後に、樹脂粒子(E)が有するカルボン酸塩基、スルホン酸塩基、スルファミン酸塩基及びリン酸塩基からなる群から選ばれる1種類以上の基を、カルボン酸基、スルホン酸基、スルファミン酸基及びリン酸基からなる群から選ばれる1種類以上の基に変換する工程を含むことを特徴とする請求項14に記載のトナー(X)の製造方法。
  16. 分散媒体(F)が液体状態又は超臨界状態の二酸化炭素(F1)である請求項10〜15のいずれかに記載のトナー(X)の製造方法。
  17. 分散媒体(F)が水性媒体(F3)である請求項10〜15のいずれかに記載のトナー(X)の製造方法。
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