JP2016090750A - トナーの製造方法 - Google Patents

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Kenji Aoki
健二 青木
徹哉 衣松
Tetsuya Kinumatsu
徹哉 衣松
祐輔 小▲崎▼
Yusuke Ozaki
祐輔 小▲崎▼
俊太郎 渡邉
Toshitaro Watanabe
俊太郎 渡邉
栢 孝明
Takaaki Kashiwa
孝明 栢
篤 谷
Atsushi Tani
篤 谷
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Takashige Kasuya
貴重 粕谷
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Abstract

【課題】脱溶剤速度が速く、粒度分布がシャープなトナーを簡便且つ効率的に得ることのできる製造方法を提供する。
【解決手段】a)結着樹脂、前記結着樹脂を溶解しうる有機溶剤A、有機溶剤B、及び二酸化炭素を含有する混合物を攪拌し、前記結着樹脂、前記有機溶剤A及び前記有機溶剤Bを含有する液滴を形成する工程、b)前記液滴に含まれる前記有機溶剤A及び前記有機溶剤Bを除去してトナー粒子を得る工程、を有するトナーの製造方法において、前記有機溶剤A及び前記有機溶剤B全量における前記有機溶剤Bの割合と、前記有機溶剤A及び前記有機溶剤BのSP値の関係が特定の範囲内にあることを特徴とするトナーの製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真法、静電記録法及びトナージェット方式記録法を利用した記録方法に用いられるトナーの製造方法に関する。
電子写真装置の分野において、さらなる画像の高画質化は重要であり、画像を形成するトナーには、粒子間で均一な性能を有していることが必要となる。そのためには、トナー粒子の粒径を均等にして、粒度分布をシャープにすることが有効である。トナー粒子の粒度分布のシャープ化が比較的容易な製造方法として、「溶解懸濁法」が知られている。溶解懸濁法とは、あらかじめ有機溶剤に樹脂を溶解させた樹脂溶液を分散媒体中に分散させ、前記樹脂溶液の液滴を形成した後、前記有機溶剤を除去して樹脂粒子を得る方法である。溶解懸濁法においては、分散媒体として水系媒体を使用することが一般的であるが、水系媒体を用いた場合、粒子形成後の洗浄工程、水分除去工程、乾燥工程に多大なエネルギーと時間を必要とする。
そのため、近年、分散媒体として二酸化炭素を用いるトナーの製造方法が提案されている。この方法では、二酸化炭素中にて樹脂溶液による液滴の分散体を形成する工程の後、さらに二酸化炭素を導入し、有機溶剤を抽出する脱溶剤工程を行い、粒子を得る。この方法によれば、粒子の作製後に脱圧することで容易に粒子から分散媒体である二酸化炭素を分離することが可能であり、洗浄工程、乾燥工程を必要とせず、低エネルギーでの製造が可能となる。
二酸化炭素を用いる樹脂粒子の製造方法において、液滴形成工程における液滴分布のシャープ化、及び脱溶剤工程における脱溶剤速度の観点から、有機溶剤の選定は重要となる。
液滴形成工程においては、液滴を安定して形成するために、分散媒体である二酸化炭素と樹脂を溶解する有機溶剤の相溶性は低い必要がある。
一方で、脱溶剤工程においては、脱溶剤速度の観点から、二酸化炭素と有機溶剤の相溶性は高い方が良い。その理由は、二酸化炭素による有機溶剤の抽出のされやすさは、二酸化炭素と有機溶剤の相溶性に支配されるためである。
従って、粒度分布がシャープなトナーを作製しつつ、脱溶剤速度を上げ、効率よくトナーを製造するためには、工夫が必要となる。
特許文献1には、分散媒体として二酸化炭素を、樹脂を溶解する有機溶剤としてアセトンを使用し、脱溶剤工程においてさらに溶剤(例えば水やヘキサン)を少量加える樹脂粒子の製造方法が提案されている。この方法によれば、容易な脱溶剤方法且つ高い生産性で安定的に粒度分布がシャープな樹脂粒子を得られるとされている。しかしながら、本発明者らが検討したところ、脱溶剤工程において加える溶剤(例えば水やヘキサン)はアセトンとのSP値差が大きく、脱溶剤工程において前記溶剤とアセトンは混ざりにくいために、アセトンを抽出するのに時間がかかり、脱溶剤速度は大きく向上しないことがわかった。また、脱溶剤工程に溶剤を加えることは、工程の煩雑化にもつながる。
従って、粒度分布がシャープなトナーを、簡便かつ効率的に製造するためには、未だ課題を有していた。
特開2011−246691号公報
本発明は、上述した従来の問題点を解決したトナーの製造方法を提供する。
すなわち、本発明は、脱溶剤速度が速く、粒度分布がシャープなトナーを簡便且つ効率的に得ることのできる製造方法を提供することを課題とする。
本発明は、
a)結着樹脂、前記結着樹脂を溶解しうる有機溶剤A、有機溶剤B、及び二酸化炭素を含有する混合物を攪拌し、前記結着樹脂、前記有機溶剤A及び前記有機溶剤Bを含有する液滴を形成する工程、
b)前記液滴に含まれる前記有機溶剤A及び前記有機溶剤Bを除去してトナー粒子を得る工程、
を有するトナーの製造方法において、
前記有機溶剤A及び前記有機溶剤B全量における前記有機溶剤Bの割合が5.0質量%以上50.0質量%以下であり、
前記有機溶剤AのSP値をSP(J1/2/cm3/2)、前記有機溶剤BのSP値をSP(J1/2/cm3/2)としたとき、SP及びSPが下記式(1)を満たすことを特徴とするトナーの製造方法に関する。
0.1 ≦ SP−SP ≦ 3.5 (1)
本発明によれば、脱溶剤速度が速く、粒度分布がシャープなトナーを簡便且つ効率的に得ることのできる製造方法を提供できる。
本発明の製造方法におけるトナー粒子の製造装置の一例を示す概略図
溶解懸濁法によるトナー粒子の製造は、以下のようにして行う。すなわち、結着樹脂及び必要に応じて着色剤などの他の添加剤と前記結着樹脂を溶解し得る有機溶剤とを混合して樹脂溶液を調製する。その後、前記樹脂溶液と分散媒体を混合して結着樹脂及び有機溶剤を含有する液滴を形成(以下液滴形成工程ともいう)し、前記液滴に含まれる前記有機溶剤を除去(以下脱溶剤工程ともいう)してトナー粒子を得るものである。
本発明では、トナー粒子形成後の分散媒体の分離を容易に行う観点から、分散媒体として二酸化炭素を用いる。
前述したように、前記液滴形成工程においては、前記有機溶剤の前記二酸化炭素に対する溶解性は低い必要がある。その理由は、前記有機溶剤の前記二酸化炭素に対する溶解性が高い場合、前記液滴を形成する際に有機溶剤が二酸化炭素へと移行し、前記液滴が不安定化することで、液滴同士の合一が起こり、粒度分布がブロードになってしまうためである。
一方で、前記脱溶剤工程においては、前記液滴に含まれる有機溶剤を二酸化炭素に抽出するため、脱溶剤効率の観点から、前記有機溶剤の二酸化炭素への溶解性は高いことが求められる。
本発明者らは、二種類の有機溶剤を使用し、そのSP値差や質量比率を一定の範囲内にすることで、脱溶剤速度が速く、粒度分布がシャープなトナーを簡便且つ効率的に得ることができることを見出し、本発明に至った。
本発明は、
a)結着樹脂、前記結着樹脂を溶解しうる有機溶剤A、有機溶剤B、及び二酸化炭素を含有する混合物を攪拌し、前記結着樹脂、前記有機溶剤A及び前記有機溶剤Bを含有する液滴を形成する工程、
b)前記液滴に含まれる前記有機溶剤A及び前記有機溶剤Bを除去してトナー粒子を得る工程、
を有するトナーの製造方法において、
前記有機溶剤A及び前記有機溶剤B全量における前記有機溶剤Bの割合が5.0質量%以上50.0質量%以下であり、
前記有機溶剤AのSP値をSP、前記有機溶剤BのSP値をSPとしたとき、SP及びSPが下記式(1)を満たすことを特徴とするトナーの製造方法に関する。
0.1 ≦ SP−SP ≦ 3.5 (1)
前記a)の工程においては、結着樹脂及び該結着樹脂を溶解することのできる有機溶剤A、有機溶剤B、並びに、必要に応じて着色剤、ワックス及び他の添加物を混合し、ホモジナイザー、ボールミル、コロイドミル、及び超音波分散機のような分散機によって均一に溶解又は分散させて、樹脂溶液を調製する。その後、二酸化炭素を混合し、前記二酸化炭素を含有する分散媒体中にて前記結着樹脂、前記有機溶剤A、前記有機溶剤Bを含有する液滴を形成する。
前記b)の工程では前記液滴の形成が完了した後、液滴中に残留している有機溶剤A及び有機溶剤Bを、好ましくは前記二酸化炭素を含有する分散媒体を介して除去する。具体的には、液滴が分散された分散媒体にさらに二酸化炭素を混合して、残留する有機溶剤A及び有機溶剤Bを二酸化炭素の相に抽出し、この有機溶剤A及び有機溶剤Bを含む二酸化炭素を、さらに二酸化炭素で置換することによって行う。
前記有機溶剤Aは、前記樹脂溶液の有機溶剤の主成分であり、結着樹脂を溶解することができる。ここでいう溶解とは、有機溶剤Aに対する結着樹脂の不溶分が20.0質量%以下であることが好ましく、3.0質量%以下であることがより好ましい。
前記不溶分は、以下のようにして測定する。200mLのメスフラスコに、結着樹脂0.5gを精秤し、前記有機溶剤Aを50mL加え、50℃にて3時間加熱攪拌する。その後、30℃にて目開き1μmのフィルターにて不溶分をろ別し、30℃の有機溶剤Aを100mL使用して洗浄する。フィルターを80℃にて3時間減圧乾燥した後の重量から、予め測定しておいたフィルターの重量を差し引いた重量を、0.5で除した値を前記有機溶剤Aに対する結着樹脂の不溶分(質量%)とする。
前記有機溶剤Aについて、前記有機溶剤AのSP値をSP(J1/2/cm3/2)とした時、SPが下記式(2)を満たすことが好ましい。
18.0 ≦ SP ≦ 23.0 (2)
SP値とは、溶解度パラメータともいい、ある物質がある物質にどのくらい溶解するかを示す溶解性の指標である。SP値が近いもの同士は溶解性が高く、SP値が離れているものは溶解性が低い。SP値は、溶解度パラメータ計算ソフトウェア(Hansen Solubility Parameters in Practice)により算出する。
SPが上記範囲であることで、結着樹脂の溶解性が確保されやすくなる。また、二酸化炭素への溶解性が低くなりやすく、前記液滴の安定性が良好となり、液滴の粒度分布がシャープになりやすくなる。SPは、19.0以上21.0以下であることがより好ましい。
前記有機溶剤Aは、例として以下のものが挙げられる。
アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジ−n−ブチルケトンのようなケトン系有機溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、メトキシブチルアセテートのようなエ
ステル系有機溶剤;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブのようなエーテル系有機溶剤;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドのようなアミド系有機溶剤;トルエン、キシレン、エチルベンゼンのような芳香族炭化水素系有機溶剤;2−フェニルエタノールのような芳香族アルコール系有機溶剤。
これらの中でも、トルエン(SP値:18.2)、酢酸エチル(18.2)、メチルエチルケトン(19.1)、テトラヒドロフラン(19.5)、アセトン(19.9)、2−フェニルエタノール(22.2)が好ましい。
本発明のトナーの製造方法における前記有機溶剤Bについて述べる。
前記有機溶剤Bは、二酸化炭素への溶解性が有機溶剤Aに比べて高い有機溶剤であり、前記b)の工程において二酸化炭素へと抽出されやすい。また、前記有機溶剤Aとの溶解性も高いため、前記有機溶剤Bが二酸化炭素へと抽出される際に前記有機溶剤Aも共に抽出されるようになる。
本発明のトナーの製造方法における前記有機溶剤Bは、前記有機溶剤Aと同様に結着樹脂を溶解しうることが好ましい。前記有機溶剤Bに対する結着樹脂の不溶分が、20.0質量%以下であることが好ましく、3.0質量%以下であることがより好ましい。有機溶剤Bが結着樹脂を溶解できることで、前記a)の工程における前記液滴を安定して形成可能になりやすく、粒度分布がシャープになりやすい。
前記有機溶剤Bについて、前記有機溶剤BのSP値をSP(J1/2/cm3/2)とした時、SPが下記式(5)を満たすことが好ましい。
16.0 ≦ SP ≦ 20.0 (5)
SPは、16.5以上19.5以下であることがより好ましい。
前記有機溶剤Bは、例として以下のものが挙げられる。
アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジ−n−ブチルケトンのようなケトン系有機溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、メトキシブチルアセテートのようなエステル系有機溶剤;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブのようなエーテル系有機溶剤;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドのようなアミド系有機溶剤;トルエン、キシレン、エチルベンゼンのような芳香族炭化水素系有機溶剤;シクロヘキサンのような脂環式炭化水素系有機溶剤。
これらの中でも、シクロヘキサン(SP値:16.8)、トルエン(SP値:18.2)、酢酸エチル(18.2)、メチルエチルケトン(19.1)、テトラヒドロフラン(19.5)、アセトン(19.9)が好ましい。
本発明の製造方法において、前記有機溶剤A及び前記有機溶剤B全量における前記有機溶剤Bの割合は、5.0質量%以上50.0質量%以下である。
前記割合が上記範囲であることで、前記a)の工程における液滴のシャープ化が図られつつ、前記b)の工程における脱溶剤速度が向上する。前記割合が5.0質量%よりも小さいと、前記有機溶剤Bが少ないため、脱溶剤速度が低下する。前記割合が50.0質量%よりも大きいと、前記二酸化炭素を含有する分散媒体中へと前記有機溶剤Bが移行しやすくなることで、液滴の分布がブロードになり、トナーの粒度分布が悪化しやすくなる。前記割合の下限は、10.0質量%以上であることが好ましく、15.0質量%以上であることがより好ましい。一方、上限は40.0質量%以下であることが好ましく、30.0質量%以下であることがより好ましい。
本発明の製造方法において、前記有機溶剤AのSP値をSP、前記有機溶剤BのSP値をSPとしたとき、SP及びSPは下記式(1)を満たす。
0.1 ≦ SP−SP ≦ 3.5 (1)
SP及びSPが上記範囲であることで、前記b)の工程において前記液滴から二酸化炭素へと前記有機溶剤Bが抽出される際に、前記有機溶剤Aが共に抽出されるため、脱溶剤速度が向上する。3.5よりも大きいと、前記有機溶剤Aと前記有機溶剤Bの相溶性が低くなり、前記b)の工程において前記有機溶剤Bが二酸化炭素へと抽出される際に前記有機溶剤Aが抽出されにくくなる。従って、脱溶剤速度が遅くなってしまう。0.1よりも小さいと、そもそも前記有機溶剤Bの二酸化炭素への抽出速度が遅くなるため、脱溶剤速度が遅くなってしまう。SP−SPの下限は、0.3以上であることが好ましく、0.5以上であることがより好ましい。一方、上限は2.5以下であることが好ましく、2.0以下であることがより好ましい。
本発明のトナーの製造方法において用いられる、分散媒体としての二酸化炭素は、液体、又は超臨界状態にて単体で用いてもよく、他の成分として有機溶剤A及び有機溶剤Bが含まれていてもよい。この場合、二酸化炭素と有機溶剤A及び有機溶剤Bが均一相を形成することが好ましい。
以下に、本発明の製造方法に用いられる、二酸化炭素を含有する分散媒体を用いるトナー粒子の製造方法を例示して説明する。
前記a)の工程では、まず、結着樹脂、該結着樹脂を溶解することのできる有機溶剤A、及び有機溶剤Aとは異なる有機溶剤B並びに必要に応じて着色剤、ワックス及び他の添加物を混合し、ホモジナイザー、ボールミル、コロイドミル、超音波分散機のような分散機によって均一に溶解又は分散させて、樹脂溶液を調製する。
次に、得られた樹脂溶液と二酸化炭素を含有する分散媒体とを混合し、樹脂溶液の液滴を形成する。
このとき、二酸化炭素を含有する分散媒体中には、分散剤を分散させておくことが好ましい。分散剤としては、無機微粒子分散剤、有機微粒子分散剤が挙げられ、目的に応じて2種以上を混合して用いてもよい。
無機微粒子分散剤としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化亜鉛、チタニア、酸化カルシウムの無機微粒子が挙げられる。
有機微粒子分散剤としては、例えば、ビニル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、エステル樹脂、ポリアミド、ポリイミド、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン系樹脂、ユリア樹脂、アニリン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリカーボネート、セルロースの微粒子及びこれらの混合物が挙げられる。
分散剤として樹脂微粒子を用いる場合、非晶性樹脂の微粒子を使用すると、二酸化炭素が非晶性樹脂中に浸透して可塑化させ、非晶性樹脂のガラス転移点(Tg)を低下させるため、トナー粒子同士が凝集しやすくなる傾向にある。したがって、樹脂微粒子には結晶性樹脂を使用することが好ましく、非晶性樹脂を用いる場合には、架橋構造を導入することが好ましい。また、非晶性樹脂微粒子を結晶性樹脂で被覆した微粒子であってもよい。
分散剤は、そのまま用いてもよいが、造粒時における液滴表面への吸着性を向上させるため、各種処理によって表面改質したものを用いてもよい。具体的には、シラン系、チタネート系、アルミネート系のカップリング剤による表面処理や、各種界面活性剤による表面処理、ポリマーによるコーティング処理が挙げられる。
液滴の表面に吸着した分散剤はトナー粒子形成後もそのまま残留するため、分散剤として樹脂微粒子を用いた場合には、シェル相を形成し、トナー粒子表面を被覆させることができる。
前記樹脂微粒子の粒径は、体積平均粒子径で30nm以上300nm以下であることが好ましい。より好ましくは50nm以上200nm以下である。樹脂微粒子の粒径が小さ過ぎる場合、造粒時の液滴の安定性が低下する傾向にある。該粒径が大き過ぎる場合は、液滴の粒径を所望の大きさに制御することが困難になる傾向にある。
また、前記分散剤の配合量は、上記トナー粒子を構成する材料の溶解液中に含まれる固形分量に対して3.0質量部以上15.0質量部以下であることが好ましく、液状粒子の安定性や所望する粒径に合わせて適宜調整することができる。
また、液体状態の分散安定剤を添加してもよい。分散安定剤としては、二酸化炭素に親和性の高い、前記ポリシロキサン構造やフッ素を含有する化合物や、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン性界面活性剤といった各種界面活性剤が挙げられる。これらの分散安定剤は、後述する脱溶剤工程において二酸化炭素とともに系外に排出される。従って、トナー粒子作製後にはトナー粒子に残存する量は極めて少量となる。
本発明において、前記分散剤を、二酸化炭素を含有する分散媒体中に分散させる方法は、如何なる方法を用いてもよい。具体例としては、分散剤と二酸化炭素を含有する分散媒体を容器内に仕込み、撹拌や超音波照射により直接分散させる方法が挙げられる。また、二酸化炭素を含有する分散媒体を仕込んだ容器に、有機溶剤に分散剤を分散させた分散液を、高圧ポンプを用いて導入する方法が挙げられる。
また、本発明のa)の工程において、トナー組成物を、二酸化炭素を含有する分散媒体中に分散させ、液滴を形成する方法は、如何なる方法を用いてもよい。具体例としては、分散剤を分散させた状態の二酸化炭素を含有する分散媒体を入れた容器に、結着樹脂、有機溶剤A、及び有機溶剤Bを含む樹脂溶液を、高圧ポンプを用いて導入する方法が挙げられる。また、該樹脂溶液を仕込んだ容器に、分散剤を分散させた状態の二酸化炭素を含有する分散媒体を導入してもよい。
本発明において、二酸化炭素を含有する分散媒体は、単一相であることが好ましい。樹脂溶液を、二酸化炭素を含有する分散媒体中に分散させて、液滴を形成させる場合、液滴中の有機溶剤の一部は分散媒体中に移行する。このとき、二酸化炭素の相と有機溶剤の相が分離した状態で存在する場合は、液滴の安定性が損なわれやすくなる傾向にある。
したがって、分散媒体の温度や圧力、二酸化炭素に対する樹脂溶液の量は、二酸化炭素と有機溶剤とが均一相を形成し得る範囲内に調整することが好ましい。
また、分散媒体の温度及び圧力については、造粒性(液滴形成のし易さ)や、樹脂溶液中の構成成分の分散媒体への溶解性を考慮するとよい。例えば、樹脂溶液中の結着樹脂やワックスは、温度条件や圧力条件によっては、分散媒体に溶解することがある。通常、低温、低圧になるほど前記成分の分散媒体への溶解性は抑制されるが、形成した液滴が凝集・合一を起こし易くなり、造粒性は低下する傾向を示す。一方、高温、高圧になるほど造粒性は向上するものの、前記成分が分散媒体に溶解し易くなる傾向を示す。したがって、分散媒体の温度は、10℃以上40℃以下の温度範囲であることが好ましい。
また、前記液滴を形成する際の容器内の圧力は、1.5MPa以上20.0MPa以下であることが好ましく、2.0MPa以上15.0MPa以下であることがより好ましい。
該圧力は、二酸化炭素の導入量により制御可能である。
上記b)の工程では前記樹脂溶液による液滴の分散体の調整が完了した後、液滴中に残留している有機溶剤A及びBを、二酸化炭素を含有する分散媒体を介して除去することが好ましい。具体的には、液滴が分散された分散媒体にさらに二酸化炭素を混合して、残留する有機溶剤A及びBを二酸化炭素の相に抽出し、この有機溶剤を含む二酸化炭素を、さらに二酸化炭素で置換することによって行う。
分散体と二酸化炭素の混合は、分散体に、これよりも高圧の二酸化炭素を加えてもよく、また、分散体を、これよりも低圧の二酸化炭素中に加えてもよい。
そして、有機溶剤を含む二酸化炭素をさらに二酸化炭素で置換する方法としては、容器内の圧力を一定に保ちつつ、二酸化炭素を流通させる方法が挙げられる。このとき、形成されるトナー粒子は、フィルターで捕捉しながら行うことが好ましい。
二酸化炭素による置換が十分でなく、分散体中に有機溶剤が残留した状態であると、得られたトナー粒子を回収するために容器を減圧する際、分散媒体中に溶解した有機溶剤が凝縮してトナー粒子が再溶解したり、トナー粒子同士が合一したりする場合がある。したがって、二酸化炭素による置換は、有機溶剤が完全に除去されるまで行うことが好ましい。流通させる二酸化炭素の量は、分散体の体積に対して1倍以上100倍以下が好ましく、より好ましくは1倍以上50倍以下、さらに好ましくは1倍以上30倍以下である。
容器を減圧し、トナー粒子が分散した二酸化炭素を含む分散体からトナー粒子を取り出す際は、一気に常温、常圧まで減圧してもよいが、独立に圧力制御された容器を多段に設けることによって段階的に減圧してもよい。減圧速度は、トナー粒子が発泡しない範囲で設定することが好ましい。なお、本発明において使用する有機溶剤や、二酸化炭素は、リサイクルすることが可能である。
本発明のトナーの製造方法における結着樹脂について詳細に述べる。
本発明のトナーの製造方法において、前記結着樹脂のSP値をSPとした時、SPは下記式(3)を満たすことが好ましい。
18.0 ≦ SP ≦ 23.0 (3)
SPが上記範囲であることで、前記有機溶剤Aに対する溶解性が向上しやすく、前記a)の工程において液滴の形成が容易になる。SPは、樹脂を形成するモノマーの種類や量により制御することができる。また、SPは、19.0以上22.0以下であることがより好ましい。
前記結着樹脂は、一般的にトナーに用いられる樹脂である結晶性樹脂、非晶性樹脂のいずれも使用可能である。
前記結着樹脂が、ポリエステル樹脂、ポリビニル樹脂、ポリウレタン樹脂及びポリウレア樹脂、並びにそれらのいずれか二以上の複合樹脂より選択される樹脂であることが好ましい。複合樹脂としては、例えば、ブロックポリマーや、変性樹脂が挙げられる。
結晶性樹脂とは、ポリマーの分子鎖が規則的に配列した構造を有する樹脂を意味する。従って、融点より低い温度領域ではほとんど軟化せず、融点を越えると融解が生じ急激に軟化する。このような樹脂は、示差走査熱量計(DSC)を用いた示差走査熱量測定において、明瞭な融点ピークを示す。従って、結晶性樹脂は、溶融後の粘性が低くなることで、良好な低温定着性を発現しやすくなる。
前記結晶性樹脂の融点は、50℃以上90℃以下であることが好ましい。
前記結着樹脂に使用可能な結晶性樹脂としては、結晶性ポリエステル樹脂、結晶性ポリビニル樹脂、結晶性ポリウレタン樹脂、結晶性ポリウレア樹脂が挙げられる。好ましくは結晶性ポリエステル樹脂、結晶性ポリビニル樹脂が用いられる。
前記結晶性ポリエステル樹脂は、脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸を反応して得られるものであることが好ましく、炭素数2〜20の脂肪族ジオールと炭素数2〜20の脂肪族ジカルボン酸を反応して得られるものであることがより好ましい。
また、脂肪族ジオールは直鎖型であることが好ましい。直鎖型であることで、より結晶性の高いポリエステルが得られる。
炭素数2〜20の直鎖型脂肪族ジオールとしては、以下の化合物が挙げられる。
1,2−エタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール及び1,20−エイコサンジオール。
これらの中でも、融点の観点から、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオー
ル及び1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオールがより好ましい。これらは単独で用いてもよく、2種類以上を混合して用いることも可能である。
また、二重結合を持つ脂肪族ジオールを用いることもできる。二重結合を持つ脂肪族ジオールとしては、以下の化合物を挙げることができる。2−ブテン−1,4−ジオール、3−ヘキセン−1,6−ジオール及び4−オクテン−1,8−ジオール。
また、脂肪族ジカルボン酸は結晶性の観点から、直鎖型の脂肪族ジカルボン酸が特に好ましい。
上記炭素数2〜20の直鎖型脂肪族ジカルボン酸としては、以下の化合物を挙げることができる。
蓚酸、マロン酸、琥珀酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,11−ウンデカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,13−トリデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,16−ヘキサデカンジカルボン酸及び1,18−オクタデカンジカルボン酸、並びにそれらの低級アルキルエステルや酸無水物。
これらのうち、セバシン酸、アジピン酸及び1,10−デカンジカルボン酸、並びにそれらの低級アルキルエステルや酸無水物が好ましい。これらは単独で用いてもよく、2種類以上を混合して用いることも可能である。
また芳香族カルボン酸を用いることもできる。芳香族ジカルボン酸としては、以下の化合物を挙げることができる。テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸及び4,4’−ビフェニルジカルボン酸。
これらの中でも、テレフタル酸が入手の容易性や低融点のポリマーを形成しやすいという点で好ましい。
また、二重結合を有するジカルボン酸を用いることもできる。二重結合を有するジカルボン酸は、その二重結合を利用して樹脂全体を架橋させ得る点で、定着時のホットオフセットを防ぐために好適に用いることができる。
このようなジカルボン酸としては、フマル酸、マレイン酸、3−ヘキセンジオイック酸及び3−オクテンジオイック酸が挙げられる。また、これらの低級アルキルエステル及び酸無水物も挙げられる。これらの中でも、コストの点で、フマル酸及びマレイン酸がより好ましい。
結晶性ポリエステル樹脂の製造方法としては、特に制限はなく、酸成分とアルコール成分とを反応させる一般的なポリエステル樹脂の重合法によって製造することができる。例えば、直接重縮合法又はエステル交換法を用い、モノマーの種類によって使い分けて製造することができる。
結晶性ポリエステル樹脂の製造は、重合温度180℃以上230℃以下の間で行うのが好ましく、必要に応じて反応系内を減圧し、縮合時に発生する水やアルコールを除去しながら反応させるのが好ましい。モノマーが反応温度下で溶解又は相溶しない場合は、高沸点の有機溶剤を溶解補助剤として加え溶解させるのがよい。重縮合反応においては、溶解補助有機溶剤を留去しながら行う。重合反応において相溶性の悪いモノマーが存在する場合は、あらかじめ相溶性の悪いモノマーとそのモノマーと重縮合予定の酸又はアルコールとを縮合させておいてから主成分とともに重縮合させるのが好ましい。
結晶性ポリエステル樹脂の製造時に使用可能な触媒としては、以下の化合物を挙げることができる。チタンテトラエトキシド、チタンテトラプロポキシド、チタンテトライソプロポキシド及びチタンテトラブトキシドのようなチタン触媒、又は、ジブチルスズジクロライド、ジブチルスズオキシド及びジフェニルスズオキシドのようなスズ触媒。
結晶性ポリビニル樹脂としては直鎖型アルキル基を分子構造に含むビニルモノマーを重合した樹脂が挙げられる。
直鎖型アルキル基を分子構造に含むビニルモノマーとしては、アルキル基の炭素数が12以上であるアルキルアクリレート又はアルキルメタクリレートが好ましく、例えば以下のものを挙げることができる。ラウリルアクリレート、ラウリルメタクリレート、ミリスチルアクリレート、ミリスチルメタクリレート、セチルアクリレート、セチルメタクリレート、ステアリルアクリレート、ステアリルメタクリレート、エイコシルアクリレート、エイコシルメタクリレート、ベヘニルアクリレート、ベヘニルメタクリレート。
結晶性ポリビニル樹脂の製造方法は40℃以上、一般的には50℃以上90℃以下の温度で重合することが好ましい。
前記非晶性樹脂としては、示差走査熱量測定において、明確な最大吸熱ピークを示さないものである。ただし、非晶性樹脂のガラス転移点(Tg)は、50℃以上130℃以下であることが好ましく、55℃以上110℃以下であることがより好ましい。
非晶性樹脂の具体例としては、非晶性のポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリビニル樹脂、ポリウレア樹脂が挙げられる。また、これらの樹脂は、ウレタン、ウレア又はエポキシにより変性されていてもよい。これらの中でも、弾性維持の観点から、非晶性のポリエステル樹脂及びポリビニル樹脂、及びポリウレタン樹脂が好適に例示できる。
以下に、非晶性のポリエステル樹脂について述べる。非晶性ポリエステル樹脂の製造に使用可能なモノマーとしては、従来公知の2価又は3価以上のカルボン酸と、2価又は3価以上のアルコールが挙げられる。これらモノマーの具体例としては、以下のものが挙げられる。
2価のカルボン酸としては、以下の化合物を挙げることができる。琥珀酸、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マロン酸、ドデセニルコハク酸のような二塩基酸、及びこれらの無水物又はこれらの低級アルキルエステル、並びに、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸及びシトラコン酸のような脂肪族不飽和ジカルボン酸。
また、3価以上のカルボン酸としては、以下の化合物を挙げることができる。1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、及びこれらの無水物又はこれらの低級アルキルエステル。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
2価のアルコールとしては、以下の化合物を挙げることができる。アルキレングリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール及び1,3−プロピレングリコール);アルキレンエーテルグリコール(ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコール);脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール);ビスフェノール類(ビスフェノールA);脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド)付加物。
アルキレングリコール及びアルキレンエーテルグリコールのアルキル部分は直鎖状であっても、分岐していてもよい。本発明においては分岐構造のアルキレングリコールも好ましく用いることができる。
また、3価以上のアルコールとしては、以下の化合物を挙げることができる。グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン及びペンタエリスリトール。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、酸価や水酸基価の調整を目的として、必要に応じて酢酸及び安息香酸のような1価の酸、シクロヘキサノール及びベンジルアルコールのような1価のアルコールも使用することができる。
非晶性のポリエステル樹脂の合成方法については特に限定されないが、例えばエステル
交換法や直接重縮合法を単独で又は組み合わせて用いることができる。
次に、非晶性のポリウレタン樹脂について述べる。ポリウレタン樹脂は、ジオールとジイソシアネート基を含有する物質との反応物であり、ジオール及びジイソシアネートの調整により、各種機能性をもつ樹脂を得ることができる。
ジイソシアネート成分としては、以下のものが挙げられる。炭素数(NCO基中の炭素を除く、以下同様)が6以上20以下の芳香族ジイソシアネート、炭素数2以上18以下の脂肪族ジイソシアネート、炭素数4以上15以下の脂環式ジイソシアネート、及びこれらジイソシアネートの変性物(ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、イソシアヌレート基又はオキサゾリドン基含有変性物。以下、「変性ジイソシアネート」ともいう。)、並びに、これらの2種以上の混合物。
芳香族ジイソシアネートとしては、以下のものが挙げられる。m−及び/又はp−キシリレンジイソシアネート(XDI)及びα,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート。
また、脂肪族ジイソシアネートとしては、以下のものが挙げられる。エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)及びドデカメチレンジイソシアネート。
また、脂環式ジイソシアネートとしては、以下のものが挙げられる。イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート及びメチルシクロヘキシレンジイソシアネート。
これらの中でも好ましいものは、炭素数6以上15以下の芳香族ジイソシアネート、炭素数4以上12以下の脂肪族ジイソシアネート、及び炭素数4以上15以下の脂環式ジイソシアネートであり、特に好ましいものは、XDI、IPDI及びHDIである。
また、ジイソシアネート成分に加えて、3官能以上のイソシアネート化合物を用いることもできる。
ポリウレタン樹脂に用いることのできるジオール成分としては、前述した非晶性ポリエステルに用いることのできる2価のアルコールと同様のものを採用できる。
以下に、非晶性のビニル樹脂について述べる。非晶性ビニル樹脂の製造に使用可能なモノマーとしては以下の化合物を挙げることができる。
脂肪族ビニル炭化水素:アルケン類(エチレン、プロピレン、ブテン、イソブチレン、ペンテン、ヘプテン、ジイソブチレン、オクテン、ドデセン、オクタデセン、前記以外のα−オレフィン);アルカジエン類(ブタジエン、イソプレン、1,4−ペンタジエン、1,6−ヘキサジエン及び1,7−オクタジエン)。
脂環式ビニル炭化水素:モノ−又はジ−シクロアルケン及びアルカジエン類(シクロヘキセン、シクロペンタジエン、ビニルシクロヘキセン、エチリデンビシクロヘプテン);テルペン類(ピネン、リモネン、インデン)。
芳香族ビニル炭化水素:スチレン及びそのハイドロカルビル(アルキル、シクロアルキル、アラルキル及び/又はアルケニル)置換体(α−メチルスチレン、ビニルトルエン、2,4−ジメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、フェニルスチレン、シクロヘキシルスチレン、ベンジルスチレン、クロチルベンゼン、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルキシレン、トリビニルベンゼン);及びビニルナフタレン。
カルボキシル基含有ビニルモノマー及びその金属塩:炭素数3以上30以下の不飽和モノカルボン酸、不飽和ジカルボン酸並びにその無水物及びそのモノアルキル〔炭素数1以上11以下〕エステル(マレイン酸、無水マレイン酸、マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸、フマル酸モノアルキルエステル、クロトン酸、イタコン酸、イタコン酸モノアルキルエステル、イタコン酸グリコールモノエーテル、シトラコン酸、シトラコン酸モ
ノアルキルエステル、桂皮酸のカルボキシル基含有ビニル系モノマー)。
ビニルエステル(酢酸ビニル、ビニルブチレート、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ジアリルフタレート、ジアリルアジペート、イソプロペニルアセテート、ビニルメタクリレート、メチル4−ビニルベンゾエート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、フェニルアクリレート、フェニルメタクリレート、ビニルメトキシアセテート、ビニルベンゾエート、エチルα−エトキシアクリレート)、炭素数1以上11以下のアルキル基(直鎖又は分岐)を有するアルキルアクリレート及びアルキルメタクリレート(メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、プロピルアクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ジアルキルフマレート(フマル酸ジアルキルエステル)(2個のアルキル基は、炭素数2以上8以下の、直鎖、分枝鎖又は脂環式の基である)、ジアルキルマレエート(マレイン酸ジアルキルエステル)(2個のアルキル基は、炭素数2以上8以下の、直鎖、分枝鎖又は脂環式の基である)、ポリアリロキシアルカン類(ジアリロキシエタン、トリアリロキシエタン、テトラアリロキシエタン、テトラアリロキシプロパン、テトラアリロキシブタン、テトラメタアリロキシエタン)、ポリアルキレングリコール鎖を有するビニル系モノマー(ポリエチレングリコール(分子量300)モノアクリレート、ポリエチレングリコール(分子量300)モノメタクリレート、ポリプロピレングリコール(分子量500)モノアクリレート、ポリプロピレングリコール(分子量500)モノメタクリレート、メチルアルコールエチレンオキサイド(エチレンオキサイドを以下EOと略記する)10モル付加物アクリレート、メチルアルコールエチレンオキサイド(エチレンオキサイドを以下EOと略記する)10モル付加物メタクリレート、ラウリルアルコールEO30モル付加物アクリレートラウリルアルコールEO30モル付加物メタクリレート)、ポリアクリレート類及びポリメタクリレート類(多価アルコール類のポリアクリレート及びポリメタクリレート:エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート。ポリエチレングリコールジメタクリレート。
さらに、本発明においては、前記結着樹脂として、結晶構造を取りうる部位、すなわち結晶性樹脂成分と、結晶構造を取りえない部位、すなわち非晶性樹脂成分とを化学的に結合したブロックポリマーを使用することも好ましい形態のひとつである。
ブロックポリマーは、結晶性樹脂成分(X)と非晶性樹脂成分(Y)とのXY型ジブロックポリマー、XYX型トリブロックポリマー、YXY型トリブロックポリマー、XYXY・・・・型マルチブロックポリマーが挙げられ、どの形態も使用可能である。
本発明において、ブロックポリマーを調製する方法としては、結晶性樹脂成分からなる結晶部を形成する成分と非晶性樹脂成分からなる非晶部を形成する成分とを別々に調製し、両者を結合する方法(二段階法)、結晶部を形成する成分、及び非晶部を形成する成分の原料を同時に仕込み、一度で調製する方法(一段階法)を用いることができる。
本発明におけるブロックポリマーは、それぞれの末端官能基の反応性を考慮して種々の方法より選択してブロックポリマーとすることができる。
結晶性樹脂成分、及び非晶性樹脂成分がともにポリエステル樹脂の場合は、各成分を別々に調製した後、必要に応じて結合剤を用いて結合することにより調製することができる。特に片方のポリエステルの酸価が高く、もう一方のポリエステルの水酸基価が高い場合は、結合剤を用いることなく結合させることができる。このとき反応温度は200℃付近で行うのが好ましい。
結合剤を使用する場合は、以下の結合剤が挙げられる。多価カルボン酸、多価アルコール、多価イソシアネート、多官能エポキシ、多価酸無水物。これらの結合剤を用いて、脱水反応や付加反応によって合成することができる。
一方で、結晶性樹脂成分がポリエステル樹脂であり、非晶性樹脂成分がポリウレタン樹脂の場合では、各成分を別々に調製した後、ポリエステル樹脂のアルコール末端とポリウレタン樹脂のイソシアネート末端とをウレタン化反応させることにより調製できる。また、アルコール末端を持つポリエステル樹脂と、ポリウレタン樹脂を構成するジオール、ジイソシアネートを混合し、加熱することによっても合成が可能である。ジオール及びジイソシアネート濃度が高い反応初期はジオールとジイソシアネートが選択的に反応してポリウレタン樹脂となり、ある程度分子量が大きくなった後にポリウレタン樹脂のイソシアネート末端とポリエステル樹脂のアルコール末端とのウレタン化反応が起こり、ブロックポリマーとすることができる。
結晶性樹脂成分、及び非晶性樹脂成分ともにビニル樹脂の場合は、一方の成分を重合した後、そのビニルポリマーの末端から他成分を重合開始させることにより調製することができる。
前記ブロックポリマー中の結晶性樹脂成分(すなわち、結晶構造を取りうる部位)の割合は50.0質量%以上であることが好ましく、70.0質量%以上であることがより好ましい。一方、上限は特に制限されないが、95.0質量%以下であることが好ましく、90.0質量%以下であることがより好ましい。
本発明におけるトナー粒子は、必要に応じてコア相とシェル相の2相から構成されるコアシェル構造を有するトナー粒子であってもよい。シェル相を形成する樹脂は特に限定しないが、以下に例を挙げる。
ビニル系樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、エステル樹脂、ポリアミド、ポリイミド、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン系樹脂、ユリア樹脂、アニリン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリカーボネート及びセルロース、並びに、これらの混合物が挙げられる。
またシェル相を形成する樹脂は結晶構造を有する樹脂であってもよい。この場合、トナー粒子のDSC測定において、前記シェル相を形成する樹脂の最大吸熱ピークのピーク温度が前記結着樹脂の最大吸熱ピークのピーク温度以上であることが好ましい。
本発明のトナーの製造方法に用いられるトナー粒子は、ワックスを含有することも好ましい形態のひとつである。前記ワックスとしては、特に限定はないが、例えば、以下のものが挙げられる。
低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、低分子量オレフィン共重合体、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスのような脂肪族炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックスのような脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物;脂肪族炭化水素系エステルワックスのような脂肪酸エステルを主成分とするワックス;及び脱酸カルナバワックスのような脂肪酸エステルを一部又は全部を脱酸化したもの;ベヘニン酸モノグリセリドのような脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂を水素添加することによって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物。
本発明のトナーの製造方法において特に好ましく用いられるワックスは、脂肪族炭化水素系ワックス及びエステルワックスである。また、本発明に用いられるエステルワックスは、3官能以上のエステルワックスであることが好ましく、さらに好ましくは4官能以上のエステルワックス、特に好ましくは6官能以上のエステルワックスである。
3官能以上のエステルワックスは、例えば3官能以上の酸と長鎖直鎖飽和アルコールの縮
合、又は3官能以上のアルコールと長鎖直鎖飽和脂肪酸の合成によって得られる。
前記ワックスにて使用可能な3官能以上のアルコールとしては以下を挙げることができるが、これに限定されるものではない。場合によっては混合して用いることも可能である。グリセリン、トリメチロールプロパン、エリスリトール、ペンタエリスリトール、ソルビトール。また、これらの縮合物として、グリセリンの縮合したジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン、ヘキサグリセリン及びデカグリセリン等のいわゆるポリグリセリン、トリメチロールプロパンの縮合したジトリメチロールプロパン、トリストリメチロールプロパン及びペンタエリスリトールの縮合したジペンタエリスリトール及びトリスペンタエリスリトール等が挙げられる。これらのうち、分岐構造をもつ構造が好ましく、ペンタエルスリトール、又はジペンタエリスリトールがより好ましく、特にジペンタエリスリトールが好ましい。
本発明にて使用可能な長鎖直鎖飽和脂肪酸は、一般式C2n+1COOHで表され、nが5以上28以下のものが好ましく用いられる。
例えば以下を挙げることができるが、これに限定されるものではない。場合によっては混合して用いることも可能である。カプロン酸、カプリル酸、オクチル酸、ノニル酸、デカン酸、ドデカン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸が挙げられる。ワックスの融点の面からミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸が好ましい。
本発明にて使用可能な3官能以上の酸としては以下を挙げることができるが、これに限定されるものではない。場合によっては混合して用いることも可能である。トリメリット酸、ブタンテトラカルボン酸。
本発明にて使用可能な長鎖直鎖飽和アルコールはC2n+1OHで表され、nが5以上28以下のものが好ましく用いられる。
例えば以下を挙げることができるが、これに限定されるものではない。場合によっては混合して用いることも可能である。カプリルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコールが挙げられる。ワックスの融点の面からミリスチルアルコール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコールが好ましい。
本発明のトナーの製造方法において、トナー粒子中におけるワックスの含有量は、好ましくは1.0質量%以上20.0質量%以下、より好ましくは2.0質量%以上15.0質量%である。1.0質量%より少ないと、トナーの離型性が低下する傾向にあり、定着体が低温になった場合に、転写紙の巻きつきが起こりやすくなる。20.0質量%より多い場合は、トナー表面にワックスが露出し易くなり、耐熱保存性が低下する傾向にある。
前記ワックスは、示差走査熱量計(DSC)による測定において、60℃以上120℃以下に最大吸熱ピークを有することが好ましい。より好ましくは60℃以上90℃以下である。最大吸熱ピークが60℃より低いと、トナー表面にワックスが露出し易くなり、耐熱保存性が低下する傾向にある。一方、最大吸熱ピークが120℃より高いと、定着時に適切にワックスが溶融しにくくなり、低温定着性や耐オフセット性が低下する傾向にある。
本発明のトナーの製造方法において、前記トナーは、着色剤を含有してもよい。本発明に好ましく使用される着色剤として、有機顔料、有機染料、無機顔料、黒色着色剤としてのカーボンブラック、磁性粒子が挙げられ、そのほかに従来トナーに用いられている着色剤を用いることができる。
イエロー用着色剤としては、以下のものが挙げられる。縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アントラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、アリルアミド化合物。具体的には、C.I.ピグメントイエロー12、13、14、15、17、62、74
、83、93、94、95、109、110、111、128、129、147、155、168、180が好適に用いられる。
マゼンタ用着色剤としては、以下のものが挙げられる。縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物。具体的には、C.I.ピグメントレッド2、3、5、6、7、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、122、144、146、166、169、177、184、185、202、206、220、221、254が好適に用いられる。
シアン用着色剤としては、以下のものが挙げられる。銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アントラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物。具体的には、C.I.ピグメントブルー1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、66が好適に用いられる。
本発明のトナーの製造方法に用いられる着色剤は、色相角、彩度、明度、耐光性、OHP透明性、トナー中の分散性の点から選択される。
前記着色剤は、好ましくは結着樹脂100.0質量部に対し、1.0質量部以上20.0質量部以下添加して用いられる。着色剤として磁性粒子を用いる場合、その添加量は結着樹脂100.0質量部に対し、40.0質量部以上150.0質量部以下であることが好ましい。
本発明のトナーの製造方法においては、必要に応じて荷電制御剤をトナー粒子に含有させてもよい。また、トナー粒子に外部添加してもよい。荷電制御剤を配合することにより、荷電特性を安定化、現像システムに応じた最適の摩擦帯電量のコントロールが可能となる。
前記荷電制御剤としては、公知のものが利用でき、特に帯電スピードが速く、かつ、一定の帯電量を安定して維持できる荷電制御剤が好ましい。
前記荷電制御剤として、トナーを負荷電性に制御するものとしては、以下のものが挙げられる。有機金属化合物、キレート化合物が有効であり、モノアゾ金属化合物、アセチルアセトン金属化合物、芳香族オキシカルボン酸、芳香族ダイカルボン酸、オキシカルボン酸及びダイカルボン酸系の金属化合物が挙げられる。トナーを正荷電性に制御するものとしては、以下のものが挙げられる。ニグロシン、四級アンモニウム塩、高級脂肪酸の金属塩、ジオルガノスズボレート類、グアニジン化合物、イミダゾール化合物が挙げられる。
前記荷電制御剤の好ましい配合量は、トナー粒子100.0質量部に対して0.01質量部以上20.0質量部以下、より好ましくは0.5質量部以上10.0質量部以下である。
本発明のトナーの製造方法において、前記トナー粒子には流動性向上剤として、無機微粒子を添加することが好ましい。トナー粒子に添加する無機微粒子としては、シリカ微粒子、酸化チタン微粒子、アルミナ微粒子又はそれらの複酸化物微粒子のような微粒子が挙げられる。該無機微粒子の中でもシリカ微粒子及び酸化チタン微粒子が好ましい。
前記シリカ微粒子としては、ケイ素ハロゲン化物の蒸気相酸化により生成された乾式シリカ又はヒュームドシリカ、及び水ガラスから製造される湿式シリカが挙げられる。なかでも、表面及びシリカ微粒子の内部にあるシラノール基が少なく、またNaO、SO 2−の少ない乾式シリカの方が好ましい。また乾式シリカは、製造工程において、塩化アルミニウム、塩化チタンのような金属ハロゲン化合物をケイ素ハロゲン化合物と共に用いることによって製造された、シリカと他の金属酸化物の複合微粒子であってもよい。
前記無機微粒子は、トナーの流動性改良及びトナーの帯電均一化のためにトナー粒子に外添されることが好ましい。また、前記無機微粒子を疎水化処理することによって、トナ
ーの帯電量の調整、環境安定性の向上、高湿環境下での特性の向上を達成することができるため、疎水化処理された無機微粒子を用いることがより好ましい。トナーに添加された前記無機微粒子が吸湿すると、トナーとしての帯電量が低下し、現像性や転写性の低下が生じ易くなる傾向にある。
前記無機微粒子の疎水化処理の処理剤としては、未変性のシリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、未変性のシリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シラン化合物、シランカップリング剤、その他有機ケイ素化合物、有機チタン化合物が挙げられる。これらの処理剤は単独で又は併用して用いてもよい。
その中でも、シリコーンオイルにより処理された無機微粒子が好ましい。より好ましくは、無機微粒子をカップリング剤で疎水化処理すると同時又は処理した後に、シリコーンオイルにより処理したシリコーンオイル処理された疎水化処理無機微粒子が高湿環境下でもトナー粒子の帯電量を高く維持し、選択現像性を低減する上で好ましい。
前記無機微粒子の添加量は、トナー粒子100.0質量部に対して、0.1質量部以上4.0質量部以下であることが好ましい。より好ましくは、0.2質量部以上3.5質量部以下である。
本発明のトナーは、重量平均粒径(D4)が、3.0μm以上8.0μm以下であることが好ましく、より好ましくは5.0μm以上7.0μm以下である。このような重量平均粒径(D4)のトナーを用いることは、トナーのハンドリング性を良好にしつつ、ドットの再現性を十分に満足する上で好ましい。得られたトナーの重量平均粒径(D4)と個数平均粒径(D1)の比(D4/D1)は、1.30未満であることが好ましい。
以下に、本発明で規定する各物性値の測定方法を記載する。
<トナー粒子の重量平均粒径(D4)及び個数平均粒径(D1)の測定方法>
トナー粒子の重量平均粒径(D4)及び個数平均粒径(D1)は、以下のようにして算出する。測定装置としては、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)を用いる。測定条件の設定及び測定データの解析は、付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いる。なお、測定は実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで行う。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
なお、測定、解析を行う前に、以下のように前記専用ソフトの設定を行う。
前記専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更」画面において、コントロールモードの総カウント数を50,000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。「閾値/ノイズレベルの測定ボタン」を押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、「測定後のアパーチャーチューブのフラッシュ」にチェックを入れる。
前記専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定」画面において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μmから60μmまでに設定する。
具体的な測定法は以下の通りである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250ml丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mlを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、専用ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100ml平底ビーカーに前記電解水溶液約30mlを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.3ml加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を、位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispersion System Tetora150」(日科機バイオス社製)を準備する。超音波分散器の水槽内に約3.3lのイオン交換水を入れ、この水槽中にコンタミノンNを約2ml添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー粒子約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。なお、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナー粒子を分散した前記(5)の電解質水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50,000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行い、重量平均粒径(D4)及び個数平均粒径(D1)を算出する。なお、前記専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、「分析/体積統計値(算術平均)」画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)であり、前記専用ソフトでグラフ/個数%と設定したときの、「分析/個数統計値(算術平均)」画面の「平均径」が個数平均粒径(D1)である。
<結晶性ポリエステル樹脂、ブロックポリマー、及びワックスの融点の測定方法>
結晶性ポリエステル樹脂、ブロックポリマー、及びワックスの融点は、DSC Q2000(TA Instruments社製)を使用して以下の条件にて測定を行う。
昇温速度:10℃/min
測定開始温度:20℃
測定終了温度:180℃
装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。
具体的には、試料約2mgを精秤し、アルミ製のパンの中に入れ、一回測定を行う。リファレンスとしてはアルミ製の空パンを用いる。測定は、一度200℃まで昇温させ、続いて20℃まで降温し、その後に再度昇温を行う。結晶性ポリエステル及びブロックポリマーの場合は1度目の昇温過程において、ワックスの場合は2度目の昇温過程において、温度20℃から200℃の範囲におけるDSC曲線の最大吸熱ピークのピーク温度を結晶性ポリエステル、ブロックポリマー、及びワックスの融点とする。
<非晶性ポリエステル樹脂及び非晶性ビニル樹脂のガラス転移点(Tg)の測定方法>
非晶性ポリエステル樹脂及び非晶性ビニル樹脂のガラス転移点は、前記DSC測定によって得られた昇温時のリバーシングヒートフロー曲線から、最大吸熱を示す曲線と前後のベースラインとの接線を描き、それぞれの接線の交点を結ぶ直線の中点を求めて、その点の温度をガラス転移点とする。
<数平均分子量(Mn)、及び重量平均分子量(Mw)の測定方法>
各種樹脂のテトラヒドロフラン(THF)可溶分の分子量(Mn、Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、以下のようにして測定する。
まず、室温で24時間かけて、試料をTHFに溶解する。そして、得られた溶液を、ポ
ア径が0.2μmの耐溶剤性メンブランフィルター「マイショリディスク」(東ソー社製)で濾過してサンプル溶液を得る。なお、サンプル溶液は、THFに可溶な成分の濃度が約0.8質量%となるように調整する。このサンプル溶液を用いて、以下の条件で測定する。
装置:HLC8120 GPC(検出器:RI)(東ソー社製)
カラム:Shodex KF−801、802、803、804、805、806、807の7連(昭和電工社製)
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
流速:1.0ml/min
オーブン温度:40.0℃
試料注入量:0.10ml
試料の分子量の算出にあたっては、標準ポリスチレン樹脂(商品名「TSKスタンダード ポリスチレン F−850、F−450、F−288、F−128、F−80、F−40、F−20、F−10、F−4、F−2、F−1、A−5000、A−2500、A−1000、A−500」、東ソ−社製)を用いて作製した分子量校正曲線を使用する。
<樹脂分散剤微粒子、ワックス微粒子及び着色剤微粒子の粒子径の測定方法>
本発明において、各微粒子の粒子径は、マイクロトラック粒度分布測定装置HRA(X−100)(日機装社製)を用い、0.001μm〜10μmのレンジ設定で測定を行い、体積平均粒子径(μm又はnm)として測定する。なお、希釈有機溶剤としては水を選択する。
以下、本発明を製造例及び実施例により具体的に説明するが、これらは本発明をなんら限定するものではない。なお、実施例及び比較例の部数及び%は特に断りが無い場合、すべて質量基準である。
<結晶性ポリエステルの合成>
加熱乾燥した二口フラスコに、窒素を導入しながら以下の原料を仕込んだ。
・セバシン酸 124.0質量部
・1,6−ヘキサンジオール 76.0質量部
・酸化ジブチルスズ 0.1質量部
減圧操作により系内を窒素置換した後、180℃にて6時間攪拌を行った。その後、攪拌を続けながら減圧下にて230℃まで徐々に昇温し、さらに2時間保持した。粘稠な状態となったところで空冷し、反応を停止させることで、結晶性ポリエステルを合成した。結晶性ポリエステルの融点は73℃、Mnは5,800、Mwは11,800であった。
<非晶性ポリエステル1の合成>
加熱乾燥した二口フラスコに、窒素を導入しながら以下の原料を仕込んだ。
・ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン
30.0質量部
・ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン
34.0質量部
・テレフタル酸 30.0質量部
・フマル酸 6.0質量部
・酸化ジブチルスズ 0.1質量部
減圧操作により系内を窒素置換した後、215℃にて5時間撹拌を行った。その後、撹拌を続けながら減圧下にて230℃まで徐々に昇温し、さらに2時間保持した。粘稠な状態となったところで空冷し、反応を停止させることで、非晶性ポリエステル1を得た。得られた非晶性ポリエステル1は、Mnが2,200、Mwが9,800、Tgが60℃で
あった。
<非晶性ポリエステル2の合成>
加熱乾燥した二口フラスコに、窒素を導入しながら以下の原料を仕込んだ。
・ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン
30.0質量部・ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン
33.0質量部・テレフタル酸 21.0質量部・無水トリメリット酸 1.0質量部・フマル酸 3.0質量部・ドデセニルコハク酸 12.0質量部・酸化ジブチルスズ 0.1質量部
減圧操作により系内を窒素置換した後、215℃にて5時間攪拌を行った。その後、攪拌を続けながら減圧下にて230℃まで徐々に昇温し、さらに2時間保持した。粘稠な状態となったところで空冷し、反応を停止させることで、非晶性ポリエステル2を合成した。非晶性ポリエステル2のMnは7,200、Mwが43,000、Tgは63℃であった。
<非晶性ビニル樹脂の合成>
加熱乾燥した二口フラスコに、窒素を導入しながら以下の原料を仕込んだ。
・スチレン 74.0質量部
・ブチルアクリレート 6.0質量部
・テトラヒドロフラン(THF) 80.0質量部
・アゾビスメトキシジメチルバレロニトリル 0.3質量部
ビーカーに、上記を仕込み、20℃にて攪拌、混合して単量体溶液を調製し、あらかじめ加熱乾燥しておいた滴下ろうとに導入した。これとは別に、加熱乾燥した二口フラスコに、THF80.0質量部を仕込んだ。窒素置換した後、滴下ろうとを取り付け、密閉下、40℃にて1時間かけて単量体溶液を滴下した。滴下終了から3時間攪拌を続け、アゾビスメトキシジメチルバレロニトリル0.3質量部及びTHF10.0質量部の混合物を再度滴下し、40℃にて3時間攪拌を行った。その後、室温まで冷却し、溶媒であるTHFを留去することで、非晶性ビニル樹脂を合成した。非晶性ビニル樹脂のMnは9,800、Mwは28,000、Tgは59℃であった。
<分散剤用樹脂の合成>
滴下ろうとを備え、加熱乾燥した二口フラスコに、ノルマルヘキサン870.0質量部を仕込んだ。別のビーカーに、ノルマルヘキサン42.0質量部、ベヘニルアクリレート(炭素数22個の直鎖アルキル基を有するアルコールのアクリレート)52.0質量部、アゾビスメトキシジメチルバレロニトリル0.3質量部を仕込み、20℃にて攪拌、混合して単量体溶液を調製し、滴下ろうとに導入した。反応容器を窒素置換した後、密閉下、40℃にて1時間かけて単量体溶液を滴下した。滴下終了から3時間攪拌を続け、アゾビスメトキシジメチルバレロニトリル0.3質量部及びノルマルヘキサン42.0質量部の混合物を再度滴下し、40℃にて3時間攪拌を行った。その後、室温まで冷却し、溶媒であるヘキサンを留去することで、分散剤用樹脂を得た。
<ブロックポリマー1の合成>
・結晶性ポリエステル 210.0質量部
・キシリレンジイソシアネート(XDI) 56.0質量部
・シクロヘキサンジメタノール(CHDM) 34.0質量部
・テトラヒドロフラン(THF) 300.0質量部
攪拌装置及び温度計を備えた反応容器中に、窒素置換をしながら上記を仕込んだ。50℃まで加熱し、15時間かけてウレタン化反応を施した。溶媒であるTHFを留去し、ブロックポリマー1を得た。ブロックポリマー1の融点は65℃、Mnは16,500、Mwが33,500であった。
<ブロックポリマー2の合成>
・結晶性ポリエステル 210.0質量部
・非晶性ポリエステル1 90.0質量部
・酸化ジブチルスズ 0.1質量部
攪拌装置及び温度計を備えた反応容器中に、窒素置換をしながら上記を仕込んだ。200℃まで加熱し、5時間かけてエステル反応を施すことで、ブロックポリマー2を得た。ブロックポリマー2の融点は65℃、Mnは13,800、Mwは33,500であった。
<樹脂溶液1の調製>
撹拌装置のついたビーカーに、有機溶剤Aとしてのアセトンを34.9質量部、有機溶剤Bとしてのメチルエチルケトン(MEK)を15.1質量部、ブロックポリマー1を50.0質量部投入し、50℃に加熱して完全に溶解するまで撹拌を続け、樹脂溶液1を調製した。
<樹脂溶液2〜17の調製>
樹脂溶液1の調製において、使用する樹脂、有機溶剤A及び有機溶剤Bの種類及び添加量を表1のように変えた以外は全て同様にして、樹脂溶液2〜17をそれぞれ調製した。また、使用した有機溶剤A及び有機溶剤Bの結着樹脂に対する溶解性の測定結果を表2に示す。
Figure 2016090750
Figure 2016090750
<樹脂分散剤分散液1の調製>
撹拌装置のついたオートクレーブに、分散剤用樹脂を100.0質量部、アセトンを100.0質量部投入し、撹拌しながら70.0℃に加熱して分散剤用樹脂をアセトンに溶解させた。その後、さらに撹拌を続けながら、15.0℃まで冷却して分散剤用樹脂を析出させ、さらにアセトンを添加して固形分量が20.0質量%になるように調整することで、体積平均粒径が120nmである樹脂分散剤分散液1を得た。
<樹脂分散剤分散液2の調製>
樹脂分散剤分散液1の調製において、使用する有機溶剤を2−フェニルエタノールに変更する以外はすべて同様にして、体積平均粒径が120nmである樹脂分散剤分散液2を得た。
<着色剤分散液1の調製>
・C.I.Pigment Blue15:3 100.0質量部
・アセトン 150.0質量部
・ガラスビーズ(1mm) 300.0質量部
上記材料を耐熱性のガラス容器に投入し、ペイントシェーカー(東洋精機製)にて5時間分散を行い、ナイロンメッシュにてガラスビーズを取り除き、体積平均粒径が200nm、固形分量が40.0質量%の着色剤分散液1を得た。
<着色剤分散液2の調製>
着色剤分散液1の調製において、使用する有機溶剤をアセトンから2−フェニルエタノールに変更する以外はすべて同様にして、体積平均粒径が210nm、固形分量が40.0質量%の着色剤分散液2を得た。
<ワックス分散液1の調製>
・ジペンタエリスリトールパルチミン酸エステルワックス 16.0質量部
・ワックス分散剤(ポリエチレン15.0質量部の存在下、スチレン50.0質量部、n−ブチルアクリレート25.0質量部、アクリロニトリル10.0質量部をグラフト共重合させた、ピーク分子量8,500の共重合体) 8.0質量部
・アセトン 76.0質量部
上記を撹拌羽根突きのガラスビーカー(IWAKIガラス製)に投入し、系内を50℃に加熱することによりワックスをアセトンに溶解させた。
ついで、系内を50rpmの条件にて緩やかに撹拌しながら徐々に冷却し、3時間かけて25℃にまで冷却させ乳白色の液体を得た。
この溶液を1mmのガラスビーズ20質量部とともに耐熱性の容器に投入し、ペイントシェーカーにて3時間の分散を行った後、ナイロンメッシュにてガラスビーズを取り除き、体積平均粒径が270nm、固形分量24.0質量%のワックス分散液1を得た。
<ワックス分散液2の調製>
ワックス分散液1の調製において、使用する有機溶剤をアセトンから2−フェニルエタノールに変更する以外はすべて同様にして、体積平均粒径が260nm、固形分量24.0質量%のワックス分散液2を得た。
<実施例1>
(トナー粒子1の製造)
図1に示す装置において、まず、バルブV1、V2、及び圧力調整バルブV3を閉じ、トナー粒子を捕捉するためのフィルターと撹拌機構とを備えた耐圧の造粒タンクT1に18.0質量部の樹脂分散剤分散液1を仕込み、内部温度を25℃に調整した。次に、バルブV1を開き、二酸化炭素ボンベB1からポンプP1を用いて二酸化炭素(純度99.99%)を造粒タンクT1に導入し、内部圧力が2.0MPaに到達したところでバルブV1を閉じた。一方、樹脂溶解液タンクT2に樹脂溶液1、ワックス分散液1、着色剤分散液1、アセトン及びMEK(メチルエチルケトン)を仕込み、内部温度を25℃に調整した。
次に、バルブV2を開き、造粒タンクT1の内部を1000rpmで撹拌しながら、ポンプP2を用いて樹脂溶解液タンクT2の内容物を造粒タンクT1内に導入し、すべて導入を終えたところでバルブV2を閉じた。導入後の、造粒タンクT1の内部圧力は5.0MPaとなった。導入した全二酸化炭素の質量は、質量流量計を用いて測定し、280.0質量部であった。
なお、樹脂溶解液タンクT2への材料仕込み量(質量比)は、次の通りである。
・樹脂溶液1 100.0質量部
・ワックス分散液1 10.0質量部
・着色剤分散液1 6.0質量部
・アセトン 16.0質量部
・MEK 4.0質量部
樹脂溶解液タンクT2の内容物の造粒タンクT1への導入を終えた後、さらに、1000rpmで3分間撹拌して造粒を行った。
次に、バルブV1を開き、二酸化炭素ボンベB1からポンプP1を用いて二酸化炭素を造粒タンクT1内に導入した。この際、圧力調整バルブV3を10.0MPaに設定し、造粒タンクT1の内部圧力を10.0MPaに保持しながら、さらに二酸化炭素を流通させた。この操作により、造粒後の液滴中から抽出された有機溶剤Aとしてのアセトン及び有機溶剤BとしてのMEKを含む二酸化炭素を、溶剤回収タンクT3に排出し、有機溶剤A及び有機溶剤Bと二酸化炭素を分離した。
また、二酸化炭素を有機溶剤回収タンクT3へ排出し始めてから5分ごとにタンクT3内の有機溶剤A及び有機溶剤Bを取りだした。この作業を有機溶剤A及び有機溶剤Bが有機溶剤回収タンクに溜まらなくなり、取り出せなくなるまで続けた。その結果30分の時点で有機溶剤A及び有機溶剤Bが取り出されなくなった。有機溶剤A及び有機溶剤Bが取り出されなくなった時点で脱溶剤終了とし、バルブV4を閉じて、二酸化炭素の流通を終了した。
さらに、圧力調整バルブV3を少しずつ開き、造粒タンクT1の内部圧力を大気圧まで減圧することで、フィルターに捕捉されているトナー粒子1を回収した。トナー粒子1のD1は5.58μm、D4は5.98μm、D4/D1は1.07であった。
Figure 2016090750
Figure 2016090750
<評価方法>
〈造粒性〉
造粒性は、トナー粒子の粒度分布(D4/D1)にて評価した。評価結果を表5に示す。なお、評価基準は以下のとおりである。
[D4/D1の評価基準]
A:1.10未満
B:1.10以上1.20未満
C:1.20以上1.30未満
D:1.30以上
〈脱溶剤性〉
脱溶剤効率を評価するために、二酸化炭素を有機溶剤回収タンクT3に流す際に、有機溶剤を5分ごとに取り出した。有機溶剤が有機溶剤タンクに溜まらなくなり、取り出せな
くなるまでにかかった時間を脱溶剤所要時間として、下記の基準に基づいて判断を行った。評価結果を表5に示す。
A:脱溶剤所要時間が40分未満
B:脱溶剤所要時間が40分以上70分未満
C:脱溶剤所要時間が70分以上100分未満
D:脱溶剤所要時間が100分以上140分未満
Figure 2016090750
<実施例2〜13、比較例1〜4>
実施例1において、トナー粒子1の製造工程における樹脂溶液、樹脂分散剤分散液1、着色剤分散液1、及びワックス分散液1の種類、さらに追加の有機溶剤A及びBの種類及び量を表3に示すものに変更した以外は、実施例1と同様にして、トナー粒子2〜13及び比較用トナー粒子1〜4を得た。また、実施例1と同様の評価を実施した。得られたトナー粒子2〜13及び比較用トナー粒子1〜4の評価結果を表5に示す。
T1:造粒タンク、T2:樹脂溶解液タンク、T3:溶剤回収タンク、B1:二酸化炭素ボンベ、P1、P2:ポンプ、V1、V2:バルブ、V3:圧力調整バルブ

Claims (9)

  1. a)結着樹脂、前記結着樹脂を溶解しうる有機溶剤A、有機溶剤B、及び二酸化炭素を含有する混合物を攪拌し、前記結着樹脂、前記有機溶剤A及び前記有機溶剤Bを含有する液滴を形成する工程、
    b)前記液滴に含まれる前記有機溶剤A及び前記有機溶剤Bを除去してトナー粒子を得る工程、
    を有するトナーの製造方法において、
    前記有機溶剤A及び前記有機溶剤B全量における前記有機溶剤Bの割合が、5.0質量%以上50.0質量%以下であり、
    前記有機溶剤AのSP値をSP(J1/2/cm3/2)、前記有機溶剤BのSP値をSP(J1/2/cm3/2)としたとき、SP及びSPが下記式(1)を満たすことを特徴とするトナーの製造方法。
    0.1 ≦ SP−SP ≦ 3.5 (1)
  2. 前記SPが、下記式(2)を満たす請求項1に記載のトナーの製造方法。
    18.0 ≦ SP ≦ 23.0 (2)
  3. 前記有機溶剤Aが、トルエン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、アセトン、及び2−フェニルエタノールより選択される請求項1又は2に記載のトナーの製造方法。
  4. 前記有機溶剤Bが、前記結着樹脂を溶解しうる請求項1〜3のいずれか一項に記載のトナーの製造方法。
  5. 前記有機溶剤Bが、シクロヘキサン、トルエン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、及びアセトンより選択される請求項1〜4のいずれか一項に記載のトナーの製造方法。
  6. 前記結着樹脂のSP値をSPとしたとき、SPが下記式(3)を満たす請求項1〜5のいずれか一項に記載のトナーの製造方法。
    18.0 ≦ SP ≦ 23.0 (3)
  7. 前記結着樹脂が、ポリエステル樹脂、ポリビニル樹脂、ポリウレタン樹脂及びポリウレア樹脂、並びにそれらのいずれか二以上の複合樹脂より選択される請求項1〜6のいずれか一項に記載のトナーの製造方法。
  8. 前記有機溶剤A及び前記有機溶剤B全量における前記有機溶剤Bの割合が、10.0質量%以上40.0質量%以下である請求項1〜7のいずれか一項に記載のトナーの製造方法。
  9. 前記SP及びSPが下記式(4)を満たす請求項1〜8のいずれか一項に記載のトナーの製造方法。
    0.3 ≦ SP−SP ≦ 2.5 (4)
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