JPWO2019073731A1 - トナーバインダー及びトナー - Google Patents
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Abstract
Description
フルカラー電子写真用には従来、電子写真感光体等の潜像坦持体に色画像情報に基づく潜像を形成し、該潜像を対応する色のトナーにより現像し、次いで該トナー像を転写材上に転写するといった画像形成工程を繰り返した後、転写材上のトナー像を加熱定着して多色画像を得る方法や装置が知られている。
また、最近では用いられる転写材として、表面凹凸の大きい再生紙や、表面が平滑なコート紙など多くの種類の紙が用いられる。これらの転写材の表面性に対応するために、ソフトローラーやベルトローラーなどのニップ幅の広い定着器が好ましく用いられている。しかし、ニップ幅を広くすると、トナーと定着ローラーとの接触面積が増え、定着ローラーに溶融トナーが付着する、いわゆる高温オフセット現象が発生するため、耐オフセット性が要求されるのが前提である。
上記に加えて、多色画像(フルカラー)は写真画像などの再現等から白黒画像(モノクロ)比べてはるかに高い光沢が必要とされ、得られる画像のトナー層が平滑になるようにする必要がある。
したがって、高い光沢を有しながら耐オフセット性を維持しつつ、低温定着性を発現させる必要があり、広いワーキングレンジで高光沢なトナー画像が要求されるようになってきている。
しかしながら、この方法は高温でのオフセット現象はある程度防止できても、定着下限温度が不充分であり、未だ高速化、省エネルギー化の要求には充分に答えられていない。
しかしながら、この方法でも低温定着性が改良されるが、高温での耐オフセット性が不充分であった。
すなわち本発明は、ポリエステル樹脂(A)とビニル樹脂(B)とを含有するトナーバインダーであって、上記ポリエステル樹脂(A)はポリエステル(A1)が炭素−炭素結合により架橋された樹脂であり、上記ビニル樹脂(B)が単量体(a)を必須構成単量体とする重合物であり、上記単量体(a)が、鎖状炭化水素基を有する炭素数21〜40の(メタ)アクリレートであり、上記ビニル樹脂(B)を構成する単量体中の上記単量体(a)の重量割合が上記ビニル樹脂(B)の重量を基準として、15〜99重量%であるトナーバインダー、及び、このトナーバインダーを含有するトナーである。
以下に、本発明のトナーバインダーを順次、説明する。
ポリエステル樹脂(A)は、ポリエステル(A1)を炭素−炭素結合により架橋した構造を有する樹脂である。炭素−炭素結合による架橋は、ポリエステル(A1)分子に含まれる炭素原子のうち少なくとも1つの炭素原子と、ポリエステル(A1)分子に含まれる他の炭素原子とが直接結合することにより形成される。
ここでいうポリエステル(A1)は特に限定はなく、炭素−炭素結合により架橋した状態となるものであればどのようなポリエステルでもよい。
なかでも架橋構造を形成し易いという観点から、好ましくは炭素−炭素二重結合を有するポリエステル(A11)である。
また、ポリエステル樹脂(A)の炭素−炭素結合による架橋の少なくとも一部は、上記ポリエステル(A11)分子に存在する一の炭素−炭素二重結合を構成していた炭素原子がポリエステル(A11)分子に存在する他の炭素−炭素二重結合を構成していた炭素原子と結合することにより形成された炭素−炭素結合であることが好ましい。
一の炭素−炭素二重結合と他の炭素−炭素二重結合は、同一のポリエステル(A11)分子内に存在していてもよく、別々のポリエステル(A11)分子に存在していてもよい。
ポリエステル樹脂(A)は上記ポリエステル(A11)の炭素−炭素二重結合を反応させる他、加熱等による水素引き抜き反応によってポリエステル(A1)に含まれる炭素原子に結合した水素原子を引き抜いて架橋する方法(水素原子引き抜き反応とも言う)等によっても得ることができる。
なお、上記の架橋反応によってネットワークを形成したポリエステル樹脂はテトラヒドロフラン(THF)に溶解することができないため、架橋反応によってネットワークが形成されたポリエステル樹脂であることは、ポリエステル樹脂をTHFに溶解してTHFに不溶な成分(THF不溶解分)を有することで確認することができる。
なお、ポリエステル樹脂(A)は炭素−炭素結合による架橋を有していればよく、エステル結合による架橋及び重付加反応等による架橋も有していてもよい。
さらに、炭素−炭素二重結合を有するポリエステル(A11)は、上記必須成分以外に、飽和アルコール成分(x)や、飽和カルボン酸成分(w)を構成成分として含んでいてもよい。
また、ポリエステル(A11)はこれらの各成分を、それぞれ1種類ずつ用いて重縮合したものでもよく、各成分として複数種類を併用して重縮合したものでもよい。
なお、本明細書において、不飽和カルボン酸成分(y)であるか、飽和カルボン酸成分(w)であるかの判断に、芳香環及び複素環の結合は考慮しない。
同様に、不飽和アルコール成分(z)であるか、飽和アルコール成分(x)であるかの判断に芳香環及び複素環の結合は考慮しない。
これらは、1種単独であっても、2種以上の組み合わせであってもよい。
これらは、1種単独であっても、2種以上の組み合わせであってもよい。
これら飽和モノオールのうち画像強度及び耐熱保存性の観点から、好ましいものは炭素数8〜24の直鎖又は分岐アルキルアルコールであり、より好ましくは炭素数8〜24の直鎖アルキルアルコールであり、さらに好ましくはドデシルアルコール、ステアリルアルコール、アラキジルアルコール、ベヘニルアルコール及びリグノセリルアルコールである。
これらの飽和ジオール(x2)のうち、低温定着性と耐熱保存性の観点から、炭素数2〜36のアルキレングリコール(x21)及び芳香族ジオールのアルキレンオキサイド付加物(x26)が好ましく、ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物がさらに好ましい。アルキレンオキサイドにおいて、アルキレン基の炭素数は好ましくは2〜4であり、アルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド、1,2−又は1,3−プロピレンオキサイド、1,2−、2,3−、1,3−又はiso−ブチレンオキサイド及びテトラヒドロフラン等が好ましい。
[式中、Pは炭素数1〜3のアルキレン基、−SO2−、−O−、−S−又は直接結合を表し、Arは、水素原子がハロゲン原子又は炭素数1〜30のアルキル基で置換されていてもよいフェニレン基を表す。]
また、AOの平均付加モル数は、好ましくは2〜30モル、より好ましくは2〜10モル、さらに好ましくは2〜5モルである。
ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物のうち、トナーの定着性、粉砕性及び耐熱保存性の観点から好ましいものは、ビスフェノールAのEO付加物(平均付加モル数は好ましくは2〜4、より好ましくは2〜3)及び/又はPO付加物(平均付加モル数は好ましくは2〜4、より好ましくは2〜3)である。
さらに好ましくは、炭素数2〜6のアルキレングリコール、ビスフェノールAのAO付加物(平均付加モル数は好ましくは2〜5)及び炭素数3〜36の3価の脂肪族多価アルコールであり、特に好ましくは、エチレングリコール、プロピレングリコール、ビスフェノールAのAO付加物(平均付加モル数は好ましくは2〜3)及びトリメチロールプロパンである。
飽和アルコール成分(x)としては、より好ましくは、ビスフェノールAのAO付加物(平均付加モル数は2〜5)であり、さらに好ましくはビスフェノールAのAO付加物(平均付加モル数は2〜3)である。
これらは、1種単独であっても、2種以上の組み合わせであってもよい。
さらに好ましくは、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸及びこれらの併用である。また、これらの酸の無水物や低級アルキルエステルも同様に好ましい。
脂肪族カルボン酸としては、例えば、炭素数2〜50の脂肪族モノカルボン酸(酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸及びベヘン酸等)、炭素数2〜50の脂肪族ジカルボン酸(シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、レパルギン酸及びセバシン酸等)、炭素数6〜36の脂肪族トリカルボン酸(ヘキサントリカルボン酸等)等が挙げられる。
また、飽和カルボン酸成分(w)としては、これらのカルボン酸の無水物、低級アルキル(炭素数1〜4)エステル(メチルエステル、エチルエステル及びイソプロピルエステル等)を用いてもよいし、これらのカルボン酸と併用してもよい。
耐熱保存性及び帯電安定性の観点からより好ましくは、安息香酸、アジピン酸、アルキルコハク酸、テレフタル酸、イソフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸及びこれらの併用である。さらに好ましくは、アジピン酸、テレフタル酸、トリメリット酸及びこれらの併用である。また、これらの酸の無水物や低級アルキルエステルであってもよい。
例えば、不活性ガス(窒素ガス等)雰囲気中で、反応温度が好ましくは150〜280℃、より好ましくは160〜250℃、さらに好ましくは170〜235℃で構成成分を反応させることにより行うことができる。また反応時間は、重縮合反応を確実に行う観点から、好ましくは30分以上、より好ましくは2〜40時間である。
エステル化触媒の例には、スズ含有触媒(例えばジブチルスズオキシド等)、三酸化アンチモン、チタン含有触媒[例えばチタンアルコキシド、シュウ酸チタン酸カリウム、テレフタル酸チタン、テレフタル酸チタンアルコキシド、特開2006−243715号公報に記載の触媒{チタニウムジイソプロポキシビス(トリエタノールアミネート)、チタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)、チタニウムモノヒドロキシトリス(トリエタノールアミネート)、チタニルビス(トリエタノールアミネート)及びそれらの分子内重縮合物等}及び特開2007−11307号公報に記載の触媒(チタントリブトキシテレフタレート、チタントリイソプロポキシテレフタレート及びチタンジイソプロポキシジテレフタレート等)等]、ジルコニウム含有触媒(例えば酢酸ジルコニル等)及び酢酸亜鉛等が挙げられる。これらの中で好ましくはチタン含有触媒である。反応末期の反応速度を向上させるために減圧することも有効である。
TgA1が45℃以下であると低温定着性が良好になり、−35℃以上であると耐熱保存性が良好になる。ポリエステル(A1)のガラス転移温度(TgA1)は、より好ましくは−30〜42℃であり、さらに好ましくは−25〜40℃であり、特に好ましくは−20〜37℃である。
なお、ガラス転移温度(Tg)は、例えばTA Instruments(株)製、DSC Q20を用いて、ASTM D3418−82に規定の方法(DSC法)で測定することができる。
ポリエステル(A1)のピークトップ分子量Mpが2,000〜30,000であると、光沢性、低温定着性及び耐ホットオフセット性が好ましくなる。
まず、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により標準ポリスチレン試料を用いて検量線を作製する。
次に、GPCにより試料を分離し、各保持時間における分離された試料のカウント数を測定する。
次に、上記検量線の対数値と得られたカウント数とから試料の分子量分布のチャートを作成する。分子量分布のチャート中のピーク最大値がピークトップ分子量Mpである。
なお、分子量分布のチャート中の、複数のピークがある場合は、それらのピークの中の最大値がピークトップ分子量Mpとする。なお、GPC測定の測定条件は、以下のとおりである。
装置(一例) : HLC−8120[東ソー(株)製]
カラム(一例): TSK GEL GMH6 2本 [東ソー(株)製]
測定温度 : 40℃
試料溶液 : 0.25重量%のTHF溶液
溶液注入量 : 100μL
検出装置 : 屈折率検出器
基準物質 : 東ソー(株)製 標準ポリスチレン(TSKstandard POLYSTYRENE)12点(分子量 500 1,050 2,800 5,970 9,100 18,100 37,900 96,400 190,000 355,000 1,090,000 2,890,000)
分子量の測定は、0.25重量%になるように試料をTHFに溶解し、不溶解分をグラスフィルターでろ別したものを試料溶液とする。
まず、不飽和カルボン酸成分(y)と不飽和アルコール成分(z)の少なくともどちらかと、必要により飽和カルボン酸成分(w)及び/又は飽和アルコール成分(x)とを構成成分として縮合反応させて分子内に炭素−炭素二重結合を有するポリエステル(A11)を得る。次に、ポリエステル(A11)にラジカル反応開始剤(c)を作用させて、ラジカル反応開始剤(c)から発生するラジカルを利用して、ポリエステル(A11)中の不飽和カルボン酸成分(y)及び/又は不飽和アルコール成分(z)に起因する炭素−炭素二重結合同士を架橋反応により結合させる。これによりポリエステル樹脂(A)を製造することができる。この方法は、架橋反応を短時間で均一にできる点で好ましい方法である。
さらに、架橋反応が効率よく進行し、使用量が少なくて済むことから、水素引抜き能の高い反応開始剤がより好ましく、ベンゾイルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、t−ブチルクミルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、α、α−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)へキサン及びジ−t−へキシルパーオキシド等の水素引抜き能の高いラジカル反応開始剤がさらに好ましい。
ラジカル反応開始剤の使用量が、0.1重量部以上の場合に架橋反応が進行し易くなる傾向にあり、50重量部以下の場合に、臭気が良好となる傾向にある。この使用量は、30重量部以下であることがより好ましく、20重量部以下であることがさらに好ましく、10重量部以下であることが特に好ましい。
炭素−炭素二重結合の含有量がポリエステル(A11)の重量に基づいて0.02〜2.0ミリモル/gである場合、好適に架橋反応が起こり、トナーの耐ホットオフセット性が良好になる。
例えばポリエステル樹脂の原料としてフマル酸(0.1g)及びビスフェノールA・PO2モル付加物(0.9g)を使用した場合は、原料の合計1gに対して炭素−炭素二重結合を1つ含有し分子量が116のフマル酸を0.1g有しているため、
0.1/116×1000=0.86ミリモル/gとなる。
例えばポリエステル樹脂の原料としてフマル酸(0.3g)及びビスフェノールA・PO2モル付加物(0.7g)を使用した場合は、原料の合計1gに対して炭素−炭素二重結合を1つ含有し分子量が116のフマル酸を0.3g有しているため、
0.3/116×1000=2.59ミリモル/gとなる。
ポリエステル(A1)の酸価は、JIS K0070(1992)に規定の方法で測定することができる。
ビニル樹脂(B)は、単量体(a)を必須構成単量体とする重合物であり、ビニル樹脂(B)を構成する単量体中の単量体(a)の重量割合が、ビニル樹脂(B)の重量を基準として、15〜99重量%である。
単量体(a)としては直鎖のアルキル基(炭素数18〜36)を有する(メタ)アクリレート[オクタデシル(メタ)アクリレート、ノナデシル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレート、ヘンエイコサニル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、リグノセリル(メタ)アクリレート、セリル(メタ)アクリレート、モンタニル(メタ)アクリレート、トリアコンタ(メタ)アクリレート及びドトリアコンタ(メタ)アクリレート等]及び分岐のアルキル基(炭素数18〜36)を有する(メタ)アクリレート[2−デシルテトラデシル(メタ)アクリレート等]が挙げられる。
これらの内、トナーの耐熱保存性、低温定着性、耐ホットオフセット性、粉砕性及び画像強度両立の観点から、好ましくは直鎖のアルキル基(炭素数18〜36)を有する(メタ)アクリレートであり、より好ましくは直鎖のアルキル基(炭素数18〜30)を有する(メタ)アクリレートであり、さらに好ましいのはオクタデシル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、リグノセリル(メタ)アクリレート、セリル(メタ)アクリレート及びトリアコンタ(メタ)アクリレートであり、特に好ましくはオクタデシルアクリレート、エイコシルアクリレート、ベヘニルアクリレート及びリグノセリルアクリレートである。
単量体(a)は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
単量体(b)としては炭素数6以下の(メタ)アクリル系モノマー[(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及びエチル−2−(ヒドロキシメチル)アクリラート等]、炭素数6以下のビニルエステルモノマー[酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル及び酢酸イソプロペニル等]、炭素数6以下の脂肪族炭化水素系ビニルモノマー[エチレン、プロピレン、ブテン、ブタジエン、イソプレン及び1,5−ヘキサジエン等]、ニトリル基を有する炭素数6以下の単量体[(メタ)アクリロニトリル等]等が挙げられる。
これらの内、好ましいのは、(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、酢酸ビニル、(メタ)アクリロニトリルである。
単量体(b)は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
これらのうち好ましくはスチレンである。
これらのうち好ましくはブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート及びそれらの2種以上の混合物である。
炭素数1〜30のイソシアネートとしては、モノイソシアネート化合物(ベンゼンスルフォニルイソシアネート、トシルイソシアネート、フェニルイソシアネート、p−クロロフェニルイソシアネート、ブチルイソシアネート、ヘキシルイソシアネート、t−ブチルイソシアネート、シクロヘキシルイソシアネート、オクチルイソシナエート、2−エチルヘキシルイソシアネート、ドデシルイソシアネート、アダマンチルイソシアネート、2,6−ジメチルフェニルイソシアネート、3,5−ジメチルフェニルイソシアネート及び2,6−ジプロピルフェニルイソシアネート等)、脂肪族ジイソシアネート化合物(トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート,1,2−プロピレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート及び2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等)、脂環族ジイソシアネート化合物(1,3−シクロペンテンジイソシアネート,1,3−シクロへキサンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート,水素添加トリレンジイソシアネート及び水素添加テトラメチルキシリレンジイソシアネート等)及び芳香族ジイソシアネート化合物(フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソソアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,2’一ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−トルイジンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート及びキシリレンジイソシアネート等)等が挙げられる。
炭素数1〜26のアルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、t−ブチルアルコール、ペンタノール、ヘプタノール、オクタノール、2−エチルヘキサノール、ノナノール、デカノール、ウンデシルアルコール、ラウリルアルコール、ドデシルアルコール、ミリスチルアルコール、ペンタデシルアルコール、セタノール、ヘプタデカノール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、エライジルアルコール、オレイルアルコール、リノレイルアルコール、リノレニルアルコール、ノナデシルアルコール、ヘンエイコサノール、ベヘニルアルコール、エルシルアルコール等が挙げられる。
エチレン性不飽和結合を有する炭素数1〜30のイソシアネートとしては、2−イソシアナトエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸2−[0−(1’−メチルプロピリデンアミノ)カルボキシアミノ]エチル、2−[(3,5−ジメチルピラゾリル)カルボニルアミノ]エチル(メタ)アクリレート及び1,1−(ビス(メタ)アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート等が挙げられる。
なお、ウレタン基、ウレア基、アミド基、イミド基、アロファネート基及びビューレット基からなる群から選択される少なくとも1種の官能基をビニル樹脂(B)中に導入する方法としては、上記単量体(d41)〜(d46)を用いる方法のほかに、以下の方法を用いることもできる。
まず、単量体(d41)〜(d46)を得るための2つの化合物(エチレン性不飽和結合を有する化合物及び他方の化合物)のうち、エチレン性不飽和結合を有する化合物を単量体(a)と反応させる。続いて、上記エチレン性不飽和結合を有する化合物と単量体(a)との重合体に対して他方の化合物を反応させる。以上の手順によって、「エチレン性不飽和結合を有する化合物と単量体(a)との重合体」と「他方の化合物」とが結合してビニル樹脂(B)が得られる。この反応の際に、「エチレン性不飽和結合を有する化合物と単量体(a)との重合体」と「他方の化合物」とが、ウレタン基、ウレア基、アミド基、イミド基、アロファネート基又はビューレット基により結合されるため、ウレタン基、ウレア基、アミド基、イミド基、アロファネート基及びビューレット基からなる群から選択される少なくとも1種の官能基をビニル樹脂(B)中に導入することができる。
上記方法の場合、ビニル樹脂(B)を構成する単量体として単量体(d4)を用いているわけではないが、得られる化合物が同じであるため、便宜上、単量体(d4)を用いたと表現する。
さらに低温定着性、耐ホットオフセット性及び耐熱保存性の両立の点から、好ましくは30〜99重量%であり、より好ましくは50〜98重量%であり、さらに好ましくは55〜97重量%であり、特に好ましくは60〜95重量%である。
関係式(2):1.1≦|SP(x)−SP(a)|≦8.0
なお、本発明のトナーバインダーにおけるSP値(cal/cm3)0.5は、Robert F Fedorsらの著によるPolymer engineering and science第14巻、151〜154ページに記載されている方法で計算した25℃における値である。
また、トナーにした際の耐熱保存性の観点からは、1.5≦|SP(x)−SP(a)|≦6.0を満たすことがより好ましい。
なお、ビニル樹脂(B)は、THF不溶解分を含まないことが低温定着性の観点から好ましい。
ビニル樹脂(B)の酸価は、JIS K0070に規定の方法で測定することができる。
ビニル樹脂(B)のMnおよびMwの測定はポリエステル樹脂と同様の方法で測定できる。
また、ラジカル反応開始剤は上記記載のラジカル反応開始剤(c)を用いてもよい。また、ラジカル反応開始剤(c)として好ましいものも上記記載と同様である。
なお、本発明のトナーバインダーには、ポリエステル樹脂(A)及びビニル樹脂(B)以外の樹脂並びに公知の添加剤(離型剤等)を含んでもよい。
但し、ビニル樹脂(B)由来の吸熱ピークトップ温度(Tm)は、示差走査熱量計を用いて測定され、トナーバインダーを30℃で10分間保持し、30℃から10℃/分の条件で150℃まで第1回目の昇温を行い、続いて150℃で10分間保持し、続いて10℃/分の条件で0℃まで冷却し、続いて0℃で10分間保持し、続いて0℃から10℃/分の条件で150℃まで第2回目の昇温をした際の第2回目の昇温過程における示差走査熱量曲線における、ビニル樹脂(B)由来の吸熱ピークのトップを示す温度である。また、ビニル樹脂(B)由来の吸熱ピークが複数ある場合には(Tm)は、それぞれの吸熱ピークから計算される吸熱量が最も大きい吸熱ピークのピークトップ温度である。
トナーバインダーの吸熱ピークトップ温度(Tm)は、ビニル樹脂(B)を構成する単量体(a)の炭素数を調整すること、ビニル樹脂(B)を構成する単量体(a)の重量比率を調整すること、関係式(2)を満たすこと、などにより上記の好ましい範囲に調整することができる。一般的には単量体(a)の炭素数を増やす、単量体(a)の重量比率を増やす、ビニル樹脂(B)の重量平均分子量を増やすことにより吸熱ピークトップ温度(Tm)が上がる。また、ビニル樹脂(B)の含有量が少ない場合は、ポリエステル樹脂(A)とビニル樹脂(B)とのSP値の差を大きくすることで吸熱ピークトップ温度(Tm)が下がりにくくなる。
<測定条件>
(1)30℃で10分間保持
(2)10℃/分で150℃まで昇温
(3)150℃で10分間保持
(4)10℃/分で0℃まで冷却
(5)0℃で10分間保持
(6)10℃/分で150℃まで昇温
(7)(6)の過程にて測定される示差走査熱量曲線の各吸熱ピークを解析する。
関係式(1):1.2≦ln(G’Tm−10)/ln(G’Tm+30)≦2.6
但し、計算値は小数点第2桁を四捨五入して求めるものとする。
ln(G’Tm−10)/ln(G’Tm+30)は、ポリエステル(A1)とビニル樹脂(B)の重量比、ビニル樹脂(B)の重量平均分子量、単量体(a)、単量体(b)又は単量体(d)の種類及び量で調整することができる。具体的には、ポリエステル(A1)の重量比を小さくする、ビニル樹脂(B)の重量平均分子量を減らす、単量体(b)や単量体(d)の極性を下げる、単量体(a)や単量体(b)の量を増やす、単量体(d)の量を減らす等の方法により、ln(G’Tm−10)/ln(G’Tm+30)を上げることができる。
装置 :ARES−24A(レオメトリック社製)
治具 :25mmパラレルプレート
周波数 :1Hz
歪み率 :5%
昇温速度:5℃/min
なお、ガラス転移温度(TgT)は、ASTM D3418−82に規定の方法(DSC法)により決定することができる。ガラス転移温度(TgT)は、例えば、TA Instruments(株)製、DSC Q20等を用いることができる。
<測定条件>
(1)30℃から20℃/分で150℃まで昇温
(2)150℃で10分間保持
(3)20℃/分で−35℃まで冷却
(5)−35℃で10分間保持
(6)20℃/分で150℃まで昇温
(7)(6)の過程にて測定される示差走査熱量曲線を解析する。
本発明のトナーバインダー中のTHF不溶解分の含有量(重量%)は、光沢性、耐ホットオフセット性及び低温定着性の両立の観点から、50重量%以下であることが好ましく、より好ましくは30重量%以下であり、さらに好ましくは、15重量%以下であり、特に好ましくは、0.1〜10重量%である。
試料0.5gに50mLのTHFを加え、3時間撹拌還流させる。冷却後、グラスフィルターにて不溶解分をろ別し、グラスフィルター上の樹脂分を80℃で3時間減圧乾燥する。グラスフィルター上の乾燥した樹脂分の重量をTHF不溶解分の重量とし、試料の重量からTHF不溶解分の重量を引いた重量をTHF可溶分の重量とし、THF不溶解分とTHF可溶分の重量%を算出する。
特にポリエステル(A1)をラジカル反応開始剤(c)を用いて架橋反応させラジカル反応開始剤(c)の分解物が発生する反応を用いた場合でも発生した分解物である有機溶剤含有量を上記範囲にすることにより、臭気、耐ホットオフセット性、粉砕性、画像強度及び流動性に優れたトナーを得ることができる。
一方、二軸押出機にて原料を反応させながら、同時にベント口から減圧を行うこともできる。また、反応容器中に原料を仕込んで反応させた場合、反応後にそのまま減圧操作にて脱溶剤する方法でも脱溶剤を行うことができる。このとき、上記と同様の項目を調整することで、トナーバインダー中の有機溶剤量を制御できる。
あるいは、トナーバインダーを粉砕したものを脱溶剤の対象となる有機溶剤の種類に応じて温度及び圧力(常圧ないし減圧)が調整された乾燥機に入れることで、トナーバインダー中の有機溶剤量を制御できる。
また、短時間で脱溶剤する方法が、ポリエステル樹脂(A)とビニル樹脂(B)のエステル交換反応が起こりにくく、耐ホットオフセット性と低温定着性が良好なため好ましい。
なお、有機溶剤の含有量(ppm)は、例えばガスクロマトグラフ分析やガスクロマトグラフ質量分析等の下記条件で測定することができる。
実施例及び比較例に係るトナーバインダー中の有機溶剤の含有量は、以下の条件で測定した。
ガスクロマトグラフ :Agilent 6890N
質量分析装置 :Agilent 5973 inert
カラム :ZB−WAX(液相:(14%−シアノプロピル−フェニル)メチルポリシロキサン) 0.25mm×30m df=1.0μm
カラム温度 :70℃→300℃(10℃/分)
インジェクション温度:200℃
スプリット比 :50:1
注入量 :1μL
ヘリウム流量 :1mL/分
検出器 :MSD
これらのうち、耐熱保存性及び臭気の観点から、好ましくは炭素数が2〜10である化合物であり、より好ましくは炭素数が3〜8である化合物であり、さらに好ましくはアセトン、イソプロピルアルコール及びt−ブタノールである。
トナーバインダーはポリエステル樹脂(A)及びビニル樹脂(B)を含有していれば特に限定されず、例えば上記ポリエステル樹脂(A)および上記ビニル樹脂(B)や添加剤を混合する場合の混合方法は一般的に行われる公知の方法でよく、混合方法としては、粉体混合、溶融混合及び溶剤混合等が挙げられる。また、ポリエステル樹脂(A)、ビニル樹脂(B)及び必要により用いる添加剤は、トナーを製造する時に同時に混合してもよい。この方法の中では、均一に混合し、溶剤除去の必要のない溶融混合が好ましい。
溶融混合する場合の混合装置としては、反応槽等のバッチ式混合装置及び連続式混合装置が挙げられる。適正な温度で短時間で均一に混合するためには、連続式混合装置が好ましい。連続式混合装置としては、スタティックミキサー、エクストルーダー、コンティニアスニーダー及び3本ロール等が挙げられる。
また、溶融混合する方法がこれら具体的に例示された方法に限られるわけではなく、例えば反応容器中に原料を仕込み、溶液状態となる温度に加熱し、混合するような方法など適宜の方法で行うことができることはもちろんである。
着色剤の含有量は、本発明のトナーバインダー100重量部に対して、好ましくは1〜40重量部、より好ましくは3〜10重量部である。なお、磁性粉を用いる場合は、好ましくは20〜150重量部、より好ましくは40〜120重量部である。
<フロー軟化点(T1/2)の測定方法>
降下式フローテスター[たとえば、(株)島津製作所製、CFT−500D]を用いて、1gの測定試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出して、「プランジャー降下量(流れ値)」と「温度」とのグラフを描き、プランジャーの降下量の最大値の1/2に対応する温度をグラフから読み取り、この値(測定試料の半分が流出したときの温度)をフロー軟化点(T1/2)とする。
着色剤の含有量はトナー重量に基づき、好ましくは0.05〜60重量%、より好ましくは0.1〜55重量%、さらに好ましくは0.5〜50重量%である。
離型剤の含有量はトナー重量に基づき、好ましくは0〜30重量%、より好ましくは0.5〜20重量%、さらに好ましくは1〜10重量%である。
荷電制御剤の含有量はトナー重量に基づき、好ましくは0〜20重量%、より好ましくは0.1〜10重量%、さらに好ましくは0.5〜7.5重量%である。
流動化剤の含有量はトナー重量に基づき、好ましくは0〜10重量%、より好ましくは0〜5重量%、さらに好ましくは0.1〜4重量%である。
また、添加剤の含有量の合計量はトナー重量に基づき、好ましくは3〜70重量%、より好ましくは4〜58重量%、さらに好ましくは5〜50重量%である。
トナーの組成比を上記の範囲とすることで、耐ホットオフセット性、画像強度、耐熱保存性、流動性、帯電安定性、耐折り曲げ性及びドキュメントオフセット性が良好なトナーを容易に得ることができる。
例えば、混練粉砕法によりトナーを得る場合、流動化剤を除くトナーを構成する成分を乾式ブレンドした後、溶融混練し、その後粗粉砕し、最終的にジェットミル粉砕機等を用いて微粒化して、さらに分級することにより、体積平均粒径(D50)が好ましくは5〜20μmの微粒とした後、流動化剤を混合して製造することができる。
なお、体積平均粒径(D50)はコールターカウンター{例えば、商品名:マルチサイザーIII[ベックマン・コールター(株)製]}を用いて測定される。
なお、本発明のトナーは、キャリア粒子を含まなくてもよい。
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、飽和アルコール成分(x)であるビスフェノールA・EO2.0モル付加物741部及びトリメチロールプロパン13部、飽和カルボン酸成分(w)であるテレフタル酸119部及びアジピン酸120部、並びに、触媒としてチタニウムジイソプロポキシビス(トリエタノールアミネート)2.5部を入れ、230℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら2時間反応させた。次に、0.5〜2.5kPaの減圧下に5時間反応させた後、180℃まで降温した。重合禁止剤としてtert−ブチルカテコール1部を入れ、さらに不飽和カルボン酸成分(y)であるフマル酸を86部入れ、0.5〜2.5kPaの減圧下に8時間反応させた後取り出し、ポリエステル(A11−1)を得た。
上記の方法で測定したポリエステル(A11−1)のガラス転移温度は37℃、ピークトップ分子量は11000、酸価は3mgKOH/g、二重結合量は0.69ミリモル/gだった。
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、表1に記載したアルコール成分(x)、飽和カルボン酸成分(w)及び不飽和カルボン酸成分(y)を仕込み、それ以外は製造例1と同様に反応を行い、ポリエステル(A11−2)〜(A11−8)を得た。表1に得られたポリエステル(A11−2)〜(A11−8)のガラス転移温度、ピークトップ分子量、酸価、二重結合量を記載した。
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、表1に記載したアルコール成分(x)と飽和カルボン酸成分(w)を仕込み、それ以外は製造例1と同様に反応を行い、炭素−炭素二重結合を有さないポリエステル(A11’−1)を得た。表1に得られたポリエステル(A11’−1)のガラス転移温度、ピークトップ分子量、酸価、二重結合量を記載した。
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、飽和アルコール成分(x)であるプロピレングリコール710部、飽和カルボン酸成分(w)であるテレフタル酸775部、触媒としてチタニウムジイソプロポキシビス(トリエタノールアミネート)0.6部を入れ、220℃で窒素気流下に、生成する水と過剰のプロピレングリコールを留去しながら4時間反応させた。さらに、0.5〜2.5kPaの減圧下に10時間反応後取り出し、炭素−炭素二重結合を有さないポリエステル(A11’−2)を得た。なお未反応で回収されたプロピレングリコールは325部であった(従って、表1のプロピレングリコール量を385部と記載している)。表1に得られたポリエステル(A11’−2)のガラス転移温度、ピークトップ分子量、酸価、二重結合量を記載した。
オートクレーブにキシレン138部を仕込み、窒素で置換した後、撹拌下密閉状態で170℃まで昇温した。ベヘニルアクリレート[以下においてC22アクリレートと略記、日油(株)製、以下同様]450部、スチレン[出光興産(株)製、以下同様]150部、アクリロニトリル[ナカライテクス(株)製、以下同様]150部、ジ−t−ブチルパーオキシド[パーブチルD、日油(株)製、以下同様]1.5部、及びキシレン100部の混合溶液を、オートクレーブ内温度を170℃にコントロールしながら、3時間かけて滴下し重合を行った。滴下後、滴下ラインをキシレン12部で洗浄した。更に同温度で4時間保ち重合を完結させた。100℃で3時間0.5〜2.5kPaの減圧下で脱溶剤を行い、ビニル樹脂(B−1)を得た。表2に組成を記載した。
上記の方法で測定したビニル樹脂(B−1)の吸熱ピークトップ温度は60℃、酸価は0mgKOH/g、重量平均分子量は14000、|SP(x)−SP(a)|は3.6(cal/cm3)0.5だった。
オートクレーブにキシレン138部を仕込み、窒素で置換した後、撹拌下密閉状態で170℃まで昇温した。表2に記載した原料をキシレン100部とともにオートクレーブに滴下し、それ以外は製造例9と同様に反応を行い、ビニル樹脂(B−2)を得た。表2に得られたビニル樹脂(B−2)の吸熱ピークトップ温度、酸価、重量平均分子量及び|SP(x)−SP(a)|を記載した。
なお、ステアリルアクリレート(a−2)としては、ステアリルアクリレート(オクタデシルアクリレート)、協栄社化学(株)製を用いた。表2中ではC18アクリレートと略記する。
オートクレーブにトルエン470部を仕込み、窒素で置換した後、撹拌下密閉状態で105℃まで昇温した。C22アクリレート500部、スチレン250部、アクリロニトリル250部、メタクリル酸[東京化成工業(株)製]20部、アルキルアリルスルホコハク酸ナトリウム塩[エレミノールJS−2、三洋化成工業(株)製]5部、2−イソシアナトエチルメタクリレート[カレンズMOI、昭和電工(株)製]19部、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート[パーブチルO、日油(株)製]3.7部、及びトルエン240部の混合溶液を、オートクレーブ内温度を105℃にコントロールしながら、2時間かけて滴下し重合を行った。更に同温度で4時間保ち重合を完結させたのち、ジノルマルブチルアミンを16部、ビスマス系触媒[日東化成工業(株)製、ネオスタンU−600]を5部加え、90℃で6時間反応を行った。その後100℃にて脱溶剤を行い、ビニル樹脂(B−3)を得た。表2に得られたビニル樹脂(B−3)の吸熱ピークトップ温度、酸価、重量平均分子量及び|SP(x)−SP(a)|を記載した。
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計、空気導入管、減圧装置、減水装置を備えた反応容器に、1−トリアコンタノール[東京化成工業(株)製]50部、トルエン50部、アクリル酸12部[三菱ケミカル(株)製]、ハイドロキノン0.05部を投入し、撹拌して均一化した。その後、パラトルエンスルホン酸2部を加え、30分撹拌した後、空気を30mL/分の流量で吹き込みながら100℃で生成する水を除去しながら5時間反応させた。その後、反応容器内の圧力を300mmHgに調整し、生成する水を除去しながらさらに3時間反応させた。反応溶液を室温まで冷却後、10重量%水酸化ナトリウム水溶液30部を加えて1時間撹拌したのち静置して有機相と水相を分離させた。有機相を分液及び遠心分離操作で採取し、ハイドロキノン0.01部を投入し、空気を吹き込みながら減圧で溶媒を除去し、トリアコンタアクリレート(表2中ではC30アクリレートと略記)を得た。
オートクレーブにキシレン138部を仕込み、窒素で置換した後、撹拌下密閉状態で170℃まで昇温した。表2に記載した原料をキシレン100部とともにオートクレーブに滴下し、それ以外は製造例9と同様に反応を行い、ビニル樹脂(B−4)〜(B−7)、(B’−1)、(B’−2)を得た。表2に得られたビニル樹脂(B−4)〜(B−7)、(B’−1)、(B’−2)の吸熱ピークトップ温度、酸価、重量平均分子量及び|SP(x)−SP(a)|を記載した。なお、ビニル樹脂(B’−1)及び(B’−2)は単量体(a)の含有量が15重量%未満であるため、ビニル樹脂(B)には該当せず、吸熱ピーク温度も測定していない。
なお、酢酸ビニル(b−2)及びブチルアクリレート(d−3)は下記のものを用いた。
酢酸ビニル:日本酢ビ・ポバール(株)製
ブチルアクリレート:東京化成工業(株)製、表2中ではC4アクリレートと略記
ポリエステル(A11−1)32部及びビニル樹脂(B−1)68部を混合し、二軸混練機[(株)栗本鉄工所製、S5KRCニーダー]に52kg/時で供給し、同時にラジカル反応開始剤(c)としてt−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート(c−3)1.0部を0.52kg/時で供給して160℃で7分間90rpmで混練押出して架橋反応を行い、さらにベント口から10kPaで減圧して有機溶剤の除去を行いながら混合した。混合で得られたものを冷却することにより、実施例1に係るトナーバインダー(C−1)を得た。
表3に示した重量部数のポリエステル(A11)、ビニル樹脂(B)を混合し、二軸混練機に供給し、同時にラジカル反応開始剤(c)を供給して、実施例1と同様に架橋反応と有機溶剤の除去を行い、実施例2〜12に係るトナーバインダー(C−2)〜(C−12)を得た。
なお、表2及び表3中のラジカル反応開始剤(c)は以下のとおりである。
(c−1):ジ−t−ブチルパーオキシド
(c−2):t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート
(c−3):t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート
(c−4):t−ブチルパーオキシベンゾエート
表3に示した重量部数のポリエステル(A11)又は(A11’)と、ビニル樹脂(B)又はビニル樹脂(B’)を混合し、実施例1と同様に二軸混練機に供給し、同時にラジカル反応開始剤(c)を供給して、実施例1と同様に架橋反応を行い、比較例1〜5に係るトナーバインダー(C’−1)〜(C’−5)を得た。
比較例2、比較例4及び比較例5はビニル樹脂(B)を含まないため、ビニル樹脂(B)由来の吸熱ピークトップ温度(Tm)及び吸熱ピークトップ温度(Tm)を基準として測定される貯蔵弾性率(G’)より得られるln(G’Tm−10)/ln(G’Tm+30)の値が観測できなかった(表2中、−で示している)。また、比較例3では、ガラス転移温度が−35℃以下であったため、ガラス転移温度を「−」と記載している。
実施例1に係るトナーバインダー(C−1)85部に対して、顔料のカーボンブラック[三菱化学(株)製、MA−100]8部、離型剤のカルナバワックス4部、荷電制御剤[保土谷化学工業(株)製、T−77]2部を加え下記の方法でトナー化した。
まず、ヘンシェルミキサー[日本コークス工業(株)製、FM10B]を用いて予備混合した後、二軸混練機[(株)池貝製、PCM−30]で混練した。ついで超音速ジェット粉砕機ラボジェット[(株)栗本鐵工所製、KJ−25]を用いて微粉砕した後、エルボージェット分級機[(株)マツボー製、EJ−L−3(LABO)型]で分級し、体積平均粒径D50が8μmのトナー粒子を得た。
ついで、トナー粒子100部に流動化剤としてコロイダルシリカ[日本アエロジル(株)製、アエロジルR972]1部をサンプルミルにて混合して、実施例12に係るトナー(T−1)を得た。
表4に記載した原料の配合部数で、実施例13と同様にトナーを製造し、実施例14〜24に係るトナー(T−2)〜(T−12)を得た。
表4に記載した原料の配合部数で、実施例13と同様にトナーを製造し、比較例6〜10に係るトナー(T’−1)〜(T’−5)を得た。
以下に、得られたトナー(T−1)〜(T−12)及び(T’−1)〜(T’−5)の低温定着性、耐ホットオフセット性、画像強度、耐熱保存性、帯電安定性、光沢性、耐久性及び粉砕性の測定方法と評価方法を、判定基準を含めて説明する。
トナーを紙面上に1.00mg/cm2となるよう均一に載せた。このとき粉体を紙面に載せる方法は、熱定着機を外したプリンターを用いた。
この紙をソフトローラーに定着速度(加熱ローラーの周速)213mm/秒、加熱ローラーの温度90〜200℃の範囲を5℃刻みで通した。
次に定着画像へのコールドオフセットの有無を目視し、コールドオフセットの発生温度(MFT)を測定した。
コールドオフセットの発生温度が低いほど、低温定着性に優れることを意味する。
この評価条件では、MFTは一般には125℃以下であることが好ましい。
上記低温定着性に記載した方法と同じ方法で、トナーを紙面上に載せ、この紙をソフトローラーに定着速度(加熱ローラーの周速)213mm/秒、加熱ローラーの温度90〜200℃の範囲を5℃刻みで通した。
次に定着画像へのホットオフセットの有無を目視し、ホットオフセットの発生温度を測定した。
ホットオフセットの発生温度が高いほど、耐ホットオフセット性に優れることを意味する。この評価条件では、180℃以上であることが好ましい。
上記の低温定着性の評価で定着した画像を、JIS K5600−5−4(1999)に準じて、斜め45度に固定した鉛筆の真上から10gの荷重をかけ引っ掻き試験を行い、傷のつかない鉛筆硬度から画像強度を評価した。鉛筆硬度が高いほど画像強度に優れることを意味する。一般にはB以上であることが好ましい。
トナー1gを密閉容器に入れ、温度50℃、湿度50%の雰囲気で24時間静置し、ブロッキングの程度を目視で判断し、下記判定基準で耐熱保存性を評価した。
○:ブロッキングが全く発生しておらず、耐熱保存性に優れる。
△:一部にブロッキングが発生しており、耐熱保存性が劣る。
×:全体にブロッキングが発生しており、耐熱保存性が大きく劣る。
(1)トナー0.5gとフェライトキャリア(パウダーテック社製、F−150)20gとを50mLのガラス瓶に入れ、これを23℃、相対湿度50%で8時間以上調湿した。
(2)ターブラーシェーカーミキサーにて50rpm×10分間と60分間摩擦攪拌し、それぞれの時間での帯電量を測定した。
測定にはブローオフ帯電量測定装置[京セラケミカル(株)製]を用いた。
「摩擦時間60分後の帯電量/摩擦時間10分後の帯電量」を計算し、これを帯電安定性指数とした。
帯電安定性指数が大きいほど帯電安定性に優れることを意味する。この評価条件では0.7以上であると好ましい。
上記低温定着性に記載した方法と同じ方法で、トナーを紙面上に載せ、トナーの定着を行った。
次に、トナーが定着した紙面の下に白色の厚紙を敷き、光沢度計(株式会社堀場製作所製、「IG−330」)を用いて、入射角度60度にて、印字画像の光沢度(%)を、コールドオフセットの発生温度(MFT)以上の温度からホットオフセットが発生した温度まで、5℃ごとに測定し、その範囲において最も高い光沢度(最大光沢度)(%)をトナーの光沢性の指標とする。
例えば、120℃では10%、125℃では15%、130℃では20%、135℃では18%であれば、130℃の20%が最も高い値なので20%を採用する。
光沢度が高いほど、光沢性に優れることを意味する。この評価条件では、10%以上が好ましい。
トナーを二成分現像剤として、市販モノクロ複写機[シャープ(株)製、AR5030、]を用いて連続コピーを行い、以下の基準で耐久性を評価した。
◎:1万枚コピー後も画質に変化なく、カブリの発生もない。
○:1万枚コピー後でカブリが発生している。
△:6千枚コピー後でカブリが発生している。
×:2千枚コピー後でカブリが発生している。
トナー(T−1)〜(T−11)及び(T’−1)〜(T’−4)に用いたそれぞれのトナーバインダー85部に対して、顔料のカーボンブラック[三菱化学(株)製、MA−100]8部、離型剤のカルナバワックス4部、荷電制御剤[保土谷化学工業(株)製、T−77]2部を加え、ヘンシェルミキサー日本コークス工業(株)製、FM10B]を用いて予備混合した後、二軸混練機[(株)池貝製、PCM−30]で混練して得た混合物を冷却後に8.6メッシュパス〜30メッシュオンの大きさに粉砕分級したものを粉砕性評価用粒子として用い、この粉砕性評価用粒子を超音速ジェット粉砕機ラボジェット[(株)栗本鐵工所製、KJ−25]により下記の条件で微粉砕した。
粉砕圧:0.64MPa
粉砕時間:15分
セパレ−ター周波数:150Hz
アジャスターリング:15mm
ルーバーの大きさ:中
粉砕性評価用粒子としては、微粉砕物を分級せずにそのまま使用し、その体積平均粒径(μm)をコールターカウンター[商品名:マルチサイザーIII(ベックマン・コールター(株)製)]により測定した。
体積平均粒径が小さいほど、粉砕性に優れることを意味する。この評価条件では、8.0μm以下であることが好ましい。
一方、比較例6〜10に係るトナー(T’−1)〜(T’−5)は、いくつかの性能項目が不良であった。
さらに、塗料用添加剤、接着剤用添加剤、電子ペーパー用粒子などの用途として好適である。
Claims (9)
- ポリエステル樹脂(A)とビニル樹脂(B)とを含有するトナーバインダーであって、前記ポリエステル樹脂(A)は、ポリエステル(A1)が炭素−炭素結合により架橋された樹脂であり、前記ビニル樹脂(B)が単量体(a)を必須構成単量体とする重合物であり、前記単量体(a)が鎖状炭化水素基を有する炭素数21〜40の(メタ)アクリレートであり、前記ビニル樹脂(B)を構成する単量体中の前記単量体(a)の重量割合が前記ビニル樹脂(B)の重量を基準として、15〜99重量%であるトナーバインダー。
- 前記ポリエステル(A1)が、炭素−炭素二重結合を有するポリエステル(A11)である請求項1に記載のトナーバインダー。
- 前記炭素−炭素二重結合を有するポリエステル(A11)中の二重結合量が前記ポリエステル(A11)の重量に基づいて0.02〜2.00ミリモル/gである請求項2に記載のトナーバインダー。
- 前記ポリエステル(A1)のガラス転移温度(TgA1)が−35〜45℃である請求項1〜3のいずれか1項に記載のトナーバインダー。
- トナーバインダー中の有機溶剤の含有量が50ppm以上2000ppm以下である請求項1〜4のいずれか1項に記載のトナーバインダー。
- 前記ポリエステル(A1)と前記ビニル樹脂(B)の重量比[(A1)/(B)]が5/95〜50/50である請求項1〜5のいずれか1項に記載のトナーバインダー。
- 前記ビニル樹脂(B)が更に、ビニル基を有する炭素数6以下の単量体(b)を必須構成単量体とする重合物である請求項1〜6のいずれか1項に記載のトナーバインダー。
- 示差走査熱量分析により測定される、前記トナーバインダーを30℃で10分間保持し、30℃から10℃/分の条件で150℃まで第1回目の昇温を行い、続いて150℃で10分間保持し、続いて10℃/分の条件で0℃まで冷却し、続いて0℃で10分間保持し、続いて0℃から10℃/分の条件で150℃まで第2回目の昇温をした際の、第2回目の昇温過程における示差走査熱量曲線が、前記ビニル樹脂(B)由来の吸熱ピークトップ温度(Tm)を40〜100℃の範囲に少なくとも1個有し、関係式(1)を満たす請求項1〜7のいずれか1項に記載のトナーバインダー。
関係式(1):1.2≦ln(G’Tm−10)/ln(G’Tm+30)≦2.6
[関係式(1)において、G’Tm−10は、温度が(Tm−10)℃である時のトナーバインダーの貯蔵弾性率(Pa)であり、G’Tm+30は、温度が(Tm+30)℃である時のトナーバインダーの貯蔵弾性率(Pa)である。] - 請求項1〜8のいずれか1項に記載のトナーバインダーを含有するトナー。
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