JP2019045706A - トナーの製造方法及び樹脂粒子の製造方法 - Google Patents

トナーの製造方法及び樹脂粒子の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】小粒径で、かつシャープな粒度分布を有しながら、樹脂微粒子による定着阻害を引き起こさないトナーの製造方法。【解決手段】樹脂Aを含有するトナー粒子を有するトナーの製造方法であって、(a)該樹脂Aを有機溶媒に溶解し樹脂溶液を調製する工程、(b)該樹脂溶液を含む耐圧容器に、二酸化炭素を投入し、該二酸化炭素と該有機溶媒を有する相が、該樹脂Aと該有機溶媒を有する相に分散している分散体Pを形成する工程、(c)該耐圧容器にさらに二酸化炭素を投入して共連続相組成物を形成する工程、(d)該共連続相組成物に分散剤Bを添加する工程、(e)該耐圧容器にさらに二酸化炭素を投入して、該樹脂Aと該有機溶媒を有する相が、該二酸化炭素と該有機溶媒を有する相に分散している分散体Qを形成する工程、及び(f)該分散体Qに含まれる該有機溶媒を除去し該トナー粒子を得る工程、を有するトナーの製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真法、静電記録法及びトナージェット方式記録法を利用した記録方法に用いられるトナーの製造方法及び樹脂粒子の製造方法に関する。
樹脂粒子は、塗料、インク、トナー、化粧品、液晶ディスプレーやLED照明の光散乱剤、フィルムのアンチブロッキング剤、積層チップや光学部品、電子部品のスペーサー等、多岐にわたる分野にて使用されている。いずれの分野においても、樹脂粒子の粒径、粒度分布の制御は重要視されている。
例えば、塗料やインクの分野においては、バインダー樹脂として用いられる樹脂粒子の粒度分布がシャープであることによって、塗膜形成時のレベリング性を良好にすることができる。また、化粧品の分野では、カラーコスメの基材として用いられる樹脂粒子の粒度分布がシャープであることによって、なめらかな滑り性を得ることができる。また、液晶ディスプレーやLED照明の光散乱剤として樹脂粒子を用いる場合、光散乱効果を有し、かつ、良好な輝度と透明性を実現するためには、粒度分布をシャープにすることが求められる。
また、樹脂粒子をフィルムに練りこむことにより、フィルム表面に凹凸を形成させ、フィルム同士の密着を防ぐ(アンチブロッキング)ことができる。この場合、用いる樹脂粒子の粒度分布をシャープにすることで、透明性低下を抑制することができる。また、積層チップや光学部品、電子部品等のギャップを確保するためのスペーサーとして、樹脂粒子を用いる場合、ギャップの精度を高めるためには樹脂粒子の粒度分布がシャープであることが必要とされる。
上記の分野の中でも、樹脂粒子の内部に着色剤や離型剤等を添加して用いるトナーの分野においては、特に高精度な粒径、粒度分布の制御が求められる。この分野では更なる画像の高画質化が重要と考えられており、トナー粒子間で均一な性能を有していることが必要となる。そのためには、トナー粒子の粒径を小さく均等にして、粒度分布をシャープにすること、円形度の低い異形粒子の発生を抑制することが有効である。
それを容易に達成することができる製造方法として、「溶解懸濁法」が知られている。さらに、近年、分散媒体として二酸化炭素を用いるトナー粒子の製造方法が提案されている。
二酸化炭素を分散媒体に用いる溶解懸濁法によるトナー粒子の製造において、粒度分布のシャープ化を達成するためには、分散剤を用いることが有効である。この分散剤は、樹脂溶液の液滴表面を覆うことで、液滴同士の凝集や沈降を抑制して安定に分散させ、有機溶媒を除去するまで分散状態を維持する役割を担う。
特許文献1では、二酸化炭素等の疎水性媒体に親和性の高い有機ポリシロキサン構造を有する部位と、脂肪族ポリエステル構造を有する部位とで構成される樹脂を含有する樹脂微粒子を分散剤として用い、二酸化炭素を含有する分散媒体中でトナー粒子を作製する方法が提案されている。
特開2013−137535号公報
しかしながら、特許文献1に記載の方法に基づいて本発明者らがトナー粒子の作製を試みたところ、所望の粒径のトナー粒子を得るために必要な樹脂微粒子の量が、用いる樹脂微粒子の粒径から算出される推算値よりも、多くなることがあった。特に10μm未満の粒径のトナー粒子を得るためには、推算値と実際に必要な樹脂微粒子の量との差が大きくなる傾向にあった。その結果、トナー粒子が含有する樹脂微粒子の割合が多くなり、得られたトナーを用いて画像形成した時に定着阻害を引き起こす場合があった。
本発明はこれらの課題に鑑みてなされたものであり、少量の樹脂微粒子を、分散剤として用いて、小粒径(具体的には、例えば7.0μm未満)で粒度分布がシャープな樹脂粒子を安定して得る製造方法を提供することにある。また、小粒径で、かつシャープな粒度分布を有しながら、樹脂微粒子による定着阻害を引き起こさないトナーを安定して得る製造方法を提供することにある。
本発明は、樹脂Aを含有するトナー粒子を有するトナーの製造方法であって、
(a)該樹脂Aを有機溶媒に溶解し樹脂溶液を調製する工程、
(b)該樹脂溶液を含む耐圧容器に、二酸化炭素を投入し、該二酸化炭素と該有機溶媒を有する相が、該樹脂Aと該有機溶媒を有する相に分散している分散体Pを形成する工程、(c)該耐圧容器に、さらに二酸化炭素を投入して、共連続相組成物を形成する工程、
(d)該共連続相組成物に分散剤Bを添加する工程、
(e)該耐圧容器に、さらに二酸化炭素を投入して、該樹脂Aと該有機溶媒を有する相が、該二酸化炭素と該有機溶媒を有する相に分散している分散体Qを形成する工程、及び
(f)該分散体Qに含まれる該有機溶媒を除去し、該トナー粒子を得る工程、
を有することを特徴とするトナーの製造方法に関する。
また、本発明は、樹脂Aを含有する樹脂粒子の製造方法であって、
(a)該樹脂Aを有機溶媒に溶解し樹脂溶液を調製する工程、
(b)該樹脂溶液を含む耐圧容器に、二酸化炭素を投入し、該二酸化炭素と該有機溶媒を有する相が、該樹脂Aと該有機溶媒を有する相に分散している分散体Pを形成する工程、(c)該耐圧容器に、さらに二酸化炭素を投入して、共連続相組成物を形成する工程、
(d)該共連続相組成物に分散剤Bを添加する工程、
(e)該耐圧容器に、さらに二酸化炭素を投入して、該樹脂Aと該有機溶媒を有する相が、該二酸化炭素と該有機溶媒を有する相に分散している分散体Qを形成する工程、及び
(f)該分散体Qに含まれる該有機溶媒を除去し、該樹脂粒子を得る工程、
を有することを特徴とする樹脂粒子の製造方法に関する。
本発明によれば、少量の樹脂微粒子を、分散剤として用いて、小粒径(具体的には、例えば7.0μm未満)で粒度分布がシャープな樹脂粒子を安定して得る製造方法を提供することができる。また、小粒径で、かつシャープな粒度分布を有しながら、樹脂微粒子による定着阻害を引き起こさないトナーを安定して得る製造方法を提供することができる。
耐圧容器内の相分離状態を説明する図 樹脂粒子及びトナー粒子の製造装置の一例を示す概略図
本発明において、数値範囲を表す「○○以上××以下」や「○○〜××」の記載は、特に断りのない限り、端点である下限及び上限を含む数値範囲を意味する。
本発明の第一の態様は、樹脂Aを含有するトナー粒子を有するトナーの製造方法であって、
(a)該樹脂Aを有機溶媒に溶解し樹脂溶液を調製する工程、
(b)該樹脂溶液を含む耐圧容器に、二酸化炭素を投入し、該二酸化炭素と該有機溶媒を有する相が、該樹脂Aと該有機溶媒を有する相に分散している分散体Pを形成する工程、(c)該耐圧容器に、さらに二酸化炭素を投入して、共連続相組成物を形成する工程、
(d)該共連続相組成物に分散剤Bを添加する工程、
(e)該耐圧容器に、さらに二酸化炭素を投入して、該樹脂Aと該有機溶媒を有する相が、該二酸化炭素と該有機溶媒を有する相に分散している分散体Qを形成する工程、及び
(f)該分散体Qに含まれる該有機溶媒を除去し、該トナー粒子を得る工程、
を有することを特徴とする。
本発明の第二の態様は、樹脂Aを含有する樹脂粒子の製造方法であって、
(a)該樹脂Aを有機溶媒に溶解し樹脂溶液を調製する工程、
(b)該樹脂溶液を含む耐圧容器に、二酸化炭素を投入し、該二酸化炭素と該有機溶媒を有する相が、該樹脂Aと該有機溶媒を有する相に分散している分散体Pを形成する工程、(c)該耐圧容器に、さらに二酸化炭素を投入して、共連続相組成物を形成する工程、
(d)該共連続相組成物に分散剤Bを添加する工程、
(e)該耐圧容器に、さらに二酸化炭素を投入して、該樹脂Aと該有機溶媒を有する相が、該二酸化炭素と該有機溶媒を有する相に分散している分散体Qを形成する工程、及び
(f)該分散体Qに含まれる該有機溶媒を除去し、該樹脂粒子を得る工程、
を有することを特徴とする。
二酸化炭素を分散媒体に用いる溶解懸濁法による樹脂粒子又はトナー粒子の製造において、液滴同士の凝集や沈降を抑制して安定に分散させる役割の分散剤の添加(工程(d))を、樹脂溶液と二酸化炭素による共連続組成物を形成する工程(c)の後に行う。これにより、粒度分布がシャープで、かつ、他の工程(a)、(b)、(e)の後に添加した場合に比べ、より少量の分散剤で所望の粒径の樹脂粒子又はトナー粒子を得ることができる。
以下に本発明の各工程における耐圧容器内部の相分離状態について図1を用いて説明する。
まず工程(a)において、樹脂Aを有機溶媒に溶解し樹脂溶液を調製する。次いで、樹脂溶液を含む耐圧容器に二酸化炭素を投入すると、二酸化炭素は有機溶媒に溶解する。そして投入量が一定以上になると、図1(I)に示すような、相分離が生じる(工程(b))。すなわち、二酸化炭素と有機溶媒を有する相10が、好ましくは液滴のサイズはミクロンサイズ以上(例えば1〜1000μm)で、樹脂Aと有機溶媒を有する相20に分散するように相分離し、分散体Pを形成する。
次に、工程(c)で、さらに耐圧容器に二酸化炭素を投入し投入量が一定以上になると、相分離状態は、図1(II)に示すような共連続相構造へと変化する。すなわち二酸化炭素と有機溶媒を有する相10と樹脂Aと有機溶媒を有する相20が、共連続相組成物を形成する。共連続相組成物において、相10と相20とが相分離はしているが、液滴のような特定の分散構造を有さず、ミクロンサイズ未満で三次元的にそれぞれの相が連続的に互いに入り組んだ共連続相構造が生じる。
そして、工程(e)で耐圧容器に二酸化炭素をさらに投入し投入量が一定以上になると、相分離状態は、図1(III)に示すような相構造へと変化する。すなわち樹脂Aと有機溶媒を有する相20が、好ましくは液滴のサイズがミクロンサイズ以上で、二酸化炭素と有機溶媒を有する相10に分散するように相分離し、分散体Qを形成する。
粒度分布がシャープな樹脂粒子又はトナー粒子を得るためには、分散剤Bを導入し、相の界面に分散剤Bを偏在させることが有効である。そうすることで、工程(e)において形成される、樹脂Aと有機溶媒を有する相20の液滴同士を凝集させず安定して分散させ
ることができる。また、工程(f)で分散体Qに含まれる有機溶媒を取り除く際には、その分散状態を維持することができる。
一方、分散剤Bを添加するタイミングは、工程(c)で共連続相組成物を形成した後である(工程(d))。相の界面に分散剤Bを偏在させることができれば、分散剤Bの添加タイミングは、工程(a)、(b)、(c)及び(e)いずれの工程の後でもよく、粒度分布がシャープな樹脂粒子又はトナー粒子を得ることはできる。しかし、所望の粒径の樹脂粒子やトナー粒子を得ようとする際に必要な分散剤Bの量が、分散剤Bの粒径から理論的に推算される量(推算値W)に比べて、より多くなってしまうことがあった。また、分散剤Bの粒径から理論的に推算される量(推算値W)で樹脂粒子やトナー粒子を得ようすると、想定していた樹脂粒子やトナー粒子の粒径より大きくなり、小粒径化が達成できないことがあった。
そこで、本発明者らは相分離状態と添加タイミングを詳細に検討したところ、共連続相組成物を形成する工程(c)の後に分散剤Bを添加することで、他の工程(a)、(b)、及び(e)の後に添加する場合に比べて、少量の分散剤Bで粒度分布のシャープな樹脂粒子又はトナー粒子を得ることができることを見出した。さらには、この分散剤Bの量は、推算値Wと同等であることが分かった。
共連続相組成物を形成する工程(c)の後に分散剤Bを添加することで、その使用量を低減できるメカニズムは、以下のように考えている。共連続相構造は、上述したように、ミクロンサイズ未満で三次元的にそれぞれの相が連続的に互いに入り組んでおり、界面の表面積が大きい。そこに分散剤Bを添加すると、分散剤Bの大部分は界面に偏在することができる。よってその後の工程(e)でさらに二酸化炭素を添加し分散体Qを形成する際にも、多くの分散剤Bは界面に偏在して分散安定性を効率的に発揮できる。
一方、他の工程の後で分散剤Bを添加する場合、例えば工程(a)や(b)の後で添加すると、分散剤Bは樹脂Aと有機溶媒を有する相20へ分散した後に、二酸化炭素と有機溶媒を有する相10との界面へと移動する。このとき相10による液滴のサイズはミクロンサイズ以上であり、界面の表面積は共連続相組成物形成時より小さい。そのため、分散剤は界面に偏在する以外にも、相20内に一定量存在し、それらは分散安定性に寄与しない。
工程(e)の後で添加する場合も同様に、相20と相10との界面に偏在しない一定量の分散剤Bが相10に存在する。よって、共連続相組成物形成時以外に分散剤Bを添加すると、所望の粒径の樹脂粒子及びトナー粒子を得るためには推算値Wよりも多くの分散剤Bが必要となってしまう。
耐圧容器内の相分離状態は、収束ビーム反射測定法で確認することが可能である。収束ビーム反射測定法とは、集光レーザーがプローブの窓の表面をスキャンし、スラリーや液滴等の個々のコード長(粒子サイズ、形状、個数の測定値)を測定する方法である。このプローブを耐圧容器に設置することにより、リアルタイムに系内の粒子サイズを測定することが可能である。
例えば、メトラートレド社製ParticleTrack G400を耐圧容器側面に設置すると、工程(a)では、相分離が生じていないため、ミクロンサイズ以上(例えば1〜1000μm)の液滴は観測されない。ついで工程(b)では、ミクロンサイズ以上の粒径の液滴がカウントされるようになり、相分離が生じ液滴が分散している状態であることを確認できる。
工程(c)でさらに二酸化炭素を投入していくと、ミクロンサイズ以上で観測されていた液滴が観測されなくなる。しかし、目視で耐圧容器内をみると白濁していることから、本装置の測定限界以下(ミクロンサイズ未満)の相分離状態である共連続相組成物に変化していることがわかる。
次いで、工程(d)で分散剤Bを添加した後、工程(e)でさらに二酸化炭素を投入し
ていくと、再びミクロンサイズ以上の粒径の液滴が観測されるようになり、相分離が生じ液滴が分散している状態であることを確認できる。
工程(d)において、分散剤Bを添加するときの耐圧容器内のゲージ圧力Pd(MPa)は、下記式(1)を満たすことが好ましい。
Pb + 0.2 ≦ Pd ≦Pb + 1.0 (1)
(ここで、Pbは工程(b)において分散体Pを形成し始めるときの耐圧容器内のゲージ圧力(MPa)である。)
耐圧容器内のゲージ圧力PdがPb+0.2以上Pb+1.0以下であることによって、耐圧容器の内部に、共連続相組成物が形成されやすくなる。
ゲージ圧力Pbは、収束ビーム反射測定法で、耐圧容器内に相分離が生じ始めるタイミング(すなわち、ミクロンサイズ以上の粒径の液滴が観測され始めるタイミング)を確認し、そのときのゲージ圧力を測定することで得ることができる。また、耐圧容器に目視可能な耐圧循環セルを接続し、セル内で相分離が生じ始めるゲージ圧力を測定することで確認することもできる。
また、所望の粒径の樹脂粒子又はトナー粒子を得ようとする際、使用する樹脂A100質量部に対して必要な分散剤Bの量(推算値W(質量部))は、得ようとする樹脂粒子又はトナー粒子の粒径と用いる分散剤Bの粒径から理論的に算出することができる。
ただし、樹脂粒子又はトナー粒子及び分散剤Bは、真球であると仮定し、樹脂粒子又はトナー粒子に含まれる樹脂A以外の成分については考慮しない。樹脂粒子又はトナー粒子1g当たりの表面積S(mm)は、以下の式(3)で表される。
表面積S = 4π(D/2×10−3/[(ρ×10−3)×(4/3×π(D/2×10−3)] = 6×10/(D×ρ) (3)
(ここで、Dは樹脂粒子又はトナー粒子の個数平均粒径(μm)、ρは樹脂Aの真密度
(g/cm)を示す。)
また、樹脂粒子又はトナー粒子の表面を、樹脂粒子又はトナー粒子1gに対してw質量部の分散剤Bが最密充填で1層覆うとすると、六方細密配列に並べたときの面積A(mm)は、以下の式(4)で表される。
面積A = ((D×10−6×√3/2)×(w/100)
/((ρ×10−3)×(4/3×π(D/2×10−63))
=(3×√3×w×10)/(D×ρ×π) (4)
(ここで、Dは分散剤Bの体積平均粒径(nm)、ρは分散剤Bの真密度(g/cm)を示す。)
両式は等しいことから、以下の関係が導き出せる。
6×10/(D×ρ) = (3×√3×w×10)/(D×ρ×π)
(5)
よって、樹脂粒子又はトナー粒子の個数平均粒径D及び樹脂Aの真密度ρ、分散剤Bの体積平均粒径DL、真密度ρを(5)式に代入することで、その時に必要な分散剤Bの量を推算値W(式中の質量部w)として算出することができる。
分散剤Bは下記式(2)で表される有機ポリシロキサン構造Cを有する重合体を含有することが好ましい。
Figure 2019045706
(式(2)におけるR及びRは、それぞれ独立して炭素数1〜3のアルキル基を表し、nは2以上150以下である。)
有機ポリシロキサン構造は低極性であり、また、Si−O結合は、C−C結合と比べて結合間距離が長いことから、非常に柔軟性の高い構造となっている。従って、前記重合体の構造Cである有機ポリシロキサン構造は、極性の低い分散媒体へと容易に広がることが可能であり、排除体積効果を十分に発揮することができ、液滴の分散安定性を得ることが可能となる。
さらに、式(2)におけるR及びRは、メチル基であることが好ましい。また、構造Cは、分散剤B中、10.0質量%以上60.0質量%以下、含有されることが好ましい。より好ましくは、15.0質量%以上50.0質量%以下である。構造Cがこの範囲で含有されることで、液滴の表面において、構造Cの分散媒体に対する広がりが良化し、液滴の分散媒体への分散安定性がより向上する。
本発明において、分散剤Bは上記式(2)で表される有機ポリシロキサン構造Cを有する重合体を含有する樹脂微粒子であることが好ましい。分散媒体に溶解させた状態で使用する分散剤(例えば界面活性剤、高分子分散剤など)は、微小な液滴から粗大な液滴まで、液滴の粒径に関わらず安定に分散させる。一方、微粒子分散剤は粒径と量により液滴の粒径を制御できる。そのため、樹脂粒子又はトナー粒子の粒度分布をシャープにするためには、特に樹脂微粒子が有効である。
分散剤Bは、樹脂Aに対する親和性の高い構造Dを有する重合体を含有することが好ましい。そうすることで分散剤Bが、樹脂Aを含有する相に対して高い吸着性を有し、界面に分散剤Bを安定して偏在させることができる。
構造Dは、樹脂Aと親和性が高ければ特に限定されず、例えば樹脂AのSP値と同等のSP値を有するものが選択される。例えば、両者のSP値の差の絶対値が0〜2.0程度である。具体的にはポリエステル構造、ポリエーテル構造、あるいはスチレン、スチレン誘導体、アクリレート、及びメタクリレートからなる群より選択される少なくとも1つの重合性単量体の重合体が挙げることができる。例えば、樹脂A及び構造Dが、同種の重合体に由来する構造を有することが好ましい。
構造Dの好ましい構造であるポリエステル構造は特に限定されないが、具体例としては結晶性ポリエステルが挙げられる。ここで結晶性ポリエステルとは、ポリマーの分子鎖が規則的に配列した構造を有する樹脂である。このような樹脂は、示差走査熱量計(DSC)を用いた示差走査熱量測定において、明瞭な融点ピークを示し、融点より低い温度領域ではほとんど軟化せず、融点を越えると融解が生じ急激に軟化する。従って、結晶性ポリエステルを用いたトナーは、このようなシャープメルト性を発現することで、良好な低温定着性を達成することができる。結晶性ポリエステルの融点は、50℃以上90℃以下であることが好ましい。
結晶性ポリエステルとしては、脂肪族ラクトンを開環重合させて得られるポリエステル樹脂、あるいは脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸を反応させて得られるポリエステル樹脂を挙げることができる。
脂肪族ラクトンとしては、例えば、δ−ヘキサラノラクトン、δ−オクタノラクトン、ε−カプロラクトン、δ−ドデカノラクトン、α−メチル−γ−ブチロラクトン、β−メチル−δ−バレロラクトン、グリコリッド、ラクタイドなどが挙げられる。これらの中でも、ε−カプロラクトンが、反応性及び入手性の観点から好ましい。
脂肪族ジオールは、炭素数2〜20の脂肪族ジオールであることが好ましく、直鎖型の脂肪族ジオールがより好ましい。炭素数2〜20の直鎖型脂肪族ジオールとしては、例えば、1,2−エタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール及び1,20−エイコサンジオールが挙げられる。
これらの中でも、融点の観点から、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール及び1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオールが好ましい。これらは単独で用いてもよく、2種類以上を混合して用いることも可能である。
また、二重結合を持つ脂肪族ジオールを用いてもよい。例えば、2−ブテン−1,4−ジオール、3−ヘキセン−1,6−ジオール及び4−オクテン−1,8−ジオールが挙げられる。
脂肪族ジカルボン酸は、炭素数2〜20の脂肪族ジカルボン酸であることが好ましく、直鎖型の脂肪族ジカルボン酸がより好ましい。炭素数2〜20の直鎖型脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、蓚酸、マロン酸、琥珀酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,11−ウンデカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,13−トリデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,16−ヘキサデカンジカルボン酸及び1,18−オクタデカンジカルボン酸、あるいはそれらの低級アルキルエステルや酸無水物が挙げられる。
これらの中でも、セバシン酸、アジピン酸及び1,10−デカンジカルボン酸、並びにそれらの低級アルキルエステルや酸無水物が特に好ましい。これらは単独で用いてもよく、2種類以上を混合して用いることも可能である。
また、芳香族ジカルボン酸を用いてもよい。例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸及び4,4’−ビフェニルジカルボン酸が挙げられる。
結晶性ポリエステルの製造方法としては、特に制限はなく、カルボン酸成分とアルコール成分とを反応させる一般的なポリエステル樹脂の重合法によって製造することができる。例えば、直接重縮合法又はエステル交換法を用い、重合性単量体の種類によって使い分けて製造することができる。
また、構造Dの好ましい構造であるポリエステル構造は、非晶性ポリエステルも用いることが可能である。非晶性ポリエステルとしては、公知の2価又は3価以上のカルボン酸と、2価又は3価以上のアルコールを縮合した重合体が挙げられる。これら重合体の合成を用いる単量体の具体例としては、以下のものが挙げられる。
2価のカルボン酸としては、琥珀酸、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マロン酸、及びドデセニルコハク酸のような二塩基酸、並びにこれらの無水物及びこれらの低級アルキルエステル;並びに、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸及びシトラコン酸のような脂肪族不飽和ジカルボン酸が挙げられる。
3価以上のカルボン酸としては、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、及び1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、並びにこれらの無水物及びこれらの低級アルキルエステル
が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
2価のアルコールとしては、アルキレングリコール(エチレングリコール、1,2−プロパンジオール及び1,3−プロパンジオール);アルキレンエーテルグリコール(ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコール);脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール);ビスフェノール類(ビスフェノールA);脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド)付加物が挙げられる。アルキレングリコール及びアルキレンエーテルグリコールのアルキル部分は直鎖状であっても、分岐していてもよい。
3価以上のアルコールとしては、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン及びペンタエリスリトールが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、酸価や水酸基価の調整を目的として、必要に応じて酢酸及び安息香酸のような1価の酸、シクロヘキサノール及びベンジルアルコールのような1価のアルコールも使用することができる。
非晶性ポリエステルの合成方法については特に限定されないが、例えばエステル交換法や直接重縮合法を単独で又は組み合わせて用いることができる。
また、構造Dが、スチレン、スチレン誘導体、アクリレート、及びメタクリレートからなる群より選択される少なくとも1つの重合性単量体の重合体を有することも好ましい。
スチレン誘導体としては、例えば、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−エチルスチレンなどが挙げられる。
アクリレート、及びメタクリレートとしては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニルなどのアクリル酸エステル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルなどのメタクリル酸エステル類が挙げられる。
上記に例示した重合性単量体は、1個のラジカル重合性のビニル基を有するラジカル重合性単量体であるが、ジビニルベンゼンや1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート等のように、複数のラジカル重合性のビニル基を有する重合性単量体を用いてもよい。
構造Dは、分散剤B中、10.0質量%以上70.0質量%以下、含有されることが好ましい。より好ましくは、20.0質量%以上65.0質量%以下である。構造Dがこの範囲で含有されることで、液滴の表面において、分散剤B中の構造Dに由来する部位が、液滴に吸着でき、分散安定性をより良好に維持することが可能となる。
分散剤Bとして、構造C及び構造Dを有する重合体を含有する樹脂微粒子を用いる場合、樹脂微粒子の製造方法としては、例えば、樹脂微粒子を構成する重合体Sを重合し、次いで得られた重合体Sを有機溶媒中に分散することで、樹脂微粒子として得る方法が挙げられる。
重合体Sは、好ましくは、上記式(2)の有機ポリシロキサン構造Cと重合性不飽和基を有する重合性単量体、及び、構造Dと重合性不飽和基を有する重合性単量体を重合して得ることができる。
有機ポリシロキサン構造と重合性不飽和基を有する重合性単量体の一例を式(6)に示す。
Figure 2019045706
式(6)中、R〜Rは、それぞれ独立して炭素数1〜3のアルキル基を表し、Rは炭素数1〜3のアルキレン基を表し、Rは水素又はメチル基を表し、nは2以上150以下(好ましくは2以上15以下)である。
式(6)の化合物の合成方法としては、例えば、カルビノール変性ポリシロキサンと、アクリル酸クロライド又はメタクリル酸クロライドの脱塩酸反応による反応があげられる。
部分構造Dと重合性不飽和基を有する重合性単量体の一例として、ポリエステル構造の片末端に重合性不飽和基を有する化合物を式(7)及び(8)に示す。
Figure 2019045706
上記式(7)及び(8)中、R10及びR16はそれぞれ独立して水素原子又はメチル基を示し、R11は(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数4〜10の)アルキレン基を示し、R12は(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数4〜10の)アルキル基を示し、R13及びR14はそれぞれ独立して(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数4〜10の)アルキレン基、又は置換若しくは無置換の(好ましくは炭素数6〜14、より好ましくは炭素数6〜10の)アリーレン基であり、R15は(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数4〜10の)アルキル基、水素原子又は(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数4〜10の)アルキル基の水素原子の1つを水酸基で置換した基である。
ポリエステル構造の片末端に重合性不飽和基を有する化合物の製造方法として、以下の方法が挙げられる。上記式(7)については、ラクトン環の開環重合により作製したポリエステルとラジカル重合性化合物とをカップリングさせる方法。上記式(8)については、ジカルボン酸とジオールの重縮合により作製した結晶性ポリエステル又は非晶性ポリエステルと、ラジカル重合性化合物とをカップリングさせる方法。
上記式(7)の重合性単量体を製造する方法は、以下の手法が挙げられる。
(7−1)脂肪族ラクトンを開環重合して得られる末端にヒドロキシ基を有するポリエステルと、カルボキシ基及び重合性不飽和基を有するラジカル重合性化合物とを、縮合反応によってカップリングさせる方法。
(7−2)脂肪族ラクトンを開環重合して得られる末端にヒドロキシ基を有するポリエステルと、酸ハロゲン化物を脱塩酸反応によってカップリングさせる方法。
(7−1)の方法で使用するカルボキシ基及び重合性不飽和基を有するラジカル重合性化合物は、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、2−メタクリロキシエチルサクシニク酸、2−メタクリロキシエチルヘキサハイドロフタル酸、2−メタクリロキシエチルグルタレート;(無水)マレイン酸、フマル酸、(無水)イタコン酸などのジカルボン酸及びその無水物;モノメチルマレイン酸、モノエチルマレイン酸、モノブチルマレイン酸、モノオクチルマレイン酸、モノメチルフマル酸、モノエチルフマル酸、モノブチルフマレイン酸、モノオクチルフマル酸、モノメチルイタコン酸、モノエチルイタコン酸、モノブチルイタコン酸、モノオクチルイタコン酸等のジカルボン酸のモノアルキルエステル等が挙げられるが、アクリル酸、メタクリル酸が好ましい。このラジカル重合性化合物は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
(7−2)の方法で使用する酸ハロゲン化物は、例えば、カルボン酸塩化物としてアクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライドが挙げられる。
上記式(8)の重合性単量体を製造する方法は、以下の手法が挙げられる。カップリングでは、ポリエステルの末端官能基との反応が可能な官能基を含有するラジカル重合性化合物を直接カップリングさせてもよい。また、ポリエステルの末端を、ラジカル重合性化合物が含有する官能基との反応が可能になるよう、結合剤を用いて修飾してカップリングさせてもよい。具体的には、以下の方法が挙げられる。
(8−1)末端にカルボキシ基を有するポリエステルと、ヒドロキシ基及び重合性不飽和基を有するラジカル重合性化合物とを、縮合反応によってカップリングさせる方法。
(8−2)末端にヒドロキシ基を有するポリエステルと、イソシアネート基及び重合性不飽和基を有するラジカル重合性化合物とを、ウレタン化反応によってカップリングさせる方法。
(8−3)末端にヒドロキシ基を有するポリエステルと、ヒドロキシ基及び重合性不飽和基を有するラジカル重合性化合物とを、結合剤であるジイソシアネートを用いてウレタン化反応によってカップリングさせる方法。
ヒドロキシル基及び重合性不飽和基を有するラジカル重合性化合物としては、ヒドロキシスチレン、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ポリエチレングリコールモノアクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、アリルアルコール、メタアリルアルコール、クロチルアルコール、イソクロチルアルコール、1−ブテン−3−オール、2−ブテン−1−オール、2−ブテン−1,4−ジオール、プロパルギルアルコール、2−ヒドロキシエチルプロペニルエーテル、及び庶糖アリルエーテルなどが挙げられる。これらのうち、好ましいものはヒドロキシエチルアクリレート及びヒドロキシエチルメタクリレートである。
イソシアネート基及び重合性不飽和基を有するラジカル重合性化合物としては、2−イソシアナトエチルアクリレート、2−イソシアナトエチルメタクリレート、メタクリル酸2−(0−[1’−メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ)エチル、2−[(3,5−ジメチルピラゾリル)カルボニルアミノ]エチルメタクリレート、及びm−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネートなどが挙げられる。これらの中でも、特に好ましいものは2−イソシアナトエチルアクリレート及び2−イソシアナトエチルメタクリレートである。
ジイソシアネートとしては、炭素数(NCO基中の炭素を除く、以下同様)6以上20以下の芳香族ジイソシアネート、炭素数2以上18以下の脂肪族ジイソシアネート、炭素数4以上15以下の脂環式ジイソシアネート、及びこれらのジイソシアネートの変性物(ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、イソシアヌレート基、オキサゾリドン基含有変性物(以下、変性ジイソシアネートともいう)が挙げられる。
芳香族ジイソシアネートとしては、例えば以下のものが挙げられる。m−及び/またはp−キシリレンジイソシアネート(XDI)、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート。
脂肪族ジイソシアネートとしては、以下のものが挙げられる。エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ドデカメチレンジイソシアネート。
脂環式ジイソシアネートとしては、以下のものが挙げられる。イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート。
これらの中でも、XDI、HDI及びIPDIが好ましい。
また樹脂微粒子は、樹脂粒子又はトナーの製造に使用する有機溶媒に対して溶剤耐性がある(溶解しない)ことが好ましい。これは溶解懸濁法で得られるトナー粒子の粒度分布をシャープにするためには、上述のとおり分散剤として樹脂微粒子を用いることが有効であり、用いられる有機溶媒に対しても溶解することなく、粒子形状を維持することが求められるためである。
樹脂微粒子に溶剤耐性を付与することができれば、その方法は特に限定されないが、樹脂微粒子を構成する重合体Sに架橋構造を導入する方法が挙げられる。
重合体Sに架橋構造を導入する方法は、例えば、重合体Sを重合する際に、複数の重合性不飽和基を有する一般的な架橋剤を用いることが挙げられる。以下に使用可能な架橋剤を例示するが、この限りではない。
ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレンジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、2,2'−ビス(4−(アクリロキシ・ジエトキシ)フェニル)
プロパン、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、2,2'−ビス(4−(メ
タクリロキシ・ジエトキシ)フェニル)プロパン、2,2'−ビス(4−(メタクリロキ
シ・ポリエトキシ)フェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、テトラメチロールメタンテトラメタクリレート、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタリン、ジビニルエーテル、両末端アクリル変性シリコーン、両末端メタクリル変性シリコーンが挙げられる。
重合体Sの製造においては、上記の重合性単量体に加えて、他の重合性単量体を併用してもよく、以下のものがあげられる。
脂肪族ビニル炭化水素:アルケン類、例えばエチレン、プロピレン、ブテン、イソブチレン、ペンテン、ヘプテン、ジイソブチレン、オクテン、ドデセン、オクタデセン、前記
以外のα−オレフィン;アルカジエン類、例えばブタジエン、イソプレン、1,4−ペンタジエン、1,6−ヘキサジエン及び1,7−オクタジエン。
脂環式ビニル炭化水素:モノ−又はジ−シクロアルケン及びアルカジエン類、例えばシクロヘキセン、シクロペンタジエン、ビニルシクロヘキセン、エチリデンビシクロヘプテン;テルペン類、例えばピネン、リモネン、インデン。
芳香族ビニル炭化水素:スチレン及びそのハイドロカルビル(アルキル、シクロアルキル、アラルキル及び/またはアルケニル)置換体、例えばα−メチルスチレン、ビニルトルエン、2,4−ジメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、フェニルスチレン、シクロヘキシルスチレン、ベンジルスチレン、クロチルベンゼン、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルキシレン、トリビニルベンゼン;及びビニルナフタレン。
カルボキシ基含有ラジカル重合性単量体及びその金属塩:炭素数3以上30以下の不飽和モノカルボン酸、不飽和ジカルボン酸並びにその無水物及びそのモノアルキル(炭素数1以上27以下)エステル、例えばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸、フマル酸モノアルキルエステル、クロトン酸、イタコン酸、イタコン酸モノアルキルエステル、イタコン酸グリコールモノエーテル、シトラコン酸、シトラコン酸モノアルキルエステル、桂皮酸などのカルボキシ基含有ラジカル重合性単量体。
ビニルエステル、例えば酢酸ビニル、ビニルブチレート、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ジアリルフタレート、ジアリルアジペート、イソプロペニルアセテート、ビニルメタクリレート、メチル4−ビニルベンゾエート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、フェニルアクリレート、フェニルメタクリレート、ビニルメトキシアセテート、ビニルベンゾエート、エチルα−エトキシアクリレート;
炭素数1以上11以下のアルキル基(直鎖又は分岐)を有するアルキルアクリレート及びアルキルメタクリレート(メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、プロピルアクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート);
ジアルキルフマレート(フマル酸ジアルキルエステル)(2個のアルキル基は、炭素数2以上8以下の、直鎖、分枝鎖又は脂環式の基である)、ジアルキルマレエート(マレイン酸ジアルキルエステル)(2個のアルキル基は、炭素数2以上8以下の、直鎖、分枝鎖又は脂環式の基である);ポリアリロキシアルカン類(ジアリロキシエタン、トリアリロキシエタン、テトラアリロキシエタン、テトラアリロキシプロパン、テトラアリロキシブタン、テトラメタアリロキシエタン);
ポリアルキレングリコール鎖を有するビニル系重合性単量体(ポリエチレングリコール(分子量300)モノアクリレート、ポリエチレングリコール(分子量300)モノメタクリレート、ポリプロピレングリコール(分子量500)モノアクリレート、ポリプロピレングリコール(分子量500)モノメタクリレート、メチルアルコールエチレンオキサイド(エチレンオキサイドを以下EOと略記する)10モル付加物アクリレート、メチルアルコールエチレンオキサイド(エチレンオキサイドを以下EOと略記する)10モル付加物メタクリレート、ラウリルアルコールEO30モル付加物アクリレートラウリルアルコールEO30モル付加物メタクリレート);ポリアクリレート類及びポリメタクリレート類(多価アルコール類のポリアクリレート及びポリメタクリレート)。
分散剤Bの添加量は、樹脂A100.0質量部に対して、3.0質量部以上20.0質量部以下が好ましく、5.0質量部以上15.0質量部以下がより好ましく、5.0質量部以上10.0質量部以下がさらに好ましい。液敵の安定性や所望する樹脂粒子又はトナー粒子の粒径に合わせて適宜調整することができる。
分散剤Bの体積平均粒径は、50nm以上300nm以下であることが好ましい。
液滴の合一を防ぐには、液滴同士を立体反発させるために、ある程度大きな樹脂微粒子を分散剤Bとして使用することが好ましい。
一方、樹脂粒子又はトナー粒子を得るまで、液滴の表面から分散剤Bを容易に遊離させないために、分散剤Bと液滴の間に作用する引力を大きくすることが好ましい。そのため、液滴と分散剤Bとの粒径差を大きくする、すなわち、液滴よりもある程度小さな分散剤Bを分散剤として使用することが好ましい。したがって、良好な粒度分布のトナー粒子又は樹脂粒子を得るためには、分散剤Bの体積平均粒径を上記の範囲に制御することが好ましい。
分散剤Bの体積平均粒径が50nm以上の場合、分散剤Bと液滴の間に作用する引力は大きすぎず、吸着作用は強すぎたりしない。一方で、分散剤Bが吸着した液滴同士の立体反発力は小さすぎない。したがって、液滴同士の合一が抑制され、樹脂粒子又はトナー粒子の粒度分布はシャープになる。
分散剤Bの体積平均粒径が300nm以下の場合、分散剤Bが吸着した液滴同士の立体反発力は大きすぎない。一方で、分散剤Bと液滴の間に作用する引力は小さすぎず、吸着作用は弱すぎず、液滴の表面から分散剤Bが遊離しやすくなったりはしない。したがって、分散剤Bが分散剤として適切に機能し、樹脂粒子又はトナー粒子の粒度分布はシャープになる。
分散剤Bの体積平均粒径は、80nm以上250nm以下であることがより好ましい。
以下に、二酸化炭素を用いた溶解懸濁法による樹脂粒子及びトナー粒子の製造方法について詳細に説明する。
本発明における工程(a)では、樹脂Aが有機溶媒に溶解した樹脂溶液を調製する。樹脂Aの有機溶媒への溶解は、ホモジナイザー、ボールミル、コロイドミル、超音波分散機などの分散機を用いて行うことができる。また、トナー粒子を製造する場合、着色剤やワックス等の添加剤を有機溶媒に添加することもできる。
樹脂Aは、ポリエステル、あるいは、スチレン、スチレン誘導体、アクリレート、及びメタクリレートからなる群より選択される少なくとも1つの重合性単量体の重合体を含むことが好ましい。ポリエステルについては、分散剤Bが有するポリエステル構造の説明で述べた結晶性ポリエステルや非晶性ポリエステルを用いることができる。
また、スチレン、スチレン誘導体、アクリレート、及びメタクリレートからなる群より選択される少なくとも1つの重合性単量体の重合体についても、分散剤Bの説明で述べた重合体を用いることができる。スチレン、スチレン誘導体、アクリレート、及びメタクリレートについても前述のものを用いることができる。
樹脂Aは、単独重合体であってもよいし、他の重合体との共重合体でもよい。単独重合体である場合、分散剤Bが有する構造Dと高い親和性を示すために同種の重合体を用いることが好ましい。樹脂Aが他の重合体との共重合体である場合には、分散剤Bが有する構造Dと同種の重合体をブロックセグメントとするブロック共重合体であることが好ましい。
すなわち、樹脂Aの少なくとも一部と分散剤B中の構造Dとが、共通の構造を有することが好ましく、樹脂A及び分散剤B中の構造Dが、スチレン、スチレン誘導体、アクリレート、及びメタクリレートからなる群より選択される少なくとも1つの重合性単量体の重合体、並びにポリエステルから選択される共通の構造を有することがより好ましい。
樹脂Aに含まれるブロックセグメントの割合は、構造Dと高い親和性を示すために、樹脂A中、50.0質量%以上が好ましく、70.0質量%以上がより好ましい。
ブロック共重合体を形成する他の重合体としては、特に制限はないが、ポリビニル、ポ
リウレタン、ポリウレアが挙げられる。これらの中でもトナー粒子として使用する場合、粘弾性の観点からポリウレタンが好適である。
ポリウレタンは、ジオールとジイソシアネート基を含有する物質との反応物である、ジオール及びジイソシアネートの調整により、各種機能性をもつ重合体を得ることができる。ジイソシアネート成分としては、上述の分散剤Bを製造する際に用いられるジイソシアネート成分と同様のものが挙げられる。ポリウレタンに用いることのできるジオール成分としては、前述した非晶性ポリエステルに用いることのできる2価のアルコールと同様のものを採用できる。
樹脂Aは、構造Dと同種の重合体(E)と他の重合体(F)とのブロック共重合体である場合、その配列は特に限定されないが、例えばEF型ジブロック共重合体、EFE型トリブロック共重合体、FEF型トリブロック共重合体、EFEF・・・・型マルチブロック共重合体が挙げられ、どの形態も使用可能である。
ブロック共重合体を調製する方法としては、重合体(E)がポリエステルの場合、ポリエステルからなる成分と他の重合体(F)からなる成分とを別々に調製し、両者を結合する方法(二段階法)が挙げられる。また、ポリエステルを形成する成分、及び他の重合体(F)を形成する成分の原料を同時に仕込み、一度で調製する方法(一段階法)を用いることができる。ブロック共重合体は、それぞれの末端官能基の反応性を考慮して種々の方法より選択してブロック共重合体とすることができる。
また、例えば種類の異なるポリエステルを用いる場合は、各成分を別々に調製した後、必要に応じて結合剤を用いて結合することにより調製することができる。特に片方のポリエステルの酸価が高く、もう一方のポリエステルの水酸基価が高い場合は、結合剤を用いることなく結合させることができる。このとき反応温度は200℃付近で行うのが好ましい。
結合剤を使用する場合は、以下の結合剤が挙げられる。多価カルボン酸、多価アルコール、多価イソシアネート、多官能エポキシ、多価酸無水物。これらの結合剤を用いて、脱水反応や付加反応によって合成することができる。
一方で、例えばポリエステルとポリウレタンを用いる場合は、各成分を別々に調製した後、ポリエステルのアルコール末端とポリウレタンのイソシアネート末端とをウレタン化反応させることにより調製できる。また、アルコール末端を持つポリエステルと、ポリウレタンを構成するジオール、ジイソシアネートを混合し、加熱することによっても合成が可能である。
ジオール及びジイソシアネート濃度が高い反応初期はジオールとジイソシアネートが選択的に反応してポリウレタンとなり、ある程度分子量が大きくなった後にポリウレタンのイソシアネート末端とポリエステルのアルコール末端とのウレタン化反応が起こり、ブロック共重合体とすることができる。
有機溶媒としては、樹脂Aを溶解するものであればよく、例えば以下のものが挙げられる。アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジ−n−ブチルケトンなどのケトン系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、メトキシブチルアセテートなどのエステル系溶剤;テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブなどのエーテル系溶剤;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド系溶剤;トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素系溶剤。
好ましくは、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、キシレンが用いられる。
工程(b)〜(e)においては、耐圧容器に二酸化炭素を投入するが、その際に耐圧容器で撹拌手段を用いて撹拌し、せん断力を付与することで、生じる相分離状態及び共連続相構造をむらなく形成することができるために好ましい。
工程(d)は、耐圧容器内部の共連続相組成物に分散剤Bを添加する工程である。分散剤Bを添加する方法としては特に制限されない。例えば、予め有機溶媒や二酸化炭素中に分散させた分散剤Bを別の容器Vに投入し、次いで容器Vに耐圧容器より高圧になるように二酸化炭素を投入した後、容器Vを耐圧容器に接続することで、分散剤Bを添加することができる。また有機溶媒や二酸化炭素に分散している分散剤Bをシリンジやポンプ等を用いて、耐圧容器内に添加してもよい。
工程(f)では、工程(e)までで得られた、液滴に含まれる有機溶媒を除去して樹脂粒子又はトナー粒子を得る工程である。液滴に含まれる有機溶媒の除去方法としては、例えば、液滴が分散された分散媒体にさらに二酸化炭素を混合して、残留する有機溶媒を二酸化炭素の相に抽出し、この有機溶媒を含む二酸化炭素を、さらに二酸化炭素で置換することによって行う。
分散媒体と二酸化炭素の混合は、分散媒体に、これよりも高圧の二酸化炭素を加えてもよく、また、分散媒体を、これよりも低圧の二酸化炭素中に加えてもよい。そして、有機溶媒を含む二酸化炭素をさらに二酸化炭素で置換する方法としては、容器内の圧力を一定に保ちつつ、二酸化炭素を流通させる方法が挙げられる。このとき、形成される樹脂粒子又はトナー粒子は、フィルターで捕捉しながら行うことが好ましい。
二酸化炭素による置換が十分でなく、分散媒体中に有機溶媒が残留した状態であると、得られた樹脂粒子又はトナー粒子を回収するために容器を減圧する際、分散媒体中に溶解した有機溶媒が凝縮して樹脂粒子又はトナー粒子が再溶解する場合がある。さらに、樹脂粒子やトナー粒子同士が合一したりするといった不具合が生じる場合もある。したがって、二酸化炭素による置換は、有機溶媒が完全に除去されるまで行うことが好ましい。流通させる二酸化炭素の量は、分散媒体の体積に対して1倍以上100倍以下が好ましく、さらに好ましくは1倍以上50倍以下、より好ましくは1倍以上30倍以下である。
容器を減圧し、樹脂粒子又はトナー粒子が分散した二酸化炭素を含む分散体から樹脂粒子又はトナー粒子を取り出す際は、一気に常圧まで減圧してもよいが、独立に圧力制御された容器を多段に設けることによって段階的に減圧してもよい。なお、本発明において使用する有機溶媒や、二酸化炭素は、リサイクルすることが可能である。
分散媒体の温度及び圧力については、造粒性(液滴形成のし易さ)や、樹脂Aに他の構成成分を使用する場合は、これら成分の溶解性を考慮することが好ましい。例えば、温度条件や圧力条件によっては、樹脂Aや他の構成成分が、分散媒体に溶解することがある。通常、低温、低圧になるほど成分の分散媒体への溶解性は抑制されるが、形成した液滴が凝集・合一を起こし易くなり、造粒性は低下する。一方、高温、高圧になるほど造粒性は向上するものの、成分が分散媒体に溶解し易くなる傾向を示す。
よって、本発明の各工程において、分散媒体の温度は10℃以上50℃以下の温度範囲であることが好ましい。
また、樹脂粒子又はトナー粒子の造粒(工程(e)以降)における、分散媒体を含む容器内の圧力(分散媒体である二酸化炭素の圧力)は、1.5MPa以上20.0MPa以下であることが好ましく、2.0MPa以上15.0MPa以下であることがより好ましい。なお、本発明における分散媒体の圧力とは、分散媒体中に二酸化炭素以外の成分が含まれる場合には、その全圧を示す。
トナーの製造方法において、トナー粒子はワックスを含有することも好ましい形態のひとつである。ワックスとしては、特に制限はないが、例えば、以下のものが挙げられる。
低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、低分子量オレフィン共重合体、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスのような脂肪族炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックスのような脂肪族炭化水素系ワ
ックスの酸化物;脂肪族炭化水素系エステルワックスのような脂肪酸エステルを主成分とするワックス;及び脱酸カルナバワックスのような脂肪酸エステルを一部又は全部を脱酸化したもの;ベヘニン酸モノグリセリドのような脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂を水素添加することによって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物。
好ましくは、脂肪族炭化水素系ワックス及びエステルワックスである。エステルワックスは、3官能以上のエステルワックスであることが好ましく、さらに好ましくは4官能以上のエステルワックス、特に好ましくは6官能以上のエステルワックスである。3官能以上のエステルワックスは、例えば3価以上の酸と長鎖直鎖飽和モノアルコールの縮合、又は3価以上のアルコールと長鎖直鎖飽和モノカルボン酸の縮合によって得られる。
ワックスにて使用可能な3価以上のアルコールとしては以下を挙げることができるが、これに限定されるものではない。場合によっては混合して用いることも可能である。
グリセリン、トリメチロールプロパン、エリスリトール、ペンタエリスリトール、ソルビトール。また、これらの縮合物として、グリセリンの縮合したジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン、ヘキサグリセリン及びデカグリセリン等のいわゆるポリグリセリン、トリメチロールプロパンの縮合したジトリメチロールプロパン、トリストリメチロールプロパン及びペンタエリスリトールの縮合したジペンタエリスリトール及びトリスペンタエリスリトール等が挙げられる。これらのうち、分岐構造をもつ構造が好ましく、ペンタエルスリトール、又はジペンタエリスリトールがより好ましく、特にジペンタエリスリトールが好ましい。
長鎖直鎖飽和モノカルボン酸は、一般式C2n+1COOHで表され、nが5以上28以下のものが好ましく用いられる。例えば、カプロン酸、カプリル酸、オクチル酸、ノニル酸、デカン酸、ドデカン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸が挙げられる。ワックスの融点の面からミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸が好ましい。
3価以上の酸としては、例えば、トリメリット酸、ブタンテトラカルボン酸が挙げえられる。
長鎖直鎖飽和モノアルコールはC2n+1OHで表され、nが5以上28以下のものが好ましく用いられる。例えば、カプリルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコールが挙げられる。ワックスの融点の面からミリスチルアルコール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコールが好ましい。
トナー粒子中におけるワックスの含有量は、好ましくは1.0質量%以上20.0質量%以下、より好ましくは2.0質量%以上15.0質量%である。
ワックスは、示差走査熱量計(DSC)による測定において、60℃以上120℃以下に最大吸熱ピークを有することが好ましい。より好ましくは60℃以上90℃以下である。最大吸熱ピークが60℃以上であると、トナー表面にワックスが露出しにくく、耐熱保存性が良好になる。一方、120℃以下であると、定着時に適切にワックスが溶融し、低温定着性や耐オフセット性が良好になる。
トナーの製造方法において、トナー粒子には着色剤を含有させることができる。着色剤としては、有機顔料、有機染料、及び無機顔料、並びに黒色着色剤としてのカーボンブラック及び磁性粒子が挙げられ、そのほかに従来トナーに用いられている着色剤を用いることができる。
イエロー用着色剤としては、以下のものが挙げられる。縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アントラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、アリルアミド化合物
。具体的には、C.I.ピグメントイエロー12、13、14、15、17、62、74、83、93、94、95、109、110、111、128、129、147、155、168、180が好適に用いられる。
マゼンタ用着色剤としては、以下のものが挙げられる。縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン化合物、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物。具体的には、C.I.ピグメントレッド2、3、5、6、7、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、122、144、146、166、169、177、184、185、202、206、220、221、254が好適に用いられる。
シアン用着色剤としては、以下のものが挙げられる。銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アントラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物。具体的には、C.I.ピグメントブルー1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、66が好適に用いられる。
着色剤は、色相角、彩度、明度、耐光性、OHP透明性、トナー中の分散性の点から選択される。
着色剤は、樹脂A100.0質量部に対し、好ましくは1.0質量部以上20.0質量部以下添加して用いられる。着色剤として磁性粒子を用いる場合、その添加量は樹脂A100.0質量部に対し、40.0質量部以上150.0質量部以下であることが好ましい
トナー粒子には必要に応じて荷電制御剤を含有させてもよい。また、荷電制御剤をトナー粒子に外部添加してもよい。荷電制御剤を配合することにより、荷電特性を安定化、現像システムに応じた最適の摩擦帯電量のコントロールが可能となる。
荷電制御剤としては、公知のものが利用でき、特に帯電スピードが速く、かつ、一定の帯電量を安定して維持できる荷電制御剤が好ましい。
荷電制御剤として、トナーを負荷電性に制御するものとしては、以下のものが挙げられる。有機金属化合物、キレート化合物が有効であり、モノアゾ金属化合物、アセチルアセトン金属化合物、芳香族オキシカルボン酸、芳香族ダイカルボン酸、オキシカルボン酸及びダイカルボン酸系の金属化合物。トナーを正荷電性に制御するものとしては、以下のものが挙げられる。ニグロシン、四級アンモニウム塩、高級脂肪酸の金属塩、ジオルガノスズボレート類、グアニジン化合物、イミダゾール化合物。
荷電制御剤の含有量は、トナー粒子100.0質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上20.0質量部以下、より好ましくは0.5質量部以上10.0質量部以下である。
トナー粒子には流動性向上剤として、無機微粒子を添加することが好ましい。トナー粒子に添加する無機微粒子としては、シリカ微粒子、酸化チタン微粒子、アルミナ微粒子又はそれらの複酸化物微粒子のような微粒子が挙げられる。無機微粒子の中でもシリカ微粒子及び酸化チタン微粒子が好ましい。なお、本発明の効果の観点から、トナー粒子に無機微粒子を添加しなくてもよい。
シリカ微粒子としては、ケイ素ハロゲン化物の蒸気相酸化により生成された乾式シリカ又はヒュームドシリカ、及び水ガラスから製造される湿式シリカが挙げられる。表面及びシリカ微粒子の内部にあるシラノール基が少なく、またNaO、SO 2−の少ない乾式シリカの方が好ましい。また乾式シリカは、製造工程において、塩化アルミニウム、塩化チタンのような金属ハロゲン化合物をケイ素ハロゲン化合物と共に用いることによって製造された、シリカと他の金属酸化物の複合微粒子であってもよい。
無機微粒子は、トナーの流動性改良及びトナーの帯電均一化のためにトナー粒子に外添されることが好ましい。また、無機微粒子を疎水化処理することによって、トナーの帯電量の調整、環境安定性の向上、高湿環境下での特性の向上を達成することができるため、
疎水化処理された無機微粒子を用いることが好ましい。
無機微粒子の疎水化処理の処理剤としては、未変性のシリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、未変性のシリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シラン化合物、シランカップリング剤、その他有機ケイ素化合物、有機チタン化合物が挙げられる。これらの処理剤は単独で又は併用して用いてもよい。
無機微粒子の添加量は、トナー粒子100.0質量部に対して、0.1質量部以上4.0質量部以下であることが好ましい。より好ましくは、0.2質量部以上3.5質量部以下である。
本発明に関する各種物性についての測定方法を以下に記す。
<数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)の測定方法>
各重合体のTHF可溶分の分子量(Mn、Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、以下のようにして測定する。
まず、室温で24時間かけて、試料をテトラヒドロフラン(THF)に溶解する。そして、得られた溶液を、ポア径が0.2μmの耐溶剤性メンブランフィルター「マイショリディスク」(東ソー社製)で濾過してサンプル溶液を得る。なお、サンプル溶液は、THFに可溶な成分の濃度が約0.8質量%となるように調製する。このサンプル溶液を用いて、以下の条件で測定する。
装置:HLC8120 GPC(検出器:RI)(東ソー社製)
カラム:Shodex KF−801、802、803、804、805、806、807の7連(昭和電工社製)
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
流速:1.0ml/min
オーブン温度:40.0℃
試料注入量:0.10ml
試料の分子量の算出にあたっては、標準ポリスチレン樹脂(例えば、商品名「TSKスタンダード ポリスチレン F−850、F−450、F−288、F−128、F−80、F−40、F−20、F−10、F−4、F−2、F−1、A−5000、A−2500、A−1000、A−500」、東ソー社製)を用いて作成した分子量校正曲線を使用する。
<樹脂微粒子、ワックス微粒子及び着色剤微粒子の粒子径の測定方法>
上記各微粒子の粒子径は、マイクロトラック粒度分布測定装置HRA(X−100)(日機装社製)を用い、0.001μm〜10μmのレンジ設定で測定を行い、体積平均粒径(μm又はnm)として測定する。なお、希釈溶剤としては水を選択する。
<耐圧容器内の分散体の相分離状態の特定>
工程(a)〜(e)における、耐圧容器内の分散体の相分離状態の特定は、収束ビーム反射測定法(Focused Beam Reflectance Measurement)により、以下のようにして求める。
レーザーを回転させるユニットが搭載されているプローブを有する収束ビーム反射測定装置(メトラートレド社製ParticleTrack G400)を用い、耐圧容器に前記プローブを設置する。そしてレーザーを2m/secで走査し、レーザー反射光を経時的に取得することで、各工程における時間ごとの耐圧容器内の分散体の状態を測定し、ミクロンサイズ以上の粒径が観測されるか否かで相分離状態を特定する。
すなわち、工程(a)では、相分離が生じていないため、ミクロンサイズ以上の液滴は観測されない。ついで工程(b)では、ミクロンサイズ以上の粒径の液滴がカウントされるようになり、相分離が生じ液滴が分散している状態であることを確認できる。工程(c)でさらに二酸化炭素を投入していくと、ミクロンサイズ以上で観測されていた液滴が観測されなくなり、ミクロンサイズ未満の相分離状態である共連続相組成物に変化している
ことがわかる。
次いで、工程(d)で分散剤Bを添加した後、工程(e)でさらに二酸化炭素を投入していくと、再びミクロンサイズ以上の粒径の液滴が観測されるようになり、相分離が生じ液滴が分散している状態であることを確認できる。
<トナー粒子又は樹脂粒子の重量平均粒径(D4)、個数平均粒径(D1)及び粒度分布(D4/D1)>
トナー粒子又は樹脂粒子の重量平均粒径(D4)、個数平均粒径(D1)及び粒度分布(D4/D1)は、以下のようにして算出する。
測定装置としては、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)を用いる。測定条件の設定及び測定データの解析は、付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いる。なお、測定は実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで行う。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。なお、測定、解析を行う前に、以下のように前記専用ソフトの設定を行う。
前記専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更」画面において、コントロールモードの総カウント数を50,000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。「閾値/ノイズレベルの測定ボタン」を押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、「測定後のアパーチャーチューブのフラッシュ」にチェックを入れる。
前記専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定」画面において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μmから60μmまでに設定する。
具体的な測定法は以下の通りである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250ml丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mlを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、専用ソフトの「アパーチャーチューブのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100ml平底ビーカーに前記電解水溶液約30mlを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.3ml加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を、位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispersion System Tetora150」(日科機バイオス社製)を準備する。超音波分散器の水槽内に約3.3lのイオン交換水を入れ、この水槽中にコンタミノンNを約2ml添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー粒子又は樹脂粒子約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。尚、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてト
ナー粒子又は樹脂粒子を分散した前記(5)の電解水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50,000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行い、重量平均粒径(D4)及び個数平均粒径(D1)を算出する。なお、前記専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、「分析/体積統計値(算術平均)」画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)であり、前記専用ソフトでグラフ/個数%と設定したときの、「分析/個数統計値(算術平均)」画面の「平均径」が個数平均粒径(D1)である。また、D4/D1を粒度分布とする。
<樹脂A、分散剤Bの真密度の測定>
乾式自動密度計アキュピック1330(島津製作所社製)を用いて測定する。
まず、温度23℃湿度50%RHの環境に24時間放置した試料を5g秤量し、測定用セル(10cm)に入れ、本体試料室に挿入する。測定は、測定試料の質量を本体に入力し、測定をスタートさせることにより自動測定できる。
自動測定の測定条件は、2.392×10kPaで調整されたヘリウムガスを用い、試料室内にパージした後、試料室内の圧力変化が3.447×10−2kPa/分になる状態を平衡状態とし、平衡状態になるまで繰り返しヘリウムガスをパージする。
平衡状態時の本体試料室の圧力を測定し、その状態に達したときの圧力変化により試料の体積が算出できる(ボイルの法則)。
試料の体積を算出し、以下の式で試料の真密度を計算する。
真密度(g/cm)=試料の質量(g)/試料の体積(cm
この自動測定により5回繰り返した測定値の平均値を試料の真密度(g/cm)とする。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、これは本発明をなんら限定するものではない。なお、以下の配合における部は特に断りがない場合全て質量基準である。
<結晶性ポリエステル1の合成>
加熱乾燥した二口フラスコに、窒素を導入しながら以下の原料を仕込んだ。
・セバシン酸 137.5部
・1,6−ヘキサンジオール 82.0部
・酸化ジブチルスズ 0.1部
減圧操作により系内を窒素置換した後、180℃にて6時間攪拌を行った。その後、攪拌を続けながら減圧下にて230℃まで徐々に昇温し、さらに2時間保持した。粘稠な状態となったところで空冷し、反応を停止させることで、結晶性ポリエステル1を合成した。結晶性ポリエステル1の融点は73℃、Mnは14,500、Mwは38,200であった。
<樹脂A1の合成>
・結晶性ポリエステル1 210.0部
・キシリレンジイソシアネート(XDI) 56.0部
・シクロヘキサンジメタノール(CHDM) 34.0部
・テトラヒドロフラン(THF) 300.0部
攪拌装置及び温度計を備えた反応容器中に、窒素置換をしながら上記を仕込んだ。50℃まで加熱し、15時間かけてウレタン化反応を施した。溶媒であるTHFを留去し、ブロックポリマーである樹脂A1を得た。樹脂A1の融点は65℃、Mnは16,500、Mwが33,500であった。また、樹脂A1の真密度ρは1.19g/cmであった。
<樹脂溶液1の調製>
撹拌装置のついたビーカーに、有機溶媒としてのアセトンを128.0部、樹脂A1を72.0部投入し、50℃に加熱して完全に溶解するまで撹拌を続け、樹脂溶液1を調製した。
<重合性不飽和基を有するポリエステル(D1)の合成>
加熱乾燥した二口フラスコに、窒素を導入しながら以下の原料を仕込んだ。
・セバシン酸 136.5部
・1,6−ヘキサンジオール 83.3部
減圧操作により系内を窒素置換した後、180℃にて6時間攪拌を行った。その後、攪拌を続けながら減圧下にて230℃まで徐々に昇温し、さらに2時間保持した。粘稠な状態となったところで空冷し、反応を停止させることで、結晶性ポリエステル2を合成した。結晶性ポリエステル2の融点は67℃、Mnは5,500、Mwは11,800であった。
次に撹拌棒及び温度計をセットした反応容器に、キシリレンジイソシアネート(XDI)59.0部を仕込み、2−ヒドロキシエチルメタクリレート41.0部を滴下し、55℃で4時間反応させて、モノマー中間体を得た。
次に、撹拌棒及び温度計をセットした反応容器に、結晶性ポリエステル2を83.0部、およびテトラヒドロフラン(THF)を100.0部仕込み、50℃で溶解させた。その後、前記モノマー中間体を10.0部滴下し、50℃で4時間反応させ、重合性不飽和基を有するポリエステル(D1)溶液を得た。溶媒であるTHFを留去することで、重合性不飽和基を有するポリエステル(D1)を得た。
<ビニル基を有する有機ポリシロキサン化合物(C1)〜(C3)の準備>
表1に示す市販の片末端型ビニル変性有機ポリシロキサンを用意し、ビニル基を有する有機ポリシロキサン化合物(C1)〜(C3)として使用した。ビニル基を有する有機ポリシロキサン化合物(C1)〜(C3)の構造は、下記式(6)で表され、R〜Rの詳細及び重合度nの値は、表1に示す。
Figure 2019045706
Figure 2019045706
<多官能単量体(z1)の準備>
表2に示す市販の多官能単量体を用意し、多官能単量体(z1)として使用した。多官能単量体(z1)の構造は、下記式(9)で表され、重合度m、nの合計は、表2に示した。
Figure 2019045706
Figure 2019045706
<樹脂微粒子分散液1の調製>
加熱乾燥した二口フラスコに、窒素を導入しながら以下の原料とトルエン800.0部を仕込み、70℃に加熱して完全に溶解して単量体組成物1を調製した。
・重合性不飽和基を有するポリエステル(D1) 35.0部
・ビニル基を有する有機ポリシロキサン化合物(C1) 35.0部
・スチレン(St) 20.0部
・メタクリル酸(MAA) 10.0部
・多官能単量体(z1) 1.5部
上記単量体組成物1を250rpmで撹拌しながら25℃まで降温し、30分間窒素バブリングした後、重合開始剤としてアゾビスメトキシジメチルバレロニトリルを0.6部混合した。その後、75℃に加熱し、6時間反応させ、さらに80℃に加熱し、1時間反応を行った。その後、空冷し、粒子状の樹脂の分散体を得た。
得られた粗粒子状の樹脂の分散体を、温度調節可能な撹拌タンクに投入し、ポンプを用いてクレアSS5(エム・テクニック社製)に35g/minの流量で移送して処理することにより、樹脂微粒子1の分散体を得た。クレアSS5による前記分散体の処理条件は、クレアSS5の回転するリング状ディスクの最外周部の周速を15.7m/sとし、回転するリング状ディスクと固定されたリング状ディスクの間隙を1.6μmとした。また
、撹拌タンクの温度は、クレアSS5で処理後の液温が40℃以下となるように調節した。
前記分散体中の樹脂微粒子とトルエンを遠心分離機により分離した。以下に遠心分離の条件を示した。
・遠心分離機:H−9R(KOKUSAN社製)
・ローター:BN1ロ―タ(KOKUSAN社製)
・装置内設定温度:4℃
・回転数:16500rpm
・時間:2.5時間
その後、上澄みを除去することで、濃縮された樹脂微粒子1の分散体を得た。前記分散体1を一部抜き取りろ過、洗浄、乾燥し、得られた樹脂微粒子1の真密度ρを測定したところ、1.11g/cmであった。
撹拌装置のついたビーカーに、前記濃縮された樹脂微粒子1の分散体とアセトンを投入し、高出力ホモジナイザー(VCX−750)を用いて、前記樹脂微粒子1をアセトンに分散させた後、さらにアセトンを添加して、固形分濃度が10%の樹脂微粒子分散液1を調製した。このようにして調製した樹脂微粒子分散液1中に含まれる樹脂微粒子1の体積平均粒径Dは、145nmであった。
<樹脂微粒子分散液2及び3の調製>
樹脂微粒子分散液1の調製において、ビニル基を有する有機ポリシロキサン化合物を表1に示すものに変更し、樹脂微粒子分散液2及び3を得た。各樹脂微粒子の体積平均粒径、及び真密度を表3に示す。
(必要とされる樹脂微粒子の量(推算値W)の算出)
個数平均粒径Dが6.0μmの樹脂粒子を得るために、必要となる樹脂A100質量部に対する樹脂微粒子の量(推算値W)を、下記式(5)を用いて算出した。
6×10/(D×ρ) = (3×√3×W×10)/(D×ρ×π)
(5)
(ここで、Dは所望する樹脂粒子の個数平均粒径(μm)、Dは樹脂微粒子の体積平均
粒径(nm)、ρは樹脂Aの真密度(g/cm)、ρは樹脂微粒子の真密度(g/cm)、Wは樹脂A100質量部に対する樹脂微粒子の添加質量部数を示す。)
下記の値を用いて推算値Wを計算すると、必要とされる樹脂微粒子の量は樹脂A100質量部に対して、8.0質量部であった。
D=6.0(μm)
L=145(nm)
ρc=1.19(g/cm
ρL=1.11(g/cm
Figure 2019045706
<着色剤分散液1の調製>
・C.I.Pigment Blue15:3 100.0部
・アセトン 150.0部
・ガラスビーズ(1mm) 300.0部
上記材料を耐熱性のガラス容器に投入し、ペイントシェーカー(東洋精機製)にて5時間分散を行い、ナイロンメッシュにてガラスビーズを取り除き、体積平均粒径が200nm、固形分量が40.0質量%の着色剤分散液1を得た。
<ワックス分散液1の調製>
・ジペンタエリスリトールパルチミン酸エステルワックス 16.0部
・ワックス分散剤 8.0部
(ポリエチレン15.0部の存在下、スチレン50.0部、n−ブチルアクリレート25.0部、アクリロニトリル10.0部をグラフト共重合させた、ピーク分子量8,500の共重合体)
・アセトン 76.0部
上記を撹拌羽根突きのガラスビーカー(IWAKIガラス製)に投入し、系内を50℃に加熱することによりワックスをアセトンに溶解させた。
ついで、系内を50rpmの条件にて緩やかに撹拌しながら徐々に冷却し、3時間かけて25℃にまで冷却させ乳白色の液体を得た。
この溶液を1mmのガラスビーズ20部とともに耐熱性の容器に投入し、ペイントシェーカーにて3時間の分散を行った後、ナイロンメッシュにてガラスビーズを取り除き、体積平均粒径が270nm、固形分量24.0質量%のワックス分散液1を得た。
[実施例1]
(樹脂粒子1の製造)
図2に示す装置において、まず、バルブV1、V2、及び圧力調整バルブV3を閉じ、樹脂粒子を捕捉するためのフィルターと撹拌機構と、収束ビーム反射測定装置のプローブ、及びゲージ圧力計を備えた耐圧容器T1に100部の樹脂溶液1とアセトン11.2部を仕込み、耐圧容器T1の内部を2000rpmで撹拌しながら内部温度を40℃に調整した。
次に、収束ビーム反射測定装置F1で経時的に分散体サイズを測定しながら、バルブV1を開き、二酸化炭素ボンベB1からポンプP1を用いて二酸化炭素(純度99.99%)を耐圧容器T1に投入した。そして収束ビーム反射測定装置F1でミクロンサイズ以上の粒径が観測され、分散体Pが形成されたことを確認した時点でのゲージ圧力を測定したところ、Pb=1.0MPaであった。(工程(b))。
さらに二酸化炭素を投入すると、ゲージ圧力が(Pb+0.2で)MPaでミクロンサ
イズ以上の粒径が測定されなくなった。さらにゲージ圧力が(Pb+0.4)MPaに到達したところでバルブV1を閉じた。このときも、収束ビーム反射測定装置F1において、ミクロンサイズ以上の粒径は測定されておらず、一方で耐圧容器の窓から目視で確認すると分散液は白濁していた。よってミクロンサイズ未満の相分離構造を有する共連続相組成物の形成が確認された(工程(c))。
次に樹脂微粒子分散液タンクT2に樹脂微粒子分散液1を28.8部(100部の樹脂A1に対して、樹脂微粒子8.0部)仕込んだ後、内部温度を40℃に調整した。その後、バルブV2を開き、耐圧容器T1の内部を2000rpmで撹拌しながら、ポンプP2を用いて樹脂微粒子分散液タンクT2の樹脂微粒子分散液1を耐圧容器T1内に導入し、すべて導入を終えたところでバルブV2を閉じた(工程(d))。
次に、バルブV1を開き二酸化炭素を投入していくと、ゲージ圧力が(Pb+1.1)MPaに到達したところで、再び、収束ビーム反射測定装置F1でミクロンサイズ以上の粒径が観測され、分散体Qが形成していることを確認した。そしてさらに二酸化炭素をゲージ圧力が(Pb+1.5)MPaに到達するまで導入しバルブV1を閉じた。この状態で、2000rpmで10分間撹拌した(工程(e))。
次に、バルブV1を開き、二酸化炭素ボンベB1からポンプP1を用いて二酸化炭素を耐圧容器T1内に導入し、内部圧力が10.0MPaに到達したところでバルブV1を閉じた。こうして前記分散体中の液滴に含まれるアセトンの分散媒体への抽出を行った。
その後、圧力調整バルブV3を10.0MPaに設定してバルブV1を開き、耐圧容器T1の内部圧力を10.0MPaに保持しながら、さらにポンプP1を用いて二酸化炭素を流通させた。この操作により、抽出された有機溶媒としてのアセトンを含む二酸化炭素を、溶媒回収タンクT3に排出し、アセトンと二酸化炭素を分離した。
また、二酸化炭素を有機溶媒回収タンクT3へ排出し始めてから5分ごとにタンクT3内のアセトンを取りだした。この作業をアセトンが有機溶媒回収タンクに溜まらなくなり、取り出せなくなるまで続けた。アセトンが取り出されなくなった時点で脱溶媒終了とし、バルブV1を閉じて、二酸化炭素の流通を終了した。
さらに、圧力調整バルブV3を少しずつ開き、耐圧容器T1の内部圧力を大気圧まで脱圧することで、フィルターに捕捉されている樹脂粒子1を回収した。
得られた樹脂粒子1について、粒径及び粒度分布の評価を行った。D1は5.7μm、D4は6.2μm、D4/D1は1.09であった。
(樹脂粒子の粒度分布の評価)
得られた樹脂粒子について、粒度分布の評価を行った。評価結果を表4に示す。なお、評価基準は下記に基づいて行った。
A:D4/D1値が1.15未満
B:D4/D1値が1.15以上1.20未満
C:D4/D1値が1.20以上1.25未満
D:D4/D1値が1.25以上1.30未満
E:D4/D1値が1.30以上
[実施例2〜4]
(樹脂粒子2〜4の製造)
実施例1における、樹脂微粒子分散液1を添加する際のゲージ圧力を、それぞれ(Pb+0.2)、(Pb+0.7)、(Pb+1.0)MPaにする以外は、実施例1とすべて同様にして、樹脂粒子2〜4を得た。
いずれの場合においても樹脂微粒子分散液1を添加するときは、収束ビーム反射測定装置F1では、ミクロンサイズ以上の粒径は測定されておらず、一方で耐圧容器の窓から目視で確認すると分散液は白濁していた。すなわち、ミクロンサイズ未満の相分離構造を有する共連続相組成物の形成が確認された状態で、添加を行った。得られた樹脂粒子2〜4の評価結果を表4に示す。
[比較例1〜5]
(樹脂粒子5〜9の製造)
実施例1における、樹脂微粒子分散液1を添加するタイミングを代えて、耐圧容器に二酸化炭素を投入する前に樹脂微粒子分散液1を樹脂A1溶液に添加、する以外は、実施例1と同様にして、樹脂粒子5を得た。
また、圧力ゲージがPb又は(Pb+0.1)を示し分散体Pを形成しているときに樹脂微粒子分散液1を添加する以外は、実施例1と同様にして、それぞれ樹脂粒子6及び7を得た。
また、圧力ゲージが(Pb+1.3)、又は(Pb+2.0)MPaを示し分散体Qを形成しているときに樹脂微粒子分散液1を添加する以外は、実施例1と同様にして、それぞれ樹脂粒子8及び9を得た。
樹脂微粒子分散液1添加時の圧力がPb、(Pb+0.1)、(Pb+1.3)、(Pb+2.0)MPaの場合は、いずれも収束ビーム反射測定装置F1で、ミクロンサイズ以上の粒径が測定された。すなわち、添加をミクロンサイズ以上の相分離構造を有する分散体の状態で行った。得られた樹脂粒子5〜9の評価結果を表4に示す。
Figure 2019045706
実施例1〜4の樹脂粒子では、個数平均粒径Dが6.0μmの樹脂粒子を得るために必要量の樹脂微粒子Bを加えて、個数平均粒径(D1)が5.4〜5.7μmの樹脂粒子が得られ、小粒径化が達成されている。一方、比較例1〜5の樹脂粒子では、個数平均粒径Dが6.0μmの樹脂粒子を得るために必要量の樹脂微粒子Bを加えたものの、個数平均粒径(D1)が7.6〜7.9μmとなっており、小粒径化が達成できないものであった。
[実施例5]
(トナー粒子1の製造)
図2に示す装置において、まず、バルブV1、V2、及び圧力調整バルブV3を閉じ、トナー粒子を捕捉するためのフィルターと撹拌機構と、目視可能な耐圧循環セルK1、及びゲージ圧力計を備えた耐圧容器T1に100部の樹脂溶液1と、6.0部の着色剤分散液1と、10.0部のワックス分散液1を仕込み、耐圧容器T1の内部を2000rpmで撹拌しながら内部温度を40℃に調整した。
次に、耐圧循環セルK1で、目視で相分離が生じるタイミングを確認しながら、バルブV1を開き、二酸化炭素ボンベB1からポンプP1を用いて二酸化炭素(純度99.99%)を耐圧容器T1に投入した。そして耐圧容器で相分離が観測された時点でのゲージ圧力を測定したところ、Pb=1.0MPaであった。この際、収束ビーム反射測定装置F1において、ミクロンサイズ以上の粒径のカウント数が大きく増大した(工程(b))。
さらに二酸化炭素を投入すると、ゲージ圧力が(Pb+0.2)MPaでミクロンサイズ以上の粒径のカウント数が大きく減少した。さらにゲージ圧力が(Pb+0.4)MPaに到達したところでバルブV1を閉じた。このときも、収束ビーム反射測定装置F1において、ミクロンサイズ以上の粒径のカウント数が大きく減少したままであった。よってミクロンサイズ未満の相分離構造を有する共連続相組成物の形成が確認された(工程(c))。
次に樹脂微粒子分散液タンクT2に樹脂微粒子分散液1を28.8部(100部の樹脂A1に対して、樹脂微粒子8.0部)仕込んだ後、内部温度を40℃に調整した。次に、バルブV2を開き、耐圧容器T1の内部を2000rpmで撹拌しながら、ポンプP2を用いて樹脂微粒子分散液タンクT2の樹脂微粒子分散液1を耐圧容器T1内に導入し、すべて導入を終えたところでバルブV2を閉じた(工程(d))。
次に、バルブV1を開き二酸化炭素を投入していくと、ゲージ圧力が(Pb+1.1)MPaに到達したところで、再び、収束ビーム反射測定装置F1でミクロンサイズ以上の粒径のカウント数が大きく増大しており、分散体Qが形成されていることを確認した。そしてさらに二酸化炭素をゲージ圧力が(Pb+1.5)MPaに到達するまで導入しバルブV1を閉じた。この状態で2000rpmで10分間撹拌した(工程(e))。
次に、バルブV1を開き、二酸化炭素ボンベB1からポンプP1を用いて二酸化炭素を耐圧容器T1内に導入し、内部圧力が10.0MPaに到達したところでバルブV1を閉じた。こうして前記分散体中の液滴に含まれるアセトンの分散媒体への抽出を行った。
その後、圧力調整バルブV3を10.0MPaに設定してバルブV1を開き、耐圧容器T1の内部圧力を10.0MPaに保持しながら、さらにポンプP1を用いて二酸化炭素を流通させた。この操作により、抽出された有機溶媒としてのアセトンを含む二酸化炭素を、溶媒回収タンクT3に排出し、アセトンと二酸化炭素を分離した。
また、二酸化炭素を有機溶媒回収タンクT3へ排出し始めてから5分ごとにタンクT3内のアセトンを取りだした。この作業をアセトンが有機溶媒回収タンクに溜まらなくなり、取り出せなくなるまで続けた。アセトンが取り出されなくなった時点で脱溶媒終了とし、バルブV1を閉じて、二酸化炭素の流通を終了した。
さらに、圧力調整バルブV3を少しずつ開き、耐圧容器T1の内部圧力を大気圧まで脱圧することで、フィルターに捕捉されているトナー粒子1を回収した。
得られたトナー粒子1について、粒径及び粒度分布の評価を行った。D1は5.6μm、D4は6.2μm、D4/D1は1.11であった。粒度分布の評価は、樹脂粒子と同様に行った。
(トナー1の製造)
100.0部のトナー粒子1に対して一次粒子の個数平均粒径が40nmのシリカ微粒子1.0部を加え、FMミキサ(日本コークス工業製)を用いて混合しトナー1を得た。
(トナーの定着性の評価)
得られたトナーについて、以下の示す方法で低温定着性の評価を行った。
定着ユニットを外したカラーレーザープリンタ(HP Color LaserJet
3525dn、HP社製)を用意し、シアンカートリッジからトナーを取り出して、代わりに評価するトナーを充填した。次いで、受像紙(HP Laser Jet90、HP社製、90g/m)上に、充填したトナーを用いて、縦2.0cm横15.0cmの未定着のトナー画像(トナーの載り量:0.9mg/cm)を、通紙方向に対し上端部から1.0cmの部分に形成した。次いで、取り外した定着ユニットを定着温度とプロセススピードを調節できるように改造し、これを用いて未定着画像の定着試験を行った。
まず、常温常湿環境下(23℃、60%RH)、プロセススピードを250mm/sに設定し、定着温度の初期温度を110℃として設定温度を5℃ずつ順次昇温させながら、各温度で上記未定着画像の定着を行った。
定着性の評価基準は以下の通りである。低温側定着開始点とは、低温オフセット現象(
トナーの一部が定着器に付着してしまう現象)が観察されない下限温度のことである。評価結果を表5に示す。C以上を良好と判断した。
A:低温側定着開始点が130℃以下
B:低温側定着開始点が135℃以上145℃以下
C:低温側定着開始点が150℃以上160℃以下
D:低温側定着開始点が165℃以上175℃以下
E:低温側定着開始点が180℃以上
[実施例6〜8]
(トナー粒子2〜4の製造)
実施例5における、樹脂微粒子分散液1を添加する際のゲージ圧力を、それぞれ(Pb+0.2)、(Pb+0.7)、(Pb+1.0)MPaにする以外は、同様にして、トナー粒子2〜4を得た。粒度分布の評価結果を表5に示す。
(トナー6〜8の製造)
トナー粒子1の代わりに、それぞれトナー粒子2〜4を用いること以外は、トナー1の製造と同様にしてトナー2〜4を得た。定着性の評価結果を表5に示す。
[実施例9及び10]
(トナー粒子5及び6の製造)
実施例5において、樹脂微粒子分散液1を用いる代わりに、それぞれ樹脂微粒子分散液2及び3を用いた以外は同様にしてトナー粒子5及び6を得た。粒度分布の評価結果を表5に示す。
(トナー5及び6の製造)
トナー粒子1の代わりに、それぞれトナー粒子5及び6を用いること以外は、トナー1の製造と同様にしてトナー5及び6を得た。定着性の評価結果を表5に示す。
[比較例6〜10]
(トナー粒子7〜11の製造)
実施例5において、樹脂微粒子分散液1を添加するタイミングを変えて、耐圧容器に二酸化炭素を投入する前に樹脂微粒子分散液1を添加する(すなわちゲージ圧力0で添加する)以外は同様にして、トナー粒子7を得た。
また、圧力ゲージが、Pb又は(Pb+0.1)を示し分散体Pを形成しているときに樹脂微粒子分散液1を添加する以外は、実施例5と同様にして、それぞれトナー粒子8及び9を得た。
また、圧力ゲージが、(Pb+1.3)又は(Pb+2.0)MPaを示し分散体Qを形成しているときに樹脂微粒子分散液1を添加する以外は、実施例5と同様にして、それぞれトナー粒子10及び11を得た。
得られたトナー粒子の評価結果を表5に示す。
(トナー7〜11の製造)
トナー粒子1の代わりに、それぞれトナー粒子7〜11を用いること以外は、トナー1の製造と同様にしてトナー7〜11を得た。定着性の評価結果を表5に示す。
[比較例11及び12]
(トナー粒子12及び13の製造)
実施例5において、樹脂微粒子分散液1の量28.8部を、46.8部(樹脂A100部に対して、樹脂微粒子13.0部)に変更し、さらに、樹脂微粒子分散液1を添加するタイミングを、それぞれ耐圧容器に二酸化炭素を投入する前(すなわちゲージ圧力0)、
又は分散体Qを形成しているとき(ゲージ圧力(Pb+1.3)MPa)にする以外は、同様にして、トナー粒子12及び13を得た。評価結果を表5に示す。
(トナー12及び13の製造)
トナー粒子1の代わりに、それぞれトナー粒子12及び13を用いること以外は、トナー1の製造と同様にしてトナー12及び13を得た。定着性の評価結果を表5に示す。
[比較例13及び14]
(トナー粒子14及び15の製造)
実施例5において、樹脂微粒子分散液1の量28.8部を、64.8部(樹脂A100部に対して、樹脂微粒子18.0部)に変更し、さらに、樹脂微粒子分散液1を添加するタイミングを、それぞれ耐圧容器に二酸化炭素を投入する前(すなわちゲージ圧力0)、又は分散体Qを形成しているとき(ゲージ圧力(Pb+1.3)MPa)にする以外は、同様にして、トナー粒子14及び15を得た。評価結果を表5に示す。
(トナー14及び15の製造)
トナー粒子1の代わりに、それぞれトナー粒子14及び15を用いること以外は、トナー1の製造と同様にしてトナー14及び15を得た。定着性の評価結果を表5に示す。
Figure 2019045706
実施例5〜10のトナーでは、個数平均粒径Dが6.0μmのトナー粒子を得るために必要量の樹脂微粒子Bを加えて、個数平均粒径(D1)が5.4〜5.9μmのトナー粒子が得られ、小粒径化が達成されている。一方、比較例6〜9のトナーでは、個数平均粒径Dが6.0μmのトナー粒子を得るために必要量の樹脂微粒子Bを加えたものの、個数平均粒径(D1)が7.7〜7.9μmとなっており、小粒径化が達成できないものであった。
10:二酸化炭素と有機溶媒を有する相、20:樹脂Aと有機溶媒を有する相、T1:耐圧容器、T2:樹脂微粒子分散液タンク、T3:溶媒回収タンク、B1:二酸化炭素ボンベ、P1:ポンプ、P2:ポンプ、V1:バルブ、V2:バルブ、V4:バルブ、V3:圧力調整バルブ、F1:収束ビーム反射測定装置、K1:耐圧循環セル

Claims (6)

  1. 樹脂Aを含有するトナー粒子を有するトナーの製造方法であって、
    (a)該樹脂Aを有機溶媒に溶解し樹脂溶液を調製する工程、
    (b)該樹脂溶液を含む耐圧容器に、二酸化炭素を投入し、該二酸化炭素と該有機溶媒を有する相が、該樹脂Aと該有機溶媒を有する相に分散している分散体Pを形成する工程、(c)該耐圧容器に、さらに二酸化炭素を投入して、共連続相組成物を形成する工程、
    (d)該共連続相組成物に分散剤Bを添加する工程、
    (e)該耐圧容器に、さらに二酸化炭素を投入して、該樹脂Aと該有機溶媒を有する相が、該二酸化炭素と該有機溶媒を有する相に分散している分散体Qを形成する工程、及び
    (f)該分散体Qに含まれる該有機溶媒を除去し、該トナー粒子を得る工程、
    を有することを特徴とするトナーの製造方法。
  2. 前記工程(d)において、前記分散剤Bを添加するときの前記耐圧容器内のゲージ圧力Pd(MPa)が、下記式(1)を満たす請求項1に記載のトナーの製造方法。
    Pb + 0.2 ≦ Pd ≦Pb + 1.0 (1)
    (Pbは、前記工程(b)において分散体Pを形成し始めるときの前記耐圧容器内のゲージ圧力(MPa)である。)
  3. 前記分散剤Bが、下記式(2)で表される有機ポリシロキサン構造を有する重合体を含有する請求項1又は2に記載のトナーの製造方法。
    Figure 2019045706
    (式(2)において、R及びRは、それぞれ独立して炭素数1〜3のアルキル基を表し、nは2以上150以下である。)
  4. 前記分散剤Bが、前記式(2)で表される有機ポリシロキサン構造を有する重合体を含有する樹脂微粒子である請求項3に記載のトナーの製造方法。
  5. 樹脂Aを含有する樹脂粒子の製造方法であって、
    (a)該樹脂Aを有機溶媒に溶解し樹脂溶液を調製する工程、
    (b)該樹脂溶液を含む耐圧容器に、二酸化炭素を投入し、該二酸化炭素と該有機溶媒を有する相が、該樹脂Aと該有機溶媒を有する相に分散している分散体Pを形成する工程、(c)該耐圧容器に、さらに二酸化炭素を投入して、共連続相組成物を形成する工程、
    (d)該共連続相組成物に分散剤Bを添加する工程、
    (e)該耐圧容器に、さらに二酸化炭素を投入して、該樹脂Aと該有機溶媒を有する相が、該二酸化炭素と該有機溶媒を有する相に分散している分散体Qを形成する工程、及び
    (f)該分散体Qに含まれる該有機溶媒を除去し、該樹脂粒子を得る工程、
    を有することを特徴とする樹脂粒子の製造方法。
  6. 前記工程(d)において、前記分散剤Bを添加するときの前記耐圧容器内のゲージ圧力Pd(MPa)が、下記式(1)を満たす請求項5に記載の樹脂粒子の製造方法。
    Pb + 0.2 ≦ Pd ≦Pb + 1.0 (1)
    (Pbは、前記工程(b)において分散体Pを形成し始めるときの前記耐圧容器内のゲージ圧力(MPa)である。)
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