JP2019148710A - トナーの製造方法 - Google Patents

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悟崇 豊泉
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健二 青木
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俊文 森
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俊太郎 渡邉
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Abstract

【課題】 二酸化炭素を用いる溶解懸濁法において、粒度分布がシャープ、且つトナー粒子内部にワックスが高度に分散されたトナーの製造方法を提供する。【解決手段】 (a)結着樹脂、ワックス、及び有機溶媒を混合し、ワックス分散液を調製する工程、(b)結着樹脂、着色剤、ワックス分散液、及び有機溶媒を含有する樹脂溶液を調製する工程、(c)樹脂溶液、及び二酸化炭素を含む分散媒体を混合し、樹脂溶液の液滴が分散媒体に分散した分散体を調製する工程、(d)分散体にさらに分散媒体を流通させ、液滴に含まれる有機溶媒を分散媒体に抽出し、分散媒体から有機溶媒を除去してトナー粒子を得る工程、を有するトナー粒子の製造方法。【選択図】 なし

Description

本発明は、電子写真法、静電記録法及びトナージェット方式記録法を利用した記録方法に用いられるトナーの製造方法に関する。
プリンター及び複写機に用いられるトナーにおいては、トナー粒子間の性能の均一性が画像の高画質化に大きな影響を与えるため、トナー粒子の粒径を均等にして粒度分布をシャープにすることが重要となる。また、近年、複写機やプリンターに求められる省エネルギー化への対応として、トナーがより低い温度で定着する、いわゆる低温定着性も求められている。トナーの粒度分布のシャープ化を比較的容易に達成することができる製造方法として、溶解懸濁法が挙げられる。
さらに、特許文献1には、分散媒体として液体または超臨界状態の二酸化炭素を用いる製造方法が提案されている。この方法によれば、従来の水系の分散媒体を用いる方法に比べ、トナー粒子の作成において、洗浄工程、乾燥工程を省くことによる省エネルギー化が可能という利点がある。
一方、トナーの低温定着性を改善するための一般的な方法としては、使用する結着樹脂のガラス転移温度(Tg)を低くする方法が挙げられる。しかしながら、単に結着樹脂のTgを低下させるだけでは、低温での離型性が不足するため、定着部材へのコールドオフセットが発生してしまう。これを抑制する方法として、ワックス分散剤を用いて、ワックスをトナー粒子内部に高度に分散させ、定着時にトナー粒子表面へ染み出し易くする方法がある。しかしながら、ワックス分散剤とワックスの親和性が高くなり過ぎると、ワックスが定着時にトナー粒子表面に染み出し難くなり、期待した効果を得ることができない場合がある。そこで、ワックス分散剤を使用することなく、トナー粒子内部のワックスの分散性を向上させる方法が求められている。
特開2009−52005号公報
しかしながら、本発明者らの検討の結果、特許文献1の手法では、結着樹脂とワックスの組合せによっては、粒度分布のシャープなトナー粒子を得ることができないことがわかった。さらに、ワックスの分散性が不十分で、トナー粒子内部、あるいは表面にワックスが偏在した状態が観察された。
したがって、二酸化炭素を用いる溶解懸濁法において、シャープな粒度分布のトナー粒子を得ることと、トナー粒子内部のワックスを高分散化させることを両立することには課題を有していた。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、二酸化炭素を用いる溶解懸濁法において、粒度分布がシャープ、且つトナー粒子内部にワックスが高度に分散されたトナーの製造方法を提供することである。
本発明は、トナー粒子を有するトナーの製造方法であって、
(a)結着樹脂、ワックス、及び有機溶媒を混合し、前記ワックスを分散させたワックス分散液を調製する工程、
(b)結着樹脂、着色剤、前記ワックス分散液、及び有機溶媒を含有する樹脂溶液を調製する工程、
(c)前記樹脂溶液、及び二酸化炭素を含む分散媒体を混合し、前記樹脂溶液の液滴が前記分散媒体に分散した分散体を調製する工程、及び
(d)前記分散体にさらに前記分散媒体を流通させ、前記液滴に含まれる前記有機溶媒を前記分散媒体に抽出し、前記分散媒体から前記有機溶媒を除去してトナー粒子を得る工程、
を有することを特徴とするトナーの製造方法に関する。
本発明によれば、二酸化炭素を用いる溶解懸濁法において、粒度分布がシャープ、且つトナー粒子内部にワックスが高度に分散されたトナーの製造方法を提供することができる。
トナーの製造装置の一例を示す概略図
本開示において、数値範囲を表す「○○以上××以下」や「○○〜××」の記載は、特に断りのない限り、端点である下限及び上限を含む数値範囲を意味する。
本発明者らが検討したところ、二酸化炭素を用いる溶解懸濁法によるトナーを製造する場合、結着樹脂より極性の小さいワックスを用いると、ワックスはトナー粒子表面に偏在する。また、結着樹脂より極性の大きいワックスを用いると、ワックスはトナー粒子内部に偏在することが分かった。また、ワックスの偏在度合いとトナー粒子の粒度分布のブロード化傾向が一致することも分かった。
この現象を克服すべく本発明者らが鋭意検討したところ、結着樹脂の存在下でワックスを有機溶媒に分散して、ワックス分散液を調製する工程を有することで、トナー粒子内部のワックス分散性、およびトナー粒子の粒度分布が改善されることを見出した。
この工程によって、結着樹脂がワックス中に浸透し、あたかも結着樹脂とワックスから成る複合粒子のごとき構造体を形成した結果、結着樹脂とワックスの親和性が著しく向上したためと本発明者らは考察している。
即ち、本発明は、トナー粒子を有するトナーの製造方法であって、
(a)結着樹脂、ワックス、及び有機溶媒を混合し、前記ワックスを分散させたワックス分散液を調製する工程、
(b)結着樹脂、着色剤、前記ワックス分散液、及び有機溶媒を含有する樹脂溶液を調製する工程、
(c)前記樹脂溶液、及び二酸化炭素を含む分散媒体を混合し、前記樹脂溶液の液滴が前記分散媒体に分散した分散体を調製する工程、及び
(d)前記分散体にさらに前記分散媒体を流通させ、前記液滴に含まれる前記有機溶媒を前記分散媒体に抽出し、前記分散媒体から前記有機溶媒を除去してトナー粒子を得る工程、
を有するトナー粒子の製造方法である。
ワックス分散液を調製する工程(a)では、ワックス、結着樹脂、並びに結着樹脂を溶解することができる有機溶媒を混合する。そして、ナノマイザー、ホモジナイザー、ボールミル、コロイドミル、超音波分散機のような湿式の分散機によって、各材料を均一分散させて、ワックス分散液を調製する。
また、工程(a)では、湿式の分散機で均一分散させる前に混合液を加熱し、ワックスを一旦溶解させて、ワックスと結着樹脂を均一混合させた後、冷却させて分散機に導入することも好ましい態様である。
有機溶媒は、結着樹脂を溶解することができるものであれば特に限定されない。有機溶媒の具体例として、以下のものが挙げられる。アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジ−n−ブチルケトンのようなケトン系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、メトキシブチルアセテートのようなエステル系溶剤;テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブのようなエーテル系溶剤;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドのようなアミド系溶剤;トルエン、キシレン、エチルベンゼンのような芳香族炭化水素系溶剤。
これらの有機溶媒は、単独で用いても良いし、2種以上併用して用いても良い。また、工程(a)は、本発明の効果を阻害しない範囲で着色剤等の材料を共存させても良い。
工程(a)におけるワックス分散液中のワックス粒子の体積平均粒子径は、0.10μm以上0.35μm以下であることが好ましい。ワックス粒子の体積平均粒子径が、0.35μm以下になることでワックスの体積辺りの結着樹脂との複合化率が高まり、結着樹脂とワックスの間における親和性が向上しやすい。ワックス粒子の体積平均粒子径が0.10μm以上であると、ワックス粒子が小さくなり過ぎず、上述した親和性が高くなり過ぎることを抑制し、ワックス分散液の粘度、及びワックスの分散性を維持しやすい。より好ましくは、0.12μm以上であり、上限については0.25μm以下である。
工程(b)では、結着樹脂、着色剤、前記ワックス分散液、及び有機溶媒を混合する。そして、ホモジナイザー、ボールミル、コロイドミル、超音波分散機のような分散機によって、各材料を溶解又は均一分散させて、樹脂溶液を調製する。樹脂溶液の調製に用いる有機溶媒としては、工程(a)で具体例として挙げた有機溶媒と同様のものが用いられる。工程(b)で用いる有機溶媒は、単独で用いても良いし、2種以上併用して用いても良いが、1種類の有機溶媒を用いることがより好ましい。
工程(c)では、樹脂溶液、及び二酸化炭素を含む分散媒体を混合し、樹脂溶液の液滴が分散媒体に分散した分散体を調製する。
樹脂溶液に、二酸化炭素を導入して圧力を上げた場合、二酸化炭素の樹脂溶液への溶け込みが生じる。さらに圧力を増し、樹脂溶液への二酸化炭素の溶け込み量がある一定量を超えると、樹脂溶液は、結着樹脂及び有機溶媒を主成分とする液滴と、二酸化炭素及び有機溶媒を主成分とする分散媒体と、に分離する。この状態で撹拌手段を用いせん断を付与することにより、分散体の粒度分布を整えることができる。ここで、樹脂溶液に導入する二酸化炭素の導入量は、液滴の総体積と分散媒体の総体積の比が3/7以上となるように調整し導入することが好ましい。
工程(c)においては、分散体を安定化させるための分散剤を共存させることが好ましい。分散剤は、工程(a)、工程(b)、および工程(c)のいずれの工程で投入しても良いが、工程(c)で投入することが好ましい。
共存させる分散剤の形態は特に限定されないが、媒体に分散、または溶解した状態で投入されることが好ましい。媒体としては、二酸化炭素または有機溶媒、或いはこれらの混合物が好ましく、大気圧下で調製できる点で、有機溶媒に分散した分散液の状態で分散剤を投入することがより好ましい。媒体に分散した状態で分散剤を投入することにより、液滴表面に分散剤を厚く付着させることなく、分散体を形成することが可能となり、粒度分布がシャープなトナー粒子を取り出すことが可能となる。媒体を用いずに分散剤を投入する場合、分散剤が凝集体を形成しやすくなり、液滴の表面に効率良く均一に付着させ難い。
媒体に分散した分散剤を投入する方法としては、具体的に以下の方法が挙げられる。
(1)樹脂溶液に高圧状態の二酸化炭素を加えた容器1と、分散剤を含む溶液に容器1より高圧の二酸化炭素を加えた容器2を準備し、容器1へ圧力差を利用して分散剤を含む溶液を投入する。
(2)樹脂溶液に高圧状態の二酸化炭素を加えた容器に高圧ポンプ等を用いて分散剤を含む溶液を導入する。
液滴を安定に形成するためには、耐圧容器内の二酸化炭素の導入量を適宜調節することが好ましい。耐圧容器内における二酸化炭素の導入量を適宜調節することで、液滴と分散媒体との相分離を促進し、液滴の形成を容易にすることができる。また、樹脂溶液中から分散媒体側に抽出される有機溶媒の量を適切にし、均一な液滴を容易に形成させることができる。
耐圧容器内の温度(すなわち、分散媒体の温度)は、造粒性(液滴形成のし易さ)や、結着樹脂、ワックスなどの成分の分散媒体への溶解性を考慮して、適宜制御することが好ましい。
例えば、温度条件によっては、これらの成分が、分散媒体に溶解することがある。通常、低温になるほど前記成分の分散媒体への溶解性は抑制されるが、形成した液滴が凝集・合一を起こし易くなり、造粒性は低下する傾向にある。一方、高温になるほど造粒性は向上するものの、前記成分が分散媒体に溶解し易くなる傾向を示す。
工程(d)では、分散体にさらに分散媒体を流通させ、液滴に含まれる有機溶媒を分散媒体に抽出し、液滴に含まれる有機溶媒を除去してトナー粒子を得る。分散媒体中の有機溶媒の除去は、この有機溶媒を含む二酸化炭素を、さらに有機溶媒を含まない二酸化炭素で置換することによって行う。
分散体と二酸化炭素の混合は、分散体に、これよりも高圧の二酸化炭素を加えてもよい。また、分散体を、これよりも低圧の二酸化炭素中に加えてもよい。
そして、有機溶媒を含む二酸化炭素をさらに二酸化炭素で置換する方法としては、耐圧容器内の圧力を一定に保ちつつ、二酸化炭素を流通させる方法が挙げられる。このとき、形成されるトナー粒子は、フィルターで捕捉するとよい。また、二酸化炭素の圧力は、上述したようにして作製したトナー粒子の溶解性を考慮し、適宜調製することが好ましく、二酸化炭素の流通は、有機溶媒が完全に除去されるまで行うことが好ましい。
本発明のトナーの製造方法において、工程(a)における結着樹脂の添加量をA(a)、およびワックスの添加量をW(a)とし、工程(b)における結着樹脂の添加量をA(b)としたときに、A(a)、W(a)、およびA(a)が下記式(1)および(2)を満たすことが好ましい。より好ましくは、下記式(1)’および(2)’を満たすことである。
0.1≦A(a)/W(a)≦2.5 (1)
0.5≦W(a)/(A(a)+A(b))×100≦10.0 (2)
0.5≦A(a)/W(a)≦1.5 (1)’
1.0≦W(a)/(A(a)+A(b))×100≦6.0 (2)’
上記式(1)は、工程(a)でワックス分散液を調製する際の結着樹脂とワックスとの添加量の比を意味している。A(a)/W(a)が0.1以上であると、ワックスと結着樹脂の複合化が十分となり好ましい。また、A(a)/W(a)が2.5以下であると、ワックス分散液の粘度が適度になり、結着樹脂がワックス内部に浸透しやすくなり、親和性が向上する。また、液滴形成時において、ワックスのトナー粒子表面への偏在や凝集による粗大化が抑制されるため、液滴の分散安定性が向上する。
また、上記式(2)は、工程(b)で樹脂溶液を調製する際における結着樹脂の総量に対するワックスの量の比を意味している。W(a)/(A(a)+A(b))が0.5以上であると、ワックスによる離形性が十分に確保できる。また、W(a)/(A(a)+A(b))が10.0以下であると、ワックス分散液の粘度が適度となってワックスの粒子径の粗大化が抑制されるため、液滴形成時においてワックスの分散性が維持しやすくなる。
上記式(1)および(2)を満たす条件下で、トナー粒子を製造することにより、トナー粒子におけるワックスの分散性向上とトナー粒子の粒度分布のシャープ化をより高いレベルで両立することができる。
本発明で用いるワックスと結着樹脂は、下記式(3)及び(4)を満たすことが好ましい。
0.1≦SP(HW)≦4.5 (3)
3.0≦SP(HA)≦5.5 (4)
式(3)及び(4)中、SP(HW)は、前記ワックスの溶解度パラメータにおける水素結合項を示し、SP(HA)は、前記結着樹脂の溶解度パラメータにおける水素結合項を示す。
SP(HW)とSP(HA)は、さらに下記式(5)を満たすことが好ましい。
SP(HW)≧−2.9×SP(HA)+12.7 (5)
本発明者らが検討した結果、トナー粒子におけるワックスの高分散化と粒度分布のシャープ化の両立には、結着樹脂とワックスの親和性が関与しており、この親和性が高くなるほど効果が得られることが分かった。そして、この親和性は、ある物質同士がどのくらい溶解するかを示す指標である溶解度パラメータ(以下、SP値ともいう、[単位:(J/cm3)1/2])で表現でき、SP値が近いもの同士は溶解性が高く、SP値が離れているものは溶解性が低い。すなわち、異なる物質同士の親和性を示す指標であり、SP値が近いもの同士は親和性が高く、離れているもの同士は親和性が低いことを意味している。
また、溶解度パラメータは、分子間の分散力、双極子相互作用、水素結合の3つのパラメータから構成されており、これらは3次元空間における座標とみなされ、SP値と同様に異なる物質同士の親和性を示す指標に用いられる。
δd:分子間の分散力によるエネルギー
δp:分子間の双極子相互作用によるエネルギー
δh:分子間の水素結合によるエネルギー
上述した結着樹脂とワックスにおける親和性を、溶解度パラメータを用いて解析した結果、特にδh(分子間の水素結合エネルギー)が、ワックスの分散状態および粒度分布とに相関関係を有することが分かった。
また、横軸を結着樹脂のSP(HA)、縦軸をワックスのSP(HW)とする座標上に結果をプロットした結果、ワックスの分散状態および粒度分布が許容されるものの、十分でない領域と、きわめて良好となる領域との境界は、SP(HA)とSP(HW)との関数
SP(HW)=−2.9×SP(HA)+12.7
で示されることを分かった。
左辺のSP(HW)の値が、右辺の(−2.9×SP(HA)+12.7)の値以上のとき、結着樹脂とワックスの親和性が高くなるため、トナー粒子内部におけるワックスの分散状態ならびに粒度分布がきわめて良好となる。
SP値は溶解度パラメータ計算ソフトウェア(Hansen Solubility Parameters in Practice:HSPiP 4th Edition 4.1.03)により算出することができる。
工程(a)及び(b)で用いられる結着樹脂としては、ポリエステル、あるいは、スチレン、スチレン誘導体、アクリレート、及びメタクリレートからなる群より選択される少なくとも1つの重合性単量体の重合体、を含有することが好ましい。
スチレン誘導体としては、特に限定はないが、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−エチルスチレンなどが挙げられる。
アクリレート、メタクリレート及びこれらの誘導体としては、特に限定はないが、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、iso−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、iso−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、n−アミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、n−ノニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、4−メチルベンジルアクリレート、4−エチルベンジルアクリレートなどのアクリル酸エステル類;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、iso−プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、iso−ブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、n−アミルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、n−ノニルメタクリレートなどのメタクリル酸エステル類が挙げられる。
スチレン、スチレン誘導体、アクリレート、メタクリレートは、2種以上を併用してもよい。
上記単量体以外に、ジビニルベンゼン、1,6−ヘキサンジアクリレート、1,6−ヘキサンジメタクリレートなどのように、化合物中に複数のラジカル重合性不飽和基を有するラジカル重合性単量体を用いてもよい。
結着樹脂がポリエステルである場合、該ポリエステルとしては、結晶性ポリエステル、非晶性ポリエステルのいずれも使用可能である。
結晶性ポリエステルとは、ポリマーの分子鎖が規則的に配列した構造を有する樹脂である。このような樹脂は、示差走査熱量計(DSC)を用いた示差走査熱量測定において、明瞭な融点ピークを示し、融点より低い温度領域ではほとんど軟化せず、融点を越えると融解が生じ急激に軟化する。従って、結晶性ポリエステルを用いたトナーは、このようなシャープメルト性を発現することで、良好な低温定着性を達成することができる。結晶性ポリエステルの融点は、50℃以上90℃以下であることが好ましい。
結晶性ポリエステルとしては、脂肪族ラクトンを開環重合して得られるポリエステル、又は脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸とを反応して得られるポリエステル等を挙げることができる。
脂肪族ラクトンとしては、例えば、δ−ヘキサラノラクトン、δ−オクタノラクトン、ε−カプロラクトン、δ−ドデカノラクトン、α−メチル−γ−ブチロラクトン、β−メチル−δ−バレロラクトン、グリコリッド、ラクタイドなどが挙げられる。これらの中でも、ε−カプロラクトンが、反応性及び入手性の観点から好ましい。
脂肪族ジオールは、炭素数2〜20の脂肪族ジオールであることが好ましく、直鎖型の脂肪族ジオールがより好ましい。
炭素数2〜20の直鎖型脂肪族ジオールとしては、以下の化合物が挙げられる。
1,2−エタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール及び1,20−エイコサンジオール。これらの中でも、融点の観点から、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオールが好ましい。これらは単独で用いてもよく、2種類以上を混合して用いることも可能である。
また、二重結合を持つ脂肪族ジオールを用いてもよい。例えば、2−ブテン−1,4−ジオール、3−ヘキセン−1,6−ジオール及び4−オクテン−1,8−ジオールが挙げられる。
脂肪族ジカルボン酸は、炭素数2〜20の脂肪族ジカルボン酸であることが好ましく、直鎖型の脂肪族ジカルボン酸がより好ましい。
炭素数2〜20の直鎖型脂肪族ジカルボン酸としては、以下の化合物を挙げられる。
蓚酸、マロン酸、琥珀酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,11−ウンデカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,13−トリデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,16−ヘキサデカンジカルボン酸及び1,18−オクタデカンジカルボン酸、及びそれらの低級アルキルエステルや酸無水物。これらの中でも、セバシン酸、アジピン酸、及び1,10−デカンジカルボン酸、並びにそれらの低級アルキルエステルや酸無水物が特に好ましい。これらは単独で用いてもよく、2種類以上を混合して用いることも可能である。
また、芳香族ジカルボン酸を併用してもよい。例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、及び4,4’−ビフェニルジカルボン酸が挙げられる。これらの中でも、テレフタル酸が入手の容易性や低融点のポリマーを形成しやすいという点で好ましい。
結晶性ポリエステルの製造方法は、特に制限はなく、カルボン酸成分とアルコール成分とを反応させる一般的なポリエステルの重合法によって製造することができる。例えば、脂肪族ラクトンの開環重合を用いた結晶性ポリエステルの製造は、重合温度が100℃以上180℃以下の間で行うのが好ましく、溶媒中で行うことができる。
溶媒は、脂肪族ラクトン、重合触媒、重合開始剤と反応しない不活性溶媒であり、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、ヘキサン、シクロヘキサンなどの脂肪族又は脂環式炭化水素を用いることができる。これらの溶媒は、実質的には、無水のものが好ましい。
開環重合に使用可能な重合開始剤としては、公知の以下の重合開始剤を用いることができる。モノオール、ジオール、トリオール、ポリオール。これらは、単独でも2種類以上を併用してもよい。
また、脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸との反応による結晶性ポリエステルの製造は、直接重縮合法又はエステル交換法を用い、モノマーの種類によって使い分けて製造することができる。重合は、180℃以上230℃以下で行うのが好ましく、必要に応じて反応系内を減圧し、重縮合反応時に発生する水やアルコールを除去しながら反応させるのが好ましい。
結晶性ポリエステルの製造時に使用可能な触媒としては、以下の化合物を挙げることができる。チタンテトラエトキシド、チタンテトラプロポキシド、チタンテトライソプロポキシド及びチタンテトラブトキシドのようなチタン触媒、又は、ジブチルスズジクロライド、ジブチルスズオキシド及びジフェニルスズオキシドのようなスズ触媒。
非晶性ポリエステルは、ポリマーの分子鎖が不規則に配列した構造を有する樹脂である。このような樹脂は、示差走査熱量測定において、明確な最大吸熱ピークを示さないが、ポリマー分子の主鎖が回転や振動を始めるガラス転移温度(Tg)を有する。
非晶性ポリエステルのTgは、50℃以上130℃以下であることが好ましく、55℃以上110℃以下であることがより好ましい。
非晶性ポリエステルの製造に使用可能なモノマーとしては、従来公知の2価又は3価以上のカルボン酸と、2価又は3価以上のアルコールが挙げられる。これらモノマーの具体例としては、以下のものが挙げられる。
2価のカルボン酸としては、琥珀酸、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マロン酸、ドデセニルコハク酸のような二塩基酸、並びにこれらの無水物及びこれらの低級アルキルエステル;並びに、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸及びシトラコン酸のような脂肪族不飽和ジカルボン酸が挙げられる。
3価以上のカルボン酸としては、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、並びにこれらの無水物及びこれらの低級アルキルエステルが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
2価のアルコールとしては、アルキレングリコール(エチレングリコール、プロピレングリコール);アルキレンエーテルグリコール(ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコール);脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール);ビスフェノール類(ビスフェノールA);脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド)付加物が挙げられる。アルキレングリコール及びアルキレンエーテルグリコールのアルキル部分は直鎖状であっても、分岐していてもよい。
3価以上のアルコールとしては、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン及びペンタエリスリトールが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、酸価や水酸基価の調整を目的として、必要に応じて酢酸及び安息香酸のような1価の酸、シクロヘキサノール及びベンジルアルコールのような1価のアルコールも併用することができる。
非晶性ポリエステルの合成方法については特に限定されないが、例えばエステル交換法や直接重縮合法を単独で又は組み合わせて用いることができる。
結着樹脂は、上記ビニル系重合体やポリエステルを単独で用いてもよいし、混合して用いてもよい。また、他の重合体との共重合体の形態で用いてもよい。
ワックスは、エステルワックスを含むことが好ましく、ワックスがエステルワックスであることがより好ましい。
ワックスをエステルワックスにすることで、ワックスのSP(HW)が大きくなり、結着樹脂との親和性を高めることができ、ワックスの分散性が向上しやすい。
ワックスとしては、特に限定されないが、例えば、以下のものが挙げられる。
低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、低分子量オレフィン共重合体、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスのような脂肪族炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックスのような脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物;脂肪族炭化水素系エステルワックスのような脂肪酸エステルを主成分とするワックス;及び脱酸カルナバワックスのような脂肪酸エステルの一部又は全部を脱酸化したもの;ベヘニン酸モノグリセリドのような脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂を水素添加することによって得られるヒドロキシ基を有するメチルエステル化合物。
好ましくは、エステルワックスである。特に好ましくは、2価以上のアルコールと脂肪族モノカルボン酸のエステル、或いは、2価以上のカルボン酸と脂肪族モノアルコールのエステルである。さらに好ましくは、4価以上のアルコールと脂肪族モノカルボン酸のエステル、或いは、4価以上のカルボン酸と脂肪族モノアルコールのエステルである。
エステルワックスに用いるアルコールおよびカルボン酸の価数を大きくすることで分子量が増加し、結果としてエステルワックスの融点が高くなる。そうすることで、エステルワックスが結着樹脂への相溶することを抑制でき、定着時における離型性を向上させることができる。
2価以上のアルコールとしては以下を挙げることができ、混合して用いることも可能である。グリセリン、トリメチロールプロパン、エリスリトール、ペンタエリスリトール、ソルビトール。また、これらの縮合物も用いることができる。例えば、グリセリンの縮合したジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン、ヘキサグリセリン及びデカグリセリンなどのポリグリセリン;トリメチロールプロパンの縮合したジトリメチロールプロパン、トリストリメチロールプロパン;ペンタエリスリトールの縮合したジペンタエリスリトール及びトリスペンタエリスリトール;などが挙げられる。これらのうち、分岐構造をもつ構造が好ましく、ペンタエルスリトールが好ましい。
脂肪族モノカルボン酸は、一般式C2n+1COOHで表され、nが5以上28以下のものが好ましく用いられ、具体的には、以下のものを挙げることができるが、これに限定されるものではない。これらは混合して用いることも可能である。カプロン酸、カプリル酸、オクチル酸、ノニル酸、デカン酸、ドデカン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸が挙げられる。ワックスの融点の観点からミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸が好ましい。
3価以上のカルボン酸としては、例えば、トリメリット酸、ブタンテトラカルボン酸が挙げられる。
脂肪族モノアルコールはC2n+1OHで表され、nが5以上28以下のものが好ましく用いられ、具体的には、以下のものを挙げることができるが、これに限定されるものではない。これらは混合して用いることも可能である。カプリルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコールが挙げられる。ワックスの融点の観点からミリスチルアルコール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコールが好ましい。
工程(c)において、共存させる分散剤としては、結着樹脂に親和性を有する部位Xと、分散媒体である二酸化炭素に親和性を有する部位Yと、を有する分散剤が好ましい。このような構造を有する分散剤を用いることで、工程(c)において、液滴の分散安定性が向上し、得られたトナー粒子について、小粒径化かつ粒度分布のシャープ化を達成しやすい。
分散剤の部位Xは、下記式(1)で示される有機ポリシロキサン構造を有することが好ましい。
Figure 2019148710
式(1)中、R及びRは、それぞれ独立して、炭素数1〜3のアルキル基を表し、nは2〜160(好ましくは、3〜133)の整数を表す。さらに、R及びRは、メチル基であることが好ましい。
有機ポリシロキサン構造とは、SiO結合の繰り返し単位を持ち、Siにアルキル基が二つ結合した構造である。その特性は低極性であり、また、Si−O結合は、C−C結合と比べて結合間距離が長いことから、非常に柔軟性の高い構造となっている。従って、分散剤が部位Xを有することで、極性の低い分散媒体へと容易に広がることが可能であり、排除体積効果を十分に発揮することができ、液滴の分散性を得ることが可能となる。
一方、部位Yは、ポリエステル構造、ポリエーテル構造、或いは、スチレン、スチレン誘導体、アクリレート、及びメタクリレートからなる群より選択される少なくとも1つの重合性単量体の重合体(以下、ビニル系重合体ともいう)、を有することが好ましい。
部位Yが上記構造を含有することで、結着樹脂を含有する液滴との親和性を高くすることができ、液滴との十分な吸着性を得ることができる。
部位Yは、結着樹脂を構成する重合体と同種の構造にすることがより好ましい。
ビニル系重合体を得る際のモノマーとしては、結着樹脂の説明で述べたモノマーを用いることができる。
ポリエステル構造については、結着樹脂の説明で述べた結晶性ポリエステルや非晶性ポリエステルを用いることができる。
ポリエーテル構造は、例えば、下記式(2)で表されるポリエーテル構造を有するものが挙げられる。
Figure 2019148710
式(2)中、mは1〜3の整数であり、xは0又は1であり、Rは水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表し、pは1以上(好ましくは、5以上90以下)の整数である。)
上記式(2)の具体例として、下記式(3)〜(7)で示される構造が挙げられる。これらは、式(2)を満たせば、複数種を併用してもよい。
Figure 2019148710
Figure 2019148710
Figure 2019148710
Figure 2019148710
Figure 2019148710
(式(3)〜(7)中、p及びRは、式(2)におけるp及びRと同義である。)
分散剤は、部位Xを有するモノマーXと、部位Yを有するモノマーYと、を含有するモノマー組成物の重合体であることが好ましい。
部位Xを有するモノマーXは、有機ポリシロキサン構造の片末端に、重合性不飽和基を有する化合物であることが好ましい。モノマーXを含有するモノマー組成物を重合させることによって、分散媒体に親和性を有する構造を有する分散剤を作製することができる。有機ポリシロキサン構造の片末端に重合性不飽和基を有する化合物の一例として、式(8)に示す。
Figure 2019148710
式(8)中、R〜Rはそれぞれ独立して炭素数1〜3のアルキル基を表し、Rは炭素数1〜3のアルキレン基を表し、Rは水素原子又はメチル基を表す。nは2以上150以下(好ましくは2以上15以下)である。
式(8)の化合物の合成方法としては、カルビノール変性ポリシロキサンと、アクリル酸クロライド又はメタクリル酸クロライドの脱塩酸反応による方法が挙げられる。
モノマーYは、樹脂溶液の液滴に対して親和性を有する部位Yの片末端に、重合性不飽和基を有する化合物であることが好ましい。モノマーYを含有するモノマー組成物を重合させることによって、液滴に親和性を有する構造を有する分散剤を作製することができる。
部位Yの片末端に重合性不飽和基を有する化合物の一例として、式(9)に示す。
Figure 2019148710
式(9)中、Rは水素原子又はメチル基を表す。nは2以上150以下である。
式(9)の化合物の合成方法としては、スチレンのリビングアニオン重合により、ポリスチレンアニオンを合成し、エチレンオキサイドに続いてアクリル酸クロライド又はメタクリル酸クロライドにより脱塩酸反応をする方法が挙げられる。
部位Yがポリエステル構造である場合、ポリエステルの片末端に重合性不飽和基を有する化合物の製造方法として、以下の方法が挙げられる。
(1)ラクトン環の開環重合により作製したポリエステルとビニル系化合物とをカップリングさせる方法。(1)の方法は、具体的には、以下の手法が挙げられる。
(1−1)脂肪族ラクトンを開環重合して得られる末端にヒドロキシ基を有するポリエステルと、カルボキシ基を含有するビニル系化合物とを、縮合反応によってカップリングさせる方法。
(1−2)脂肪族ラクトンを開環重合して得られる末端にヒドロキシ基を有するポリエステルと、酸ハロゲン化物を脱塩酸反応によってカップリングさせる方法。
(1−1)の方法で使用するカルボキシ基を含有するビニル系化合物は、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、2−メタクリロキシエチルサクシニク酸、2−メタクリロキシエチルヘキサハイドロフタル酸、2−メタクリロキシエチルグルタレート;(無水)マレイン酸,フマル酸,(無水)イタコン酸などのジカルボン酸及びその無水物;モノメチルマレイン酸、モノエチルマレイン酸、モノブチルマレイン酸、モノオクチルマレイン酸、モノメチルフマル酸、モノエチルフマル酸、モノブチルフマレイン酸、モノオクチルフマル酸、モノメチルイタコン酸、モノエチルイタコン酸、モノブチルイタコン酸、モノオクチルイタコン酸などのジカルボン酸のモノアルキルエステルなどが挙げられるが、アクリル酸、メタクリル酸が好ましい。カルボキシ基を含有するビニル系化合物は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
(1−2)の方法で使用する酸ハロゲン化物は、例えば、カルボン酸塩化物としてアクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライドが挙げられる。
(2)ジカルボン酸とジオールの重縮合により作製したポリエステル(結晶性ポリエステル/非晶性ポリエステル)と、ビニル系化合物とをカップリングさせる方法。
カップリングでは、ポリエステルの末端官能基との反応が可能な官能基を含有するビニル系化合物を直接カップリングさせてもよい。また、ポリエステルの末端を、ビニル系化合物が含有する官能基との反応が可能になるよう、結合剤を用いて修飾してカップリングさせてもよい。具体的には、以下の方法が挙げられる。
(2−1)末端にカルボキシ基を有するポリエステルと、ヒドロキシ基を含有するビニル系化合物とを、縮合反応によってカップリングさせる方法。この場合、ポリエステルを合成する際に、ジカルボン酸とジオールのモル比(ジカルボン酸/ジオール)を1.02以上1.20以下とすることが好ましい。
(2−2)末端にヒドロキシ基を有するポリエステルと、イソシアネート基を有するビニル系化合物とを、ウレタン化反応によってカップリングさせる方法。
(2−3)末端にヒドロキシ基を有するポリエステルと、ヒドロキシ基を有するビニル系化合物とを、結合剤であるジイソシアネートを用いてウレタン化反応によってカップリングさせる方法。
(2−2)と(2−3)の方法で使用するポリエステルを合成する際、ジカルボン酸とジオールのモル比(ジオール/ジカルボン酸)を1.02以上1.20以下とすることが好ましい。
ヒドロキシ基を有するビニル系化合物としては、ヒドロキシスチレン、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ポリエチレングリコールモノアクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、アリルアルコール、メタアリルアルコール、クロチルアルコール、イソクロチルアルコール、1−ブテン−3−オール、2−ブテン−1−オール、2−ブテン−1,4−ジオール、プロパルギルアルコール、2−ヒドロキシエチルプロペニルエーテル、庶糖アリルエーテルが挙げられる。これらのうち、好ましいものはヒドロキシエチルアクリレート及びヒドロキシエチルメタクリレートである。
イソシアネート基を有するビニル系化合物としては、以下のものが挙げられる。
2−イソシアナトエチルアクリレート、2−イソシアナトエチルメタクリレート、メタクリル酸2−(0−[1’−メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ)エチル、2−[(3,5−ジメチルピラゾリル)カルボニルアミノ]エチルメタクリレート、m−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート。これらの中でも、好ましいものは2−イソシアナトエチルアクリレート及び2−イソシアナトエチルメタクリレートである。
ジイソシアネートとしては、以下のものが挙げられる。
炭素数(NCO基中の炭素を除く、以下同様)6以上20以下の芳香族ジイソシアネート、炭素数2以上18以下の脂肪族ジイソシアネート、炭素数4以上15以下の脂環式ジイソシアネート、及びこれらのジイソシアネートの変性物(ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、イソシアヌレート基、オキサゾリドン基含有変性物。以下、変性ジイソシアネートともいう)。
芳香族ジイソシアネートとしては、例えば以下のものが挙げられる。m−及び/又はp−キシリレンジイソシアネート(XDI)、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート。
脂肪族ジイソシアネートとしては、以下のものが挙げられる。エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ドデカメチレンジイソシアネート。
脂環式ジイソシアネートとしては、以下のものが挙げられる。イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート。
これらのうちで好ましいものはXDI及びHDI、IPDIである。
ポリエーテル構造の片末端に重合性不飽和基を有する化合物の製造方法としては、以下の方法が例示できる。
末端にヒドロキシ基を有するポリエーテル構造と、イソシアネート基を有するビニル系化合物とを、ウレタン化反応によってカップリングさせる方法。
末端にヒドロキシ基を有するポリエーテル構造と、ヒドロキシ基を有するビニル系化合物とを、結合剤であるジイソシアネートを用いてウレタン化反応によってカップリングさせる方法。
分散剤は、モノマーXおよびモノマーYに加えて、他のビニル系モノマーを使用してもよく、以下のものが挙げられる。
脂肪族ビニル炭化水素:アルケン類、例えばエチレン、プロピレン、ブテン、イソブチレン、ペンテン、ヘプテン、ジイソブチレン、オクテン、ドデセン、オクタデセン、前記以外のα−オレフィン;アルカジエン類、例えばブタジエン、イソプレン、1,4−ペンタジエン、1,6−ヘキサジエン及び1,7−オクタジエン。
脂環式ビニル炭化水素:モノ−又はジ−シクロアルケン及びアルカジエン類、例えばシクロヘキセン、シクロペンタジエン、ビニルシクロヘキセン、エチリデンビシクロヘプテン;テルペン類、例えばピネン、リモネン、インデン。
芳香族ビニル炭化水素:スチレン及びそのハイドロカルビル(アルキル、シクロアルキル、アラルキル及び/又はアルケニル)置換体、例えばα−メチルスチレン、ビニルトルエン、2,4−ジメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、フェニルスチレン、シクロヘキシルスチレン、ベンジルスチレン、クロチルベンゼン、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルキシレン、トリビニルベンゼン;及びビニルナフタレン。
カルボキシ基含有ビニル系モノマー及びその金属塩:炭素数3以上30以下の不飽和モノカルボン酸、不飽和ジカルボン酸並びにその無水物及びそのモノアルキル(炭素数1以上27以下)エステル、例えばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸、フマル酸モノアルキルエステル、クロトン酸、イタコン酸、イタコン酸モノアルキルエステル、イタコン酸グリコールモノエーテル、シトラコン酸、シトラコン酸モノアルキルエステル、桂皮酸などのカルボキシ基含有ビニル系モモノマー。
ビニルエステル、例えば酢酸ビニル、ビニルブチレート、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ジアリルフタレート、ジアリルアジペート、イソプロペニルアセテート、ビニルメタクリレート、メチル4−ビニルベンゾエート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、フェニルアクリレート、フェニルメタクリレート、ビニルメトキシアセテート、ビニルベンゾエート、エチルα−エトキシアクリレート、炭素数1以上11以下のアルキル基(直鎖若しくは分岐)を有するアルキルアクリレート及びアルキルメタクリレート(メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、プロピルアクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ジアルキルフマレート(フマル酸ジアルキルエステル)(2個のアルキル基は、炭素数2以上8以下の、直鎖、分枝鎖若しくは脂環式の基である)、ジアルキルマレエート(マレイン酸ジアルキルエステル)(2個のアルキル基は、炭素数2以上8以下の、直鎖、分枝鎖若しくは脂環式の基である)、ポリアリロキシアルカン類(ジアリロキシエタン、トリアリロキシエタン、テトラアリロキシエタン、テトラアリロキシプロパン、テトラアリロキシブタン、テトラメタアリロキシエタン);ポリアルキレングリコール鎖を有するビニル系モノマー(ポリエチレングリコール(分子量300)モノアクリレート、ポリエチレングリコール(分子量300)モノメタクリレート、ポリプロピレングリコール(分子量500)モノアクリレート、ポリプロピレングリコール(分子量500)モノメタクリレート、メチルアルコールエチレンオキサイド(エチレンオキサイドを以下EOと略記する)10モル付加物アクリレート、メチルアルコールエチレンオキサイド(エチレンオキサイドを以下EOと略記する)10モル付加物メタクリレート、ラウリルアルコールEO30モル付加物アクリレートラウリルアルコールEO30モル付加物メタクリレート)、ポリアクリレート類及びポリメタクリレート類(多価アルコール類のポリアクリレート及びポリメタクリレート。
分散剤は、溶剤耐性を付与することを目的として、架橋構造を導入してもよい。架橋構造は、多官能モノマーを用いて導入することが可能である。
多官能モノマーを用いて架橋構造を導入する場合、ビニル系の多官能モノマーが好ましい。ビニル系の多官能モノマーとしては、2官能モノマー:ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ポリテトラメチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、ポリテトラメチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタリン、両末端アクリル変性シリコーン、及び両末端メタクリル変性シリコーン;3官能モノマー:トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート;4官能モノマー:テトラメチロールメタンテトラアクリレート、テトラメチロールメタンテトラメタクリレートからなる群より選択される少なくとも1種の多官能モノマーが挙げられる。これらの中でも、2官能モノマーが好ましく、下記式(10)に示す2官能モノマーがより好ましい。
Figure 2019148710
前記式(10)において、m及びnは重合度を示し、それぞれ独立して、1〜10の整数であることが好ましい。また、m+nは2〜16の整数であることが好ましい。
分散剤の形態は、有機溶媒に可溶な低分子分散剤や高分子分散剤、有機溶媒に不溶な樹脂微粒子のいずれでもよいが、上述した部位Xと部位Yを有していることが好ましい。また、これらの分散剤は、混合物として使用してもよく、目的に応じて2種以上を併用してもよい。上述した部位Xと部位Yを分子内に多く有する点から、高分子分散剤、樹脂微粒子を用いることが好ましく、樹脂溶液の液滴表面を覆い、安定化させることに加えて、粒度分布をシャープ化する効果を有している樹脂微粒子を用いることがより好ましい。
樹脂微粒子の粒径は、個数平均粒子径で30nm〜300nmであることが好ましく、50nm〜200nmであることがより好ましい。樹脂微粒子の個数平均粒子径が30nm以上であると、造粒時の液滴の安定性が向上する傾向にある。また、300nm以下であると、液滴の粒径を所望の大きさに制御することが容易になる。
また、樹脂微粒子の添加量は、液滴の形成に使用する樹脂溶解液中の固形分量100質量部に対して、1.0質量部〜15.0質量部であることが好ましく、液滴の安定性や所望する粒径に合わせて適宜調整することができる。
着色剤としては、有機顔料、有機染料、無機顔料、黒色着色剤としてのカーボンブラック、及び磁性体が挙げられ、従来トナーに用いられている着色剤を用いることができる。
イエロー用着色剤としては、以下のものが挙げられる。縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アントラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、アリルアミド化合物。具体的には、C.I.ピグメントイエロー12、13、14、15、17、62、74、83、93、94、95、109、110、111、128、129、147、155、168、180が好適に用いられる。
マゼンタ用着色剤としては、以下のものが挙げられる。縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン化合物、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物。具体的には、C.I.ピグメントレッド2、3、5、6、7、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、122、144、146、166、169、177、184、185、202、206、220、221、254が好適に用いられる。
シアン用着色剤としては、以下のものが挙げられる。銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アントラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物。具体的には、C.I.ピグメントブルー1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、66が好適に用いられる。
着色剤は、色相角、彩度、明度、耐光性、OHP透明性、トナー中の分散性の観点から選択される。
着色剤の添加量は、結着樹脂100質量部に対して、1.0質量部以上20.0質量部以下であることが好ましい。着色剤として磁性体を用いる場合、その添加量は、結着樹脂100質量部に対して、40.0質量部以上150.0質量部以下であることが好ましい。
トナー粒子は、必要に応じて荷電制御剤を含有してもよい。荷電制御剤を配合することにより、荷電特性を安定化させ、現像システムに応じた最適の摩擦帯電量のコントロールが可能となる。
荷電制御剤としては、公知のものが利用でき、特に帯電スピードが速く、かつ、一定の帯電量を安定して維持できる荷電制御剤が好ましい。
荷電制御剤として、トナーを負荷電性に制御するものとしては、有機金属化合物、キレート化合物が有効であり、モノアゾ金属化合物、アセチルアセトン金属化合物、芳香族オキシカルボン酸、芳香族ダイカルボン酸、オキシカルボン酸及びダイカルボン酸系の金属化合物が挙げられる。トナーを正荷電性に制御するものとしては、以下のものが挙げられる。ニグロシン、四級アンモニウム塩、高級脂肪酸の金属塩、ジオルガノスズボレート類、グアニジン化合物、イミダゾール化合物。
荷電制御剤の添加量は、結着樹脂100質量部に対して、0.01質量部以上20.0質量部以下であることが好ましく、より好ましくは0.5質量部以上10.0質量部以下である。
トナー粒子には、流動性向上剤などの外添剤を添加してトナーとしてもよい。
流動性向上剤としては、無機微粒子が好ましく、シリカ微粒子、酸化チタン微粒子、アルミナ微粒子又はそれらの複酸化物微粒子のような微粒子が挙げられる。無機微粒子の中でもシリカ微粒子及び酸化チタン微粒子が好ましい。
シリカ微粒子としては、ケイ素ハロゲン化物の蒸気相酸化により生成された乾式シリカ又はヒュームドシリカ、及び水ガラスから製造される湿式シリカが挙げられる。表面及びシリカ微粒子の内部にあるシラノール基が少なく、またNaO、SO 2−の少ない乾式シリカの方が好ましい。また乾式シリカは、製造工程において、塩化アルミニウム、塩化チタンのような金属ハロゲン化合物をケイ素ハロゲン化合物と共に用いることによって製造された、シリカと他の金属酸化物の複合微粒子であってもよい。
無機微粒子は疎水化処理されることによって、トナーの帯電量の調整、環境安定性の向上、高湿環境下での特性の向上を達成することができるため、疎水化処理された無機微粒子を用いることがより好ましい。
無機微粒子の疎水化処理に用いられる処理剤としては、未変性のシリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、未変性のシリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シラン化合物、シランカップリング剤、その他有機ケイ素化合物、有機チタン化合物が挙げられる。これらの処理剤は単独で又は併用して用いてもよい。
その中でも、シリコーンオイルにより処理された無機微粒子が好ましい。より好ましくは、無機微粒子をカップリング剤で疎水化処理すると同時又は処理した後に、シリコーンオイルにより処理した疎水化処理無機微粒子である。
無機微粒子の添加量は、トナー粒子100質量部に対して、0.1質量部以上4.0質量部以下であることが好ましく、より好ましくは0.2質量部以上3.5質量部以下である。
以下に、トナー粒子および各材料の物性についての測定方法を記す。
<数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)の測定方法>
各重合体及びトナー粒子の数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、以下のようにして測定する。
まず、室温で24時間かけて、試料をテトラヒドロフラン(THF)に溶解する。そして、得られた溶液を、ポア径が0.2μmの耐溶剤性メンブランフィルター「マイショリディスク」(東ソー社製)で濾過してサンプル溶液を得る。なお、サンプル溶液は、THFに可溶な成分の濃度が約0.8質量%となるように調製する。このサンプル溶液を用いて、以下の条件で測定する。
装置:HLC8120 GPC(検出器:RI)(東ソー社製)
カラム:Shodex KF−801、802、803、804、805、806、807の7連(昭和電工社製)
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
流速:1.0mL/min
オーブン温度:40.0℃
試料注入量:0.10mL
試料の分子量の算出にあたっては、標準ポリスチレン樹脂(商品名「TSKスタンダード ポリスチレン F−850、F−450、F−288、F−128、F−80、F−40、F−20、F−10、F−4、F−2、F−1、A−5000、A−2500、A−1000、A−500」、東ソ−社製)を用いて作成した分子量校正曲線を使用する。
<融点の測定方法>
結晶性樹脂およびワックスの融点は、示差走査熱量計(DSC)Q2000(TA Instruments社製)を使用して、以下の条件にて測定を行う。
昇温速度:10℃/min
測定開始温度:20℃
測定終了温度:180℃
装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。具体的には、試料約5mgを精秤し、アルミニウム製のパンの中に入れ、一回測定を行う。リファレンスとしてはアルミニウム製の空パンを用いる。そのときの最大吸熱ピークのピーク温度を融点とする。
<ガラス転移温度(Tg)の測定方法>
非晶性樹脂のガラス転移温度は、融点の示差走査熱量測定によって得られた昇温時のリバーシングヒートフロー曲線において、比熱変化が現れる前と現れた後のベースラインを延長した直線から縦軸方向に等距離にある直線と、リバーシングヒートフロー曲線におけるガラス転移の階段状変化部分の曲線とが交わる点の温度(℃)を求める。
<ワックス粒子、および着色剤粒子の粒子径の測定方法>
ワックス粒子、および着色剤粒子の粒子径は、マイクロトラック粒度分布測定装置HRA(X−100)(日機装社製)を用い、0.001μm〜10μmのレンジ設定で測定を行い、体積平均粒子径(μm又はnm)として測定する。なお、希釈溶媒としては水を選択する。
<樹脂微粒子の個数平均径の測定方法>
樹脂微粒子の個数平均径はゼータサイザーNano−ZS(MALVERN社製)を用いて測定する。まず、サンプルは測定対象の樹脂微粒子のアセトン分散液を固液比が0.10質量%(±0.02質量%)となるように希釈して調製し、石英セルに採取して測定部に入れる。測定条件として、樹脂微粒子としてポリスチレンラテックスの屈折率、分散溶媒としてアセトンの屈折率及び粘度を入力し、測定する。
<トナー粒子の重量平均粒径(D4)及び個数平均粒径(D1)及び粒度分布(D4/D1)の測定方法>
トナー粒子の重量平均粒径(D4)、個数平均粒径(D1)及び粒度分布(D4/D1)は、以下のようにして算出する。測定装置としては、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)を用いる。測定条件の設定及び測定データの解析は、付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いる。なお、測定は実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで行う。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
なお、測定、解析を行う前に、以下のように前記専用ソフトの設定を行う。
前記専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更」画面において、コントロールモードの総カウント数を50,000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。「閾値/ノイズレベルの測定ボタン」を押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、「測定後のアパーチャーチューブのフラッシュ」にチェックを入れる。
前記専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定」画面において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μmから60μmまでに設定する。
具体的な測定法は以下の通りである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250mL丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mLを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、専用ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100mL平底ビーカーに前記電解水溶液約30mLを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.3mL加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を、位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispersion System Tetora150」(日科機バイオス社製)を準備する。超音波分散器の水槽内に約3.3Lのイオン交換水を入れ、この水槽中にコンタミノンNを約2mL添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー粒子約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。なお、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナー粒子を分散した前記(5)の電解水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50,000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行い、重量平均粒径(D4)及び個数平均粒径(D1)を算出する。なお、前記専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、「分析/体積統計値(算術平均)」画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)であり、前記専用ソフトでグラフ/個数%と設定したときの、「分析/個数統計値(算術平均)」画面の「平均径」が個数平均粒径(D1)である。また、D4/D1を粒度分布とする。
以下、本発明を製造例及び実施例により具体的に説明するが、これは本発明をなんら限定するものではない。なお、実施例及び比較例の部数及び%は特に断りが無い場合、すべて質量基準である。
<結着樹脂1の製造例>
乾燥した二口フラスコに、窒素を導入しながら以下の原料を仕込んだ。
・スチレン 66.0部
・アクリル酸ブチル 10.0部
・メタクリル酸2−ヒドロキシエチル 24.0部
・トルエン 130.0部
・N,N−ジメチルホルムアミド 50.0部
上記単量体組成物を200rpmで撹拌しながら、30分間窒素バブリングした後、重合開始剤としてアゾビスメトキシジメチルバレロニトリルを0.7部混合した。その後、65℃で加熱し、5時間反応させ、さらに80℃に加熱し、1時間反応を行った。次に、この反応物を空冷した後、混合したトルエンの5倍量のメタノールで再沈し、回収した沈殿物を乾燥することにより結着樹脂1を得た。得られた結着樹脂1の分子量は、Mn:26,500、Mw:38,400、Tgは、58.0℃であった。また、結着樹脂1の溶解度パラメータにおける水素結合項SP(HA)を溶解度パラメータ計算ソフトウェア(Hansen Solubility Parameters in Practice:HSPiP 4th Edition 4.1.03)により、算出した。結果を表1に示す。
<結着樹脂2の製造例>
乾燥した二口フラスコに、窒素を導入しながら以下の原料を仕込んだ。
・スチレン 52.0部
・アクリル酸ブチル 38.0部
・メタクリル酸 10.0部
・トルエン 130.0部
・N,N−ジメチルホルムアミド 50.0部
上記単量体組成物を200rpmで撹拌しながら、30分間窒素バブリングした後、重合開始剤としてアゾビスメトキシジメチルバレロニトリルを0.8部混合した。その後、65℃で加熱し、5時間反応させ、さらに80℃に加熱し、1時間反応を行った。次に、この反応物を空冷した後、混合したトルエンの5倍量のメタノールで再沈し、回収した沈殿物を乾燥することにより結着樹脂2を得た。得られた結着樹脂2の分子量は、Mn:23,500、Mw:32,400、Tgは、57.3℃であった。また、結着樹脂2の溶解度パラメータにおける水素結合項SP(HA)を算出した結果を表1に示す。
<結着樹脂3の製造例>
加熱乾燥した二口フラスコに、窒素を導入しながら以下の原料を仕込んだ。
・ε−カプロラクトン 200.0部
・ステアリルアルコール 4.0部
・酸化ジブチルスズ 0.2部
減圧操作により系内を窒素置換した後、180℃にて5時間攪拌を行った。その後、攪拌を続けながら減圧下にて230℃まで徐々に昇温し、更に2時間保持した。次に、空冷した後、メタノールを加えて再沈し、回収した沈殿物を乾燥させることにより結着樹脂3(結晶性ポリエステル)を得た。得られた結着樹脂3の分子量は、Mn:19,200、Mw:35,000、融点は59.9℃であった。また、結着樹脂3の溶解度パラメータにおける水素結合項SP(HA)を算出した結果を表1に示す。
<結着樹脂4の製造例>
窒素導入管、脱水管、攪拌機及び熱電対を装備した四つ口フラスコに、窒素を導入しながら以下の原料を仕込んだ。
・ビスフェールAプロピレンオキサイド付加物(2.3mol付加) 56.0部
・シクロヘキサンジメタノール 5.0部
・エチレングリコール 7.0部
・テレフタル酸 30.0部
・ジ(2−エチルヘキサン酸)スズ 1.3部
窒素雰囲気下、200℃で6時間かけて反応させた。さらに、210℃にて無水トリメリット酸2.0部を添加して、40mmHgの減圧下にて5時間反応を行った。その後、空冷した後、メタノールを加えて再沈し、回収した沈殿物を乾燥させることにより結着樹脂4(非晶性ポリエステル)を得た。得られた結着樹脂4の分子量は、Mn:10,300、Mw:14,600、Tgは62.0℃であった。また、結着樹脂4の溶解度パラメータにおける水素結合項SP(HA)を算出した結果を表1に示す。
<結着樹脂5の製造例>
窒素導入管、脱水管、攪拌機及び熱電対を装備した四つ口フラスコに、窒素を導入しながら以下の原料を仕込んだ。
・ビスフェールAプロピレンオキサイド付加物(2.3mol付加) 33.0部
・ビスフェールAエチレンオキサイド付加物(2.0mol付加) 43.0部
・テレフタル酸 21.0部
・ジ(2−エチルヘキサン酸)スズ 1.3部
窒素雰囲気下、200℃で6時間かけて反応させた。さらに、210℃にて無水トリメリット酸3.0部を添加して、40mmHgの減圧下にて5時間反応を行った。その後、空冷した後、メタノールを加えて再沈し、回収した沈殿物を乾燥させることにより結着樹脂5(非晶性ポリエステル)を得た。得られた結着樹脂5の分子量は、Mn:9,400、Mw:12,200、Tgは59.0℃であった。また、結着樹脂5の溶解度パラメータにおける水素結合項SP(HA)を算出した結果を表1に示す。
<結着樹脂6の製造例>
窒素導入管、脱水管、攪拌機及び熱電対を装備した四つ口フラスコに、窒素を導入しながら以下の原料を仕込んだ。
・ビスフェールAプロピレンオキサイド付加物(2.3mol付加) 74.0部
・テレフタル酸 18.0部
・セバシン酸 8.0部
・ジ(2−エチルヘキサン酸)スズ 1.3部
窒素雰囲気下、200℃で6時間かけて反応させた。さらに、210℃にて無水トリメリット酸1.0部を添加して、40mmHgの減圧下にて5時間反応を行った。その後、空冷した後、メタノールを加えて再沈し、回収した沈殿物を乾燥させることにより結着樹脂6(非晶性ポリエステル)を得た。得られた結着樹脂6の分子量は、Mn:8,300、Mw:11,100、Tgは、57.6℃であった。また、結着樹脂5の溶解度パラメータにおける水素結合項SP(HA)を算出した結果を表1に示す。
Figure 2019148710
<結着樹脂溶液A1〜A6溶液の製造例>
攪拌装置のついたビーカーに、アセトン500.0部、結着樹脂1〜6を500.0部投入し、温度40℃で完全に溶解するまで攪拌を続け、結着樹脂溶液A1〜A6溶液を調製した。
<モノマーX1>
モノマーX1は、下記式(11)で示される構造である。詳細は表2に示す。
Figure 2019148710
Figure 2019148710
<モノマーY1(部位Y:ポリスチレン)の準備>
モノマーY1として下記式(12)で表される化合物(商品名:AS−6、東亜合成(株)社製)を用いた。その物性を表3に示す。
Figure 2019148710

式(12)において、n=60である。
<モノマーY2の製造例(部位Y:ポリエステル構造)>
加熱乾燥した二口フラスコに、窒素を導入しながら以下の原料を仕込んだ。
・ε−カプロラクトン 200.0部
・ステアリルアルコール 28.1部
・酸化ジブチルスズ 0.1部
減圧操作により系内を窒素置換した後、180℃にて5時間攪拌を行った。その後、攪拌を続けながら減圧下にて230℃まで徐々に昇温し、さらに2時間保持した。粘稠な状態となったところで空冷し、反応を停止させることで、片末端にヒドロキシ基を有するポリエステルを合成した。その後、テトラヒドロフラン150.0部を加えて溶解させ、トリエチルアミン25.9部を加えた。そして、氷浴下でアクリル酸クロリド38.8部をゆっくりと滴下した。滴下終了後、氷浴下で3時間攪拌し、さらに室温で2時間攪拌した。溶媒を留去し、メタノールでの再沈殿を行うことで、ポリエステル構造を有するモノマーY2を得た。その物性を表3に示す。
<モノマーY3の準備(部位Y:ポリエーテル構造)>
モノマーY3として下記式(13)で表される化合物(商品名:ライトエステル041MA、共栄社化学(株)社製)を用いた。その物性を表3に示す。
Figure 2019148710
Figure 2019148710
<多官能単量体1の準備>
多官能単量体として下記式(14)で示される化合物(商品名:APG400、新中村化学工業)を用いた。詳細は表4に示す。
Figure 2019148710
Figure 2019148710
<樹脂微粒子1分散液の調製>
撹拌装置のついたビーカーに、ドデシル硫酸ナトリウム2.0部と、イオン交換水1600.0部を投入し、25℃にて完全に溶解するまで撹拌を続け、水系媒体1を調製した。ついで、密閉容器に、以下の原料とトルエン160.0部を仕込み、70℃に加熱して完全に溶解し、単量体溶液B1を調製した。
・モノマーX 40.0部
・モノマーY1 35.0部
・スチレン 15.0部
・メタクリル酸 10.0部
・多官能単量体1 2.0部
上記の単量体溶液B1を25℃まで降温した後、重合開始剤としてターシャリーブチルパーオキシピバレートを4.部混合し、上記の水系媒体1に投入する。そして、高出力超音波ホモジナイザー(VCX−750)で超音波を15分間照射(2秒間欠、25℃保持)することで、上記の単量体溶液B1の乳化液を調製した。
加熱乾燥した四口フラスコに、前記乳化液を仕込んだ。前記乳化液を200rpmで撹拌しながら30分間窒素をバブリングした後、70℃にて5時間攪拌を行った後、80℃にて1時間撹拌を行った。その後、上記乳化液を撹拌させた状態で空冷し、反応を停止させ、粗粒子状の樹脂粗粒子B1の分散体を得た。
得られた粗粒子状の樹脂粗粒子の分散体を、温度調節可能な撹拌タンクに投入し、ポンプを用いてクレアSS5(エム・テクニック社製)に35g/minの流量で移送して処理することにより、微粒子状の樹脂微粒子B1の分散体を得た。クレアSS5による前記分散体の処理条件は、クレアSS5の回転するリング状ディスクの最外周部の周速を15.7m/sとし、回転するリング状ディスクと固定されたリング状ディスクの間隙を1.6μmとした。また、撹拌タンクの温度は、クレアSS5で処理後の液温が40℃以下となるように調節した。
分散体中の微粒子状の樹脂微粒子B1とトルエンを16500rpmで2.5時間遠心分離機により分離した。
その後、上澄みを除去することで、濃縮された樹脂微粒子B1の分散体を得た。
撹拌装置のついたビーカーに、前記濃縮された樹脂微粒子B1の分散体を、高出力超音波ホモジナイザー(VCX−750)を用いて、アセトンに分散させた。そうすることで、固形分濃度10.0質量%の微粒子状の樹脂微粒子B1を分散させた樹脂微粒子分散液B1を調製した。樹脂微粒子の体積平均径を測定したところ、110nmであった。
<樹脂微粒子分散液B2乃至B3の調製>
樹脂微粒子分散液B1の調製において、モノマーYの種類を表5に示すものに変更し、樹脂微粒子分散液B2乃至3を得た。得られた樹脂微粒子分散液2〜3中に含まれる樹脂微粒子の個数平均粒径を表5に示す。
Figure 2019148710
<ワックス分散液C1の製造例>
撹拌装置及び温度計を備えた耐圧容器内に以下の原料を投入し、系内を70℃に加熱することにより結着樹脂およびワックスをアセトンに溶解させた。
・ペンタエリスリトールステアリン酸エステルワックス 16.0部
(PE−18、日清オイリオグループ株式会社)
・結着樹脂1 16.0部
・アセトン 68.0部
ついで、系内を50rpmの条件にて緩やかに撹拌しながら徐々に冷却し、3時間かけて25℃にまで冷却して乳白色の液体を得た。
この乳白色の液体を1mmのガラスビーズ20部とともに耐熱性の容器に投入し、ペイントシェーカーにて4時間の分散を行った後、ナイロンメッシュにてガラスビーズを取り除き、ワックス粗分散液C1を得た。
得られたワックス粗分散液C1を、高圧衝撃式分散機ナノマイザー(吉田機械興業社製)を用い、処理部直前で前記混合物を30℃に冷却して、処理部(ジェネレータ)に導入し、200MPaで処理を50回行い、ワックス分散液C1を得た。得られたワックス分散液C1のワックス粒子の体積平均粒子径は0.12μmであった。
<ワックス分散液C2の製造例>
ワックス分散液C1の製造例で得られたワックス粗分散液1を温度調節可能な撹拌タンクに投入し、ポンプを用いてクレアSS5(エム・テクニック社製)に35g/minの流量で移送して処理することにより、ワックス分散液2を得た。クレアSS5による前記分散体の処理条件は、クレアSS5の回転するリング状ディスクの最外周部の周速を15.7m/sとし、回転するリング状ディスクと固定されたリング状ディスクの間隙を1.6μmとした。また、撹拌タンクの温度は、クレアSS5で処理後の液温が25℃以下となるように調節した。得られたワックス分散液C2のワックス粒子の体積平均粒子径は0.14μmであった。
<ワックス分散液C3の製造例>
ワックス分散液C1の製造例で得られた乳白色の液体を15mmのセラミックビーズを入れた湿式アトライタ(日本コークス工業製)を用いて10時間混合分散させた後、ナイロンメッシュにてガラスビーズを取り除き、ワックス分散液C3を得た。
<ワックス分散液C4の製造例>
ワックス分散液C1の製造例で得られた乳白色の液体を1mmのガラスビーズ20部とともに耐熱性の容器に投入し、ペイントシェーカーにて4時間の分散を行った後、ナイロンメッシュにてガラスビーズを取り除き、ワックス分散液C4を得た。
<ワックス分散液C5〜C23の製造例>
ワックス分散液C1の製造例において、使用するワックスおよび結着樹脂の種類、使用する仕込み量を表6のように変更する以外は同様にして、ワックス分散液C5〜C23を製造した。得られたワックス分散液の物性を表7に示す。
Figure 2019148710
表6中に記載したワックスの製品名と製造元を下記に示す。DP16は、ジペンタエリスリトールステアリン酸エステルワックス、CWは、ベヘン酸ベヘニルワックスであり、製造元は、日清オイリオグループ株式会社である。DEGBは、ジエチレングリコールジベヘン酸エステルであり、製造元は「日油株式会社」である。
Figure 2019148710
<着色剤分散液の製造例>
・着色剤(C.I.Pigment Blue15:3) 100.0部
・アセトン 150.0部
・ガラスビーズ(1mm) 300.0部
上記材料を耐熱性のガラス容器に投入し、ペイントシェーカー(東洋精機製)にて5時間分散を行い、ナイロンメッシュにてガラスビーズを取り除き、体積平均粒径が200nm、固形分量が40.0質量%の着色剤分散液を得た。
<混合溶液D1の製造方法>
・結着樹脂溶液A1 200.0部
・着色剤分散液 12.0部
・ワックス分散液C1 20.0部
・アセトン 80.0部
上記材料を35.0℃の温調した容器に順番に投入した後、TKホモディスパー(特殊機化社製)を用いて、3000rpmで5分間撹拌することにより混合液を得た。
<トナー粒子1の製造例>
図1に示す装置において、容器1として、内部に撹拌装置S1と熱電対を備え、側面に温度調節用のジャケット及び観察窓W1を備えた耐圧容器t1を用いた。
内部温度を予め35.0℃に調整した耐圧容器t1に、混合液D1を仕込み、バルブV1、バルブV3、圧力調整バルブV4を閉じて、耐圧容器t1の内部を回転速度300rpmで撹拌しながら、混合液1を35.0℃に温調した。
次に、バルブV1を開き、ボンベB1から二酸化炭素(純度99.99%)を耐圧容器t1に導入し、内部圧力がゲージ圧力2.0MPaに到達したところでバルブV1を閉じた。この時、観察窓W1から耐圧容器t1の内部を観察して、相分離していることを確認した。導入した二酸化炭素の量は、質量流量計を用いて測定したところ、110.0部であった。
次に、内部温度を予め35.0℃に調整した容器2としての耐圧容器t2に、予め35.0℃に温調した樹脂微粒子分散液B1(固形分10.0質量%)80.0部を投入した。そして、バルブV2を開き、ボンベB2から二酸化炭素(純度99.99%)を耐圧容器t2に投入し、内部圧力がゲージ圧力3.0MPaに到達したところでバルブV2を閉じた。導入した二酸化炭素の量は、質量流量計を用いて測定したところ、27.0部であった。
次いで、観察窓W1から耐圧容器t1の内部を観察して、相分離状態を維持したままであることを確認した後、バルブV3を開き、耐圧容器t2内の樹脂微粒子分散液B1と二酸化炭素の混合物を耐圧容器t1に投入した。
次に、耐圧容器t1内の温度が35.0℃であることを確認し、回転速度1000rpmで10分間撹拌して造粒を行い、樹脂溶液の液滴が二酸化炭素に分散した分散体を調製した。次に、回転速度を300rpmまで落とし、ゲージ圧力2.0MPaの条件下で、分散体を0.5℃/分の降温速度で25.0℃まで冷却した。
次に、バルブV1を開き、ボンベB1からポンプp1を用いて二酸化炭素を耐圧容器t1内に導入した。この際、圧力調整バルブV4を調節し、耐圧容器t1の内部圧力(ゲージ圧力)を8.5MPaに保持しながら、さらに二酸化炭素を流通させた。この操作により、造粒後の液滴中から抽出された有機溶媒(アセトン)を含む二酸化炭素を、溶媒回収容器t3に排出し、耐圧容器t1内から有機溶媒と二酸化炭素を除去した。
1時間後にポンプp1を停止し、バルブV1を閉じ、圧力調整バルブV4を少しずつ開いて、耐圧容器t1の内部圧力を大気圧まで減圧することにより、フィルターF1に捕捉されているトナー粒子1を回収した。
100部のトナー粒子1に対して、ヘキサメチルジシラザンで処理された疎水性シリカ微粒子1.8部(一次粒子の個数平均粒径:7nm)、及び、ルチル型酸化チタン微粒子0.15部(一次粒子の個数平均粒径:30nm)を三井ヘンシェルミキサ(三井三池化工機株式会社製)にて5分間乾式混合して、トナー1を得た。
<トナー2〜24、および比較トナー1〜3の製造例>
トナー1の製造例において、使用する原材料の種類や仕込み量を表8に記載するように変更した以外は、トナー1の製造例と同様にしてトナー2〜24、及び、比較トナー1〜3を得た。
Figure 2019148710
<実施例1>
得られたトナー粒子1の粒度分布(D4/D1)について評価を行った。評価結果を表9に示す。なお、評価基準は以下の通りである。
A:D4/D1値が1.15未満
B:D4/D1値が1.15以上1.20未満
C:D4/D1値が1.20以上1.25未満
D:D4/D1値が1.25以上1.30未満
E:D4/D1値が1.30以上
Figure 2019148710
<ワックスの分散性>
トナー中のワックス分散性は、トナーの断面を透過型電子顕微鏡で観察し、ワックスによって形成されたドメインの断面積の平均の円相当径を測定し、任意に選択したトナー10個の平均値をもって評価する。詳細には、トナーを可視光硬化性包埋樹脂(D−800、日新EM社製)で包埋し、超音波ウルトラミクロトーム(EM5、ライカ社製)により100nm厚に切削し、真空染色装置(フィルジェン社製)によりRu染色を行った。その後、透過型電子顕微鏡(H7500、日立社製)により加速電圧120kVで観察を行った。観察するトナーは、断面の長径が重量平均粒径から±2.0μm以内のものを10個選んで撮影を行った。
ワックス分散性の評価基準は以下のとおりである。ワックスドメインの円相当径が小さいほどワックスの分散性がよい。
A:ワックスドメインの円相当径が200nm未満
B:ワックスドメインの円相当径が200nm以上400nm未満
C:ワックスドメインの円相当径が400nm以上600nm未満
D:ワックスドメインの円相当径が600nm以上800nm未満
E:ワックスドメインの円相当径が800nm以上1000nm未満
F:ワックスドメインの円相当径が1000nm以上
[低温定着性]
定着ユニットを外したカラーレーザープリンター(HP Color LaserJet 3525dn、HP社製)を用意し、シアンカートリッジからトナーを取り出して、代わりに評価するトナーを充填した。次いで、受像紙(office70、キヤノン社製 70g/m)上に、充填したトナーを用いて、縦2.0cm横15.0cmの未定着のトナー画像(0.9mg/cm)を、通紙方向に対し上端部から1.0cmの部分に形成した。次いで、取り外した定着ユニットを定着温度とプロセススピードを調節できるように改造し、これを用いて未定着画像の定着試験を行った。
まず、常温常湿環境下(23℃、60%RH)、プロセススピードを380mm/s、定着線圧25.0kgfに設定し、初期温度を120℃として設定温度を5℃ずつ順次昇温させながら、各温度で上記未定着画像の定着を行った。
低温定着性の評価基準は以下の通りである。低温側定着開始点とは、低温オフセット現象(トナーの一部が定着器に付着してしまう現象)が観察されない下限温度のことである。
A:低温側定着開始点が125℃以下
B:低温側定着開始点が130℃
C:低温側定着開始点が135℃
D:低温側定着開始点が140℃
E:低温側定着開始点が145℃
F:低温側定着開始点が150℃以上
トナーの性能評価の結果を表10に示す。
<実施例2〜24、ならびに比較例1〜3>
トナー2〜24、および比較トナー1〜3を用いて、実施例1と同様の評価を行った。得られた結果を表9、または表10に示す。なお、比較例3は、ワックスを用いていない例である。
Figure 2019148710
t1 耐圧容器
t2 耐圧容器
t3 溶媒回収容器
B1 ボンベ
B2 ボンベ
p1 ポンプ
p2 ポンプ
V1 バルブ
V2 バルブ
V3 バルブ
V4 圧力調整バルブ
F1 フィルター
S1 攪拌装置
W1 観察窓

Claims (8)

  1. トナー粒子を有するトナーの製造方法であって、
    (a)結着樹脂、ワックス、及び有機溶媒を混合し、前記ワックスを分散させたワックス分散液を調製する工程、
    (b)結着樹脂、着色剤、前記ワックス分散液、及び有機溶媒を含有する樹脂溶液を調製する工程、
    (c)前記樹脂溶液、及び二酸化炭素を含む分散媒体を混合し、前記樹脂溶液の液滴が前記分散媒体に分散した分散体を調製する工程、及び
    (d)前記分散体にさらに前記分散媒体を流通させ、前記液滴に含まれる前記有機溶媒を前記分散媒体に抽出し、前記分散媒体から前記有機溶媒を除去してトナー粒子を得る工程、
    を有することを特徴とするトナーの製造方法。
  2. 前記工程(a)における結着樹脂の添加量をA(a)、およびワックスの添加量をW(a)とし、
    前記工程(b)における結着樹脂の添加量をA(b)としたとき、
    A(a)、W(a)、およびA(b)が下記式(1)および(2)を満たす請求項1に記載のトナーの製造方法。
    0.1≦A(a)/W(a)≦2.5 (1)
    0.5≦W(a)/(A(a)+A(b))×100≦10.0 (2)
  3. 前記ワックスと、前記結着樹脂が下記式(3)及び(4)を満たす請求項1又は2に記載のトナーの製造方法。
    0.1≦SP(HW)≦4.5 (3)
    3.0≦SP(HA)≦5.5 (4)
    (式(3)及び(4)中、
    SP(HW)は、前記ワックスの溶解度パラメータにおける水素結合項を示し、
    SP(HA)は、前記結着樹脂の溶解度パラメータにおける水素結合項を示す。)
  4. 前記SP(HW)及び前記SP(HA)が、下記式(5)を満たす請求項3に記載のトナーの製造方法。
    SP(HW)≧−2.9×SP(HA)+12.7 (5)
  5. 前記結着樹脂が、
    ポリエステル、あるいは、
    スチレン、スチレン誘導体、アクリレート、及びメタクリレートからなる群より選択される少なくとも1つの重合性単量体の重合体、
    を含有する請求項1〜4のいずれか1項に記載のトナーの製造方法。
  6. 前記ワックスが、エステルワックスを含む請求項1〜5のいずれか1項に記載のトナーの製造方法。
  7. 前記ワックスが、
    2価以上のアルコールと脂肪族モノカルボン酸とのエステル、或いは、
    2価以上のカルボン酸と脂肪族モノアルコールとのエステル、
    を含む請求項1〜6のいずれか1項に記載のトナーの製造方法。
  8. 前記ワックス分散液におけるワックス粒子の体積平均粒子径が、0.10μm以上0.35μm以下である請求項1〜7のいずれか1項に記載のトナーの製造方法。
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