JP2013225681A - 減圧乾燥装置及び減圧乾燥方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】処理液が塗布された被処理基板に対し前記処理液の乾燥処理を行い、塗布膜を形成する減圧乾燥装置において、処理液の乾燥時間を短縮し、且つ均一な膜厚を得ることのできる減圧乾燥装置及び減圧乾燥方法を提供する。
【解決手段】被処理基板Gを収容し、処理空間を形成するチャンバ85,86と、前記被処理基板を保持する保持部88と、前記チャンバ内に形成された排気口89と、前記排気口からチャンバ内の雰囲気を排気する排気手段91と、前記排気手段の動作により形成される気流の上流側であって、前記基板の側方に形成された給気口92と、前記給気口から不活性ガスをチャンバ内の処理空間に供給する給気手段97と、前記排気手段の排気動作により、前記基板上面を一方向に流れる気流の流路を形成する整流手段93とを備え、前記整流手段93が、少なくとも前記保持部に保持された被処理基板の周縁下方空間を埋める整流部材である。
【選択図】図6

Description

本発明は、フォトリソグラフィ工程において塗布膜を形成するために、処理液が塗布された被処理基板に減圧環境下で乾燥処理を施す減圧乾燥装置及び減圧乾燥方法に関する。
例えばFPD(フラット・パネル・ディスプレイ)の製造においては、ガラス基板等の被処理基板に所定の膜を成膜した後、処理液であるフォトレジスト(以下、レジストと呼ぶ)を塗布してレジスト膜を形成し、回路パターンに対応してレジスト膜を露光し、これを現像処理するという、いわゆるフォトリソグラフィ工程により回路パターンを形成する。
前記レジスト膜の形成工程において、基板へのレジスト塗布後、減圧により塗布膜を乾燥させる減圧乾燥処理が行われる。
従来、このような減圧乾燥処理を行う装置としては、例えば図26の断面図に示す特許文献1に開示の減圧乾燥ユニットがある。
図26に示す減圧乾燥処理ユニットは、下部チャンバ151と、上部チャンバ152とが密着して、内部に処理空間が形成される。その処理空間には、被処理基板を載置するためのステージ153が設けられている。ステージ153には基板Gを載置するための複数の固定ピン156が設けられている。
この減圧乾燥処理ユニットにおいては、被処理面にレジスト塗布された基板Gが搬入されると、基板Gはステージ153上に固定ピン156を介して載置される。
次いで下部チャンバ151に上部チャンバ152が密着し、基板Gは気密状態の処理空間内に置かれた状態となる。
次いで、処理空間内の雰囲気が排気口154から排気され、所定の減圧雰囲気となされる。この減圧状態が所定時間、維持されることにより、レジスト液中のシンナー等の溶剤がある程度蒸発され、レジスト液中の溶剤が徐々に放出され、レジストに悪影響を与えることなくレジストの乾燥が促進される。
特開2000−181079号公報
ところで近年にあっては、FPD等に用いられるガラス基板が大型化し、減圧乾燥処理ユニットにおいても、ガラス基板を収容するチャンバが大型化している。
このため、チャンバ内の容積が増加し、所定圧までの減圧に時間を要していた。さらには、基板上に塗布されたレジスト液の量が増えるため、基板全面にわたり均一にレジスト液が乾燥するまで長時間を要し、生産効率が低下するという課題があった。
本発明は、前記したような事情の下になされたものであり、処理液が塗布された被処理基板に対し前記処理液の乾燥処理を行い、塗布膜を形成する減圧乾燥装置において、処理液の乾燥時間を短縮し、且つ均一な膜厚を得ることのできる減圧乾燥装置及び減圧乾燥方法を提供する。
前記した課題を解決するために、本発明に係る減圧乾燥装置は、処理液が塗布された被処理基板に対し前記処理液の減圧乾燥処理を行い、塗布膜を形成する減圧乾燥装置であって、被処理基板を収容し、処理空間を形成するチャンバと、前記チャンバ内に設けられ、前記被処理基板を保持する保持部と、前記チャンバ内に形成された排気口と、前記排気口からチャンバ内の雰囲気を排気する排気手段と、前記チャンバ内において、前記排気手段の動作により形成される気流の上流側であって、前記基板の側方に形成された給気口と、 前記給気口から不活性ガスをチャンバ内の処理空間に供給する給気手段と、前記チャンバ内に設けられ、前記排気手段の排気動作により、前記基板上面を一方向に流れる気流の流路を形成する整流手段とを備え、前記整流手段が、少なくとも前記保持部に保持された被処理基板の周縁下方空間を埋める整流部材であることに特徴を有する。
このように構成することにより、減圧乾燥処理の間、基板上面付近において、一方向に流れる気流を形成することができる。このため、基板に塗布された処理液の乾燥が促進され、より短時間に基板処理面に対し均一な乾燥処理を行うことができる。
また、前記した課題を解決するために、本発明に係る減圧乾燥方法は、前記減圧乾燥装置において、処理液が塗布された被処理基板に対し前記処理液の減圧乾燥処理を行い、塗布膜を形成する減圧乾燥方法であって、前記保持部に被処理基板を保持するステップと、前記排気手段により前記チャンバ内の処理空間を減圧すると共に、前記給気手段により前記チャンバ内に不活性ガスを給気するステップとを実行することに特徴を有する。
このような方法を実施することにより、減圧乾燥処理の間、チャンバ内の処理空間に気流を発生させることができ、基板に塗布された処理液の乾燥を促進することができる。
本発明によれば、処理液が塗布された被処理基板に対し前記処理液の乾燥処理を行い、塗布膜を形成する減圧乾燥装置において、処理液の乾燥時間を短縮し、且つ均一な膜厚を得ることのできる減圧乾燥装置及び減圧乾燥方法を得ることができる。
図1は、本発明に係る減圧乾燥装置を具備する塗布現像処理システムの平面図である。 図2は、図1の塗布現像処理システムの基板処理の流れを示すフローである。 図3は、塗布プロセス部の全体構成を示す平面図である。 図4は、塗布プロセス部の側面図である。 図5は、本発明に係る減圧乾燥装置の第一の実施形態として適用される減圧乾燥ユニットの平面図である。 図6は、図5のC−C矢視断面図である。 図7は、本発明に係る減圧乾燥装置の第二の実施形態として適用される減圧乾燥ユニットの平面図である。 図8は、図7のC−C矢視断面図である。 図9は、図7のD−D矢視断面図である。 図10は、本発明に係る減圧乾燥装置の第三の実施形態として適用される減圧乾燥ユニットの平面図である。 図11は、図10のC−C矢視断面図である。 図12は、本発明に係る減圧乾燥装置の第三の実施形態として適用される減圧乾燥ユニットの他の形態を示す断面図である。 図13は、本発明に係る減圧乾燥装置の第四の実施形態として適用される減圧乾燥ユニットの平面図である。 図14は、図13のC−C矢視断面図である。 図15は、本発明に係る減圧乾燥装置の第四の実施形態として適用される減圧乾燥ユニットの他の形態を示す断面図である。 図16は、本発明に係る減圧乾燥装置の第五の実施形態として適用される減圧乾燥ユニットの平面図である。 図17は、図16のC−C矢視断面図であって、基板を保持するステージが昇降する状態を示す図である。 図18は、図16のC−C矢視断面図であって、基板を保持するステージがチャンバ内上方に位置する状態を示す図である。 図19は、図16のC−C矢視断面図であって、基板を保持するステージがチャンバ内下方に位置する状態を示す図である。 図20は、実施例1で用いた減圧乾燥ユニットのチャンバ構造を示す図である。 図21は、比較例1で用いた減圧乾燥ユニットのチャンバ構造を示す図である。 図22は、比較例2で用いた減圧乾燥ユニットのチャンバ構造を示す図である。 図23は、実施例1の結果を示す図である。 図24は、比較例1の結果を示す図である。 図25は、比較例2の結果を示す図である。 図26は、従来の減圧乾燥ユニットの概略構成を示す断面図である。
以下、本発明にかかる一実施の形態につき、図に基づいて説明する。図1は、本発明に係る減圧乾燥装置を具備する塗布現像処理システムの平面図である。
この塗布現像処理システム10は、クリーンルーム内に設置され、たとえばLCD用のガラス基板を被処理基板とし、LCD製造プロセスにおいてフォトリソグラフィ工程中の洗浄、レジスト塗布、プリベーク、現像およびポストベーク等の一連の処理を行うものである。露光処理は、このシステムに隣接して設置される外部の露光装置12で行われる。
塗布現像処理システム10は、中心部に横長のプロセスステーション(P/S)16を配置し、その長手方向(X方向)両端部にカセットステーション(C/S)14とインタフェースステーション(I/F)18とを配置している。
カセットステーション(C/S)14は、基板Gを多段に積み重ねるようにして複数枚収容したカセットCを搬入出するポートであり、水平な一方向(Y方向)に4個まで並べて載置可能なカセットステージ20と、このステージ20上のカセットCに対して基板Gの出し入れを行う搬送機構22とを備えている。搬送機構22は、基板Gを保持できる手段たとえば搬送アーム22aを有し、X,Y,Z,θの4軸で動作可能であり、隣接するプロセスステーション(P/S)16側と基板Gの受け渡しを行えるようになっている。
プロセスステーション(P/S)16は、水平なシステム長手方向(X方向)に延在する平行かつ逆向きの一対のラインA,Bに各処理部をプロセスフローまたは工程の順に配置している。
即ち、カセットステーション(C/S)14側からインタフェースステーション(I/F)18側へ向うプロセスラインAには、搬入ユニット(IN PASS)24、洗浄プロセス部26、第1の熱的処理部28、塗布プロセス部30および第2の熱的処理部32が第1の平流し搬送路34に沿って、上流側からこの順序で一列に配置されている。
より詳細には、搬入ユニット(IN PASS)24はカセットステーション(C/S)14の搬送機構22から未処理の基板Gを受け取り、所定のタクトで第1の平流し搬送路34に投入するように構成されている。
洗浄プロセス部26には、第1の平流し搬送路34に沿って上流側から順にエキシマUV照射ユニット(E−UV)36およびスクラバ洗浄ユニット(SCR)38が設けられている。
第1の熱的処理部28には、上流側から順にアドヒージョンユニット(AD)40および冷却ユニット(COL)42が設けられている。塗布プロセス部30には、上流側から順にレジスト塗布ユニット(COT)44および、本発明に係る減圧乾燥装置としての減圧乾燥ユニット(VD)46が設けられている。
第2の熱的処理部32には、上流側からプリベークユニット(PRE−BAKE)48および冷却ユニット(COL)50が設けられている。
第2の熱的処理部32の下流側隣に位置する第1の平流し搬送路34の終点にはパスユニット(PASS)52が設けられている。
第1の平流し搬送路34上を平流しで搬送されてきた基板Gは、この終点のパスユニット(PASS)52からインタフェースステーション(I/F)18へ渡されるようになっている。
一方、インタフェースステーション(I/F)18側からカセットステーション(C/S)14側へ向う下流部のプロセスラインBには、現像ユニット(DEV)54、ポストベークユニット(POST−BAKE)56、冷却ユニット(COL)58、検査ユニット(AP)60および搬出ユニット(OUT PASS)62が第2の平流し搬送路64に沿って上流側からこの順序で一列に配置されている。
ここで、ポストベークユニット(POST−BAKE)56および冷却ユニット(COL)58は、第3の熱的処理部66を構成する。搬出ユニット(OUT PASS)62は、第2の平流し搬送路64から処理済みの基板Gを1枚ずつ受け取って、カセットステーション(C/S)14の搬送機構22に渡すように構成されている。
また、両プロセスラインA,Bの間には補助搬送空間68が設けられており、基板Gを1枚単位で水平に載置可能なシャトル70が図示しない駆動機構によってプロセスライン方向(X方向)で双方向に移動できるようになっている。
また、インタフェースステーション(I/F)18は、前記第1および第2の平流し搬送路34、64や隣接する露光装置12と基板Gのやりとりを行うための搬送装置72を有し、この搬送装置72の周囲にロータリステージ(R/S)74および周辺装置76を配置している。ロータリステージ(R/S)74は、基板Gを水平面内で回転させるステージであり、露光装置12との受け渡しに際して長方形の基板Gの向きを変換するために用いられる。周辺装置76は、例えばタイトラー(TITLER)や周辺露光装置(EE)等を第2の平流し搬送路64に接続している。
図2に、この塗布現像処理システムにおける1枚の基板Gに対する全行程の処理手順を示す。先ず、カセットステーション(C/S)14において、搬送機構22が、ステージ20上のいずれか1つのカセットCから基板Gを取り出し、その取り出した基板Gをプロセスステーション(P/S)16のプロセスラインA側の搬入ユニット(IN PASS)24に搬入する(図2のステップS1)。搬入ユニット(IN PASS)24から基板Gは第1の平流し搬送路34上に移載または投入される。
第1の平流し搬送路34に投入された基板Gは、最初に洗浄プロセス部26においてエキシマUVユニット(E−UV)36およびスクラバ洗浄ユニット(SCR)38により紫外線洗浄処理およびスクラビング洗浄処理を順次施される(図2のステップS2、S3)。
スクラバ洗浄ユニット(SCR)38は、平流し搬送路34上を水平に移動する基板Gに対して、ブラッシング洗浄やブロー洗浄を施すことにより基板表面から粒子状の汚れを除去し、その後にリンス処理を施し、最後にエアーナイフ等を用いて基板Gを乾燥させる。スクラバ洗浄ユニット(SCR)38における一連の洗浄処理を終えると、基板Gはそのまま第1の平流し搬送路34を下って第1の熱的処理部28に至る。
第1の熱的処理部28において、基板Gは、最初にアドヒージョンユニット(AD)40で蒸気状のHMDSを用いるアドヒージョン処理を施され、被処理面を疎水化される(図2のステップS4)。このアドヒージョン処理の終了後に、基板Gは冷却ユニット(COL)42で所定の基板温度まで冷却される(図2のステップS5)。この後も、基板Gは第1の平流し搬送路34を下って塗布プロセス部30へ搬入される。
塗布プロセス部30において、基板Gは最初にレジスト塗布ユニット(COT)44で平流しのままスリットノズルを用いるスピンレス法により基板上面(被処理面)にレジスト液を塗布され、直後に下流側隣の減圧乾燥ユニット(VD)46で減圧による常温の乾燥処理を受ける(図2のステップS6)。
塗布プロセス部30を出た基板Gは、第1の平流し搬送路34を下って第2の熱的処理部32に至る。第2の熱的処理部32において、基板Gは、最初にプリベークユニット(PRE−BAKE)48でレジスト塗布後の熱処理または露光前の熱処理としてプリベーキングを受ける(図2のステップS7)。
このプリベーキングによって、基板G上のレジスト膜中に残留していた溶剤が蒸発して除去され、基板に対するレジスト膜の密着性が強化される。次に、基板Gは、冷却ユニット(COL)50で所定の基板温度まで冷却される(図2のステップS8)。しかる後、基板Gは、第1の平流し搬送路34の終点のパスユニット(PASS)52からインタフェースステーション(I/F)18の搬送装置72に引き取られる。
インタフェースステーション(I/F)18において、基板Gは、ロータリステージ74で例えば90度の方向転換を受けてから周辺装置76の周辺露光装置(EE)に搬入され、そこで基板Gの周辺部に付着するレジストを現像時に除去するための露光を受けた後に、隣の露光装置12へ送られる(図2のステップS9)。
露光装置12では、基板G上のレジストに所定の回路パターンが露光される。そして、パターン露光を終えた基板Gは、露光装置12からインタフェースステーション(I/F)18に戻されると、先ず周辺装置76のタイトラー(TITLER)に搬入され、そこで基板上の所定の部位に所定の情報が記録される(図2のステップS10)。しかる後、基板Gは、搬送装置72よりプロセスステーション(P/S)16のプロセスラインB側に敷設されている第2の平流し搬送路64の現像ユニット(DEV)54の始点に搬入される。
こうして基板Gは、今度は第2の平流し搬送路64上をプロセスラインBの下流側に向けて搬送される。最初の現像ユニット(DEV)54において、基板Gは、平流しで搬送される間に現像、リンス、乾燥の一連の現像処理を施される(図2のステップS11)。
現像ユニット(DEV)54で一連の現像処理を終えた基板Gは、そのまま第2の平流し搬送路64に乗せられたまま第3の熱的処理部66および検査ユニット(AP)60を順次通過する。第3の熱的処理部66において、基板Gは、最初にポストベークユニット(POST−BAKE)56で現像処理後の熱処理としてポストベーキングを受ける(図2のステップS12)。
このポストベーキングによって、基板Gのレジスト膜に残存していた現像液や洗浄液が蒸発して除去され、基板に対するレジストパターンの密着性が強化される。次に、基板Gは、冷却ユニット(COL)58で所定の基板温度に冷却される(図2のステップS13)。検査ユニット(AP)60では、基板G上のレジストパターンについて非接触の線幅検査や膜質・膜厚検査等が行われる(図2のステップS14)。
搬出ユニット(OUT PASS)62は、第2の平流し搬送路64から全工程の処理を終えてきた基板Gを受け取って、カセットステーション(C/S)14の搬送機構22へ渡す。カセットステーション(C/S)14側では、搬送機構22が、搬出ユニット(OUT PASS)62から受け取った処理済みの基板Gをいずれか1つ(通常は元)のカセットCに収容する(図2のステップS15)。
この塗布現像処理システム10においては、塗布プロセス部30内の減圧乾燥ユニット(VD)46に本発明の減圧乾燥装置を適用することができる。
続いて、図3〜図6に基づき、本発明の減圧乾燥装置が適用される減圧乾燥ユニット(VD)46の第一の実施の形態を説明する。
図3は、塗布プロセス部30の全体構成を示す平面図である。図4は、塗布プロセス部30の側面図である。また、図5は減圧乾燥ユニット(VD)46の平面図、図6は、図5のC−C矢視断面図である。
図3、図4に示すように、塗布プロセス部30は、支持台80の上に、ノズル84を有するレジスト塗布ユニット(COT)44と、減圧乾燥ユニット(VD)46とが処理工程の順序に従い横一列に配置されている。支持台80の両側には一対のガイドレール81が敷設され、このガイドレール81に沿って平行移動する一組の搬送アーム82により、基板Gがレジスト塗布ユニット(COT)44から減圧乾燥ユニット(VD)46へ搬送できるようになされている。
前記レジスト塗布ユニット(COT)44は、前記したようにノズル84を有し、このノズル84は支持台80上に固定されたゲート83から懸垂状態で固定されている。このノズル84にはレジスト液供給手段(図示せず)から処理液であるレジスト液Rが供給され、搬送アーム82によってゲート83の下を通過移動する基板Gの一端から他端にわたりレジスト液Rを塗布するようになされている。
また、減圧乾燥ユニット(VD)46は、図4、図6に示すように、上面が開口している底浅容器型の下部チャンバ85と、この下部チャンバ85の上面に気密に密着可能に構成された蓋状の上部チャンバ86とを有している。
図3、図5に示すように下部チャンバ85は略四角形で、中心部には基板Gを水平に載置して吸着保持するための板状のステージ88(保持部)が配置されている。前記上部チャンバ86は、上部チャンバ移動手段87によって前記ステージ88の上方に昇降自在に配置されており、減圧乾燥処理の際には上部チャンバ86が下降して下部チャンバ85と密着し、ステージ88上に載置された基板Gを処理空間に収容した状態とされる。
また、前記ステージ88の下方(前記ステージ88によって保持される基板Gの下方)であって、前記下部チャンバ85の底面の二箇所には排気口89が設けられており、各排気口89に接続された排気管90は真空ポンプ91(排気手段)に通じている。そして、下部チャンバ85に前記上部チャンバ86を被せた状態で、チャンバ内の処理空間を前記真空ポンプ91により所定の真空度まで減圧できるようになっている。
また、略四角形の下部チャンバ85の底面において、その一辺の付近には、チャンバ内に不活性ガス(例えば窒素ガス)を供給し、チャンバ内雰囲気をパージするための給気口92が設けられている。図6に示すように、給気口92に接続された給気管96は、不活性ガス供給部97(給気手段)に接続されている。
前記給気口92からの不活性ガスの供給は、チャンバ内気圧が所定値(例えば400Pa以下)に達したとき、もしくは、チャンバ内が減圧開始されてから所定時間の経過後に開始される。これは、減圧により流量が減少するチャンバ内の気流を維持し、減圧乾燥処理の時間短縮に寄与させるためである。
尚、減圧乾燥処理の間、常に安定した気流を維持するために、不活性ガスの供給開始は、チャンバ内の減圧開始前、或いは同時に行ってもよい。
また、図5に示すように、下部チャンバ85の底面とステージ88との間において、前記排気口89の周囲には、平面視においてコの字形の整流板93(第一整流部材)が設けられている。この整流板93が設けられることにより、側部開口部93aと、この側部開口部93aから排気口89に連通する連通路93bが形成される。即ち、チャンバ内の雰囲気は、ステージ88(基板G)の下方に流れ込む際に、整流板93の側部開口部93aから連通路93bを流れ、排気口89から排気されるようになされている。
また、図5に示すように、前記整流板93は、その側部開口部93aが、前記給気口92とは(ステージ88を挟んで)反対方向に向いた状態で設置されている。このため、給気口92から供給された不活性ガスは、ステージ88に載置された基板Gの上方を一方向に流れて通過した後、排気口89から排気されるようになされている。
また、チャンバ内において、前記連通路93bの左右両側には、前記整流板93に隣接して、ステージ88上に保持された基板Gの下方空間を埋めるためのブロック部材95(第二整流部材)がそれぞれ設けられている。
さらには、下部チャンバ85内の左右両側の内壁には、前記ブロック部材95に隣接して、略角棒状のサイドバー部材94がそれぞれ設けられ、上部チャンバ86内の左右両側の内壁には、前記下部チャンバ85内のサイドバー部材94に対応してサイドバー部材98がそれぞれ設けられている。これらサイドバー部材94,98(第八整流部材)を設け、上部チャンバ86と下部チャンバ85とを閉じることにより、基板Gの左右側方の空間が埋められ、チャンバ内の処理空間において排気口89へと流れる気体流路が、基板G上方を通過するものに制限される。
このように構成された塗布プロセス部30においては、基板Gが搬入され搬送アーム82上に載置されると、搬送アーム82はレール81上を移動し、レジスト塗布ユニット(COT)44のゲート83下を通過移動する。その際、ゲート83に固定されたノズル84からは、その下を移動する基板Gに対しレジスト液Rが吐出され、基板Gの一辺から他辺に向かってレジスト液Rが塗布される。なお、レジスト液が基板Gの全面にわたり塗布された時点(塗布終了位置)では、基板Gは減圧乾燥ユニット(VD)46の上部チャンバ86の下に位置し、基板G全体が上部チャンバ86により覆われた状態となる。
次いで、基板Gは減圧乾燥ユニット(VD)46のステージ88に載置され、その上方から上部チャンバ移動手段87により下降移動する上部チャンバ86によって覆われる。そして基板Gは、上部チャンバ86と下部チャンバ85とが密着することにより形成された処理空間内に収容される。
さらに、この状態から真空ポンプ91が作動し、排気口89から排気管90を介して処理空間内の空気が吸引され、処理空間の気圧が所定の真空状態となるまで減圧される。これにより、基板Gに成膜されたレジスト液は加熱に依らず減圧乾燥が施される。
ここで、チャンバ内の気圧が所定値(例えば400Pa以下)に達する、もしくは、減圧開始から所定時間が経過すると、不活性ガス供給部97の駆動により給気口92から所定流量の不活性ガスがチャンバ内に供給される。これにより、減圧環境下であっても、チャンバ内における気流が維持される。
尚、給気口92からの不活性ガスの供給は、減圧開始前、或いは減圧開始と同時に行われるよう制御されてもよい。
この減圧乾燥処理工程において、前記のように整流手段として、整流板93、ブロック部材95及びサイドバー部材94、98が設けられているため、図6に示すように基板上面を一方向に流れる気流の流路が形成される。このため、給気口92から給気される不活性ガスの流れは、基板上面を通過し、整流板93の側部開口部93aから連通路93bを通り、排気口89から排気されるよう制限される。
したがって、基板上方には、減圧乾燥処理の間、基板Gの上面全体に対し均一な流量で気体が流れ続ける。その結果、基板上面に塗布されているレジスト液Rの乾燥速度が向上し、より短時間で減圧乾燥処理が行われる。
前記の減圧乾燥処理が終了すると、上部チャンバ移動手段87により上部チャンバ86が上昇移動し、基板Gは減圧乾燥ユニット(VD)46から次の処理工程に向け搬出される。
以上のように本発明の減圧乾燥装置に係る第一の実施形態によれば、減圧乾燥ユニット(VD)46において、チャンバ内の気流制御を行うことにより、減圧乾燥処理の間、基板Gの上面全体に対し一方向に均一な流量の気体を流し続けることができる。
したがって、減圧乾燥処理において、基板Gに塗布されているレジスト液Rからの蒸発物を効率的に排気することができ、レジスト液Rの乾燥速度を向上することができる。
尚、前記第一の実施の形態では、給気口92及び給気手段97を備える例を示したが、本発明にあっては、それに限定されず、図5、図6において、給気口92及び給気手段97を具備しない構成であっても本発明の効果を充分に得ることができる。即ち、給気を行わずとも、排気口89からの排気処理のみにより、チャンバ内の気体は基板Gの下方(及び側方)には流れず、全て基板上方を一方向に通って、排気口89へと流れる。したがって、その場合においても、基板上面に塗布されているレジスト液Rの乾燥速度を向上し、より短時間で減圧乾燥処理を行うことができる。
続いて、図7〜図9に基づき、本発明の減圧乾燥装置が適用される減圧乾燥ユニット(VD)46の第二の実施の形態を説明する。尚、この第二の実施の形態において、前記第一の実施形態との共通部分については、同じ符号で示し、その詳細な説明は省略する。また、排気並びに給気制御の実施形態は、第一の実施形態と同じであるため、その説明は省略する。
図7は、第二の実施の形態における減圧乾燥ユニット(VD)46の平面図、図8は図7のC−C矢視断面図、図9は図7のD−D矢視断面図である。
第二の実施形態において、減圧乾燥ユニット(VD)46は、前記第一の実施の形態と同様に、上面が開口している底浅容器型の下部チャンバ85と、この下部チャンバ85の上面に気密に密着可能に構成された蓋状の上部チャンバ86とを有している。
但し、図示するチャンバは、第一の実施形態において図5に示したサイドバー部材94,98(第八整流部材)を用いなくてもよいチャンバ形状、即ち、図7、図8に示すように基板Gの一両端部にチャンバ内壁(図では上部チャンバ86の内壁86a、86b)が近接する形状となされている。尚、基板G側方の空間が大きい場合には、図5に示したサイドバー部材94、98を用いるのが好ましい。
また、下部チャンバ85の中心部には第一の実施形態と同様にステージ88(保持部)が配置され、このステージ88を取り囲むように整流手段としてのブロック部材102(第三整流部材)が設けられている。このブロック部材102が設けられることにより、少なくとも基板Gの周縁下方空間が埋められた状態となっている。尚、図では基板Gが下部チャンバ85よりも高い位置で保持される例を示しているが、基板保持位置が下部チャンバ85内に収まるように、ブロック部材102を(下部チャンバ85内で掘り下げるように)形成してもよい。また、ブロック部材102は、下部チャンバ85と一体形成されてもよく、或いは別部材であってもよい。
また、第一の実施の形態では、基板Gの下方に排気口89が設けられていたが、第二の実施の形態では、図示するように複数(図では3つ)の排気口101が基板Gの側方に並んで設けられている。これら複数の排気口101と給気口92とは、基板Gを挟んだ状態で基板Gよりも下方位置に設けられている。
この構造により、ブロック部材102は、気流の基板下への流れ込みを防ぐ堰として機能する。即ち、図9に示すように、給気口92から給気された不活性ガスは、基板Gの下方(及び側方)を流れず、全て基板上方を一方向に通って、基板側方の排気口101へと流れる。
したがって、この第二の実施形態によっても、基板上方には、減圧乾燥処理の間、基板Gの上面全体に対し均一な流量で気体が流れ続け、その結果、基板上面に塗布されているレジスト液Rの乾燥速度が向上し、より短時間で減圧乾燥処理を行うことができる。
尚、前記第二の実施の形態では、給気口92及び給気手段97を備える例を示したが、本発明にあっては、それに限定されず、図7、図8において、給気口92及び給気手段97を具備しない構成であっても本発明の効果を充分に得ることができる。即ち、給気を行わずとも、排気口101からの排気処理のみにより、チャンバ内の気体は基板Gの下方(及び側方)には流れず、全て基板上方を一方向に通って、排気口101へと流れる。したがって、その場合においても、基板上面に塗布されているレジスト液Rの乾燥速度を向上し、より短時間で減圧乾燥処理を行うことができる。
続いて、図10、図11に基づき、本発明の減圧乾燥装置が適用される減圧乾燥ユニット(VD)46の第三の実施の形態を説明する。なお、この第三の実施の形態において、前記第一、第二の実施形態との共通部分については、同じ符号で示し、その詳細な説明は省略する。
図10は、第三の実施の形態における減圧乾燥ユニット(VD)46の平面図、図11は図10のC−C矢視断面図である。
この第三の実施形態において図示する減圧乾燥ユニット(VD)46の構成においては、前記第二の実施の形態で示された給気口92及び不活性ガス供給部97(給気手段)を具備せず、また、チャンバ内に設けられた整流手段の形態が異なる。
即ち、整流手段として、前記第二の実施の形態に示したブロック部材102ではなく、図11に示すように、複数(図では3つ)の排気口101が形成されたブロック部材104(第四整流部材)と、基板Gを挟んでブロック部材104の反対側に設けられたブロック部材103(第四整流部材)を備えている。
より詳しくは、図示するように排気口101は、ブロック部材104において、保持された基板Gの縁部近傍に形成されている。また、前記排気口101が形成された側の基板縁部の下方空間は、前記ブロック部材104により埋められ、基板Gを挟んで排気口101の反対側の基板縁部の下方空間は、前記ブロック部材103により埋められた状態となっている。尚、ブロック部材103、104は、下部チャンバ85と一体形成されてもよく、或いは別部材であってもよい。
この構造により、図11に示すように、チャンバ内の気体は、基板Gの下方(及び側方)を流れず、全て基板上方を一方向に通って、排気口101へと流れる。
したがって、この第三の実施形態によっても、基板上方には、減圧乾燥処理の間、基板Gの上面全体に対し均一な流量で気体が流れ続け、その結果、基板上面に塗布されているレジスト液Rの乾燥速度が向上し、より短時間で減圧乾燥処理を行うことができる。
尚、この第三の実施の形態において、第四整流部材を別々のブロック部材103、104に分け、ステージ88の下方に空間が形成されている例を示したが、ブロック部材103、104を1つのブロック部材で形成し(図示せず)、ステージ88の下方空間を埋めるようにしてもよい。
また、この第三の実施の形態において、図10、11に示した例にあっては、第二の実施形態で示したような給気口92及び不活性ガス供給部97(給気手段)を具備しないものであったが、基板Gを挟んで排気口101の反対側の基板側方に前記給気口92を設けてもよい(図11におけるブロック部材103の外側付近等)。
また、給気口92及び不活性ガス供給部97(給気手段)を設ける場合、図12に示すように、ブロック部材105(第五整流部材)に排気口101及び給気口92を形成し、それらが互いに基板Gを挟んで基板側方(基板縁部近傍)に配置されていてもよい。尚、図12では、第五整流部材を1つのブロック部材105とし、ステージ88の下方空間が埋められる例を示しているが、排気口101側の基板縁部の下方空間と、給気口92側の基板縁部の下方空間とが少なくとも埋められていればよい。即ち、例えば、排気口101と給気口92とが、それぞれ異なるブロック部材(第五整流部材)に形成され、ステージ88の下方に空間が形成されていてもよい。
続いて、図13、図14に基づき、本発明の減圧乾燥装置が適用される減圧乾燥ユニット(VD)46の第四の実施の形態を説明する。なお、この第四の実施の形態において、前記第一乃至第三の実施形態との共通部分については、同じ符号で示し、その詳細な説明は省略する。
図13は、第四の実施の形態における減圧乾燥ユニット(VD)46の平面図、図14は図13のC−C矢視断面図である。
第四の実施形態において、減圧乾燥ユニット(VD)46は、前記第二の実施の形態とはチャンバ内に設けられた整流手段のみが異なる。
即ち、前記第二の実施の形態に示したブロック部材102ではなく、図13、図14に示すように、排気口101とは基板Gを挟んで反対側における基板縁部の下方空間を少なくとも埋める整流手段としてのブロック部材106(第六整流部材)が設けられている。
尚、ブロック部材106は、下部チャンバ85と一体形成されてもよく、或いは別部材であってもよい。
この構造により、図14に示すように、給気口92から給気された不活性ガスは、基板Gの下方(及び側方)を流れず、全て基板上方を一方向に通って、排気口101へと流れる。
したがって、この第四の実施形態によっても、基板上方には、減圧乾燥処理の間、基板Gの上面全体に対し均一な流量で気体が流れ続け、その結果、基板上面に塗布されているレジスト液Rの乾燥速度が向上し、より短時間で減圧乾燥処理を行うことができる。
尚、前記第四の実施の形態では、給気口92及び給気手段97を備える例を示したが、本発明にあっては、それに限定されず、図13、図14において、給気口92及び給気手段97を具備しない構成であっても本発明の効果を充分に得ることができる。即ち、給気を行わずとも、排気口101からの排気処理のみにより、チャンバ内の気体は基板Gの下方(及び側方)には流れず、全て基板上方を一方向に通って、排気口101へと流れる。したがって、その場合においても基板上面に塗布されているレジスト液Rの乾燥速度を向上し、より短時間で減圧乾燥処理を行うことができる。
また、前記第四の実施の形態において、給気口92は、下部チャンバ85の底部に設けられている例を示したが、本発明にあっては、その構成に限定されるものではない。即ち、給気口92側の基板縁部の下方空間が埋められていればよく、例えば、図15に示すように給気口92をブロック部材106(第七整流部材)に形成し、給気口92を基板Gの近傍に配置するようにしてもよい。
続いて、図16〜図19に基づき、本発明の減圧乾燥装置が適用される減圧乾燥ユニット(VD)46の第五の実施の形態を説明する。
なお、この第五の実施形態にあっては、前記した第一乃至第四の実施形態とは異なり、基板Gを保持するステージが昇降可能な構成であることに特徴を有するが、前記した実施形態との共通部分については、同じ符号で示し、その詳細な説明は省略する。
図16は、第五の実施の形態における減圧乾燥ユニット(VD)46の平面図である。また、図17乃至図19はそれぞれ図16のC−C矢視断面図であって、基板Gを保持するステージが昇降移動することにより、その高さが異なる状態を示している。
図示するように、減圧乾燥ユニット(VD)46の下部チャンバ85には、複数の排気口101と1つの給気口92とが、基板Gを挟んだ状態で基板Gよりも下方位置に設けられている。
また、給気口92から不活性ガスを給気する際、基板Gの上面に多量の不活性ガスを流すために、図19に示すようにステージ88はチャンバ内の下方に配置される。その状態において、排気口101とは基板Gを挟んで反対側における基板縁部の下方空間は、整流手段としてのブロック部材107,108(第六整流部材)によって埋められるようになされている。
さらに、図16に示すように、前記ブロック部材107,108の左右両側には、基板Gの左右側方に壁を形成し、基板側方への不活性ガスの流れを抑制するためのサイドバー部材109(第八整流部材)が設けられている。
尚、このサイドバー部材109は、図示するように棒状(若しくは板状)に形成されて、基板Gの左右側方の空間を遮るようにして設けてもよく、或いは、基板Gの左右側方の空間を埋めるようにして設けてもよい。
また、このサイドバー部材109は、基板G上に気流を形成しやすくするために、少なくとも基板Gの左右側辺の長さよりも長く形成される。
ここで、図示するようにサイドバー部材109の端部(特に排気口101側)は、チャンバ内壁に接することなく設けられてもよい。この場合、基板Gの左右側方の空間の一部が遮られた状態となるが、基板側方への不活性ガスの流れを十分に抑制することができる。
また、図16に示した例に限らず、サイドバー部材109を、その両端部が相対向するチャンバ内壁に接する長さに形成し、基板Gの左右側方の空間を全て遮る(埋める)構成としてもよい。
また、図17に示すように、基板Gを保持するステージ88は、例えばモータを駆動源とするボールねじ機構により構成された昇降装置99(昇降手段)によって昇降移動可能となされている。
この昇降装置99が設けられることにより、基板Gの搬入出の際には、上部チャンバ86が上昇してチャンバが開き、ステージ88が下部チャンバ85の上面高さ付近まで上昇移動される。この状態で、基板Gは例えば搬送アーム82によりステージ88上から搬入出される。
一方、減圧乾燥処理の際には、チャンバが閉じられた状態で、最初に図18に示すように、ステージ88は昇降装置99の駆動により、チャンバ内の上方位置まで上昇移動し、停止する。
次いで、真空ポンプ91が作動し、排気口101から処理空間内の空気が吸引され、処理空間の気圧が所定の真空状態となるまで減圧される。ここで、基板Gの上面は上部チャンバ86の下面に近接しており、基板Gの上面には殆ど雰囲気の流れが生じない状態となされる。これにより、基板Gに成膜されたレジスト液Rは減圧による自然乾燥が最初に施され、転写跡などの発生が抑制される。
ここで、チャンバ内の気圧が所定値(例えば400Pa以下)に達する、もしくは、減圧開始から所定時間が経過すると、ステージ88は、昇降装置99の駆動により、図19に示すようにチャンバ内の下方位置まで下降移動し、停止する。
次いで、不活性ガス供給部97の駆動により給気口92から所定流量の不活性ガスがチャンバ内に供給される。これにより、減圧環境下であっても、チャンバ内における気流が維持される。
また、整流手段としてのブロック部材107,108及びサイドバー部材109が設けられているため、給気口92から給気された不活性ガスは、基板Gの下方及び側方を流れず、基板上方を一方向に通って排気口101へと流れる。これにより、基板上面に塗布されているレジスト液Rの乾燥速度が向上し、短時間での減圧乾燥処理が行われると共に、乾燥状態がより均一化される。
このように第五の実施の形態によれば、基板G上のレジスト液Rを最初に自然乾燥させた後、基板Gの上面全体に対し均一な流量で不活性ガスを流すことができ、レジスト膜における転写跡等の発生を抑制できると共に、レジスト膜の乾燥状態を均一化することができる。
尚、前記第五の実施の形態では、給気口92及び給気手段97を備える例を示したが、本発明にあっては、それに限定されず、図16乃至図19において、給気口92及び給気手段97を具備しない構成であっても本発明の効果を十分に得ることができる。即ち、給気を行わずとも、排気口101からの排気処理のみにより、チャンバ内の気体は基板Gの下方(側方)には流れず、基板上方を一方向に通って、排気口101へと流れる。したがって、その場合においても基板上面に塗布されているレジスト液Rの乾燥速度を向上し、より短時間で減圧乾燥処理を行うことができる。
また、前記第一乃至第五の実施の形態において、排気口として、基板Gよりも下方位置に2つの排気口89(第一の実施形態)、或いは3つの排気口101(第二、第三、第四、第五の実施形態)を示したが、その数や配列(レイアウト)は限定されるものではない。
また、排気口101は、処理空間の底面に形成した例を示したが、それに限定されず、チャンバ内壁等に形成されていてもよく、また、基板Gの側方において、基板Gの高さ位置近傍であれば、基板Gよりも多少上方に形成されていてもよい。
さらに排気口89、101の形状は、正円形を示したが、それに限定されず、長穴、方形等、他の形状であってもよい。
また、給気口92は、処理空間の底面に形成された例を示したが、それに限定されず、基板Gより下の高さ位置であればよい(例えば、下部チャンバ85の内壁部等)。
或いは、排気口89、101、及び給気口92はそれぞれ、チャンバに設けた穴ではなく、ノズル型の口でもよい。
また、前記第一乃至第五の実施の形態において、基板Gは、減圧乾燥ユニット(VD)46に対し、搬送アーム82により搬入出がなされる例を示したが、それに限定されず、コロ搬送により基板搬入出を行う構造にも本発明の減圧乾燥装置を適用することができる。
続いて、本発明に係る減圧乾燥装置について、実施例に基づきさらに説明する。本実施例では、前記実施の形態(第一の実施形態)に示した構成の減圧乾燥装置を用い、実際に実験を行うことにより、その効果を検証した。
この実験では、図20に示す構成の減圧乾燥ユニット(減圧乾燥装置)を用いて減圧乾燥処理を行い、さらに現像処理(90sec)を施した結果から、基板上に形成される気体の流量と、減圧乾燥時間、及び残膜率との関係について検証した(実施例1)。ここで残膜率とは、現像前のレジスト膜厚に対する現像後のレジスト膜厚の割合(%)である。
尚、図20は、前記実施の形態と同様に、平面視コの字形状の整流板と、ブロック部材とサイドバー部材とが設けられた減圧乾燥ユニットのチャンバ構造を示し、前記実施の形態で示した部材に対応するものは同じ符号で示す。図20(a)は下部チャンバの平面図、図20(b)はそのD−D矢視断面図である。また、図20(b)においては、上部チャンバによるチャンバ天井部分も示している。
また、比較例1として、図21(a)の平面図、図21(b)のD−D矢視断面図に示すように、コの字形状の整流板を設けると共に、基板Gを複数のピン120により支持し、基板Gとステージとの間に隙間を設けた構造の減圧乾燥ユニットを用い、実施例1と同様に減圧乾燥処理及び現像処理を行った。尚、この場合、ピン120で基板を支持することにより、基板とチャンバ天井部との間の距離寸法が5mmとなり、実施例1の場合(15mm)に比べて小さくなった。
また、比較例2として、図22(a)の平面図、図22(b)のD−D矢視断面図に示すように、コの字形状の整流板を設けると共に、実施例1と同様にステージ上に基板Gを載置する構造の減圧乾燥ユニットを用い、実施例1と同様に減圧乾燥処理及び現像処理を行った。尚、この比較例2にあっては、実施例1の減圧乾燥ユニットの構成と異なり、ブロック部材95及びサイドバー部材94,98を具備していない。
実施例1の結果として、減圧乾燥中における気圧100Pa、流量11L/min時の基板上の気体の流線跡を図23(a)の斜視断面図に示し、現像処理後の基板上における残膜率の分布を図23(b)に示す。
また、比較例1の結果として、減圧乾燥中における気圧100Pa、流量11L/min時の基板上の気体の流線跡を図24(a)の斜視断面図に示し、現像処理後の基板上における残膜率の分布を図24(b)に示す。
さらに、比較例2の結果として、減圧乾燥中における気圧100Pa、流量11L/min時の基板上の気体の流線跡を図25(a)の斜視断面図に示し、現像処理後の基板上における残膜率の分布を図25(b)に示す。
図23(a)に示すように実施例1では、基板上面に多くの気体が流れていることが確認された。また、図23(b)に示すように、現像後の残膜率は、基板上面において略均一に高い値が得られた。また、減圧乾燥処理に要する時間は、約16secと短時間であった。
一方、図24(a)に示すように比較例1では、基板上面に流れる気体の流量が少ないことが確認された。これは、基板Gをピン120で支持しており、基板Gと上部チャンバ86との隙間距離が小さい上、基板Gの下方に空間が生じ、基板下を流れる気体の流量が多いためと考えられた。また、基板Gの左右側方の空間に多くの気流が形成された。また、図24(b)に示すように、現像後の残膜率は、基板上面において全体的に低く、不均一となった。また、減圧乾燥処理に要する時間は、約28secであった。
また、図25(a)に示すように比較例2では、比較例1に比べ、基板上面を流れる気体の流量が増加したことが確認された。これは、基板Gとステージ88との隙間が無く、基板G上方の空間が広くなったためである。また、基板Gの左右側方の空間に多くの気流が形成された。このため、実施例1よりも基板上を流れる気体の流量が減少したものと考えられた。また、図25(b)に示すように、現像後の残膜率分布の均一性は、比較例1に比べ、基板上面全体において格段に向上したが、実施例1ほどではなかった。また、減圧乾燥処理に要する時間は、約21secとなり、比較例1よりも約7sec短縮された。
以上の実施例の結果、本発明の減圧乾燥装置によれば、レジスト等の処理液の乾燥時間を短縮し、且つ均一な膜厚を得ることができると確認した。

Claims (8)

  1. 処理液が塗布された被処理基板に対し前記処理液の減圧乾燥処理を行い、塗布膜を形成する減圧乾燥装置であって、
    被処理基板を収容し、処理空間を形成するチャンバと、
    前記チャンバ内に設けられ、前記被処理基板を保持する保持部と、
    前記チャンバ内に形成された排気口と、
    前記排気口からチャンバ内の雰囲気を排気する排気手段と、
    前記チャンバ内において、前記排気手段の動作により形成される気流の上流側であって、前記基板の側方に形成された給気口と、
    前記給気口から不活性ガスをチャンバ内の処理空間に供給する給気手段と、
    前記チャンバ内に設けられ、前記排気手段の排気動作により、前記基板上面を一方向に流れる気流の流路を形成する整流手段とを備え、
    前記整流手段が、少なくとも前記保持部に保持された被処理基板の周縁下方空間を埋める整流部材であることを特徴とする減圧乾燥装置。
  2. 前記整流部材には、前記排気口が形成され、
    前記排気口は、前記保持部に保持された被処理基板の縁部近傍に形成され、
    前記整流部材により、前記排気口側の基板縁部の下方空間と、前記基板を挟んで前記排気口の反対側の基板縁部の下方空間とが少なくとも埋められることを特徴とする請求項1に記載された減圧乾燥装置。
  3. 前記整流部材には、前記排気口と前記給気口とが形成され、
    前記排気口と給気口とは、前記保持部に保持された被処理基板を挟んで該基板の周縁近傍にそれぞれ形成され、
    前記整流部材により前記排気口側の基板縁部の下方空間と、前記基板を挟んで前記排気口の反対側の基板縁部の下方空間とが少なくとも埋められることを特徴とする請求項1に記載された減圧乾燥装置。
  4. 前記排気口は、前記被処理基板の側方に形成され、
    前記整流部材により、前記排気口に対し、前記保持部に保持された被処理基板を挟んで反対側の基板縁部の下方空間を少なくとも埋めることを特徴とする請求項1に記載された減圧乾燥装置。
  5. 前記排気口は、前記被処理基板の側方に形成され、
    前記整流部材には、前記給気口が形成され、
    前記整流部材において、前記給気口は、前記保持部に保持された被処理基板を挟んで前記排気口の反対側に形成され、
    前記整流部材により前記給気口側の基板縁部の下方空間が少なくとも埋められることを特徴とする請求項1に記載された減圧乾燥装置。
  6. 前記請求項1乃至請求項5のいずれかに記載された減圧乾燥装置において、処理液が塗布された被処理基板に対し前記処理液の減圧乾燥処理を行い、塗布膜を形成する減圧乾燥方法であって、
    前記保持部に被処理基板を保持するステップと、
    前記排気手段により前記チャンバ内の処理空間を減圧すると共に、前記給気手段により前記チャンバ内に不活性ガスを給気するステップとを実行することを特徴とする減圧乾燥方法。
  7. 前記排気手段により前記チャンバ内の処理空間を減圧すると共に、前記給気手段により前記チャンバ内に不活性ガスを給気するステップにおいて、
    前記チャンバ内の減圧開始前、或いは同時に、チャンバ内に給気開始することを特徴とする請求項6に記載された減圧乾燥方法。
  8. 前記排気手段により前記チャンバ内の処理空間を減圧すると共に、前記給気手段により前記チャンバ内に不活性ガスを給気するステップにおいて、
    前記チャンバ内の処理空間を減圧開始するステップと、
    前記チャンバ内の気圧が減圧されて所定値に達したとき、もしくは、前記チャンバ内の減圧開始から所定時間が経過したときに、前記チャンバ内に不活性ガスを給気するステップとを実行することを特徴とする請求項6に記載された減圧乾燥方法。
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