JP2010177229A - 薄膜形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】薄膜担持体に担持された薄膜材料を基板に転写することで基板に薄膜を形成する薄膜形成装置において、薄膜形成のための減圧を効率的に行うことができ、しかもメンテナンス性に優れた装置を提供する。
【解決手段】処理チャンバ1の側面を構成する着脱自在のパネル状部材である裏板16に、処理チャンバ1と真空ポンプとを連通接続するための排気口161を設ける。転写ユニットが取り付けられる天板11および底板19には排気口およびこれにつながる配管を設けないことにより、メンテナンス性を向上させる。排気口161を複数、しかも略等間隔に配することによって、減圧処理時の処理チャンバ内の気圧の不均衡を抑制することができる。
【選択図】図3

Description

この発明は、基板に薄膜を形成する薄膜形成装置に関するものである。なお、薄膜が形成される基板としては、半導体ウエハ、フォトマスク用ガラス基板、液晶表示用ガラス基板、プラズマ表示用ガラス基板、FED(Field Emission Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板などの各種基板が含まれる。
半導体ウエハや液晶表示用ガラス基板などの基板の表面に薄膜を形成する技術として、近年、シートフィルム上に形成した薄膜を基板表面に加圧転写するものが提案されている。例えば、特許文献1に記載の技術においては、減圧された処理容器の内部で、薄膜材料を含む塗布液を塗布されたシートフィルムと、薄膜形成対象である基板とを一対の平行プレート間に挟みこんで加圧・加熱することにより、基板表面に薄膜材料を転写させている。
特許文献1に記載の薄膜形成装置においては、内部が薄膜形成室となった処理容器の側面底部に排気口が設けられて圧力制御ユニットが接続されるとともに、処理容器の底部に圧力計が設けられて、薄膜形成室内の圧力が監視されている。
特許第3883929号公報(例えば、段落0014、図1)
特許文献1に記載された装置のように、基板とシートフィルムとを重ね合わせて加圧することで薄膜を基板に転写する薄膜形成装置において要求される真空度は例えば数Pa程度であり、これは基板処理装置の真空処理容器において要求される一般的な真空度と比べると低度のものである。その一方、この種の薄膜形成装置では、基板とシートフィルムとを挟む上下プレートの平行度を確保することが重要となっており、そのために位置調整等のメンテナンスを容易に行えることが要求されている。
このように、薄膜形成装置においては、処理容器に対して求められる性能が他の装置とは異なっているにもかかわらず、処理チャンバの構造まで含めた薄膜形成装置の構成については、これまであまり検討されてこなかった。
この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、例えばシートフィルムのような薄膜担持体に担持された薄膜材料を基板に転写することで基板に薄膜を形成する薄膜形成装置であって、薄膜形成のための減圧を効率的に行うことができ、しかもメンテナンス性に優れた装置を提供することを目的とする。
この発明にかかる薄膜形成装置は、上記目的を達成するため、離当接可能に構成された上側ブロックと下側ブロックとの間に、表面に薄膜材料を塗布された薄膜担持体と基板とを挟み込むことにより、前記薄膜材料を前記基板表面に転写させる転写ユニットと、前記上側ブロックおよび前記下側ブロックを内部に収容する処理チャンバと、前記処理チャンバ内を減圧する減圧手段とを備え、前記処理チャンバは、前記上側ブロックを支持する上側プレート部と、前記下側ブロックを支持する下側プレート部とを、側面に開口を有する連結部によって連結した構造を有するチャンバ主部と、前記減圧手段に連通する排気口を穿設され、前記連結部に対し該連結部の開口を塞ぐように取り付けられた側面パネル部材とを備えることを特徴としている。
このように構成された発明では、転写ユニットを支持するためのチャンバ主部とは別体の側面パネル部材に、減圧手段に連通する排気口を設けている。転写ユニットを取り付けられたチャンバ主部においては、その上面と下面には転写ユニットを構成する部品等が取り付けられるため排気口を設けるのが難しく、またその穿設位置が制約されるため、減圧時の処理チャンバ内の気圧が不均衡となり薄膜担持体や薄膜に悪影響を与える可能性がある。また、排気口に接続される配管等が処理チャンバの上面や下面に設けられると、転写ユニットへのアクセスに干渉してそのメンテナンス性を低下させることがある。
このような問題に対し、この発明では、チャンバ主部とは別体の側面パネル部材に排気口を設けている。チャンバ側面では転写ユニットの構造に起因する制約が少なく、また排気口に接続される配管等が処理チャンバの上下面に取り付けられた転写ユニットに干渉することがないので、薄膜形成のための減圧を効率的に行うことができ、しかもメンテナンス性に優れた装置を構成することができる。
この発明においては、前記側面パネル部材が前記連結部に対し着脱自在となっていることがより好ましい。このようにするとさらにメンテナンス性が向上し、また、側面パネル部材の変更により、排気系統の仕様変更にも柔軟に対応することができる。なお、パネルを着脱自在とすることで処理チャンバ内の真空度が低下するとの懸念があるが、前述したようにこの種の薄膜形成装置に要求される真空度はさほど高くなく、適宜のシール部材を介して側面パネル部材を取り付けることにより、必要な真空度を確保することが可能である。
また、前記処理チャンバ内において前記転写ユニットと前記排気口との間を遮蔽するように設けられ、前記減圧手段の動作に伴い前記排気口に向かう気流を制御する整流部材をさらに有するようにしてもよい。こうすることで、減圧処理時の処理チャンバ内の圧力の不均衡に起因する薄膜担持体や薄膜への悪影響を未然に防止することができる。また、排気口を処理チャンバの側面に設けているため整流部材についても処理チャンバ側面近傍に設けられることになるが、処理チャンバの側面では転写ユニットと干渉することなく面積の大きな整流部材を配置することができるので、整流効果を高めることができる。この場合において、前記整流部材が前記側面パネル部材に取り付けられてもよい。このようにすると、処理チャンバ内への整流部材の設置が側面パネル部材とともに行われることとなるので、組み立てが容易となる。また整流部材と側面パネル部材との間隔を高精度に規定することができる。特に側面パネル部材を着脱自在とした場合には、側面パネル部材の取り外しによって整流部材も処理チャンバから取り外されるため、チャンバ内部のメンテナンスの利便性も向上する。
また、整流部材を設けるのに代えて、あるいは整流部材の使用と併せて、前記側面パネル部材に複数の前記排気口を穿設するようにしてもよい。こうして処理チャンバから排気される気体を複数の排気口に分散させるすることによっても、減圧処理時の処理チャンバ内の気流を整流することが可能であり、圧力の不均衡に起因する薄膜担持体や薄膜への悪影響を未然に防止することができる。この場合において、前記複数の排気口は前記側面パネル部材上で略等間隔に分散配置されてもよい。こうすると、処理チャンバ内で圧力の不均衡が生じるのを抑制することができる。
さらに、処理チャンバ内の圧力を計測する圧力計が側面パネル部材に取り付けられてもよい。圧力計についても側面パネル部材に集約することによって、転写ユニットに対するメンテナンス性をさらに向上させることができる。
この発明によれば、転写ユニットについてはチャンバ主部に取り付ける一方、減圧手段と連通されて処理チャンバ内を減圧するための排気口についてはチャンバ主部側面の開口を覆うように設けられた側面パネル部材に穿設されている。チャンバ側面では転写ユニットの構造に起因する制約が少なく、また排気口に接続される配管等が処理チャンバの上下面に取り付けられた転写ユニットに干渉することがないので、薄膜形成のための減圧を効率的に行うことができ、しかもメンテナンス性に優れた装置を構成することができる。
この発明にかかる薄膜形成装置の一実施形態を示す図である。 処理チャンバの構造を示す第1の分解斜視図である。 処理チャンバの構造を示す第2の分解斜視図である。 裏板と排気管との接続を示す図である。 この発明にかかる薄膜形成装置の転写ユニットの構成を示す図である。 リング体およびリング体を挟持する構成を説明するための断面図である。 図5のA−A’切断面を上方から見たときの薄膜形成装置を示す図である。 突き上げピンと下クランプとが係合した状態を示した図である。 突き上げピンの構造を示す図である。 排気口を複数設けた場合の効果を説明するための図である。 整流板を設けた変形例を示す図である。 位置調整機構の他の例を示す図である。
図1はこの発明にかかる薄膜形成装置の一実施形態を示す図である。この薄膜形成装置は、半導体ウエハなどの基板の表面に例えばSOG(Spin-On-Glass)などの薄膜を形成するための装置である。この装置では、処理チャンバ1の内部に形成される処理空間内に後述する転写ユニットが設置されており、基板表面への薄膜形成は、減圧された処理空間内でこの転写ユニットにより行われる。最初に処理チャンバ1の構成について説明する。説明の便宜上、図1に示すようにX、Y、Zの各方向を定義する。
図2および図3は処理チャンバの構造を示す分解斜視図である。処理チャンバ1では、図2に示すように、例えばステンレス製で断面L字形状のアングル101を組み合わせて各辺を構成された直方体形状のフレーム10の上部に、例えばステンレス製の上板11が固着されている。各辺を構成するアングル101同士の継ぎ目、およびフレーム10と上板11との間は例えば溶接により隙間のないように接合されている。また溶接後のアングル101同士の継ぎ目の外面は研磨により平滑に仕上げられている。
フレーム10を構成するアングル101のうち側面に当たる部分には、後述する側板等を取り付けるために、複数の雄ネジ102が外側に向けて立設されている。一方、フレーム10の底部となる面には、底板19と締結するネジを挿通するための複数の貫通孔103が穿設されている。上板11には、後述する転写ユニットやその他の部品を取り付けるための複数の取り付け孔や切り欠き等の加工がなされている。
こうして上板11と一体化されたフレーム10は、上面が略水平面となるよう装置フレーム99(図1)に取り付けられた底板19上に、弾性を有する例えばシリコーンゴム製のシール部材198を挟んで載置される。底板19にはネジ孔195がフレーム10の貫通孔103に対応して設けられており、フレーム10の貫通孔103に挿通された複数のネジ199によりフレーム10と底板19とが締結される。なお、底板19のネジ孔195は側面にネジ溝が螺刻されているが、底板19の下面まで貫通していない。このため、底板19に対するフレーム10の取り付けや取り外し作業を上部側から行うことができるとともに、ネジ孔195を介した空気漏れが防止される。また、底板19には、後述する転写ユニットの支持軸を挿通するための貫通孔191や該ユニットを取り付けるためのネジ孔等が穿設されている。
こうして、上板11、フレーム10および底板19が一体化される。以下の説明では、上板11、フレーム10および底板19を上記のように一体化してなる組立体を「チャンバ主部」と称する。ここまでの状態では、直方体形状のフレーム10のうち上面、下面がそれぞれ上板11、底板19によって塞がれ、これらを除く他の4面が大きく開口した状態となっている。言い換えると、底板19から直立する4本の柱(アングル101)によって上板11がその四隅で底板19と平行に支持されている。さらに見方を変えると、アングル101を梁および柱として組まれた直方体のフレーム10の上下に、上板11と底板19とをそれぞれ取り付けた構造となっているとも言える。
こうして一体化されたチャンバ主部の4つの側面に対し、図3に示すように、それぞれが例えばステンレス板により形成された側面パネル部材としての前板13、一対の側板14および裏板16がそれぞれシール部材137、147、167を挟んで装着される。なお、図3では一対の側板14のうち1枚のみを示し他方を省略しているが、図示した側板14と同一構造のもう1枚の側板がフレーム10の他の一面に装着される。
シールの詳細を裏板16を例にして説明する。裏板16の周縁部に設けられたネジ止め用の貫通孔165同士を結んだ仮想線よりも内側に環状の溝166を形成し、この溝に例えばゴム製でリング状のOリングにより構成されたシール部材167を嵌め込んでフレーム10に取り付けることにより空気漏れを防止している。シール部材として、底板19とフレーム10との間に介挿されたシート状のシール部材198と同様の構造のものを用いてもよい。ただし、特に着脱を行う頻度が高い場合には、着脱の繰り返しに伴うシール部材の変形や劣化を抑え、また作業性も良好であるという点で、シール部材をOリングにより構成することが好ましい。
前板13には、後述する転写ユニットに対し基板をY方向に出し入れするための開口部134が設けられており、この開口部134に対し開閉自在の扉131が取り付けられている。扉131の周縁部にはパッキン132が取り付けられる一方、前板13の開口部134近傍にはロック機構133が設けられており、扉131が閉じた状態で扉131と前板13との隙間からの空気漏れが防止されている。また、前板13の周縁部には複数の貫通孔135が穿設されており、フレーム10に立設された雄ネジ102がこの貫通孔135に挿通され、雌ネジ139によって前板13がフレーム10の前面に固定される。前板13とフレーム10との間には、上記した裏板16の場合と同様にOリングにより構成されたシール部材137が設けられている。フレーム10に雄ネジ102を立設しておき、前板13の上から雌ネジ139によって固定する構造とすることで、ネジ孔周辺からの空気漏れを防止することができる。同様に、側板14もOリングにより構成されたシール部材147を挟んでフレーム10に取り付けられ、雌ネジ149によってフレーム10の側面に固定される。
裏板16も同様に、シール部材167を挟んでフレーム10の後面に雌ネジ169によって固定されている。裏板16には、後述する排気管を取り付けるための排気口161が設けられている。この実施形態では、裏板16に複数個(この例では6個)の排気口161がほぼ等間隔に配置されている。
図4は裏板と排気管との接続を示す図である。排気口161は裏板16の背面に向かって貫通しており、各排気口のそれぞれには排気管9511が連通接続されている。各排気管9511は1本の排気管951に統合されており、この排気管951は後述する真空ポンプ95に連通接続されている。真空ポンプ95が作動すると処理チャンバ1内の空気が各排気口161を通して排気され、こうして処理チャンバ1内を減圧処理することができる。
このように、この実施形態では、装置フレーム99上に設置された底板19に対し上板11と一体化されたフレーム10が取り付けられることによってチャンバ主部が形成され、さらにチャンバ主部の開口した4つの側面に前板13、側板14および裏板16がそれぞれ装着されることで処理チャンバ1が構成され、該チャンバ内に処理空間SPが形成される。こうして形成された処理空間SP内に、以下に説明する転写ユニットが設置される。
図5はこの発明にかかる薄膜形成装置の転写ユニットの構成を示す図である。この転写ユニットは、処理チャンバ1を構成する上板11に固定された上側ブロック3と、底板19に固定された下側ブロック5とを備えており、薄膜形成対象である基板Wと、薄膜材料を塗布された薄膜担持体としてのシートフィルムFとを上下ブロック3、5で挟み込むことにより、シートフィルムF上の薄膜を基板Wに転写する。なお、薄膜の担持体としては、シートフィルムに代えて例えば石英板を用いてもよい。
なお、以下の説明において、各構成要素に付した符号が「3」から始まるものは当該要素が上側ブロック3を構成するものであることを意味する一方、「5」から始まるものは当該要素が下側ブロック5を構成するものであることを意味するものとする。
処理空間SP内は、排気管951を介して処理チャンバ1と接続された真空ポンプ95によって真空排気可能になっている。この真空ポンプ95は装置全体を制御する制御ユニット91に制御されており、制御ユニット91からの動作指令に応じて作動して処理空間SP内を排気減圧することができるようになっている。また、制御ユニット91は真空ポンプ95による処理空間SPからの排気量を調整し、処理空間SP内の圧力(真空度)を制御可能となっている。これにより、薄膜の乾燥状態をコントロールしながら該薄膜を基板Wに転写することができる。処理空間SP内の圧力は、薄膜の種類等に応じて大気圧から数Paまでの範囲内の所定の圧力に設定される。
処理空間SPには、第1、第2プレート34、54が上下に対向して収容されている。第1プレート34は処理チャンバ1を構成する上板11の下面に固定された上ベース部材31によって水平に固定支持されており、第2プレート54の上方に位置している。第1プレート34は基板Wが装着される試料台を構成し、第2プレート54と対向する下面342が基板Wの装着面を形成している。第1プレート34の下面342は円形に形成されている。ここで、薄膜形成対象となる基板Wとしては、例えば円板状に形成された半導体ウエハと、この半導体ウエハ上に電極配線をパターニングした構造を有するものがあり、基板Wのパターン形成面側に絶縁膜などの薄膜が転写される。
第1プレート34の下面342には、基板Wが装着される。第1プレート34は、内部に加熱手段として加熱ヒータ341を具備している。この加熱ヒータ341はヒータコントローラ93と電気的に接続されており、制御ユニット91からの基板温度情報に基づきヒータコントローラ93が加熱ヒータ341を25℃〜200℃の間で加熱制御する。なお、第1プレート34の下面342は石英板で形成されてもよい。
また、上板11には、複数本(この実施形態では2本)のリフタ344が昇降自在で、しかも水平方向に移動自在に支持されている。各リフタ344の下端部には爪部材345が固着されている。爪部材345はその上面が基板Wの周縁部と係合可能に仕上げられ、基板Wを爪部材345上に載置させることができる。各リフタ344にはリフタ駆動機構92が接続されており、制御ユニット91からの動作指令に応じてリフタ駆動機構92が作動する。これにより、処理空間SP内に搬入された基板Wを爪部材345上に載置可能な基板搬入位置と、爪部材345上に載置された基板Wを第1プレート34の下面342に装着する基板装着位置(図5で示す位置)とに複数のリフタ344を一体的に移動させることができる。
具体的には、リフタ駆動機構92に対して制御ユニット91から下降指令が与えられると、リフタ344は下方に移動し、爪部材345を第1プレート34の下面342の下方側に移動させた後、さらにリフタ344を水平移動させて爪部材345を第1プレート34の下面周縁部と離間して対向させる。これにより、爪部材345が基板搬入位置に位置決めされ、爪部材345への基板Wの載置が可能となる。この状態で、オペレータにより扉131を介して搬入される基板Wを受け入れる。
そして、制御ユニット91からリフタ駆動機構92に上昇指令が与えられると、リフタ駆動機構92はリフタ344を上方に移動させて爪部材345上に載置された基板Wを第1プレート34の下面342に密着させる。これにより、爪部材345が基板装着位置に位置決めされ、第1プレート34に基板Wが装着される。
第2プレート54は、移動方向Z(鉛直方向)に沿って昇降自在に設けられた昇降ユニット52に装備され、第1プレート34の下方に軸線を一致させて対向して配置されている。昇降ユニット52は底板19に取り付けられた下ベース部材51を有し、下ベース部材51上に第2プレート54が固定支持されている。第2プレート54はシートフィルムFが装着される転写板を構成し、第1プレート34と対向する上面542がシートフィルムFの装着面を形成している。第2プレート54の上面542は円形に形成されている。シートフィルムFは基板Wより大きい円形に形成され、その表面(薄膜形成面)には薄膜が形成されている。また、第2プレート54の上面542の平面サイズはシートフィルムFの平面サイズよりも小さく形成されている。このシートフィルムFは後述する上側挟持部および下側挟持部によって移動方向Zに挟み込まれることによって保持されており、第2プレート54はシートフィルムFの裏面(シートフィルムの両主面のうち薄膜形成面に対して反対の非薄膜形成面)側に配置されている。第2プレート54の上面542は、石英板によって形成されている。また、第2プレート54には加熱手段として加熱ヒータ541が内蔵されている。この加熱ヒータ541はヒータコントローラ94と電気的に接続されており、制御ユニット91からの基板温度情報に基づきヒータコントローラ94が加熱ヒータ541を25℃〜200℃の間で加熱制御する。
シートフィルムFは、例えばPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)もしくはETFE(エチレンテトラフルオロエチレン)などの可撓性を有し、また可塑性を有する有機材料からなるシート状のフィルムである。
昇降ユニット52は、下ベース部材51の下面中央部に一体に垂設された支持軸513を有している。支持軸513は移動方向Zに沿って昇降自在に軸支され、加重モータ53によって昇降されるように構成されている。すなわち、支持軸513の下端には加重モータ53が接続されており、制御ユニット91からの動作指令に応じて加重モータ53が作動することで、昇降ユニット52を移動方向Zに沿って昇降させることができる。昇降ユニット52の昇降により、下ベース部材51上に支持された第2プレート54が移動方向Zに沿って昇降する。
また、この実施形態ではシートフィルムFのハンドリング性を向上させるために図6に示すように一対のリングRup,Rdwを用いて一体化したリング体RFを形成し、このリング体RFの状態でシートフィルムFの搬送を実行している。以下では、図5および図6を参照しつつ、シートフィルムFのハンドリング構成について説明する。
図6はリング体およびリング体を挟持する構成を説明するための断面図である。このリング体RFは、上リングRupと下リングRdwとでシートフィルムFの周縁部を全周にわたって挟み込むことによってシートフィルムFを保持したものである。上リングRupと下リングRdwとは同一形状を有する円環状部材であり、シートフィルムFを挟んで上リングRupおよび下リングRdwを配置させることにより、シートフィルムFを磁力吸着により保持可能となっている。
また、第1、第2プレート34、54の周囲には、一対のリングRup,Rdwを上下から挟み込んでリング体RFを保持する上クランプ35および下クランプ55が設けられている。上クランプ35および下クランプ55はそれぞれ、一対のリングRup,Rdwとほぼ同じ内径を有する円環状部材であり、上クランプ35の外径が一対のリングRup,Rdwの外径よりも小さく形成される一方、下クランプ55の外径が一対のリングRup,Rdwの外径よりも大きく形成されている。
このような構成により、上クランプ35および下クランプ55によってリング体RFが上下方向(移動方向Z)に挟んで保持されると、結果的にシートフィルムFは上リングRupおよび上クランプ35からなる上側挟持部UHと、下リングRdwおよび下クランプ55からなる下側挟持部DHとにより保持(挟持)された状態となる(図5(b))。つまり、下側挟持部DHに載置されたシートフィルムFが上側挟持部UHにより上方から押圧されることによって該シートフィルムFが下側挟持部DHと上側挟持部UHとにより挟持される。以下、下側挟持部DHと上側挟持部UHとをあわせて「一対の挟持部」という。
一対の挟持部UH,DHに挟持されたシートフィルムFは第1プレート34と第2プレート54との間に配置される。具体的には、薄膜が形成されたシートフィルムFの表面(薄膜形成面)が第1プレート34に対向する一方、シートフィルムFの裏面(非薄膜形成面)側が第2プレート54に対向するように、シートフィルムFが一対の挟持部UH,DHにより挟持される。
図7は図5のA−A’切断面を上方から見たときの薄膜形成装置を示す図である。2つのクランプのうち下クランプ55は、底板19に立設された複数本(この実施形態では3本)の円柱体よりなるクランプ受け555上に水平姿勢で支持される。クランプ受け555は第2プレート54の上面542の中心を通り移動方向Zに伸びる軸(以下、単に「中心軸」という)J回りに互いに等角度(120°)間隔で放射状に配置されている。下クランプ55の上面周縁部(円環部)にはリング体RFの下端部(下リングRdw)を収容可能な内部に向けて窪んだ窪部551が形成されている(図6(a))。そして、リング体RFの下端部を窪部551に収容させることによって、窪部551の周囲を取り囲む周面部552によってリング体RFの水平方向の移動を規制することができる。
また、下ベース部材51上には、複数本(この実施形態では3本)の突き上げピン56が中心軸J回りに互いに等角度(120°)間隔で放射状に、しかも円周方向に沿ってクランプ受け555の間に位置するように立設されている。一方、下クランプ55の下面には各突き上げピン56に対応して突き上げピン56の先端部を挿入させることが可能なピン挿入孔553(図5)が形成されている。このため、昇降ユニット52が上昇駆動されると、突き上げピン56の先端部がピン挿入孔553に挿入されるとともに、突き上げピン56の先端部と後端部との間に形成された段差面が下クランプ55の下面と当接する。これにより、突き上げピン56と下クランプ55(一対の挟持部UH,DH)とが互いに係合する。この状態で昇降ユニット52がさらに上昇駆動されると、下クランプ55がクランプ受け555から離れ、突き上げピン56と下クランプ55とが係合した状態で一体的に上昇する。これにより、第2プレート54と一対の挟持部、つまり上側挟持部UHおよび下側挟持部DHとが一定の位置関係を保ったまま上昇する。
図8は突き上げピンと下クランプとが係合した状態を示した図である。突き上げピン56と下クランプ55とが係合した時点では、第2プレート54が一対の挟持部UH,DHに挟持されたシートフィルムFに接触して該シートフィルムFが上方に突き上げられる。これにより、シートフィルムFが緊張し、該シートフィルムFに張力を発生させることができる。ここで、第2プレート54の上面542が円形に形成されるとともに、一対の挟持部UH,DHによりシートフィルムFの周縁部が全周にわたって保持(挟持)されているため、シートフィルムFに対して周方向に均一な張力を付与することができる。
また、この実施形態では、突き上げピン56が下クランプ55と係合する係合部位の第2プレート54に対する移動方向Zにおける相対距離(以下、単に「相対距離」という)Dを調整することによって、シートフィルムFに発生させる張力の大きさをコントロールすることが可能となっている。具体的には、突き上げピン56の先端部と後端部との間に形成された段差面(突き上げピン56が下クランプ55と係合する係合部位)から第2プレート54の上面542までの距離(相対距離D)を調整することにより、シートフィルムFに発生させる張力の大きさを変更することが可能となっている。つまり、相対距離Dに応じて、第2プレート54がシートフィルムFと接触を開始してから突き上げピン56と下クランプ55とが係合するまでの間にシートフィルムFが第2プレート54によって移動方向Zに沿って突き上げられる量(以下、単に「突き上げ量」という)Qが変化する。したがって、相対距離Dが調整されることで、突き上げ量Qを変更し、シートフィルムFに発生する張力の大きさを調整することができる。
図9は突き上げピンの構造を示す図である。下ベース部材51には移動方向Zに沿って貫通孔511が形成されており、貫通孔511に突き上げピン56が挿通されている。これにより、その先端側に係合部位(段差面)が設けられた突き上げピン56が下クランプ55(一対の挟持部UH,DH)に向けて突設される。突き上げピン56の後端部561にはネジ溝が刻まれる一方、貫通孔511の内壁には突き上げピン56のネジと螺合するネジ溝が刻まれている。また、下ベース部材51の上面側に2つのナットからなるダブルナット516が突き上げピン56の後端部561に螺嵌されており、ダブルナット516により突き上げピン56が下ベース部材51に緩みなく締め付け固定される。突き上げピン56の先端部562は下クランプ55のピン挿入孔553に挿入可能とされている。そして、突き上げピン56の先端部562がピン挿入孔553に挿入されることで、突き上げピン56の後端部561と先端部562とを結合する段差面563(係合部位)が下クランプ55の下面554に当接する。段差面563と下クランプ55の下面554とは平行に形成され、面接触状態で当接する。
このような構成によれば、ダブルナット516を緩めて突き上げピン56の頭部564を回転させていくことで、下ベース部材51の上面から段差面563までの移動方向Zにおける長さLが調整される。すなわち、突き上げピン56と下クランプ55とが互いに係合している状態では、下ベース部材51と下クランプ55(一対の挟持部UH,DH)との間の間隙が調整される。そして、下ベース部材51の上面から段差面563までの移動方向Zにおける長さLを所定の長さに調整した後、ダブルナット516を締めることによって突き上げピン56を下ベース部材51に固定する。このように、下ベース部材51の上面から段差面563までの移動方向Zにおける長さLが調整されることで、相対距離Dが調整される。これにより、突き上げ量Qを変更し、シートフィルムFに発生する張力の大きさを自在に、しかも簡素な構成により調整することができる。したがって、使用するシートフィルムFの種類や膜厚に応じて最適な張力をシートフィルムFに与えることができる。
図5に戻って説明を続ける。下クランプ55の下面周縁部には下クランプ55の水平方向における位置を固定するために、複数本の位置決めピン514が下方に延びるように取り付けられている。これら位置決めピン514は下ベース部材51に移動方向Zに沿って形成された貫通孔512に挿通されている。位置決めピン514と貫通孔512の内壁との間にはボールスプライン機構等が介在しており、位置決めピン514はボールスプライン機構等を介して移動方向Zに沿ってのみ可動(昇降)自在に支持される。つまり、下クランプ55は移動方向Zに直交する方向(水平方向)に移動するのを規制されながら下ベース部材51に対して移動方向Zに沿って昇降自在に支持される。このような構成によれば、昇降ユニット52(第2プレート54)を移動方向Zに沿って移動させたとしても、水平方向において第2プレート54と下クランプ55(一対の挟持部UH,DH)との間の相対位置関係を確実に固定することができる。このため、第2プレート54と一対の挟持部UH,DHとが互いに水平方向にずれるのを防止することができる。
また、もう一方のクランプ、つまり上クランプ35は昇降自在に支持された複数本のロッド356の下端に固着されている。この実施形態では、3本のロッド356が中心軸J回りに互いに等角度(120°)間隔で放射状に、上クランプ35から上方に伸びるように設けられている。複数本のロッド356の各々には、上クランプ35を移動方向Zに沿って昇降駆動させるためのエアシリンダ357が連結されている。そして、制御ユニット91からの動作指令に応じてエアシリンダ357が作動することで、上クランプ35を移動方向Zに沿って昇降させることができる。具体的には、上クランプ35を上昇させて第2プレート54に対するリング体RFの搬入出を可能とする一方、上クランプ35を下降させて下クランプ55とでリング体RFを挟持して固定することができる。
このエアシリンダ357は、処理チャンバ1の外部に突設された支柱311により固定された円板状のプレート312に配設されており、エアシリンダ357から発生するパーティクル等の汚染物質が処理空間SP内に混入するのを防止することができる。なお、上クランプ35を昇降駆動させる駆動機構としては、エアシリンダに限らず、エアシリンダ以外の他の昇降駆動用アクチュエータを用いるようにしてもよい。
また、エアシリンダ357と、該エアシリンダ357に圧縮空気を供給するための圧縮空気供給源との間には調圧弁358が介装されている。そして、制御ユニット91からの動作指令に応じて調圧弁358の開度が調整されることにより、ロッド356の推力を一定に保つことが可能となっている。この実施形態では、支持軸513が移動方向Zにおいて受ける加重圧力を検出する荷重センサ96が設けられており、後述するようにして荷重センサ96によって検出された加重圧力に基づいて制御ユニット91が調圧弁358の開度を調整し、ロッド356の推力を一定に保つようにフィードバック制御する。これにより、下クランプ55に載置されたリング体RFを上クランプ35により一定の押圧力で押圧することができる。すなわち、下側挟持部DH上に配置されたシートフィルムFを上側挟持部UHにより上方から一定の押圧力で押圧することが可能となっている。
なお、上記した薄膜形成装置のうち、上側ブロック3および下側ブロック5からなる転写ユニットの構成およびその転写処理における動作は、本願出願人が先に開示した特開2008−300414号公報に記載されたものと基本的に同じである。したがって、ここでは転写ユニットの動作については説明を省略する。
次に、この実施形態において、排気口161を処理チャンバ1を構成する裏板16に設け、しかも、複数個設けた理由について説明する。処理チャンバ1内の空気を排気するための排気口については原理的にはどこに設けても構わない。ただし、処理対象たる基板を収容する基板処理装置では、排気時の気流によってゴミ等が基板上に落下するのを防止するため基板位置よりも下方に排気口を設けたいとの理由から、チャンバの底面またはこれに近い位置に設けられるのが一般的であった。上記した特許文献1に記載の装置においても、処理容器の側面ではあるがその下方にのみ排気口を設けている。
これに対し、この薄膜形成装置1では、略直方体形状の処理チャンバ1を構成する側面のうちの一面(より具体的には背面)に排気口161を設けている。しかも、その下方位置のみならず、処理チャンバ1の背面全体に複数個の排気口161を分散配置している。このようにしている理由について次に説明する。
まず排気口161を処理チャンバ1の側面に設けた理由について説明する。この薄膜形成装置1では、薄膜を形成されたシートフィルムFおよび基板Wを上側ブロック3と下側ブロック5とからなる転写ユニットで挟み込むことによって薄膜を基板Wに転写する。転写ユニットのうち上側ブロック3は処理チャンバ1を構成する天板11に、また下側ブロック5は処理チャンバ1の底板19に取り付けられている。このため、処理チャンバ1の天面および底面には排気口を設けるためのスペースが少なく、またその穿設位置も極めて制限されてしまう。また、例えば底面に排気口を設けたとしても、排気口から真空ポンプに至る配管が底面に引き回されることになるため、下側ブロック5のうち底板19の下方に突出している支持軸513等へのアクセスが配管により制限されてメンテナンス性が大きく低下してしまう。
排気口161を、転写ユニットの取り付けに関係しない処理チャンバ1の側面、より具体的には裏板16に設けることにより、排気のための配管が転写ユニットへのアクセスに干渉することはなくなり、転写ユニットおよび処理チャンバ1のメンテナンス性が向上する。また、排気口161を設けた裏板16を着脱自在とすることにより、排気系統のメンテナンスも容易となる。また、裏板16を交換することにより、排気系統の仕様変更にも柔軟に対応することができる。
図10は排気口を複数設けた場合の効果を説明するための図である。この実施形態のように、裏板16の全面に複数の排気口161を分散配置した場合、減圧処理時には処理チャンバ内の空気はこれらの排気口に分散して排気される。その結果、処理チャンバ1内に生じる気流は、図10(a)の矢印に示すようになり、処理チャンバ1内の圧力はほぼ均等に下がってゆく。これに対し、比較例として図10(b)に示す処理チャンバ1aでは単一の排気口161aを設けており、この場合、矢印で示すように気流が乱れ、結果として処理チャンバ1a内の圧力変化が位置によって異なることとなる。このような圧力の不均衡は、シートフィルムFにしわを発生させたり、特にシートフィルムF上に形成された薄膜に悪影響を及ぼす可能性がある。というのは、シートフィルムF上に塗布された薄膜材料を含む塗布液が完全に乾燥していない場合、位置によって減圧の程度が異なると溶媒の蒸発速度に差が出て薄膜の均質性を損なうからである。
この実施形態では、裏板16の全面に複数の排気口161を略等間隔に分散して設けることにより、均一な減圧を実現し、シートフィルムFや薄膜への悪影響を未然に防止している。また、以下の変形例のように、排気口の近傍に気流を制御する整流板を設けることによっても同様な効果を得ることが可能である。
図11は整流板を設けた変形例を示す図である。図11(a)に示す変形例では、処理チャンバ1bの側面の一面を構成する裏板16bの略中央に1つの排気口161bを穿設しており、該排気口161bが真空ポンプに連通接続される。そして、処理チャンバ1b内に臨む裏板16bの内面に所定の間隔で対向するように、多数の通気孔1621bを穿設された整流板162bがスペーサ163bを介して取り付けられる。
このような構成によれば、図11(b)に示すように、処理チャンバ1b内の空気が多数の通気孔1621bを経て排気口161bから排気されるため、裏板に多数の排気口を設けた場合と同様に、処理チャンバ1b内を均一に減圧することができる。
なお、通気孔の形状は図11(a)に示す円形のもの以外に、長円形やスリット状のものであってもよい。また格子状の整流板であってもよい。整流板の外形寸法は、十分な整流効果を得るためには少なくとも排気口161bの開口径よりも大きいことが好ましく、薄膜への影響を抑えるためにはシートフィルムFの直径と同等またはそれ以上であることがより好ましい。この点において、裏板の内面全面をほぼ覆うようにしてもよい。
以上のように、この実施形態では、転写ユニットを収容する処理チャンバ1の側面を着脱自在のパネル部材により構成している。そのため、転写ユニットの調整を行う際には必要に応じて側面パネル部材のいくつかを取り外すことにより転写ユニットが露出し、作業性よくメンテナンスを行うことが可能である。また、転写ユニットの上側ブロック3が固定された上板13と下側ブロック5が固定された底板19とをフレーム10により一体的に結合したチャンバ主部に対して側面パネル部材を取り付ける構成としているので、チャンバ主部に取り付けられた上側ブロック3と下側ブロック5との位置関係が変動することがなく、調整作業を容易に行うことが可能となる。
そして、処理チャンバ1内を減圧するための排気口161については、処理チャンバ1の側面を構成する側面パネル部材のうち裏板16に集約して複数個を設けている。排気口161を処理チャンバ1の側面に設けたことにより、転写ユニットを設置するために天板11および底板19に設けられた取り付け孔や、取り付けられた上側ブロック3および下側ブロック5と互いに干渉することなく、排気口161の大きさや穿設位置を設定することができる。また、排気口161と真空ポンプ95とを接続する配管9511、951については処理チャンバ1の背面に取り付けられることとなるので、処理チャンバ1の上下から行う転写ユニットに対するメンテナンス作業を行う際に排気系統が干渉することがなくなり、メンテナンス性が向上する。また、裏板16をフレーム10に対し着脱自在としているので、排気系統のメンテナンス作業も行いやすくなり、排気系統の仕様変更にも裏板の交換のみで柔軟に対応することができる。
また、排気口161を分散させて複数設けることにより、減圧処理時にシートフィルムFの近傍に生じる気流を均一化させているので、気圧の不均衡がシートフィルムFやその上の薄膜に悪影響を及ぼすことが防止されている。排気口と転写ユニットとの間に整流板を設けても同様な効果が得られる。
以上説明したように、この実施形態では、上側ブロック3および下側ブロック5が本発明の「転写ユニット」を構成している。また、処理チャンバ1を構成する上板11および底板19がそれぞれ本発明の「上側プレート部」および「下側プレート部」として機能している。また、裏板16が本発明の「側面パネル部材」として機能している。また、フレーム10が本発明の「連結部」として機能している。また、上記実施形態においては、真空ポンプ95が本発明の「減圧手段」として機能している。また、上記実施形態の変形例(図11)に示した整流板162bが、本発明の「整流部材」として機能している。
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記実施形態の処理チャンバ1は略直方体形状のものであるが、例えば側面が湾曲した円柱形状のものやその他の形状のものであってもよい。また、上記実施形態の処理チャンバ1は4つの側面を構成する側面パネル部材が全て着脱自在に構成されているが、少なくとも1つがフレームに固定されていてもよい。また側面パネル部材の枚数も上記に限定されず任意である。
また、上記実施形態では、処理チャンバ1の側面のうち背面に当たる裏板16に排気口161を設けているが、排気口は処理チャンバの4つの側面のいずれに設けてもよい。ただし、本実施形態のように基板を出し入れするための扉を1面に設けた構成においては、その面を避けて排気口を設けるのが好ましい。この実施形態では、扉131を有する前板13が設けられたチャンバ前面を挟む2つの側面から転写ユニットへのアクセスを可能とするため、背面に排気口を配置するようにしている。
また、上記実施形態では説明していないが、処理チャンバ内の圧力を測定するための圧力計を設けてもよい。この場合、その取り付け位置は任意であるが、圧力計を取り付けるための取り付け孔を裏板に設けると、チャンバ内の圧力管理を行うための機構が全て裏板に集約されることとなり、メンテナンスの点で好都合である。
また、上記実施形態では、前板13の開口部134に対し開閉自在に設けた扉131を開閉することにより基板等の出し入れを行うように構成しているが、公知のゲートバルブによって開口部を開閉するようにしてもよい。このようにすると、扉の開閉を自動で行うことが容易となり、装置の自動化にも対応することができる。
また、上記実施形態においては、シートフィルムFに発生させる張力の大きさをしたベース部材51上に立設した突き上げピン56によって調整しているが(図8)、以下に示すように、下クランプ55の下面に突き当てピンを立設し、これにより位置調整を行うようにしてもよい。
図12は位置調整機構の他の例を示す図である。図12に示す態様では、下クランプ55の下面に、下方に向かって突出する突き当てピン560が立設されている。下ベース部材51が上昇すると、突き当てピン560の下端が下ベース部材51の上面に当接し、これにより下ベース部材51と下クランプ55との位置関係が規定される。このような態様では、突き当てピン560の長さによって相対距離D(図8)を調整しシートフィルムFの張力を調整することができる。
また、本発明は、上記実施形態のように半導体基板に薄膜を転写する場合に限らず、電子部品材料関係であればマルチチップモジュール等の実装関係の基板や液晶関係の基板に薄膜を転写する場合にも適用できる。また、薄膜についても絶縁膜に限らず、金属系の薄膜を基板に転写してもよい。
この発明は、半導体ウエハ、フォトマスク用ガラス基板、液晶表示用ガラス基板、プラズマ表示用ガラス基板、FED(Field Emission Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板などを含む基板に薄膜を形成する薄膜形成装置に適用することができる。
1…処理チャンバ
3…上側ブロック(転写ユニット)
5…下側ブロック(転写ユニット)
10…フレーム(連結部、枠体)
11…上板(上側プレート部)
19…底板(下側プレート部)
13…前板
14…側板
16…裏板(側面パネル部材)
52…昇降ユニット
95…真空ポンプ(減圧手段)
101…アングル
131…扉
137、147、167…Oリング
162b…整流板(整流部材)

Claims (6)

  1. 離当接可能に構成された上側ブロックと下側ブロックとの間に、表面に薄膜材料を塗布された薄膜担持体と基板とを挟み込むことにより、前記薄膜材料を前記基板表面に転写させる転写ユニットと、
    前記上側ブロックおよび前記下側ブロックを内部に収容する処理チャンバと、
    前記処理チャンバ内を減圧する減圧手段と
    を備え、
    前記処理チャンバは、
    前記上側ブロックを支持する上側プレート部と、前記下側ブロックを支持する下側プレート部とを、側面に開口を有する連結部によって連結した構造を有するチャンバ主部と、
    前記減圧手段に連通する排気口を穿設され、前記連結部に対し該連結部の開口を塞ぐように取り付けられた側面パネル部材と
    を備えることを特徴とする薄膜形成装置。
  2. 前記側面パネル部材が前記連結部に対し着脱自在となっている請求項1に記載の薄膜形成装置。
  3. 前記処理チャンバ内において前記転写ユニットと前記排気口との間を遮蔽するように設けられ、前記減圧手段の動作に伴い前記排気口に向かう気流を制御する整流部材を有する請求項1または2に記載の薄膜形成装置。
  4. 前記整流部材が前記側面パネル部材に取り付けられている請求項3に記載の薄膜形成装置。
  5. 前記側面パネル部材には、複数の前記排気口が穿設されている請求項1ないし4のいずれかに記載の薄膜形成装置。
  6. 前記複数の排気口は前記側面パネル部材上で略等間隔に分散配置されている請求項5に記載の薄膜形成装置。
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