JP4852476B2 - 薄膜形成装置および薄膜形成方法 - Google Patents

薄膜形成装置および薄膜形成方法 Download PDF

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この発明は、基板に薄膜を形成する薄膜形成装置および薄膜形成方法に関するものである。なお、薄膜が形成される基板としては、半導体ウエハ、フォトマスク用ガラス基板、液晶表示用ガラス基板、プラズマ表示用ガラス基板、FED(Field Emission Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板などの各種基板(以下、単に「基板」という)が含まれる。
近年、LSIの製造に用いるウエハの大口径化や液晶パネルなどの大面積化に伴い、大面積に適合した薄膜形成方法が必要となってきている。また、LSI製造技術における多層配線技術の分野においては、多層配線を実現するために絶縁膜の表面を高い精度で平坦化する必要があり、大面積化に加えて、薄膜形成における表面の平坦化技術への要求も高まってきている。そこで、これらの要求を満足すべく、加圧転写によって基板に薄膜を形成する薄膜形成方法が提案されている。
このような薄膜形成方法を実行する装置として、例えば次のように構成された装置が従来より知られている(特許文献1〜5参照)。これらの装置では、処理容器の内部に形成された薄膜形成室に、基板用プレート(第1プレート)が設けられており、薄膜形成対象となる半導体ウエハなどの基板を装着可能となっている。また、薄膜形成室内には、フィルム用プレート(第2プレート)が基板用プレートと対向しながら配置されており、シートフィルムを装着可能となっている。シートフィルムの表面には予め薄膜が形成されており、この薄膜を基板用プレート上の基板に対向させながらシートフィルムがフィルム保持機構により保持されている。そして、基板が装着された基板用プレートと、シートフィルムが装着されたフィルム用プレートとを所定の移動方向に沿って近接するように移動させることによって、基板とシートフィルムとを互いに押し付けてシートフィルム上の薄膜を基板に転写している。
特開平10−247643号公報 特開平11−26455号公報 特開2001−135623号公報 特開2001−135629号公報 特開2004−186292号公報
ところで、薄膜を基板に良好に転写するために、シートフィルムにしわや折り曲げが発生するのを防止することが重要となっている。というのも、シートフィルムにしわや折り曲げが発生している状態でシートフィルム上に形成された薄膜が基板に転写されると、平坦で均一な膜厚の薄膜を基板に形成することができなくなるからである。このため、フィルム用プレートを移動方向に沿って移動させていく際に、該フィルム用プレートに装着されているシートフィルムにしわや折り曲げを発生させることなく、シートフィルムを良好かつ確実に保持させることができるフィルム保持機構を薄膜形成装置に装備させることが要望されている。
また、フィルム保持機構によりシートフィルムを良好かつ確実に保持しながらも、装置のフットプリントの増大を抑制するために、装置をコンパクトに構成することも重要である。しかしながら、シートフィルムを保持するために、例えば特許文献3記載のようにシートフィルムの周囲側方(移動方向に直交する方向)にフィルム保持機構が配設されてしまうと、装置のフットプリントが増大してしまう。すなわち、フィルム保持機構を装置に組み込むために、装置のフットプリントがシートフィルムの移動方向に直交する方向に増大するとともに装置の大型化を招いてしまう。
このように、加圧転写方式の薄膜形成技術においては、上記した2つの要求、つまり(1)シートフィルムが装着されたフィルム用プレート(第2プレート)を移動させていく際にシートフィルムを良好かつ確実に保持するという要求と、(2)装置をコンパクトに構成するという要求とを同時に満足させることが望まれる。しかしながら、従来装置では、これに至っていなかった。
この発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、コンパクトであり、しかもシートフィルムが装着された第2プレートが移動される際にシートフィルムを良好かつ確実に保持することができる薄膜形成装置および薄膜形成方法を提供することを目的とする。
この発明は、シートフィルムの薄膜形成面に形成された薄膜を基板に転写する転写処理を実行する薄膜形成装置であって、上記目的を達成するため、シートフィルムを保持するフィルム保持機構と、フィルム保持機構に保持されたシートフィルム上の薄膜に対向する装着面を有し、該装着面に基板が装着される第1プレートと、所定の移動方向に沿って第1プレートに対して昇降自在に設けられるとともにシートフィルムの両主面のうち薄膜形成面に対して反対の非薄膜形成面側に第1プレートに対向して配設された第2プレートを有し、第2プレートを移動方向に沿って昇降させる昇降ユニットとを備え、フィルム保持機構は、シートフィルムを移動方向に挟んで配置された一対の挟持部を有し、昇降ユニットは、第2プレートを移動方向に沿って上昇させてフィルム保持機構により保持されたシートフィルムを第2プレートに装着し、さらに一対の挟持部と係合して第2プレートと一対の挟持部とを一体的に前記移動方向に沿って上昇させて第1プレートに装着された基板に対してシートフィルム上の薄膜を押し付けることで転写処理を実行することを特徴としている。
また、この発明は、上記目的を達成するため、薄膜が薄膜形成面に形成されたシートフィルムを保持するフィルム保持工程と、シートフィルム上の薄膜に対向するように基板を第1プレートに装着する基板装着工程と、シートフィルムの両主面のうち薄膜形成面に対して反対の非薄膜形成面側に第1プレートに対向して配設された第2プレートを所定の移動方向に沿って移動させることで、シートフィルムを第2プレートに装着するとともに第1プレートに装着された基板に対してシートフィルム上の薄膜を押し付けて薄膜を基板に転写する転写工程とを備え、フィルム保持工程では、シートフィルムを移動方向に挟んで配置された一対の挟持部によりシートフィルムを挟持するとともに、転写工程では、一対の挟持部に挟持されたシートフィルムに対して第2プレートを移動方向に沿って移動させることでシートフィルムを第2プレートに装着し、さらに第1プレートに装着された基板に対して第2プレートと一対の挟持部とを一体的に移動方向に沿って移動させることで基板に対してシートフィルム上の前記薄膜を押し付けることを特徴としている。
このように構成された発明では、シートフィルムが装着された第2プレートが移動方向に沿って移動される際に、一対の挟持部がシートフィルムを挟持しながら第2プレートと一体的に移動方向に沿って変位する。このため、第2プレートと該第2プレートに装着されたシートフィルムと一対の挟持部とが一体的に移動方向に沿って変位するので、シートフィルムにしわや折り曲げが発生するのを防止しつつ、一対の挟持部によりシートフィルムを良好かつ確実に保持することができる。しかも、一対の挟持部はシートフィルムを移動方向に挟んで配置されているので、シートフィルムを保持(挟持)するために装置のフットプリントが増大するのを抑制することができる。すなわち、一対の挟持部がシートフィルムを移動方向に挟んで配置されることで、フィルム保持機構をシートフィルムの周囲側方(シートフィルムの移動方向に直交する方向)に配置する場合に比較して移動方向に直交する方向における装置のフットプリントを小さくすることができる。したがって、装置をコンパクトに構成しながらも、シートフィルムが装着された第2プレートが移動される際にシートフィルムを良好かつ確実に保持することが可能となっている。
ここで、第2プレートが第1プレートの下方に配設された薄膜形成装置においては、フィルム保持機構が、シートフィルムが載置される載置部と、載置部に載置されたシートフィルムを上方から押圧する押圧部とを一対の挟持部として有し、載置部と押圧部とによりシートフィルムを挟持するものを採用することができる。この構成によれば、載置部に載置されたシートフィルムが押圧部により上方から押圧されることによって、シートフィルムを載置部と押圧部とにより挟持することができる。
ここで、押圧部の自重のみによりシートフィルムを上方から押圧することによってシートフィルムを載置部と押圧部とにより挟持してもよいが、押圧部を駆動してシートフィルムに対する押圧力を発生させる駆動機構を設けることが好ましい。この構成によれば、駆動機構が押圧部を駆動することで発生した押圧力によってシートフィルムを載置部と押圧部とにより確実に挟持することができる。
また、シートフィルムに対する押圧力を調整する調整手段をさらに設けて、一対の挟持部が調整手段によりシートフィルムに対する押圧力が一定となるように調整されながら移動方向に沿って変位するように構成してもよい。この構成によれば、シートフィルムに対する押圧力を一定にコントロールしながら該シートフィルムを挟持したフィルム保持機構を移動方向に沿って変位させていくことができる。このため、シートフィルムにしわや折り曲げが発生するのを確実に防止しながら転写処理を実行することが可能となっている。
また、その内部が薄膜形成室となっている処理容器内で転写処理を実行する薄膜形成装置においては、駆動機構を処理容器の外部に設けることが好ましい。これにより、駆動機構から発生するパーティクル等の汚染物質が、転写処理が実行される薄膜形成室内に混入するのを防止することができる。
また、薄膜形成室内を排気する排気手段をさらに設けて、排気手段により薄膜形成室内が減圧制御された状態で転写処理を実行するようにしてもよい。この構成によれば、排気手段により薄膜形成室内が減圧制御されることで、薄膜の乾燥状態をコントロールしながら該薄膜を基板に転写することができる。しかも、この発明によれば、装置をコンパクトに構成することができるので、薄膜形成室の容積を比較的小さくすることができる。このため、薄膜形成室内の排気に要する排気時間を短縮して装置のスループットを向上させることができる。
また、一対の挟持部がシートフィルムの周縁部を全周にわたって挟持するように構成するのが好ましい。この構成によれば、シートフィルムの周縁部に対して全周にわたって均一な圧力が加えられ、シートフィルムにしわや折り曲げを発生するのを防止しながらシートフィルムを挟持することができる。
また、一対の挟持部によりシートフィルムの挟持を維持しながら、一対の挟持部とシートフィルムが装着された第2プレートとの間の移動方向における相対位置に応じてシートフィルムに張力を発生させてもよい。この構成によれば、シートフィルムに弛みが生じた場合であっても、一対の挟持部によりシートフィルムを確実に挟持(保持)した状態でシートフィルムの弛みを取り除くことができる。しかも、一対の挟持部と第2プレートとの間の移動方向における相対位置に応じてシートフィルムに張力を発生させているので、シートフィルムに張力を発生させる機構を新たに装置に組み込む必要がなく、装置を簡素に構成することができる。
この発明によれば、シートフィルムが装着された第2プレートが移動方向に沿って移動される際に、シートフィルムを移動方向に挟んで配置された一対の挟持部がシートフィルムを挟持しながら第2プレートの移動とともに移動方向に沿って変位する。このため、装置をコンパクトに構成しながらも、シートフィルムが装着された第2プレートが移動される際にシートフィルムを良好かつ確実に保持することができる。
図1はこの発明にかかる薄膜形成装置の一実施形態を示す図である。この薄膜形成装置は、その内部が薄膜を基板Wに転写する転写処理を行う薄膜形成室11となっている処理容器1を有している。この薄膜形成室11は転写処理時に真空ポンプ2によって真空排気可能になっている。この真空ポンプ2は装置全体を制御する制御ユニット10に電気的に接続されており、制御ユニット10からの動作指令に応じて作動して薄膜形成室11内を排気減圧することができるようになっている。また、制御ユニット10は真空ポンプ2による薄膜形成室11からの排気量を調整し、薄膜形成室11内の圧力(真空度)を制御可能となっている。これにより、薄膜の乾燥状態をコントロールしながら該薄膜を基板Wに転写することができる。薄膜形成室11内の圧力としては、薄膜の種類等に応じて大気圧から数Paまでの範囲内の所定の圧力に設定される。このように、この実施形態では、真空ポンプ2が本発明の「排気手段」として機能する。
薄膜形成室11には、第1、第2プレート4,5が上下に対向して収容されている。第1プレート4は薄膜形成室11内に固設された上ベース部材12によって水平に固定支持されており、第2プレート5の上方に位置している。第1プレート4は基板Wが装着される試料台を構成し、第2プレート5と対向する下面4aが基板Wの装着面を形成している。ここで、薄膜形成対象となる基板Wとしては、例えば円板状に形成された半導体ウエハと、この半導体ウエハ上に電極配線をパターニングした構造を有するものがあり、基板Wのパターン形成面側に絶縁膜などの薄膜が転写される。
第1プレート4の下面4aには、平坦性を確保するために研磨された石英板(図示せず)が設けられており、この石英板に基板Wが装着される。石英は基板Wを汚染する物質を含まないこと、および加工性がよく、必要とする平坦性が容易に得られることなどから基板Wを装着する材料として優れている。第1プレート4は、内部に加熱手段として加熱ヒータ41を具備している。この加熱ヒータ41はヒータコントローラ42と電気的に接続されており、制御ユニット10からの基板温度情報に基づきヒータコントローラ42を作動させることによって、25°C〜300°Cの間で加熱制御される。
このように構成された第1プレート4に対して、複数本(この実施形態では2本)のリフタ44が昇降自在で、しかも水平方向に移動自在に支持されている。各リフタ44の下端部には爪部材45が固着されている。爪部材45はその上面が基板Wの周縁部と係合可能に仕上げられ、基板Wを爪部材45上に載置させることができる。各リフタ44にはリフタ駆動機構46が接続されており、制御ユニット10からの動作指令に応じてリフタ駆動機構46が作動することで、薄膜形成室11内に搬入された基板Wを爪部材45上に載置可能な基板搬入位置と、爪部材45上に載置された基板Wを第1プレート4の下面4aに装着する基板装着位置(図1で示す位置)とに複数のリフタ44を一体的に移動させることができる。
具体的には、リフタ駆動機構46に対して制御ユニット10から下降指令が与えられると、リフタ44は下方に移動し、爪部材45を第1プレート4の下面4aの下方側に移動させた後、さらにリフタ44を水平移動させて爪部材45を第1プレート4の下面周縁部と離間して対向させる。これにより、爪部材45が基板搬入位置に位置決めされ、爪部材45への基板Wの載置が可能となる。また、制御ユニット10からリフタ駆動機構46に上昇指令が与えられると、リフタ駆動機構46はリフタ44を上方に移動させて爪部材45上に載置された基板Wを第1プレート4の下面4aに密着させる。これにより、爪部材45が基板装着位置に位置決めされ、第1プレート4に基板Wが装着される。
第2プレート5は、移動方向Z(鉛直方向)に沿って昇降自在に設けられた昇降ユニット20に装備され、第1プレート4の下方に軸線を一致させて対向して配置されている。昇降ユニット20は薄膜形成室11内に下ベース部材13を有し、下ベース部材13上に第2プレート5が支持されている。第2プレート5はシートフィルムFが装着される転写板を構成し、第1プレート4と対向する上面5aがシートフィルムFの装着面を形成している。シートフィルムFは基板Wより大きい円形に形成され、その表面(薄膜形成面)には薄膜が形成されている。また、第2プレート5の上面5aの平面サイズはシートフィルムFの平面サイズよりも小さく形成されている。このシートフィルムFは後述する上側挟持部および下側挟持部によって移動方向Zに挟み込まれることによって保持されており、第2プレート5はシートフィルムFの裏面(シートフィルムの両主面のうち薄膜形成面に対して反対の非薄膜形成面)側に配置されている。第2プレート5の上面5aには、第1プレート4と同様に石英板(図示せず)が設けられている。また、第2プレート5には加熱手段として加熱ヒータ51が内蔵されている。この加熱ヒータ51はヒータコントローラ52と電気的に接続されており、制御ユニット10からの基板温度情報に基づきヒータコントローラ52を作動させることによって、25°C〜300°Cの間で加熱制御される。
シートフィルムFは、例えばPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)もしくはETFE(エチレンテトラフルオロエチレン)などの可撓性を有し、また可塑性を有する有機材料からなるシート状のフィルムである。
昇降ユニット20は、下ベース部材13の下面中央部に一体に垂設された軸131を有している。軸131は移動方向Zに沿って昇降自在に軸支され、加重モータ14によって昇降されるように構成されている。すなわち、軸131の下端には加重モータ14が接続されており、制御ユニット10からの動作指令に応じて加重モータ14が駆動されることで、昇降ユニット20を移動方向Zに沿って昇降させることができる。したがって、昇降ユニット20の昇降により、下ベース部材13上に支持された第2プレート5が移動方向Zに沿って昇降する。
また、この実施形態ではシートフィルムFのハンドリング性を向上させるために図2に示すように一対のリングRup,Rdwを用いて一体化したリング体RFを形成し、このリング体RFの状態でシートフィルムFの搬送を実行している。以下では、図1および図2を参照しつつ、シートフィルムFのハンドリング構成について説明する。
図2はリング体およびリング体を挟持する構成を説明するための断面図である。このリング体RFは、上リングRupと下リングRdwとでシートフィルムFの周縁部を全周にわたって挟み込むことによってシートフィルムFを保持したものである。上リングRupと下リングRdwとは同一形状を有する円環状部材であり、シートフィルムFを挟んで上リングRupおよび下リングRdwを配置させることにより、シートフィルムFを磁力吸着により保持可能となっている。
また、第1、第2プレート4,5の周囲には、一対のリングRup,Rdwを上下から挟み込んでリング体RFを保持する上クランプ53および下クランプ54が設けられている。上クランプ53および下クランプ54はそれぞれ、一対のリングRup,Rdwとほぼ同じ内径を有する円環状部材であり、上クランプ53の外径が一対のリングRup,Rdwの外径よりも小さく形成される一方、下クランプ54の外径が一対のリングRup,Rdwの外径よりも大きく形成されている。
このような構成により、上クランプ53および下クランプ54によってリング体RFが上下方向(移動方向Z)に挟んで保持されると、結果的にシートフィルムFは上リングRupおよび上クランプ53からなる上側挟持部UHと、下リングRdwおよび下クランプ54からなる下側挟持部DHとにより挟持された状態となる(図2(b))。つまり、下側挟持部DHに載置されたシートフィルムFが上側挟持部UHにより上方から押圧されることによって該シートフィルムFが下側挟持部DHと上側挟持部UHとにより挟持される。以下、下側挟持部DHと上側挟持部UHとをあわせて「一対の挟持部」という。このように、この実施形態では、下側挟持部DHが本発明の「載置部」に相当し、上側挟持部UHが本発明の「押圧部」に相当する。また、このようにシートフィルムFを移動方向Zに挟んで配置された一対の挟持部、つまり上側挟持部UHおよび下側挟持部DHが本発明の「フィルム保持機構」として機能する。
一対の挟持部UH,DHに挟持されたシートフィルムFは第1プレート4と第2プレート5との間に配置される。具体的には、薄膜が形成されたシートフィルムFの表面(薄膜形成面)が第1プレート4に対向する一方、シートフィルムFの裏面(非薄膜形成面)側が第2プレート5に対向するように、シートフィルムFが一対の挟持部UH,DHにより挟持される。
図3は図1の薄膜形成装置のA−A’横断面図である。2つのクランプのうち下クランプ54は、薄膜形成室11に立設された複数本(この実施形態では3本)の円柱体よりなるクランプ受け55上に水平姿勢で支持される。クランプ受け55は第2プレート5の上面5aの中心を通り移動方向Zに伸びる軸(以下、単に「中心軸」という)J回りに互いに等角度(120°)間隔で放射状に配置されている。下クランプ54の上面周縁部(円環部)にはリング体RFの下端部(下リングRdw)を収容可能な内部に向けて窪んだ窪部54aが形成されている(図2(a))。そして、リング体RFの下端部を窪部54aに収容させることによって、窪部54aの周囲を取り囲む周面部54bによってリング体RFの水平方向の移動を規制することができる。
また、下ベース部材13上には、複数本(この実施形態では3本)の突き上げピン15が中心軸J回りに互いに等角度(120°)間隔で放射状に、しかも円周方向に沿ってクランプ受け55の間に位置するように立設されている。一方、下クランプ54の下面には各突き上げピン15に対応して突き上げピン15の先端部を挿入させることが可能なピン挿入孔54c(図1)が形成されている。このため、昇降ユニット20が上昇駆動されると、突き上げピン15の先端部がピン挿入孔54cに挿入されるとともに、突き上げピン15の先端部と後端部との間に形成された段差面が下クランプ54の下面と当接する。これにより、突き上げピン15と下クランプ54とが互いに係合する。したがって、昇降ユニット20がさらに上昇駆動されると、下クランプ54がクランプ受け55から離れ、突き上げピン15と下クランプ54とが係合した状態で一体的に上昇する。これにより、第2プレート5と一対の挟持部、つまり上側挟持部UHおよび下側挟持部DHとが一定の位置関係を保ったまま上昇する。すなわち、突き上げピン15は第2プレート5に対する相対位置が固定して設けられているため、突き上げピン15と下クランプ54とが係合することで、下クランプ54(一対の挟持部UH,DH)に対する第2プレート5の相対位置が固定された状態で、第2プレート5と一対の挟持部UH,DHとが一体的に移動方向Zに沿って移動する。
図4は突き上げピンと下クランプとが係合した状態を示した図である。突き上げピン15と下クランプ54とが係合した時点では、第2プレート5が一対の挟持部UH,DHに挟持されたシートフィルムFに接触して該シートフィルムFが上方に突き上げられる。これにより、シートフィルムFが緊張し、該シートフィルムFに張力を発生させることができる。また、この実施形態では、突き上げピン15が下クランプ54と係合する係合部位の第2プレート5に対する移動方向Zにおける相対距離(以下、単に「相対距離」という)Dを調整することによってシートフィルムFに発生させる張力の大きさをコントロールすることが可能となっている。具体的には、突き上げピン15の先端部と後端部との間に形成された段差面(突き上げピン15が下クランプ54と係合する係合部位)から第2プレート5の上面5aまでの距離(相対距離D)を調整することにより、シートフィルムFに発生させる張力の大きさを変更することが可能となっている。つまり、相対距離Dに応じて、第2プレート5がシートフィルムFと接触を開始してから突き上げピン15と下クランプ54とが係合するまでの間にシートフィルムFが第2プレート5によって移動方向Zに沿って突き上げられる量(以下、単に「突き上げ量」という)Qが変化する。したがって、相対距離Dが調整されることで、突き上げ量Qを変更し、シートフィルムFに発生する張力の大きさを調整することができる。
図5は突き上げピンの構造を示す図である。下ベース部材13には移動方向Zに沿って該下ベース部材13を貫通する貫通孔13aが形成されており、貫通孔13aに突き上げピン15が挿通されている。これにより、その先端側に係合部位(段差面)が設けられた突き上げピン15が下クランプ54(一対の挟持部UH,DH)に向けて突設される。突き上げピン15の後端部151にはねじ溝が刻まれる一方、貫通孔13aの内壁には突き上げピン15のねじ溝と螺合するねじ溝が刻まれている。また、下ベース部材13の上面側に2つのナットからなるダブルナット155が突き上げピン15の後端部151のねじ部に螺嵌されており、ダブルナット155により突き上げピン15が下ベース部材13に緩みなく締め付け固定される。突き上げピン15の先端部152は下クランプ54のピン挿入孔54cに挿入可能とされている。そして、突き上げピン15の先端部152がピン挿入孔54cに挿入されることで、突き上げピン15の後端部151と先端部152とを結合する段差面153(係合部位)が下クランプ54の下面54dに当接する。段差面153と下クランプ54の下面54dとは平行に形成され、面接触状態で当接する。
このような構成によれば、ダブルナット155を緩めて突き上げピン15の頭部154を回転させていくことで、下ベース部材13の上面から段差面153までの移動方向Zにおける長さLが調整される。すなわち、突き上げピン15と下クランプ54とが互いに係合している状態では、下ベース部材13と下クランプ54(一対の挟持部UH,DH)との間の間隙が調整される。そして、下ベース部材13の上面から段差面153までの移動方向Zにおける長さLを所定の長さに調整した後、ダブルナット155を締めることによって突き上げピン15を下ベース部材13に固定する。このように、下ベース部材13の上面から段差面153までの長さLが調整されることで、相対距離Dが調整される。これにより、突き上げ量Qを変更し、シートフィルムFに発生する張力の大きさを調整することができる。したがって、使用するシートフィルムFの種類や膜厚に応じて最適な張力をシートフィルムFに与えることができる。
図1に戻って説明を続ける。下クランプ54の下面周縁部には下クランプ54の水平方向における位置を固定するために、複数本の位置決めピン541が下方に延びるように取り付けられている。これら位置決めピン541は下ベース部材13に移動方向Zに沿って形成された貫通孔13bを貫通している。位置決めピン541と貫通孔13bの内壁との間にはボールスプライン機構等が介在しており、位置決めピン541はボールスプライン機構等を介して移動方向Zに沿ってのみ可動(昇降)自在に支持される。このような構成により、第2プレート5を移動方向Zに沿って変位させたとしても、水平方向における第2プレートと下クランプ54との間の相対位置関係を確実に固定することができる。
また、もう一方のクランプ、つまり上クランプ53は昇降自在に支持された複数本のロッド56の下端に固着されている。この実施形態では、3本のロッド56が中心軸J回りに互いに等角度(120°)間隔で放射状に、上クランプ53から上方に伸びるように設けられている。複数本のロッド56の各々には、上クランプ53を移動方向Zに沿って昇降駆動させるためのエアシリンダ57(本発明の「駆動機構」に相当)が連結されている。そして、制御ユニット10からの動作指令に応じてエアシリンダ57を作動させることで、上クランプ53を移動方向Zに沿って昇降させることができる。具体的には、上クランプ53を上昇させて第2プレート5に対するリング体RFの搬入出を可能とする一方、上クランプ53を下降させて下クランプ54とでリング体RFを挟持して固定することができる。
このエアシリンダ57は処理容器1の外部に配設されており、エアシリンダ57から発生するパーティクル等の汚染物質が薄膜形成室11内に混入するのを防止することができる。なお、上クランプ53を昇降駆動させる駆動機構としては、エアシリンダに限らず、エアシリンダ以外の他の昇降駆動用アクチュエータを用いるようにしてもよい。
また、エアシリンダ57と、該エアシリンダ57に圧縮空気を供給するための圧縮空気供給源との間には調圧弁58が介装されている。そして、制御ユニット10からの動作指令に応じて調圧弁58の開度を調整することにより、ロッド56の推力を一定に保つことが可能となっている。この実施形態では、軸131が移動方向Zにおいて受ける加重圧力を検出する加重センサ16が設けられており、後述するようにして加重センサ16によって検出された加重圧力に基づいて制御ユニット10が調圧弁58の開度を調整し、ロッド56の推力を一定に保つようにフィードバック制御する。これにより、下クランプ54に載置されたリング体RFを上クランプ53により一定の押圧力で押圧することができる。すなわち、下側挟持部DH上に配置されたシートフィルムFを上側挟持部UHにより上方から一定の押圧力で押圧することが可能となっている。このように、この実施形態では、調圧弁58が本発明の「調整手段」として機能する。
次に、上記した薄膜形成装置の動作について図6ないし図8を参照しつつ説明する。図6ないし図8は図1の薄膜形成装置の動作を説明するための模式図である。本実施形態においては、薄膜形成室11内への基板WおよびシートフィルムFの搬入に先立って、各突き上げピン15において、下ベース部材13の上面から段差面153までの移動方向Zにおける長さLが使用されるシートフィルムFの種類や膜厚等に応じて予め調整されているものとする。
最初に第1プレート4側に基板Wが搬入される。すなわち、制御ユニット10はリフタ駆動機構46に下降指令を与え、図6(a)に示すように、爪部材45を基板搬入位置に位置決めする。それに続いて、薄膜を形成すべき基板Wが薄膜形成室11内に搬入され、爪部材45の上に載置される。その後、制御ユニット10はリフタ駆動機構46に対して上昇指令を与え、爪部材45を基板装着位置に移動させて基板Wの上面(非パターン形成面)を第1プレート4の下面4aに密着させた状態で基板Wを位置決めする(図6(b))。これにより、第1プレート4に基板Wが装着される(基板装着工程)。
一方、第2プレート5側では、シートフィルムFがリング体RFにより挟持された状態で薄膜形成室11内に搬入される。ここで、リング体RFを構成する一対のリングRup,Rdwに挟まれたシートフィルムFの表面(薄膜形成面)には予め薄膜が形成されており、薄膜形成面を上方に向けてシートフィルムFが搬入される。このとき、上クランプ53はリング体RFの搬入を妨げることのないように上方に退避している。また、第2プレート5の上面5aは下クランプ54(リング体RFが載置される載置面)の下方に位置している。このため、シートフィルムFが搬入される際に、シートフィルムFと第2プレート5とが接触するのを回避することができる。その結果、シートフィルムFに張力が発生していない状態で薄膜が部分的に乾燥して薄膜の均一な乾燥が阻害されてしまうのを防止することができる。
そして、リング体RFが下クランプ54上に載置された後、上クランプ53が下降して下クランプ54に載置されたリング体RFが上クランプ53によって押圧される(図6(c))。これによって、シートフィルムFの周縁部が全周にわたって所定の押圧力で均一に押圧され、シートフィルムFにしわや折り曲げが発生するのを防止しながら、シートフィルムFが一対の挟持部、つまり上側挟持部UHおよび下側挟持部DHにより挟持された状態となる(フィルム保持工程)。
こうして、基板WおよびシートフィルムFの搬入が完了すると、制御ユニット10は装置各部を制御し、以下に示すように薄膜を基板Wに転写する転写工程を実行する。先ず、真空ポンプ2による薄膜形成室11の排気減圧を開始する。また、ヒータコントローラ42によって加熱ヒータ41に通電して第1プレート4を加熱して基板Wを所望の温度に加熱するとともに、ヒータコントローラ52によって加熱ヒータ51に通電して第2プレート5を加熱してシートフィルムFを所望の温度に加熱する。
そして、薄膜形成室11が所望の圧力まで減圧されると、制御ユニット10より加重モータ14に信号が送られ、昇降ユニット20(第2プレート5)の上昇駆動を開始する。加重モータ14の作動により第2プレート5が上昇すると、一対の挟持部UH,DHに挟持されたシートフィルムFの裏面(非薄膜形成面)と第2プレート5の上面5aとが接触して第2プレート5にシートフィルムFが装着される。このとき、第2プレート5の上面5aの平面サイズはシートフィルムFの平面サイズよりも小さく形成されているため、第2プレート5の上面5aの全面がシートフィルムFにより覆われる。そして、第2プレート5の上面5aがシートフィルムFに接触した状態で第2プレート5がさらに上昇すると、シートフィルムFが緊張し、該シートフィルムFに張力が発生する。具体的には、上側挟持部UHが下側挟持部DH上に載置されたシートフィルムFを上方から鉛直方向下向きに押し付ける力と、第2プレート5の移動により第2プレート5がシートフィルムFを鉛直方向上向きに押し上げる力とによりシートフィルムFに張力が発生する。その結果、シートフィルムFが加熱ヒータ51によって加熱され、熱膨張により伸張して弛んでいても、その弛みが取り除かれる。
また、昇降ユニット20の上昇によって突き上げピン15がクランプ受け55上に載置された下クランプ54と係合する(図7(a))。これによって、移動方向Zにおける下クランプ54(一対の挟持部UH,DH)に対する第2プレート5の相対位置が固定される。その結果、シートフィルムFに発生する張力の大きさが決定されるとともに固定される。また、第2プレート5の上昇により、下クランプ54(一対の挟持部UH,DH)がクランプ受け55から突き上げピン15に受け渡される。
そして、第2プレート5の上昇とともに一対の挟持部UH,DHがシートフィルムFを挟持しながら移動方向Zに沿って変位する。このとき、上クランプ53に連結されたロッド56がエアシリンダ57内に後退してストロークが短くなると、エアシリンダ57内の圧力が上昇してロッド56の推力が増大する。その結果、シートフィルムFに対する押圧力が増大し、加重センサ16によって検出される加重圧力が上昇する。そこで、制御ユニット10は加重センサ16によって検出される加重圧力が一定となるように調圧弁58の開度を調整し、ロッド56の推力を一定に保つようにフィードバック制御する。つまり、シートフィルムFに対する押圧力が一定になるように、つまり第2プレート5がシートフィルムFに接触する前にシートフィルムFに与えられた押圧力に等しくなるように、制御ユニット10からの動作指令に応じて調圧弁58が制御される。そして、制御ユニット10は昇降ユニット20を上昇させるとともに、シートフィルムFへの押圧力が一定となるように調圧弁58を制御しながらロッド56をエアシリンダ57内に後退させてストロークを短くしていく。これにより、第2プレート5の上昇を阻害することなく、かつ一対の挟持部UH,DHによりシートフィルムFが良好かつ確実に保持される。
また、下クランプ54(一対の挟持部)と突き上げピン15とが互いに係合した状態で一対の挟持部UH,DHと第2プレート5とが一体的に移動方向Zに沿って移動することで、決定された張力を維持したままシートフィルムFが上昇する。つまり、第2プレート5と一対の挟持部UH,DHとが一定の位置関係を保ったまま上昇するので、シートフィルムFに与えられた張力の大きさが変化するのを防止することができる。このため、シートフィルムFに張力を安定して与えながらシートフィルムFを基板Wに近接させていくことができる。
そして、第2プレート5がさらに上昇すると、シートフィルムF上の薄膜が基板Wに密着し、基板Wへの薄膜の転写が開始される(図7(b))。また、薄膜形成室11を排気減圧したまま、基板WとシートフィルムFとが所定の加重で一定時間互いに押し付けられる。その間も基板WとシートフィルムFは所定の温度となるように加熱されている。薄膜が基板Wに押し付けられている間もシートフィルムFは一対の挟持部UH,DHにより挟持されながら、一定の張力、つまり下クランプ54と突き上げピン15とが係合することによって決定された張力が付与された状態となっている。このため、シートフィルムにしわや折り曲げが発生するのを防止して、平坦で均一な膜厚の薄膜を基板Wに形成することができる。
そして、一連の加重操作が終了して転写処理が完了すると、ヒータコントローラ42,52により加熱ヒータ41,51の作動を停止させて第1,第2プレート4,5の加熱を停止すると同時に、爪部材45を側方に退避させて爪部材45による基板保持を解除する(図7(c))。続いて、加重の状態が零となるように制御ユニット10から加重モータ14に信号を送り、昇降ユニット20および一対の挟持部UH,DH(上クランプ53、リング体RF、下クランプ54)を一体的に下降させる(図8(a))。すなわち、制御ユニット10はシートフィルムFに対する押圧力が一定となるように調圧弁58を制御しながらロッド56をエアシリンダ57内から進出させてストロークを長くしていく。その後、昇降ユニット20が下降し、上クランプ53により上方から押圧された状態で下クランプ54およびリング体RFがクランプ受け55上に受け渡される(図8(b))。さらに、昇降ユニット20が下降し、昇降ユニット20(第2プレート5)が転写前の初期位置に復帰すると、突き上げピン15が下クランプ54から離れる。また、上クランプ53によるリング体RFへの押圧が解除される(図8(c))。これにより、下クランプ54およびリング体RFがクランプ受け55上に支持された状態となる。
こうして、第2プレート5が転写前の初期位置に戻った後、真空ポンプ2を停止させる。なお、上記のようにして薄膜の密着が完了すると、基板Wは薄膜を挟んでシートフィルムFと一体となっており、この一体化状態のままリング体RFを薄膜形成室11から取り出し、シートフィルムFを剥離する剥離装置(図示せず)に搬送する。
以上のように、この実施形態によれば、第2プレート5の移動とともに該第2プレート5に装着されたシートフィルムFが移動しても、一対の挟持部(上側挟持部UHおよび下側挟持部DH)がシートフィルムFを挟持しながら第2プレート5の移動とともに変位する。このため、シートフィルムFにしわや折り曲げを発生させることなく、シートフィルムFを良好かつ確実に保持することができる。しかも、シートフィルムFを保持するフィルム保持機構、つまり一対の挟持部UH,DHはシートフィルムFを移動方向Zに挟んで配置されているので、シートフィルムFを保持するために装置のフットプリントが増大するのを抑制することができる。すなわち、フィルム保持機構がシートフィルムFを移動方向Zに挟んで配置されることで、フィルム保持機構をシートフィルムFの周囲側方(移動方向Zに直交する方向、つまり水平方向)に配置する場合に比較して水平方向における装置のフットプリントを小さくすることができる。したがって、装置をコンパクトに構成しながらも、シートフィルムFが装着された第2プレート5が移動される際にシートフィルムを良好かつ確実に保持することが可能となっている。
特に、この実施形態によれば、シートフィルムFを移動方向Zに投影した投影面内にほぼ収まるように一対の挟持部UH,DHを移動方向Zに沿って配置しているので、薄膜形成室11を水平方向に広げて形成する必要がない。このため、薄膜形成室11内の排気に要する排気時間を短縮して装置のスループットを向上させることができる。
また、この実施形態によれば、エアシリンダ57により上側挟持部UHを駆動することで発生した押圧力によってシートフィルムFを上側挟持部UHと下側挟持部DHとにより挟持しているので、シートフィルムFを確実に保持(挟持)することができる。さらに、シートフィルムFに対する押圧力を調整する調圧弁58を設けて、調圧弁58によりシートフィルムFに対する押圧力が一定となるように調整している。このため、シートフィルムFに与えられる押圧力を一定にコントロールしながら該シートフィルムFを挟持した一対の挟持部を移動方向Zに沿って変位させていくことができる。したがって、シートフィルムFにしわや折り曲げが発生するのを確実に防止しながら転写処理を実行することが可能となっている。
また、この実施形態によれば、一対の挟持部UH,DHによりシートフィルムFの挟持を維持しながら、一対の挟持部UH,DHとシートフィルムFが装着された第2プレート5との間の移動方向Zにおける相対位置に応じてシートフィルムFに張力を発生させている。このため、シートフィルムFの熱膨張等によって該シートフィルムFに弛みが生じた場合であっても、一対の挟持部UH,DHによりシートフィルムFを確実に保持した状態でシートフィルムFの弛みを取り除くことができる。しかも、一対の挟持部UH,DHと第2プレート5との間の移動方向Zにおける相対位置に応じてシートフィルムFに張力を発生させているので、シートフィルムFに張力を発生させる機構を新たに装置に組み込む必要がなく、装置を簡素に構成することができる。
<その他>
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば上記実施形態では、第2プレート5を第1プレート4の下方に配置し、第2プレート5の上面5aを第1プレート4に対向させているが、第2プレート5を第1プレート4の上方に配置し、第2プレート5の下面を第1プレート4に対向させてもよい。
また、上記実施形態では、第1プレート4を固定配置した状態で第2プレート5を移動させることで転写処理を実行しているが、第1および第2プレート4,5をともに移動させることで転写処理を実行するように構成してもよい。
また、上記実施形態では、一対のリングRup,RdwによりシートフィルムFを挟み込んでリング体RFを構成し、リング体RFを薄膜形成室11に搬入することでシートフィルムFを搬送しているが、シートフィルムFの搬送態様はこれに限定されるものではなく、シートフィルムFを薄膜形成室11に直接搬入してもよい。この場合、シートフィルムFは下クランプ54(本発明の「載置部」に相当)上に載置され、下クランプ54に載置されたシートフィルムFが上クランプ53(本発明の「押圧部」に相当)により上方から押圧されることで移動方向Zに挟持される。このように、この実施形態(変形形態)では、上クランプ53と下クランプ54とが本発明の「一対の挟持部」に相当する。
また、上記実施形態では、エアシリンダ57などの昇降駆動用アクチュエータを用いて押圧部を駆動することでシートフィルムFへの押圧力を発生させている。しかしながら、昇降駆動用アクチュエータを用いることは必須ではなく、押圧部の自重のみにより載置部に載置されたシートフィルムFを上方から押圧して、押圧部と載置部とによりシートフィルムFを挟持するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、押圧部を昇降駆動用アクチュエータにより駆動することでシートフィルムFへの押圧力を発生させているが、載置部を昇降駆動用アクチュエータにより駆動することでシートフィルムFへの押圧力を発生させてもよい。さらに、押圧部と載置部との両方を駆動することでシートフィルムFへの押圧力を発生させてもよい。
また、上記実施形態では、半導体基板に薄膜を転写する場合に限らず、電子部品材料関係であればマルチチップモジュール等の実装関係の基板や液晶関係の基板に薄膜を転写する場合にも適用できる。また、薄膜についても絶縁膜に限らず、金属系の薄膜を基板に転写してもよい。
この発明は、半導体ウエハ、フォトマスク用ガラス基板、液晶表示用ガラス基板、プラズマ表示用ガラス基板、FED(Field Emission Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板などを含む基板に薄膜を形成する薄膜形成装置および薄膜形成方法に適用することができる。
この発明にかかる薄膜形成装置の一実施形態を示す図である。 リング体およびリング体を挟持する構成を説明するための断面図である。 図1の薄膜形成装置のA−A’横断面図である。 突き上げピンと下クランプとが係合した状態を示した図である。 突き上げピンの構造を示す図である。 図1の薄膜形成装置の動作を説明するための模式図である。 図1の薄膜形成装置の動作を説明するための模式図である。 図1の薄膜形成装置の動作を説明するための模式図である。
符号の説明
1…処理容器
2…真空ポンプ(排気手段)
4…第1プレート
4a…(第1プレートの)下面(装着面)
5…第2プレート
11…薄膜形成室
14…加重モー
53…上クランプ(押圧部、一対の挟持部)
54…下クランプ(押圧部、一対の挟持部)
57…エアシリンダ(駆動機構)
58…調圧弁
DH…下側挟持部(載置部、一対の挟持部)
F…シートフィルム
RF…リング体(一対の挟持部)
UH…上側挟持部(押圧部、一対の挟持部)
W…基板
Z…移動方向

Claims (9)

  1. シートフィルムの薄膜形成面に形成された薄膜を基板に転写する転写処理を実行する薄膜形成装置において、
    前記シートフィルムを保持するフィルム保持機構と、
    前記フィルム保持機構に保持された前記シートフィルム上の前記薄膜に対向する装着面を有し、該装着面に前記基板が装着される第1プレートと、
    所定の移動方向に沿って前記第1プレートに対して昇降自在に設けられるとともに前記シートフィルムの両主面のうち前記薄膜形成面に対して反対の非薄膜形成面側に前記第1プレートに対向して配設された第2プレートを有し、前記第2プレートを前記移動方向に沿って昇降させる昇降ユニット
    を備え、
    前記フィルム保持機構は、前記シートフィルムを前記移動方向に挟んで配置された一対の挟持部を有し、
    前記昇降ユニットは、前記第2プレートを前記移動方向に沿って上昇させて前記フィルム保持機構により保持された前記シートフィルムを前記第2プレートに装着し、さらに前記一対の挟持部と係合して前記第2プレートと前記一対の挟持部とを一体的に前記移動方向に沿って上昇させて前記第1プレートに装着された前記基板に対して前記シートフィルム上の前記薄膜を押し付けることで転写処理を実行する
    ことを特徴とする薄膜形成装置。
  2. 前記第2プレートが前記第1プレートの下方に配設された請求項1記載の薄膜形成装置であって、
    前記フィルム保持機構は、前記シートフィルムが載置される載置部と、前記載置部に載置された前記シートフィルムを上方から前記移動方向に沿って押圧する押圧部とを前記一対の挟持部として有し、前記載置部と前記押圧部とにより前記シートフィルムを挟持する薄膜形成装置。
  3. 前記押圧部を前記移動方向に沿って駆動して前記シートフィルムに対する押圧力を発生させる駆動機構をさらに備える請求項2記載の薄膜形成装置。
  4. 前記駆動機構は前記シートフィルムに対する押圧力を調整する調整手段をさらに備え、
    前記一対の挟持部は前記調整手段により前記押圧力が一定となるように調整されながら前記移動方向に沿って変位する請求項3記載の薄膜形成装置。
  5. その内部が薄膜形成室となっている処理容器内で前記転写処理を実行する請求項3または4記載の薄膜形成装置であって、
    前記駆動機構が前記処理容器の外部に設けられる薄膜形成装置。
  6. 前記薄膜形成室内を排気する排気手段をさらに備え、
    前記昇降ユニットは前記排気手段により前記薄膜形成室内が減圧制御された状態で前記転写処理を実行する請求項5記載の薄膜形成装置。
  7. 前記一対の挟持部は前記シートフィルムの周縁部を全周にわたって挟持する請求項1ないし6のいずれかに記載の薄膜形成装置。
  8. 前記一対の挟持部により前記シートフィルムの挟持を維持しながら、前記一対の挟持部と前記シートフィルムが装着された前記第2プレートとの間の前記移動方向における相対位置に応じて前記シートフィルムに張力を発生させる請求項1ないし7のいずれかに記載の薄膜形成装置。
  9. 薄膜が薄膜形成面に形成されたシートフィルムを保持するフィルム保持工程と、
    前記シートフィルム上の前記薄膜に対向するように基板を第1プレートに装着する基板装着工程と、
    前記シートフィルムの両主面のうち前記薄膜形成面に対して反対の非薄膜形成面側に前記第1プレートに対向して配設された第2プレートを所定の移動方向に沿って移動させることで、前記シートフィルムを前記第2プレートに装着するとともに前記第1プレートに装着された前記基板に対して前記シートフィルム上の前記薄膜を押し付けて前記薄膜を前記基板に転写する転写工程と
    を備え、
    前記フィルム保持工程では、前記シートフィルムを前記移動方向に挟んで配置された一対の挟持部により前記シートフィルムを挟持するとともに
    記転写工程では、前記一対の挟持部に挟持された前記シートフィルムに対して前記第2プレートを前記移動方向に沿って移動させることで前記シートフィルムを前記第2プレートに装着し、さらに前記第1プレートに装着された前記基板に対して前記第2プレートと前記一対の挟持部とを一体的に前記移動方向に沿って移動させることで前記基板に対して前記シートフィルム上の前記薄膜を押し付ける
    ことを特徴とする薄膜形成方法。
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