JP2013220714A - 車両用シート - Google Patents

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Abstract

【課題】車両衝突時における乗員の車幅方向への移動を効果的に抑制することができる車両用シートを得る。
【解決手段】車両用シート10は、シートバック14に対し初期位置からポップアップ位置へ移動可能に設けられたポップアップバー18と、作動されることでポップアップバー18を初期位置からポップアップ位置に移動させるインフレータ26と、上端部がポップアップバー18に接続されると共にシートバック14の側部に収納されガス供給を受けて着座乗員の肩部及び胸部の側方で膨張展開されるサイドエアバッグ36と、車両の衝突を検知又は予測した場合にサイドエアバッグ36の膨張展開の開始に先行して又はサイドエアバッグ36の膨張展開の開始と同時に、ポップアップバー18の初期位置からポップアップ位置への移動が開始されるようにインフレータ26を作動させる側突ECU44とを備えている。
【選択図】図1

Description

本発明は、車両用シートに関する。
車両用シートに着座した乗員の頭部から肩部に対応する上方バッグ部と、該乗員の腰部に対応する下方バッグ部とを備えたサイドエアバッグ装置を、シートバックにおける車幅方向外側部分に設けた構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。
国際公開第2011/016107号
上記した技術では、上方バッグ部を乗員の肩部と車室側部との狭い空間で膨張展開させることが難しい。
本発明は、車両衝突時における乗員の車幅方向への移動を効果的に抑制することができる車両用シートを得ることが目的である。
請求項1記載の発明に係る車両用シートは、シートバックに対して、初期位置から車両上方に突出する突出位置へ移動可能に設けられた可動支持体と、作動されることで、前記可動支持体を前記初期位置から突出位置に移動させるアクチュエータと、上端部が前記可動支持体に接続されると共に前記シートバックの側部に収納され、ガス供給を受けて着座乗員の肩部及び胸部の側方で膨張展開されるサイドエアバッグと、車両の衝突を検知又は予測した場合に、前記サイドエアバッグの膨張展開の開始に先行して又は前記サイドエアバッグの膨張展開の開始と同時に、前記可動支持体の前記初期位置から突出位置への移動が開始されるように、アクチュエータを作動させる制御装置と、を備えている。
この車両用シートでは、車両の衝突が検知又は予測されると、アクチュエータの作動により可動支持体が初期位置から突出位置へ移動する。また、可動支持体の移動開始と同時に又は可動支持体の移動開始後に、サイドエアバッグの膨張展開が開始される。これにより、乗員の少なくとも肩部及び胸部がサイドエアバッグにより保護される。ここで、サイドエアバッグは、その上端部が可動支持体に接続されているので、膨張展開開始前に又は開始と同時に、シートバックから、該シートバックに対する上方すなわち着座乗員の肩部の側方近傍に引き出される。また、可動支持体によってサイドエアバッグの展開反力が支持される。これらにより、例えばサイドエアバッグを、膨張展開開始から短時間で、乗員の肩部と車室側部との間の狭い空間で展開させることができ、衝突初期における所要の乗員拘束性能が確保される。
このように、請求項1記載の車両用シートでは、車両衝突時における乗員の車幅方向への移動を効果的に抑制することができる。
請求項2記載の発明に係る車両用シートは、請求項1において、前記サイドエアバッグは、ガス供給を受けて着座乗員の頭部の側方で膨張展開される頭部保護チャンバを含んで構成されており、該頭部保護チャンバの上端部において前記可動支持体に接続されている。
この車両用シートでは、可動支持体にて反力が支持される頭部保護チャンバによって、着座乗員の頭部が良好に保護される。
請求項3記載の発明に係る車両用シートは、請求項1又は請求項2において、前記可動支持体は、前記サイドエアバッグに供給されるガスを通し、該ガスを前記サイドエアバッグとの接続部位から車両下方又は車両前方に向けて供給する中空構造とされている。
この車両用シートでは、中空構造の可動支持体をガス供給路(ディフューザ)として機能させるので、サイドエアバッグへのガス供給経路を簡素化することができる。
請求項4記載の発明に係る車両用シートは、請求項3において、前記アクチュエータは、ガス圧によって前記可動支持体を前記初期位置から突出位置へ移動させる構成とされており、前記サイドエアバッグにガスを供給するガス発生手段を兼ねている。
この車両用シートでは、アクチュエータが発生するガスが可動支持体を初期位置から突出位置まで移動させると共に、該ガスが中空の可動支持体内を通じてサイドエアバッグに供給されて該サイドエアバッグが展開される。これにより、アクチュエータとガス発生手段とを別個に設ける構成と比較して、構成の簡素化、低コスト化が可能である。
請求項5記載の発明に係る車両用シートは、請求項3又は請求項4において、前記シートバックの車幅方向両側に、共通の前記ガス発生手段が発生したガスの供給を受けてそれぞれ膨張展開される一対の前記サイドエアバッグが設けられており、前記中空構造の可動支持体は、車幅方向内側に位置する前記サイドエアバッグへのガス供給に先行して車幅方向外側に位置する前記サイドエアバッグへガスを供給する。
この車両用シートでは、着座乗員に対する車幅方向内外のサイドエアバッグがガス発生手段からのガスで膨張展開される。ここで、可動支持体は、車幅方向内側のサイドエアバッグに対し先行して車幅方向外側のサイドエアバッグにガスを供給する。このため、車幅方向外側サイドエアバッグが内側のサイドエアバッグに先行して膨張展開される。これにより、例えば側面衝突の場合に、衝突側である車幅方向外側に先行展開されるサイドエアバッグによって乗員が効果的に保護される。一方、車幅方向内側のサイドエアバッグは、ゆり戻しや隣席乗員の近接に対し適時に膨張展開され、着座乗員を効果的に保護することができる。
請求項6記載の発明に係る車両用シートは、請求項4又は請求項4を引用する請求項5において、前記可動支持体は、前記シートバックに固定されたガイドパイプにスライド可能に挿入され、該シートバックに対し上下方向にスライドする中空のスライダと、該スライダの上端に設けられ内部が前記スライダ内部と連通された受圧部として機能する可動部本体とを有し、前記アクチュエータは、前記ガイドパイプ内でガスを発生する構成とされ、前記サイドエアバッグは、前記可動部本体における前記スライダの連通側とは反対側の部分にガス供給可能に接続されており、前記ガイドパイプ、前記スライダ、及び前記可動部本体の内部を通じて、前記アクチュエータを兼ねる前記ガス発生手段のガスが供給されるように構成されている。
この車両用シートでは、アクチュエータが発生したガスは、ガイドパイプへの挿入状態のスライダ内を流れ、受圧部において可動支持体にガス圧を作用させる。このガス圧によって可動支持体は、スライダをガイドパイプから抜け出させつつ初期位置から突出位置へ移動する。受圧部を通過したガスは、可動部本体の内部を通じてサイドエアバッグに供給される。これにより、可動支持体の突出位置への移動により一部がシートバックから引き出されたサイドエアバッグが良好に膨張展開される。
請求項7記載の発明に係る車両用シートは、請求項1〜請求項6の何れか1項において、上端側が前記可動支持体に接続されると共に下端側がシートクッションの前端側に接続され、かつ前記シートクッションの側部からシートバックの側部にかけて収納され、前記可動支持体が前記初期位置から突出位置に移動することで、該可動支持体との接続部と前記シートクッションとの接続部との間に張力が作用するように前記サイドエアバッグに対する車幅方向の着座乗員側とは反対側で展開される側方展開部材をさらに備える。
この車両用シートでは、可動支持体の初期位置から突出位置への移動に伴って側方展開部材が展開される。サイドエアバッグは、この側方展開部材に沿って(側方展開部材と着座乗員との間で)膨張展開されることとなるので、特に展開初期における膨張展開の方向が安定する。
以上説明したように本発明に係る車両用シートは、車両衝突時における乗員の車幅方向への移動を効果的に抑制することができるという優れた効果を有する。
第1の実施形態に係る車両用シートを構成するインフレータからサイドエアバッグへのガス供給経路を説明するための図であって、(A)はポップアップバーが格納位置に位置する状態の側面図、(B)はポップアップバーからサイドエアバッグ内にガスが供給され始める状態を示す側面図である。 第1の実施形態に係る車両用シートにおける乗員拘束装置の作動状態の斜視図である。 第1の実施形態に係る車両用シートにおける乗員拘束装置の格納状態の斜視図である。 第1の実施形態に係る車両用シートにおける乗員拘束装置の作動状態を示す図であって、(A)は車幅方向外側から見た側面図、(B)は車幅方向内側から見た側面図である。 第1の実施形態に係る車両用シートを構成する左右のサイドエアバッグの展開過程を模式的に示す図であって、(A)はポップアップバーの移動途中を示す斜視図、(B)はニアサイドエアバッグの展開初期を示す斜視図、(C)はファーサイドエアバッグの展開初期を示す斜視図である。 第2の実施形態に係る車両用シートを構成するインフレータからサイドエアバッグへのガス供給経路を説明するための側面図である。 各実施形態の変形例に係る車両用シートにおける乗員拘束装置の作動状態を示す車幅方向外側から見た側面図である。
本発明の第1の実施形態に係る車両用シート10について、図1〜図5に基づいて説明する。なお、各図に適宜記す矢印FR、矢印UP、矢印OUTは、それぞれ車両用シート10が適用された自動車の前方向、上方向、車幅方向の外側をそれぞれ示している。以下、単に前後、上下の方向を用いて説明する場合は、特に断りのない限り、車両前後方向の前後、車両上下方向の上下を示すものとする。
図3には、後述する乗員拘束装置11が適用された車両用シート10が斜視図にて示されている。図2には、乗員拘束装置11が作動された状態の車両用シート10が斜視図にて示されている。これらの図に示される如く、車両用シート10は、乗員が前方を向いて着座するように設けられている。具体的には、車両用シート10は、着座部を成すシートクッション12と、該シートクッション12の後端部に下端部が接続されバックレストを成すシートバック14と、シートバック14の上端に設けられたヘッドレスト16とを主要部として構成されている。この実施形態における車両用シート10は、運転席又は助手席用とされているが、2列目やそれよりも後方の後部座席用としても良い。
(可動支持体の構成)
車両用シート10は、乗員拘束装置11を構成する可動支持体としてのポップアップバー18を備えている。ポップアップバー18は、シートバック14に対し、図1(A)及び図3に示す格納位置(初期位置)から、図1(B)及び図2に示す如く格納位置よりも上方の位置であるポップアップ位置(突出位置)へ移動可能とされている。以下、具体的に説明する。
ポップアップバー18は、シート幅方向に沿って延びるバー本体20と、バー本体20のシート幅方向両端から垂下された左右一対の被案内部としてのスライダ(ロッド)22とを有して構成されている。このポップアップバー18は、左右のスライダ22において、案内部としての左右一対のガイドパイプ24を介して、シートバック14のシートバックフレーム14A(図1参照)に、格納位置からポップアップ位置への移動可能に支持されている。すなわち、スライダ22は、左右対応するガイドパイプ24内にスライド可能に挿入されており、該ガイドパイプ24に沿って案内されつつ上方に移動することで、格納位置からポップアップ位置へ移動する構成とされている。この実施形態では、がガイドパイプ24に対するスライダ22のスライドに伴って、該スライダ22の下端に固定されたピストン25(図1(A)、図1(B)参照)がガイドパイプ24の内周面と摺動するようになっている。
また、ポップアップバー18を構成するバー本体20は、平面視で前向きに凹となる(開口する)曲がり形状を成している。具体的には、バー本体20は、それぞれ前後方向に延びる左右一対のサイドバー20Sと、一対のサイドバー20Sの後端同士を車幅方向に沿って架け渡すクロスバー20Cとを主要部として構成されている。
このバー本体20は、格納位置からポップアップ位置への移動過程で左右のサイドバー20S間をヘッドレスト16が通るように形成されている。この実施形態では、バー本体20は、格納位置からポップアップ位置まで移動するのに伴って、ヘッドレスト16が左右のサイドバー20S間を通過する(横切る)構成とされている。すなわち、バー本体20は、格納位置からポップアップ位置への移動に伴ってヘッドレスト16と干渉しない形状とされている。なお、左右のスライダ22は、ヘッドレスト16を車幅方向に挟むように、左右対応するサイドバー20Sにおける前後方向の中間部から垂下されている。また、ポップアップ位置でのバー本体20の上下位置(後述するテンションクロス28上端の接続位置)は、ヘッドレスト16の最上部よりも上側とされている。
以上説明したポップアップバー18は、図2(A)に示す格納位置ではバー本体20が外部に露出している。すなわち、ガイドパイプ24及び該ガイドパイプ24に挿入されたスライダ22は、シートバック14の表皮材(及びクッション材)に覆われて外部に露出されない構成とされている。一方、図1及び図2(B)に示すポップアップ位置でバー本体20は、スライダ22の上部と共に外部に露出されるようになっている。
図1に示される如く、スライダ22及びガイドパイプ24は、側面視で互いの軸心部の曲率半径が略一致されると共に、後方に向けて凸を成す円弧状に形成されている。このため、ポップアップバー18すなわちバー本体20は、格納位置からポップアップ位置に至るまでの間に、上方に変位しながら前方への変位を生じる構成(移動軌跡)とされている。この実施形態では、バー本体20は、格納位置での前後位置よりもポップアップ位置での前後位置の方が前側に位置する設定とされている。さらには、図1(B)に示される如く、ポップアップ位置でのサイドバー20S前端の前後位置は、シートバックフレーム14A上端の前後位置よりも前側とされている。また、ポップアップ位置でのバー本体20の上下位置(後述するテンションクロス28上端の接続位置)は、ヘッドレスト16の最上部よりも上側とされている。
そして、図1(A)及び図1(B)に示される如く、一方のガイドパイプ24の下端には、アクチュエータ及びガス発生手段としてのインフレータ26が設けられている。この実施形態では、一対のガイドパイプ24のうち、車幅方向外側に位置するガイドパイプ24の下端にインフレータ26が設けられている。インフレータ26は、作動することでガスを発生し、該ガスをガイドパイプ24内に供給するようになっている。ポップアップバー18は、インフレータ26のガス圧によって格納位置からポップアップ位置へ移動する構成とされている。
具体的には、ポップアップバー18を構成する車幅方向外側のスライダ22は、中空のパイプ状を成しており、インフレータ26が発生したガスはバー本体20内に導入されるようになっている。バー本体20におけるスライダ22の連結(連通)部位から離れた部分には、後述する如くニアサイドエアバッグ36がガスの流通(供給)可能に接続されている。ポップアップバー18のバー本体20内におけるスライダ22とニアサイドエアバッグ36との間の部分が受圧部20Pとされている。
そして、受圧部20Pでインフレータ26の発生したガスのガス圧を受けることで、ポップアップバー18が格納位置からポップアップ位置へ移動するようになっている。なお、ポップアップバー18は、ピストン25とガイドパイプ24上端のシール部24Aとがストッパとして機能することによって、ポップアップ位置を超えて上方に移動することがない構成とされている。また、図示は省略するが、車幅方向内側のスライダ22は、バー本体20との間でガスの流通が生じないように、閉じたパイプとされている。この閉じたスライダ22が案内される車幅方向内側のガイドパイプ24は、その下端が開口端とされている。これにより、インフレータ26が発生したガスにてポップアップバー18が格納位置からポップアップ位置へ移動する際に、車幅方向内側のガイドパイプ24には空気が導入され、密閉空間内の空気膨張による抵抗を生じない構成とされている。
(側方展開部材の構成)
図2及び図4に示される如く、乗員拘束装置11は、後述する側突時に車両用シート10の側方で展開され側方展開部材としてのテンションクロス28を備えている。テンションクロス28は、展開状態での側面視で略三角形状を成している。この実施形態では、車両用シート10の左右両側にテンションクロス28が設けられた例を示す。車幅方向外側に設けられるテンションクロス28は、主に側面衝突等の衝突時に着座乗員Pの車幅方向外側への移動を規制するようになっている。一方、車幅方向内側に設けられるテンションクロス28は、主に側面衝突等の衝突時に隣席の着座乗員Pとの干渉を抑制するようになっている。
テンションクロス28は、それぞれの下端28Aがシートクッション12の前端側で、図示しないシートクッションフレーム等に接続されている。一方、テンションクロス28の上端28Bは、それぞれポップアップバー18のバー本体20におけるシート幅方向の端部に接続されている。より具体的には、テンションクロス28の上端28Bは、バー本体20を構成するサイドバー20Sの前端部に接続されている。さらに、図示は省略するが、テンションクロス28の後縁部は、それぞれシートバックフレーム14A又はガイドパイプ24に接続されている。
各テンションクロス28は、ポップアップバー18が格納位置に位置する状態で、シートクッション12及びシートバック14の側部に収納されている。この収納状態での各テンションクロス28は、図3に想像線にて示される如く、シートクッション12及びシートバック14の側部に沿った略「L」字状に折り畳まれている。シートクッション12及びシートバック14の側部には、テンションクロス28が張り出すための切れ目(スリット)30が形成されている。この実施形態では、切れ目30は、シートバック14の左右両側部におけるバックボード14Bの前縁、及びシートクッション12の左右両側部におけるサイドカバー12Aの上縁に沿って形成されている。なお、切れ目30は、シートクッション12、シートバック14の左右両側部の表皮材等に形成しても良い。
そして、テンションクロス28は、ポップアップバー18の格納位置からポップアップ位置への移動に伴って、切れ目30を通じてシートクッション12及びシートバック14から引き出され、図2、図4に示される如く展開されるようになっている。この展開状態でテンションクロス28は、シートクッション12に接続された下端28Aとバー本体20に接続された上端28Bとを結ぶ直線(テンションラインTL)に沿って張力が作用される。この展開状態のテンションクロス28によって、着座乗員Pのシート幅方向外側(上記した車幅方向内側、外側)への移動を規制するようになっている。
(サイドエアバッグ装置)
乗員拘束装置11は、車両用シート10の左右両側にサイドエアバッグ装置が設けられている。具体的には、車両用シート10を構成するシートバック14の車幅方向外側の側部には、ニアサイドエアバッグ装置32が設けられており、シートバック14の車幅方向内側の側部には、ファーサイドエアバッグ装置34が設けられている。
<ニアサイドエアバッグ装置>
図2及び図4(A)に示される如く、ニアサイドエアバッグ装置32は、着座乗員Pに対する車幅方向外側で膨張展開されるニアサイドエアバッグ36を有する。ニアサイドエアバッグ36は、上記したインフレータ26からのガス供給を受けて、膨張展開される構成とされている。ニアサイドエアバッグ36は、膨張展開の際には後述するテンションクロス28と共にシートバック14に形成された切れ目30からシートバック14外に突出されるようになっている。
ニアサイドエアバッグ36は、着座乗員Pの胸部及び肩部を拘束するための中央チャンバ36Aと、着座乗員Pの頭部を拘束するための頭部保護チャンバ36Bと、着座乗員Pの腰部を拘束するための腰部保護チャンバ36Cとを含んで構成されている。なお、中央チャンバ36A(と頭部保護チャンバ36Bとの間)に形成された凹みは、着座乗員Pの腕の逃がし部とされている。図示は省略するが、ニアサイドエアバッグ36の中央チャンバ36A及び腰部保護チャンバ36Cは、ガイドパイプ24又はシートバックフレーム14Aに支持されている。また、頭部保護チャンバ36Bは、膨張展開状態で後上の角部となる接続部36Dにおいて、テンションクロス28の上端28Bと共にバー本体20に接続されている。
すなわち、ニアサイドエアバッグ36は、その上端側がポップアップバー18のポップアップ位置への移動に伴って上方に移動される構成とされている。この移動を許容するため、ニアサイドエアバッグ36は、図1(A)に示される如く折り畳まれている。また、この実施形態では、ニアサイドエアバッグ36はテンションクロス28(のうちシートバック14に収納される部分)と共に折り畳まれている。具体的には、テンションクロス28及びニアサイドエアバッグ36は、蛇腹折り等で前後方向に折り畳まれると共に、その前後に折り畳まれた中間部が蛇腹折り等で上下方向に折り畳まれて、上下折り部36Eとされている。この上下折り部36Eは、中央チャンバ36Aと、頭部保護チャンバ36Bにおけるバー本体20に接続された部分との間に形成されている。
そして、ニアサイドエアバッグ36は、この上下折り部36Eの折りを解消しながら、ポップアップバー18の格納位置からポップアップ位置への移動を許容する構成とされている。また、上下折り部36Eにおける後向きに凸となった折り部、及び上下折り部36Eに対し上下近傍に位置するニアサイドエアバッグ36には、リング状部材38が設けられている。リング状部材38は、ニアサイドエアバッグ36を構成する基布をループ状に形成したり、別体のリング部材を接続したりすることで設けられ、内部にスライダ22及びガイドパイプ24の少なくとも一方を挿通させている。この実施形態では、複数のリング状部材38が上下に離間して配置されている。リング状部材38は、上下折り部36Eの解消伴って上方に移動しつつポップアップバー18のポップアップ位置への移動を許容すると共に、中央チャンバ36A及び頭部保護チャンバ36Bの一部をガイドパイプ24、スライダ22に対し保持する機能を有する。
上記した通り、ニアサイドエアバッグ36は、インフレータ26からのガス供給を受けて膨張展開されるようになっている。具体的には、ニアサイドエアバッグ36は、頭部保護チャンバ36Bにおけるポップアップバー18のバー本体20との接続部位が、該バー本体20のガス出口20Eに連通されている。この構成により、インフレータ26からのガスがニアサイドエアバッグ36に供給可能とされている。なお、折り畳み状態でシートバック14内に収納されているニアサイドエアバッグ36には、インフレータ26の作動初期にはガスが供給されず、ポップアップバー18がポップアップ位置に至りバー本体20内の内圧が上昇してからガスが供給されるようになっている。また、ニアサイドエアバッグ36は、その上部である頭部保護チャンバ36Bを経由して、中央チャンバ36A、腰部保護チャンバ36Cにガスが供給される構成とされている。
<ファーサイドエアバッグ装置>
図2及び図4(B)に示される如く、ファーサイドエアバッグ装置34は、着座乗員Pに対する車幅方向内側で膨張展開されるファーサイドエアバッグ40を有する。ファーサイドエアバッグ40は、後述する如くインフレータ26からのガス供給を受けて、膨張展開される構成とされている。このファーサイドエアバッグ40は、膨張展開の際には後述するテンションクロス28と共にシートバック14に形成された切れ目30からシートバック14外に突出されるようになっている。
ファーサイドエアバッグ40は、着座乗員Pの胸部及び肩部を拘束するための中央チャンバ40Aと、着座乗員Pの頭部を拘束するための頭部保護チャンバ40Bと、着座乗員Pの腹部を拘束するための腹部保護チャンバ40Cとを含んで構成されている。なお、中央チャンバ40A(と頭部保護チャンバ40Bとの間)に形成された凹みは、着座乗員Pの腕の逃がし部とされている。また、頭部保護チャンバ40Bは、膨張展開状態で後上の角部となる接続部40Dにおいて、テンションクロス28の上端28Bと共にバー本体20に接続されている。腹部保護チャンバ40Cは、ニアサイドエアバッグ36の腰部保護チャンバ36Cに対し上方で膨張展開されるようになっている。
すなわち、ファーサイドエアバッグ40は、その上端側がポップアップバー18のポップアップ位置への移動に伴って上方に移動される構成とされている。この移動を許容するための折り畳み構造、リング状部材38による保持構造については、ニアサイドエアバッグ36側の構成と同様であるので、説明を省略する。
ファーサイドエアバッグ40は、インフレータ26からのガス供給を受けて膨張展開されるようになっている。具体的には、図5(B)、図5(C)に示される如く、ポップアップバー18のクロスバー20C内には、左右のサイドバー20S内の空間を連通するガス流路20Gが形成されている。このガス流路20Gは、車幅方向内側のサイドバー20S内を通じて、ファーサイドエアバッグ40に連通されている。この連通構造は、ニアサイドエアバッグと対応するサイドバー20S内との連通構造と同様とされている。なお、図5(A)〜図5(C)は、ニアサイドエアバッグ36、ファーサイドエアバッグの展開過程をテンションクロス28を取り除いて模式的に示す斜視図である。
また、図5(B)、図5(C)に模式的に示される如く、ガス流路20Gには、圧力調整弁42が設けられている。圧力調整弁42は、ガス供給上流側である車幅方向外側の圧力が所定の圧力に達するまではガス流路20Gを閉じ、車幅方向外側の圧力が所定の圧力に達するとガス流路20Gを開放する構成とされている。この所定の圧力は、ニアサイドエアバッグ36の展開が完了されて(又は乗員の拘束に伴い圧縮されて)バー本体20内の圧力が上昇し始める場合の圧力として設定されている。これにより、この実施形態では、ニアサイドエアバッグ36の膨張展開の完了後に、ファーサイドエアバッグ40の膨張展開が開始されるようになっている。
(制御装置の構成)
車両用シート10の乗員拘束装置11では、上記した通り、インフレータ26がポップアップバー18を格納位置からポップアップ位置へ移動させるアクチュエータと、左右のサイドエアバッグ36、40を膨張展開させるガス発生手段とを兼ねている。このインフレータ26は、図1(A)に示される如く、制御装置としての側突ECU44にて制御されるようになっている。側突ECU44は、インフレータ26の他、側面衝突を検知又は予測する側突センサ46に電気的に接続されている。側突ECU44は、側突センサ46からの信号に基づいて側面衝突を検知又は予測した場合にインフレータ26を作動する構成とされている。
次に、第1の実施形態の作用を説明する。
上記構成の車両用シート10では、側突センサ46からの信号に基づいて側面衝突を検知した側突ECU44は、インフレータ26を作動させる。すると、インフレータ26からのガス圧を受圧部20Pで受けたポップアップバー18は、格納位置からポップアップ位置へと移動する。この移動に伴って、左右のテンションクロス28が切れ目30を通じてシートクッション12及びシートバック14から引き出され、図2及び図4に示される如く展開される。
また、ポップアップバー18のポップアップ位置への移動に伴って、左右のサイドエアバッグ36、40が切れ目30からシートバック14の外側に引き出される(図5(A)参照)。そして、ポップアップバー18がそれ以上の上方移動を規制されるポップアップ位置に至ると、バー本体20内における車幅方向外側部分の内圧が上昇する。すると、スライダ22、ガイドパイプ24、及びバー本体20を通じてインフレータ26からのガスがニアサイドエアバッグ36に供給される(図5(B)参照)。
このとき、ニアサイドエアバッグ36は、既に展開されているテンションクロス28と着座乗員Pとの間で、該テンションクロス28に沿って前方に向けて膨張、展開される。これにより、衝突側(ニアイサイド)の座席の着座乗員Pは、側面衝突の初期に、テンションクロス28及びニアサイドエアバッグ36によって良好に拘束される。
さらに、ニアサイドエアバッグ36の膨張展開が完了して圧力調整弁42が開放されると、バー本体20内のガス流路20Gを通じてファーサイドエアバッグ40にインフレータ26からのガスが供給される(図5(C)参照)。すると、ファーサイドエアバッグ40は、既に展開されているテンションクロス28と着座乗員Pとの間で、該テンションクロス28に沿って前方に向けて膨張、展開される。反衝突側の座席の着座乗員Pは、テンションクロス28及びファーサイドエアバッグ40によって拘束される。衝突後のゆり戻しの際は、各乗員Pは、衝突時とは逆のテンションクロス28、ファーサイドエアバッグ40にて拘束される。
(サイドエアバッグによる乗員保護効果)
ここで、ニアサイドエアバッグ36は、その上端部がポップアップバー18に接続されているので、膨張展開開始前に又は開始と共にシートバック14に対する上方すなわち着座乗員Pの肩部の側方近傍に引き出される。すなわち、車室側部と乗員の肩部との間の空間が狭い車幅方向外側(ニアサイド)において、該狭い空間にニアイサイドエアバッグ36が引き出される。また、ポップアップバー18によってニアサイドエアバッグ36の展開反力が支持される。これらにより、例えばニアサイドエアバッグ36を、膨張展開開始から短時間で、着座乗員Pの肩部と車室側部との間の狭い空間で展開させることができ、衝突初期における所要の着座乗員Pの拘束性能が確保される。
このように、本実施形態に係る車両用シート10では、車両衝突時における着座乗員Pの車幅方向への移動を効果的に抑制することができる。特に、ニアサイドエアバッグ36は、ポップアップバー18にて反力の少なくとも一部が支持される頭部保護チャンバ36Bを有する。このため、頭部保護チャンバ36Bによって、着座乗員Pの頭部が良好に保護される。同様に、ファーサイドエアバッグ40の東部保護バッグ40Bによっても、着座乗員Pの頭部が良好に保護される。
また、ポップアップバー18及びガイドパイプ24がインフレータ26からニアサイドエアバッグ36及びファーサイドエアバッグ40にガスを供給するガス供給路(ディフューザ)として機能する。このため、各サイドエアバッグ36、40へのガス供給経路を簡素化することができる。特に、インフレータ26がポップアップバー18を格納位置からポップアップ位置へ移動させるアクチュエータと、左右のサイドエアバッグ36、40を膨張展開させるガス発生手段とを兼ねている。このため、アクチュエータとガス発生手段とを別個に設ける構成と比較して、構成の簡素化、低コスト化が可能である。しかも、車両用シート10では、左右のサイドエアバッグ36、40が共通のインフレータ26からのガスで膨張展開される。このため、構成の一層の簡素化、低コスト化が可能である。
そして、ポップアップバー18のガス流路20Gには、圧力調整弁42が設けられているので、該ポップアップバー18は、ファーサイドエアバッグ40に対してニアサイドエアバッグ36に先行してガスを供給する時差供給手段として機能する。これにより、例えば側面衝突の場合に、衝突側(ニアサイド)である車幅方向外側で先行展開されるニアサイドエアバッグ36によって、着座乗員Pが効果的に保護される。すなわち、着座乗員Pは、側面衝突開始から短時間で保護が要求される側面衝突の初期に、ニアサイドエアバッグ36によって車幅方向外側から効果的に保護される。一方、車幅方向内側のファーサイドエアバッグ40は、ゆり戻しや隣席乗員の近接に対し適時に膨張展開され、該ゆり戻しや隣席乗員の近接に対して着座乗員Pを効果的に保護することができる。
また、上記の通りニアサイドエアバッグ36、ファーサイドエアバッグ40は、展開済みのテンションクロス28に沿って膨張展開されるため、着座乗員Pからシート幅方向に離れる方向の移動を規制され、展開方向が安定する。すなわち、側面衝突の検知(膨張展開の開始)から短時間で、適正に膨張展開が完了される。さらに、中央チャンバ36A、40Aによって、着座乗員Pの高剛性部位である肩部を拘束するため、該着座乗員Pの頭部の車幅方向の移動を効果的に抑制することができる。特に、上記の通りテンションクロス28が展開状態で着座乗員Pの肩中心Scを覆う(テンションラインTLが肩中心Scよりも前方に位置する)ため、中央チャンバ36A、40Aによる肩部の支持に伴う反力がテンションクロス28にて良好に支持される。
(テンションクロスによる効果補足)
さらに、車両用シート10では、テンションクロス28の上端28Bがポップアップバー18のバー本体20に接続されている。このため、例えば上端がシートバック14の上端部に接続された比較例に係る側方展開部材と比較して、展開状態でのテンションラインTLが前側に位置する。しかも、ポップアップ位置でのバー本体20の上下位置がヘッドレスト16の最上部よりも上側とされているため、テンションクロス28の上端28Bのポップアップバー18への接続点が着座乗員Pの頭部よりも上方又は略同等の上下位置に位置する。このため、ポップアップ位置でヘッドレスト上端よりも下方に位置するポップアップバーを備えた構成と比較して、テンションラインTLが前側に位置する。
また、ポップアップバー18のバー本体20が平面視で前向きに開口する(後向きに凸を成す)曲がり形状を成すため、該バー本体20がシートバック14に対し上方に変位する際に、バー本体20とヘッドレスト16との干渉が防止又は効果的に抑制される。そして、テンションクロス28の上端28Bがサイドバー20Sの前端に接続されているので、例えばヘッドレスト16の後方で車幅方向に沿った直線状を成すポップアップバーを備えた比較例と比較して、テンションラインTLが一層前側に位置する。これらにより、車両用シート10の乗員拘束装置11では、テンションクロス28によって、着座乗員Pの上部を効果的に拘束することができる。
そして、テンションクロス28は、後縁部がシートバックフレーム14A又はガイドパイプ24に接続された面状部材であるため、該後縁部とテンションラインTLとの間の広い面で着座乗員Pの移動を効果的に抑制することができる。すなわち、上端がシートバック14上端とされたテンションクロスを備えた比較例と比較して、テンションクロス28による着座乗員Pの拘束に寄与する有効面積が広くなる。また、バー本体20とシートクッション12の前端とを架け渡すベルト部材を展開する構成(本発明に含まれる)を備えた構成と比較して、テンションクロス28による着座乗員Pの拘束に寄与する有効面積は広い。この実施形態では、着座乗員Pの肩中心Sc(図4(A)、(B)参照)を含む部分にテンションクロス28が接触することとなり、着座乗員Pを、その高剛性部位である肩部において効果的に拘束することができる。
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態に係る車両用シート50について、図6に基づいて説明する。なお、上記第1の形態の構成と基本的に同様の構成については、上記第1の形態の構成と同一の符号を付して、その説明、図示を省略する場合がある。
図6に示される如く、車両用シート50は、インフレータ26からのガスを、ポップアップバー18を経由することなくニアサイドエアバッグ36の中央チャンバ36A(又は腰部保護チャンバ36C)に供給する下側供給路52を有する。下側供給路52は、ガイドパイプ24の下端から下方に延びる下側供給パイプ54内の空間として形成されており、その下端がニアサイドエアバッグ36の中央チャンバ36Aに直接的にガス供給可能に接続されている。
ガイドパイプ24と下側供給パイプ54との間からは分岐パイプ56が突出され、該分岐パイプ56にインフレータ26からのガスが供給されるようになっている。インフレータ26は、分岐パイプ56を通じてガイドパイプ24及び下側供給路52の双方にガスを供給するようになっている。車両用シート50の他の構成は、図示しない部分を含め第1の実施形態に係る車両用シート10の対応する構成と同じである。
したがって、第2の実施形態に係る車両用シート50によっても、基本的に第1の実施形態に係る車両用シート10と同様の作用によって同様の効果を得ることができる。また、車両用シート50では、インフレータ26からのガスが直接的に中央チャンバ36Aに供給されるので、側面衝突の際に頭部保護チャンバ36Bに対し先行して又は同程度のタイミングで中央チャンバ36Aを膨張展開させることができる。
なお、上記した各実施形態では、車両用シート10、50が左右のテンションクロス28を備えた例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、テンションクロス28が車幅方向外側(ニア側)にのみ設けられた構成としても良い。また例えば、テンションクロス28が車幅方向内側(ファー側)にのみ設けられた構成としても良い。さらに、テンションクロス28を備えない構成としても良い。
また、上記した各実施形態では、車両用シート10、50がニアサイドエアバッグ36、ファーサイドエアバッグ40を備えた例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、ニアサイドエアバッグ36のみ備えた構成としても良い。また例えば、ファーサイドエアバッグ40のみ備えた構成としても良い。例えばニアサイドエアバッグ36を有しない構成では、車体やドアに設けられたサイドエアバッグやカーテンエアバッグにて着座乗員Pを側面衝突から保護するようにすることができる。
さらに、上記した各実施形態では、車両用シート10、50では、ニアサイドエアバッグ36及びファーサイドエアバッグ40が共通(単一)のインフレータ26にて膨張展開される例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、ニアサイドエアバッグ36及びファーサイドエアバッグ40がそれぞれ専用のインフレータにて独立して膨張展開される構成としても良い。また例えば、ポップアップバー18を左右2分割構造とし、一方のポップアップバー18とニアサイドエアバッグ36とでインフレータを共用し、他方のポップアップバー18とファーサイドエアバッグ40とでインフレータを共用する構成としても良い。
またさらに、上記した各実施形態では、ポップアップバー18を移動するアクチュエータとニアサイドエアバッグ36等を膨張展開させるガス発生手段とをインフレータ26が兼ねる例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、ポップアップバー18を移動するアクチュエータとして、インフレータ26とは独立したガスジェネレータ等を用いても良い。
さらに、上記した各実施形態では、スライダ22及びガイドパイプ24が円弧状を成す例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、スライダ22及びガイドパイプ24が直線状に形成された構成としても良い。
また、上記した各実施形態では、テンションクロス28とサイドエアバッグ36、40とが独立して展開される例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、図7に示される変形例の如く、テンションクロス28とサイドエアバッグ36等とを縫製等にて接合した構成としても良い。
図7の変形例について補足すると、テンションクロス28にはテンションラインTLよりも前方で展開される張出部28Eが形成されており、該張出部28Eと頭部保護チャンバ36Bとが縫製部70にて接合されている。この例では、縫製部70は、所定値以上の荷重を受けて破断するティアシームとされている。また、テンションクロス28の下部と腰部保護チャンバ36Cとが縫製部72にて接合されている。この変形例では、ポップアップバー18のポップアップ位置への移動よるテンションクロス28の展開に伴って、頭部保護チャンバ36Bは上方に引き出されつつ前方にも引き出されることとなり、腰部保護チャンバ36Cは前方に引き出されることとなる。これにより、側突時にニアサイドエアバッグ36が一層短時間で展開完了する。
一方、テンションクロス28の張出部28Eは、テンションラインTLよりも前方に位置するものの、頭部保護チャンバ36Bに接続されることで、該テンションクロス28の膨張展開過程で着座乗員Pからの荷重を支持することが可能となる。このため、テンションクロス28による乗員の拘束範囲が張出部28E分だけ広くなる。これにより、一層多様な衝突形態に対し着座乗員Pの保護性能を向上させることができる。さらに、張出部28Eと頭部保護チャンバ36Bとはティアシームである縫製部70にて縫製されているので、ニアサイドエアバッグ36の膨張展開が完了されると(又は完了の直前で)、張出部28Eと頭部保護チャンバ36Bとの接続状態(拘束)が解消される。このため、テンションクロス28は、頭部保護チャンバ36Bの膨張展開形状に倣って湾曲する(波打つ)ことが抑制され、テンションラインTLに沿ってほぼまっすぐに展開される(テンションクロス28としての展開形状が維持される)。説明を省略したが、本変形例の構成をファーサイドエアバッグ40に適用しても、ニアサイドエアバッグ36に適用した上記場合と同様の作用効果を得ることができる。
その他、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で各種変更して実施可能であることは言うまでもない。
10 車両用シート
12 シートクッション
14 シートバック
18 ポップアップバー(可動支持体)
20P 受圧部
22 スライダ
24 ガイドパイプ
26 インフレータ(アクチュエータ、ガス発生手段)
28 テンションクロス(側方展開部材)
36 ニアサイドエアバッグ(サイドエアバッグ)
36B 頭部保護チャンバ
40 ファーサイドエアバッグ(サイドエアバッグ)
40B 頭部保護チャンバ
44 側突ECU(制御装置)
50 車両用シート

Claims (7)

  1. シートバックに対して、初期位置から車両上方に突出する突出位置へ移動可能に設けられた可動支持体と、
    作動されることで、前記可動支持体を前記初期位置から突出位置に移動させるアクチュエータと、
    上端部が前記可動支持体に接続されると共に前記シートバックの側部に収納され、ガス供給を受けて着座乗員の肩部及び胸部の側方で膨張展開されるサイドエアバッグと、
    車両の衝突を検知又は予測した場合に、前記サイドエアバッグの膨張展開の開始に先行して又は前記サイドエアバッグの膨張展開の開始と同時に、前記可動支持体の前記初期位置から突出位置への移動が開始されるように、アクチュエータを作動させる制御装置と、
    を備えた車両用シート。
  2. 前記サイドエアバッグは、ガス供給を受けて着座乗員の頭部の側方で膨張展開される頭部保護チャンバを含んで構成されており、該頭部保護チャンバの上端部において前記可動支持体に接続されている請求項1記載の車両用シート。
  3. 前記可動支持体は、前記サイドエアバッグに供給されるガスを通し、該ガスを前記サイドエアバッグとの接続部位から車両下方又は車両前方に向けて供給する中空構造とされている請求項1又は請求項2記載の車両用シート。
  4. 前記アクチュエータは、ガス圧によって前記可動支持体を前記初期位置から突出位置へ移動させる構成とされており、前記サイドエアバッグにガスを供給するガス発生手段を兼ねている請求項3記載の車両用シート。
  5. 前記シートバックの車幅方向両側に、共通の前記ガス発生手段が発生したガスの供給を受けてそれぞれ膨張展開される一対の前記サイドエアバッグが設けられており、
    前記中空構造の可動支持体は、車幅方向内側に位置する前記サイドエアバッグへのガス供給に先行して車幅方向外側に位置する前記サイドエアバッグへガスを供給する請求項3又は請求項4記載の車両用シート。
  6. 前記可動支持体は、前記シートバックに固定されたガイドパイプにスライド可能に挿入され、該シートバックに対し上下方向にスライドする中空のスライダと、該スライダの上端に設けられ内部が前記スライダ内部と連通された受圧部として機能する可動部本体とを有し、
    前記アクチュエータは、前記ガイドパイプ内でガスを発生する構成とされ、
    前記サイドエアバッグは、前記可動部本体における前記スライダの連通側とは反対側の部分にガス供給可能に接続されており、前記ガイドパイプ、前記スライダ、及び前記可動部本体の内部を通じて、前記アクチュエータを兼ねる前記ガス発生手段のガスが供給されるように構成されている請求項4又は請求項4を引用する請求項5記載の車両用シート。
  7. 上端側が前記可動支持体に接続されると共に下端側がシートクッションの前端側に接続され、かつ前記シートクッションの側部からシートバックの側部にかけて収納され、前記可動支持体が前記初期位置から突出位置に移動することで、該可動支持体との接続部と前記シートクッションとの接続部との間に張力が作用するように前記サイドエアバッグに対する車幅方向の着座乗員側とは反対側で展開される側方展開部材をさらに備えた請求項1〜請求項6の何れか1項記載の車両用シート。
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