JP2012171911A - Ppar活性化剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体活性化剤を提供すること。
【解決手段】大豆テンペ菌発酵物の有機溶媒抽出物を有効成分とするPPARα又はPPARδ活性化剤。
【選択図】なし

Description

本発明は、脂肪酸代謝活性化、体脂肪燃焼促進、肥満抑制、脂肪肝抑制、インスリン抵抗性予防・改善、血糖値上昇抑制、持久力向上に有効なペルオキシソーム増殖剤活性化受容体(Peroxisome Proliferator Activated Receptor、PPARと記載する)活性化剤に関する。
ステロイド、甲状腺ホルモン、レチノイドなどの低分子脂溶性リガンドはリガンド特異的な核内受容体を介して、個体発生における形態形成、細胞の増殖、分化、生体の恒常性の維持など多様な生理機能の調節に関与している。PPARは核内受容体の1種であり、1990年に脂肪分解に関与する細胞内小器官であるペルオキシソームを増加させる作用を仲介する蛋白として同定され、ペルオキシソーム増殖剤により活性化を受けるレセプターという意味でPeroxisome Proliferator Activated Receptorα(ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体:PPARα)と名付けられた。その後α型と構造上類似したアイソフォーム遺伝子としてδ型及びγ型が同定され、合計3つのサブタイプから成ることが知られている。
PPARの各サブタイプはリガンド依存的に活性化され、9−シスレチノイン酸をリガンドとするRXR(Retinoid X Receptor)とヘテロ2量体を形成することで、プロモーター領域にPPAR応答配列(PPAR responsivelement;PPRE)を有する種々の遺伝子の発現を制御している(非特許文献1及び2)。
例えば、脂肪酸β酸化の鍵酵素として知られるACO(Acyl-CoA oxidase)のPPREを用いたレポーターアッセイがなされており、それによると、PPARリガンドとして知られるリノール酸は、PPARα、δ、γのそれぞれを介してACO転写活性を亢進することが報告されている(非特許文献3)。
以下で述べるように、近年、PPARは非常に多くの生理、病理現象に関わっていることが明らかになってきた。
具体的には、PPARαの機能は脂肪酸の合成・輸送・分泌、脂肪消費臓器におけるATP産生等幅広く生体のエネルギー代謝や恒常性の維持に関わるものと考えられている。特に脂肪酸代謝に重要なβ酸化関連酵素 (ACO,HMG-CoA synthase,Acyl-CoA synthase,Medium chain acyl-CoA dehydrogenase,Fatty acid binding protein,Lipoprotein lipase等)の遺伝子発現はPPARαの活性化に強く依存していることが明らかになっている。PPARαは肝臓、心臓、腎臓等での発現が高く、PPARα活性化剤はこれらの臓器の脂質代謝の活性化に有効であると広く認識されている。
PPARαの活性化に伴う脂肪酸代謝の活性化は、肝臓脂肪の分解、脂肪肝の改善、内臓脂肪や皮下脂肪等の体脂肪の分解・燃焼の促進、肥満の抑制につながると考えられる。PPARα活性化剤として知られるフィブラート系の薬剤は、脂肪酸燃焼の促進作用、HDLコレステロール増加作用、そして最近ではアディポネクチン受容体発現増加作用等を持つことが明らかとなってきており、インスリン非依存性糖尿病の高血糖症、脂質異常症、高血糖症、アテローム性動脈硬化症等の治療薬として広く用いられている(非特許文献4、特許文献1及び2)。また、PPARα活性化剤が心肥大や虚血性心疾患に効果があることが報告されている(非特許文献5、6)。
従って、PPARα活性化剤は、脂肪酸代謝の活性化、体脂肪の燃焼促進、肥満の予防・改善、脂質異常症の予防・改善、脂肪肝の予防・改善、インスリン抵抗性や糖尿病の予防・改善、動脈硬化の予防・改善、心肥大や虚血性心疾患の予防・改善等に広く有効であると考えられており、近年、PPARα活性化剤の探索、開発も盛んに行われている(特許文献3〜5)。
PPARδ(別名:PPARβ、NUC1、FAAR)は1992年にクローニングされて以来、長らく機能が明らかにされていなかったが、近年、遺伝子改変動物を用いた研究やPPARδ選択的な作動薬の開発などにより様々な生理機能を持つことが明らかになってきた。PPARδを過剰発現させたマウスを用いた検討では、高脂肪食負荷による体重増加の抑制、脂肪重量の減少、血中中性脂肪の減少、脂肪肝の抑制が認められている(非特許文献7)。PPARδ選択的な作動薬であるGW501516を肥満アカゲザルに投与した実験では、HDLコレステロールを上昇させ、中性脂肪、LDLコレステロールを低下させた(非特許文献8)。
また、GW501516を骨格筋由来細胞に作用させ、細胞の遺伝子発現への影響を検討した結果では、脂肪酸の取り込みや輸送、ミトコンドリアのβ酸化系酵素、脱共役タンパク質等の脂肪酸代謝関連遺伝子の発現を誘導することが示されている。さらにGW501516を投与したマウスにおいては、脂肪組織特異的PPARδ過剰発現マウスと同様に高脂肪食負荷による体重増加の抑制、脂肪重量の減少が認められ、インスリン抵抗性改善効果を示すことも明らかにされている。このマウスの骨格筋においては脂肪酸代謝関連遺伝子および脂肪酸β酸化の誘導が確認されていることから、PPARδの活性化によって、骨格筋のエネルギー消費が増大することにより末梢組織中の脂肪蓄積が抑制され、それによりインスリン抵抗性が改善されるのではないかと考えられている(非特許文献9)。また、遺伝的肥満マウスにGW501516を投与することにより、膵島の肥大が抑制されたことから、膵島の保護作用があると考えられている(非特許文献9)。
また、骨格筋特異的にPPARδを過剰発現することにより、肥満やインスリン抵抗性が抑制されることが報告されている。さらに驚くことに、このマウスの骨格筋では一般的に赤筋と呼ばれるミトコンドリアを多く含む持久性の高い筋繊維の割合が非常に高くなっており、その結果、このマウスは、コントロールマウスの約2倍の距離を走ることができるという大変優れた持久力を持つマウスであることが示されている(非特許文献10)。従って、PPARδの活性化は、運動持久力の向上に有効であると考えられるようになった。
また最近では、肝臓においてPPARδがインスリン感受性を制御しているという報告もなされており、そのメカニズムとして、PPARδの活性化が肝臓の解糖系およびペントースリン酸回路の活性化を介して肝臓からのグルコースの供給を減少させ、インスリン感受性を増加することが示唆されている(非特許文献11)。
このように、PPARδの活性化は、HDLコレステロールの上昇、LDLコレステロールの低下、肥満の抑制、インスリン抵抗性の改善/インスリン感受性の向上、脂肪酸代謝の活性化、体脂肪の燃焼促進、血中中性脂肪の減少、脂肪肝の抑制、持久力の向上等につながる事から、PPARδの活性化剤は、動脈硬化の予防・改善剤、肥満の予防・改善剤、インスリン抵抗性の予防・改善剤、脂肪酸酸化活性化剤、体脂肪燃焼促進剤、脂質異常症予防・改善剤、脂肪肝予防・改善剤、持久力向上剤として有効であると考えられている。
そのため、このような目的でPPARδ活性化剤の探索、開発も盛んに行われ、これまでにフラボン類、フェノキシ酢酸誘導体等が報告されている(特許文献6及び7)。
PPARγは栄養が十分にある状態でエネルギー貯蔵に作用し、いわゆる倹約遺伝子として働く分子である。特にPPARγ2は脂肪細胞に比較的強い特異性を持って発現しており、脂肪細胞分化の中心的役割を果たしていることが明らかになっている。PPARγのリガンドとして知られるチアゾリジン誘導体は脂肪細胞分化を強力に誘導することにより、脂肪細胞を小型化してインスリン感受性を高めることが知られており、インスリン抵抗性改善剤、糖尿病治療薬として広く使用されている。しかし、チアゾリジン誘導体の投与は体重や脂肪重量を増やし、肥満を誘導する問題点も指摘されている(非特許文献12)。
このように、PPAR活性化剤は、脂肪酸代謝の活性化、体脂肪の燃焼促進、肥満の予防・改善、脂質異常症の予防・改善、脂肪肝の予防・改善、持久力向上、インスリン抵抗性や糖尿病の予防・改善、動脈硬化の予防・改善、心肥大や虚血性心疾患の予防・改善などに広く有効であり、いわゆる生活習慣病や内臓脂肪症候群(メタボリックシンドローム)の予防・改善にも有効であると考えられる。
一方、インドネシアの伝統的な大豆発酵食品であるテンペには蛋白質、食物繊維、アミノ酸、ビタミン類(ビタミンE、B群ビタミン)、鉄などのミネラル類、イソフラボン類等が含まれており、栄養価に富む食品である(特許文献8)。テンペは大豆をテンペ菌で発酵させた発酵食品である。テンペに含まれているこれら成分の有効性から、テンペはコレステロール上昇抑制作用、肝脂肪蓄積予防作用、抗肥満作用、溶血防止作用、整腸作用があることが示唆されている(特許文献8)。また、テンペには血圧上昇抑制作用、中性脂質低下作用、抗肥満作用、精神安定作用、更年期障害の改善作用、睡眠促進作用、アルコール・アルデヒド代謝作用、消臭作用が報告されているγ−アミノ酪酸を高濃度に含有することが報告されている(特許文献9)。
しかしながら、大豆テンペ菌発酵物の有機溶媒抽出物がPPAR活性化に関与し、脂肪酸代謝の活性化、体脂肪の燃焼促進等に有効であることは知られていない。
特表2002-502869号公報 特表2002-533410号公報 特開2001-354558号公報 特開2002-80362号公報 特開2003-34636号公報 特開2007-119429号公報 特表2007-536343号公報 特開平6-133717号公報 国際公開第01/093696号パンフレット
細胞:31(6)218-234, 1999 J Lipid Res. 37, 907-925, 1996 J Biol Chem. 274, 23368-23377, 1999 Curr Opin Lipidol. 10, 151-159, 1999 Endcrinology 144, 4187-4194, 2003 Circulation 108, 2393-2399, 2003 Cell. 113, 159-170, 2003 Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 98, 5306-5311, 2001 Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 100, 15924-15929, 2003 PloS Biol. 2, e294, 2004 Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 103, 3444-3449, 2006 Diabetes. 49, 759-767, 2000
本発明は、優れたPPAR活性化作用を有し、且つ安全性の高い食品、医薬品又は医薬部外品を提供することに関する。
本発明者らは、食経験が豊富な天然物素材の中から、大豆テンペ菌発酵物の有機溶媒抽出物にPPARα活性化作用及びPPARδ活性化作用があり、脂肪酸代謝活性化、体脂肪燃焼促進、インスリン抵抗性予防・改善、持久力向上、肥満抑制、脂肪肝抑制、動脈硬化予防・改善、心肥大や虚血性心疾患の予防・改善効果を発揮する食品、医薬品又は医薬部外品の有効成分として配合する素材として有用であることを見出した。
すなわち、本発明は以下の発明に係るものである。
〔1〕大豆テンペ菌発酵物の有機溶媒抽出物を有効成分とするPPARα及び/又はPPARδ活性化剤。
〔2〕大豆テンペ菌発酵物の有機溶媒抽出物を有効成分とする持久力向上剤。
〔3〕大豆テンペ菌発酵物の有機溶媒抽出物を有効成分とする脂肪酸代謝活性化剤。
〔4〕大豆テンペ菌発酵物の有機溶媒抽出物を有効成分とする体脂肪燃焼促進剤。
〔5〕大豆テンペ菌発酵物の有機溶媒抽出物を有効成分とするインスリン抵抗性予防・改善剤。
〔6〕大豆テンペ菌発酵物の有機溶媒抽出物を有効成分とする糖尿病予防・改善剤。
〔7〕大豆をテンペ菌で発酵させ、得られた発酵物から有機溶媒抽出物を調製することによるPPARα及び/又はPPARδ活性化剤の製造方法。
本発明のPPAR活性化剤は、優れたPPAR活性化作用を有し、かつ長期間摂取しても安全性も高いことから、脂肪酸代謝活性化、体脂肪燃焼促進、インスリン抵抗性予防・改善、持久力向上、肥満抑制、脂肪肝抑制、動脈硬化予防・改善、又は心肥大や虚血性心疾患の予防・改善効果を発揮する飲食品、医薬品又は医薬部外品に有効成分として配合する素材として有用である。
PPARα活性化能を示したグラフ。図中、DWは水抽出物、EtOHは50%エタノール抽出物、Hexはヘキサン抽出物、Contは溶媒対照、WyはWy14643を示す。*は溶媒対照に対する有意差 P<0.05を示す。 PPARδ活性化能を示したグラフ。図中、DWは水抽出物、EtOHは50%エタノール抽出物、Hexはヘキサン抽出物、Contは溶媒対照、GWはGW501516を示す。*は溶媒対照に対する有意差 P<0.05を示す。 PPARγ活性化能を示したグラフ。図中、DWは水抽出物、EtOHは50%エタノール抽出物、Hexはヘキサン抽出物、Contは溶媒対照、Pioはピオグリタゾンを示す。
本発明において、大豆テンペ菌発酵物とは、インドネシアの伝統的な大豆発酵食品であるテンペ及び、大豆をテンペ菌で発酵させたものの総称である。大豆テンペ菌発酵物は、例えば、下記に記載されている手順に従って大豆をテンペ菌を用いて発酵させることにより製造してもよく、あるいは市販の大豆テンペ菌発酵物、例えば、テンペ、オカラテンペ等を購入してもよい。
ここで、テンペ菌としては、テンペの製造に一般的に用いられているものであれば特に限定されず、例えば、糸状菌であるリゾプス(Rhizopus)属の菌、好ましくは、リゾプス オリゴスポラス(Rhizopus oligosporus)、リゾプス オリゼ(Rhizopus oryzae)などを用いることができる。
本発明において、大豆とは、マメ科(Fabaceae)ダイズ属(Glycine)の一年草であるダイズの種子をいう。原料とする大豆は、食用、加工食品の原料用に用いられるものであれば、品種や産地はいずれのものでもよい。大豆は通常のテンペの製造法と同様に、発酵前に酸性溶液への浸漬、及び水又は水蒸気と共に加熱処理をおこなっておくことが好ましい。また、大豆は脱皮処理を行い、原料中に大豆の外皮が残存しないことが望ましい。脱皮は、原料大豆に脱皮大豆を用いることでおこなっても、浸漬又は加熱処理後に行ってもよい。
酸性溶液としては、例えば、酢酸、乳酸、クエン酸、酒石酸などの食用の有機酸、又はこれらの酸を含む食品(例えば、食酢など)を含む水溶液を用いることができる。使用する酸等の量は、大豆に付着した雑菌の増殖を抑制できる範囲内で、テンペ菌の生育を阻害しない濃度が好ましく、たとえば、酢酸であれば0.2〜0.5重量%が好ましい。
大豆の加熱処理時間は特に限定されないが、通常、煮沸処理の場合30〜90分であり、好ましくは、30〜60分である。
次いで、この大豆にテンペ菌を接種し、発酵させる。接種するテンペ菌の量は特に限定されないが、加熱処理後に冷却した大豆に対し、通常0.1〜3.0重量%、好ましくは0.2〜0.5重量%の種菌を接種する。
発酵時の温度は特に限定されないが、20〜45℃とするのが好ましく30〜37℃とするのがより好ましく、31〜32℃とするのが更に好ましい。発酵時の湿度は、60%〜99%であるのが好ましく、80〜98%であるのがより好ましい。
発酵時間は、温度、テンペ菌の接種量などにより異なるが、10〜50時間とするのが好ましく、15〜30時間とするのがより好ましく、20〜28時間とするのが更に好ましい。
上述の条件で、発酵を行うことにより本発明の大豆テンペ菌発酵物を得ることができる。当該大豆テンペ菌発酵物は、そのまま又は乾燥して抽出に用いることができる。
大豆テンペ菌発酵物の有機溶媒抽出物を得るために用いられる抽出溶媒としては、親水性溶媒、疎水性溶媒のいずれをも使用することができ、これらを混合して用いることもできるが、疎水性溶媒が好ましい。
当該有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール等のアルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール等の多価アルコール類;ヘキサン、シクロヘキサン、石油エーテル等の炭化水素類;アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル類;アセトン、メチルケトン等のケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類;テトラヒドロキシフラン、ジエチルエーテル等の鎖状及び環状エーテル類;ポリエチレングリコール等のポリエーテル類;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素類;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類;ピリジン類;超臨界二酸化炭素;油脂;ワックス、その他オイル等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を組み合わせて使用でき、溶媒を変えて繰り返し行うこと(例えば、アルコール抽出物を更に他の有機溶媒にて抽出すること)も可能である。
これら溶媒のうち、アルコール類、ヘキサン及び水・低級アルコール類混合溶媒が好ましく、水・エタノール混合溶媒、エタノール及びヘキサンがより好ましく、ヘキサンが更に好ましい。
ここで、アルコール類は、炭素数1〜5の低級アルコール類が好ましく、炭素数1〜4の低級アルコール類がより好ましく、さらに好ましくは炭素数1〜3のアルコール類である。
水とアルコール類の溶媒容量比率については、水/アルコール類は100/1〜1/100が好ましい。更に好ましくは90/1〜1/100、なお好ましくは2/1〜1/100である。
一例として、大豆テンペ菌発酵物から水・エタノール混合有機溶媒でPPARα及び/又はδ活性化物質を抽出する場合、0.01〜100容量%エタノール水溶液が好ましく、10〜100容量%エタノール水溶液がより好ましく、30〜100容量%エタノール水溶液が更に好ましく、50〜100容量%エタノール水溶液がなお好ましい。
本発明で用いる大豆テンペ菌発酵物の有機溶媒抽出物は、大豆テンペ菌発酵物より有機溶媒を用いて常温(0〜30℃)又は加温下で抽出することにより得られるものである。
大豆テンペ菌発酵物1質量部に対して、1/2〜10質量部の有機溶媒を用いるのが好ましく、このときの抽出温度は、0〜40℃が好ましく、10〜30℃がより好ましく、また抽出時間は1/10〜12時間が好ましく、1/2〜5時間がより好ましい。
当該抽出としては、固液抽出、浸漬、煎出、浸出、還流抽出、超音波抽出、マイクロ波抽出、攪拌等の手段を用いることができ、好ましくは攪拌を伴う固液抽出である。
斯くして得られる抽出物は、溶媒を除去した後そのまま使用できるが、公知の分離精製手段、例えば、活性炭処理、液々分配、カラムクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー、ゲルろ過、精密蒸留等を行った後、適宜な溶媒で希釈した希釈液として用いてもよく、或いは濃縮エキスや乾燥粉末としたり、ペースト状に調製してもよい。
後記実施例に示すように、大豆をテンペ菌で発酵させて得られた発酵物を有機溶媒抽出することにより調製された大豆テンペ菌発酵物の有機溶媒抽出物は、PPARα及び/又はPPARδに依存的な遺伝子の転写活性を亢進する作用を有する。前述のとおり、PPARα及び/又はPPARδは、広く生体のエネルギー代謝や恒常性の維持に関わっており、特に脂質代謝に重要なβ酸化関連酵素(ACO,HMG-CoA synthase,Acyl-CoA synthase,Medium chain acyl-CoA dehydrogenase,Fatty acid binding protein,Lipoprotein lipase等)の遺伝子発現はPPARα及び/又はPPARδの活性化に強く依存していることから(非特許文献1〜10、特許文献1〜7)、大豆のテンペ菌発酵物又はその抽出物は、脂肪酸代謝の活性化、体脂肪の燃焼促進、肥満の予防・改善、脂質異常症の予防・改善、脂肪肝の予防・改善、持久力向上、インスリン抵抗性や糖尿病の予防・改善、動脈硬化の予防・改善、心肥大や虚血性心疾患の予防・改善等に広く有効である。
従って、大豆テンペ菌発酵物の有機溶媒抽出物は、PPARα活性化作用及び/又はPPARδ活性化作用を有するので、PPARα及び/又はPPARδ活性化剤、脂肪酸代謝活性化剤、体脂肪燃焼促進剤、抗糖尿病剤、インスリン抵抗性予防・改善剤、又は持久力向上剤(以下、「PPAR活性化剤等」とする。)として使用することができ、PPAR活性化剤等の製造のために使用することができる。PPAR活性化剤等は、PPARα若しくはPPARδ活性化、脂肪酸代謝活性化、体脂肪燃焼促進、脂肪肝抑制、抗糖尿病、インスリン抵抗性予防・改善又は持久力向上等の各効果を発揮する、ヒト若しくは動物用の食品、医薬品、医薬部外品又は化粧品の有効成分として使用可能である。また、大豆テンペ菌発酵物の有機溶媒抽出物は、PPARα若しくはPPARδ活性化、脂肪酸代謝活性化、体脂肪燃焼促進、脂肪肝抑制、抗糖尿病、インスリン抵抗性予防・改善又は持久力向上等をコンセプトとし、必要に応じてその旨を表示した食品、機能性食品、病者用食品、特定保健用食品に応用できる。
さらに、本発明によれば、大豆をテンペ菌で発酵させ、得られた発酵物から有機溶媒抽出物を調製することによる、PPARα及び/又はPPARδ活性化剤の製造方法が提供される。さらに本発明によれば、大豆をテンペ菌で発酵させ、得られた発酵物から有機溶媒抽出物を調製することによる、脂肪酸代謝活性化剤、体脂肪燃焼促進剤、抗糖尿病剤、インスリン抵抗性予防・改善剤、持久力向上剤等の製造方法が提供される。
本発明のPPAR活性化剤等を医薬品、医薬部外品の有効成分として用いる場合の投与形態としては、例えば錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、シロップ剤等による経口投与又は注射剤、坐剤、吸入薬、経皮吸収剤、外用剤等による非経口投与が挙げられる。
また、このような種々の剤型の製剤を調製するには、本発明の大豆テンペ菌発酵物の有機溶媒抽出物を単独で、又は他の薬学的に許容される賦形剤、結合剤、増量剤、崩壊剤、界面活性剤、滑沢剤、分散剤、緩衝剤、保存剤、嬌味剤、香料、被膜剤、担体、希釈剤等を適宜組み合わせて用いることができる。
また、これらの投与形態のうち、好ましい形態は経口投与であり、経口用液体製剤を調製する場合は、嬌味剤、緩衝剤、安定化剤等を加えて常法により製造することができる。
本発明のPPAR活性化剤等を化粧品の有効成分として用いる場合には、皮膚外用剤、洗浄剤、入浴剤、又はメイクアップ化粧料等とすることができ、使用方法に応じて、これらを、美容液、化粧水、マッサージ剤、ローション、乳液、ゲル、クリーム、軟膏剤、粉末剤、パック、パップ剤、顆粒剤、ファンデーション、口紅、シャンプー、コンディショナー、ヘアトニック、錠剤、カプセル、シート状製品等の種々の剤型で提供することができる。このような種々の剤型の化粧品を調製するには、本発明の大豆テンペ菌発酵物の有機溶媒抽出物を単独で、又は化粧料に配合される、外用基材、油又は油状物質、保湿剤、粉体、色素、乳化剤、可溶化剤、洗浄剤、紫外線吸収剤、増粘剤、薬効成分、香料、樹脂、防菌防黴剤、アルコール類、キレート類、無機酸、有機酸、ビタミン類、水溶性高分子、界面活性剤等を適宜組み合わせて用いることができる。
本発明のPPAR活性化剤等を食品の有効成分として用いる場合の形態としては、パン類、ケーキ類、麺類、菓子類、ゼリー類、冷凍食品、アイスクリーム類、乳製品、飲料、スープ類等の各種食品の他、上述した経口投与製剤と同様の形態(錠剤、カプセル剤、シロップ等)が挙げられる。
飲料は、例えば、果汁飲料、炭酸飲料、茶系飲料、ニアウオーター、スポーツ飲料、乳飲料、アルコール飲料、清涼飲料等が挙げられる。また、飲料は、容器に充填した容器詰飲料とすることができる。
食用油としては、調理用油、調味料、マヨネーズ、ドレッシング、マーガリン等の油脂加工品類、パスタソース類等が挙げられる。
また、このような種々の形態の食品を調製するには、本発明のPPAR活性化剤等を単独で、又は他の食品材料や、溶剤、軟化剤、油、乳化剤、防腐剤、香科、安定剤、着色剤、酸化防止剤、保湿剤、増粘剤等を適宜組み合わせて、PPARα及び/又はPPARδ活性化用食品、脂肪酸代謝活性化用食品、肥満抑制用食品、脂肪肝抑制用食品、糖尿病予防・改善用食品、インスリン抵抗性予防・改善用食品、血糖値上昇抑制用食品、持久力向上用食品、ペットフード等として用いることが可能である。
これらのものに対するPPAR活性化剤等の配合量はその使用形態により異なるが、食品の形態では、全組成中、大豆テンペ菌発酵物抽出物の乾燥物換算で通常0.0001〜10質量%、さらに0.001〜5質量%、さらになお0.002〜2質量%とするのが好ましい。
例えば飲料の場合では、飲料中にPPAR活性化剤等は、全組成中、大豆テンペ菌発酵物抽出物の乾燥物換算で、0.001〜0.5質量%、さらに0.005〜0.25質量%、さらになお0.01〜0.1質量%とするのが好ましい。タブレット等の食品錠剤及び/またはカプセル剤の場合では、PPAR活性化剤等が、全組成中、大豆テンペ菌発酵物抽出物の乾燥物換算で、0.1〜95質量%、さらに1〜90質量%、さらになお5〜50質量%含有しているものが好ましい。
上記以外の医薬品、例えば錠剤、顆粒剤、カプセル剤等の経口用固形製剤、内服液剤、シロップ剤等の経口用液体製剤の場合には、全組成中、大豆テンペ菌発酵物抽出物の乾燥物換算で通常0.01〜95質量%、さらに5〜90質量%、さらになお10〜50質量%とするのが好ましい。
化粧品の場合には、全組成中、大豆テンペ菌発酵物抽出物の乾燥物換算で通常0.00001〜5質量%、さらに0.0001〜3質量%、さらになお0.001〜1質量%とするのが好ましい。
PPAR活性化剤等の投与量(有効摂取量)は、大豆テンペ菌発酵物抽出物の乾燥物換算で一日あたり1〜5000mg/60kg体重とするのが好ましい。更に好ましくは5〜3000mg/60kg体重であり、なお好ましくは10〜2000mg/60kg体重であり、100〜1000mg/60kg体重とするのがさらになお好ましい。
本発明のPPAR活性化剤等を投与又は摂取することにより、PPARα及び/又はPPARδを活性化し、脂肪酸代謝の活性化、体脂肪の燃焼促進、肥満の予防・改善、脂質異常症の予防・改善、脂肪肝の予防・改善、持久力向上、インスリン抵抗性や糖尿病の予防・改善、動脈硬化の予防・改善等を促すことができる。従って、そのための方法に本発明のPPAR活性化剤等を使用することができる。投与又は摂取対象としては、それを必要としているヒトまたは動物であれば特に限定されないが、肥満、脂質異常症、脂肪肝、インスリン抵抗性、糖尿病や動脈硬化の患者やその予備軍、持久力の低下した者などが挙げられる。
(製造例1)テンペのヘキサン抽出物の調製
テンペ(Mariza、市販品を購入)50gを細かく砕き、ヘキサン100mLを加えて室温(20℃)で2時間攪拌し、ヘキサン相を濾過した後ロータリーエバポレーターにより濃縮し、0.42gの抽出物を得た。
次いで、得られた抽出物を濃度が1%(w/v)となるようにエタノールに溶解した。
(製造例2)テンペの50%エタノール抽出物の調製
テンペ(Mariza、市販品を購入)50gを細かく砕き、50%エタノール100mLを加えて室温(20℃)で2時間攪拌し、ろ液をロータリーエバポレーターにより濃縮し、1.70gの抽出物を得た。
次いで、得られた抽出物を濃度が1%(w/v)となるようにエタノールに溶解した。
(比較製造例1)テンペの水抽出物の調製
テンペ(Mariza、市販品を購入)50gを細かく砕き、水100mLを加えて室温(20℃)で2時間攪拌し、ろ液を凍結乾燥により濃縮し、1.61gの抽出物を得た。
次いで、得られた抽出物を濃度が1%(w/v)となるようにエタノールに溶解した。
(比較製造例2)大豆のヘキサン抽出物の調製
蒸煮した大豆20gにヘキサン50mLを加えて室温(20℃)で2時間攪拌し、ヘキサン相を濾過した後ロータリーエバポレーターにより濃縮し0.10gの抽出物を得た。
次いで、得られた抽出物を濃度が1%(w/v)となるようにエタノールに溶解した。
(比較製造例3)大豆の水抽出物の調製
蒸煮した大豆20gに水50mLを加えて室温(20℃)で2時間攪拌し、ろ液を凍結乾燥により濃縮し、0.68gの抽出物を得た。
次いで、得られた抽出物を濃度が1%(w/v)となるようにエタノールに溶解した。
(比較製造例4)大豆の50%エタノール抽出物の調製
蒸煮した大豆20gに50%エタノール50mLを加えて室温(20℃)で2時間攪拌し、ろ液をロータリーエバポレーターにより濃縮し、0.64gの抽出物を得た。
次いで、得られた抽出物を濃度が1%(w/v)となるようにエタノールに溶解した。
これら抽出物を以下の実施例1〜3の被検物質として用いた。
実施例1:PPARα活性化試験
Human colon total RNA(Clontech)を用い、PCRを行ってPPARαリガンド結合部位(NCBI RefSeq NM_001001928, nt183-1586、配列番号1)を増幅した。PCR増幅産物をpCR Blunt(Invitrogen)にクローニングし、制限酵素(MluI、KpnI;Takara)処理によりDNA断片を調製した。調製したDNA断片をpBIND vector(Promega)のマルチクローニングサイト(MluI/KpnI)に挿入し、pBIND−PPARα LBDを得た。本ベクターは細胞に導入するとPPARαリガンド結合部位とGAL4のDNA結合部位の融合蛋白質を発現し、当該融合蛋白質はPPARαリガンドと結合することによりGAL4結合配列に結合し、その下流の遺伝子の転写を活性化するものである。また本ベクターには別途ウミシイタケルシフェラーゼ遺伝子が組み込まれており、ベクターの導入効率を求めることができる。
アフリカミドリザル腎細胞株CV-1を24穴プレートにまき、DMEM(5% チャコール処理ウシ胎児血清)中で1日培養した。ホタルルシフェラーゼ遺伝子の上流にGAL4結合配列を含むレポータープラスミド(pG5−Luc; Promega)、およびpBIND−PPARα LBDを同時に各々0.2μg/wellとなるようトランスフェクション試薬(Superfect transfection reagent;QIAGEN)を用いて導入した。その後、培養液を、被験物質を0.002%(w/v)含むDMEM(-ウシ胎児血清)培地に交換し、さらに1日培養した。被験物質としては、製造例1〜2、ならびに比較製造例1〜5で得た抽出物を用い、対照(Control)として同量の溶媒(エタノール)を用いた。陽性対照として、Wy14643(BIOMOL (Plymouth Meeting DA)より入手したもの)10μMを用いた。
PBSにて洗浄後、デュアルルシフェラーゼアッセイシステム(Promega)を用いて細胞を溶解、溶解液にルシフェリンを含む基質溶液を加え、ルミノメーターにてホタル及びウミシイタケルシフェラーゼ活性を各々測定した。PPARα依存的な遺伝子の転写活性(ルシフェラーゼ活性)は以下のように定義した。
PPARα依存的な遺伝子の転写活性(ルシフェラーゼ活性)
=(pG5−Lucによるホタルルシフェラーゼ活性)/(pBIND−PPARα LBDによるウミシイタケルシフェラーゼ活性)
各被験物質によるPPARα活性化能を図1に示す。尚、コントロールにおけるPPARα依存的転写活性を1とし、それに対する相対値を示す。
図1より、大豆のテンペ菌発酵物の50%エタノール抽出物及びヘキサン抽出物にPPARα活性化能があることがわかる。特に、疎水性溶媒であるヘキサン抽出物の活性が高いことがわかる。また、大豆の抽出物には活性がなく、テンペ菌による発酵が必要であることがわかる。
実施例2:PPARδ活性化試験
実施例1と同様にして、PPARδ活性化試験を行なった。
Rat IEC−6 total RNAを用い、PCRを行ってPPARδリガンド結合部位(NCBI RefSeq NM_011145, nt690-1595、配列番号2)を増幅した。PCR増幅産物をpCR Blunt(Invitrogen)にクローニングし、制限酵素(MluI、KpnI;Takara)処理によりDNA断片を調製した。調製したDNA断片をpBIND vector(Invitrogen)のマルチクローニングサイト(MluI/KpnI)に挿入し、pBIND−PPARδ LBDを得た。
実施例1と同様の手順で上記ベクター導入した細胞を被験物質とともに培養し、ルシフェラーゼ活性を測定した。陽性対照としては、GW501516(ALEXIS BIOCHEMICALS)1nMを用いた。PPARδ依存的な遺伝子の転写活性(ルシフェラーゼ活性)は以下のように定義した。
PPARδ依存的な遺伝子の転写活性(ルシフェラーゼ活性)
=(pG5−Lucによるホタルルシフェラーゼ活性)/(pBIND−PPARδ LBDによるウミシイタケルシフェラーゼ活性)
各被験物質によるPPARδ活性化能を図2に示す。尚、コントロールにおけるPPARδ依存的転写活性を1とし、それに対する相対値を示す。
図2より、大豆テンペ菌発酵物の50%エタノール抽出物及びヘキサン抽出物にPPARα活性化能があることがわかる。特に、疎水性溶媒であるヘキサン抽出物の活性が高いことがわかる。
実施例3:PPARγ活性化試験
実施例1と同様にして、PPARγ活性化試験を行なった。
Human colon total RNA(Clontech)を用い、PCRを行ってPPARγ2リガンド結合部位(NCBI RefSeq NM_015869, nt703-1606、配列番号3)を増幅した。PCR増幅産物をpCR Blunt(Invitrogen)にクローニングし、制限酵素(MluI、KpnI;Takara)処理によりDNA断片を調製した。調製したDNA断片をpBIND vector(Invitrogen)のマルチクローニングサイト(MluI/KpnI)に挿入し、pBIND−PPARγ LBDを得た。
実施例1と同様の手順で上記ベクター導入した細胞を被験物質とともに培養し、ルシフェラーゼ活性を測定した。陽性対照としては、ピオグリタゾン(CAYMAN)10μMを用いた。PPARγ依存的な遺伝子の転写活性(ルシフェラーゼ活性)は以下のように定義した。
PPARγ依存的な遺伝子の転写活性(ルシフェラーゼ活性)
=(pG5−Lucによるホタルルシフェラーゼ活性)/(pBIND−PPARγ LBDによるウミシイタケルシフェラーゼ活性)
各被験物質によるPPARγ活性化能を図3に示す。尚、コントロールにおけるPPARγ依存的転写活性を1とし、それに対する相対値を示す。
図3より、大豆テンペ菌発酵物の有機溶媒抽出物は、PPARγを活性化しないことがわかる。
以上のように、大豆テンペ菌発酵物の有機溶媒抽出物は、PPARα活性化作用及びPPARδ活性化作用を有するがPPARγ活性化作用は有しておらず、PPARα及びPPARδに特異性が高いことがわかる。すなわち、PPARα及びPPARδ選択的活性化剤として用いることができる。
更に、大豆テンペ菌発酵物の有機溶媒抽出物は、PPARα又はPPARδ活性化作用を有するので、前述のとおり、脂肪酸代謝の活性化、体脂肪の燃焼促進、肥満の予防・改善、脂質異常症の予防・改善、脂肪肝の予防・改善、持久力向上、インスリン抵抗性や糖尿病の予防・改善、動脈硬化の予防・改善等に有効であると考えられる。

Claims (10)

  1. 大豆テンペ菌発酵物の有機溶媒抽出物を有効成分とするPPARα及び/又はPPARδ活性化剤。
  2. 抽出溶媒が疎水性有機溶媒である請求項1記載のPPARα及び/又はPPARδ活性化剤。
  3. 大豆テンペ菌発酵物の有機溶媒抽出物を有効成分とする持久力向上剤。
  4. 大豆テンペ菌発酵物の有機溶媒抽出物を有効成分とする脂肪酸代謝活性化剤。
  5. 大豆テンペ菌発酵物の有機溶媒抽出物を有効成分とする体脂肪燃焼促進剤。
  6. 大豆テンペ菌発酵物の有機溶媒抽出物を有効成分とするインスリン抵抗性予防・改善剤。
  7. 大豆テンペ菌発酵物の有機溶媒抽出物を有効成分とする糖尿病予防・改善剤。
  8. 肥満予防・改善剤として用いるものである請求項1又は2記載のPPARα及び/又はPPARδ活性化剤。
  9. 動脈硬化予防・改善剤として用いるものである請求項1又は2記載のPPARα及び/又はPPARδ活性化剤。
  10. 大豆をテンペ菌で発酵させ、得られた発酵物から有機溶媒抽出物を調製することによるPPARα及び/又はPPARδ活性化剤の製造方法。
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