JP5346624B2 - Ppar活性化剤 - Google Patents

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Description

本発明は、脂肪酸代謝活性化、体脂肪燃焼促進、肥満抑制、脂肪肝抑制、糖尿病予防・改善、インスリン抵抗性予防・改善、持久力向上等に有効なペルオキシソーム増殖剤活性化受容体(Peroxisome Proliferator-Activated Receptor、以下、「PPAR」と記載する)活性化剤に関する。
ステロイド、甲状腺ホルモン、レチノイドなどの低分子脂溶性リガンドは、リガンド特異的な核内受容体を介して、個体発生における形態形成、細胞の増殖、分化、生体の恒常性の維持など多様な生理機能の調節に関与している。PPARは核内受容体の1種であり、1990年に脂肪分解に関与する細胞内小器官であるペルオキシソームを増加させる作用を仲介する蛋白として同定され、ペルオキシソーム増殖剤により活性化を受けるレセプターという意味でPeroxisome Proliferator Activated Receptorα(ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体:PPARα)と名付けられた。その後α型と構造上類似したアイソフォーム遺伝子としてδ型及びγ型が同定され、合計3つのサブタイプから成ることが知られている。PPARの各サブタイプはリガンド依存的に活性化され、9−シスレチノイン酸をリガンドとするRXR(Retinoid X Receptor)とヘテロ2量体を形成することで、プロモーター領域にPPAR応答配列(PPAR responsivelement;PPRE)を有する種々の遺伝子の発現を制御している(非特許文献1、非特許文献2)。例えば、脂肪酸β酸化の鍵酵素として知られるACO(Acyl―CoA oxidase)のPPREを用いたレポーターアッセイがなされており、それによると、PPARリガンドとして知られるリノール酸は、PPARα、δ、γのそれぞれを介してACO遺伝子の転写活性を亢進すること、つまりPPARリガンドが脂肪酸β酸化を亢進する可能性が示唆されている(非特許文献3)。以下で述べるように、近年、PPARは非常に多くの生理、病理現象に関わっていることが明らかになってきた。
PPARαの機能は脂肪酸の合成・輸送・分泌、脂肪消費臓器におけるATP産生、細胞周期の調節等幅広く生体のエネルギー代謝や恒常性の維持に関わるものと考えられている。特に脂肪酸代謝に重要なβ酸化関連酵素(ACO,HMG―CoA synthase,Acyl―CoA synthase,Medium chain acyl-CoA dehydrogenase,Fatty acid binding protein,Lipoprotein lipase等)の遺伝子発現はPPARの活性化に強く依存していることが明らかになっており、PPARα活性化剤は生体の脂質代謝の活性化に有効であると広く認識されている。PPARαの活性化に伴う脂肪酸代謝の活性化は、肝臓脂肪の分解、脂肪肝の改善、内臓脂肪や皮下脂肪などの体脂肪の分解・燃焼の促進、肥満の抑制につながると考えられる。
PPARα活性化剤として知られるフィブラート系の薬剤は、脂肪酸燃焼の促進作用、HDLコレステロール増加作用、そして最近ではアディポネクチン受容体発現増加作用などを持つことが明らかとなってきており、高脂血症、高コレステロール血症、高血糖症、アテローム性動脈硬化症などの治療薬として広く用いられている(非特許文献4、特許文献1、特許文献2)。従って、PPARα活性化剤は、脂肪酸代謝の活性化、体脂肪の燃焼促進、肥満の予防・改善、高トリグリセリド血症の予防・改善、高コレステロール血症の予防・改善、脂肪肝の予防・改善、インスリン抵抗性や糖尿病の予防・改善、動脈硬化の予防・改善などに広く有効であると考えられており、近年、PPARα活性化剤の探索、開発も盛んに行われている(特許文献3、特許文献4、特許文献5など)。
PPARγは栄養が十分にある状態でエネルギー貯蔵に作用し、いわゆる倹約遺伝子として働く分子である。特にPPARγ2は脂肪細胞に比較的強い特異性を持って発現しており、脂肪細胞分化の中心的役割を果たしていることが明らかになっている。PPARγヘテロ欠損マウス、PPARγ阻害剤、そしてヒトにおけるPPARγ遺伝子変異の研究から、PPARγの活性を低下させることにより脂肪細胞の肥大化が抑制され、脂肪細胞が小型化することが示されている(非特許文献5)。脂肪細胞の小型化によりインスリン感受性改善分子であるレプチンやアディポネクチンといった分子の分泌が活性化されることで、インスリン抵抗性や糖尿病の予防・治療につながることが明らかとなっている。一方で、PPARγのリガンドとして知られるチアゾリジン誘導体は、脂肪細胞分化を強力に分化誘導することにより脂肪細胞を小型化したり、肥大化した脂肪細胞のアポトーシスを誘導するなどしてインスリン感受性を高めること(非特許文献6)、そして一つの作用機序として、血中アディポネクチン濃度を上昇させることによりインスリン抵抗性を改善することが知られており、インスリン抵抗性改善剤、糖尿病治療薬として広く使用されている(非特許文献7)。また、チアゾリジン誘導体以外のPPARγ活性化剤としては、共役トリエン構造又は共役テトラエン構造を有する炭素数10〜26の共役不飽和脂肪酸(特許文献6)、タラゴン属植物材料(特許文献7)、オニオン、パセリ、シソまたはナツメグ(特許文献8)などが開示されている。
PPARδ(別名:PPARβ、NUC1、FAAR)は1992年にクローニングされて以来、長らく機能が明らかにされていなかったが、近年の研究により様々な生理機能を持つことが明らかになってきた。非特許文献8には、PPARδがL6筋肉細胞において熱産生タンパク質Uncoupling protein(UCP)−3遺伝子の活性化に主に関与していることが記載されている。そして、2000年には、PPARδの発現組織である骨格筋や褐色脂肪組織において、脱共役タンパク質Uncoupling protein(UCP)−3やUCP−1が、PPARリガンドであると考えられている脂肪酸負荷により生理的に発現が亢進することや、4℃の低温条件下でSDラットを飼育すると褐色脂肪組織中にPPARδが発現増加してくることから、PPARδを介するエネルギー代謝の制御機構が存在することが示唆されている(非特許文献9)。その後、PPARδを過剰発現させたマウスを用いた検討が行なわれ、高脂肪食負荷による体重増加の抑制、脂肪重量の減少、血中中性脂肪の減少、脂肪肝の抑制が認められている(非特許文献10)。
また、特許文献9には、NUC1受容体は脂肪酸酸化に関与する酵素の量を調節すること、更に、脂肪酸代謝の鍵酵素であるACOのレポーターアッセイにおいて、野生型のNUC1受容体を同時に発現させると、NUC1受容体の活性化剤であるオレイン酸によりレポーターが活性化されたことが記載され、このNUC1受容体はPPARδと同一のものである(非特許文献11)ことから、PPARδの活性化により脂肪酸β酸化の亢進が起こることが示唆されている。
また、PPARδアゴニストであるGW501516を骨格筋由来細胞に作用させ、細胞の遺伝子発現への影響を検討した結果では、脂肪酸の取り込みや輸送、ミトコンドリアのβ酸化系酵素、脱共役タンパク質などの脂肪酸代謝関連遺伝子の発現を誘導することが示されている。さらにGW501516を投与したマウスにおいては、脂肪組織特異的PPARδ過剰発現マウスと同様に高脂肪食負荷による体重増加の抑制、脂肪重量の減少が認められ、インスリン抵抗性改善効果を示すことも明らかにされている。このマウスの骨格筋においては脂肪酸代謝関連遺伝子および脂肪酸β酸化の誘導が確認されていることから、骨格筋のエネルギー消費が増大することにより末梢組織中の脂肪蓄積が抑制され、それによりインスリン抵抗性が改善されるのではないかと考えられている(非特許文献12)。
また、骨格筋特異的にPPARδを過剰発現することにより、肥満やインスリン抵抗性が抑制されることが報告されている。さらに驚くことに、このマウスの骨格筋では一般的に赤筋と呼ばれるミトコンドリアを多く含む持久性の高い筋繊維の割合が非常に高くなっており、その結果コントロールマウスの約2倍の距離を走ることができるという大変優れた持久力を持つマウスであることが示されている(非特許文献13)。
従って、PPARδの活性化は、運動持久力の向上に有効であると考えられるようになった。また最近では、肝臓においてPPARδがインスリン感受性を制御しているという報告もなされており、そのメカニズムとして、PPARδの活性化が肝臓の解糖系およびペントースリン酸回路の活性化を介して肝臓からのグルコースの供給を減少させ、インスリン感受性を増加することが示唆されている(非特許文献14)。
このように、PPARδの活性化は、肥満の抑制、インスリン抵抗性の改善/インスリン感受性の向上、脂肪酸代謝の活性化、体脂肪の燃焼促進、血中中性脂肪の減少、脂肪肝の抑制、持久力の向上などにつながる事から、PPARδの活性化剤は、肥満の予防・改善剤、インスリン抵抗性の予防・改善剤、脂肪酸酸化活性化剤、体脂肪燃焼促進剤、高トリグリセリド血症予防・改善剤、脂肪肝予防・改善剤、持久力向上剤として有効であると考えられている。そのため、このような目的でPPARδ活性化剤の探索、開発も盛んに行われ、これまでにフラボン類、フェノキシ酢酸誘導体などが報告されている(特許文献10及び11)。
このように、PPARの活性化剤は、脂肪酸代謝の活性化、体脂肪の燃焼促進、肥満の予防・改善、高トリグリセリド血症や高コレステロール血症の予防・改善、脂肪肝の予防・改善、持久力向上、インスリン抵抗性や糖尿病の予防・改善、動脈硬化の予防・改善などに広く有効であり、いわゆる生活習慣病や内臓脂肪症候群(メタボリックシンドローム)の予防・改善にも有用であると考えられる。
一方、醤油粕は醤油製造過程で出来る副産物であり、国内全体で年間8万トンが産生されている。現状において、その一部は家畜飼料として利用されるものの、ほとんどが産業廃棄物として処理されている(非特許文献15)。このような醤油粕を有効利用するための研究もいくつか行われており、これまでに醤油粕の抽出物が、血圧効果作用、抗動脈硬化作用、そして抗酸化作用などに有効であるという報告がなされている(特許文献12〜15)。
しかしながら、醤油粕にPPAR活性化作用があり、脂肪酸代謝の活性化、体脂肪燃焼の促進、肥満の抑制、脂肪肝の抑制、持久力の向上、糖尿病の予防・改善、インスリン抵抗性の予防・改善などに有効であることは全く知られていない。
特表2002−502869号公報 特表2002−533410号公報 特開2001−354558号公報 特開2002−80362号公報 特開2003−34636号公報 特開2000−355538号公報 特開2005−320292号公報 特開2006−273788号公報 英国特許出願公開第2292885号明細書 特開2007−119429号公報 特表2007−536343号公報 特開平5−279263号公報 特許第3401176号公報 特許第3510526号公報 特開2002−309251号公報
細胞:31(6)218-234, 1999号 J Lipid Res. 37, 907-925, 1996 J Biol Chem. 274, 23368-23377, 1999 Curr Opin Lipidol. 10, 151-159, 1999 Folia Pharmacol Jpn. 122, 294-300, 2003 J Clin Invest. 101, 1354-1361, 1998 BMC Pharmacol. 4, 23, 2004 FEBS Letters 461,319-322, 1999 The Lipid:メディカルレビュー社 11, 93-102, 2000 Cell. 113, 159-170, 2003 J Med Chem 43,4,527-550, 2000 Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 100, 15924-15929, 2003 PloS Biol. 2, e294, 2004 Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 103, 3444-3449, 2006 岩手県工業技術センター研究報告 第7号、2000
本発明は、優れたPPAR活性化作用を有し、且つ安全性の高い食品、医薬品又は医薬部外品を提供することに関する。
本発明者らは、食経験が豊富な天然物素材の中から、醤油粕又はその抽出物にPPARα、δ又はγ活性化作用があり、脂肪酸代謝活性化、体脂肪燃焼促進、肥満抑制、脂肪肝抑制、持久力向上、糖尿病予防・改善、インスリン抵抗性予防・改善効果を発揮する食品、医薬品又は医薬部外品として有用であることを見出した。
すなわち、本発明は、下記1)〜8)に係るものである。
1)醤油粕又はその抽出物を有効成分とするPPAR活性化剤。
2)醤油粕又はその抽出物を有効成分とする脂肪酸代謝活性化剤。
3)醤油粕又はその抽出物を有効成分とする体脂肪燃焼促進剤。
4)醤油粕又はその抽出物を有効成分とする肥満抑制剤。
5)醤油粕又はその抽出物を有効成分とする脂肪肝抑制剤。
6)醤油粕又はその抽出物を有効成分とする抗糖尿病剤。
7)醤油粕又はその抽出物を有効成分とするインスリン抵抗性予防・改善剤。
8)醤油粕又はその抽出物を有効成分とする持久力向上剤。
本発明のPPAR活性化剤は、優れたPPAR活性化作用を有し、且つ長期間摂取しても安全性も高いことから、脂肪酸代謝活性化、肥満抑制、脂肪肝抑制、持久力向上、糖尿病予防・改善、インスリン抵抗性予防・改善効果を発揮する飲食品、医薬品又は医薬部外品として有用である。
本発明において、醤油粕とは、醤油の製造工程(本醸造方式、新式醸造方式)、すなわち、醤油もろみを圧搾する工程の後に得られる残渣をいう。当該醤油粕には、濃口、淡口等の一般的な醤油の醤油粕の他、溜まり醤油、白醤油等の醤油粕も含まれる。
また、醤油原料となる大豆には、丸大豆または脱脂大豆が用いられるが、本発明の醤油粕としては、大豆の種類は限定されるものではない。
醤油粕抽出物は、濃縮乾固により得られた抽出物をそのまま又は乾燥して用いることができる。
醤油粕抽出物を得るために用いられる抽出溶剤としては、極性溶剤、非極性溶剤のいずれをも使用することができ、これらを混合して用いることもできる。例えば、水;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール等の多価アルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等の鎖状及び環状エーテル類;ポリエチレングリコール等のポリエーテル類;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素類;ヘキサン、シクロヘキサン、石油エーテル等の炭化水素類;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類;ピリジン類;超臨界二酸化炭素;油脂、ワックス、その他オイル等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を組み合わせて使用でき、溶剤を変えて繰り返し行うこと(例えばアルコール抽出物をさらに水抽出や他の有機溶剤にて抽出すること)も可能である。このうち、水、ヘキサン等の炭化水素類、エタノール等のアルコール類の溶剤を用いるのが好ましい。
抽出は、例えば、醤油粕1重量部に対して1〜50重量部の溶剤を用い、3℃〜使用溶媒の沸点以下、例えば3〜100℃で、数時間〜数週間、還流、浸出又は浸漬等するのが好ましい。また、抽出効率を向上させるために、ソックスレー抽出器等の還流装置を用いたり、超音波、マイクロ波、撹拌等の手段を併用することもできる。
斯くして得られる抽出物は、溶剤を除去した後そのまま使用できるが、公知の分離精製手段、例えば、活性炭処理、液液分配、カラムクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー、ゲル濾過、精密蒸留等を行った後、適宜な溶媒で希釈した希釈液として用いてもよく、或いは濃縮エキスや乾燥粉末としたり、ペースト状に調製して用いてもよい。
本発明の醤油粕又はその抽出物は、後記実施例に示すように、PPARα、PPARδ又はPPARγに依存的な遺伝子の転写活性を亢進する作用を有する。前述のとおり、PPAR(PPARα、PPARδ及びPPARγ)は、広く生体のエネルギー代謝や恒常性の維持に関わっており、特に脂質代謝に重要なβ酸化関連酵素(ACO,HMG-CoA synthase,Acyl-CoA synthase,Medium chain acyl-CoA dehydrogenase,Fatty acid binding protein,Lipoprotein lipase等)の遺伝子発現はPPARの活性化に強く依存すると考えられている(特許文献1〜11、非特許文献3〜14等)。従って、醤油粕又はその抽出物は、PPARα、PPARδ又はPPARγを活性化することによって生体の脂質代謝の活性化を図ることができ、肝臓脂肪の分解、脂肪肝の改善、内臓脂肪や皮下脂肪などの体脂肪の分解・燃焼の促進、肥満の抑制、持久力向上、更には、インスリン抵抗性や糖尿病の予防・改善、動脈硬化の予防・改善などに有効であると考えられる。
従って、醤油粕又はその抽出物は、PPAR活性化剤、脂肪酸代謝活性化剤、体脂肪燃焼促進剤、脂肪肝抑制剤、抗糖尿病剤又はインスリン抵抗性予防・改善剤(以下、PPAR活性化剤」とする。)として使用することができ、さらにこれら剤を製造するために使用することができる。PPAR活性化剤等は、PPAR(α、δ又はγ)活性化、脂肪酸代謝活性化、体脂肪燃焼促進、脂肪肝抑制、持久力向上、抗糖尿病又はインスリン抵抗性予防・改善の各効果を発揮する、ヒト若しくは動物用の食品、医薬品又は医薬部外品として使用可能である。また、醤油粕又はその抽出物は、脂肪酸代謝活性化、体脂肪燃焼促進、脂肪肝抑制、持久力向上、抗糖尿病又はインスリン抵抗性予防・改善等をコンセプトとし、必要に応じてその旨を表示した食品、機能性食品、病者用食品、特定保健用食品に応用できる。
本発明のPPAR活性化剤等を医薬品、医薬部外品として用いる場合の投与形態としては、例えば錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、シロップ剤等による経口投与又は注射剤、坐剤、吸入薬、経皮吸収剤、外用剤等による非経口投与が挙げられる。また、このような種々の剤型の製剤を調製するには、本発明の醤油粕又はその抽出物を単独で、又は他の薬学的に許容される賦形剤、結合剤、増量剤、崩壊剤、界面活性剤、滑沢剤、分散剤、緩衝剤、保存剤、嬌味剤、香料、被膜剤、担体、希釈剤等を適宜組み合わせて用いることができる。また、これらの投与形態のうち、好ましい形態は経口投与であり、経口用液体製剤を調製する場合は、嬌味剤、緩衝剤、安定化剤等を加えて常法により製造することができる。
本発明のPPAR活性化剤等を食品として用いる場合の形態としては、パン類、ケーキ類、麺類、菓子類、ゼリー類、冷凍食品、アイスクリーム類、乳製品、飲料、スープ類、食用油等の各種食品の他、上述した経口投与製剤と同様の形態(錠剤、カプセル剤、シロップ等)が挙げられる。
飲料としては、例えば、果汁飲料、炭酸飲料、茶系飲料、ニアウオーター、スポーツ飲料、乳飲料、アルコール飲料、清涼飲料等が挙げられる。また、飲料は、容器に充填した容器詰飲料とすることができる。
食用油としては、調理用油、調味料、マヨネーズ、ドレッシング、マーガリン等の油脂加工品類、パスタソース類等が挙げられる。
種々の形態の食品を調製するには、本発明の醤油粕又はその抽出物を単独で、又は他の食品材料や、溶剤、軟化剤、油、乳化剤、防腐剤、香科、安定剤、着色剤、酸化防止剤、保湿剤、増粘剤等を適宜組み合わせて脂肪酸代謝活性化食品、体脂肪燃焼促進食品、脂肪肝抑制食品、抗糖尿病又はインスリン抵抗性予防・改善用食品、持久力向上用食品、運動機能向上用食品、抗疲労用食品、ペットフード等として用いることが可能である。
また、本発明のPPAR活性化剤等は、適当量の栄養補給が困難な高齢者やベッドレスト状態の病者においては、経腸栄養剤等の栄養組成物の形態として用いることが可能である。
これらのものに対する醤油粕又はその抽出物の配合量は、その使用形態により異なるが、食品の形態では、醤油粕又はその抽出物(乾燥物換算)は、通常0.0001〜10質量%、さらに0.001〜5質量%、特に0.002〜2質量%とするのが好ましい。例えば飲料の場合では、飲料中に醤油粕又はその抽出物は、0.001〜0.5質量%、さらに0.005〜0.25質量%、特に0.01〜0.1質量%とするのが好ましい。タブレット等の食品錠剤及び/またはカプセル剤の場合では、醤油粕又はその抽出物が0.1〜95質量%、さらに1〜90質量%、特に5〜50質量%含有しているものが好ましい。
上記以外の医薬品、例えば錠剤、顆粒剤、カプセル剤等の経口用固形製剤、内服液剤、シロップ剤等の経口用液体製剤の場合には、醤油粕又はその抽出物(乾燥物換算)は、通常0.01〜95質量%、さらに5〜90質量%、特に10〜50質量%とするのが好ましい。
本発明のPPAR活性化剤等の投与量(有効摂取量)は、醤油粕又はその抽出物(乾燥物換算)として、一日あたり1〜5000mg/60kg体重とするのが好ましく、特に5〜3000mg/60kg体重、さらに10〜2000mg/60kg体重とするのが好ましく、50〜1000mg/60kg体重とするのが最も好ましい。
以下に本発明の代表的な試験例と実施例を示す。
実施例1 醤油粕抽出物の製造方法
栃木県下の醤油メーカーから購入した醤油粕200gを三つ口フラスコに量り採り、エタノール400mlを加え、78℃で2hr還流した。室温に冷却後、ろ紙(アドバンテックNo.1)を用いてろ過し、ろ液を濃縮乾固した。水とヘキサンを100mlずつ加えて充分に攪拌し、水相とヘキサン相を濃縮乾固して、水相から1.3g、ヘキサン相から9.9gの固形分を得た。それぞれを、50%エタノールまたはエタノールに溶解して10mg/mlの評価サンプルを調製した。各サンプルを実施例2〜4のPPARα、γ、δ活性化試験に用いた。
実施例2 PPARα活性化試験
Human colon total RNA(Clontech)を用い、PCRを行ってPPARαリガンド結合部位(NCBI RefSeq NM_001001928, nt183-1586、配列番号1)を増幅した。PCR増幅産物をpCR Blunt(Invitrogen)にクローニングし、制限酵素(MluI、KpnI;Takara)処理によりDNA断片を調製した。調製したDNA断片をpBIND vector(Invitrogen)のマルチクローニングサイト(MluI/KpnI)に挿入し、pBIND−PPARα LBDを得た。
アフリカミドリザル腎細胞株CV−1を24穴プレートにまき、DMEM(5% チャコール処理ウシ胎児血清)中で1日培養した。ホタルルシフェラーゼ遺伝子の上流にGAL4結合配列を含むレポータープラスミド(pG5−Luc;Invitrogen)、およびpBIND−PPARα LBDを同時に各々0.2μg/wellとなるようトランスフェクション試薬(Superfect transfection reagent;QIAGEN)を用いて導入した。その後、培養液を被験物質を含むDMEM(―ウシ胎児血清)培地に交換し、さらに1日培養した。
PBSにて洗浄後、デュアルルシフェラーゼアッセイシステム(Promega)を用いて細胞を溶解、溶解液にルシフェリンを含む基質溶液を加え、ルミノメーターにてホタル及びウミシイタケルシフェラーゼ活性を各々測定した。
本実験系でPPARα依存的な遺伝子の転写活性(ルシフェラーゼ活性)を測定することにより、PPARα活性化物質の探索を行った。尚、PPARα依存的な遺伝子の転写活性(ルシフェラーゼ活性)は以下のように定義した。
PPARα依存的な遺伝子の転写活性(ルシフェラーゼ活性)=(pG5−Lucによるホタルルシフェラーゼ活性)/(pBIND−PPARα LBDによるウミシイタケルシフェラーゼ活性)
各被験物質によるPPARα活性化能を表1に示す。尚、コントロールにおけるPPARα依存的転写活性を100とし、それに対する相対値を示す。陽性対照として、Wy14643(BIOMOL (Plymouth Meeting DA) より入手したもの)を用いた。
Figure 0005346624
表1より、醤油粕抽出物がPPARα活性化に有効であることがわかる。
実施例3 PPARγ活性化試験
実施例1と同様にして、PPARγ活性化試験を行なった。
Human colon total RNA(Clontech)を用い、PCRを行ってPPARγ2リガンド結合部位(NCBI RefSeq NM_015869, nt703-1606、配列番号2)を増幅した。PCR増幅産物をpCR Blunt(Invitrogen)にクローニングし、制限酵素(MluI、KpnI;Takara)処理によりDNA断片を調製した。調製したDNA断片をpBIND vector(Invitrogen)のマルチクローニングサイト(MluI/KpnI)に挿入し、pBIND−PPARγ LBDを得た。
PPARγ依存的な遺伝子の転写活性(ルシフェラーゼ活性)は以下のように定義した。
PPARγ依存的な遺伝子の転写活性(ルシフェラーゼ活性)=(pG5−Lucによるホタルルシフェラーゼ活性)/(pBIND−PPARγ LBDによるウミシイタケルシフェラーゼ活性)
各被験物質によるPPARγ活性化能を表2に示す。尚、コントロールにおけるPPARγ依存的転写活性を100とし、それに対する相対値を示す。陽性対照として、トログリタゾン(CAYMAN)を用いた。
Figure 0005346624
表2より、醤油粕抽出物がPPARγ活性化に有効であることがわかる。
実施例4 PPARδ活性化試験
実施例2と同様にして、PPARδ活性化試験を行なった。
Rat IEC−6 total RNAを用い、PCRを行ってPPARδリガンド結合部位(NCBI RefSeq NM_011145, nt690-1595、配列番号3)を増幅した。PCR増幅産物をpCR Blunt(Invitrogen)にクローニングし、制限酵素(MluI、KpnI;Takara)処理によりDNA断片を調製した。調製したDNA断片をpBIND vector(Invitrogen)のマルチクローニングサイト(MluI/KpnI)に挿入し、pBIND−PPARδ LBDを得た。
PPARδ依存的な遺伝子の転写活性(ルシフェラーゼ活性)は以下のように定義した。
PPARδ依存的な遺伝子の転写活性(ルシフェラーゼ活性)=(pG5−Lucによるホタルルシフェラーゼ活性)/(pBIND−PPARδ LBDによるウミシイタケルシフェラーゼ活性)
各被験物質によるPPARδ活性化能を表3に示す。尚、コントロールにおけるPPARδ依存的転写活性を100とし、それに対する相対値を示す。陽性対照として、GW501516(ALIXIS BIOCHEMICALS)を用いた。
Figure 0005346624
表3より、醤油粕抽出物がPPARδ活性化に有効であることがわかる。
従って、醤油粕抽出物は、PPARα、δ及びγのトリプルリガンドとして働き、PPARα、γ又はδ活性化作用を有するので、前述のとおり、脂肪酸代謝活性化、体脂肪燃焼促進、肥満抑制、脂肪肝抑制、持久力向上、糖尿病予防・改善、インスリン抵抗性予防・改善などに有効である。
実施例5 下記の成分を混合し、和風調味料を製造した。
Figure 0005346624
実施例6
下記の成分を混合し、中華風調味料を製造した。
Figure 0005346624
実施例7
下記の成分を混合後カプセルに充填し、300mgのカプセル剤を製造した。
Figure 0005346624
実施例8
下記の成分を用い、常法に従って1錠250mgの錠剤を製造した。
Figure 0005346624
実施例9
下記の成分を用い、常法に従って1錠1000mgのチュアブルタイプのタブレット食品を製造した。
Figure 0005346624
実施例10
下記の成分を配合したスポーツ飲料を製造した。
Figure 0005346624

Claims (9)

  1. 醤油粕の水抽出物又は醤油粕のヘキサン抽出物を有効成分とするPPAR活性化剤(動脈硬化抑制剤として使用する場合を除く)
  2. PPARが、PPARα、PPARδ又はPPARγである請求項1記載のPPAR活
    性化剤。
  3. 醤油粕の水抽出物又は醤油粕のヘキサン抽出物を有効成分とする脂肪酸代謝活性化剤。
  4. 醤油粕の水抽出物又は醤油粕のヘキサン抽出物を有効成分とする体脂肪燃焼促進剤。
  5. 醤油粕の水抽出物又は醤油粕のヘキサン抽出物を有効成分とする肥満抑制剤。
  6. 醤油粕の水抽出物又は醤油粕のヘキサン抽出物を有効成分とする脂肪肝抑制剤。
  7. 醤油粕の水抽出物又は醤油粕のヘキサン抽出物を有効成分とする抗糖尿病剤。
  8. 醤油粕の水抽出物又は醤油粕のヘキサン抽出物を有効成分とするインスリン抵抗性予防・改善剤。
  9. 醤油粕の水抽出物又は醤油粕のヘキサン抽出物を有効成分とする持久力向上剤。
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