JP2007022917A - Pparリガンド活性を有する植物由来の組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】 安全な食品素材由来であるペルオキシソーム増殖剤応答性受容体(PPAR)リガンド剤、及び、肥満、インスリン抵抗性、高脂血症及び糖尿病などに係わるメタボリックシンドロームの予防及び/又は改善・処置用組成物を提供する。
【解決手段】 本発明により、パプリカ、ホースラディッシュ、レモン、唐辛子、ゴマ、スペアミントまたは高菜のいずれか一種以上の両親媒性抽出物を有効成分とするPPARリガンド剤により、肥満、インスリン抵抗性、高脂血症及び糖尿病に係わるメタボリックシンドロームの予防及び/又は改善・処置用組成物が提供される。本発明の上記の組成物は、安全であり、肥満、インスリン抵抗性、高脂血症及び糖尿病などに係わるメタボリックシンドロームの予防及び/又は改善・処置に有効である。
【選択図】 なし
【解決手段】 本発明により、パプリカ、ホースラディッシュ、レモン、唐辛子、ゴマ、スペアミントまたは高菜のいずれか一種以上の両親媒性抽出物を有効成分とするPPARリガンド剤により、肥満、インスリン抵抗性、高脂血症及び糖尿病に係わるメタボリックシンドロームの予防及び/又は改善・処置用組成物が提供される。本発明の上記の組成物は、安全であり、肥満、インスリン抵抗性、高脂血症及び糖尿病などに係わるメタボリックシンドロームの予防及び/又は改善・処置に有効である。
【選択図】 なし
Description
本発明は、ペルオキシソーム増殖剤応答性受容体リガンド剤に関する。さらに本発明は、肥満、インスリン抵抗性、高脂血症及び糖尿病などに係わるメタボリックシンドロームの予防及び/又は処置用組成物に関する。
ペルオキシソーム増殖剤応答性受容体(Peroxisome Proliferator-activated receptor:PPAR)は、脂質及び糖代謝を維持する遺伝子群の発現制御を担う核内受容体ファミリーに属するリガンド依存性転写制御因子である。哺乳動物ではPPARα、PPARδ(PPARβ、NUC-1、FAAR)、PPARγの3種のサブタイプの存在が知られており、PPARαは、脂肪酸の異化能の高い肝臓や腎臓、骨格筋等に発現しており、特に肝臓において高発現が認められている。PPARδは組織普遍的に発現している。PPARγにはPPARγ1とPPARγ2の2種のアイソフォームが存在しており、PPARγ1は脂肪組織の他に免疫系臓器や副腎、小腸で発現して、PPARγ2は脂肪組織で特異的に発現している(非特許文献1)。
PPARαのリガンドとしては、パルミチン酸、オレイン酸、リノール酸、アラキドン酸などの脂肪酸類や8(S)-HETEなどが知られている。また、合成化合物では、抗高脂血症薬として使用されているフィブラート系薬剤のベザフィブレートやクロフィブレートなどがPPARαのリガンドであることが知られている(非特許文献1)。
PPARδのリガンドとしては、ジホモ-γ-リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸などの不飽和脂肪酸類、半合成プロスタグランジンのカルバサイクリンなどが知られている(非特許文献1)。
PPARγのリガンドとしては、α-リノレン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸などの不飽和脂肪酸、15-デオキシ-Δ12,14-プロスタグランジンJ2やΔ12-プロスタグランジンJ2などのアラキドン酸代謝物、9-ヒドロキシオクタデカジエン酸や13-ヒドロキシオクタデカジエン酸などのエイコサノイド類が知られている(非特許文献1)。また、共役トリエン構造又は共役テトラエン構造を有する炭素数10〜26の共役不飽和脂肪酸などがPPARγリガンドであることが開示されている(特許文献1)。さらに、合成化合物では、トログリタゾン、ピオグリタゾン、ロシグリタゾンなどのチアゾリジン誘導体がPPARγリガンドであることが知られている(非特許文献1)。
また、上記の化合物のみならず、モノアシルグリセロール(特許文献2)、没食子酸エステル、ガロイルタンニン類、ケルセチン、フラボン、イソフラボン、カテキン、エピカテキンなどのポリフェノール類(特許文献3)などがPPARリガンドであることが知られている。
PPARαのリガンドは、主に肝臓のPPARαを活性化し、脂質代謝や糖代謝を亢進させることにより、インスリン抵抗性を改善し、血中脂質及び血糖値の低下作用を有している(非特許文献2)。PPARδのリガンドは、骨格筋における脂肪酸のβ酸化などを活性化し、インスリン抵抗性を改善し、肥満などを予防する効果を有している(非特許文献3)。
PPARγリガンドは、脂肪細胞にてPPARγを活性化し、前駆脂肪細胞から分化した正常機能を有する小型脂肪細胞を増加させ、またインスリン抵抗性を惹起するTNFαや遊離脂肪酸の産生や分泌が亢進している肥大脂肪細胞をアポトーシスにより減少させることで、インスリン抵抗性を改善し、血糖値低下作用などを有している(非特許文献4)。
このようにPPARリガンドは、肥満、インスリン抵抗性を改善し、高脂血症及び糖尿病などに係わるメタボリックシンドロームの予防作用が期待される。しかし、上記に示した薬剤は高価であり、長期投与による副作用などの不都合があった。また、モノアシルグリセロールや没食子酸エステル、ガロイルタンニン類、ケルセチン、フラボン、イソフラボン、カテキン、エピカテキンなどのポリフェノール類は、十分なPPARリガンド作用が得られないなどの不都合があった。よって、安全性が高く、高いPPARリガンド作用を有する素材が望まれている。
パプリカ(学名Capsicum annuum)はナス科に属する植物であり、香辛料や色素としても用いられている。パプリカ色素の主成分であるカプサンチンに、抗酸化能だけでなく前駆脂肪細胞から脂肪細胞の分化を抑制することで脂肪の蓄積を抑制することが開示されている(特許文献4)。
ホースラディッシュ(学名Aemoracia rusticana)はアブラナ科に属する植物であり、別名西洋わさびとして知られている。西洋わさびにも含有されるイソチアネート類に高血糖障害抑制効果があることについては開示されている(特許文献5)。
レモン(学名Citrus limon)はミカン科に属する植物である。クロロゲン酸類がPPAR依存的に遺伝子転写活性化作用を有すること、並びにレモンがクロロゲン酸類を含有することに関しては開示されている(特許文献6)。
唐辛子(学名Capsicum annuum)はナス科に属する植物である。唐辛子エキスがベタインと組み合わせて用いたときに抗肥満効果を有することは開示されている(特許文献7)。
ゴマ(学名Sesamum indicum)はゴマ科に属する植物である。ゴマの抽出物がリパーゼ阻害活性を有することは開示されている(特許文献8)。
スペアミント(学名Mentha spicata)はシソ科に属する植物である。ロスマリン酸またはその塩がリパーゼ阻害活性を有すること、並びにスペアミントがロスマリン酸を含有することについては開示されている(特許文献9)。
高菜(学名Brassica juncea Czern. et Coss.)はアブラナ科に属する植物である。高菜がヒト血清コレステロール低下作用を有することはこれまでに開示されている(特許文献10)。
特開2000−355538号
特開2001−354558号
特開2002−80362号
特開2003−95930号
特開2005−47822号
特開2003−34636号
特開2002−173435号
特開2005−8572号
特開2005−53891号
特開平11−269082号
Journal of Medicinal Chemistry,2000年,43巻, 527〜550頁
Diabetes,2001年,50巻,411〜417頁
Proceedings of the National Academy of Sciences, 2003年,100巻,15924〜15929頁
医学のあゆみ,2001年,198巻,747〜754頁
本発明は、天然物由来のPPARリガンド剤であり、肥満、インスリン抵抗性、高脂血症及び糖尿病などに係わるメタボリックシンドロームの予防及び/又は改善・処置用組成物を提供することを課題とする。
本発明者らは、各種植物由来の各種抽出物からPPARリガンドを鋭意探索した結果、パプリカ、ホースラディッシュ、レモン、唐辛子、ゴマ、スペアミントまたは高菜の特定の溶媒の抽出物に高いPPARαリガンド活性があることを見出し、さらに高脂血症及び糖尿病などの予防効果が期待できることを見出し、これらの知見に基づいて、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、パプリカ、ホースラディッシュ、レモン、唐辛子、ゴマ、スペアミント及び高菜からなる群より選択される少なくとも一種以上の両親媒性抽出物を有効成分とするペルオキシソーム増殖剤応答性受容体リガンド剤に関する。
また、本発明は、上記のペルオキシソーム増殖剤応答性受容体リガンド剤を有効成分とする、肥満、インスリン抵抗性、高脂血症及び糖尿病などに係わるメタボリックシンドロームを予防・改善・処置する作用を有する組成物に関する。
本発明によれば、天然物由来のペルオキシソーム増殖剤応答性受容体リガンド剤、及びそれを有効成分として含有する組成物が提供される。本発明の組成物は、肥満、インスリン抵抗性、高脂血症及び糖尿病などに係わるメタボリックシンドロームを予防・改善・処置する上で有用である。
以下に、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
本発明のPPARリガンド剤は、パプリカ、ホースラディッシュ、レモン、唐辛子、ゴマ、スペアミント及び高菜からなる群より選択される少なくとも一種以上の植物体の両親媒性抽出物を有効成分としており、PPARリガンド活性を発揮できる範囲の有効量を含んでいればよい。
本発明でいうPPARリガンド剤とは、PPARリガンド結合領域に結合する能力、即ちPPARリガンド活性を有している化合物を含む物質である。本発明のPPARリガンド剤は、PPARを介して、肝臓・脂肪細胞・骨格筋などの組織において脂質及び糖代謝を調節することで、肥満、インスリン抵抗性、高脂血症及び糖尿病などに係わるメタボリックシンドロームを予防・改善・処置することができる。即ち、本発明のPPARリガンド剤は、肥満、インスリン抵抗性、高脂血症及び糖尿病などに係わるメタボリックシンドロームに関わる各種遺伝子の発現を正又は負に制御することができる。前記各種遺伝子とは、例えば、アシルCoAオキシダーゼ、中鎖アシルCoAデヒドロゲナーゼ、カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼ、長鎖アシルCoA合成酵素、脂肪酸結合タンパク質、リポ蛋白リパーゼ、アポリポタンパク質、脱共役タンパク質などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
PPARリガンド活性は、例えば、PPARリガンド結合領域とGAL4との融合タンパクに対する結合をルシフェラーゼの発現で評価するレポーター・アッセイ(Cell,1995年,83巻,803〜812頁)や、PPARリガンド結合領域を含むタンパクを用いたコンペティション・バインディング・アッセイ(Cell,1995年,83巻,813〜819頁)などにより測定することができる。これらのアッセイにおいて、サンプルの活性は一般に溶媒対照と比較し、溶媒対照よりも有意に高い活性を示すサンプルを「PPARリガンド活性あり」と評価する。
PPARリガンド剤とは、PPARα、γ、δの内、少なくとも1種以上のPPARに対し、リガンド活性を有していればよいが、本発明のPPARリガンド剤は、とりわけPPARαリガンド活性を有する。
本発明の両親媒性抽出物の形態は、抽出液の形態でもよいし、溶媒を除去したものでもよい。さらに、適切な溶媒に溶解、懸濁した形態であってもよい。また、これらの抽出物には、PPARリガンド活性があり、PPARリガンド活性を失わない範囲内で脱臭、精製などの操作を加えることができる。さらに、当該抽出物は、飲食品や医薬品として不適当な不純物を含有しない限り、抽出液のまま、又は粗抽出物あるいは半精製抽出物として本発明に使用できる。
本発明における両親媒性抽出物とは、両親媒性溶媒によって抽出される抽出物である。両親媒性溶媒とは、疎水性及び親水性の両方の性質或いは中間の性質を有する溶媒であり、食品、食品添加物、医薬品などの製造、加工に使用できる安全なものが好ましく、例えば、水、炭素数1〜4のアルコールおよびそれらの水溶液、アセトン、グリセリン、酢酸エチル、プロピレングリコールなどが挙げられ、また、これらのうち2種以上を混合して用いてもよい。また、2種以上の混合溶媒として水を用いる場合には、水は20%以下の使用が好ましい。これらのうち、抽出後の溶媒除去が容易な点からメタノール、エタノール、プロパノール、アセトン、酢酸エチルなどの有機溶媒やそれらの水溶液が好ましく、残留溶媒の安全性の観点からエタノールまたはエタノール水溶液がより好ましい。さらに、PPARリガンド活性の強さの点から、濃度20容量%以上のエタノール水溶液が好ましく、濃度40容量%以上のエタノール水溶液がより好ましく、濃度95%容量以上のエタノール水溶液がさらに好ましい。
本発明の溶媒抽出において、例えば、パプリカ、ホースラディッシュ、レモン、唐辛子、ゴマ、スペアミントまたは高菜の植物体を、植物体重量に対して1〜20倍量の上記溶媒に浸し、攪拌又は放置し、静置分離、濾過又は遠心分離などにより抽出液を得ることができる。次いで、得られた抽出液から溶媒を除去してもよい。抽出する際の上記植物体は、生のまま、または乾燥させたものでもよいが、保存の点から乾燥させたものが好ましい。また、上記植物体の形態は、原型、粉砕したもの、切断したもの又は粉末のいずれを用いてもよい。抽出温度は、一般に−20〜100℃、普通1〜90℃、好ましくは20〜80℃で好適に実施できる。抽出時間は、普通0.1時間〜1ヶ月、好ましくは0.5時間〜7日間で好適に実施できる。
本発明において、パプリカ、ホースラディッシュ、レモン、唐辛子、ゴマ、スペアミントまたは高菜の両親媒性抽出物を得るために用いる植物部位は、特に限定されず、パプリカ、ホースラディッシュ、レモン、唐辛子、ゴマ、スペアミントまたは高菜の全草、葉、茎、根、花、果実、種子等のいずれを用いてもよいが、一般的には可食部が好ましく、レモンでは皮が好ましく、ゴマでは種子が好ましい。
本発明の肥満、インスリン抵抗性、高脂血症及び糖尿病などに係わるメタボリックシンドロームを予防する組成物は、インスリン抵抗性、高脂血症及び糖尿病を予防するために有用であるが、これらの疾患を改善・処置することも可能である。
本発明において、インスリン抵抗性とは、肝臓・脂肪細胞・骨格筋で、インスリンの主な作用である糖の吸収促進作用が弱っている状態を指す。インスリン抵抗性の予防とは、SSPG(steady-state plasma glucose)法などによるインスリン抵抗性の指標となる値がより悪化するのを防ぐ又は遅らせることを指す。インスリン抵抗性の改善とは、上記のインスリン抵抗性の指標となる値をより改善することを指す。
本発明において、高脂血症の予防とは、日本動脈硬化学会が動脈硬化性疾患診療ガイドライン(2002年9月発行)にて定義している高脂血症の状態又は境界域の状態になるのを防ぐ又は遅らせることを指す。また、高脂血症の改善とは、上記に示す高脂血症の状態又は境界域の状態から、上記ガイドラインにて正常域と定義している状態に近づけることを指す。
本発明において、糖尿病の予防とは、日本糖尿病学会が糖尿病治療ガイド2002−2003(2002年5月発行)にて定義している糖尿病の状態又は境界域の状態になるのを防ぐ又は遅らせることを指す。また、糖尿病の改善とは、上記の糖尿病の状態又は境界域の状態から、上記ガイドにて正常域と定義している状態に近づけることを指す。
本発明のPPARリガンド剤は、これを含有する組成物とすることで、肥満、インスリン抵抗性、高脂血症及び糖尿病などに係わるメタボリックシンドロームの予防及び/又は処置のための、飲食用組成物または医薬用組成物として利用することができ、その形態は限定されず、例えば、保健機能食品(特定保健用食品、栄養機能食品)、健康食品、栄養補助食品などの飲食品、あるいはOTCなど容易に入手可能な医薬品又は医薬部外品などとして利用できる。
本発明の組成物における前記PPARリガンド剤の含有量は、特に限定されないが、抽出された固形分重量として、組成物重量基準で好ましくは0.001〜99.999重量%、より好ましくは0.01〜99.9重量%である。
本発明のPPARリガンド剤や、これを含有する肥満、インスリン抵抗性、高脂血症及び糖尿病などに係わるメタボリックシンドロームの予防及び/又は改善・処置用組成物は、そのまま直接摂取することもできるし、また、公知の担体や助剤などの添加剤を使用して、カプセル剤、錠剤、顆粒剤など服用しやすい形態に成型して摂取することもできる。また、栄養強化を目的として、ビタミンA、C、D、Eなどの各種ビタミン類を添加、併用して用いることもできる。これらの成型剤における本発明の肥満、インスリン抵抗性、高脂血症及び糖尿病などに係わるメタボリックシンドロームの予防作用を有する組成物の含有量は、好ましくは0.1〜100重量%、より好ましくは10〜90重量%である。さらに、飲食物材料に混合して、チューインガム、チョコレート、キャンディー、ゼリー、ビスケット、クラッカーなどの菓子類;アイスクリーム、氷菓などの冷菓類;茶、清涼飲料、栄養ドリンク、美容ドリンクなどの飲料;うどん、中華麺、スパゲティー、即席麺などの麺類;蒲鉾、竹輪、はんぺんなどの練り製品;ドレッシング、マヨネーズ、ソースなどの調味料;マーガリン、バター、サラダ油などの油脂類;パン、ハム、スープ、レトルト食品、冷凍食品など、すべての飲食物に使用することができる。これら飲食用の、肥満、インスリン抵抗性、高脂血症及び糖尿病などに係わるメタボリックシンドロームの予防作用を有する組成物を摂取する場合、その摂取量は当該抽出物として成人一人一日当たり、好ましくは0.01〜1000mg/kg体重、より好ましくは1〜300mg/kg体重である。
医薬品として用いる場合は、その剤形は特に限定されず、例えば、カプセル剤、錠剤、顆粒剤、注射剤、座薬、貼付剤などが挙げられる。製剤化においては、薬剤学的に許容される他の製剤素材、例えば、賦形剤、崩壊剤、滑沢剤、結合剤、酸化防止剤、着色剤、凝集防止剤、吸収促進剤、溶解補助剤、安定化剤などを適宜添加して調製することができる。これら製剤の投与量としては、当該抽出物換算で成人一人一日当たり、好ましくは0.01〜1000mg/kg体重、より好ましくは0.1〜100mg/kg体重を1回ないし数回に分けて投与する。
医薬部外品として用いる場合は、必要に応じて他の添加剤などを添加して、例えば、軟膏、リニメント剤、エアゾール剤、クリーム、石鹸、洗顔料、全身洗浄料、化粧水、ローション、入浴剤などに使用することができ、局所的に用いることができる。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
パプリカ、ホースラディッシュ、レモン、唐辛子、ゴマ、スペアミント及び高菜の両親媒性抽出物の調製
パプリカ(果実部)、ホースラディッシュ(果実部)、レモン(皮)、唐辛子(果実部)、ゴマ(種子)(以上、すべて株式会社カネカサンスパイス)、スペアミント(全草)(小林桂株式会社)または高菜(葉、茎)(新和物産株式会社)、1000gを各々、99.5容量%エタノール水溶液5Lに浸し45℃にて6時間、攪拌抽出した後、濾過により抽出液を得た。その抽出液を減圧濃縮して溶媒を除去し、半固形状態の抽出物を、パプリカでは168.6g、ホースラディッシュでは40.8g、レモンでは120.2g、唐辛子では197.6g、ゴマでは75.8g、スペアミントでは54.0g、高菜では40.8gを各々得た。
パプリカ、ホースラディッシュ、レモン、唐辛子、ゴマ、スペアミント及び高菜の両親媒性抽出物の調製
パプリカ(果実部)、ホースラディッシュ(果実部)、レモン(皮)、唐辛子(果実部)、ゴマ(種子)(以上、すべて株式会社カネカサンスパイス)、スペアミント(全草)(小林桂株式会社)または高菜(葉、茎)(新和物産株式会社)、1000gを各々、99.5容量%エタノール水溶液5Lに浸し45℃にて6時間、攪拌抽出した後、濾過により抽出液を得た。その抽出液を減圧濃縮して溶媒を除去し、半固形状態の抽出物を、パプリカでは168.6g、ホースラディッシュでは40.8g、レモンでは120.2g、唐辛子では197.6g、ゴマでは75.8g、スペアミントでは54.0g、高菜では40.8gを各々得た。
(実施例2)
PPARαリガンド活性の測定
Hep-G2細胞(ヒト肝癌由来の培養細胞)を96穴培養プレートに2×104cells/wellとなるように植え込み、37℃、5%CO2条件下で24時間培養した。培地には、10%FBS(ウシ胎仔血清)、10ml/Lペニシリン・ストレプトマイシン溶液(それぞれ5000IU/ml、5000μg/ml、Invitrogen社)、37mg/Lアスコルビン酸(和光純薬工業株式会社)を含むDMEM(Dulbecco's Modified Eagle Medium:Invitrogen社)を用いた。その細胞をOPTI-MEM(Invitrogen社)で洗浄した後、pM-PPARαと4xUASg-lucをリポフェクトアミン・プラス(Invtrogen社)を用いてトランスフェクションした。なお、pM-PPARαは、哺乳類発現プラスミドであるpM(Clontech社)に酵母由来転写因子GAL4遺伝子(アミノ酸配列1〜147)とヒトPPARαリガンド結合部位遺伝子(アミノ酸配列167〜468)を結合したキメラタンパクの遺伝子を挿入したプラスミドであり、4xUASg-lucはルシフェラーゼ遺伝子の上流にGAL4の応答配列(UASg)を4回組み込んだレポーター・プラスミドである(Cell,1995年,83巻,803〜812頁などに記載の方法で作成可能)。トランスフェクションの約24時間後、実施例1のパプリカ、ホースラディッシュ、レモン、唐辛子、ゴマ、スペアミントまたは高菜の両親媒性抽出物を含む培地に交換し(n=3)、24時間培養した。溶媒対照にはDMSOを用い、培地に1/1000量添加した。細胞をCa、Mg含有リン酸緩衝生理食塩水(PBS+)で洗浄した後、ルックライト(パーキンエルマー社)を添加し、トップカウント・マイクロプレートシンチレーション/ルミネッセンスカウンター(パーキンエルマー社)にてルシフェラーゼの発光強度を測定した。
PPARαリガンド活性の測定
Hep-G2細胞(ヒト肝癌由来の培養細胞)を96穴培養プレートに2×104cells/wellとなるように植え込み、37℃、5%CO2条件下で24時間培養した。培地には、10%FBS(ウシ胎仔血清)、10ml/Lペニシリン・ストレプトマイシン溶液(それぞれ5000IU/ml、5000μg/ml、Invitrogen社)、37mg/Lアスコルビン酸(和光純薬工業株式会社)を含むDMEM(Dulbecco's Modified Eagle Medium:Invitrogen社)を用いた。その細胞をOPTI-MEM(Invitrogen社)で洗浄した後、pM-PPARαと4xUASg-lucをリポフェクトアミン・プラス(Invtrogen社)を用いてトランスフェクションした。なお、pM-PPARαは、哺乳類発現プラスミドであるpM(Clontech社)に酵母由来転写因子GAL4遺伝子(アミノ酸配列1〜147)とヒトPPARαリガンド結合部位遺伝子(アミノ酸配列167〜468)を結合したキメラタンパクの遺伝子を挿入したプラスミドであり、4xUASg-lucはルシフェラーゼ遺伝子の上流にGAL4の応答配列(UASg)を4回組み込んだレポーター・プラスミドである(Cell,1995年,83巻,803〜812頁などに記載の方法で作成可能)。トランスフェクションの約24時間後、実施例1のパプリカ、ホースラディッシュ、レモン、唐辛子、ゴマ、スペアミントまたは高菜の両親媒性抽出物を含む培地に交換し(n=3)、24時間培養した。溶媒対照にはDMSOを用い、培地に1/1000量添加した。細胞をCa、Mg含有リン酸緩衝生理食塩水(PBS+)で洗浄した後、ルックライト(パーキンエルマー社)を添加し、トップカウント・マイクロプレートシンチレーション/ルミネッセンスカウンター(パーキンエルマー社)にてルシフェラーゼの発光強度を測定した。
コントロールの発光強度に対するサンプルの発光強度の比をサンプルのPPARαリガンド活性とした。その結果を表1に示す。
(実施例3)
カプセルの調製
実施例1で調製したパプリカ、ホースラディッシュ、レモン、唐辛子、ゴマ、スペアミントまたは高菜の両親媒性抽出物を40重量部、カルボキシメチルセルロース・ナトリウムを30重量部、結晶セルロースを20重量部、ビタミンCを10重量部の組成で混合、粉砕し、ゼラチン製カプセル(サイズ:02号、カプスゲル・ジャパン株式会社)に充填して、抽出物を40重量%含有する飲食用カプセル剤を調製した。
カプセルの調製
実施例1で調製したパプリカ、ホースラディッシュ、レモン、唐辛子、ゴマ、スペアミントまたは高菜の両親媒性抽出物を40重量部、カルボキシメチルセルロース・ナトリウムを30重量部、結晶セルロースを20重量部、ビタミンCを10重量部の組成で混合、粉砕し、ゼラチン製カプセル(サイズ:02号、カプスゲル・ジャパン株式会社)に充填して、抽出物を40重量%含有する飲食用カプセル剤を調製した。
本発明のPPARリガンド剤は、優れたPPARリガンド活性を有している。また、食品素材由来であるので安全性も高く、インスリン抵抗性、高脂血症及び糖尿病の予防・改善・処置に有用であり、保健機能食品(特定保健用食品、栄養機能食品)、健康食品、栄養補助食品などの飲食品、あるいはOTCなど容易に入手可能な医薬品又は医薬部外品などとして利用できる。
Claims (9)
- パプリカ、ホースラディッシュ、レモン、唐辛子、ゴマ、スペアミント及び高菜からなる群より選択される少なくとも一種以上の両親媒性抽出物を有効成分とするペルオキシソーム増殖剤応答性受容体リガンド剤。
- パプリカ、ホースラディッシュ、レモン、唐辛子、ゴマ、スペアミント及び高菜からなる群より選択される少なくとも一種以上の両親媒性抽出物が、パプリカ、ホースラディッシュ、レモン、唐辛子、ゴマ、スペアミント及び高菜からなる群より選択される少なくとも一種以上の植物体から濃度40容量%以上のエタノール水溶液で抽出された抽出物である請求項1記載のペルオキシソーム増殖剤応答性受容体リガンド剤。
- パプリカ、ホースラディッシュ、レモン、唐辛子、ゴマ、スペアミント及び高菜からなる群より選択される少なくとも一種以上の両親媒性抽出物が、パプリカ、ホースラディッシュ、レモン、唐辛子、ゴマ、スペアミント及び高菜からなる群より選択される少なくとも一種以上の植物体から濃度95容量%以上のエタノール水溶液で抽出された抽出物である請求項1記載のペルオキシソーム増殖剤応答性受容体リガンド剤。
- ペルオキシソーム増殖剤応答性受容体リガンド剤がペルオキシソーム増殖剤応答性受容体αのリガンド剤である請求項1〜3いずれか一項記載のペルオキシソーム増殖剤応答性受容体リガンド剤。
- 請求項1〜4のいずれか一項記載のペルオキシソーム増殖剤応答性受容体リガンド剤を含有するメタボリックシンドロームの予防及び/又は改善・処置用組成物。
- 請求項1〜4のいずれか一項記載のペルオキシソーム増殖剤応答性受容体リガンド剤を含有するインスリン抵抗性の予防及び/又は改善・処置用組成物。
- 請求項1〜4のいずれか一項記載のペルオキシソーム増殖剤応答性受容体リガンド剤を含有する高脂血症の予防及び/又は改善・処置用組成物。
- 請求項1〜4のいずれか一項記載のペルオキシソーム増殖剤応答性受容体リガンド剤を含有する糖尿病の予防及び/又は改善・処置用組成物。
- パプリカ、ホースラディッシュ、レモン、唐辛子、ゴマ、スペアミント及び高菜からなる群より選択される少なくとも一種以上の植物体を、濃度40容量%以上のエタノール水溶液で抽出することを特徴とする、ペルオキシソーム増殖剤応答性受容体リガンド剤の製造方法。
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JP2005202459A JP2007022917A (ja) | 2005-07-12 | 2005-07-12 | Pparリガンド活性を有する植物由来の組成物 |
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JP2005202459A JP2007022917A (ja) | 2005-07-12 | 2005-07-12 | Pparリガンド活性を有する植物由来の組成物 |
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JP2011006369A (ja) * | 2009-06-29 | 2011-01-13 | Kao Corp | Pai−1低下剤 |
JP2011072307A (ja) * | 2009-09-01 | 2011-04-14 | Nara Women's Univ | 塩味増強剤及び塩味増強方法 |
-
2005
- 2005-07-12 JP JP2005202459A patent/JP2007022917A/ja active Pending
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