JP2005320292A - ペルオキシソーム増殖剤応答性受容体リガンド剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】 安全な食品素材由来であるペルオキシソーム増殖剤応答性受容体(PPAR)リガンド剤、及び、インスリン抵抗性、高脂血症、糖尿病及び肥満などの生活習慣病の予防及び/又は改善剤を提供する。
【解決手段】 本発明により、タラゴンの低極性抽出物を有効成分とするPPARリガンド剤、及び、インスリン抵抗性、高脂血症、糖尿病及び肥満の生活習慣病の予防及び/又は改善剤が提供される。本発明の上記の剤は、安全であり、インスリン抵抗性、高脂血症、糖尿病及び肥満などの生活習慣病の予防及び/又は改善に有効である。
【選択図】 なし
【解決手段】 本発明により、タラゴンの低極性抽出物を有効成分とするPPARリガンド剤、及び、インスリン抵抗性、高脂血症、糖尿病及び肥満の生活習慣病の予防及び/又は改善剤が提供される。本発明の上記の剤は、安全であり、インスリン抵抗性、高脂血症、糖尿病及び肥満などの生活習慣病の予防及び/又は改善に有効である。
【選択図】 なし
Description
本発明は、ペルオキシソーム増殖剤応答性受容体リガンド剤に関する。さらに本発明は、インスリン抵抗性、高脂血症、糖尿病及び肥満などの生活習慣病の予防及び/又は改善剤に関する。
ペルオキシソーム増殖剤応答性受容体(Peroxisome Proliferator-activated receptor:PPAR)は、脂質及び糖代謝を維持する遺伝子群の発現制御を担う核内受容体ファミリーに属するリガンド依存性転写制御因子である。哺乳動物ではPPARα、PPARδ(PPARβ、NUC-1、FAAR)、PPARγの3種のサブタイプの存在が知られており、PPARαは、脂肪酸の異化能の高い肝臓や腎臓、骨格筋等に発現しており、特に肝臓において高発現が認められている。PPARδは組織普遍的に発現している。PPARγにはPPARγ1とPPARγ2の2種のアイソフォームが存在しており、PPARγ1は脂肪組織の他に免疫系臓器や副腎、小腸で発現して、PPARγ2は脂肪組織で特異的に発現している(非特許文献1を参照)。
PPARαのリガンドとしては、パルミチン酸、オレイン酸、リノール酸、アラキドン酸などの脂肪酸類や8(S)-HETEなどが知られている。また、合成化合物では、抗高脂血症薬として使用されているフィブラート系薬剤のベザフィブレートやクロフィブレートなどがPPARαのリガンドであることが知られている(非特許文献1を参照)。
PPARδのリガンドとしては、ジホモ-γ-リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸などの不飽和脂肪酸類、半合成プロスタグランジンのカルバサイクリンなどが知られている(非特許文献1を参照)。
PPARδのリガンドとしては、ジホモ-γ-リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸などの不飽和脂肪酸類、半合成プロスタグランジンのカルバサイクリンなどが知られている(非特許文献1を参照)。
PPARγのリガンドとしては、α-リノレン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸などの不飽和脂肪酸、15-デオキシート12,14-プロスタグランジンJ2やΔ12-プロスタグランジンJ2などのアラキドン酸代謝物、9-ヒドロキシオクタデカジエン酸や13-ヒドロキシオクタデカジエン酸などのエイコサノイド類が知られている(非特許文献1を参照)。また、共役トリエン構造又は共役テトラエン構造を有する炭素数10〜26の共役不飽和脂肪酸などがPPARγリガンドであることが開示されている(特許文献1を参照)。さらに、合成化合物では、トログリタゾン、ピオグリタゾン、ロシグリタゾンなどのチアゾリジン誘導体がPPARγリガンドであることが知られている(非特許文献1を参照)。
また、上記の化合物のみならず、モノアシルグリセロール(特許文献2を参照)、没食子酸エステル、ガロイルタンニン類、ケルセチン、フラボン、イソフラボン、カテキン、エピカテキンなどのポリフェノール類(特許文献3を参照)などがPPARリガンドであることが知られている。
PPARαのリガンドは、主に肝臓のPPARαを活性化し、脂質代謝や糖代謝を亢進させることにより、インスリン抵抗性を改善し、血中脂質及び血糖値の低下作用を有している(非特許文献2を参照)。
PPARδのリガンドは、骨格筋における脂肪酸のβ酸化などを活性化し、インスリン抵抗性を改善し、肥満などを予防する効果を有している(非特許文献3を参照)。
PPARγリガンドは、脂肪細胞にてPPARγを活性化し、前駆脂肪細胞から分化した正常機能を有する小型脂肪細胞を増加させ、またインスリン抵抗性を惹起するTNFαや遊離脂肪酸の産生や分泌が亢進している肥大脂肪細胞をアポトーシスにより減少させることで、インスリン抵抗性を改善し、血糖値低下作用などを有している(非特許文献4を参照)。
PPARγリガンドは、脂肪細胞にてPPARγを活性化し、前駆脂肪細胞から分化した正常機能を有する小型脂肪細胞を増加させ、またインスリン抵抗性を惹起するTNFαや遊離脂肪酸の産生や分泌が亢進している肥大脂肪細胞をアポトーシスにより減少させることで、インスリン抵抗性を改善し、血糖値低下作用などを有している(非特許文献4を参照)。
このようにPPARリガンドは、インスリン抵抗性を改善し、高脂血症、糖尿病及び肥満などの生活習慣病の予防及び/又は改善作用が期待される。しかし、上記に示した薬剤は高価であり、長期投与による副作用などの不都合があった。また、モノアシルグリセロールや没食子酸エステル、ガロイルタンニン類、ケルセチン、フラボン、イソフラボン、カテキン、エピカテキンなどのポリフェノール類は、十分なPPARリガンド作用が得られないなどの不都合があった。よって、安全性の高く、高いPPARリガンド作用を有する素材が望まれている。しかし、上記文献には、タラゴン属(Artemisia)植物は開示も示唆もされていない。
タラゴン(学名Artemisia dracunculus L.)などのタラゴン属(Artemisia)植物は、別名をエストラゴンといい、フランス料理などに使われるハーブの一種である。タラゴンには、食欲増進や健胃効果などが知られている。また、タラゴン属植物材料から60%エタノールで抽出される中極性抽出物には、抗高脂血症(非特許文献5を参照)及びインスリン抵抗性改善や血糖低下効果(特許文献4を参照)があることが報告されている。しかし、タラゴン属植物材料の低極性抽出物が、ペルオキシソーム増殖剤応答性受容体リガンド剤であることやインスリン抵抗性、高脂血症、糖尿病及び肥満などの生活習慣病の予防及び/又は改善作用を有することはまったく知られていない。
特開2000−355538号
特開2001−354558号
特開2002−80362号
US2003072822
Journal of Medicinal Chemistry,2000年,43巻,527〜550頁
Diabetes,2001年,50巻,411〜417頁
Proceedings of the National Academy of Sciences,2003年,100巻,15924〜15929頁
医学のあゆみ,2001年,198巻,747〜754頁
Biomedical Letters,1999年,59巻,137〜141頁
上記に鑑み、PPARリガンドはインスリン抵抗性、高脂血症、糖尿病及び肥満などの生活習慣病を予防及び/又は改善しうる。よって、本発明は、天然物由来のPPARリガンド剤、及びインスリン抵抗性、高脂血症、糖尿病及び肥満などの生活習慣病の予防及び/又は改善剤を提供する。
本発明者らは、各種植物抽出物からPPARリガンドを鋭意探索した結果、タラゴン属植物材料、好ましくはタラゴン植物材料の低極性抽出物に高いPPARリガンド活性があることを見出し、さらに高脂血症、糖尿病及び肥満の予防効果を有することを見出し、これらの知見に基づいて、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、タラゴン属植物材料、好ましくはタラゴン植物材料の低極性抽出物を有効成分とするペルオキシソーム増殖剤応答性受容体リガンド剤に関する。
また、本発明は、上記のペルオキシソーム増殖剤応答性受容体リガンド剤を有効成分とするインスリン抵抗性、高脂血症、糖尿病及び肥満などの生活習慣病の予防及び/又は改善する作用を有する組成物に関する。
本発明によれば、天然物由来のペルオキシソーム増殖剤応答性受容体リガンド剤、及びそれを有効成分として含有する組成物が提供される。本発明の組成物は、インスリン抵抗性、高脂血症、糖尿病及び肥満などの生活習慣病を予防及び/又は改善する上で有用である。
以下に、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
本発明のPPARリガンド剤は、タラゴン属植物材料、好ましくはタラゴン属植物材料の低極性抽出物を有効成分としており、PPARリガンド活性を発揮できる範囲の有効量を含んでいればよい。
本発明でいうPPARリガンド剤は、PPARリガンド結合領域に結合する能力、即ちPPARリガンド活性を有している化合物を含む。リガンド剤はアゴニスト又はアンタゴニストであってもよい。好ましいリガンド剤はアゴニストである。本発明のPPARリガンド剤は、PPARを介して、肝臓・脂肪細胞・骨格筋などの組織において脂質及び糖代謝を調節することで、インスリン抵抗性、高脂血症、糖尿病及び肥満などの生活習慣病を予防及び/又は改善することができる。即ち、本発明のPPARリガンド剤は、インスリン抵抗性、高脂血症、糖尿病及び肥満などの生活習慣病に関わる各種遺伝子の発現を正又は負に制御することができる。前記各種遺伝子とは、例えば、アシルCoAオキシダーゼ、中鎖アシルCoAデヒドロゲナーゼ、カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼ、長鎖アシルCoA合成酵素、脂肪酸結合タンパク質、リポ蛋白リパーゼ、アポリポタンパク質、脱共役タンパク質などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
PPARリガンド活性は、例えば、PPARリガンド結合領域とGAL4との融合タンパクに対する結合をルシフェラーゼの発現で評価するレポーター・アッセイ(Cell,1995年,83巻,803〜812頁)や、PPARリガンド結合領域を含むタンパクを用いたコンペティション・バインディング・アッセイ(Cell,1995年,83巻,813〜819頁)などにより測定することができる。これらのアッセイにおいて、サンプルの活性は一般に溶媒対照と比較し、溶媒対照よりも有意に高い活性を示し、なおかつ用量依存性が認められるサンプルを「PPARリガンド活性あり」と評価する。
本発明のPPARリガンド剤は、PPARα、γ、δの内、少なくとも1種以上のPPARに対し、リガンド活性を有していればよい。PPARαに対するリガンド剤が好ましい。
本発明における低極性抽出物とは、1又は2種以上の、油脂、ヘキサン、酢酸エチル、アセトンなどの疎水性溶媒、又は約80容量%以上のアルコールなどを用いて抽出された抽出物を指す。アルコールは、限定されないが、メタノール、エタノールおよびプロパノールを含みうる。ちなみに、中極性抽出物は、約30〜70容量%のアルコールで抽出された抽出物を指し、高極性抽出物は、約30容量%以下のアルコールや水などで抽出された抽出物を指す。
本発明の低極性抽出物の形態は、抽出液の形態でもよいし、溶媒を除去したものでもよい。さらに、適切な溶媒に溶解、懸濁した形態であってもよい。また、これらの抽出物には、PPARリガンド活性があり、PPARリガンド活性を失わない範囲内で脱臭、精製などの操作を加えることができる。
タラゴン属植物材料から本発明の低極性抽出物を製造する方法は、例えば、溶媒抽出による方法が挙げられる。また、溶媒抽出に限定されず、水蒸気蒸留や、超臨界抽出技術を用いた二酸化炭素による抽出などの抽出操作を用いてもよい。さらに、当該抽出物は、飲食品や医薬品として不適当な不純物を含有しない限り、抽出液のまま、又は粗抽出物あるいは半精製抽出物として本発明に使用できる。
抽出に用いる溶媒は、食品、食品添加物、医薬品などの製造、加工に使用できる安全なものが好ましく、例えば、水、炭素数1〜4のアルコール、アセトン、グリセリン、酢酸エチル、プロピレングリコール、ヘキサン、食用油脂などが挙げられ、また、これらのうち2種以上を混合して用いてもよい。これらのうち、抽出後の溶媒除去が容易な点からメタノール、エタノール、プロパノール、アセトン、酢酸エチル、ヘキサンなどの有機溶媒が好ましく、残留溶媒の安全性の点からエタノールがより好ましい。さらに、PPARリガンド活性の強さの点から、約80容量%以上のエタノールが好ましい。
溶媒抽出する場合、例えば、タラゴン属植物材料を、約1〜20倍量の上記溶媒に浸し、攪拌又は放置し、濾過又は遠心分離などにより抽出液を得ることができる。次いで、得られた抽出液から溶媒を除去してもよい。抽出する際のタラゴン属植物材料は、生のまま、又は乾燥させたものでもよいが、保存の点から乾燥させたものが好ましい。また、上記タラゴン属植物材料の形態は、原型、粉砕したもの、切断したもの又は粉末のいずれを用いてもよい。抽出温度は、一般に約−20〜100℃、普通約1〜80℃、好ましくは約20〜60℃で好適に実施できる。抽出時間は、普通約0.1時間〜1ヶ月、好ましくは約0.5時間〜7日間で好適に実施できる。
本発明において、タラゴン属植物材料の低極性抽出物を得る際に用いる植物部位は、特に限定されず、タラゴン(Aretemisia dracunculus L.)の全草、葉、茎、根、花、種子等のいずれを用いてもよいが、タラゴン(Aretemisia dracunculus L.)の葉の部分を用いるのが好ましい。
本発明のインスリン抵抗性、高脂血症、糖尿病及び肥満などの生活習慣病の予防及び/又は改善剤は、本発明のPPARリガンド剤を有効成分としている。
本発明において、インスリン抵抗性とは、肝臓・脂肪細胞・骨格筋で、インスリンの主な作用である糖の吸収促進作用が弱っている状態を指す。インスリン抵抗性の予防とは、SSPG(steady-state plasma glucose)法などによるインスリン抵抗性の指標となる値がより悪化するのを防ぐ又は遅らせることを指す。インスリン抵抗性の改善とは、上記のインスリン抵抗性の指標となる値をより改善することを指す。
本発明において、高脂血症の予防とは、日本動脈硬化学会が動脈硬化性疾患診療ガイドライン(2002年9月発行)にて定義している高脂血症の状態又は境界域の状態になるのを防ぐ又は遅らせることを指す。また、高脂血の改善とは、上記に示す高脂血症の状態又は境界域の状態から、上記ガイドラインにて正常域と定義している状態に近づけることを指す。
本発明において、糖尿病の予防とは、日本糖尿病学会が糖尿病治療ガイド2002−2003(2002年5月発行)にて定義している糖尿病の状態又は境界域の状態になるのを防ぐ又は遅らせることを指す。また、糖尿病の改善とは、上記の糖尿病の状態又は境界域の状態から、上記ガイドにて正常域と定義している状態に近づけることを指す。
本発明において、内蔵肥満および肥満の予防とは、日本肥満学会が肥満・肥満症の指導マニュアル第2版(2001年7月発行)にて、肥満又は肥満症であると定義している状態になるのを防ぐ又は遅らせることを指す。また、肥満の改善とは、上記学会が肥満症又は肥満であると定義している状態から、上記学会が正常域と定義している状態に近づけることを指す。
本発明のPPARリガンド剤、及びこれを有効成分とするインスリン抵抗性、高脂血症、糖尿病及び肥満などの生活習慣病の予防及び/又は改善剤は、飲食用及び医薬用として利用することができ、その形態は限定されず、例えば、保健機能食品(特定保健用食品、栄養機能食品)、健康食品、栄養補助食品などの飲食品、あるいはOTCなど容易に入手可能な医薬品又は医薬部外品などとして利用できる。
本発明のPPARリガンド剤や、これを有効成分とするインスリン抵抗性、高脂血症、糖尿病及び肥満などの生活習慣病の予防及び/又は改善剤は、そのまま直接摂取することもできるし、また、公知の担体や助剤などの添加剤を使用して組成物を製造しうる。組成物をカプセル剤、錠剤、顆粒剤など服用しやすい形態に成型して摂取することもできる。また、栄養強化を目的として、ビタミンA、C、D、Eなどの各種ビタミン類を添加、併用して用いることもできる。これらの成型剤における本発明のインスリン抵抗性、高脂血症、糖尿病及び肥満などの生活習慣病の予防及び/又は改善作用を有する組成物の含有量は、好ましくは約0.1〜100重量%、より好ましくは約10〜90重量%である。さらに、飲食物材料に混合して、チューインガム、チョコレート、キャンディー、ゼリー、ビスケット、クラッカーなどの菓子類;アイスクリーム、氷菓などの冷菓類;茶、清涼飲料、栄養ドリンク、美容ドリンクなどの飲料;うどん、中華麺、スパゲティー、即席麺などの麺類;蒲鉾、竹輪、はんぺんなどの練り製品;ドレッシング、マヨネーズ、ソースなどの調味料;マーガリン、バター、サラダ油などの油脂類;パン、ハム、スープ、レトルト食品、冷凍食品など、すべての飲食物に使用することができる。これら飲食用インスリン抵抗性、高脂血症、糖尿病及び肥満などの生活習慣病の予防及び/又は改善作用を有する組成物を摂取する場合、その摂取量は当該抽出物として成人一人一日当たり、好ましくは約0.1〜1000mg/kg体重、より好ましくは約10〜500mg/kg体重である。
医薬品として用いる場合は、その剤形は特に限定されず、例えば、カプセル剤、錠剤、顆粒剤、注射剤、座薬、貼付剤などが挙げられる。製剤化においては、薬剤学的に許容される他の製剤素材、例えば、賦形剤、崩壊剤、滑沢剤、結合剤、酸化防止剤、着色剤、凝集防止剤、吸収促進剤、溶解補助剤、安定化剤などを適宜添加して調製することができる。これら製剤の投与量としては、当該抽出物換算で成人一人一日当たり、好ましくは約0.1〜1000mg/kg体重、より好ましくは約10〜500mg/kg体重を1回ないし数回に分けて投与する。もっとも、該有効な量は、哺乳動物対象の年齢、体重、健康、性別、摂取の様式および時間、排出の割合、組成物の組み合わせ、および対象の状態の程度などに依存して異なり得るが、当業者周知の方法により実験的又は経験的に決定することができる。
医薬部外品として用いる場合は、必要に応じて他の添加剤などを添加して、例えば、軟膏、リニメント剤、エアゾール剤、クリーム、石鹸、洗顔料、全身洗浄料、化粧水、ローション、入浴剤などに使用することができ、局所的に用いることができる。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)タラゴンの低極性抽出物(1)の調製
タラゴンの葉の粉末(株式会社カネカサンスパイス)800gを99.5容量%エタノール4Lに浸し45℃にて6時間、攪拌抽出した後、濾過により抽出液を得た。その抽出液を減圧濃縮して溶媒を除去し、半固形オイル状の抽出物70.9gを得た。
タラゴンの葉の粉末(株式会社カネカサンスパイス)800gを99.5容量%エタノール4Lに浸し45℃にて6時間、攪拌抽出した後、濾過により抽出液を得た。その抽出液を減圧濃縮して溶媒を除去し、半固形オイル状の抽出物70.9gを得た。
(実施例2)タラゴンの低極性抽出物(2)の調製
実施例1と同様のタラゴンの葉の粉末20gを90容量%エタノール100mlに浸し45℃にて6時間、攪拌抽出した後、濾過により抽出液を得た。その抽出液を減圧濃縮して溶媒を除去し、半固形オイル状の抽出物3.59gを得た。
実施例1と同様のタラゴンの葉の粉末20gを90容量%エタノール100mlに浸し45℃にて6時間、攪拌抽出した後、濾過により抽出液を得た。その抽出液を減圧濃縮して溶媒を除去し、半固形オイル状の抽出物3.59gを得た。
(実施例3)タラゴンの低極性抽出物(3)の調製
実施例1と同様のタラゴンの葉の粉末20gを80容量%エタノール100mlに浸し45℃にて6時間、攪拌抽出した後、濾過により抽出液を得た。その抽出液を減圧濃縮した後、凍結乾燥により粉末状の抽出物4.71gを得た。
実施例1と同様のタラゴンの葉の粉末20gを80容量%エタノール100mlに浸し45℃にて6時間、攪拌抽出した後、濾過により抽出液を得た。その抽出液を減圧濃縮した後、凍結乾燥により粉末状の抽出物4.71gを得た。
(比較例1)タラゴンの中極性抽出物(1)の調製
実施例1と同様のタラゴンの葉の粉末20gを70容量%エタノール100mlに浸し45℃にて6時間、攪拌抽出した後、濾過により抽出液を得た。その抽出液を減圧濃縮した後、凍結乾燥にて、粉末状の抽出物5.47gを得た。
実施例1と同様のタラゴンの葉の粉末20gを70容量%エタノール100mlに浸し45℃にて6時間、攪拌抽出した後、濾過により抽出液を得た。その抽出液を減圧濃縮した後、凍結乾燥にて、粉末状の抽出物5.47gを得た。
(比較例2)タラゴンの中極性抽出物(2)の調製
実施例1と同様のタラゴンの葉の粉末20gを60容量%エタノール100mlに浸し45℃にて6時間、攪拌抽出した後、濾過により抽出液を得た。その抽出液を減圧濃縮した後、凍結乾燥にて、粉末状の抽出物5.87gを得た。
実施例1と同様のタラゴンの葉の粉末20gを60容量%エタノール100mlに浸し45℃にて6時間、攪拌抽出した後、濾過により抽出液を得た。その抽出液を減圧濃縮した後、凍結乾燥にて、粉末状の抽出物5.87gを得た。
(実施例4)PPARαリガンド活性の測定
CV−1細胞(雄性アフリカミドリザル腎臓由来の培養細胞)を96穴培養プレートに6x103cells/wellとなるように植え込み、37℃、5%CO2条件下で24時間培養した。培地には、10%FBS(ウシ胎仔血清)、10ml/Lペニシリン・ストレプトマイシン溶液(それぞれ5000IU/ml、5000μg/ml、Invitrogen社)、37mg/Lアスコルビン酸(和光純薬工業株式会社)を含むDMEM(Dulbecco's Modified Eagle Medium:Invitrogen社)を用いた。その細胞をOPTI-MEM(Invitrogen社)で洗浄した後、pM-PPARαと4xUASg-lucをリポフェクトアミン・プラス(Invtrogen社)を用いてトランスフェクションした。なお、pM-PPARαは、哺乳類発現プラスミドであるpM(Clontech社)に酵母由来転写因子GAL4遺伝子(アミノ酸配列1〜147)とヒトPPARαリガンド結合部位遺伝子(アミノ酸配列167〜468)を結合したキメラタンパクの遺伝子を挿入したプラスミドであり、4xUASg-lucはルシフェラーゼ遺伝子の上流にGAL4の応答配列(UASg)を4回組み込んだレポーター・プラスミドである(Cell,1995年,83巻,803〜812頁などに記載の方法で作成可能)。トランスフェクションの約24時間後、実施例1のタラゴン低極性抽出物を含む培地に交換し(n=4)、24時間培養した。溶媒対照にはDMSOを用い、培地に1/1000量添加した。細胞をCa、Mg含有リン酸緩衝生理食塩水(PBS+)で洗浄した後、ルックライト(Packard社)を添加し、トップカウント・マイクロプレートシンチレーション/ルミネッセンスカウンター(Packard社)にてルシフェラーゼの発光強度を測定した。
CV−1細胞(雄性アフリカミドリザル腎臓由来の培養細胞)を96穴培養プレートに6x103cells/wellとなるように植え込み、37℃、5%CO2条件下で24時間培養した。培地には、10%FBS(ウシ胎仔血清)、10ml/Lペニシリン・ストレプトマイシン溶液(それぞれ5000IU/ml、5000μg/ml、Invitrogen社)、37mg/Lアスコルビン酸(和光純薬工業株式会社)を含むDMEM(Dulbecco's Modified Eagle Medium:Invitrogen社)を用いた。その細胞をOPTI-MEM(Invitrogen社)で洗浄した後、pM-PPARαと4xUASg-lucをリポフェクトアミン・プラス(Invtrogen社)を用いてトランスフェクションした。なお、pM-PPARαは、哺乳類発現プラスミドであるpM(Clontech社)に酵母由来転写因子GAL4遺伝子(アミノ酸配列1〜147)とヒトPPARαリガンド結合部位遺伝子(アミノ酸配列167〜468)を結合したキメラタンパクの遺伝子を挿入したプラスミドであり、4xUASg-lucはルシフェラーゼ遺伝子の上流にGAL4の応答配列(UASg)を4回組み込んだレポーター・プラスミドである(Cell,1995年,83巻,803〜812頁などに記載の方法で作成可能)。トランスフェクションの約24時間後、実施例1のタラゴン低極性抽出物を含む培地に交換し(n=4)、24時間培養した。溶媒対照にはDMSOを用い、培地に1/1000量添加した。細胞をCa、Mg含有リン酸緩衝生理食塩水(PBS+)で洗浄した後、ルックライト(Packard社)を添加し、トップカウント・マイクロプレートシンチレーション/ルミネッセンスカウンター(Packard社)にてルシフェラーゼの発光強度を測定した。
コントロールの発光強度に対するサンプルの発光強度の比をサンプルのPPARαリガンド活性とした。結果を表1に示す。
(実施例5)PPARγリガンド活性の測定
実施例4に記載の方法のうち、pM-PPARαの代りにpM-PPARγを用いる以外は実施例4と同様に実施した。なお、pM-PPARγは、pMに酵母由来転写因子GAL4遺伝子(アミノ酸配列1〜147)とヒトPPARγリガンド結合部位遺伝子(アミノ酸配列204〜505)を結合したキメラタンパクの遺伝子を挿入したプラスミドである。結果を表2に示す。
実施例4に記載の方法のうち、pM-PPARαの代りにpM-PPARγを用いる以外は実施例4と同様に実施した。なお、pM-PPARγは、pMに酵母由来転写因子GAL4遺伝子(アミノ酸配列1〜147)とヒトPPARγリガンド結合部位遺伝子(アミノ酸配列204〜505)を結合したキメラタンパクの遺伝子を挿入したプラスミドである。結果を表2に示す。
(実施例6)高脂血症モデル・ラットにおける効果
Sprague-Dawley(SD)ラットにフルクトース水を与えることにより発症する高脂血症(高中性脂肪血症)モデル・ラットを用いて、実施例1で調製したタラゴン低極性抽出物(1)の中性脂肪上昇抑制作用を評価した。
Sprague-Dawley(SD)ラットにフルクトース水を与えることにより発症する高脂血症(高中性脂肪血症)モデル・ラットを用いて、実施例1で調製したタラゴン低極性抽出物(1)の中性脂肪上昇抑制作用を評価した。
SDラット(オス、6週齢)を2群(各群6匹)に分け、それぞれ25%(w/v)フルクトース水を飲水として与えた。実験動物粉末飼料(CE-2、日本クレア)を基本飼料として、コントロール群(無添加)、タラゴン低極性抽出物(1)投与群を自由摂取にて1週間与えた。タラゴン低極性抽出物は添加量が0.5重量%となるように粉末飼料に添加した。
給餌1週間後に5時間絶食を行い、無麻酔下で頸静脈より約1ml採血し、血漿中の中性脂肪をLPL酵素法により測定した。その結果を表3に示す。
(実施例7)肥満を伴う糖尿病モデル・マウスにおける効果
肥満を伴う2型糖尿病モデルを用いて、実施例1にて調製したタラゴン低極性抽出物(1)の体重増加及び血糖上昇抑制作用を評価した。
肥満を伴う2型糖尿病モデルを用いて、実施例1にて調製したタラゴン低極性抽出物(1)の体重増加及び血糖上昇抑制作用を評価した。
KK-Ayマウス(雌,6週齢)を2群(各群5匹)に分け、コントロール群とタラゴン低極性抽出物(1)投与群とした。コントロール群には粉末精製飼料(オリエンタル酵母株式会社)を与え、タラゴン低極性抽出物(1)投与群には実施例1にて調製したタラゴンの低極性抽出物(1)を0.5重量%含む粉末精製飼料を与えた。なお、粉末精製飼料の組成は、カゼイン 20重量%、コーンスターチ 49.948重量%、シュークロース 10重量%、大豆油 10重量%、セルロースパウダー 5重量%、AIN-93ミネラル混合 3.5重量%、AIN-93ビタミン混合 1重量%、重酒石酸コリン 0.25重量%、第三ブチルヒドロキノン 0.002重量%、及びL-シスチン 0.3重量%である。
給餌の開始時、2週及び4週間後に、マウス尾静脈より少量採血し、簡易式血糖測定器グルテストエース(株式会社三和化学研究所)を用いて、血糖値を測定した。その結果を表4に示す。
また、上記の採血時に体重を測定した。その結果を表5に示す。
(実施例8)
実施例1で調製したタラゴンの低極性抽出物(1)を40重量部、カルボキシメチルセルロース・ナトリウムを30重量部、結晶セルロースを20重量部、ビタミンCを10重量部の組成で混合、粉砕し、ゼラチン製カプセル(サイズ:02号、カプスゲル・ジャパン株式会社)に充填して、抽出物を40重量%含有する飲食用カプセル剤を調製した。
実施例1で調製したタラゴンの低極性抽出物(1)を40重量部、カルボキシメチルセルロース・ナトリウムを30重量部、結晶セルロースを20重量部、ビタミンCを10重量部の組成で混合、粉砕し、ゼラチン製カプセル(サイズ:02号、カプスゲル・ジャパン株式会社)に充填して、抽出物を40重量%含有する飲食用カプセル剤を調製した。
本発明のPPARリガンド剤は、優れたPPARリガンド活性を有している。また、食品素材由来であるので安全性も高く、インスリン抵抗性、高脂血症及び糖尿病の予防及び/又は改善に有用であり、保健機能食品(特定保健用食品、栄養機能食品)、健康食品、栄養補助食品などの飲食品、あるいはOTCなど容易に入手可能な医薬品又は医薬部外品などとして利用できる。
Claims (13)
- タラゴン属 (Artemisia) 植物材料から得られ得るペルオキシソーム増殖剤応答性受容体リガンド剤。
- タラゴン属 (Artemisia) 植物材料の低極性抽出物を有効成分とする請求項1記載のペルオキシソーム増殖剤応答性受容体リガンド剤。
- タラゴン属(Artemisia) 植物材料の低極性抽出物が、80容量%以上のエタノールで抽出された抽出物である請求項2記載のペルオキシソーム増殖剤応答性受容体リガンド剤。
- タラゴン属(Artemisia) 植物材料の低極性抽出物がタラゴン(Artemisia dracunculus L.)の葉からの低極性抽出物である請求項2又は3記載のペルオキシソーム増殖剤応答性受容体リガンド剤。
- ペルオキシソーム増殖剤応答性受容体リガンド剤がペルオキシソーム増殖剤応答性受容体α、γのデュアルリガンド剤である請求項2〜4のいずれか一項記載のペルオキシソーム増殖剤応答性受容体リガンド剤。
- ペルオキシソーム増殖剤応答性受容体リガンド剤がペルオキシソーム増殖剤応答性受容体α、γ、δのうち少なくとも1種のリガンド剤である請求項2〜4いずれか一項記載のペルオキシソーム増殖剤応答性受容体リガンド剤。
- 請求項2〜6のいずれか一項記載のペルオキシソーム増殖剤応答性受容体リガンド剤を有効成分とするインスリン抵抗性の予防及び/又は改善剤。
- 請求項2〜6のいずれか一項記載のペルオキシソーム増殖剤応答性受容体リガンド剤を有効成分とする高脂血症の予防及び/又は改善剤。
- 請求項2〜6のいずれか一項記載のペルオキシソーム増殖剤応答性受容体リガンド剤を有効成分とする糖尿病の予防及び/又は改善剤。
- 請求項2〜6のいずれか一項記載のペルオキシソーム増殖剤応答性受容体リガンド剤を有効成分とする肥満の予防及び/又は改善剤。
- 請求項2〜10のいずれか一項記載のペルオキシソーム増殖剤応答性受容体リガンド剤、および担体を含む組成物。
- タラゴン属(Artemisia) 植物材料を、低極性溶媒と接触させることを含む、請求項2〜10のいずれか一項記載のペルオキシソーム増殖剤応答性受容体リガンド剤の製造方法。
- 哺乳動物対象に、請求項11記載の組成物を投与することを含む、インスリン抵抗性、高脂血症、糖尿病及び/又は肥満の予防及び/又は処置方法。
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KR100900875B1 (ko) * | 2006-03-31 | 2009-06-04 | 강화군 | 강화약쑥 추출물을 포함하는 당뇨병의 예방 및 치료용조성물 |
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WO2020209700A1 (ko) * | 2019-04-12 | 2020-10-15 | 이연제약 주식회사 | 용쑥 및 서양민들레를 포함하는 체중 또는 체지방 감소용 경구용 조성물 |
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2004
- 2004-05-11 JP JP2004140603A patent/JP2005320292A/ja active Pending
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