JP2006280339A - テンペの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 味、食感などの品質が一定であり、かつ、良好な風味を有するテンペを流通過程に供給することができるテンペの製造方法を提供する。
【解決手段】 大豆を煮て水煮大豆を製造する水煮工程と、水煮大豆にテンペ菌を接種して水煮大豆を発酵させる発酵工程とを含むテンペの製造方法であって、
有機酸を用いて水煮大豆の酸性度を発酵工程で雑菌が繁殖しない酸性度とした状態で36時間以上発酵工程を行うことを特徴とするテンペの製造方法。
Description
本発明は、テンペの製造方法に関する。
テンペは、インドネシアで古くから製造されている伝統的な大豆発酵食品である。近年、テンペは、水煮大豆にテンペ菌を接種して水煮大豆を発酵させることにより製造されている。
しかしながら、このようにして製造されたテンペは、雑菌を多く含むため、これをそのまま流通過程においたのでは不衛生である。また、流通過程においても発酵が進行するため、味、食感などの品質が一定しないうえ、腐敗臭味を生ずることがあるという問題がある。
しかしながら、このようにして製造されたテンペは、雑菌を多く含むため、これをそのまま流通過程においたのでは不衛生である。また、流通過程においても発酵が進行するため、味、食感などの品質が一定しないうえ、腐敗臭味を生ずることがあるという問題がある。
そこで、発酵させたテンペを蒸気熱による5〜10分間の熱殺菌処理を行い放冷した後、適宜の量及び形状にプラスチックフィルム等の適宜素材で密封包装するテンペの製造方法が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
このようにして製造されたテンペは、熱殺菌処理により雑菌が除去されているため、これを流通過程においた場合にも不衛生にならない。また、熱殺菌処理によりテンペ菌も除去されているため、流通過程においても発酵が進行せず、味、食感などの品質がある程度一定するようになる。また、腐敗臭味を生ずることもなくなる。
このようにして製造されたテンペは、熱殺菌処理により雑菌が除去されているため、これを流通過程においた場合にも不衛生にならない。また、熱殺菌処理によりテンペ菌も除去されているため、流通過程においても発酵が進行せず、味、食感などの品質がある程度一定するようになる。また、腐敗臭味を生ずることもなくなる。
しかしながら、特許文献1に記載の方法においては、水煮大豆を発酵する工程では雑菌が存在するため、テンペ菌による単一菌発酵の条件で発酵を行うことができず、そのため、味、食感などの品質が望ましい程度には一定しないという問題があった。また、特許文献1に記載の方法においては、水煮大豆を発酵する工程で雑菌が繁殖することがあるため、雑菌を除去するための熱殺菌工程を100℃以上の蒸気を用いた厳しい条件で行う必要があり、そのため、風味が損なわれ、良好な風味が得られないという問題があった。
そこで、本発明は、従来技術における上述の課題を解決するためになされたものであり、味、食感などの品質が一定であり、かつ、良好な風味を有するテンペを流通過程に供給することができるテンペの製造方法を提供することを目的とする。
(1)本発明のテンペの製造方法は、大豆を煮て水煮大豆を製造する水煮工程と、水煮大豆にテンペ菌を接種して水煮大豆を発酵させる発酵工程とを含むテンペの製造方法であって、有機酸を用いて水煮大豆の酸性度を前記発酵工程で雑菌が繁殖しない酸性度とした状態で36時間以上前記発酵工程を行うことを特徴とする。
このため、本発明のテンペの製造方法においては、水煮大豆の酸性度を発酵工程で雑菌が繁殖しない酸性度とした状態で発酵工程を行うこととしているため、発酵工程で雑菌が繁殖することがなくなり、テンペ菌による単一菌発酵の条件で発酵を行うことが可能になる。その結果、味、食感などの品質が望ましい程度に一定のテンペを製造することが可能になる。
また、本発明のテンペの製造方法においては、水煮大豆の酸性度を発酵工程で雑菌が繁殖しない酸性度とした状態で発酵工程を行うこととしているため、発酵工程で雑菌が繁殖することがなくなり、雑菌を除去するための熱殺菌工程をより穏和な条件で行うことが可能になる。その結果、熱殺菌工程で風味が劣化してしまうことを抑制することが可能になる。
その一方で、本発明のテンペの製造方法においては、水煮大豆の酸性度を雑菌が繁殖しない酸性度とした状態で発酵工程を行うこととしているため、発酵の進行が若干遅い傾向にある。その結果、発酵工程を通常の発酵時間(約24時間)行ったのでは、十分に発酵を進行させることができず、良好な風味が得られないおそれがある。
しかしながら、本発明のテンペの製造方法によれば、このような発酵工程を36時間以上行うこととしているため、十分に発酵が進行するようになり、そのような問題もなくなる。
しかしながら、本発明のテンペの製造方法によれば、このような発酵工程を36時間以上行うこととしているため、十分に発酵が進行するようになり、そのような問題もなくなる。
また、本発明のテンペの製造方法においては、有機酸を用いて水煮大豆の酸性度を発酵工程で雑菌が繁殖しない酸性度とした状態で発酵工程を行うこととしているため、有機酸の酸味により風味が損なわれるおそれがある。
しかしながら、本発明のテンペの製造方法によれば、このような発酵工程を36時間以上行うこととしているため、発酵工程で生成されるアンモニアが有機酸を中和するようになり、有機酸の酸味が効果的に抑制されるようになる。
しかしながら、本発明のテンペの製造方法によれば、このような発酵工程を36時間以上行うこととしているため、発酵工程で生成されるアンモニアが有機酸を中和するようになり、有機酸の酸味が効果的に抑制されるようになる。
また、本発明のテンペの製造方法においては、36時間以上発酵工程を行うこととしているため、発酵工程で生成されるアンモニアに起因する不快臭により風味が損なわれるおそれがある。
しかしながら、本発明のテンペの製造方法によれば、有機酸を用いて発酵工程を行うこととしているため、生成されるアンモニアは有機酸によって十分に中和されるようになる。
しかしながら、本発明のテンペの製造方法によれば、有機酸を用いて発酵工程を行うこととしているため、生成されるアンモニアは有機酸によって十分に中和されるようになる。
このため、本発明のテンペの製造方法によれば、味、食感などの品質が一定であり、かつ、良好な風味を有するテンペを流通過程に供給することが可能になる。
なお、本発明のテンペの製造方法においては、発酵工程で十分に発酵が進行するようにして良好な風味のテンペを製造するという観点から言えば、前記発酵工程を40時間以上、さらに好ましくは44時間以上行うようにすることが好ましい。
(2)本発明のテンペの製造方法においては、前記有機酸としてクエン酸を用いることが好ましい。
クエン酸は、酢酸などとは異なり、酸味がそれほど強くない。このため、上記のような方法とすることにより、水煮大豆の酸性度をある程度強めるために比較的多量の有機酸(この場合クエン酸)を用いたとしても、酸味がそれほど強くならないため、テンペに酸味が残ることがほとんどなく、良好な風味を有するテンペを製造することができる。
(3)本発明のテンペの製造方法においては、有機酸としてクエン酸を用いた場合には、水煮大豆のpHが2.67〜2.31となる条件で水煮大豆にテンペ菌を接種することが好ましい。
クエン酸は、酢酸などとは異なり、殺菌力がそれほど強くない。このため、有機酸としてクエン酸を用いる場合には、有機酸として酢酸などを用いる場合と同じpHの条件で発酵工程を行うこととしたのでは、発酵工程で雑菌が繁殖してしまうおそれがある。
しかしながら、上記のように極めて低いpHの条件で発酵工程を行うこととすれば、有機酸としてクエン酸を用いた場合であっても、発酵工程で雑菌が繁殖することを確実に抑制することができる。
しかしながら、上記のように極めて低いpHの条件で発酵工程を行うこととすれば、有機酸としてクエン酸を用いた場合であっても、発酵工程で雑菌が繁殖することを確実に抑制することができる。
この場合、水煮大豆のpHを2.67以下としたのは、水煮大豆のpHを2.67を超えるものとした場合には、発酵工程で雑菌が繁殖する場合があるからである。一方、水煮大豆のpHを2.31以上としたのは、水煮大豆のpHを2.31未満とした場合には、発酵工程で水煮大豆を十分に発酵させることができないために酸味が残ってしまい、良好な風味が得られない場合があるからである。
これらの観点からいえば、水煮大豆のpHが2.62〜2.35となる条件で水煮大豆にテンペ菌を接種することがより好ましい。
なお、本発明のテンペの製造方法においては、水煮大豆のpHは、水煮大豆の水煮後、水切りをする前の水煮大豆の煮汁にpHメータのプローブを挿入して測定することにより得られるpHとする。
(4)本発明のテンペの製造方法においては、水煮大豆のpHを所定範囲に調整することで水煮大豆の酸性度を調整する代わりに、水煮工程終了後の水煮大豆の煮汁に含まれるクエン酸の濃度を調整することで水煮大豆の酸性度を調整するようにすることもできる。
この場合、水煮工程終了後の水煮大豆の煮汁に含まれるクエン酸の濃度が1.70W/V%〜4.00W/V%となるようにして水煮大豆の酸性度を調整することが好ましい。
この場合、水煮工程終了後の水煮大豆の煮汁に含まれるクエン酸の濃度が1.70W/V%〜4.00W/V%となるようにして水煮大豆の酸性度を調整することが好ましい。
このような方法とすることによっても、発酵工程で雑菌が繁殖することを確実に抑制することができるとともに、製造されるテンペに酸味が残ってしまい、良好な風味が得られないということを抑制することができる。
この場合、水煮大豆の煮汁に含まれるクエン酸の濃度を1.70W/V%以上の濃度としたのは、水煮大豆の煮汁に含まれるクエン酸の濃度を1.70W/V%未満の濃度とした場合には、発酵工程で雑菌が繁殖する場合があるからである。一方、水煮大豆の煮汁に含まれるクエン酸の濃度を4.00W/V%以下の濃度としたのは、水煮大豆の煮汁に含まれるクエン酸の濃度を4.00W/V%を超える濃度とした場合には、発酵工程で水煮大豆を十分に発酵させることができないために酸味が残ってしまい、良好な風味が得られない場合があるからである。
これらの観点からいえば、水煮大豆の煮汁に含まれるクエン酸の濃度が1.87W/V%〜3.50W/V%となるようにして水煮大豆の酸性度を調整することがより好ましい。
なお、本発明のテンペの製造方法においては、水煮大豆の煮汁に含まれるクエン酸の濃度は、水煮大豆の水煮後、水切りをする前の水煮大豆の煮汁の所定量(容積)に含まれるクエン酸の量(重量)で規定される濃度のことである。この場合、水煮大豆の煮汁には水煮大豆は含まないものとする。また、水煮大豆の煮汁の容積を算出するのは容易ではないため、本発明のテンペの製造方法においては、水煮大豆の煮汁の容積として、大豆を煮るために用いる湯の容積を用いることとするのが好ましい。
(5)本発明のテンペの製造方法においては、前記有機酸として乳酸を用いることが好ましい。
乳酸も、クエン酸の場合と同様に、酢酸などとは異なり、酸味がそれほど強くない。このため、水煮大豆の酸性度をある程度強めるために比較的多量の有機酸(この場合乳酸)を用いたとしても、酸味がそれほど強くならないため、テンペに酸味が残ることがほとんどなく、良好な風味を有するテンペを製造することができる。
(6)本発明のテンペの製造方法においては、水煮大豆のpHを3.12〜2.49となる条件で水煮大豆にテンペ菌を接種することが好ましい。
乳酸は、クエン酸の場合と同様に、酢酸などとは異なり、殺菌力がそれほど強くない。このため、有機酸として乳酸を用いる場合には、有機酸として酢酸などを用いる場合と同じpHの条件で発酵工程を行うこととしたのでは、発酵工程で雑菌が繁殖してしまうおそれがある。
しかしながら、上記のように極めて低いpHの条件で発酵工程を行うこととすれば、有機酸として乳酸を用いた場合であっても、発酵工程で雑菌が繁殖することを確実に抑制することができる。
しかしながら、上記のように極めて低いpHの条件で発酵工程を行うこととすれば、有機酸として乳酸を用いた場合であっても、発酵工程で雑菌が繁殖することを確実に抑制することができる。
この場合、水煮大豆のpHを3.12以下としたのは、水煮大豆のpHを3.12を超えるものとした場合には、発酵工程で雑菌が繁殖する場合があるからである。一方、水煮大豆のpHを2.49以上としたのは、水煮大豆のpHを2.49未満とした場合には、発酵工程で水煮大豆を十分に発酵させることができないために酸味が残ってしまい、良好な風味が得られない場合があるからである。
これらの観点からいえば、水煮大豆のpHが2.91〜2.54となる条件で水煮大豆にテンペ菌を接種することがより好ましい。
なお、本発明のテンペの製造方法においては、水煮大豆のpHは、上述したように、水煮大豆の水煮後、水切りをする前の水煮大豆の煮汁にpHメータのプローブを挿入して測定することにより得られるpHとする。
(7)本発明のテンペの製造方法においては、水煮大豆のpHを所定範囲に調整することで水煮大豆の酸性度を調整する代わりに、水煮工程終了後の水煮大豆の煮汁に含まれる乳酸の濃度を調整することで水煮大豆の酸性度を調整するようにすることもできる。
この場合、水煮工程終了後の水煮大豆の煮汁に含まれる乳酸の濃度が1.00W/V%〜3.50W/V%となるようにして水煮大豆の酸性度を調整することが好ましい。
この場合、水煮工程終了後の水煮大豆の煮汁に含まれる乳酸の濃度が1.00W/V%〜3.50W/V%となるようにして水煮大豆の酸性度を調整することが好ましい。
このような方法とすることによっても、発酵工程で雑菌が繁殖することを確実に抑制することができるとともに、製造されるテンペに酸味が残ってしまい、良好な風味が得られないということを抑制することができる。
この場合、水煮大豆の煮汁に含まれる乳酸の濃度を1.00W/V%以上の濃度としたのは、水煮大豆の煮汁に含まれる乳酸の濃度を1.00W/V%未満の濃度とした場合には、発酵工程で雑菌が繁殖する場合があるからである。一方、水煮大豆の煮汁に含まれる乳酸の濃度を3.50W/V%以下の濃度としたのは、水煮大豆の煮汁に含まれる乳酸の濃度を3.50W/V%を超える濃度とした場合には、発酵工程で水煮大豆を十分に発酵させることができないために酸味が残ってしまい、良好な風味が得られない場合があるからである。
これらの観点からいえば、水煮大豆の煮汁に含まれる乳酸の濃度が1.50W/V%〜3.00W/V%となるようにして水煮大豆の酸性度を調整することがより好ましい。
なお、本発明のテンペの製造方法においては、水煮大豆の煮汁に含まれる乳酸の濃度とは、水煮大豆の水煮後、水切りをする前の水煮大豆の煮汁の所定量(容積)に含まれる乳酸の量(重量)で規定される濃度のことである。この場合、水煮大豆の煮汁には水煮大豆は含まないものとする。また、水煮大豆の煮汁の容積を算出するのは容易ではないため、本発明のテンペの製造方法においては、水煮大豆の煮汁の容積として、大豆を煮るために用いる湯の容積を用いることとするのが好ましい。
(8)本発明のテンペの製造方法においては、前記テンペ菌として、無菌培養したテンペ菌を用いることが好ましい。
本発明のテンペの製造方法においては、発酵工程で雑菌が繁殖することがなくなるため、テンペ菌として、無菌培養していないテンペ菌を用いて発酵工程を行うことも可能である。すなわち、無菌培養していないテンペ菌を用いて発酵工程を行うこととしても、発酵工程で雑菌が繁殖することがなくなるため、テンペ菌による単一菌発酵の条件で発酵を行うことが可能になるからである。
しかしながら、上記のような方法とすることにより、発酵工程で雑菌が繁殖することがさらに確実に抑制されるようになる。このため、テンペ菌による単一菌発酵の条件で発酵を行うことがさらに容易になり、味、食感などの品質が望ましい程度に一定のテンペを流通過程に供給することがさらに容易になる。また、雑菌を除去するための熱殺菌工程をより穏和な条件で行うことが可能になり、さらに良好な風味を有するテンペを流通過程に供給することが可能になる。
また、上記のような方法とすることにより、発酵工程で雑菌が繁殖することがさらに確実に抑制されるようになる。このため、添加する有機酸の量を減じることができるため、水煮大豆を十分に発酵させることが可能になり、さらに良好な風味を有するテンペを流通過程に供給することが可能になる。
(9)本発明のテンペの製造方法においては、前記水煮工程終了後の水煮大豆の煮汁に対して有機酸を添加することが好ましい。
このような方法とすることにより、容易な方法で水煮大豆の酸性度を所望の酸性度に調整することができる。
(10)本発明のテンペの製造方法においては、前記水煮工程では、有機酸を含む水で大豆を煮て水煮大豆を製造することも好ましい。
このような方法とすることによっても、容易な方法で水煮大豆の酸性度を所望の酸性度に調整することができる。
以下、本発明のテンペの製造方法を、各実施形態に基づいてさらに詳細に説明する。
[実施形態1]
図1は、実施形態1に係るテンペの製造方法を説明するために示す図である。
実施形態1に係るテンペの製造方法は、図1に示すように、(A)大豆を煮て水煮大豆を製造する水煮工程と、(B)水煮大豆の煮汁に対してクエン酸を添加して水煮大豆の酸性度を調整する酸性化工程と、(C)水煮大豆にテンペ菌を接種して水煮大豆を発酵させる発酵工程と、(D)得られたテンペの熱殺菌を行う熱殺菌工程とをこの順序で行うテンペの製造方法である。以下、実施形態1に係るテンペの製造方法を工程毎に説明する。
図1は、実施形態1に係るテンペの製造方法を説明するために示す図である。
実施形態1に係るテンペの製造方法は、図1に示すように、(A)大豆を煮て水煮大豆を製造する水煮工程と、(B)水煮大豆の煮汁に対してクエン酸を添加して水煮大豆の酸性度を調整する酸性化工程と、(C)水煮大豆にテンペ菌を接種して水煮大豆を発酵させる発酵工程と、(D)得られたテンペの熱殺菌を行う熱殺菌工程とをこの順序で行うテンペの製造方法である。以下、実施形態1に係るテンペの製造方法を工程毎に説明する。
A.水煮工程
水煮工程は、大豆を煮て水煮大豆を製造する水煮工程である。水煮工程は、例えば、以下のようにして行う。
水煮工程は、大豆を煮て水煮大豆を製造する水煮工程である。水煮工程は、例えば、以下のようにして行う。
3kgの大豆を洗浄した後、9kgの湯に入れ、97℃以上の温度で60分間、1回目の水煮を行う。その後、大豆を湯から出して皮をむく。皮をむいた大豆を、9kgの湯に入れ、97℃以上の温度で5分間、2回目の水煮を行う。
B.酸性化工程
酸性化工程は、水煮大豆の煮汁に対してクエン酸を添加して水煮大豆の酸性度を調整する工程である。酸性化工程は、例えば、以下のようにして行う。
酸性化工程は、水煮大豆の煮汁に対してクエン酸を添加して水煮大豆の酸性度を調整する工程である。酸性化工程は、例えば、以下のようにして行う。
2回目の水煮を行った後、水切りをする前の水煮大豆の煮汁(約9リットル)にクエン酸を168g添加し、速やかに撹拌して水煮大豆の酸性度を調整する。このとき、水煮大豆のpHを測定し、pHが2.62程度になっていることを確認する。その後、水煮大豆をザルにあける。
C.発酵工程
発酵工程は、水煮大豆にテンペ菌を接種して水煮大豆を発酵させる工程であって、テンペ菌の接種工程と、発酵槽における静置工程とを含んでいる。発酵工程は、例えば、以下のようにして行う。
発酵工程は、水煮大豆にテンペ菌を接種して水煮大豆を発酵させる工程であって、テンペ菌の接種工程と、発酵槽における静置工程とを含んでいる。発酵工程は、例えば、以下のようにして行う。
(1)テンペ菌の接種工程
水煮大豆をステンレスのバットに薄く広げ、そのバット中の水煮大豆が30℃以下になるまで放冷する。水煮大豆に対して0.3W/W%のテンペ菌を水煮大豆に均一にふりかけ、よくかき混ぜる。このようにして、水煮大豆にテンペ菌を接種する。テンペ菌としては、無菌培養のテンペ菌(リゾーブス菌)を用いる。
水煮大豆をステンレスのバットに薄く広げ、そのバット中の水煮大豆が30℃以下になるまで放冷する。水煮大豆に対して0.3W/W%のテンペ菌を水煮大豆に均一にふりかけ、よくかき混ぜる。このようにして、水煮大豆にテンペ菌を接種する。テンペ菌としては、無菌培養のテンペ菌(リゾーブス菌)を用いる。
(2)発酵槽における静置工程
テンペ菌が接種された水煮大豆を発酵用容器に小分けして入れ、32℃に設定された発酵槽(インキュベータ)に入れ、45時間静置する。
テンペ菌が接種された水煮大豆を発酵用容器に小分けして入れ、32℃に設定された発酵槽(インキュベータ)に入れ、45時間静置する。
D.熱殺菌工程
熱殺菌工程は、得られたテンペの熱殺菌を行う工程である。熱殺菌工程は、例えば、以下のようにして行う。
熱殺菌工程は、得られたテンペの熱殺菌を行う工程である。熱殺菌工程は、例えば、以下のようにして行う。
発酵工程が終了したテンペを殺菌用袋に入れ、真空パック機を用いて、真空パックにする。この真空パックにしたテンペを97℃以上の湯に入れ、30分浸漬して熱殺菌を行う。
実施形態1に係るテンペの製造方法においては、以上の工程を経て、味、食感などの品質が望ましい程度に一定で、かつ、良好な風味を有するテンペが製造される。
すなわち、実施形態1に係るテンペの製造方法においては、水煮大豆の酸性度を発酵工程で雑菌が繁殖しない酸性度とした状態で発酵工程を行うこととしているため、発酵工程で雑菌が繁殖しなくなり、テンペ菌による単一菌発酵の条件で発酵を行うことが可能になる。その結果、味、食感などの品質が望ましい程度に一定のテンペを製造することが可能になる。
また、実施形態1に係るテンペの製造方法においては、水煮大豆の酸性度を発酵工程で雑菌が繁殖しない酸性度とした状態で発酵工程を行うこととしているため、発酵工程で雑菌が繁殖しなくなり、雑菌を除去するための熱殺菌工程をより穏和な条件で行うことが可能になる。その結果、熱殺菌工程で風味が劣化してしまうことを抑制することが可能になる。
その一方で、実施形態1に係るテンペの製造方法においては、水煮大豆の酸性度を雑菌が繁殖しない酸性度とした状態で発酵工程を行うこととしているため、発酵の進行が若干遅い傾向にある。その結果、発酵工程を通常の発酵時間(約24時間)行ったのでは、十分に発酵を進行させることができず、良好な風味が得られないおそれがある。
しかしながら、実施形態1に係るテンペの製造方法によれば、このような発酵工程を45時間という長時間にわたって行うこととしているため、十分に発酵が進行するようになり、そのような問題もなくなる。
しかしながら、実施形態1に係るテンペの製造方法によれば、このような発酵工程を45時間という長時間にわたって行うこととしているため、十分に発酵が進行するようになり、そのような問題もなくなる。
また、実施形態1に係るテンペの製造方法においては、クエン酸を用いて水煮大豆の酸性度を発酵工程で雑菌が繁殖しない酸性度とした状態で発酵工程を行うこととしているため、クエン酸の酸味により風味が損なわれるおそれがある。
しかしながら、実施形態1に係るテンペの製造方法によれば、このような発酵工程を45時間という長時間にわたって行うこととしているため、発酵工程で生成されるアンモニアがクエン酸を中和するようになり、クエン酸の酸味が効果的に抑制されるようになる。
しかしながら、実施形態1に係るテンペの製造方法によれば、このような発酵工程を45時間という長時間にわたって行うこととしているため、発酵工程で生成されるアンモニアがクエン酸を中和するようになり、クエン酸の酸味が効果的に抑制されるようになる。
また、実施形態1に係るテンペの製造方法においては、上記のような発酵工程を45時間という長時間にわたって行うこととしているため、発酵工程で生成されるアンモニアに起因する不快臭により風味が損なわれるおそれがある。
しかしながら、実施形態1に係るテンペの製造方法によれば、クエン酸を用いて発酵工程を行うこととしているため、生成されるアンモニアはクエン酸によって十分に中和されるようになる。
しかしながら、実施形態1に係るテンペの製造方法によれば、クエン酸を用いて発酵工程を行うこととしているため、生成されるアンモニアはクエン酸によって十分に中和されるようになる。
このため、実施形態1に係るテンペの製造方法によれば、味、食感などの品質が一定であり、かつ、良好な風味を有するテンペを流通過程に供給することが可能になる。
なお、実施形態1に係るテンペの製造方法においては、上記のような発酵工程を45時間行うこととしているが、詳細な実験の結果、上記のような発酵工程を36時間以上行うことにより、上記した効果が得られることがわかった。
実施形態1に係る製造方法においては、上述したように、水煮大豆の酸性度を発酵工程で雑菌が繁殖しない酸性度とするために用いる有機酸としてクエン酸を用いている。
クエン酸は、酢酸などとは異なり、酸味がそれほど強くない。このため、実施形態1に係るテンペの製造方法によれば、水煮大豆の酸性度をある程度強めるために比較的多量のクエン酸を用いたとしても、酸味がそれほど強くならないため、テンペに酸味が残ることがほとんどなく、良好な風味を有するテンペを製造することができる。
また、実施形態1に係るテンペの製造方法においては、水煮工程終了後の水煮大豆の煮汁に対してクエン酸を添加することとしている。
このため、実施形態1に係るテンペの製造方法によれば、容易な方法で水煮大豆の酸性度を所望の酸性度に調整することができる。
また、実施形態1に係るテンペの製造方法においては、水煮大豆のpHが2.62となる条件(水煮大豆の煮汁に含まれるクエン酸の濃度が1.87W/V%となるようにして酸性度の調整を行う条件)で水煮大豆にテンペ菌を接種することとしている。
このため、実施形態1に係るテンペの製造方法によれば、発酵工程で雑菌が繁殖することがなくなる一方において、発酵工程で水煮大豆を十分に発酵させることができる。
また、実施形態1に係るテンペの製造方法においては、上述したように、テンペ菌として、無菌培養したテンペ菌を用いることとしている。
本発明のテンペの製造方法においては、発酵工程で雑菌が繁殖することがなくなるため、テンペ菌として、無菌培養していないテンペ菌を用いて発酵工程を行うことも可能である。すなわち、無菌培養していないテンペ菌を用いて発酵工程を行うこととしても、発酵工程で雑菌が繁殖することがなくなるため、テンペ菌による単一菌発酵の条件で発酵を行うことが可能になるからである。
しかしながら、実施形態1に係るテンペの製造方法によれば、テンペ菌として、無菌培養したテンペ菌を用いることとしているため、発酵工程で雑菌が繁殖することがさらに確実に抑制されるようになる。このため、テンペ菌による単一菌発酵の条件で発酵を行うことがさらに容易になり、味、食感などの品質が望ましい程度に一定のテンペを流通過程に供給することがさらに容易になる。また、雑菌を除去するための熱殺菌工程をより穏和な条件で行うことが可能になり、さらに良好な風味を有するテンペを流通過程に供給することが可能になる。
また、実施形態1に係るテンペの製造方法によれば、発酵工程で雑菌が繁殖することがさらに確実に抑制されるようになる。このため、添加するクエン酸の量を減じることができるため、水煮大豆を十分に発酵させることが可能になり、さらに良好な風味を有するテンペを流通過程に供給することが可能になる。
なお、実施形態1に係るテンペの製造方法においては、クエン酸を用いて、水煮大豆の酸性度を発酵工程で雑菌が繁殖しない酸性度としているが、どの程度の酸性度にすればよいか、どのくらいの量のクエン酸を用いればよいかについて明らかにするために試験を行った。
試験例1
表1は、試験例1におけるテンペの製造条件及びテンペの評価結果を示す表である。表1においては、テンペの製造条件として、水煮大豆の煮汁に含まれるクエン酸の濃度(W/V%)及び水煮大豆のpHを示し、テンペの評価結果として、細菌数による評価、風味による評価及び総合評価を示す。
表1は、試験例1におけるテンペの製造条件及びテンペの評価結果を示す表である。表1においては、テンペの製造条件として、水煮大豆の煮汁に含まれるクエン酸の濃度(W/V%)及び水煮大豆のpHを示し、テンペの評価結果として、細菌数による評価、風味による評価及び総合評価を示す。
図2は、試験例1における水煮大豆の煮汁に含まれるクエン酸の濃度と水煮大豆のpHと細菌数との関係を示す図である。横軸は、水煮大豆の煮汁に含まれるクエン酸の濃度(W/V%)を示し、図2中左側の縦軸は、水煮大豆のpHを示し、図2中右側の縦軸は、細菌数(個/g)を示す。なお、図2中の黒四角は、水煮大豆の煮汁に含まれるクエン酸の濃度と水煮大豆のpHとの関係を示すものであり、図2中の白四角は、水煮大豆の煮汁に含まれるクエン酸の濃度と細菌数との関係を示すものである。
1.テンペの製造
水煮大豆の煮汁に含まれるクエン酸の濃度及び水煮大豆のpHを表1に記載のようにした条件を用い、それ以外の条件は上記した製造方法に従って、テンペを製造した。
水煮大豆の煮汁に含まれるクエン酸の濃度及び水煮大豆のpHを表1に記載のようにした条件を用い、それ以外の条件は上記した製造方法に従って、テンペを製造した。
2.テンペの評価
上記の条件で製造されたテンペを以下の評価方法によって評価した。
(1)細菌数による評価
発酵工程終了後、熱殺菌工程前のテンペに含まれる細菌数(個/g)を、細菌検査方法(寒天平板混釈法)によって測定した。その結果を図2に示す。また、得られた細菌数のデータに基づいて、以下の基準で細菌数による評価を行った。細菌数による評価の結果を表1に示す。
○ :テンペに含まれる細菌数が10個/g未満である。
△ :テンペに含まれる細菌数が10個/g以上100個/g未満である。
× :テンペに含まれる細菌数が100個/g以上である。
上記の条件で製造されたテンペを以下の評価方法によって評価した。
(1)細菌数による評価
発酵工程終了後、熱殺菌工程前のテンペに含まれる細菌数(個/g)を、細菌検査方法(寒天平板混釈法)によって測定した。その結果を図2に示す。また、得られた細菌数のデータに基づいて、以下の基準で細菌数による評価を行った。細菌数による評価の結果を表1に示す。
○ :テンペに含まれる細菌数が10個/g未満である。
△ :テンペに含まれる細菌数が10個/g以上100個/g未満である。
× :テンペに含まれる細菌数が100個/g以上である。
(2)風味による評価
熱殺菌工程後のテンペにおける風味による評価を官能試験により以下の基準で行った。被験者の数は8人とし、半数を超えた評価を風味による評価として採用した。風味による評価の結果を表1に示す。
○ :良好な風味を有する。
×(a) :酸味が残る。
×(b) :アンモニア生成物に起因する不快臭がある。
熱殺菌工程後のテンペにおける風味による評価を官能試験により以下の基準で行った。被験者の数は8人とし、半数を超えた評価を風味による評価として採用した。風味による評価の結果を表1に示す。
○ :良好な風味を有する。
×(a) :酸味が残る。
×(b) :アンモニア生成物に起因する不快臭がある。
(3)総合評価
細菌数による評価及び風味による評価に基づく総合評価を以下の基準で行った。総合評価の結果を表1に示す。
◎ :細菌数による評価及び風味による評価の両方が○である。
× :細菌数による評価及び風味による評価のいずれか又は両方が×である。
細菌数による評価及び風味による評価に基づく総合評価を以下の基準で行った。総合評価の結果を表1に示す。
◎ :細菌数による評価及び風味による評価の両方が○である。
× :細菌数による評価及び風味による評価のいずれか又は両方が×である。
図2及び表1に示すように、水煮大豆のpHが2.67〜2.31となる条件(言い換えれば、水煮大豆の煮汁に含まれるクエン酸の濃度が1.70W/V%〜4.00W/V%となるようにして酸性度の調整を行う条件)の下で水煮大豆にテンペ菌を接種することとしたときに、良好な評価結果が得られることがわかった。
[実施形態2]
実施形態2に係るテンペの製造方法は、実施形態1に係るテンペの製造方法と基本的には同じ製造方法であるが、用いる有機酸の種類が実施形態1に係るテンペの製造方法の場合と異なっている。
すなわち、実施形態2に係るテンペの製造方法は、有機酸として乳酸を用いることを特徴としている。
実施形態2に係るテンペの製造方法は、実施形態1に係るテンペの製造方法と基本的には同じ製造方法であるが、用いる有機酸の種類が実施形態1に係るテンペの製造方法の場合と異なっている。
すなわち、実施形態2に係るテンペの製造方法は、有機酸として乳酸を用いることを特徴としている。
このように、実施形態2に係るテンペの製造方法は、用いる有機酸の種類が実施形態1に係るテンペの製造方法の場合とは異なるが、実施形態1に係るテンペの製造方法の場合と同様に、有機酸を用いて水煮大豆の酸性度を発酵工程で雑菌が繁殖しない酸性度とした状態で45時間という長時間にわたって発酵工程を行うこととしている
このため、実施形態2に係るテンペの製造方法は、実施形態1に係るテンペの製造方法の有する効果をそのまま有する。
このため、実施形態2に係るテンペの製造方法は、実施形態1に係るテンペの製造方法の有する効果をそのまま有する。
すなわち、実施形態2に係るテンペの製造方法においては、水煮大豆の酸性度を発酵工程で雑菌が繁殖しない酸性度とした状態で発酵工程を行うこととしているため、発酵工程で雑菌が繁殖しなくなり、テンペ菌による単一菌発酵の条件で発酵を行うことが可能になる。その結果、味、食感などの品質が望ましい程度に一定のテンペを製造することが可能になる。
また、実施形態2に係るテンペの製造方法においては、水煮大豆の酸性度を発酵工程で雑菌が繁殖しない酸性度とした状態で発酵工程を行うこととしているため、発酵工程で雑菌が繁殖しなくなり、雑菌を除去するための熱殺菌工程をより穏和な条件で行うことが可能になる。その結果、熱殺菌工程で風味が劣化してしまうことを抑制することが可能になる。
その一方で、実施形態2に係るテンペの製造方法においては、水煮大豆の酸性度を雑菌が繁殖しない酸性度とした状態で発酵工程を行うこととしているため、発酵の進行が若干遅い傾向にある。その結果、発酵工程を通常の発酵時間(約24時間)行ったのでは、十分に発酵を進行させることができず、良好な風味が得られないおそれがある。
しかしながら、実施形態2に係るテンペの製造方法によれば、実施形態1に係るテンペの製造方法の場合と同様に、このような発酵工程を45時間という長時間にわたって行うこととしているため、十分に発酵が進行するようになり、そのような問題もなくなる。
しかしながら、実施形態2に係るテンペの製造方法によれば、実施形態1に係るテンペの製造方法の場合と同様に、このような発酵工程を45時間という長時間にわたって行うこととしているため、十分に発酵が進行するようになり、そのような問題もなくなる。
また、実施形態2に係るテンペの製造方法においては、乳酸を用いて水煮大豆の酸性度を発酵工程で雑菌が繁殖しない酸性度とした状態で発酵工程を行うこととしているため、乳酸の酸味により風味が損なわれるおそれがある。
しかしながら、実施形態2に係るテンペの製造方法によれば、実施形態1に係るテンペの製造方法の場合と同様に、このような発酵工程を45時間という長時間にわたって行うこととしているため、発酵工程で生成されるアンモニアが乳酸を中和するようになり、乳酸の酸味が効果的に抑制されるようになる。
しかしながら、実施形態2に係るテンペの製造方法によれば、実施形態1に係るテンペの製造方法の場合と同様に、このような発酵工程を45時間という長時間にわたって行うこととしているため、発酵工程で生成されるアンモニアが乳酸を中和するようになり、乳酸の酸味が効果的に抑制されるようになる。
また、実施形態2に係るテンペの製造方法においては、上記のような発酵工程を45時間という長時間にわたって行うこととしているため、発酵工程で生成されるアンモニアに起因する不快臭により風味が損なわれるおそれがある。
しかしながら、実施形態2に係るテンペの製造方法によれば、乳酸を用いて水煮大豆の酸性度を発酵工程で雑菌が繁殖しない酸性度とした状態で発酵工程を行うこととしているため、生成されるアンモニアは乳酸によって十分に中和されるようになる。
しかしながら、実施形態2に係るテンペの製造方法によれば、乳酸を用いて水煮大豆の酸性度を発酵工程で雑菌が繁殖しない酸性度とした状態で発酵工程を行うこととしているため、生成されるアンモニアは乳酸によって十分に中和されるようになる。
このため、実施形態2に係るテンペの製造方法によれば、味、食感などの品質が一定でありかつ良好な風味を有するテンペを流通過程に供給することが可能になる。
なお、実施形態2に係るテンペの製造方法においては、上記のような発酵工程を45時間行うこととしているが、詳細な実験の結果、上記のような発酵工程を36時間以上行うことにより、上記した効果が得られることがわかった。
なお、実施形態2に係るテンペの製造方法において、乳酸を用いて、水煮大豆の酸性度を発酵工程で雑菌が繁殖しない酸性度としているが、どの程度の酸性度にすればよいか、どのくらいの乳酸を用いればよいかについて、実施形態1に係るテンペの製造方法の場合と同様の試験を行った。
試験例2
表2は、試験例2におけるテンペの製造条件及びテンペの評価結果を示す表である。表2においては、テンペの製造条件として、水煮大豆の煮汁に含まれる乳酸の濃度(W/V%)及び水煮大豆のpHを示し、テンペの評価結果として、細菌数による評価、風味による評価及び総合評価を示す。評価基準は試験例1の場合と同様である。
表2は、試験例2におけるテンペの製造条件及びテンペの評価結果を示す表である。表2においては、テンペの製造条件として、水煮大豆の煮汁に含まれる乳酸の濃度(W/V%)及び水煮大豆のpHを示し、テンペの評価結果として、細菌数による評価、風味による評価及び総合評価を示す。評価基準は試験例1の場合と同様である。
図3は、試験例2における水煮大豆の煮汁に含まれる乳酸の濃度と水煮大豆のpHと細菌数との関係を示す図である。横軸は、水煮大豆の煮汁に含まれる乳酸の濃度(W/V%)を示し、図3中左側の縦軸は、水煮大豆のpHを示し、図3中右側の縦軸は、細菌数(個/g)を示す。なお、図3中の黒四角は、水煮大豆の煮汁に含まれる乳酸の濃度と水煮大豆のpHとの関係を示すものであり、図3中の白四角は、水煮大豆の煮汁に含まれる乳酸の濃度と細菌数との関係を示すものである。
図3及び表2に示すように、水煮大豆のpHが3.12〜2.49となる条件(言い換えれば、水煮大豆の煮汁に含まれる乳酸の濃度が1.00W/V%〜3.50W/V%となるようにして酸性度の調整を行う条件)で水煮大豆にテンペ菌を接種することとしたときに、良好な評価結果が得られることがわかった。
[実施形態3]
図4は、実施形態3に係るテンペの製造方法を説明するために示す図である。
実施形態3に係るテンペの製造方法は、実施形態1に係るテンペの製造方法とよく似ているが、図4に示すように、水煮工程と発酵化工程との間に酸性化工程を含まない点で、実施形態1に係るテンペの製造方法とは異なっている。
図4は、実施形態3に係るテンペの製造方法を説明するために示す図である。
実施形態3に係るテンペの製造方法は、実施形態1に係るテンペの製造方法とよく似ているが、図4に示すように、水煮工程と発酵化工程との間に酸性化工程を含まない点で、実施形態1に係るテンペの製造方法とは異なっている。
すなわち、実施形態3に係るテンペの製造方法は、(A’)大豆を煮て水煮大豆を製造する水煮工程と、(C’)水煮大豆にテンペ菌を接種して水煮大豆を発酵させる発酵工程と、(D)得られたテンペの熱殺菌を行う熱殺菌工程とをこの順序で行うテンペの製造方法である。そして、水煮大豆の酸性度を発酵工程で雑菌が繁殖しない酸性度とした状態で従来よりも長時間発酵工程を行うテンペの製造方法である。
このように、実施形態3に係るテンペの製造方法は、水煮工程と発酵化工程との間に酸性化工程を含まない点で、実施形態1に係るテンペの製造方法とは異なっているが、実施形態1に係るテンペの製造方法の場合と同様に、水煮大豆の酸性度を発酵工程で雑菌が繁殖しない酸性度とした状態で45時間という長時間にわたって発酵工程を行うこととしている。
このため、実施形態3に係るテンペの製造方法によれば、実施形態1に係るテンペの製造方法によって得られる効果をそのまま有する。すなわち、味、食感などの品質が一定でありかつ良好な風味を有するテンペを流通過程に供給することが可能になる。
なお、実施形態3に係るテンペの製造方法においては、水煮大豆の酸性度を発酵工程で雑菌が繁殖しない酸性度とするために、水煮工程においてクエン酸を含む水で大豆を煮て水煮大豆を製造することとしている。
このため、実施形態3に係るテンペの製造方法によれば、実施形態1に係るテンペの製造方法の場合と同様に、容易な方法で水煮大豆の酸性度を所望の酸性度に調整することができる。
以上説明したように、本発明のテンペの製造方法によれば、有機酸を用いて水煮大豆の酸性度を発酵工程で雑菌が繁殖しない酸性度とした状態で36時間以上発酵工程を行うこととしているため、味、食感などの品質が一定であり、かつ、良好な風味を有するテンペを流通過程に供給することが可能になる。
以上、本発明のテンペの製造方法を上記の各実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記の各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
上記各実施形態のテンペの製造方法は、発酵工程の後に熱殺菌工程を含んでいるが、本発明はこれに限定されるものではなく、発酵工程の後に熱殺菌工程を含まないものであってもよい。製造されたテンペをすぐに食材として用いたり、製造されたテンペを短い流通過程におく場合には、十分に実用的なテンペの製造方法となる。
Claims (10)
- 大豆を煮て水煮大豆を製造する水煮工程と、水煮大豆にテンペ菌を接種して水煮大豆を発酵させる発酵工程とを含むテンペの製造方法であって、
有機酸を用いて水煮大豆の酸性度を前記発酵工程で雑菌が繁殖しない酸性度とした状態で36時間以上前記発酵工程を行うことを特徴とするテンペの製造方法。 - 請求項1に記載のテンペの製造方法において、
前記有機酸としてクエン酸を用いることを特徴とするテンペの製造方法。 - 請求項2に記載のテンペの製造方法において、
水煮大豆のpHが2.67〜2.31となる条件で水煮大豆にテンペ菌を接種することを特徴とするテンペの製造方法。 - 請求項2に記載のテンペの製造方法において、
前記水煮工程終了後の水煮大豆の煮汁に含まれるクエン酸の濃度が1.70W/V%〜4.00W/V%となるようにして水煮大豆の酸性度を調整することを特徴とするテンペの製造方法。 - 請求項1に記載のテンペの製造方法において、
前記有機酸として乳酸を用いることを特徴とするテンペの製造方法。 - 請求項5に記載のテンペの製造方法において、
水煮大豆のpHが3.12〜2.49となる条件で水煮大豆にテンペ菌を接種することを特徴とするテンペの製造方法。 - 請求項5に記載のテンペの製造方法において、
前記水煮工程終了後の水煮大豆の煮汁に含まれる乳酸の濃度が1.00W/V%〜3.50W/V%となるようにして水煮大豆の酸性度を調整することを特徴とするテンペの製造方法。 - 請求項1〜7のいずれかに記載のテンペの製造方法において、
前記テンペ菌として、無菌培養したテンペ菌を用いることを特徴とするテンペの製造方法。 - 請求項1〜8のいずれかに記載のテンペの製造方法において、
前記水煮工程終了後の水煮大豆の煮汁に対して有機酸を添加することを特徴とするテンペの製造方法。 - 請求項1〜8のいずれかに記載のテンペの製造方法において、
前記水煮工程では、有機酸を含む水で大豆を煮て水煮大豆を製造することを特徴とするテンペの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2005108710A JP2006280339A (ja) | 2005-04-05 | 2005-04-05 | テンペの製造方法 |
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Publication Number | Publication Date |
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-
2005
- 2005-04-05 JP JP2005108710A patent/JP2006280339A/ja not_active Withdrawn
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US20140023735A1 (en) * | 2011-02-22 | 2014-01-23 | Kao Corporation | PPAR Activator |
US9301986B2 (en) * | 2011-02-22 | 2016-04-05 | Kao Corporation | PPAR activator |
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