JP4406322B2 - 大豆のテンペ発酵食品の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、大豆のテンペ菌発酵食品の製造方法に関するもので、製品の香味を高め、かつ栄養価値を高めたテンペ発酵食品を容易に製造することを目的に開発したものである。
テンペ菌(リゾプス属菌)を用いた発酵食品の製造方法については、インドネシアでの伝統的な製造方法を基本にして、衛生的・工業的視点から様々な製造方法が提案され、業界誌の「食品工業」や、「日本醸造協会誌」などに研究論文が散見されるところである。テンペ食品とその製造方法の発明も種々の提案があり、その多くは、テンペ菌発酵食品の風味、味覚の改善であって、これまで味覚の障害となっていた苦みの緩和によって、万人向けの好ましい風味にしようとするものである。
たとえば、特許文献1には、発酵後の大豆加工食品テンペに後から褐藻類、紅藻類、緑藻類等の海藻からの抽出エキスをそのまま、又は粉末化し、混合することにより大豆加工食品として、テンペの品質の安定化が達成されるのみならず、好ましい風味の食品が得られるので、優れた機能性食品であるテンペを広範囲に利用することができる、とある。
また、特許文献2には、発酵時の工夫として、大豆を洗浄し、水煮して脱皮の後、乳酸を1〜5%添加して2〜3時間浸漬し、蒸煮後冷却し、その後リゾプス属菌を接種し23〜27℃で24〜30時間発酵してテンペとし、このテンペ発酵物をミートチョッパー等により磨砕の後水漉しをし、更に脱水して固形分比50〜70%の糖類を添加し、80〜100℃で15〜30分間加熱、混練して大豆餡とするとある。この方法は、特別な機器を使用せずに、また、煩雑な操作をせずに、脱皮の後に乳酸を1〜5%添加した水の中に大豆を浸漬することによりpHを下げ、23〜27℃という比較的低温で発酵させることにより雑菌の繁殖を防ぎ、良くリゾプス属菌を発酵させる環境を作り出す作用を生じ、その結果、良質のテンペが合理的に効率良く製造でき、これを基に大豆臭が残らずくせのない良質の大豆餡とする生産性、経済性ともに高い大豆餡の製造方法の提案がある。
本発明で行う原料焙焼については、特許文献3にその記載がある。ここには、豆類、穀類、ナッツ類、又はその混合物を原料としたテンペ菌を用いる発酵食品の製造において、使用する原料の全て、もしくはその一部をロースト処理、すなわち焙焼することの記載がみられる。炒成の目的は、豆類を原料としたテンペ菌による発酵食品について、これまで問題とされてきた苦みが十分に軽減され、風香味に優れる質の高い発酵食品を得ること、とある。
特許文献4は、同じくテンペ菌により発酵大豆を得ることにあるが、更に、γ−アミノ酪酸が高濃度に含有する大豆発酵食品を生産することの提案である。また、テンペ菌により大豆を発酵、嫌気処理することにより、γ−アミノ酪酸及び遊離アミノ酸を高濃度に含有する大豆発酵食品を製造する方法に対する記載がある。更に、テンペ菌発酵と同様にして、麹菌により穀物を発酵、嫌気処理して、γ−アミノ酪酸及び遊離アミノ酸を高濃度に含有する穀物発酵食品を製造する方法の記載がみられる。
特開平6−133718号公報([0004]、[0005]) 特開平5−304922公号報(請求項1、[0009]、図1) 特開平11−192065号公報(請求項1、[0005]) 再表01−093696号公報(請求項1、要約)
テンペ発酵食品の香味栄養改善のために、特許文献1の褐藻類、紅藻類、緑藻類等の海藻からの抽出エキスのような第3物質の後添加による改良は極めて多くの提案があり、この他、おからと納豆、おからとキトサン、はと麦テンペ、プロポリス存在下のテンペ発酵、アガリスク茸を添加しての追加発酵など、様々な工夫を加えた製造方法が見られるが、基本となる大豆のテンペ発酵食品自体の味の悪さの改善が十分でないため、後加工の効果が発揮されない現状で、依然として、テンペ食品の普及の妨げとなっていた。
特許文献3の豆類焙焼は、テンペ発酵食品の生臭さの解消に効果があるが、しかし、特許文献3の豆類焙焼後の処理方法では、焙焼大豆を水で洗浄後、大豆が完全に浸る程度に水を加え沸騰加熱した後、排水、洗浄、大豆皮除去を行って、これに更に水を加え、予備発酵を施す方法によるものである。したがって、焙焼大豆の脱皮効果が悪いうえ、大量の処理水を必要とする。そのため、焙焼による香味の改良があっても工程としては好ましくないものであった。本発明は、このような従来の欠点解消を課題とする。
本発明の大豆のテンペ発酵食品の製造方法の特徴は、生大豆を原料として焙焼する工程、焙焼した炒大豆を脱皮風選する工程、脱皮炒大豆の洗浄後浸漬蒸煮する工程、テンペ菌を接種発酵してテンペ発酵大豆とする工程、該テンペ発酵大豆の殺菌後工程とからなる。原料大豆は粒状の生大豆、生黒大豆等皮付き大豆である。焙焼に先立って予備乾燥工程を経る場合もある。また、脱皮炒大豆の洗浄は水洗浄のほか、酢酸、乳酸、酪酸、酒石酸などの酸性水を用いる場合もあるが、乳酸は好ましい酸である。テンペ発酵大豆は成形前に殺菌工程で上記の乳酸酸性溶液で殺菌処理をしたり、成形工程の後に乾燥して乾燥製品としたり、あるいは乾燥前のものを冷凍製品として出荷する。
ここで、焙焼する工程は、乾燥生大豆を焙焼機内で連続的に移動しながら180〜220℃、5〜15分間程度、好ましくは200℃、10分間程度で行う。大豆の焙焼方法としては、通常の炒り操作が可能な装置が利用でき、オーブンや、単なるフライパンを使用することもできる。本発明による方法で処理した原料から得られる大豆のテンペ発酵食品は、適度に焙焼することにより原料の持つ生臭さや苦味成分そのものが分解されたり、また発酵中に苦みの発生を促進するような物質の働きが抑制されて甘味成分が発現し、あるいは焙焼により得られる好ましい芳香効果及び黄色い鮮やかな色沢が加わって好ましい。
脱皮風選する工程は、乾燥状態の炒大豆を回転数の異なる2基のゴムロールの間隙を通過させて脱皮させた後に風力により吹き飛ばして選別して胚芽含有大豆炒皮と脱皮炒大豆とに分離する。通常行われている大豆の浸漬後の脱皮工程では、水中で大豆を揉むように混練して行い、皮は水流で浮き上がらせて取り除くが、大量の水を消費するし、大豆中に水分が多量に残っていると、水分調整をしなければならない。このような欠点は、焙焼後直ちに籾摺機のゴムロール間を通過させることで、解消できる。乾燥状態での脱皮風選であるから、皮部分の回収が容易で、これの再利用が可能となる。皮部分には胚芽も多量に含まれており、酸性水に浸漬して、脱皮大豆に合一すれば、大豆の一物全体食となり、栄養的にも優れたテンペ食品となり、廃棄物の排出もない。
洗浄後浸漬蒸煮する工程は、水洗後乳酸酸性水に浸漬、蒸煮後脱水放熱して蒸煮炒大豆とする工程である。また、この蒸煮炒大豆に加えて細砕した胚芽・皮粉体を混合した蒸煮炒大豆とする工程でもある。胚芽・皮粉体を加えることで、香味、栄養価ともに増大する。焙焼後の大豆は生大豆と違って、浸漬による過剰水分の吸収が少なくて発酵前の腐敗がなく、良好な発酵条件が約束でき、柔和なテンペ食材の成形、乾燥工程でも容易に水分が蒸散される。
テンペ菌を接種発酵する工程は、水切り脱水した蒸煮大豆を放冷して中心温度が約35℃前後でテンペ菌を接種、発酵して発酵炒大豆とする工程である。30〜38℃の40℃以下の温度で発酵させる。40℃を越えるとテンペ菌は死滅するので32℃位の比較的低い温度で発酵させると、雑菌の繁殖が少なく、低温発酵が可能なリゾプス属菌のみを発酵させる環境となり、良質のテンペ食材が合理的に効率良く製造でき、これを基に生大豆臭の少ない甘味度の高い良質の大豆テンペ発酵製品が経済的に製造できる。通常、接種するテンペ菌の量は少量(約0.2%程度)であるので、接種するテンペ菌は炒大豆の粉末であるキナ粉で5〜10倍程度に増量した混合物を使用すると接種の均一化が図れ、良好な発酵食品となる。
テンペ発酵大豆の殺菌後工程は、発酵後の大豆を殺菌後に刻んで細粒としたものをペレタイザーで所定形状のペレット又は顆粒に成形した乾燥テンペ食品とする工程である。発酵は通常ポリエチレン等の袋に入れて10mm前後の厚みに延ばし、トレイに載せて恒温発酵室内で行う。したがって、得られる発酵後のテンペ大豆は板状のものとなるから、開袋の後に細かく砕いてペレッター等の成型機にかけて成形後乾燥する。
本発明の製造方法により得られた大豆のテンペ発酵食品はこれまで問題とされてきた特有の生臭みや発酵臭や苦みが相当に軽減されており、更にロースト処理により生じる好ましい芳香と大豆本来の甘味が増し、更に黄色い光沢が出て、食品としての価値を大きく増大させるものである。
また、本発明では、テンペ食材中に酵母エキスが海洋酵母エキス、パン酵母エキス又はビール酵母エキスの1種又は2種以上の混合物を加えたり、酵母エキスが海洋酵母エキス、パン酵母エキス又はビール酵母エキスの1種又は2種以上の混合物を加えて嗜好の変わった大豆テンペ食品とすることも提案している。
すなわち、本発明の製造方法により得られた発酵大豆に対して、更に酵母エキスを添加する工程を付加してテンペ発酵食品とする。ここで用いる海洋酵母エキスは、海水中の豊富なミネラルや有機酸類を海藻から吸収し、海藻の糖化による僅かな糖類を栄養源として繁殖した海洋酵母を原料としたものであり、パン酵母エキスやビール酵母エキスとほぼ同じように使用できる。ビール酵母エキスは大麦麦芽を糖化濃縮した数種類の酵母エキスを含有するモルトエキスとも称するものである。
本発明の大豆加工食品は、炒り大豆から発酵工程にかけるためテンペ食品本来のあまり好ましくない特有の匂いや味が解消され、良好な風味の食品となっている。また室温での安定性が高められており、保存性の向上も達成されている。大豆の脱皮をゴムロール間での摩擦力を利用した乾式で行うために、脱皮中に離脱する胚芽も回収でき、これらを発酵原料に混合してしまうので、香味、甘味や更には黄色い鮮やかな光沢が増し、栄養的にも優れた製品となる。
また、本発明による方法で処理した原料から得られる大豆のテンペ発酵食品は、適度に焙焼することにより原料の持つ苦味成分そのものが分解されたり、また発酵中に苦みの発生を促進するような物質の働きが抑制されたり、あるいは焙焼により得られる好ましい芳香効果が焙焼の程度を加減することで、自由に変更できる効果もあって好ましい。
更に、焙焼大豆の脱皮は、籾摺機のゴムロール間を通過させることで容易に行われ、従来のような水中での脱皮の欠点である、大量の水の消費もなく、続く発酵工程における腐敗や雑菌の繁殖もない優れた製品となる。
以下、本発明の実施例につき、具体的に説明する。図1は本発明の大豆のテンペ発酵食品の製造方法の一例を示すフローチャートである。本発明の大豆のテンペ発酵食品の製造工程は大きく分けて、原料生大豆の焙焼工程1、焙焼した炒大豆の脱皮風選工程2、脱皮炒大豆の洗浄後浸漬蒸煮工程3、テンペ菌を接種発酵してテンペ発酵大豆とする発酵工程4、及びテンペ発酵大豆の殺菌後工程5とからなる。
ここで、焙焼工程1は、生大豆原料11を複数のオーブンタイプの乾燥焙焼機内でバッチ連続的に移動しながら200℃、10分間程度焙焼し、次いで籾摺機等で脱皮風選して炒大豆12から胚芽・皮13の混合物とに分離する。大豆の焙焼方法としては、通常の炒り操作が可能な装置が利用でき、オーブンや、単なるフライパンを使用することもできる。
脱皮風選工程2は、焙焼後の大豆を脱皮させて炒大豆12と大豆から外れた胚芽粒と皮との混合物である胚芽・皮13とに分離する工程である。これは、皮が大きなフレーク状であるので、適当な大きさの細粒にするためである。細砕は乾燥状態の炒大豆を回転数の異なる2基のゴムロールの間隙を通過させて脱皮させた後に風力により吹き飛ばして選別して胚芽含有大豆炒皮と脱皮炒大豆とに分離する。乾燥状態での脱皮風選であるから、皮部分の回収が容易で、これの再利用が可能となる。皮部分には胚芽も多量に含まれており、これを乳酸3%の酸性水浸漬で殺菌した胚芽・皮13を蒸煮又は蒸煮せずに、脱皮した蒸煮炒大豆15に合一すれば、大豆の一物全体食となり、栄養的にも優れたテンペ食品となり、しかも廃棄物の排出もなくなる。
洗浄後浸漬蒸煮工程3は、脱皮後の炒大豆12又は該炒大豆に加えて細砕した胚芽・皮粉体14を個々に又はこれらの混合物を水洗後3%乳酸酸性水に浸漬、蒸煮後脱水放熱して蒸煮炒大豆15とする工程である。焙焼後の大豆は生大豆と違って、浸漬による過剰水分の吸収が少なくて発酵前の腐敗がなく、良好な発酵条件が約束でき、柔和なテンペ食材の成形、乾燥工程でも容易に水分が蒸散される。
乳酸添加浸漬工程は、きれいな水に水量の1〜5%程度の乳酸を添加して2〜3時間浸漬する。この浸漬により大豆粒のpHは下がりリゾプス属菌が良く繁殖し、雑菌が繁殖しにくい環境を作り出す。浸漬するだけの本発明方法は、酸性水溶液中で水煮を行う従来の方法に比べて作業性、経済性が優れている。蒸煮工程3では、大豆タンパク質を変性させ、リゾプス属菌を良く繁殖させるために行う。
テンペ菌を接種発酵する発酵工程4では、水切り脱水した蒸煮炒大豆15を放冷して中心温度が約35℃前後でテンペ菌16を脱皮風選後の大豆をキナ粉化して、少量(0.2%添加)のテンペ菌を約10倍量のキナ粉に混ぜ、均等に分散する。その後、接種、発酵してテンペ発酵炒大豆17とする。32℃位の比較的低温で発酵させると、雑菌の繁殖が少なく、低温発酵が可能なリゾプス属菌のみを発酵させる環境となる。
テンペ発酵炒大豆17の殺菌後工程5では、発酵後の大豆を殺菌後に刻んで細粒としたものをペレタイザーで所定形状のペレット又は顆粒に成形した乾燥テンペの顆粒・ペレット製品19又はその前段階の細砕テンペの冷凍製品18とする。発酵は通常細孔が多数に空いたポリエチレン等の袋に入れて10mm前後の厚みに延ばした袋詰めとし、トレイに載せて恒温発酵室内で行う。したがって、得られる発酵後のテンペ大豆は板状のものとなるから、これを加熱殺菌後に細かく砕いて乾燥又は冷凍し、その後バインダーとしてデンプン約3.5%を加えて成型機にかけるのが一般的である。
テンペ発酵炒大豆17に対して、更に酵母エキスを添加する。海洋酵母エキスとしては、海水中の豊富なミネラルや有機酸類を海藻から吸収し、海藻の糖化による僅かな糖類を栄養源として繁殖した海洋酵母を原料としたものであり、パン酵母エキスやビール酵母エキスとほぼ同じように使用できる。ビール酵母エキスは大麦麦芽を糖化濃縮した数種類の酵母エキスを含有するモルトエキスとも称するものである。添加にはこれらエキスを0.5〜5%程度振りかけ、撹拌混合する手段が簡便でよい。
以下、実施例により更に具体的に説明する。
実施例1
生大豆原料500gを乾燥して水分15%の乾燥大豆とし、これをフライパンに入れ200℃前後で約10分間焙炒し、キツネ色の炒大豆に炒り上げた。放冷後、籾摺機の2本の回転数を変えたゴムロールの間隔を約4〜5mmに調整して、その間を通過させて脱皮の後、風選した。脱皮炒大豆のほとんどは2分割され、かつ、胚芽の一部が外れて皮と共に分離された。炒大豆から風選により取り除かれた胚芽・皮は、破砕機(マスコロイダー)で細砕した。
次いで、脱皮炒大豆のみで2,3回水洗後、1%の乳酸水液800g水洗後の脱皮炒大豆500gを入れ、酸性水処理2時間後、加熱煮沸1時間してザルに移し、脱液、流水をかけ放熱して(35℃以下)重量約1kgの蒸煮炒大豆を得た。これに胚芽・皮粉体6g(別個3%酸性水処理をしたもの)を加え混合後、更にテンペ菌2gとキナ粉20g混合したものを再度入念に混合した。テンペ菌接種後の発酵原料を1cm間隔で0.5mm以下の小孔のある大きさ200mm×300mmのポリエチレン袋に入れて10mm位の厚さになるよう蒸煮炒大豆500g宛2枚の孔開きポリエチレン袋に入れて32℃湿度85%で、22時間、恒温室中で発酵してテンペ発酵炒大豆とした。発酵後、加熱殺菌するために、90℃20分加熱した後、開袋して板状の発酵物を取り出し、サイレントカッターで破砕した後、ペレッタで吐出して、顆粒状(約1mmφ×3mm)にした。吐出時水分が20〜25%のものを次に冷風乾燥して最終10%以下の水分の顆粒製品にした。
得られたテンペ発酵食品は、生臭さがなくなり、色は淡黄色で美しく、大豆臭が消えて香ばしさと甘味が増大した。得られたテンペ発酵大豆食品の食味の評価は、香り、食感、旨み、苦みの軽減度の4項目について行った。評価の結果は表1に示した。焙焼処理の効果は明らかで、業務用食材として広範囲の用途に利用でき、例えば、パンに5%程度混合したり、粉末カレーや、冷凍食品の練和材、例えば、魚肉、畜肉、野菜の加工品、具体的にはカボチャ、ジャガイモ、ハンバーグ、コロッケ、シューマイ、ギョーザ等に5%以下で混合して利用することができた。
実施例2
規模の大きな焙焼機を用いた場合については、複数のプロパンガスバーナー加熱の幅1m×長さ3mの振動トレーを乾燥・焙焼装置としてのバッチ連続式がよい。ここでは、約300kgの生大豆原料を約50〜60℃で6時間予備乾燥し、次いで200℃、10分間加熱焙焼した。次いで、振動下に一方に設けたエプロン状の傾斜篩上に移動させて、ゴミ、小石、炭化物等を除去して炒大豆とした。炒大豆の脱皮・風選は、実施例1と同様の籾摺機を用いた。
炒大豆の洗浄・浸漬、蒸煮、放冷、種付けまでを3基の回転式ニーダー付蒸煮釜で、順次バッチ連続で処理をした。ここでは容量1mで1回当たり固形分300kgのバッチ処理で行った。まず、第1の回転式ニーダー付蒸煮釜で脱皮炒大豆のみを2回水洗後、上記の1%乳酸水を300kg加えて浸漬2時間後、加熱煮沸1時間して脱液、流水をかけて35℃以下に冷却して蒸煮炒大豆とした。これに細砕した胚芽・皮粉体を3%酸性水で処理したものを18kg加えて混合し、更にテンペ菌1.2kgとキナ粉12kgの混合物13.2kgを加えて均一に混合した。この操作を時間的に遅らせて順次3基の回転式ニーダー付蒸煮釜で行った。テンペ菌接種済みのものの発酵操作は、実施例1とほぼ同様に実施した。すなわち、実施例1で用いたほぼ2倍の大きさの蒸しかごを多数用意し、1cm間隔で0.5mm以下の小孔のある大きさ300mm×400mmのポリエチレン袋に蒸煮炒大豆1kgを入れて10mm位の厚さになるように小分けにした。32℃湿度85%で、22時間、恒温室中で発酵してテンペ発酵炒大豆とした。発酵後、加熱殺菌するために、90℃20分加熱した後、開袋して板状の発酵物を取り出し、サイレントカッターで破砕した後、ペレッタで吐出して、顆粒状(約1mmφ×3mm)にした。水分は20〜25%のものを次に冷風乾燥して最終10%以下の水分の顆粒製品にした。
実施例3
胚芽・皮粉体は、テンペ発酵食品の予想外のアミノ酸成分の増大をもたらすことがわかった。そこで、図1において、蒸煮炒大豆に対して、胚芽・皮粉体の添加量を変更して得られた各サンプルのγ−アミノ酪酸及び遊離アミノ酸量を、アミノ酸自動分析機にて測定した。その結果、胚芽・皮粉体の添加に起因するアミノ酸類を高濃度に含む大豆発酵物が得られた。
実施例4
各種酵母エキスで栄養増加した製品を製造した。ここでは、実施例1で得られたテンペ発酵炒大豆の細砕物100gに海洋酵母エキス(三共株式会社製、イーストM)、モルトエキス(三共株式会社製、三共モルトエキスNB)を各0.5%添加した。得られた製品のγアミノ酪酸及び遊離アミノ酸量を、アミノ酸自動分析機にて測定した。その結果、γアミノ酪酸及び遊離アミノ酸を高濃度に含む大豆発酵物が得られた。
比較例1
まず、丸大豆原料500gを熱したフライパンの表面温度が約200℃程度にしてから投入しておよそ15分間フライパンを振動させながら焙焼処理を施したところ、大豆の表面が薄いキツネ色に焦げ目がつく程度となり、実施例1と同様に芳ばしい香りが得られるような状態となった。得られた炒大豆を水で洗浄後、2時間1%乳酸水溶液に浸漬し、沸騰させて1時間加熱した後、排水、洗浄、大豆皮除去を行った。皮の除去は流水中での撹拌混合で浮遊する皮を流し去る方法であるため、大量の水を要した。同時に胚芽は皮とともに流去した。洗浄後、ザルに上げて水切りを行った。これをステンレス製のトレー上へ広げてテンペ菌を撹拌しながらテンペ菌0.2%(2g)とキナ粉10%(20g)を混合したものを振りかけ混合接種した後、実施例1と同様な方法でテンペ発酵食品を得た。このようにして得られた発酵食品の食味の評価は、香り、食感、旨み、苦みの軽減度の4項目について行った。評価の結果は表1に示されるように、焙焼処理の効果はあるものの、流水処理で香りもやや失い、脱皮を含む排水の処理が必要で皮の再利用も容易でなかった。
比較例2
従来公知の焙焼をしない生大豆からのテンペ発酵食品を製造した。すなわち、生大豆原料500gを水洗後、3%乳酸水溶液に2時間浸漬してから直ちに蒸煮1時間後、排水、洗浄大豆脱皮を比較例2と同様にして実施した。その後実施例1と同様にして、テンペ発酵大豆製品とした。製品の品質は表1に示すが、香りの少ない、苦みの残るものであった。
Figure 0004406322
以上説明したように、焙焼処理の効果が明らかで、しかも、乾式の脱皮処理のため、胚芽・皮成分の活用が容易であり、しかもこの胚芽・皮成分の還元添加により、栄養分の増大はもとより、製品の香り、旨味苦みの軽減に対して優れた効果を発揮する。したがって、製造方法として原料歩留まりの向上、排水処理の負担軽減に優れているほか、業務用食材として広範囲の用途に利用でき、例えば、パンに5%程度混合したり、粉末カレーや、冷凍食品の練和材、例えば、魚肉、畜肉、野菜の加工品、具体的にはカボチャ、ジャガイモ、ハンバーグ、コロッケ、シューマイ、ギョーザ等に混合して利用することができるのである。
本発明の大豆のテンペ発酵食品の製造方法の一例を示すフローチャートである。
符号の説明
1 焙焼工程
2 脱皮風選工程
3 洗浄後浸漬蒸煮工程
4 発酵工程
5 殺菌後工程
11 生大豆原料
12 炒大豆
13 胚芽・皮
14 胚芽・皮粉体
15 蒸煮炒大豆
16 テンペ菌
17 テンペ発酵炒大豆
18 冷凍製品
19 顆粒・ペレット製品

Claims (4)

  1. 生大豆を原料として焙焼する工程、焙焼した炒大豆を脱皮風選して胚芽含有大豆炒皮と脱皮炒大豆に分離する工程と、脱皮炒大豆を洗浄後浸漬蒸煮して蒸煮炒大豆とし、該蒸煮炒大豆に前記の風選により分離された胚芽含有大豆炒皮を細砕して得た胚芽・皮粉体を蒸煮炒大豆に加える工程、テンペ菌を接種発酵してテンペ発酵大豆とする工程発酵後の大豆を殺菌後に刻んで細粒としたものをペレット又は顆粒に成形した乾燥又は冷凍テンペとする工程とからなる大豆のテンペ発酵食品の製造方法。
  2. 焙焼する工程は、乾燥生大豆を焙焼機内で連続的に移動しながら180〜220℃、5〜15分間程度で炒大豆とする工程である請求項1記載の大豆のテンペ発酵食品の製造方法。
  3. 脱皮風選する工程は、乾燥状態の炒大豆を回転数の異なる2基のゴムロールの間隙を通過させて脱皮させた後に風力により吹き飛ばし選別して胚芽含有大豆炒皮と脱皮炒大豆とに分離する工程である請求項1記載の大豆のテンペ発酵食品の製造方法。
  4. テンペ菌を接種発酵する工程において、接種するテンペ菌は炒大豆の粉末であるキナ粉で増量した混合物を使用する請求項記載の大豆のテンペ発酵食品の製造方法。
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