JP2012081748A - 積層フィルムおよびそれを用いた自動車用窓ガラス - Google Patents
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Abstract
【解決手段】異なる光学的性質を有する2種以上の熱可塑性樹脂が交互にそれぞれ50層以上積層された積層フィルムであって、かつ前記積層フィルムの波長400〜700nmでの平均反射率が15%以下であって、かつ波長900〜1200nmでの平均反射率が70%以上であって、フィルム面に平行な任意の一方向において100℃から150℃の範囲での熱機械分析にて計測される熱収縮率の平均変化率が0.01%/℃以上であることを特徴とする積層フィルム。
【選択図】 図1
Description
一方、ポリマー多層積層フィルムは、その層厚みを制御して、反射する波長を選択的に選択できるため、近赤外領域の光を選択的に反射することができ、可視光線透過率を維持しつつ熱線カット性能を向上させることができる。また、金属など電波を遮断するものを含まないために、優れた電波透過性を保持したものとなる。
一方、ポリマー多層積層フィルムを合わせガラスする場合、オートクレーブを用いて高温高圧処理を行い、ガラスとフィルムをポリビニルブチラール(PVB)に代表される中間膜を介して密着させる方法が用いられている。このとき、用いるポリマー多層積層フィルムによっては高温高圧処理中にしわや剥離が生じて外観が損なわれることがある。この原因として、加工条件における中間膜とポリマー多層積層フィルムの熱収縮率の差に由来し、その熱収縮率を制御することが提案されているが(たとえば、特許文献4)、ガラス形状やポリマー多層積層フィルムの種類によっては完全に抑制できているわけではない。
一方、非晶性ポリエステルBと結晶性ポリエステルBを混合して用いる場合には、非晶性ポリエステルB中に結晶性ポリエステルBが微分散したアロイ状態を形成する。ここでいうアロイ状態とは、混合した非晶性ポリエステルBと結晶性ポリエステルBとが完全に相溶していない状態をさし、例えば、フィルムの断面観察において、10nm以上の非晶性もしくは結晶性ポリエステルのドメインを確認できたり、DSC測定において、非晶性ポリエステルBと結晶性ポリエステルBに由来するガラス転移や結晶化・融解ピークを観測できるような状態を指す。このようにアロイ状態を形成することで、延伸工程で配向が生じにくくガラス転移温度以上で配向が緩和する非晶性ポリエステルBは、熱処理温度によらず非晶性の状態を保持するため結晶性ポリエステルAとの十分な屈折率差を付与できる。また、アロイ状態を形成する結晶性ポリエステルBは延伸工程で設けられた配向が融点近傍まで保持され、この配向状態の制御により熱収縮を大きくすることができるようになる。このように非晶性ポリエステルBと結晶性ポリエステルBがアロイ状態を形成している場合、結晶性ポリエステルBの配向状態を制御するのに適した熱処理温度を選択することで、結晶性ポリエステルAとの十分な屈折率差を維持しつつ、熱収縮の大きさを制御することが可能となる。結晶性ポリエステルAの熱収縮の大きさを制御できることも同様である。好ましくは、非晶性ポリエステルBと結晶性ポリエステルBにおいて、非晶性ポリエステルBの割合が60%以上90%以下であることが好ましい。非晶性ポリエステルBの割合が結晶性ポリエステルBの割合より多くなることで、屈折率差や熱収縮挙動の制御が容易になる一方で、非晶性ポリエステルBの割合が90%以下、すなわち結晶性ポリエステルBの割合が10%以上であることにより、結晶性ポリエステルBによる配向の制御も容易となる。また、非晶性ポリエステルB中の結晶性ポリエステルBのアロイ状態のドメインの大きさは100nm以下であることが好ましい。非晶状態のポリエステルと結晶状態のポリエステルとは屈折率が異なるため、ドメインの大きさが100nmよりも大きくなるにしたがい、ドメイン界面での光の散乱が生じ、ヘイズが上昇する可能性がある。非晶性ポリエステルB中の結晶性ポリエステルBのアロイ状態のドメインの大きさは100nm以下であるには、ヘイズを上昇させることなく、ポリエステルAとの屈折率差や熱収縮の大きさのみを制御できるものである。
|(na・da)/(nb・db)|=k 式2
na:A層の面内平均屈折率
nb:B層の面内平均屈折率
da:A層の層厚み(nm)
db:B層の層厚み(nm)
λ:主反射波長(1次反射波長)
k:光学厚みの比
本発明の積層フィルムにおいては、フィルム面に平行な任意の一方向において100℃から150℃の範囲での熱機械分析にて計測される熱収縮率の平均変化率が0.01%/℃以上であるが必要である。望ましくは、長手方向およびそれに直交する方向の何れかにおける100℃から150℃の範囲での熱機械分析にて計測される熱収縮率の平均変化率が0.01%/℃以上である。ここでいう熱機械分析とは、物質の温度を調節されたプログラムに従って変化させながら、非振動的な荷重を加えてその物質の変形を温度の関数として測定する方法をさし、市販の熱機械分析装置にて計測されるものである。また、熱収縮率とは、下記式3にて定義されるものである。一般的に測定される熱収縮率とは、サンプル長を室温近傍で計測するため、実際には昇温過程のみでなく降温過程での寸法変化も反映しており、実際の合わせガラス化工程を厳密に反映できていない。しかし、熱機械分析では、実際の合わせガラス化工程を再現できるようになるため、より的確に合わせガラス化に適したフィルムを得られるものである。また、ここでいう熱収縮率の平均変化率とは、100℃と150℃の熱収縮率の差を温度差で除したものである。本発明者らは、中間膜の熱収縮が最も生じるのは、合わせガラス化工程が行われる100〜150℃の範囲であり、特に、中間膜の収縮挙動に合わせて温度変化に対する熱収縮率の変化の程度が大きくなるに従いしわや剥離を抑制し、外観の良好な合わせガラスを得ることに重要であることを見出したものである。ここで、熱収縮率の平均変化率が0.01%/℃未満である場合には、熱収縮率の温度による変化が小さいために、温度上昇時の中間膜の熱収縮率の変化に追従することができず、しわが生じる原因となる。一方、熱収縮率の平均変化率が0.01%/℃以上であれば、温度上昇時の中間膜の熱収縮率の変化に十分追従でき、しわのない外観の良好なフィルムを得ることができるようになる。好ましくは、熱収縮率の平均変化率が0.01%/℃以上0.10%/℃未満であり、より好ましくは、0.01%以上0.05%未満である。この場合、積層フィルムの熱収縮の挙動がある程度で抑えられるために、中間膜との熱収縮挙動の差異が小さくなり、しわに加えて剥離も抑制できるようになるものである。また、長手方向およびそれに直交する方向のいずれにおいても100℃から150℃の範囲での熱機械分析にて計測される熱収縮率の平均変化率が0.01%/℃以上であることも好ましい。この場合、等方的に熱収縮率に変化を生じるため、中間膜の熱収縮率の変化により適当に追従できるようになり、しわや剥離の発生もほぼ抑制できるようになる。このような積層フィルムを得るためには、後述する製膜条件の調整の調整により達成することができるものである。また、樹脂としても、用いる熱可塑性樹脂の少なくとも一つは結晶性の熱可塑性樹脂であるととともに、少なくとも一つは非晶性の熱可塑性樹脂もしくは非晶性熱可塑性樹脂と結晶性熱可塑性樹脂からなることにより、熱収縮を容易に誘起させることが可能となる。
L(T℃):T℃におけるサンプル長
本発明の積層フィルムにおいては、長手方向およびそれに直交する方向のいずれかにおいて、積層フィルムの150℃での熱機械分析にて計測される熱収縮率が0.3%以上3%以下であることが好ましい。合わせガラス化工程は100〜150℃の範囲において行われるが、その際、中間膜と積層フィルムとの熱収縮率の差によりしわや剥離が生じ、外観が損なわれる。特に、中間膜は熱収縮性が大きく、積層フィルムの150℃における熱収縮率が0.3%未満である場合、中間膜の熱収縮に積層フィルムが追従できないため、合わせガラス化工程において熱収縮率の差により積層フィルムがたわみ、しわが生じる原因となる場合がある。一方、積層フィルムの150℃における熱収縮率が3%よりも大きい場合、中間膜の熱収縮よりも大きな熱収縮が生じるために、積層フィルムと中間膜との間で大きな張力が働くこととなり、積層フィルムが破断したり一部の層が剥離したりすることがある。積層フィルムの熱収縮率が0.3%以上3%以下の場合には、中間膜と同様な熱収縮挙動を示すようになるため、しわや剥離が生じることなく外観の良好な合わせガラスを得ることが可能となる。好ましくは、長手方向およびそれに直交する方向のいずれにおいても、積層フィルムの150℃での熱機械分析にて計測される熱収縮率が0.3%以上3%以下である。長手方向およびそれに直交する方向で同様の挙動をとることにより、特に曲面状の合わせガラスにおいても、しわや剥離がなく外観の良好な合わせガラスを得やすくなる。このような積層フィルムを得るためには、後述する製膜条件の調整の調整により達成することができるものである。また、樹脂としても、用いる熱可塑性樹脂の少なくとも一つは結晶性の熱可塑性樹脂であるととともに、少なくとも一つは非晶性の熱可塑性樹脂もしくは非晶性熱可塑性樹脂と結晶性ポリエステル樹脂からなることにより、熱収縮を容易に誘起させることが可能となる。
[物性の測定方法ならびに効果の評価方法]
特性値の評価方法ならびに効果の評価方法は次の通りである。
フィルムの層構成は、ミクロトームを用いて断面を切り出したサンプルについて、透過型電子顕微鏡(TEM)観察により求めた。すなわち、透過型電子顕微鏡H−7100FA型((株)日立製作所製)を用い、加速電圧75kVの条件でフィルムの断面を10000〜40000倍に拡大観察し、断面写真を撮影、層構成および各層厚みを測定した。尚、場合によっては、コントラストを高く得るために、公知のRuO4やOsO4などを使用した染色技術を用いた。
サンプルをフィルム長手方向に直交する方向の中央部から5cm×5cmで切り出した。日立製作所製 分光光度計(U−4100 Spectrophotomater)に付属の積分球を用いた基本構成で反射率測定を行った。反射率測定では、装置付属の酸化アルミニウムの副白板を基準として測定した。反射率測定では、サンプルの長手方向を垂直方向にして、積分球の後ろに設置した。測定条件:スリットは2nm(可視)/自動制御(赤外)とし、ゲインは2と設定し、走査速度を600nm/min.で測定し、方位角0度における反射率Rを得た。
JIS K7142(1996)A法に従って測定した。
セイコーインスツルメンツ社製の熱・応用・歪み測定装置(TMA/SS6000)を用いて以下の条件で測定した。各データは、少なくとも1℃につき1つ以上のデータが得られるようにして、各温度における熱収縮率を前記の式3を用いて算出した。得られた熱収縮率から熱収縮率の平均変化率も合わせて算出した。
昇温範囲:25〜200℃
昇温速度:10℃/分
測定荷重:19.8N
温度23℃、相対湿度65%、大気中
(5)貯蔵弾性率
貯蔵弾性率は、JIS−K7244(1999)に従って、セイコーインスツルメンツ社製の動的粘弾性測定装置(DMS6100)を用いて求めた。引張モード、駆動周波数は1Hz、チャック間距離は15mm、昇温速度は2℃/minの測定条件にて、各シートの粘弾性特性の温度依存性を測定した。
熱可塑性樹脂A、Bからサンプル質量5gを採取し、示差走査熱量分析計(DSC) セイコー電子工業(株)製ロボットDSC−RDC220を用い、JIS−K−7122(1987年)に従って測定、算出した。測定は25℃から290℃まで5℃/minで昇温しこのときの融点±20℃の範囲におけるベースラインからの積分値を融解熱量とした。また、ここでの融点とは、DSCのベースラインからの差異が最大となる点とした。ここで、融解熱量が20J/g以上の樹脂を結晶性樹脂、5J/g以下である樹脂を非晶性樹脂とした。
光学特性の異なる2種類の熱可塑性樹脂として、熱可塑性樹脂Aは固有粘度0.65、融点255℃のポリエチレンテレフタレート(以下、PETとも表す、延伸・熱処理後のフィルムでの屈折率は約1.66)[東レ製F20S]を用い、非晶性の熱可塑性樹脂BはGN001(以下、CHDM共重合PET、屈折率1.575)[イーストマンケミカル製]を用いた。
延伸時のフィルム温度を95℃となるようにした以外は、実施例1と同様に積層フィルムを得た。得られた積層フィルムは厚み78μmであり、実施例1とほぼ同様の熱線カット性能、透明性を備えたフィルムであったが、延伸時のフィルム温度の上昇にともない熱可塑性樹脂A(PET)の配向がやや弱くなっており、それを反映して100℃から150℃における熱収縮率の平均変化率が低下しているものであった。また、得られた合わせガラスにおいては、しわや剥離などがなく、外観の良好なものであった。結果は表1に示す。
延伸時の縦延伸倍率を3.3倍とし、フィルム厚みを78μmとなるように製膜条件を調整した以外は、実施例1と同様に積層フィルムを得た。得られた積層フィルムは厚み78μmであり、縦延伸倍率が小さくなることにより熱可塑性樹脂A(PET)の配向ならびに屈折率の低下を反映して実施例1より若干熱線カット性能は低いものの、透明性を備えたフィルムであった。また縦延伸倍率が小さくなることにともない熱可塑性樹脂A(PET)の配向がやや弱くなっており、それを反映して100℃から150℃における熱収縮率の平均変化率が低下しているものであった。また、得られた合わせガラスにおいては、しわや剥離などがなく、外観の良好なものであった。結果は表1に示す。
フィルムの弛緩処理をせずに積層フィルムを採取した以外は、実施例1と同様に積層フィルムを得た。得られた積層フィルムは厚み77μmであり、実施例1とほぼ同様の熱線カット性能、透明性を備えたフィルムであり、フィルムの弛緩処理をしないことで熱可塑性樹脂A(PET)の特に長手方向に直交する方向での配向が強い状態で保持されるため、それを反映して100℃から150℃における熱収縮率の平均変化率が若干増加しているものであった。また、得られた合わせガラスにおいては、しわや剥離などがなく、外観の良好なものであった。結果は表1に示す。
フィルムの弛緩処理を3%とした以外は、実施例1と同様に積層フィルムを得た。得られた積層フィルムは厚み79μmであり、実施例1とほぼ同様の熱線カット性能、透明性を備えたフィルムであったが、フィルムの弛緩処理を3%とすることで熱可塑性樹脂A(PET)の特に長手方向に直交する方向での配向が緩和されるため、それを反映して100℃から150℃における熱収縮率の平均変化率が低下しているものであった。また、得られた合わせガラスにおいては、しわや剥離などがなく、外観の良好なものであった。結果は表1に示す。
延伸時の縦延伸倍率を3.3倍と、横延伸倍率を4.3倍とし、フィルム厚みを78μmとなるように製膜条件を調整した以外は、実施例4と同様に積層フィルムを得た。得られた積層フィルムは厚み78μmであり、実施例1とより高い熱線カット性能、透明性を備えたフィルムであったが、縦延伸倍率を小さく、横延伸倍率を大きくすることにで熱可塑性樹脂A(PET)の長手方法と配向が弱められ、長手方向に直交する方向た強められるため、長手方向とそれに直交する方向との配向状態に差異が生じ、それを反映して熱収縮挙動の長手方向およびそれに直交する方向の差が顕著なものであった。また、得られた合わせガラスにおいては、しわはないものの、末端の一部で剥離が生じていた。結果は表1に示す。
熱可塑性樹脂Bとして固有粘度0.72で非晶性であるポリエチレンテレフタレートの共重合体(スピログリコール成分20mol%、ブチレングリコール成分5mol%共重合したPETであり、以下SPG共重合PET1とも表す(屈折率1.549))を用いた以外は、実施例1と同様に積層フィルムを得た。得られた積層フィルムは厚み78μmであり、熱可塑性樹脂Bの屈折率の低下により熱可塑性樹脂Aとの屈折率差が大きくなることを反映して、実施例1よりも高い熱線カット性能、透明性を備えたフィルムであったが、貯蔵弾性率がやや低いものであった。また、得られた合わせガラスにおいては、しわや剥離などがなく、外観の良好なものであった。結果は表1に示す。
熱可塑性樹脂Bとして固有粘度0.72で非晶性であるポリエチレンテレフタレートの共重合体(スピログリコール成分20mol%共重合したPETであり、以下SPG共重合PET2とも表す・屈折率1.550)を用いた以外は、実施例1と同様に積層フィルムを得た。得られた積層フィルムは厚み78μmであり、熱可塑性樹脂Bの屈折率の低下により熱可塑性樹脂Aとの屈折率差が大きくなることを反映して、実施例1よりも高い熱線カット性能、透明性を備えたフィルムであった。また、得られた合わせガラスにおいては、しわや剥離などがなく、外観の良好なものであった。結果は表1に示す。
熱可塑性樹脂Bとして、固有粘度0.72で非晶性であるポリエチレンテレフタレートの共重合体(スピログリコール成分29mol%共重合したPETであり、以下SPG共重合PET3とも表す)と固有粘度0.65、PET樹脂と70:30の割合でブレンドして用いた以外は、実施例1と同様に積層フィルムを得た。ここで用いたブレンド体において観測される融点は、245℃であり、屈折率は1.550であった。得られた積層フィルムは厚み78μmであり、熱可塑性樹脂Bの屈折率の低下により熱可塑性樹脂Aとの屈折率差が大きくなることを反映して、実施例1よりも高い熱線カット性能、透明性を備えたフィルムであった。また、実施例7の熱可塑性樹脂Bと同等の屈折率(1.550)を示すSPG共重合PET1を用いた実施例8と比較した場合、ほぼ同等の熱線カット性能を保持しつつ、熱可塑性樹脂BのSPG共重合PET3中にブレンドしたPET樹脂の配向により大きな熱収縮率の変化率を示すものであった。また、得られた合わせガラスにおいては、しわや剥離などがなく、外観の良好なものであった。結果は表1に示す。
熱可塑性樹脂Bとして、固有粘度0.80で融点が210℃であるポリエチレンテレフタレートの共重合体(アジピン酸成分20mol%共重合したPETであり、以下PET/Aとも表す)を用いた以外は実施例1と同様に積層フィルムを得た。得られた積層フィルムは厚み78μmであり、熱可塑性樹脂Bとして用いたPET/Aの融点以上の温度で熱処理しているため熱可塑性樹脂Bはほぼ緩和しており、同等の屈折率(1.568)である非晶性樹脂を用いた実施例1と同様の熱線カット性能、熱収縮率となっていた。また、得られた合わせガラスにおいては、しわや剥離などがなく、外観の良好なものであった。結果は表1に示す。
熱処理温度を200℃とした以外は、実施例7と同様に積層フィルムを得た。得られた積層フィルムは厚み78μmであり、熱可塑性樹脂Bが非晶性ポリエステルからのみなる樹脂であるため、熱処理温度200℃と低下させた場合においても屈折率は240℃で熱処理した場合と変化せず、実施例7と同等の熱線カット性能、透明性を備えていた。一方熱処理温度を240℃から200℃と低下させたことにより、熱可塑性樹脂A(PET)の配向が強い状態で保持され、実施例7より高い熱収縮挙動を示すフィルムであった。また、得られた合わせガラスにおいては、しわや剥離などがなく、外観の良好なものであった。結果は表1に示す。
熱処理温度を200℃とした以外は、実施例9と同様に積層フィルムを得た。得られた積層フィルムは厚み78μmであり、熱可塑性樹脂Bが非晶性ポリエステルからのみなる樹脂であるため、熱処理温度200℃と低下させた場合においても屈折率は240℃で熱処理した場合と変化せず、実施例9と同等の熱線カット性能、透明性を備えていた。一方熱処理温度を240℃から200℃と低下させたことにより、熱可塑性樹脂A(PET)の配向が強い状態で保持され、かつ熱可塑性樹脂B中に分散されたPET樹脂の配向が強められることにより、同等の条件にて製膜した実施例11よりもさらに高い熱収縮挙動を示すフィルムであった。また、得られた合わせガラスにおいては、しわや剥離などがなく、外観の良好なものであった。結果は表1に示す。
熱可塑性樹脂として、固有粘度0.65のポリエチレンテレフタレート[東レ製F20S]を用いた。
延伸時の縦延伸倍率を3.3倍、縦延伸時のフィルム温度を95℃、弛緩処理を5%とし、フィルム厚みを78μmとなるように製膜条件を調整した以外は、実施例7と同様に積層フィルムを得た。得られた積層フィルムは厚み78μmであり、実施例7とほぼ同様の熱線カット性能、透明性を備えたフィルムであった。しかし、得られた合わせガラスにおいては、しわが顕著であり、自動車などの透明度の求められる用途に用いるには不適当なフィルムであった。結果は表1に示す。
熱処理温度を200℃とした以外は、実施例10と同様に積層フィルムを得た。得られた積層フィルムは厚み78μmであったが、熱可塑性樹脂Bの融点以下で熱処理を施したことにより熱可塑性樹脂Bの配向が緩和しておらず屈折率も高い状態でとなっており、実施例10とより大きな熱線カット性能の低下がみられることから熱線カットフィルムとしては不適当なものであった。一方で、高い熱収縮挙動を示すフィルムであり、得られた合わせガラスにおいては、しわや剥離などがなく、外観の良好なものであった。結果は表1に示す。
熱処理温度を150℃とした以外は、実施例1と同様に積層フィルムを得た。得られた積層フィルムは厚み78μmであり、透明性を備えたフィルムであった。しかし、熱処理温度が低いために熱可塑性樹脂Bの結晶化が十分に生じないことで熱可塑性樹脂Aと熱可塑性樹脂Bの屈折率差が十分でなく、実施例1と比較すると熱線カット性能は低下していた。また、熱可塑性樹脂Aの結晶化が十分でないために熱収縮も非常に大きくなり、得られた合わせガラスにおいてはしわが顕著であり、自動車などの透明度の求められる用途に用いるには不適当なフィルムであった。結果は表1に示す。
Claims (7)
- 異なる光学的性質を有する2種以上の熱可塑性樹脂が交互にそれぞれ50層以上積層された積層フィルムであって、かつ前記積層フィルムの波長400〜700nmでの平均反射率が15%以下であって、かつ波長900〜1200nmでの平均反射率が70%以上であって、フィルム面に平行な任意の一方向において100℃から150℃の範囲での熱機械分析にて計測される熱収縮率の平均変化率が0.01%/℃以上であることを特徴とする積層フィルム。
- 長手方向およびそれに直交する方向のいずれかにおいて、前記積層フィルムの150℃での熱機械分析にて計測される熱収縮率が0.3%以上3%以下であることを特徴とする請求項1に記載の積層フィルム。
- 前記積層フィルムの長手方向およびそれに直交する方向の150℃での熱機械分析にて計測される熱収縮率の差が0.5%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の積層フィルム。
- 長手方向およびそれに直交する方向において、前記積層フィルムの100℃から150℃の範囲での貯蔵弾性率が200MPa以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の積層フィルム。
- 長手方向およびそれに直交する方向のいずれかにおいて、前記積層フィルムの25℃から100℃における熱機械分析にて計測される熱収縮率が−0.5%以上0.5%以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の積層フィルム。
- 異なる光学特性を有する2種以上の熱可塑性樹脂のうち、少なくとも1種の熱可塑性樹脂は結晶性ポリエステルであり、少なくとも1種の熱可塑性樹脂は非晶性ポリエステルと結晶性ポリエステルからなるポリエステル樹脂であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の積層フィルム。
- ガラスとフィルムの間に中間膜を設けてなる合わせガラスであって、前記フィルムが請求項1〜6のいずれかに記載の積層フィルムであることを特徴とする合わせガラス。
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