JP2014097595A - 積層フィルムおよびこれを用いた遮熱部材 - Google Patents
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Abstract
【課題】 高い遮熱性能を示しつつも、合わせガラスを作製した際に問題のない密着性を示す積層フィルムならびに遮熱部材を提供する。
【解決手段】合わせガラス用の積層フィルムであって、ポリビニルアルコール、ポリブチルビニラール、エチレン−ビニルアルコール共重合体のいずれかからなる中間膜と積層されて用いられ、異なる光学的性質を有する2種以上の熱可塑性樹脂が交互にそれぞれ50層以上積層された多層構造を有する基材フィルムと、前記基材フィルムの上の少なくとも一方の面上に積層されたコレステリック液晶からなる液晶層と、前記液晶層の基材フィルム側面と反対側の面上にさらに積層されたバインダー層とを有してなり、前記積層フィルムが波長1300nm以上の帯域において反射率30%以上となる反射帯域を備えてなり、かつ波長450nm以上700nm以下の帯域における最大反射率が30%以下であることを特徴とする積層フィルムとする。
【選択図】なし
【解決手段】合わせガラス用の積層フィルムであって、ポリビニルアルコール、ポリブチルビニラール、エチレン−ビニルアルコール共重合体のいずれかからなる中間膜と積層されて用いられ、異なる光学的性質を有する2種以上の熱可塑性樹脂が交互にそれぞれ50層以上積層された多層構造を有する基材フィルムと、前記基材フィルムの上の少なくとも一方の面上に積層されたコレステリック液晶からなる液晶層と、前記液晶層の基材フィルム側面と反対側の面上にさらに積層されたバインダー層とを有してなり、前記積層フィルムが波長1300nm以上の帯域において反射率30%以上となる反射帯域を備えてなり、かつ波長450nm以上700nm以下の帯域における最大反射率が30%以下であることを特徴とする積層フィルムとする。
【選択図】なし
Description
本発明は、積層フィルムおよびこれを用いた遮熱部材に関する。
近年、環境保護による二酸化炭素排出規制を受けて、夏場の外部、特に太陽光による熱の流入を抑制できる遮熱ガラスが自動車や電車などの乗り物、建物の窓ガラスとして注目されている。
このような遮熱ガラスの一例として、ガラス中や合わせガラスに用いられる中間膜中に熱線吸収材を含有させ、熱線を熱線吸収材にて遮断するもの(たとえば、特許文献1)、金属膜をガラス表面上にスパッタなどにより形成し熱線を反射させて遮断するもの、(たとえば特許文献2)屈折率の異なるポリマーが交互に積層されたポリマー多層積層フィルムをガラス及び中間膜の間に挿入して熱線を反射させて遮断するもの(たとえば特許文献3)などがある。この中で、熱線吸収材を用いる方法では、外部から入射される太陽光を熱エネルギーに変換するためその熱が室内へと放射されて遮熱効率が低下する問題がある。加えて、熱線を吸収することでガラス温度が上昇し、外気温との差によりガラス本体が破損する場合もある。また、金属膜をガラス表面上にスパッタなどにより形成する方法では、熱線のみではなく可視光も反射するために着色しやすく、かつ電磁波も遮蔽するために内部で通信機器などが使用できない場合もある。
一方、ポリマー多層積層フィルムは、その層厚みを制御して、反射する波長を選択できるため、近赤外領域の光を選択的に反射することができ、可視光線透過率を維持しつつ遮熱性能を向上させることができる。また、金属など電波を遮断するものを含まないために、優れた電波透過性を保持したものとなる。
ここで、ポリマー多層積層フィルムにおいては、主に目的とする反射波長(主反射波長λ)以外にも、λ/n(nは整数)の波長においてもn次の干渉反射が生じる。このため、たとえば、1200nm以上の波長帯域に主反射波長が存在するように層厚みを制御した場合、三次の干渉反射が400nm以上の可視光領域に生じることとなる。このため、高透明・無彩色が求められるような用途においては、赤外線領域の反射波長の帯域が制約され、遮熱性能に限界があった。
一方、電磁透過性を保持しつつ赤外線領域の反射波長を拡幅できる技術の一例としてコレステリック液晶を併用する方法がある(たとえば特許文献4)。コレステリック液晶は、その螺旋構造のピッチと樹脂の屈折率との関係で定まる波長の光を反射することができるものである。しかし、コレステリック液晶の種類によっては、遮熱部材を形成する上で隣接する部材との密着性に問題がある場合もあり、特に、合わせガラスにおいて中間膜との密着性不足による安全性に懸念があった。
本発明は、上記した従来技術の問題点に鑑み、高透明でありながら高い遮熱性能を示しつつも、遮熱部材を構成する上で良好な密着性を示す積層フィルムを提供することを目的とする。
係る課題を解決するため、本発明は、合わせガラス用の積層フィルムであって、ポリビニルアルコール、ポリブチルビニラール、エチレン−ビニルアルコール共重合体のいずれかからなる中間膜と積層されて用いられ、異なる光学的性質を有する2種以上の熱可塑性樹脂が交互にそれぞれ50層以上積層された多層構造を有する基材フィルムと、前記基材フィルムの上の少なくとも一方の面上に積層されたコレステリック液晶からなる液晶層と、前記液晶層の基材フィルム側面と反対側の面上にさらに積層されたバインダー層とを有してなり、前記積層フィルムが波長1300nm以上の帯域において反射率30%以上となる反射帯域を備えてなり、かつ波長450nm以上700nm以下の帯域における最大反射率が30%以下であることを特徴とする積層フィルム、であることを本旨とする。
本発明によって、高透明でありながら高い遮熱性能を示しつつも、遮熱部材を構成した際には、隣接する部材との間に良好な密着性を付与することができるようになる。
以下に本発明の実施の形態について述べるが、本発明は以下の実施例を含む実施の形態に限定して解釈されるものではなく、発明の目的を達成できて、かつ、発明の要旨を逸脱しない範囲内においての種々の変更は当然あり得る。また、説明を簡略化する目的で一部の説明は異なる光学的性質の異なる2種の熱可塑性樹脂が交互に積層された積層フィルムを例にとり説明するが、3種以上の熱可塑性樹脂を用いた場合においても、同様に理解されるべきものである。
本発明の積層フィルムは、熱可塑性樹脂からなる必要がある。熱可塑性樹脂は一般的に熱硬化性樹脂や光硬化性樹脂と比べて安価であり、かつ公知の溶融押出により簡便かつ連続的にシート化することができることから、低コストで積層フィルムを得ることが可能となる。
また、本発明の積層フィルムにおいては、異なる光学的性質を有する2種以上の熱可塑性樹脂が交互にそれぞれ50層以上積層された多層構造を有する基材フィルムを備えてなる必要がある。ここでいう異なる光学的性質とは、面内で任意に選択される直交する2方向および該面に垂直な方向から選ばれる方向のいずれかにおいて、屈折率が0.01以上異なることをいう。また、ここでいう交互に積層されてなるとは、異なる樹脂からなる層が厚み方向に規則的な配列で積層されていることをいい、たとえば異なる光学的性質を有する2つの熱可塑性樹脂A、Bからなる場合、各々の層をA層,B層と表現すれば、A(BA)n(nは自然数)といったように規則的な配列で積層されたものである。このように光学的性質の異なる樹脂が交互に積層されることにより、各層の屈折率の差と層厚みとの関係よって特定される特定の波長の光を反射させることが可能となる。また、積層する層数が50層未満の場合には、赤外領域において十分な帯域に亘り高い反射率を得られず充分な遮熱性能を得ることができない。好ましくは、それぞれ200層以上であり、より好ましくは、それぞれ300層以上である。前述の干渉反射は、層数が増えるほどより広い波長帯域の光に対して高い反射率を達成できるようになり、高い遮熱性能を備えた積層フィルムが得られるようになる。また、層数に上限はないものの、層数が増えるに従い製造装置の大型化に伴う製造コストの増加や、フィルム厚みが厚くなることでのハンドリング性の悪化が生じ、特にフィルム厚みが厚くなることでは合わせガラス化の工程での工程不良の原因ともなるために、現実的にはそれぞれ1000層程度が実用範囲となる。
本発明に用いられる熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(4−メチルペンテン−1)、ポリアセタールなどの鎖状ポリオレフィン、ノルボルネン類の開環メタセシス重合,付加重合,他のオレフィン類との付加共重合体である脂環族ポリオレフィン、ポリ乳酸、ポリブチルサクシネートなどの生分解性ポリマー、ナイロン6、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン66などのポリアミド、アラミド、ポリメチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、エチレン酢酸ビニルコポリマー、ポリアセタール、ポリグルコール酸、ポリスチレン、スチレン共重合ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボーネート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレートなどのポリエステル、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、変性ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルイミド、ポリイミド、ポリアリレート、4フッ化エチレン樹脂、3フッ化エチレン樹脂、3フッ化塩化エチレン樹脂、4フッ化エチレン−6フッ化プロピレン共重合体、ポリフッ化ビニリデンなどを用いることができる。この中で、強度・耐熱性・透明性および汎用性の観点から、特にポリエステルを用いることがより好ましい。これらは、共重合体であっても、混合物であってもよい。
このポリエステルとしては、芳香族ジカルボン酸または脂肪族ジカルボン酸とジオールあるいはそれらのエステル形成性誘導体を主たる構成成分とする単量体からの重合により得られるポリエステルが好ましい。ここで、芳香族ジカルボン酸として、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、4,4′-ジフェニルジカルボン酸、4,4′-ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4′-ジフェニルスルホンジカルボン酸などを挙げることができる。脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ダイマー酸、ドデカンジオン酸、シクロヘキサンジカルボン酸とそれらのエステル誘導体などが挙げられる。中でも高い屈折率を発現するテレフタル酸と2,6ナフタレンジカルボン酸が好ましい。これらの酸成分は1種のみ用いてもよく、2種以上併用してもよく、さらには、ヒドロキシ安息香酸等のオキシ酸などを一部共重合してもよい。
また、ジオール成分としては、例えば、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,2-シクロヘキサンジメタノール、1,3-シクロヘキサンジメタノール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、2,2-ビス(4-ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、イソソルベート、スピログリコールなどを挙げることができる。中でもエチレングリコールが好ましく用いられる。これらのジオール成分は1種のみ用いてもよく、2種以上併用してもよい。
本発明の熱可塑性樹脂は、例えば、上記ポリエステルのうち、ポリエチレンテレフタレートおよびその重合体、ポリエチレンナフタレートおよびその共重合体、ポリブチレンテレフタレートおよびその共重合体、ポリブチレンナフタレートおよびその共重合体、さらにはポリヘキサメチレンテレフタレートおよびその共重合体、ポリヘキサメチレンナフタレートおよびその共重合体などを用いることが好ましい。
本発明の積層フィルムの基材フィルムにおいては、隣接する異なる光学的性質を有する熱可塑性樹脂によって構成される層の面内平均屈折率の差が0.03以上であることが好ましい。より好ましくは0.05以上であり、さらに好ましくは0.1以上0.15以下である。面内平均屈折率の差が0.03より小さい場合には、十分な反射率が得られないために遮熱性能が不足する場合がある。この達成方法としては、少なくとも一つの熱可塑性樹脂が結晶性であり、かつ少なくとも一つの熱可塑性樹脂が非晶性もしくは非晶性熱可塑性樹脂と結晶性熱可塑性樹脂の混合物であることである。この場合、フィルムの製造における延伸、熱処理工程において容易に屈折率差を設けることが可能となる。
本発明の積層フィルムの基材フィルムに用いる異なる光学的性質を有する各熱可塑性樹脂の好ましい組み合わせとしては、各熱可塑性樹脂のSP値(溶解性パラメータともいう)の差の絶対値が、1.0以下であることが第一に好ましい。SP値の差の絶対値が1.0以下であると層間剥離が生じにくくなり、また積層精度を高める上で有利である。より好ましくは、異なる光学的性質を有するポリマーは同一の繰り返し単位を含むことが好ましい。たとえば、一方の熱可塑性樹脂としてポリエチレンテレフタレートを用いる場合は、高精度な積層構造が実現しやすい観点から、エチレンテレフタレート単位を含むことが好ましい。
また、本発明の積層フィルムの基材フィルムに用いる異なる光学的性質を有する各熱可塑性樹脂の好ましい組み合わせとしては、各熱可塑性樹脂のガラス転移温度差が20℃以下であることが好ましい。ガラス転移温度の差が20℃より大きい場合には積層フィルムを製膜する際の厚み均一性が不良となり、遮熱性能にばらつきが生じる原因となる。また、積層フィルムを成形する際にも、過延伸が発生するなどの問題が生じやすいためである。
上記の条件を満たすための樹脂の組合せの一例として、本発明の積層フィルムの基材フィルムでは、少なくとも一つの熱可塑性樹脂がポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートを含んでなり、少なくとも一つの熱可塑性樹脂がスピログリコールカルボキシレート単位を含んでなるポリエステルであることが好ましい。スピログリコールカルボキシレート単位を含んでなるポリエステルとは、スピログリコールを共重合したコポリエステル、またはホモポリエステル、またはそれらをブレンドしたポリエステルのことを言う。スピログリコールカルボキシレート単位含んでなるポリエステルは、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートとのガラス転移温度差が小さいため、成形時に過延伸になりにくく、かつ層間剥離もしにくいために好ましい。より好ましくは、少なくともひとつの熱可塑性樹脂がポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートを含んでなり、少なくともひとつの熱可塑性樹脂がスピログリコールおよびシクロヘキサンジカルボン酸を用いて得られるポリエステルであることが好ましい。スピログリコールおよびシクロヘキサンジカルボン酸を用いて得られるポリエステルであると、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートとの面内屈折率差が大きくなるため、高い反射率が得られやすくなる。また、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートとのガラス転移温度差が小さく、接着性にも優れるため、成形時に過延伸になりにくく、かつ層間剥離もしにくい。
また、本発明の積層フィルムの基材フィルムにおいては、少なくとも一つの熱可塑性樹脂がポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートを含んでなり単一の組成であっても少量の他の繰り返し単位が共重合され、あるいは、少量の他のポリエステル樹脂がブレンドされたものであって良く、少なくとも一つの熱可塑性樹脂がシクロヘキサンジメタノールカルボキシレート単位を含んでなるポリエステルであることが好ましい。シクロヘキサンジメタノールカルボキシレート単位を含んでなるポリエステルとは、シクロヘキサンジメタノールを共重合したコポリエステル、またはホモポリエステル、またはそれらをブレンドしたポリエステルのことを言う。シクロヘキサンジメタノールカルボキシレート単位を含んでなるポリエステルは、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートとのガラス転移温度差が小さいため、成形時に過延伸になりにくく、かつ層間剥離もしにくいために好ましい。より好ましくは、少なくともひとつの熱可塑性樹脂がシクロヘキサンジメタノールの共重合量が15mol%以上60mol%以下であるエチレンテレフタレート重縮合体である。このようにすることにより、高い反射性能を有しながら、特に加熱や経時による光学的特性の変化が小さく、層間での剥離も生じにくくなる。シクロヘキサンジメタノールの共重合量が15mol%以上60mol%以下であるエチレンテレフタレート重縮合体は、ポリエチレンテレフタレートと非常に強く接着する。また、そのシクロヘキサンジメタノール基は幾何異性体としてシス体あるいはトランス体があり、また配座異性体としてイス型あるいはボート型もあるので、ポリエチレンテレフタレートと共延伸しても配向結晶化しにくく、高反射率で、熱履歴による光学特性の変化もさらに少なく、製膜時のやぶれも生じにくいものである。
また、本発明の積層フィルムにおいては、基材フィルムを構成する熱可塑性樹脂のうち、少なくとも1種の樹脂が結晶性ポリエステル樹脂であり、かつ残る熱可塑性樹脂の少なくとも1種が非晶性ポリエステル樹脂であることが好ましい。ここでいう結晶性とは、示差走査熱量測定(DSC)において、融解熱量が5J/g以上であることをいう。一方、非晶性とは、同様に融解熱量が5J/g未満であることをいう。結晶性ポリエステル樹脂は、延伸・熱処理工程において配向結晶化させることにより、延伸前の非晶状態のときよりも高い面内屈折率とすることができる。一方、非晶性ポリエステル樹脂の場合においては、熱処理工程においてガラス転移点温度をはるかに超える温度で熱処理を行うことにより、延伸工程で生じる若干の配向も完全に緩和でき、非晶状態の低い屈折率を維持できるものである。このように、フィルムの製造における延伸、熱処理工程において結晶性ポリエステル樹脂と非晶性ポリエステル樹脂との間に容易に屈折率差を設けることができるため、後述のとおり赤外線領域での反射率を高めることが容易となる。また、より好ましくは、結晶性ポリエステルの示差走査熱量測定(DSC)における融解熱量が20J/g以上であることが好ましい。この場合、延伸・熱処理工程においてより強く配向結晶化させることができるため、容易に非晶性樹脂ポリエステル樹脂との屈折率差を設けることができるものである。
また、本発明の積層フィルムにおいては、基材フィルムを構成する熱可塑性樹脂のうち、少なくとも1種の樹脂が結晶性ポリエステル樹脂であり、かつ残る熱可塑性樹脂の少なくとも1種が前記結晶性のポリエステル樹脂の融点より30℃以上低い融点を備えたポリエステル樹脂であることもまた好ましい。2種類の結晶性ポリエステル樹脂の融点の差が30℃以上ある場合、2種の結晶性ポリエステル樹脂の融点の間の温度にて熱処理を行うことにより、低融点のポリエステル樹脂を融解・非晶化させる配向を緩和することでき、結果として2種のポリエステル樹脂間の屈折率差を設けることが可能となる。
本発明の積層フィルムにおいては、基材フィルムの上の少なくとも一方の面上に形成されたコレステリック液晶からなる液晶層を含んでなる必要がある。前述の異なる光学的性質を有する2種以上の熱可塑性樹脂が交互にそれぞれ50層以上積層された多層構造を有する基材フィルムにおいては、前述のとおり主に目的とする主反射波長(λ)に生じる干渉反射以外にも、λ/n(nは整数)の波長にn次の反射が生じる。ここで、nが偶数の場合、多層構造の各々の層について、隣接する層の光学波長(樹脂の屈折率×層厚み)が等しくなるように制御することでn次の反射を抑制することも可能であるが、nが奇数の場合、同様に層厚みを制御した場合においても強い干渉反射が生じてしまう。そのため、赤外線領域の主反射波長を拡幅して遮熱性能を高めようにも、主反射波長を1200nm以上とした場合に波長400nm以上の可視光領域に三次の反射が生じて可視光線透過率が減少することによる透明性の低下や色づきの発現といった点が問題となる。
一方、コレステリック液晶は、螺旋構造のピッチとコレステリック液晶の屈折率に比例した波長において螺旋の旋回方向と同一方向の旋光を反射することができ、かつ、ポリマー多層積層フィルムで見られるような前述のn次の反射は生じない。そこで、波長1200nm以上の波長に反射波長が生じるコレステリック液晶を併用することにより、可視光領域での反射を生じさせることなく、赤外線領域の反射帯域を拡幅することができ、遮熱性能を高めることが容易となる。
特に好ましくは、コレステリック液晶からなる液晶層が各々の螺旋の旋回方向または螺旋のピッチが異なる複数の層の重ね合わせからなることが好ましい。前述のとおり、コレステリック液晶は、螺旋の旋回方向と一致する旋光のみを反射するため、最大でも50%程度の光しか反射することができない。ここで、たとえば旋回方向の異なる2層のコレステリック液晶からなる層を設けた場合、右及び左旋光のいずれも反射するようになるため、高い反射率の積層フィルムが得られ、遮熱性能を高めることが容易となる。また、コレステリック液晶は、反射帯域の幅が螺旋のピッチと液晶の屈折率の面内異方性の積となり、実質的に単一の層で広い反射帯域の光を反射させることが難しい。しかし、螺旋のピッチの異なる液晶層を複数積層することに、広波長域の光を効率的に反射することが可能となり、遮熱性能を高めることが容易となる。
本発明に用いるコレステリック液晶としては、光硬化性の樹脂からなることが好ましく、代表的には、液晶化合物、キラル剤、光重合開始剤を含んでなるものである。これらは、既存の公知文献や市販されているものを任意に選んで用いることができるものであるが、その一例は次に示すようなものがあげられる。
液晶化合物としては、特に棒状ネマチック液晶化合物を用いることが好ましい。棒状ネマチック液晶化合物は、光学活性なキラル剤と組み合わせて重合・硬化させることにより、コレステリック液晶の特性を示すものであり、化学的に安定性に優れているために好ましいものである。棒状ネマチック液晶化合物の一例としては、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類及びアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類、アルコキシ置換フェニルアルキルアニリン類、アルコキシ置換フェニルシアノルアニリン類、アルキル置換フェニルシアノアニリン類、アルキルアルコキシアゾベンゼン類、アルキルアルコキシアゾキシベンゼン類、シアノビフェニル類、シアノターフェニル類などが挙げられる。
キラル剤についても一般的なキラル剤を用いることができ、低分子量のキラル剤に限らず、高分子量のキラルポリマーや重合性のキラル剤などが使用できる。また、上記の液晶化合物の一部に光学活性な置換基を備えたものも使用できる。また、液晶化合物とキラル剤の比率を調整することによりコレステリック液晶により光が反射する反射波長に関係する螺旋のピッチを、液晶化合物やキラル剤の構造によりコレステリック液晶により光が反射する反射帯域の幅を、キラル剤の選択によりコレステリック液晶により反射する光の旋光の向きを制御することも可能である。一般的に適当な液晶化合物に対するキラル剤の比率は1〜10%程度であることが好ましく、この場合、容易にコレステリック液晶を形成することが可能である。
光重合開始剤についても、一般的な光重合開始剤を用いることが可能である。光重合開始剤は、例えばアルキルフェノン系化合物、含硫黄系化合物、アシルホスフィンオキシド系化合物、アミン系化合物などが挙げられるがこれらに限定されるものではないが、硬化性の点から、アルキルフェノン系化合物が好ましく、具体例としては、2.2−ジメトキシ−1.2−ジフェニルエタン−1−オン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−フェニル)−1−ブタン、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−(4−フェニル)−1−ブタン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−1−ブタン、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルフォリニル)フェニル]−1−ブタン、1−シクロヒキシル−フェニルケトン、2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−[4−(2−エトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、などが挙げられる。
また、上記の液晶化合物、キラル剤、光重合開始剤以外にも、レベリング剤や酸化防止剤などの各種添加剤を併用して用いることも可能である。特に、レベリング剤を用いることで、よりコレステリック液晶の配向を高めることができ、結果として少ない層厚みで高い反射率を付与することが可能となるために、遮熱性能やコストの面で好ましいものである。
本発明の積層フィルムにおいては、液晶層の基材フィルム側面とは反対側の面上にさらにバインダー層が形成されてなることが必要である。これによって、合わせガラスなどとした場合において、液晶層と中間膜の密着性を十分に得、十分な安全性を示すことができる。ここで、本発明においては、液晶層上にさらにバインダー層が形成することにより、このバインダー層が液晶層ならびに中間膜やハードコート層などのいずれとも高い密着性を付与することが可能となる。
本発明の積層フィルムにおいては、液晶層の基材フィルム側面とは反対側の面上にさらにバインダー層が形成されてなることが必要である。これによって、合わせガラスなどとした場合において、液晶層と中間膜の密着性を十分に得、十分な安全性を示すことができる。ここで、本発明においては、液晶層上にさらにバインダー層が形成することにより、このバインダー層が液晶層ならびに中間膜やハードコート層などのいずれとも高い密着性を付与することが可能となる。
本発明の積層フィルムにおいては、バインダー層と液晶層の剥離強度が0.1N/mm以上であることが好ましい。ここでいう剥離強度とは、バインダー層と液晶層の界面で強制的に剥離を発生させ、その後、引張試験で剥離時にかかる荷重を測定した際の値である剥離強度のことを指す。剥離強度が0.1N/mm以上であれば、遮熱部材を形成した際にもバインダー層と液晶層と間での剥離などがないものが得られるようになる。より好ましくは、1N/mm以上であり、この場合には、特に高い密着性が求められる合わせガラスのような用途においても、安全上の問題などなく好適に用いられる遮熱部材とすることができる。このようなフィルムを得るためには、バインダー層の表面自由エネルギーを後述のとおり制御することにより達成できるものである。
本発明のバインダー層においては、表面自由エネルギーが35mN/m以上55mN/m以下であることが好ましい。ここでいう表面自由エネルギーとは、畑らによって提案された「固体の表面自由エネルギー(γ)を分散力成分(γSd)、極性力成分(γSp)、および水素結合力成分(γSh)の3成分に分離し、Fowkes式を拡張した式(拡張Fowkes式)」に基づく幾何平均法により得られる表面自由エネルギーである。表面自由エネルギーが35mN/m以上55mN/m以下であると、ポリビニルアルコール、ポリブチルビニラール、エチレン−ビニルアルコール共重合体などの中間膜やコレステリック液晶層との表面自由エネルギーの差が小さくなり、良好な密着性を付与できるようになる。好ましくは、表面自由エネルギーが40mN/m以上45mN/m以下である。この場合、中間膜中に含まれる水酸基やエステル結合のカルボニル基ともオレフィン鎖とのいずれともバランスよく相互作用を高めることができ、高い密着性の遮熱部材を得ることが可能となる。
本発明の積層フィルムのバインダー層においては、バインダー層がイソシアネート基および/またはウレタン結合を含む樹脂からなるからなることが好ましい。イソシアネート基および/またはウレタン結合を含む樹脂からなることにより、上述の表面自由エネルギーが35mN/m以上55mN/m以下とすることが容易となる。また、上記の表面自由エネルギーが同程度の場合においても、イソシアネート基および/またはウレタン結合を含む樹脂からなるバインダー層では、イソシアネート基および/またはウレタン結合を含まない樹脂からなるバインダー層と比べて高い密着性を示すことを見出した。これは、イソシアネート基がバインダー層中の水酸基または水と反応して形成するウレタン結合またはウレア結合と中間膜中の水酸基との間での強い分子間相互作用が働いているものと推測される。このように、バインダー層がイソシアネート基および/またはウレタン結合を含む樹脂からなることにより、ポリビニルアルコール、ポリブチルビニラール、エチレン−ビニルアルコール共重合体などの中間膜との密着性をさらに高めることが可能であり、高い安全性の求められる合わせガラスにおいても問題のなく使用できるようになる。
本発明の積層フィルムに用いられるバインダー層においては、イソシアネート基および/またはイソシアネート基とポリオールが反応して形成するウレタン結合を備えてなること好ましいが、その組成は特に限定されるものではなく、一般的なイソシアネート基含有化合物やポリオールを用いることができる。イソシアネート基含有化合物は、分子中に少なくとも1つのイソシアネート基を有する化合物であれば、その種類は限定されるものではないが、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4´−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、リジンメチルエステルジイソシアネート、メチルシクロヘキシルジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、n−ペンタン−1,4−ジイソシアネート、これらの三量体、これらのイソシアヌレート体又はビウレット体、これらの重合体で2個以上のイソシアネート基を有するもの、更にブロック化されたイソシアネート類等があげられる。
これらの中でも、イソシアネート基含有化合物が脂肪族のイソシアネート含有化合物であることが好ましく、さらには、脂環式の脂肪族イソシアネート含有化合物であることが好ましい。脂肪族のイソシアネート化合物を用いることにより、ポリビニルアルコール、ポリブチルビニラール、エチレン−ビニルアルコール共重合体などの疎水性の箇所との相互作用を高めることができ、より密着性を向上させることが可能となる。また、脂環式の脂肪族イソシアネート含有化合物の場合には、直鎖状の脂肪族イソシアネートの場合と比較して、高いガラス転移温度を示すようになるため、特に本発明の積層フィルムの主要な用途である合わせガラスを作製する際の高温高湿条件においても安定した性能を示すようになる。
また、これらの中でも、イソシアネート基含有化合物としては、イソシアヌレート体又はビウレット体が好ましい。特に好ましいイソシアネート基含有化合物としては、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体であり、この場合には、ポリビニルアルコール、ポリブチルビニラール、エチレン−ビニルアルコール共重合体などの中間膜と高い密着性を示すようになる。
また、ポリオールとしては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、その他のポリオールが使用できる。例えば、ポリエーテルポリオールとしては、ポリオキシエチレンポリオール、ポリオキシプロピレンポリオール、ポリオキシエチレン−プロピレン共重合ポリオール、ポリテトラメチレンポリオールなどの単独あるいはそれらの混合物が挙げられる。ポリエステルポリオールとしては、ジカルボン酸(アジピン酸、コハク酸、マレイン酸、フタル酸など)とグリコール(エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,6−ヘキサングリコール、ネオペンチルグリコールなど)とを重縮合させ得られたポリオール、例えば、ポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリヘキサメチレンアジペート、ポリプロピレンアジペート、ポリエチレン−プロピレンアジペート等のポリオールがあり、また、ポリラクトンポリオール、例えば、ポリカプロラクトンポリオールの単独あるいはそれらの混合物、ビスフェノールAやポリカーボネートポリオールなどが挙げられる。
本発明のバインダー層においては、ポリオール成分として脂肪族ポリオールを用いることが好ましい。この場合、ポリビニルアルコール、ポリブチルビニラール、エチレン−ビニルアルコール共重合体などの疎水性の箇所との相互作用を高めることができ、より密着性を向上させることが可能となる。また、より好ましくは脂環式の脂肪族ポリオールであり、直鎖状の脂肪族ポリオールの場合と比較して、高いガラス転移温度を示すようになるため、特に本発明の積層フィルムの主要な用途である合わせガラスを作製する際の高温高湿条件においても安定した性能を示すようになる。
イソシアネート基含有化合物の添加量は特に限定されるものではないが、ポリオール成分とイソシアネート基含有化合物から主になるバインダー層の場合、ポリオール成分100重量部に対しイソシアネート基含有化合物50重量部以上200重量部以下、好ましくは100重量部以上150重量部以下とすることができる。ポリオール成分100重量部に対してイソシアネート基含有化合物50重量部未満である場合、イソシアネート基や形成されるウレタン結合の量が十分でなく、ポリビニルアルコール、ポリブチルビニラール、エチレン−ビニルアルコール共重合体などの中間膜との密着性が十分に得られない可能性がある。一方、ポリオール成分100重量部に対してイソシアネート基含有化合物が200重量部より大きくなると、バインダー層中のイソシアネート基が過剰状態となり、未反応の過剰なイソシアネートが十分に固化せずにバインダー層の物性を安定しにくくなる可能性もある。
また、バインダー層にポリエステルとイソシアネート含有化合物を併用して用いる場合には、ポリエステル成分100重量部に対してイソシアネート含有化合物が1重量部以上100重量部以下であることが好ましい。より好ましくは、30重量部以上60重量部以下である。ポリオール成分と併用する場合と異なり、ポリエステルと併用する場合にはポリエステル中の水酸基とイソシアネート基との反応によるわずかなウレタン結合の形成もしくはわずかな未反応イソシアネート基の存在によりポリビニルアルコール、ポリブチルビニラール、エチレン−ビニルアルコール共重合体などの中間膜との密着性を向上させることが容易となる。一方で、イソシアネート基含有化合物量がポリエステル成分100重量部に対して100重量部より大きくなると、過剰の未反応イソシアネート基の存在により、バインダー層の物性を安定しにくくなる可能性もある。
また、本発明の積層フィルムに用いられるバインダー層においては、上記のイソシアネート基含有化合物やポリオール、ポリエステルを含有(併用)することが好ましい。ポリエステルを含むことにより、イソシアネートやポリオールの特性を活かしつつ、表面自由エネルギーを調整することが容易となる。また、ポリエステル中に含有する水酸基とイソシアネート基が架橋反応しウレタン結合を形勢することで、ポリビニルアルコール、ポリブチルビニラール、エチレン−ビニルアルコール共重合体などの中間膜との分子間相互作用により密着性をさらに向上させることができる。ポリエステルについては特に限定されるものではなく、上述したポリエステルにおいて、重合度などを調整して用いられるものである。また、基材フィルムとの密着性も向上することに加えて、ポリエステルは耐久性の観点から優れるため、長期にわたる使用時にも剥離や安全性の低下などの問題を生じることなく使用できるものである。
本発明の積層フィルムにおいては、バインダー層の表面において測定される赤外線反射率について、波長2270cm−1での反射率R2270と波長2970cm−1での反射率R2970の比 R2270/R2970が0.5以上6以下であることが好ましい。なお、ここでの波長2270cm−1の反射とはイソシアネート基に由来するピークであり、波長2970cm−1の反射とはバインダー層に含まれるC−H結合に由来するピークであることから、R2270/R2970 とはバインダー層に残存するイソシアネート基の量を表す指標としてのものである。R2270/R2970 が0.5以上6以下である場合、イソシアネート基の残存量が十分であるため、ポリビニルアルコール、ポリブチルビニラール、エチレン−ビニルアルコール共重合体などの中間膜との分子間相互作用が十分で、ポリビニルアルコール、ポリブチルビニラール、エチレン−ビニルアルコール共重合体などのなどの中間膜との密着性を十分に確保できる。一方、より好ましくは、波長2270cm−1での反射率R2270と波長2970cm−1での反射率R2970の比R2270/R2970が0.5以上2以下である。この場合、バインダー層が水や熱、光などによっても安定した物性を示し、ポリビニルアルコール、ポリブチルビニラール、エチレン−ビニルアルコール共重合体などの中間膜との密着性を保持させることが容易となる。
本発明のバインダー層の厚みは特に制約されるものではないが、0.1μm以上10μm以下であることが好ましい。バインダー層の厚みが0.1μm未満である場合、高精度にバインダー層の厚みを制御することが難しくなったり、ポリビニルアルコール、ポリブチルビニラール、エチレン−ビニルアルコール共重合体などのなどの中間膜やコレステリック液晶からなる液晶層との密着性が損なわれたりする可能性がある。一方、バインダー層の厚みが10μmよりも大きい場合には、基材フィルムに対するバインダー層の厚みが大きくなるために、積層フィルムの機械物性に対してバインダー層の影響が生じるようになるために、好ましくない場合がある。より好ましくは、バインダー層の厚みが、1μm以上5μm以下である。バインダー層の厚みがこの範囲においては、バインダー層を設ける際にも層厚みを高度に制御しやすくなり、また、基材フィルムの厚みに対して十分にバインダー層の厚みが薄いために、積層フィルムの物性に変化などが生じることを抑制することもできるようになる。
本発明の積層フィルムに用いられるバインダー層においては、熱線吸収粒子を含有させることも好ましい。ここでいう熱線吸収粒子は、主に波長700nm以上の近赤外〜遠赤外領域にかけて吸収を備える粒子のことを指し、その一例として、ランタン系粒子、アンチモン系粒子、インジウム系粒子などが挙げられる。特に本発明の積層フィルムにおいては、熱線吸収粒子が酸化タングステンであることが好ましい。ランタン系粒子、アンチモン系粒子、インジウム系粒子などにおいては、波長1500nm以降の波長帯域においては高い吸収性能を備えるものの、一方で波長700〜1500nmの範囲においては、その吸収性能は十分なものではなかった。特に、本発明の基材フィルムのようなポリマー多層積層フィルムと併用する場合においては、光の入射角度が大きくなるに従い反射光が低波長シフトして赤みを帯びることを抑制するために、基材フィルムの反射帯域や一般的に850nm以上に制約されるものであるが、このようなフィルムとランタン系粒子やアンチモン系粒子、インジウム系粒子と組み合わせた場合、700〜850nmの波長帯域の光を十分にカットできないために、遮熱性能の限界があった。一方、酸化タングステンは、ランタン系粒子やアンチモン系粒子、インジウム系粒子と比較して700〜1500nmにおいても高い遮熱性能を示すために、特に本発明の基材フィルムのようなポリマー多層積層フィルムと組み合わせた場合に波長700nm以上の波長帯域の光をほぼカットでき、高い遮熱性能を達成できるものである。ここでいう酸化タングステンとは、単純なタングステン酸化物に加えて、タングステン以外の金属を含有する酸化タングステンも含まれる。ここでいうタングステン以外の金属としては特に限定されるものではないが、例えば、カリウム酸化タングステン、ルビジウム酸化タングステン、セシウム酸化タングステン、タリウム酸化タングステンのいずれか1種以上から選ばれるものであることが好適に用いられるものである。特に本発明においては、赤外線のカット率が高く可視光線の吸収が少ないことやその光学特性の安定性という観点からセシウム酸化タングステンであることが好ましい。
本発明の積層フィルムにおいては、液晶層の一方の面に設けられたバインダー層にのみ熱線吸収粒子を含有させることが好ましい。本発明の積層フィルムに用いられる酸化タングステンのように、850〜1200nmの波長帯域においても高い吸収性能を示す一方で、バインダー層を通って基材フィルムに入射した場合、光は、バインダー層でほぼカットされているため反射による遮熱効果が期待されない。ここで、反射によりカットされた光は全く流入することがないのに対して、吸収によりカットされた光は熱となり一部流入することで、反射と比較して遮熱部材として性能が低下してしまう。そのため、遮熱部材として用いる際には、光が入射する面には基材フィルムを設けることで反射に伴う遮熱効率を高め、一方で光が出射する面にバインダー層を設けることで基材フィルムでカットできなかった光をカットする構成とする。このような構成であれば、より効率的に光・熱の流入を抑制することができ、高い遮熱性能を備えた遮熱部材とすることができる。
本発明の積層フィルムを用いた遮熱部材として、積層フィルムの両面に、ポリビニルアルコール、ポリブチルビニラール、エチレン−ビニルアルコール共重合体のいずれかからなる中間膜とが重ねられ、さらにその両表面にガラスが設けられた合わせガラスが考えられる。このような合わせガラスにおいては、積層フィルムにおいて高い遮熱性能を示しつつも、積層フィルムならびにバインダー層と中間膜、中間膜とガラスとの間で高い密着性を示すために、特に自動車などの高い遮熱性能に加えて安全性の求められる用途に好適なものである。また、バインダー層の設けられていない既存の合わせガラスと比較して基材フィルムの熱線反射性能やバインダー層の熱線吸収性能の寄与により高い遮熱性能を示すようになる。一方、「ガラス−熱線吸収材料を含む中間膜−ガラス」または「ガラス−熱線吸収材料を含む中間膜−熱線吸収性能を含むガラス」からなる熱線吸収型合わせガラスと比較すると、基材フィルムの熱線反射性能のために、同一の可視光線透過率であればより高い遮熱性能を示すものである。また、「ガラス−中間膜−ポリマー多層積層フィルム−中間膜−ガラスからなる熱線反射型合わせガラス」と比較すると、バインダー層によってポリマー多層積層フィルムではカットできない波長帯域の熱線を吸収によりカットできるため、高い遮熱性能を示すようになる。また、「ガラス−中間膜−ポリマー多層積層フィルム−熱線吸収材料を含む中間膜−熱線吸収材料を含むガラス」、「ガラス−中間膜−ポリマー多層積層フィルム−中間膜−熱線吸収材料を含むガラス」、「ガラス−中間膜−ポリマ−多層積層フィルム−熱線吸収材料を含む中間膜―ガラス」のように、中間膜やガラスに吸収材料を含有させた場合と比較すると、中間膜やガラスに熱線吸収材料を含有させることにより機械物性などが変化し、表裏での物性差が生じて安全性が低下する懸念があるのに対して、本願のようにポリマー多層積層フィルムからなる基材フィルムの表面に相対的に最も薄膜となるバインダー層を設けた積層フィルムを用いた場合には、ガラスや中間膜の厚みに対してバインダー層の厚みが非常に薄いために合わせガラスとしたときの機械特性にもほとんど影響を与えることなく、安全性を維持することが容易となる。
本発明の遮熱部材においては、ポリビニルアルコール、ポリブチルビニラール、エチレン−ビニルアルコール共重合体のいずれかからなる中間膜とバインダー層の剥離強度が0.1N/mm以上であることが好ましい。ここでいう剥離強度とは、中間膜とバインダー層の界面で強制的に剥離を発生させ、その後、引張試験で剥離時にかかる荷重を測定した際の剥離強度値のことを指す。具体的には、合わせガラス作製後、バインダー層を設けていない側のガラスを200mm×50mmのサイズで取り除く。その後、取り除いた箇所を150mm×25mmにてガラス以外をカットした後に、カットした端部からバインダー層側の中間膜とバインダー層との界面を強制剥離する。剥離強度が0.1N/mm以上であれば、遮熱部材を形成した際にもバインダー層と液晶層と間での剥離などがないものが得られるようになる。より好ましくは、1N/mm以上であり、この場合には、特に高い密着性が求められる合わせガラスのような用途においても、安全上の問題などなく好適に用いられる遮熱部材とすることが容易となる。このようなフィルムを得るためには、バインダー層の表面自由エネルギーを上述のとおり制御することにより達成できるものである。
本発明の積層フィルムにおいては、波長1300nm以上の帯域において反射率30%以上となる反射帯域を備えてなり、かつ波長450nm以上700nm以下の帯域における最大反射率が30%以下であることが必要である。ここでいう反射率が30%以上となる反射帯域とは、少なくとも10nm以上連続した範囲において反射率が30%以上である反射をさす。このような積層フィルムにおいては、高い透明性を維持しつつも広反射帯域の光をカットできるため、容易に遮熱性能を高めることが可能となる。より好ましくは、波長1300nm以上の帯域において反射率70%以上となる反射帯域を備えてなることであり、反射率が高くなるにつれて遮熱性能を高めることが可能となる。このような積層フィルムは、後述のとおり波長1300nm以上を反射できるように調整されたコレステリック液晶からなる液晶層を設けることで達成でき、特には、複数層の液晶層を設けることで反射率70%以上を達成できるようになる。
ここで、本発明で基材フィルムとして用いるポリマー多層積層フィルムにおいては、前述のとおり、主反射波長(一次の反射)の反射帯域を1200nm以上とすると、三次の反射による可視光領域、特に450n以上700nm以下の帯域において三次の反射が生じるために、透明性(可視光線透過率)の低下や色づきという問題が生じ、特に高い透明性の求められる遮熱部材への適用は難しいものであった。一方、本発明の積層フィルムにおいては液晶層として用いるコレステリック液晶においては、目的とする反射波長以外には可視光領域への反射も生じず高い透明性を維持できるものの、1層で反射できる反射帯域の幅が狭いことや一方の旋光しか反射できないために、広い反射帯域をコレステリック液晶からなる液晶層のみでカバーしようとすると、多くの層を形成する必要が生じる。そのため、ポリマー多層積層フィルムと比較して製品コストが高くなり、実用化の障害となっていた。
そこで、本発明においては、波長1200nm以下の反射帯域をポリマー多層積層フィルムからなる基材フィルムにて、波長1200nm以上の反射帯域をコレステリック液晶からなる液晶層にて反射できるようにすることで、ある反射帯域を設ける際に、コレステリック液晶のみを用いて作製した場合よりも低コストで、ポリマー多層積層フィルムを用いた場合と比較して高透明・無彩色な積層フィルムを得ることができるものである。その結果、波長1300nm以上の帯域において反射率30%以上となる反射帯域を備えてなり、かつ波長450nm以上700nm以下の帯域における最大反射率が30%以下であることを容易に達成できるようになる。
好ましくは、波長1200nm以上1400nm以下の帯域における平均反射率が30%以上であり、さらに好ましくは70%以上である。波長1200nm以上の反射帯域が広くなることや反射帯域での平均反射率が高くなることにより遮熱性能が向上することが明らかであるが、特に、波長1200nm以上1400nm以下の帯域では、波長1400nm以上の帯域よりも地上に到達する熱線の割合が大きく、より低コスト・高効率で遮熱性能を付与することが可能である。
また、波長450nm以上700nm以下の帯域における最大反射率が30%以下であることに加えて、波長450nm以上700nm以下の帯域における平均反射率が15%以下であることも好ましい。このような積層フィルムにおいては高い透明性を求められる用途においても問題なく使用できるものである。
また、波長900nm以上1400nm以下の平均反射率が70%以上であることも好ましい。赤外線領域の中でも太陽光に含まれる割合が多い波長900nm以上1400nm以下の平均反射率が高ければ、より高い遮熱性能を付与することが可能となる。
上記のような積層フィルムを得るためには、本発明の積層フィルムに用いる基材フィルムにおいては、波長900nm1200nm以下の平均反射率が70%以上であることが好ましい。太陽光は可視光領域に主に強度分布を備えており、波長が大きくなるにつれてその強度分布は小さくなる傾向にある。しかし、高い透明性が求められる用途で使用するために、可視光領域よりもやや大きな波長900〜1200nm(全太陽光の強度の約18%)の光を効率的に反射することにより、高い遮熱性能を付与することができる。好ましくは、波長900〜1200nmでの平均反射率が80%以上であり、より好ましくは波長900〜1200nmでの平均反射率が90%以上である。波長900〜1200nmでの平均反射率が大きくなるに従い、高い遮熱性能を付与することが可能となる。このような基材フィルムは、光学特性の異なる2種以上の樹脂の面内屈折率の差を大きくすることにより実現できるので、二軸延伸フィルムとする場合は結晶性である熱可塑性樹脂からなる樹脂からなる層と、延伸時に非晶性を保持もしくは熱処理工程で融解される熱可塑性樹脂からなる層が交互に積層された基材フィルムとすればよい。
また、本発明の積層フィルムに用いる基材フィルムにおいては、波長450nm以上700nm以下の平均反射率が15%以下であることが好ましく、そのためには、波長1300nm以上の帯域における最大反射率が30%以下とすることが好ましい。このような基材フィルムを用いることにより、積層フィルムにおいても、波長450nm以上700nm以下の帯域における最大反射率が30%以下とすることができる。
また、たとえ波長1300nm以上の帯域における最大反射率を30%以下としたとしても、主反射波長(λ)のλ/2nmの位置に生じる二次の反射を抑制しなければ、波長450nm以上700nm以下の平均反射率を15%以下とすることはできないため、基材フィルムに用いられる隣接する2層の光学厚み(熱可塑性樹脂の屈折率×層厚み)が等しくなるように、高度に層厚みを制御し、波長450nm以上700nm以下の平均反射率を15%以下とすることができる。高度に層厚みを制御するための方法の一例として、特開2007−307893号公報〔0053〕〜〔0056〕段に記載のごとく、複数のスリットからなるスリット板を複数枚用いたフィードブロックを用いる方法などがある。ここで用いるスリットの形状を、隣接スリットから流出される各樹脂の流量と各樹脂の屈折率の積(フィルムとしたときの光学厚みに相当する)が等しくなるように設計することにより二次の反射を抑制でき、波長450nm以上700nm以下の平均反射率を15%以下とすることができるようになる。
また、たとえ波長1300nm以上の帯域における最大反射率を30%以下としたとしても、主反射波長(λ)のλ/2nmの位置に生じる二次の反射を抑制しなければ、波長450nm以上700nm以下の平均反射率を15%以下とすることはできないため、基材フィルムに用いられる隣接する2層の光学厚み(熱可塑性樹脂の屈折率×層厚み)が等しくなるように、高度に層厚みを制御し、波長450nm以上700nm以下の平均反射率を15%以下とすることができる。高度に層厚みを制御するための方法の一例として、特開2007−307893号公報〔0053〕〜〔0056〕段に記載のごとく、複数のスリットからなるスリット板を複数枚用いたフィードブロックを用いる方法などがある。ここで用いるスリットの形状を、隣接スリットから流出される各樹脂の流量と各樹脂の屈折率の積(フィルムとしたときの光学厚みに相当する)が等しくなるように設計することにより二次の反射を抑制でき、波長450nm以上700nm以下の平均反射率を15%以下とすることができるようになる。
さらに、本発明の積層フィルムに備えられた液晶層においては、波長1300nm以上の帯域において前記液晶層に由来する反射率が30%以上であることが好ましい。得られた積層フィルムにおいても、波長1300nm以上の帯域において反射率30%以上となる反射帯域を付与することが容易となることに加えて、上記の基材フィルムと組合せることにより、積層フィルムの波長1200nm以上1400nm以下の帯域における平均反射率が30%以上とすることも容易となる。また、コレステリック液晶からなる液晶層にて波長1200nm以上の反射帯域を設ける構成とすることにより、積層フィルムで波長1200nm以上の反射帯域を設ける必要が無く、これにより波長450nm以上700nm以下の反射帯域に積層フィルムが反射を生じないものとすることができるので、高透明でありながら高い遮熱性能を付与することが可能となる。このように高い反射率の液晶層を形成するためには、基材フィルムの表面状態の調整、液晶層の形成プロセスにおける温度ならびにレベリング剤の併用などにより達成できるものである。
本発明の積層フィルムにおいては、ヘイズが3%以下であることが好ましい。この場合、特に透明性の求められる自動車や建物の窓ガラスなどにも好適に用いられるものである。ヘイズの要因としては、ポリマー多層積層フィルムを用いる基材フィルムや液晶層、バインダー層に由来することが考えられるが、特に、液晶層でのヘイズはコレステリック液晶層の配向の乱れに由来することが多く、レベリング剤の添加や、液晶層形成条件を最適化することでヘイズを抑制することが可能となる。
次に、本発明の積層フィルムの好ましい製造方法を以下に説明するが、もちろん本発明は係る例に限定して解釈されるわけではない。また、本発明の積層フィルムでは基材フィルムとして用いるポリマー多層積層フィルムの積層構造の形成自体は、特開2007−307893号公報の〔0053〕〜〔0063〕段に記載を参考とすれば実現できるものである。
まず、以下に基材フィルムの製造方法を例示する。
熱可塑性樹脂をペレットなどの形態で用意する。ペレットは、必要に応じて、熱風中あるいは真空下で乾燥された後、別々の押出機に供給される。押出機内において、融点以上に加熱溶融された樹脂は、ギヤポンプ等で樹脂の押出量を均一化され、フィルター等を介して異物や変性した樹脂などを取り除かれる。これらの樹脂はダイにて目的の形状に成形された後、吐出される。そして、ダイから吐出された多層に積層されたシートは、キャスティングドラム等の冷却体上に押し出され、冷却固化され、キャスティングフィルムが得られる。この際、ワイヤー状、テープ状、針状あるいはナイフ状等の電極を用いて、静電気力によりキャスティングドラム等の冷却体に密着させ急冷固化させることが好ましい。また、スリット状、スポット状、面状の装置からエアーを吹き出してキャスティングドラム等の冷却体に密着させ急冷固化させたり、ニップロールにて冷却体に密着させ急冷固化させる方法も好ましい。
熱可塑性樹脂をペレットなどの形態で用意する。ペレットは、必要に応じて、熱風中あるいは真空下で乾燥された後、別々の押出機に供給される。押出機内において、融点以上に加熱溶融された樹脂は、ギヤポンプ等で樹脂の押出量を均一化され、フィルター等を介して異物や変性した樹脂などを取り除かれる。これらの樹脂はダイにて目的の形状に成形された後、吐出される。そして、ダイから吐出された多層に積層されたシートは、キャスティングドラム等の冷却体上に押し出され、冷却固化され、キャスティングフィルムが得られる。この際、ワイヤー状、テープ状、針状あるいはナイフ状等の電極を用いて、静電気力によりキャスティングドラム等の冷却体に密着させ急冷固化させることが好ましい。また、スリット状、スポット状、面状の装置からエアーを吹き出してキャスティングドラム等の冷却体に密着させ急冷固化させたり、ニップロールにて冷却体に密着させ急冷固化させる方法も好ましい。
また、複数の熱可塑性樹脂からなる多層積層フィルムを作製する場合には、複数の樹脂を2台以上の押出機を用いて異なる流路から送り出し、多層積層装置に送り込まれる。多層積層装置としては、マルチマニホールドダイやフィードブロックやスタティックミキサー等を用いることができるが、特に、本発明の構成を効率よく得るためには、多数の微細スリットを有する部材を少なくとも別個に2個以上含むフィードブロックを用いることが好ましい。このようなフィードブロックを用いると、装置が極端に大型化することがないため、熱劣化による異物が少なく、積層数が極端に多い場合でも、高精度な積層が可能となる。また、幅方向の積層精度も従来技術に比較して格段に向上する。また、任意の層厚み構成を形成することも可能となる。この装置では、各層の厚みをスリットの形状(長さ、幅)で調整できるため、任意の層厚みを達成することが可能となったものである。
このようにして所望の層構成に形成した溶融多層積層体をダイへと導き、上述と同様にキャスティングフィルムが得られる。
このようにして得られたキャスティングフィルムは、二軸延伸することが好ましい。ここで、二軸延伸とは、長手方向および幅方向に延伸することをいう。延伸は、逐次に二方向に延伸しても良いし、同時に二方向に延伸してもよい。また、さらに長手方向および/または幅方向に再延伸を行ってもよい。
逐次二軸延伸の場合についてまず説明する。ここで、長手方向への延伸とは、フィルムに長手方向の分子配向を与えるための延伸を言い、通常は、ロールの周速差により施され、この延伸は1段階で行ってもよく、また、複数本のロール対を使用して多段階に行っても良い。延伸の倍率としては樹脂の種類により異なるが、通常、2〜15倍が好ましく、多層積層フィルムを構成する樹脂のいずれかにポリエチレンテレフタレートを用いた場合には、2〜7倍が特に好ましく用いられる。また、延伸温度としては多層積層フィルムを構成する樹脂のガラス転移温度〜ガラス転移温度+100℃が好ましい。
このようにして得られた一軸延伸されたフィルムに、必要に応じてコロナ処理やフレーム処理、プラズマ処理などの表面処理を施した後、易滑性、易接着性、帯電防止性などの機能をインラインコーティングにより付与してもよい。
また、幅方向の延伸とは、フィルムに幅方向の配向を与えるための延伸をいい、通常は、テンターを用いて、フィルムの両端をクリップで把持しながら搬送して、幅方向に延伸する。延伸の倍率としては樹脂の種類により異なるが、通常、2〜15倍が好ましく、多層積層フィルムを構成する樹脂のいずれかにポリエチレンテレフタレートを用いた場合には、2〜7倍が特に好ましく用いられる。また、延伸温度としては多層積層フィルムを構成する樹脂のガラス転移温度〜ガラス転移温度+120℃が好ましい。
こうして二軸延伸されたフィルムは、平面性、寸法安定性を付与するために、テンター内で延伸温度以上融点以下の熱処理を行うのが好ましい。熱処理を行うことにより、成形用フィルムの寸法安定性が向上する。このようにして熱処理された後、均一に徐冷後、室温まで冷やして巻き取られる。また、必要に応じて、熱処理から徐冷の際に弛緩処理などを併用してもよい。
また、本発明の積層フィルムにおいては、延伸後の熱処理温度を少なくとも一つの熱可塑性樹脂の融点以下であり、かつ残る熱可塑性樹脂の少なくとも一つの融点以上とすることが好ましい。この場合、一方の熱可塑性樹脂は高い配向状態を保持する一方、他方の熱可塑性樹脂の配向は緩和されるために、容易にこれらの樹脂の屈折率差を設けることができる。
同時二軸延伸の場合について次に説明する。同時二軸延伸の場合には、得られたキャストフィルムに、必要に応じてコロナ処理やフレーム処理、プラズマ処理などの表面処理を施した後、易滑性、易接着性、帯電防止性などの機能をインラインコーティングにより付与してもよい。
次に、キャストフィルムを、同時二軸テンターへ導き、フィルムの両端をクリップで把持しながら搬送して、長手方向と幅方向に同時および/または段階的に延伸する。同時二軸延伸機としては、パンタグラフ方式、スクリュー方式、駆動モーター方式、リニアモーター方式があるが、任意に延伸倍率を変更可能であり、任意の場所で弛緩処理を行うことができる駆動モーター方式もしくはリニアモーター方式が好ましい。延伸の倍率としては樹脂の種類により異なるが、通常、面積倍率として6〜50倍が好ましく、多層積層フィルムを構成する樹脂のいずれかにポリエチレンテレフタレートを用いた場合には、面積倍率として8〜30倍が特に好ましく用いられる。特に同時二軸延伸の場合には、面内の配向差を抑制するために、長手方向と幅方向の延伸倍率を同一とするとともに、延伸速度もほぼ等しくなるようにすることが好ましい。また、延伸温度としては多層積層フィルムを構成する樹脂のガラス転移温度〜ガラス転移温度+120℃が好ましい。
こうして二軸延伸されたフィルムは、平面性、寸法安定性を付与するために、引き続きテンター内で延伸温度以上融点以下の熱処理を行うのが好ましい。この熱処理の際に、幅方向での主配向軸の分布を抑制するため、熱処理ゾーンに入る直前および/あるいは直後に瞬時に長手方向に弛緩処理することが好ましい。このようにして熱処理された後、均一に徐冷後、室温まで冷やして巻き取られる。また、必要に応じて、熱処理から徐冷の際に長手方向および/あるいは幅方向に弛緩処理を行っても良い。熱処理ゾーンに入る直前および/または直後に瞬時に長手方向に弛緩処理する。
次に液晶層の形成方法を以下に記載する。
まず、液晶化合物、キラル剤、光重合開始剤やその他の添加剤などを準備し、溶媒にて溶解させて塗布液とする。ここで用いる液晶化合物、キラル剤、光重合開始剤やその他の添加剤などは、あらかじめ溶液となっているものを用いてもよい。また、ここで用いる溶媒種は特に限定されないが、その後の乾燥工程において、コレステリック液晶の配向を高めるためには乾燥温度を高くかつ乾燥速度を制御する必要があるため、沸点の異なる2種類以上の溶媒を混合して使用することも好ましい。溶媒の例を挙げれば、炭化水素系溶剤としては、トルエン、ノルマルヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ノルマルヘプタン等を挙げることができ、ケトン系溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)等を挙げることができ、エステル系溶剤としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル等を挙げることができ、エーテル系溶剤としては、1,4−ジオキサン等を挙げることができる。
続いて、基材フィルム上に上記で調整した塗布液をコーティングする。ここでは、コーティングの方法は特に限定されるものではないが、ワイヤーバーコーティング法、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、ダイコーティング法等の種々の方法によって行うことができる。また、インクジェット装置を用いて、液晶組成物をノズルから吐出して、塗膜を形成することもできる。
このようにして塗布液がコーティングされた基材フィルムを、オーブンなどを用いて乾燥する。ここで乾燥温度をコレステリック液晶へ相転移するために必要な温度まで高めることが好ましい。相転移温度以上に加熱することにより、コレステリック液晶が形成される。また、乾燥後も形成されたコレステリック液晶が再び相転移してネマチック液晶とならないように、温度管理する必要がある。したがって、用いられる液晶性化合物は、加熱においては10℃以上150℃以下の温度の温度範囲にてコレステリック液晶へと相転移するものが好ましく、一方で、冷却時は、少なくとも30℃以下の温度まではネマチック液晶への相転移しないものであることが好ましい。
続いて、液晶層がコレステリック状態となっている積層フィルムに紫外線や電子線などを照射することにより、樹脂を硬化させる。本工程においても上述のとおりコレステリック液晶からネマチック液晶へと相転移しないように温度管理を行う必要がある。このようにして、基材フィルム上に液晶層が形成できるものである。
次に、バインダー層の形成方法を次に示す。
まず、イソシアネート基含有化合物、ポリオールやその他のポリエステル、熱線吸収粒子、添加剤などを準備し、溶媒にて溶解させて塗布液とする。なお、イソシアネート化合物やポリオール、ポリエステルなどはあらかじめ溶液として準備されているものを用いてもよく、特に熱線吸収粒子については、あらかじめスラリーとして完全に粒子が微分散したものを用いることが好ましい。また、ここで用いる溶媒種は特に限定されず、溶媒の例を挙げれば、炭化水素系溶剤としては、トルエン、ノルマルヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ノルマルヘプタン等を挙げることができ、ケトン系溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)等を挙げることができ、エステル系溶剤としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル等を挙げることができ、エーテル系溶剤としては、1,4−ジオキサン等を挙げることができる。ただし、熱線吸収粒子が凝集しない溶媒、濃度を選択する必要がある。より好ましくは、溶媒の沸点が120℃以下である。高沸点溶媒を用いた場合には、高温で乾燥させる必要が生じるが、乾燥工程において、基材フィルムの光学・機械物性が変化し、遮熱部材に用いる際に不具合が生じる可能性がある。ここで、溶媒の沸点が120℃以下であれば、乾燥工程においても基材フイルムの光学・機械物性の変化を抑制できるようになる。より好ましくは、沸点が100℃以下である。100℃以下であれば、基材フィルムのガラス転移温度に近い温度となり、光学・機械物性の変化はほぼ抑制され、遮熱部材として用いるのに適当なものとなる。
続いて液晶層上に上記で調整した塗布液をコーティングする。ここでは、コーティングの方法は特に限定されるものではないが、ワイヤーバーコーティング法、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、ダイコーティング法等の種々の方法によって行うことができる。また、インクジェット装置を用いて、液晶組成物をノズルから吐出して、塗膜を形成することもできる。
このようにして塗布液がコーティングされた積層フィルムを、オーブンなどを用いて乾燥する。ここでの乾燥温度は、150℃以下であることが好ましく、より好ましくは120℃以下、さらに好ましくは100℃以下である。上述のとおり、乾燥温度が高くなるに従い、基材フィルムの光学・機械物性が変化し、遮熱部材に用いる際に不具合が生じる可能性があるが、乾燥温度を低温化することで、基材フィルムの光学・機械特性の変化を抑制することが容易となる。また、乾燥時に少なくとも一方向に張力がかかった状態で乾燥することが好ましい。このように基材フィルムに張力のかかった状態で乾燥することにより、乾燥時の基材フィルムの光学・機械特性の変化の抑制が容易になる。
また、場合によっては、乾燥後に光硬化・電子硬化させることも可能である。光硬化性または電子硬化性樹脂を併用することで、より短時間でバインダー層を固定することが可能となるため、生産性向上や密着性などの性能が安定化する。
次に、本発明の積層フィルムを用いて合わせガラスを作製する際の一例を以下に示す。
用いるガラスについては、特に制限されるものではなく、透明ガラスや強化ガラス、熱線吸収ガラスなどから自由に選択できる。また、形状も平面であっても曲面であってもよい。特に、本発明の積層フィルムと組合せる場合においては、クリアガラスを用いることにより、コストや性能安定性などの観点から好ましい。
また、用いる中間膜においては、ポリビニルアルコール、ポリブチルビニラール、エチレン−ビニルアルコール共重合体のいずれかから選択される。これらの中間膜においては、ガラスとの適当な密着性を備えていることから、合わせガラスを作製するために適当である。中間膜の物性は、組成や添加剤などで自由に選択できるものであり、一般的な合わせガラスに用いられるものであれば利用可能である。また、中間膜は透明であっても熱線吸収粒子を含んでもよいが、特に本発明の積層フィルムと組み合わせる場合においては、透明な中間膜であることがコストや性能安定性などの観点から好ましい。
まず、2枚のガラスを適したサイズにカットとし、一方のガラス上に、中間膜、カットした積層フィルム、中間膜、他方のガラスを配置したのち、120℃真空下で1時間程度加熱して仮圧着する。続いて、140℃、1.5MPaまで加圧、加熱した状態で30分保持することに本接着し、遮熱部材を得るものである。
このようにして得られた遮熱部材は、透明度が高く、遮熱性に優れるために、特に自動車や電車、建物などに用いる窓ガラスなどに好適なものである。
以下、本発明の積層フィルムの実施例を用いて説明する。
[物性の測定方法ならびに効果の評価方法]
特性値の評価方法ならびに効果の評価方法は次の通りである。
[物性の測定方法ならびに効果の評価方法]
特性値の評価方法ならびに効果の評価方法は次の通りである。
(1)層厚み、積層数、積層構造
フィルムの層構成は、ミクロトームを用いて断面を切り出したサンプルについて、透過型電子顕微鏡(TEM)観察により求めた。すなわち、透過型電子顕微鏡H−7100FA型((株)日立製作所製)を用い、加速電圧75kVの条件でフィルムの断面を10000〜40000倍に拡大観察し、断面写真を撮影、層構成および各層厚みを測定した。尚、場合によっては、コントラストを高く得るために、公知のRuO4やOsO4などを使用した染色技術を用いた。
フィルムの層構成は、ミクロトームを用いて断面を切り出したサンプルについて、透過型電子顕微鏡(TEM)観察により求めた。すなわち、透過型電子顕微鏡H−7100FA型((株)日立製作所製)を用い、加速電圧75kVの条件でフィルムの断面を10000〜40000倍に拡大観察し、断面写真を撮影、層構成および各層厚みを測定した。尚、場合によっては、コントラストを高く得るために、公知のRuO4やOsO4などを使用した染色技術を用いた。
(2)反射率・透過率
5cm×5cmで切り出したサンプルを日立製作所製 分光光度計(U−4100 Spectrophotomater)に付属の積分球を用いた基本構成で反射率測定を行った。反射率測定では、装置付属の酸化アルミニウムの副白板を基準として測定した。反射率測定では、サンプルの長手方向を上下方向にして、積分球の後ろに設置した。測定条件:スリットは2nm(可視)/自動制御(赤外)とし、ゲインは2と設定し、走査速度を600nm/分で測定し、方位角0度における反射率を得た。また、熱線吸収粒子を含有させたバインダー層を設けた場合には、光の入射面が熱線吸収粒子を含有したバインダー層とは反対面から入射して、反射率・透過率を測定する。また、日射反射率、日射透過率は、JIS A5759(2008)に従い算出した。
5cm×5cmで切り出したサンプルを日立製作所製 分光光度計(U−4100 Spectrophotomater)に付属の積分球を用いた基本構成で反射率測定を行った。反射率測定では、装置付属の酸化アルミニウムの副白板を基準として測定した。反射率測定では、サンプルの長手方向を上下方向にして、積分球の後ろに設置した。測定条件:スリットは2nm(可視)/自動制御(赤外)とし、ゲインは2と設定し、走査速度を600nm/分で測定し、方位角0度における反射率を得た。また、熱線吸収粒子を含有させたバインダー層を設けた場合には、光の入射面が熱線吸収粒子を含有したバインダー層とは反対面から入射して、反射率・透過率を測定する。また、日射反射率、日射透過率は、JIS A5759(2008)に従い算出した。
(3)熱可塑性樹脂A,Bの屈折率
JIS K7142(1996)A法に従って測定した。
JIS K7142(1996)A法に従って測定した。
(4)表面自由エネルギー
測定液として、水、エチレングリコ−ル、ホルムアミド、及びヨウ化メチレンの4種類の
液体を用い、協和界面化学(株)製接触角計CA−D型を用いて、各液体のフィルム表面
に対する静的接触角を求めた。各々の液体について得られた接触角(θ)と測定液の表面張力の
各成分を下式にそれぞれ代入し4つの式からなる連立方程式をγSd ,γSp,γShについ
て解いた。
測定液として、水、エチレングリコ−ル、ホルムアミド、及びヨウ化メチレンの4種類の
液体を用い、協和界面化学(株)製接触角計CA−D型を用いて、各液体のフィルム表面
に対する静的接触角を求めた。各々の液体について得られた接触角(θ)と測定液の表面張力の
各成分を下式にそれぞれ代入し4つの式からなる連立方程式をγSd ,γSp,γShについ
て解いた。
(γSdγLd )1/2 + (γSp γLp)1/2 +(γSh γLh )1/2 =γL(1+COS θ)/2
但し、γS =γSd +γSp +γSh
γL =γLd +γLp +γLh
γS 、γSd 、γSp 、γSh はそれぞれフィルム表面の表面自由エネルギー、分散力成
分、極性力成分、水素結合成分を、またγL 、γLd 、γLp、γLhは用いた測定液のそれ
ぞれ表面自由エネルギー、分散力成分、極性力成分、水素結合成分を表わすものとる。こ
こで、用いた各液体の表面張力は、Panzer(J.Panzer,J.Colloi
d Interface Sci.,44,142(1973)によって提案された値を用
いた。
但し、γS =γSd +γSp +γSh
γL =γLd +γLp +γLh
γS 、γSd 、γSp 、γSh はそれぞれフィルム表面の表面自由エネルギー、分散力成
分、極性力成分、水素結合成分を、またγL 、γLd 、γLp、γLhは用いた測定液のそれ
ぞれ表面自由エネルギー、分散力成分、極性力成分、水素結合成分を表わすものとる。こ
こで、用いた各液体の表面張力は、Panzer(J.Panzer,J.Colloi
d Interface Sci.,44,142(1973)によって提案された値を用
いた。
(5)剥離強度
合わせガラス作製後、バインダー層を設けていない側のガラスを200mm×50mmのサイズで取り除いた。その後、取り除いた箇所を150mm×25mmにてガラス以外をカットしたのちに、カットした端部からバインダー層側の中間膜とバインダー層との界面を強制剥離した。その後、測定装置として、(株)東洋ボールドウィン製の万能型引張試験機UTM-4-100を用いて、引っ張り速度100mm/分、90°剥離にて、引き剥がし荷重を測定した。
合わせガラス作製後、バインダー層を設けていない側のガラスを200mm×50mmのサイズで取り除いた。その後、取り除いた箇所を150mm×25mmにてガラス以外をカットしたのちに、カットした端部からバインダー層側の中間膜とバインダー層との界面を強制剥離した。その後、測定装置として、(株)東洋ボールドウィン製の万能型引張試験機UTM-4-100を用いて、引っ張り速度100mm/分、90°剥離にて、引き剥がし荷重を測定した。
(6)ヘイズ
積層フィルムを5cm×5cmの寸法に切り出したものをサンプルとした。装置はヘイズメータ(スガ試験機製HGM−2DP(C光用))を用いて測定した。この場合のキャリブレーションは、サンプルを入れないブランク状態で実施した。
積層フィルムを5cm×5cmの寸法に切り出したものをサンプルとした。装置はヘイズメータ(スガ試験機製HGM−2DP(C光用))を用いて測定した。この場合のキャリブレーションは、サンプルを入れないブランク状態で実施した。
(7)赤外線反射率
積層フィルムを5cm×5cmの寸法に切り出したものをサンプルとした。装置はThermo Fisher Scientific (株)製 AVATAR 360 FT−IRを用い、装置内を窒素パージして測定した。得られた測定結果について、波長2270cm−1と波長2970cm−1での強度の比較を実施した。
積層フィルムを5cm×5cmの寸法に切り出したものをサンプルとした。装置はThermo Fisher Scientific (株)製 AVATAR 360 FT−IRを用い、装置内を窒素パージして測定した。得られた測定結果について、波長2270cm−1と波長2970cm−1での強度の比較を実施した。
(8)熱可塑性樹脂の屈折率
各熱可塑性樹脂のみからなるフィルムまたはシートを用いて、JIS K7142(1996)A法に従って測定した。
各熱可塑性樹脂のみからなるフィルムまたはシートを用いて、JIS K7142(1996)A法に従って測定した。
(9)熱可塑性樹脂のガラス転移点、融点
成形用フィルムの一部からサンプリングを行い、示差熱量分析(DSC)を用いてJIS−K−7122(1987年)に従って測定・算出した。なお、まず、はじめに1st Runで、25℃から290℃まで20℃/min.で昇温した後、290℃で5分間ホールドした後、25℃まで急冷した。またつづく2nd Runでは、25℃から290℃まで20℃/min.で昇温した。樹脂のガラス転移温度・融点は2nd Runにおける値を用いた。
装置:セイコー電子工業(株)製”ロボットDSC−RDC220”
データ解析”ディスクセッションSSC/5200”
サンプル質量:5mg。
成形用フィルムの一部からサンプリングを行い、示差熱量分析(DSC)を用いてJIS−K−7122(1987年)に従って測定・算出した。なお、まず、はじめに1st Runで、25℃から290℃まで20℃/min.で昇温した後、290℃で5分間ホールドした後、25℃まで急冷した。またつづく2nd Runでは、25℃から290℃まで20℃/min.で昇温した。樹脂のガラス転移温度・融点は2nd Runにおける値を用いた。
装置:セイコー電子工業(株)製”ロボットDSC−RDC220”
データ解析”ディスクセッションSSC/5200”
サンプル質量:5mg。
(実施例1)
まず、基材フィルムを以下のとおり作製した。
光学特性の異なる2種類の熱可塑性樹脂として、熱可塑性樹脂Aと熱可塑性樹脂Bを準備した。熱可塑性樹脂Aとして、固有粘度が0.65のポリエチレンテレフタレート(PET)を用いた。この熱可塑性樹脂Aは結晶性樹脂であり、フィルム化した後の面内平均屈折率は1.66、融点256℃であった。また熱可塑性樹脂Bとして全グリコール成分に対してスピログリコール25mol%、シクロヘキサンジカルボン酸30mol%共重合したエチレンテレフタレート(PE/SPG・T/CHDC)を用いた。なお、この熱可塑性樹脂Bの固有粘度は0.72の非晶性樹脂で、フィルム化した後の面内平均屈折率は1.55であった。準備した熱可塑性樹脂Aおよび熱可塑性樹脂Bをそれぞれ、2台の単軸押出機に投入し、280℃で溶融させて、混練した。次いで、それぞれ、FSSタイプのリーフディスクフィルタを5枚介した後、ギアポンプにて、フィルムの厚膜層を除いた光学厚みの比が熱可塑性樹脂A/熱可塑性樹脂B=1になるように計量しながら、スリット数301個のスリットプレートを2枚用いた構成である601層積層装置にて合流させて、厚み方向に交互に601層積層された積層体とした。積層体とする方法は、特開2007−307893号公報〔0053〕〜〔0056〕段の記載に従って行った。なお、A層同士を重ね合わせて形成する層があるため、スリットプレート内の間隙数は、602個となる。また、波長1200nm以下の反射帯域をポリマー多層積層とし、かつ波長900nm1200nm以下の平均反射率が70%以上とするために、以下の工程を経て得られた積層フィルムの層厚み分布が図1のごときになるように設計されたスリット設計されたものである。
まず、基材フィルムを以下のとおり作製した。
光学特性の異なる2種類の熱可塑性樹脂として、熱可塑性樹脂Aと熱可塑性樹脂Bを準備した。熱可塑性樹脂Aとして、固有粘度が0.65のポリエチレンテレフタレート(PET)を用いた。この熱可塑性樹脂Aは結晶性樹脂であり、フィルム化した後の面内平均屈折率は1.66、融点256℃であった。また熱可塑性樹脂Bとして全グリコール成分に対してスピログリコール25mol%、シクロヘキサンジカルボン酸30mol%共重合したエチレンテレフタレート(PE/SPG・T/CHDC)を用いた。なお、この熱可塑性樹脂Bの固有粘度は0.72の非晶性樹脂で、フィルム化した後の面内平均屈折率は1.55であった。準備した熱可塑性樹脂Aおよび熱可塑性樹脂Bをそれぞれ、2台の単軸押出機に投入し、280℃で溶融させて、混練した。次いで、それぞれ、FSSタイプのリーフディスクフィルタを5枚介した後、ギアポンプにて、フィルムの厚膜層を除いた光学厚みの比が熱可塑性樹脂A/熱可塑性樹脂B=1になるように計量しながら、スリット数301個のスリットプレートを2枚用いた構成である601層積層装置にて合流させて、厚み方向に交互に601層積層された積層体とした。積層体とする方法は、特開2007−307893号公報〔0053〕〜〔0056〕段の記載に従って行った。なお、A層同士を重ね合わせて形成する層があるため、スリットプレート内の間隙数は、602個となる。また、波長1200nm以下の反射帯域をポリマー多層積層とし、かつ波長900nm1200nm以下の平均反射率が70%以上とするために、以下の工程を経て得られた積層フィルムの層厚み分布が図1のごときになるように設計されたスリット設計されたものである。
得られたキャストフィルムを、75℃に設定したロール群で加熱した後、延伸区間長100mmの間で、フィルム両面からラジエーションヒーターにより急速加熱しながら、縦方向に3.3倍延伸し、その後一旦冷却した。つづいて、この一軸延伸フィルムの両面に空気中でコロナ放電処理を施し、基材フィルムの濡れ張力を55mN/mとし、その処理面に(ガラス転移温度が18℃のポリエステル樹脂)/(ガラス転移温度が82℃のポリエステル樹脂)/数平均粒子径100nmのシリカ粒子からなる積層形成膜塗液を塗布し、透明・易滑・易接着層を形成した。
この一軸延伸フィルムをテンターに導き、100℃の熱風で予熱後、110℃の温度で横方向に3.5倍延伸した。延伸したフィルムは、そのまま、テンター内で240℃の熱風にて熱処理を行い、続いて同温度条件で幅方向に2%の弛緩処理を、さらに100度まで急冷した後に幅方向に5%の弛緩処理を施し、その後、巻き取り積層フィルムを得た。得られたフィルムは、おもに800〜1100nmに主となる反射帯域を備えたフィルムであった。
続いて、コレステリック液晶からなる液晶を形成するために、棒状ネマチック液晶化合物40重量部に対して、右旋光性キラル材料0.86重量部、光重合開始剤1.5重量部、MEK58重量部を混合し塗材を調整した。この塗材をワイヤーバーコーターにて上述の積層フィルムの一方の面上にコーティングしたのち、120℃1分間乾燥させ、UV処理して液晶層とした。得られた液晶層の厚みは5.0μmであった。
続いて、バインダー層を形成するための塗材として、ポリエステル化合物100重量部に対してヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体からなるイソシアネート化合物を60重量部含んでおり、かつ固形部濃度を40%と調整した塗材を調整し、その塗材にさらにセシウム酸化タングステン粒子Cs0.33WO3の固形濃度18.5%のスラリーを重量比3:5の割合で添加してバインダー層形成用の塗材とした。これらの塗材をワイヤーバーコーターにて液晶層上にコーティングしたのち、120℃2分間乾燥させ、23℃65Rh%の雰囲気下で1週間エージングしてバインダー層とした。得られたバインダー層の厚みは2.3μmであった。
得られた積層フィルムを用い、100mm×100mm×2mmの板ガラス2枚、厚み100mm×100mm×0.78mmのポリビニルブチラール2枚との間に積層フィルムを挟んだ上で、100℃真空条件下で20分間加熱圧着し、合わせガラスを作成した。
得られた積層フィルムならびに合わせガラスは液晶層のない場合と比較して高い遮熱性能を示すとともに優れた中間膜との密着性を備えたものであった。評価結果を表1に示す。
得られた積層フィルムならびに合わせガラスは液晶層のない場合と比較して高い遮熱性能を示すとともに優れた中間膜との密着性を備えたものであった。評価結果を表1に示す。
(実施例2)
積層装置として、スリット数201個のスリットプレートを2枚用いた構成である401層積層装置を用いた以外は、実施例1と同様に積層フィルムならびに合わせガラスを得た。
得られた積層フィルムならびに合わせガラスは実施例1と同様の中間膜との密着性を備えているものの、遮熱性能は実施例1よりも若干劣るものであった。評価結果を表1に示す。
積層装置として、スリット数201個のスリットプレートを2枚用いた構成である401層積層装置を用いた以外は、実施例1と同様に積層フィルムならびに合わせガラスを得た。
得られた積層フィルムならびに合わせガラスは実施例1と同様の中間膜との密着性を備えているものの、遮熱性能は実施例1よりも若干劣るものであった。評価結果を表1に示す。
(実施例3)
液晶層を以下に示す方法で設けた以外は、実施例1と同様に積層フィルム及び合わせガラスを得た。
液晶層を形成するための塗材として、棒状ネマチック液晶化合物40重量部に対して、右旋光性のキラル材料0.90重量部、光重合開始剤1.5重量部、MEK58重量部を混合し塗材を調整した。この塗材をワイヤーバーコーターにて積層フィルムの一方の面上にコーティングしたのち、120℃1分間乾燥させ、UV処理して1層目の液晶層とした。続いて、棒状ネマチック液晶化合物40重量部に対して、右旋光性キラル材料0.82重量部、光重合開始剤1.5重量部、MEK58重量部を混合して調整した塗材を用い同様に先ほど設けた1層目の液晶層上にコーティングして2層目の液晶層を形成し、あわせて液晶層とした。得られた液晶層の厚みは10.0μmであった。
得られた積層フィルムならびに合わせガラスは実施例1よりも高い遮熱性能を示すとともに優れた中間膜との密着性を備えたものであった。評価結果を表1に示す。
液晶層を以下に示す方法で設けた以外は、実施例1と同様に積層フィルム及び合わせガラスを得た。
液晶層を形成するための塗材として、棒状ネマチック液晶化合物40重量部に対して、右旋光性のキラル材料0.90重量部、光重合開始剤1.5重量部、MEK58重量部を混合し塗材を調整した。この塗材をワイヤーバーコーターにて積層フィルムの一方の面上にコーティングしたのち、120℃1分間乾燥させ、UV処理して1層目の液晶層とした。続いて、棒状ネマチック液晶化合物40重量部に対して、右旋光性キラル材料0.82重量部、光重合開始剤1.5重量部、MEK58重量部を混合して調整した塗材を用い同様に先ほど設けた1層目の液晶層上にコーティングして2層目の液晶層を形成し、あわせて液晶層とした。得られた液晶層の厚みは10.0μmであった。
得られた積層フィルムならびに合わせガラスは実施例1よりも高い遮熱性能を示すとともに優れた中間膜との密着性を備えたものであった。評価結果を表1に示す。
(実施例4)
液晶層とバインダー層を以下に示す方法で設けた以外は、実施例1と同様に積層フィルム及び合わせガラスを得た。
液晶層を形成するための塗材として、棒状ネマチック液晶化合物40重量部に対して、右旋光性のキラル材料0.90重量部、光重合開始剤1.5重量部、MEK58重量部を混合し塗材を調整した(塗材A)。また、棒状ネマチック液晶化合物40重量部に対して、右旋光性キラル材料0.82重量部、光重合開始剤1.5重量部、MEK58重量部を混合した塗材を調整した(塗材B)。この塗材Aをワイヤーバーコーターにて積層フィルムの一方の面上にコーティングし、塗材Bを積層フィルムの塗材Aをコーティングした面の反対面上にコーティングした後、120℃1分間乾燥させ、UV処理して液晶層とした。得られた液晶層の厚みは各表面の液晶層各々が5.0μmであった。
続いて、バインダー層を形成するための塗材として、ポリエステル化合物100重量部に対してヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体からなるイソシアネート化合物を60重量部含んでおり、かつ固形部濃度を40%と調整した塗材を調整し、その塗材にさらにセシウム酸化タングステン粒子Cs0.33WO3の固形濃度18.5%のスラリーを重量比3:5の割合で添加して調整した塗材(塗材C)と、ポリエステル化合物100重量部に対してヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体からなるイソシアネート化合物を60重量部含んでおり、かつ固形部濃度を40%と調整した塗材(塗材D)を準備した。これらの塗材をワイヤーバーコーターにて塗材Cは塗材Aから設けた液晶層上に、塗材Dは塗材Bから設けた液晶層上にコーティングしたのち、120℃2分間乾燥させ、23℃65Rh%の雰囲気下で1週間エージングしてバインダー層とした。得られたバインダー層の厚みは2.3μmであった。
得られた積層フィルムならびに合わせガラスは実施例1よりも高い遮熱性能を示すとともに優れた中間膜との密着性を備えたものであった。評価結果を表1に示す。
液晶層とバインダー層を以下に示す方法で設けた以外は、実施例1と同様に積層フィルム及び合わせガラスを得た。
液晶層を形成するための塗材として、棒状ネマチック液晶化合物40重量部に対して、右旋光性のキラル材料0.90重量部、光重合開始剤1.5重量部、MEK58重量部を混合し塗材を調整した(塗材A)。また、棒状ネマチック液晶化合物40重量部に対して、右旋光性キラル材料0.82重量部、光重合開始剤1.5重量部、MEK58重量部を混合した塗材を調整した(塗材B)。この塗材Aをワイヤーバーコーターにて積層フィルムの一方の面上にコーティングし、塗材Bを積層フィルムの塗材Aをコーティングした面の反対面上にコーティングした後、120℃1分間乾燥させ、UV処理して液晶層とした。得られた液晶層の厚みは各表面の液晶層各々が5.0μmであった。
続いて、バインダー層を形成するための塗材として、ポリエステル化合物100重量部に対してヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体からなるイソシアネート化合物を60重量部含んでおり、かつ固形部濃度を40%と調整した塗材を調整し、その塗材にさらにセシウム酸化タングステン粒子Cs0.33WO3の固形濃度18.5%のスラリーを重量比3:5の割合で添加して調整した塗材(塗材C)と、ポリエステル化合物100重量部に対してヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体からなるイソシアネート化合物を60重量部含んでおり、かつ固形部濃度を40%と調整した塗材(塗材D)を準備した。これらの塗材をワイヤーバーコーターにて塗材Cは塗材Aから設けた液晶層上に、塗材Dは塗材Bから設けた液晶層上にコーティングしたのち、120℃2分間乾燥させ、23℃65Rh%の雰囲気下で1週間エージングしてバインダー層とした。得られたバインダー層の厚みは2.3μmであった。
得られた積層フィルムならびに合わせガラスは実施例1よりも高い遮熱性能を示すとともに優れた中間膜との密着性を備えたものであった。評価結果を表1に示す。
(実施例5)
液晶層を以下に示す方法で設けた以外は、実施例1と同様に積層フィルムならびに合わせガラスを得た。
液晶層を形成するための塗材として、棒状ネマチック液晶化合物40重量部に対して、右旋光性キラル材料0.90重量部、光重合開始剤1.5重量部、MEK58重量部を混合し塗材を調整した。この塗材をワイヤーバーコーターにて積層フィルムの一方の面上にコーティングしたのち、120℃1分間乾燥させ、UV処理して1層目の液晶層とした。続いて、棒状ネマチック液晶化合物40重量部に対して、右旋光性キラル材料0.82重量部、光重合開始剤1.5重量部、MEK58重量部を混合して調整した塗材を用い上記で設けた1層目の液晶層上に同様に2層目の液晶層を形成した。
得られた液晶層の上、棒状ネマチック液晶化合物40重量部に対して、左旋光性キラル材料0.51重量部、光重合開始剤1.5重量部、MEK58重量部を混合して調整した塗材と、棒状ネマチック液晶化合物40重量部に対して、左旋光性キラル材料0.55重量部、光重合開始剤1.5重量部、MEK58重量部を混合して調整した塗材を用い同様に先に設けた液晶層上に3層目、4層目の液晶層を形成し、あわせて液晶層とした。得られた液晶層の厚みは20.8μmであった。
得られた積層フィルムならびに合わせガラスは実施例3よりも高い遮熱性能を示すとともに優れた中間膜との密着性を備えたものであった。評価結果を表1に示す
(実施例6)
バインダー層を以下に示す方法で設けた以外は、実施例3と同様に積層フィルムならびに合わせガラスを得た。
バインダー層を形成するための塗材として、ポリエステル化合物100重量部に対してヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体からなるイソシアネート化合物を60重量部含んでおり、かつ固形部濃度を40%と調整した塗材を調整した。これらの塗材をワイヤーバーコーターにて液晶層上にコーティングしたのち、120℃2分間乾燥させ、23℃65Rh%の雰囲気下で1週間エージングしてバインダー層とした。得られたバインダー層の厚みは2.3μmであった。
得られた積層フィルムならびに合わせガラスは実施例3と同様の中間膜との密着性を備えているものの、遮熱性能は実施例3よりも大幅に劣るものであった。評価結果を表1に示す。
液晶層を以下に示す方法で設けた以外は、実施例1と同様に積層フィルムならびに合わせガラスを得た。
液晶層を形成するための塗材として、棒状ネマチック液晶化合物40重量部に対して、右旋光性キラル材料0.90重量部、光重合開始剤1.5重量部、MEK58重量部を混合し塗材を調整した。この塗材をワイヤーバーコーターにて積層フィルムの一方の面上にコーティングしたのち、120℃1分間乾燥させ、UV処理して1層目の液晶層とした。続いて、棒状ネマチック液晶化合物40重量部に対して、右旋光性キラル材料0.82重量部、光重合開始剤1.5重量部、MEK58重量部を混合して調整した塗材を用い上記で設けた1層目の液晶層上に同様に2層目の液晶層を形成した。
得られた液晶層の上、棒状ネマチック液晶化合物40重量部に対して、左旋光性キラル材料0.51重量部、光重合開始剤1.5重量部、MEK58重量部を混合して調整した塗材と、棒状ネマチック液晶化合物40重量部に対して、左旋光性キラル材料0.55重量部、光重合開始剤1.5重量部、MEK58重量部を混合して調整した塗材を用い同様に先に設けた液晶層上に3層目、4層目の液晶層を形成し、あわせて液晶層とした。得られた液晶層の厚みは20.8μmであった。
得られた積層フィルムならびに合わせガラスは実施例3よりも高い遮熱性能を示すとともに優れた中間膜との密着性を備えたものであった。評価結果を表1に示す
(実施例6)
バインダー層を以下に示す方法で設けた以外は、実施例3と同様に積層フィルムならびに合わせガラスを得た。
バインダー層を形成するための塗材として、ポリエステル化合物100重量部に対してヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体からなるイソシアネート化合物を60重量部含んでおり、かつ固形部濃度を40%と調整した塗材を調整した。これらの塗材をワイヤーバーコーターにて液晶層上にコーティングしたのち、120℃2分間乾燥させ、23℃65Rh%の雰囲気下で1週間エージングしてバインダー層とした。得られたバインダー層の厚みは2.3μmであった。
得られた積層フィルムならびに合わせガラスは実施例3と同様の中間膜との密着性を備えているものの、遮熱性能は実施例3よりも大幅に劣るものであった。評価結果を表1に示す。
(実施例7)
バインダー層を以下に示す方法で設けた以外は、実施例3と同様に積層フィルムならびに合わせガラスを得た。
バインダー層を形成するための塗材として、ポリエステル化合物100重量部に対してキシレンジイソシアネートのアダクト体からなるイソシアネート化合物を30重量部含んでおり、かつ固形部濃度を40%と調整した塗材を調整し調整し、その塗材にさらにセシウム酸化タングステン粒子Cs0.33WO3の固形濃度18.5%のスラリーを重量比3:5の割合で添加してバインダー層形成用の塗材とした。これらの塗材をワイヤーバーコーターにて液晶層上にコーティングしたのち、120℃2分間乾燥させ、23℃65Rh%の雰囲気下で1週間エージングしてバインダー層とした。得られたバインダー層の厚みは2.3μmであった。
得られた積層フィルムならびに合わせガラスは高い遮熱性能を示すとともに優れた中間膜との密着性を備えたものであったが、中間膜との密着性について実施例3よりは劣るものであった。評価結果を表1に示す。
バインダー層を以下に示す方法で設けた以外は、実施例3と同様に積層フィルムならびに合わせガラスを得た。
バインダー層を形成するための塗材として、ポリエステル化合物100重量部に対してキシレンジイソシアネートのアダクト体からなるイソシアネート化合物を30重量部含んでおり、かつ固形部濃度を40%と調整した塗材を調整し調整し、その塗材にさらにセシウム酸化タングステン粒子Cs0.33WO3の固形濃度18.5%のスラリーを重量比3:5の割合で添加してバインダー層形成用の塗材とした。これらの塗材をワイヤーバーコーターにて液晶層上にコーティングしたのち、120℃2分間乾燥させ、23℃65Rh%の雰囲気下で1週間エージングしてバインダー層とした。得られたバインダー層の厚みは2.3μmであった。
得られた積層フィルムならびに合わせガラスは高い遮熱性能を示すとともに優れた中間膜との密着性を備えたものであったが、中間膜との密着性について実施例3よりは劣るものであった。評価結果を表1に示す。
(実施例8)
バインダー層を以下に示す方法で設けた以外は、実施例3と同様に積層フィルムならびに合わせガラスを得た。
バインダー層を形成するための塗材として、ポリエステル化合物100重量部に対してトリリンジイソシアネートのアダクト体からなるイソシアネート化合物を30重量部含んでおり、かつ固形部濃度を40%と調整した塗材を調整し調整し、その塗材にさらにセシウム酸化タングステン粒子Cs0.33WO3の固形濃度18.5%のスラリーを重量比3:5の割合で添加してバインダー層形成用の塗材とした。これらの塗材をワイヤーバーコーターにて液晶層上にコーティングしたのち、120℃2分間乾燥させ、23℃65Rh%の雰囲気下で1週間エージングしてバインダー層とした。得られたバインダー層の厚みは2.3μmであった。
得られた積層フィルムならびに合わせガラスは高い遮熱性能を示すとともに優れた中間膜との密着性を備えたものであったが、中間膜との密着性について実施例3よりは劣るものであった。評価結果を表1に示す。
バインダー層を以下に示す方法で設けた以外は、実施例3と同様に積層フィルムならびに合わせガラスを得た。
バインダー層を形成するための塗材として、ポリエステル化合物100重量部に対してトリリンジイソシアネートのアダクト体からなるイソシアネート化合物を30重量部含んでおり、かつ固形部濃度を40%と調整した塗材を調整し調整し、その塗材にさらにセシウム酸化タングステン粒子Cs0.33WO3の固形濃度18.5%のスラリーを重量比3:5の割合で添加してバインダー層形成用の塗材とした。これらの塗材をワイヤーバーコーターにて液晶層上にコーティングしたのち、120℃2分間乾燥させ、23℃65Rh%の雰囲気下で1週間エージングしてバインダー層とした。得られたバインダー層の厚みは2.3μmであった。
得られた積層フィルムならびに合わせガラスは高い遮熱性能を示すとともに優れた中間膜との密着性を備えたものであったが、中間膜との密着性について実施例3よりは劣るものであった。評価結果を表1に示す。
(実施例9)
バインダー層を以下に示す方法で設けた以外は、実施例3と同様に積層フィルムならびに合わせガラスを得た。
バインダー層を形成するための塗材として、ポリエステル化合物100重量部に対してキシレンジイソシアネートのイソシアヌレート体からなるイソシアネート化合物を30重量部含んでおり、かつ固形部濃度を40%と調整した塗材を調整し調整し、その塗材にさらにセシウム酸化タングステン粒子Cs0.33WO3の固形濃度18.5%のスラリーを重量比3:5の割合で添加してバインダー層形成用の塗材とした。これらの塗材をワイヤーバーコーターにて液晶層上にコーティングしたのち、120℃2分間乾燥させ、23℃65Rh%の雰囲気下で1週間エージングしてバインダー層とした。得られたバインダー層の厚みは2.3μmであった。
得られた積層フィルムならびに合わせガラスは高い遮熱性能を示すとともに優れた中間膜との密着性を備えたものであったが、中間膜との密着性について実施例3よりは劣るものであった。評価結果を表1に示す。
バインダー層を以下に示す方法で設けた以外は、実施例3と同様に積層フィルムならびに合わせガラスを得た。
バインダー層を形成するための塗材として、ポリエステル化合物100重量部に対してキシレンジイソシアネートのイソシアヌレート体からなるイソシアネート化合物を30重量部含んでおり、かつ固形部濃度を40%と調整した塗材を調整し調整し、その塗材にさらにセシウム酸化タングステン粒子Cs0.33WO3の固形濃度18.5%のスラリーを重量比3:5の割合で添加してバインダー層形成用の塗材とした。これらの塗材をワイヤーバーコーターにて液晶層上にコーティングしたのち、120℃2分間乾燥させ、23℃65Rh%の雰囲気下で1週間エージングしてバインダー層とした。得られたバインダー層の厚みは2.3μmであった。
得られた積層フィルムならびに合わせガラスは高い遮熱性能を示すとともに優れた中間膜との密着性を備えたものであったが、中間膜との密着性について実施例3よりは劣るものであった。評価結果を表1に示す。
(実施例10)
バインダー層を以下に示す方法で設けた以外は、実施例3と同様に積層フィルムならびに合わせガラスを得た。
バインダー層を形成するための塗材として、ビスフェノールA100重量部に対してヘキサメチレンジイソシアネートからなるイソシアネート化合物を150重量部含んでおり、かつ固形部濃度を40%と調整した塗材を調整し調整し、その塗材にさらにセシウム酸化タングステン粒子Cs0.33WO3の固形濃度18.5%のスラリーを重量比3:5の割合で添加してバインダー層形成用の塗材とした。これらの塗材をワイヤーバーコーターにて液晶層上にコーティングしたのち、120℃2分間乾燥させ、23℃65Rh%の雰囲気下で1週間エージングしてバインダー層とした。得られたバインダー層の厚みは2.3μmであった。
得られた積層フィルムならびに合わせガラスは高い遮熱性能を示すとともに優れた中間膜との密着性を備えたものであったが、中間膜との密着性について実施例3よりは劣るものであった。評価結果を表1に示す。
バインダー層を以下に示す方法で設けた以外は、実施例3と同様に積層フィルムならびに合わせガラスを得た。
バインダー層を形成するための塗材として、ビスフェノールA100重量部に対してヘキサメチレンジイソシアネートからなるイソシアネート化合物を150重量部含んでおり、かつ固形部濃度を40%と調整した塗材を調整し調整し、その塗材にさらにセシウム酸化タングステン粒子Cs0.33WO3の固形濃度18.5%のスラリーを重量比3:5の割合で添加してバインダー層形成用の塗材とした。これらの塗材をワイヤーバーコーターにて液晶層上にコーティングしたのち、120℃2分間乾燥させ、23℃65Rh%の雰囲気下で1週間エージングしてバインダー層とした。得られたバインダー層の厚みは2.3μmであった。
得られた積層フィルムならびに合わせガラスは高い遮熱性能を示すとともに優れた中間膜との密着性を備えたものであったが、中間膜との密着性について実施例3よりは劣るものであった。評価結果を表1に示す。
(実施例11)
バインダー層を以下に示す方法で設けた以外は、実施例3と同様に積層フィルムならびに合わせガラスを得た。
バインダー層を形成するための塗材として、バインダー層を形成するための塗材として、ポリエステル化合物100重量部に対してヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体からなるイソシアネート化合物を5重量部含んでおり、かつ固形部濃度を40%と調整した塗材を調整し、その塗材にさらにセシウム酸化タングステン粒子Cs0.33WO3の固形濃度18.5%のスラリーを重量比3:5の割合で添加してバインダー層形成用の塗材とした。これらの塗材をワイヤーバーコーターにて液晶層上にコーティングしたのち、120℃2分間乾燥させ、23℃65Rh%の雰囲気下で1週間エージングしてバインダー層とした。得られたバインダー層の厚みは2.3μmであった。
得られた積層フィルムならびに合わせガラスは高い遮熱性能を示すとともに優れた中間膜との密着性を備えたものであったが、中間膜との密着性について実施例3よりは劣るものであった。評価結果を表1に示す。
バインダー層を以下に示す方法で設けた以外は、実施例3と同様に積層フィルムならびに合わせガラスを得た。
バインダー層を形成するための塗材として、バインダー層を形成するための塗材として、ポリエステル化合物100重量部に対してヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体からなるイソシアネート化合物を5重量部含んでおり、かつ固形部濃度を40%と調整した塗材を調整し、その塗材にさらにセシウム酸化タングステン粒子Cs0.33WO3の固形濃度18.5%のスラリーを重量比3:5の割合で添加してバインダー層形成用の塗材とした。これらの塗材をワイヤーバーコーターにて液晶層上にコーティングしたのち、120℃2分間乾燥させ、23℃65Rh%の雰囲気下で1週間エージングしてバインダー層とした。得られたバインダー層の厚みは2.3μmであった。
得られた積層フィルムならびに合わせガラスは高い遮熱性能を示すとともに優れた中間膜との密着性を備えたものであったが、中間膜との密着性について実施例3よりは劣るものであった。評価結果を表1に示す。
(実施例12)
バインダー層を以下に示す方法で設けた以外は、実施例3と同様に積層フィルムならびに合わせガラスを得た。
バインダー層を形成するための塗材として、バインダー層を形成するための塗材として、ポリエステル化合物を固形部濃度を40%と調整した塗材を調整し、その塗材にさらにセシウム酸化タングステン粒子Cs0.33WO3の固形濃度18.5%のスラリーを重量比3:5の割合で添加してバインダー層形成用の塗材とした。これらの塗材をワイヤーバーコーターにて液晶層上にコーティングしたのち、120℃2分間乾燥させ、23℃65Rh%の雰囲気下で1週間エージングしてバインダー層とした。得られたバインダー層の厚みは2.3μmであった。
得られた積層フィルムならびに合わせガラスは高い遮熱性能を示すとともに優れた中間膜との密着性を備えたものであったが、中間膜との密着性について実施例3よりは劣るものであった。評価結果を表1に示す。
バインダー層を以下に示す方法で設けた以外は、実施例3と同様に積層フィルムならびに合わせガラスを得た。
バインダー層を形成するための塗材として、バインダー層を形成するための塗材として、ポリエステル化合物を固形部濃度を40%と調整した塗材を調整し、その塗材にさらにセシウム酸化タングステン粒子Cs0.33WO3の固形濃度18.5%のスラリーを重量比3:5の割合で添加してバインダー層形成用の塗材とした。これらの塗材をワイヤーバーコーターにて液晶層上にコーティングしたのち、120℃2分間乾燥させ、23℃65Rh%の雰囲気下で1週間エージングしてバインダー層とした。得られたバインダー層の厚みは2.3μmであった。
得られた積層フィルムならびに合わせガラスは高い遮熱性能を示すとともに優れた中間膜との密着性を備えたものであったが、中間膜との密着性について実施例3よりは劣るものであった。評価結果を表1に示す。
(実施例13)
バインダー層を以下に示す方法で設けた以外は、実施例3と同様に積層フィルムならびに合わせガラスを得た。
バインダー層を形成するための塗材として、ポリエステル化合物100重量部に対してヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体からなるイソシアネート化合物を100重量部含んでおり、かつ固形部濃度を40%と調整した塗材を調整し、その塗材にさらにセシウム酸化タングステン粒子Cs0.33WO3の固形濃度18.5%のスラリーを重量比3:5の割合で添加してバインダー層形成用の塗材とした。これらの塗材をワイヤーバーコーターにて液晶層上にコーティングしたのち、120℃2分間乾燥させ、23℃65Rh%の雰囲気下で1週間エージングしてバインダー層とした。得られたバインダー層の厚みは2.3μmであった。
得られた積層フィルムならびに合わせガラスは高い遮熱性能を示すとともに優れた中間膜との密着性を備えたものであったが、中間膜との密着性について実施例3よりは劣るものであった。評価結果を表1に示す。
バインダー層を以下に示す方法で設けた以外は、実施例3と同様に積層フィルムならびに合わせガラスを得た。
バインダー層を形成するための塗材として、ポリエステル化合物100重量部に対してヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体からなるイソシアネート化合物を100重量部含んでおり、かつ固形部濃度を40%と調整した塗材を調整し、その塗材にさらにセシウム酸化タングステン粒子Cs0.33WO3の固形濃度18.5%のスラリーを重量比3:5の割合で添加してバインダー層形成用の塗材とした。これらの塗材をワイヤーバーコーターにて液晶層上にコーティングしたのち、120℃2分間乾燥させ、23℃65Rh%の雰囲気下で1週間エージングしてバインダー層とした。得られたバインダー層の厚みは2.3μmであった。
得られた積層フィルムならびに合わせガラスは高い遮熱性能を示すとともに優れた中間膜との密着性を備えたものであったが、中間膜との密着性について実施例3よりは劣るものであった。評価結果を表1に示す。
(実施例14)
バインダー層を以下に示す方法で設けた以外は、実施例3と同様に積層フィルムならびに合わせガラスを得た。
バインダー層を形成するための塗材として、ビスフェノールA100重量部に対してヘキサメチレンジイソシアネートからなるイソシアネート化合物を100重量部含んでおり、かつ固形部濃度を40%と調整した塗材を調整し調整し、その塗材にさらにセシウム酸化タングステン粒子Cs0.33WO3の固形濃度18.5%のスラリーを重量比3:5の割合で添加してバインダー層形成用の塗材とした。これらの塗材をワイヤーバーコーターにて液晶層上にコーティングしたのち、120℃2分間乾燥させ、23℃65Rh%の雰囲気下で1週間エージングしてバインダー層とした。得られたバインダー層の厚みは2.3μmであった。
得られた積層フィルムならびに合わせガラスは高い遮熱性能を示すとともに優れた中間膜との密着性を備えたものであったが、中間膜との密着性について実施例3よりは劣るものであった。評価結果を表1に示す。
バインダー層を以下に示す方法で設けた以外は、実施例3と同様に積層フィルムならびに合わせガラスを得た。
バインダー層を形成するための塗材として、ビスフェノールA100重量部に対してヘキサメチレンジイソシアネートからなるイソシアネート化合物を100重量部含んでおり、かつ固形部濃度を40%と調整した塗材を調整し調整し、その塗材にさらにセシウム酸化タングステン粒子Cs0.33WO3の固形濃度18.5%のスラリーを重量比3:5の割合で添加してバインダー層形成用の塗材とした。これらの塗材をワイヤーバーコーターにて液晶層上にコーティングしたのち、120℃2分間乾燥させ、23℃65Rh%の雰囲気下で1週間エージングしてバインダー層とした。得られたバインダー層の厚みは2.3μmであった。
得られた積層フィルムならびに合わせガラスは高い遮熱性能を示すとともに優れた中間膜との密着性を備えたものであったが、中間膜との密着性について実施例3よりは劣るものであった。評価結果を表1に示す。
(実施例15)
バインダー層を以下に示す方法で設けた以外は、実施例3と同様に積層フィルムならびに合わせガラスを得た。
バインダー層を形成するための塗材として、ビスフェノールA100重量部に対してヘキサメチレンジイソシアネートからなるイソシアネート化合物を50重量部含んでおり、かつ固形部濃度を40%と調整した塗材を調整し調整し、その塗材にさらにセシウム酸化タングステン粒子Cs0.33WO3の固形濃度18.5%のスラリーを重量比3:5の割合で添加してバインダー層形成用の塗材とした。これらの塗材をワイヤーバーコーターにて液晶層上にコーティングしたのち、120℃2分間乾燥させ、23℃65Rh%の雰囲気下で1週間エージングしてバインダー層とした。得られたバインダー層の厚みは2.3μmであった。
得られた積層フィルムならびに合わせガラスは高い遮熱性能を示すとともに優れた中間膜との密着性を備えたものであったが、中間膜との密着性について実施例3よりは劣るものであった。評価結果を表1に示す。
バインダー層を以下に示す方法で設けた以外は、実施例3と同様に積層フィルムならびに合わせガラスを得た。
バインダー層を形成するための塗材として、ビスフェノールA100重量部に対してヘキサメチレンジイソシアネートからなるイソシアネート化合物を50重量部含んでおり、かつ固形部濃度を40%と調整した塗材を調整し調整し、その塗材にさらにセシウム酸化タングステン粒子Cs0.33WO3の固形濃度18.5%のスラリーを重量比3:5の割合で添加してバインダー層形成用の塗材とした。これらの塗材をワイヤーバーコーターにて液晶層上にコーティングしたのち、120℃2分間乾燥させ、23℃65Rh%の雰囲気下で1週間エージングしてバインダー層とした。得られたバインダー層の厚みは2.3μmであった。
得られた積層フィルムならびに合わせガラスは高い遮熱性能を示すとともに優れた中間膜との密着性を備えたものであったが、中間膜との密着性について実施例3よりは劣るものであった。評価結果を表1に示す。
(実施例16)
バインダー層を以下に示す方法で設けた以外は、実施例3と同様に積層フィルムならびに合わせガラスを得た。
バインダー層を形成するための塗材として、ビスフェノールA100重量部に対してヘキサメチレンジイソシアネートからなるイソシアネート化合物を200重量部含んでおり、かつ固形部濃度を40%と調整した塗材を調整し調整し、その塗材にさらにセシウム酸化タングステン粒子Cs0.33WO3の固形濃度18.5%のスラリーを重量比3:5の割合で添加してバインダー層形成用の塗材とした。これらの塗材をワイヤーバーコーターにて液晶層上にコーティングしたのち、120℃2分間乾燥させ、23℃65Rh%の雰囲気下で1週間エージングしてバインダー層とした。得られたバインダー層の厚みは2.3μmであった。
得られた積層フィルムならびに合わせガラスは高い遮熱性能を示すとともに優れた中間膜との密着性を備えたものであったが、中間膜との密着性について実施例3よりは劣るものであった。評価結果を表1に示す。
(実施例17)
基材フィルムとして、熱可塑性樹脂Aとして、固有粘度が0.60のポリエチレンナフタレート(PEN)を用い、積層装置として、スリット数151個のスリットプレートを1枚用いた構成である151層積層装置を用いた以外は、実施例1と同様に積層フィルムならびに合わせガラスを得た。
得られた積層フィルムならびに合わせガラスは実施例1と同様の中間膜との密着性を備えており、遮熱性能も実施例1とほぼ同等であった。評価結果を表1に示す。
バインダー層を以下に示す方法で設けた以外は、実施例3と同様に積層フィルムならびに合わせガラスを得た。
バインダー層を形成するための塗材として、ビスフェノールA100重量部に対してヘキサメチレンジイソシアネートからなるイソシアネート化合物を200重量部含んでおり、かつ固形部濃度を40%と調整した塗材を調整し調整し、その塗材にさらにセシウム酸化タングステン粒子Cs0.33WO3の固形濃度18.5%のスラリーを重量比3:5の割合で添加してバインダー層形成用の塗材とした。これらの塗材をワイヤーバーコーターにて液晶層上にコーティングしたのち、120℃2分間乾燥させ、23℃65Rh%の雰囲気下で1週間エージングしてバインダー層とした。得られたバインダー層の厚みは2.3μmであった。
得られた積層フィルムならびに合わせガラスは高い遮熱性能を示すとともに優れた中間膜との密着性を備えたものであったが、中間膜との密着性について実施例3よりは劣るものであった。評価結果を表1に示す。
(実施例17)
基材フィルムとして、熱可塑性樹脂Aとして、固有粘度が0.60のポリエチレンナフタレート(PEN)を用い、積層装置として、スリット数151個のスリットプレートを1枚用いた構成である151層積層装置を用いた以外は、実施例1と同様に積層フィルムならびに合わせガラスを得た。
得られた積層フィルムならびに合わせガラスは実施例1と同様の中間膜との密着性を備えており、遮熱性能も実施例1とほぼ同等であった。評価結果を表1に示す。
(比較例1)
基材フィルムとして、熱可塑性樹脂Bとして熱可塑性樹脂と同一のPET樹脂を用いて、PET単層のフィルムを用いた以外は、実施例6と同様に積層フィルムならびに合わせガラスを得た。
得られた積層フィルムならびに合わせガラスは実施例6と同様の中間膜との密着性を備えているものの、遮熱性能は実施例6よりも大幅に劣るものであった。評価結果を表1に示す。
基材フィルムとして、熱可塑性樹脂Bとして熱可塑性樹脂と同一のPET樹脂を用いて、PET単層のフィルムを用いた以外は、実施例6と同様に積層フィルムならびに合わせガラスを得た。
得られた積層フィルムならびに合わせガラスは実施例6と同様の中間膜との密着性を備えているものの、遮熱性能は実施例6よりも大幅に劣るものであった。評価結果を表1に示す。
(比較例2)
液晶層を設けないこと以外は、実施例3と同様に積層フィルムを得た。得られた積層フィルムならびに合わせガラスは実施例3と同様の中間膜との密着性を備えているものの、遮熱性能は実施例3よりも劣るものであった。評価結果を表1に示す。
液晶層を設けないこと以外は、実施例3と同様に積層フィルムを得た。得られた積層フィルムならびに合わせガラスは実施例3と同様の中間膜との密着性を備えているものの、遮熱性能は実施例3よりも劣るものであった。評価結果を表1に示す。
(比較例3)
バインダー層を設けないこと以外は、実施例3と同様に積層フィルムを得た。得られた積層フィルムは高い遮熱性能を示すものの、合わせガラスとしたときに容易に剥離するものであった。評価結果を表1に示す。
バインダー層を設けないこと以外は、実施例3と同様に積層フィルムを得た。得られた積層フィルムは高い遮熱性能を示すものの、合わせガラスとしたときに容易に剥離するものであった。評価結果を表1に示す。
(比較例4)
実施例3と同様と同様な方法で、厚みの異なる基材フィルム1(主に900〜1200nmの光を反射する)と基材フィルム2(主に1100〜1400nmの光を反射する)を準備し、ウレタン系接着剤を用いて基材フィルム1と基材フィルム2を貼り合せて基材フィルムとした。
また、液晶層は設けず、実施例3と同様にバインダー層を設けて積層フィルムとした。
得られた積層フィルムを用い、100mm×100mm×2mmの板ガラス2枚、厚み100mm×100mm×0.78mmのポリビニルブチラール2枚との間に積層フィルムを挟んだ上で、100℃真空条件下で20分間加熱圧着し、合わせガラスを作成した。
得られた積層フィルムならびに合わせガラスは高い遮熱性能を示すが顕著な青みの色づきが見られ、透明性が求められる用途には不適当なものであった。評価結果を表1に示す。
実施例3と同様と同様な方法で、厚みの異なる基材フィルム1(主に900〜1200nmの光を反射する)と基材フィルム2(主に1100〜1400nmの光を反射する)を準備し、ウレタン系接着剤を用いて基材フィルム1と基材フィルム2を貼り合せて基材フィルムとした。
また、液晶層は設けず、実施例3と同様にバインダー層を設けて積層フィルムとした。
得られた積層フィルムを用い、100mm×100mm×2mmの板ガラス2枚、厚み100mm×100mm×0.78mmのポリビニルブチラール2枚との間に積層フィルムを挟んだ上で、100℃真空条件下で20分間加熱圧着し、合わせガラスを作成した。
得られた積層フィルムならびに合わせガラスは高い遮熱性能を示すが顕著な青みの色づきが見られ、透明性が求められる用途には不適当なものであった。評価結果を表1に示す。
本発明は、太陽光などからもたらされる熱線をカットできる遮熱フィルムに関するものである。さらに詳しくは、高い遮熱性能を示しつつも、合わせガラスを作製した際に問題のない密着性を示し高い安全性を示す遮熱フィルムに関するものであり、自動車、電車、建物などの窓ガラス用途として好適なものである。
Claims (10)
- 合わせガラス用の積層フィルムであって、ポリビニルアルコール、ポリブチルビニラール、エチレン−ビニルアルコール共重合体のいずれかからなる中間膜と積層されて用いられ、異なる光学的性質を有する2種以上の熱可塑性樹脂が交互にそれぞれ50層以上積層された多層構造を有する基材フィルムと、前記基材フィルムの上の少なくとも一方の面上に積層されたコレステリック液晶からなる液晶層と、前記液晶層の基材フィルム側面と反対側の面上にさらに積層されたバインダー層とを有してなり、前記積層フィルムが波長1300nm以上の帯域において反射率30%以上となる反射帯域を備えてなり、かつ波長450nm以上700nm以下の帯域における最大反射率が30%以下であることを特徴とする積層フィルム。
- 前記バインダー層と前記液晶層との剥離強度が0.1N/mm以上であることを特徴とする請求項1に記載の積層フィルム。
- 前記バインダー層の表面自由エネルギーが35mN/m以上55mN/m以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の積層フィルム。
- 前記バインダー層がイソシアネート基および/またはウレタン結合を含む樹脂からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の積層フィルム。
- 前記バインダー層が、さらにポリエステルを含有する樹脂を用いられてなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の積層フィルム。
- 前記バインダー層の表面において測定される赤外線反射率について、波長2270cm−1での反射率R2270と波長2970cm−1での反射率R2970の比 R2270/R2970が0.5以上6以下であることを特徴とする請求項4に記載の積層フィルム。
- ヘイズが3%以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の積層フィルム。
- 波長1300nm以上の帯域において前記液晶層に由来する反射率が30%以上であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の積層フィルム。
- 前記バインダー層に酸化タングステンが含有されてなることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の積層フィルム。
- 請求項1〜9のいずれかに記載の積層フィルムの両面に、ポリビニルアルコール、ポリブチルビニラール、エチレン−ビニルアルコール共重合体のいずれかからなる中間膜と、ガラスとが組み合わされた遮熱部材。
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JP2012249883A JP2014097595A (ja) | 2012-11-14 | 2012-11-14 | 積層フィルムおよびこれを用いた遮熱部材 |
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---|---|---|---|---|
WO2016052133A1 (ja) * | 2014-09-29 | 2016-04-07 | 東レ株式会社 | 積層体 |
WO2017110782A1 (ja) * | 2015-12-25 | 2017-06-29 | 日本板硝子株式会社 | 合わせガラス |
WO2023112685A1 (ja) * | 2021-12-16 | 2023-06-22 | 古河電気工業株式会社 | フレキシブルデバイス用基材・接着剤層一体型シート、及びフレキキシブルデバイスの製造方法 |
-
2012
- 2012-11-14 JP JP2012249883A patent/JP2014097595A/ja active Pending
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