JP2018164993A - 積層フィルム - Google Patents

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隆文 有家
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Abstract

【課題】 高い遮熱性能を示しつつも着色の少ない積層フィルムを提供する。【解決手段】熱可塑性樹脂Dを主成分とするD層と、熱可塑性樹脂Dとは異なる熱可塑性樹脂Eを主成分とするE層を交互に積層してなるユニットAと、熱可塑性樹脂Fを主成分とするF層と、熱可塑性樹脂Fとは異なる熱可塑性樹脂Gを主成分とするG層を交互に積層してなるユニットBと、熱線吸収粒子を含有するC層を有し、前記ユニットAが一方の表層にあり、前記ユニットBがもう一方の表層にある積層フィルムであって、前記ユニットAが表層にある表面側から測定した波長900〜1200nmの光の平均反射率が30%以上、波長700〜800nmの光の平均反射率が20%未満であって、かつ、前記ユニットBが表層にある表面側から測定した波長700〜800nmの光の平均反射率が20%以上80%以下である、積層フィルム。【選択図】なし

Description

本発明は、積層フィルムに関する。
近年、環境保護を目的とした二酸化炭素排出規制を受けて、夏場の外部、特に太陽光による熱の流入を抑制できる遮熱ガラスを自動車や電車などの乗り物、建物の窓ガラスに用いることが注目されている。
このような窓ガラスへの遮熱性付与手法の一例として、ガラス中や合わせガラスに用いられる中間膜中に熱線吸収粒子を含有させ、熱線を熱線吸収粒子にて遮断する方法(たとえば特許文献1)、金属膜をガラス表面上にスパッタなどにより形成し熱線を反射させて遮断する方法、(たとえば特許文献2)屈折率の異なるポリマーが交互に積層してなるポリマー多層積層フィルムをガラス及び中間膜の間に挿入して熱線を反射させて遮断する方法(たとえば特許文献3)、ポリマー多層積層フィルムによる干渉反射に加えて、熱線吸収粒子を併用することにより遮熱性能を高める方法(たとえば特許文献4)などがある。この中で、熱線吸収粒子を用いる方法や、金属膜をガラス表面上にスパッタなどにより形成する方法では、ポリマー多層積層フィルムを用いた場合よりも高い遮熱性能が得られるものの、熱線のみではなく可視光も反射するために着色しやすく、乗り物や建物の窓ガラスには適用できない場合があった。
特開2010−17854号公報 特許第3901911号公報 特許第4310312号公報 特表2010−501458号公報
上記のように、特許文献1、2、4に記載の方法では、フィルムが着色するという課題があった。また、特許文献3に記載の方法では、遮熱性能が不足するという課題があった。本発明は、上記した従来技術の問題点に鑑み、高い遮熱性能を示しつつも着色の少ない積層フィルムを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために本発明は以下の構成をとる。すなわち、熱可塑性樹脂Dを主成分とするD層と、熱可塑性樹脂Dとは異なる熱可塑性樹脂Eを主成分とするE層を交互に積層してなるユニットAと、熱可塑性樹脂Fを主成分とするF層と、熱可塑性樹脂Fとは異なる熱可塑性樹脂Gを主成分とするG層を交互に積層してなるユニットBと、熱線吸収粒子を含有するC層を有し、前記ユニットAが一方の表層にあり、前記ユニットBがもう一方の表層にある積層フィルムであって、前記ユニットAが表層にある表面側から測定した波長900〜1200nmの光の平均反射率が30%以上、波長700〜800nmの光の平均反射率が20%未満であって、かつ、前記ユニットBが表層にある表面側から測定した波長700〜800nmの光の平均反射率が20%以上80%以下である、積層フィルムである。
本発明によって、高い遮熱性能を示しつつも着色の少ない積層フィルムを提供することが可能となり、より視認性に優れた遮熱材料を提供できる。
以下に本発明の実施の形態について述べるが、本発明は以下の実施例を含む実施の形態に限定して解釈されるものではなく、発明の目的を達成できて、かつ、発明の要旨を逸脱しない範囲内においての種々の変更は当然あり得る。また、説明を簡略化する目的で一部の説明は光学的性質の異なる2種の熱可塑性樹脂を交互に積層してなるフィルムを例にとり説明するが、3種以上の熱可塑性樹脂を用いた場合においても、同様に理解されるべきものである。
本発明の積層フィルムにおいては、熱線吸収粒子を含有するC層を有する必要がある。C層に含有する熱線吸収粒子としては、例えば酸化タングステン化合物、ランタン化合物、アンチモン化合物、インジウム化合物、スズ化合物が挙げられる。波長1500nm以降の波長帯域における高い吸収性能を備えつつ、一方で波長700〜1500nmの範囲においても、高い吸収性能を得られるという点で、酸化タングステン化合物が好ましい。特に、C層が、本発明のユニットAに用いられるような熱可塑性樹脂を主成分とする多層積層ユニットとあわせて用いられる場合においては、酸化タングステン化合物を特に好適に用いられる。後述のとおり、多層積層ユニットは、n次の反射や入射角度にともなう反射帯域の低波長シフトによっても高透明で無彩色とするために、多層積層ユニットの反射帯域は一般的に850〜1200nmに制約されるものであるが、このようなフィルムとランタン化合物やアンチモン化合物、インジウム化合物と組み合わせた場合、700〜850nmならびに1200〜1500nmの波長帯域の光を十分にカットできないために、遮熱性能が十分でない場合がある。一方、酸化タングステン化合物は、ランタン化合物やアンチモン化合物、インジウム化合物、スズ化合物と比較して700〜1500nmにおいても高い遮熱性能を示すために、特に本発明のように熱可塑性樹脂を主成分とする多層積層ユニットと組み合わせた場合に波長700nm以上の波長帯域の光をほぼカットでき、高い遮熱性能を達成できるものである。そのため、本発明の積層フィルムのC層に含む熱線吸収粒子は、酸化タングステン化合物を含有することが好ましく、50質量%以上含むことが好ましい。より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは90質量%以上含むことが好ましい。同様の理由からランタン化合物、アンチモン化合物、インジウム化合物、スズ化合物の含有量の和は少ないことが好ましく、5質量%以下であることが好ましい。より好ましくは1質量%以下、更に好ましくは0.1質量%以下である。
ここでいう酸化タングステン化合物とは、単純なタングステン酸化物に加えて、タングステン以外の金属を含有する酸化タングステンも含まれたものでもよい。ここでいうタングステン以外の金属としては特に限定されるものではなく、例えば、セシウム酸化タングステン、タリウム酸化タングステン、インジウム酸化タングステン、マグネシウム酸化タングステンなどが好適に用いられるものである。特に本発明においては、赤外線のカット率が高く(熱線吸収効率が高く)、可視光線の吸収が少ないことやその光学特性の安定性という観点からセシウム酸化タングステンであることが好ましい。C層における熱線吸収粒子の含有量は、後述の波長400〜800nmや波長900〜1200nmの平均透過率が好ましい範囲であれば特に限定されないが、例えば、1質量%以上80質量%以下が好ましい。1質量%未満であると、波長900〜1200nmの透過率を低くするためにC層を過剰に厚くする必要があり、ハンドリング性やコストの観点から好ましくない場合がある。一方で80質量%よりも多く含有する場合は、膜厚制御による光の透過率の制御が困難になり、熱線吸収粒子の脱落などが起こり易くなる場合がある。好ましくは5質量%以上75%以下、更に好ましくは20質量%以上70%以下が好ましい。
前記C層を形成する樹脂としては、アクリル樹脂やウレタン樹脂、ポリエステル樹脂やシリコーン樹脂などから選択され、その種類は特に限定されるものではなく、これらを単体、もしくは組み合わせて使用される。アクリル樹脂を例にとって説明すると、例えば、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルヘキシルグリシジルアクリレート、グリシジルメタアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル、4−ヒドロキシブチルメタアクリレートグリシジルエーテル、フェニルグリシジルアクリレート、エポキシアクリレート、エポキシメタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等を用いることが好ましい。また、開始剤や硬化剤や触媒を含むと硬化がより促進されるため好ましい。開始剤としては、アニオン、カチオン、ラジカル反応等による重合、縮合または架橋反応を開始あるいは促進できるものが好ましい。開始剤、硬化剤および触媒は種々のものを使用できる。また、開始剤、硬化剤および触媒はそれぞれ単独で用いてもよく、複数の開始剤、硬化剤および触媒を同時に用いてもよい。さらに、酸性触媒や、熱重合開始剤や光重合開始剤を併用してもよいが、中でも光重合開始剤が好ましい。酸性触媒の例としては、塩酸水溶液、蟻酸、酢酸などが挙げられる。熱重合開始剤の例としては、過酸化物、アゾ化合物が挙げられる。また、光重合開始剤の例としては、アルキルフェノン系化合物、含硫黄系化合物、アシルホスフィンオキシド系化合物、アミン系化合物などが挙げられる。光重合開始剤としては、硬化性の点から、アルキルフェノン系化合物が好ましい。アルキルフェノン形化合物の具体例としては、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン、2.2−ジメトキシ−1.2−ジフェニルエタン−1−オン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−フェニル)−1−ブタン、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−(4−フェニル)−1−ブタン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−1−ブタン、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルフォリニル)フェニル]−1−ブタン、1−シクロヒキシル−フェニルケトン、2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−[4−(2−エトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、などが挙げられる。
本発明の積層フィルムにおいて、C層の厚みは特に制約されるものではないが、0.1μm以上10μm以下であることが好ましい。C層の厚みが0.1μm未満である場合、高精度にC層の厚みを制御することが難しくなる傾向にあり、遮熱性能にばらつきが生じる場合もある。一方、C層の厚みが10μmよりも大きい場合には、積層フィルムの総厚みに対するC層の厚みが大きくなるために、積層フィルムの機械物性に対してC層の影響が生じるようになるために、好ましくない場合がある。より好ましいC層の厚みは、1μm以上5μm以下である。C層の厚みがこの範囲においては、C層を設ける際にも層厚みを高度に制御しやすくなるために遮熱性能のばらつきを抑制できるようになり、また、積層フィルムの総厚みに対して十分にC層の厚みが薄いために、積層フィルムの物性に変化などが生じることを抑制することもできるようになる。
本発明の積層フィルムにおいて、C層は熱線吸収粒子を含む形態であれば特に制限はなく、後述のユニットAやユニットBと共押出しによって形成されてもよく、熱可塑性樹脂に分散させて単膜のフィルムとして積層されてもよく、ユニットAまたはユニットBの表面にコーティングによって形成されてもよく、またはユニットAとユニットBを介する熱線吸収粒子を分散させた粘着層としてもよい。
本発明の積層フィルムは、熱可塑性樹脂Dを主成分とするD層と、熱可塑性樹脂Dとは異なる熱可塑性樹脂Eを主成分とするE層を交互に積層してなるユニットAと、熱可塑性樹脂Fを主成分とするF層と、熱可塑性樹脂Fとは異なる熱可塑性樹脂Gを主成分とするG層を交互に積層してなるユニットBとを有し、前記ユニットAが一方の表層にあり、前記ユニットBがもう一方の表層にある必要がある。前記ユニットAは、熱可塑性樹脂Dを主成分とするD層と、熱可塑性樹脂Dとは異なる熱可塑性樹脂Eを主成分とするE層を交互に25層以上積層してなる多層構造を有することが好ましく、前記ユニットBは、熱可塑性樹脂Fを主成分とするF層と、熱可塑性樹脂Fとは異なる熱可塑性樹脂Gを主成分とするG層を交互にそれぞれ9層以上積層してなる多層構造を有することが好ましい。熱可塑性樹脂が異なるとは、面内平均屈折率が0.01以上異なることをいう。また、ここでいう交互に積層されてなるとは、異なる樹脂からなる層が厚み方向に規則的な配列で積層されていることをいい、たとえば異なる光学的性質を有する2つの熱可塑性樹脂D、Eからなる場合、各々の層をD層,E層と表現すれば、D(EA)n(nは自然数)といったように規則的な配列で積層してなるものである。このように異なる樹脂が交互に積層されることにより、各層の屈折率の差と層厚みとの関係によって特定の波長の光を反射させることが可能となる。なお、ユニットAを構成する熱可塑性樹脂Dおよび熱可塑性樹脂Eと、ユニットBを構成する熱可塑性樹脂Fおよび熱可塑性樹脂Gは同一の組み合わせでもよく、異なる組み合わせでもよく、いずれか1種以上が共通していてもよい。
本発明の積層フィルムにおいて、ユニットAの積層する層数が25層未満の場合には、赤外領域において十分な帯域に渡り高い反射率を得られず充分な遮熱性能を得ることができない場合がある。好ましくは、101層以上であり、より好ましくは、141層以上である。また、ユニットBの積層する層数が9層未満の場合には、十分な反射率を得ることができない場合がある。好ましくは、11層以上であり、より好ましくは、13層以上である。前述の干渉反射は、層数が増えるほどより広い波長帯域の光に対して高い反射率を達成できるようになり、高い遮熱性能を備えた積層フィルムが得られるようになる。ユニットBの積層する層数に特に上限はないが、層数の増加によって反射率が高くなりすぎると積層フィルムが色付くため、101層以下が好ましく、より好ましくは61層以下が好ましい。また、ユニットAの積層する層数にも上限はないものの、層数が増えるに従い製造装置の大型化に伴う製造コストの増加や、フィルム厚みが厚くなることでのハンドリング性の悪化が生じるために、現実的には1000層程度が実用範囲となる。ユニットAとユニットBの層数に特に制限はないが、ユニットAの層数が多いほど赤外領域において十分な帯域に渡り高い反射率を得られるため、ユニットAの方がユニットBよりも層数が大きいことが好ましい。
本発明の積層フィルムにおいて、ユニットAおよびユニットBの熱可塑性樹脂D、熱可塑性樹脂E、熱可塑性樹脂F、熱可塑性樹脂Gに用いられる熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(4−メチルペンテン−1)、ポリアセタールなどの鎖状ポリオレフィン、ノルボルネン類の開環メタセシス重合,付加重合,他のオレフィン類との付加共重合体である脂環族ポリオレフィン、ポリ乳酸、ポリブチルサクシネートなどの生分解性ポリマー、ナイロン6、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン66などのポリアミド、アラミド、ポリメチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、エチレン酢酸ビニルコポリマー、ポリアセタール、ポリグルコール酸、ポリスチレン、スチレン共重合ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボーネート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレートなどのポリエステル、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、変性ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルイミド、ポリイミド、ポリアリレート、4フッ化エチレン樹脂、3フッ化エチレン樹脂、3フッ化塩化エチレン樹脂、4フッ化エチレン−6フッ化プロピレン共重合体、ポリフッ化ビニリデンなどを用いることができる。この中で、強度・耐熱性・透明性および汎用性の観点から、特にポリエステルを用いることがより好ましい。これらは、共重合体であっても、混合物であってもよい。
このポリエステルとしては、芳香族ジカルボン酸または脂肪族ジカルボン酸とジオールあるいはそれらのエステル形成性誘導体を主たる構成成分とする単量体からの重合により得られるポリエステルが好ましい。ここで、芳香族ジカルボン酸として、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、4,4′-ジフェニルジカルボン酸、4,4′-ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4′-ジフェニルスルホンジカルボン酸などを挙げることができる。脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ダイマー酸、デカリン酸、ドデカンジオン酸、シクロヘキサンジカルボン酸とそれらのエステル誘導体などが挙げられる。中でも高い面内平均屈折率を発現するテレフタル酸と2,6-ナフタレンジカルボン酸が好ましい。これらの酸成分は1種のみ用いてもよく、2種以上併用してもよく、さらには、ヒドロキシ安息香酸等のオキシ酸などを一部共重合してもよい。
また、ジオール成分としては、例えば、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,2-シクロヘキサンジメタノール、1,3-シクロヘキサンジメタノール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、2,2-ビス(4-ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、イソソルベート、スピログリコールなどを挙げることができる。中でもエチレングリコールが好ましく用いられる。これらのジオール成分は1種のみ用いてもよく、2種以上併用してもよい。
本発明の積層フィルムにおいて、ユニットAおよびユニットBの熱可塑性樹脂D、熱可塑性樹脂E、熱可塑性樹脂F、熱可塑性樹脂Gに用いられる熱可塑性樹脂としては、例えば、上記ポリエステルのうち、ポリエチレンテレフタレートおよびその重合体、ポリエチレンナフタレートおよびその共重合体、ポリブチレンテレフタレートおよびその共重合体、ポリブチレンナフタレートおよびその共重合体、さらにはポリヘキサメチレンテレフタレートおよびその共重合体、ポリヘキサメチレンナフタレートおよびその共重合体などを用いることが好ましい。
本発明の積層フィルムにおいて、前記ユニットAおよびユニットBにおいては、ユニットAおよびユニットB内で隣接する熱可塑性樹脂によって構成される層の面内平均屈折率の差が0.05以上であることが好ましい。より好ましくは0.10以上であり、さらに好ましくは0.15以上0.35以下である。面内平均屈折率の差が0.05以上とすることにより、十分な反射率が得られ、十分な遮熱性能を得ることが可能である。この達成方法としては、少なくとも一つの熱可塑性樹脂が結晶性であり、かつ少なくとも一つの熱可塑性樹脂が非晶性もしくは非晶性ポリマーと結晶性ポリマーの混合物を用いることである。この場合、フィルムの製造における延伸、熱処理工程において容易に屈折率差を設けることが可能となる。
本発明の積層フィルムにおいて、ユニットAおよびユニットBに用いる異なる熱可塑性樹脂の好ましい組み合わせとしては、各熱可塑性樹脂のSP値(溶解性パラメータともいう)の差の絶対値が、1.0以下であることが好ましい。SP値の差の絶対値が1.0以下であると層間剥離が生じにくくなり、また積層精度を高める上で有利である。より好ましくは、異なる熱可塑性樹脂は同一の繰り返し単位を含むことが好ましい。たとえば、一方の熱可塑性樹脂としてポリエチレンテレフタレートを用いる場合は、高精度な積層構造が実現しやすい観点から、エチレンテレフタレート単位を含むことが好ましい。
上記の条件を満たすための樹脂の組合せの一例として、本発明の積層フィルムのユニットAおよびユニットBでは、少なくとも一つの熱可塑性樹脂がポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートを含んでなり、他の少なくとも一つの熱可塑性樹脂がスピログリコールカルボキシレート単位を含んでなるポリエステルであることが好ましい。スピログリコールカルボキシレート単位を含んでなるポリエステルとは、スピログリコールを共重合したコポリエステル、またはホモポリエステル、またはそれらをブレンドしたポリエステルのことを言う。スピログリコールカルボキシレート単位を含んでなるポリエステルは、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートとのガラス転移温度差が小さいため、成形時に過延伸になりにくく、かつ層間剥離もしにくいために好ましい。または、少なくともひとつの熱可塑性樹脂がポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートを含んでなり、他の少なくともひとつの熱可塑性樹脂がシクロヘキサンジカルボン酸が共重合されたポリエステルであることが好ましい。スピログリコールおよびシクロヘキサンジカルボン酸が共重合されたポリエステルであると、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートとの面内屈折率差が大きくなるため、高い反射率が得られやすくなる。また、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートとのガラス転移温度差が小さく、接着性にも優れるため、成形時に過延伸になりにくく、かつ層間剥離もしにくい。
また、本発明の積層フィルムのユニットAおよびユニットBにおいては、少なくとも一つの熱可塑性樹脂がポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートを含んでなり、単一の組成であっても少量の他の繰り返し単位が共重合され、あるいは、少量の他のポリエステル樹脂がブレンドされたものであっても良い。また、他の少なくとも一つの熱可塑性樹脂がシクロヘキサンジメタノールカルボキシレート単位を含んでなるポリエステルであることが好ましい。シクロヘキサンジメタノールカルボキシレート単位を含んでなるポリエステルとは、シクロヘキサンジメタノールを共重合したコポリエステル、またはホモポリエステル、またはそれらをブレンドしたポリエステルのことを言う。シクロヘキサンジメタノールカルボキシレート単位を含んでなるポリエステルは、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートとのガラス転移温度差が小さいため、成形時に過延伸になりにくく、かつ層間剥離もしにくいために好ましい。より好ましくは、少なくともひとつの熱可塑性樹脂がシクロヘキサンジメタノールの共重合量がグリコール成分に対して15mol%以上60mol%以下であるエチレンテレフタレート重縮合体である。このようにすることにより、高い反射性能を有しながら、特に加熱や経時による光学的特性の変化が小さく、層間での剥離も生じにくくなる。シクロヘキサンジメタノールの共重合量が15mol%以上60mol%以下であるエチレンテレフタレート重縮合体は、ポリエチレンテレフタレートと非常に強く接着する。また、そのシクロヘキサンジメタノール基は幾何異性体としてシス体あるいはトランス体があり、また配座異性体としてイス型あるいはボート型もあるので、ポリエチレンテレフタレートと共延伸しても配向結晶化しにくく、高反射率で、熱履歴による光学特性の変化もさらに少なく、製膜時のやぶれも生じにくいものである。
また、本発明の積層フィルムにおいては、ユニットAおよびユニットBを構成する熱可塑性樹脂のうち、少なくとも1種の熱可塑性樹脂が結晶性ポリエステル樹脂であり、もう一方の熱可塑性樹脂の少なくとも1種が非晶性ポリエステル樹脂であることが好ましい。ここでいう結晶性とは、示差走査熱量測定(DSC)において、融解熱量が5J/g以上であることをいう。なお、示差走査熱量測定(DSC)とは、基準物質と試料に一定の熱を与えながら温度変化を測定して、試料の熱物性を温度差として捉え、試料の状態変化による吸熱反応や発熱反応を測定する測定方法のことをさす。一方、非晶性とは、同様に融解熱量が5J/g未満であることをいう。融解熱量は、JIS−K−7122(1987)に従って測定・算出した。結晶性ポリエステル樹脂は、延伸・熱処理工程において配向結晶化させることにより、延伸前の非晶状態のときよりも高い面内屈折率とすることができる。一方、非晶性ポリエステル樹脂の場合においては、熱処理工程においてガラス転移点温度をはるかに超える温度で熱処理を行うことにより、延伸工程で生じる若干の配向も完全に緩和でき、非晶状態の低い面内平均屈折率を維持できるものである。このように、フィルムの製造における延伸、熱処理工程において結晶性ポリエステル樹脂と非晶性ポリエステル樹脂との間に容易に屈折率差を設けることができるため、後述のとおり赤外線領域での反射率を高めることが容易となる。また、より好ましくは、結晶性ポリエステルの示差走査熱量測定(DSC)における融解熱量が20J/g以上であることが好ましい。この場合、延伸・熱処理工程においてより強く配向結晶化させることができるため、容易に非晶性ポリエステル樹脂と結晶性ポリエステル樹脂との屈折率差を設けることができるものである。
また、本発明の積層フィルムにおいては、ユニットAおよびユニットBを構成する熱可塑性樹脂のうち、少なくとも1種の熱可塑性樹脂が結晶性ポリエステル樹脂であり、かつ残る熱可塑性樹脂の少なくとも1種が前記結晶性のポリエステル樹脂の融点より30℃以上低い融点を備えた他のポリエステル樹脂であることもまた好ましい。2種類の結晶性ポリエステル樹脂の融点の差が30℃以上ある場合、2種の結晶性ポリエステル樹脂の融点の間の温度にて熱処理を行うことにより、低融点のポリエステル樹脂を融解・非晶化させ配向を緩和することができ、結果として2種のポリエステル樹脂間の屈折率差を設けることが可能となる。
本発明の積層フィルムにおいては、ユニットAが表層にある側から測定した波長400nm〜700nmでの平均反射率、およびユニットBが表層にある側から測定した波長400nm〜700nmでの平均反射率が、いずれも15%以下であることが好ましい。より好ましくは波長400nm〜700nmでの平均反射率が10%以下である。このような積層フィルムであれば高い可視光線透過率を求められる用途においても問題なく使用できるものである。このような積層フィルムを得るためには、ユニットAおよびユニットBに用いられる隣接する2層の光学厚み(熱可塑性樹脂の屈折率×層厚み)が等しくなるように、高度に層厚みを制御することや、可視光領域において反射のない層厚みとすることが好ましい。
また、本発明の積層フィルムにおいては、積層フィルムのユニットAが表層にある表面側から測定した波長900〜1200nmでの光の平均反射率が30%以上であって、波長700〜800nmの光の平均反射率が20%未満である必要がある。太陽光は可視光領域に主に強度分布を備えており、波長が大きくなるにつれてその強度分布は小さくなる傾向にある。しかし、高い透明性が求められる用途で使用するために、可視光領域よりもやや大きな波長900〜1200nm(全太陽光の強度の約18%)の光を効率的に反射することにより、高い遮熱性能を付与することができる。好ましくは、波長900〜1200nmでの平均反射率が50%以上であり、より好ましくは波長900〜1200nmでの平均反射率が80%以上である。波長900〜1200nmでの平均反射率が大きくなるに従い、高い遮熱性能を付与することが可能となる。このような積層フィルムを得るためには、ユニットAにおける熱可塑性樹脂Dを主成分とするD層と熱可塑性樹脂Eを主成分とするE層の面内屈折率の差を大きくすることにより実現できるので、二軸配向した積層フィルムとする場合は結晶性である熱可塑性樹脂からなる層と、延伸時に非晶性を保持もしくは熱処理工程で融解される熱可塑性樹脂からなる層が交互に積層してなるフィルムとすることが好ましい。また、本発明の積層フィルムにおいては、積層フィルムのユニットAが表層にある表面側から測定した波長700〜800nmの光の平均反射率を20%未満であることが必要である。波長700〜800nmの光の平均反射率を上記の範囲とすることで、無色透明性を損なうことなく、かつ後述の通りユニットBによる色目を補正する効果を阻害することがなくなる。
また、本発明の積層フィルムにおいて、ユニットAの厚みは30μm以上200μm以下であることが好ましい。ユニットAの厚みが30μm未満であると、波長900〜1200nmでの光の平均反射率が不足する場合がある。またユニットAの厚みが200μmより厚いと、ハンドリング性や加工性、生産性が悪化する場合があり、また、200μmより厚くても遮熱性能の向上効果はほとんど得られない。
本発明に用いる積層フィルムのように、熱可塑性樹脂Dを主成分とする層(D層)と熱可塑性樹脂Dとは異なる熱可塑性樹脂Eからなる層(E層)が交互に積層されてなる場合には、下記(式1)に従い反射率が決定される。通常、本目的で使用される積層フィルムにおいては、下記(式2)にて規定される光学厚みの比kが1となるように設計することにより、波長900〜1200nmの光を反射するように設計した積層フィルムからの2次の反射を抑制している。
2×(nD・dD+nE・dE)=λ (式1)
|(nD・dD)/(nE・dE)|=k (式2)
nD:D層の面内平均屈折率
nE:E層の面内平均屈折率
dD:D層の層厚み(nm)
dE:E層の層厚み(nm)
λ:主反射波長(1次反射波長)
k:光学厚みの比
また、本発明の積層フィルムにおいては、積層フィルムの波長900〜1200nmでの平均透過率が20%以下であることが好ましい。より好ましくは波長900〜1200nmでの平均透過率が5%以下であり、更に好ましくは1%以下である。波長900〜1200nmでの平均透過率が小さくなるに従い、透明性を損なうことなく高い遮熱性能を付与することが可能となる。このような積層フィルムを得るための方法は特に限られるものでは無いが、ユニットAの波長900〜1200nmでの平均反射率を80%以上としたり、C層に含有する熱線吸収粒子として酸化タングステン化合物を用いることなどが挙げられる。
また、本発明の積層フィルムは、ISO9050で規定される可視光線透過率が70%以上であることが好ましく、また日射熱取得率が50%以下であることが好ましい。なお、本発明における可視光線透過率とは、ISO9050で規定される可視光をどの程度透過するかの指標であり、後述する測定方法により求められるものである。本発明の積層フィルムは、可視光線透過率がより好ましくは75%以上であり、更に好ましくは80%以上である。なおここでの可視光とは、波長380nm以上780nm以下の光のことを指す。可視光線透過率が70%未満であるフィルムを窓ガラスなどの遮熱部材として用いると視認性が悪化し、特に自動車の場合には可視光線透過率が法定基準を満たさなくなる場合がある。また本発明における日射熱取得率とは、ISO9050で規定される太陽光の熱をどの程度透過するかの指標であり、後述する測定方法により求められるものである。日射熱取得率が低いほど遮熱性に優れることを示す。本発明の積層フィルムは、日射熱取得率がより好ましくは47%以下、更に好ましくは45%以下である。日射熱取得率が50%よりも高いと、太陽光の熱を半分を超えて透過するため、遮熱性能としては不十分なものとなる場合がある。
本発明の積層フィルムにおいて、C層は熱線吸収粒子を含有しているので、900〜1200nmの波長帯域においても高い吸収性能を示すため、C層を通過してユニットAに入射した光は、C層でほぼカットされる。そのため反射による遮熱効果が期待されなくなってしまう。ここで、反射によりカットされた光は遮熱部材の入射面の反対側に流入することがないのに対して、吸収によりカットされた光は熱となり一部流入してしまうため、反射によりカットする場合と比較して遮熱部材としての性能が低下してしまう。そのため、遮熱部材として用いる際には、光が入射する面にユニットAを設けることで反射に伴う遮熱効率を高め、ユニットAの次にC層を通過するようにC層を設けることでユニットAではカットできなかった光をC層でカットする構成とする。このような構成であれば、より効率的に光・熱の流入を抑制することができ、高い遮熱性能を備えた遮熱部材とすることができる。
一方で、C層を通過した光は着色しており、このままでは乗り物や建物の窓ガラスには適用できない場合がある。そのため、本発明では着色した色目を補正する目的でユニットBが設けられる必要がある。本発明の積層フィルムにおいて、積層フィルムのユニットBが表層にある表面側から測定した積層フィルムの波長700〜800nmの光の平均反射率が20%以上80%以下である必要があり、より好ましくは30%以上70%以下である。このような光学特性を有するユニットBが設けられることで、ユニットAやC層を通過して、本来着色している透過光の青味を、ユニットBの反射によって低減することが可能となる。
また、本発明の積層フィルムにおいて、ユニットBの厚みは3μm以上100μm以下であることが好ましい。ユニットBの厚みが3μm未満であると、波長700〜800nmでの光の平均反射率が低くなる場合がある。またユニットBの厚みが100μmより厚いと、ハンドリング性や加工性、生産性が悪化する場合がある。
本発明の積層フィルムは、透過した光の着色を抑える観点から、透過光でのb*が−1以上1以下であることが好ましい。透過光でのb*はより好ましくは−0.5以上、0.5以下である。
本発明の積層フィルムを、自動車や建材の窓ガラスの遮熱フィルムとして用いる場合、ユニットAはC層よりも屋外側(太陽光側)に配置され、ユニットBによる着色の低減は光の反射によるため、ユニットBは光を吸収するC層よりも観察者側(屋内側)に配置されることが好ましい。ユニットAとC層の間や、C層とユニットBの間には他の層を有していてもよい。このような構成とすることで、より高い遮熱性能を有しつつ色付きの少ない積層フィルムとすることが出来る。またユニットA表層に粘着層を介してガラスが積層されてなる態様もまた好ましい。
本発明の積層フィルムにおいては、ヘイズが3%以下であることが好ましい。この場合、特に透明性の求められる自動車や建物の窓ガラスなどにも好適に用いられるものである。ヘイズが上昇する要因としては、積層フィルムを構成するユニットAやユニットB、C層に由来することが考えられるが、C層でのヘイズは熱線吸収粒子の粒径や凝集に由来するため、用いる熱線吸収粒子の数平均粒子径を5nm以上100nm以下とすることによって達成できる。また、熱線吸収粒子のC層における粒子濃度によっても凝集しやすさが変化するため、必要な熱線吸収粒子量にあわせてC層の厚みを制御することでも達成できる。ユニットAやユニットBでのヘイズは微量の添加剤や屈折率の異なる樹脂の添加、未配向状態の樹脂の結晶化、熱可塑性樹脂自身のヘイズ、表面凹凸やオリゴマーの発生などに起因され、後述の製造方法で解消できる。好ましくはヘイズが1.5%以下である。
次に、本発明の積層フィルムの好ましい製造方法を以下に説明するが、もちろん本発明は係る例に限定して解釈されるわけではない。また、本発明の積層フィルムで用いるポリマー多層積層フィルムの積層構造の形成自体は、特開2007−307893号公報の〔0053〕〜〔0063〕段に記載に基づいて製造することができる。
以下にユニットAおよびユニットBの製造方法を例示する。
熱可塑性樹脂をペレットなどの形態で用意する。ペレットは、必要に応じて、熱風中あるいは真空下で乾燥された後、別々の押出機に供給される。押出機内において、融点以上に加熱溶融された樹脂は、ギヤポンプ等で樹脂の押出量を均一化され、フィルター等を介して異物や変性した樹脂などを取り除かれる。これらの樹脂はダイにて目的の形状に成形された後、吐出される。そして、ダイから吐出された多層に積層されたシートは、キャスティングドラム等の冷却体上に押し出され、冷却固化され、キャスティングフィルムが得られる。この際、ワイヤー状、テープ状、針状あるいはナイフ状等の電極を用いて、静電気力によりキャスティングドラム等の冷却体に密着させ急冷固化させることが好ましい。また、スリット状、スポット状、面状の装置からエアーを吹き出してキャスティングドラム等の冷却体に密着させ急冷固化させたり、ニップロールにて冷却体に密着させ急冷固化させたりする方法も好ましい。
また、複数の熱可塑性樹脂からなる多層積層フィルムを作製する場合には、複数の樹脂を2台以上の押出機を用いて異なる流路から送り出し、多層積層装置に送り込まれる。多層積層装置としては、マルチマニホールドダイやフィードブロックやスタティックミキサー等を用いることができるが、特に、本発明の構成を効率よく得るためには、多数の微細スリットを有する部材を少なくとも別個に2個以上含むフィードブロックを用いることが好ましい。このようなフィードブロックを用いると、装置が極端に大型化することがないため、熱劣化による異物が少なく、積層数が極端に多い場合でも、高精度な積層が可能となる。また、幅方向の積層精度も従来技術に比較して格段に向上する。また、任意の層厚み構成を形成することも可能となる。この装置では、各層の厚みをスリットの形状(長さ、幅)で調整できるため、任意の層厚みを達成することが可能となる。
このようにして所望の層構成に形成した溶融多層積層体をダイへと導き、上述と同様にキャスティングフィルムが得られる。
このようにして得られたキャスティングフィルムは、二軸延伸されることが好ましい。ここで、二軸延伸とは、長手方向および幅方向に延伸することをいう。延伸は、逐次に二方向に延伸しても良いし、同時に二方向に延伸してもよい。また、さらに長手方向および/または幅方向に再延伸を行ってもよい。
逐次二軸延伸の場合についてまず説明する。ここで、長手方向への延伸とは、フィルムに長手方向の分子配向を与えるための延伸を言い、通常は、ロールの周速差により施され、この延伸は1段階で行ってもよく、また、複数本のロール対を使用して多段階に行っても良い。延伸の倍率としては樹脂の種類により異なるが、通常、2〜15倍が好ましく、多層積層フィルムを構成する樹脂のいずれかにポリエチレンテレフタレートを用いた場合には、2〜7倍が特に好ましく用いられる。また、延伸温度としては多層積層フィルムを構成する樹脂のガラス転移温度〜ガラス転移温度+100℃が好ましい。
このようにして得られた一軸延伸されたフィルムに、必要に応じてコロナ処理やフレーム処理、プラズマ処理などの表面処理を施した後、易滑性、易接着性、帯電防止性などの機能をインラインコーティングにより付与してもよい。
また、幅方向の延伸とは、フィルムに幅方向の配向を与えるための延伸をいい、通常は、テンターを用いて、フィルムの両端をクリップで把持しながら搬送して、幅方向に延伸する。延伸の倍率としては樹脂の種類により異なるが、通常、2〜15倍が好ましく、多層積層フィルムを構成する樹脂のいずれかにポリエチレンテレフタレートを用いた場合には、2〜7倍が特に好ましく用いられる。また、延伸温度としては多層積層フィルムを構成する樹脂のガラス転移温度〜ガラス転移温度+120℃が好ましい。
こうして二軸延伸されたフィルムは、平面性、寸法安定性を付与するために、テンター内で延伸温度以上融点以下の熱処理を行うのが好ましい。熱処理を行うことにより、積層フィルムの寸法安定性が向上する。このようにして熱処理された後、均一に徐冷後、室温まで冷やして巻き取られる。また、必要に応じて、熱処理から徐冷の際に弛緩処理などを併用してもよい。
また、本発明の積層フィルムにおいては、延伸後の熱処理温度を少なくとも一つの熱可塑性樹脂の融点以下、かつ残る熱可塑性樹脂の少なくとも一つの融点以上とすることが好ましい。この場合、一方の熱可塑性樹脂は高い配向状態を保持する一方、他方の熱可塑性樹脂の配向は緩和されるために、容易にこれらの樹脂の屈折率差を設けることができる。
同時二軸延伸の場合について次に説明する。同時二軸延伸の場合には、得られたキャストフィルムに、必要に応じてコロナ処理やフレーム処理、プラズマ処理などの表面処理を施した後、易滑性、易接着性、帯電防止性などの機能をインラインコーティングにより付与してもよい。
次に、キャストフィルムを、同時二軸テンターへ導き、フィルムの両端をクリップで把持しながら搬送して、長手方向と幅方向に同時および/または段階的に延伸する。同時二軸延伸機としては、パンタグラフ方式、スクリュー方式、駆動モーター方式、リニアモーター方式があるが、任意に延伸倍率を変更可能であり、任意の場所で弛緩処理を行うことができる駆動モーター方式もしくはリニアモーター方式が好ましい。延伸の倍率としては樹脂の種類により異なるが、通常、面積倍率として6〜50倍が好ましく、多層積層フィルムを構成する樹脂のいずれかにポリエチレンテレフタレートを用いた場合には、面積倍率として8〜30倍が特に好ましく用いられる。特に同時二軸延伸の場合には、面内の配向差を抑制するために、長手方向と幅方向の延伸倍率を同一とするとともに、延伸速度もほぼ等しくなるようにすることが好ましい。また、延伸温度としては多層積層フィルムを構成する樹脂のガラス転移温度〜ガラス転移温度+120℃が好ましい。
こうして二軸延伸されたフィルムは、平面性、寸法安定性を付与するために、引き続きテンター内で延伸温度以上融点以下の熱処理を行うのが好ましい。この熱処理の際に、幅方向での主配向軸の分布を抑制するため、熱処理ゾーンに入る直前および/または直後に瞬時に長手方向に弛緩処理することが好ましい。このようにして熱処理された後、均一に徐冷後、室温まで冷やして巻き取られる。また、必要に応じて、熱処理から徐冷の際に長手方向および/あるいは幅方向に弛緩処理を行っても良い。熱処理ゾーンに入る直前および/あるいは直後に瞬時に長手方向に弛緩処理する。このようにして、ユニットAおよびユニットBが作成される。
次に、C層の形成方法を次に示す。
ユニットAの片面、またはユニットBの片面、またはユニットAとユニットBの中間にC層を形成するには、例えば、C層を形成するために用いる組成物と、必要に応じて溶媒を含む塗液をユニットAまたはユニットBの片面に塗布する手法を挙げることができる。また、塗布方法としては、グラビアコート法、マイクログラビアコート法、ダイコート法、リバースコート法、ナイフコート法、バーコート法など公知の塗布方法を適用することができる。ここでは塗布によるC層の形成を例にとって説明するが、C層をユニットAおよび/またはユニットBと共押出によって形成してもよく、C層単体を粘着剤を介してユニットAおよび/またはユニットBと貼り合せてもよい。
ユニットAまたはユニットBの表面へC層を形成するために用いる組成物が塗布された後、加熱によって溶媒を揮発させる。加熱方法は、加熱効率の点から熱風で行うのが好ましく、公知の熱風乾燥機、または、ロール搬送やフローティングなどの連続搬送が可能な熱風炉などを適用できる。ここでの乾燥温度は、120℃以下であることが好ましく、より好ましくは100℃以下、さらに好ましくは80℃以下である。
また、場合によっては、加熱後に光硬化・電子硬化させることも可能である。光硬化性樹脂または電子硬化性樹脂を併用することで、より短時間でC層を固定することが可能となるため、生産性や膜の安定性などの性能が向上する。光硬化・電子硬化させる場合は、汎用性の点から電子線(EB線)または紫外線(UV線)が好ましい。また、紫外線を照射する際に用いる紫外線ランプの種類としては、例えば、放電ランプ方式、フラッシュ方式、レーザー方式、無電極ランプ方式等が挙げられる。中でも放電ランプ方式である高圧水銀灯を用いて紫外線硬化させることが好ましい。
また、本発明においてはユニットAまたはユニットBとC層との間に接着性を向上させるために他の層を設けることも好ましい。例えば、透明・易滑・易接着層などを設けることが好ましい。
このようにして得られた積層フィルムは、透明度が高く、遮熱性に優れ、高い耐光性を有するため、特に自動車や電車、建物などに用いる窓ガラスなどに好適なものである。本発明の積層フィルムは、ガラスと貼りあわせて積層体を構成することができる。特に、積層フィルムのユニットA表面に粘着層を介してガラスが積層されてなり、前記ガラスが一方の表層にあり、前記ユニットBがもう一方の表層にあり、ガラス表面側から測定した波長900〜1200nmの光の平均反射率が30%以上、波長700〜800nmの光の平均反射率が20%未満であって、かつユニットBが表層にある表面側から測定した波長700〜800nmの光の平均反射率が20%以上80%以下であることが好ましい。上記の構成とすることで、遮熱性に優れ、かつ、透明度が高い積層体を得ることができる。
以下、本発明の積層フィルムの実施例を用いて説明する。
[物性の測定方法ならびに効果の評価方法]
特性値の評価方法ならびに効果の評価方法は次の通りである。
(1)層厚み、積層数、積層構造
フィルムの層構成は、ミクロトームを用いて断面を切り出したサンプルについて、透過型電子顕微鏡(TEM)観察により求めた。すなわち、透過型電子顕微鏡H−7100FA型((株)日立製作所製)を用い、加速電圧75kVの条件でフィルムの断面を10000〜40000倍に拡大観察し、断面写真を撮影、層構成および各層厚みを測定した。尚、場合によっては、コントラストを高く得るために、公知のRuOやOsOなどを使用した染色技術を用いた。
(2)平均反射率・平均透過率
5cm×5cmで切り出したサンプルを日立製作所製 分光光度計(U−4100 Spectrophotomater)に付属の積分球を用いた基本構成で測定を行った。装置付属の酸化アルミニウムの副白板を基準として測定した。サンプルの長手方向を上下方向にして設置した。測定条件:スリットは2nm(可視)/自動制御(赤外)とし、ゲインは2と設定し、走査速度を600nm/分で測定し、方位角0度における測定結果を得た。また、C層を介するとユニットAおよびユニットBの反射率が正確に測定できないため、ユニットAの反射率を測定する場合にはユニットAの表面から、ユニットBの反射率を測定する場合にはユニットBの表面から光を入射させて測定した。
(3)面内平均屈折率
JIS K7142(1996)A法に従って測定した。得られた屈折率のうち、フィルム面上の直交する2方向の平均屈折率をもって、本発明でいう面内平均屈折率とした。
(4)ガラス転移点、融点
積層フィルムの一部からサンプリングを行い、示差熱量分析(DSC)を用いてJIS−K−7122(1987)に従って測定・算出した。なお、まず、はじめに1st Runで、25℃から290℃まで20℃/min.で昇温した後、290℃で5分間ホールドした後、25℃まで急冷した。またつづく2nd Runでは、25℃から290℃まで20℃/min.で昇温した。樹脂のガラス転移温度・融点は2nd Runにおける値を用いた。
装置:セイコー電子工業(株)製”ロボットDSC−RDC220”
データ解析”ディスクセッションSSC/5200”
サンプル質量:5mg
(5)組成分析、構造確認
ユニットAやユニットB、C層を構成する樹脂の組成確認方法は、フーリエ変換型赤外分光(FT−IRまたはATR)にて、樹脂の構造が有する各原子間の結合に由来するピークの有無を確認する。さらに、プロトン核磁気共鳴分光(H−NMR)にて、樹脂の構造が有する水素原子の位置に由来する化学シフトの位置と水素原子の個数に由来するプロトン吸収線面積を確認する。これらの結果を合わせて総合的に確認する。また、必要に応じてガスクロマトグラフ質量分析(GC−MS)により質量ピークを確認してもよい。なお上記の分析は必要に応じて刃ナイフで削りだしたサンプルについて行う。
(8)測色(透過b*)
コニカミノルタ製の「CM−3600d」を用いて測定した。測定モード「透過」、D65光源、視野角10°にて3回測定した平均値を得た。
以下、本発明について実施例を挙げて説明するが、本発明はかかる例に限定して解釈されるべきものではない。
(実施例1)
熱可塑性樹脂Dとして、固有粘度0.60、融点268℃のPENを用い、熱可塑性樹脂Eとして、シクロヘキサンジメタノールを30mol%共重合したPET樹脂とポリエチレンテレフタレート(東レ(株)製)を82:18の質量比となるように混合したもの(表中でPETG系樹脂と示す)を用いた。なお、未配向状態での屈折率は、PENが1.65、PETG系樹脂が1.58であった。以下、熱可塑性樹脂Dからなる層をD層、熱可塑性樹脂Eからなる層をE層とする。
準備した熱可塑性樹脂D,Eは、それぞれ、ベント付き二軸押出機にて300℃で溶融状態とした後、ギヤポンプおよびフィルターを介して、フィルムの厚膜層を除いた光学厚みの比がE層/D層=0.9になるように計量しながら、積層装置1にて合流させて、(熱可塑性樹脂Dからなる表層厚膜層)/(D層とE層を厚み方向に交互に147層積層してなる層)/(熱可塑性樹脂Dからなる表層厚膜層)の層構成を有する、全積層数149層のユニットAとした。積層装置1にて合流させた後、T−ダイに導いてシート状に成形した後、静電印加にて表面温度25℃に保たれたキャスティングドラム上で急冷固化し、キャストフィルムを得た。
得られたキャストフィルムを、135℃に設定したロール群で加熱した後、延伸区間長100mmの間で、フィルム両面からラジエーションヒーターにより急速加熱しながら、縦方向に4.2倍延伸し、その後一旦冷却した。延伸時のフィルム温度は135℃であった。つづいて、この一軸延伸フィルムの両面に空気中でコロナ放電処理を施し、ユニットA表面の濡れ張力を55mN/mとし、その処理面に(ガラス転移温度が18℃のポリエステル樹脂)/(ガラス転移温度が82℃のポリエステル樹脂)/平均粒径100nmのシリカ粒子からなる塗液を塗布し、透明・易滑・易接着層(延伸・乾燥後の厚み0.1μm)を形成した。
この一軸延伸フィルムをテンターに導き、135℃の熱風で予熱後、140℃の温度で横方向に均一な延伸速度で4.0倍延伸した。延伸したフィルムは、そのまま、テンター内で240℃の熱風にて熱処理を行い、続いて同温度にて幅方向に3%の弛緩処理を施し、その後、室温まで徐冷後、巻き取った。得られたユニットAの厚みは40μmであった。また、積層数が13層となる積層装置2を用いた以外は、上記と同様の方法でユニットBのフィルムを形成した。得られたユニットBの厚みは7μmであった。
続いて、C層を形成するための塗剤として、DPHA(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)と光開始剤(BASFジャパン製 IRGACURE(登録商標)184)を質量比99:1で混合させたものをMEK(メチルエチルケトン)で固形分濃度40質量%に調整した塗剤Aを得る。この塗剤Aと、セシウム酸化タングステン粒子Cs0.33WOの固形分濃度18.5質量%のスラリーを質量比2:7の割合で混合してハードコート層形成用の塗剤Bを得た。この塗剤BをワイヤーバーコーターにてユニットAの片面にコーティングしたのち、熱風オーブンにて80℃で2分間乾燥させ、UV照射装置にて紫外線を300mJ/cm照射して塗膜を硬化させてC層を形成した。得られたC層の厚みは3.3μmであった。
続いて、得られたユニットAとC層の積層体へ、ユニットBを形成する方法を示す。C層の表面へ巴川製紙所製の透明粘着シート『TX48A』をラミネーターにて貼り合せ、粘着シートを介してユニットBを貼り合せることで、本発明の積層フィルムを得た。
得られた積層フィルムは、ユニットAが表層にある表面側から測定した波長900〜1200nmの光の反射率が高く、かつ波長900〜1200nmの範囲における平均透過率の低いものであり、色付きの少ないフィルムであった。結果を表に示す。
(実施例2)
セシウム酸化タングステン粒子の固形分の内、20質量%をアンチモンドープ酸化スズ(ATO)に置き換え、可視光線透過率が70%になるように塗布した以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
得られた積層フィルムは、ユニットAが表層にある表面側から測定した波長900〜1200nmの光の反射率が高く、かつ透過率の低いものであり、色付きの少ないフィルムであった。結果を表に示す。
(実施例3)
セシウム酸化タングステン粒子の固形分の内、40質量%をアンチモンドープ酸化スズ(ATO)に置き換え、可視光線透過率が70%になるように塗布した以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
得られた積層フィルムは、ユニットAが表層にある表面側から測定した波長900〜1200nmの光の反射率が高く、かつ透過率の低いものであり、色付きの少ないフィルムであったが、実施例1と比較して日射熱取得率が高く、やや遮熱性に劣るものであった。結果を表に示す。
(実施例4)
セシウム酸化タングステン粒子の固形分の内、55質量%をアンチモンドープ酸化スズ(ATO)に置き換え、可視光線透過率が70%になるように塗布した以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
得られた積層フィルムは、ユニットAが表層にある表面側から測定した波長900〜1200nmの光の反射率が高く、かつ透過率の低いものであり、色付きの少ないフィルムであったが、実施例1と比較して日射熱取得率が高く、やや遮熱性に劣るものであった。結果を表に示す。
(実施例5)
セシウム酸化タングステン粒子を全てアンチモンドープ酸化スズ(ATO)に置き換え、可視光線透過率が70%になるように塗布した以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
得られた積層フィルムは、ユニットAが表層にある表面側から測定した波長900〜1200nmの光の反射率は高いが透過率も高いものであった。色付きは少ないフィルムであったが、実施例1と比較して日射熱取得率が高く、遮熱性に劣るものであった。結果を表に示す。
(実施例6)
ユニットAを形成する積層装置の積層数を101層に変更した(積層装置3を用いた)以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
得られた積層フィルムは、ユニットAが表層にある表面側から測定した波長900〜1200nmの光の反射率が高く、かつ透過率の低いものであり、色付きの少ないフィルムであった。結果を表に示す。
(実施例7)
ユニットAを形成する積層装置の積層数を51層に変更した(積層装置4を用いた)以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
得られた積層フィルムは、ユニットAが表層にある表面側から測定した波長900〜1200nmの光の反射率が高く、かつ透過率の低いものであり、色付きの少ないフィルムであった。結果を表に示す。
(実施例8)
ユニットAを形成する積層装置の積層数を25層に変更した(積層装置5を用いた)以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
得られた積層フィルムは、ユニットAが表層にある表面側から測定した波長900〜1200nmの光の反射率がやや高く、かつ透過率の低いものであり、色付きの少ないフィルムであった。結果を表に示す。
(実施例9)
ユニットBを形成する積層装置の積層数を9層に変更した(積層装置6を用いた)以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
得られた積層フィルムは、ユニットAが表層にある表面側から測定した波長900〜1200nmの光の反射率が高く、かつ透過率の低いものであり、色付きの少ないフィルムであった。結果を表に示す。
(実施例10)
ユニットBを形成する積層装置の積層数を23層に変更した(積層装置7を用いた)以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
得られた積層フィルムは、ユニットAが表層にある表面側から測定した波長900〜1200nmの光の反射率が高く、かつ透過率の低いものであり、色付きの少ないフィルムであった。結果を表に示す。
(実施例11)
ユニットBを形成する積層装置の積層数を61層に変更した(積層装置8を用いた)以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
得られた積層フィルムは、ユニットAが表層にある表面側から測定した波長900〜1200nmの光の反射率が高く、かつ透過率の低いものであり、色付きの少ないフィルムであった。結果を表に示す。
(実施例12)
ユニットBを形成する熱可塑性樹脂AとしてPENではなく、ポリエチレンテレフタレート(東レ(株)製、固有粘度0.65)を用いた以外は、実施例10と同様にして積層フィルムを得た。
得られた積層フィルムは、ユニットAが表層にある表面側から測定した波長900〜1200nmの光の反射率が高く、かつ透過率の低いものであり、色付きの少ないフィルムであった。結果を表に示す。
(実施例13)
ユニットBを形成する熱可塑性樹脂AとしてPENではなく、ポリエチレンテレフタレート(東レ(株)製、固有粘度0.65)を用いた以外は、実施例10と同様にして積層フィルムを得た。
得られた積層フィルムは、ユニットAが表層にある表面側から測定した波長900〜1200nmの光の反射率が高く、かつ透過率の低いものであり、色付きの少ないフィルムであった。結果を表に示す。
(比較例1)
ユニットAを形成する積層装置の積層数を21層に変更した(積層装置9を用いた)以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
得られた積層フィルムは、ユニットAが表層にある表面側から測定した波長900〜1200nmの光の反射率がやや低く、かつ透過率の高いものであり、遮熱性に劣るものであった。結果を表に示す。
(比較例2)
ユニットAを形成する積層装置の積層数を3層に変更した(積層装置10を用いた)以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
得られた積層フィルムは、ユニットAが表層にある表面側から測定した波長900〜1200nmの光をほとんど反射率せず、かつ透過率の高いものであり、遮熱性に劣るものであった。結果を表に示す。
(比較例3)
ユニットBを形成する積層装置の積層数を7層に変更した(積層装置11を用いた)以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
得られた積層フィルムは、ユニットAが表層にある表面側から測定した波長900〜1200nmの光の反射率が高く、かつ透過率の低いものであったが、色付きあるフィルムであった。結果を表に示す。
(比較例4)
ユニットBを形成する積層装置の積層数を71層に変更した(積層装置12を用いた)以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
得られた積層フィルムは、ユニットAが表層にある表面側から測定した波長900〜1200nmの光の反射率が高く、かつ透過率の低いものであったが、色付きあるフィルムであった。結果を表に示す。
(比較例5)
透明粘着シートをユニットAの表面に貼り合せ、ユニットBを形成した以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
得られた積層フィルムは、ユニットAが表層にある表面側から測定した波長900〜1200nmの光の反射率が高く、かつ透過率の低いものであったが、色付きあるフィルムであった。結果を表に示す。
(比較例6)
C層をユニットBの片面に形成した後、透明粘着シートをユニットBの表面に貼り合せ、ユニットAを形成した以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
得られた積層フィルムは、ユニットAが表層にある表面側から測定した波長900〜1200nmの光の反射率が高く、かつ透過率の低いものであったが、色付きあるフィルムであった。結果を表に示す。
Figure 2018164993
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本発明は、太陽光などからもたらされる熱線をカットできる遮熱フィルムに関するものである。さらに詳しくは、高い遮熱性能を示しつつも着色の少ない積層フィルムに関するものであり、自動車、電車、建物などの窓ガラス用途として好適なものである。

Claims (10)

  1. 熱可塑性樹脂Dを主成分とするD層と、熱可塑性樹脂Dとは異なる熱可塑性樹脂Eを主成分とするE層を交互に積層してなるユニットAと、熱可塑性樹脂Fを主成分とするF層と、熱可塑性樹脂Fとは異なる熱可塑性樹脂Gを主成分とするG層を交互に積層してなるユニットBと、熱線吸収粒子を含有するC層を有し、前記ユニットAが一方の表層にあり、前記ユニットBがもう一方の表層にある積層フィルムであって、前記ユニットAが表層にある表面側から測定した波長900〜1200nmの光の平均反射率が30%以上、波長700〜800nmの光の平均反射率が20%未満であって、かつ、前記ユニットBが表層にある表面側から測定した波長700〜800nmの光の平均反射率が20%以上80%以下である、積層フィルム。
  2. 前記熱線吸収粒子が、粒子を構成する成分中に酸化タングステンを50質量%以上含む、請求項1に記載の積層フィルム。
  3. 透過光でのb*が−1以上1以下である、請求項1または2に記載の積層フィルム。
  4. 前記ユニットAが、熱可塑性樹脂Dを主成分とするD層と、熱可塑性樹脂Dとは異なる熱可塑性樹脂Eを主成分とするE層を交互に25層以上積層したものである、請求項1〜3のいずれかに記載の積層フィルム。
  5. 前記ユニットBが、熱可塑性樹脂Fを主成分とするF層と、熱可塑性樹脂Fとは異なる熱可塑性樹脂Gを主成分とするG層を交互に9層以上積層したものである、請求項1〜4のいずれかに記載の積層フィルム。
  6. 前記ユニットAの厚みが30μm以上200μm以下、前記ユニットBの厚みが3μm以上100μm以下である請求項1〜5のいずれかに記載の積層フィルム。
  7. 波長900〜1200nmの範囲における平均透過率が20%以下である、請求項1〜6のいずれかに記載の積層フィルム。
  8. ISO9050で規定される可視光線透過率が70%以上である、請求項1〜7のいずれかに記載の積層フィルム。
  9. ISO9050で規定される日射熱取得率が50%以下である、請求項1〜8のいずれかに記載の積層フィルム。
  10. 熱可塑性樹脂Dを主成分とするD層と、熱可塑性樹脂Dとは異なる熱可塑性樹脂Eを主成分とするE層を交互に積層してなるユニットAと、熱可塑性樹脂Fを主成分とするF層と、熱可塑性樹脂Fとは異なる熱可塑性樹脂Gを主成分とするG層を交互に積層してなるユニットBと、熱線吸収粒子を含有するC層を有し、前記ユニットAが一方の表層にあり、前記ユニットBがもう一方の表層にある積層フィルムの、ユニットA表面に粘着層を介してガラスが積層されてなる積層体であって、
    前記ガラスが一方の表層にあり、前記ユニットBがもう一方の表層にあり、
    ガラス表面側から測定した波長900〜1200nmの光の平均反射率が30%以上、波長700〜800nmの光の平均反射率が20%未満であって、かつユニットBが表層にある表面側から測定した波長700〜800nmの光の平均反射率が20%以上80%以下である、積層体。
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