JP2011068637A - 新規なオキセタン化合物、活性エネルギー線硬化型組成物、活性エネルギー線硬化型インク組成物、及びインクジェット記録方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】下記一般式(1)で表されるオキセタン化合物、これを含有する活性エネルギー線硬化型組成物及びインク組成物、並びにインクジェット記録方法。一般式(1)中、R11〜R15は、それぞれ独立に、水素原子又はアルキル基を表す。R21〜R24は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基又はハロゲン原子を表す。Rは、オキシラン環、オキセタン環及びビニルエーテルから選択される部分構造を含み総炭素数が3以上10以下のアルキル基、又はビニル基を表す。
【選択図】なし
Description
本発明の目的は、重合性モノマーとして有用な、新規なオキセタン化合物を提供することである。
また、本発明の目的は、活性エネルギー線の照射に対する感度が高く、硬化性に優れた硬化物を形成しうる活性エネルギー線硬化型組成物を提供することである。
また、本発明の目的は、活性エネルギー線の照射に対する感度が高く、硬化性に優れた画像を形成でき、且つ吐出安定性に優れたインクジェット用インク組成物として好適に用いうる活性エネルギー線硬化型インク組成物を提供することである
さらに、本発明の他の目的は、上記インク組成物を用いて被記録媒体に画像を形成するインクジェット記録方法を提供することである。
<1> 下記一般式(1)で表されるオキセタン化合物。
[一般式(1)中、R11〜R15は、それぞれ独立に、水素原子又はアルキル基を表す。R21〜R24は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、又はハロゲン原子を表す。Rは、オキシラン環、オキセタン環及びビニルエーテルから選択される部分構造を含み総炭素数が3以上10以下のアルキル基、又はビニル基を表す。R21〜R24、及びRは、隣接する基同士が互いに連結して環構造を形成していてもよい。]
<2> 前記一般式(1)におけるRが、オキシラン環を部分構造として有する炭素数3以上10以下のアルキル基である<1>に記載のオキセタン化合物。
<3> 前記一般式(1)におけるR11、R12及びR15が総て水素原子である<1>又は<2>に記載のオキセタン化合物。
<4> 前記一般式(1)におけるR21〜R24が総て水素原子であるか、R21〜R24のうち3つが水素原子であり1つがアルコキシ基であるか、R21〜R24のうち2つが水素原子であり2つがアルコキシ基である<1>〜<3>のいずれか1項に記載のオキセタン化合物。
<6> 前記一般式(1)で表されるオキセタン化合物を、組成物中に含有される重合性モノマーの全質量に対して、10質量%〜30質量%含有する<5>に記載に記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
<7> <5>又は<6>に記載の活性エネルギー線硬化型組成物を含むインク組成物。
<8> インクジェット記録用インクである<7>に記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
<9> (a)被記録媒体上に、<8>に記載の活性エネルギー線硬化型インク組成物をインクジェット記録装置により吐出する工程、及び、吐出されたインク組成物に活性放射線を照射して、該インク組成物を硬化する工程、を含むインクジェット記録方法。
また、本発明によれば、活性エネルギー線の照射に対する感度が高く、硬化性に優れた硬化物を形成しうる活性エネルギー線硬化型組成物を提供することができる
また、本発明によれば、活性エネルギー線の照射に対する感度が高く、硬化性に優れた画像を形成でき、且つ吐出安定性に優れたインクジェット用インク組成物として好適に用いうる活性エネルギー線硬化型インク組成物を提供することができる。
さらに、本発明によれば、上記インク組成物を用いて被記録媒体に画像を形成するインクジェット記録方法を提供することができる。
本発明の新規なオキセタン化合物は、下記一般式(1)で表されるオキセタン化合物(以下、適宜、「本発明のオキセタン化合物」とも称する。)である。
本発明のオキセタン化合物を適用しうる硬化型組成物としては、インク組成物等を含む活性エネルギー線硬化型組成物が挙げられ、そのような活性エネルギー線硬化型組成物の中でも、活性エネルギー線硬化型のインクジェットインク組成物が特に好ましい。
R11〜R15で表されるアルキル基は、炭素数1〜6のアルキル基であることが好ましく、メチル基又はエチル基であることがより好ましい。
本発明の活性エネルギー硬化型組成物は、本発明のオキセタン化合物を重合性モノマーとして必須に含有するものであり、必要に応じて他の成分を含有してもよい。
本発明の活性エネルギー硬化型組成物は、特に、高湿度下(25℃60〜70%RH)における硬化性に優れている。
その作用機構については明確ではないが、本発明のオキセタン化合物は、特に硬化反応の初期における反応速度の向上に寄与しており、そのため高湿度下にて組成物を硬化させる場合においても重合阻害を受けることなく優れた硬化性を発揮しうるためであると推測している。
なお、以下の説明においては、本発明の活性エネルギー線硬化型組成物及び活性エネルギー線硬化型インク組成物を、適宜「硬化型組成物」及び「インク組成物」と称する。
本発明の硬化型組成物及びインク組成物は、本発明のオキセタン化合物を重合性モノマーとして必須に含有する。
本発明の硬化型組成物又はインク組成物において、重合性モノマーとして含有される本発明のオキセタン化合物は、前記一般式(1)で表されるオキセタン化合物であり、その詳細は既述した通りである。
本発明の硬化型組成物又はインク組成物においては、本発明のオキセタン化合物に加え、他のカチオン重合性モノマーを併用することが好ましい。
本発明の硬化型組成物及びインク組成物は、重合開始剤を含有してもよい。
重合開始剤としては、光カチオン重合開始剤、色素類の光消色剤、光変色剤、あるいはマイクロレジスト等に使用されている光(400〜200nmの紫外線、遠紫外線、特に好ましくは、g線、h線、i線、KrFエキシマレーザー光)、ArFエキシマレーザー光、電子線、X線、分子線又はイオンビームなどの照射により酸を発生する化合物を適宜選択して使用することができる。
硬化型組成物中の重合開始剤の含有量は、インク組成物に適用する場合も含めて、固形分換算で、0.1質量%〜20質量%が好ましく、より好ましくは0.5質量%〜10質量%、更に好ましくは1質量%〜7質量%である。
本発明の硬化型組成物及びこれを適用したインク組成物には、さらに、重合硬化を促進させる増感剤を添加してもよい。
増感剤としては、アントラセン化合物を用いることが好ましい。該アントラセン化合物は置換基を有していてもよい。
本発明の硬化性組成物及びインク組成物には、目的に応じて着色剤を含有することができる。
また、本発明のインク組成物においては、着色剤を添加することで、可視画像を形成しうるインク組成物とすることができる。
まず、本発明の硬化型組成物及びインク組成物における着色剤として好ましく使用される顔料について述べる。着色剤として顔料を用いた場合、インク組成物を使用して形成された着色画像は耐光性に優れたものとなる。
これらの顔料としては、例えば、伊藤征司郎編「顔料の辞典」(2000年刊)、W.Herbst,K.Hunger「Industrial Organic Pigments」、特開2002−12607号公報、特開2002−188025号公報、特開2003−26978号公報、特開2003−342503号公報に記載の顔料が挙げられる。
本発明において使用できる有機顔料及び無機顔料の具体例としては、特開2008−13646号公報の段落番号〔0126〕〜〔0131〕に記載の化合物などを挙げることができ、これらを本発明にも適用することができる。
染料としては、従来公知の化合物(染料)から適宜選択して使用することができる。具体的には、特開2002−114930号公報の段落番号〔0023〕〜〔0089〕、特開2008−13646号公報の段落番号〔0136〕〜〔0140〕に記載の化合物などを挙げることができ、これらを本発明にも適用することができる。
本発明の硬化型組成物及びインク組成物には、得られる硬化物、或いは、画像の耐候性向上、退色防止の観点から、紫外線吸収剤を添加することができる。
紫外線吸収剤としては、例えば、特開昭58−185677号公報、同61−190537号公報、特開平2−782号公報、同5−197075号公報、同9−34057号公報等に記載されたベンゾトリアゾール系化合物、特開昭46−2784号公報、特開平5−194483号公報、米国特許第3214463号等に記載されたベンゾフェノン系化合物、特公昭48−30492号公報、同56−21141号公報、特開平10−88106号公報等に記載された桂皮酸系化合物、特開平4−298503号公報、同8−53427号公報、同8−239368号公報、同10−182621号公報、特表平8−501291号公報等に記載されたトリアジン系化合物、リサーチディスクロージャーNo.24239号に記載された化合物やスチルベン系、ベンズオキサゾール系化合物に代表される紫外線を吸収して蛍光を発する化合物、いわゆる蛍光増白剤などが挙げられる。
添加量は目的に応じて適宜選択されるが、一般的には、硬化型組成物又はインク組成物の総量(全質量)に対して、0.01質量%〜10質量%程度である。
本発明の硬化型組成物及びインク組成物には、安定性向上のため、酸化防止剤を添加することができる。酸化防止剤としては、ヨーロッパ公開特許、同第223739号公報、同309401号公報、同第309402号公報、同第310551号公報、同第310552号公報、同第459416号公報、ドイツ公開特許第3435443号公報、特開昭54−48535号公報、同62−262047号公報、同63−113536号公報、同63−163351号公報、特開平2−262654号公報、特開平2−71262号公報、特開平3−121449号公報、特開平5−61166号公報、特開平5−119449号公報、米国特許第4814262号明細書、米国特許第4980275号明細書等に記載のものを挙げることができる。
添加量は目的に応じて適宜選択されるが、一般的には、硬化型組成物又はインク組成物の総量(全質量)に対して、0.01質量%〜10質量%程度である。
本発明の硬化型組成物をインク組成物に用いる場合には、各種の有機系及び金属錯体系の褪色防止剤を使用することができる。前記有機系の褪色防止剤としては、ハイドロキノン類、アルコキシフェノール類、ジアルコキシフェノール類、フェノール類、アニリン類、アミン類、インダン類、クロマン類、アルコキシアニリン類、ヘテロ環類、などが挙げられる。前記金属錯体系の褪色防止剤としては、ニッケル錯体、亜鉛錯体、などが挙げられ、具体的には、リサーチディスクロージャーNo.17643の第VIIのI〜J項、同No.15162、同No.18716の650頁左欄、同No.36544の527頁、同No.307105の872頁、同No.15162に引用された特許に記載された化合物や、特開昭62−215272号公報の127頁〜137頁に記載された代表的化合物の一般式及び化合物例に含まれる化合物を使用することができる。
添加量は目的に応じて適宜選択されるが、一般的には、インク組成物の総量(全質量)に対して、0.01〜10質量%程度である。
本発明の硬化型組成物をインク組成物に用いる場合、特にインクジェット記録用インク組成物に用いる場合は、射出物性の制御を目的として、チオシアン酸カリウム、硝酸リチウム、チオシアン酸アンモニウム、ジメチルアミン塩酸塩などの導電性塩類を添加することができる。
本発明の硬化型組成物及びインク組成物には、被記録媒体等の固体表面と、硬化物や形成された画像との密着性を改良するため、極微量の有機溶剤を添加することも有効である。
溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン等のケトン系溶剤、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、1−ブタノール、tert−ブタノール等のアルコール系溶剤、クロロホルム、塩化メチレン等の塩素系溶剤、ベンゼン、トルエン等の芳香族系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピルなどのエステル系溶剤、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶剤、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤、などが挙げられる。
この場合、耐溶剤性悪化が起こらない範囲での添加が有効であり、その量は硬化型組成物又はインク組成物全体に対し、0.1質量%〜5質量%が好ましく、より好ましくは0.1質量%〜3質量%の範囲である。
本発明の硬化型組成物及びインク組成物には、膜物性を調整するため、各種高分子化合物を添加することができる。高分子化合物としては、アクリル系重合体、ポリビニルブチラール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、シェラック、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、ワックス類、その他の天然樹脂等が使用できる。また、これらは2種以上併用してもかまわない。これらのうち、アクリル系のモノマーの共重合によって得られるビニル系共重合が好ましい。更に、高分子結合材の共重合組成として、「カルボキシル基含有モノマー」、「メタクリル酸アルキルエステル」、又は「アクリル酸アルキルエステル」を構造単位として含む共重合体も好ましく用いられる。
本発明の硬化型組成物及びインク組成物には、公知の界面活性剤を含有させることが好ましい。公知の界面活性剤としては、例えば、特開昭62−173463号、同62−183457号の各公報に記載されたものが挙げられる。具体的には、例えば、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、脂肪酸塩類等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、アセチレングリコール類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類等のノニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩類、第4級アンモニウム塩類等のカチオン性界面活性剤が挙げられる。なお、前記公知の界面活性剤の代わりに有機フルオロ化合物を用いてもよい。前記有機フルオロ化合物は、疎水性であることが好ましい。前記有機フルオロ化合物としては、例えば、フッ素系界面活性剤、オイル状フッ素系化合物(例、フッ素油)及び固体状フッ素化合物樹脂(例、四フッ化エチレン樹脂)が含まれ、特公昭57−9053号(第8〜17欄)、特開昭62−135826号の各公報に記載されたものが挙げられる。
本発明の硬化型組成物及びインク組成物には保存安定性を向上することを目的に塩基性化合物を添加してもよい。具体的には、特開2003−341217号、特開2004−238456号、2008−189776号の各公報に記載されたものが挙げられる。
この他にも、本発明のインク組成物には、必要に応じて、例えば、レベリング添加剤、マット剤、膜物性を調整するためのワックス類、ポリオレフィンやPET等の被記録媒体への密着性を改善するために、重合を阻害しないタッキファイヤーなどを含有させることができる。
前記タッキファイヤーとしては、具体的には、特開2001−49200号公報の5〜6pに記載されている高分子量の粘着性ポリマー(例えば、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜20のアルキル基を有するアルコールとのエステル、(メタ)アクリル酸と炭素数3〜14の脂環属アルコールとのエステル、(メタ)アクリル酸と炭素数6〜14の芳香属アルコールとのエステルからなる共重合物)や、重合性不飽和結合を有する低分子量粘着付与性樹脂などが挙げられる。
本発明の硬化型組成物は、高感度で硬化し、硬化物の強度に優れることから、インク組成物に適用することが好ましいのは前述の通りであり、特に、インクジェット記録方法に適用するインクジェト用インク組成物に適用することが好ましい。以下、本発明の硬化型組成物をインクジェット用インク組成物に適用した際の好ましい物性について詳述する。
また、室温(25〜30℃)でのインク組成物の粘度は、7mPa・s〜120mPa・sが好ましく、10mPa・s〜80mPa・sが更に好ましい。室温での粘度を高く設定することにより、多孔質な被記録媒体を用いた場合でも、被記録媒体中へのインク浸透を防ぎ、未硬化モノマーの低減、臭気低減が可能となり、更にインク液滴着弾時のドット滲みを抑えることができ、その結果として画質を改善することができる。
本発明のインク組成物は、インクジェット記録用のインクとして好適に用いることができる。インクジェット記録方式には特に制限はなく、例えば、静電誘引力を利用してインクを吐出する電荷制御方式、ピエゾ素子の振動圧力を利用するドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式)、電気信号を音響ビームに変えインクに照射して放射圧を利用してインクを吐出する音響型インクジェット方式、インクを加熱して気泡を形成し、発生した圧力を利用するサーマル型インクジェット方式、等のいずれであってもよい。なお、前記インクジェット記録方式には、フォトインクと称する濃度の低いインクを小さい体積で多数射出する方式、実質的に同じ色相で濃度の異なる複数のインクを用いて画質を改良する方式や無色透明のインクを用いる方式が含まれる。
本発明のインク組成物は、前記のうち、ピエゾ素子を用いたドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式)のインクジェット記録用インクとして好適である。
本発明のインク組成物は、(a)被記録媒体上に、該インク組成物をインクジェット記録装置により吐出する工程(画像記録工程)、及び(b)吐出されたインク組成物に活性エネルギー線を照射して、該インク組成物を硬化する工程(画像硬化工程)、を含むインクジェット記録方法に用いることができる。
即ち、本発明のインクジェット記録方法は、インクジェット記録によって画像を形成する画像記録工程と画像硬化工程とを含む方法である。
インクを吐出するインクジェット記録システムとしては、特開2002−11860号公報に示すような形態が一例としてあげられるが、これに限定されるものではなく、他の形態であってもよい。
インクを保持する手段としては、公知のインクカートリッジに充填することが好ましく、特開平5−16377号公報に開示されるように変形可能な容器に収納し、タンクとなすことも可能である。また特開平5−16382号公報に開示されるように、サブタンクを有するとインクをヘッドへの供給が更に安定する。また特開平8−174860号公報に開示されるように、インク供給室の圧力が低下した場合に、弁の移動によりインクを供給する形態のカートリッジを用いることも可能である。これらのインク保持手段でヘッド内のメニスカスを適切に保つための負圧付与方法としては、インク保持手段の高さすなわち水頭圧による方法、またインク流路中に設けたフィルタの毛細管力による方法、また、ポンプ等により圧力を制御する方法、また、特開昭50−74341号公報に開示されるようにインクをインク吸収体に保持し、この毛細管力により負圧を付与する方法等が適切である。
インクをこれらインク保持手段からヘッドに供給する方法として、ヘッドユニットに直接保持手段を連結する方法でもよいし、チューブ等の流路により連結する方法でもよい。これらインク保持手段及び流路は、インクに対して良好な濡れ性を持つような素材であること、もしくは表面処理が施されていることが好ましい。
インクを打滴する方法としては、特開平5−104725号公報に開示されるように、連続的にインク滴を吐出させ、画像に応じて滴を偏向して被記録材に着弾させるか、させないかを選択制御する方法であってもよいし、所謂オンデマンド方式を呼ばれる、画像として必要な部分にのみインク滴を吐出させる方式であってもよい。オンデマンド方式は、特開平5−16349に開示されるように、圧電素子等を用いて構造体の変形によりインク圧を発生させ、吐出させる方式であってもよいし、特開平1−234255に開示されるように、熱エネルギーによる気化にともなう膨張により発生する圧力で吐出する方式であってもよい。また特開2001−277466号公報に開示されるように、電界により被記録材への吐出を制御する方式であってもよい。
また、ノズルの表面は、特開平5−116327号公報に開示されるような表面処理を施すことにより、ノズル表面へのインク滴の飛沫の付着、及びインク滴の付着を防ぐことが可能となる。
また、ノズルから各色のインクが均等に吐出されるとは限らず、特定のインクは長時間吐出されない場合もありうる。このようなときに、メニスカスを安定に保つために、特開平11−157102号公報に開示されるように、画像領域外で適宜インクを吐出させ、ヘッドに新しいインクを補給することにより、インク物性を適性値に維持することが好ましい。
ノズルの一部が吐出しない状態で画像をプリントすると、画像にムラが発生する等の問題が発生する。このようなことを避けるため、特開平2000−343686号公報に開示されるように、吐出しないことを検出して処置をとることが有効である。
インクジェット記録装置には、インク組成物温度の安定化手段を備えることが好ましく、一定温度にする部位はインクタンク(中間タンクがある場合は中間タンク)からノズル射出面までの配管系、部材の全てが対象となる。
あるいは、インク温度に応じてインクを吐出させる手段への印加エネルギーを制御する手段を有することも好適である。
光源としては、一般的に用いられる水銀灯、メタルハライドランプ等を用いてもよいし、発光ダイオード、半導体レーザ、蛍光灯等を用いることができる。また熱陰極管、冷陰極管、電子線、X線等、インクの重合反応が進行する光源、電磁波等を用いることができ、これらが活性エネルギー線源となる。
また、高圧水銀灯、メタルハライドランプ等では放電にともない、オゾンが発生するため、排気手段を有することが好ましい。排気手段は、インク吐出時に発生するインクミストの回収を兼ねるべく配置してあることが好適である。
画像を形成するうえで、被記録材上でのインク着弾径は10μm〜500μmの間にあることが好適であり、このためには吐出時のインク滴の直径は5μm〜250μmであることが好ましく、このときのノズル径は15μm〜100μmであることが好ましい。
画像を形成するためには1インチあたりの画素数が50〜2400dpiであることが好ましく、そのためには、ヘッドのノズル密度は10〜2400dpiであることが好ましい。ここで、ヘッドのノズル密度は低くとも、被記録材の搬送方向に対して傾ける、あるいは複数のヘッドユニットを相対的にずらして配置することにより、ノズル間隔の大きいヘッドで高密度の着弾を実現することが可能である。また上記のようにヘッドもしくは被記録材の往復移動により、低ノズルピッチでヘッドが移動するごとに被記録材を所定量搬送させ、インク滴を異なる位置に着弾させることにより、高密度の画像記録を実現することができる。
インクは単色であってもよいし、シアン、マゼンタ、イエローのカラーであってもよいし、さらにブラックを加えた4色、あるいはさらに特色と呼ばれるこれら以外の特定色のインクを用いてもよい。色材は、染料であってもよいし、顔料であってもよい。これらのインクの打滴順は、明度の低い順に着弾するように打滴させてもよいし、明度の高い順に着弾させてもよいし、画像記録品質上好適な順に打滴させることが好ましい。
記録するべき画像信号は、たとえば特開平6−210905号公報に記載されるように、良好な色再現を得るべく信号処理を施すことが好ましい。
本発明のインク組成物を用いて記録される被記録媒体としてはインク浸透性の被記録媒体、及び、インク非浸透性の被記録媒体をともに使用することができる。インク浸透性の被記録媒体は、普通紙、インクジェット専用紙、コート紙、電子写真共用紙、布、不織布、多孔質膜、高分子吸収体等が挙げられる。これらについては特開2001−1891549号公報などに「被記録材」として記載されている。
本発明のオキセタン化合物であるオキセタン化合物(1−1)を、下記に示す合成スキームにより合成した。
<中間体(1−1c)の合成>
p−ヒドロキシベンズアルデヒド(東京化成工業(株)社製)61g(0.5mol)のN、N−ジメチルアセトアミド2.0L溶液に、攪拌しながら化合物(1−1b)(Tetrahydron 1989,45,363に記載の方法で合成した。)87.5g(0.5mol)と炭酸カリウム(和光純薬工業(株)社製)276g(2.0mol)を加え、100℃で6時間加熱した。酢酸エチルと水を加えて分液し、有機層を水、0.5N硫酸、1wt%水酸化ナトリウム水溶液で洗浄し、飽和食塩水で2回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後した。溶媒を減圧留去して得られた101gの中間体(1−1c)を、そのまま次反応に用いた。
粗生成物の中間体(1−1c)101gとイソブチルアルデヒド(和光純薬工業(株)社製)170g(1.0mol)をメタノール1.2Lに溶解し、2N水酸化カリウム水溶液500mLを内温を40℃以下に保ちながら滴下した。反応液を3時間加熱還流した後、溶媒を0.6L減圧で留去した。酢酸エチルと水を加えて分液し、有機層を水、飽和食塩水で各2回洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去した後にシリカゲルクロマトグラフィーにて生成し、67gの中間体(1−1d)(0.23mol、収率2ステップで46%)を得た。
中間体(1−1d)58g(0.20mol)とトリエチルアミン24.2g(0.24mol)のジクロロメタン200mL溶液を0℃に冷却し、攪拌しながらメタンスルホニルクロリド(和光純薬工業(株)社製)25.2g(0.22mol)を5回に分けて添加した。反応液を室温にて2時間攪拌した後、水を加えて分液して水層を除去した。有機層に硫酸水素テトラブチルアンモニウム(和光純薬工業(株)社製)1.5gと50%水酸化ナトリウム水溶液100mLを加えて室温にて4時間攪拌した。水を加えて分液し、有機層を水で1回、飽和食塩水で2回洗浄して得られた粗生成物の化合物(1−1e)のジクロロメタン溶液に、メチルトリオキソレニウム(アルドリッチ社製)130mg、3−メチルピラゾール(東京化成工業社製)2.3gを攪拌しながら添加し、水冷にて内温を15℃に冷却し、31%過酸化水素水(関東化学社製)25.5mLを、内温を15℃〜35℃を維持しながら滴下した。滴下終了後オイルバスで加熱して2時間還流した後5℃まで氷冷し、10%亜硫酸ナトリウム水溶液65gを滴下した。有機層を飽和食塩水で2回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後溶媒を減圧留去し、シリカゲルクロマトグラフィーにて精製し、オキセタン化合物(1−1)21.9g(収率:中間体(1−1d)から38%)を得た。
オキセタン化合物(1−1):1H‐NMR(CDCl3、300MHz)δ:0.80(s,3H),1.39(s,3H),2.3(m,2H),2.6(m,1H),2.9(m,1H),3.1(m,1H),4.15(t,2H),4.23(d,1H),4.57(d,1H),5.49(s,1H),6.92(d,2H),7.23(d,2H)
本発明のオキセタン化合物であるオキセタン化合物(1−8)を、下記に示す合成スキームにより合成した。
p−ヒドロキシベンズアルデヒド(東京化成工業(株)社製)61g(0.5mol)の N、N−ジメチルアセトアミド 2.0L溶液に、攪拌しながら2−クロロエチルビニルエーテル(和光純薬工業(株)社製)51.3g(0.5mol)と炭酸カリウム(和光純薬工業(株)社製)276g(2.0mol)を加え、140℃で6時間加熱した。酢酸エチルと水を加えて分液し、有機層を水、0.5N硫酸、1wt%水酸化ナトリウム水溶液で洗浄し、飽和食塩水で2回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後した。溶媒を減圧留去して得られた中間体(1−8a)72gを、そのまま次反応に用いた。
粗生成物の中間体(1−8a)82gとイソブチルアルデヒド(和光純薬工業(株)社製)170g(1.0mol)をメタノール1.2Lに溶解し、2N水酸化カリウム水溶液500mLを内温を40℃以下に保ちながら滴下した。反応液を3時間加熱還流した後、溶媒を0.6L減圧で留去した。酢酸エチルと水を加えて分液し、有機層を水、飽和食塩水で各2回洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去した後にシリカゲルクロマトグラフィーにて生成し、中間体(1−8b)51g(0.19mol,収率2ステップで38%)を得た。
中間体(1−8b)51g(0.19mol)とトリエチルアミン24.2g(0.24mol)のジクロロメタン200mL溶液を0℃に冷却し、攪拌しながらメタンスルホニルクロリド(和光純薬工業(株)社製)25.2g(0.22mol)を5回に分けて添加した。反応液を室温にて2時間攪拌した後、水を加えて分液して水層を除去した。有機層に硫酸水素テトラブチルアンモニウム(和光純薬工業(株)社製)1.5gと50%水酸化ナトリウム水溶液100mLを加えて室温にて4時間攪拌した。水を加えて分液し、有機層を飽和食塩水で2回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後溶媒を減圧留去し、シリカゲルクロマトグラフィーにて精製し、オキセタン化合物(1−8)25.9g(収率:中間体(1−8b)から55%)を得た。
オキセタン化合物(1−8):1H‐NMR(CDCl3、300MHz)δ:0.81(s,3H),1.39(s,3H),3.6−4.4.(m,8H),5.55(s,1H),6.5(m,1H),6.9(d,2H),7.2(d,2H)
1.顔料分散体の調製
C.I.ピグメントレッド 122(チバスペシャリティーケミカルズ社製 クロモフタールジェット マゼンタ DMQ)25質量%、3−エチル−3−フェノキシメチルオキセタン(東亞合成(株)製、商品名:OXT−211)65質量%、及び分散剤(ルーブリゾール社製 SOLSPERSE32000)10質量%を、この組成比でボールミルに入れて、直径0.6mmのジルコニアビーズを使用して、16時間分散して顔料分散体を得た。
上記により得られた顔料分散体、重合性モノマー(オキセタン化合物(1−1)及び他の重合性モノマー)、重合開始剤、増感色素を、以下に示す組成1となるように混合し、高速水冷式撹拌機により撹拌し、UVインクジェット用マゼンタインク組成物を得た。
・着色剤:C.I.ピグメントレッド 122(チバスペシャリティーケミカルズ社製、クロモフタールジェット マゼンタ DMQ) 5.0部
・分散剤:(ルーブリゾール社製Solsperse32000) 2.0部
・オキセタン化合物(1−1) 20.0部
・2官能エポキシ化合物:リモネンジオキサイド(ダイセル化学工業社製、商品名:セロキサイド3000) 35.0部
・2官能オキセタン化合物(東亞合成(株)製、商品名:OXT−221) 24.0部
・単官能オキセタン化合物(東亞合成(株)製、商品名:OXT−211) 21.0部
・光カチオン重合開始剤(下記B−1で示す構造):(トリス(4−クロロフェニル)スルホニウム ヘキサフルオロホスフェイト) 5.0部
・増感色素:9,10−ブトキシアントラセン(川崎化成工業(株)製) 3.0部
実施例1の組成1において、化合物の種類及び量を、表1又は表2に記載の組成に変更した以外は、実施例1のインク組成物の調製と同様にして、実施例2〜11、比較例1〜4インク組成物を調製した。
また、重合性モノマーの比較化合物としては、化合物A−1(下記構造、特開2001−181386号公報に記載の化合物)、化合物A−2(下記構造、特開2005−2166号公報に記載の化合物)、化合物A−3(下記構造)を用いた。
各インク組成物をピエゾ方式のインクジェットヘッドを用いて打滴を行った。ヘッドは25.4mmあたり150のノズル密度で、318ノズルを有しており、これを2個ノズル列方向にノズル間隔の1/2ずらして固定することにより、被記録媒体上にはノズル配列方向に25.4mmあたり300滴打滴される。
搬送速度90mm/s、駆動周波数1.9kHzとすることにより、24plにインク吐出量を制御し、10g/m2の打滴を行い、ベタ印字画像を得た。
各インク組成物を、上記装置を用いてポリ塩化ビニル製のシートに印刷し、搬送速度を変えることにより積算露光量を調整し、インクを硬化させ印刷物を得た。硬化における露光エネルギーを光量積算計(EIT社製UV Power MAP)により測定した。硬化性は印刷物の表面べとつきの有無を指蝕で判断し、べとつきがなくなる最小の積算露光量を下記基準により評価した。
A:100mJ/cm2未満
B:100mJ/cm2以上200mJ/cm2未満
C:200mJ/cm2以上300mJ/cm2未満
D:300mJ/cm2以上500mJ/cm2未満
E:500mJ/cm2以上1000mJ/cm2未満
F:1000mJ/cm2以上
各インク組成物を室温で4週間保存後、ピエゾ型インクジェットノズルを有するインクジェット記録装置を用いて、ポリ塩化ビニル製のシートへの記録を行い、常温で48時間連続印字したときの、ドット抜け及びインクの飛び散りの有無を目視にて観察し、下記基準により評価した。
○:ドット抜け又はインクの飛び散りが発生しないか、発生が2回以下。
△:ドット抜け又はインクの飛び散りが3〜10回発生。
×:ドット抜け又はインクの飛び散りが11回以上発生。
Claims (9)
- 下記一般式(1)で表されるオキセタン化合物。
[一般式(1)中、R11〜R15は、それぞれ独立に、水素原子又はアルキル基を表す。R21〜R24は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、又はハロゲン原子を表す。Rは、オキシラン環、オキセタン環及びビニルエーテルから選択される部分構造を含み総炭素数が3以上10以下のアルキル基、又はビニル基を表す。R21〜R24、及びRは、隣接する基同士が互いに連結して環構造を形成していてもよい。] - 前記一般式(1)におけるRが、オキシラン環を部分構造として有する炭素数3以上10以下のアルキル基である請求項1に記載のオキセタン化合物。
- 前記一般式(1)におけるR11、R12及びR15が総て水素原子である請求項1又は請求項2に記載のオキセタン化合物。
- 前記一般式(1)におけるR21〜R24が総て水素原子であるか、R21〜R24のうち3つが水素原子であり1つがアルコキシ基であるか、R21〜R24のうち2つが水素原子であり2つがアルコキシ基である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のオキセタン化合物。
- 請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のオキセタン化合物を、重合性モノマーとして含有する活性エネルギー線硬化型組成物。
- 前記一般式(1)で表されるオキセタン化合物を、組成物中に含有される重合性モノマーの全質量に対して、10質量%〜30質量%含有する請求項5に記載に記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
- 請求項5又は請求項6に記載の活性エネルギー線硬化型組成物を含む活性エネルギー線硬化型インク組成物。
- インクジェット記録用インクである請求項7に記載の活性エネルギー線硬化型インク組成物。
- (a)被記録媒体上に、請求項8に記載の活性エネルギー線硬化型インク組成物をインクジェット記録装置により吐出する工程、及び、吐出されたインク組成物に活性放射線を照射して、該インク組成物を硬化する工程、を含むインクジェット記録方法。
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