JP2010516500A - ２材製の弁及び、当該弁を組み込んだ、引込み自在の先端部を備える筆記用具 - Google Patents

Abstract

弁であって、第１材で作製した第１の弁を含み、第１の弁が胴部と、ドアと、胴部をドアにピボット廻動自在に連結する内側ヒンジと、を含み、胴部が、その第１端部位置に第１の開口を、また第１端部とは反対側の第２端部位置に第２の開口を含み、第２端部内には円周方向凹所が配置され、内側ヒンジが、第１端部位置でドアをピボット廻動自在に胴部に連結し、第２弁部分が第２材から作製され、第２弁部分が、円周方向凹所内に配置した内側シールを含み、内側シールが、内側方向に延びる円周方向嶺部を含み、第２弁部分が更に、胴部の第１端部上に配置したドアシールを含む弁が提供される。

Description

本発明は、一般に、胴部内に引込ませ得る筆記用先端部を備えた筆記用具に関し、詳しくは、胴部内に引き込んだ筆記用先端部を格納する弁に関する。

既知の色々の筆記用具は、繊維質の筆記用先端部又はニブと、液状インクを充填した、ニブと連通するリザーバとを有し、これらの筆記用具、例えば、マーカーやペンは一般に、筆記用具の胴部に釈放自在に取り付けてニブを実質的に気密態様下にカバーする分離型のキャップを含む。これにより、ニブ及びリザーバ内に配置した液状インクが蒸発しないので筆記用具はインク切れを生じない。キャップはニブをぴったり覆うようにシールして筆記用具の機能をうまく維持させるが、キャップを無くすと筆記用具は必然的にインク切れして書けなくなってしまう。

この問題に対処するべく、所謂“キャップレス”式のマーカーが考案された。あるキャップレス式のマーカーではニブは、ユーザーがマーカーで何かを書く場合の長く伸びた筆記位置から、弁の内側に格納される引込み位置に引込み可能である。弁は、一般に、マーカーが引き込み位置にある時にニブを弁の内側に実質的にシールする弁ドアを含む。弁ドアが開くと、ユーザーはマーカーの胴部の外側の筆記位置にニブを伸ばしてマーカーを使用できるようになる。

米国特許第５，０４８，９９０号には、商業的に成功したキャップレス式マーカーが記載される。このマーカーの市販タイプのものではニブは大型の繊維質タイプの先端部であり、弁は、ＴＰＥとしても知られる熱可塑性エラストマーから全体が作製されている。ＴＰＥ製の弁は一般に弁胴部と弁ドアとの間部分を良好にシールし得るが、ＴＰＥ製のものの大半は蒸発防止性が低い。従って、インクの溶剤蒸気が弁の壁から抜けてニブ／先端部のインク切れを生じ易い。しかも、ＴＰＥ製の全ての弁は経時的な構造一体性に乏しい。例えば、前記特許の市販タイプの弁は、筆記用先端部／ニブを引き込み位置（又はシール位置）とした時にバネや糸（以下、ストリング）による負荷が加わる。ＴＰＥ素材は経時によりズレたり弁が変形したりし、そうした変形により弁胴部と弁ドアとの間の気密シールの維持能力が損われる。

ニブが（比較的）大型で且つ繊維質のものではＴＰＥ製の弁は一般に適正に作用する。そうしたマーカーでは、大きなニブが大量のインクを保持し、インクリザーバと流体連通するウィック部分が比較的大きい。ウィック部分は多数の毛管チャンネルを含み、大量のインクはこれらのチャンネルを介してリザーバから筆記用先端部に移行される。従って、ニブは蒸発するニブ／先端部内のインクを一般に補充し得るのでインク切れが起きず、筆記用具が使用不能になることもない。然し乍ら、消費者は大きな繊維質の先端部ではなく極細の先端部を備えたいつでも書ける永久マーカーを欲している。そうしたマーカーは、押し出し成型したプラスチック製の非常に小型の毛管チャンネルを含み、インクリザーバと流体連通するウィック部分がずっと小さい、より小型のニブ／先端部を備えている。
全体がＴＰＥ製の弁はインク蒸気が弁壁から抜けるので極細先端部用には一般に不向きである。極細先端部の毛管チャンネルは非常に細いので、その内部のインク量も極めて少い。インクが極く僅か抜ける又は蒸発しただけで先端部が詰まるので、こうした構造は“ハードスターティング“や完全インク切れを生じ易い。“ハードスターティング“とは、書き始めにマーカーからインクが殆ど又は全く出なくて書きにくい状態を言う。結局、そうした極細タイプのマーカー（大型の繊維質のニブ／先端部を持つマーカーに関しての）ではインク切れは大きな関心事項となる。

米国特許第５，０４８，９９０号明細書 米国登録特許公報第２００６−０２１６１０３号 米国特許第４，２２１，４９０号明細書 米国特許第５，０４８，９９０号明細書

２材製の弁及び、当該弁を組み込んだ引込み自在式の先端部を備えた、インク切れを生じない筆記用具を提供することである。

本発明によれば、弁であって、第１材から作製した第１弁部分にして、胴部と、弁ドアと、胴部を弁ドアにピボット廻動自在に連結する内側ヒンジと、を含み、胴部が、第１端部位置の第１開口と、第１端部とは反対側の第２端部位置の第２開口と、第２端部に配置した円周方向凹所と、を含み、内側ヒンジが第１端部位置で弁ドアを胴部にピボット廻動自在に連結する第１弁部分と、第２材から作製した第２弁部分にして、円周方向凹所内に配置した内側シールを含み、内側シールが、内側方向に延びる円周方向嶺部を含み、第２弁部分が更に、胴部の第１端部上に配置した弁ドアシールを更に含む弁が提供される。

図１は、引込み位置で示す、先端部を備えた引込み式マーカーの側面図である。 図２は、筆記位置で示す、図１の先端部を備えた引込み式マーカーの側面図である。 図３は、図１を線３−３に沿って切断した、引込み位置で示す図１の引込み式マーカーの断面図である。 図４は、図２を線４−４に沿って切断した、筆記位置で示す図１の引込み式マーカーの断面図である。 図５は、本発明に従う弁の斜視図である。 図６は、図５の弁を右側から見た側面図である。 図７は、図５の弁の平面図である。 図８は、図５の弁の底面図である。 図９は、図５の弁の正面図である。 図１０は、図８を線１０−１０に沿って切断した断面図である。 図１１は、図６を線１１−１１に沿って切断した断面図である。 図１２は、図１０を線１２−１２に沿って切断した断面図である。

図１及び図２を参照するに、筆記用端部２２と、作用端２４とを有するマーカー２０が示される。マーカー２０は胴部２６とアクチュエータ２８とを含み、図示されるように、胴部２６はジョイント３４位置で相互に固定又は弾発嵌合する前方ホルダ３０と、後方ホルダ３２と、を含んでいる。他の実施例では、前方ホルダ３０と後方ホルダ３２とはジョイント３４位置で螺合され得る。前方ホルダ３０は、筆記用端部２２位置に開口３６を有し、この開口を貫いて筆記用先端３８が図１に示す引込み位置と、図２に示す筆記位置との間を出入りする。アクチュエータ２８は後方ホルダ３２の作用端２４の後方開口４０を通して配置され、ユーザーはアクチュエータ２８を押し込み、釈放することで、マーカー２０を交互に筆記位置と引込み位置とすることができる。後方ホルダ３２は有益にはマーカー２０をポケット、ノートブックその他のような物品に固定するクリップ４２をも含み得る。

図３及び４にはマーカー２０の断面が示される。図３には引込み位置が示され、図４には筆記位置が示される。胴部２６内には、弁４４と、ニブサブアセンブリ４６と、バネ４８と、カラー５０と、ストリング５２と、リザーバホルダ５４と、リザーバ５６とが配置される。弁４４はフランジ５８を含み、前方ホルダ３０は内側肩部６０を含む。フランジ５８はこの内側肩部６０と接触しつつこの内側肩部６０によって支承され、弁４４は前方ホルダ３０に押し嵌め又は接着固定され、かくして前方ホルダ３０に連結され得る。弁４４は、弁胴部６２と、図３に示す閉じた位置から図４に示す開放位置に移行自在の弁ドア６４とを含む。

ニブサブアセンブリ４６は、ニブ６６と、金属製のニブアダプタ６８と、ニブ６６を包囲するニブチューブ７０とを含む。ニブ６６は筆記用先端３８からリザーバホルダ５４の孔７４を貫いて後方に伸延し、リザーバ５６内で、リザーバ５６内に保持したインクを筆記用先端３８に移動させるように配置されている。本実施例では、リザーバ５６は従来からの毛管式リザーバである。毛管バッファに予備インクを溜める方式のフリーインクリザーバを使用しても良い。ニブ６６は、ニブ６６の長手方向にチャンネルが一本伸びるように押し出し成型したプラスチックチューブであり得る。チャンネルの断面は雪片形状であり得る。そうしたニブは日本のＴｅｉｂｏｗ社や、同ＡｕＢＥＸ社を含む色々な供給元から入手可能である。好適なニブには、Ｔｅｉｂｏｗ モデル番号ＰＮ−Ｃ、ＰＮ１−Ｄ、ＰＨ−Ｃ、ＰＨ１−Ｄ、ＰＨ５−Ｄ、ＰＨ５、ＰＮ１−Ｄ、ＰＨ２−Ｄ、ＰＯ及びＰＨが含まれ得る。これらのニブはホモポリマー又はコポリマー、より詳しくは、ポリアセタールホモポリマー又はポリアセタールコポリマーから作製し得る。ニブは、その多孔度が約１５％より大きいものの方が有効であることが分かった。ニブはその多孔度が約２５％よりも大きいものが好ましい。好適な押し出し成型ニブの追加例としては、ＡｕＢＥＸ社の製造するＤＨ／ＤＢ、Ｆタイプ、ＦＸタイプ、ＨＡタイプ、ＩＬタイプ、ＩＸタイプ、ＪＡタイプ、ＪＣ／ＪＤタイプ、ＪＨタイプ、ＪＱタイプ、ＭＡタイプ、ＭＣ／ＭＤタイプ、ＭＯタイプ、ＮＺタイプ、ＰＡ−Ｘシリーズ、ＰＡタイプ、ＰＢタイプ、ＰＤＡタイプ、ＰＤタイプ、ＰＦ／ＳＫタイプ、ＰＬ／ＰＵタイプ、ＰＳタイプ、ＰＷタイプ、ＰＹタイプ、ＳＡタイプ、ＶＡタイプ、ＶＥタイプ、ＶＳタイプ、が含まれ得る。あるいは、弁を、ナイロン、アクリル、又はポリエステル繊維を含む繊維質ニブと組み合わせて使用できる。

ニブアダプタ６８はニブ６６上の、筆記用先端３８近くに配置される。ニブチューブ７０はニブアダプタ６８に連結される。ニブチューブ７０は似ず６６を包囲し且つ、ニブアダプタ６８の筆記用先端３８の近くからリザーバホルダ５４の孔７４内まで伸延される。ニブチューブ７０は金属で作製され得、ユーザーが筆記用先端３８を押さえたときにニブ６６が座屈しないようにニブ６６を補強する。ニブチューブ７０は、ニブ６６内のリザーバ５６とニブアダプタ６８との間にインクをシールする。
リザーバホルダ５４上にはカラー５０が配置され、ニブチューブ７０の、カラー５０と弁４４との間に沿ってバネ４８が、カラー５０を弁４４から偏倚させるように配置される。カラー５０の第１端部７６と第２端部７８とにストリング５２が装着される。ストリング５２は任意の既知の方法でカラー５０に装着され得る。本実施例ではカラー５０は第１長孔８０と第２長孔８２とを含み、ストリング５２の第１端部７６は第１ノット８４を、また第２端部７８は第２ノット８６を含み、第１ノット８４及び第２ノット８６の各直径は第１長孔８０及び第２長孔８２の幅寸法よりも大きい。かくして、ストリング５２の第１端部７６と第２端部７８とを第１長孔８０と第２長孔８２との各内部に配置すると、第１のノット８４及び第２のノット８６が、ストリングを第１長孔８０及びと第２長孔８２の内部に維持する。ストリング５２は、第１端部７６から弁４４の第１ストリングガイド８８に向けて且つこの第１ストリングガイドを貫き、弁ドア６４の周囲を進み、弁ドア６４のストリングホルダ９０を貫き、逆向きとなって弁４４の第２ストリングガイド９２を貫き、カラー５０の第２長孔８２（各ストリングガイド及びストリングホルダは図３及び図４に示されるが、図５及び図８に最も良く示される）を貫いて伸延される。バネ４８からの、カラー５０を作用端２４方向に押す偏倚力により、ストリング５２は弁ドア６４を弁胴部６２に対してきつく保持し、かくして実質的な気密シールを創出する。

リザーバホルダ５４は、リザーバ５６の周囲に沿って逆向きで作用端２４方向に伸延する同中心の管状部材であり、開放後端９４を有し、マーカー２０の製造中にこの開放後端を通してリザーバ５６が挿入される。開放後端９４内には、リザーバ５６をリザーバホルダ５４内にシールするプラグ９６が配置される。プラグ９６とリザーバ５６との間に配置したバネ９８がリザーバ５６をリザーバホルダ５４の前方端に偏倚させ、かくしてニブ６６とリザーバ５６との接触量が最大化されることが保証される。

プラグ９６は、作用端２４に向けて伸延する軸１００を含み、軸１００にはプランジャ１０２が配置される。プランジャ１０２とアクチュエータ２８との間にはバネ１０４が配置される。プラグ９６と、プランジャ１０２と、バネ１０４と、アクチュエータ２８とは、図３に示すように連結した場合に周知のノック式筆記用具の作動システムを提供する。既知のようにアクチュエータ２８を繰り返し押し込むと、作動システムがニブ６６を図３に示す引込み位置と図４に示す筆記位置とに交互に配置させる。ここでは“ノック式”アクチュエータを示すが、その他形式のアクチュエータシステム、例えば、米国登録特許公報第２００６−０２１６１０３号Ａ１に示されるようなサイドボタン作動システムを使用できる。この米国特許の実施例では、アクチュエータ２８は筆記用具の胴部の側壁の長孔を通して伸延するサイドアクチュエータで代替されている。他の実施例ではツイスト式アクチュエータが使用され得る。この周知例では、ユーザーは後方ホルダ３２を前方ホルダ３０に関して捻ることでニブ６６を作動させる。例えば、米国特許第４，２２１，４９０号を参照されたい。

図４に示す筆記位置では、ユーザーはリザーバホルダ５４をマーカー２０の筆記用端部２２に向けて押し出して作動システムを作動させる。リザーバホルダ５４がカラー５０を前方に押し出すとストリング５２はもはや引張されない弛緩状態となる。ストリング５２が弛緩すると弁４４の弁ドア６４が開放される。ある実施例ではニブ６６が弁ドア６４を押し開け、前方ホルダ３０の開口３６を貫いて伸延する。他の実施例では弁ドア６４が開放位置に偏倚され、かくしてストリング５２が弛緩すると、弁ドア６４はニブ６６が弁ドア６４を押さなくとも又は弁ドア６４に全く触れなくとも自動的に開く。

第３実施例では、マーカー２０使用時にストリング５２自体が弁ドア６４を押し開き、ニブ６６は弁ドア６４と接触しない。非限定例では、直径が約０．２０ｍｍ〜約０．３５ｍｍ、約０．２２ｍｍ〜約０．３２ｍｍ、又は約０．２５ｍｍ、例えば、０．２７ｍｍのフルオロカーボンモノフィラメントストリングが弁ドア６４を押し開くに充分な剛性を有している。その他の材料及び直径の組み合わせを前述の任意の実施例で使用可能である。更に他の実施例では、ストリング５２は弁ドア６４を開閉するカム機構で代替され得る。

ここではマーカー２０の実施例は１つを示すが、マーカー２０は一般に、米国特許第５，０４８，９９０号に示されるような任意構成のものであり得る。言い換えると、弁４４は以下に詳しく説明するように多少改変することで、前記米国特許に示す任意のマーカー例に組み込むことができる。従って、弁４４は、押し出し成型プラスチック製のニブに加え、更に大型の繊維質ニブと組み合わせて使用可能である。また、弁は、その他の点では従来型通りのボールペンと組み合わせ得る。

図５〜図１２を参照するに弁４４の詳細が示され、弁４４が、前端部１０６と、後端部１０８と、前端部１０６から後端部１０８にかけて伸延する内面１１０とを含んでいる。上述したように、弁４４は、前端部１０６のヒンジ１１２位置で弁胴部６２にピボット廻動自在に結合した弁ドア６４を含む。弁胴部６２は開口１１４を含み、弁ドア６４は、弁ドア６４が開口１１４から遠ざかる方向にピボット廻動する、図５に示す開放位置（マーカー２０の筆記位置に相当する）から、弁ドア６４が弁胴部６２に接触して支承され（マーカー２０の引込み位置に相当する）、開口１１４を閉鎖して実質的に気密シールを提供する閉鎖位置に移行自在である。弁４４は、先に説明したように弁４４を前方ホルダ３０内に取り付けるために使用する外側に伸延するフランジ５８を更に含む。弁胴部６２はストリング釈放体１１６、１１８を含み、フランジ５８はストリングガイド８８、９２を含み、弁ドア６４はストリングホルダ９０を含む。ストリング５２は、弁胴部６２に抗して保持されるに際し（即ち、マーカー２０が引き込み位置にある場合）、ストリングホルダ９０、ストリング釈放体１１６、１１８、ストリングガイド８８、９２の内部に配置される。

図５及び図７に最も良く示されるように、ストリング釈放体１１６、１１８は平坦であり且つ弁４４の中心軸Ａに関して或る角度を成すように形成される。角度付けされたストリング釈放体は、弁胴部６２の壁厚を実質的に維持可能とし、かくして、溶剤蒸気の透過度を最小化する。更には、弁胴部６２の厚さ部分が、弁胴部６２を楕円形に変形（例えば、バネ４８及びストリング５２による負荷を受ける場合に）しないように保護する。ストリング釈放体１１６、１１８により、ストリング５２の力は弁ドア６４を閉じる上でずっと有効に作用し得るようにもなる。ヒンジ１１２は、弁ドア６４が弁胴部６２に対して反復閉鎖され得るに充分な厚さを有すべきである。同様に、ヒンジ１１２は、開け閉めがきつくなって筆記用先端３８が弁ドア６４と接触してしまう程厚くすべきではない。ある非限定例では、ヒンジ１１２は、半径（図６の参照番号１５０参照）が約０．１５ｍｍ〜約０．３０ｍｍ、約０．２０ｍｍ〜約０．２８ｍｍ、又は約０．２５ｍｍ、厚さが約０．１０ｍｍ〜約０．３０ｍｍ、０．１５ｍｍ〜約０．２５ｍｍ、又は約０．２０ｍｍとし得ることが分かった。

こうした寸法の設計形態において、弁ドア６４を開放させるに要する力が最小化され（先に説明したように、ストリング５２自体が弁ドア６４を押して開放させ得る）、他方、反復性の閉鎖が尚、提供される。ストリングガイド８８、９２は、マーカー２０の作動中や引込み時にストリング５２の絡みや座屈を防止する上で有効な大型サイズに形成される。ストリング５２は、動作サイクルの初期にすぐには座屈せずに弁ドア６４を押すので、弁ドア６４はニブ６６が弁ドアと接触する前に開放される。開示された実施例において、各ストリングガイド８８、９２は、フランジ５８の全曲率半径の約１／１２、又は約３０°の部分を構成する。

図１０及び図１１に最も良く示されるように、弁４４は弁胴部６２の後端部１０８位置に配置した内側シール１２２を含む。内側シール１２２は弁４４の内面１１０に沿って内側を伸延する円周方向嶺部１２４を含む。内側シール１２２はニブチューブ７０と接触して支承されることで、弁胴部６２の後端部１０８をシールする。従って、シールされた内側チャンバ１２６が、弁４４の弁ドア６４、内側シール１２２、内面１１０の内部に形成される。

弁４４は図５〜図１２に白地部分として示すような第１材１２８と、図５〜図１２で斜線付部分として示すような第２材１３０とから作製される。第１材１２８は弁４４の第１部分１２９を構成し、第２材１３０は弁４４の第２部分１３１を構成する。第１部分１２９は、弁胴部６２と、弁胴部６２の前端部１０６内の円周方向座１３２と、弁胴部６２の後端部１０８内の円周方向凹所１３４と、を含み、更には、円周方向凹所１３６に円周方向座１３２を連結するチャンネル１３６を含む。チャンネル１３６は図１０〜図１２において、第１部分１２９の凹所として最も良く示されている。後端部１０８にはゲート１３８が配置される。ゲートは本来、第１部分１２９の側部にあって円周方向凹所１３４を弁胴部６２の外面１４０に接合する孔である。第１部分１２９は、フランジ５８と、弁胴部６２を弁ドア６４に連結する細い内側ヒンジ１４２とを含む。図示されるように、これらの各構成部品は第１材１２８から作製される。

弁４４の第２部分１３１は、第１部分１２９の円周方向凹所１３４内に配置した、内側シール１２２及び円周方向嶺部１２４を含む。第２部分１３１は更に、ゲート１３８内に配置したプラグ１４４と、円周方向座１３２内に配置した弁ドアシール１４６と、チャンネル１３６内に配置されて弁ドアシール１４６と内側シール１２２とを接続するランナ１４８と、を含む。第２部分１３１は、弁ドア６４のストリングホルダ９０と、このストリングホルダ９０を弁ドアシール１４６に結合させて内側ヒンジ１４２の何れかの側部上に配置する一対の外側ヒンジ１５０とを更に含む。ここに例示したように、第２部分１３１の全ての構成部品は第２材１３０から作製される。然し乍ら、以下にもっと詳しく説明するように、これらの構成部品の構成材料は本明細書の教示に従い変更され得るものとする。

弁４４は２ショット成型としても知られる２ステップ射出成型を使用して作製し得る。第１ステップにおいて、第１材１２８を射出成型して弁４４の第１部分１２９の各構成部品を形成する。第１材１２８は、先ずフランジ５８を形成し、次いで弁胴部６２を形成し、その後、内側ヒンジ１４２を貫いて流動してから弁ドア６４を形成するように射出され得る。第２ステップにおいて、第２材１３０が第１材１２８上に射出成型され得、弁４４の第２部分１３１を形成する。第２材１３０はゲート１３８を通して円周方向凹所１３４内に流入し、内側シール１２２を形成する。次いで、第２材１３０は第１部分１２９のチャンネル１３６を通して流動してランナ１４８を形成した後、円周方向座１３２に入り、弁ドアシール１４６を形成する。次いで、第２材１３０は第１材１２８の内側ヒンジ１４２を越えて流動して外側ヒンジ１５０を形成し、更に弁ドア６４上を流動してストリングホルダ９０を形成する。射出時の第２材１３０のこうした流れシーケンスは例示的なものであってその他のシーケンスを使用できる。２つの材料を組み合わせることで、各材料の有益な特性を、弁４４に於て、もっと詳しくは弁胴部６２及び弁ドア６４に於て使用可能である。

第１材１２８には、ポリプロピレン（ＰＰ）の様な比較的硬質の熱可塑性物質を使用し得、第２材１３０には熱可塑性エラストマー（ＴＰＥ）を使用し得ることが分かった。ＰＰ及びＴＰＥは何れも多様な化学的形態を取り得ることから、最終的に選択された２つの材料は、一回の成型プレスで単一の部品として成型され得るような化学的互換性を有すべきである。第１材１２８は成型性、蒸気のバリア性、低コスト、を提供すべきであり、第２材１３０は第１材１２８との互換性を有し、かくして成型プロセス中の２つの材料間の良好な接着を保証し、動摩擦を最小化する高い潤滑性を有し、ジュロメーター硬度が、構造的安定性を提供する一方で有効なシールを提供するに十分軟質な約６０Ａ〜１００Ａ、好ましくは７０Ａ〜９０Ａ、更に好ましくは約８０Ａであるべきである。何れの材料も、一体ヒンジを介して成型し得るような溶融流動速度及びその他特性を有すべきである。第１材１２８には、必要な成型性、蒸気のバリア性、コスト考慮事項が満足される限りにおいて、ポリエチレン、ＨＤＰＥ、ナイロン、ＰＶＣ、等を含むその他の熱可塑性物質をも使用できる。第２材１３０には、必要な成型性やシール特性が満足される限りにおいて様々のＴＰＥを使用できる。有益なＰＰには、何れもＨｕｎｔｓｍａｎ Ｉｎｔｅｒｎａｔｉｏｎａｌ社（テキサス州ウッドランド）の製造するモデル番号Ｐ４Ｃ６Ｚ−０２２及びＰ４Ｃ６Ｂ−０２４Ｂ、Ａｒｃｏ Ｃｈｅｍｉｃａｌ 社（テキサス州ニュートンスクエア）の製造するモデル番号ＨＭ３５Ｚ２、Ｐｈｉｌｌｉｐｓ Ｓｕｍｉｋａ Ｐｏｌｙｐｒｏｐｙｌｅｎｅ 社（テキサス州ウッドランド）の製造するモデル番号ＨＬＮ−３５０が含まれ得る。有益なＴＰＥには、Ａｄｖａｎｃｅｄ Ｅｌａｓｔｏｍｅｒ Ｓｙｓｔｅｍｓ，Ｌ．Ｐ．社（オハイオ州アクロン）の製造する、サントプレン１０１−７３、サントプレン１０１−８０、サントプレン１０１−８７、サントプレン８２０１−７０、サントプレン８２０１−８０、サントプレン８２０１−９０、サントプレン８２１１−７５、ＧＬＳ社（イリノイ州マックヘンリー）の製造するＤｙｎａｆｌｅｘ Ｇ２７８０−０００１、Ｄｙｎａｆｌｅｘ Ｇ７９８０−１００１−００、モデル番号ＬＣ２９０−１０５、同ＬＣ２９３−１１６、同ＬＣ２４８−０４５、Ｂａｙｅｒ Ｍａｔｅｒｉａｌ Ｓｃｉｅｎｃｅ社（ペンシルバニア州ピッツバーグ）の製造するＫＵ２−８６５及びＫＵ２−８７７０、Ｎｏｖｅｏｎ社（オハイオ州クリーブランド）の製造するＥｓｔａｇｒｉｐ ＳＴ７０Ａ及びＳＴ８０Ａ、Ｔｅｋｎｏｒ Ａｐｅｘ社（ロードアイランド州ポータケット）の製造するＭｏｎｐｒｅｎｅ ＭＰ−２８９０Ｍ、Ｍｏｎｐｒｅｎｅ ＭＰ−２８７０、Ｍｏｎｐｒｅｎｅ ＭＰ−２２２８、Ｍｏｎｐｒｅｎｅ ＭＰ−１８８５−Ｊ、Ｍｏｎｐｒｅｎｅ ＭＰ２７８０、が含まれ得る。

図示されないその他の実施例では、ヒンジ１１２が単一材料（第１材１２８又は第２材１３０の何れか）から作製され得、又は外側ヒンジ１５０がＰＰ（又はその他の好適な第１材１２８）から作製され得、他方、内側ヒンジ１４２がＴＰＥ（又はその他の好適な第２材１３０）から作製され得る。ランナ１４８は、弁４４の内面１１０の別の位置に配置され得、あるいは弁４４の外面１４０上に配置され得、あるいは多数のランナ１４８が使用され得る。ランナ１４８を全く使用しない場合は内側シール１２２を弁ドアシール１４６から分離させ、射出ゲートを２つ設ける必要がある。更には、弁４４は第２材１３０を多数の位置に射出して作製し得る。この場合、チャンネル１３６とランナ１４８とは不要であり、ゲート１３８と類似の第２ゲートが弁胴部６２の前端部１０６上に配置され得る。ストリングホルダ９０はＰＰで製造し得、弁ドアシール１４６を弁胴部６２に代えて弁ドア６４に配置し得る。２ショット射出成型プロセスの代替法として、弁４４を別個の部材片として構成したものを組み立て得る。例えば、内側シール１２２を円周方向凹所１３４に接着あるいはそうでなければ連結し、弁ドアシール１４６を同じように円周方向座１３２に連結させ得る。
更には、ここに開示した実施例では弁４４はマーカー２０と共に使用するものとして示されるが、弁４４はボールペンのようなその他の筆記用具でも使用可能である。また、弁４４は修正液ディスペンサ、ペンキアプリケーター及びその他の、筆記具分野とは無関係の製品でも有益であり得る。
以上、本発明を実施例を参照して説明したが、本発明の内で種々の変更をなし得ることを理解されたい。

２０ マーカー
２２ 筆記用端部
２４ 作用端
２６ 胴部
２８ アクチュエータ
３０ 前方ホルダ
３２ 後方ホルダ
３６ 開口
３８ 筆記用先端
４０ 後方開口
４２ クリップ
４４ 弁
４６ ニブサブアセンブリ
４８ バネ
５０ カラー
５２ ストリング
５４ リザーバホルダ
５６ リザーバ
５８ フランジ
６０ 内側肩部
６２ 弁胴部
６４ 弁ドア
６６ ニブ
６８ ニブアダプタ
７０ ニブチューブ
７４ 孔
７６ 第１端部
７８ 第２端部
８０ 第１長孔
８２ 第２長孔
８４ 第１ノット
８６ 第２ノット
８８ 第１ストリングガイド
８８ ストリングガイド
８８ 各ストリングガイド
９０ ストリングホルダ
９２ 第２ストリングガイド
９４ 開放後端
９６ プラグ
９８ バネ
１００ 軸
１０２ プランジャ
１０４ バネ
１０６ 前端部
１０８ 後端部
１１０ 内面
１１２ ヒンジ
１１４ 開口
１１６ ストリング釈放体
１２２ 内側シール
１２４ 円周方向嶺部
１２６ 内側チャンバ
１２８ 第１材
１２９ 第１部分
１３０ 第２材
１３１ 第２部分
１３２ 円周方向座
１３４ 円周方向凹所
１３６ 円周方向凹所
１３６ チャンネル
１３８ ゲート
１４０ 外面
１４２ 内側ヒンジ
１４４ プラグ
１４６ 弁ドアシール
１４８ ランナ
１５０ 外側ヒンジ

Claims (31)

1. 弁であって、
   第１材から作製した第１弁部分にして、胴部と、ドアと、胴部をドアにピボット廻動自在に連結する内側ヒンジと、を含み、胴部が、第１端部位置の第１開口と、第１端部とは反対側の第２端部位置の第２開口と、第２端部に配置した円周方向凹所と、を含み、内側ヒンジが第１端部位置でドアを胴部にピボット廻動自在に連結する第１弁部分と、
   第２材料から作製した第２弁部分にして、円周方向凹所内に配置した内側シールを含み、内側シールが、内側方向に延びる円周方向嶺部を含み、第２弁部分が更に、胴部の第１端部上に配置したドアシールを更に含む弁。
2. 第２弁部分が、内側ヒンジの周囲に配置した外側ヒンジを更に含む請求項１の弁。
3. 第２弁部分が、ドア上に配置したストリングホルダを更に含む請求項２の弁。
4. ストリングホルダが外側ヒンジに連結される請求項３の弁。
5. 第１弁部分が、胴部の外面から外側に伸延するフランジを更に含む請求項１の弁。
6. フランジが、ドアをドアシールに接触する状態に維持するために使用するストリング部分を受けるようにした複数の凹所を含む請求項５の弁。
7. 胴部が、ドアをドアシールに接触する状態に維持するために使用するストリング部分を受けるようにしたストリング釈放体を含む請求項１の弁。
8. 第１材が熱可塑性物質である請求項１の弁。
9. 熱可塑性物質が、ポリプロピレン、ポリエチレン、高密度ポリエチレン、及びそれらの混合物から選択される請求項８の弁。
10. 第２材料が熱可塑性エラストマーである請求項１の弁。
11. 第１弁部分が、胴部の内面に配置されたチャンネルにして、第１端部から第２端部にかけて伸延するチャンネルを更に含み、第２弁部分が、前記チャンネル内に配置されたランナにして、ドアシールから内側シールにかけて伸延するランナを更に含む請求項１の弁。
12. 第１弁部分が、胴部の円周方向凹所から外面にかけて伸延するゲートを含む請求項１の弁。
13. 第２弁部分が、ゲート内に配置したプラグを含む請求項１２の弁。
14. 引込み式のマーカーであって、
    開口を有するバレルと、
    バレル内に配置した弁にして、第１材から作製した第１弁部分と、第２材料から作製した第２弁部分とを含む弁にして、第１弁部分が、胴部と、ドアと、胴部をドアにピボット廻動自在に連結する内側ヒンジと、を含み、胴部が、第１端部位置の第１開口と、第１端部とは反対側の第２端部位置の第２開口と、第２端部位置に配置した円周方向凹所と、を含み、内側ヒンジが第１端部位置でドアを胴部にピボット廻動自在に連結し、第２弁部分が、円周方向凹所内に配置した内側シールにして、内側に伸延する円周方向嶺部と、胴部の第１端部上に配置したドアシールとを含む弁と、
    バレル内のインクリザーバと、
    インクリザーバと流体連通する筆記用先端を備えるニブサブアセンブリにして、筆記用先端が、ドアがドアシール上に支承され且つ円周方向嶺部がニブサブアセンブリ上に支承されて実質的にシールされたチャンバを形成するような弁内部の引込み位置と、筆記用先端がバレルの開口の外側に伸延されてドアがドアシールから離れる方向にピボット廻動される筆記位置との間で摺動自在であるニブサブアセンブリと、
    を含むマーカー。
15. ニブサブアセンブリの周囲に配置され、リザーバに接触して支承されるカラーを更に含み、カラーと弁との間でニブサブアセンブリの周囲に配置されたバネにして、カラー及びリザーバを弁から離すように偏倚させるバネを更に含む請求項１４のマーカー。
16. カラーをドアに連結するストリングを更に含む請求項１５のマーカー。
17. 第２弁部分が、ドア上のストリングホルダを更に含み、ストリングがストリングホルダ内に配置される請求項１６のマーカー。
18. マーカーを筆記位置又は引込み位置の何れかに選択的に配置するようにしたノック式のアクチュエータを更に含む請求項１４のマーカー。
19. 押し出し成型プラスチック製のチューブであるニブを更に含む請求項１４のマーカー。
20. バレルが内側肩部を更に含み、第１弁部分が、胴部の外面から外側に伸延するフランジを更に含み、フランジが内側肩部に接触して支承される請求項１４のマーカー。
21. 胴部の内面内に配置され第１端部から第２端部にかけて伸延するチャンネルを更に含み、第２弁部分が、チャンネル内に配置され且つ第２端部から第１端部にかけて伸延するランナを更に含む請求項１４のマーカー。
22. 弁の作製方法であって、
    第１材を使用して第１弁部分を成型するステップにして、第１弁部分が、胴部と、ドアと、胴部をドアにピボット廻動自在に連結する内側ヒンジと、を含み、胴部が、第１端部位置の第１開口と、第１端部とは反対側の第２端部位置の第２開口とを含み、第２端部位置には円周方向凹所が配置され、内側ヒンジが第１端部位置でドアを胴部にピボット自在に連結する前記ステップと、
    第１弁部分上に第２材料を使用して第２弁部分を成型するステップにして、第２弁部分が、円周方向凹所内に配置した内側シールを含み、内側シールが、内側に伸延する円周方向嶺部を含み、第２弁部分が、胴部の第１端部上に配置したドアシールを更に含む前記ステップと、
    を含む方法。
23. 第２材料を使用して内側ヒンジの周囲に外側ヒンジを成型するステップを更に含む請求項２２の方法。
24. 第２材料を使用してドア上にストリングホルダを成型するステップを更に含む請求項２３の方法。
25. ストリングホルダを外側ヒンジに連結するステップを含む請求項２４の方法。
26. 第１弁部分が、胴部から外側に伸延するフランジを更に含む請求項２２の方法。
27. フランジが、ドアをドアシールに接触する状態に維持するために使用するストリング部分を受けるようにした複数の凹所を更に含む請求項２２の方法。
28. 胴部が、ドアをドアシールに接触する状態に維持するために使用するストリング部分を受けるようにした複数の凹所を更に含む請求項２２の方法。
29. 第１材が熱可塑性物質である請求項２２の方法。
30. 第２材料が熱可塑性エラストマーである請求項２２の方法。
31. 第１弁部分が、胴部の内面内に配置されたチャンネルにして、第１端部から第２端部にかけて伸延するチャンネルを更に含み、第２弁部分が、チャンネル内に配置されたランナにして、内側シールからドアシールに掛けて伸延するランナを更に含む請求項２２の方法。

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